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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】車体側部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
B62D25/04 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021027411
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128929
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 洋人
(72)【発明者】
【氏名】西田 研二
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-163948(JP,A)
【文献】特許第6581623(JP,B2)
【文献】国際公開第2020/170811(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の車体フレームと、
前記車体フレーム内に充填剤を充填する充填空間を形成するための仕切部材と、を備え、
前記仕切部材は、前記車体フレームに形成した充填口を囲むように配置した充填口受部と覆い部とによって開口部を形成し、
前記開口部は、前記充填口から注入した充填剤が前記充填空間内の前記充填口から離れた難充填部に向けて形成され
前記仕切部材には、車体上下に延びるガイド部を設けて、前記ガイド部に前記充填口受部が形成され、
前記充填口受部は、前記ガイド部の下端部から前記充填口側に向けて突出されている、
ことを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記充填口受部と前記車体フレームとは離間されている、
ことを特徴とする請求項に記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記仕切部材は、前後方向に延設された平らな板状の本体部を有し、
前記覆い部は、当該覆い部の前後方向の端部から前記難充填部に向けて斜め上方に延設され、
前記充填口受部は、前記覆い部の下部から車体前後方向に延びると共に、前記覆い部の下部から離れるほど下方に傾斜する傾斜部を有している、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車体側部構造。
【請求項4】
前記仕切部材は、前後方向に延設された平らな板状の本体部を有し、
前記覆い部は、当該覆い部の前後方向の端部から前記難充填部に向けて斜め上方に延設され、
前記充填口受部には、前記覆い部の下部側に近づくほど細くなっている切欠部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の車体側部構造。
【請求項5】
前記切欠部は、クランク形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載の車体側部構造。
【請求項6】
前記仕切部材は、前後方向に延設された平らな板状の本体部を有し、
前記覆い部は、当該覆い部の前後方向の端部から前記難充填部に向けて斜め上方に延設され、
前記充填口受部の板厚は、前記覆い部の下部側から離れるほど薄く形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の車体側部構造。
【請求項7】
前記充填口受部と前記覆い部との間の前記ガイド部は、車幅方向外側に向かって段差状に形成された段差部を有している、
ことを特徴とする請求項に記載の車体側部構造。
【請求項8】
前記車体フレームには、複数の充填口が設けられ、
前記仕切部材には、前記複数の充填口から注入された充填剤を受ける複数の充填口受部と、複数の覆い部とによって複数の開口部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の車体側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体の防音性を向上させるためのものとしては、センタピラー等の閉断面内に発泡剤や、仕切部材を設けた特許文献1に記載された車体側部構造が知られている。特許文献1に記載の車体側部構造(A)は、2つ折りした仕切部材(4)をセンタピラー(3)の室内側の開口部(32a)から中空部(3a)内に挿入し、仕切部材(4)を展開させて中空部(3a)内に取り付けている。
【0003】
