(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】超音波機械加工装置、超音波機械加工装置を構成するための方法、およびこのタイプの超音波機械加工装置を有するシステム
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
B23K20/10
(21)【出願番号】P 2020529169
(86)(22)【出願日】2017-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2017080780
(87)【国際公開番号】W WO2019105539
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】512116871
【氏名又は名称】テルソニック・ホールディング・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TELSONIC HOLDING AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アヤバカン,ムスタファ
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-181826(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10349725(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0056267(US,A1)
【文献】特表2005-503265(JP,A)
【文献】特表2015-515381(JP,A)
【文献】特開2003-48134(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101574757(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/10
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を機械加工するための超音波機械加工装置(1)であって、発電機(11)、コンバータ(12)、ブースタ(13)、ソノトロード(14)、HVケーブル(15)、機枠(16)、および前記被加工物のための保持装置(17)からなる群から選択される構成要素のうちの少なくとも1つ、特に全ては、関連付けられた識別子(18)を有し、
前記関連付けられた識別子は、
前記構成要素の少なくとも1つの個々のパラメータを特徴付けるか、および/または、 前記構成要素を特徴付けるパラメータに関連付けられるかであり、
特に前記パラメータは、プロセスパラメータに影響を及ぼすパラメータ、特に動作中に使用可能な共振周波数および周波数帯域幅ならびに/または前記装置の振幅、特に電気パラメータ、音響パラメータまたは寸法パラメータを特徴付け、前記装置(1)は、関連付けられた入力インターフェイス(19)を有し、前記関連付けられた入力インターフェイス(19)によって、前記識別子(18)または前記識別子(18)に基づいて生成されたデータを読み込むことができ、前記装置(1)は、関連付けられたコンピューティング機構(20)を有し、前記関連付けられたコンピューティング機構(20)によって、前記読み込まれた識別子(18)または前記識別子(18)から生成されたデータに基づいて、前記装置(1)を所定の動作状態、特に共振振動状態で動作させるように前記装置(1)の少なくとも1つのパラメータを決定し、
前記構成要素の前記個々のパラメータは、この構成要素の所定の状態と比較した前記構成要素における逸脱を特徴付ける、超音波機械加工装置(1)。
【請求項2】
前記構成要素の前記個々のパラメータは、前記構成要素が製造された後に測定されるパラメータである、請求項1に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項3】
前記識別子(18)は、前記構成要素を一対一の対応関係で決定する、請求項1または2に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項4】
前記入力インターフェイス(19)は、読み込み装置(21)として具体化され、前記読み込み装置(21)は、前記コンピューティング機構(20)に接続可能である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項5】
前記読み込み装置(21)は、前記超音波機械加工装置の構成要素として具体化される
、請求項4に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項6】
前記コンピューティング機構(20)および/または前記読み込み装置(21)は、1つの構成要素、特に前記発電機(11)において具体化される、請求項
