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特許7195316回転ディスク内に配置された回転カートリッジ内のサンプルに合焦する固定ビームの焦点を制御するための方法および装置
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  • 特許-回転ディスク内に配置された回転カートリッジ内のサンプルに合焦する固定ビームの焦点を制御するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】回転ディスク内に配置された回転カートリッジ内のサンプルに合焦する固定ビームの焦点を制御するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/07 20060101AFI20221216BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20221216BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G01N21/07
G01N35/00 D
G01N37/00 101
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020525882
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018080079
(87)【国際公開番号】W WO2019091880
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】20171780
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】316003988
【氏名又は名称】スピンチップ・ディグノスティックス・アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オレ・クリスチャン・トロンルッド
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・ヤーレン
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ステンマルク
(72)【発明者】
【氏名】スティグ・モートン・ボルチ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-202736(JP,A)
【文献】特開2010-102984(JP,A)
【文献】特開2012-006125(JP,A)
【文献】特開2008-008875(JP,A)
【文献】特表2017-504027(JP,A)
【文献】国際公開第03/083491(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284998(US,A1)
【文献】特開昭60-238760(JP,A)
【文献】国際公開第2011/081531(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01N 33/00 - G01N 33/98
G01N 35/00 - G01N 37/00
B04B 1/00 - B04B 15/12
B01L 1/00 - B01L 99/00
G02B 7/28 - G02B 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ(35)内部に配置された処理結果(10)の特性を判定するために前記処理結果(10)上の目標点の位置をフォーカシングセンサーシステム(20)の焦点に対して制御するための方法であって、前記フォーカシングセンサーシステム(20)が、コントローラに接続された第1のモーターによって第1の軸(45)の周りを回転可能なディスク(40)に対してセット位置に固定されており、前記カートリッジ(35)が、コントローラに接続された第2のモーターによって第2の軸(50)の周りを回転可能であり、前記カートリッジ(35)が、前記ディスク(40)よりも小さく、前記ディスク(40)内の、前記ディスク(40)の中心から外れた位置に配置され、前記方法が、
a)前記カートリッジ(35)内の点を前記フォーカシングセンサーシステム(20)の初期焦点(55)として定義するステップであって、前記初期焦点(55)が点(r,θ)であり、rが前記カートリッジ(35)の半径の一部であり、θが、前記カートリッジ(35)上の第1の基準点(65)と前記初期焦点(55)との間の角度である、ステップと、
b)前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記初期焦点(55)が前記カートリッジ(35)内の前記点(r,θ)に対応するように前記カートリッジ(35)および前記ディスク(40)について設定すべき角度位置φおよびΘを決定することによって、前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記焦点が前記初期焦点(55)に対応するように前記カートリッジ(35)およびディスク(40)の回転を制御するステップであって、前記カートリッジ(35)の角度Θが前記カートリッジ(35)上の前記第1の基準点(65)に対して決定され、前記ディスク(40)の角度φが前記ディスク(40)上の第2の基準点に対して決定される、ステップと、
c)前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記初期焦点(55)が前記処理結果(10)上の前記目標点に対応するかどうかを確認し、前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記焦点が前記処理結果(10)上の前記目標点に対応するように前記カートリッジ(35)およびディスク(40)の回転を調整するステップと、