仕切部材(4)は、中空部(3a)内に取り付けられることで、充填空間(3b)を形成している。充填空間(3b)は、充填口(32b,32c)から発泡剤を充填することによって、密閉されて遮断されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6581623号公報(図1及び図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の車体側部構造(A)は、仕切部材(4)をセンタピラー(3)内の下部に設けた場合、充填口(32b,32c)から充填された発泡剤が充填空間(3b)の下部から発泡される。このため、発泡剤が充填空間(3b)の前端側上部及び後端部上部の難充填部に充填されないという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、前記問題点を解消すべく発明されたものであり、充填空間の難充填部に充填剤を充填させて、さらに車体の防音性を向上させることができる車体側部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る車体側部構造は、中空状の車体フレームと、前記車体フレーム内に充填剤を充填する充填空間を形成するための仕切部材と、を備え、前記仕切部材は、前記車体フレームに形成した充填口を囲むように配置した充填口受部と覆い部とによって開口部を形成し、前記開口部は、前記充填口から注入した充填剤が前記充填空間内の前記充填口から離れた難充填部に向けて形成され、前記仕切部材には、車体上下に延びるガイド部を設けて、前記ガイド部に前記充填口受部が形成され、前記充填口受部は、前記ガイド部の下端部から前記充填口側に向けて突出されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、充填空間の難充填部に充填剤を充填させて、さらに車体の防音性を向上させることができる車体側部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る車体側部構造を示す図で、センタピラーの下部を示す要部概略側面図である。
図2】センタピラーの下部を示す要部概略斜視図である。
図3】仕切部材の要部拡大側面図である。
図4図1のIV-IV拡大断面図である。
図5図1のV-V拡大断面図である。
図6】仕切部材の拡大側面図である。
図7】仕切部材の拡大斜視図である。
図8】仕切部材の拡大斜視図である。
図9】仕切部材の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図9を参照して、本発明の実施形態に係る車体側部構造Aを説明する。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両の前進側、「後」は車両の後退側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車幅方向側とする。
【0011】
≪車両≫
まず、本発明の実施形態に係る車体側部構造Aを説明する前に、本発明が採用される車両について説明する。
図1に示すように、車両は、閉断面内に発泡剤等の充填剤を注入可能な中空状の車体フレーム10を備えていればよく、特に、車両の種類や、形状等は限定されない。
以下、中空状の車体フレーム10を有する車両として、センタピラー3を有する乗用車を例に挙げて説明する。
【0012】
≪車体側部構造≫
車体側部構造Aは、車体1の左右の車体側部1a(図4参照)を形成するためのものである。車体側部構造Aは、サイドシル2と、センタピラー3と、センタピラー3(車体フレーム10)内に充填剤を充填する充填空間30と、充填空間30を形成するための仕切部材4と、を有して成る。車体側部1a(図4参照)の前後方向中央部のセンタピラー3の前後には、サイドドア(図示省略)によって開閉されるドア開口部1bが形成されている。
【0013】
なお、車体1の車体側部1a(図4参照)は、略左右対称に形成されているので、左側を主に説明して、右側については説明を省略する。
【0014】
≪サイドシル≫
また、サイドシル2は、前後方向に延びる直線形状の中空フレーム部材でも、また、側面視して逆T字状に形成された中空フレームでもよく、以下、直線形状の中空フレーム部材の場合を例に挙げて説明する。
【0015】
図1に示すように、サイドシル2は、車体下部に配置されて前後方向に延びる中空形状のフレーム部材である。図4に示すように、サイドシル2は、サイドシルアウタ21と、サイドシルインナ22と、補強部材23,24,25と、を備えて構成されている。サイドシル2の上部には、センタピラー3の下端部が直交するようにして設置されている(図1参照)。
【0016】
また、サイドシル2の上面には、仕切部材4が載設されている。サイドシル2には、正面視して断面略U字状(略逆コ字状)のサイドシルアウタ21と、サイドシルアウタ21と略対称形状のサイドシルインナ22と、の2枚の金属板間にセンタピラーインナ32の下部が接合されている。サイドシルアウタ21とサイドシルインナ22との間には、補強部材23が配置されて、筒状のサイドシル2内に左右に2つの閉断面を形成するように配置されている。サイドシル2の車幅方向内側には、不図示のクロスメンバ、フロアパネル等が連結されている。
【0017】
<サイドシルアウタ>
図4に示すように、サイドシルアウタ21は、略管状に形成されたサイドシル2の車幅方向外側の半体を形成する部材である。サイドシルアウタ21及びサイドシルインナ22は、例えば、高張力鋼等の金属製平板部材をプレス加工して形成されている。サイドシルアウタ21は、上下端部にそれぞれ形成された鍔部21aと、鍔部21aの基端から車外側に延設された上面部21b及び下面部(図示省略)と、上面部21bと下面部(図示省略)との間に形成された外面部21cと、を有する。
【0018】
サイドシルアウタ21(サイドシル2)の上面部21bには、後記する仕切部材4を取り付けるための取付孔21dが形成されている。例えば、取付孔21dは、仕切部材4の係止部47aが係合される円形の孔から成る。
【0019】
<サイドシルインナ>
