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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】半導体装置、撮像装置、および表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/378 20110101AFI20221216BHJP
【FI】
H04N5/378
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021126626
(22)【出願日】2021-08-02
(62)【分割の表示】P 2021531765の分割
【原出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022166798
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2020033670
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
(72)【発明者】
【氏名】豊高 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小林 英智
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-038312(JP,A)
【文献】特開2013-236362(JP,A)
【文献】特開2017-022444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース線駆動回路と、読み出し回路とを有するICチップであって、
前記読み出し回路は、増幅部と、変換部と、を有し、
前記増幅部は、比較回路を有し、
前記増幅部には、第1の信号と第2の信号が順に入力され、
前記比較回路には、前記第1の信号が入力される期間に、第1の参照電位が与えられ、
前記比較回路には、前記第2の信号が入力される期間に、第2の参照電位が与えられ、
前記増幅部は、前記第2の信号が入力される期間に、前記第1の信号と前記第2の信号の電位の差分を増幅した出力電位を前記変換部に出力し、
前記変換部は、前記出力電位をデジタル値に変換する、ICチップ。
【請求項2】
ソース線駆動回路と、読み出し回路とを有するICチップであって、
前記読み出し回路は、増幅部と、変換部と、入力端子と、を有し、
前記増幅部は、比較回路と、第1の容量と、第2の容量と、第1のスイッチと、を有し、
前記比較回路は、反転入力端子と、非反転入力端子と、出力端子と、を有し、
前記入力端子には、第1の信号と第2の信号が順に与えられ、
前記第1の容量が有する一対の電極の一方は、前記入力端子と電気的に接続され、
前記第1の容量が有する一対の電極の他方は、前記反転入力端子と電気的に接続され、
前記第2の容量が有する一対の電極の一方は、前記反転入力端子と電気的に接続され、
前記第2の容量が有する一対の電極の他方は、前記出力端子と電気的に接続され、
前記第1のスイッチの一方の端子は、前記反転入力端子と電気的に接続され、
前記第1のスイッチの他方の端子は、前記出力端子と電気的に接続され、
前記入力端子に前記第1の信号が与えられたとき、前記第1のスイッチが導通し、且つ、前記非反転入力端子に第1の参照電位が与えられ、
前記入力端子に前記第2の信号が与えられたとき、前記第1のスイッチが遮断され、且つ、前記非反転入力端子に第2の参照電位が与えられ、
前記第1の参照電位は、前記第2の参照電位と異なる電位であり、
前記変換部は、前記出力端子から出力される電位をデジタル値に変換する、ICチップ。
【請求項3】
ソース線駆動回路と、読み出し回路とを有するICチップであって、
前記読み出し回路は、増幅部と、変換部と、入力端子と、を有し、
前記増幅部は、比較回路と、第1の容量と、第2の容量と、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第1の配線と、第2の配線と、を有し、
前記比較回路は、反転入力端子と、非反転入力端子と、出力端子と、を有し、
前記入力端子には、第1の信号と第2の信号が順に与えられ、
前記第1の容量が有する一対の電極の一方は、前記入力端子と電気的に接続され、
前記第1の容量が有する一対の電極の他方は、前記反転入力端子と電気的に接続され、
前記第2の容量が有する一対の電極の一方は、前記反転入力端子と電気的に接続され、
前記第2の容量が有する一対の電極の他方は、前記出力端子と電気的に接続され、
