(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】メッキ処理および射出成形された車載レーダ導波管アンテナ
(51)【国際特許分類】
H01P 11/00 20060101AFI20221216BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20221216BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H01P11/00 101
G01S7/03 230
H01Q21/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020170891
(22)【出願日】2020-10-09
(62)【分割の表示】P 2019501958の分割
【原出願日】2017-07-11
【審査請求日】2020-10-09
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,アダム
(72)【発明者】
【氏名】イザディアン,ジャマル
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-060700(JP,A)
【文献】特開2001-308611(JP,A)
【文献】実開昭55-087701(JP,U)
【文献】実開昭55-100305(JP,U)
【文献】実開平03-044301(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42
H01P 11/00
H01Q 13/00- 13/28
H01Q 21/00- 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分および第2の部分を備える分割ブロックアセンブリであって、前記第1の部分および前記第2の部分はシームを形成し、前記第1の部分は前記シームの反対側の上面を有し、前記第2の部分は前記シームの反対側の底面を有する、分割ブロックアセンブリと、
前記第2の部分の前記底面に配置された少なくとも1つのポートと、
前記第1の部分の前記上面に配置された複数の放射素子であって、複数のアレイで配置された複数の放射素子と、
前記少なくとも1つのポートのうちの少なくとも1つに各々のアレイを結合するように構成された、前記分割ブロックアセンブリ内の1組の導波管と
を備えるレーダシステムであって、
前記分割ブロックアセンブリは、ポリマーを含み、少なくとも前記1組の導波管、前記少なくとも1つのポート、および前記複数の放射素子は、前記ポリマー表面上に金属を含み、
前記第1の部分は、少なくとも1つの第1の止まり穴を含み、
前記第2の部分は、少なくとも1つの第2の止まり穴を含み、
前記少なくとも1つの第1の止まり穴は、前記少なくとも1つの第2の止まり穴と位置合わせされ
、
前記第2の部分の上面は、前記少なくとも1つのポートから入力した電磁波が前記複数の放射素子から放射されるエネルギーを調整する複数の部材を有し、前記少なくとも1つのポートの最も近くにある部材は凹形部材である、レーダシステム。
【請求項2】
少なくとも1つの締結具をさらに備え、前記少なくとも1つの第1の止まり穴および前記少なくとも1つの第2の止まり穴は、前記少なくとも1つの締結具を収容する、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
前記ポリマーは、射出成形プロセスによって形成される、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記第2の部分の上面および前記第1の部分の底面は、シームを形成し、前記第1の部分および前記第2の部分は、前記シームにおいて電気的に結合される、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記第2の部分の前記上面および前記第1の部分の前記底面はそれぞれ、層で覆われた個々の領域を有する、請求項4に記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記第2の部分の前記底面に物理的に結合された回路基板をさらに備える、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記回路基板は、前記第2の部分の前記底面の金属部分に電気的に結合される、請求項6に記載のレーダシステム。
【請求項8】
前記ポリマー表面上の前記金属は、3ミクロン~15ミクロンの厚さである、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項9】
前記1組の導波管は、所与の高さを有し、前記シームは、前記導波管の前記高さの中心に位置する、請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項10】
ポリマーから分割ブロックアセンブリの第1の部分を形成するステップであって、前記第1の部分は前記第1の部分の上面に配置された複数の放射素子を備え、前記複数の放射素子は複数のアレイで配置される、第1の部分を形成するステップと、
前記ポリマーから前記分割ブロックアセンブリの第2の部分を形成するステップであって、前記第2の部分は前記第2の部分の底面に少なくとも1つのポートを備える、第2の部分を形成するステップと、
前記第1の部分に少なくとも1つの第1の止まり穴を形成するステップと、
前記第2の部分に少なくとも1つの第2の止まり穴を形成するステップであって、前記少なくとも1つの第2の止まり穴は、前記少なくとも1つの第1の止まり穴と位置合わせされるステップと、
少なくとも前記第1の部分の第1の領域および前記第2の部分の第2の領域に金属表面を形成するステップと、
前記第1の部分の底面と前記第2の部分の上面とを結合してシームを形成するために前記少なくとも1つの第1の止まり穴から前記少なくとも1つの第2の止まり穴まで貫通する少なくとも1つの締結具を設けることによって前記分割ブロックアセンブリを組み立てるステップであって、前記結合は、前記第1の部分と前記第2の部分との電気的接続部を形成し、前記シームは、前記分割ブロックアセンブリ内の1組の導波管の中心を画定し、前記1組の導波管は、前記少なくとも1つのポートのうちの少なくとも1つに各々のアレイを結合するように構成される、前記分割ブロックアセンブリを組み立てるステップとを含む、導波管アンテナユニットの形成方法であって、
少なくとも前記1組の導波管、前記少なくとも1つのポート、および前記複数の放射素子は、金属を含
み、
前記第2の部分の上面は、前記少なくとも1つのポートから入力した電磁波が前記複数の放射素子から放射されるエネルギーを調整する複数の部材を有し、前記少なくとも1つのポートの最も近くにある部材は凹形部材である、方法。
【請求項11】
