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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】塞栓器具およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021094933
(22)【出願日】2021-06-07
(62)【分割の表示】P 2018530734の分割
【原出願日】2016-12-28
(65)【公開番号】P2021151509
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】62/272,907
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(73)【特許権者】
【識別番号】515084904
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン ホールディングス I,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】STRYKER EUROPEAN HOLDINGS I,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,スティーブン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0297240(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0116722(US,A1)
【文献】特表2010-521232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0120297(US,A1)
【文献】国際公開第2015/184075(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/144980(WO,A1)
【文献】特表2001-513389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓器具において、
長手方向軸と、第1の側面を具える第1の側部と、第2の側面を具える第2の側部とを有する細長い平らな部材であって、前記第1の側面と第2の側面が反対向きであるように前記第1の側部と第2の側部が互いに表裏である細長い平らな部材、を具え、
前記細長い平らな部材が、送達カテーテルを通って目標血管部位に配置するための細長い拘束された構成と、三次元の拘束されていない構成とを有し、前記細長い平らな部材が、プラチナ群金属またはプラチナ群金属の合金から構成され、
前記三次元の拘束されていない構成において、前記細長い平らな部材が複数の連続するループとなり、前記細長い平らな部材が複数の各ループの間で前記細長い平らな部材の長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられて、前記細長い平らな部材の方向および/または向きの変化に関わらず、前記第1の側面が各ループの外側を向いて、前記第2の側面が各ループの内側を向いて、複数の前記ループのうちの第1のループが第1の平面を規定し、前記第1のループに直接隣接するループが第2の平面を規定し、前記第1の平面と第2の平面とが65-95度の角度を形成することを特徴とする塞栓器具。
【請求項2】
請求項1に記載の塞栓器具において、前記プラチナ群金属が、プラチナ、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、金、銀、およびタンタルからなる一群から選択され、前記プラチナ群金属の合金が、(a)プラチナ、ロジウム、パラジウム、レニウム、タングステン、金、銀、およびタンタルの合金、および(b)金-プラチナ合金、からなる一群から選択されることを特徴とする塞栓器具。
【請求項3】
請求項1に記載の塞栓器具において、前記細長い平らな部材が、金-プラチナ合金の複数のフィラメントまたはワイヤから全体が形成された編組メッシュを具えることを特徴とする塞栓器具。
【請求項4】
請求項3に記載の塞栓器具において、前記編組メッシュのそれぞれの近位端および遠位端において、複数の前記フィラメントまたはワイヤが、互いに取り付けられ、またはそれぞれの固定要素に取り付けられていることを特徴とする塞栓器具。
【請求項5】
請求項4に記載の塞栓器具において、前記編組メッシュのそれぞれの近位端および遠位端において、複数の前記フィラメントまたはワイヤが、接着剤によって互いに取り付けられていることを特徴とする塞栓器具。
【請求項6】
請求項4に記載の塞栓器具が、さらに、前記編組メッシュの近位端および遠位端の少なくとも一方に連結されたそれぞれのコイルを具えることを特徴とする塞栓器具。
【請求項7】
請求項6に記載の塞栓器具において、それぞれの前記コイルが、形状記憶材料から構成され、前記編組メッシュが前記三次元の拘束されていない構成であるときに、複数の連続的なループとなることを特徴とする塞栓器具。
【請求項8】
請求項4に記載の塞栓器具において、前記固定要素が、キャップおよび非外傷性の先端部からなる一群から選択されることを特徴とする塞栓器具。
【請求項9】
請求項1に記載の塞栓器具において、前記細長い平らな部材を熱処理することで、前記三次元の拘束されていない構成が前記細長い平らな部材に付与されており、連続する隣接するループにおいて、前記細長い平らな部材が、マンドレルから外向きに延びるそれぞれのポストの周りに反対方向に巻かれており、複数の連続するループが形成されていることを特徴とする塞栓器具。
【請求項10】
請求項1に記載の塞栓器具において、複数の前記連続するループが、少なくとも5つの連続するループを含むことを特徴とする塞栓器具。
【請求項11】
動脈瘤を閉塞する塞栓器具において、当該塞栓器具が、
プラチナ群金属またはプラチナ群金属の合金から構成された1以上の編組のフィラメントまたはワイヤから形成された細長い平らな編組体を具え、
