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特許7195360TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を用いた併用処置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を用いた併用処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20221216BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20221216BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20221216BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221216BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20221216BHJP
   C07H 19/24 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K31/506
A61K31/513
A61K31/675
A61K31/7072
A61P1/16
A61P31/20
C07H19/24
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021051550
(22)【出願日】2021-03-25
(62)【分割の表示】P 2020029017の分割
【原出願日】2016-03-15
(65)【公開番号】P2021100967
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/074269
(32)【優先日】2015-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/074854
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2015/084480
(32)【優先日】2015-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2016/074012
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ルー
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ルゥ
【審査官】篭島 福太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-534437(JP,A)
【文献】国際公開第2014/184328(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/037480(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/519
A61K 31/506
A61K 31/513
A61K 31/675
A61K 31/7072
A61P 1/16
A61P 31/20
C07H 19/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を薬学的に許容可能なキャリヤー中に含む医薬組成物であって、
該TLR7作動薬は化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーであり、
該HBVカプシド集合阻害剤が化合物5、化合物6、および化合物10からなる群から選択されるか、またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーであり、
ここで、化合物1は、[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル]アセテート、
化合物5は、2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸、
化合物6は、2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸、
化合物10は、(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸である、
前記医薬組成物
【請求項2】
該医薬組成物がさらに1種類以上の他の抗ウイルス剤を含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記の他の抗ウイルス剤が、ラミブジン、アデホビル、テノホビル、テルビブジンおよびエンテカビルから選択される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のためのTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を含む医薬品であって、
該TLR7作動薬が化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーであり、該HBVカプシド集合阻害剤が化合物5、化合物6、および化合物10、またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーから選択される、前記医薬品。
【請求項5】
該TLR7作動薬および該HBVカプシド集合阻害剤が同じ配合物または異なる配合物中で同時投与される、請求項に記載の医薬品。
【請求項6】
該TLR7作動薬および該HBVカプシド集合阻害剤が同じ経路または異なる経路による対象への投与に関して意図されている、請求項4または5に記載の医薬品。
【請求項7】
該TLR7作動薬および該HBVカプシド集合阻害剤が非経口または経口投与による対象への投与に関して意図されている、請求項のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項8】
該投与が同時または連続的である、請求項のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項9】
該医薬品がさらに、ラミブジン、アデホビル、テノホビル、テルビブジンおよびエンテカビルから選択される、1種類以上の他の抗ウイルス剤を含む、請求項のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項10】
TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を含む容器を含むキットであって、
該TLR7作動薬が化合物1、またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーであり、該HBVカプシド集合阻害剤が化合物5、化合物6、および化合物10、またはそれらの薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーから選択される、前記キット。
【請求項11】
【化1】

および、それらの薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、もしくはジアステレオマーから選択される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B型肝炎ウイルス感染を処置するための組成物および方法に向けられている。特に、本発明は、慢性B型肝炎患者の処置における使用のためのTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤の投与を含む併用療法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎ウイルス(HBV)の慢性感染は、世界中で深刻な公衆衛生上の問題であり、世界中で2憶4000万人より多くの人々が慢性感染している。HBVは、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae family)のウイルスに属する。肝細胞中に入った後、そのウイルスゲノムは、核中に送達され、そこで共有結合閉環状DNA(cccDNA)が、部分的に二本鎖のウイルスゲノムのDNA修復により形成され、cccDNAは、ウイルスRNAの転写のための鋳型の役目を果たす。ウイルスの前ゲノムRNAは、他の2種類のウイルス構成要素であるカプシドタンパク質およびポリメラーゼと相互作用してカプシド粒子を形成し、そこでウイルスDNAの複製が起こる。HBVは、240コピーのカプシド(またはコア)タンパク質からなる正20面体のコアを有する。カプシドタンパク質の主な生物学的機能は、前ゲノムRNAをカプシド形成して細胞質中で未成熟のカプシド粒子を形成するための構造タンパク質の役目を果たすことである。この段階は、ウイルスDNAの複製に必須である。完全長に近い弛緩型環状DNAがウイルスの前ゲノムRNAの逆転写により形成されたら、未成熟のカプシドは成熟カプシドになる。カプシド形成されたゲノムのほとんどのコピーは、ウイルス粒子の集合および分泌のために細胞性脂質およびウイルスエンベロープタンパク質(S、MおよびL)と効率的に会合する。しかし、感染性ウイルス粒子よりもはるかに数が多い非感染性粒子も、生成される。これらの空のエンベロープに覆われた粒子は、サブウイルス粒子(SVP)と呼ばれる。S、MおよびLエンベロープタンパク質は、3つの異なる開始コドンを含有する単一のORF(オープンリーディングフレーム)から発現される。3種類のタンパク質は全て、それらのC末端において226aa配列(Sドメイン)を共有している。Sドメインは、HBsAgエピトープを含有する(Lambert, C. & R. Prange. Virol J, 2007, 4, 45)。
【0003】
多くの観察が、いくつかのHBVウイルスタンパク質はウイルス認識シグナル伝達系およびその後のインターフェロン(IFN)抗ウイルス活性に干渉することにより初期の宿主の細胞性反応を相殺することができることを示した。これらの中で、HBV空サブウイルス粒子の過剰な分泌は、慢性感染患者(CHB)において観察される免疫寛容状態の維持に関与している可能性がある。HBsAgおよび他のウイルス抗原に対する持続的な曝露は、HBV特異的T細胞枯渇または進行性の機能障害をもたらし得る(Kondo et al. Journal of Immunology 1993, 150, 4659-4671; Kondo et al. Journal of Medical Virology 2004, 74, 425-433; Fisicaro et al. Gastroenterology, 2010, 138, 682-93;)。さらに、HBsAgは、免疫細胞、例えば単球、樹状細胞(DC)およびナチュラルキラー(NK)細胞の機能を、直接的な相互作用により抑制することが報告されている(Op den Brouw et al. Immunology, 2009b, 126, 280-9; Woltman et al. PLoS One, 2011, 6, e15324; Shi et al. J Viral Hepat. 2012, 19, e26-33; Kondo et al. ISRN Gasteroenterology, 2013, Article ID 935295)。
【0004】
HBsAgの定量化は、慢性B型肝炎における予後および処置反応に関するバイオマーカーである。HBsAgの消失および血清転換は、臨床治療に関する目標であるが、慢性感染患者では滅多に観察されない。現行の療法、例えばHBVのDNA合成を阻害するヌクレオシド(ヌクレオチド)類似体は、HBsAgレベルに直接影響を及ぼさない。ヌク
レオシド(ヌクレオチド)類似体は、長期の療法を用いてさえも、自然に観察されるHBsAgクリアランスと比較可能なHBsAgクリアランスの非常に低い速度を示してきた(Janssen et al. Lancet, 2005, 365, 123-9; Marcellin et al. N. Engl. J. Med., 2004, 351, 1206-17; Buster et al. Hepatology, 2007, 46, 388-94)。
【0005】
Toll様受容体(TLR)は、広い範囲の保存された病原体関連分子パターン(PAMP)を検出する。それらは、侵入病原体の感知およびそれに続く先天免疫応答の開始という重要な役割を果たす。ヒトにおけるTLRファミリーの10の既知のメンバーが存在し、それは、細胞外ロイシンリッチドメインおよび保存されたToll/インターロイキン(IL)-1受容体(TIR)ドメインを含有する細胞質側尾部を特徴とするI型膜貫通タンパク質である。このファミリー内で、TLR3、TLR7、TLR8、およびTLR9は、エンドソーム内に位置している。TLR7は、特定の小分子リガンド(すなわちTLR7作動薬)またはその天然のリガンド(すなわち一本鎖RNA、ssRNA)に結合することにより活性化されることができる。ssRNAのTLR7への結合後、その2量体形態の受容体は、構造的変化を経てその後のその細胞質側ドメインにおける骨髄球分化一次応答遺伝子88(MyD88)を含むアダプタータンパク質の動員をもたらすと信じられている。MyD88経路を経る受容体シグナル伝達カスケードの開始後、細胞質性転写因子、例えばインターフェロン制御因子7(IRF-7)および核因子カッパB(NF-κB)が、活性化される。次いで、これらの転写因子は、核に移動し、様々な遺伝子、例えばIFN-αおよび他の抗ウイルス性サイトカイン遺伝子の転写を開始させる。TLR7は、主に形質球様細胞上で、そしてB細胞上でも発現されている。免疫細胞の変化した応答性は、慢性ウイルス感染の間の低減した先天免疫応答に寄与している可能性がある。従って、TLR7の作動薬に誘導される活性化は、慢性ウイルス感染症の処置のための新規のアプローチである可能性がある(D. J Connolly and L. AJ O’Neill, Current Opinion in Pharmacology 2012, 12:510-518, P. A. Roethle et al, J. Med. Chem. 2013, 56, 7324-7333)。
【0006】
経口TLR7作動薬を用いた処置は、より良好な耐容性を伴うより大きな有効性を提供するための有望な解決策である。ペグ化IFN-α(PEG-IFN-α)は、現在慢性HBVを処置するために用いられており、抗ウイルス性ヌクレオシド(ヌクレオチド)類似体を用いた一生続く可能性のある処置に対する代替策である。慢性HBV患者の部分集合において、PEG-IFN-α療法は、有限の療法期間後にウイルスの持続的な免疫学的制御を誘導することができる。しかし、インターフェロン療法により血清転換を達成するHBV患者の割合は、低く(HBsAg陽性患者に関して27%まで)、処置は、典型的には不十分にしか耐容されない。さらに、機能的治癒(HBsAgの消失および血清転換として定義される)も、PEG-IFN-αおよびヌクレオシド(ヌクレオチド)処置両方に関して非常に稀である。これらの制限を考慮して、慢性HBVを処置してそれに関する機能的治癒を誘導するための向上した療法選択肢に関する切迫した必要性が存在する。経口の小分子TLR7作動薬を用いた処置は、より大きい有効性および耐容性を提供する可能性を有する有望なアプローチである(T. Asselah et al, Clin Liver Dis 2007, 11, 839-849)。
【0007】
HBVカプシドタンパク質は、HBVの複製において本質的な役割を果たしている。
Bay41-4109、Bay38-7690およびBay39-5493と名付けられた化合物を含むヘテロアリールジヒドロピリミジン類またはHAPが、組織培養ベースのスクリーニングにおいて発見された(Deres K. et al. Science 2003, 893)。これらの
HAP類似体は、合成アロステリック活性化剤として作用し、コアタンパク質の分解をもたらす異常なカプシド形成を誘導することができる。HAP類似体はまた、おそらくHAPのカプシドの‘呼吸’(個々のサブユニット間結合の一次的な切断)の間に解放された2量体との相互作用により、予め集合したカプシドから非カプシドポリマーへとコアタン
パク質を再編成した。Bay41-4109が、HBVに感染したトランスジェニックマウスまたはヒト化マウスモデルに投与され、HBV DNAの低減によりインビボでの有効性を実証した(Deres K. et al. Science 2003, 893; Brezillon N. et al. PLoS ONE 2011, e25096)。小分子であるビス-ANSは、分子‘くさび’として作用し、正常なカプシドタンパク質幾何学およびカプシド形成に干渉することも、示されている(Zlotnick A. et al. J. Virol. 2002, 4848-4854)。
【0008】
