(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】液圧システムおよびこの液圧システムのための制御システム
(51)【国際特許分類】
F15B 11/04 20060101AFI20221216BHJP
F15B 11/02 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
F15B11/04 Z
F15B11/02 V
(21)【出願番号】P 2020520202
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(86)【国際出願番号】 FI2018050716
(87)【国際公開番号】W WO2019073114
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-04
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】511089789
【氏名又は名称】ノルルハイドロ・オサケユキテュア
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ラッパライネン,アリ
(72)【発明者】
【氏名】サールマン,ミカ
(72)【発明者】
【氏名】マキターロ,ジュッシ
(72)【発明者】
【氏名】スタンブロー,ピーター
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-275776(JP,A)
【文献】特表2015-503715(JP,A)
【文献】特表2002-530604(JP,A)
【文献】実開平05-064185(JP,U)
【文献】特開平11-139766(JP,A)
【文献】特開2009-275775(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0060030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
F15B 1/02
F15B 15/14
F15B 15/20
F15B 21/14
F16H 61/4096
B60K 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧より動作するシステムであって、前記システムが:
加圧液圧流体を提供するための圧力ラインと;
加圧液圧流体を前記圧力ラインに供給するように構成されるポンプと;
前記圧力ラインから加圧液圧流体を受け取るためのおよび積荷を移動させるための、前記圧力ラインに接続されるアクチュエータと;
前記圧力ラインから前記アクチュエータまでの加圧液圧流体の流れおよび前記アクチュエータの速度を制御するように構成されるバルブデバイスと;
前記システムの機能を監視および制御するように、任意の所与の時間の前記アクチュエータの目標速度に比例する制御信号により前記バルブデバイスを制御するように、構成される電子制御ユニットと;
前記圧力ラインに接続される圧力アキュムレータであって、前記圧力ラインから、前記圧力アキュムレータが加圧液圧流体を受け取ることができ、前記圧力アキュムレータが、前記ポンプと同時に、前記アクチュエータを移動させるための加圧液圧流体を前記圧力ラインに供給する、圧力アキュムレータと;
任意の所与の時間に前記圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量を直接にまたは間接的に測定するように構成されるセンサデバイスであって、前記センサデバイスが、加圧液圧流体の前記量に比例する測定信号を前記電子制御ユニットに送信するように構成される、センサデバイスと;
設定信号を発生させ、任意の所与の時間に所望される前記アクチュエータの目標速度に比例するように前記制御信号を設定するように、構成される設定デバイスと、
を備え、
前記電子制御ユニットが、前記圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量に
加えて前記圧力アキュムレータ内の前記加圧液圧流体の圧力にも比例する所定の最大速度
までに前記アクチュエータの目標速度を制限するように構成される、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記電子制御ユニットが、加圧液圧流体の量が所定の制限値以下の場合に前記目標速度を制限するように構成される、システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記ポンプが、前記ポンプの所定の最大体積流れまでに制限される体積流れを発生させるように構成され、
前記電子制御ユニットが、前記ポンプの前記最大体積流れに比例する所定の最大速度以下になるように前記アクチュエータの目標速度を低下させるように構成される、
システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、加圧液圧流体の前記量の減少にともない前記所定の最大速度が低下する、システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記設定デバイスが、手動で制御可能である制御スティックである制御デバイスを備える、システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記センサデバイスが、任意の所与の時間に前記圧力ライン内に含まれる加圧液圧流体の圧力を測定するように構成され、前記センサデバイスは、前記加圧液圧流体の前記圧力に比例する測定信号を前記システムの前記電子制御ユニットに送信するように構成される、システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記センサデバイスが、前記圧力アキュムレータに接続され、任意の所与の時間に前記圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量を測定するように構成され、前記センサデバイスが、前記加圧液圧流体の前記量に比例する前記測定信号を前記システムの前記電子制御ユニットに送信するように構成される、システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記設定デバイスが、制御デバイスを備え、前記制御デバイスは、前記電子制御ユニットに接続され、前記設定信号を発生させるように構成され、さらには、前記制御デバイスの位置に比例するように前記制御信号を設定するように構成される、システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記ポンプが、前記ポンプの所定の最大体積流れまでに制限される体積流れを発生させるように構成される、システム。