前記細長い平らな編組体が、長手方向軸と、第1の側面を具える第1の側部と、第2の側面を具える第2の側部とを有しており、前記第1の側面と第2の側面とが反対向きであるように前記第1の側部と第2の側部が互いに表裏であり、
前記細長い平らな編組体が、送達カテーテルを通って動脈瘤内に配置するための細長い拘束された構成と、前記送達カテーテルから出て動脈瘤内に配置されたあとの三次元の拘束されていない構成とを有し、
前記三次元の拘束されていない構成において、前記細長い平らな編組体が複数の連続すループとなり、前記細長い平らな編組体が複数の各ループの間で前記細長い平らな編組体の長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられて、前記細長い平らな編組体の方向および/または向きの変化に関わらず、前記第1の側面が各ループの外側を向いて動脈瘤の内壁の方に面し、前記第2の側面が各ループの内側を向いて、
各ループが平面を規定しており、複数の前記ループのうちの第1のループが第1の平面を規定し、前記第1のループに直接隣接するループが第2の平面を規定し、前記第1の平面と第2の平面とが65-95度の角度を形成することを特徴とする塞栓器具。
【請求項12】
請求項11に記載の塞栓器具において、前記1以上の編組のフィラメントまたはワイヤが、金-プラチナ合金から構成されていることを特徴とする塞栓器具。
【請求項13】
請求項11に記載の塞栓器具において、前記1以上の編組のフィラメントまたはワイヤが、複数のフィラメントまたはワイヤであって、前記細長い平らな編組体のそれぞれの近位端および遠位端において互いに取り付けられた複数のフィラメントまたはワイヤを具え、前記塞栓器具がさらに、前記細長い平らな編組体の近位端および遠位端の少なくとも一方に連結されたそれぞれのコイルを具えることを特徴とする塞栓器具。
【請求項14】
請求項13に記載の塞栓器具において、それぞれの前記コイルが、形状記憶材料から構成され、前記細長い平らな編組体が前記三次元の拘束されていない構成であるときに、複数の連続的なループとなることを特徴とする塞栓器具。
【請求項15】
塞栓器具において、
長手方向軸と、第1の側面を具える第1の側部と、第2の側面を具える第2の側部とを有する細長い平らな部材であって、前記第1の側面と第2の側面が反対向きであるように前記第1の側部と第2の側部が互いに表裏であり、全体が金-プラチナ合金から構成されている細長い平らな部材、を具え、
前記細長い平らな部材が、送達カテーテルを通って目標血管部位に配置するための細長い拘束された構成と、三次元の拘束されていない構成とを有し、
前記三次元の拘束されていない構成において、前記細長い平らな部材が複数の連続するループとなり、前記細長い平らな部材が複数の各ループの間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられて、前記細長い平らな部材の方向および/または向きの変化に関わらず、前記第1の側面が各ループの外側を向いて、前記第2の側面が各ループの内側を向いており、複数の前記ループのうちの第1のループが第1の平面を規定し、前記第1のループに直接隣接するループが第2の平面を規定し、前記第1の平面と第2の平面とが同一平面上になく角度がついており、前記三次元の拘束されていない構成の重心を外側から見たときに、前記第1のループが第1の方向に前記細長い平らな部材が巻かれて形成されており、前記隣接するループが前記第1の方向の反対方向に前記細長い平らな部材が巻かれて形成されていることを特徴とする塞栓器具。
【請求項16】
請求項15に記載の塞栓器具において、前記細長い平らな部材が、複数の編組の金-プラチナ合金のフィラメントまたはワイヤを具え、当該フィラメントまたはワイヤが、前記細長い平らな部材の近位端および遠位端のそれぞれにおいて、互いに取り付けられ、またはそれぞれの固定要素に取り付けられていることを特徴とする塞栓器具。
【請求項17】
請求項16に記載の塞栓器具が、さらに、前記細長い平らな部材の近位端および遠位端の少なくとも一方に連結されたそれぞれのコイルを具えることを特徴とする塞栓器具。
【請求項18】
請求項17に記載の塞栓器具において、それぞれの前記コイルが、形状記憶材料から構成され、前記細長い平らな部材が前記三次元の拘束されていない構成であるときに、複数の連続的なループとなることを特徴とする塞栓器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する発明は、塞栓器具に関する。より具体的には、本開示は塞栓器具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下において「塞栓器具」と総称されるコイル、管状メッシュ要素、およびその他の拡張可能な部材などの医療器具は、様々なタイプの血管障害、特に動脈瘤の治療によく利用される。動脈瘤は、病気により局所的に血管が血液で満たされて拡張し、局所的に血液の流れ/圧力が血管にかかり、および/または血管壁が弱化することである。動脈瘤は、通常、血管から延びたのう(sac)またはバルーン状の形態をとる。動脈瘤は破裂し、出血、脳卒中(例えば脳動脈瘤)、および他の損傷を与える結果を患者にもたらすことがある。動脈瘤の治療時に、塞栓器具は畳まれたまたは半径方向に圧縮された送達構成で送達システムに装填され、次いで、動脈瘤のうに導入される。いったん動脈瘤のう内に送達されると、塞栓器具は、拡張し、または拡張形態に拡張されて、動脈瘤を満たして閉塞する。塞栓器具は、様々なサイズと形状を有し得る。しかしながら、動脈瘤の治療用の塞栓器具は、動脈瘤のう内に配置されると、通常は球形の二次的な形態をとる。のう内に埋め込まれると、塞栓器具は動脈瘤を閉塞しつつ動脈瘤のうの内壁をさらに補強して、破裂の可能性を低減させ、または動脈瘤のさらなる破裂を防止することになる。
【0003】
塞栓器具は、一般に自己拡張型の材料から構成されており、器具が送達システムから患者の目標部位に配置されたときに、拘束されなくなった器具が補助を必要とせずに拡張するようになっている。自己拡張型塞栓器具は、送達カテーテルから解放されたときに膨張するように付勢されていてもよく、および/または所定の状況にさらされると器具が拡張できるようにする形状記憶要素を含むこともできる。いくつかの塞栓器具は、自己拡張型材料と非自己拡張型材料との両方の特徴を有するハイブリッド器具として特徴付けることができる。