4または請求項5に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項7】
前記コンピューティング機構(20)は、前記超音波機械加工装置(1)、特に前記発電機(11)のリモートメンテナンス、特に遠隔較正を可能にするように設計された通信インターフェイス(24)を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項8】
前記識別子(18)は、前記構成要素に取り付けられる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項9】
前記識別子(18)は、前記構成要素のパッケージに関連付けられる、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の超音波機械加工装置(1)。
【請求項10】
特に発電機(11)、コンバータ(12)、ブースタ(13)、ソノトロード(14)、HVケーブル(15)、機枠(16)、および被加工物のための保持装置(17)からなる群から選択される構成要素のうちの少なくとも1つの交換後に、特に請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の超音波機械加工装置(1)を構成するための方法であって、前記方法は、
読み込み装置(21)によって識別子(18)を読み込むステップを備え、前記識別子(18)は、
前記構成要素の個々のパラメータを特徴付けるか、および/または、
前記構成要素を特徴付けるパラメータに関連付けられるか、であり、
特に前記パラメータは、プロセスパラメータに影響を及ぼすパラメータ、特に動作中に使用可能な共振周波数および周波数帯域幅ならびに/または前記装置(1)の振幅、特に電気パラメータ、音響パラメータまたは寸法パラメータを特徴付け、前記方法はさらに、 前記読み込まれた識別子(18)に基づいてまたは前記識別子(18)から生成されたデータに基づいて前記装置(1)のパラメータを決定するステップを備え、前記パラメータは、前記装置(1)を所定の動作状態、特に共振振動状態で動作させることを可能にし、前記方法はさらに、
前記少なくとも1つのパラメータに従って前記装置(1)を調整する、特に前記発電機(11)の周波数範囲および/または振幅を適合させるステップを備え、
前記構成要素の前記個々のパラメータは、この構成要素の所定の状態と比較した前記構成要素における逸脱を特徴付ける、方法。
【請求項11】
前記識別子(18)または前記識別子(18)に基づいて生成された前記データを、特に物理的に分離されたコンピューティング機構(20)に伝達するステップと、
前記識別子(18)に基づいて決定された前記パラメータを前記コンピューティング機構(20)から前記装置(1)に伝達するステップとを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
超音波機械加工装置の構成要素を製造するための方法であって、
前記構成要素を製造するステップと、
前記構成要素を測定して、前記構成要素を特徴付けるパラメータ、特にパラメータセットを生成するステップと、
前記パラメータ、特に、前記パラメータセットに関連付けられた固有の識別子(18)を生成するステップと、
前記識別子(18)を前記構成要素に関連付けるステップとを備え、
前記構成要素の前記個々のパラメータは、この構成要素の所定の状態と比較した前記構成要素における逸脱を特徴付ける、方法。
【請求項13】
請求項1から9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの超音波機械加工装置(1)、 データベース(23)、
前記超音波機械加工装置(1)と前記データベース(23)との間で情報を伝達するための、前記超音波機械加工装置(1)と前記データベース(23)との間の通信インターフェイス(24)を有するシステム(22)。
【請求項14】
前記データベース(23)は、前記超音波機械加工装置(1)の前記構成要素のうちの少なくとも1つに関連付けられた識別子(18)と前記構成要素を特徴付けるデータ記録とをリンクさせることを可能にする、請求項13に記載のシステム(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルに係る、超音波機械加工装置、超音波機械加工装置を構成するための方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波機械加工装置の場合、構成要素、たとえば発電機、コンバータ、ブースタ、ソノトロード、HVケーブル、機枠、または被加工物のための保持装置の個々のパラメータが、プロセスパラメータ、特に動作中に使用可能な共振周波数および周波数帯域幅ならびに/または装置の振幅に影響を及ぼすことが知られている。これら全ての構成要素の製造中、製造公差は、逸脱が不可避的に起こることを意味する。これらの逸脱は、プロセスパラメータ、特に動作中に使用可能な共振周波数および周波数帯域幅ならびに/または超音波機械加工装置の振幅に影響を及ぼす。したがって、超音波機械加工装置は、これらの構成要素のうちのいずれか1つが交換されるときには較正し直す必要がある。この調整または較正は、構成要素の実際の寸法を考慮に入れる。