d)前記目標点における前記処理結果(10)の特性を判定するために、前記フォーカシングセンサーシステム(20)から受信された信号を検出し検査するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記初期焦点(55)が前記処理結果(10)上の前記目標点に対応するかどうかを確認するステップは、前記カートリッジ(35)内の前記処理結果(10)および前記カートリッジ内の前記初期焦点(55)の画像を捕捉し、捕捉された画像内の(x,y)目標位置を前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記初期焦点(55)と比較することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理結果(10)の画像をカメラ(70)によって捕捉することによる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カメラ(70)によって捕捉された画像の露光を改善するために拡散光源(25)からの拡散光(30)によって前記カートリッジ(35)を照明することによる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記拡散光源(25)を前記カートリッジ(35)の下方に位置決めし、前記カメラ(70)を前記カートリッジ(35)の上方に位置決めすることによる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
LED光を前記拡散光源(25)として使用することによる、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記初期焦点(55)が前記処理結果(10)の前記目標点に対応しない場合、前記フォーカシングセンサーシステム(20)の焦点が処理結果(10)の前記目標点に対応するまで前記カートリッジ(35)およびディスク(40)の増分的な回転を行う、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記処理結果(10)のある領域が、
- 前記フォーカシングセンサーシステム(20)が前記目標点に対応する前記カートリッジ(35)内の点(r,θ)に合焦するように、前記ディスク(40)およびカートリッジ(35)を角度φおよびΘに回転させ、
- 前記ディスク(40)およびカートリッジ(35)を、前記処理結果(10)のある領域にわたって等間隔のステップで旋回させることによって前記処理結果(10)の特性を反復的に検出すること
により、前記フォーカシングセンサーシステム(20)によって走査される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ある領域から検出された特性が平均または積分される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フォーカシングセンサーシステム(20)としてビーム光源を使用するステップを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ビーム光源としてレーザーを使用するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
カートリッジ(35)内部に配置された処理結果(10)の特性を判定するために前記処理結果(10)の目標点をフォーカシングセンサーシステム(20)の焦点に対して制御するための装置であって、前記フォーカシングセンサーシステム(20)が、コントローラに接続された第1のモーターによって第1の軸(45)の周りを回転可能なディスク(40)に対してセット位置に固定されており、前記カートリッジ(35)が、コントローラに接続された第2のモーターによって第2の軸(50)の周りを回転可能であり、前記カートリッジ(35)が、前記ディスク(40)よりも小さく、前記ディスク(40)内の、前記ディスク(40)の中心から外れた位置に配置される装置において、
- 前記コントローラは、前記ディスク(40)およびカートリッジ(35)の回転を決定し、前記第1および第2のモーターを制御して、前記固定されたフォーカシングセンサーシステム(20)の前記焦点が前記カートリッジ(35)内の初期の定められた焦点(55)に対応するように前記ディスク(40)およびカートリッジ(35)を角度位置φ、Θに回転させるための手段を備え、前記装置は、
- 前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記焦点が前記処理結果(10)上の前記目標点に対応するように前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記焦点を確認および制御するための手段と、
- 前記目標点における前記処理結果(10)の特性を検査し判定するために、前記フォーカシングセンサーシステム(20)から受信された信号を検出する検出器(60)と、をさらに備えることを特徴とする装置。
【請求項13】
前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記焦点が前記目標点に合焦していることを確認および制御するための前記手段は、前記カートリッジ(35)内の前記処理結果(10)および前記フォーカシングセンサーシステム(20)の前記焦点の画像を捕捉するためのデバイスである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記カートリッジ(35)を照明するための拡散光(30)を提供する光源(25)をさらに備える、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記光源(25)は、前記カートリッジ(35)の下方に位置決めされ、画像を捕捉するための前記手段は前記カートリッジ(35)の上方に位置決めされる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記フォーカシングセンサーシステム(20)はレーザーセンサーシステムである、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記フォーカシングセンサーシステム(20)、検出器(60)、および画像を捕捉するための前記手段は、同じ構造内に一体化される、請求項12から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