前記第1の部分および前記第2の部分はそれぞれ、射出成形プロセスによって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の部分の前記第1の領域は、前記第1の部分の前記底面上にあり、前記第2の部分の前記第2の領域は、前記第2の部分の前記上面上にある、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の部分の前記底面に回路基板を物理的に結合するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の部分の前記底面に回路基板を電気的に結合するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記金属表面を形成するステップは、前記ポリマー上に層を形成するステップを含み、前記層は、3ミクロン~15ミクロンの厚さである、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2016年7月26日に出願された米国特許出願第15/219423号の優先権を主張するものであり、その内容は全体が参照によって本願明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書において別段の指示がない限り、本項で述べる材料は本願の特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、また本項に含めることによって先行技術であると認められるものではない。
【0003】
[0003] 無線探知および測距(RADAR)システムは、無線信号を発して、戻ってくる反射信号を検出することによって、環境特徴物までの距離を能動的に推定するのに使用され得る。無線反射特徴物までの距離は、送信と受信との時間遅延に従って決定され得る。レーダシステムは、時間変動周波数ランプを有する信号のような経時的に周波数が変化する信号を発し、その後、放出信号と反射信号との周波数差を範囲推定値に関連付けることができる。一部のシステムはさらに、受信した反射信号のドップラー周波数偏移に基づいて反射物体の相対運動を推定することができる。
【0004】
[0004] 指向性アンテナは、各々の範囲推定値を方位に関連付けるために、信号の送信および/または受信に使用され得る。より具体的には、指向性アンテナはさらに、放射エネルギーを対象となる所与の視野に集中させるのに使用され得る。測定された距離と指向性情報とを組み合わせることによって、周囲の環境特徴物をマッピングすることができる。したがって、レーダセンサは、例えば、センサ情報によって示された障害物を避けるために自律走行車両制御システムによって使用され得る。
【0005】
[0005] 車載レーダシステムのいくつかの例は、ミリ波電磁波長(例えば、77GHzに対して3.9mm)に対応する77ギガヘルツ(GHz)の電磁波周波数で動作するように構成され得る。これらのレーダシステムは、レーダシステムが高精度で自律走行車両周囲の環境のような環境を測定することができるように、放射エネルギーを狭いビームに集束することができるアンテナを使用し得る。該アンテナは、小型であり(典型的には、方形のフォームファクタを有する)、効率的であり(すなわち、77GHzエネルギーのほとんどがアンテナの熱となって喪失されない、または送信機器に反射されない)、低コストであり、製造しやすいものであり得る(すなわち、これらのアンテナを備えたレーダシステムは大量生産が可能である)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 本明細書で開示するのは、レーダシステムのための方法および装置に関する実施形態である。レーダシステムは、第1の部分と第2の部分とを備える分割ブロックアセンブリを含む。第1の部分および第2の部分はシームを形成し、第1の部分はシームの反対側の上面を有し、第2の部分はシームの反対側の底面を有する。該システムはさらに、第2の部分の底面に配置された少なくとも1つのポートを含む。
【0007】
[0007] さらに、該システムは、第1の部分の上面に配置された複数の放射素子を含み、複数の放射素子は、複数のアレイで配置される。さらに、該システムは、分割ブロックアセンブリ内に、少なくとも1つのポートのうちの少なくとも1つに各々のアレイを結合するように構成された1組の導波管を含む。また、分割ブロックアセンブリはポリマー製であり、少なくとも1組の導波管、少なくとも1つのポート、および複数の放射素子は、ポリマー表面上に金属を含む。
【0008】
[0008] 本願は、別の態様では、導波管アンテナユニットを形成する方法について説明する。該方法は、ポリマーから分割ブロックアセンブリの第1の部分を形成するステップを含み、第1の部分は、第1の部分の上面に配置された複数の放射素子を備え、複数の放射素子は、複数のアレイで配置される。該方法はさらに、ポリマーから分割ブロックアセンブリの第2の部分を形成するステップを含み、第2の部分は、第2の部分の底面に少なくとも1つのポートを備える。さらに、該方法は、少なくとも第1の部分の第1の領域および第2の部分の第2の領域に金属表面を形成するステップを含む。さらに、該方法は、第1の部分の底面と第2の部分の上面とを結合してシームを形成することによって分割ブロックアセンブリを組み立てるステップを含み、この結合は、第1の部分と第2の部分との電気的接続部を形成する。シームは、分割ブロックアセンブリ内の1組の導波管の中心を画定し得る。1組の導波管は、少なくとも1つのポートのうちの少なくとも1つに各々のアレイを結合するように構成される。さらに、少なくとも1組の導波管、少なくとも1つのポート、および複数の放射素子は、金属を含む。
【0009】
[0009] さらに別の実施例では、レーダシステムが提供される。レーダシステムは、複数の部分を有する放射アセンブリを含み、各々の部分はポリマー製である。レーダシステムはさらに、複数の部分のうちの少なくとも1つに形成されたポートを含む。ポートは、放射アセンブリの底面に配置され得る。さらに、該システムは、複数の部分のうちの少なくとも1つに形成された複数の放射素子を含む。放射素子は、放射アセンブリの上面に配置され得る。また、複数の放射素子は、複数のアレイで配置され得る。さらに、該システムは、放射アセンブリ内に、少なくとも1つのポートのうちの少なくとも1つに各々のアレイを結合するように構成された1組の導波管を含む。さらに、1組の導波管、少なくとも1つのポート、および複数の放射素子は、ポリマー表面に金属を備える。
【0010】
[0010] 上記概要は、単なる例に過ぎず、決して限定することを意図するものではない。上述の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、図面および以下の詳細な説明を参照することにより、さらに別の態様、実施形態、および特徴が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】[0011]一実施形態例に従うアンテナの一例の上部の組立図である。
【
図1B】[0012]一実施形態例に従うアンテナの一例の底部の組立図である。
【
図1C】[0013]金属部分を有する導波管の等角断面図の一例を示す図である。
【
図1D】[0014]金属部分を有する導波管の等角断面図の一例を示す図である。
【
図1E】[0015]金属部分を有する導波管の等角断面図の一例を示す図である。
【
図2A】[0016]一実施形態例に従うアンテナの一例の第1の層を示す図である。
【
図2B】[0017]一実施形態例に従うアンテナの一例の第2の層を示す図である。
【
図3】[0018]一実施形態例に従うパワーカプラの一例を示す図である。
【
