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特許7195351ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 227/42 20060101AFI20221216BHJP
   C07C 227/18 20060101ALI20221216BHJP
   C07C 229/66 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
C07C227/42
C07C227/18
C07C229/66
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020573548
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 KR2020002959
(87)【国際公開番号】W WO2021071033
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0126502
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0161828
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521001869
【氏名又は名称】エイエステック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジョン ベ
(72)【発明者】
【氏名】ベク,ヒョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウン ファ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-533764(JP,A)
【文献】特開平02-131588(JP,A)
【文献】特開平07-033709(JP,A)
【文献】特表2010-525009(JP,A)
【文献】特開2000-319628(JP,A)
【文献】特開2014-210715(JP,A)
【文献】国際公開第01/066631(WO,A1)
【文献】特開2011-148771(JP,A)
【文献】特許第4299878(JP,B1)
【文献】特表2007-505820(JP,A)
【文献】Tetrahedron Letters ,2010年,51,6161-6165
【文献】Chem Biol Drug Des,2016年,88,66-75
【文献】Org. Lett.,2013年,Vol.15, No.17,4378-4381
【文献】浅原 照三,溶剤ハンドブック,株式会社 講談社,1985年,pp.47-51
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 227/18
C07C 229/66
C07C 227/42
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0)下記化学式IIで表されるN,N-ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイル-安息香酸に、下記化学式IIIで表される化合物を塩基条件下で反応させて、下記化学式Iで表される化合物を製造する段階:
【化1】

【化2】

【化3】

(化学式III中、Lは、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニル、トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ヘキシルスルファート、またはヘキシルスルホニルである)、
1)前記化学式Iで表されるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの濃縮残渣に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた結晶化溶媒を投入する段階、
2)昇温して溶解させる段階、
3)溶解を確認後、内部温度15~20℃まで冷却して結晶を析出させる段階、
4)追加で0~5℃まで冷却して結晶性粒子を製造する段階
を含む、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子の製造方法。
【請求項2】
前記塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選ばれた無機塩基である、請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
前記塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン、及びピリジンからなる群から選ばれた有機塩基である、請求項に記載の製造方法。
【請求項4】
1)前記化学式Iで表されるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの濃縮残渣に、前記結晶化溶媒を投入する段階、
2)内部温度を30~50℃に昇温して溶解させる段階、
3)完全溶解を確認後、2~4℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、内部温度15~20℃まで徐冷する段階、
4)2~4℃/hrの速度で徐冷し、0~5℃まで冷却して結晶性粒子を製造する段階を含む、請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法に係り、具体的には、製造工程が容易であり、商業的に量産が可能なジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子の製造方法、及び、それにより製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに関する。
【背景技術】
【0002】
日光に含まれた紫外線を始めとした全ての紫外線は、発癌物質である。国際癌研究機関であるIARC(International Agency for Research on Cancer)は、全種の紫外線を、グループ1に属する発がん物質、すなわち発がん性が確認された物質に分類している。
【0003】
発がん性以外も、紫外線は、肌と目、免疫系に損傷を与え、肌老化を引き起こす。理論的に紫外線を浴びなければ、老化が27倍遅延すると言われる。特に、日光にたくさん含まれたUV-B(320nm~280nm)は、火傷を起こし、紫外線殺菌に用いられるUV-C(280nm~100nm)は、エネルギーが大きく、UV-A(400nm~320nm)やUV-Bよりもさらに有害である。また、過去は、あまり有害でないと知られたUV-Aも、高いエネルギーを有しており、活性酸素によるDNAの損傷が可能であることが明らかになった。日光を受けたとき、肌が日焼けするのは、有害物質から肌を保護するために発生する現象であると言われる。肌老化、肌損傷のような健康上の被害以外にも、そばかすやほくろができるなど、美容的にも紫外線は有害である。