動デバイス(85)と、前記作動デバイス(85)を制御するコントローラとをさらに備え
前記作動デバイス(85)から延在する係合手段(80)が前記ディスク(40)の縁部に係合して、前記ディスク(40)の角度安定性を改善する、請求項12から17のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ内のサンプルを処理するための遠心分離装置の分野に関し、より詳細には、カートリッジ内の処理結果に合焦し、それを分析する測定システムの焦点を制御するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離によってカートリッジ内のサンプルを処理するための遠心分離装置が周知であり、このような装置は化学プロトコルおよび生化学プロトコルの不可欠な部分である。細胞、粒子、および沈殿物の堆積、および異なる密度を有する液体または細胞の分離を実行するためにサンプルを加速することによって処理が行われる。
【0003】
二軸遠心分離は一般に、カートリッジが遠位軸の周りで分離手段によって回転させられる間、カートリッジをその軸の周りで回転させることを実施する装置において得られる。
【0004】
特許文献1(Borchら)は、サンプル処理デバイス用の二軸遠心分離装置が開示されるそのようなシステムの例について説明している。サンプル用の処理デバイスであるカートリッジが、デバイス自体の軸の周りを回転するデバイスにおいて保持手段内に配置される。このデバイスは、それよりも大きい回転デバイスまたはディスク内に設置される。機械的伝達デバイス、コントローラ、およびモーターによって、各回転デバイスの回転速度が個々に制御される。その場合、カートリッジをそれ自体の軸の周りに回転させるとともに遠位軸の周りに回転させることができる。
【0005】
サンプルは、カートリッジ内に配置され固定された後、カートリッジの軸の周りでの制御された一連の回転、それにより遠心力によって遠位軸の周りでの制御された一連の回転を受け、液体サンプルおよび液体試薬が制御された方向でカートリッジ内の異なる流路およびマイクロ流体キャビティ内に流れ込むことになる。これらの流路およびマイクロ流体キャビティは一般に、異なる流体試薬を処理し、遠心分離プロセス中にそれらの試薬をサンプルと接触させる。
【0006】
サンプルが遠心分離および異なる流体試薬にさらされたとき、異なる特性を判定するために処理結果を検査する必要がある。このことを行う様々なやり方がある。
【0007】
特許文献2(Agren Tomasら)は、マイクロスケール液体サンプル量を分析するための機器内に回転駆動装置を有する別の検出器構成(detector arrangement)について説明している。しかし、これは単一軸遠心分離装置である。遠心力によって液体量を流量制御するためにマイクロ流体構造が形成された円板状の基板に含まれる液体サンプル量を走査するための検出器構成が考えられる。この構成は、第1の平面において線形変位され位置決めされるように制御され案内される検出器を備える。駆動ユニットは、前記第1の半径方向平面内の検出器の位置を増分的に変化させ、回転ディスク上に配置された各マイクロキャビティの半径方向に隣接する部分を連続的に走査するように動作可能である。
【0008】
特定の物質または被検物質を分析する一般的な方法では、一般にバイオマーカーである目標物質または被検物質に選択的に結合する固体相が使用される。いくつかのアッセイでは、固体相はその表面上に、バイオマーカーに特異的に結合する特定の捕捉分子を保持し表示することがある。前記バイオマーカーを検出し定量するために、固体相-バイオマーカー複合体が、固体相-バイオマーカー-トレーサー複合体を形成する1つまたは複数のトレーサー物質に付着させた別の1組のバイオマーカー固有結合分子に反応することもある。競合イムノアッセイなどの他のアッセイでは、サンプル中のバイオマーカーが固体相との結合においてトレーサー物質を保持する規定量のバイオマーカーと競合する。関連する特定のバインダー、ならびに様々な種類の固体相材料およびトレーサー物質を含む目標被検物質を構成し使用する多数の方法がある。
【0009】
処理結果を検査する1つの方法として、光源をカートリッジの方へ向け、カメラを使用して、カートリッジを透過した得られる光またはカートリッジの内部の処理結果から反射した光を撮像することがある。光源は、たとえば、ストロボ光を放出するように構成されたストロボ光源であってもよく、または連続光を放出するように構成された通常の光源であってもよい。ストロボ光源は、フラッシュを発生させるのに使用されるデバイスである。各々のそのようなフラッシュの持続時間は非常に短いことがあり、一般には数マイクロ秒である。ストロボによって発生するフラッシュの周波数は、カートリッジの回転に直接または間接的に連係させることができる。したがって、フラッシュは、カートリッジが規定の位置または角度にあるときに周期的に出現するように制御されてもよい。カメラのシャッターを開いたままにすることによって、ストロボ光源から光が放出されるたびに画像が露光される。
【0010】
光を吸収し、散乱させ、または放射させる任意の材料、構造、または表面が検出され、撮像され、ならびに/または測定されてもよい。
【0011】
カートリッジ全体にわたる液体の移動に追従するようにカートリッジが完全に見られるようにカメラが配置されてもよい。カメラは、カートリッジ内の処理結果の一部のみに合焦するように配置されてもよい。
【0012】
カメラは、カートリッジおよびその内容物の写真またはビデオを撮り、カートリッジID(たとえば、カートリッジ上のバーコード)、カートリッジの内容物、エラー、カートリッジ内の流体移動、光学密度、色解析情報などを検出することを含む、様々な用途を有することができる。