前記第1のスイッチの一方の端子は、前記反転入力端子と電気的に接続され、
前記第1のスイッチの他方の端子は、前記出力端子と電気的に接続され、
前記非反転入力端子は、前記第2のスイッチを介して、第1の参照電位が与えられる前記第1の配線と電気的に接続され、
前記非反転入力端子は、前記第3のスイッチを介して、第2の参照電位が与えられる前記第2の配線と電気的に接続され、
前記第1の参照電位は、前記第2の参照電位と異なる電位であり、
前記変換部は、前記出力端子から出力される電位をデジタル値に変換する、ICチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置に関する。本発明の一態様は、撮像装置に関する。本発明の一態様は、撮像機能を有する表示装置に関する。本発明の一態様は、読出し回路に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
光電変換素子を備える画素がマトリクス状に配置された撮像装置が知られている。多くの場合、画素で取得したアナログ信号は、アナログデジタル変換回路(A-D変換回路)によりデジタルデータに変換され、出力される。また、画素から出力される信号の振幅を増幅してA-D変換処理を行うことで、ダイナミックレンジを拡大する技術が知られている。例えば特許文献1には、設定されたゲインで画素の信号を増幅する増幅回路と、AD変換部と、を備える撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-236362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、撮像装置の読出しの精度を高めることを課題の一とする。本発明の一態様は、撮像輝度の高い場合でも明瞭な撮像を実現することを課題の一とする。本発明の一態様は、低コストで実現可能な読出し回路を備える半導体装置または撮像装置を提供することを課題の一とする。
【0006】
本発明の一態様は、撮像機能を備える表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、指紋などを明瞭に撮像可能な撮像装置、または表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、端子数もしくは配線数が削減された半導体装置、撮像装置、または表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、電子機器などの部品点数を削減することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な構成を有する半導体装置、撮像装置、表示装置、または電子機器を提供することを課題の一とする。
【0007】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、増幅部と、変換部と、を有する半導体装置である。増幅部は、比較回路を有し、且つ、第1の信号と第2の信号が順に入力される。比較回路は、第1の信号が入力される期間に、第1の参照電位が与えられる。また、比較回路は、第2の信号が入力される期間に、第2の参照電位が与えられる。増幅部は、第2の信号が入力される期間に、第1の信号と第2の信号の電位の差分を増幅した出力電位を変換部に出力する。変換部は、出力電位をデジタル値に変換する。
【0009】
本発明の他の一態様は、増幅部と、変換部と、入力端子と、を有する半導体装置である。増幅部は、比較回路と、第1の容量と、第2の容量と、第1のスイッチと、を有する。比較回路は、反転入力端子と、非反転入力端子と、出力端子と、を有する。入力端子には、第1の信号と第2の信号が順に与えられる。第1の容量は、一対の電極の一方が入力端子と電気的に接続され、他方が反転入力端子と電気的に接続される。第2の容量及び第1のスイッチは、反転入力端子と出力端子とに対して、それぞれ並列に電気的に接続される。増幅部は、第1の信号が与えられたとき、第1のスイッチが導通し、且つ、非反転入力端子に第1の参照電位が与えられ、第2の信号が与えられたとき、第1のスイッチが遮断され、且つ、非反転入力端子に第1の参照電位とは異なる第2の参照電位が与えられる。変換部は、出力端子から出力される電位をデジタル値に変換する。
【0010】