図4】[0019]一実施形態例に従う、組み立てられたアンテナの一例の内部に形成された概念的導波管チャネルを示す図である。
【
図5】[0020]一実施形態例に従うアンテナの一例の波放射部分の一例を示す図である。
【
図6】[0021]一実施形態例に従う導波管アンテナユニットを形成する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0022] 以下の発明を実施するための形態では、本明細書の一部を形成する添付図面を参照する。図面では、文脈上別のものを指す場合を除き、同様の参照番号は、通常、同様の構成要素を特定するものである。発明を実施するための形態、図面、および特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定的なものではない。本明細書に示されている主題の精神から逸脱せずに、他の実施形態が使用されてよく、他の変更がなされてよい。全般的に本明細書に記載され、図面に示されている本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計され得ることは容易に理解されるであろう。本明細書内では、これら全てが明確に想定されている。
【0013】
[0023] 以下の発明を実施するための形態は、ポリマー材料で構成されたレーダアンテナアレイのための装置および方法に関する。レーダアンテナアレイは、射出成形プロセスによって形成され得る。従来のポリマーはレーダアンテナアレイの無線周波数(RF)部分の電磁エネルギーを十分に伝導しないので、レーダユニットの十分な性能レベルを達成するために、レーダアンテナアレイのポリマー表面の少なくとも一部は、金属で被覆され得る。金属被覆は、多くの異なるプロセスによってレーダアンテナアレイのさまざまな表面に施され得る。いくつかの実施例では、金属被覆は、電気メッキ法によって施され得る。他の実施例では、金属被覆は、無電解メッキ法または物理気相成長法によって施され得る。一般に、金属層は、導波管内を伝播する信号の少なくとも表皮深さの厚さを有する。実際に、高い動作周波数のために、表皮深さは比較的薄くなる。したがって、上述のメッキプロセスは、導波管動作に十分な厚さの金属層を生成し得る。
【0014】
[0024] 自律走行車両のレーダアンテナアレイは、複数のアンテナを含み得る。各々のアンテナは、(i)電磁信号を送信する、(ii)電磁信号を受信する、または(iii)電磁信号を送受信するように構成され得る。アンテナは、アンテナ素子アレイを形成し得る。アレイの各々のアンテナは、導波管から給電され得る(すなわち、信号が供給され得る)。さらに、導波管は、さまざまなアンテナによって受信された信号をレーダシステム内の受信器に伝達し得る。さらに、アンテナユニットの外側に配置された回路基板は、アンテナユニットに対する信号のやり取りを行い得る。本明細書で使用される場合、電磁エネルギー、電磁信号、信号、電磁波、および波という用語は、システムおよび方法によって使用される電磁エネルギーを示すのに同義で使用され得る。
【0015】
[0025] 以下の発明を実施するための形態は、一入力一出力、一入力多出力(SIMO)、多入力一出力(MISO)、多入力多出力(MIMO)、および合成開口レーダ(SAR)レーダアンテナアーキテクチャの形態を取り得るアンテナアレイを有する装置と共に使用され得る。レーダアンテナアーキテクチャは、複数の「デュアル開放端導波管」(DOEWG)アンテナを含み得る。いくつかの実施例において、用語「DOEWG」は、本明細書では、水平導波管チャネルの短いセクションと、2つの部品に分割される垂直方向チャネルとを合わせたものを指すことができ、垂直方向チャネルの2つの部分の各々は、アンテナに入る電磁波の少なくとも一部を放射するように構成された出力ポートを含む。さらに、複数のDOEWGアンテナは、アンテナアレイに配置され得る。本明細書に示されているレーダアンテナアーキテクチャは、複数のアンテナアレイを含み得る。
【0016】
[0026] アンテナアーキテクチャの一例は、例えば、各々が射出成形プロセスによって形成された2つの層を備え得、アンテナの各々の層のRFコンポーネント上に形成された金属被膜を有し得る。例えば、RFコンポーネントは、入力ポート、導波管、および放射素子(すなわち、アンテナ素子)を含み得、各々はそれぞれ金属で被覆され得る。レーダユニット用の従来のアンテナアーキテクチャは、コンピュータ数値制御(CNC)によって機械加工され、接合され得る金属(例えば、アルミニウム板)で形成される。射出成形プロセスに切り替えることによって、アンテナユニットは、より低コストで、より少ない時間で、より厳しい公差、およびより低重量を有するように組み立てられ得る。射出成形プロセスによって製造されたアンテナユニットは、アンテナユニットの(RFコンポーネントのような)さまざまなコンポーネントに対して、従来のCNC加工されたアンテナユニットと同一または同様の形状を有し得る。本明細書に示されているアンテナユニットは、アンテナのプラスチック鋳造物を作製するために射出成形プロセスによって作製され得る。プラスチック鋳造物の少なくとも一部は、アンテナの機能的なRFコンポーネントを作製するために、金属メッキされ得る。
【0017】
[0027] アンテナユニットの第1の層は、入力導波管チャネルの第1の半部を含み得、第1の導波管チャネルの第1の半部は、第1の導波管チャネルに電磁波(例えば、77GHzミリ波)を受信するように構成され得る入力ポートを含む。第1の層はさらに、複数の波分割チャネルの第1の半部を含み得る。複数の波分割チャネルは、入力導波管チャネルから分岐するチャネル網であって、入力導波管チャネルから電磁波を受信し、電磁波を複数の電磁波に分割し(すなわち、パワーデバイダ)、電磁波の個々の部分を複数の波放射チャネルの各々の波放射チャネルに伝播するように構成され得るチャネル網を備える。金属メッキが施された後、2つの層は組み合わされて分割ブロックアセンブリが形成され得る。
【0018】
[0028] さまざまな実施例では、アンテナアーキテクチャの電力分配素子は、導波管の2次元または3次元分割回路網であり得る。導波管の分割回路網は、導波管の形状を使用して電力を分配し得る。例えば、給電導波管は、所定の高さおよび幅を有し得る。所定の高さおよび幅は、レーダユニットの動作周波数に基づいた高さおよび幅であり得る。分割回路網は、所望の漸減プロファイルを実現するために、給電導波管の所定の高さおよび幅とは異なる高さおよび/または幅を有する導波管を含み得る。
【0019】
[0029] 本開示において、放射素子(すなわち、アンテナ素子)に信号を供給する給電導波管は、分割ブロックアセンブリの上部と底部との間に分割され得る。さらに、給電導波管は全て、給電導波管の高さの中点が全ての給電導波管に共通である共通の平面内に配置され得る。導波管の分割回路網は、一部は給電導波管と同じ平面内に配置され、一部は少なくとも1つの他の平面内に配置され得る。例えば、導波管の分割回路網の一部の全高は、分割ブロックアセンブリの第1の部分または第2の部分のいずれかに成形され得る。2つのブロック片が接合されると、他方のブロック部分の表面は、完全に2つのブロック部分のうちの一方の高さを有する導波管の一部の縁部または分割回路網を形成し得る。いくつかの実施例では、これらの導波管のキャビティおよび切欠部の垂直部分は、分割ブロックのシームに関して対称である。