【0013】
カメラに加えて、カートリッジ内の処理結果の特性を検出するための他の手段を使用することができる。これはたとえば、フォトダイオード、光電子増倍管、アバランシェダイオード、多光子画素カウンター、などであってもよく、光源は、上述のストロボ光源またはレーザーであってもよい。光の検出に加えて、たとえば、音響センサー、磁気センサー、または放射線センサーによって他の特性を検出することができる。
【0014】
使用されるトレーサーは、光学的手段、化学的手段、電気的手段、磁気的手段、放射性手段、またはそれらの組合せのいずれかによって検出され測定されることがある任意の種類の物質とすることができる。さらに、トレーサー物質は、粒子として形成されてもよくまたは粒子に関連付けられてもよい。光学的手段によって頻繁に使用され検出されるそのような粒子は、金属コロイド(金、銀、鉄など)、量子ドット、染料または蛍光色素を含有するかまたは保持するポリマー(ラテックス)粒子、酵素またはアップコンバージョンナノ粒子(UCNP)などの無機結晶を含む信号発生分子を保持するポリマー、シリカ、または他の粒子を含む。トレーサー物質または担体として使用される粒子は通常、一般に2nmから200nmの間のナノメートル範囲であるが、状況によっては100μmまでのより大きい粒子が使用されてもよい。それぞれ固体相およびトレーサー物質に付着させるバイオマーカー固有分子はたとえば、目標バイオマーカーに特異的に結合し、その場合抗原と呼ばれる抗体であってもよい。抗体の代替物は、核酸プローブ、アビジン/ストレプトアビジン、レクチン、およびアプタマー、ならびに配位子(すなわち、被検物質または被検物質の一部)の規定の分子構造を認識しそのような分子構造に特異的に結合する任意の(生体)受容体を含む。自然内のすべてのタンパク質の大部分は、大きい分子または小さい分子の規定の構造であることがある何らかの配位子にほぼ特異的に相互作用する。通常、結合が特異的であり親和性が高いほど、受容体配位子系は、分析アッセイを設計するのに適している。
【0015】
固体相-バイオマーカー-トレーサー物質複合体を定量するには、トレーサー物質が特定および測定を可能にする特定の特性を表示しなければならない。光学読取りシステムは、検出器がアッセイデバイスの外部に配置されるときに特に好都合であることが多い。光学的トレーサー物質の特性は、透過率または反射率によって測定される光吸収、光散乱、ならびに光回折および化学発光のような発光現象、蛍光、アップコンバージョン燐光、ならびにそれらの組合せを含む他の特性を含む。これらの現象は一般に、色を測定する際に、蛍光および燐光、回折、プラズモン効果などの発光と呼ばれる。
【0016】
数nmの小さい合焦領域は、サイズが小さい場合がある少数のトレーサーを検出するのを可能にする。強度が高く幅が狭い光線をフォーカシングセンサーシステム、たとえばレーザー光線センサーシステムにおいて使用することができる。
【0017】
しかし、合焦領域が狭いと、フォーカシングセンサーが処理結果のどこに合焦しているかを正確に制御するための高い精度が必要になる。
【0018】
たとえば回転カートリッジの上方または下方に固定レーザーを有する二軸構成の場合、カートリッジを保持する回転する主ディスクの回転を、目標点にレーザー光線が当たるように正確に制御しなければならない。処理結果上の目標点が定められ、ディスクの回転がそれに応じて制御されるとしても、実際の目標点は、様々な要因、たとえばカートリッジの異なる製造公差、異なる温度などに起因してカートリッジごとにわずかに異なることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】国際公開第2011/081531号
【文献】米国特許出願公開第2003082075号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、処理結果の特性を正確に検出するには、フォーカシングセンサーの焦点の厳密な位置、たとえば、レーザー光線が処理結果に当たっている場所を知ることが重要である。処理結果上のこの実際の焦点は、処理結果の領域を走査する際の開始点となることもある。
【0021】
本発明は、焦点検出器によって処理結果の特性を判定するために処理結果上の焦点の厳密な位置を厳密にかつ非常に正確に制御するための方法および装置であって、処理結果がカートリッジ自体の軸の周りならびに遠位軸の周りを回転するカートリッジ内にある間、焦点検出器が固定されている、方法および装置を導入する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、カートリッジ内部に配置された処理結果の特性を判定するために処理結果上の目標点の位置をフォーカシングセンサーシステムの焦点に対して制御するための方法および装置によって定義される。
【0023】
フォーカシングセンサーシステムは、コントローラに接続された第1のモーターによって第1の軸の周りを回転可能なディスクに対してセット位置に固定されている。カートリッジは、コントローラに接続された第2のモーターによって第2の軸の周りを回転可能であり、カートリッジは、ディスクよりも小さく、ディスク内の、ディスクの中心から外れた位置に配置される。
【0024】
この方法は、
a)カートリッジ内の点をフォーカシングセンサーシステムの初期焦点として決定するステップであって、初期焦点が点(r, θ)であり、rがカートリッジの半径の一部であり、θが、カートリッジ上の第1の基準点と初期焦点との間の角度である、ステップと、
b)フォーカシングセンサーシステムの初期焦点がカートリッジ内の点(r, θ)に対応するようにカートリッジおよびディスクについて設定すべき角度位置φおよびΘを決定することによって、フォーカシングセンサーシステムの焦点が初期焦点に対応するようにカートリッジおよびディスクの回転を制御するステップであって、カートリッジの角度Θがカートリッジ上の第1の基準点に対して決定され、ディスクの角度がディスク上の第2の基準点に対して決定される、ステップと