図4に示すように、サイドシルインナ22は、サイドシルアウタ21の車幅内側に、センタピラーインナ32を介在して接合されている。サイドシルインナ22は、サイドシルアウタ21に対して縦断面視して略線対称に形成されているため、その形状等についての説明を省略する。
【0020】
<補強部材>
図2に示すように、補強部材23,24,25は、サイドシル2の上下方向の強度及び曲げ剛性を向上させるための部材である。補強部材23,24,25は、高張力鋼板等から成る。
【0021】
図4及び図5に示すように、補強部材23は、サイドシルアウタ21と、サイドシルインナ22と、の金属板間に配置された補強ガセットである。補強部材23は、センタピラー3の下側の前後に配置された2枚の部材から成る(図1及び図2参照)。補強部材23の上端部は、サイドシルアウタ21の上端部とサイドシルインナ22の上端部との間に介在されて接合され、補強部材23の下端部は、サイドシルアウタ21の下端部とサイドシルインナ22の下端部との間に介在されて接合されている。
【0022】
補強部材24は、接合される縦断面視して略コ字状のサイドシルアウタ21の内面の形状に合わせて、縦断面視して略コ字状に形成された補強ガセットである。補強部材24は、サイドシルアウタ21の内壁に前後方向に延設されている。
【0023】
図2に示すように、補強部材25は、前後方向に延設された縦断面視して略コ字状のサイドシルアウタ21内に直交するように節目状に配置されたバルクヘッドから成る。
【0024】
≪センタピラー≫
図4に示すように、センタピラー3は、車体側部1aの一部を構成する柱形状の中空部材である。センタピラー3は、サイドシル2の前後方向中央部からルーフサイドレール(図示省略)まで上方向に延設されている(図1参照)。センタピラー3は、センタピラーアウタ31と、センタピラーインナ32と、センタピラースチフナ33とを接合して閉断面を形成する中空部3dを有する管状のものから成る。
【0025】
図1に示すように、センタピラー3の下部は、側面視して下方に向かうほど前後方向に幅広な末広がりに形成された根元部3aと、根元部3aの前後の外周部に形成された円弧形状のR部3b,3cと、が形成されている。センタピラー3(センタピラーインナ32)の車室側面には、センタピラー3内にシートベルトリトラクタ(図示省略)を設置するための開口部32aと、複数の充填口32b,32c(以下、適宜「第1充填口」、及び「第2充填口」という)と、が形成されている。
【0026】
なお、センタピラー3の車室内側の上半部は、内装材であるピラーガーニッシュ(図示省略)によって覆われている。また、センタピラー3の車室内側の下半部に形成された開口部32a及びシートベルトリトラクタ(図示省略)は、サイドライニング(図示省略)によって覆われている。
【0027】
<充填空間>
図4に示すように、充填空間30は、充填剤が充填される空間である。充填空間30は、センタピラーインナ32(インナパネル)とセンタピラースチフナ33との間に形成されて前後方向に延設されている(図1参照)。図1に示すように、充填空間30は、仕切部材4の充填空間区切部46によって、後側の第1充填空間30aと、前側の第2充填空間30bと、に区切られている。換言すると、充填空間30は、一方のR部3b側の第1充填空間30aと、第1充填空間30aと略同等の容積となるように他方のR部3c側に形成された第2充填空間30bと、の2つの空間から成る。
【0028】
≪充填剤≫
充填剤(図示省略)は、構造用発泡剤から成る。充填剤は、例えば、常温で液状のものが乾くとゴム状になる所謂スプレーゴム(このほか、「スプレーフォーム」、「液体ゴム」、「液状ゴム」ともいう)から成る。充填剤は、例えば、スプレー缶に収容されて、噴出させると泡状に噴出してスポンジ状態に硬化する速硬化性の発泡ポリウレタンフォームである。固化した充填剤は、防音材、振動エネルギー吸収材、及び、衝撃エネルギー吸収材の機能を有している。図4に示すように、充填剤は、充填空間30内に充填されて接着されることで、センタピラーインナ32と、センタピラースチフナ33と、サイドシルアウタ21の上面部21bと、から成る中空部3d内の下部を密閉状態にする。
【0029】
このほか、充填剤は、熱を加えることで、発泡状(フォーム)または多孔質形状に形成される合成発泡樹脂や、熱硬化性発泡樹脂であってもよい。また、充填剤は、金属との接着性が良好なポリウレタンや、シリコーン等のゴムのように弾性を有する接着剤でも構わない。
【0030】
<センタピラーアウタ>
図4に示すように、センタピラーアウタ31は、センタピラー3の車外側の面を形成する部材である。センタピラーアウタ31、センタピラーインナ32及びセンタピラースチフナ33は、例えば、高張力鋼等の金属製平板部材をプレス加工して形成されている。センタピラーアウタ31は、横断面視してハット形状に形成されている。センタピラーアウタ31は、サイドシルアウタ21の外面中央部から上方向に延設されている。
【0031】
<センタピラーインナ>
図4に示すように、センタピラーインナ32は、センタピラー3の車室内の面を形成するピラー半体である。センタピラーインナ32は、補強部材23の上端部から上方向に延設されている。図1に示すように、センタピラーインナ32には、開口部32aと、充填口32b,32c(第1充填口及び第2充填口)と、フランジ部32d,32eと、が形成されている。
【0032】