【請求項10】
請求項
1から9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記電子制御ユニットが、前記圧力アキュムレータ内の加圧流体の量および圧力に比例しさらには任意の所与の時間の前記アクチュエータによって発生される動力にも比例する最大速度までに前記アクチュエータの目標速度を制限するように構成される、システム。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記アクチュエータがリニアアクチュエータである、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記設定デバイスが、前記電子制御ユニットに前記設定信号を入力するよう構成された入力デバイスを備え、前記設定信号は、前記アクチュエータの前記速度を制御し、前記電子制御ユニットは、任意の所与の時間に前記設定信号に基づき前記アクチュエータの前記目標速度に比例するように前記制御信号を設定するよう構成された、システム。
【請求項13】
請求項
12に記載のシステムにおいて、前記入力デバイスが、手動で制御可能である制御スティックである制御デバイスを備える、システム。
【請求項14】
請求項
12に記載のシステムにおいて、前記入力デバイスが、制御デバイスを備え、前記制御デバイスは、前記電子制御ユニットに接続され、前記設定信号を発生させるように構成され、前記制御デバイスの位置に比例するように前記制御信号を設定するように構成される、システム。
【請求項15】
請求項
11に記載のシステムにおいて、前記リニアアクチュエータが液圧シリンダである、システム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記センサデバイスが、前記圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の前記量を間接的に測定するために任意の所与の時間に前記圧力ライン内に含まれる液圧流体の圧力を測定するよう構成され、前記電子制御ユニットが、前記圧力アキュムレータの特性および前記圧力ライン内に含まれる前記液圧流体の前記圧力から、前記圧力アキュムレータ内の前記加圧液圧流体の前記量を推定するよう構成されている、システム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムを制御するための方法であって、アクチュエータの目標速度を、圧力アキュムレータ内の加圧流体の量に
加えて前記圧力アキュムレータ内の前記加圧液圧流体の圧力にも比例する前記所定の最大速度
までに制限する、方法。
【請求項18】
積荷を巻き上げて移送するためのブームおよび請求項1から
16のいずれか1項に記載のシステムを備えるクレーンであって、前記ブームが、前記システムによって移動可能となるように構成される、クレーン。
【請求項19】
請求項
18に記載のクレーンを備える移動可能機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
提示される解決策は、液圧システムと、上記液圧システムのための制御システムとを備えるシステムに関する。提示される解決策はまた、液圧システムを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧システムは、加圧液圧流体(pressurized hydraulic fluid)を受け取って保管するのに液体圧力(液圧)アキュムレータを適用する。加圧液圧流体が、必要である場合に、圧力アキュムレータから液圧システムまで戻され得る。結果として、所与の量のエネルギーが圧力アキュムレータ内に保存され得、この所与の量のエネルギーが、使用のために液圧システムに、例えば1つまたは複数の液圧アクチュエータに戻される。液圧流体の体積流れが圧力アキュムレータからアクチュエータまで運搬され得、アクチュエータが圧力アキュムレータからの上記体積流れによりモーション状態で維持され得る。
【0003】
所定の最大量の液圧流体が圧力アキュムレータ内に保管され得、その結果、例えば、アクチュエータの運動が無期限には維持され得ない。その理由は、圧力アキュムレータが空になり、同時に通常はその圧力が低下するからである。液圧流体の体積流れが使い切られると、アクチュエータの速度の急激な低下などの、制御不能であるかまたは望ましくないアクチュエータの挙動変化が生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
提示される解決策による液圧システムによって形成される液圧システム、およびその制御システムが、請求項1に開示される。上記解決策のいくつかの例が他の請求項に提示される。
【0005】
液圧により動作させられる提示される解決策によるシステムが、加圧液圧流体を提供する圧力ラインと;加圧液圧流体を圧力ラインに供給するように構成されるポンプと;圧力ラインから加圧液圧流体を受け取るためのおよびアクチュエータを移動させるための、圧力ラインに接続されるアクチュエータと;圧力ラインからアクチュエータまでの加圧液圧流体の流れおよびアクチュエータの速度を制御するように構成されるバルブデバイスと;システムの機能を監視および制御するように、任意の所与の時間のアクチュエータの所望の速度に比例する制御信号によりバルブデバイスを制御するように、構成される電子制御ユニットと;圧力ラインに接続される圧力アキュムレータであって、この圧力ラインから、圧力アキュムレータが加圧液圧流体を受け取ることができ、圧力アキュムレータが、ポンプと同時に、アクチュエータを移動させるための加圧液圧流体を圧力ラインに供給する、圧力アキュムレータと;任意の所与の時間に圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量を直接にまたは間接的に測定するように構成され、さらには加圧液圧流体の上記量に比例する測定信号を電子制御ユニットに送信するように構成される、センサデバイスと;設定信号を発生させ、任意の所与の時間に所望されるアクチュエータの速度に比例するように上記制御信号を設定するように、構成される設定デバイスと、を備える。