c)フォーカシングセンサーシステムの初期焦点が処理結果上の目標点に対応するかどうかを確認し、フォーカシングセンサーシステムの焦点が処理結果上の目標点に対応するようにカートリッジおよびディスクの回転を調整するステップと、
d)フォーカシングセンサーシステムから受信された信号を検出し検査して目標点における処理結果の特性を判定するステップと、によって定義される。
【0025】
この方法のさらなる特徴は特許請求の範囲において定義される。
【0026】
本発明による装置は、ディスクおよびカートリッジの回転を決定し、第1および第2のモーターを制御して、固定されたフォーカシングセンサーシステムの焦点がカートリッジ内の初期の定められた焦点に対応するようにディスクおよびカートリッジを角度位置φ、Θに回転させるための手段を有するコントローラを備える。
【0027】
装置は、フォーカシングセンサーシステムの焦点が処理結果上の目標点に対応するようにフォーカシングセンサーシステムの焦点を確認および制御するための手段と、フォーカシングセンサーシステムから受信された信号を検出し、目標点における処理結果の特性を判定するための検出器とをさらに備える。
【0028】
装置のさらなる特徴は、特許請求の範囲において定義される。
【0029】
本発明について以下の図を参照することによって詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】回転カートリッジを保持する主回転ディスクと、この例では光線を備えるフォーカシングセンサーシステムが処理結果に当たることを制御するための手段とを備える本発明による遠心分離装置の主要部分の概略図である。
図2】カートリッジおよびフォーカシングセンサーシステムの定められた焦点の一例を示す図である。
図3】カートリッジ内の処理結果用の目標点を見つけるための、関連する異なるステップの概要を示すフローチャートである。
図4】ディスクおよびカートリッジの旋回を使用した走査パターンを示す図である。
図5】二軸回転装置を使用してある領域を走査するための、関連する異なるステップを示すフローチャートである。
図6a】LED光を使用することによって処理結果から反射された光の図である。
図6b】レーザー光を使用することによって処理結果から反射された光の図である。
図7】本発明の一実施形態による遠心分離装置の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、カートリッジ内のサンプルを処理するための遠心分離装置に関する。より詳細には、本発明は、カートリッジ内部に配置された処理結果の特性を判定するために処理結果の目標点をフォーカシングセンサーシステムの合焦点に対して制御するための方法および装置によって定義される。
【0032】
様々な種類の測定原則を使用して処理結果の特性、たとえば、音響特性、磁気的特性、放射性特性、および光特性を検査して判定することができる。本発明によるフォーカシングセンサーシステムは、処理結果の特性を測定するのに適した任意の種類のシステムとすることができる。異なる特性を検出する2つ以上のフォーカシングセンサーシステムを使用することも実現可能である。
【0033】
処理すべきサンプルは任意の種類のサンプルとすることができる。サンプルはたとえば、血液などの流体または液体のサンプルであってもよい。
【0034】
処理結果を検査する前に、たとえば一滴の血液などのサンプルがカートリッジ内に置かれ、回転ディスク内のカートリッジの回転速度および向きを制御することによって処理される。カートリッジの向きを遠心力に対して修正することによって、サンプルおよび試薬がカートリッジ内の異なる流路またはマイクロ流体キャビティ内に送られる。一般に、これらの流路およびマイクロ流体キャビティはまた、サンプルと反応する異なる流体試薬を処理する。サンプルの遠心分離処理の後、様々な処理結果がカートリッジの異なる領域内に位置することがある。フォーカシングセンサーシステムによって分析すべき1個から数100個のスポットがある場合がある。
【0035】
カートリッジの異なる領域内に配置される処理結果を検査することによって、サンプルの異なる特性を確定することができる。カートリッジおよびその内部キャビティの形状は一般に知られている形状である。したがって、検査すべき処理結果の特定の目標点を判定することができる。
【0036】
図1は、本発明による遠心分離装置の主要部分の概略図を示す。この装置は、カートリッジ35を保持するディスク40を備える。フォーカシングセンサーシステム20、この例では、光線15を送るビーム光源が、処理結果10を備えるカートリッジ35に向けられる。フォーカシングセンサーシステム20は、ディスク40に対してセット位置に固定されている。ビーム光源は、処理結果10を分析することを可能にする。
【0037】
ディスク40は、コントローラ(図示せず)に接続された第1のモーターによって第1の軸45の周りを回転可能である。カートリッジ35は、コントローラ(図示せず)に接続された第2のモーターによって第2の軸50の周りを回転可能である。カートリッジ35は、ディスク40よりも小さく、ディスク40における、ディスク40の中心から外れた位置に配置される。
【0038】
コントローラは、ディスク40およびカートリッジ35の回転を決定し、第1および第2のモーターを制御して、固定されたフォーカシングセンサーシステム20の焦点がカートリッジ35内の初期の定められた焦点55に対応するようにディスク40およびカートリッジ35をそれぞれの角度位置φ、Θに回転させるための手段を備える。
【0039】
装置は、フォーカシングセンサーシステム20の焦点が処理結果10の目標点に対応するようにフォーカシングセンサーシステム20の焦点を確認および制御するための手段をさらに備える。
【0040】
装置は、フォーカシングセンサーシステム20から受信された信号を検出して目標点における処理結果10の特性を検査し判定するための検出器60をさらに備える。
【0041】