開口部32aは、シートベルトリトラクタ(図示省略)を設置するためのリトラクタ設置口である。開口部32aは、センタピラーインナ32の車幅方向内側の下部に形成された略四角形の孔から成る。開口部32aの前後方向の長さは、図6に仮想線で示す折畳時の仕切部材4の前後方向の長さよりも、長く形成されている。仕切部材4は、このように形成されていることで、上方向に略V字状に折り畳んだ仕切部材4を開口部32a内に挿入可能になっている。
【0033】
図1及び図2に示すように、充填口32b,32cは、開口部32aの下端部前側に形成された第1充填口と、開口部32aの下端部後側に形成された第2充填口と、の2つの孔で構成されている。充填口32b,32cは、センタピラー3の充填空間30(図4及び図5参照)内に充填剤を充填させるための供給口である。充填口32b(第1充填口)は、後側のR部3bと、開口部32aの下端部との間に形成された丸孔から成る。充填口32c(第2充填口)は、前側のR部3cと、開口部32aの下端部との間に形成された丸孔から成る。
なお、充填口32b,32cの形状は、充填ノズル(図示省略)の形状に合わせて形成すればよく、丸孔に限定されるものではない。
【0034】
図1及び図2に示すように、フランジ部32d,32eは、上下方向に延びるセンタピラーインナ32の前後方向の縁を帯状に縁取るように形成されている。
【0035】
<センタピラースチフナ>
図4及び図5に示すように、センタピラースチフナ33は、センタピラーアウタ31とセンタピラーインナ32との間に介在された補強用の金属製板部材である。センタピラースチフナ33の下端部は、サイドシル2のサイドシルアウタ21及びセンタピラーアウタ31に接合されている。
【0036】
≪仕切部材≫
図4に示すように、仕切部材4は、センタピラーアウタ31とセンタピラーインナ32との間のセンタピラー3の中空部3d内の下部を上下に仕切るように設置された樹脂製の部材である。仕切部材4は、センタピラー3の中空部3d内のサイドシルアウタ21の上面部21b(サイドシル2の上面)上に、充填空間30が形成されるように設置されている。
【0037】
図6図8に示すように、仕切部材4は、本体部40と、折畳部40aと、揺動部40bと、充填用開口部41a,41bと、覆い部42a,42bと、充填口受部43a,43bと、傾斜部43c,43dと、切欠部43e,43fと、難充填部44a,44bと、ガイド部45a,45bと、段差部45cと、充填空間区切部46と、窪み部47と、係止部47aと、窪み部48と、湾曲部49と、規制手段49aと、を有している。
【0038】
<本体部>
図1に示すように、本体部40は、サイドシル2の上面(上面部21b)に沿って前後方向に延設された平らな板状部位である。本体部40は、仕切部材4を中空部3d(図4参照)内に設置した際に、開口部32aの下側開口縁よりも下側の位置に配置されている。このため、仕切部材4は、充填空間30内に充填した充填剤が開口部32aから漏れるのを抑制する機能を果す。
【0039】
図7及び図8に示すように、本体部40の上面の中央部には、左右方向に延びる折畳部40aが形成されている。折畳部40aの右側には、車幅方向内側切欠溝40cが形成されている。折畳部40aの左側には、車幅方向外側切欠溝40dが形成されている。このため、折畳部40aは、折れ曲がり易く形成されている。
本体部40の折畳部40aの前後には、窪み部47,48が形成されている。このため、本体部40は、窪み部47,48を囲うように形成されている。
本体部40の車幅方向内側(右側)の前後端部には、覆い部42a,42bが形成されている。
【0040】
図7及び図8に示すように、本体部40の車幅方向外側(左側)の上面には、揺動部40b、後側切欠溝40h及び前側切欠溝40iを介在して湾曲部49が形成されている。図9に示すように、本体部40の下面には、充填空間区切部46と、窪み部47,48の外面と、係止部47aと、突出片48aと、規制手段49a,49aと、補強用突出片40jと、が突出している。
【0041】
<覆い部>
覆い部42a,42bは、充填口32b,32cから充填空間30内に注入された充填剤を難充填部44a,44b側(矢印g方向)に流れるように指向させるための部位である。覆い部42a,42bは、充填口32b,32cに対して対峙する前後の二つの部材から成る。後側の覆い部42aは、充填口32bの上方を覆うように、本体部40の後端部から後方の難充填部44aに向けて斜め上方向に延設されている。前側の覆い部42bは、充填口32cの上方を覆うように、本体部40の前端部から前方の難充填部44bに向けて斜め上方向に延設されている。
【0042】
<充填口受部>
図1及び図2に示すように、充填口受部43a,43bは、充填口32b,32cから注入された充填剤を充填口32b,32cの下側から受ける板状部から成る。充填口受部43a,43bは、ガイド部45a,45bの下端部から充填口32b,32c側(車幅方向内側)に向けて突出されている(図5参照)。図5に示すように、充填口受部43a,43b(図示省略)と車体フレーム10(センタピラーインナ32)とは、離間されている。
【0043】
<傾斜部>
図6及び図7に示すように、充填口受部43a,43bは、覆い部42a,42bの下部から車体前後方向に延びると共に、覆い部42a,42bの下部から離れるほど下方に傾斜する傾斜部43c,43dが形成されている。充填口受部43a,43bの板厚は、覆い部42a,42bの下部側から離れるほど薄く形成されている。つまり、図3及び図6に示すように、充填口受部43aの後端部の板厚t1、及び、充填口受部43bの前端部の板厚t1(図示省略)は、充填口受部43aの覆い部42a側端部の板厚t2(図示省略)、及び、充填口受部43bの覆い部42b側端部の板厚t2より薄く形成されている。
