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特許7195310インライナーでライニングされたパイプの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】インライナーでライニングされたパイプの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 9/147 20060101AFI20221216BHJP
   F16L 58/10 20060101ALI20221216BHJP
   B32B 1/08 20060101ALI20221216BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20221216BHJP
   B32B 15/14 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
F16L9/147
F16L58/10
B32B1/08 A
B32B15/08 K
B32B15/08 E
B32B15/14
B32B15/08 N
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020520464
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2018079144
(87)【国際公開番号】W WO2019081572
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】17198320.8
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ ゴシ デ アキノ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ハートマン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル デミコリ
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ゲーリング
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン ヴァン ラーク
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト バイエル
(72)【発明者】
【氏名】ラン デ ガンス リー
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-181926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0107553(US,A1)
【文献】特開2014-193608(JP,A)
【文献】特開昭55-074833(JP,A)
【文献】特表2013-527814(JP,A)
【文献】特表平09-508962(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03023214(DE,A1)
【文献】特開2006-334805(JP,A)
【文献】特開昭52-051109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 9/147
F16L 58/10
B32B 1/08
B32B 15/08
B32B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)金属パイプを準備する工程、
b)熱可塑性材料からなる管状のインライナーを準備する工程、
c)テープを前記インライナーにらせん状に接着する工程であり、前記テープの接触面領域は、前記インライナーの表面にしっかりと接着する成形組成物または接着剤からなり、かつ、前記テープの反対面領域は、前記金属パイプにしっかりと接着する成形組成物または接着剤からなり、前記テープは、一方向強化繊維を含み、
d)前記インライナーの断面を、外力にさらすことにより必要に応じて縮小する工程、
e)前記インライナーを前記金属パイプに挿入する工程、
f)接触圧力と任意の熱によって、前記インライナーと前記金属パイプを互いにしっかりと接着させる工程
を有し、
前記インライナーが、少なくとも50重量%程度のポリアミド、フルオロポリマー、ポリアリーレンエーテルケトン、またはポリフェニレンスルフィドを含む成形組成物からなることを特徴とする、内面が熱可塑性層でライニングされた金属パイプの製造方法。
【請求項2】
前記テープが1~4層で構成されていることを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項3】
前記テープの少なくとも1層が、少なくとも50重量%程度のポリオレフィン、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリアリーレンエーテルケトン、またはポリフェニレンスルフィドを含む成形組成物からなることを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項4】
前記インライナーに面する側のテープが、粘着性成形組成物または接着剤から構成される層を含むことを特徴とする、請求項または記載の方法。
【請求項5】
