(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】パターン電極を含む分散モードラウドスピーカアクチュエータの駆動
(51)【国際特許分類】
H04R 1/22 20060101AFI20221216BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20221216BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20221216BHJP
H04R 1/24 20060101ALI20221216BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20221216BHJP
H04R 3/14 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H04R1/22 310
B06B1/06 Z
H04R17/00
H04R1/24 A
H04R3/00 310
H04R3/14
(21)【出願番号】P 2020546340
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 GB2019050581
(87)【国際公開番号】W WO2019171030
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-11-19
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ニール・ジョン
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-122793(JP,A)
【文献】国際公開第2012/011256(WO,A1)
【文献】特開2015-149368(JP,A)
【文献】特開2007-275819(JP,A)
【文献】特表2012-532478(JP,A)
【文献】特開2015-111810(JP,A)
【文献】特開2006-121648(JP,A)
【文献】特表2009-518922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/20- 1/34
B06B 1/06
H04R 17/00
H04R 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ある周波数の範囲内において
音波を生成するディスプレイを含む負荷の振動を引き起こすように適合される分散モードラウドスピーカの圧電カンチレバータイプのトランスデューサについて、周波数の前記範囲から、振動を出力する周波数のサブセットを決定することを含み、前記トランスデューサは、前記トランスデューサの長さに沿って位置決めされる2つ以上の電極対を含み、前記2つ以上の電極対は、前記トランスデューサの圧電層の第1の側上の2つ以上の第1の電極と、前記トランスデューサの前記圧電層の前記第1の側とは反対側の第2の側上の2つ以上の第2の電極とを含み、前記2つ以上の第1の電極は、前記2つ以上の第2の電極にそれぞれ対向し、
前記方法はさらに、
周波数の前記サブセットについて、前記トランスデューサ上の各対の相対位置に基づいて、前記2つ以上の電極対の各々のためのそれぞれの入力電圧を選択することを含み、前記2つ以上の電極対のうちの少なくとも2つのためのそれぞれの入力電圧が異なっており、
前記方法はさらに、
前記トランスデューサに、出力周波数の前記範囲内で前記負荷上に振動力を生成させるよう、前記2つ以上の電極対の各々にそれぞれの前記入力電圧を印加することを含み、
出力周波数の前記範囲内で前記負荷上に前記振動力を生成するために、前記トランスデューサは、前記トランスデューサの前記長さに沿って変化する量だけ前記圧電層を変位させる振動を受け、それぞれの前記入力電圧は、ある電極対に対応する前記トランスデューサ上の位置であって、圧電応答の活性化が前記圧電層の変位と位相外れである位置における前記活性化を低減するように選択される、方法。
【請求項2】
各入力電圧は、対応する振幅および対応する位相を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
周波数の前記サブセットは、0kHz~10kHzを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
周波数の前記サブセットは、4kHz~10kHzを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの前記入力電圧は、前記振動力のために、前記トランスデューサによって引き込まれる電流を低減するように選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記トランスデューサは、2つの電極対を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記トランスデューサは、3つの電極対を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記トランスデューサの一方端は、前記負荷に接続された支持部に接続され、
前記トランスデューサの他方端は、自由端であり、
前記トランスデューサは、前記負荷から離間している、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
システムであって、
ある周波数の範囲内において
音波を生成するディスプレイを含む負荷の振動を引き起こすように適合される分散モードラウドスピーカの圧電カンチレバータイプのトランスデューサを含み、前記トランスデューサは、圧電層と、前記トランスデューサの長さに沿って位置決めされる2つ以上の電極対とを含み、前記2つ以上の電極対は、前記圧電層の第1の側上の2つ以上の第1の電極と、前記圧電層の前記第1の側とは反対側の第2の側上の2つ以上の第2の電極とを含み、前記2つ以上の第1の電極は、前記2つ以上の第2の電極にそれぞれ対向し、
前記システムはさらに、
周波数の前記範囲から、振動を出力する周波数のサブセットを決定し、かつ、周波数の前記サブセットについて、前記トランスデューサ上の各対の相対位置に基づいて、前記2つ以上の電極対の各々のためのそれぞれの入力電圧を選択するよう適合されるコントローラを含み、前記2つ以上の電極対のうちの少なくとも2つのためのそれぞれの入力電圧が異なっており、
前記システムはさらに、
前記2つ以上の電極対の各々と電気的に連通する駆動モジュールを含み、前記駆動モジュールは、前記トランスデューサに、出力周波数の前記範囲内で前記負荷上に振動力を生成させるよう、前記2つ以上の電極対の各々にそれぞれの前記入力電圧を印加するよう適合されており、
出力周波数の前記範囲内で前記負荷上に前記振動力を生成するために、前記トランスデューサは、前記トランスデューサの前記長さに沿って変化する量だけ前記圧電層を変位させる振動を受けるよう構成されており、
前記コントローラは、ある電極対に対応する前記トランスデューサ上の位置であって、圧電応答の活性化が前記圧電層の変位と位相外れである位置における前記活性化を低減するようにそれぞれの前記入力電圧を選択するよう適合される、システム。
【請求項10】
各入力電圧は、対応する振幅および対応する位相を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
周波数の前記サブセットは、0kHz~10kHzを含む、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
周波数の前記サブセットは、4kHz~10kHzを含む、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記振動力のために、前記トランスデューサによって引き込まれる電流を低減するようにそれぞれの入力電圧を選択するよう適合される、請求項9~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記トランスデューサは、2つの電極対を有する、請求項9~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記トランスデューサは、3つの電極対を含む、請求項9~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記圧電層はセラミック材料を含む、請求項9~15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記トランスデューサの一方端は、前記負荷に接続された支持部に接続され、
前記トランスデューサの他方端は、自由端であり、
前記トランスデューサは、前記負荷から離間している、請求項9~16のいずれか1項に記載の
システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
いくつかのデバイスは、音を生成するために分散モードラウドスピーカ(DML: distributed mode loudspeaker)を使用する。DMLは、パネルを振動させて音を作り出すスピーカである。DMLは、ボイスコイルアクチュエータの代わりに、たとえば圧電トランスデューサといった分散モードアクチュエータ(DMA: distributed mode actuator)を使用して、パネルを振動させて音を生成し得る。たとえば、スマートフォンは、スマートフォンにおけるディスプレイパネル(たとえば、LCDまたはOLEDパネル)に力を適用するDMAを含み得る。力は、周囲の空気に結合するディスプレイパネルの振動を作り出し、これにより、たとえば人間の耳に聞こえ得る20Hz~20kHzの範囲の音波が生成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
概要
分散モードラウドスピーカにおける圧電トランスデューサは、異なる周波数で音を生成するために使用される複数の電極対を含み得る。たとえば、圧電トランスデューサは、各電極対の間を延在する圧電セラミック材料のような圧電材料の層を含み得る。たとえば、当該層は、層の上部上の電極対からの第1の電極と、層の下の電極対からの第2の電極とを有し得る。
【0003】
分散モードラウドスピーカは、分散モードラウドスピーカが音を生成し得る周波数の範囲内の周波数の特定のサブセットで音を生成するために、複数の電極対のうちの1つ以上に選択的にエネルギー供給(energize)する駆動モジュールを含む。駆動モジュールは、たとえば分散モードアクチュエータに接続されるディスプレイパネルのような負荷に、周波数の特定のサブセットで音を生成させるよう、1つ以上の選択された電極対に電流を提供し得、および/または、1つ以上の選択された電極対に発振電圧を印加し得る。
【0004】
一般的に、トランスデューサおよび分散モードラウドスピーカの周波数応答は、各電極対に印加される駆動電圧に依存して変化する。さらに、応答は典型的には、電極対の数、電極の幾何学的形状、および、電極対同士の間の間隔といった他の要因にも依存して変化する。したがって、応答を最適化するために、分散モードラウドスピーカの音響出力周波数および圧電材料の層上の電極対の位置に基づいて、各電極対のために異なる駆動電圧が選択され得る。異なる数の電極対および電極対の異なる幾何学的形状も設計段階において選択され得る。