本発明の他の一態様は、増幅部と、変換部と、入力端子と、を有する半導体装置である。増幅部は、比較回路と、第1の容量と、第2の容量と、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第1の配線と、第2の配線と、を有する。比較回路は、反転入力端子と、非反転入力端子と、出力端子と、を有する。入力端子には、第1の信号と第2の信号が順に与えられる。第1の容量は、一対の電極の一方が入力端子と電気的に接続され、他方が反転入力端子と電気的に接続される。第2の容量及び第1のスイッチは、反転入力端子と出力端子とに対して、それぞれ並列に電気的に接続される。第1の参照電位が与えられる第1の配線と、非反転入力端子とは、第2のスイッチを介して電気的に接続される。第1の参照電位とは異なる第2の参照電位が与えられる第2の配線と、非反転入力端子とは、第3のスイッチを介して電気的に接続される。変換部は、出力端子から出力される電位をデジタル値に変換する。
【0011】
本発明の一態様は、上記いずれかに記載の半導体装置と、画素と、第3の配線と、を有する撮像装置である。画素は、光電変換素子と、画素回路と、を有する。画素回路は、受光電位を含む第1の信号と、リセット電位を含む第2の信号を、第3の配線に出力する。第3の配線は、入力端子と電気的に接続される。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれかに記載の半導体装置と、複数の画素と、複数の第3の配線と、第1の選択回路と、を有する撮像装置である。画素は、光電変換素子と、画素回路と、を有する。画素回路は、受光電位を含む第1の信号と、リセット電位を含む第2の信号を、第3の配線に出力する。複数の第3の配線は、第1の選択回路に電気的に接続される。第1の選択回路は、複数の第3の配線の一を選択し、選択された第3の配線と、入力端子とを電気的に接続する。
【0013】
また、上記いずれかの撮像装置において、第3の配線と、入力端子との間に、相関二重サンプリング回路を有することが好ましい。
【0014】
また、上記いずれかの撮像装置において、第1の基板と、第2の基板とを有することが好ましい。このとき、半導体装置は第1の基板に設けられ、画素は第2の基板に設けられることが好ましい。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、増幅部と、第1の変換部と、第2の変換部と、入力端子と、第1の出力端子と、を有する半導体装置である。増幅部は、比較回路と、第1の容量と、第2の容量と、第1のスイッチと、を有する。比較回路は、反転入力端子と、非反転入力端子と、第2の出力端子と、を有する。入力端子には、第1の信号と、第2の信号が順に与えられる。第1の容量は、一対の電極の一方が入力端子と電気的に接続され、他方が反転入力端子と電気的に接続される。第2の容量及び第1のスイッチは、反転入力端子と第2の出力端子とに対して、それぞれ並列に電気的に接続される。増幅部は、第1の信号が与えられたとき、非反転入力端子に第1の参照電位が与えられ、第2の信号が与えられたとき、非反転入力端子に第1の参照電位とは異なる第2の参照電位が与えられる。第1の変換部は、第2の出力端子から出力される電位をデジタル値に変換する。第2の変換部は、デジタル信号が与えられ、デジタル信号をアナログの第3の信号に変換して、第1の出力端子に出力する。増幅部、第1の変換部、及び第2の変換部は、第1の基板上に設けられる。
【0016】
また、上記において、第4のスイッチを有することが好ましい。このとき、第1の出力端子と、非反転入力端子とは、第4のスイッチを介して電気的に接続される。また第2の変換部は、デジタル信号に基づいて、データ電位、第1の参照電位、及び第2の参照電位を含む第3の信号を出力する。また第1の出力端子に第1の参照電位が出力される期間、及び第2の参照電位が出力される期間において、第4のスイッチが導通状態となり、第1の出力端子にデータ電位が出力される期間において、第4のスイッチが非導通状態となることが好ましい。
【0017】
また、上記いずれかにおいて、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第1の配線と、第2の配線と、を有することが好ましい。このとき、第1の参照電位が与えられる第1の配線と、非反転入力端子とは、第2のスイッチを介して電気的に接続される。第2の参照電位が与えられる第2の配線と、非反転入力端子とは、第3のスイッチを介して電気的に接続される。
【0018】