今日では、HBV感染の臨床治療の標準は、HBsAgの消失および/または血清転換である。PEG-IFN-αおよびヌクレオシド(ヌクレオチド)がHBV患者に対して利用可能であるとしても、処置された患者の大部分(約90%またはより多い割合)は、この目標を達成することができず、それは主に、現行の療法がほとんどの慢性感染患者においてHBV感染の解決の徴候であるHBsAgに対する中和抗体(抗HBs)の出現を引き出すことができないという事実による。従って、確かに、HBsAgの消失および/または血清転換の誘導ならびに抗HBsの産生の促進の向上した成功率を有する処置に関する医学的必要性が、存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Lambert, C. & R. Prange. Virol J, 2007, 4, 45
【文献】Kondo et al. Journal of Immunology 1993, 150, 4659-4671
【文献】Kondo et al. Journal of Medical Virology 2004, 74, 425-433
【文献】Fisicaro et al. Gastroenterology, 2010, 138, 682-93
【文献】Op den Brouw et al. Immunology, 2009b, 126, 280-9
【文献】Woltman et al. PLoS One, 2011, 6, e15324
【文献】Shi et al. J Viral Hepat. 2012, 19, e26-33
【文献】Kondo et al. ISRN Gasteroenterology, 2013, Article ID 935295
【文献】Janssen et al. Lancet, 2005, 365, 123-9
【文献】Marcellin et al. N. Engl. J. Med., 2004, 351, 1206-17
【文献】Buster et al. Hepatology, 2007, 46, 388-94
【文献】D. J Connolly and L. AJ O’Neill, Current Opinion in Pharmacology 2012, 12:510-518
【文献】P. A. Roethle et al, J. Med. Chem. 2013, 56, 7324-7333
【文献】T. Asselah et al, Clin Liver Dis 2007, 11, 839-849
【文献】Deres K. et al. Science 2003, 893
【文献】Brezillon N. et al. PLoS ONE 2011, e25096
【文献】Zlotnick A. et al. J. Virol. 2002, 4848-4854
【発明の概要】
【0010】
本発明は、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を薬学的に許容可能なキャリヤー中に含む医薬組成物に関する。本明細書における“TLR7作動薬”は、式(I)、(II)の化合物または特許国際公開第2006/066080号において開示されている化合物のいずれか1つであり、特に、本明細書における“TLR7作動薬”は、[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテート;[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンもしくは5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン、またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーである。本明細書におけるHBVカプシド集合阻害剤は、特許国際公開第2014/037480号、国際公開第2014/184328号および国際公開第2015/132276号において開示されている化合物のいずれか1つであり、特に、本明細書におけるHBVカプシド集合阻害剤は、3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;もしくは(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1:AAV-HBVマウスモデルにおけるマウス血清からのHBV DNAおよびHBsAgのレベル。ビヒクル(菱形として示されている)、100mg/kgでの化合物1単独(丸として示されている)、12mg/kgでの化合物2単独(三角形として示されている)、または化合物1および化合物2の組み合わせ(正方形として示されている)で処置された、HBV DNAおよびHBsAgの持続的なレベルを有するマウスに関する結果が、図1において示されている。処置後のHBV DNAおよびHBsAgの相対的低減は、ビヒクル群におけるそれらのレベルをベースラインとして標準化することにより計算された。HBsAgの低減における相乗的抗ウイルス作用が、併用療法で処置されたマウスにおいて観察され、そしてより重要なことだが、HBV DNAおよびHBsAgにおける低減は、併用療法後の2週間の無処置期間の間維持された。LLQ:定量化の下限。
図2図2:化合物2A-2aのX線結晶構造
図3図3:化合物3JのX線結晶構造
図4図4:ビヒクル、化合物1(100mg/kg)、化合物4(20mg/kg)、または化合物1+化合物4の組み合わせで処置されたAAV-HBV感染マウスにおけるHBV DNAおよびHBsAg。処置は、マウスがAAV-HBVに4週間感染した後に開始した。それらは、処置を6週間与えられ、さらに6週間の無処置期間の間モニターされた。マウス血清中のHBV DNAおよびHBsAgが、示された時点においてそれぞれRT-qPCRおよびHBsAg CLIAにより測定された。結果は、平均±SEMとして示されている。LLQ:定量化の下限。
図5図5:ビヒクル、化合物3(30mg/kg)、化合物4(20mg/kg)、または化合物3+化合物4の組み合わせで処置されたAAV-HBV感染マウスにおけるHBV DNAおよびHBsAg。処置は、マウスがAAV-HBVに4週間感染した後に開始した。それらは、処置を6週間与えられ、さらに6週間の無処置期間の間モニターされた。マウス血清中のHBV DNAおよびHBsAgが、示された時点においてそれぞれRT-qPCRおよびHBsAg CLIAにより測定された。結果は、平均±SEMとして示されている。LLQ:定量化の下限。
図6図6:ビヒクル、化合物1(100mg/kg)、化合物5(12mg/kg)、または化合物1+化合物5の組み合わせで処置されたAAV-HBV感染マウスにおけるHBV DNAおよびHBsAg。処置は、マウスがAAV-HBVに4週間感染した後に開始した。それらは、処置を6週間与えられ、さらに6週間の無処置期間の間モニターされた。マウス血清中のHBV DNAおよびHBsAgが、示された時点においてそれぞれRT-qPCRおよびHBsAg CLIAにより測定された。結果は、平均±SEMとして示されている。LLQ:定量化の下限。
図7図7図4、5、および6において記載されている通りの単独または併用処置を受けているそれぞれのマウスの血清中の抗HBs抗体(HBsAgに対する抗体)のレベル。血清試料が、処置の終了(removal)後24日目に収集され、抗HBsが、抗HBs CLIAにより測定された。LLQ:定量化の下限。
図8図8:ビヒクル、化合物8(300mg/kg)、化合物4(20mg/kg)、または化合物8+化合物4の組み合わせで処置されたAAV-HBV感染マウスにおけるHBV DNAおよびHBsAg。処置は、マウスがAAV-HBVに少なくとも38日間感染した後に開始した。それらは、処置を6週間与えられ、さらに6週間の無処置期間の間モニターされた。マウス血清中のHBV DNAおよびHBsAgが、示された時点においてそれぞれRT-qPCRおよびHBsAg CLIAにより測定された。結果は、平均±SEMとして示されている。LLQ:定量化の下限。
図9図9:ビヒクル、化合物8(300mg/kg)、化合物10(20mg/kg)、または化合物8+化合物10の組み合わせで処置されたAAV-HBV感染マウスにおけるHBV DNAおよびHBsAg。処置は、マウスがAAV-HBVに少なくとも38日間感染した後に開始した。それらは、処置を6週間与えられ、さらに6週間の無処置期間の間モニターされた。マウス血清中のHBV DNAおよびHBsAgが、示された時点においてそれぞれRT-qPCRおよびHBsAg CLIAにより測定された。結果は、平均±SEMとして示されている。LLQ:定量化の下限。
図10図10:ビヒクル、化合物1(100mg/kg)、化合物10(20mg/kg)、または化合物1+化合物10の組み合わせで処置されたAAV-HBV感染マウスにおけるHBV DNAおよびHBsAg。処置は、マウスがAAV-HBVに少なくとも38日間感染した後に開始した。それらは、処置を6週間与えられ、さらに6週間の無処置期間の間モニターされた。マウス血清中のHBV DNAおよびHBsAgが、示された時点においてそれぞれRT-qPCRおよびHBsAg CLIAにより測定された。結果は、平均±SEMとして示されている。LLQ:定量化の下限。
図11図11図8、9、および10において記載されている通りの単独または併用処置を受けているそれぞれのマウスの血清中の抗HBs抗体(HBsAgに対する抗体)のレベル。血清試料が、処置の終了後31日目に収集され、抗HBsが、抗HBs CLIAにより測定された。LLQ:定量化の下限。
【発明を実施するための形態】
【0012】
別途定義されない限り、本明細書において用いられている全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0013】
本明細書で用いられる際、用語“C1-6アルキル”は、1~6個の炭素原子の一価の線状または分枝状の飽和炭化水素基を指す。特定の態様において、C1-6アルキルは、1~6個の炭素原子、より詳細な態様において1~4個の炭素原子を有する。C1-6アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルを含む。
【0014】
本明細書で用いられる際、用語“ハロ”または“ハロゲン”は、本明細書において互換的に用いられており、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを指す。
本明細書で用いられる際、用語“C1-6アルコキシ”は、C1-6アルキル-O-の基(ここで、“C1-6アルキル”は、上記で定義された通りである)、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、2-ブトキシ、tert-ブトキシ等を指す。特定の“C1-6アルコキシ”基は、メトキシおよびエトキシ、より詳細にはメトキシである。
【0015】
本明細書で用いられる際、用語“C3-7シクロアルキル”は、3~7個の炭素原子、特に3~6個の炭素原子を含有する飽和炭素環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等を指す。特定の“C3-7シクロアルキル”基は、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0016】
本明細書で用いられる際、用語“C2-6アルケニル”は、2~6個、特に2~4個の炭素原子を含有する不飽和線状または分枝鎖アルケニル基、例えばビニル、プロペニル、アリル、ブテニル等を指す。特定の“C2-6アルケニル”基は、アリルである。
【0017】
本明細書で用いられる際、用語“C2-6アルキニル”は、2~6個、特に2~4個の炭素原子を含有する不飽和線状または分枝鎖アルキニル基、例えばエチニル、1-プロピニル、プロパルギル、ブチニル等を指す。特定の“C2-6アルキニル”基は、エチニル、1-プロピニルおよびプロパルギルである。
【0018】
本明細書で用いられる際、用語“複素環式”環または“ヘテロシクリル”は、窒素、酸素および/または硫黄から選択される1、2または3個の原子を含み得る3~10個の炭素原子を含有する飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式環を指す。特に3~7個の環原子を含有する単環式ヘテロシクリル環の例は、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、ジアゼパニル、ピロリジニル、モルホリニル、ジヒドロフリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニルおよびチオモルホリニルを含むが、それらに限定されない。二環式ヘテロシクリルは、二環式縮合環または二環式架橋環であることができる。二環式ヘテロシクリルに関する例は、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、3-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、またはジフルオロアザビシクロ[3.2.1]オクチルである。単環式および二環式ヘテロシクリルは、ハロゲン、C1-6アルキル、シアノ、カルボキシ、カルボキシC1-6アルキルによりさらに置換されていることができる。
【0019】
用語“複素環式アミノ”は、複素環式環上に窒素原子を有するアミノ基を指し、ここで、“複素環式”環は、上記で定義された通りである。
本明細書で用いられる際、用語“ジアステレオマー”は、2個以上の鏡像異性の中心を有する立体異性体を指し、その分子は、互いの鏡像ではない。ジアステレオマーは、異なる物理特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、活性および反応性を有する。
【0020】
本明細書で用いられる際、用語“エナンチオマー”は、重ね合わせることができない互いの鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
本明細書で用いられる際、用語“薬学的に許容可能な塩類”は、生物学的に、または他の点で望ましくないということがない塩類を指す。薬学的に許容可能な塩類は、酸および塩基付加塩類の両方を含む。
【0021】
本明細書で用いられる際、用語“プロドラッグ”は、所望の薬理学的作用をもたらすた
めに投与後に対象によりインビボで例えば生物学的流体または酵素により代謝されて化合物の薬理学的に活性な形態になる化合物の形態または誘導体を指す。プロドラッグは、例えばRichard B. SilvermanによるOrganic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, サンディエゴ, 2004, 第8章 Prodrugs and Drug Delivery Systems, pp. 497-558において記載されている。
【0022】
用語“薬学的に許容可能な酸付加塩”は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸、ならびに脂肪族、環状脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボキシ、およびスルホンクラスの有機酸から選択される有機酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸(maloneic acid)、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、およびサリチル酸(salicyclic acid)と共に形成される薬学的に許容可能な塩類を指す。
【0023】
用語“薬学的に許容可能な塩基付加塩”は、有機または無機塩基と共に形成される薬学的に許容可能な塩類を指す。許容可能な無機塩基の例は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、およびアルミニウム塩類を含む。薬学的に許容可能な有機非毒性塩基由来の塩類は、第1級、第2級および第3級アミン、天然存在の置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジエチルアミノエタノール、トリメタミン(trimethamine)、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペリジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、およびポリアミン樹脂の塩類を含む。
【0024】
1個またはいくつかのキラル中心を含有する一般式(I)の化合物は、ラセミ体、ジアステレオマー混合物、または光学活性な単一の異性体のいずれとして存在することもできる。ラセミ体は、既知の方法に従ってエナンチオマーへと分離されることができる。特に、結晶化により分離されることができるジアステレオマー塩類は、光学活性の酸、例えばD-またはL-酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸またはカンファースルホン酸との反応によりラセミ混合物から形成される。
【0025】
本明細書で用いられる際、“combo”は、組み合わせを指す。