【0003】
DE102015221615A1は、たとえば超音波溶接装置を自動的に較正するためのシステムを開示している。このシステムは、実際の動作パラメータを測定するための測定ユニットと、コンピュータとを含む。較正は、較正データメモリに基づいて少なくとも1つの所定の動作パラメータを使用して超音波溶接装置を動作させることを含む。この間に、測定ユニットは、実際の動作パラメータを測定する。次いで、実際の動作パラメータを所定の動作パラメータと比較し、必要であれば、所定のデータを適合させることによって超音波溶接装置の較正が行われる。
【0004】
この公知の超音波溶接装置のデメリットは、較正が較正プロセス中に複雑な測定を用いる必要があるため、プロセスの速度が落ちるということである。
【0005】
EP0786323A1は、行われる溶接作業に基づいて超音波溶接装置についての溶接パラメータをインタラクティブに設定するための方法を開示している。この方法は、初期パラメータを使用して作製される溶接の溶接品質に関する表示を使用することによってパラメータを設定する。目的は、アプリケーションに基づいて溶接装置の自動調整を可能にすることである。
【0006】
この公知の方法のデメリットは、初期の溶接を作製する必要があり、その品質を人によって評価する必要があることである。
【0007】
US2003/0198667A1は、溶接装置、およびその診断を行うための方法を開示している。この装置は、センサと、データメモリとを備える。データメモリは、溶接装置についての情報(たとえば、シリアルナンバー、型番、溶接装置の製造日など)、および、溶接装置で使用される構成要素についての情報(たとえば、構成要素部品識別子または構成要素バージョン識別子など)を含み得る。これらのデータおよびセンサ(たとえば、電流および電圧センサ)のデータに基づいて、診断ユニットは、溶接装置の状態を評価する。その後、診断ユニットは、修正措置を取り得る。
【0008】
この公知の装置のデメリットは、システム構成を測定することによって間接的にしか構成要素の製造公差を考慮に入れることができないことである。この測定は、システム構成を減速させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、先行技術のデメリットを回避する超音波機械加工装置を提供すること、特にシステムが所定の状態で動作させることが保証される構成方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項に係る、超音波機械加工装置、超音波機械加工装置を調整または較正するための方法、およびシステムによって達成される。
【0011】
本発明によれば、被加工物を機械加工するための超音波機械加工装置において、発電機、コンバータ、ブースタ、ソノトロード、HVケーブル、機枠、および上記被加工物のための保持装置からなるリストから選択される構成要素のうちの少なくとも1つ、特に全ては、関連付けられた識別子を有する。上記識別子は、上記適用可能な構成要素の少なくとも1つの個々のパラメータを特徴付ける。好ましくは、上記識別子は、プロセスパラメータに影響するパラメータ、特に動作中に使用可能な共振周波数および周波数帯域幅ならびに/または振幅、特に電気パラメータ、音響パラメータまたは寸法パラメータを特徴付ける。上記装置は、関連付けられた入力インターフェイスを有する。この入力インターフェイスによって、上記識別子または上記識別子に基づいて生成されたデータを読み込むことができる。上記装置は、関連付けられたコンピューティング機構を有する。このコンピューティング機構によって、上記読み込まれた識別子または上記識別子から生成されたデータに基づいて、上記装置を所定の動作状態で動作させるように上記装置の少なくとも1つのパラメータを決定または設定することができる。この所定の動作状態は、特に共振振動状態である。
【0012】
識別子を読み取ることによって装置を所定の動作状態に設定でき、これが設定中の測定を必要としない、ということは有利であることが分かる。調整または較正中の構成要素の個々のパラメータの測定は不要になる。これにより、特に所定の動作状態を素早く設定することができる。現場で構成要素を測定するための測定装置はもはや必要ない。適用可能な識別子を読み込むことによって調整または較正中に構成要素の個々のパラメータを容易に考慮に入れることができる。
【0013】