前記金属パイプに面する側のテープが、接着性成形組成物または接着剤から構成される層を含むことを特徴とする、請求項のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤が、感圧接着剤、エポキシ樹脂接着剤、ポリウレタン接着剤、フェノール樹脂接着剤、ポリエステル樹脂接着剤、ポリアミドホットメルト接着剤、シアノアクリレート接着剤、ポリスルフィド接着剤、光硬化接着剤、および嫌気性硬化接着剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項または記載の方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に従って製造されたパイプ。
【請求項8】
敷設されるパイプラインを製造するための、請求項記載のパイプの使用。
【請求項9】
鉱業部門において、廃水、ガス、石油、原油、精製製品、水と油の混合物、砂と水と油の混合物、またはスラリーの運搬に使用することを特徴とする、請求項記載のパイプを使用して製造されたパイプライン。
【請求項10】
石油またはガスの生産補強し、ライニングするのに使用することを特徴とする、請求項記載のパイプを使用して製造されたパイプライン
【請求項11】
油田やガス田のボーリング工事において掘削カラムとして機能することを特徴とする、
請求項記載のパイプを使用して製造されたパイプライン。
【請求項12】
原油や天然ガスの運搬パイプ、捕集パイプ、または輸送パイプであることを特徴とする、請求項記載のパイプを使用して製造されたパイプライン。
【請求項13】
超臨界CO用パイプであることを特徴とする、請求項記載のパイプを使用して製造されたパイプライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面が熱可塑性層でライニングされたパイプの製造方法に関する。
また、このようにして製造されたパイプ、ルーティングされたパイプラインを製造するためのそのパイプの使用、およびこのようにして製造されたパイプラインにも関する。該パイプラインは、特に、鉱業部門における廃水、ガス、石油、原油、精油製品、水と油の混合物、砂と水と油の混合物、鉱業分野でのスラリー、または類似の流体を運搬したり、石油やガスの生産補強、ライニングしたりするのに使用する金属パイプライン、あるいは油田やガス田でのボーリング工事において掘削カラムとして機能する金属パイプラインである。
【背景技術】
【0002】
廃水パイプライン、石油/ガスパイプライン、または類似の流体を運搬するパイプラインの寿命は限られている。この原因は、第一に進行性の腐食損傷であり、第二に研磨液の輸送中に発生する持続的な機械ストレスである。関係するパイプラインは、一般に、陸地または海や湖の水中から約1m以上深い場所に存在するので、パイプの交換にはかなりのコストがかかる。金属パイプラインは、油田やガス田の掘削孔の安定化やライニングにもよく使用される。また、これらのパイプライン(当業者には「ケーシング」と呼ばれる)は、非常に腐食性かつ、時には研磨性の状況にも曝される。さらに、金属パイプラインは、陸上でのボーリング工事において掘削カラムとしても頻繁に使用される。これらの掘削孔は、石油源、ガス源、さらには水源への接近手段を提供するのに役立つ。掘削カラムは、陸上での掘削時にドリルヘッドをガイドする。この場合のカラムは、多くの場合、プロセス流体と最初の回収流体を通過させる断面を持つパイプである。繰り返しになるが、これらのパイプラインは、「腐食性が高く、時には研磨性である流体」にさらされる。したがって、腐食や摩耗に強いパイプラインが必要である。
【0003】
関係するパイプラインは、多くの場合、工場でライナーを設けられたり、例えば、スプールベースと呼ばれるものに装備されたりする。これは、とりわけ、腐食による損傷を防ぐのに役立つ。石油輸送パイプラインは、例えば、海に配置する前に陸上で、スプールベースと呼ばれるものの上に組み立てられ、ライナーが装備される。加えて、掘削孔のケーシング用パイプラインも、例えば、工場でライナーが設けられ、その後、掘削孔に挿入される。
【0004】
過大寸法のインライナーをパイプやパイプラインに挿入するための適切な方法は、以下の特許出願:
EP 0 562 706 A2、
EP 0 619 451 A1、
WO 95/27168、
WO 98/02293、
WO 01/16520、
WO 2007/023253、
EP 0 377 486 A2、
EP 0 450 975 A2、
EP 0 514 142 A2、および
WO 96/37725
に記載されている。
【0005】
パイプインライナーの外径は、ライニングされるパイプの外径よりもやや大きく設計されている。次に、該インライナーを挿入するために、その断面は、延伸、圧縮または折り曲げによって縮小される。インライナーを挿入した後、復元力により、インライナーがパイプの内壁に接触する。この手順は、圧力と熱を加えることによってアシストされ得る。このようにライニングされたパイプは、環状空間を持たない。しかしながら、パイプまたはパイプラインの内面がでこぼこなので、微細な空洞が残っている。この凹凸は、例えば表面粗さだけでなく、溶接によっても引き起こされる可能性がある。
【0006】