本明細書で用いられる際、“RT-PCR”は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を指す。
本明細書で用いられる際、“CLIA”は、化学発光免疫アッセイを指す。
【0026】
本明細書で用いられる際、“AAV”は、アデノ関連ウイルスを指す。
本明細書で用いられる際、“AAV-HBV”は、AAVカプシド中に包装された1.3コピーのHBVゲノムを担持する組み換えウイルスを指す。慢性(chronicle)HBV感染マウスモデルは、マウスにAAV-HBVを尾静脈注射により注射することにより確立されることができる。このマウスモデルにおいて、活発なHBVの複製が、結果として持続的なHBVウイルスマーカー(例えばHBV DNA、HBsAg、HBeAg等)をもたらす。
【0027】
本明細書で用いられる際、“HBsAg”は、B型肝炎表面抗原を指す。
本明細書で用いられる際、“HBeAg”は、B型肝炎e抗原を指す。
本明細書で用いられる際、“抗HBs”は、HBsAgに対する抗体を指す。
【0028】
本明細書で用いられる際、“HBV特異的プライマー”は、HBV DNA領域の特異的増幅に関する出発点および終点の役目を果たす一本鎖核酸の対を指す。
本明細書で用いられる際、“TLR7”は、あらゆる由来の種(例えばヒト、マウス、ウッドチャック等)のToll様受容体7を指す。
【0029】
本明細書で用いられる際、“TLR7作動薬”は、TLR7の作動薬として作用する化合物を指す。別途示されない限り、TLR7作動薬は、あらゆる異性体(例えばジアステレオマーまたはエナンチオマー)、塩、溶媒和物、多形等を含め、あらゆる薬学的に許容可能な形態の化合物を含むことができる。特定の化合物に関するTLR活性化作用は、あらゆる適切な方法で決定されることができる。例えば、試験化合物のTLR活性化作用を検出するためのアッセイが、例えば2002年12月11に出願された米国仮特許出願一連番号60/432,650において記載されており、そのようなアッセイにおける使用に適した組み換え細胞株が、例えば2002年12月11に出願された米国仮特許出願一連番号60/432,651において記載されている。
【0030】
本発明は、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を薬学的に許容可能なキャリヤー中に含む医薬組成物に関する。
本発明の一態様において、“TLR7作動薬”は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであり:
【0031】
【化1】
【0032】
式中、
は、ヒドロキシ、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキルカルボニル-O-、C1-6アルキル-S-、アジド、シアノ、C2-6アルケニル、C1-6アルキルスルホニル-NH-、(C1-6アルキル)N-、C1-6アルキルカルボニル-NH-または複素環式アミノであり;
は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C2-6アルキニル、C2-6アルケニル、ベンジルおよびチオフェニルであり;
は、水素もしくはC1-6アルキルカルボニルである。
【0033】
本発明の別の態様において、“TLR7作動薬”は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであり:
【0034】
【化2】
【0035】
式中、
およびRは、水素、C2-6アルケニルおよびC1-6アルキルから独立して選択され;
およびRは、水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキルC2-6アルキニル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニルおよび2-チオフェニルから独立して選択され;
は、水素またはC1-6アルキルカルボニルである。
【0036】
より詳細には、本発明に従うTLR7作動薬は、[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテート;[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン;もしくは[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート;またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーに関する。別の態様において、“TLR7作動薬”は、特許国際公開第2006/066080号において開示されている化合物のいずれか1つにも関する。投与後、特許国際公開第2006/066080号における式(I)もしくは式(II)の化合物は、代謝されて有用なTLR7作動薬であるそれらの活性な形態になる。
【0037】
本明細書で用いられる際、“B型肝炎ウイルス”または“HBV”は、おおよそ3,200塩基対の小さい二本鎖DNAゲノムおよび肝細胞に関する向性を有するヘパドナウイルス科のメンバーを指す。“HBV”は、様々な哺乳類(例えばヒト、非ヒト哺乳類等)および鳥類(アヒル等)宿主のいずれかに感染するB型肝炎ウイルスを含む。“HBV”は、あらゆる既知のHBV遺伝子型、例えば血清型A、B、C、D、E、F、およびG;あらゆるHBV血清型またはHBV亜型;あらゆるHBV分離株;HBVバリアント、例えばHBsAg陰性バリアント、薬剤耐性HBVバリアント(例えばラミブジン耐性バリアント;アデホビル耐性変異体;テノホビル耐性変異体;エンテカビル耐性変異体;等)等を含む。
【0038】
本明細書で用いられる際、“HBVカプシド集合阻害剤”は、(例えば成熟の間の)正常なHBVカプシド集合および/もしくは(例えば感染の間の)正常なカプシド脱集合を
阻害し、および/もしくは混乱させ、および/もしくは促進し、および/もしくは妨げ、および/もしくは遅らせ、および/もしくは低減し、および/もしくは改変し、ならびに/またはカプシドの安定性を撹乱させ、それにより異常なカプシドの形態および機能を誘導する化合物を指す。
【0039】
本発明の一態様において、HBVカプシド集合阻害剤は、式(III)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであり:
【0040】
【化3】
【0041】
式中、
は、C1-6アルキルであり;
10は、フェニルであり、それは、ハロゲンまたはC1-6アルキルにより1回または2回または3回置換されており;
11は、水素またはC1-6アルキルであり;
12は、単環式、二環式縮合または二環式架橋ヘテロシクリルである。
【0042】
より詳細には、本発明に従うHBVカプシド集合阻害剤は、3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸(特許国際公開第2014/184328号において開示されている);もしくは(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーに関する。別の態様において、“HBVカプシド集合阻害剤”は、より詳細には、特許国際公開第2015/132276号、国際公開第2014/184328号および国際公開第2014/037480号において開示されている化合物のいずれか1つである。
【0043】
本発明の一態様において、医薬組成物は、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻
害剤を含み、ここで、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤は、独立して表1から選択される(化合物2および4は、特許国際公開第2015/132276号において開示された;化合物5および6は、特許国際公開第2014/184328号において開示された;化合物7、8および9は、特許国際公開第2006/066080号において開示された;化合物10は、特許国際公開第2014/184328号において開示された)。
【0044】
【表1-1】
【0045】
【表1-2】
【0046】
【表1-3】
【0047】
より詳細には、本発明は、以下の組み合わせ:
化合物1および化合物2;化合物1および化合物4;
化合物1および化合物5;化合物1および化合物6;
化合物1および化合物10;化合物3および化合物2;
化合物3および化合物4;化合物3および化合物5;
化合物3および化合物6;化合物3および化合物10;
化合物7および化合物2;化合物7および化合物4;
化合物7および化合物5;化合物7および化合物6;
化合物7および化合物10;化合物8および化合物2;
化合物8および化合物4;化合物8および化合物5;
化合物8および化合物6;化合物8および化合物10;
化合物9および化合物2;化合物9および化合物4;
化合物9および化合物5;化合物9および化合物6;
化合物9および化合物10;化合物11および化合物2;
化合物11および化合物4;化合物11および化合物5;
化合物11および化合物6;ならびに化合物11および化合物10;
のいずれか1つから選択されるTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を含む医薬組成物に関する。
【0048】
上記で述べられた組み合わせの化合物1~11は、その対応する薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーまたはジアステレオマーにより置き換えられることができ、それは、本発明の別の側面である。
【0049】
上記で述べられた組み合わせの化合物1は、その対応する一重、二重または三重プロドラッグ、例えば:
【0050】
【化4】
【0051】
およびそれらの薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーまたはジアステレオマーにより置き換えられることができる。
本発明の一態様において、医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリヤー中のTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤からなる。より詳細には、組成物は、薬学的に許容可能なキャリヤー中の以下:
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カル
ボン酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオンおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾ
ロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオンおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオンおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオンおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;または
5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオンおよび2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
からなる。
【0052】
本発明の別の態様において、医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリヤー中のTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤からなり、より詳細には、組成物は、薬学的に許容可能なキャリヤー中の以下:
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4
-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートおよび2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;または
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
からなる。
【0053】
本発明の別の態様において、他のTLR7作動薬またはHBVカプシド集合阻害剤も、小分子または大分子を含む医薬組成物において用いられることができる。他のTLR7作動薬の例は、イミキモド、レシキモド、PF-4878691、SM-276001、ANA975、ANA773およびGS9620を含むが、それらに限定されない。他のHBVカプシド集合阻害剤の例は、Bay 41-4109、Bay 38-7690、Bay 39-5493、GLS4、AT-61およびAT-130を含むが、それらに限定されない。
【0054】
本発明の別の態様において、医薬組成物は、さらに1種類以上の他の抗ウイルス剤を含むことができ、それは、ラミブジン、アデホビル、テノホビル、テルビブジンおよびエンテカビルを含むが、それらに限定されない。
【0055】
TLR7作動薬および/またはHBVカプシド集合阻害剤の典型的な投与量は、製造業者により推奨される範囲内であることができ、動物モデルにおけるインビトロ反応により必要が示された場合、約1桁濃度または量まで低減することができる。従って、実際の投与量は、医師の判断、患者の状態、および適切な動物モデルのインビトロ反応性に基づく療法的方法の有効性に依存するであろう。
【0056】
本発明の別の態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤がその医薬品中で用いられていることを特徴とする方法に関する。
【0057】
本発明のさらなる態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤が同じ配合物または異なる配合物中で同時投与されることを特徴とする方法に関する。
【0058】
本発明の目的に関して、“同時投与する”は、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤の2種類の有効薬剤としての(別々にまたは一緒にのどちらでも)あらゆる投与を指し、ここで、2種類の有効薬剤は、併用療法の利益を得るために設計された適切な投与計画の一部として投与される。従って、2種類の有効薬剤は、同じ医薬組成物の一部として、または別々の医薬組成物中でのどちらで投与されることもできる。また、2種類の有効薬剤は、同時に、または連続的にのどちらで投与されることもできる。
【0059】
TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤は、様々な薬学的に許容可能な不活性なキャリヤーと共に、錠剤、カプセル、ロゼンジ(lozengens)、トローチ、硬質キャンデー、粉末、スプレー、クリーム、膏薬、坐薬、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、エリキシル剤、シロップ等の形態で投与されることができる。そのような剤形の投与は、1回量または多数回用量で実施されることができる。キャリヤー(Carries)は、増量剤の固体希釈剤、無菌の水性媒体および様々な非毒性有機溶媒を含む。そのような剤形の投与は、経口投与、非経口投与、獣医学的投与により実施されることができるが、それらに限定されない。
【0060】
本発明のさらなる態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤が同じ経路または異なる経路による対象への投与に関して意図されていることを特徴とする方法に関する。
【0061】
本発明のさらなる態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製
造するための方法であって、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤が非経口または経口投与による対象への投与に関して意図されていることを特徴とする方法に関する。
【0062】
本発明のさらなる態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤の対象への投与が同時または連続的であることを特徴とする方法に関する。本発明の方法のいずれにおいても、薬剤の同時投与は、薬剤を同時に別々にもしくは連続的に、または固定された組み合わせとして一緒に投与することにより実施されることができる。また、本発明の方法のいずれにおいても、別々または連続的な薬剤の投与は、あらゆる順序であることができる。
【0063】