【0044】
<切欠部>
図7及び図8に示すように、充填口受部43a,43bには、覆い部42a,42bの下部側に近づくほど広がっている切欠部43e,43fが形成されている。切欠部43e,43fは、前側及び後側の充填口32b,32cから注入された充填剤を充填口32b,32c間の中央部側に流れて充填し易くするための流路を形成する部位である。
【0045】
切欠部43e,43fは、底面視してクランク形状に切欠形成されている。充填口受部43a,43bは、切欠部43e,43fがあることで、充填口32b,32c間の中央部側が先細形状に形成されている。このため、図5に示すように、充填口受部43a,43bと車体1(センタピラーインナ32)との間の隙間S1は、大きく形成されて、充填口32b,32cから注入された充填剤を下方向(矢印b方向)に流れるようにしている。
【0046】
<難充填部>
図1に示すように、難充填部44a,44bは、充填口32c,32cから注入された充填剤が充填し難い箇所である。難充填部44a,44bは、後側の第1充填空間30aの上部後端部と、前側の第2充填空間30bの上部前端部と、である。難充填部44a,44bには、充填口受部43a,43bと覆い部42a,42bによって、充填口32c,32cから注入された充填剤が充填口受部43a,43bと覆い部42a,42bとに沿って矢印f,g方向に流れるようになっている。
【0047】
<ガイド部>
図2及び図5に示すように、ガイド部45a,45bは、充填口32b,32cから注入された充填剤を下方向にガイドするための壁部である。ガイド部45a,45bは、充填口32b,32cの車幅方向外側に充填空間30を介して対向配置されて、充填口32b,32cを車幅方向外側から覆うように配置されている。
【0048】
図6及び図7に示すように、ガイド部45a,45bは、覆い部42a,42bの下面から下方に向けて形成されて、覆い部42a,42bを下側から支持している。ガイド部45a,45bは、覆い部42a,42bの下面から充填口受部43a,43bの車幅方向外側端部に亘って形成されている。このため、ガイド部45a,45bは、覆い部42a,42b及び充填口受部43a,43を補強する補強部材としての機能も有している。
【0049】
<段差部>
図7及び図9に示すように、段差部45cは、前側のガイド部45bを補強するための部位である。段差部45cは、充填口受部43bと覆い部42bとの間のガイド部45bに、車幅方向外側に向かって段差状に形成されている。
【0050】
<充填空間区切部>
図1に示すように、充填空間区切部46は、充填空間30を、一方のR部3b側の第1充填空間30aと、当該第1充填空間30aと略同等の容積となるように他方のR部3c側に形成された第2充填空間30bと、に区切るための突出片である。充填空間区切部46と充填口32b(第1充填口)との間隔L1と、充填空間区切部46と充填口32c(第2充填口)との間隔L2は、均等である。図4及びは図5に示すように、充填空間区切部46は、サイドシル2及びセンタピラー3に向かって延出された板状の仕切板から成る。
【0051】
なお、充填空間区切部46は、充填空間30を車幅方向に完全に仕切るものではなくてもよく、例えば、充填空間30を車幅方向及び上下方向に部分的に仕切るものでもよい。例えば、充填空間区切部46とセンタピラースチフナ33の間や、充填空間区切部46とセンタピラーインナ32の間、及び、充填空間区切部46とサイドシルアウタ21との間に隙間があってもよく、当該隙間において第1充填空間30aと第2充填空間30bは連続している。この場合、第1充填空間30a及び第2充填空間30bの容積は、充填空間区切部46が設けられた位置において充填空間30を車幅方向に完全に仕切ったと仮定した場合のそれぞれの容積である。
【0052】
図4に示すように、充填空間区切部46は、揺動部40bから距離S2離間した位置に形成されている。また、充填空間区切部46は、規制手段49aから距離S3離間した位置に形成されている。
図6に示すように、充填空間区切部46は、折畳部40aから距離S4離間した位置に形成されている。
また、図8に示すように、充填空間区切部46は、窪み部48の後側に隣設されて、規制手段49aから距離S5離間した位置に形成されている。
【0053】
<窪み部>
図7に示すように、窪み部47,48は、本体部40の一部を下方に窪ませて形成することで、下方向に突出した容器形状の突起を形成している穴である。
図4に示すように、後側の窪み部47は、サイドシルアウタ21の斜めの上面部21bに直交するように斜めに車幅方向内側下方向に突出している。後側の窪み部47の下面(容器形状の突起の先端面)は、上面部21bに密着する斜面から成る。窪み部47の下面には、サイドシルアウタ21の取付孔21dに係合する係止部47aを突設している。
【0054】
図9に示すように、後側の窪み部47は、サイドシルアウタ21の斜めの上面部21bに直交するように斜めに車幅方向内側下方向に突出している。
前側の窪み部48の下面(容器形状の突起の先端面)は、上面部21bに対して平行な斜面から成る。窪み部48の下面には、サイドシルアウタ21の上面部21bに当接する突出片48aを突設している。