【0005】
一般的に、第1の局面では、方法は、ある周波数の範囲内において負荷の振動を引き起こすように適合される分散モードラウドスピーカの圧電カンチレバータイプのトランスデューサについて、周波数の範囲から、振動を出力する周波数のサブセットを決定することを含み、トランスデューサは、トランスデューサの長さに沿って位置決めされる2つ以上の電極対を含み、各電極対は、トランスデューサの圧電層の第1の側上の第1の電極と、トランスデューサの圧電層の第1の側とは反対側の第2の側上の第2の電極とを含み、方法はさらに、周波数のサブセットについて、トランスデューサ上の各対の相対位置に基づいて、2つ以上の電極対の各々のためのそれぞれの入力電圧を選択することを含み、2つ以上の電極対のうちの少なくとも2つのためのそれぞれの入力電圧が異なっており、方法はさらに、トランスデューサに、出力周波数の範囲内で負荷上に振動力を生成させるよう、2つ以上の電極対の各々にそれぞれの入力電圧を印加することを含み、出力周波数の範囲内で負荷上に振動力を生成するために、トランスデューサは、トランスデューサの長さに沿って変化する量だけ圧電層を変位させる振動を受け、それぞれの入力電圧は、ある電極対に対応するトランスデューサ上の位置であって、圧電応答の活性化が圧電層の変位と位相外れである位置における活性化を低減するように選択される。
【0006】
当該方法の実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。各入力電圧は、対応する振幅および対応する位相を含み得る。それぞれの入力電圧は、振動力のために、トランスデューサによって引き込まれる電流を低減するように選択され得る。
【0007】
周波数のサブセットは、0kHz~10kHzの範囲の周波数、または、4kHz~10kHzの範囲の周波数を含み得る。
【0008】
トランスデューサは、2つの電極対を有し得、ちょうど2つの電極対を有してもよい。トランスデューサは、3つの電極対を有し得、ちょうど3つの電極対を有してもよい。
【0009】
一般的に、さらなる局面において、システムは、ある周波数の範囲内において負荷の振動を引き起こすように適合される分散モードラウドスピーカの圧電カンチレバータイプのトランスデューサを含み、トランスデューサは、圧電層と、トランスデューサの長さに沿って位置決めされる2つ以上の電極対とを含み、各電極対は、圧電層の第1の側上の第1の電極と、圧電層の第1の側とは反対側の第2の側上の第2の電極とを含み、システムはさらに、周波数の範囲から、振動を出力する周波数のサブセットを決定し、かつ、周波数のサブセットについて、トランスデューサ上の各対の相対位置に基づいて、2つ以上の電極対の各々のためのそれぞれの入力電圧を選択するよう適合されるコントローラを含み、2つ以上の電極対のうちの少なくとも2つのためのそれぞれの入力電圧が異なっており、システムはさらに、2つ以上の電極対の各々と電気的に連通する駆動モジュールを含み、駆動モジュールは、トランスデューサに、出力周波数の範囲内で負荷上に振動力を生成させるよう、2つ以上の電極対の各々にそれぞれの入力電圧を印加するよう適合されており、出力周波数の範囲内で負荷上に振動力を生成するために、トランスデューサは、トランスデューサの長さに沿って変化する量だけ圧電層を変位させる振動を受けるよう構成されており、コントローラは、ある電極対に対応するトランスデューサ上の位置であって、圧電応答の活性化が圧電層の変位と位相外れである位置における活性化を低減するようにそれぞれの入力電圧を選択するよう適合される。
【0010】
システムの実現例は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。各入力電圧は、振幅および対応する位相を含み得る。コントローラは、振動力のために、トランスデューサによって引き込まれる電流を低減するようにそれぞれの入力電圧を選択するよう適合され得る。
【0011】
周波数のサブセットは、0kHz~10kHzの範囲の周波数、または、4kHz~10kHzの範囲の周波数を含み得る。
【0012】
トランスデューサは、2つの電極対を有し得、ちょうど2つの電極対を有してもよい。トランスデューサは、3つの電極対を有し得、ちょうど3つの電極対を有してもよい。
【0013】
圧電層はセラミック材料を含み得る。
一般的に、本明細書において記載される主題のさらなる革新的な局面は、以下の方法において具現化され得る。当該方法は、ある周波数の範囲内において音を生成するために負荷の振動を引き起こす力を作り出すように適合される分散モードラウドスピーカの圧電トランスデューサについて、周波数の範囲から、振動を出力する周波数のサブセットを決定するアクションと、音を生成するために、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を周波数のサブセットに基づいて選択するアクションとを含み、各電極対は、圧電トランスデューサに含まれる層の第1の側上の第1の電極と、上記層の第1の側とは反対側の第2の側上の第2の電極とを含み、上記層の異なる部分に接続される。当該方法はさらに、負荷に提供されると負荷に周波数のサブセット内の音を生成させる力を圧電トランスデューサに生成させるよう、2つ以上の電極対の各々に接続される駆動モジュールが、選択された1つ以上の電極対の各々に電流を提供するアクションを含む。この局面の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、および、1つ以上のコンピュータ記憶デバイスに記録されるコンピュータプログラムを含み、その各々は上記方法のアクションを実行するように構成される。1つ以上のコンピュータのコンピュータシステムは、動作時にシステムにアクションを行わせる、システムにインストールされるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、それらの組み合わせを有することによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されると、当該装置にアクションを実行させる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。
【0014】
一般的に、本明細書において記載される主題の1つの革新的な局面は、以下の分散モードラウドスピーカを含むシステムにおいて具現化され得る。当該分散モードラウドスピーカは、各々が、a)圧電トランスデューサに含まれる層の第1の側上の第1の電極を含み、b)上記層の第1の側とは反対側の第2の側上の第2の電極を含み、かつ、c)上記層の異なる部分に接続される2つ以上の電極対を含む圧電トランスデューサであって、ある周波数の範囲の音波を生成するために負荷の振動を引き起こす力を作り出すように適合される圧電トランスデューサと、当該圧電トランスデューサについて、周波数の範囲から、振動を出力する周波数のサブセットを決定し、かつ、音を生成するために、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を周波数のサブセットに基づいて選択するように構成されるコントローラと、2つ以上の電極対の各々に接続される駆動モジュールであって、負荷に提供されると負荷に音を生成させる力を圧電トランスデューサに生成させるよう、2つ以上の電極対のうちの少なくともいくつかに電流を提供するように適合され、かつ、負荷に提供されると負荷に周波数のサブセット内の音を生成させる力を圧電トランスデューサに生成させるよう、選択された1つ以上の電極対の各々に電流を提供するように構成される駆動モジュールとを含む。この局面の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、方法、および、1つ以上のコンピュータ記憶デバイスに記録されるコンピュータプログラムを含み、その各々は上記方法のアクションを実行するように構成される。コンピュータシステムは、1つ以上のコンピュータを含み得、動作時にシステムにアクションを行わせる、システムにインストールされるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、それらの組み合わせを有することによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されると、当該装置にアクションを実行させる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。
【0015】
一般的に、本明細書において記載される主題の1つの革新的な局面は、スマートフォンを含む装置において具現化され得る。当該装置は、コンテンツを提示するように構成されるディスプレイと、圧電トランスデューサとを含む。圧電トランスデューサは、各々が、a)圧電トランスデューサに含まれる層の第1の側上の第1の電極を含み、b)上記層の第1の側とは反対側の第2の側上の第2の電極を含み、かつ、c)上記層の異なる部分に接続される2つ以上の電極対を含み、ある周波数の範囲の音波を生成するよう負荷の振動を引き起こす力を作り出すように適合される。当該装置はさらに、当該圧電トランスデューサについて、周波数の範囲から、振動を出力する周波数のサブセットを決定し、かつ、音を生成するために、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を周波数のサブセットに基づいて選択するように構成されるコントローラと、2つ以上の電極対の各々に接続される駆動モジュールであって、負荷に提供されると負荷に音を生成させる力を圧電トランスデューサに生成させるよう、2つ以上の電極対の少なくともいくつかに電流を提供するように適合され、かつ、負荷に提供されると負荷に周波数のサブセット内の音を生成させる力を圧電トランスデューサに生成させるよう、選択された1つ以上の電極対の各々に電流を提供するように構成される駆動モジュールと、スマートフォンのためのアプリケーションを実行するように構成される1つ以上のアプリケーションプロセッサと、1つ以上のアプリケーションプロセッサによって実行されると、1つ以上のアプリケーションプロセッサに当該アプリケーションを実行させるように動作可能な命令が格納される1つ以上のメモリとを含む。この局面の他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、方法、および、1つ以上のコンピュータ記憶デバイスに記録されるコンピュータプログラムを含み、その各々は上記動作のアクションを実行するように構成される。コンピュータシステムは、1つ以上のコンピュータを含み得、動作時にシステムにアクションを行わせる、システムにインストールされるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または、それらの組み合わせを有することによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されると、当該装置にアクションを実行させる命令を含むことによって、特定の動作またはアクションを実行するように構成され得る。