本発明の別の態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、そのTLR7作動薬が、式(I)もしくは式(II)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであることを特徴とする方法に関する。特に、TLR7作動薬は、[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテート;[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン;または[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート;またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーである。
【0064】
本発明の別の態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、そのHBVカプシド集合阻害剤が、式(III)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであることを特徴とする方法に関する。特に、HBVカプシド集合阻害剤は、以下の化合物:
3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
もしくは(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーである。
【0065】
本発明の別の態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、医薬品がさらにラミブジン、アデホビル、テノホビル、テルビブジンおよびエンテカビルを含むがそれらに限定されない1種類以上の他の抗ウイルス剤を含むことを特徴とする方法に関する。
【0066】
本発明の別の態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品を製造するための方法であって、医薬品中で用いられるTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤が、薬学的に許容可能なキャリヤー中の以下:
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;または
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
である方法に関する。
【0067】
本発明の別の態様は、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤を含む容器を含むキットに関し、前記のキットは、さらに無菌の希釈剤を含むことができる。
本発明のさらなる態様は、前記のキットであって、そのキットがさらに、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための方法としてのTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤の併用処置の使用を指示する印刷された説明を含む添付文書を含むことができるキットに関する。
【0068】
本発明の別の態様は、前記のキットであって、TLR7作動薬が、[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテート;[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン;もしくは[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート;もしくはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであり;かつ/またはHBVカプシド集合阻害剤が、3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;または(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;もしくはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであるキットに関する。
【0069】
本発明の別の態様は、前記のキットであって、容器中で用いられるTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤が、薬学的に許容可能なキャリヤー中の以下:
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;または
5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンおよび(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;
であるキットに関する。
【0070】
本発明の別の態様は、B型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための方法であって、対象への有効な第1の量のTLR7作動薬、またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマー;および第2の量のHBVカプシド集合阻害剤、またはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーの投与を含み、TLR7作動薬が、[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オ
キソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテート;[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(2’-O-アセチル-3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン;5-アミノ-3-(3’-デオキシ-β-D-リボフラノシル)-3H,6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン;もしくは[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート;もしくはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーであり;かつ/またはHBVカプシド集合阻害剤が、3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸;2-[(1R,3S,5S)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;2-[(1S,3R,5R)-8-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-6,6-ジフルオロ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル]酢酸;もしくは(S)-4-[(R)-6-(2-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-5-メトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-3,6-ジヒドロ-ピリミジン-4-イルメチル]-モルホリン-3-カルボン酸;もしくはその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマーもしくはジアステレオマーである方法に関する。
【0071】
本発明の別の態様は、上記で抗ウイルス医薬品として、特にB型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品として言及された本明細書における医薬組成物の使用に関する。
【0072】
本発明の別の態様は、上記で抗ウイルス医薬品、特にB型肝炎ウイルス感染の処置または予防のための医薬品として言及された本明細書における医薬組成物の製造のためのTLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤の使用に関する。
【実施例
【0073】
本発明は、以下の実施例への参照により、より完全に理解されるであろう。しかし、それらは、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテート(化合物1)
【0074】
【化5】
【0075】
化合物1は、以下のスキームにより調製された:
【0076】
【化6】
【0077】
[(2R)-2-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]-2-ヒドロキシ-エチル] 4-メチルベンゼンスルホネートの調製
【0078】
【化7】
【0079】
(1R)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]エタン-1,2-ジオール(化合物1A、100g、490mmol)の乾燥ピリジン(1000mL)中における溶液に、p-トルエンスルホニルクロリド(139g、735mmol)を0℃で添加した。室温で12時間攪拌した後、得られた溶液を水(100mL)により停止させ(quenched)、真空中で濃縮した。残留物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:10~1:3 EtOAcで溶離)により精製すると、130gの[(2R)-2-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]-2-ヒドロキシ-エチル] 4-メチルベンゼンスルホネート(化合物1B)がわずかに黄色い油として得られた。
【0080】
化合物1B:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 7.82 (d, J = 8.00 Hz, 2H), 7.38 (d, J
= 8.00 Hz, 2H), 5.78 (d, J = 3.76 Hz, 1H), 4.75 (t, J = 4.00 Hz, 1H), 4.20- 4.12 (m, 2H), 4.03- 3.97 (m, 2H), 2.48 (s, 3H), 2.39 (d, J = 3.51 Hz, 1H), 2.08-2.15 (m, 1 H), 1.75-1.80 (m, 1 H), 1.51 (s, 3 H), 1.33 (s, 3 H)。
【0081】
(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-5-[(2R)-オキシラン-2-イル]-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソールの調製
【0082】
【化8】
【0083】
-70℃で冷却した[(2R)-2-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]-2-ヒドロキシ-エチル] 4-メチルベンゼンスルホネート(化合物1B、100g、280mmol)の無水THF(1500mL)中における溶液に、N雰囲気下でビス(トリメチルシリル)アミドカリウム(340mL、340mmol、THF中1M)を添加した。-70℃で1時間攪拌した後、反応混合物を飽和NHCl溶液中に注いだ。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:3 EtOAcで溶離)により精製すると、40.5gの(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-5-[(2R)-オキシラン-2-イル]-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール(化合物1C)がわずかに黄色い油として得られた。
【0084】
化合物1C:1H NMR: (400 MHz, CDCl3)δppm: 5.87 (d, J = 3.76 Hz, 1H), 4.77 (t, J = 4.00, 1H), 4.20-4.28 (m, 1H), 3.14-3.20 (m, 1H), 2.83-2.88 (m, 1H), 2.63 (dd, J = 5.00, 2.80 Hz, 1H), 2.09 (dd, J = 12.00, 4.00 Hz, 1H), 1.69-1.79 (m, 1H), 1.52 (s, 3H), 1.34 (s, 3H)。
【0085】
(1R)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロパン-1-
オールの調製
【0086】
【化9】
【0087】
CuI(19.3g、107mmol)の乾燥THF(2000mL)中における懸濁液に、N雰囲気下で-70℃において臭化メチルマグネシウム(ジエチルエーテル中3M、537mL、1.61mol)を添加した。同じ温度で1時間攪拌した後、(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-5-[(2R)-オキシラン-2-イル]-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソールの溶液(化合物1C、100g、537mmolを無水THF 200mL中で溶解させたもの)を、反応混合物に滴加した。-70℃でさらに2時間攪拌した後、反応混合物を飽和NHCl溶液中に注いだ。有機層を分離し、水相をEtOAcで2回抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:3 EtOAcで溶離)により精製すると、82gの(1R)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロパン-1-オール(化合物1D)がわずかに黄色い油として得られた。
【0088】
化合物1D:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 5.83 (d, J = 3.76 Hz, 1H), 4.81 - 4.73 (m, 1H), 4.26-4.19 (m, 1H), 3.91-3.82 (m, 1H), 2.08-2.02 (m, 1H), 1.93 - 1.89 (m, 1H), 1.54 (s, 3H), 1.49-1.39 (m, 2H), 1.34 (s, 3H), 1.02 (t, J = 7.53 Hz, 3H)。
【0089】
[(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロピル] 4-ニトロベンゾエートの調製
【0090】
【化10】
【0091】
(1R)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロパン-1-オール(化合物1D、50g、245mmol)、トリフェニルホスフィン(195g、743mmol)、4-ニトロ安息香酸(124g、743mmol)のTHF(1200mL)中における攪拌溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(130g、743mmol)を0℃でN下で滴加した。18℃で10時間攪拌した後、混合物を飽和NaHCO溶液の添加により停止させ、EtOAcで抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:3 EtOAcで溶離)により精製すると、61gの[(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロピル] 4-ニトロベンゾエート(化合物1E)がわずかに黄色い固体として得られた。
【0092】
化合物1E:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 8.34- 8.22 (m, 4 H), 5.85 (d, J = 3.76 Hz, 1H), 5.23- 5.17 (m, 1H), 4.76 (t, J = 4.27 Hz, 1H), 4.48- 4.39 (m, 1H), 2.12 (dd, J = 13.30, 4.52 Hz, 1H), 1.88- 1.78 (m, 2H), 1.71- 1.62 (m, 1H), 1.55 (s, 3 H), 1.34 (s, 3 H), 1.01 (t, J = 7.40 Hz, 3 H)。
【0093】
(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロパン-1-オールの調製
【0094】
【化11】
【0095】
[(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロピル] 4-ニトロベンゾエート(化合物1E、100g、285mmol)のメタノール(1200mL)中における溶液に、KCO(78.7g、570mmol)を添加した。室温で10分間攪拌した後、得られた混合物を濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:8 EtOAcで溶離)により精製すると、54.7gの(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロパン-1-オール(化合物1F)がわずかに黄色い固体として得られた。