【0004】
塞栓器具は、ポリマー(例えば、非生体浸食性および生体浸食性のプラスチック)および金属を含む様々な材料から作成することができる。生体浸食性ポリマーの塞栓器具は、金属の塞栓器具に比べて、その生分解性と一般に大きな可撓性を有するため、いくつかの適用例において望ましい。塞栓器具は、形状記憶性の金属(例えば形状記憶ニチノール)およびポリマー(例えばポリウレタン)など、形状記憶または超弾性の材料から作成することができる。このような形状記憶塞栓器具は、治療部位に送達したあとで、ある形状(例えば半径方向に拡張した形状)となるように、(例えば温度、電界もしくは磁場、または光によって)誘発することができる。超弾性ニチノールのような超弾性塞栓材料は、誘発刺激の必要なしに送達後の形状となる。他の器具材料は、ステンレス鋼、プラチナ、エルジロイ(Elgiloy)を含む。薬物送達塞栓器具においては、生物活性剤または治療薬(例えば血栓誘発剤)を器具が保持し、および/または器具にコーティングすることができる。
【0005】
一般的に使用される塞栓器具は、動脈瘤の壁に係合するような大きさの巻線を有する螺旋ワイヤコイルである。しかしながら、特に広範囲の動脈瘤に送達された場合に、塞栓コイルが動脈瘤のうの外に移動する可能性がある。
【0006】
例えば、米国特許第4994069号には、いくつかの例示的な塞栓コイルが記載されており、延伸されたときに線状の螺旋構成となり、弛緩したときに折り畳まれた回旋状の構成となる塞栓コイルが開示されている。延伸された構成は(送達カテーテルを通過することで)コイルを目標部位に配置する際に使用され、器具が目標部位に配置されるとコイルは回旋状の弛緩した構成となる。この069号特許は、「花」の形状、二重渦、およびランダムな回旋形状など、目標部位に配置されたときの塞栓コイルの様々な二次的形状を開示している。他の三次元塞栓コイルは、米国特許第5624461号(すなわち、三次元充填型塞栓コイル)、第5639277号(すわなち、ねじれた螺旋形状を有する塞栓コイル)、第5649949号(すわなち、変化する横断面の円錐形塞栓コイル)に記載されている。米国特許第5690666号および第5826587号などには、固有の二次的形状がほとんどないか全くない塞栓コイルも記載されている。
【0007】
球形の塞栓器具が米国特許第5645558号に記載されており、ここでは、動脈瘤内に配置されたときに重なりあうストランドを有したほぼ中空の球形または卵形を形成するように、1以上のストランドを巻くことができると記載されている。配置されたときに球形となる他の塞栓器具が米国特許第8998947号に記載されており、ここでは、動脈瘤内に配置されたときに重なりあう花弁状のセクションを有するほぼ球形を形成するような、花弁状のセクションを有する管状メッシュが開示されている。
【0008】
塞栓器具用の様々な送達アセンブリも知られている。例えば、米国特許第5250071号(すなわち、インターロッキング止め金(interlocking clasps))、第5312415号(すなわち、複数のコイルを送達する相互連結されたガイドワイヤ)、Guglielmiの第5354295号および第6425893号(すなわち電解分離)などがある。
【発明の概要】
【0009】
開示する発明の例示的実施例では、塞栓器具が、長手方向軸を有する細長い平らな部材から形成され、第1の側部が第1の側面を有し、第2の側部が第2の側面を有し、第1の側面と第2の側面が反対向きであるように、第1の側部と第2の側部は互いに逆である。細長い平らな部材は、送達カテーテルを通して目標の血管部位に配置させるための細長い拘束された構成と、三次元の拘束されていない構成を有しており、三次元の拘束されていない構成において細長い平らな部材は、複数の連続したループとなり、細長い平らな部材は、複数の各ループの間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられて、細長い平らな部材の方向および/または向きの変化に関わらず、第1の側面が各ループの外側に向いているとともに、第2の側面が、各ループの内側に向くようになっている。
【0010】
限定するものではないが、細長い平らな部材は、1以上の編組部材から形成された編組体であって、1以上の編組部材が金属のフィラメントまたはワイヤであるものとすることができる。例えば、細長い平らな部材は、平坦な管状の編組体、または単一層の平らなリボンの編組体とすることができる。
【0011】
例示的な実施例では、三次元の拘束されていない構成は、細長い平らな部材を熱処理することにより与えられ、その間に細長い平らな部材を、マンドレルから外向きに延びるそれぞれのポストの周りに交互の方向で巻くことにより、複数の連続するループを形成する。好ましい実施例において、複数の連続するループは、第1の平面を規定する第1のループと、第1の平面と同一平面上にない第2の平面を規定する第2のループと、第1および第2の平面のどちらとも同一平面上にない第3の平面を規定する第3のループとを、少なくとも有する。例示的な一実施例において、複数の連続するループは、少なくとも5つの連続するループを有する。
【0012】
より具体的な例示的実施例において、動脈瘤を閉塞するための塞栓器具が提供され、閉塞器具は、1以上の金属編組のフィラメントまたはワイヤから形成された細長い平らな編組体を具え、長手方向軸と、第1の側面を有する第1の側部と、第2の側面を有する第2の側部とを具え、第1の側面と第2の側面が反対向きであるように第1の側部と第2の側部は互いに逆である。細長い平らな編組体は、送達カテーテルを通して動脈瘤内に配置するための細長い拘束された構成と、送達カテーテルを出て動脈瘤内に配置された後の三次元の拘束されていない構成とを有しており、三次元の拘束されていない構成において、細長い平らな編組体は複数の連続したループとなり、細長い平らな編組体は複数の各ループの間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられて、細長い平らな編組体の方向および/または向きの変化に関わらず、第1の側面が動脈瘤の内壁に向かって各ループの外側に向いているとともに、第2の側面がそれぞれ各ループの内側に向くようになっている。