【0006】
提示される解決策で、上記電子制御ユニットが、所定の最大速度を超えないようにアクチュエータの標的速度(目標速度)を制限するように構成され、最大速度が圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量に比例する。
【0007】
提示される解決策の実施例で、電子制御ユニットが、上で言及した量に加えて圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の圧力にも比例する最大速度まで、アクチュエータの目標速度を制限するように構成される。
【0008】
提示される解決策の実施例で、電子制御ユニットが、任意の所与の時間に、上で言及した量および圧力に加えて、アクチュエータによって発生される動力にも比例する最大速度まで、アクチュエータの目標速度を制限するように構成される。
【0009】
提示される解決策による方法で、アクチュエータの目標速度が、圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量に比例する所定の最大速度を超えないように、制限される。
【0010】
提示される解決策によるシステムが、積荷を持ち上げて移送するためのブームを備えるクレーンにおいて、または積荷を持ち上げるかまたは移送するのに使用され得る機械において、適用され得る。上記ブームが上記システムによって移動可能となるように構成される。上記ブームが移動可能機械の中に配置され得る。
【0011】
提示される解決策による液圧制御システムが、圧力アキュムレータ内に保存されるエネルギーを最大限に利用して、圧力アキュムレータの空状態によって生じるアクチュエータの速度の急激な変化を回避する、という利点を有する。
【0012】
以下で、添付図面を参照して、提示される解決策をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】提示される解決策を適用することができる、液圧システムおよびその制御システムを実装することの原理を示す図である。
【
図2】
図1のシステムのアクチュエータの速度vを制御することの、および圧力アキュムレータ内の液圧流体の量Vに基づいてその最大速度vmaxを設定することの、原理を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1が、液圧システムと、この液圧システムを制御するための制御システムとの実施例を示しており、この実施例では、提示される解決策が適用され得る。
【0015】
提示される解決策による液圧システム、およびその制御システム、つまり、システム10が、圧力ライン40と、少なくとも1つのアクチュエータ22と、液圧流体の体積流れを制御するための少なくとも1つのバルブデバイス38と、少なくとも1つの液圧アキュムレータ26と、少なくとも1つのセンサデバイス34および/またはセンサデバイス36と、少なくとも1つの液圧ポンプ12と、システム10の動作を制御する電子制御ユニット30と、を備える。
【0016】
アクチュエータ22が積荷48を移動させるように構成され得、アクチュエータが、アクチュエータ22に供給される液圧流体の圧力と、アクチュエータ22のサイジング(sizing)とによって決定される力を積荷48に加える。好適には、アクチュエータ22がリニアアクチュエータであり、例えば、往復ピストンを備える液圧シリンダである。アクチュエータ22が反対の2つの方向X1およびX2に移動するように構成される。液圧流体がアクチュエータ22に供給されるとき、アクチュエータ22が方向X1に膨張および移動するか、または方向X2に収縮および移動する。実施例では、液圧流体がアクチュエータ22から離れるように運ばれるとき、アクチュエータ22が、アクチュエータ22の中に液圧流体が供給されるときの状況とは反対の方向に移動する。アクチュエータ22、そのピストン、または積荷48の速度が、アクチュエータ22のサイジングと、アクチュエータ22に供給される液圧流体の体積流量とによって決定されることになり、つまり、単位時間当たりの液圧流体の流れと、アクチュエータ22の体積とによって決定される。
【0017】
アクチュエータ22が、加圧液圧流体をアクチュエータ22に供給するために、圧力ライン40に接続される。バルブデバイス20などのバルブデバイスが、所定の最大値まで圧力ライン40内の液圧流体の圧力を制限するために、圧力ライン40に接続され得る。
【0018】
アクチュエータ22が単動式または複動式であってよい。アクチュエータ22が、シングルチャンバアクチュエータ、ダブルチャンバアクチュエータ、またはマルチチャンバアクチュエータであってよい。アクチュエータ22を移動させるために、液圧流体がアクチュエータ22の1つまたは複数のチャンバに同時に供給される。アクチュエータ22の動作中、液圧流体がアクチュエータ22の1つまたは複数のチャンバから同時に外に出る。
【0019】
ポンプ12が、加圧液圧流体を圧力ライン40に供給するように構成される。ポンプ12が、例えばライン44を介して、圧力ライン40に接続される。ポンプ12によって発生される液圧流体の最大体積流れおよび最大圧力が、ポンプ12のサイジングによって決定されることになる。
【0020】
ポンプ12は固定容積タイプのポンプであるかまたは好適には容積調整可能なポンプであり、ここでは、ポンプ12によって発生される体積流れが、例えば所定の最小値および最大値によって設定される範囲内で、調整され得る。ポンプ12がモータ14によって回転させられる。モータ14が、例えば、電気モータまたは燃焼機関(燃焼エンジン)である。
【0021】
ポンプ12が、例えば、液圧流体のためのタンク18から、液圧流体の供給を受ける。
【0022】
液圧流体がアクチュエータ22から例えば別の圧力ライン42まで戻され、別の圧力ライン42では液圧流体の圧力が圧力ライン40より低い。圧力ライン42がタンクラインとしても使用され得、このタンクラインを介して、アクチュエータ22から戻る液圧流体がタンク18の中まで流れることになる。タンク18が例えばライン46を介して圧力ライン40に接続される。