適切な挿入方法は、Swagelining(商標)などである。この方法では、インライナーパイプが突き合わせて溶接され、修復されるべきキャリアパイプの断面よりもいくぶん長い断面が得られると、インライナー断面は、スエージを通して引き込まれ、一時的にパイプの直径が減少する。したがって、これにより、インライナーを、キャリアパイプ内のより小さな内部パイプスペースに引き込むことができる。すべてのインライナーがパイプラインに引き込まれると、張力が緩和される。熱可塑性材料の回復挙動により、インライナーは、パイプラインの内壁にしっかりと当接するまで、初期の直径に戻ろうとする。その結果、インライナーとパイプラインの間に高い壁摩擦が生じ、インライナーの位置安定化につながり、例えば、パイプラインの膨張を超える流体膨張や熱効果によって引き起こされる縦方向の膨張を防ぐ。加えて、インライナーは、パイプ内面にぴったりとフィットするので、環状空間内の体積は非常に小さくなる。
【0007】
さらに適切な挿入方法は、Rolldown(登録商標)法である。この方法では、インライナーパイプを突き合わせ溶接法によって、最初に現場で(in-situで)取り付ける。挿入を可能にするために、Rolldownマシンで、対に配置されたローラーを使用して、インライナーの断面を縮小する。変形率は、通常、毎分1~3mである。挿入後、パイプ末端をシールし、インライナーを水圧で加圧する。その結果、インライナーは、元の直径に再度拡張し、パイプの内壁に密着する。Swageliningと比較すると、インライナーの挿入時に必要な引張力が小さいので、材料応力が低くなり、挿入速度が速くなる。
【0008】
これらの方法により、インライナーを工場ですでに挿入することもできる。
【0009】
折り曲げは、例えばEP 0 377 486 A2に記載されている。
【0010】
WO 2011/042732は、キャリアパイプラインよりも大きいかまたは同じ直径を有するインライナーを挿入するための別の方法を記載している。該文献では、インライナーを短いパイプ部分にどのように挿入し得るかが説明されている。この場合、インライナーは、スエージを通してキャリアパイプに挿入される。
【0011】
上述の挿入方法は、熱可塑性材料からなるライナーに関し、「地域暖房、淡水、廃水、ガス、石油、原油、または類似の流体を輸送したり、石油とガスの生産をうまく補強、ライニングしたり、あるいは油田およびガス田でのボーリング工事において掘削カラムとして機能したりするパイプ」をライニングするのに適している。
【0012】
記載されているすべての方法における欠点は、ガスがインライナーを透過し得ることである。したがって、ガスが、インライナーとキャリアパイプラインの間に位置するキャビティおよび/またはマイクロキャビティに流入する。ガス圧は、運搬される流体中のガスの分圧と平衡している。ラインで圧力変動が発生した場合、環状空間にあるガスが膨張する可能性がある。最悪の場合、ガスが一定の体積を占め、ライナーが放射状に折り曲がる可能性がある。この折り曲がりにより、キャリアパイプの断面が閉塞し、最悪の場合、流体が通過できなくなる。この故障は、当業者に崩壊として知られ、インライナーの主なタイプの故障である。この現象は、特に比較的急激な圧力変化が発生し得る条件下で、原油や天然ガスを輸送または運搬する場合、または超臨界COを輸送する場合に特に重大である。石油およびガス産業において、このような圧力変化は、「急速ガス減圧」(RGD)という用語で知られる現象である。
【0013】
したがって、そのような圧力変化を扱う方法は、例えば、三次鉱油抽出において必要とされる。三次油抽出法では、残留油用の溶媒として超臨界COを使用する。該溶媒では、残留油の粘度が低下し、含油層からの抽出が容易になる。COの場合、臨界温度は31℃で、臨界圧力は73.8バールである。実際には、超臨界COの溶解能は圧力とともに増加するので、非常に高い圧力が使用される。典型的な圧力は、75~220バールであり、温度は最大150℃である。
【0014】
超臨界COを輸送するパイプには、多くの場合、金属構造を腐食から保護するために、ポリマー製インライナーが装備されている。輸送パイプでは、ライナーは、通常、ポリエチレンからなる。しかし、例えば、ポリアミドまたはPVDFからなってもよい。
【0015】
原油パイプラインおよびガスパイプラインの運転中に、例えば、メンテナンス作業のためにラインが減圧され、急激な圧力低下が発生した場合、急激な圧力変化が発生する可能性もある。緊急停止した場合、そのような運搬、捕集または輸送パイプラインにおいて、急速な圧力低下が発生する可能性もある。
【0016】
金属パイプからのインライナーの脱離、およびその結果としてのインライナーの崩壊を防止するために、インライナーを金属パイプに接着する方法が知られている。したがって、例えば、JP06322346Aは、ホットメルト接着剤を用いてスチール管に接着可能なインライナーを記載している。別のアプローチは、EP 2 783 835 A1に開示されている。該文献では、インライナーを金属パイプに挿入し、パイプを外部から加熱して溶融させることで金属に組み付けている。
【0017】