【0016】
前述の実施形態および他の実施形態は各々、以下の特徴の1つ以上を、単独でまたは組み合わせて任意に含み得る。音を生成するために、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を周波数のサブセットに基づいて選択することは、2つ以上の電極対から電極対のサブセットを周波数のサブセットに基づいて選択することを含み得る。周波数の範囲から、音を出力する周波数のサブセットを決定することは、周波数の範囲から、音を出力する高周波数範囲サブセットを決定することを含み得る。周波数のサブセットに基づいて、2つ以上の電極対から電極対のサブセットを選択することは、決定された高周波数範囲サブセットに基づいて、2つ以上の電極対から1つの電極対を選択することを含み得る。決定された高周波数範囲サブセットに基づいて、2つ以上の電極対から1つの電極対を選択することは、決定された高周波数範囲サブセットに基づいて、a)圧電トランスデューサに固定的に接続され、b)負荷に接続され、かつ、c)圧電トランスデューサから負荷に力を伝達する支持部に最も近い特定の電極対を選択することを含み得る。当該方法は、周波数の範囲から、上記音とは異なる音である第2の音を出力する中周波数範囲サブセットを決定することと、決定された中周波数範囲サブセットに基づいて、圧電トランスデューサに含まれる3つ以上の電極対から2つ以上の特定の電極対を選択することとを含み得、3つ以上の電極対は2つ以上の電極対を含み、当該方法はさらに、3つ以上の電極対の各々に接続される駆動モジュールが、圧電トランスデューサに力を負荷に提供させ、かつ、中間周波数範囲サブセット内の第2の音を負荷に生成させるよう、選択された2つ以上の電極対の各々に電流を提供することを含み得る。
【0017】
いくつかの実現例では、音を生成するために、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を周波数のサブセットに基づいて選択することは、周波数のサブセットに基づいて、2つ以上の電極対のすべてを選択することを含み得る。周波数の範囲から、音を出力する周波数のサブセットを決定することは、周波数の範囲から、音を出力する低周波数範囲サブセットを決定することを含み得る。周波数のサブセットに基づいて、2つ以上の電極対のすべてを選択することは、決定された低周波数範囲サブセットに基づいて、2つ以上の電極対のすべてを選択することを含み得る。
【0018】
いくつかの実現例では、システムは負荷を含む。システムはスマートフォンを含んでもよい。負荷は、たとえばコンテンツを提示するように構成されるスマートフォンのディスプレイであり得る。ディスプレイは、スマートフォンを操作するユーザにコンテンツを提示し得る。分散モードラウドスピーカは、圧電トランスデューサに強固に接続される支持部を含み得る。当該支持部は、負荷に接続されると、圧電トランスデューサによって生成される力の少なくともいくつかを負荷に伝達する。2つ以上の電極対からの少なくともいくつかの電極対は、共通の接地を共有してもよく、別個の接地を有してもよい。電極対のうちのいくつかは、共通の接地を共有してもよく、電極対のうちのいくつかは、別個の接地を有してもよい。2つ以上の電極対からの各電極対は、別個の接地を有してもよい。層はセラミックであってもよい。
【0019】
他の利点のうち、以下に記載されるシステムおよび方法は、分散モードラウドスピーカの電力使用を低減し得、分散モードラウドスピーカにおけるインピーダンスを増加し得、分散モードラウドスピーカにおける静電容量を低減し得、または、これらの2つ以上の組み合わせを達成し得る。
【発明の効果】
【0020】
開示されるシステムおよび方法の利点は、たとえば、所望のレベルのパフォーマンスを達成しながら、より高い周波数での動作中に分散モードラウドスピーカによる電流使用を低減することを含み得る。別の利点は、たとえば、所望のレベルのパフォーマンスを達成しながら、より高い周波数での動作中に分散モードラウドスピーカによる電力、エネルギーまたは電圧の使用を低減することを含み得る。付加的な利点は、所与の合計の印加電圧についてDMLによって生成される合計の力を増加することを含み得る。トランスデューサの慣性エネルギーの効率的な使用も企図される。
【0021】
本明細書において記載される主題の1つ以上の実現例の詳細は、添付の図面および以下の記載に記載されている。当該主題の他の特徴、局面および利点は、記載、図面および請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】分散モードラウドスピーカを含む例示的なデバイスを示す図である。
【
図1B】分散モードラウドスピーカを含む例示的なデバイスを示す図である。
【
図1C】分散モードラウドスピーカを含む例示的なデバイスを示す図である。
【
図2A】出力周波数サブセットに基づいてトランスデューサ層を作動させるために電極対に別々にエネルギー供給する分散モードラウドスピーカを示す図である。
【
図2B】出力周波数サブセットに基づいてトランスデューサ層を作動させるために電極対に別々にエネルギー供給する分散モードラウドスピーカを示す図である。
【
図2C】出力周波数サブセットに基づいてトランスデューサ層を作動させるために電極対に別々にエネルギー供給する分散モードラウドスピーカを示す図である。
【
図3】圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対のサブセットに電流を提供するためのプロセスのフロー図である。
【
図4A】音響出力周波数における分散モードラウドスピーカの概略図である。
【
図4B】異なる音響出力周波数における分散モードラウドスピーカの概略図である。
【
図5A】出力音響周波数の関数として分散モードラウドスピーカ(DML)によって生成される力の合計振幅(1ボルト当たり)のシミュレーションプロットである。
【
図5B】出力音響周波数の関数として、
図5AのDMLについて各電極対によって個々に生成される力の振幅のシミュレーションプロットである。
【
図6】出力音響周波数の関数として、
図5A~
図5Bにおいてモデル化されたDMLの各電極対の相対位相のシミュレーションプロットである。
【
図7】DMLの各電極対のための異なる入力電圧を選択するためのプロセスのフロー図である。
【
図8A】出力周波数の関数としてDMLにおける各電極対のための入力電圧の実部のシミュレートされたプロットである。
【
図8B】出力周波数の関数としてDMLにおける各電極対のための入力電圧の虚部のシミュレートされたプロットである。
【
図9A】音響出力周波数の関数としてDMLについてのシミュレートされた合計の力出力のプロットである。
【
図9B】音響出力周波数の関数としてDMLについてのシミュレートされた電流引き込みのプロットである。
【
図10A】2つの電極対を有するDMLの概略図である。
【
図10B】2セクションの圧電トランスデューサについてのモーメント図である。
【
図11A】周波数の関数として、2つの電極対を有するDMLによって生成される、1ボルト当たりの合計の力のプロットである。
【
図11B】周波数の関数として、2つの電極対を有するDMLによって生成される、電流引き込みのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
さまざまな図面における同様の参照番号および名称は、同様の要素を示す。
詳細な説明
図1A~
図1Cは、分散モードラウドスピーカ102を含む例示的なデバイス100を示す。スマートフォンまたは別のタイプのコンピュータなどのデバイス100は、音を生成するために、
図1Cに示される分散モードラウドスピーカ102を使用する。音は、電話での会話、音楽、オーディオストリーム、ビデオ用の音またはゲーム用の音といった任意のタイプの音であってもよい。
【0024】
分散モードラウドスピーカ102は、(たとえば、屈曲波によって)振動し、音波を生成するパネル104を含む。パネル104は、音波を生成し得る、デバイス100に含まれる任意の適切なパネルであり得る。たとえば、パネル104は、デバイス100に含まれるディスプレイパネルであってもよい。ディスプレイパネルは、タッチスクリーンまたは任意の他の適切なタイプのディスプレイを含み得る。
【0025】
パネル104は、圧電トランスデューサ108(またはDMA)からパネル104に力を伝達する、
図1B~
図1Cに示される支持部106に接続される。パネル104は、支持部106がパネル104に効率的に力を伝達し得るように支持部106に強固に接続される。いくつかの実現例では、パネル104は、デバイス100の製造中に支持部106に取り外し可能に接続され得る。たとえば、支持部106はパネル104から切り離され得る。いくつかの例では、パネル104は、支持部106に固定的に接続され得る。たとえば、支持部106は、パネル104から支持部106を取り外すのに損傷を生じることなく、パネル104に永久的に固定されるように意図される。
【0026】
いくつかの実現例では、別のコンポーネントが、パネル104と支持部106との間の接続の部分になり得る。たとえば、支持部106は、パネル104に強固に接続するシャーシに強固に接続してもよい。
【0027】
圧電トランスデューサ108は、カンチレバータイプの構造において支持部106に一端にて接続されており(たとえば、トランスデューサの反対側の端部は、支持部106に接続されておらず、したがって、自由に振動する)、これにより、圧電トランスデューサ108によって生成される力の少なくともいくつかを圧電トランスデューサ108から支持部106を通じてパネル104に伝達することが可能になる。圧電トランスデューサ108は、圧電トランスデューサ108が支持部106に効率的に力を伝達し得るように、支持部106に強固に接続される。いくつかの例では、圧電トランスデューサ108は、支持部106に固定的に接続され、たとえば、支持部106に永久的に固定される。そのため、取り外すことによって、支持部106、圧電トランスデューサ108、またはその両方に損傷が引き起こされる。圧電トランスデューサ108は、たとえば、圧電トランスデューサ108が支持部106から、どちらにも損傷を与えることなく切り離され得るように、支持部106に取り外し可能に接続され得る。
【0028】
圧電トランスデューサ108は、分散モードラウドスピーカ102に含まれる駆動モジュールからの信号の受け取りに応答して作動することによって力を生成する。たとえば、圧電トランスデューサ108は、複数の電極対110~114を含み、電極対110~114の各々は、対応する電極対110~114が駆動モジュールから活性化信号、たとえば電流を受け取ることを可能にするよう、駆動モジュールに接続される。電極対110~114が駆動モジュールから信号を受け取ると、電極対110~114は、圧電トランスデューサ108の圧電材料の層116の少なくとも部分にわたって電界を生成する。電界は圧電材料の寸法における物理的変化を引き起こし、アクチュエータの関連付けられる変位によって力が生成される。
【0029】