【0004】
このように紫外線は、各種の老化としわの主犯と思われ、老若男女を問わず日焼け止めが推奨されている。日焼け止めは、物理的な日焼け止めと化学的な日焼け止めに分けられ、物理的な日焼け止めは、主に紫外線を反射させる無機化合物を用いたものであり(無機日焼け止め)、化学的な日焼け止めは、紫外線エネルギーを熱の形態に変化させて放出させる組成物を用いたものである(有機日焼け止め)。
【0005】
無機焼け止めは、チタニウムジオキシド(二酸化チタン)と酸化亜鉛が主に用いられる。遮断効果に優れてはいるが、肌馴染みが悪い方であり、たくさん肌に塗っていると、白浮きする白濁現象が生じる問題点があった。
【0006】
一方、有機焼け止めは、無機焼け止めとは異なり、その種類が極めて多様であるが、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(BEMT:bis-ethylhexyloxyphenolmethoxyphenyl triazine)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Butyl Methoxydibenzoylmethane)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(DHHB:Diethylamino hydroxybenzoyl hexyl benzoate)、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(DPDT:disodium phenyl dibenzimidazole tetrasulfonate)などが主に用いられる。このうち、下記化学式で表されるDHHBは、UV-Aを遮断する代表的な有機日焼け止めであって、BASF社がヨーロッパ公開公報第1046391号を通じて初めて開発した製品であり、現在、ユビナールAプラス(Uvinul A plus)という商品名で市販されている製品である。
【0007】
【化1】
【0008】
BASF社は、国際公開03/097578号を通じて、下記の反応式により、DHHBを製造する方法を紹介している。
【0009】
【化2】
【0010】
しかしながら、この製造方法は、エステル化反応(esterification)段階において、強酸である硫酸を用い、高温(105~110℃)で反応しなければならず、反応結果物に赤色の不純物を発生させることにより、脱色のために多くの量の脱色剤を用いなければならないだけでなく、数回の精製過程を経なければならないという問題点を有している
【0011】
一方、BASF社は、国際公開2008/135360号において、DHHBを結晶化させる方法を開示した。しかしながら、上記特許に開示された結晶化方法は、DHHBの融点(54℃)よりも高い温度で完全に溶解させた後、さらに融点よりも低い温度で冷却させて、固体形態のDHHBを得る方法であって、粉砕が必須である。これは、一般の量産設備に適用することが難しいので、量産に制約が伴われる。よって、製造工程が容易であり、商業的に量産が可能なDHHBの製造方法の開発が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開03/097578号
【文献】国際公開2008/135360号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、強酸で反応し、赤色の不純物を多量発生させて脱色が難しかった既存の製造方法を改善することができる、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法、及び、それにより製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを提供しようとする。
【0014】
また、本発明は、少量の脱色剤を用いながらも、精製回数を減らすことができ、高い収率と経済的な生産が可能である、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法、及び、それにより製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、下記化学式IIで表されるN,N-ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイル-安息香酸に、下記化学式IIIで表される化合物を反応させて、下記化学式Iで表される化合物を製造する段階を含む、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法を提供する。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
Lは、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニル、トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ヘキシルスルファート、またはヘキシルアルキルスルホニルである。
【0020】
また、本発明は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子の製造方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、上記した製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造方法によれば、強酸で反応し、赤色の不純物を多量発生させて脱色が難しかった既存のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法を改善することができる。具体的に、本発明は、少量の脱色剤を用いながらも、精製回数を減らし、高い収率でジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを製造することができ、経済的に量産が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施形態を挙げて詳述する。本発明の実施形態は、当業界における平均的な知識を有する者に、本発明をさらに完全に説明するために提供されるものである。よって、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形されてもよく、本発明の範囲が、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