EP 2 783 835 A1は、インライナーが2つ、3つ、またはそれ以上の層を含んでもよいと記載している。このため、キャリアパイプへの強固な接着を成すために、インライナーの外層を接着変性させてもよい。例えば、ポリオレフィンからなるインライナーのキャリアパイプへの接着は、インライナーが内側ポリオレフィン層を有し、後続の外側層が官能化ポリオレフィンからなるように最適化されてよい。加えて、ポリアミド成形組成物からなるインライナーの接着は、官能化ポリオレフィンからなるそのような外側層によって最適化されてよい。この文献では、異なる例示的な層順序が続いて言及されている。この種の多層プラスチックパイプは、自動車用燃料パイプの分野で長年知られている。しかしながら、この目的で利用可能な押出システムは、直径が小さいパイプ(すなわち、直径が50mmよりはるかに小さく、一般に直径が6~12mmのパイプ)用に設計されている。しかし、石油およびガス部門の用途では、はるかに大きな直径が必要である。用途に応じて、通常の内径は、1~10インチ(25.4~254mm)である。しかし、これらの直径を製造できるシステムは、通常、単層パイプの製造にしか使用できない。大口径用の既存の多層システムの改良や多層大型パイプ用の既存の単層パイプシステムの改良は、多くの時間とコストを要し、スペース不足のために、ほとんどの場合不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】EP 0 562 706 A2
【文献】EP 0 619 451 A1
【文献】WO 95/27168
【文献】WO 98/02293
【文献】WO 01/16520
【文献】WO 2007/023253
【文献】EP 0 377 486 A2
【文献】EP 0 450 975 A
【文献】EP 0 514 142 A2
【文献】WO 96/37725
【文献】WO 2011/042732
【文献】JP06322346A
【文献】EP 2 783 835 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、概説された欠点を回避し、かつ一方では通常使用されるライナー技術の優れた特性を有し、他方では上記の難点が生じないようにキャビティおよびマイクロキャビティを排除するプロセスを提供することである。
【0020】
この目的は、以下の工程:
a)金属パイプを準備する工程(これは、以下ではキャリアパイプとも呼ばれる)、
b)熱可塑性材料からなる管状のインライナーを準備する工程、
c)テープを前記管状インライナーにらせん状に接着する工程であり、前記テープの接触面領域は、前記インライナーの表面にしっかりと接着する成形組成物または接着剤からなり、かつ、前記テープの反対面領域は、前記金属パイプにしっかりと接着する成形組成物または接着剤からなり、前記テープは、一方向強化繊維を含み、
d)前記インライナーの断面を、外力にさらすことにより必要に応じて縮小する工程、
e)前記インライナーを前記金属パイプに挿入する工程、
f)接触圧力と任意の熱によって、前記インライナーと前記金属パイプを互いにしっかりと接着させる工程
を有する、内面が熱可塑性層でライニングされた金属パイプの製造方法によって、達成される。
【0021】
また、本発明は、請求項記載のパイプ、敷設されるパイプラインを製造するための前記パイプの使用、および請求項13記載のパイプラインにも関する。
【0022】
これに関して、2つの実施形態が一般的に可能である。
【0023】
第1の実施形態では、インライナーの外径は、パイプの内径よりもわずかに大きい。2つの直径の差は、少なくとも非常に小さい値である。典型的には、インライナーの外径は、パイプの内径より最大25%、好ましくは最大20%大きい。工程d)では、インライナーの断面は、一般に3~30%、好ましくは5~25%減少する。これは、例えば、先行技術に従って、延伸、圧縮または折り曲げによって達成され得る。
【0024】
第2の実施形態では、インライナーの外径は、パイプの内径と同じか、またはわずかに小さく、例えば最大で3%小さいので、インライナーを小さな力でパイプに挿入することができる(「ぴったりフィットするデザイン」)。必要に応じて、インライナーを挿入する前に、外力を加えることで断面を縮小してもよい;ただし、これは、第1の実施形態の場合よりも著しく小さくなり得る。それぞれのパイプの形状は、熱にさらされている際、ポリマー製インライナーの半径方向の熱膨張が、パイプの半径方向の熱膨張よりも大きくなるように選択され、したがって、インライナーは密接に接触し、必要な接触圧力が生じる。後者は、例えば圧縮空気によって内圧を加えることにより強化することができる。このようにして、工程f)時に、幾何学的固定を行うことができる。しかし、ポリマー製インライナーはまた、押出し工程の直後に、メモリー効果を備えることもでき、その結果、熱への曝露およびその後の冷却後に、外径が拡大する。この目的のために、ポリマー製インライナーは、後続の工程で、ダイスに通して引き抜かれ、冷間成形される(長手方向に伸ばされ、直径が縮小される)。この変形工程は、T未満の温度で行われるため、Tよりも高い温度でインライナーを熱すると、伸張が元に戻る。この方法は、このように前処理されたこれらのポリマー製ライナーの良好な貯蔵安定性を確保するので、例えばポリアリーレンエーテルケトンなどの、Tが高いポリマー製材料に特に適している。
【0025】
「パイプ」とは、狭義の意味で可搬セクションを意味すると理解される。そのようなパイプがいくつか組み立てられてパイプラインが作製される。この方法は、1m~50mのパイプ長に特に適しており、これらは、例えばねじ、フランジ、圧縮スリーブ、溶接などによって取り付け時に接着され、より長いパイプラインを提供する。
【0026】
パイプは、金属、例えば、鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、鋳鉄、亜鉛メッキ鋼、カドミウムめっき鋼、アルミニウム被覆金属、金属合金で被覆された鋼(例えばGALFAN)、または他の金属で構成されていることが好ましい。パイプの内面は、鋼、亜鉛、またはアルミニウム、鉄もしくは亜鉛を主成分とする合金で構成されることが特に好ましい。