また、本発明の一態様は、上記いずれかの半導体装置と、第1の画素と、第2の画素と、第3の配線と、第4の配線と、を有する表示装置である。第1の画素は、光電変換素子と、第1の画素回路と、を有する。第1の画素回路は、受光電位を含む第1の信号と、リセット電位を含む第2の信号を、第3の配線に出力する。第3の配線は、入力端子と電気的に接続される。第2の画素は、表示素子と、第2の画素回路と、を有する。第4の配線は、第1の出力端子と、第2の画素回路と、に電気的に接続される。第2の画素回路は、第3の信号に基づいて、表示素子の階調を制御する。
【0019】
また、上記において、第2の選択回路と、第3の選択回路と、第5の配線と、を有することが好ましい。このとき、第3の配線及び第4の配線は、第2の選択回路と電気的に接続される。入力端子と、第1の出力端子とは、第3の選択回路と電気的に接続される。第2の選択回路と第3の選択回路とは、第5の配線を介して電気的に接続される。第2の選択回路は、第3の配線と第4の配線のいずれかを選択して第5の配線と電気的に接続させる。第3の選択回路は、入力端子と第1の出力端子のいずれかを選択して第5の配線と電気的に接続させる。
【0020】
また、上記いずれかにおいて、表示素子は、発光素子であることが好ましい。さらに、光電変換素子と、発光素子とは、同一面上に位置することが好ましい。また、光電変換素子は、画素電極と第1の電極との間に、電子注入層、電子輸送層、発光層、活性層、正孔注入層、及び正孔輸送層を有することが好ましい。さらに、発光素子は、第1の電極、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、及び正孔輸送層のうちの一以上を有することが好ましい。
【0021】
また、上記いずれかにおいて、第1の基板とは異なる第2の基板を有することが好ましい。このとき、半導体装置は第1の基板に設けられ、第1の画素及び第2の画素は第2の基板に設けられることが好ましい。さらに、第1の基板は、単結晶基板であり、第2の基板は、ガラスまたは有機樹脂を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、撮像装置の読出しの精度を高めることができる。本発明の一態様によれば、撮像輝度の高い場合でも明瞭な撮像を実現することができる。本発明の一態様によれば、低コストで実現可能な読出し回路を備える半導体装置または撮像装置を提供できる。
【0023】
本発明の一態様によれば、撮像機能を備える表示装置を提供できる。本発明の一態様によれば、指紋などを明瞭に撮像可能な撮像装置、または表示装置を提供できる。本発明の一態様によれば、端子数もしくは配線数が削減された半導体装置、撮像装置、または表示装置を提供できる。本発明の一態様によれば、電子機器などの部品点数を削減することができる。本発明の一態様によれば、新規な構成を有する半導体装置、撮像装置、表示装置、または電子機器を提供できる。
【0024】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1Aは、撮像装置の構成例である。図1Bは、回路部の構成例である。
図2図2A及び図2Bは、増幅部の動作を説明する図である。
図3図3は、回路部の構成例である。
図4図4A及び図4Bは、増幅部の動作を説明する図である。
図5図5Aは、撮像装置の構成例である。図5Bは、タイミングチャートである。
図6図6は、撮像装置の構成例である。
図7図7Aは、表示装置の構成例である。図7B及び図7Cは、画素の構成例である。
図8図8A及び図8Bは、回路部の構成例である。
図9図9A及び図9Bは、回路部の構成例である。
図10図10A乃至図10Cは、回路部の構成例である。
図11図11A及び図11Bは、表示装置の構成例である。
図12図12A図12B図12D図12F乃至図12Hは、表示装置の構成例である。図12C及び図12Eは、画像の例である。
図13図13A乃至図13Dは、表示装置の構成例である。
図14図14A乃至図14Cは、表示装置の構成例である。
図15図15A及び図15Bは、表示装置の構成例である。
図16図16A乃至図16Cは、表示装置の構成例である。
図17図17は、表示装置の構成例である。
図18図18は、表示装置の構成例である。
図19図19A及び図19Bは、表示装置の構成例である。
図20図20A及び図20Bは、表示装置の構成例である。
図21図21は、表示装置の構成例である。
図22図22A及び図22Bは、電子機器の構成例である。
図23図23A乃至図23Dは、電子機器の構成例である。