本発明の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というと、これは、特に拘らない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0025】
本発明の明細書全体において、ある段階が他の段階の「上に」または「前に」位置しているというと、これは、ある段階が他の段階と直接的・時系列的な関係にある場合だけでなく、それぞれの段階後の混合する段階のように二段階の順序において、時系列的順序が変わってもよい間接的・時系列的な関係にある場合と等しい権利を含むことができる。
【0026】
本発明の明細書全体において用いられる程度の用語である「約」、「実質的に」等は、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示される場合、その数値、またはその数値に近接した意味として用いられ、本発明の理解を助けるために記載された正確または絶対的な数値の開示内容を、良心的でない侵害者が不当に利用することを防止するために用いられる。本願の明細書全体において用いられる用語である「~(する)段階」または「~の段階」は、「~のための段階」を意味していない。
【0027】
本発明は、下記化学式IIで表されるN,N-ジエチルアミノ-ヒドロキシベンゾイル-安息香酸に、下記化学式IIIで表される化合物を反応させて、下記化学式Iで表される化合物を製造する段階を含む、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法を提供する。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
Lは、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニル、トルエンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ヘキシルスルファート、またはヘキシルアルキルスルホニルである。
【0032】
本発明の一具体例によれば、前記反応は、塩基条件下で行われてもよい。
【0033】
具体的に、前記塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選ばれた無機塩基であってもよい。ただし、これに限定されない。
【0034】
また、前記塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルアミン、及びピリジンからなる群から選ばれた有機塩基であってもよい。ただし、これに限定されない。
【0035】
また、本発明の一具体例によれば、前記化学式IIで表される化合物は、3-ジエチルアミノフェノールと無水フタル酸を反応させて製造されたものであってもよい。ただし、これに限定されない。
【0036】
また、本発明の一具体例によれば、前記化学式IIIで表される化合物は、n-ヘキサノールを出発物質として製造されたものであってもよい。
【0037】
本発明によれば、本発明は、下記化学式Iの化合物の結晶性粒子の製造方法を提供する。
【0038】
前記結晶化は、C1~C4アルコールを結晶化溶媒として用いて行われてもよい。例えば、前記結晶化は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、またはt-ブタノールであってもよい。
【0039】
具体的に、前記結晶化製造方法は、以下の段階を含んでもよい。
【0040】
1)前記化学式Iで表されるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの濃縮残渣に、前記結晶化溶媒を投入する段階、
2)内部温度を30~50℃に昇温して溶解させる段階、
3)完全溶解を確認後、2~4℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、内部温度15~20℃まで徐冷する段階、
4)2~4℃/hrの速度で徐冷し、0~5℃まで冷却して結晶性粒子を製造する段階。
【0041】
上述した本発明の製造方法によれば、強酸で反応し、赤色の不純物を多量発生させて脱色が難しかった既存のジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造方法を改善することができる。具体的に、本発明は、少量の脱色剤を用いながらも、精製回数を減らし、高い収率でジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを製造することができ、経済的に量産が可能である。
【0042】
また、本発明は、本発明の製造方法により製造された、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子を提供する。
【0043】
本発明に係るジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子は、本発明の製造方法により得られることにより、結晶形で得られるので、粉砕無しで、そのまま用いることができるという長所を有する。
【0044】
本発明の製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子は、平均粒径が1μm~500μmであってもよい。具体的に平均粒径は、10μm~100μmである。
【0045】
また、本発明の製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子は、バルク密度が0.28g/mlを超えるものである。
【0046】
また、本発明の製造方法により製造されたジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの結晶性粒子は、その純度が98重量%以上である。
【0047】
実施例
以下、本発明について製造例及び実施例を挙げて詳述する。ただし、下記の製造例または実施例は、本発明を例示するものであるだけで、本発明の内容が下記製造例または実施例に限定されるものではない。
【0048】
製造例1.2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸の合成
3-ジエチルアミノフェノール(1.0kg、7.87mol)、無水フタル酸(1.17kg、7.87mol)を三つ口フラスコに入れた後、トルエン(5.0L)と一緒に撹拌した。反応器の内部温度を110~115℃まで昇温し、2時間の間撹拌した後、0~10℃に冷却し、析出された固体を濾過して、表題化合物(1.7kg、89.9%)を得た。
【0049】
H NMR(CDCl):12.52(s,1H),7.91(dd,1H),7.62(m,2H),7.33(dd,1H),6.74(d,1H),6.13(dd,1H),6.20(d,1H),1.16(m,6H).