【0027】
インライナーに適した材料は、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、フルオロポリマー、ポリアリーレンエーテルケトンまたはポリフェニレンスルフィドをベースとする熱可塑性成形組成物である。表現「をベースとする」は、成形組成物が、少なくとも50重量%程度、好ましくは少なくとも60重量%程度、特に好ましくは少なくとも70重量%程度、より好ましくは少なくとも80重量%程度、特に好ましくは少なくとも85重量%または少なくとも90重量%程度の関連するポリマーから構成されることを示す。
【0028】
本発明に従って使用することができるポリアミドは、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせから、α-アミノカルボン酸から、または対応するラクタムから生成することができる。原則として、任意のポリアミド(例えば、PA46、PA6、PA66)、またはこれをベースとする、テレフタル酸および/またはイソフタル酸由来の単位を有するコポリアミドを使用することができる。好ましい一実施形態では、モノマー単位は、平均して少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の炭素原子を有する。ラクタムの混合物の場合、ここで考慮されるのは算術平均である。ジアミンとジカルボン酸の組み合わせの場合、この好ましい実施形態におけるジアミンとジカルボン酸の炭素原子数の算術平均は、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個でなければならない。適切なポリアミドの例は、PA610(ヘキサメチレンジアミン[6炭素原子]とセバシン酸[10炭素原子]から生成される。したがって、モノマー単位中の平均炭素原子数は8個である。)、PA88(オクタメチレンジアミンと1,8-オクタン二酸から生成される。)、PA8(カプリロラクタムから生成可能)、PA612、PA810、PA108、PA9、PA613、PA614、PA812、PA128、PA1010、PA10、PA814、PA148、PA1012、PA11、PA1014、PA1212、およびPA12である。さらに、半芳香族ポリアミド、例えばPA66/6T、PA6/6T、PA6T/MPMDT(MPMDは、2-メチルペンタメチレンジアミンを意味する。)、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA14T、およびこれらの後者のタイプと脂肪族ジアミンおよび脂肪族ジカルボン酸との共重縮合物またはこれらの後者のタイプとωアミノカルボン酸もしくはラクタムとの共重縮合物は、良好な適合性を有する。ポリアミドの製造は先行技術である。これらの物質をベースとするコポリアミドを使用することも可能であり、カプロラクタムなどのモノマーを任意に共使用することも可能であることは理解されるであろう。
【0029】
また、ポリアミドは、ポリエーテルエステルアミドまたはポリエーテルアミドであってもよい。ポリエーテルアミドは、例えばDE-OS 30 06 961から原理的に知られている。それらは、コモノマーとしてポリエーテルジアミンを含む。適切なポリエーテルジアミンは、対応するポリエーテルジオールを、還元的アミノ化またはアクリロニトリルへのカップリングと後続の水素化によって転化することによって得られる(例えば、EP-A-0 434 244、EP-A-0 296 852)。前記ポリエーテルジアミンは、一般に数平均モル質量が230~4,000であり、一般にポリエーテルアミド中に好ましくは5~50重量%の割合で存在する。
【0030】
プロピレングリコール由来の市販のポリエーテルジアミンは、ELASTAMIN(登録商標)シリーズとしてHuntsman社から市販されている。また、原理的に非常に適しているのは、1,4-ブタンジオールまたは1,3-ブタンジオール由来のポリエーテルジアミン、または例えばジオール由来の単位がランダムにまたはブロックごとに分布した混合構造のポリエーテルジアミンである。
【0031】
同様に、十分に相溶性であれば、異なるポリアミドの混合物を使用することも可能である。混合可能なポリアミドの組み合わせは、当業者に既知であるか、あるいは所定の実験により決定することができる。
【0032】
可能性のある一実施形態では、30~99重量%、特に好ましくは40~98重量%、特に好ましくは50~96重量%の狭義のポリアミドと、1~70重量%、特に好ましくは2~60重量%、特に好ましくは4~50重量%のポリエーテルエステルアミドおよび/またはポリエーテルアミドと、の混合物を使用する。ポリエーテルアミドが好ましい。
【0033】
ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)である。原則として、市販のタイプを使用することができる。したがって、例として、高密度、中密度または低密度の直鎖ポリエチレン、LDPE、エチレン-アクリレートコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、アイソタクチック/アタクチックホモポリプロピレン、プロペンとエテンおよび/または1-ブテンとのランダムコポリマー、エチレン-プロピレンブロックコポリマーなどを使用できる。ポリオレフィンは、任意の既知のプロセス、例えば、チーグラー・ナッタプロセス、フィリップスプロセス、メタロセンの使用、またはフリーラジカルルートによって製造可能である。