図24図24A乃至図24Fは、電子機器の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0028】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0029】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0030】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極及び配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、コイル、容量素子、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0031】
なお、本明細書等においてノードとは、回路を構成する素子の電気的な接続を可能とする素子(例えば、配線など)のことをいう。したがって、”Aが接続されたノード”とは、Aと電気的に接続され、且つAと同電位と見なせる配線のことをいう。なお、配線の途中に電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオードなど)が1個以上配置されていても、Aと同電位と見なせればその配線は同じノードであるとする。
【0032】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0033】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクタが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置、撮像装置、及び表示装置の構成例について説明する。
【0035】
[撮像装置の構成例1]
図1Aに、撮像装置10のブロック図を示す。撮像装置10は、撮像部11、回路部12、及び駆動回路部13等を有する。
【0036】
撮像部11は、マトリクス状に配置された複数の画素15を有する。画素15は、光電変換素子として機能する受光素子と、画素回路と、を有する。図1Aでは、m行n列に配列した画素15を有する例を示している。
【0037】
画素15は、配線TX、配線SE、配線RS、及び配線WXと電気的に接続されている。配線TX、配線SE、及び配線RSは、駆動回路部13と電気的に接続されている。配線WXは、回路部12と電気的に接続されている。
【0038】
画素15は、配線WXに第1の信号と、第2の信号をそれぞれ順に出力するように駆動される。第1の信号は、露光期間中に画素15が有する受光素子で受光した光量に対応する受光電位(後述する電位V)を含む信号である。第2の信号は、画素15が所定の電位でリセットされた状態で出力されるリセット電位(後述する電位V)を含む信号である。第1の信号は、受光信号とも呼ぶことができ、第2の信号は、リセット信号とも呼ぶことができる。
【0039】
駆動回路部13は、画素15を駆動させるための信号を生成し、配線SE、配線TX、及び配線RSを介して画素15に出力する機能を有する。回路部12は、画素15から配線WXを介して出力される信号を受信し、デジタルの画像データとして外部に出力する機能を有する。回路部12は、読出し回路として機能する。
【0040】
回路部12は、複数の増幅部PAと、複数の変換部ADCを有する。配線WXは、増幅部PAと電気的に接続される。増幅部PAは、変換部ADCと電気的に接続される。図1Aでは、回路部12が、n個の増幅部PAと、n個の変換部ADCを有する例を示している。なお、配線WXと増幅部PAとの間に、他の回路が設けられていてもよい。例えば、画素15が有するトランジスタとソースフォロアを構成する回路、増幅回路、バッファ回路、マルチプレクサ回路、または相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路などの各種回路を設けてもよい。
【0041】
増幅部PAは、配線WXを介して画素15から出力される第1の信号と第2の信号の差分を増幅し、アナログ信号として変換部ADCに出力する機能を有する。増幅部PAは、プリアンプと呼ぶこともできる。変換部ADCは、増幅部PAから入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。
【0042】