【0020】
[0030] 導波管システムを操作するときに、さまざまな信号が導波管システム内に伝播され得る。導波管システムは、各々がアンテナブロックの上面に少なくとも1つのアンテナ素子を有する導波管の回路網を含み得る。通常は、各々のアンテナ素子は、アンテナ素子に供給された電磁エネルギーの一部を放射する。
【0021】
[0031] 導波管は、1つの位置から別の位置に電磁エネルギーを伝導する構造物である。場合によっては、導波管を使用して電磁エネルギーを伝導することは、他の伝導手段よりも損失が少ないという利点がある。電磁エネルギーは非常に低損失の媒体を介して伝導されるので、導波管は、一般的に、他の伝導手段によりも低損失の手段となる。例えば、導波管の電磁エネルギーは、空気または低損失誘電体を介して伝導され得る。
【0022】
[0032] 一実施形態では、空気で満たされた導波管のように、導波管は、金属の外部導体(例えば、成形プラスチック表面の金属メッキ)を有する。導波管のサイズおよび形状は、電磁エネルギーの伝播を規定する。例えば、電磁エネルギーは、導波管の金属壁に跳ね返り得る(または反射し得る)。導波管の形状および材料に応じて、電磁エネルギーの伝播は変化する。導波管の形状および材料は、電磁エネルギーの境界条件を規定する。境界条件は、導波管の縁部における電磁エネルギーの既知の条件である。例えば、金属導波管では、導波管壁がほぼ完全に伝導していると仮定した場合、境界条件は、いずれの壁面においても接線方向の電界が存在しないことを規定する。境界条件がわかると、マクスウェルの方程式を使用して、電磁エネルギーがどのように導波管に伝播するのかを判断することができる。
【0023】
[0033] マクスウェルの方程式は、任意の所与の導波管の複数の動作モードを規定し得る。各々のモードは、電磁エネルギーが導波管内に伝播し得る1つの特定の方式を有する。各々のモードは、関連する遮断周波数を有する。電磁エネルギーが遮断周波数未満の周波数を有する場合、モードは、導波管ではサポートされない。(i)導波管寸法および(ii)動作周波数の両方を適切に選択することによって、電磁エネルギーは特定のモードで導波管内に伝播し得る。導波管は、1つの伝播モードのみが設計周波数でサポートされるように設計される。
【0024】
[0034] 導波管伝播モードには、横電界(TE)モード、横磁界(TM)モード、横電磁(TEM)モード、およびハイブリッドモードの4つの主なタイプがある。TEモードでは、電磁エネルギーは、電磁エネルギー伝播の方向の電界を有さない。TMモードでは、電磁エネルギーは、電磁エネルギー伝播の方向の磁界を有さない。TEMモードでは、電磁エネルギーは、電磁エネルギー伝播の方向の電界または磁界を有さない。ハイブリッドモードでは、電磁エネルギーは、電磁エネルギー伝播の方向の電界および磁界の両方の一部を有する。
【0025】
[0035] さらに、TEモード、TMモード、およびTEMモードは、伝播方向に直交する2つの方向、例えば、幅方向および高さ方向に対応する2つの接尾番号を使用して規定され得る。0でない接尾番号は、導波管の幅および高さに等しい電磁エネルギーの半波長の個々の数を示している。しかしながら、接尾番号0は、その方向に対して電界および磁界の変動がないことを示している。例えば、TE10モードは、導波管は半波長の幅を有し、高さ方向の電界の変動がないことを示している。一般に、接尾番号が0であるとき、各々の方向の導波管の寸法は、波長の2分の1未満である。別の実施例では、TE21モードは、導波管は1波長(すなわち、2半波長)の幅を有し、1半波長の高さを有することを示している。
【0026】
[0036] TEモードで導波管を操作するとき、接尾番号はさらに、導波管の各々の方向に沿った電界最大値の数を示している。例えば、TE10モードは、導波管が幅方向に電界最大値1を有し、高さ方向に最大値0を有することを示している。別の例では、TE21モードは、導波管が幅方向に電界最大値2を有し、高さ方向に最大値1を有することを示している。
【0027】
[0037] 本開示の範囲内に含まれるシステム例について、より詳細に後述する。プラスチック射出成形アレイを金属メッキすることによって形成されたレーダアンテナアレイを備えたシステムの一例は、車載レーダシステム、車載レーダシステムのレーダ機能を検査するシステム、または任意の他のタイプの導波管システムで使用され得る、実装され得る、またはその形態を取り得る。さらに、システム例は、乗用車、トラック、バイク、バス、船、航空機、ヘリコプタ、芝刈り機、アースムーバ、船、スノーモービル、飛行機、RV車、遊園地の乗り物、農機具、建設機器、トラム、ゴルフカート、電車、路面電車のような他の車両に実装され得る。導波管を使用する他のシステムも同様に、プラスチックで射出成形され、金属メッキが施されたレーダアンテナアレイを含み得る。
【0028】
[0038]
図1Aは、一実施形態例に従うアンテナ100の一例の上部の組立図である。アンテナ例100は、第1の層110と第2の層120とを含み得る。第2の層120は、位置合わせピン、ねじなどを収容するように構成された複数の穴112(貫通孔および/または止まり穴)を含み得る。第1の層110も同様に、第2の層120の穴112と位置合わせされた複数の穴(図示せず)を含み得る。2つの層は、共通の平面で接合され得る(すなわち、2つの層は、シームで接合され得る)。
【0029】
[0039]
図1Aに示されているように、アレイ106は、DOEWG放射素子102のアレイを含み得、その数および位置は、DOEWGの数およびアンテナ100のチャネルに応じて変化し得る。DOEWGアレイの放射素子102は、線形アレイ(図示せず)、2次元アレイ、単一素子、または他の構成の放射素子であり得る。
【0030】
[0040] いくつかの実施例では、アンテナ100は、送信アレイ106と受信アレイ108とを含み得る。上述したように、各々のアレイのさまざまな素子を含むRFコンポーネントは、最初に射出成形プロセスによって作製された後に金属メッキされ得る。さらに、一実施形態例では、RFコンポーネント以外のコンポーネントも金属メッキされ得る。例えば、アンテナブロックの上面および底面が金属で被覆され得る。さまざまな実施例では、異なる金属被覆も可能である。
【0031】
[0041] いくつかの実施形態では、第1の層110および第2の層120は、プラスチックで射出成形され得、少なくとも3mm(例えば、約5.84mm~6.86mm)の厚さを有し得る。さらに、第2の層120は、約3.886mmの厚さに射出成形され得る。他の厚さも可能である。
【0032】
[0042] いくつかの実施形態では、2つの層110、120の接合は、2つの層の合わせ面間に空隙または他の切れ目を形成し得る。このような実施形態では、この空隙または切れ目は、アンテナ装置の高さの中心に最も近く(例えば、できる限り近く)に存在し得、約0.05mm以下のサイズを有し得る。さらに、金属の追加の厚さは、空隙を低減または除去するために、一方または両方の表面にメッキが施され得る。
【0033】
[0043]
図1Bは、一実施形態例に従うアンテナ140の一例の底部の組立図である。アンテナ140は、