【0023】
システム10がバルブデバイス20を備えることができ、バルブデバイス20により、ポンプ12から圧力ライン40までのおよびその逆のアクセスおよび流れが制御され得る。バルブデバイス20が例えばライン44内に配置され得る。バルブデバイス20がまた、圧力ライン40からタンク18までの液圧流体のアクセスおよび流れを制御するように構成され得る。バルブデバイス20が1つまたは複数の制御バルブを備えることができる。
【0024】
バルブデバイス38が、圧力ライン40からアクチュエータ22までの液圧流体の流れを制御し、例えばそのチャンバのうちの1つまたは複数のチャンバまでのおよびチャンバからの液体流体の流れを制御する。好適には、バルブデバイス38がまた、圧力ライン40とアクチュエータとの間の接続および体積流れを遮断するように構成される。バルブデバイス38が液圧流体の体積流量を制御し、ここではアクチュエータ22の速度が液圧流体の体積流量によって決定される。同時に、バブルデバイス38のサイジングによって決定される最大体積流れが、アクチュエータ22の最大速度を決定する。体積流れを調整するために、バルブデバイス38が好適には電子的に制御可能である。
【0025】
バルブデバイス38が、1つまたは複数の制御バルブを備えることができ、この1つまたは複数の制御バルブが例えば比例式流量方向制御バルブの種類であってよく、比例式流量方向制御バルブは電子的に制御可能であり、比例式流量方向制御バルブの流れは、バルブデバイス38によって受信される制御信号に比例する。上記制御バルブが、例えば、2位置の比例式双方向制御バルブ(proportional two-way two-position directional control valve)である。上記制御バルブが、位置フィードバックバルブ、力フィードバックバルブ、または速度フィードバックバルブであってよい。アクチュエータ22の各チャンバにおいて、圧力ライン40からアクチュエータ20に液圧流体を供給するために、1つの制御バルブまたは複数の並列の制御バルブが提供される。別法として、上記並列の制御バルブが、例えば、on/off controlled directional valveまたは遮断バルブであってよい。
【0026】
バルブデバイス38が電子制御ユニット30によって制御され、電子制御ユニット30が、例えば、バルブデバイス38を制御するための1つまたは複数の電子制御カードを備えることができる。制御ユニット30の機能は、バルブデバイス38を制御するための、例えば電流信号である、制御信号32を発生させることである。
【0027】
システム10の機能が制御ユニット30によって監視および制御される。制御ユニット30は、好適には、計算機能および論理機能を実行するそのメモリ内に保存される1つまたは複数の制御アルゴリズムを動かすプログラム可能なマイクロプロセッサベースのデバイスである。制御ユニット30が、例えば、センサおよび制御信号によって発生される信号を通信するための、および制御ユニット30内で発生される制御信号を通信するための、インターフェースを備える。上記制御アルゴリズムが、任意の所与の時間に、例えば上記信号に基づいて、所定の制御信号を生成する。制御ユニット30が、制御ユニット30の動作を制御するためのユーザインターフェースデバイスを装備しているか、または装備することができる。制御ユニット30は、プログラム可能論理に基づくものであってよいか、または制御プログラムまたはユーザの制御下で動作するコンピュータに基づくものであってよい。制御ユニット30は1つまたは複数の別個のデバイスから構成されるものであってよいか、あるいはその異なる部分またはデバイスを互いに接続するかまたは互いに通信させるような分散システムを構成するものであってよい。
【0028】
制御信号32は例えば、アクチュエータ22の速度によって決定されるか、または任意の所与の時間にバルブデバイス38によって実現されることになる体積流れによって決定される。上記制御信号32を発生させるとき、制御ユニット30内に実装される、PIDコントローラなどの制御装置が適用され、この制御装置は、例えば、位置フィードバック、力フィードバック、または速度フィードバックに基づく。制御のために、システム10が、アクチュエータ22の速度を測定するためのおよび上記測定信号を制御ユニット30に送信するためのセンサデバイスを備えることができる。
【0029】
システム10が、システム10を制御することを目的として、また例えばシステム10内のアクチュエータ22を制御することを目的として、制御ユニット30に接続される1つまたは複数の制御デバイス24をさらに備えることができる。制御デバイス24が、例えば、手動で制御可能であるような、一実施形態では制御スティックである。制御スティックがユーザによって動作させられる。
【0030】
制御デバイス24が、例えば制御スティックの傾斜といったような、制御デバイス24の位置に応じて設定信号50を発生させるように構成される。上記設定信号50が制御ユニット30に入力される。
【0031】
別法として、上記設定信号50が入力デバイスを用いて入力され得、この入力デバイスが、例えば、制御ユニット30または制御ユニット30の一部分、制御ユニット30に接続されるデバイス、あるいは上述の制御デバイス24を有することができる。制御ユニット30で、設定信号50が制御ユニット30のユーザインターフェースデバイスにより手動で入力され得るか、またはアクチュエータ22の速度に影響を与えるために、制御アルゴリズムを動かすことにより、ソフトウェアによって発生され得る。
【0032】
例えば、制御デバイス24がアクチュエータ22の速度を制御するのに使用され、その結果、アクチュエータ22の速度が制御デバイス24または制御スティックの多様な位置において異なってくる。アクチュエータ22の所望の速度が、制御デバイス24または制御スティックの位置に比例する。制御ユニット30の制御アルゴリズムが設定信号50に基づいてバルブデバイス38を制御するように構成され、その結果、アクチュエータ22の所望の速度が達成される。
【0033】