本発明の一実施形態では、フォーカシングセンサーシステム20の焦点が処理結果10に合焦することを確認および制御するための手段は、カートリッジ35内の処理結果10およびフォーカシングセンサーシステム20の焦点の画像を捕捉するためのデバイスである。画像から、カートリッジ35の形状を視覚化することができ、カートリッジ35の形状は、処理結果10がカートリッジ35内のどこに配置されているかを示す。
【0042】
一実施形態では、画像はカメラ70によって得られる。その場合、一実施形態では、カートリッジ35を照明するための拡散光30を発するための拡散光源25が装置に含まれてもよい。
【0043】
拡散光源25は、一実施形態ではカートリッジ35の下方に設置されたLEDライトである。カメラ70がカートリッジ35の上方に取り付けられることによって、処理結果10の写真が背面照明される。光源は、カートリッジ35の、カメラ70と同じ側に取り付けることもできる。
【0044】
一実施形態では、フォーカシングセンサー20、検出器60、およびカメラ70はすべて、図1に示すようにカートリッジ35およびディスク40の上方に配置された同じ構造内に一体化される。フォーカシングセンサー光源20と検出器60は、本発明の一実施形態ではレーザーセンサーシステムとすることができる。
【0045】
カメラ70による写真は、カートリッジ35の形状を視覚化するのを可能にし、それによって、カートリッジ35上のどこに処理結果10が配置されているかを監視するのを可能にする。このことを使用して、回転ディスク40およびカートリッジ35の回転を微調整して、カートリッジ35内の処理結果を光線15に対して厳密に位置決めすることができる。
【0046】
本発明はまた、処理結果10の目標点をフォーカシングセンサーシステム20の焦点に対して制御するための方法を含む。
【0047】
この目的は、上述のカートリッジ35内部に配置された処理結果10の特性を判定することである。
【0048】
この方法によれば、フォーカシングセンサーシステム20は、コントローラに接続された第1のモーターによって第1の軸45の周りを回転可能なディスク40に対するセット位置に固定されて配置され、カートリッジ35は、コントローラに接続された第2のモーターによって第2の軸50の周りを回転可能であり、カートリッジ35は、ディスク40よりも小さく、ディスク40における、ディスク40の中心から外れた位置に配置される。
【0049】
図1に示す例では、フォーカシングセンサーシステム20はビーム光源であり、光線15によって照明された処理結果10からの反射光が検査され、処理結果10の特性が判定される。処理結果10は、たとえば、化学反応の最終生成物、または流体回路において行われるサンプルのアッセイにおいて得られる分析ビードの組であってもよい。
【0050】
代替分析および制御システムならびに/または追加の分析および制御システムが、たとえば特許文献1(8ページ31行目~10ページ23行目)に記載されており、特許文献1は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
図2は、内部形状を有するカートリッジ35と、光線15についての初期焦点55として定められた点、すなわち、フォーカシングセンサーシステム20の例を示す。サンプルは、遠心分離を受けた後、カートリッジ35の異なる領域に送り込まれる。サンプルの特定の処理結果10を検査する場合、光線15が当たる領域を定めなければならない。図2はまた、処理結果を照明する拡散光30を示す。
【0052】
図3は、フォーカシングセンサーシステム20の焦点をカートリッジ35内の処理結果10上の目標点に一致させるための本発明による方法に関連する異なるステップの概要を示す。
【0053】
以下では、点およびスポットという用語の異なる定義について説明する。目標点は、検査すべき処理結果上の固定点である。処理結果10は、カートリッジ35内部に配置される。焦点は、フォーカシングセンサーシステム20が現在合焦している点である。初期焦点55は、処理結果10が配置されると考えられる、カートリッジ内に定められる点である。上述のように、初期焦点55は、目標点に対応しても対応しなくてもよい。
【0054】
この方法の第1のステップは、カートリッジ35内の点をフォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55として決定するステップである。図3において、この点はヒットポイントと呼ばれている。この点は、カートリッジ35内の処理結果10の目標点を表すことを意味する。理想的には、フォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55は目標点に対応し、それは、光線15がカートリッジ35上の初期焦点55に当たる場合、目標点における処理結果10にも当たる、ということを意味する。
【0055】
しかし、異なる態様が不確かさに寄与することに起因して、フォーカシングセンサーシステム20の初期焦点は必ずしも処理結果10の目標点に当たるとは限らない。不確かさは、カートリッジ35の製造公差、温度の変化などによって導入されることがある。
【0056】
一実施形態では、図2に示す初期焦点55は点(r,θ)によって定められ、この場合、rはカートリッジ35の半径の一部であり、θは、カートリッジ35上の第1の基準点65と初期焦点55との間の角度である。
【0057】
初期焦点55を決定した後、次のステップでは、フォーカシングセンサーシステム20の焦点が初期焦点55に対応するように、1つまたは複数のコントローラの制御モーターにカートリッジ35およびディスク40を回転させる。
【0058】
一実施形態では、カートリッジ35およびディスク40の回転の制御は、フォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55がカートリッジ35内の点(r,θ)に対応するように角度位置φおよびΘをカートリッジ35およびディスク40について設定するように決定することによって行われる。
【0059】