図1Aに示されているアンテナ100の底部であり得る。図示されているように、第1の層110は、位置合わせピン、ねじなどを収容するように構成された複数の穴142(貫通孔および/または止まり穴)を含み得る。複数の穴142の1つまたは複数は、第2の層120の穴と位置合わせされ得る。さらに、
図1Bは、第1の層110内の2つのポート144、146を示す。ポート144、146は、アンテナ140がアンテナ140内に配置された1つまたは複数の導波管チャネルへと電磁波を受信する場所であり得る。ポート144、146はさらに、アンテナ140がアンテナ140内に配置された1つまたは複数の導波管チャネルからの電磁波を次の処理につなぐ場所であり得る。いくつかの実施例では、ポート144、146は、アンテナ140に出入りする信号を結合するように構成された双方向性であり得る。
【0034】
[0044]
図1Cは、金属部分153A、153Bを有する導波管150の等角断面図の一例を示す図である。導波管例150は、上部152および底部154で形成される。上部152および底部154は、シーム156で結合される。導波管は、キャビティ158を含む。電磁エネルギーは、導波管150の動作の間にキャビティ158内で伝播する。導波管150は、供給口159をさらに含み得る。供給口159は、導波管150内のキャビティ158に電磁エネルギーを供給するのに使用され得る。代替として、または追加として、供給口159は、電磁エネルギーを導波管150から放出するために使用され得る。
図1Cの導波管例150は、キャビティ158の高さの中点にシーム156を有することを特徴とする。さまざまな実施形態では、上部152および底部154は、導波管の軸に沿ったさまざまな異なる位置で結合され得る。
【0035】
[0045]
図1Cに示されているように、上部152および底部154は、金属部分153A、153Bをそれぞれ有し得る。底部154の金属部分153Aおよび上部152の金属部分153Bはそれぞれ、メッキプロセスによって形成され得る。上述したように、上部152および底部154は共に、ポリマー製であり得る。各々の金属部分153A、153Bは、キャビティ158およびポート159の内側部分のようなRF表面にメッキされ得る。したがって、上部152が底部154と接触すると、各々の金属部分の電気的結合が生じる。
図1Cに示されている実施例では、RF表面のみがメッキされる。
図1Dおよび
図1Eに関して説明するような他の実施例では、RF表面のみでなくさらに別の表面もメッキされ得る。
【0036】
[0046]
図1Dは、金属部分153C、153Dを有する導波管160の等角断面図の一例を示す図である。導波管160は、異なるメッキを有することを除いて、上述の導波管150と同様であり得る。上部152および底部154は、金属部分153C、153Dをそれぞれ有し得る。底部154の金属部分153Cおよび上部152の金属部分153Dはそれぞれ、メッキプロセスによって形成され得る。上述したように、上部152および底部154は共に、ポリマー製であり得る。各々の金属部分153C、153Dは、上部および底部の全面にわたって形成され得る。例えば、底部154の金属部分153Cは、底部154の上面全体を覆い得る。さらに、上部152の金属部分153Dは、上部152の底面全体を覆い得る。したがって、上部152が底部154と接触すると、各々の金属部分の電気的結合が生じる。この実施例では、キャビティ158およびポート159の内側部分が金属メッキされ得る。
【0037】
[0047]
図1Eは、金属部分153E、153F有する導波管170の等角断面図の一例を示す図である。導波管170は、異なるメッキを有することを除いて、上述の導波管150と同様であり得る。上部152および底部154は、金属部分153E、153Fをそれぞれ有し得る。底部154の金属部分153Eおよび上部152の金属部分153Fはそれぞれ、メッキプロセスによって形成され得る。上述したように、上部152および底部154は共に、ポリマー製であり得る。各々の金属部分153E、153Fは、上部および底部の全面にわたって形成され得る。例えば、底部154の金属部分153Eは、底部154の上面全体を覆い得る。さらに、上部152の金属部分153Fは、上部152の底面全体を覆い得る。したがって、上部152が底部154と接触すると、各々の金属部分の電気的結合が生じる。この実施例では、キャビティ158およびポート159の内側部分が金属メッキされ得る。
【0038】
[0048]
図2Aは、一実施形態例に従うアンテナの一例の第1の層200を示す。(全体に使用されている)導波管の破線は、給電導波管のビーム形成コンポーネントを示している。この実施例では、第1の層200は、複数の導波管チャネル202の第1の半部を含む。これらの導波管チャネル202は、多数の延長セグメント204を備え得る。各々の延長セグメント204の第1の端部206は、複数の同一線上の導波部材208であり得、それぞれ他の導波部材と同様のサイズまたは異なるサイズを有する。上記説明から、本明細書では、延長セグメント204の第1の端部206を波放射チャネルの第1の半部と呼ぶことができる。
【0039】
[0049] 延長セグメント204のうち、チャネル202の第1の端部206の反対側の第2の端部210は、貫通孔212(すなわち、入力ポート)を含み得る。所与の電力量を使用して、該装置に対応量の電磁波(すなわち、エネルギー)が供給され得、貫通孔212は、これらの電磁波が該装置に供給される場所であり得る。上記説明から、本明細書では、入力ポートを含む導波管チャネル202の1つのチャネル/セグメントを入力導波管チャネルと呼ぶことができる。
【0040】
[0050] 電磁波は、該装置に入るときに、通常は、図示されているように、パワーデバイダのアレイ214(すなわち、ビーム形成回路網)に向かって、+x方向に進み得る。アレイ214は、電磁波を分割し、電磁波の個々の部分を各々の延長セグメント204の第1の端部206に伝播し得る。より詳細には、電磁波は、アレイ214から出た後、導波部材208に向かって+x方向に継続して伝播し得る。上記説明から、本明細書では、導波管チャネルのアレイ214部分を波分割チャネルと呼ぶことができる。
【0041】
[0051] 電磁波の一部が導波管チャネル202の各々の延長セグメント204の第1の端部206にある導波部材208に到達すると、導波部材208は、電磁エネルギーの個々の一部分を導波管チャネルの第2の半部へと(すなわち、図示されているように、+z方向に)伝播し得る。例えば、電磁エネルギーは最初に、凹んだまたは第1の層200にさらに成形された導波部材(すなわち、ポケット)に到達し得る。凹形部材は、第1の端部206をさらに進んだ後続部材(凹形部材というより突出部材であり得る)の各々よりも、小さい割合の電磁エネルギーを伝播するように構成され得る。さらに、後続部材はそれぞれ、以前の部材よりも、第1の端部206において特定の延長セグメント204を移動する電磁波をより大きい割合で伝播するように構成され得る。したがって、第1の端部206の遠端の部材は、最も高い割合の電磁波を伝播するように構成され得る。各々の導波部材208は、さまざまな寸法のさまざまな形状を取り得る。他の実施例では、2つ以上の部材が凹形部材であり得る(またはどの部材も凹形部材ではない)。さらに他の実施形態も可能である。また、延長セグメントの数を変更することも可能である。
【0042】