周波数帯域幅は、下限および上限周波数によって特徴付けられる。これらの制限周波数は、超音波機械加工装置の寸法パラメータ、音響パラメータおよび電気パラメータに基づいて選択される。したがって、周波数帯域幅は、周波数スペクトルに対応する。
【0014】
振幅は、超音波機械加工装置の機械振動の振幅である。
一実施形態では、識別子は、RFIDチップ、スマートコード、バーコードまたはUSBスティックとして具体化される。
【0015】
RFIDチップは、バーコードと比較して比較的大量のデータの保管を可能にし、詳細な識別子の使用、したがって識別子への大量のデータのコーディングを可能にする。また、RFIDチップは、高いデータ密度に加えて、容易に自動読み取りできるというメリットも提供する。したがって、RFIDチップを使用することにより、識別子の直接デジタル処理が可能になる。また、RFIDチップは、しかるべきRFIDリーダによって、可視である必要なしに、遠くから読み取ることができる。したがって、たとえば中央RFIDリーダを超音波機械加工装置の発電機内に取り付けることができ、このリーダを使用して、適用可能な構成要素が設置された後でさえも超音波機械加工装置の全ての構成要素のチップを読み取ることができる。
【0016】
スマートコードは、白色エレメントおよび黒色エレメントの二次元配列である。これらのエレメントの二次元配列の結果、スマートコードは、たとえばバーコードによって可能であるよりも高いデータ密度を可能にする。データ密度が高くなることにより、とりわけ誤り検出エレメントをコードに一体化することができるため、コードをより確実に読み取ることができる。したがって、スマートコードは、より確実な自動可読性によってもバーコードと区別され、特に超音波機械加工装置での使用に適している。
【0017】
バーコードのメリットは、容易に自動的に読み取り可能であるということであることが分かる。したがって、バーコードは、識別子の自動処理に好適である。
【0018】
USBスティックの形態の識別子は、識別子がUSBスティックにデジタルに格納されることにより、容易にさらなる自動処理が可能であるというメリットを提供する。その上、USB識別子の場合には、装置の入力インターフェイスは、USBインターフェイスの形態である場合が非常に多い。USBスティックが構成要素自体に配置されないのでそこでのスペースをとらないということも有利であることが分かる。さらに、構成要素の質量は、識別子によって影響を受けないため、識別子がプロセスパラメータ、特に動作中に使用可能な共振周波数および周波数帯域幅ならびに/または装置の振幅に影響を及ぼすことが防止される。
【0019】
本願の文脈におけるパラメータは、パラメータセットであってもよい。
一実施形態では、入力インターフェイスは、USBインターフェイス、キーボード、タッチスクリーンまたはRFIDリーダとして具体化される。
【0020】
コンピューティング機構は、超音波機械加工装置内に配置されてもよく、またはそこから物理的に分離させて配置されてもよい。したがって、コンピューティング機構は、たとえば、しかるべきアプリケーションによって動作中に超音波機械加工装置に関連付けられるスマートフォン、コンピュータ、サーバであってもよい。
【0021】
好ましい実施形態では、上記構成要素の上記個々のパラメータは、製造後に製造業者によって測定されるパラメータである。
【0022】
その後の測定の必要なしにシステム調整またはシステム較正中に個々の構成要素の製造公差を考慮に入れることもできる、ということは有利であることが分かる。これは、超音波機械加工装置にとって大きな意義がある。なぜなら、構成要素の最小の製造公差でさえ超音波機械加工装置の所定の動作状態に影響を及ぼすからである。
【0023】
したがって、構成要素の測定は、製造後に直接行うことができる。製造後に直接測定を行うことによって、この測定を製造方法の品質保証にも使用することができる。
【0024】
一実施形態では、個々のパラメータは、構成要素の厳密な測定された実際の寸法、実際の重量、実際のインピーダンス、実際の周波数、振幅変換、または材料タイプ、または製造年月日(年齢)である。
【0025】
好ましい実施形態では、上記個々のパラメータは、この構成要素の所定の状態と比較した上記構成要素における逸脱を特徴付ける。
【0026】
これにより、個々のパラメータを特に簡単に処理することができる。なぜなら、パラメータは、修正対象の逸脱を直接表すものであるからである。したがって、コンピューティング機構は、特に簡単に個々のパラメータを処理することができる。
【0027】
好ましい実施形態では、上記識別子は、上記構成要素を一対一の対応関係で決定する。
これにより、まさにその構成要素を識別子から推量することができる。したがって、個々のパラメータに基づいて溶接装置を較正することができるだけでなく、システムの起動後に動作についての評価を収集することもでき、これらのデータを特定の構成要素に関連付けることができる。
【0028】