ここで、図1Aに示すように、撮像部11は、基板21に設けられる。回路部12は、基板22に設けられる。駆動回路部13は、基板23に設けられる。基板21、基板22、及び基板23としては、シリコン、化合物半導体などの単結晶基板、またはSOI(Silicon on Insulator)基板などを用いることができる。また、撮像部11が設けられる基板21として、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などの絶縁性基板を用いてもよい。また基板21として、剛性を有する基板を用いてもよいし、可撓性を有する基板を用いてもよい。なお、撮像部11と駆動回路部13とを、同じ基板に設け、回路部12を他の基板に設けてもよい。また、撮像部11、回路部12、及び駆動回路部13を、同じ基板に設けてもよい。
【0043】
[読出し回路の構成例1]
図1Bに、本発明の一態様の半導体装置である、回路部12の構成例を示す。図1Bには、回路部12として、j番目(jは1以上n以下の整数)の配線WX[j]に対応する増幅部PA[j]及び変換部ADC[j]を示している。また、図1Bには、回路部12が有する入力端子INを示している。入力端子INには、配線WX[j]が電気的に接続されている。
【0044】
増幅部PA[j]は、比較回路AMP、容量C1、容量C2、及びスイッチSW1等を有する。比較回路AMPは、反転入力端子、非反転入力端子、及び出力端子を有する。比較回路AMPとしては、例えばコンパレータ、またはオペアンプなどの差動増幅器(差動増幅回路ともいう)を用いることができる。
【0045】
容量C1は、一方の電極が入力端子INと電気的に接続され、他方の電極がスイッチSW1の一方の端子、容量C2の一方の電極、及び比較回路AMPの反転入力端子と電気的に接続されている。スイッチSW1の他方の端子は、容量C2の他方の電極、及び比較回路AMPの出力端子と電気的に接続されている。比較回路AMPの出力端子は、変換部ADC[j]の入力端子と電気的に接続されている。比較回路AMPの非反転入力端子は、参照電位VREFが与えられる配線と電気的に接続されている。
【0046】
図1Bにおいて、スイッチSW1と容量C2は、それぞれ比較回路AMPの反転入力端子と出力端子に対して、並列に接続されているともいうことができる。
【0047】
〔駆動方法例1〕
本発明の一態様の読出し回路は、増幅部と、変換部とを有する。増幅部は、順に入力される第1の信号と第2の信号の電位の差分を増幅して変換部に出力する。変換部は、増幅部の出力電位をデジタル値に変換する。増幅部は、第1の参照電位と第1の信号とに基づいてリセットされ、第1の参照電位とは異なる第2の参照電位と第2の信号とに基づいて電位の差分を増幅することができる。
【0048】
図1Bに示す回路部12の駆動方法の一例について、図2A図2Bを用いて説明する。なお、図2A図2Bでは、変換部ADC[j]を省略している。
【0049】
増幅部PA[j]の動作は、大きく分けて初期化と、増幅の2つの動作により行われる。図2Aは、初期化にかかる動作(初期化動作ともいう)に対応し、図2Bは、増幅にかかる動作(増幅動作ともいう)に対応する。また以下では、初期化動作にかかる期間を初期化期間、増幅動作にかかる期間を増幅期間と呼ぶ。
【0050】
まず、増幅部PA[j]の初期化動作について、図2Aを用いて説明する。初期化動作において、スイッチSW1を導通状態とする。また、初期化期間において、配線WX[j]から、第1の信号の電位である電位Vが与えられる。
【0051】
初期化動作において、スイッチSW1が導通状態であるため、比較回路AMPの出力端子と反転入力端子とが電気的にショートしている。そのため、比較回路AMPの出力電位は、参照電位VREFと同じ電位となる。このとき、容量C1の一対の電極間にかかる電圧VC1は、参照電位VREFと電位Vの差となる。また、容量C2の一対の電極間には電位差は生じないため、容量C2にかかる電圧VC2は0Vとなる。その結果、初期化期間における増幅部PA[j]の出力電位VOUTは、参照電位VREFと一致する。
【0052】
すなわち、初期化期間における、電圧VC1、電圧VC2、及び出力電位VOUTは、以下のようになる。
【0053】
【数1】
【0054】
続いて、増幅部PA[j]の増幅動作について図2Bを用いて説明する。増幅動作において、まずスイッチSW1を非導通状態とする。そして、配線WX[j]の電位は、第1の信号の電位Vから、第2の信号の電位である電位Vに変化する。これに伴って、比較回路AMPの反転入力端子の電位が変化するため、比較回路AMPの反転入力端子と非反転入力端子の電位差が0Vになるまで、比較回路AMPの出力電位が変化する。増幅部PA[j]が平衡状態に達した時点での、比較回路AMPの出力端子の電位は、電位Vと電位Vとの電位差と、増幅率Gと、参照電位VREFにより決定される。ここで、増幅部PA[j]の増幅率Gは、容量C1と容量C2の容量比により決定される。