圧力アキュムレータ26が圧力ライン40に接続され、圧力アキュムレータ26が圧力ライン40から加圧液圧流体を受け取ることができ、圧力アキュムレータ26が圧力ライン40に加圧液圧流体を与える。圧力アキュムレータ26が、例えば所与の時間の範囲内で、圧力アキュムレータ26から圧力ライン40に供給され得る液圧流体の最大量に比例する、圧力アキュムレータ26のサイジングに基づく所定の有効容積を有する。
【0034】
圧力アキュムレータ26は、おもり式アキュムレータ、ばね式アキュムレータ、または好適にはガス式アキュムレータであってよい。上記ガス式アキュムレータの種類は、ブラダアキュムレータまたはメンブレンアキュムレータであるか、あるいは好適にはピストンアキュムレータである。圧力アキュムレータ26は、通常、その中に含まれる液圧流体の量が減少するときに液圧流体の圧力が低下するようなガス式アキュムレータである。
【0035】
必要である場合、上で言及した依存関係に基づいて、例えば、圧力アキュムレータ26を接続しているところの、圧力ライン40などの、ラインの中の液圧流体の圧力を測定することにより、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量が見積もられ得る。
【0036】
装入/充填(charging)のために、圧力アキュムレータ26が加圧液圧流体の供給を受けることができる。圧力アキュムレータ26が、例えば、圧力ライン40の圧力が所定の最小圧力以上の場合に液圧流体を受け取るようにサイズ決定される。ガス式アキュムレータのサイジングは、例えば、圧力アキュムレータ内で使用されるガスの、充填前の圧力(pre-charge pressure)に基づく。上記最小圧力は、例えば、積荷48がアクチュエータ22によって移動させられるときのまたはアクチュエータ22が休止状態にあるときの圧力ライン40内に広く行き渡る圧力より低くなるように選択される。
【0037】
圧力ライン40が、圧力ライン40内に含まれる液圧流体の圧力を測定するように構成されるセンサデバイス36を装備することができる。システム10が、例えば圧力ライン40内の圧力を測定するために、制御ユニット30に接続される、液圧流体の圧力を測定する他のセンサデバイスをさらに備えることができる。
【0038】
センサデバイス36が例えば電子的である測定信号16を発生させ、測定信号16が測定される圧力に比例する。この信号は、例えば、電流信号である。センサデバイス36が、測定信号16を制御ユニット30に送信するために、制御ユニット30に接続され、制御ユニット30では測定信号16が制御アルゴリズムのための入力である。
【0039】
センサデバイス36によって発生される測定信号16に基づいて、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量が、圧力ライン40内の圧力を測定することにより、間接的に、測定され得る。制御ユニット30が、例えば圧力アキュムレータ26の特性および上記圧力から、圧力アキュムレータ内の液圧流体の量を推定するように構成される。上記推定中、制御ユニット30が、圧力アキュムレータ26内のガスの、充填前の圧力またはガスの体積における例えば断熱変化などの、既知の変化挙動を例えば考慮することができる。圧力アキュムレータ26では、ガスの圧力が液圧流体の圧力に追従し、ここでは、液圧流体の圧力が、圧力ライン40内の圧力に追従する傾向があり、したがってガスの体積がガスの圧力によって決定される。
【0040】
提示される解決策の代替形態で、システム10が圧力アキュムレータ26に接続されるセンサデバイス34を備え、センサデバイス34が、直接にまたは間接的に、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量を測定するように構成される。センサデバイス34が、例えば、間接的に、液圧流体の量によって決定される圧力アキュムレータ26の可動部分の測定される位置に基づいて、液圧流体の量を測定するように構成され得る。上記部分は、例えば、ブラダアキュムレータのブラダ、メンブレンアキュムレータのメンブレン、または好適には、ピストンアキュムレータのピストンであってよい。センサデバイス34の動作は、タッチレス測定、リニアセンサ、またはケーブルけん引デバイスに基づくものであってよい。
【0041】
センサデバイス34が例えば電子的である測定信号28を発生させ、測定信号28が圧力アキュムレータ内の液圧流体の量または上で言及した測定される位置に比例する。この信号は、例えば、電流信号である。センサデバイス34が、測定信号28を制御ユニット30に送信するために、制御ユニット30に接続され、制御ユニット30では測定信号28が制御アルゴリズムのための入力信号である。センサデバイス34または制御ユニット30およびその制御アルゴリズムが、上記測定される位置に比例する圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量を推定することができる。
【0042】
センサデバイス34を用いることにより、圧力の測定およびガスの挙動に関連する不確定要素を回避する場合に、正確な測定信号28が単純な形で得られ得る
【0043】
圧力アキュムレータ26およびポンプ12が、アクチュエータ22を移動させるために、圧力ライン40およびバルブデバイス38を同時に介して、液圧流体をアクチュエータ22に供給するように構成されえる。したがって、液圧流体の圧力は、第1の実施例によると、少なくともアクチュエータ22を、またさらには必要である場合に積荷48を、移動させるのに十分となるように大きさを決定される。積荷48の大きさは多様である可能性があるかまたは異なる状況において変化する可能性があることから、積荷48を移動させるのに必要となる力も変化する可能性がある。アクチュエータ22および積荷48が停止すると、圧力が、圧力ライン40のために設定される最大値までさらに増大することができ、圧力アキュムレータ26に加圧液圧流体が装入され得る。別法として、アクチュエータ22および積荷48の移動中に圧力が十分に増加すると、圧力アキュムレータ26に加圧液圧流体が装入され得る。
【0044】
圧力アキュムレータ26およびポンプ12によって発生される最大全体体積流れがアクチュエータ22の最大速度を決定することになる。その理由は、体積流れが、単位時間当たりに流れる液圧流体の量を表すからである。提示される解決策で、ポンプ12によって発生される最大体積流れが上記最大全体体積流れより少ない。実施例では、ポンプ12によって発生される最大体積流れが、上記最大体積流れの80%、60%、40%、または20%であるか、あるいはそれより小さい。