電極対110~114は、任意の適切な態様で層116に接続され得る。たとえば、電極対110~114は、たとえば堆積およびパターニングプロセスを通じて、製造中に層116に固定的に接続されてもよい。電極対110~114は別個の接地を含み得る。たとえば、電極110a、112aおよび114aは、各々が対応する接地電極110b、112bおよび114bを有する正の電極であり得る。圧電トランスデューサ108は、正の電極および接地電極の任意の適切な組み合わせを含み得る。たとえば、電極110a、112bおよび114bは正の電極であり得る一方、他の電極110b、112aおよび114aは接地電極であり得る。いくつかの例では、電極対110~114は、共通の接地を含み得る。たとえば、電極110a、112aおよび114aは、正の電極であってもよく、電極110b、112bおよび114bは、単一の共通の接地電極であってもよい。
【0030】
層116は、任意の適切なタイプの圧電材料であり得る。たとえば、層116は、セラミックまたは結晶圧電材料であり得る。セラミック圧電材料の例は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ビスマスフェライト、およびニオブ酸ナトリウムを含む。結晶質圧電材料の例は、トパーズ、チタン酸鉛、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムを含む。
【0031】
電極対110~114は、任意の適切な導電性材料を含み得る。たとえば、電極は、ニッケル、銅もしくは銀などの金属、または、導電性ポリマーであり得る。
【0032】
電極対110~114による層116の作動は、層116の大きな表面に対して垂直な鉛直方向118における層116の部分の運動であり得る。駆動モジュールから信号を受け取る電極対110~114に依存して、層116の異なる部分が別々に作動する。たとえば、第1の電極対110a-bは、駆動モジュールから信号を受け取ると、支持部106に最も近く第1の電極対110a-bに接続された層116の部分を主に作動させ得る。第2の電極対112a-bは、駆動モジュールから信号を受け取ると、第2の電極対112a-bに接続された層116の中間部分を主に作動させ得る。第3の電極対114a-bは、駆動モジュールから信号を受け取ると、支持部106から最も離れ第3の電極対114a-bに接続された層116の端部を主に作動させ得る。
【0033】
いくつかの実現例では、さまざまな電極対110~114は、信号を受け取ることに応答して、層116のそれぞれの部分を主に作動させる。層116の隣接する部分が、電極対が接続される層116のそれぞれの部分よりも低い程度で作動し得るからである。たとえば、第1の電極対110a-bは、駆動モジュールから信号を受け取ると、第1の電極対110a-bに接続された層116の部分を主に作動させて力を生成するとともに、第2の電極対112a-bに接続された層116の部分のいくつかをさらに作動させ得る。
【0034】
分散モードラウドスピーカ102は、層116の異なる部分の別個の選択、エネルギー供給、またはその両方を可能にするために、複数の電極を含む。たとえば、分散モードラウドスピーカ102は、ある周波数での音のより良好な再生のために、電力消費を低減するために、または、その両方のために電極のいくつかに選択的にエネルギー供給し得る。
【0035】
図2A~
図2Cは、出力周波数サブセットに基づいてトランスデューサ層204を作動するよう電極対202a-cに別々にエネルギー供給する分散モードラウドスピーカ200を示す。分散モードラウドスピーカ200は、
図1を参照して論じた分散モードラウドスピーカ102の例であり得る。電極対202a-cは、電極対110~114に対応し得る。トランスデューサ層204は、層116に対応し得る。支持部208は支持部106に対応し得る。
【0036】
分散モードラウドスピーカ200に含まれる駆動モジュール206は、
図2Aに示されるように、高周波数の音を生成する際、電極対202a-cのいくつかのみにエネルギー供給し得る。いくつかの例では、駆動モジュール206は、高周波数の音の生成のために第1の電極対202aにエネルギー供給してもよい。第1の電極対202は、電極202a-cおよびトランスデューサ層204を含む圧電トランスデューサが接続される支持部に最も近くあり得る。駆動モジュール206は、音を生成する際の電力消費を低減するために、電極対202a-cのいくつかのみにエネルギー供給してもよい。
【0037】
駆動モジュール206は、
図2Bに示されるように、中周波数の音を生成するよう、複数の電極対202a-bにエネルギー供給し得る。複数の電極対202a-bは、2つ以上の電極対を含んでもよい。複数の電極対202a-bは、分散モードラウドスピーカ200に含まれる電極対202a-cのすべてよりも少ない電極対を含んでもよい。いくつかの例では、駆動モジュール206は、中周波数の音を生成するために、隣接する電極対、たとえば、支持部に最も近い2つの電極対202a-b、または支持部208から最も遠い2つの電極対202b-cを選択およびエネルギー供給してもよい。いくつかの例では、駆動モジュール206は、互いに隣接しない2つの電極対、たとえば、第1の電極対202aおよび第3の電極対202cを選択およびエネルギー供給してもよい。
【0038】
駆動モジュール206は、
図2Cに示されるように、低周波数の音を生成するよう、複数の電極対202a-cにエネルギー供給し得る。複数の電極対202a-cは、3つ以上の電極対を含んでもよい。たとえば、駆動モジュール206は、低周波数の音を生成するよう、分散モードラウドスピーカ200に含まれる電極対202a-cのすべてを選択およびエネルギー供給してもよい。駆動モジュール206は、分散モードラウドスピーカ200による低周波数の音のより正確な再生のために、たとえば、広い範囲の低周波数の音を再生するために、複数の電極対202a-cを選択してもよい。
【0039】
図3は、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対のサブセットに電流または電圧を提供するためのプロセス300のフロー図である。たとえば、プロセス300は、デバイス100からの分散モードラウドスピーカ102によって使用され得る。
【0040】
分散モードラウドスピーカは、出力すべき音を識別する入力を受け取る(302)。たとえば、分散モードラウドスピーカに含まれる駆動モジュールまたはコントローラは、出力すべき音を識別する信号を受け取り得る。信号は、ラウドスピーカ、分散モードラウドスピーカまたはその両方のための任意の適切なタイプの信号であり得る。駆動モジュールまたはコントローラは、デバイス上で実行されるアプリケーション、たとえばスマートフォン上の電話または音楽アプリケーションから入力を受け取り得る。駆動モジュールは、分散モードラウドスピーカにおいてコントローラと同じコンポーネントであってもよい。いくつかの例では、駆動モジュールは、分散モードラウドスピーカにおいてコントローラとは異なるコンポーネントであってもよい。
【0041】
分散モードラウドスピーカは、ある周波数の範囲内で音波を生成するように構成される。たとえば、そのすべてが分散モードラウドスピーカに含まれるパネル、支持部および圧電トランスデューサについての構成パラメータを潜在的に含む分散モードラウドスピーカの製造設計は、分散モードラウドスピーカが音を生成し得る周波数の範囲に対応し得る。
【0042】
分散モードラウドスピーカは、音を出力する周波数のサブセットを決定する(304)。周波数のサブセットは、分散モードラウドスピーカが音を生成し得る周波数範囲からの周波数のサブセットである。周波数のサブセットは、分散モードラウドスピーカが音を生成し得る周波数の範囲の適切なサブセットであり得る。駆動モジュールまたはコントローラは、周波数のサブセットを決定するために信号からのデータを使用し得る。たとえば、駆動モジュールまたはコントローラは、音を出力する周波数のサブセットを信号が識別する、と決定し得る。
【0043】
分散モードラウドスピーカは、音を生成するために、周波数のサブセットに基づいて、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を選択する(306)。駆動モジュールまたはコントローラは、周波数のサブセットに基づいて、1つ以上の電極対を選択するために任意の適切な方法を使用し得る。いくつかの例では、駆動モジュールまたはコントローラは、音を生成するために、周波数のサブセットについて、エネルギー供給すべき電極対の数、エネルギー供給すべき電極対についての識別子、または、その両方を出力するアルゴリズムを使用し得る。たとえば、駆動モジュールまたはコントローラは、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を選択する際に、周波数範囲から周波数サブセット範囲の入力値へのマッピングを使用し得る。
【0044】
いくつかの例では、コントローラが駆動モジュールとは異なるコンポーネントであり、かつ、周波数のサブセットを決定する場合、コントローラは、周波数のサブセットについてのデータを駆動モジュールに提供する。たとえば、コントローラは、音を出力する周波数のサブセットを決定し、周波数のサブセットについてのデータを駆動モジュールに提供する。周波数のサブセットについてのデータは、周波数のサブセットを識別するデータであり得、たとえば、周波数のサブセットの数値を表すデータであり得る。周波数のサブセットについてのデータを受け取ることに応答して、駆動モジュールは、音を生成するために、圧電トランスデューサに含まれる1つ以上の電極対を選択するよう、周波数のサブセットについてのデータを使用する。
【0045】
分散モードラウドスピーカは、圧電トランスデューサを含む。分散モードラウドスピーカは、2以上の任意の適切な数の電極対を含み得る。たとえば、分散モードラウドスピーカは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または9つの電極対を含んでもよい。
【0046】
分散モードラウドスピーカは、駆動モジュールを使用して、選択された1つ以上の電極対の各々に電流または電圧を提供する(308)。たとえば、駆動モジュールは、選択された1つ以上の電極対から正の電極に電流を提供する。電極対のうちの少なくともいくつかが共通の接地を共有する場合、駆動モジュールは、各々が電極対のうちの1つからの別個の正の電極に入力電流を提供し、分散モードラウドスピーカは、共通の接地を介して当該電極対から出力電流を受け取る。電極対が別個の接地電極を有する場合、分散モードラウドスピーカは、選択された1つ以上の電極対から別個の正の電極に入力電流を提供することに基づいて、選択された1つ以上の電極対からの別個の接地電極から出力電流を受け取る。
【0047】
分散モードラウドスピーカは、選択された1つ以上の電極対を使用して圧電トランスデューサにより力を生成する(310)。当該力は、負荷に提供されると、周波数のサブセット内の音を負荷に生成させる。たとえば、電極対による電流の受け取りにより、圧電トランスデューサに含まれる層が作動され、力が生成される。分散モードラウドスピーカに含まれる支持部は、力または力の少なくとも部分を圧電トランスデューサからパネルに伝達し得る。パネルによる力または力の部分の受け取りによって、パネルは振動し、入力によって識別される音を生成する。
