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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】材料を加工するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/00 20060101AFI20221216BHJP
   A23N 1/02 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A23N15/00 Z
A23N1/02 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019567405
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 IB2018051084
(87)【国際公開番号】W WO2018154468
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】2017/01407
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
(73)【特許権者】
【識別番号】519309614
【氏名又は名称】ヘンダーソン ロイ ウォルター
(73)【特許権者】
【識別番号】519309625
【氏名又は名称】フォルク ヤン アブラハム
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン ロイ ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】フォルク ヤン アブラハム
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-51061(JP,A)
【文献】特表2014-516796(JP,A)
【文献】特開平10-118516(JP,A)
【文献】米国特許第4249703(US,A)
【文献】中国特許出願公開第105495627(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 1/00-17/02
B02C 19/00-19/22
B30B 9/00- 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
料を加工するための装置であって、
軸方向向きの面と径方向内向きの円筒表面とを交互に提供するように内側に段が付けられた穴を有するスリーブであって、当該スリーブの前記円筒表面の直径が、前記穴の一端側の円筒表面から他端側の円筒表面に向けて順次大きくなる、スリーブと、
前記穴の形状に適合し、かつ、円筒表面と交互する軸方向向きの面を有するボビンであって、当該ボビンの前記円筒表面の直径が、当該ボビンの一端側の円筒表面から他端側の円筒表面に向けて順次大きくなる、ボビンと、
前記材料を加圧するための加圧手段と、
を備え、
互いに対向する前記スリーブの前記円筒表面と前記ボビンの前記円筒表面との間の環状間隙によって円筒区間が形成され、互いに対向する前記スリーブの前記軸方向向きの面と前記ボビンの前記軸方向向きの面との間の円形間隙によって円形区間が形成され、前記円筒区間と前記円形区間が交互に連通されて通路が形成され、
前記円筒区間および前記円形区間は、それぞれ入口端部および出口端部を有し、
使用時に前記加圧手段により加圧された前記材料が前記通路に送り込まれ、送り込まれた前記材料が前記円筒区間と前記円形区間の一方の区間の前記入口端部に流入し、前記一方の区間の前記出口端部から出て、後続の前記円筒区間と前記円形区間の他方の区間の前記円筒表面または前記軸方向向きの面に衝突し、向きを変えて前記他方の区間に流入することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記円筒区間と前記円形区間が、互いに直交することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、前記環状間隙の幅が、前記スリーブおよびボビンの直径が小さい端部から直径が大きい端部に向って順次狭くなることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の装置であって、前記ボビンの前記軸方向向きの面を前記スリーブの前記軸方向向きの面に押し付けるための手段を含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項に記載の装置であって、前記押し付ける手段が、ばねであることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項に記載の装置であって、前記押し付ける手段が、液圧式シリンダであることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の装置であって、前記加圧手段から前記通路に前記材料を送る連通路をさらに備え、前記ボビンが、前記連通路の出口端部内に嵌合する小径側の端部にシール要素を有し、前記シール要素が、その位置のうちの1つにおいて前記連通路の前記出口端部をシールすることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項に記載の装置であって、前記連通路が、2つ以上の区間を含み、当該連通路の各区間が、その上流の区間よりも小さい断面積の区間であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置であって、前記ボビンが、その最大径の円筒表面内に斜め溝を有し、それにより、使用時に前記斜め溝内を流れる前記材料が、前記ボビンを回転させることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項7または8に記載の装置であって、前加圧手段が、端壁側壁および前記材料を送出する出口を有するバレルと、前記バレル内のピストンと、前記材料が前記バレルから当該バレルの前記出口を通って前記連通路内に押し込まれるように前記ピストンを前方への加圧行程と後退行程に交互に往復運動させるための手段とを含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、前記バレルが、前記バレルの前記側壁に配置された入口を有し、前記出口が、前記バレルの前記端壁に位置し、前記ピストンがその加圧行程の終わりにあるときに、前記入口が前記出口と前記ピストンとの間に位置することを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記材料が前記バレルに入ることが可能とされる開位置、および前記バレルへの前記材料の流れが妨げられる閉位置を有する入口弁と、前記ピストンが後退行程を開始し終わるまで前記入口弁を閉じたままにしておく制御システムとを含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか1項に記載の装置であって、前記ピストンを往復運動させるための前記手段が、内部に駆動ピストンが存在する液圧式または空気圧式のシリンダと、前記駆動ピストンに取り付けられて前記空気圧式または液圧式のシリンダの端壁を貫通し間隙を横断して前記バレル内の前記ピストンに取り付けられるピストンロッドとを含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
料を加工する方法であって、
前記材料が500から6000km/hの速度で穴から出てくるように前記材料を20から200MPa(200から2000バール)の圧力下で前記穴に押し込むことと、
前記材料を前記穴から複数の区間を含む通路を通して流れさせ、各前記区間が、入口端部および出口端部を有し、前にある区間に対してある角度をなして位置し、それにより前記材料がある区間から次の区間へ流れるときに向きを変えて前記材料を流れさせることと、
前記材料が各区間から出てくるときに当該区間の前記出口端部において衝突し、向きを変えて、一連の前記区間のうちの次の区間に流入するように、各区間の前記出口端部に衝突壁を設けることと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記圧力が、30から160MPa(300から1600バール)であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記圧力が、35から120MPa(350から1200バール)であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15または16に記載の方法であって、前記速度が、2000から4000km/hの速度であることを特徴とする方法。
【請求項18】
料を加工する方法であって、
前記材料を少なくとも20MPa(200バール)の圧力で0.05mmから8mmの直径を有する穴に押し通すことと、
前記材料を前記穴から複数の区間を含む通路を通して流れさせ、各前記区間が、入口端部および出口端部を有し、前にある区間に対してある角度をなして位置し、それにより前記材料がある区間から次の区間へ流れるときに向きを変えて前記材料を流れさせることと、
前記材料が各区間から出てくるときに当該区間の前記出口端部において衝突し、向きを変えて、一連の前記区間のうちの次の区間に流入するように、各区間の前記出口端部に衝突壁を設けることと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記穴が端と端を接した2つの区間を有し、前記穴の上流の区間が前記穴の下流の区間よりも大きい直径であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18または19に記載の方法であって、前記穴の直径が、0.1mmから8mmであることを特徴とする方法。
【請求項21】
無機材料を加工する方法であって、
前記無機材料を粒子の形状まで粉砕すること、
粒子形状の前記無機材料を液体内に分散させて懸濁液を形成することと、
前記懸濁液が500から6000km/hの速度で穴から出てくるように前記懸濁液を20から200MPa(200から2000バール)の圧力下で前記穴に押し込むことと、