【0045】
アクチュエータ22の速度が、例えば設定信号50に基づいて制御ユニット30によって発生される設定信号32によって制御されるバルブデバイス38を使用することにより、上記最大速度より低くなるように制御される。
【0046】
圧力アキュムレータ26が、バルブデバイス38および例えば設定信号50の制御下で、所望の速度でアクチュエータ22を所望のまたは所与の距離だけ移動させるために圧力アキュムレータ26からアクチュエータ22へ供給されることになる液圧流体の量と比較して圧力アキュムレータ26内の液圧流体の総量を少なくするような状態にあってよい。
【0047】
提示される解決策では、ポンプ12によって発生される最大体積流れが、最大速度でアクチュエータ22を移動させるために圧力ライン40からアクチュエータ22へ供給されることになる液圧流体の体積流れより小さくなるように大きさを決定される。実施例では、ポンプ12によって発生される最大体積流れが、上記最大速度の80%、60%、40%、または20%、あるいはそれ以下を発生させるように構成される。
【0048】
システム10が、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の総量を、アクチュエータ22の全体の所望移動距離のためには不十分であるような上述した状況にある場合がある。したがって、圧力アキュムレータ26が空になってくると、アクチュエータ22の速度が制御されない形で所望の速度から急激に低下する可能性があり、その後、アクチュエータ22の移動が、ポンプ12によって発生される体積流れによって決定される速度で継続されることになる。
【0049】
提示される解決策では、上述の問題を回避することを狙いとする。
【0050】
提示される解決策では、任意の所与の時間の圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量が、上述したようにセンサデバイス34および/またはセンサデバイス36を利用することにより、制御ユニット30によって監視される。
【0051】
制御ユニット30が、制御アルゴリズムの制御下で、アクチュエータ22の最大速度を、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量に比例する最大値までに制限するように構成される。結果として、アクチュエータ22の速度が、上記速度を最大でも上記最大値以下にするような値つまり大きさしか有さないように制御され得る。アクチュエータ22の速度が、上述したように、バルブデバイス38および例えば設定信号50によって制御される。
【0052】
この制限が圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量のみに基づくことから、制御に関して、単純な形での動作が達成される。
【0053】
したがって、上述した制限の利用時、設定信号50が、上で言及した最大値を超える値にするようにアクチュエータ22の速度を調整するのに使用され得ない。制御ユニット30が、制御ユニット30および制御アルゴリズムによって発生される制御信号32を、その時点において、設定信号50に加えて圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量によって決定するような形で、バルブデバイス38を制御する。さらに、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量が、センサデバイス34および/またはセンサデバイス36によって測定される。
【0054】
システム10が制御デバイス24を備える場合、制御デバイス24の所定の位置が所定の設定信号50を発生させることになる。したがって、上述の制限の利用時、制御デバイス24の所与の位置により、上述の制限の非利用時の状況での同じ位置から得られる速度より低くてよいアクチュエータ22の速度が得られる。このような状況では、制御デバイス24のユーザが、制御デバイス24の位置を変化させない場合にもアクチュエータ22の減速を検出することになる。
【0055】
上述の制限により、アクチュエータ22の速度の変化を制御することが可能であり、それにより、上述したような制御されない形での速度の急激な低下が回避される。
【0056】
圧力アキュムレータ26によりアクチュエータ22に供給される体積流れが、接続部と、圧力ライン40と、バルブデバイス38とのサイジングによって決定されることになり、制御バルブの公称サイズなどによって決定されることになる。上述の方法では、制限の非利用時、液圧流体の流れが制御されなくなるように、ならびに/あるいはバルブデバイス38の中の1つまたは複数の制御バルブの流れ開口部を最大にするように、バルブデバイス38が制御され得る。制限が利用される場合、液圧流体の流れが制御されるように、ならびに/あるいはバルブデバイス38の中の1つまたは複数の制御バルブの流れ開口部をより小さくするように、バルブデバイス38が制御される。
【0057】
提示される解決策の実施例によると、制御ユニット30が、制御アルゴリズムの制御下で、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量さらには圧力アキュムレータ26内の液圧流体の圧力を考慮して、上述した手法で、アクチュエータ22の速度を制限するように構成される。上記圧力が、例えば、センサデバイス36によって決定される。
【0058】
上記の量および圧力に基づいて、制御ユニット30が、圧力アキュムレータ26に保存されるエネルギーの量を推定する。圧力アキュムレータ26が、所与の時間において所与の体積流量で供給され得る加圧液圧流体のその量に基づいて、エネルギーを供給する。これの狙いは、アクチュエータ22の動力も制限してその結果として所望の形でその速度も同時に制限することにより、エネルギー供給を保証することである。この速度は、例えば、アクチュエータ22によって発生される力に基づいて決定され得、アクチュエータ22によって発生される力はアクチュエータ22の圧力およびサイジングによって決定される。
【0059】