【0048】
いくつかの実現例では、プロセス300は、付加的なステップ、より少ないステップを含み得、または、ステップのいくつかは複数のステップに分割され得る。たとえば、分散モードラウドスピーカは、音を生成するために、プロセス300において他のステップを実行することなく、音を出力する周波数のサブセットを決定し、1つ以上の電極対を選択してもよい。いくつかの例では、分散モードラウドスピーカは、プロセス300において他のステップを実行することなく、ステップ304、ステップ306およびステップ308を実行してもよい。
【0049】
プロセス300におけるステップのうちの1つ以上は、プロセス300における以前のステップに応答して自動的に実行されてもよい。たとえば、分散モードラウドスピーカは、入力を受け取ることに応答して周波数のサブセットを決定してもよい。分散モードラウドスピーカは、周波数のサブセットを決定することに応答して、圧電トランスデューサに含まれる2つ以上の電極対から1つ以上の電極対を選択してもよい。駆動モジュールは、1つ以上の電極対を選択することに応答して、選択された1つ以上の電極対の各々に電流を提供し得る。圧電トランスデューサは、駆動モジュールから電流を受け取ることに応答して、力を生成し得る。
【0050】
一般的に、DMLの効率は、音響出力周波数の関数として各電極対のための駆動電圧の適切な選択によって改善(たとえば、最適化)され得る。たとえば、
図4Aおよび
図4Bを参照して、トランスデューサ層416の3つの異なる部分にエネルギー供給するための電極対401a-b、402a-bおよび403a-bを有する分散モードラウドスピーカ(またはDML)400を検討する。交流電圧が電極対(たとえば、401a-b、402a-b、および403a-b)に印加されると、その電極対に対応するトランスデューサ層416の部分は、印加電圧の周波数と同じ周波数で運動するようエネルギー供給される。トランスデューサの他の部分も機械的結合によって運動することになる。
【0051】
トランスデューサ層416は、支持部406を介してパネル(または負荷)404に接続されたトランスデューサ(またはDMA)408の部分である。分散モードラウドスピーカ400は、
図1を参照して論じられる分散モードラウドスピーカ102の例であり得る。電極対401a-b、402a-bおよび403a-bは、電極対110~114に対応し得る。トランスデューサ層416は、トランスデューサ層116に対応し得る。支持部406およびパネル404は、支持部106およびパネル104に対応し得る。
【0052】
一般的に、トランスデューサ層416の出力音響周波数および幾何学的形状に依存して、z方向におけるトランスデューサ層416の部分の相対変位および速度(たとえば、振動プロファイル)は、層の長さに沿って変化する。したがって、トランスデューサ層の異なる部分は、出力周波数に依存して、互いに「位相が合って」または「位相が外れて」運動し得る。
【0053】
図4A~
図4Bは、より低い出力周波数およびより高い出力周波数のそれぞれについてトランスデューサ層416の瞬間的な運動の簡略化された例を示すことによって、この原理を示す。
図4Aに示されるように、(たとえば、4kHzを下回る)より低い出力音響周波数では、トランスデューサ層416の大部分、したがって、電極対401a-b、402a-b、および403a-bは、z方向において「位相が合って」運動する。換言すれば、トランスデューサ層416の部分はすべて、z方向において同じ方向の速度を有する。
図4Aは、トランスデューサ層416の部分がすべて同時に下方に運動している場合のスナップショットを示す。しかしながら、たとえば、(たとえば4kHzを上回る)より高い出力周波数では、異なる電極対401a-b,402a-b,403a-bに対応する(x軸に沿った)トランスデューサ層416の異なる部分は、
図4Bに示されるように、z方向において異なる「位相」で運動する。たとえば、電極対401a-bに対応するトランスデューサ層416の部分は上方に運動しているが、電極対402a-b,403a-bに対応する部分は下方に運動している。より高い出力周波数は、トランスデューサ層416における異なるモードの作用に起因して、そのような位相が外れた運動をもたらし得ると考えられる。そのような位相が外れた運動によって、
図4Bに示されるように、トランスデューサ層416の部分が、層の残りの一次的な(または意図された)アクションに反するように作用し得、および/または、一次的な(または意図された)アクションに寄与しなくなり得る。「一次的なアクション」は、トランスデューサ層416の平均的な運動量または速度を指す。
【0054】
トランスデューサ層416の部分が、たとえば、より高い出力周波数のために、層の残り(たとえば、電極対401a-bに対応するトランスデューサ層416の部分)の一次的な運動の意図された方向とは反対の方向に運動している場合、層の当該部分にエネルギー供給するように電極対に印加される電圧は、所望の音響出力に寄与しない場合がある。その電極に印加される電圧をオフすること、または、反対の交番する極性の電圧を印加することによって、トランスデューサ層416の一次的なアクションと「位相が外れて」運動する部分によって無駄になるエネルギーを低減し得ることを、効率は要求し得る。代替的または付加的な経験的アプローチでは、ある位置における活性化または力が圧電層の変位と位相外れである場合に、入力電圧は、ある電極対に対応するトランスデューサ上の当該位置において、圧電応答の活性化、たとえば、印加される電圧による圧電力を低減するように選択され得る。換言すれば、電圧入力は、その位置に適用される力と反対方向にトランスデューサが運動する位置、または、その位置に適用される力と位相が外れて運動する位置上において低減され得る。実施形態では、入力電圧は、活性化または力が圧電層の変位と位相が外れている電極対に対応するトランスデューサ上の位置において、圧電応答の活性化、たとえば、印加される電圧による圧電力を最小化するように選択され得る。
【0055】
したがって、一般的に、トランスデューサ層416の部分が「位相が外れて」運動することになる出力周波数(たとえば、より高い出力周波数)において、単一の電圧でトランスデューサ全体を駆動する代わりに、トランスデューサ層416を異なる電極対401a-b、402a-b、403a-bに印加される異なる電圧で駆動することが有利であり得る。この原理は、他の出力周波数およびトランスデューサ層の幾何学的形状に拡張され得る。いくつかの実施形態では、異なる出力周波数でのトランスデューサの振動プロファイルを観察し、印加する電圧をそれに従って修正することによって経験的に最適化が達成され得る。いくつかの実施形態では、最適化は、分析的に達成され得、および/または、最適化アルゴリズムを使用するシミュレーションを通じて達成され得る。
【0056】
一般的に、各電極対401a-b,402a-b,403a-bは、トランスデューサ層416の両端に静電容量を生じさせる。たとえば、単一の電極対に由来する静電容量は、100nFと1000nFとの間であり得、または、200nFと450nFとの間(たとえば、430nF)であり得る。静電容量は、3つの電極にわたって加算的(たとえば、直列)であり得る。たとえば、トランスデューサ408の合計の静電容量(または電気的負荷)は、300nFと3μFとの間であり得、または、0.75μFと1.5μFとの間であり得る(たとえば、1.3μFまで加算)。
【0057】
より高い出力周波数では、トランスデューサ408のより高い静電容量は、電流のより大きなフローを必要とし得る。たとえば、トランスデューサ408に接続された電子増幅器は、電源レール(supply rail)によって制限される制御された出力電圧を生成し得る。トランスデューサの容量負荷は、周波数に反比例する電気インピーダンスを示し得る。したがって、増幅器によって引き込まれる電流は、周波数に比例して増加し得る。いくつかの実施形態では、音響出力周波数の関数としてトランスデューサ層の電極対のための駆動電圧の適切な選択の利点は、(たとえば、4kHzを上回る)より高い出力周波数での動作中の電流フロー(または引き込み)を低減することを含み得る。
【0058】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、音響出力周波数fで負荷404に所与の力を適用するためにトランスデューサ408によって必要とされる無効電力(Pr)は、
【0059】
【0060】
で表され、式中、Cはトランスデューサ408の合計の静電容量であり、Vは入力電圧である。この式は、より高い出力周波数fにおいて、所与の力を生成するために、より高い静電容量Cが、より高い電力Prを必要とすることを示している。いくつかの実施形態では、利点は、より高い周波数(たとえば4kHzを上回る)での動作中に必要とされる電力を低減することを含み得る。電力Prおよび電流Iは、以下のように関係付けられる。
【0061】
【0062】
したがって、上で論じたように、電流フローを低減することは、電力消費を低減することに関係付けられる。
【0063】
図5Aを参照して、出力音響周波数の関数として、分散モードラウドスピーカのDMA(たとえば、トランスデューサ408)によって生成される(1ボルト当たりの)力の合計の振幅のシミュレートされたプロットが示される。シミュレーションでは、DMAは、等しい面積であって1.3μFの合計の静電容量(または電気負荷)の3つの電極対(たとえば、401a-b,402a-b,403a-b)を有し、これらはすべて同じ発振入力電圧で駆動された。
【0064】
図5Bを参照して、
図5AのDMAの出力音響周波数の関数として、各電極対1、2および3(たとえば、401a-b,402a-b,403a-b)によって個々に生成される力の振幅が示されている。プロットは、同じ発振入力電圧で駆動されると、各電極対の出力の効率は異なり得、出力音響周波数に依存し得ることを示している。たとえば、電極対1(たとえば、401a-b)は、より低い音響出力周波数において、他の電極対よりも高い電力出力を生成するが、その同じ電極は、より高い音響出力周波数(たとえば、4kHzを上回る)において、他の電極対2および3(たとえば、402a-b,403a-b)よりも低い電力出力を生成する。
【0065】
図6を参照して、出力音響周波数についての関数として、
図5A~
図5Bにおいてモデル化されるDMAの各電極対1、2、および3の相対位相が示される。電極対(たとえば、401a-b,402a-b,403a-b)を参照して使用される「相対位相」は、その対の位置においてトランスデューサによって負荷(たとえば、404)に送達される力を指す。たとえば、より低い周波数では、すべての力の寄与は互いに位相が合っている。より高い周波数では、電極対1からの寄与は、位相が180°外れている(すなわち、反転している)。
【0066】
図6において分かるように、4kHzの出力周波数を上回ると、電極1の位相は、電極2および3の位相とは反対になる。換言すれば、電極1は、トランスデューサの一次的なアクションに反して作用している(たとえば、反対の力および/または運動量を生成している)。