【0055】
すなわち、増幅期間における、出力電位VOUTと、増幅率Gは、以下のようになる。なお下記において、容量C1の容量値をC1、容量C2の容量値をC2と表記する。
【0056】
【数2】
【0057】
以上のように、増幅部PA[j]は、入力される2つの信号の差分を増幅し、変換部ADC[j]に出力することができる。これにより、増幅部PA[j]は、画素15が有する画素回路、または当該画素回路と増幅部PA[j]の間に設けられる回路等のばらつきの影響が排除された出力電位VOUTを出力することができる。
【0058】
ここで、増幅部PA[j]が有する比較回路AMPには、反転入力端子と非反転入力端子の間に、オフセット電圧が生じる場合がある。当該オフセット電圧により、平衡状態における反転入力端子と非反転入力端子は、等電位にならないことがある。しかしながら、増幅部PA[j]から出力される2種類の出力電位VOUTの差分をとることで、当該オフセット電圧の影響を排除することができる。
【0059】
[読出し回路の構成例2]
上記図1B等で例示した増幅部PAは、2つの入力信号の差分を増幅して出力することができる。しかしながら、2つの入力信号の電位差が大きすぎる場合に、出力電位が飽和してしまう現象が生じることがある。このように、増幅回路の出力電位が飽和してしまう現象を、クリッピングとも呼ぶことができる。クリッピングは、例えば増幅部PAが有する比較回路が、電源電圧を超える電圧(電位)を出力できないことから生じうる。
【0060】
そこで、以下で例示する本発明の一態様は、初期化期間と、増幅期間とで、比較回路に入力する参照電位を切り替える機能を備える構成とする。このとき、増幅期間における参照電位は、初期化期間における参照電位よりも低い電位とする。これにより、入力される2つの信号の電位差が大きい場合であっても、好適にクリッピングを抑制することができる。
【0061】
図3に、以下で例示する回路部12の構成例を示す。図3に示す回路部12は、比較回路AMPの非反転入力端子に接続する配線の構成が異なる点で、上記図1Bに示す構成と主に相違している。
【0062】
増幅部PA[j]は、スイッチSW2と、スイッチSW3とを有する。
【0063】
スイッチSW2は、一方の端子が、参照電位VREFSが与えられる配線と電気的に接続され、他方の端子が、比較回路AMPの非反転入力端子と電気的に接続される。スイッチSW3は、一方の端子が、参照電位VREFRが与えられる配線と電気的に接続され、他方の端子が、比較回路AMPの非反転入力端子と電気的に接続される。言い換えると、比較回路AMPの非反転入力端子は、スイッチSW2を介して参照電位VREFSが与えられる配線と電気的に接続され、さらにスイッチSW3を介して参照電位VREFRが与えられる配線と電気的に接続されている。
【0064】
参照電位VREFSと、参照電位VREFRとは、異なる電位である。参照電位VREFSは、参照電位VREFRよりも高い電位とすることが好ましい。なお、駆動方法によっては、参照電位VREFRを、参照電位VREFSよりも高い電位としてもよい。ここで、図3に示すように、参照電位VREFSと参照電位VREFRの電位差を、ΔVREFとする。
【0065】
〔駆動方法例2〕
以下では、図3で例示した増幅部PA[j]の動作について、図4A及び図4Bを用いて説明する。なお、上記と重複する部分については詳細な説明を省略するか、説明を簡単にする場合がある。
【0066】
まず、初期化期間における増幅部PA[j]の動作について、図4Aを用いて説明する。初期化期間において、スイッチSW1及びスイッチSW2を導通状態とし、スイッチSW3を非導通状態とする。比較回路AMPの非反転入力端子には、スイッチSW2を介して参照電位VREFSが与えられた状態となる。また、配線WX[j]から第1の信号の電位である電位Vが与えられる。
【0067】
上記と同様に、初期化期間における出力電位VOUTは、参照電位VREFSと一致する。すなわち、初期化期間における、電圧VC1、電圧VC2、及び出力電位VOUTは、以下のようになる。
【0068】
【数3】
【0069】
続いて、増幅動作について図4Bを用いて説明する。増幅期間において、スイッチSW1を非導通状態とする。またスイッチSW2を非導通状態、スイッチSW3を導通状態とする。これにより、比較回路AMPの非反転入力端子には、スイッチSW3を介して参照電位VREFRが与えられた状態となる。また、配線WX[j]の電位は、第1の信号の電位Vから、第2の信号の電位Vに変化する。