【0013】
一例として、細長い平らな編組体は、平坦な管状編組体または単一層の平らなリボン編組体とすることができ、三次元の拘束されていない構成が、細長い平らな編組体を熱処理することにより細長い平らな編組体に付与されて、その間に細長い平らな部材を、マンドレルから外向きに延びるそれぞれのポストの周りに交互の方向で巻くことにより、複数の連続するループを形成する。好ましくは、複数の連続するループが、少なくとも3つの連続するループを有し、第1の平面を規定する第1のループと、第1の平面と同一平面上にない第2の平面を規定する第2のループと、第1および第2の平面のどちらとも同一平面上にない第3の平面を規定する第3のループとを含む。一実施例では、複数の連続するループが少なくとも5つの連続するループを有する。
【0014】
他のさらなる実施例の態様と特徴は、添付図面を参照して以下の詳細な説明により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、開示された本発明の実施例により製造された塞栓器具の斜視図である。
図2図2A-Bは、開示した本発明の実施例による、目標部位における図1の塞栓器具の送達時の構成と配置された構成の断面図である。
図3図3A-Bは、開示した本発明の実施例による、図1の塞栓器具を製造するための細長い平らな部材の斜視図と断面図である。
図4図4A-Bは、開示した本発明の他の実施例による、図3Aの細長い平らな部材の断面図である。
図5図5A-Cは、開示した本発明の他の実施例による、細長い平らな部材の側面図である。
図6図6A-Cは、開示した本発明の実施例による、図5Bの実施例の端部の側面図である。
図7図7A-Bは、開示した本発明の他の実施例による、細長い平らな部材の斜視図である。
図8図8A-Bは、開示した本発明のさらに別の実施例による、細長い平らな部材の斜視図である。
図9図9は、開示した本発明の実施例による、図1の塞栓器具を製造するためのマンドレルにおける図3Aの細長い平らな部材の斜視図である。
図10図10は、開示した本発明の実施例による、図1の塞栓器具を製造するための他のマンドレルにおける図3Aの細長い平らな部材の斜視図である。
図11図11は、図9と10の実施例による、細長い平らな部材の部分的なねじれの斜視図である。
図12図12は、説明のための、細長い平らな部材のねじれの斜視図である。
図13図13は、開示した本発明の実施例による、図1の塞栓器具を製造する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に定義された用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所で他の定義がなされていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0017】
本明細書におけるすべての数値は、明示されているか否かに関わらず、「約」という用語が修飾している。「約」という用語は、通常、記載された数値と同等である(すなわち同じ機能や結果を有する)と当業者が考える数の範囲を言及している。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含む。
【0018】
終了点による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数字を含む(例えば、1-5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0019】
本明細書と添付の特許請求の範囲において使用されているように、単数形の「a」、「an」および「the」は、その内容に明確に指示がない限り、複数の指示対象も含む。本明細書と添付の特許請求の範囲において使用されているように、「または」という用語は、その内容に明確に指示がない限り、一般に「および/または」という意味を含んで用いられている。
【0020】
図面を参照して以下に様々な実施例を説明する。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、選択した要素の相対的な縮尺は明確性のために誇張してあり、同様の構造または機能の要素は、図面を通して同様の参照番号で表されている。図面は、実施例の説明を容易にすることのみを意図しており、本発明の網羅的な説明を意図するものでも、添付の特許請求の範囲にのみ規定された本発明の範囲およびその同等の範囲を限定するものでもないことを理解すべきである。加えて、例示した実施例は、示したすべての態様または利点を有する必要もない。特定の実施形態に関連して記載された態様や利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、例えそのような説明がなくても、他の実施形態においても実現することができる。
【0021】
図1は、開示する本発明の実施例による塞栓器具10を示す。塞栓器具10は、送達カテーテル80を通して目標の血管部位20(例えば動脈瘤のう)に配置するために、細長く拘束された構成(図2A)を有している。塞栓器具10は、さらに三次元の拘束されていない構成(図1および2B)を有しており、ここで器具10は複数の連続するループ12となる。例えば、器具10を送達カテーテル80の遠位の開口部82の外に前進させて、および/または送達カテーテル80を塞栓器具10に対して近位に後退させて、塞栓器具10(またはそのうちのいくつか)が目標の血管部位20(図2B)に入った後で、器具は三次元の拘束されていない構成となる。三次元の拘束されていない構成は、連続するループ12を有する細長い平らな部材100を製造する一連の工程を適用することで設定され、ここで細長い平らな部材100を複数の各ループの間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじり、細長い平らな部材100の方向および/または向きの変化に関わらず、第1の側面14が動脈瘤20の内壁22に向かって各ループ12の外側に面しているとともに、第2の側面16が各ループ12の内側11に面するようになっている(図1、2B)。複数の連続するループ12は、図1と2Bに示すように、第1の平面を規定する第1のループと、第1の平面と同一平面上にない第2の平面を規定する第2のループと、第1および第2の平面のどちらとも同一平面上にない第3の平面を規定する第3のループとを含むことができる。いくつかの実施例では、図2Bに示すように、複数の連続するループが少なくとも5つの連続するループ12を有する。