前記懸濁液を前記穴から複数の区間を含む通路を通して流れさせ、各前記区間が、入口端部および出口端部を有し、前にある区間に対してある角度をなして位置し、それにより前記懸濁液がある区間から次の区間へ流れるときに向きを変えて前記懸濁液を流れさせることと、
前記懸濁液が各区間から出てくるときに当該区間の前記出口端部において衝突し、向きを変えて、一連の前記区間のうちの次の区間に流入するように、各区間の前記出口端部に衝突壁を設けることと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機生産物および他の材料を加工するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの野菜は、消化困難な性質のために食品として使用され得ない皮を有する。皮が橙色のカボチャや皮が緑色のカボチャが、そのような野菜の例である。それらはまた、繊維質の物質に埋め込まれた種を含む中央の芯を有する。種、皮、および繊維質の物質は、いずれも栄養的価値を有するが、それらを商業的に加工することは適切には不可能であるので、現在のところ廃棄されている。
【0003】
リンゴおよびナシは、皮、および種の入った芯を有し、それらは栄養的価値を有するにもかかわらず廃棄されている。その理由は、この場合もやはり、皮および芯を商業的に適切に加工することができないためである。オレンジおよびグレープフルーツは、栄養的価値を有するにもかかわらず商業的に適切に加工することができないため廃棄される皮および種を有する農産物のさらなる例である。
【0004】
ワインの生産において、現在の圧搾の方法は、ブドウの皮および種をワイン醸造工程においてそれらがさらに使用され得る形状にまで変質させないため、それらの皮や種は廃棄される。
【0005】
栄養的価値を有する生産物の明らかな無駄だけでなく、廃棄物の処理の問題も存在する。例として、オレンジジュースの生産では、何万トンもの皮および種が処分されなければならない。同様に、比較的短いブドウ採集期間中に、膨大な量のブドウの皮が処理されなければならない。
【0006】
PCT明細書WO2012/162707は、未加工の有機生産物を加圧して生産物の細胞壁の破断を生じさせる装置を開示している。結果として生じる生産物は、クリーム様の粘稠度を有し、かつ、今まで可食であると見なされてきた有機生産物の部分にある栄養素だけではなく、使用に適さないと従来見なされていた生産物の部分からの栄養素も、利用可能な形態で含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2012/162707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、廃棄物をなくすかまたは少なくとも廃棄物を徹底的に最少化しかつ未加工の生産物のより多くの栄養的価値を利用可能にする方法で有機生産物を加工するための、改善された装置を提供することである。
【0009】
好ましくは果物全体または野菜全体が加工されることが想定されているが、本質的に可食の部分を取り除き、他の方法では廃棄されるであろう部分のみを加工することも可能である。
【0010】
鉱業においては、無機物を含有する鉱石が、ボールミルなどの装置を使用して砕かれる。次いで、砕かれた材料は、鉱石から無機物を分離するために、例えば浸出として知られる方法では酸で処理される。浸出法の効率は、砕かれた鉱石の粒径に依存する。粒子が小さいほど、浸出法はより効率的になる。
【0011】
本発明の別の目的は、無機物が散在している岩石からその無機物を分離するための鉱石のさらなる加工または同時に起こる加工に向けて、無機物を含有する鉱石の粒径を縮小する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの態様によれば、有機生産物または他の材料を加工するための装置であって、一連の連通している区間を有する通路であって、各区間が入口端部および出口端部を有し、前にある区間に対してある角度をなして位置する、一連の通路と、各区間の出口端部に位置する衝突壁と、前記材料を加圧するための手段と、を備え、それにより、使用時に材料が前記通路の第1の区間の入口端部に流入し、第1の区間の出口端部から出て、第1の区間の出口端部に位置する衝突壁に衝突し、向きを変えて第2の区間に流入する、装置が提供される。
【0013】
前記区間は、互いに直交することが好ましい。
【0014】
本発明による装置の1つの形態は、軸方向向きの面と内向きの面とを交互に提供するように内側に段が付けられた穴を有するスリーブであって、内向きの面の寸法が、穴の一端側の面から他端側の面に向けて順次増大する、スリーブと、スリーブの穴の形状に適合し、かつ、外向きの面と交互になっている軸方向向きの面を有するボビンであって、外向きの面の寸法が、ボビンの一端側の面から他端側の面に向けて順次増大する、ボビンと、ボビンの各外向きの面とその外方に位置するスリーブの内向きの面との間には、環状間隙が存在する。
【0015】
環状間隙の幅は、スリーブおよびボビンの小さい側の端部から大きい側の端部に向かって順次狭くなることが好ましい。
【0016】
ばね、空気圧式シリンダ、または液圧式シリンダなどの手段が、ボビンの軸方向向きの面をスリーブの軸方向向きの面に押し付けるために設けられ得る。