【0055】
<折畳部、車幅方向内側切欠溝>
図6及び図7に示すように、折畳部40aは、仕切部材4を、センタピラーインナ32に形成された開口部32aを通過可能な形状に折り畳むように折り曲げて小さくするための樹脂ヒンジ部である(図1参照)。折畳部40aは、側面視して半円状(U字状)に形成された溝から成る。折畳部40aは、仕切部材4を前後方向に二分するように折り畳み可能にするために、薄肉状に形成されている。
【0056】
図8に示すように、折畳部40aの車幅方向内側には、車幅方向内側切欠溝40cが切欠形成されている。折畳部40aの車幅方向外側には、車幅方向外側切欠溝40dが切欠形成されている。このため、仕切部材4は、折畳部40aと車幅方向内側切欠溝40cと車幅方向外側切欠溝40dとによって、折り曲げ変形し易くなっている。
【0057】
<車幅方向外側切欠溝>
図8に示すように、車幅方向外側切欠溝40dは、第1横溝40eと、前後溝40gと、第2横溝40fと、によって構成されている。第1横溝40eは、折畳部40aの車幅方向外側に切欠形成された溝から成る。前後溝40gは、第1横溝40eの車幅方向外側から前後方向に切欠形成された溝から成る。第2横溝40fは、前後溝40gの第1横溝40eからずれた位置から車幅方向外側に切欠形成された溝から成る。
【0058】
<揺動部、後側切欠溝及び前側切欠溝>
図4に示すように、揺動部40bは、センタピラースチフナ33の内壁との隙間を閉じる湾曲部49を揺動可能にするための部位である。揺動部40bは、縦断面視して形成された円弧状(半円形状)に形成された溝から成る。揺動部40bは、本体部40の車幅方向外側に、前後方向に延設されている。図7及び図8に示すように、揺動部40bの前後端部には、後側切欠溝40hと前側切欠溝40iとが形成されている。揺動部40bの中央部には、車幅方向外側切欠溝40dが形成されている。
【0059】
<湾曲部>
このため、揺動部40b車幅方向外側に形成された湾曲部49は、図4に示すように、揺動部40bと後側切欠溝40hと前側切欠溝40iと車幅方向外側切欠溝40dにより、上下方向に弾性変形し易くなっている。湾曲部49は、センタピラースチフナ33の壁面に当接して壁面との隙間をなくすための湾曲形状の弾性部材である。湾曲部49は、前後方向の中央部に第2横溝40f(図8参照)が形成されて、平面視して前後に二分されている。
【0060】
<規制手段>
図9に示すように、規制手段49aは、揺動部40bの折曲角度を規制するための突出片である。規制手段49aは、正面視して、湾曲部49の基端部(車幅方向内側端部)の下面から充填空間区切部46及び窪み部47に沿って下方向に突出している。図8に示すように、規制手段49aは、底面視して、補強用突出片40jに対して直交するようにその近傍位置に配置されている。このため、規制手段49aは、図9に示すように、湾曲部49が揺動部40bを中心として下方向に回動した際に、補強用突出片40jに当接して、湾曲部49がそれ以上回動するのを抑止する。
【0061】
<充填用開口部>
図1に示すように、充填用開口部41a,41bは、充填口32b,32cから注入した充填剤が充填空間30内の充填し難い難充填部44a,44b(矢印f,g方向)に向けて流れるように形成された部位である。充填用開口部41a,41bは、センタピラー3(車体フレーム10)に形成した充填口32b,32cを囲むように配置した充填口受部43a,43bと覆い部42a,42bとによって形成されている。後側の充填用開口部41aは、開口部32aの下端部の後方に形成されている。前側の充填用開口部41bは、開口部32aの下端部の前方に形成されている。
【0062】
≪車体側部構造の作用≫
次に、図1図9を参照して本発明の実施形態に係る車体側部構造Aの作用を組み付け手順に沿って説明する。
【0063】
図4に示すセンタピラーインナ32とセンタピラースチフナ33との間の中空部3d内に仕切部材4を設置する場合は、まず、図6に二点鎖線で示すように、仕切部材4を半分に折り畳むように折り曲げて小さくする。次に、折り畳んだ仕切部材4を、図2に示す開口部32aから中空部3d内に挿入する。仕切部材4は、折り畳むことによって、開口部32aの前後幅よりも前後方向の長さが小さくなる。このため、仕切部材4は、開口部32a内に容易に挿入して配置することができる。
【0064】
次に、その仕切部材4を平常時の状態に展開させて、図4及び図9に示すように、係止部47aを取付孔21dに押し込んで係合させると共に、突出片48aをサイドシルアウタ21の上面部21bに当接させる。
【0065】
続いて、図1に示す充填口32b,32cから液状の充填剤(図示省略)を注入して、充填空間30(第1充填空間30a及び第2充填空間30b)内に充填剤を流し込む。充填口32b,32cの下側近傍には、充填口受部43a,43bが設置されている。また、充填口32b,32cの上側近傍には、覆い部42a,42bが設置されている。
【0066】
このため、充填口32b,32cから注入された充填剤は、充填口32b,32cに対向して配置されたガイド部45a,45bに当接して充填口受部43a,43b上方向(図5の矢印a方向)に流れる。そして、その充填剤の一部は、下方向に(矢印b,d,e方向)に流れる。
【0067】