【0022】
塞栓器具10における三次元の拘束されていない構成を設定するために細長い平らな部材100に適用する一連の製造工程を、以下にさらに詳細に説明する。
【0023】
塞栓器具10を形成する細長い平らな部材100は、図3Aに示すように、近位部140と、中間部130と、遠位部120とを有する。近位部140が近位端142を有し、遠位部120が遠位端122を有する。細長い平らな部材100は、図3Aと3Bに示すように、長方形の断面を有するリボン状の形状を有する。代替的に、細長い平らな部材100は、他の適切な断面を有してもよく、例えば、卵形または楕円形(図4A)、丸い縁部を有する平坦なもの(図4B)、平坦な管状の断面(図7B)など、またはこれらの組合せである。細長い平らな部材100は、長手方向軸13と、第1の側面14を有する第1の側部4と、第2の側面16を有する第2の側部6とを具え、図3Aに示すように、第1の側面14と第2の側面16が反対向きであるように、第1の側部4と第2の側部6は互いに逆である。
【0024】
説明を容易にするために、図3A-Bに示す細長い平らな部材100は、リボン状の形状を有する材料の単一層40から構成されている。材料の単一層40は、多孔性および/または透過性であってもよく、例えば、複数の編組ワイヤ50または織り合わせたフィラメント50’(図5A)から形成された層40、メッシュ55(図5B)、および/または穿孔57(図5C)を有する材料の単一層40など、またはこれらの組合せによるものとすることができる。ワイヤ50および/またはフィラメント50’は、生体適合性の金属および/またはポリマー材料、合金またはこれらの組合せから構成される。例えば、1以上のワイヤ50は、それぞれがニチノールの外層を有するプラチナコアを有することができる。いくつかの実施例では、細長い平らな部材100は、単一層の平らなリボンの編組体を有する。細長い平らな部材100が編み込まれ、織り込まれ、またはメッシュである場合に、近位端142および/または遠位端122は、複数のワイヤ50を互いに取り付けたり連結させて固定され、または図6Aの遠位端122に示すように、各近位端142および/または遠位端122を接着剤やクランピングなどにより、他の要素(例えばキャップ、非外傷性の先端部など)に固定することができる。代替的に、図6Bの遠位端122に示すように、細長い平らな部材100の近位端142および/または遠位端122は、複数のワイヤ50を各近位端142および/または遠位端122において解放して自由にさせて、固定しないでもよい。さらに、図6Cの遠位端122に示すように、細長い平らな部材100の固定された近位端142および/または遠位端122を、コイル123に連結してもよい。コイル123は、形状記憶材料から構成することができ、塞栓器具10が三次元の拘束されていない構成のときに、塞栓器具10のループ12のようなループ状の形状とすることができる。コイル123を細長い平らな部材100の遠位端122に配置した場合に、動脈瘤20内に配置されたときに塞栓器具を導くようにコイル123を構成することができる。
【0025】
いくつかの実施例において、細長い平らな部材100は1以上の編組部材で形成された編組体を具え、1以上の編組部材は、金属のフィラメントまたはワイヤである。
【0026】
さらなる実施例において、材料の単一層40を、図3Aに示すように、非多孔性または不透過性の材料(例えば固体)の層とすることができる。細長い平らな部材100の単一層40は、1以上の材料、その組合せの合金を含むことができることを理解されたい。
【0027】
他の実施例において、細長い平らな部材100を複数の層42(例えば図7A)で構成することができ;層を多孔/浸透性のものや、非多孔質/不浸透性のものとして、および/または上述のような1以上の材料またはその組合せを含むものとすることができる。複数の層42から構成された細長い平らな部材100は、図3Aの平らなリボンの形状を有していてもよい。非限定的な例として、細長い平らな部材100は、図7Aに示すように管状部材150を含み、管状部材150は、図7Bに示すような平坦な管状編組体などの、図3Aに示す平らなリボンのような形状を形成する平坦化された編組体またはメッシュを含むことができる。管状部材150は、リボン状の形状に平坦にされる場合に、図7Bに示すような少なくとも2つの層42を含む。他の例示的な実施例では、細長い平らな部材100は、図8Aに示すような円筒形の部材160から構成され、図8Bに示すように、平らにされて図3Aの平らなリボン状の形状のように形成される。円筒形の部材160は、1以上の部材またはその組合せから構成することができる。図8A-Bの円筒形の要素160は、さらに、コア162と外層164とを含むことができる。非限定的な例として、コア162をプラチナから構成し、外層164をニチノールから構成することができる。
【0028】
細長い平らな部材100は、様々な技術を使用して、ワイヤから織り合わせられ、チューブから切断され、またはシートから切断されることが可能であり、これにはレーザ切断、チューブもしくはシートへのパターンのエッチング、または他の適切な技術が含まれる。塞栓器具10を製造するのに、細長い平らな部材100の他の適切な構成も考えられることを理解されたい。
【0029】