[0052] 第2の層は、1つまたは複数の導波管チャネルの第2の半部を含み得、1つまたは複数の導波管チャネルの第2の半部の個々の部分は、1つまたは複数の導波管チャネルの第1の半部の延長セグメントと実質的に位置合わせされた延長セグメントを含み、さらに延長セグメントの一端には、少なくとも1つの導波部材と部分的に位置合わせされ、少なくとも1つの導波部材から伝播された電磁波を第2の層から外へ放射するように構成された少なくとも1組の貫通孔を含む。
【0043】
[0053] 実施例では、第2の半部の延長セグメントと第1の半部の延長セグメントが閾値距離の範囲内にあるとき、またはこれら2つのセグメントの中心が閾値距離の範囲内にあるとき、第2の半部の延長セグメントは実質的に第1の半部の延長セグメントと位置合わせされると考えられる。例えば、2つのセグメントの中心が互いに約±0.051mmの範囲内にある場合、セグメントは実質的に位置合わせされると考えられる。
【0044】
[0054] 別の実施例では、2つの半部が組み合わされたときに(すなわち、2つの射出成形層が接合されたときに)、セグメントの第1の半部の縁部とセグメントの第2の半部の対応する縁部が互いに約±0.051mmの範囲内にあれば、2つのセグメントの縁部は実質的に位置合わせされると考えられる。
【0045】
[0055] さらに他の実施例では、2つの層を接合するときに、側面が互いに面一にならないように一方の層が他方の層に対して位置合わせされ得る。このような他の実施例では、2つの層、ひいては、2つの半部のセグメントは、角度オフセットが約0.5°未満であるときに実質的に位置合わせされると考えられる。
【0046】
[0056] いくつかの実施形態では、少なくとも1組の貫通孔は、1つまたは複数の導波管チャネルの第2の半部の延長セグメントに垂直であり得る。さらに、少なくとも1組の貫通孔の個々の組は、第1の部分と第2の部分とを含み得る。したがって、所与の組の貫通孔は、第1の部分でつながって単一チャネルを形成し得る。単一チャネルは、対応する導波部材によって伝播された電磁波の少なくとも一部を受信して、電磁波の少なくとも一部を第2の部分に伝播するように構成され得る。さらに、第2の部分は、ダブレットとして構成された2つの出力ポートを含み得、1組の貫通孔の第1の部分からの電磁波の少なくとも一部を受信して、電磁波の少なくとも一部を2つの出力ポートから外へ伝播するように構成され得る。
【0047】
[0057]
図2Bは、一実施形態例に従うアンテナの一例の第2の層220を示す。第2の層220は、
図2Aに示されている第1の層200の複数の導波管チャネル202の第2の半部(すなわち、入力導波管チャネル、波分割チャネル、および波放射チャネルの第2の半部)を含み得る。図示されているように、導波管チャネル202の第2の半部と導波管チャネルの202第1の半部との正確な位置合わせを容易にするために、導波管チャネル202の第2の半部は導波管チャネル202の第1の半部の全体形状を取り得る。第2の半部222の延長セグメントは、パワーデバイダ224のアレイの第2の半部を含み得る。上述したように、電磁波は、アレイ224を通って進み、そこで個々の部分に分割され、その後、その個々の部分は延長セグメント222の第2の半部の個々の端部226へと(すなわち、図示されているように、+x方向へ)進む。さらに、所与の延長セグメントの端部226は、第1の層200の導波部材208と少なくとも部分的に位置合わせされ得る多数の組の貫通孔228を含み得る。より詳細には、各々の組の貫通孔は、電磁波の所与の一部が第1の層200から第2の層220に伝播されたときに、これらの電磁波の一部が各組の貫通孔(すなわち、出力ポートの組)から外へ、図示されているように、-z方向に放射されるように、対応する導波部材(反射素子とも呼ばれる)と少なくとも部分的に位置合わせされ得る。上述したように、所与の導波部材および対応する組の出力ポートの組み合わせがDOEWGを形成し得る。
【0048】
[0058] また、本明細書では、全てのDOEWGの組み合わせをDOEWGアレイと呼ぶことができる。アンテナの理論では、アンテナの放射開口(すなわち、DOEWGを含むアンテナの表面積の大きさ)がより大きい場合、アンテナの利得(dB)はより大きくなり、ビーム幅はより狭くなり得る。したがって、いくつかの実施形態では、より利得が大きいアンテナは、チャネルごとのDOEWGの数がより多いチャネル(すなわち、延長セグメント)をより多く含み得る。
図2Aおよび
図2Bに示されているアンテナ例は、自律走行車両用(例えば、1セグメントにつき5個のDOEWGを有する6個の延長セグメント)に適切であり得るが、他の実施形態も可能であり得、このような他の実施形態は、車載レーダを含むが、これに限定されないさまざまな用途向けに設計/成形され得る。
【0049】
[0059] 例えば、このような他の実施形態では、アンテナは、最小限の単一DOEWGを含み得る。この構成では、出力ポートは、全ての方向にエネルギーを放射し得る(すなわち、利得が小さく、ビーム幅が広い)。一般に、セグメント/DOEWGの上限は、第1の層および第2の層で使用される金属の種類によって決定され得る。例えば、電磁波が導波管チャネルを進むときに、高抵抗を有する金属は電磁波を減衰させ得る。したがって、より大型で高抵抗(例えば、より多くのチャネル、より多くのセグメント、より多くのDOEWGなど)のアンテナが設計されたときに、入力ポートからアンテナに注入されたエネルギーは、アンテナからエネルギーがほとんど放射されないという程度まで減衰され得る。したがって、より大型のアンテナを設計するために、より低抵抗(およびより高伝導性)の金属が第1の層および第2の層に使用され得る。例えば、本明細書に示されている実施形態では、第1の層および第2の層のうちの少なくとも一方は、アルミニウムであり得る。さらに、他の実施形態では、第1の層および第2の層のうちの少なくとも一方は、銅、銀、または別の伝導性材料であり得る。また、アルミニウム層は、アンテナ性能を向上させるために、銅、銀、または他の低抵抗および/または高伝導率の材料でメッキされ得る。他の実施例も可能である。
【0050】
[0060] アンテナは、1つまたは複数の導波管チャネルの第1の半部を1つまたは複数の導波管チャネルの第2の半部と位置合わせして1つまたは複数の導波管チャネルを形成するために(すなわち、複数の波分割チャネルの第1の半部を複数の波分割チャネルの第2の半部と位置合わせし、複数の波放射チャネルの第1の半部を複数の波放射チャネルの第2の半部と位置合わせするために)、第1の層を第2の層に接合するように構成された少なくとも1つの締結具を含み得る。いくつかの実施形態では、この位置合わせを容易にするために、第1の層の第1の複数の貫通孔(
図2Aには図示せず)は、少なくとも1つの締結具を収容するように構成され得る。さらに、第2の層において、第2の複数の貫通孔(
図2Bには図示せず)は、第1の複数の貫通孔と実質的に位置合わせされ、第2の層を第1の層に接合するための少なくとも1つの締結具を収容するように構成され得る。このような実施形態では、少なくとも1つの締結具は、位置合わせされた第1および第2の複数の貫通孔に設けられ、2つの層が接合されるように固定され得る。
【0051】