【0034】
フルオロポリマーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、三級成分(例えば、プロペン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニルまたはフッ化ビニリデン(EFEPなど)を用いて変性されたETFE、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー(E-CTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペン-フッ化ビニリデンコポリマー(THV)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロペンコポリマー(FEP)、またはテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)であってもよい。最大40重量%の他のモノマー(例えば、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロペン、およびヘキサフルオロプロペン)を含むフッ化ビニリデンをベースとするコポリマーも有用である。
【0035】
ポリアリーレンエーテルケトンは、式
(-Ar-X-)および(-Ar’-Y-)
(式中、ArおよびAr’は、二価の芳香族基、好ましくは1,4-フェニレン、4,4’-ビフェニレン、または1,4-、1,5-もしくは2,6-ナフチレンである。Xは、電子吸引基、好ましくはカルボニルまたはスルホニルであり、Yは、O、S、CH、イソプロピリデンなどの別の基である。基Xの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%は、カルボニル基であり、一方、基Yの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%は、酸素で構成されている。)
の単位を有する。
【0036】
好ましい実施形態では、X基の100%がカルボニル基からなり、基Yの100%が酸素からなる。この実施形態では、ポリアリーレンエーテルケトンは、例として、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;式I)、ポリエーテルケトン(PEK;式II)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK;式III)、またはポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK;式IV)であってもよい。ただし、カルボニル基と酸素基の他の配置も当然可能である。
【化1】
【0037】
ポリアリーレンエーテルケトンは半結晶性であり、これは、DSC分析の例として、結晶融点Tの存在によって明らかである。ほとんどの場合、結晶融点は約300℃以上である。
【0038】
ポリフェニレンスルフィドは、式(-C-S-)の単位を有する。
それは、少なくとも50重量%、少なくとも70重量%、または少なくとも90重量%の前記単位から構成されることが好ましい。残りの単位は、ポリアリーレンエーテルケトンの場合に上記で述べたもの、または合成時にトリクロロベンゼンまたはテトラクロロベンゼンを例として併用することから生じる三官能性もしくは四官能性分岐剤単位であってよい。ポリフェニレンスルフィドは、多種多様なタイプまたは成形組成物で市販されている。
【0039】
成形組成物は、従来の助剤および添加剤、そして必要に応じてさらなるポリマーを含んでいてもよい。ポリアリーレンエーテルケトンの場合、例えば、PFA、ポリイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリエステルなどのLCP、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリベンズイミダゾール(PBI)などのフルオロポリマー、または高温耐性を有する他のポリマーであり、ポリフェニレンスルフィドの場合、例えば、コポリマー、およびエチレンと極性コモノマーとのターポリマーであり、ポリアミドの場合、耐衝撃性改良剤である。さらに、通常の添加剤が存在してもよく、例えば、可塑剤、顔料、繊維強化材料、加工助剤および安定剤である。成形組成物中のポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリオレフィンまたはフルオロポリマーの割合は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、特に好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%である。成形組成物は、分離相を形成する第2のポリマー成分を含まないことが好ましい。
【0040】
キャリアパイプの内径は、一般に最大2,000mm、好ましくは最大1,000mm、特に好ましくは最大500mmであり、内径の下限は20mm、好ましくは30mm、特に好ましくは40mmである。インライナーの壁厚は、1~100mmの範囲、好ましくは1.5~80mmの範囲、より好ましくは2~70mmの範囲である。
【0041】
インライナーは、好ましくは、熱可塑性成形組成物の押し出しにより作製され、連続パイプが得られる。次いで、これらは適切なセクションにカットされる。