図3Aに戻ると、細長い平らな部材100は、約2-40センチメートルの範囲の長さLを有し、いくつかの実施例においてLは約5-25センチメートルの範囲である。細長い平らな部材100は、さらに約0.5-10ミリメートルの範囲の幅Wを有し、いくつかの実施例において、Wは約1-3ミリメートルの範囲である。さらに、細長い平らな部材100は、約0.05-0.75ミリメートルの範囲の厚さTを有し、いくつかの実施例においては、Tは約0.1-0.4ミリメートルの範囲である。いくつかの実施例において、細長い平らな部材100の1以上の寸法(L、WまたはT)は、要素100を通して一定に維持されており、近位部140から遠位部120まで同じ寸法を有するようになっている。他の実施例において、細長い平らな部材100の1以上の寸法(L、WまたはT)は変化して、細長い平らな部材100の長さにわたって異なる寸法を有する(例えば先細の構成である)。
【0030】
細長い平らな部材100は、任意の数の生体適合性や、圧縮性や、弾性の材料またはこれらの組合せから構成することができ、ポリマー材料、金属、およびステンレス鋼などの合金、タンタル、ニチノールとして知られている超弾性ニッケルチタン合金などのニッケルチタン合金を含むことができる。形状回復可能な特徴のためには特定の超弾性合金が望ましく、小さな寸法の細長い平らな部材100に使用された場合でさえ、変形することなく大きな撓みを許容することになる。さらに、塞栓器具10が、自己拡張性の材料から構成された細長い平らな部材100を有する場合、拘束されていない塞栓器具10は所定の展開構成に拡張するように付勢され、以下にさらに詳細に説明される。いくつかの超弾性合金は、ニッケル/チタン合金(48-58原子%のニッケルおよび選択的に含まれる適度の量の鉄);銅/亜鉛の合金(38-42重量%の亜鉛);1-10重量%のベリリウム、シリコン、スズ、アルミニウムまたはガリウムを含む銅/亜鉛の合金;またはニッケル/アルミニウムの合金(36-38原子%のアルミニウム)を含む。
【0031】
細長い平らな部材100は、放射線不透過性のマーカを有してもよいし、放射線不透過性の材料層でコーティングされてもよい。追加的に、生物活性剤または治療薬(例えば血栓誘発剤)を、細長い平らな部材100が保持し、および/または細長い平らな部材100の表面にコーティングすることができる。
【0032】
細長い平らな部材100用のさらなる適切な金属および合金には、プラチナ、ロジウム、パラジウム、レニウムなどのプラチナ群金属、ならびにタングステン、金、銀、タンタル、およびプラチナ/タングステン合金などのこれらの金属の合金などと、これらの組合せが含まれる。これらの金属は著しい放射線不透過性を有しており、柔軟性と剛性の適切な組合せを達成するために、これらの合金を調整することができる。
【0033】
図9は、細長い平らな部材100を有する図1の塞栓器具10を図示しており、開示した本発明の実施例によりマンドレル200を用いて製造されている。細長い平らな部材100がマンドレル200の上に配置されている。マンドレル200は、近位部240から遠位部220に延在しているハンドルポスト210を具える。マンドレル200の遠位部220は、延伸した複数のポスト230、232、233、234、236および238を具える。ハンドルポスト210と、横方向に延伸したポスト230、232、233、234、236および238は、丸い断面を有する円筒形または管状の形状を具える。代替的に、ハンドルポスト210と、横方向に延伸したポスト230、232、233、234、236および238は、例えば楕円形の断面を有するものなど、他の適切な形状を有することもできる。延伸したポスト230、232、233、234、236および238は、ハンドルポスト210の遠位部220から延びており、ハンドルポスト210の遠位部220の周囲に配置されている。各延伸ポスト230、232、233、234、236および238は、それぞれ中心点(例えば238’)を有しており、図9に示すように、各延伸ポストは、隣接するポストの中心点に対して適切な角度(例えば約65-95度)で配置されている。代替的な実施例では、マンドレル200は4つの延伸ポストを具えて、隣接するポストの中心点に対して約90度で配置されている(図示せず)。マンドレル200は、任意の数の延伸ポストと、延伸ポストの間の任意の角度(例えば、ポストは、互いに対称にまたは非対称に配置することができる)を有してもよく、または図10のマンドレル200’の例のように、塞栓器具10を製造する他の適切な構成とすることができることを理解されたい。図10のマンドレル200’は、平らなベース240と、ベース240から外向きに延在している複数の延伸ポスト250、251、252、253、254、255および256を有する。
【0034】
細長い平らな部材100を、特に第1の側面14または第2の側面16のいずれか一方をマンドレル200に対して配置することにより、細長い平らな部材100がマンドレル200の上に配置される。例えば、細長い平らな部材100の第1の側面14が、マンドレル200に設置され、配置され、または接している場合には、図示されていないが、第2の側面16は、塞栓器具10を製造している技術者に露出しており、見えている(すなわち、マンドレル200と接していない)。反対に、細長い平らな部材100の第2の側面16が、マンドレル200に設置され、配置され、または接している場合には、細長い平らな部材100の第1の側面14は、図9と10に示すように、塞栓器具10を製造している技術者に露出しており、見えている(すなわち、マンドレル200と接していない)。
【0035】
塞栓器具10の三次元の拘束されていない構成において、細長い平らな部材100は複数の連続するループ12となり、細長い平らな部材100は、複数の各ループの間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられており、細長い平らな部材100の方向および/または向きの変化に関わらず、第1の側面14が各ループ12の外側に面しているとともに、第2の側面16が各ループ12の内側に面するようになっている。細長い平らな部材100をマンドレルに配置して巻きつけて(例えば図9と10)、複数の連続するループ12を形成することにより、塞栓器具10の三次元の拘束されていない構成が設定され、細長い平らな部材100を、マンドレルの各ポストの間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじって、複数のループをそれぞれ形成することにより、図9と10に示すように、細長い平らな部材100の方向および/または向きの変化に関わらず、第1の側面14が各ポストおよび/またはループの外側を向くとともに、第2の側面16が、各ループの内側を向いて少なくとも部分的に各ポストに接するようになっている。