【0096】
化合物1F:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 5.81 (d, J = 3.64 Hz, 1H), 4.75 (t, J = 4.20 Hz, 1H), 4.18- 4.11 (m, 1H), 3.49-3.40 (m, 1H), 2.07-2.00 (m, 2H), 1.84-1.75 (m, 1H), 1.59- 1.47 (m, 5H), 1.32 (s, 3H), 1.01 (t, J = 7.40 Hz, 3H)。
【0097】
[(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロピル] アセテートの調製
【0098】
【化12】
【0099】
(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロパン-1-オール(化合物1F,13.5g、67mmol)、TEA(81g、804mmol)、DMAP(1.6g、13mmol)の無水DCM(150mL)中における攪拌溶液に、無水酢酸(62g、603mmol)を添加した。22℃で10時間攪拌した後、反応を飽和NaHCO溶液により停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:8 EtOAcで溶離)により精製すると、13gの[(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロピル] アセテート(化合物1G)が無色の油として得られた。
【0100】
化合物1G:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 5.83 (d, J = 3.76 Hz, 1H), 4.92 (dt,
J = 7.97, 5.18 Hz, 1H), 4.74 (t, J = 4.00 Hz, 1H), 4.35- 4.27 (m, 1H), 2.12 (s,
3H), 2.08 - 1.99 (m, 1H), 1.74- 1.56 (m, 3H), 1.53 (s, 3H), 1.34 (s, 3H), 0.95 (t, J = 7.40 Hz, 3H)。
【0101】
[(3R,5S)-2-アセトキシ-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートの調製
【0102】
【化13】
【0103】
[(1S)-1-[(3aR,5S,6aR)-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル]プロピル] アセテート(化合物1G、4.8g、20mmol)、酢酸(12.2g、200mmol)および無水酢酸(10.2g、100mmol)の無水DCM(100mL)中における溶液に、濃HSO(0.5mL)を0℃で添加した。22℃で3時間攪拌した後、反応を飽和NaHCO溶液の添加により停止させた。有機層を分離し、水相をEtOAcで抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラム(石油エーテル中1:8 EtOAcで溶離)により精製すると、2.3gの[(3R,5S)-2-アセトキシ-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート(化合物1H)が無色の油として得られた。
【0104】
化合物1H:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 6.12 (s, 1H), 5.19 (d, J = 4.52 Hz, 1H), 4.83- 4.91 (m, 1H), 4.34- 4.44 (m, 1H), 2.09- 2.19 (m, 9H), 1.51- 1.74 (m,
4H), 0.94 (t, J = 7.40 Hz, 3H)。
【0105】
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートの調製
【0106】
【化14】
【0107】
5-アミノ-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン(3.5g、20.8mmol)のキシレン(160mL)中における懸濁液に、BSA(21.2g、104mmol)を添加した。反応混合物を70℃においてアルゴン下で1時間攪拌すると、透明な溶液が形成された。キシレンおよび余分なBSAを蒸発させた後、[(3R,5S)-2-アセトキシ-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート(化合物1H、3.0g、10.4mmol)およびTMSOTf(2.6g、11.6mmol)を0℃において順に添加した。攪拌しながら65℃で2時間加熱した後、反応を水(30mL)で停止し、EA(30mL)で3回抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラム(石油エーテル中1:10~1:1 EtOAcで溶離)により精製すると、2.0gの[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート(化合物1I)が白色固体として得られた。
【0108】
化合物1I:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 8.15 (s, 1 H), 6.04 (d, J = 1.51 Hz, 1 H), 5.80 (d, J = 7.03 Hz, 1 H), 5.27 (br. s., 2 H), 4.98- 5.04 (m, 1 H), 4.32-
4.39 (m, 1 H), 2.63 - 2.77 (m, 1 H), 2.13 (s, 3 H), 2.09 (s, 3 H), 2.00 - 2.07 (m, 1 H), 1.61- 1.75 (m, 2 H), 0.94 (t, J = 7.40 Hz, 3 H)。
【0109】
[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテートの調製
【0110】
【化15】
【0111】
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-ア
ミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート(化合物1I、3.2g、8.0mmol)およびKCO(2.2g、16.0mmol)を、無水エタノール(85mL)中で室温において懸濁した。メタノール(85mL)をN雰囲気下で滴加した。添加後、混合物を室温で10分間攪拌した(TLCによりモニターした)。反応後、混合物を飽和NHCl中に注ぎ、EA(150mL)で4回抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラム(DCM中1:100~1:70 MeOHで溶離)により精製すると、粗生成物が得られ、それをさらにフラッシュカラム(アセトニトリルおよび水で溶離)により精製すると、1.64gの[(1S)-1-[(2S,4R,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル]プロピル] アセテート(化合物1)が白色粉末として得られた。
【0112】
化合物1:1H NMR (400 MHz, メタノール-d4)δppm: 8.19 (s, 1 H), 6.02- 6.05 (m, 1 H), 4.94- 5.00 (m, 2 H), 4.33- 4.40 (m, 1 H), 2.58- 2.68 (m, 1 H), 2.03 (s, 3 H), 1.86- 1.96 (m, 1 H), 1.56 - 1.77 (m, 2 H), 0.93 (t, J = 7.40 Hz, 3 H). MS観
察値(ESI-) [(M+H)+]: 355.0。
【0113】
実施例2
3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸
【0114】
【化16】
【0115】
化合物2は、以下のスキームにより調製された:
【0116】
【化17】
【0117】
エチル (4R)-6-(ブロモメチル)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A、0.073g、0.16mmol)および3-[(8aS)-3-オキソ-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸(化合物2B、粗製、0.25mmol)の1,2-ジクロロエタン(5mL)中における攪拌溶液に、DIPEA(0.078mL、0.45mmol)を滴加した。反応混合物を、化合物2Aの消失まで室温で攪拌した。次いで、混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、飽和NHCl水溶液およびブラインで連続して洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、粗生成物を分取HPLCにより精製すると、3-[(8aS)-7-[[(4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-5-エトキシカルボニル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸(化合物2)が淡黄色固体(12mg)として得られた。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) ppm 7.92 - 8.02 (m, 1H), 7.70 - 7.80 (m, 1H), 7.21 - 7.36 (m, 2H), 7.10 - 7.21 (m, 1H), 6.19 - 6.28 (m, 1H), 3.99 - 4.14 (m, 3H), 3.81 - 3.96 (m, 3H), 3.47 - 3.56 (m, 1H), 3.38 - 3.44 (m, 1H), 3.27 - 3.32 (m, 1H), 3.15 - 3.25 (m, 1H), 3.07 - 3.14 (m, 1H), 2.79 - 2.96 (m, 2H), 2.30 - 2.41 (m, 1H), 2.13 - 2.23 (m, 1H), 1.20 (d, J = 2.76 Hz, 6H), 1.13 (m, 3H). MS: 計算値619 (M+H)+, 測定値619 (M+H)+
【0118】
エチル (4R)-6-(ブロモメチル)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A)の調製:
【0119】
【化18】
【0120】
チアゾール-2-カルボキサミジン塩酸塩(化合物2A-1)の調製:
チアゾール-2-カルボニトリル(1.5g、14mmol)の5mLの乾燥MeOH中における攪拌溶液に、ナトリウムメトキシド(0.74g、14mmol)の10mLの乾燥メタノール中における溶液を滴加した。反応混合物を、出発物質の消失まで室温で攪拌した。次いで、塩化アンモニウム(1.5g、28mmol)を一度に添加し、反応混合物を一夜攪拌した。未溶解の物質を濾過により除去し、濾液を濃縮すると、チアゾール-2-カルボキサミジン塩酸塩(化合物2A-1、2.1g)が灰色固体として得られ、それをそれ以上精製せずに次の工程において直接用いた。MS: 計算値128 (M+H)+, 測定値128 (M+H)+
【0121】
エチル 4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A-2)の調製:
チアゾール-2-カルボキサミジン塩酸塩(1.3g、10mmol)、アセト酢酸エチル(1.3g、10mmol)および2-クロロ-3-フルオロベンズアルデヒド(1.6g、10mmol)のトリフルオロエタノール(30mL)中における攪拌溶液に、酢酸カリウム(2.0g、20mmol)を添加した。反応混合物を16時間還流させた。それが室温まで冷却された後、反応混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチル中で溶解させ、次いでブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル:1/4~1/2)により精製すると、エチル 4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A-2、2.8g)が黄色固体として得られた。MS: 計算値(M+H)+ 380, 測定値(M+H)+ 380。
【0122】
エチル (4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A-2a)の調製:
SFC(SFC-Multigram;IC:5×250mm、5μ)上で85%超臨界CO/15% EtOHの混合溶媒を100mL/分の速度で用いて溶離するラセミ化合物2A-2のキラル分離は、エチル (4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A-2a、より速い溶離)およびエチル (4S)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A-2b、より遅い溶離)の2種類のエナンチオマーを与えた。所望の(-)-エナンチオマー化合物2A-2aの絶対配置([α]D 20-46.6 (c 0.28、MeOH))は、X線回折研究により決定された(図2)。
【0123】
エチル (4R)-6-(ブロモメチル)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A)の調製:
エチル (4R)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-6-メチル-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A-2a、0.37g、1.0mmol)のCCl(5mL)中における攪拌溶液に、NBS(0.20g、1.1mmol)を一部ずつ添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、溶媒を真空中で除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、エチル (4R)-6-(ブロモメチル)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A、0.35g)が黄色固体として得られた。MS: 計算値459 (M+H)+、測定値459 (M+H)+
【0124】
3-[(8aS)-3-オキソ-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸(化合物2B)の調製:
【0125】
【化19】
【0126】
O1-ベンジル O4-tert-ブチル (2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-1)の調製:
tert-ブチル (3S)-3-(ヒドロキシメチル)ピペラジン-1-カルボキシレート(CAS番号:314741-40-7、Bepharm;その合成に関しては以下を参照:Gao H., Renslo A. R. J. Org. Chem. 2007, 72, 8591-8592)(6g、27.8mmol)の飽和NaHCO(45mL)およびEtOAc(45mL)中における攪拌溶液に、クロロギ酸ベンジル(7.1g、41.7mmol)を0℃で滴加した。次いで、反応混合物を室温で15時間攪拌した。反応混合物をEtOAc(60mL)で希釈した。有機層を分離し、水層をEtOAc(35mL)で抽出した。有機層を合わせてNaSOで乾燥させた。溶媒を真空中で除去すると、粗生成物が得られ、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=10:1~1:1)により精製すると、O1-ベンジル O4-tert-ブチル (2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-1、6.7g)が得られた。MS:計算値351 (M+H)+, 測定値351 (M+H)+
【0127】
O1-ベンジル O4-tert-ブチル (2S)-2-ホルミルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-2)の調製:
無水ジクロロメタン(80mL)中の塩化オキサリル(3.64g、28.6mmol)の-78℃における攪拌溶液に、ジメチルスルホキシド(4.47g、57.3mmol)を滴加した。10分後、O1-ベンジル O4-tert-ブチル (2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-1、6.7g、19.1mmol)のジクロロメタン(20mL)中における溶液を滴加した。混合物を-78℃で30分間攪拌した後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(14.78g、114.6mmol)を添加し、反応混合物を30分間攪拌した。反応混合物を30分間かけてゆっくりと0℃まで温めた後、それをジクロロメタン(80mL)で希釈し、5%水性クエン酸(10mL)、ブラインで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させた。濾過後、混合物を真空中で濃縮すると、粗生成物であるO1-ベンジル O4-tert-ブチル (2S)-2-ホルミルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-2、7.0g)が得られた。MS: 計算値349 (M+H)+, 測定値349 (M+H)+
【0128】
O1-ベンジル O4-tert-ブチル (2R)-2-[[(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)アミノ]メチル]ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-3)の調製:
エチル 3-アミノ-2,2-ジメチル-プロパノエート 塩酸塩(3.4g、18.6mmol)の無水DCM(100mL)中における攪拌溶液に、DIPEA(2.6g、27.3mmol)を室温で添加した。次いで、0℃でO1-ベンジル O4-tert-ブチル (2S)-2-ホルミルピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-2、粗製、7.0g、20mmol)を添加し、続いてNaBH(OAc)(6.3g、29.8mmol)およびAcOH(1.5mL)を添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌した。水(100mL)を添加し、混合物をDCM(100mL)で抽出した。有機層を乾燥させ、真空中で濃縮すると、O1-ベンジル O4-tert-ブチル (2R)-2-[[(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)アミノ]メチル]ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-3、7.3g)の粗生成物が得られた。MS: 計算値478 (M+H)+, 測定値478 (M+H)+
【0129】
tert-ブチル (3R)-3-[[(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)アミノ]メチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物2B-4)の調製:
O1-ベンジル O4-tert-ブチル (2R)-2-[[(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)アミノ]メチル]ピペラジン-1,4-ジカルボキシレート(化合物2B-3、粗製、3.3g、6.9mmol)のEtOH(100mL)中における溶液に、炭素上10%パラジウム(1g)を添加した。次いで、混合物を50℃で水素雰囲気下(50Psi)において3時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮すると、tert-ブチル (3R)-3-[[(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)アミノ]メチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物2B-4、1.8g)が得られた。MS: 計算値344 (M+H)+, 測定値344 (M+H)+
【0130】
tert-ブチル (8aR)-2-(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-7-カルボキシレート(化合物2B-5)の調製:
tert-ブチル (3R)-3-[[(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)アミノ]メチル]ピペラジン-1-カルボキシレート(化合物2B-4、1.8g、5.2mmol)の無水ジクロロメタン(60mL)中における溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.4g、26.2mmol)を0℃で添加した。次いで、トリホスゲン(783mg、2.6mmol)を0℃で添加し、混合物を10~15℃で16時間攪拌した。水(50mL)を添加し、混合物をジクロロメタン(60mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を真空中で除去すると、粗生成物が得られた。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=5:1~1:1)により精製すると、tert-ブチル (8aR)-2-(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-7-カルボキシレート(化合物2B-5、1.3g)が得られた。MS: 計算値370 (M+H)+, 測定値370 (M+H)+
【0131】
3-[(8aS)-3-オキソ-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸(化合物2B)の調製:
tert-ブチル (8aR)-2-(3-エトキシ-2,2-ジメチル-3-オキソ-プロピル)-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-7-カルボキシレート(化合物2B-5、94mg、0.25mmol
)のTHF(3mL)中における攪拌溶液に、LiOH・HO(84mg、2.0mmol)のHO(1mL)中における溶液を室温で添加した。反応混合物を室温で一夜攪拌した後、それを0℃において1N HClでPH3~4まで酸性化した。次いで、混合物を真空中で濃縮し、トルエンとの共沸により乾燥させると、粗製の酸が得られ、それをジクロロメタン(2mL)中で溶解させ、室温でトリフルオロ酢酸(2mL)で処理した。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、溶媒を真空中で除去すると、3-[(8aS)-3-オキソ-1,5,6,7,8,8a-ヘキサヒドロイミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸(化合物2B)が得られ、それを直接用いた。MS: 計算値242 (M+H)+, 測定値242 (M+H)+
【0132】
実施例3
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート(化合物3)
【0133】
【化20】
【0134】
化合物3は、以下のスキームにより調製された:
【0135】
【化21】
【0136】
5-ヒドロキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボン酸の調製
【0137】
【化22】
【0138】
1,4-ジチアン-2,5-ジオール(化合物3A、150g、0.98mol)のメチル tert-ブチル エーテル(500mL)およびシクロヘキサン(150mL)中における攪拌溶液に、グリオキシル酸(180g、1.96mol)を添加した。得られた反応混合物を、ディーン・スターク条件下で80℃において16時間攪拌した。得られた溶液を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:7酢酸エチル~100%酢酸エチルで溶離)により精製すると、220gの粗製の5-ヒドロキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボン酸(化合物3B)が得られ、それをそれ以上精製せずに次の工程において直接用いた。
【0139】
トランス-5-アセトキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボン酸の調製
【0140】
【化23】
【0141】
5-ヒドロキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボン酸(化合物3B、220g、1.5mol)のHOAc(1.5L)中における溶液に、濃硫酸(1mL)および無水酢酸(50g、0.5mol)を添加した。室温で16時間攪拌した後、得られた反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相を合わせて真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中1:10~1:7酢酸エチルで溶離)により精製すると、粗製の生成物が得られ、それをトルエンから再結晶させると、10gのトランス-5-アセトキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボン酸(化合物3Cトランス)が得られた。(合成に関して、J. Org. Chem. 1995, 60, 2621-2623も参照)。
【0142】
化合物3Cトランス:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)δppm:13.26 (br, 1 H), 6.66 (d, J = 4.0 Hz, 1 H), 5.66 (s, 1 H), 3.30 - 3.37 (m, 1 H), 3.19 - 3.25 (m, 1 H), 2.04 (s, 3 H)。
【0143】
[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル] (2S,5S)-5-アセトキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボキシレートの調製
【0144】
【化24】
【0145】
ジシクロヘキシルカルボジイミド(12g、57mmol)のDCM(50mL)中における溶液を、トランス-5-アセトキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボン酸(化合物3Cトランス、10g、52mmol)、L-(-)-メントール(8.9g、57mmol)およびDMAP(0.6g、5.2mmol)のDCM(100mL)中における溶液を含有する丸底フラスコに0℃で添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌した後、メタノール(2mL)および氷酢酸(2mL)を添加した。反応混合物をさらに10分間攪拌し、次いでヘキサン(250mL)で希釈し、celiteを通して濾過し、濾液を濃縮すると、粗生成物が得られた(J. Org. Chem. 1995, 60, 2621-2623)。粗生成物をヘキサン(250mL)中で再度溶解させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残留物を超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)により精製すると、85%のジアステレオ異性体過剰率を有する3.2gの[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル] (2S,5S)-5-アセトキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボキシレート(化合物3D)が無色の油として得られた。化合物3Dのジアステレオ異性体過剰率の値は、キラルカラム(CHIRALPAK IA-3 ODH(4.6mm×250mm、5μm))を用いるHPLC(Agilent 1260 HPLC)分析により得られた。キラル分析の移動相は、MeOH中20:80アセトニトリルであった。
【0146】
化合物3D:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 6.81 (d, J = 4.0 Hz, 1 H), 5.63 (s, 1 H), 4.76 (dt, J = 10.9, 4.5 Hz, 1 H), 3.44 (dd, J = 11.7, 4.1 Hz, 1 H), 3.17 (d, J = 11.8 Hz, 1 H), 2.11 (s, 3 H), 2.00 (d, J = 12.0 Hz, 1 H), 1.85 (dt, J = 6.9, 2.5 Hz, 1 H), 1.69 (d, J = 11.0 Hz, 2 H), 1.55 - 1.26 (m, 3 H), 1.11 - 1.00 (m, 2 H), 0.91 (dd, J = 6.8, 9.8 Hz, 6 H), 0.76 (d, J = 7.0 Hz, 3 H)。
【0147】
[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル] (2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-カルボキシレートの調製
【0148】
【化25】
【0149】
5-アミノ-3H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン(6.0g、36mmol)およびBSA(24.0g、118mmol)のDCE(250mL)中における懸濁液を、85℃で1時間加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、上記の混合物に、[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル] (2S,5S)-5-アセトキシ-1,3-オキサチオラン-2-カルボキシレート(化合物3D、9.0g、27mmol)のDCE(10mL)中における溶液、続いてTMSI(14g、70mmol)を滴加した。反応混合物を60℃で5時間攪拌し、NaHCO水溶液により停止し、次いでEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が油として得られ、それをシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中1:100~1:50メタノールで溶離)により精製すると、7.7gの2種類の異性体の混合物が得られ、それを分取HPLCによりさらに精製および分離すると、所望の2.8gのベータ異性体[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル] (2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-カルボキシレート(化合物3E)が白色固体として得られた。化合物3Eの立体配置が、NOESYにより決定された。
【0150】
化合物3E:1H NMR (400 MHz, CDCl3)δppm: 8.17 (s, 1 H), 6.44 (m, 1 H), 5.51 (s, 1 H), 5.12 (bs, 2 H), 4.78 (m, 1 H), 4.47 (m, 1 H), 3.16 (m, 1 H), 2.00 (m, 1 H), 1.79 (m, 1 H), 1.62 (m, 2 H), 1.38 (m, 2 H), 0.98 (m, 2 H), 0.9 - 0.72 (m, 10 H). MS 観察値(ESI+) [(M+H)+]: 439。
【0151】
(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-N-メトキシ-N-メチル-1,3-オキサチオラン-2-カルボキサミドの調製
【0152】
【化26】
【0153】
[(1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチル-シクロヘキシル] (2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-カルボキシレート(化合物3E、3.0g、7.5mmol)の80%水性TFA(20mL)中における溶液を、50℃で16時間攪拌し、次いで濃縮すると、粗製の酸が白色固体として得られ、それをTHF(40mL)中で再度溶解させた。上記の混合物に、N-メトキシメチルアミン塩酸塩(2.1g、22mmol)、DIPEA(14.5g、112mmol)およびHATU(8.36g、22mol)を室温で添加した。室温で16時間攪拌した後、反応混合物をDCMで希釈し、水およびブラインにより洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮すると、粗製の生成物が得られ、それをシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中1:100~1:50メタノールで溶離)により精製すると、2.1gの(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-N-メトキシ-N-メチル-1,3-オキサチオラン-2-カルボキサミド(化合物3F)が白色固体として得られた。