【0042】
テープに適した材料は、好ましくは半結晶性ポリマー、例えば、オレフィン系ポリマー、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリアリーレンエーテルケトンまたはポリフェニレンスルフィドをベースとする成形組成物である。これに関連して、テープは、単層または複数層(例えば2、3または4層)を有していてもよい。この文脈において、テープは、インライナーに面する側および/または金属パイプに面する側に、接着性成形組成物または接着剤から構成される層を有してもよい。キャリアパイプに接着するために準備されたテープ層と、必要に応じてインライナーに接着するために準備された層は、感圧接着剤または架橋接着剤など構成されてよい。本発明の方法に関連する接着剤は、例えば、エポキシ樹脂接着剤、ポリウレタン接着剤、フェノール樹脂接着剤、ポリエステル樹脂接着剤(特に、イソシアネート末端基などの反応性末端基を有するもの)、ポリアミドホットメルト接着剤、シアノアクリレート接着剤、ポリスルフィド接着剤、光硬化接着剤および嫌気性硬化接着剤である。後者は、空気と金属の触媒作用を排除して硬化するので、外側テープ表面とキャリアパイプ間の接着に特に適している。取り扱いを容易にするために、接着剤層を、取り外し可能な保護フィルムで覆ってもよい。
【0043】
テープのいくつかの例示的な実施形態を以下に説明する。
ポリアミド成形組成物からなるインライナーの場合、テープは単層であってよい。例えば、それは、無水マレイン酸官能化ポリエチレンまたはポリプロピレンをベースとする成形組成物、ポリエーテルアミドの成形組成物、またはポリアミドの成形組成物のみからなり、これは、EP2783835A1の段落[0033]に記載されているような接着変性添加剤を含む。
【0044】
テープが2つの層を持つ場合もある。例えば、それは、ポリアミドまたは官能化ポリオレフィンをベースとする成形組成物の層から構成されていてもよく、それは、ポリアミドインライナーへの接着のために提供される側面に、エポキシ樹脂接着剤から構成される層を有する。
【0045】
さらに、テープは、3つの層を持つこともできる。例えば、それは、ポリアミドまたは官能化ポリオレフィンをベースとする成形組成物の層から構成されていてもよく、それは、両側にエポキシ樹脂接着剤の層、または代替として、ポリアミドインライナーへの接着のために準備された側面にエポキシ樹脂接着剤の層、そしてさらに、金属パイプへの接着のために準備された側面に嫌気性硬化接着剤の層を有する。
【0046】
ポリエチレンまたはポリプロピレン成形組成物からなるインライナーの場合、テープは単層であってよい。それは、例えば、無水マレイン酸官能化ポリエチレンまたはポリプロピレンをベースとする成形組成物からなる。
【0047】
テープが2つの層を持つ場合もある。例えば、それは、官能化ポリエチレンまたはポリプロピレンをベースとする成形組成物の層から構成されていてもよく、それは、金属パイプに接着するために準備された側面に、エポキシ樹脂接着剤または嫌気性硬化接着剤から構成される層を有する。
【0048】
さらに、テープは、3つの層を持つこともできる。例えば、それは、官能化されたポリエチレンまたはポリプロピレンをベースとする成形組成物の層で構成されていてもよく、それは、ポリオレフィンインライナーへの接着のために準備された側面に、非官能化ポリエチレンまたはポリプロピレンの層、そして金属パイプへの接着のために準備された側面に、エポキシ樹脂接着剤または嫌気性硬化接着剤の層を有する。
【0049】
テープの幅は、パイプの直径による。典型的な幅は、約20mm~約700mmの範囲、好ましくは約30mm~約500mmの範囲である。テープの厚さは限られているので、容易にコイル状に巻きつけるためには、一方では機械的に十分に安定であり、他方では十分に柔軟でなければならない。したがって、実際には、テープは、通常、0.05mm~3mmの範囲、好ましくは0.1mm~2mmの範囲の厚さを有する。
【0050】
テープの断面は長方形であってよい。また、側面に凹部があってもよく、これにより、重なり合う領域が相互にかみ合い、巻きつけられたテープに実質的に滑らかな表面を与える。
【0051】
テープは、張力下でインライナーにらせん状に巻かれ、接触圧力による摩擦によりベースに取り付けられる。この文脈において、インライナーの外面を実質的にシームレスに、好ましくは実質的に完全にシームレスに覆うために、テープは、端から端まで巻きつけられることに留意されたい。可能なら、重複や間隙は避けるものとする。テープ層を折り目なしで巻きつけることが可能である限り、巻きつけ角度は、原則的に何の役割も果たさない。巻きつけは、巻きつけ張力またはプレス装置によって発生する接触圧力下で行われる。
【0052】
テープの引張強度を高めるために、1つまたは複数のテープ層が一方向強化繊維を含む。テープは、テープの体積に対し、好ましくは3~20体積%、好ましくは5~19体積%、特に好ましくは10~18体積%の強化繊維を含む。その特定の実施形態は、3層以上から構成されるテープであり、(3層テープの場合は)中間層または(3層以上から構成されるテープの場合は)少なくとも1つの中間層が一方向強化繊維を含む。この場合、繊維含有量は、繊維強化テープ層の体積に対し、好ましくは3~40体積%、より好ましくは10~38体積%、特に好ましくは20~36体積%の範囲である。一方向強化繊維は、一般に、テープの軸方向を向いている。1つまたは複数のテープ層の繊維は、好ましくは連続繊維である。