カートリッジ35の角度Θは、カートリッジ35上の第1の基準点65に対して決定され、ディスク40の角度φは、ディスク40上の第2の基準点に対して決定される。
【0060】
カートリッジ35およびディスク40が角度φおよびΘに応じた位置に旋回した後、フォーカシングセンサーシステム20の焦点は、カートリッジ35内の初期焦点55として定められた点(r,θ)上に位置する。
【0061】
本発明によれば、フォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55が処理結果10上の目標点に対応するかどうかが確認される。対応する場合、検出器60を使用して、処理結果10の特性が処理結果10のスポットとして検査される。
【0062】
フォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55が処理結果10上の目標点に対応しない場合、更新された焦点が定められ、フォーカシングセンサーシステム20の焦点が処理結果10上の目標点に対応するまでカートリッジ35およびディスク40の回転が調整される。一実施形態では、このことは、カートリッジ35およびディスク40を増分的に回転させ、次いで焦点が目標点に対応するかどうかを確認し、フォーカシングセンサーシステム20の焦点が処理結果10の目標点に対応するまでこれらのステップを繰り返すことによって行われる。
【0063】
更新された焦点は、ディスク40の角度位置を維持し、一方、カートリッジ35の角度位置をわずかに変更することによって取得することができる。更新された焦点は、カートリッジ35の角度位置を固定して維持し、一方、ディスク40の角度位置をわずかに変更することによって取得することもできる。カートリッジ35の角度位置とディスク40の角度位置の両方を同時に変更して更新された焦点を確定することができる。
【0064】
フォーカシングセンサーシステム20の焦点が処理結果の目標点に合焦していることが確認されると、フォーカシングセンサーシステム20から受信される信号の検出および検査が行われ、目標点における処理結果10の特性が判定される。
【0065】
フォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55が処理結果10上の目標点に対応するかどうかの確認は、カートリッジ35内の処理結果10およびカートリッジ内の初期焦点55の画像を捕捉し、捕捉された画像内の(x,y)位置を定めることによって行うことができる。このことに基づいて、処理結果10の目標点に対するフォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55の厳密な位置は、得られた画像内の(x,y)目標位置をフォーカシングセンサーシステム20の初期焦点55の位置と比較することによって求めることができる。
【0066】
図3内の数式(Δx,Δy)→(Δr,Δθ)は、フォーカシングセンサー20が画像の視野(FoV)内の特定の目標点に合焦していることが確認されるまでカートリッジ35上の焦点(r,θ)が繰り返し調整されることを意味する。
【0067】
処理結果の画像は、音響、磁気、放射線、X線など、異なる種類のセンサーおよび測定原則を使用することによって得ることができる。
【0068】
本発明の一実施形態では、処理結果10の画像は、光の検出に基づいてカメラ70によって得られる。カメラ70によって得られた画像の露光を改善するために、カートリッジ35が拡散光源25からの拡散光30によって照明されてもよい。一実施形態では、拡散光源25はカートリッジ35の下方に位置決めされ、カメラ70はカートリッジ35の上方に位置決めされる。その場合、処理結果10は背面照明され、カメラ70によって得られる写真はコントラストが高く、明確なフィーチャを有する。LED光は拡散光源25として使用されてもよい。
【0069】
多くの場合、処理結果10のある領域を走査して、固定されたフォーカシングセンサー20によって覆われる領域よりも広い領域にわたって反射された信号を平均するかまたは積分することが重要である。このことを行う場合、ディスク40およびカートリッジ35の角度φおよびΘを体系的に増分的に変更し、一方、検出器60から信号を取得することによって上述の方法を繰り返すことができる。
【0070】
図4は、ディスクおよびカートリッジ35の旋回を制御するのに使用することができる走査パターンを示す。各位置φΘ~φΘについて画像が取得され、それは、すべての画像がディスク40およびカートリッジ35の回転角度をわずかに異ならせて取得されることを意味する。
【0071】
一実施形態では、このことを使用して、処理結果から得られる信号の高解像度、高感度の画像が作成され、このような画像が、積分による全信号の定量測定、空間分布の分析、またはカートリッジ上に分散された複数の処理結果の測定に使用されてもよい。
【0072】
図5は、本発明による二軸回転システムを使用してある領域を走査するための、関連する異なるステップを示すフローチャートである。
【0073】
処理結果10のある領域を走査するための方法は、フォーカシングセンサーシステム20が目標点に対応するカートリッジ35内の点(r,θ)に合焦するようにディスク40およびカートリッジ35を角度φおよびΘに回転させることにより、上述の方法によって開始する。
【0074】
次いで、ディスク40およびカートリッジ35を、処理結果10の上記の領域にわたって等間隔のステップ(r,θ)で(in equispaced steps)旋回させることによって処理結果10の特性が反復的に検出される。一実施形態では、領域からの検出信号が平均または積分される。
【0075】
以下の例では、ビーム光源に基づくフォーカシングセンサーシステム20を使用して、本発明による方法および装置がどのように使用可能にされるかを示す。一実施形態によれば、ビーム光源はレーザー光線である。
【0076】