【0050】
製造例2-1.1-クロロヘキサンの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、DMF(ジメチルホルムアミド、dimethylformamide)(8.5g、0.12mol)を撹拌し、内部温度30℃以下を維持しながら、SOCl(2.1kg、17.6mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を80~90℃に昇温して、5時間の間撹拌した。反応終結の確認後、冷却して、精製水5Lを投入し、層分離して表題化合物(1.3kg、94.2%)を得た。
【0051】
H NMR(CDCl):3.49(t,2H),1.72(m,2H),1.28(m,2H),1.27(m,4H),0.88(m,3H).
【0052】
製造例2-2.1-ブロモヘキサンの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、THF(テトラヒドロフラン、tetrahydrofuran) (6.0L)を撹拌し、内部温度10℃以下を維持しながら、PBr(3.2kg、17.6mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を10℃以下に維持して、3時間の間撹拌した。反応終結の確認後、精製水5Lを投入し、層分離して表題化合物(1.8kg、91.4%)を得た。
【0053】
H NMR(CDCl):3.40(t,2H),1.85(m,2H),1.43(m,2H),1.31(m,4H),0.90(m,3H).
【0054】
製造例2-3.ヘキシルメタンスルホネートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、トリエチルアミン(2.4kg、23.40mol)、塩化メチレン(12.0L)を撹拌し、内部温度10℃以下を維持しながら、MsCl(1.6kg、14.0mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を10℃以下に維持して、3時間の間撹拌した。精製水5Lを投入し、層分離後、分離した有機層を減圧濃縮して表題化合物(1.9kg、88.1%)を得た。
【0055】
H NMR(CDCl):4.23(t,2H),3.00(s,3H),1.75(m,2H),1.40(m,3H),1.32(m,3H),0.90(m,3H).
【0056】
製造例2-4.ヘキシル4-メチルベンゼンスルホネートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、TsCl(2.7kg、14.0mol)、塩化メチレン(12.0L)を撹拌し、内部温度10℃以下を維持しながら、トリエチルアミン(2.4kg、23.40mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を10℃以下に維持して、6時間の間撹拌した。精製水5Lを投入し、層分離後、分離した有機層を減圧濃縮して表題化合物(2.8kg、93.2%)を得た。
【0057】
H NMR(CDCl):7.78(m,2H),7.34(m,2H),4.02(m,2H),2.45(s,3H),1.65(m,2H),1.47-1.04(m,6H),0.85(m,3H).
【0058】
製造例2-5.ジヘキシルスルファートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、DMF(8.5g、0.12mol)を撹拌し、内部温度30℃以下を維持しながら、SOCl(0.7kg、5.9mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を30~40℃に昇温して、8時間の間撹拌した。反応終結の確認後、冷却して、精製水5Lを投入し、層分離して表題化合物(1.3kg、90.0%)を得た。
【0059】
H NMR(CDCl):3.95(m,4H),1.63(m,4H),1.27(m,6H),0.86(m,12H).
【0060】
製造例2-6.ジヘキシルサルフェートの合成
1-ヘキサノール(1.2kg、11.70mol)、DMF(8.5g、0.12mol)を撹拌し、内部温度30℃以下を維持しながら、SOCl(0.8kg、5.9mol)を滴下した。滴下完了後、内部温度を30~40℃に昇温して、8時間の間撹拌した。反応終結の確認後、冷却して、精製水5Lを投入し、層分離して表題化合物(1.4kg、87.0%)を得た。
【0061】
H NMR(CDCl):4.00(m,4H),1.69(m,4H),1.30(m,6H),0.90(m,12H).