[0061] いくつかの実施例では、少なくとも1つの締結具は、多数の締結具であり得る。ねじおよび位置合わせピンのような機械的締結具(および締結を容易にするのに使用される技術)は、2つの層を接合(例えば、ねじ留め)するのに使用され得る。さらに、いくつかの実施例では、2つの層は、間に接着層を用いずに互いに直接接合され得る。さらに、2つの層は、スナップフィット、超音波溶接、熱かしめなどの接着とは異なる方法を使用して接合され得る。しかしながら、他の実施例では、このような方法は、既知の、または既知でない任意の層接合方法に加えて、またはその代替として使用され得る。
【0052】
[0062] いくつかの実施形態では、第1の層および/または第2の層の複数の貫通孔に加えてまたはその代替として、1つまたは複数の止まり穴が第1の層および/または第2の層に形成され得る。このような実施形態では、1つまたは複数の止まり穴は、締結のために(例えば、ねじもしくは位置合わせピンを収容するために)使用され得る、または他の目的に使用され得る。
【0053】
[0063]
図3は、一実施形態例に従うパワーカプラの一例を示す。パワーカプラは、導波管内にある電磁エネルギー(すなわち、電力)を分割する機能を果たし得る。パワーカプラは、互いに垂直方向に隣接してまたは水平方向に隣接して位置決めされた導波管の2つの部分の間に形成される。パワーカプラは、金属メッキされたプラスチックで形成されたRFコンポーネントの1つであり得る。
【0054】
[0064] エネルギーは、入力導波管チャネルを通ってアンテナに入ることができ、パワーデバイダ370のような各々のパワーデバイダにおいてより小さい部分に分割され(すなわち、分裂し)、給電導波管の各々にそれぞれの量のエネルギーが供給されるように後続のパワーデバイダを介して複数回分割され得る。所与のパワーデバイダで分割されたエネルギーの量は、電力分配比(すなわち、分割後の1つのチャネル374に入るエネルギーの量対別のチャネル376に入るエネルギーの量)によって制御され得る。所与の電力分配比は、対応するパワーデバイダの寸法に基づいて調整され得る。さらに、各々のパワーデバイダおよび関連する電力分配比は、波放射チャネルにおける所望の「電力漸減」を達成するように設計/計算され得る。
【0055】
[0065] (
図3に示されている実施例のような)実施例において、2つの隣接する導波管374、376間でエネルギーを分配する技術は、
図3に示されているような結合開口372を有する層を使用する技術であり得る。結合開口372のサイズ、形状、および位置を調整することによって、所望の漸減プロファイルが実現され得る。さらに、それぞれ異なる分割ブロックセクションに位置する2つの隣接する導波管は、単一導波管を形成するために傾斜セクション382に結合され得る。傾斜セクションの後の単一導波管は、分割ブロックアセンブリ380の共通の平面内に配置され得る。
【0056】
[0066]
図4は、組み立てられたアンテナの一例の内部に形成された概念的導波管チャネル400および他のRFコンポーネントを示す。より詳細には、導波管チャネル400は、
図2Aおよび
図2Bの導波管チャネル202の形態を取る。例えば、チャネル400は、入力導波管チャネル464への入力ポート462を含む。チャネル400はさらに、波分割チャネル466と、複数の放射ダブレット468(すなわち、DOEWGアレイ)とを含む。上述したように、電磁波は、入力ポート462でチャネル400に入ると、入力導波管チャネル464を通って+x方向に進み、波分割チャネル466によって(例えば、パワーデバイダによって)各々の部分に分割され得る。電磁波のこれらの部分は、その後、それぞれの放射ダブレット468に向かって+x方向に進み、そこで、これらの部分の一部は、例えば、放射素子対470のような出力ポートの組を通って各々のDOEWGから外へ放射される。
【0057】
[0067] 特定の波放射チャネルでは、電磁波の一部は、最初に、上述したような凹んだ導波部材472(すなわち、逆段差部、または「ウェル」)を有する第1のDOEWG内に伝播され得る。この凹んだ導波部材472は、特定の波放射チャネルのDOEWGの全ての部材の最も小さい割合のエネルギーを放射するように構成され得る。いくつかの実施例では、後続の導波部材474は、各々の後続のDOEWGがその前のDOEWGよりも高い割合で残りのエネルギーを放射することができるように、(例えば、凹んだ形ではなく突出した形に)形成され得る。言い換えれば、各々の導波部材472、474は、一般に、水平方向(+x方向)チャネル(すなわち、波放射チャネル、または上述したように「延長セグメント」の「第1の端部」)に段差部として形成され、放射されるエネルギー量対アンテナにさらに伝送されるエネルギー量を調節するためにアンテナによって使用され得る。
【0058】
[0068] いくつかの実施形態では、所与のDOEWGは、閾値レベルを超えるエネルギーを放射することはできず、閾値レベル未満のエネルギーを放射することができない。これらの閾値は、DOEWGコンポーネント(例えば、導波部材、水平方向チャネル、垂直方向チャネル、2つの出力ポート間のブリッジなど)の寸法に応じて変化し得る、またはアンテナに関連する他の要因に応じて変化し得る。いくつかの実施形態では、第1の層および第2の層は、導波管チャネル400のさまざまな側面が丸みのある縁部(例えば、縁部476、478、480)を有するように成形され得る。
【0059】
[0069]
図5は、一実施形態例に従うアンテナの一例の波放射部分500の一例を示す図である。
図5の波放射部分500は、一実施形態例に従うアンテナの一例の波放射ダブレットの一例を示している。より詳細には、
図5は、DOEWG500の一例の断面図である。上述したように、DOEWG500は、水平方向供給口(すなわち、チャネル)、垂直方向供給口(すなわち、ダブレット首部)、および導波部材504を含み得る。垂直方向供給口は、水平方向供給口から2つの出力ポート502にエネルギーを結合するように構成され得、出力ポート502の各々は、DOEWG500から外へ電磁波の少なくとも一部を放射するように構成される。いくつかの実施形態では、入力ポートから最も遠くにあるDOEWGは、位置506にバックストップを含み得る。バックストップは、個々の導波管の端部または終端であり得る。最後のDOEWGの前のDOEWGは、位置506では、単に開口しており、電磁波は、その位置506を通って次のDOEWGへと伝播し得る。例えば、複数のDOEWGは、直列に接続され得、この場合、水平方向供給口は複数のDOEWGにわたって共通である。
図5は、放射素子に結合する電磁信号の振幅および/または位相を調節するために調整され得るさまざまなパラメータを示す。
【0060】
[0070] DOEWG500のようなDOEWGを調節するために、垂直方向供給口の幅vfeed_a、および段差部504のさまざまな寸法(例えば、dw、dx、dz1)は、DOEWG500からの異なる割合の放射エネルギーを実現するように調節され得る。段差部504は、水平方向供給口を進んで垂直方向供給口へと伝播する電磁波の一部を反射するので、反射コンポーネントと呼ばれることもある。さらに、いくつかの実施例では、反射コンポーネントの高さdz1は、負であり得る、すなわち、水平方向供給口の底部の下に延在し得る。
【0061】