【0067】
図7を参照して、いくつかの実施形態では、方法700は、DMA(たとえば、408)の各電極対(たとえば、401a-b,402a-b,403a-b)のために、DMAの音響周波数出力に依存して、異なる入力電圧を選択する。当該選択によって、たとえば、DMAによって生成される合計の力が増加し得、および/または、所与の出力される力を生成するためにDMAによって使用される電流(たとえば、「電流負荷」または「電流引き込み」)が低減し得る。たとえば、プロセス700は、
図4A~
図4Bに示される分散モードラウドスピーカ400によって使用され得る。
【0068】
分散モードラウドスピーカは、出力すべき音を識別する入力を受け取る(702)。たとえば、分散モードラウドスピーカに含まれる駆動モジュール(たとえば、206)またはコントローラは、出力すべき音を識別する信号を受け取り得る。信号は、スピーカ、分散モードラウドスピーカ、またはその両方のための任意の適切なタイプの信号であり得る。駆動モジュールまたはコントローラは、たとえばスマートフォン上の電話または音楽アプリケーションといった、デバイス上で実行されるアプリケーションから入力を受け取り得る。
【0069】
分散モードラウドスピーカは、音を出力する周波数のサブセットを決定する(704)。周波数のサブセットは、分散モードラウドスピーカが音を生成し得る周波数の範囲からの周波数のサブセットである。駆動モジュールまたはコントローラは、周波数のサブセットを決定するために信号からのデータを使用し得る。たとえば、駆動モジュールまたはコントローラは、音を出力する周波数のサブセットを信号が識別すると決定し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、分散モードラウドスピーカが音を生成し得る周波数の範囲は、0kHzと20kHzとの間であり、たとえば、20Hz~10kHz、50Hz~10kHz、または200Hzと10kHzとの間である。
【0071】
トランスデューサの部分の位相が外れる挙動が現れ始める「より低い」周波数と「より高い」周波数との間の遷移は、モード周波数において起こり得る。低い基本共振周波数(たとえば、4kHz)を有する実現例の場合、より高次のモード(たとえば、10kHz)においてオーディオ帯域内でさらなる遷移があり得る。いくつかの実施形態では、音を出力する周波数のサブセットは、0kHzと4kHzとの間(たとえば、「より低い周波数」)、または、4kHzと10kHzとの間(たとえば、「より高い周波数」)である。いくつかの実施形態では、周波数のより低いサブセットは、4kHzと10kHzとの間であり、周波数のより高いサブセットは、10kHzと20kHzとの間である。
【0072】
分散モードラウドスピーカは、周波数のサブセットについて、トランスデューサ上の各対の相対位置に基づいて、2つ以上の電極対(たとえば、401a-b,402a-b,403a-b)の各々のためのそれぞれの入力電圧を選択する(706)。2つ以上の電極対のうちの少なくとも2つのためのそれぞれの入力電圧は異なる。
【0073】
いくつかの例では、駆動モジュールまたはコントローラは、周波数のサブセットについて、DMAのそれぞれの部分にエネルギー供給するために、(たとえば、それぞれの振幅および相対位相を有する)異なる発振入力電圧を各電極対に出力するアルゴリズムを使用し得る。いくつかの実施形態では、入力電圧は、所与の合計の印加電圧についてDMAによって生成される合計の力を増加させ、および/または、所与の力を適用するためにDMAによって使用される電流を低減するように選択され得る。たとえば、アルゴリズムは、本明細書において参照により全文が援用される米国特許番号第9,041,662号に記載されるシステミック最適化アルゴリズムであり得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、電極対のための入力電圧は、発振入力電圧である。いくつかの実施形態では、入力電圧は、対応する振幅および対応する位相を有する。入力電圧の振幅は-15V~+15Vの範囲である。電圧は圧電層の厚さに依存し得、印加電圧の制限は、たとえば500kV/mなどの電界強度に関して特定され得る。入力電圧の位相は、-180°と+180°との間の範囲である。位相差は-90°と+90°との間の範囲であり得る。
【0075】
代替的または付加的には、DMA上の電極対(たとえば、電極対401a-b)は、たとえば4kHzを上回る周波数において、DMAの一次的なアクションと位相が外れるように運動すると、電源供給されないままにされ得る。代替的または付加的には、DMA上の電極対(たとえば、電極対401a-b)は、たとえば4kHzを上回る周波数において、DMAの一次的なアクションと位相が外れるように運動すると、他の電極対(402a-b,403a-b)の入力電圧と位相が外れた振動電圧によりエネルギー供給され得る。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、位相が外れた電極対に電源供給されないままにする、または、ある周波数サブセットにおいて異なる位相の電圧で電源供給されたままにすることは、DMLの電流引き込み(current draw)を低減することを補助し得る。
【0076】
いくつかの例では、
図3に関連して詳述されるように、コントローラが駆動モジュールとは異なるコンポーネントであり、周波数のサブセットを決定する場合、コントローラは、周波数のサブセットについてのデータを駆動モジュールに提供する。
【0077】
分散モードラウドスピーカは、駆動モジュールを使用して、2つ以上の電極対の各々にそれぞれの入力電圧を印加し、これにより、トランスデューサが、出力周波数の範囲内で負荷に対して振動力を生成する(708)。振動力は、負荷に供給されると、負荷に周波数のサブセット内で音を生成させる。
【0078】
いくつかの実現例では、プロセス700は、付加的なステップ、より少ないステップを含み得、または、ステップのいくつかは複数のステップに分割され得る。
【0079】
図8A~
図8Bを参照して、シミュレーションにおいて、DML(たとえば、400)の各等しいサイズの電極1~3(たとえば、対401a-b,402a-b,403a-bに対応する)のための発振入力電圧を選択して、DMLによって引き込まれる電流を低減する、および/または、DMLによって生成される力を増加するよう、米国特許第9,041,662号に記載されるシステミック最適化アルゴリズムが使用された。一般的に、米国特許第9,041,662号に記載されるアルゴリズムは、入力「電力」が一定に保たれるという制約内で、ターゲット応答を最大化または最小化するために使用され得る。
図8A~
図8Bに示される例では、ターゲット応答は力であり、入力は電圧であった。比較目的のために、3つの電極対のための電圧は、それらの振幅(または大きさ)の和の2乗が1(unity)になるように正規化された。
図8Aでは、(たとえば、対401a-b,402a-b,403a-bに対応する)各電極1~3について、ゲインとして表される入力電圧の実部V
rが、出力周波数の関数としてプロットされる。
図8Bでは、(たとえば、対401a-b,402a-b,403a-bに対応する)各電極1~3について、ゲインとして表される入力電圧の虚部V
imが、出力周波数の関数としてプロットされる。アルゴリズムにより、合計の電力ゲインは1である。これらのゲインは、音楽のような任意の入力信号に同時に適用され得る。
【0080】
図8A~
図8Bに示されるように、異なる電圧が各電極に印加され、電圧入力はDML(たとえば400)の出力周波数に依存した。所与の周波数における各電極対のための印加される電圧の振幅(または大きさ)は、
【0081】
【0082】
であり、相対位相θは、
【0083】
【0084】
であった。
図9A~
図9Bは、音響出力周波数の関数として、各電極対のための電圧入力セットの2つの選択について、それぞれシミュレートされた合計のDML力出力および電流引き込みを比較する。ここでも、比較目的のために、3つの電極対のための電圧セットは、それらの和の2乗が1になるように正規化された。実線の「最適化」曲線は、
図8A~
図8Bに示される入力電圧を3つの電極対1~3に印加した結果であった。破線の「等しい」曲線は、3つの電極対1~3の各々のための等しい同位相の一定の電圧(たとえば、各々大きさが
【0085】
【0086】
である)の印加に対応する。
図9Aを参照して、電圧の「最適化」された選択によって、「等しい」曲線と同じ合計の入力電圧の大きさについて、すべての周波数において、DMAのための出力力がより高くなった。
図9Bを参照して、電圧の「最適化」された選択の電流引き込みは、特に4kHzを上回る出力周波数について、「等しい」曲線よりも低かった。換言すれば、電圧の「最適化」された選択を有するDMLは、すべての3つの電極対について同じ一定の電圧を使用するDMLよりも、より低い電流引き込みでより高い力を生成することにおいてより効率的であることが示された。
【0087】
図4A~
図4Bは、等しいサイズの3つの電極対401a-b,402a-b,403a-bを有するDMA408を示しているが、異なるサイズの他の数の電極対および/または電極が企図される。いくつかの実施形態では、DMAによって生成される合計の力を増加するために、および/または、所与の力を適用するようDMAによって使用される電流を低減するために、電極対の数ならびに電極対の位置および面積を選択するよう、米国特許第9,041,662号に記載されるシステミック最適化アルゴリズムのようなシステミック最適化アルゴリズムが使用され得る。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、各対は別個の電気入力を必要とし得、潜在的にDMLにコストおよび複雑さを付加するので、より少ない電極対を使用することが有利であり得る。
【0088】
図10Aを参照して、分散モードラウドスピーカ(またはDML)1000は、トランスデューサ層1016の2つの異なる部分にエネルギー供給するための2つの電極対1001aおよび1002aを有する。トランスデューサ層416は、支持部1006を介してパネル(または負荷)に接続されたトランスデューサ(またはDMA)の部分である。分散モードラウドスピーカ1000は、
図1を参照して論じた分散モードラウドスピーカ102の例であり得るが、2つの電極対を有する。
【0089】