【0036】
開示する本発明の実施例において、各ループの間および/または各ポストの間での長手方向軸の周りにおける細長い平らな部材100の少なくとも部分的なねじれが、図11に描かれている。細長い平らな部材100の長手方向軸周りの部分的なねじれは、約120度であり、図1および2Bのように塞栓器具10が三次元の拘束されていない構成にあるときに、細長い平らな部材100の方向および/また向きの変化に関わらず、細長い平らな部材100の第1の側面14が各ループ12の外側を向くとともに、細長い平らな部材100の第2の側面16が、各ループの内側を向くようになっている。塞栓器具10の三次元の拘束されていない構成において、細長い平らな部材100の方向および/または向きの変化に関わらず、細長い平らな部材100の一方の側面(例えば第1の側面14)が各ループ12の外側を向くとともに、細長い平らな部材100の反対側の側面(例えば第2の側面16)が各ループ12の内側11を向いている限りにおいて、部分的なねじれは、細長い平らな部材100の長手方向軸の周りにおける適切な他の角度を含んでよいことを理解すべきである。
【0037】
さらに、連続するループ12の間の角度は、単位長さ当たりのねじれ角度の量を有するピッチとして表すことができる。ねじれピッチは、隣接するループ12の直径に関連して、ピッチが360°/πDの約1~2倍であることが好ましく、ここでDは隣接するループ12の平均カーブ直径である。ねじれピッチを、(360°/πDの)約0.25~約4倍で変動させてもよく、いくつかの実施例においては、ねじれピッチを(360°/πDの)約0.75~約2.5倍で変動させてもよい。一実施例では、塞栓器具10の三次元の拘束されていない構成を形成する細長い平らな部材100のねじれは、概して、ねじれ全体を通して細長い平らな部材100の一定の断面を有するように生じる。代替的に、ねじれ全体を通して細長い平らな部材100の断面が変化するようにねじれが生じてもよい。
【0038】
説明のために、図12は、各ループの間および/または各ポストの間において、長手方向軸のまわりにおける細長い平らな部材100の望ましくない部分的なねじれ(例えば60°)を示しており、このねじれにより、細長い平らな部材100の第1の側面14が交互のループにおいて外側と内側に向いており、細長い平らな部材100の第2の側面16が交互のループにおいて外側と内側に向いているため望ましくない。
【0039】
細長い平らな部材100をマンドレル200の上に配置し、重ねて、巻きつけて、および/またはねじる工程を、開示する本発明にしたがって、以下により詳細に説明する。細長い平らな部材100をマンドレル200の上に配置して塞栓器具10の三次元の構成を形成したあとで、塞栓器具10に熱処理を行い、細長い平らな部材100をマンドレルから外向きに延びるそれぞれのポストの周りに交互の方向で巻きつけることにより、複数の連続するループ12を形成する。上述のように細長い平らな部材100を熱処理することにより、塞栓器具10を、図1と2Bに示すような三次元の拘束されていない形状となるように付勢されるように、塞栓器具10に三次元の拘束されていない形状を付与する。マンドレル200は、塞栓器具10の熱処理を可能とする十分な耐熱性を有する材料から構成される。マンドレル200は、通常、アルミナやジルコニアなどの耐火性材料、または他の適切な耐熱性材料を含む。
【0040】
図13は、開示した本発明の実施例により、上述した細長い平らな部材100とマンドレル200とを用いて塞栓器具10を製造する方法300を示す。
【0041】
ステップ302において、細長い平らな部材100の近位端142または遠位端122のどちらかが、マンドレル200の上に最初に配置され、第1の側面14または第2の側面16のどちらかがマンドレル200と接するようになる。非限定的な例として、細長い平らな部材100の近位端142が、延伸ポスト230、232、233、234、236および238の近位に配置されたハンドルポスト210に配置され、図9に示すように第2の側面16の一部がマンドレル200と接するようになっている。
【0042】
ステップ304において、細長い平らな部材100を、その長手方向軸の周りで部分的にねじって、さらに第1の延伸ポストの周りに配置してループを形成し、第1の側面が外側(例えば、ポストから離れる側)を向いて、第2の側面が内側(例えば、ポストに向く側またはポストと部分的に接する側)を向くようにする。例えば、細長い平らな部材100は、図9に示すように、部分的にねじられて、時計回りに第1の延伸ポスト230の周りに巻きついて、第2の側面16の一部が延伸ポスト230と接するように延在している。
【0043】
ステップ306において、細長い平らな部材100を、その長手方向軸の周りで部分的にねじって、さらに第2の延伸ポストの周りに配置してループを形成し、第1の側面が外側(例えば、ポストから離れる側)を向いて、第2の側面が内側(例えば、ポストに向く側またはポストと部分的に接する側)を向くようにする。図9に示すように、細長い平らな部材100は、部分的にねじられて、反時計回りに第2の延伸ポスト232の周りに巻きついて、第2の側面16の一部が延伸ポスト232と接するように延在している。
【0044】
ステップ308において、細長い平らな部材100を、その長手方向軸の周りで部分的にねじって、さらに第3の延伸ポストの周りに配置しててループを形成し、第1の側面が外側(例えば、ポストから離れる側)を向いて、第2の側面が内側(例えば、ポストに向く側またはポストと部分的に接する側)を向くようにする。図9に示すように、細長い平らな部材100は、部分的にねじられて、時計回りに第3の延伸ポスト233の周りに巻きついて、第2の側面16の一部が第3の延伸ポスト233と接するように延在している。
【0045】