好ましい実施形態では、上記入力インターフェイスは、読み込み装置として具体化される。上記読み込み装置は、上記コンピューティング機構に接続可能である、または接続される。
【0029】
これにより、読み込み装置によって識別子を直接読み込むことができるため、装置のユーザが識別子を入力しなくてもよくなる。読み込まれた識別子は、接続を介してコンピューティング機構に直接伝達することができる。
【0030】
読み込み装置は、たとえば赤外線スキャナ、カメラ、カラーセンサまたはRFIDリーダとして具体化される。
【0031】
好ましい実施形態では、上記読み込み装置は、超音波機械加工装置の一部として具体化される。超音波機械加工装置が読み込み装置を含むために、この装置自体によって識別子を容易に読み込むことができる、ということは有利であることが分かる。
【0032】
好ましい実施形態では、上記コンピューティング機構および上記読み込み装置は、共通の物理的ユニットにおいて具体化される。
【0033】
好ましくは、上記コンピューティング機構および/または上記読み込み装置は、上記発電機において具体化される。
【0034】
これは、コンピューティング機構および/または読み込み装置が較正対象の構成要素のすぐ近くに配置されることを意味する。これにより、コンピューティング機構と読み込み装置との間および較正対象の構成要素間の接続経路を短くすることができる。これにより、装置の経済的な設計が可能になり、(たとえば、RFID技術による)装置内での識別子の伝送の干渉受けやすさが減少する。
【0035】
好ましい実施形態では、コンピューティング機構は、データインターフェイスを有する。データインターフェイスは、リモートメンテナンスを可能にするように設計される。特に、データインターフェイスは、超音波機械加工装置の遠隔調整または遠隔較正を可能にすることが期待される。特に、これは、発電機の遠隔調整または遠隔較正を可能にすることが期待される。
【0036】
これにより、リモートコンピューティング機構上で計算集約的プロセスを実行することができる。リモートコンピューティング機構は、超音波機械加工装置から物理的に分離されたコンピューティング機構、たとえば建物の別の部屋または別の建物の中のコンピューティング機構である。したがって、超音波機械加工装置内のコンピューティング機構は、より小型で、特により経済的であるように具体化することができる。さらに、データインターフェイスは、超音波機械加工装置の常時遠隔監視を可能にし、修正介入も可能にする。
【0037】
一実施形態では、データインターフェイスは、USBインターフェイス、イーサネット(登録商標)インターフェイス、WLANインターフェイス、ブルートゥースインターフェイス、またはNFC(近距離無線通信)インターフェイスとして具体化される。
【0038】
好ましい実施形態では、上記識別子は、上記構成要素に取り付けられる。
これにより、超音波機械加工装置において構成要素を使用する直前に識別子を読み込むことができる。したがって、たとえば構成要素を交換するときに、新たな構成要素を既に開梱して提供することができ、新たな構成要素を取り付ける直前に識別子を読み込むことができる。これにより、深刻なダウンタイムを短縮した状態で超音波溶接装置を動作させることができる。
【0039】
好ましい実施形態では、上記識別子は、上記構成要素のパッケージに関連付けられる。
これにより、特に小型の構成要素の場合に、構成要素自体が識別子によって何らかの損傷を受けることを生じさせることなく、識別子を構成要素に関連付けることができる。この識別子の関連付けにより、超音波機械加工装置をセットアップ/変更して、そのとき初めて全ての識別子を読み込むこともできる。したがって、構成要素の交換段階とシステムの構成/調整/較正段階とを時間的に分離することができる。そのため、超音波機械加工装置の共振状態は、識別子によって影響を受けない。
【0040】
上記の目的は、超音波機械加工装置を構成するための方法によっても達成される。上記構成は、特に発電機、コンバータ、ブースタ、ソノトロード、HVケーブル、機枠、およびツールのための保持装置からなる群から選択される構成要素のうちの少なくとも1つの交換後に行われる。上記方法は、識別子を読み込むステップを備える。上記識別子は、上記構成要素の個々のパラメータを特徴付ける。上記識別子は、特にプロセスパラメータに影響を及ぼすパラメータ、特に動作中に使用可能な共振周波数および周波数帯域幅ならびに/または上記装置の振幅を特徴付ける。特に、電気パラメータ、音響パラメータまたは寸法パラメータが識別子によって特徴付けられる。上記識別子は、読み込み装置によって読み込まれる。さらなるステップにおいて、上記読み込まれた識別子または上記識別子から生成されたデータに基づき、上記装置のパラメータを決定する。上記パラメータにより、上記装置を所定の動作状態で動作させることができる。上記所定の動作状態は、特に共振振動状態である。次のステップにおいて、上記少なくとも1つのパラメータに従って上記装置を調整する。特に、上記発電機の周波数帯域幅および/または振幅が適合される。