【0154】
化合物3F:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm: 8.16 (s, 1 H), 6.42 (m, 1 H), 5.83
(s, 1 H), 5.14 (bs, 2 H), 4.46 (t, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.72 (s, 3 H), 3.23 (s, 3 H), 3.15 (m ,1 H). MS観察値(ESI+) [(M+H)+]: 344。
【0155】
(2S,5R)-N-メトキシ-5-[5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル]-N-メチル-1,3-オキサチオラン-2-カルボキサミドの調製
【0156】
【化27】
【0157】
(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-N-メトキシ-N-メチル-1,3-オキサチオラン-2-カルボキサミド(化合物3F、2.1g、6.1mmol)のDCM(30mL)中における溶液に、コリジン(1.45g、12mmol)、AgNO(2.04g、12mmol)およびMMTrCl(3.8g、12mmol)を室温で添加した。室温で16時間攪拌した後、反応混合物をDCMで希釈し、濾過して固体を除去した。濾液を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が得られ、それをシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル中1:100~2:1酢酸エチルで溶離)により精製すると、3.6gの(2S,5R)-N-メトキシ-5-[5-[[
(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル]-N-メチル-1,3-オキサチオラン-2-カルボキサミド(化合物3G)が黄色固体として得られた。(ESI+) [(M+H)+]: 616。
【0158】
3-[(2S,5R)-2-[シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]-1,3-オキサチオラン-5-イル]-5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンの調製
【0159】
【化28】
【0160】
(2S,5R)-N-メトキシ-5-[5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル]-N-メチル-1,3-オキサチオラン-2-カルボキサミド(化合物3G、3g、5mmol)のTHF(40mL)中における溶液に、0℃でグリニャール試薬であるシクロプロピルマグネシウムブロミド(0.5M、25mL)を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。反応を飽和NHCl溶液で停止し、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮すると粗生成物が得られ、それをMeOH(50mL)中で再度溶解させた。上記の混合物に、NaBH(2.0g、540mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌した。反応を飽和NHCl溶液で停止し、DCMで抽出した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濃縮すると、粗生成物が得られ、それをシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル中1:100~1:1酢酸エチルで溶離)により精製すると、1.8gの3-[(2S,5R)-2-[シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]-1,3-オキサチオラン-5-イル]-5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン(化合物3H)が黄色固体として得られた。(ESI+) [(M+H)+]: 599。
【0161】
[シクロプロピル-[(2S,5R)-5-[5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル]-1,3-オキサチオラン-2-イル]メチル] アセテートの調製
【0162】
【化29】
【0163】
3-[(2S,5R)-2-[シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]-1,3-オキサチオラン-5-イル]-5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン(化合物3H、1.2g、2mmol)のDCM(10mL)中における溶液に、TEA(800mg、8mmol)、DM
AP(30mg、0.2mmol)およびAcO(400mg、4mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で48時間攪拌した。反応が完了した後、反応を水により停止し、DCMで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮すると、1.3gの粗生成物[シクロプロピル-[(2S,5R)-5-[5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル]-1,3-オキサチオラン-2-イル]メチル] アセテート(化合物3I)が白色固体として得られ、それをそれ以上精製せずに次の工程において直接用いた。(ESI+) [(M+H)+]: 641。
【0164】
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテートの調製
【0165】
【化30】
【0166】
[シクロプロピル-[(2S,5R)-5-[5-[[(4-メトキシフェニル)-ジフェニル-メチル]アミノ]-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル]-1,3-オキサチオラン-2-イル]メチル] アセテート(化合物3I、1.3g、2mmol)の90% HCOOH水溶液(25mL)中における溶液を、室温で1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を分取HPLCによりさらに精製および分離すると、114mgの[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート(化合物3)が白色固体として得られた。
【0167】
化合物3:1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ ppm: 8.20 (s, 1 H), 6.34 (m, 1 H), 5.34 (d, J = 6.4 Hz, 1 H), 4.54 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 4.18 (t, J = 8.4 Hz, 1 H), 3.31 (t, J = 6.0 Hz, 1 H), 2.02 (s, 3 H), 1.13 (m ,1 H), 0.65 - 0.42 (m, 4 H). MS観測値(ESI+) [(M+Na)+]: 391。
【0168】
5-アミノ-3-[(2S,5R)-2-[(S)-シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]-1,3-オキサチオラン-5-イル]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オンの調製
【0169】
【化31】
【0170】
[(S)-[(2S,5R)-5-(5-アミノ-2-オキソ-チアゾロ[4,5-d
]ピリミジン-3-イル)-1,3-オキサチオラン-2-イル]-シクロプロピル-メチル] アセテート(化合物3、500mg、1.36mmol)のメタノール(5mL)中における溶液に、KCO(94mg、0.68mmol)を添加した。室温で4時間攪拌した後、反応をHOAcでpH7にして停止し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAcで希釈し、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製および分離すると、45mgの5-アミノ-3-[(2S,5R)-2-[(S)-シクロプロピル(ヒドロキシ)メチル]-1,3-オキサチオラン-5-イル]チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2-オン(化合物3J)が白色粉末として得られた。
【0171】
化合物3J:絶対構造を、図3において示されているようにH NMRおよび単結晶X線構造解析により決定した。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ ppm: 8.25 (s, 1 H), 6.39 (dd, J = 9.16, 5.65 Hz, 1 H), 5.24 (d, J = 5.27 Hz, 1 H), 4.06 (dd, J = 10.29, 9.29 Hz, 1 H), 3.13 - 3.30 (m, 2 H), 0.37 - 1.04 (m, 5 H). MS観察値(ESI+)
[(M+H)+]: 327.0。
【0172】
実施例4
3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸(化合物4)
【0173】
【化32】
【0174】
3-[(8aS)-7-[[(4S)-5-エトキシカルボニル-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-6-イル]メチル]-3-オキソ-5,6,8,8a-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[1,5-a]ピラジン-2-イル]-2,2-ジメチル-プロパン酸(化合物4)
【0175】
【化33】
【0176】
化合物4は、以下のスキームにより調製された:
【0177】
【化34】
【0178】
表題化合物は、化合物2に類似して、エチル (4S)-6-(ブロモメチル)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物4A)をエチル (4R)-6-(ブロモメチル)-4-(2-クロロ-3-フルオロ-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物2A)の代わりに用いることにより調製された。化合物4が、淡黄色固体として得られた(132mg)。1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ ppm 7.95 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 7.08-7.23 (m, 2H), 6.95 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 5.99 (s, 1H), 4.02-4.17 (m, 3H), 3.79-4.00 (m, 3H), 3.36-3.57 (m, 2H), 3.26-3.33 (m, 1H), 3.17-3.25 (m, 1H), 3.11 (dd, J = 9.3, 4.0 Hz, 1H), 2.78-2.99 (m, 2H), 2.53 (d, J = 2.0 Hz, 3H), 2.39 (dd, J = 11.2, 8.2 Hz, 1H), 2.14-2.26 (m, 1H), 1.21 (d, J = 2.8 Hz, 6H), 1.15 ppm (t, J = 7.2 Hz, 3H). MS: 計算値599 (M+H)+, 測定値599 (M+H)+
【0179】
エチル (4S)-6-(ブロモメチル)-4-(3-フルオロ-2-メチル-フェニル)-2-チアゾール-2-イル-1,4-ジヒドロピリミジン-5-カルボキシレート(化合物4A)の調製:
化合物4Aは、化合物2Aに類似して、2-メチル-3-フルオロベンズアルデヒドを
2-クロロ-3-フルオロベンズアルデヒドの代わりに用いることにより調製された。化合物4Aの旋光度:[α]D 20 -21.0 (c 0.10, MeOH)。
【0180】
実施例5
5-アミノ-3-[(2R,3R,5S)-3-ヒドロキシ-5-[(1S)-1-ヒドロキシプロピル]テトラヒドロフラン-2-イル]-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン(化合物11)
【0181】
【化35】
【0182】
化合物11は、以下のスキームに従って調製された:
【0183】
【化36】
【0184】
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテートの調製
【0185】
【化37】
【0186】
5-アミノ-3,6-ジヒドロチアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン(5.37g、29.1mmol)および[(3R,5S)-2-アセトキシ-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート(化合物1H、2.8g、9.7mmol)のアセトニトリル(140mL)中における懸濁液に、BSA(21.4mL、87.3mmol)を添加した。反応混合物を65℃でアルゴン下において1.5時間攪拌すると、透明な溶液が形成された。次いで、その溶液にTMSOTf(9.8g、43.7mmol)を添加し、混合物を65℃でさらに3時間攪拌した。反応を真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)中で溶解させ、飽和NaHCO溶液(50mL)で抽出した。沈殿は、有機層からのものであった。得られた混合物を濾過し、濾液をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮すると、2.3gの粗生成物[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート(化合物11A)が黄色固体として得られた。(ESI-) [(M+H)+]: 413.1。
【0187】
5-アミノ-3-[(2R,3R,5S)-3-ヒドロキシ-5-[(1S)-1-ヒドロキシプロピル]テトラヒドロフラン-2-イル]-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオンの調製
【0188】
【化38】
【0189】
[(2R,3R,5S)-5-[(1S)-1-アセトキシプロピル]-2-(5-アミノ-2,7-ジオキソ-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-3-イル)テトラヒドロフラン-3-イル] アセテート(化合物11A、2.3g、5.58mmol)のメタノール(100mL)中における溶液に、ナトリウムメトキシド(1.5g、27.9mmol)を添加した。添加後、混合物を室温で1.5時間攪拌した(TLCによりモニターした)。反応が完了した後、反応を飽和水性NHCl(50mL)で停止した。得られた混合物を真空中で濃縮してMeOHのほとんどを除去した。残留物をEtOAc(100mL)で10回抽出した。有機層を合わせてブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、DCM/MeOH=20/1~10/1で溶離するシリカゲルカラムにより精製すると、360mgの5-アミノ-3-[(2R,3R,5S)-3-ヒドロキシ-5-[(1S)-1-ヒドロキシプロピル]テトラヒドロフラン-2-イル]-6H-チアゾロ[4,5-d]ピリミジン-2,7-ジオン(化合物11)が白色固体として、および550mgの粗生成物が得られた。
【0190】
化合物11:1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.22 (br s, 1H), 6.95 (br s, 2H), 5.72 (d, J=2.26 Hz, 1H), 5.42 (d, J=4.52 Hz, 1H), 4.73 (m, 1H), 4.53 (d, J=6.02 Hz, 1H), 3.96 (m, 1H), 3.25-3.32 (m, 1H), 2.25-2.48 (m, 1H), 1.66-1.74 (m, 1H), 1.35-1.46 (m, 1H), 1.19-1.31 (m, 1H), 0.88 (t, J=7.28 Hz, 3H)。
【0191】
実施例6
HEK293-Blue-hTLR-7細胞アッセイ:
安定なHEK293-Blue-hTLR-7細胞株を、InvivoGenから購入した(カタログ番号:hkb-htlr7、米国カリフォルニア州サンディエゴ)。これらの細胞は、NF-κBの活性化をモニターすることによりヒトTLR7の刺激を研究するために設計された。SEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子が、5個のNF-κBおよびAP-1結合部位に融合したIFN-β最小プロモーターの
制御下に置かれた。SEAPは、HEK-Blue hTLR7細胞をTLR7リガンドで刺激することによりNF-κBおよびAP-1を活性化することにより誘導された。従って、レポーター発現は、20時間のヒトTLR7の刺激の際にNF-κBプロモーターにより制御された。細胞培養上清のSEAPレポーター活性が、QUANTI-Blue(商標)キット(カタログ番号:rep-qb1、Invivogen、米国カリフォルニア州サンディエゴ)(640nmの波長で使用)、アルカリホスファターゼの存在下で紫または青に変わる検出培地を用いて決定された。
【0192】
HEK293-Blue-hTLR7細胞を、96ウェルプレートにおいて、4.5g/Lグルコース、50U/mLペニシリン、50mg/mLストレプトマシイン、100mg/mL Normocin、2mM L-グルタミン、10%(v/v)熱非働化ウシ胎児血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で180μLの体積中250,000~450,000細胞/mLの密度で24時間培養した。次いで、HEK293-Blue-hTLR-7細胞を、1%の最終DMSOの存在下で系列希釈した20μLの試験化合物を添加して培養し、COインキュベーター中で37℃の下で20時間の培養を実施した。次いで、20μLのそれぞれのウェルからの上清を、180μLのQuanti-blue基質溶液と共に37℃で2時間インキュベートし、吸光度を分光光度計を用いて620~655nmで読み取った。TLR7の活性化が下流のNF-κBの活性化をもたらすシグナル伝達経路は、広く受け入れられており、従って、類似のレポーターアッセイが、TLR7作動薬を評価するためにも広く用いられた(Tsuneyasu Kaisho and Takashi Tanaka, Trends in Immunology, Volume 29, Issue 7, July 2008, Pages 329.sci; Hiroaki Hemmi et al, Nature Immunology 3, 196 - 200 (2002))。
【0193】
化合物11のHEK293-hTLR-7アッセイにおけるTLR7作動活性は、72μMであった。
実施例6
TLR7作動薬(化合物1)およびHBVカプシド集合阻害剤(化合物2)の組み合わせは、AAV-HBVマウスモデルにおいてHBV DNAおよびHBsAgを強力に低減した
動物モデル
4週齢のオスのC57BL/6マウス(特定病原体除去)を、中国科学院の上海実験動物センター(SLAC)から購入し、動物飼育施設において、施設の動物飼育ガイドラインに従って、制御された温度および光条件下で個々に換気されたケージ中に収容した。AAV/HBVウイルスを、北京FivePlus分子医学研究所(Beijing FivePlus Molecular Medicine Institute)(中国、北京)から購入した。この組み換えウイルスは、AAV血清型8(AAV8)カプシド中にパッケージングされた1.3コピーのHBVゲノムを有する。C57BL/6マウスに200μLの組み換えウイルス(生理食塩水中で希釈したもの)を尾静脈注射により注射した。マウスを注射後7日目および14日目に採血して血清中のHBV表面抗原(HBsAg)、HBVe抗原(HBeAg)、HBs抗体(HBsAb)およびHBVゲノムDNAをモニターし、次いでこれらのHBVバイオマーカーに従ってランダムにグループ分けした。
【0194】
HBVバイオマーカーの測定
血清HBsAgおよびHBeAgを、CLIAキット(Autobio Diagnostics Co.,Ltd、中国、鄭州)を製造業者の指示に従って用いて測定した。HBsAgおよびHBeAgに関する検出の下限は、それぞれ0.1ng/mLおよび0.25NCU/mL(国家臨床単位/mL)であった。100倍(HBsAgに関して)または500倍(HBeAgに関して)の血清希釈を、標準曲線の線形範囲内の値を得るために用いた。血清HBV DNAを、MagNA Pure 96 DNA and Viral NA Small Volume Kit(Roche)を製造業者の指示に従って用いて抽出した。DNA試料を、ヌクレオチド2969~3096からの128bpのHBVゲノム領域の特異的増幅および検出のためのHBV特異的プライマーおよびプローブセットを用いるリアルタイム定量PCR(qPCR)により分析した。プライマーおよびプローブの配列は、以下のように示される:
順方向プライマー:AAGAAAAACCCCGCCTGTAA;
逆方向プライマー:CCTGTTCTGACTACTGCCTCTCC;
HBV-プローブ:5’TARMA-CCTGATGTGATGTTCTCCATGTTCAGC-BHQ2-3’
血清中の抗HBを、処置の終了後24日目に抗HB CLIAキット(Autobio
Diagnostics Co.,Ltd、中国、鄭州)を製造業者の指示に従って用いて測定した。血清試料を3倍希釈し、50μLの希釈した試料をそのアッセイのために用いた。
【0195】
実験設計および結果
10mg/mLの化合物1および1.2mg/mLの化合物2を、水中2% Klucel LF、0.1%ポリソルベート80、および0.1%パラベン類を用いて包接錯体として配合した。全てのマウスに、合計6週間の間経口投与し、続いて2週間の無処置期間が置かれた。1つの単独処置対照試験において、群化合物1の5匹のマウスを、100mg/kgの化合物1で一日おきに(QOD)処置した。ビヒクル群を、同等の量の経口QDビヒクルプラセボ(水中2% Klucel LF、0.1%ポリソルベート80、および0.1%パラベン類)で処置した。併用療法試験において、群化合物2の5匹のマウスに、1日1回(QD)12mg/mLを経口投与した。群Comboには、100mg/kgの化合物1をQODで+12mg/mLの化合物2をQDで与えた。ビヒクル群を、同等の量の経口QDビヒクルプラセボ(水中2% Klucel LF、0.1%ポリソルベート80、および0.1%パラベン類)で処置した。
【0196】
HBV DNAおよびHBsAg両方の高レベル発現を有するマウスモデルを、C57BL/6マウスに複製可能なHBVゲノムを有する組み換えアデノ関連ウイルス(AAV)(AAV-HBV)を注射することにより生成した。注射後3週間の時点で、持続性のHBVウイルスマーカー、例えばHBVゲノムDNA、HBsAg、およびHBeAgが、感染したマウスの血清中で検出された。長期持続性のHBVウイルス血症および完全に応答性の(competent)免疫系により、AAV-HBVモデルは、化合物1(TLR7作動薬のプロドラッグ、変換後のその活性な形態は強力な先天免疫応答を誘導する)および化合物2(HBVカプシド集合を阻害する小分子)の個々の作用および組み合わせられた作用を調べるために用いられた。図1において示されているように、6週間の処置後、化合物1は、HBV DNAにおける2対数より大きい低減およびHBsAgにおける1対数より大きい低減を誘導した。化合物2単独は、HBV DNAを、3対数より大きく、そしてLLQ(定量化下限)未満のレベルまで低減し、HBsAgレベルを中程度に低減した。化合物1および化合物2の組み合わせは、結果としてHBV DNAおよびHBsAgの両方における2週間の無処置期間の終了時においてさえもLLQ未満のレベルまでの持続可能な低減をもたらした。その結果は、TLR7作動薬およびHBVカプシド集合阻害剤の併用処置を用いた新規の療法の相乗的抗ウイルス作用に関する証拠を提供している。
【0197】
実施例7
TLR7作動薬(化合物1および3)およびHBVカプシド集合阻害剤(化合物4および5)の組み合わせは、AAV-HBVマウスモデルにおいてHBV DNAおよびHBsAgを強力に低減した
別の独立した研究において、TLR7作動薬+カプシド阻害剤のより多くの組み合わせ
ならびに対応する単一の化合物での処置が、実施例5において記載されたものと同じAAV-HBVマウスモデルおよびHBVバイオマーカーの測定の方法を用いて試験された(表2において要約されている)。
【0198】
【表2】
【0199】
この研究において、8匹のマウスをそれぞれの群に編成し、動物にAAV-HBV感染後28日目に第1用量を与えた。試験した組み合わせは、化合物1+化合物4、化合物3+化合物4、および化合物1+化合物5を含んでいた。全ての化合物は、水中2% Klucel LF、0.1%ポリソルベート80、および0.1%パラベン類を用いて包接錯体として配合され、2% Klucel LF、0.1%ポリソルベート80、および0.1%パラベン類を含有する同等の量のプラセボが、ビヒクル群において用いられた。具体的には、化合物1+化合物4の組み合わせに関して、10mg/mLの化合物1および2mg/mLの化合物4が配合された。群化合物1は、100mg/kg QODで経口投与され、一方で群化合物4は、20mg/kg QDで経口投与された。対応するCombo群は、100mg/kgの化合物1をQODで+20mg/kgの化合物4をQDで与えられた。化合物3+化合物4の組み合わせに関して、3mg/mLの化合物3および2mg/mLの化合物4が配合された。群化合物3は、30mg/kg QODで経口投与され、一方で群化合物4は、20mg/kg QDで経口投与された。対応するCombo群は、30mg/kgの化合物3をQODで+20mg/kgの化合物4をQD
で与えられた。化合物1+化合物5の組み合わせに関して、10mg/mLの化合物1および1.2mg/mLの化合物5が配合された。群化合物1は、100mg/kg QODで経口投与され、一方で群化合物5は、12mg/kg QDで経口投与された。対応するCombo群は、100mg/kgの化合物1をQODで+12mg/kgの化合物5をQDで与えられた。第1用量の後、マウスは、血清収集のために試験の終了まで週2回顎下採血(75μLの血液/マウス)された。収集された血液は、凝固させるために37℃に少なくとも30分間置かれ、次いでマウス血清を得るために13,200×g、4℃で3分間遠心分離された。これらの血清試料は、HBVバイオマーカーの分析を受けた。
【0200】
図4において示されているように、化合物4の20mg/kgでの単独処置は、6週間の処置の終了時にHBV DNAを阻害し、HBsAgを2対数低減した。化合物1(TLR7作動薬)+化合物4(HBVカプシド阻害剤)の組み合わせは、特にHBsAgの制御において優秀な抗ウイルス作用を明確に実証した。併用療法を受けている全ての動物において、それらのHBsAgは、4週間の処置の内にLLQ付近または未満のレベルまで低下し、処置の終了時における3.5対数より大きいHBsAgの低減は、無処置期間の間少なくとも6週間持続することができた。無処置期間の間、8匹のマウスの内の6匹は、図7において示されているように、検出可能なレベルの抗HBsを発現していることが分かった。
【0201】
図5において示されているように、別のTLR7作動薬である化合物3も、HBV DNAおよびHBsAgの両方を低減した。化合物3+カプシド阻害剤である化合物4の組み合わせは、HBV DNAにおけるさらなる低減(>4対数)およびHBsAgにおけるさらなる低減(2.7対数)を示した。図7において示されているように、化合物3+化合物4を与えられている8匹のマウスの内の3匹は、6週間の無処置期間の間に検出可能なレベルの抗HBsを発現した。
【0202】
図6において示されているように、化合物5は、HBV DNAおよびHBsAgの両方を低減する別のカプシド阻害剤である。化合物5+TLR7作動薬である化合物1の組み合わせは、処置後4週間以内にさらにHBsAgをLLQ未満に抑制し、そのウイルス低減は、処置が6週間行われなかった(removed)後でさえも、試験全体を通して維持されていた。図7において示されているように、化合物1+化合物5を摂取している8匹のマウスの内の4匹は、6週間の無処置期間の間に検出可能なレベルの抗HBsを発現した。
【0203】
実施例8
TLR7作動薬(化合物1および8)およびHBVカプシド集合阻害剤(化合物4および10)の組み合わせは、AAV-HBVマウスモデルにおいてHBV DNAおよびHBsAgを強力に低減した。
【0204】
別の独立した研究において、TLR7作動薬+カプシド阻害剤のより多くの組み合わせならびに対応する単一の化合物での処置が、実施例5において記載されたものと同じAAV-HBVマウスモデルおよびHBVバイオマーカーの測定の方法を用いて試験された(表3において要約されている)。
【0205】
【表3】
【0206】
この特定の研究において、7匹のマウスをそれぞれの群に編成し、動物にAAV-HBV感染の少なくとも38日後に第1用量を与えた。試験された組み合わせは、化合物8+化合物4、化合物8+化合物10、および化合物1+化合物10を含んでいた。全ての化合物は、水中2% Klucel LF、0.1%ポリソルベート80、および0.1%パラベン類を用いて包接錯体として配合され、2% Klucel LF、0.1%ポリソルベート80、および0.1%パラベン類を含有する同等の量のプラセボが、ビヒクル群において用いられた。具体的には、化合物8+化合物4の組み合わせに関して、30mg/mLの化合物8および2mg/mLの化合物4が配合された。群化合物8は、300mg/kg QODで経口投与され、一方で群化合物4は、20mg/kg QDで経口投与された。次いで、対応するCombo群は、30mg/kgの化合物8をQODで+20mg/kgの化合物4をQDで与えられた。化合物8+化合物10の組み合わせに関して、30mg/mLの化合物8および2mg/mLの化合物10が配合された。群化合物8は、300mg/kg QODで経口投与され、一方で群化合物10は、20mg/kg QDで経口投与された。次いで、対応するCombo群は、300mg/kgの化合物8をQODで+20mg/kgの化合物10をQDで与えられた。化合物1+化合物10の組み合わせに関して、10mg/mLの化合物1および2mg/mLの化合物10が配合された。群化合物1は、100mg/kg QODで経口投与され、一方で群化合物10は、20mg/kg QDで経口投与された。次いで、対応するCombo群は、
100mg/kgの化合物1をQODで+20mg/kgの化合物10をQDで与えられた。第1用量の後、マウスは、血清収集のために試験の終了まで週2回顎下採血(75μLの血液/マウス)された。収集された血液は、凝固させるために37℃に少なくとも30分間置かれ、次いでマウス血清を得るために13,200×g、4℃で3分間遠心分離された。これらの血清試料は、HBVバイオマーカーの分析を受けた。
【0207】
図8における結果は、TLR7作動薬である化合物8単独が、処置の終了時にHBV DNAおよびHBsAgをそれぞれ約2対数および1.5対数低減させ、一方で化合物8+カプシド阻害剤である化合物4の組み合わせは、HBsAgをLLQ未満のレベルまでさらに低減させることを示した。6週間の無処置期間の間、併用群は、図11において示されているように、持続可能なHBsAg低減、最小限のHBV DNAのリバウンド、および高レベルの抗HBsを示し、それは、ビヒクルおよび単独処置群では見られなかった。併用処置のそのような利益は、図9、10および11において示されているように、化合物8+化合物10、および化合物1+化合物10の併用群においても一貫して観察された。
【0208】
要約すると、上記の結果は、TLR7作動薬+HBVカプシド阻害剤の組み合わせが、HBV DNAおよびHBsAgを大きく低減するかまたは排除さえするための有効な療法であることを初めて証明している。併用療法の後、ウイルス抑制が、処置なしで6週間もの長い間持続することが示されている。ほとんどの慢性HBV感染患者において、現行の利用可能な療法は、これらの療法のほとんどが抗HBs(HBsAgに対する抗体)を引き出すことができないという事実により、めったにHBsAgの血清転換を達成することができない。我々の組み合わせ研究において、抗HBsが6週間の無処置期間の間に検出可能になったことを見出したことは、印象的であり、これは、図7および11において示されているような併用療法を受けているマウスにおいて最も明白であった。従って、TLR7作動薬+HBVカプシド阻害剤の併用療法は、抗HBsの発現を促進する別の重要な利益を与える。持続的なHBsAgの消失および/または抗HBsの血清転換は、慢性B型肝炎に関する理想的な処置のエンドポイントであるため、我々の併用処置は、慢性HBV感染の臨床治療を達成するための新規の方法である。
図1
図2
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図4
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図11