【0017】
ボビンは、流路の端部内に嵌合する小径側の端部にシール要素を有することができ、この流路は、使用時に前記材料が加圧されるチャンバから、前記要素がその位置のうちの1つにおいてシールする出口端部に通じる。
【0018】
前記流路は、2つ以上の区間を含むことができ、各区間は、その上流の区間よりも小さい断面積のものである。
【0019】
前記ボビンは、その最大径の円筒表面内に斜め溝を有することができ、それにより、使用時にそれらの溝を流れる材料が、ボビンを回転させる。
【0020】
材料を加圧するための手段は、バレルと、バレル内のピストンと、ピストンを後退行程と前方への加圧行程に交互に往復運動させるための手段とを含むことができ、加圧行程中、材料は、バレルから出口を通して前記流路内に押し込まれる。
【0021】
バレルの入口は、バレルの側壁に配置されることが好ましく、出口は、バレルの端壁に配置され、入口は、ピストンがその加圧行程の終わりにあるときに出口とピストンとの間に位置する。
【0022】
有機生産物がバレルに入ることが可能とされる開位置、およびバレルへの有機材料の流れが妨げられる閉位置を有する入口弁と、ピストンが後退行程を開始し終わるまで前記入口弁を閉じたままにしておく制御システムとが存在し得る。
【0023】
ピストンを往復運動させるための手段は、内部に駆動ピストンが存在する液圧式または空気圧式のシリンダと、駆動ピストンに取り付けられて空気圧式または液圧式のシリンダの端壁を貫通し間隙を越えてバレル内のピストンに取り付けられるピストンロッドと、を含むことができる。
【0024】
本発明の別の態様によれば、有機材料を加工する方法であって、材料が500から6000km/hの速度で穴から出てくるように材料を20から200MPa(200から2000バール)の圧力下で穴に押し込むことと、材料を穴から複数の区間を含む通路を通して流れさせ、各区間が入口端部および出口端部を有し、前にある区間に対してある角度をなして位置し、それにより材料がある区間から次の区間へ流れるときに向きを変えて材料を流れさせることと、材料が各区間から出てくるときに当該区間の端部において衝突し、向きを変えて、一連の区間のうちの次の区間に流入するように、各区間の出口端部に衝突壁を設けることと、を含む方法が提供される。
【0025】
圧力は、30から160MPa(300から1600バール)であることが好ましく、35から120MPa(350から1200バール)の圧力により、最適な結果が提供される。
【0026】
好ましい速度は、2000から4000km/hの範囲内である。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、有機材料を加工する方法であって、材料を少なくとも30MPa(300バール)の圧力で0.05mmから8mmの直径を有する穴に押し通すことと、材料をこの穴から複数の区間を含む通路を通して流れさせ、各区間が、入口端部および出口端部を有し、前にある区間に対してある角度をなして位置し、それにより材料がある区間から次の区間へ流れるときに向きを変えて材料を流れさせることと、材料が各区間から出てくるときに当該区間の端部において衝突し、向きを変えて、一連の区間のうちの次の区間に流入するように、各区間の出口端部に衝突壁を設けることと、を含む方法が提供される。
【0028】
好ましい穴の直径は、0.1mmから6mmであり、好ましい圧力は、30から120MPa(300から1200バール)である。
【0029】
穴は、上流の区間が下流の区間よりも大径のものである、端と端を接した2つの区間内に存在することが好ましい。
【0030】
本発明のなおもさらなる態様によれば、無機材料を加工する方法であって、無機材料を粒子の形状まで粉砕することと、粒子形状の材料を液体内に分散させて懸濁液を形成することと、懸濁液が500から6000km/hの速度で穴から出てくるように懸濁液を20から200MPa(200から2000バール)の圧力下で穴に押し込むことと、懸濁液を穴から複数の区間を含む通路を通して流れさせ、各区間が入口端部および出口端部を有し、前にある区間に対してある角度をなして位置し、それにより懸濁液が1つの区間から次の区間へ流れるときに向きを変えて懸濁液を流れさせることと、懸濁液が各区間から出てくるときに当該区間の端部において衝突し、向きを変えて、一連の区間のうちの次の区間に流入するように、各区間の出口端部に衝突壁を設けることと、を含む方法が提供される。
【0031】
次に、本発明のさらなる理解のために、また、本発明がどのようにして実施され得るかを示すために、例として添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】有機生産物および他の材料を加工するための本発明による装置の軸方向断面図である。
図2図1の装置の一部分の、より大きい尺度の軸方向断面図である。