結果として、提示される解決策の実施例で、制御ユニット30が、制御アルゴリズムの制御下で、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の圧力、さらにはアクチュエータ22によって発生される圧力を考慮して、上述した手法で、アクチュエータ22の速度を制限するように構成される。アクチュエータのサイジングが既知である場合、上記力は、例えば、センサデバイスまたは上記圧力によって定められる。
【0060】
提示される解決策の実施例で、制御ユニット30が、制御アルゴリズムの制御下で、アクチュエータ22の最大速度を、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量の減少時に低下する最大値までに制限するように構成され;言い換えると、アクチュエータ22の最大速度が低下すると、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量が減少する。
【0061】
提示される解決策の実施例で、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量が所定の制限値以下まで低下する場合の一手法として、上述の制限が適用される。
【0062】
実施例で、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量のための上記所定の制限値が、圧力アキュムレータ26の有効容量の、または圧力アキュムレータ26から供給され得る液圧流体の最大量の、3%、5%、10%、15%、20%、または25%である。
【0063】
実施例で、上述したものに加える形で、制御ユニット30が、制御アルゴリズムの制御下で、アクチュエータ22の最大速度を最小で、例えばポンプ12によって発生される最大体積流れと等しいか又はより小さい、ポンプ12によって発生される体積流れに比例する最大値まで低下させるように構成される。
【0064】
上述の比例性(proportionality)は、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量に基づく関数に基づくものであってよいか、あるいは線形に減少するか、または減少する液圧流体の上記量を考慮した減衰曲線の形状に追従する。
【0065】
図2が、システム10内のアクチュエータ22の速度vの制御と、圧力アキュムレータ26内の液圧流体の量Vに基づいてアクチュエータ22のために設定される最大速度vmaxの決定とを、実施例として、示す。
【0066】
図2の実施例では、上述の比例性(範囲Q1+f(Q2)を参照されたい)が線形であり;言い換えると、上述の比例性が関数に基づくものである。上記の比例性は線形ではない関数に基づいてもよい。液圧流体の量Vが値Vxを有する場合、提示される解決策によると、アクチュエータ22の速度vが最大値vmaxを有すると推定され得る。したがって、この範囲内では、設定される最大値より低いアクチュエータ22の速度も許容され得る。
【0067】
図2の実施例では、圧力アキュムレータ22内の液圧流体の量を、所定の制限値以下のレベルにまで減少させる場合の一手法として上述の制限を適用することも実現される。この制限の非利用時(範囲Q1+Q2を参照)、最大でも、ポンプ12および圧力アキュムレータ26の組み合わせによって発生される全体の体積流れに従って、最大速度値vmaxが決定されることになる。したがって、この範囲内では、設定される最大値より低いアクチュエータ22の速度も許容され得る。
【0068】
図2の実施例では、圧力アキュムレータ22内の液圧流体の量が十分な程度で減少するかまたは使い切られると、やはり上述の制限が実現され、その結果、最小で、ポンプ12によって発生される最大体積流れに比例する最大値まで、アクチュエータ22の最大速度が低下する(範囲Q1を参照)。この範囲内では、設定される最大値より低いアクチュエータ22の速度も許容され得る。この場合、上記速度が、ポンプ12によって発生される体積流れのみに基づく。
【0069】
図2の実施例では、符号Q1がポンプ12によって発生される最大体積流れを表し、符号Q2が圧力アキュムレータ26によって発生されてアクチュエータ22に供給される体積流れを表す。
【0070】
上述の液圧システムおよびその制御システムは、積荷を持ち上げるためにおよび/または積荷を移動させるために多様なクレーンで適用され得る。この場合、クレーンが、スルーイング機構により横方向に枢動可能となり得るブームを装備することができる。ブームが、テレスコピック方式であってよい巻き上げブームを含んでよい。ブームが、巻き上げブームに枢動可能に接続されるトランスファーブームを含んでもよい。トランスファーブームはテレスコピック方式であってよい。上で提示されるアクチュエータ22が、トランスファーブームまたは巻き上げブームであるブームを移動させるためのアクチュエータであってよく、特にはリニアアクチュエータであってよく、ここでは、上で提示される積荷48が単独でトランスファーブームまたは巻き上げブームであるブームであってよいか、あるいはトランスファーブームまたは巻き上げブームであるブームによって担持される積荷との組み合わせの、トランスファーブームまたは巻き上げブームであるブームであってよい。上で提示されるクレーンおよび/または液圧システムならびのその制御システムが、積荷を巻き上げるかまたは移動させるのに使用され得、ユーザによって制御される自己推進機械であってよい多様な機械で適用され得る。上記機械は、フォワーダまたは伐採機械などの林業機械、掘削機械、あるいは土木機械であってよい。上記機械は、バケットなどの器具を含んでよく、器具が、器具を移動させるための機構に接続されてよい。上述のアクチュエータ22は上記機構を移動させるためのアクチュエータであってよい。
【0071】
上記の説明では、比例性が、例えば数学的関係または数学関数によって表され得る、2つの異なる変数、関数、または因子の間での比例性を意味する。別法としてまたは加えて、上記比例性が、2つの異なる変数、関数、または因子の間でのつながりまたは相互依存を意味し、ここでは、一方の変数、関数、または因子の所定の状態が、もう一方の変数、関数、または因子の所定の状態に対応する。このようにして、一方の変数、関数、または因子が、提示される解決策によるシステムを標的を絞る形で動作させることを目的として、もう一方の変数、関数、または因子を制御するのに使用され得る。