また、図1に示すように、充填口受部43a,43b上に流れた充填剤は、充填口受部43a,43bに沿って前方向及び後方向に流れる。充填口受部43a,43b上を開口部32aの下方側方向(矢印f方向)に流れた充填剤は、覆い部42a,42bの下面にガイドされて、覆い部42a,42bの下面に沿って難充填部44a,44b側方向(矢印g方向)に流れる。このため、難充填部44a,44bに充填剤を流し込むことができる。
【0068】
難充填部44a,44bに流れた充填剤は、R部3b,3cにガイドされて、R部3b,3cに沿って第1充填空間30aの後端部、及び、第2充填空間30bの前端部に流れる。このように充填空間30が形成されていることで、充填剤は、第1充填空間30a全体及び第2充填空間30b全体に充填される。
【0069】
その充填剤は、乾燥するとゴム状に固化して、中空部3d内の下部の仕切部材4とサイドシルアウタ21の上面部21bとの間を密閉状態に閉塞する。このため、充填剤は、車両走行中に、サイドシルアウタ21の下面部の貫通孔(図示省略)等に走行風が当たって風切音が発生したり、路面とタイヤと接触でロードノイズが発生したりしても、風切音や、ロードノイズを遮断して吸収する。その結果、充填剤は、風切音やロードノイズがセンタピラー3を介してキャビン(車室)内に伝わるのを防ぐことができる。
【0070】
図4及び図5に示すように、センタピラーアウタ31とセンタピラーインナ32との間には、センタピラースチフナ33が介在されると共に、サイドシルアウタ21の上面部21b上に充填剤と仕切部材4が設けられた状態になる。このため、センタピラーインナ32とセンタピラースチフナ33との間は、サイドシルアウタ21と、充填剤と、仕切部材4とによって常に一定間隔になるように保持されているので、強度を向上させることができる。その結果、センタピラーインナ32は、開口部32aを形成したことによって、局部的に強度不足になることを補うことができる。
【0071】
このように本発明の車体側部構造Aは、図1図3に示すように、中空状の車体フレーム10と、車体フレーム10内に充填剤を充填する充填空間30を形成するための仕切部材4と、を備え、仕切部材4は、車体フレーム10に形成した充填口32b,32cを囲むように配置した充填口受部43a,43bと覆い部42a,42bとによって開口部(充填用開口部41a,41b)を形成し、充填用開口部41a,41bは、充填口32b,32cから注入した充填剤が充填空間30内の充填口32b,32cから離れた難充填部44a,44bに向けて形成されている。
【0072】
かかる構成によれば、本発明の車体側部構造Aの仕切部材4の充填用開口部41a,41bは、充填剤が充填空間30内の充填口32b,32cから離れた難充填部44a,44bに向けて形成されている。このため、充填口32b,32cから注入された充填剤は、充填口受部43a,43bで受けて覆い部42a,42bに沿って充填空間30の難充填部44a,44bに流れるようにガイドすることができる。
したがって、本発明は、覆い部42a,42bの上端部とR部3b,3cとの間の微小な隙間から成る充填し難い難充填部44a,44bに充填剤を充填させることができるので、車体1の防音性を向上させることができる。
【0073】
また、図3図6及び図7に示すように、仕切部材4には、車体上下に延びるガイド部45a,45bを設けて、ガイド部45a,45bに充填口受部43a,43bが形成されている。
【0074】
かかる構成によれば、充填空間30全体に注入された充填剤は、車体上下に延びるガイド部45a,45bと、充填口受部43a,43bとにガイドされて、難充填部44a,44bに流れるようにすることができる。このため、本発明は、充填剤を難充填部44a,44bに導いて、充填空間30全体に行き渡すことができるので、車体1の防音性を向上させることができる。
【0075】
また、図2または図5に示すように、充填口受部43a,43bは、ガイド部45a,45bの下端部から充填口32b,32c側に向けて突出されている。
【0076】
かかる構成によれば、充填口受部43a,43bは、充填口32b,32c側に向けて突出されているため、充填剤を確実に覆い部42a,42bの上端部とR部3b,3cとの間の難充填部44a,44bに充填され易くすることができる。このため、本発明は、充填剤を難充填部44a,44bに導いて、充填空間30全体に行き渡すことができるので、車体1の防音性を向上させることができる。
【0077】
また、図5に示すように、充填口受部43a,43bと車体フレーム10とは離間されている。
【0078】
かかる構成によれば、仕切部材4は、充填口受部43a,43bと車体フレーム10とが離間されているため、充填口受部43a,43bより下方の充填空間30に充填剤を流し込むことができる。このため、本発明は、充填剤を充填空間30の下方部に導いて、充填空間30全体に行き渡すことができるので、車体1の防音性を向上させることができる。
【0079】
また、図3図6及び図7に示すように、充填口受部43a,43bは、覆い部42a,42bの下部から車体前後方向に延びると共に、覆い部42a,42bの下部から離れるほど下方に傾斜する傾斜部43c,43dを有している。
【0080】
かかる構成によれば、充填口受部43a,43bは、覆い部42a,42bの下部から離れるほど下方に傾斜する傾斜部43c,43dを有しているので、前後方向下方にも発泡剤を充填され易くすることができる。このため、本発明は、充填剤を充填空間30の前後方向下方に導いて、充填空間30全体に行き渡すことができるので。車体1の防音性を向上させることができる。