図3】入口弁構造をさらに示す、軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示された装置10は、装置の本体14に取り付けられるバレル12を備える。バレル12は、雄ねじが切られ、本体14は、バレルの雄ねじに対応する雌ねじを有する。装置において生じる圧力を考慮すると、バレルと本体は、例えば、ナット、および自身が回転するのを防ぐための内部タブ付きの溝付きばねワッシャ(castellated spring washer)により、互いに連結される。これらの構成要素は、全体的に16で示されており、また、それに沿ってばねワッシャのタブが摺動するスロットが、18で示されている。分割クランプ(split clamp)などの使用時に本体とバレルとが互いに対してずれ得ないことを確実とするための任意の他の手段が使用されてもよい。
【0034】
バレルは、内部に円筒穴24を有して形成され、この円筒穴24は、図1で見たときに右側にある短いフレア状区間26を除いて、その長さにわたって一定の直径である。
【0035】
ピストン28が、穴24内で摺動する。溝34、36内に位置決めされた、軸方向に離間したシールリング30、32がピストン28を取り囲む。リング30、32は、ピストン28の外表面と穴24の表面との間をシールする。
【0036】
動作ロッド38が、ボルト40によりピストン28に固着される。動作ロッドは、以下で説明されるようにピストン28を穴24内で往復運動させる液圧シリンダ(図示せず)のロッドである。
【0037】
本体14は、バレル12の穴24と同軸でありかつその延長部を形成する圧力チャンバ42を画定する。シリンダの直径は、フレア状区間26の最大径に等しい。
【0038】
チャンバ42への入口44が存在する。入口管(図示せず)からチャンバ42への処理すべき材料の流れを制御する弁構造は、図3を参照して以下で説明される。
【0039】
ブロック46が、環状に配置されたボルト(図示せず)により本体14に固着される。ブロック46は、それを貫通する連通路48を有し、この連通路48の一方の端部は、チャンバ42と連通する。
【0040】
ブロック46の、チャンバ42から遠い表面に円形凹部50が形成され、連通路48は、この凹部に開口している。
【0041】
円筒形の本体54およびフランジ56を含むインサート52(特に図2を参照)が、円形の保持器58により所定の位置に保持される。保持器58は、その形状がインサート52の形状に適合する段付きの中央開口部60を有する。インサート52の本体54は、凹部50から突出し、かつ、全体的に64で示された出口構造体の穴62内に配置される。インサート52は、これを貫通して軸方向に延在する連通路66を有し、この連通路66は、直径が連通路48よりも小さく、かつ、連通路48と軸方向に整列している。
【0042】
出口構造体64は、内部に穴62が形成されているブロック68を含む。ブロック68内には、穴62が開口している円筒形の中央空洞70が存在する。穴62および空洞70は、同軸であり、また、空洞70の一方の端部を形成する壁72が存在する。穴62は、壁72を貫通する。
【0043】
空洞70内には、硬い耐摩耗材料のスリーブ74が存在し、スリーブ74の一方の端部は、壁72に接触している。
【0044】
スリーブ74は、壁72とは反対の方を向く一連の3つの円形表面76を提供するように、また、表面76と交互して4つの円筒表面78を提供するように、内側に段が付けられ、4つの円筒表面78の直径は、左の円筒表面78から右の円筒表面78に向かって増大する。
【0045】
硬い耐摩耗材料で作られた自由に回転可能なボビン80が、スリーブ74内に配置される。ボビンは、スリーブ74の形状に適合する段付きの形状を有する。1つの動作状態では、ボビン80の3つの円形表面が、スリーブ74の対応する表面76を圧迫する。ボビンの4つの外側円筒表面が、表面78の径方向内方に位置する。したがって、ボビンは、4つの区間を有し、それらの区間の直径は、図2で見たときに左の区間から右の区間に向かって増大する。
【0046】
ボビン80の最小径部分は、円錐体82により左へ延長されており、この円錐体82の先端の形状は、連通路66の端部の形状に適合する。
【0047】
ボビンの最大径区間は、その表面に斜め溝84を有する。それらの機能は、以下で説明される。ボビンの大径の区間は、図2で見たときに、ドーム形状の自由端を有する円筒86により右に延長される。
【0048】
ボビン80の各区間は、それが嵌合するスリーブ74の部分よりも直径が小さい。したがって、各ボビン区間とその区間の径方向外方に位置するインサートの円筒表面との間には、環状間隙が存在する。環状間隙の幅は、図面で見たときに左のものから右のものに向かって狭くなる。したがって、ボビンの最小径区間とその径方向外方に位置する円筒表面との間の間隙は、次の区間とその径方向外方に位置する表面との間の間隙よりも広く、以下同様に続く。
【0049】
スリーブ74は、管88によって所定の位置に保持され、管88は、ボルト(図示せず)によりブロック68に固着される端板90によって所定の位置に保持される。ボルトを受け入れるための凹部のうちの1つが、92で示されている。
【0050】
ばねで定位置に留められたロッド94が、端板90を貫通して空洞70に入る。空洞内に位置するロッド94の端部は、細くされてねじが切られており、円筒形の軸受ハウジング96が、ロッドの端部上にねじ込まれる。スラスト軸受98が、ロッド94がねじ込まれるねじ付き区間の端部においてハウジング96内に配置される。軸受の右軌道輪は固定され、左軌道輪は自由に回転する。インサート52の円筒86のドームは、スラスト軸受98の回転可能な軌道輪と接触している。ロッド94を定位置に留めるばねは、空気圧式または液圧式のシリンダに置き換えられてもよい。