原則的に、十分な長さを有するすべての繊維が適しており、その軟化温度および熱抵抗は、マトリックス成形組成物の加工温度を超える。無機繊維、ポリマー繊維および天然繊維、そしてそれらを互いに組み合わせたものも使用可能である。適切な繊維の例は、金属繊維、ガラス繊維、好ましくはS1ガラス、S2ガラスからなるガラス繊維、炭素繊維、金属化炭素繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維(例えば、AlまたはSiOからなるもの)、玄武岩繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、アラミド繊維、液晶ポリエステルからなる繊維、ポリアクリロニトリル繊維、そしてポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリマーからなる繊維である。
繊維の断面は、例えば、円形、長方形、卵形、楕円形または繭形であってよい。円形形状から逸脱した断面の繊維(例えば、平らなガラス繊維)を使用すると、完成品の繊維の充填レベルが高くなり、強度を高めることができる。
市販の繊維は、通常、ポリマーマトリックスに接着するための官能基を備える領域をその表面に有する。本発明の目的のためにその領域が有用である場合があるが、原則的には必要ではない。該領域を有する繊維を使用することが好ましく、該領域はポリマーマトリックスに反応性であることがより好ましい。
【0053】
インライナーとテープ間の接着は、圧力のみで、必要に応じて架橋反応と圧力を組み合わせて、または熱溶接によって成すことができる。インライナーとテープを溶着する場合、両接触面が溶融していることが好ましい。一実施形態では、2つの接触面は、例えば赤外線放射、熱風、高温ガス、レーザー放射、マイクロ波放射によって、あるいは、直接、接触加熱によって最初に溶融される。次いで、溶融された接触面は、例えば、巻きつけ張力によって、または、ローラーまたはジョー等の接触体によって、互いに押し付けられる。その後、溶融領域が固化するまで接触圧力を維持しなければならない。さらなる可能な実施形態では、テープを巻きつけた後、加熱可能な接触体によって、間接的または直接的に外部から溶融する。その後、溶融領域が固化するまで接触圧力を維持する。この方法は、例えばWO2012/118379に記載されているように、巻きつけステーションと後続の下流の統合ステーションとによって行われ得る。
【0054】
インライナーは、例えば上で概説したような従来技術に従って、既知の方法でキャリアパイプに挿入される。
【0055】
インライナーとキャリアパイプ間の接着は、圧力のみにより、必要に応じて架橋反応と圧力を組み合わせて、または熱溶接により成すこともできる。圧力は、回復力、インライナーの熱膨張、または水や空気圧によって外部から加えられた内部圧力によって生じてよい。熱溶接の場合、パイプは外部または内部から加熱され、その場合、工業的に適切なプロセスを使用してよい。例えば、キャリアパイプまたはインライナーを、熱風、熱蒸気、電磁誘導またはIR放射によって加熱する。この場合、使用温度は、貼り付けたテープの外面材料の溶融温度よりも、少なくとも10K、特に好ましくは少なくとも20K、より好ましくは少なくとも30K、特に好ましくは少なくとも40K高くなければならない。溶融温度とは、2回目の加熱時にISO 11357に従って測定された成形組成物の結晶融点T、または非結晶性材料の軟化点を意味する。該温度を、少なくとも10秒間、好ましくは少なくとも20秒間、特に好ましくは少なくとも30秒間、特に好ましくは少なくとも40秒間維持することが一般的に推奨される。
【0056】
パイプが、貼り付けたテープの外面材料の軟化または溶融範囲を超える温度に加熱されると、テープの外面が溶融し、回復力、インライナーの熱膨張または外部から加えられた内部圧力により生じた接触圧力が、溶融物を、テープとパイプの間のマイクロキャビティに押し込む。これにより、環状空間が排除される。透過ガスはもはや蓄積することができず、その結果、運搬される流体の圧力変動でインライナーの崩壊が起こることはない。
【0057】
次に、温度を下げる。この場合、パイプを、例えば自然な方法で、好ましくはエアロックによって、特に好ましくは水冷によって、冷却してよい。貼り付けたテープの外面がもう一度固化するように、十分に冷却する必要がある。通常は、周囲温度まで冷却する。
【0058】
冷却後、貼り付けたテープ材料とパイプ材料の間にグリップが残り、接着力も残る。したがって、さらなる利点として、インライナーとキャリアパイプ間の相対的な動きも防止される。
【0059】
本発明によれば、高い機械的強度、良好な摩耗特性、良好な引っかき抵抗性、および挿入されたインライナーの最適な厚さにより、良好な腐食保護と良好な摩耗保護の両方を同時に確保することができる。ポリマー性インライナーの非常に滑らかな内面は、非常に低い流動抵抗も確保する。これにより、搬送プロセスに必要なエネルギー(特にポンプの動力)が少なくなる。同時に、ワックス、塩またはバイオフィルムなどの内壁への付着物や汚染物質を確実に減少させる。同時に、圧力変動時にインライナーが崩壊するリスクが、本発明による方法によって除かれる。このため、本発明によるパイプによって製造されたパイプラインは、特に比較的急速な圧力変化が起こりやすい条件下での、原油もしくは天然ガスの運搬もしくは輸送、または超臨界COの輸送に特に有利に使用できる。