ステップ310において、細長い平らな部材100を、その長手方向軸の周りで部分的にねじって、さらに第4の延伸ポストの周りに配置してループを形成し、第1の側面が外側(例えば、ポストから離れる側)を向いて、第2の側面が内側(例えば、ポストに向く側またはポストと部分的に接する側)を向くようにする。図9に示すように、細長い平らな部材100は、部分的にねじられて、反時計回りに第4の延伸ポスト234の周りに巻きついて、第2の側面16の一部が延伸ポスト234と接するように延在している。
【0046】
ステップ312において、細長い平らな部材100を、その長手方向軸の周りで部分的にねじって、さらに第5の延伸ポストの周りに配置してループを形成し、第1の側面が外側(例えば、ポストから離れる側)を向いて、第2の側面が内側(例えば、ポストに向く側またはポストと部分的に接する側)を向くようにする。例えば、細長い平らな部材100は、図9に示すように、部分的にねじられて、時計回りに第5の延伸ポスト236の周りに巻きついて、第2の側面16の一部が延伸ポスト236と接するように延在している。
【0047】
ステップ314において、細長い平らな部材100を、その長手方向軸の周りで部分的にねじって、さらに第6の延伸ポストの周りに配置してループを形成し、第1の側面が外側(例えば、ポストから離れる側)を向いて、第2の側面が内側(例えば、ポストに向く側またはポストと部分的に接する側)を向くようにする。図9に示すように、細長い平らな部材100は、部分的にねじられて、反時計回りに第6の延伸ポスト238の周りに巻きついて、第2の側面16の一部が延伸ポスト238と接するように延在している。
【0048】
ステップ316において、細長い平らな部材100を、熱処理して、図1と2Bに示すような塞栓器具10の三次元の拘束されていない形状を設ける。
【0049】
ステップ316の前の任意のステップ318では、細長い平らな部材100を、さらに部分的にねじって、ハンドルポストおよび/または延伸ポストの周りに時計回りおよび反時計回りに交互に配置して、細長い平らな部材100の表面が、延伸ポストとハンドルポストに少なくとも部分的に接するようにする。
【0050】
ステップ302から316において、マンドレル200の一つのポストから他のポストへの細長い平らな部材100の移行は、波状に分離しており、細長い平らな部材100の側面の一方(例えば16)が少なくとも部分的にマンドレル200に接していると同時に、反対側の側面(例えば14)は自由で、目に見えて、または露出している(すなわち、マンドレル200に接していない)ことを可能にすることを理解すべきである。
【0051】
上述の製造工程から得られる塞栓器具10は、複数の連続するループを有する三次元の拘束されていない構成を具え、細長い平らな部材100は、複数の各ループの間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられており、図1と2Bに示すように、細長い平らな部材の方向および/または向きの変化に関わらず、第1の側面14が各ループの外側に面しているとともに、第2の側面16が各ループの内側に面するようになっている。製造工程の間にマンドレル200の上に配置される細長い平らな部材100の側面(例えば、面16)は、各ループ12の内側11(例えば、凹状の部分)を向いており、一方で製造工程の間にマンドレル200に接していない方の細長い平らな部材100の側面(例えば、面14)は、図1と2Bに示すように、三次元の拘束されていない構成において、塞栓器具10の各ループの外側12(例えば凸状の部分)に向いている。
【0052】
塞栓器具10の三次元の拘束されていない構成の特徴は、いくつかの重要な利点を提供し、それは例えば、神経血管動脈瘤のような小径部位に用いる塞栓器具として使用することである。第1に、塞栓器具10は個別の移行領域(例えば、ループ、部分的なねじれ)を有するので、比較的小さな曲げまたは応力で、大いに圧縮した状態または収縮した状態にすることができる。これは、鋭いねじれ、曲げ、またはターンを有する塞栓器具とは対象的であり、そのような塞栓器具は、比較的粗い移行領域のため、パッキングが効率的でなく、密に圧縮することができない。同様に、鋭いねじれ、曲げ、ターン、重なる部分を有する塞栓器具の圧力は、送達システムを有する塞栓器具により多くの接点と摩擦をもたらすことになり、特に曲がりくねった血管路を通って移動する間に、(例えば、塞栓器具の配置の遅延、塞栓器具の金属疲労など)望ましくない影響を与える。
【0053】
さらに、塞栓器具10が送達カテーテル80を通って動脈瘤20内に配置され、送達カテーテル80を出て動脈瘤内に配置されたあとで三次元の拘束されていない構成となったとき(図2A-B)に、細長い平らな部材100は、複数の連続するループ12となって、複数の各ループ12の間で長手方向軸の周りに少なくとも部分的にねじられて、細長い平らな部材100の方向および/または向きの変化に関わらず、第1の側面14が各ループ12の外側を向いて動脈瘤20の内壁22の方に面しており、第2の側面16が各ループの内側11を向くようになっており、動脈瘤の内壁22を損傷させたり破裂を引き起こす可能性のあるのうの膨張または鋭いターンや角度を有することなく、器具10の第1の側面14が、動脈瘤20の内壁22に係合して接している。
【0054】
開示した本発明により構築された塞栓器具10は、公知の方法により目標部位に送達することができることを理解すべきである。
【0055】
特定の実施例を本明細書において示して説明してきたが、当業者はこれらが本発明を限定する意図のものではないことを理解しており、以下の特許請求の範囲とその均等物のみによって定義される開示した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、改良(例えば、様々な部品の寸法、部品の組合せなど)がなされ得ることが、当業者には明らかである。したがって、明細書と図面は、限定的なものではなく、例示的なものと見なすべきである。本明細書に示して説明した様々な実施例は、添付の特許請求の範囲内に含まれうる開示した本発明の代替例、改良例、均等物もカバーするものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13