【0041】
これにより、現場での測定を必要とすることなく、1または複数の読み込まれた識別子だけに基づいて超音波機械加工装置を構成することができる。これにより、超音波機械加工装置の効率的な構成が可能になる。その他の場合に必要である、超音波機械加工装置の動作状態を測定するステップおよび測定された動作状態と所定の動作状態とをその後比較するステップは、不要になる。識別子の読み込みのみが必要であり、上記識別子は、調整または較正を行うための基礎とされる。
【0042】
好ましい実施形態では、構成方法は、上記識別子または上記識別子に基づいて生成されたデータを、物理的に分離されたコンピューティング機構に伝達するステップも備える。その後、上記識別子に関連付けられた上記パラメータが上記コンピューティング機構から上記装置に伝達される。
【0043】
これにより、コンピューティング機構を超音波機械加工装置から物理的に分離して配置することができる。そのため、適用可能な識別子を受け取った後に、パラメータを格納および/または計算してそれらを超音波機械加工装置に伝達する中央コンピューティング機構を利用可能にすることができる。したがって、強力なコンピューティング機構なしに超音波機械加工装置を具体化することができる。
【0044】
パラメータの中央管理は、さらに、さまざまなパラメータの評価、とりわけ製造品質についての結論を出すことを可能にする。さらに、パラメータの検索時間を中央で記録して、同様に分析することができる。これにより、装置の性能に関する説明、したがって装置の可能な最適化についての結論が可能になる。
【0045】
上記の目的は、超音波機械加工装置の構成要素を製造するための方法によっても達成される。上記方法は、構成要素を製造するステップを備える。次のステップにおいて、製造された上記構成要素を測定して、上記測定に基づいて、上記構成要素を特徴付けるパラメータ、特に、パラメータセットを生成する。次のステップにおいて、上記パラメータ、特に、パラメータセットに関連付けられた一対一の対応関係にある識別子を生成する。さらなるステップにおいて、上記識別子を上記構成要素に関連付ける。
【0046】
このようにして構成要素を製造後に直接測定することは有利であることが分かる。調整または較正中に、すなわち超音波機械加工装置の使用先で、構成要素を測定することが不要になる。したがって、特別に設計された(複雑な)測定装置を使用して、専門家によって、特別に装備された場所で、理想的な条件下で、測定を行うことができる。超音波機械加工装置の使用先でユーザによって行われる測定と比較して、このような測定はより正確であるため、超音波機械加工装置をより正確に調整することができる。これにより、同じ結果で装置を動作させることができる。測定結果は、パラメータ、特にパラメータセットに処理されることにより、および、このパラメータ、特にこのパラメータセットが識別子に関連付けられ、さらにはこの識別子が構成要素に関連付けられることにより、簡単に処理することができる。したがって、構成要素が納入されるときに構成要素の詳細な測定報告をさらに供給することが不要になる。構成要素を交換するときに測定報告を入念に考慮に入れることも同様に不要になる。したがって、この方法を使用して製造された構成要素は、超音波機械加工装置においてこの構成要素をより簡単に使用することを可能にする。この方法は、発電機、コンバータ、ブースタ、ソノトロード、HVケーブル、機枠、および被加工物のための保持装置の製造に使用することができる。
【0047】
上記の目的は、システムによっても達成される。上記システムは、上記および下記の少なくとも1つの超音波機械加工装置を備える。上記システムは、データベースも備える。上記システムは、上記超音波機械加工装置と上記データベースとの間の通信インターフェイスも備える。この通信インターフェイスは、上記超音波機械加工装置と上記データベースとの間で情報を伝達するために使用される。
【0048】
データベースが超音波機械加工装置についてのデータの中央保管、管理、評価および制御を可能にする、ということが有利であることが分かる。特に、これにより、超音波機械加工装置自体をより単純にすることができ、すなわちデータメモリなしにすることができる。
【0049】
好ましい実施形態では、上記データベースは、上記超音波機械加工装置の少なくとも1つの構成要素に関連付けられた識別子と上記構成要素を特徴付けるパラメータ、特にパラメータセットとをリンクさせることを可能にする。
【0050】
これにより、単純な識別子に基づいて複雑なパラメータ、特にパラメータセットと構成要素とを関連付けることができ、この識別子を構成要素に関連付けることができる。
【0051】
さらなる実施形態において、上記システムは、リモートデータベースの他に、リモートコンピューティング機構も備える。
【0052】