【0051】
ロッド94は、右側へのロッドの移動を制限する固定された当接部と協働する止め具(図示せず)を担持する。ロッド94は、連通路66からの出口を開きかつボビン80の区間の軸方向向きの面をスリーブ74の表面76から離すのに十分な距離だけ移動することができる。
【0052】
空洞70が、一方では管88と、そして他方ではロッド94およびロッド94が担持する部品との間に環状の出口チャンバを形成することが理解されるであろう。ブロック68の出口ポート100が、空洞70と連通する。
【0053】
本発明の好ましい形態では、スリーブ74およびボビン80は円筒形であるが、他の形状が使用されることも可能である。例えば、各断面は、正方形または三角形であってもよい。
【0054】
入口44と加工される有機材料の供給源との間のボール弁構造は、開位置および閉位置を有する。弁が開かれているときには、刻まれた有機材料片が、圧力チャンバ内に送り込まれる。時間指定された期間の後、弁は閉じて、圧力チャンバ42を有機材料の供給源から分離する。
【0055】
ピストン28は、図3では、完全に後退した位置で示されている。弁構造は開いており、加工される有機材料は、この時点で圧力チャンバ42内に送り込まれている。連通路48、66内には圧力がなく、したがって、ロッド94に作用するばねまたは圧力シリンダは、円錐体82の先端を連通路66の出口端部内に押し込む。
【0056】
圧力チャンバ42が満たされると、弁構造の弁は閉じ、ピストン28は、チャンバ42内の圧力が徐々に高まるように、右側へ移動し始める。右側へのピストン28の移動は、右側のシール30が(図1で見たときに)常にフレア状区間26の左側にあるように、制限される。
【0057】
チャンバ42内の圧力により、有機生産物は、連通路48、66に沿って流されて、この時点では連通路66の出口端部を閉じている円錐体82の方へ向かわされる。圧力は、ばねまたはシリンダによって及ぼされる閉じ力を克服するまで、連通路66の出口端部において上昇する。次いで、ボビン80は、右側へ移動し、連通路66の出口端部を開き、かつ、ばねによりボビンの円形表面が押し付けられていたスリーブ74の表面からそれらの円形表面を分離する。
【0058】
有機材料は、流れる速度を比例的に増大させながら、連通路48からより狭い連通路66に流入する。速度は、500から6000km/hであってよく、好ましくは2000から4000km/hの範囲内である。高圧下かつ高速度における材料は、ボビン80の最小区間とスリーブ74の内向きの最小の面との間の環状間隙内へ径方向外向きにあらゆる方向に流れるように、円錐体82によって拡散される。この間隙は、第1の区間の入口端部となる。材料は、ボビンの最小区間とボビンの隣接する区間との間にあり、したがって第1の区間の出口端部となる円形の衝突面に衝突する。次いで、材料は、再び外方に流れて、2番目に小さいボビンの区間を取り囲むスリーブ74の表面に衝突する。材料は、空洞70によって構成された出口チャンバに流入するまで、区間から区間へ移動するときにボビンおよびスリーブの表面に複数回衝突する。材料は、このチャンバから出口ポート100を通って流れる。
【0059】
ピストン28がその行程の終わりに達すると、さらなる加圧は不可能となり、ピストンは(図1に示されるように左に)後退される。ピストンが後退を開始して圧力チャンバ42内の圧力が軽減されたときにのみ、入口内の弁構造のボールが回転し、入口を開いて、有機材料の次の分量が圧力チャンバ42に流入することを可能にする。
【0060】
溝84に沿って流れる、加工されている材料は、ボビン80をわずかな(約2または3の)rpmの速度で回転させる。実験研究は、これがボビンの不均一な摩耗を防ぐことを示した。
【0061】
圧力、流速、およびサイズのパラメータは、以下の通りである。
【0062】
圧力チャンバ内の最高圧力 - 20から200MPa(200から2000バール)、好ましくは30から160MPa(300から1600バール)、より好ましくは35から120MPa(350から1200バール)。
連通路66の直径 - 0.05mmから8mm、好ましくは0.1mmから6mm
ボビン80とインサート72との間の環状間隙 - 100ミクロン、100ミクロン、75ミクロン、50ミクロン、25ミクロン
【0063】
ボビンの最大移動量100ミクロン
【0064】
論じられたパラメータの適切な選択を用いれば、250Pa・s(250000センチポアズ)までの粘度を有する有機材料を処理することが可能である。
【0065】
金属を含有する鉱石を処理するには、鉱石は最初に破砕され、次いでボールミルなどにおいて粒子の形状まで粉砕される。粒子は、水などの不活性液体内に分散されて懸濁液を形成し、次いでその懸濁液は、上記のように装置を通して供給される。粒径が縮小されている間に抽出工程が行われるように、粒子を浸出酸(leaching acid)内に分散させることも可能である。
図1
図2
図3