[0071] いくつかの実施例では、DOEWG500の各々の出力ポート502は、関連する位相および振幅を有し得る。各々の出力ポート502の所望の位相および振幅を実現するために、さまざまな形状のコンポーネントが調整され得る。上述したように、段差部(反射コンポーネント)504は、電磁波の一部を垂直方向供給口に通過させ得る。それぞれのDOEWG500の各々の出力ポート502に関連する振幅を調整するために、各々の出力ポート502に関連する高さが調整され得る。さらに、各々の出力ポート502に関連する高さは、出力ポート502のこの供給セクションの高さまたは深さであり得、単に高さまたは深さの調整だけでなく、一般に、多様なこれらの変化部または段差部または上昇もしくは下降する高さもしくは深さであり得る。
【0062】
[0072]
図5に示されているように、高さdz2および高さdz3は、2つの出力ポート502に関する振幅を制御するように調整され得る。高さdz2および高さdz3の調整は、ダブレット首部(例えば、
図5の垂直方向供給口)の物理的寸法を変更し得る。ダブレット首部は、高さdz2および高さdz3に応じた寸法を有し得る。したがって、高さdz2および高さdz3は、さまざまなダブレットに対して変更され得、ダブレット首部の寸法(すなわち、ダブレット首部の少なくとも一方の側の高さ)は変化し得る。一実施例では、高さdz2は高さdz3より大きいので、高さdz2に関連する(すなわち、高さdz2に隣接して位置する)出力ポート502は、高さdz3に関連する出力ポート502によって放射される信号の振幅より大きい振幅で放射し得る。
【0063】
[0073]
図6は、アンテナの一例を構成する方法600を示す。方法600は、ブロック602において、ポリマーから分割ブロックアセンブリの第1の部分を形成することによって開始され得る。方法600は、ブロック604において、ポリマーから分割ブロックアセンブリの第2の部分を形成するステップを含む。第1の部分および第2の部分はそれぞれ、上述の導波管アンテナの上部および底部の一方であり得る。個々の部分は、ポリマー(例えば、プラスチック)射出成形プロセスによって形成され得る。射出成形によって、各々の導波管部分のさまざまな構造体が形成され得る。さらに別のいくつかの実施例では、最終アンテナは、本明細書に記載されている2つの部分より多い部分を含み得る。いくつかの実施例では、ブロック602およびブロック604は、最終アンテナを作製するために3つ以上の部分を構成するステップを含み得る。例えば、3つ(またはそれ以上)の層または部分で構成されるアンテナもあり得る。さらに、重量を低減するために、プラスチック部分は、成形プロセス後に中空にされ得る。
【0064】
[0074] 実際に、射出成形は、従来のCNC機械加工プロセスと比べて、アンテナのさまざまな特徴部を、より正確な公差を有し、形状の制約がより少ない構造にすることができる。例えば、CNCプロセスで作製することはできない(または商業的に実用的ではない)いくつかの特徴部が射出成形によって作製され得る。さまざまな実施例では、各々の半部は、アンテナのさまざまな特徴部に対して所望の最終寸法で成形され得る。金属メッキ(ブロック606で施される)は比較的薄いので、メッキが施されるさまざまな要素の寸法を大幅に変えることはない。
【0065】
[0075] 方法600は、ブロック606において、少なくとも第1の部分の第1の領域および第2の部分の第2の領域に金属表面を形成するステップを含む。少なくとも1組の導波管、少なくとも1つのポート、および複数の放射素子を含むアンテナのRFコンポーネントは、金属で被覆され得る。上述したように、アンテナの動作の周波数は、77GHzであり得る。この周波数では、表皮深さ(信号が金属表面に伝播する深さ)は、約0.25ミクロンである。金属メッキの厚さが表皮深さ未満である場合、信号を伝播するときにいくつかの望ましくない影響が生じ得る。実際に、確実に金属を十分な厚さにするために、表皮深さの厚さの少なくとも4倍または5倍の厚さの層が使用され得る。したがって、いくつかの実施例では、金属メッキは、3ミクロン~15ミクロンの厚さであり得る。
【0066】
[0076] さまざまな実施例では、メッキを形成するのに、異なる金属が使用され得る。一般に、高伝導性を有し、かつ非磁性の金属がメッキに使用され得る。実際に、銅、銀、および金のような金属がメッキに使用され得る。他の金属、または金属の組み合わせも使用され得る。いくつかの実施例では、金属は、金属が個々の部分のプラスチック表面に接着する能力に応じて選択され得る。
【0067】
[0077]
図1C~
図1Eに関して上述したように、実施形態に応じて、さまざまな表面がメッキされ得る。いくつかの実施例では、RF信号と相互作用する表面のみがメッキされ得る。他の実施例では、個々の部分の表面全体がメッキされ得る。さらに別の実施例では、個々の部分の外表面の全て(または大部分)が金属メッキされ得る。
【0068】
[0078] 方法600は、ブロック608において、第1の部分の底面と第2の部分の上面とを結合してシームを形成することによって分割ブロックアセンブリを組み立てるステップを含む。結合は、第1の部分と第2の部分との電気的接続部を形成し、シームは、分割ブロックアセンブリ内の1組の導波管の中心を画定する。1組の導波管は、少なくとも1つのポートのうちの少なくとも1つに各々のアレイを結合するように構成され得る。2つの部分は、熱かしめ、溶接、もしくは接着剤による締結を含むさまざまな手段によって互いに結合される、または、ねじ、ピン、クリップ、もしくは他の手段によって物理的に結合される。2つの部分は、結合されると、互いに電気的に結合され得る。すなわち、導波管の少なくともRF部分は、隣接部分の個々の導波管と接触する金属部分を有し得る。
【0069】
[0079] さらに、アンテナは、アンテナとインターフェースで接続するように構成された回路基板を有し得る。回路基板は、アンテナに出入りする信号を結合するように構成される。例えば、回路基板上のコンポーネントは、アンテナへの送信のための信号を注入し得る。さらに、回路基板は、アンテナからの受信信号を結合するように構成され得る。回路基板は、アンテナブロックのポートが配置されるアンテナブロックの底部に取り付けられ得る。いくつかのさらに別の実施例では、回路基板はさらに、回路基板およびアンテナブロックの金属表面を介して、アンテナブロックに電気的に結合され得る。
【0070】
[0080] 本明細書の構成は単なる例示目的で示されていることを理解されたい。したがって、当業者は、他の構成および他の要素(例えば、機械、装置、インターフェース、機能、順序、および機能群など)を代わりに使用することが可能であり、いくつかの要素は所望の結果に応じて完全に省略され得ることを理解するであろう。さらに、記載されている要素の多くは、別個のもしくは分散されたコンポーネントとして、または任意の適切な組み合わせおよび配置で他のコンポーネントと共に実装され得る機能構成要素である。
【0071】
[0081] 本明細書ではさまざまな態様および実施形態について説明したが、他の態様および実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書に開示されているさまざまな態様および実施形態は、例示目的で示されたものであって、限定するものではなく、その範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。