これにより、超音波溶接装置をさらに単純化することができ、上記および下記の識別子の読み込みに基づく調整または較正をやはり可能にすることができる。
【0053】
図中の例示的な実施形態に基づいて、本発明について以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】超音波機械加工装置の第1の例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】識別子の第1の例示的な実施形態を示す図である。
【
図3】識別子の第2の例示的な実施形態を示す図である。
【
図4】識別子の第3の例示的な実施形態を示す図である。
【
図5】
図1に示される超音波機械加工装置の例示的な実施形態の概略図である。
【
図6】本発明に係る超音波機械加工装置の第2の例示的な実施形態の概略図である。
【
図7】本発明に係る超音波機械加工装置の第3の例示的な実施形態の概略図である。
【
図8】本発明に係る超音波機械加工装置の第4の例示的な実施形態の概略図である。
【
図9】本発明に係る超音波機械加工装置の第5の例示的な実施形態の概略図である。
【
図10】本発明に係る超音波機械加工装置の第6の例示的な実施形態の概略図である。
【
図11】本発明に係る超音波機械加工装置の第7の例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、超音波溶接装置の形態の超音波機械加工装置1の第1の例示的な実施形態の略図である。超音波溶接装置1は、複数の構成要素で構成されている。それは、発電機11と、コンバータ12と、HVケーブル15と、ブースタ13と、ソノトロード14と、機枠16と、被加工物のための保持装置17とを備える。発電機11は、HVケーブル15を介してコンバータ12に接続されている。発電機11は、HVケーブル15を介してコンバータ12に伝送される電気交流信号を生成することにより、コンバータ12に電力を供給する。コンバータ12は、電気交流信号を機械的振動に変換する。この機械的振動は、コンバータ12からブースタ13に伝送される。ブースタ13は、振動の振幅を変更するように設計される。ブースタ13は、機械的振動をソノトロード14に伝送し、その後、ソノトロード14は、この振動を被加工物に伝送する。このようにして、被加工物は超音波溶接される。コンバータ12、ブースタ13およびソノトロード14は、機枠16によって装置1に保持されている。
【0056】
所定の動作状態で、すなわち共振周波数で超音波溶接装置1を動作させるために、構成要素を互いに正確に一致させる必要がある。たとえば製造公差のために構成要素は所定の寸法から逸脱するので、構成要素の交換後に超音波溶接装置1の調整を行う必要がある。この調整は、構成要素の個々のパラメータ(実際のパラメータ)を考慮に入れて、超音波溶接装置1をこれらの個々のパラメータに対して調整する。したがって、たとえば発電機11の電気交流信号の周波数帯域幅および/または振幅を適合させることができる。交流信号の周波数は、超音波溶接装置1が共振状態で特定の振幅で動作されるように発電機を調整することによって適合される。本発明に係る例示的な実施形態では、ソノトロード14は、識別子18を有する。識別子18は、ソノトロード14の個々のパラメータにリンクされる。したがって、識別子18が読み込まれることによって、超音波溶接装置1の調整を単純化することができる。調整の目的で、識別子18が入力インターフェイス(
図5参照)によって入力され、その結果、識別子18に基づいてソノトロード14の個々の形態についての説明を行うことができる。この情報を使用して調整を行う。したがって、たとえばソノトロード14に関連付けられた識別子18は、ソノトロード14の実際の寸法を決定するための基礎とされることができる。これらの寸法は、ソノトロード14の製造後に測定され、識別子18にリンクされている。したがって、これらの寸法は、識別子18に基づいて把握され、周波数帯域幅および/または振幅の計算に使用可能である。調整中、発電機周波数は、後に、この計算された周波数帯域幅および/または振幅に適合される。
【0057】
図2は、本発明に係る識別子18の第1の例示的な実施形態を概略的に示す。それは、RFIDチップである。RFIDチップは、先行技術から周知である。
【0058】
図3は、本発明に係る識別子の第2の例示的な実施形態を概略的に示す。それは、スマートコードである。
【0059】
図4は、本発明に係る識別子18の第3の例示的な実施形態を概略的に示す。それは、バーコードである。
【0060】
さらなる例示的な実施形態(図示せず)では、識別子18は、たとえばパッケージに同封されるUSBスティックとして具体化される。
【0061】
図5は、