【0072】
提示される解決策は、解決策の唯一の実施形態とみなされるべきではない、上で提示した代替形態、実施例、および実施形態のみに限定されない。提示される解決策では、上で提示される目的を実現するために、上で提示される代替形態、実施例、および実施形態を組み合せで適用することも可能である。
【0073】
提示される解決策の実装形態が添付の特許請求の範囲でより詳細に定義される。
<付記>
[形態1]
液圧より動作するシステムであって、前記システムが:
加圧液圧流体を提供するための圧力ラインと;
加圧液圧流体を前記圧力ラインに供給するように構成されるポンプと;
前記圧力ラインから加圧液圧流体を受け取るためのおよびアクチュエータを移動させるための、前記圧力ラインに接続されるアクチュエータと;
前記圧力ラインから前記アクチュエータまでの加圧液圧流体の流れおよび前記アクチュエータの速度を制御するように構成されるバルブデバイスと;
前記システムの機能を監視および制御するように、任意の所与の時間の前記アクチュエータの所望の速度に比例する制御信号により前記バルブデバイスを制御するように、構成される電子制御ユニットと;
前記圧力ラインに接続される圧力アキュムレータであって、前記圧力ラインから、前記圧力アキュムレータが加圧液圧流体を受け取ることができ、前記圧力アキュムレータが、前記ポンプと同時に、前記アクチュエータを移動させるための加圧液圧流体を前記圧力ラインに供給する、圧力アキュムレータと;
任意の所与の時間に前記圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量を直接にまたは間接的に測定するように構成されるセンサデバイスであって、前記センサデバイスが、加圧液圧流体の前記量に比例する測定信号を前記電子制御ユニットに送信するように構成される、センサデバイスと;
設定信号を発生させ、任意の所与の時間に所望される前記アクチュエータの目標速度に比例するように前記制御信号を設定するように、構成される設定デバイスと、
を備え、
前記電子制御ユニットが、前記圧力アキュムレータ内の加圧液圧流体の量に比例する所定の最大速度を超えないように前記アクチュエータの目標速度を制限するように構成される、
システム。
[形態2]
形態1に記載のシステムにおいて、前記電子制御ユニットが、加圧液圧流体の量が所定の制限値以下の場合に前記目標速度を制限するように構成される、システム。
[形態3]
形態1または2に記載のシステムにおいて、
前記ポンプが、前記ポンプの所定の最大体積流れまでに制限される体積流れを発生させるように構成され、
前記電子制御ユニットが、最小で、前記ポンプの前記最大体積流れに比例する所定の最大速度に等しくするように前記アクチュエータの目標速度の最大値を低下させるように構成される、
システム。
[形態4]
形態1から3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、加圧液圧流体の前記量が減少すると、前記所定の最大速度が低下する、システム。
[形態5]
形態1から4のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記設定デバイスが、手動で制御可能である制御スティックである制御デバイスを備える、システム。
[形態6]
形態1から5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記センサデバイスが、任意の所与の時間に前記圧力ライン内に含まれる液圧流体の圧力を測定するように構成される種類のセンサデバイスであり、前記液圧流体の前記圧力に比例する測定信号を前記システムの前記電子制御ユニットに送信するように構成される、システム。
[形態7]
形態1から5のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記センサデバイスが、任意の所与の時間に前記圧力アキュムレータ内の液圧流体の量を測定するように構成される、前記圧力アキュムレータに接続される種類のセンサデバイスであり、前記センサデバイスがまた、前記液圧流体の前記圧力に比例する測定信号を前記システムの前記電子制御ユニットに送信するように構成される、システム。
[形態8]
形態1から7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記設定デバイスが、前記設定信号を発生させるように構成され、さらには、前記制御デバイスの位置に比例するように前記制御信号を設定するように構成される、前記電子制御ユニットに接続される制御デバイスを備える、システム。
[形態9]
形態1から8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記ポンプが、前記ポンプの所定の最大体積流れまでに制限される体積流れを発生させるように構成される、システム。
[形態10]
形態1から9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記電子制御ユニットが、前記圧力アキュムレータ内の前記加圧液圧流体の量に加えて前記圧力アキュムレータ内の前記加圧液圧流体の圧力にも比例する最大速度までに前記アクチュエータの目標速度を制限するように構成される、システム。
[形態11]
形態10に記載のシステムにおいて、前記電子制御ユニットが、前記圧力アキュムレータ内の加圧流体の量および圧力に比例しさらには任意の所与の時間の前記アクチュエータによって発生される動力にも比例する最大速度までに前記アクチュエータの目標速度を制限するように構成される、システム。
[形態12]
形態1から11のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記アクチュエータが液圧シリンダなどのリニアアクチュエータである、システム。
[形態13]
形態1に記載のシステムを制御するための方法であって、アクチュエータの目標速度が、圧力アキュムレータ内の加圧流体の量に比例する所定の最大速度を超えないように制限される、方法。
[形態14]
積荷を巻き上げて移送するためのブームを備えるクレーンであって、前記ブームが、形態1から12のいずれか1項に記載のシステムによって移動可能となるように構成される、クレーン。
[形態15]
形態14に記載のクレーンを備える移動可能機械。