【実施例1】
【0062】
実施例1:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
段階1:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの製造
製造例1で合成した2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(1.1kg、3.51mol)、製造例2-1で合成した1-クロロヘキサン(0.5kg、4.22mol)、KCO(0.9kg、7.02mol)をDMF1.65Lと撹拌した。内部温度を100~110℃に昇温して、4時間の間撹拌後、冷却し、エチルアセテート3.5L、精製水3.5Lを用いて抽出した。分離した最終有機層は、内部温度30~50℃で、5%チャコールを用いて、1時間の間脱色処理後、減圧濃縮した。
【0063】
段階2
段階1で得られた濃縮残渣に、2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸に対して4v/wのメタノールを投入後、内部温度30~50℃に昇温して、透明に溶解させた。完全溶解を確認後、3℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、内部温度15~20℃まで徐冷した。目標温度に達すると、当該温度を維持して1時間の間撹拌後、さらに3℃/hrの速度で徐冷して、0~5℃まで冷却する。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、濾過して、結晶性粒子状の表題化合物(1.2kg、86.0%)を得た。
【0064】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:80.3μm、
バルク密度:0.34g/ml、
純度99.4%。
【実施例2】
【0065】
実施例2:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
実施例1の段階1で得られた濃縮残渣に、2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸に対して4v/wのエタノールを投入後、内部温度30~50℃に昇温して、透明に溶解させた。完全溶解を確認後、3℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、内部温度15~20℃まで徐冷した。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、さらに3℃/hrの速度で徐冷して、0~5℃まで冷却する。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、濾過して、結晶性粒子状の表題化合物(1.1kg、80.0%)を得た。
【0066】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:73.7μm、
バルク密度:0.32g/ml、
純度99.6%。
【実施例3】
【0067】
実施例3:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
実施例1の段階1で得られた濃縮残渣に、2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸に対して4v/wのイソプロパノールを投入後、内部温度30~50℃に昇温して、透明に溶解させた。完全溶解を確認後、3℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、内部温度15~20℃まで徐冷した。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、さらに3℃/hrの速度で徐冷して、0~5℃まで冷却する。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、濾過して、結晶性粒子状の表題化合物(1.10kg、80.0%)を得た。
【0068】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:91.2μm、
バルク密度:0.38g/ml、
純度99.2%。
【実施例4】
【0069】
実施例4:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
実施例1の段階1で得られた濃縮残渣に、2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸に対して4v/wの2-ブタノールを投入後、内部温度30~50℃に昇温して、透明に溶解させた。完全溶解を確認後、3℃/hrの速度で徐冷して、結晶をゆっくり析出させ、内部温度15~20℃まで徐冷した。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、さらに3℃/hrの速度で徐冷して、0~5℃まで冷却する。目標温度に達すると、当該温度を維持して、1時間の間撹拌後、濾過して、結晶性粒子状の表題化合物(1.00kg、75.0%)を得た。
【0070】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:12.0μm、
バルク密度:0.28g/ml、
純度99.5%。
【実施例5】
【0071】
実施例5:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
製造例1で合成した2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(1.1kg、3.51mol)、製造例2-2で合成した1-ブロモヘキサン(0.7kg、4.22mol)、KCO(0.9kg、7.02mol)をDMF1.65Lと撹拌した。内部温度を100~110℃に昇温して、4時間の間撹拌後、冷却して、エチルアセテート3.5L、精製水3.5Lを用いて抽出した。分離した最終有機層は、内部温度30~50℃で、5%チャコールを用いて、1時間の間脱色処理後、減圧濃縮した。
【0072】
濃縮残渣は、実施例3の結晶化方法で結晶化させて、結晶性粒子状の表題化合物(0.90kg、65.0%)を得た。