図1からの超音波溶接装置1の例示的な実施形態の概略図である。装置1は、構成要素、すなわち発電機11、コンバータ12、ブースタ13、ソノトロード14、HVケーブル15、機枠16、および被加工物のための保持装置17を備える。この例示的な実施形態では、ソノトロード14は、関連付けられた識別子18を有する唯一の構成要素である。装置1は、入力インターフェイス19およびコンピューティング機構20も備える。入力インターフェイス19は、識別子18の入力を可能にし、コンピューティング機構20は、識別子18の処理および装置1の調整に使用される。この例示的な実施形態では、入力インターフェイス19は、USBインターフェイスとして具体化される。したがって、この例示的な実施形態ではUSBスティックとして具体化される識別子18は、装置1を操作する人によって入力インターフェイス19に導入されることができる。読み込まれた識別子18は、その後、コンピューティング機構20によって処理される。コンピューティング機構20は、識別子18に基づいて、ソノトロード14の個々のパラメータを把握する。この例示的な実施形態では、このパラメータは、ソノトロード14の実際の厳密な寸法に対応する。コンピューティング機構20は、これらの実際の寸法を使用して超音波溶接装置1の周波数帯域幅および/または振幅を計算し、それに従って発電機11の周波数帯域幅および/または振幅を適合させる。
【0062】
図6は、超音波溶接装置1のさらなる例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、全ての構成要素、すなわち発電機11、コンバータ12、ブースタ13、ソノトロード14、HVケーブル15、機枠16、および被加工物のための保持装置17は、各々がさまざまな情報を有する1つの識別子18を有する。この例示的な実施形態では、入力インターフェイスは、読み込み装置21として具体化される。読み込み装置21は、RFIDリーダである。識別子18は、RFIDチップとして構成要素に直接取り付けられている。したがって、構成要素の識別子18は、読み込み装置21によって読み込まれることができる。読み込み装置21は、識別子18をコンピューティング機構20に転送する。コンピューティング機構20は、識別子18に基づいて、構成要素11,12,13,14,15,16,17の個々のパラメータを決定することにより、コンピューティング機構20は、その後、個々の構成要素に適合された周波数帯域幅および/または振幅を計算することができる。コンピューティング機構20は、計算された周波数帯域幅および/または振幅を発電機11に伝達し、発電機11は、それに従ってその出力信号を適合させる。
【0063】
図7は、本発明に係る超音波溶接装置1のさらなる例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、コンピューティング機構20および読み取り装置21は、装置1の発電機11に組み込まれている。各構成要素11,12,13,14,15,16,17は、関連付けられた一対一の対応関係にある識別子18を有する。
【0064】
図8は、本発明に係る超音波溶接装置1のさらなる例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、コンピューティング機構20は、装置1の外に、すなわち装置から離れて配置されている。この例示的な実施形態では、読み込み装置21は、超音波溶接装置1内に配置されている。
【0065】
図9は、超音波溶接装置1のさらなる例示的な実施形態を示し、この例では、コンピューティング機構20および読み込み装置21は、超音波溶接装置1の外に配置されている。
【0066】
図10は、本発明に係るシステム22の例示的な実施形態を示す。システム22は、超音波溶接装置1の他に、通信インターフェイス24を介して装置1に接続されたデータベース23も備える。装置1は、構成要素の識別子18の読み込みに使用される読み込み装置21を備える。読み込まれた識別子18は、コンピューティング機構20によって処理され、このコンピューティング機構20も同様に装置1内に収容されている。コンピューティング機構20は、通信インターフェイス24を使用して、識別子に対応するパラメータ/パラメータセットをデータベース23から要求する。一例として、データベース23は、構成要素に対応するパラメータセットが、一対一の対応関係にある識別子に基づいて格納されるルックアップテーブルを備える。装置のコンピューティング機構20は、データベース23から要求されたパラメータを、装置1の構成要素に適した周波数帯域幅および/または振幅を計算するための基礎とし、その後、それに従って発電機を調整する。
【0067】
図11は、本発明に係るシステム22のさらなる例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、コンピューティング機構20は、超音波溶接装置1内ではなく、同様に離れて配置されている。したがって、コンピューティング機構20は、複数の超音波機械加工装置1(超音波機械加工装置を1つだけ図示)に対して集約的に使用することができる。