ビーム光源をフォーカシングセンサー20として使用することによって、光特性の変化を検出することができる。処理結果における発光材料からの反射光または放出光を検出し検査することもでき、それによって、遠心力を加えてサンプルをカートリッジ内の異なる試薬と相互作用させた後に得られるサンプルの生成物である処理結果の写真が確定される。
【0077】
カートリッジ35を処理した後の典型的なシナリオとして、異なる種類の処理結果がカートリッジ35内の異なる領域内に配置されることがある。処理結果の特性を判定する場合、レーザー光線はカートリッジ35内の最初に定められた焦点55に向けられる。これは、処理結果が配置されることが予期される焦点である。
【0078】
次いで、レーザー光線が最初に定められた焦点55に当たるようにディスク40およびカートリッジ35が回転させられる。次いで、レーザー光線の焦点が処理結果10に当たるかどうかが確認される。このことは、処理結果およびレーザー光線のヒットポイントの写真を撮ることによって行うことができる。写真内の各画素について(x,y)位置を定めることによって、写真内の処理結果の位置ならびにレーザー光線のヒットポイントが、それらの画素の対応する(x,y)位置に応じて定められる。
【0079】
前記位置は、コンピュータビジョンによって写真内の特徴を分析し理解することに基づいて確定することができる。画像内の画素位置は、処理結果10が配置された領域ならびに光線15が当たっている画素位置と相関する。このようにして、処理結果が配置された画像内の(x,y)位置における各関連画素を角度位置φおよびΘに変換することができ、すなわち、コンピュータビジョンによって、関係(Δx,Δy)→(Δφ,ΔΘ)が決定され、コントローラは、それに応じてディスク40およびカートリッジ35を回転させるモーターを制御する。
【0080】
この方法は、レーザー光線が当たる処理結果10の領域の全体的で絶対的な制御を行い、それによって、レーザー光線が処理結果に当たっている点において特性を正確に検出することができる。
【0081】
処理結果のある領域を走査する際、ディスク40およびカートリッジ35を、処理結果10のある領域にわたって等間隔のステップで旋回させることによって、各合焦/ヒットスポットにおけるレーザー光線の光特性の検出される変化、すなわち、(r,θ)の変化が反復的に取得される。
【0082】
前述の方法は、処理結果10の走査プロセスを非常に正確に制御するのを可能にする。レーザー光線が当たる処理結果10上の各スポットから検出される信号を統合し、したがって、処理結果の完全な信号を積分するための基礎を作成するにはカートリッジ35およびディスク40の正確な位置が必要である。処理結果10のある領域が走査されると、反射光線15の得られた画像同士が統合され、領域の完全な写真が確定される。
【0083】
図6aは、LEDライトを拡散光源25として使用することによりカメラによって得られた処理結果10の図である。この画像は、光線15を使用することによって走査すべき処理結果10の領域を示す。
【0084】
図6bは、光線15による領域の走査後の結果の図である。各画素値が統合され、レーザー光を使用することによって処理結果10から反射された光から得られた完全な画像が確定される。
【0085】
前述のように、装置は、カートリッジ35およびディスク40を回転させるためのモーターを備える。本発明の一実施形態では、装置は、図7に示すように作動デバイス85をさらに備える。これは、コントローラおよびディスク40に制御可能に係合する係合手段80に接続される。
【0086】
図7は、作動デバイス85を備える遠心分離装置の実施形態の斜視図を示す。この実施形態では、ディスク40との制御可能な係合を提供するための係合手段80に別個の制御可能な作動デバイス85が接続される。この目的は、ディスク40の角安定性を改善することである。この理由は、第1のモーターが固定されるときにもたらされるディスク40の安定性は必ずしも正確な測定を行うのに十分なものではないからである。
【0087】
係合手段80が必要である場合、作動デバイス85が作動させられ制御され、係合手段80がディスク40の縁部に係合する。
【0088】
係合手段80におけるディスク40に接触する部分は、一実施形態では、作動デバイス85から延びるシャフトまたは円形フィンガである。シャフトまたはフィンガは、ディスク40を適切に把持するのを可能にするためのゴムなどの摩擦層を備えることが好ましい。シャフトまたはフィンガは、ディスク40に係合することに加えて、初期係合点からいずれかの方向においてディスク40の角度位置の微調整を可能にしてもよい。
【0089】
一実施形態では、シャフトまたは円形フィンガは回転可能である。この実施形態では、作動デバイス85は、カートリッジを装填するかまたは取り外す際にディスク40をセット位置に回転させディスク40を固定された状態に維持するように作動させることができる。
【0090】
図7に示す実施形態では、遠心分離装置は、ストロボ光源と回転ディスク40およびカートリッジ35に向けられたカメラとを備える第1の光学分析および制御システム90をさらに備える。これは、カートリッジ35の流体回路において様々な試薬、サンプル、分析ビード、溶媒などの方向を定めるための遠心分離プロセスを監視し制御するために使用される。
【0091】
本発明は、回転ディスク40における、回転ディスク40の中心から外れた位置に配置された回転カートリッジ35の内部に配置された処理結果10の特性を判定するための、固定されたフォーカシングセンサーシステム20の焦点に対する処理結果10上の目標点の厳密で絶対的な制御のための方法および装置を導入する。
【符号の説明】
【0092】
10 処理結果
15 光線
20 フォーカシングセンサーシステム、フォーカシングセンサー、フォーカシングセンサー光源
25 拡散光源
30 拡散光
35 カートリッジ
40 ディスク
45 第1の軸
50 第2の軸
55 初期の定められた焦点、初期焦点
60 検出器
65 第1の基準点
70 カメラ
80 係合手段
85 作動デバイス
90 第1の光学分析および制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7