【0081】
また、図3図7及び図8に示すように、充填口受部43a,43bには、覆い部42a,42bの下部側に近づくほど細くなっている切欠部43e,43fが形成されている。
【0082】
かかる構成によれば、充填口受部43a,43bは、覆い部42a,42bの下部側に近づくほど細くなっている切欠部43e,43fが形成されていることで、充填口受部43a,43bと車体1との間の隙間を覆い部42a,42bの下部側に近づくほど大きくすることができる。また、細くなった充填口受部43a,43bによって覆い部42a,42bへの流速が上がる。このため、本発明は、充填剤を充填空間30の下部側により多く充填させることができ、充填剤を難充填部44a,44bに確実に導くので、充填空間30全体に行き渡すことができるので、車体1の防音性を向上させることができる。
【0083】
また、図7及び図8に示すように、切欠部43e,43fは、クランク形状に形成されている。
【0084】
かかる構成によれば、切欠部43e,43fは、クランク形状に形成されているので、充填口受部43a,43bと車体1との間の隙間を大きくすることができ、充填剤が充填空間30の下部側への流れる速度が向上できる。このため、本発明は、充填剤を充填空間30の下部側により多くかつ早く充填させることができるので、充填空間30全体に行き渡すことができるため、車体1の防音性を向上させることができる。
【0085】
また、図3図6及び図7に示すように、充填口受部43a,43bの板厚は、覆い部42a,42bの下部側から離れるほど薄く形成されている。
【0086】
かかる構成によれば、充填口受部43a,43bの板厚は、覆い部42a,42bの下部側から離れるほど薄く形成されて傾斜しているので、充填剤の重みで下方に変形されるため、充填剤を車体前後方向外側かつ下方に向かって充填され易くすることができる。このため、本発明は、充填口受部43a,43bを設けたことで、充填剤の発泡起点を早くすることができるので、充填空間30全体に充填剤を行き渡すことができるため、車体1の防音性を向上させることができる。
また、仕切部材4は、製造時に充填口受部43a,43bを形成し易くすることができる。
【0087】
また、図6図7及び図9に示すように、充填口受部43bと覆い部42bとの間のガイド部45bは、車幅方向外側に向かって段差状に形成された段差部45cを有している。
【0088】
かかる構成によれば、仕切部材4は、充填口受部43bと覆い部42bとの間のガイド部45bに段差部45cを設けていることで、ガイド部45bによって車幅方向外側にオフセットさせることができる。このため、本発明は、車体前後方向外側に充填剤を流れ易くすることができるので、充填空間30全体に行き渡すことができるため、車体1の防音性を向上させることができる。
また、仕切部材4は、段差部45cによってガイド部45bを補強することができため、充填時にガイド部45bがの損傷するのを抑制することができる。
【0089】
また、図1図2に示すように、車体フレーム10には、複数の充填口32b,32cが設けられ、仕切部材4には、複数の充填口32b,32cから注入された充填剤を受ける複数の充填口受部43a,43bと、複数の覆い部42a,42bとによって複数の開口部(充填用開口部41a,41b)が形成されている。
【0090】
かかる構成によれば、車体フレーム10は、複数の充填口32b,32を設けて、仕切部材4に充填剤を上面で受ける複数の充填口受部43a,43bと、複数の覆い部42a,42bとによって複数の開口部(充填用開口部41a,41b)が形成されているので、複数のR部3b,3c側の難充填部44a,44bに充填され易くできる。
このため、本発明は、前後の難充填部44a,44bに充填剤を充填させることができるため、車体1の防音性を向上させることができる。
【0091】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0092】
例えば、前記実施形態で説明した図1及び図4に示すセンタピラーインナ32、及び、特許請求の範囲に記載したインナパネルは、センタピラー3に限定されず、サイドシル2のサイドシルインナであってもよい。
この場合、センタピラーインナ32及びサイドシルインナ22は、側面視して逆T字状に形成して、図4及び図5に示すサイドシルインナ22と、センタピラーインナ32の下部とを一体に形成すればよい。
【0093】
また、図4及び図5に示すサイドシルアウタ21は、センタピラーインナ32の下端部から車幅方向外側に亘って配置されたパネル部材であればよく、サイドシルスチフナであってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 車体
2 サイドシル
3 センタピラー
3a 中空部
4 仕切部材
10 車体フレーム
30 充填空間
31 センタピラーアウタ
32 センタピラーインナ
32b,32c 充填口
41a,41b 充填用開口部(開口部)
42a,42b 覆い部
43a,43b 充填口受部
43c,43d 傾斜部
43e,43f 切欠部
44a,44b 難充填部
45a,45b ガイド部
45c 段差部
A 車体側部構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9