いくつかの実施形態では、電極対1001aおよび1002aのサイズ(たとえば、面積)は等しい。いくつかの実施形態では、電極対1001aおよび1002aのサイズは等しくない。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、電極対のサイズ(面積)は、その静電容量を決定し得る。上で論じたように、より高い静電容量は、より高い電流使用要件および/またはエネルギー使用要件につながり得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、電極対(たとえば、1001aおよび1002a)が異なるサイズである場合、電極のための入力電圧を選択する方法は、電極対の異なる静電容量を考慮し得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、(たとえば、米国特許第9,041,662号に記載される)最適化アルゴリズムを用いて、(1)たとえば、所与の合計の印加される電圧についてDMAによって生成される力を増加する電圧使用、(2)たとえば、所与の力を適用するためにDMAによって使用される電流を低減する電流使用、または、(3)たとえば所与の力を適用するためにDMAによって使用される合計のエネルギーを低減するエネルギー使用、のうちの1つを最適化するよう電極対(たとえば、1000aおよび1002a)のための入力電圧が決定され得る。エネルギーは電流に電圧を乗じたものである。
【0092】
いくつかの実施形態では、最適化アルゴリズムに使用される正規化技術は、上記(1)~(3)のいずれが最適化されているかに依存する。電圧使用の最適化の場合、各電極iに印加される電圧Viの2乗和は1に等しい。すなわち、
【0093】
【0094】
である。電流使用の最適化の場合、各電極iの静電容量Ciと電圧Viの和は、以下のように正規化される。
【0095】
【0096】
エネルギー使用の最適化の場合、正規化は以下のとおりである。
【0097】
【0098】
いくつかの実施形態では、電極のすべてが同じ静電容量Cを有する場合、3つの最適化のすべては、電極対のための入力電圧の同じ比につながり得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、最適化はさらに、DMAの外側の外部電気回路の構成(たとえば、DMAを組み込んだ携帯電話の増幅器におけるワイヤ)を考慮し得る。いくつかの実施形態では、最適化は、実現例の経済的なコストも考慮し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ上のどこに電極対を位置決めするべきかを決定するために、カンチレバータイプのトランスデューサ(たとえば、416)のモード形状(たとえば、曲げ応答および/または慣性)が使用され得る。換言すれば、トランスデューサの全長に沿って位置する連続する電極をどこで「分割」するべきかを決定する。いくつかの実施形態では、トランスデューサは、出力周波数に依存して異なるモード形状を有する。理論に束縛されるものではないが、モード形状に基づくそのような最適化は、トランスデューサのエネルギーのより効率的な使用を可能にし得る。
【0101】
図10Bを参照して、2セクションの圧電トランスデューサ1040についてのモーメント図が示される。トランスデューサ1040の2つのセクション1011aおよび1012aは、2つの電子対(たとえば、1001aおよび1002a)に対応し得る。より高い周波数では、セクション1011aおよび1012aは、反対の位相を有する(たとえば、反対方向に運動している)。各セクション1011aおよび1012aは、その端部において、反対のモーメントを提供する。すなわち、セクション1011aのためにモーメント1020aおよび1020bを提供し、セクション1012aのためにモーメント1020cおよび1020dを提供する。各端部についての曲げモーメントの方向は、紙面において矢印で示されている。2つのセクション1011aおよび1012aは、位置1032において分割され得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ1040の曲げモーメントの極大(local maximum)において、位置1032が選択され得る。理論に縛られることを望むものではないが、極大は、2つのセクション1011aおよび1012aのモーメント1020bおよび1020cがそれぞれ位相が合っており(たとえば、同じ方向を有しており)、互いを補強する場合に発生する。
【0103】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ1040の曲げモーメントの極大を決定するために、分析モデルが使用され得る。たとえば、トランスデューサ上の正規化された位置ξの関数としてのモード形状Y(たとえば、z軸変位)についての式は、以下のとおりである。
【0104】
【0105】
式中、ξは0と1との間であり、σは+/-1に向かう傾向があり、λは(異なるモード形状に対応する)モード番号に依存するπ/2の奇数倍の固有値乗数(たとえば、3π/2、5π/2など)である。この式は、Robert D. BlevinsによるFormulas for Natural Frequency and Mode Shape, p.108から抜粋されている。
【0106】
曲げモーメントの極大は、Yの二次導関数の最大を求めることによって導出され得る。
【0107】
【0108】
ξが第Nのモードについて1/Nの倍数に等しい場合、概して、Y” (たとえば、分割部1032がトランスデューサ1040上に位置し得る)の極大(たとえば、波腹)が発生する。表1は、最初の4つのモードについて小数点以下第3位までのξの実際の値を示す。
【0109】
【0110】
この分析モデルに基づいて、1/Nの位置でトランスデューサ1040を分割することは、トランスデューサのモード形状力学の点で最適に近いように思われる。換言すれば、トランスデューサ1040の長さをカバーする電極は、トランスデューサ1040の長さのほぼ中央で分割され得、これにより、2つの等しい電極対が作り出され得る。代替的または付加的には、トランスデューサ1040の長さをカバーする電極は、トランスデューサ1040の長さのほぼ1/3および2/3で分割され得、これにより、3つの等しい電極対が作り出され得る。
【0111】
図11Aを参照して、2つの電極対(たとえば、1000aおよび1002a)を有するDMA(たとえば、1000)によって生成される1ボルト当たりのシミュレートされた合計の力が、周波数の関数として示されている。点線の「等しい」曲線は、等しいサイズの2つの電極対を有するDMAによって生成される力である。理論に縛られることを望むものではないが、「等しい」曲線は、電圧使用または電流使用の最適化のいずれかを表し得る。それらによって、等しいサイズの電極対について同じ曲線が得られるからである。破線の「電圧最適化」および「電荷最適化」曲線は、上記分析モデルによって規定されるように、電極対が0.529で分割されるDMAによって生成される力を表す。最適化は、上述したように、米国特許第9,041,662号に記載されている最適化アルゴリズムを用いて行われた。
図11Aでは、3つの曲線のすべてがほぼ等しい。
【0112】
図11Bは、周波数の関数として、2つの電極対(たとえば、1000aおよび1002a)を有するDMA(たとえば、1000)によって引き込まれる合計の電流を示す。曲線は、
図11Aと同じタイプのDMA電極分割に対応する。
【0113】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、
図11A~
図11Bにおける結果は、電極を等しい部分に分割することによって、分析モデルによって見出される正確な値を使用するのに類似した利点が得られることを示している。この類似性は、DMAがほぼカンチレバービームのみであるという事実に起因し得る。
【0114】
上記の実施形態は、ビーム状の矩形のDMA幾何学的形状を企図したが、幅が長さの有意な割合である(たとえば、プレート状)デバイスも企図される。たとえば、米国特許第7,149,318号に示されるように、矩形および台形の幾何学的形状が企図される。米国特許第7,149,318号は、全文、参照により本明細書に援用される。上記の分析モデルに基づき電極を対に分割することに関する教示はさらに、直接的な類似性によって、そのような他の幾何学的形状に適用され得る。
【0115】
いくつかの実現例では、分散モードラウドスピーカがスマートフォンに含まれる場合、スマートフォンは、ディスプレイ、たとえば、ディスプレイパネル、1つ以上のプロセッサ、および、1つ以上のメモリを含み得る。ディスプレイは、音を生成するために分散モードラウドスピーカによって使用される負荷であり得る。いくつかの例では、スマートフォンは、分散モードラウドスピーカのための、音を生成する際に使用するディスプレイとは異なる負荷を含み得る。
【0116】
メモリは、たとえば、分散モードラウドスピーカが出力すべきサウンドを識別する入力を受け取るアプリケーションのための命令を格納し得る。1つ以上のプロセッサ、たとえば、1つ以上のアプリケーションプロセッサは、アプリケーションを実行するよう、1つ以上のメモリに格納された命令を使用し得る。アプリケーション、たとえば、電話アプリケーション、音楽アプリケーションまたはゲームの実行中、当該アプリケーションは、ユーザに出力すべき音を決定し得る。アプリケーションは、分散モードラウドスピーカに音についてのデータを提供する。
【0117】
分散モードラウドスピーカにおけるコントローラまたは駆動モジュールは、音についてのデータを入力として受け取る。コントローラは、スマートフォンにおける同じコンポーネントであり得る。いくつかの例では、コントローラは、スマートフォンにおける駆動モジュールとは異なるコンポーネントである。コントローラ、駆動モジュール、または、これら2つの組み合わせは、音についてのデータを使用して、周波数のサブセットを決定し、1つ以上の電極対を選択し、選択された1つ以上の電極対に電流を提供する。
【0118】
いくつかの例では、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、またはその両方は、駆動モジュール、コントローラ、または、その両方とは別個のものである。たとえば、コントローラ、駆動モジュール、または、その両方は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのメモリ、または、その両方を含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、上記1つ以上のプロセッサとは異なるプロセッサのセットであってもよい。少なくとも1つのメモリは、上記1つ以上のメモリとは異なるメモリであってもよい。
【0119】
本明細書に記載される主題および機能的な動作の実施形態は、デジタル電子回路において実現され得、有形的に具現化されるコンピュータソフトウェアまたはファームウェアにおいて実現され得、本明細書で開示される構造およびそれらの構造的均等物を含むコンピュータハードウェアにおいて実現され得、または、それらのうちの1つ以上の組み合わせにおいて実現され得る。本明細書に記載される主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラムとして実現され得る。すなわち、データ処理装置によって実行するための有形の一時的でないプログラムキャリア上にエンコードされたコンピュータプログラム命令、または、データ処理装置の動作を制御するための有形の一時的でないプログラムキャリア上にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現され得る。代替的または付加的には、プログラム命令は、データ処理装置による実行のために適切な受信装置への送信のために情報をエンコードするために生成される人工的に生成される伝搬信号、たとえば、マシンによって生成される電気信号、光学信号、または電磁信号上でエンコードされ得る。コンピュータ記憶媒体は、マシン読み取り可能なストレージデバイス、マシン読み取り可能なストレージ基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリデバイス、または、それらのうちの1つ以上の組み合わせであり得る。