【0073】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:69.4μm、
バルク密度:0.32g/ml、
純度99.4%。
【実施例6】
【0074】
実施例6:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
製造例1で合成した2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(1.1kg、3.51mol)、製造例2-3で合成したヘキシルメタンスルホネート(0.8kg、4.22mol)、KCO(0.9kg、7.02mol)をDMF1.65Lと撹拌した。内部温度を100~110℃に昇温して、4時間の間撹拌後、冷却して、エチルアセテート3.5L、精製水3.5Lを用いて抽出した。分離した最終有機層は、内部温度30~50℃で、5%チャコールを用いて、1時間の間脱色処理後、減圧濃縮した。
【0075】
濃縮残渣は、実施例3の結晶化方法で結晶化させて、結晶性粒子状の表題化合物(0.73kg、52.4%)を得た。
【0076】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:25.8μm、
バルク密度:0.30g/ml、
純度99.8%。
【実施例7】
【0077】
実施例7:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
製造例1で合成した2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(1.1kg、3.51mol)、製造例2-4で合成したヘキシル4-メチルベンゼンスルホネート(1.1kg、4.22mol)、KCO(0.9kg、7.02mol)をDMF1.65Lと撹拌した。内部温度を100~110℃に昇温して、4時間の間撹拌後、冷却して、エチルアセテート3.5L、精製水3.5Lを用いて抽出した。分離した最終有機層は、内部温度30~50℃で、5%チャコールを用いて、1時間の間脱色処理後、減圧濃縮した。
【0078】
濃縮残渣は、実施例3の結晶化方法で結晶化させて、結晶性粒子状の表題化合物(0.66kg、47.6%)を得た。
【0079】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:81.3μm、
バルク密度:0.37g/ml、
純度99.5%。
【実施例8】
【0080】
実施例8:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
製造例1で合成した2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(1.1kg、3.51mol)、製造例2-5で合成したジヘキシルスルファート(1.1kg、4.22mol)、KCO(0.9kg、7.02mol)をDMF1.65Lと撹拌した。内部温度を100~110℃に昇温して、4時間の間撹拌後、冷却して、エチルアセテート3.5L、精製水3.5Lを用いて抽出した。分離した最終有機層は、内部温度30~50℃で、5%チャコールを用いて、1時間の間脱色処理後、減圧濃縮した。
【0081】
濃縮残渣は、実施例3の結晶化方法で結晶化させて、結晶性粒子状の表題化合物(1.12kg、80.0%)を得た。
【0082】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:45.2μm、
バルク密度:0.32g/ml、
純度99.1%。
【実施例9】
【0083】
実施例9:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの合成
製造例1で合成した2-(4-N,N-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸(1.1kg、3.51mol)、製造例2-6で合成したジヘキシルサルフェート(1.2kg、4.22mol)、KCO(0.9kg、7.02mol)をDMF1.65Lと撹拌した。内部温度を100~110℃に昇温して、4時間の間撹拌後、冷却して、エチルアセテート3.5L、精製水3.5Lを用いて抽出した。分離した最終有機層は、内部温度30~50℃で、5%チャコールを用いて、1時間の間脱色処理後、減圧濃縮した。
【0084】
濃縮残渣は、実施例3の結晶化方法で結晶化させて、結晶性粒子状の表題化合物(1.09kg、78.0%)を得た。
【0085】
H NMR(CDCl):12.59(s,1H),8.04(dd,1H),7.55(m,2H),7.34(dd,1H),6.87(d,1H),6.12(d,1H),6.02(dd,1H),4.10(t,2H),3.35(q,4H),1.45(m,2H),1.16(m,12H),0.82(t,3H).
平均粒径:82.0μm、
バルク密度:0.39g/ml、
純度99.4%。
【0086】
実施例から確認されたように、本発明の製造方法により、高い収率でジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを得、脱色及び精製工程を簡素化することができるので、経済的に量産が可能である。
【0087】
上述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的な思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態への変形が容易であることを理解することができるであろう。そのため、上述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないことを理解しなければならない。例えば、単一型で説明されているそれぞれの構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に分散したものと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されてもよい。
【0088】
本発明の範囲は、上記した詳細な説明よりも、後述する特許請求の範囲により定められ、特許請求の範囲の意味及び範囲、またその均等概念から導き出される全ての変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれるものと解析されなければならない。