【0120】
「データ処理装置」という用語は、データ処理ハードウェアを指し、一例として、プログラマブルプロセッサまたは複数のプロセッサを含む、データを処理するためのすべての種類の装置、デバイス、およびマシンを包含する。装置はさらに、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array))またはASIC(特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit))といった特殊用途論理回路であり得るか、または、当該特殊用途論理回路をさらに含み得る。装置は、ハードウェアに加えて、コンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコードを任意に含み得、たとえば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、オペレーティングシステム、または、それらのうちの1つ以上の組み合わせを構成するコードを任意に含み得る。
【0121】
たとえば、分散モードラウドスピーカ、たとえば、駆動モジュール、コントローラ、または、その両方は、データ処理装置を含み得る。分散モードラウドスピーカは、本明細書において記載される動作のうちの1つ以上を実行するために、少なくとも1つのメモリと関連してデータ処理装置を使用し得る。
【0122】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、または、コードとも称され得るか、または、記載され得るコンピュータプログラムは、コンパイルされた言語もしくは解釈された言語、または宣言的言語もしくは手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述され得、スタンドアロンプログラムとして、または、コンピューティング環境における使用に好適なモジュール、コンポーネント、サブルーチン、または、他のユニットとして任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステムにおけるファイルに対応してもよいが、対応する必要はない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの部分に格納され得る。たとえば、1つ以上のスクリプトが、マークアップ言語ドキュメントに格納され得るか、対象のプログラム専用の単一のファイルに格納され得るか、または、たとえば1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を格納するファイルといった複数の協調ファイルに格納され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように展開され得るか、または、1つの場所に位置するかもしくは複数の場所にわたって分散されるとともに通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0123】
本明細書において記載されるプロセスおよび論理フローは、入力データに対して動作するとともに出力を生成することによって機能を実行するよう、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルコンピュータによって実行され得る。プロセスおよび論理フローはさらに、たとえばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)といった特殊用途論理回路によって実行され得、装置も、当該特殊用途論理回路として実現され得る。
【0124】
コンピュータプログラムの実行に好適なコンピュータは、一例として、汎用マイクロプロセッサ、特殊用途マイクロプロセッサ、もしくは、その両方、または、任意の他の種類の中央処理装置を含む。一般的に、中央処理装置は、リードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、または、その両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須の要素は、命令を実行するための中央処理装置と、命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスとである。一般的に、コンピュータはさらに、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスクもしくは光ディスクといった、データを格納するための1つ以上のマスストレージデバイスを含むか、それらからデータを受け取るよう、もしくは、それらにデータを転送するよう動作可能に結合されるか、または、その両方である。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、たとえば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオもしくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、または、たとえばユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブのようなポータブルストレージデバイスといった別のデバイスに埋め込まれ得る。
【0125】
コンピュータプログラム命令およびデータを格納するのに好適なコンピュータ読み取り可能媒体は、たとえば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスと、たとえば内部ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクとを含む、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊用途論理回路によって補われ得るか、または、特殊用途論理回路に組み込まれ得る。
【0126】
分散モードラウドスピーカは、分散モードラウドスピーカによって実行されると、分散モードラウドスピーカに本明細書に記載される1つ以上の動作を実行させる命令を格納する1つ以上のメモリを含み得る。たとえば、命令は、分散モードラウドスピーカに、出力周波数サブセットを決定させ得るか、1つ以上の電極にエネルギー供給し得るか、または、その両方を行ない得る。いくつかの例では、駆動モジュール、コントローラまたはその両方は、1つ以上のメモリまたは1つ以上のメモリのいくつかを含み得る。
【0127】
ユーザとのインタラクションを提供するために、本明細書において記載される主題の実施形態は、たとえばLCD(液晶ディスプレイ)モニタといったユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイスと、ユーザがコンピュータに入力を提供し得るキーボードおよびマウスまたはトラックボールといったポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実現され得る。他の種類のデバイスも、ユーザとのインタラクションを提供するために使用され得る。たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは、たとえば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックといった任意の形態の感覚フィードバックであり得る。さらに、ユーザからの入力は、音響入力、スピーチ入力、または、触覚入力を含む任意の形態で受け取られ得る。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスにドキュメントを送り、当該デバイスからドキュメントを受け取ることによって、ユーザとインタラクションし得る。たとえば、ウェブブラウザから受け取られる要求に応答して、ウェブページをユーザのデバイス上のウェブブラウザに送信することによってユーザとインタラクションし得る。
【0128】
本明細書は、多くの具体的な実現例の詳細を含むが、これらは、請求され得る範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施形態に固有であり得る特徴の記載として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されているある特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実現され得る。反対に、単一の実施形態の文脈において記載されるさまざまな特徴は、複数の実施形態において別々に、または、任意の適切なサブコンビネーションで実現され得る。さらに、特徴は、ある組み合わせで作用すると上述され得、最初にそのように請求され得るが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、いくつかの場合においては、その組み合わせから取り除かれ得、請求される組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形に向けられ得る。
【0129】
同様に、動作は、図面において特定の順序で示されているが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が、示された特定の順序で実行されること、もしくは、逐次の順序で実行されることを必要とすると理解されるべきではなく、または、すべての示された動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。ある状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。さらに、上述の実施形態におけるさまざまなシステムモジュールおよびコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、記載されるプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般的に、単一のソフトウェアプロダクトに一緒に統合され得るか、または、複数のソフトウェアプロダクトにパッケージ化され得ることが理解されるべきである。
【0130】
主題の特定の実施形態を記載した。他の実施形態は、添付の請求の範囲の範囲内である。たとえば、請求の範囲に記載される動作は、異なる順序で実行され得、それでも所望の結果を達成し得る。一例として、添付の図面に示されるプロセスは、所望の結果を達成するために、必ずしも、示される特定の順序または逐次の順序を必要としない。いくつかの場合、マルチタスクおよび並列処理が有利であり得る。