【0070】
増幅期間において、増幅部PA[j]が平衡状態に達した時点での出力電位VOUTは、以下のようになる。
【0071】
【数4】
【0072】
このように、増幅部PA[j]は、2つの参照電位の差である電位差ΔVREFと、2つの入力信号の電位差ΔVの差分を増幅して出力することができる。これにより、クリッピングの発生を好適に抑制することができる。
【0073】
例えば、図1Bの増幅部PA[j]において、電位Vを6.0V、電位Vを4.0V、増幅率Gを10倍、参照電位VREFを4.5V、比較回路AMPの電源電圧を9.0Vとした場合を考える。このとき、出力電位VOUTは24.5Vとなり、電源電圧の上限を超えるため、クリッピングが生じてしまう。
【0074】
一方、図3の増幅部PA[j]において、電位Vを6.0V、電位Vを4.1V、増幅率Gを10倍、参照電位VREFSを6.5V、参照電位VREFRを4.5V、比較回路AMPの電源電圧を9.0Vとした場合を考える。このとき、電位差ΔVは1.9V、電位差ΔVREFは2.0Vとなる。そのため、出力電位VOUTは5.5Vとなり、電源電圧の範囲内であるため、クリッピングの発生を抑制することができる。
【0075】
しかしながら、図3に示す構成を用いたとしても、参照電位VREFSと参照電位VREFRの電位差ΔVREFと、2つの信号の電位差ΔVが大きすぎる場合には、クリッピングが生じてしまう恐れがある。そのため、電位差ΔVREFの値を、画素回路が出力しうる信号幅に応じてあらかじめ決定することが好ましい。または、撮像装置の駆動モード、撮像装置を使用する環境の照度などに応じて、電位差ΔVREFの値を変更してもよい。
【0076】
また、撮像装置の駆動モードや、撮像装置を使用する環境の照度などによっては、2つの信号の電位差ΔVが十分に小さい場合がある。このときは、参照電位を切り替えずに、参照電位VREFSまたは参照電位VREFRのいずれか一方を用いて読出し動作を実行してもよい。具体的には、初期化期間と増幅期間の両方の期間で、スイッチSW2またはスイッチSW3のいずれか一方を導通状態とし、他方を非導通状態とした状態で読出し動作を実行すればよい。このとき、撮像装置の駆動モードまたは撮像装置を使用する環境などに応じて参照電位を切り替える駆動方法と、参照電位を固定させる駆動方法とを、切り替えることができる。これにより、図3で例示した回路構成を異ならせることなく、2種類の読出し動作を実行できるため、より精度の高い撮像を実行することが可能となる。
【0077】
[撮像装置の構成例2]
以下では、撮像装置のより具体的な構成例について説明する。
【0078】
図5Aに、撮像装置の回路図を示す。図5Aには、基板21に設けられる要素として、i行j列目の画素15[i,j]の回路図と、配線WX[j]に接続される電流源I[j]及びCDS回路CDS[j]と、を示している。なお、ここでは配線WX[j]に接続される一つの画素15[i,j]のみ示しているが、実際には一つの配線WX[j]に、m個の画素15が接続される。
【0079】
また、図5Aには、基板22に設けられる要素として、増幅部PA[j]と、変換部ADC[j]を示している。増幅部PA[j]、変換部ADC[j]の構成は、上記記載を援用できる。
【0080】
画素15[i,j]は、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、容量C、及び受光素子PD等を有する。また、画素15[i,j]には、配線TX[i]、配線SE[i]、配線RS[i]、及び配線WX[j]が接続される。
【0081】
トランジスタM1は、ゲートが配線TX[i]と、ソース及びドレインの一方が受光素子PDのアノードと、他方がトランジスタM2のソース及びドレインの一方、容量Cの第1の電極、及びトランジスタM3のゲートと、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM2は、ゲートが配線RS[i]と、ソース及びドレインの他方が電位V1が与えられる配線と、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM3は、ソース及びドレインの一方が電位V3が与えられる配線と、他方がトランジスタM4のソース及びドレインの一方と、それぞれ電気的に接続されている。トランジスタM4は、ゲートが配線SE[i]と、ソース及びドレインの他方が配線WX[j]と、それぞれ電気的に接続されている。容量Cは、第2の電極が電位V2が与えられる配線と電気的に接続されている。受光素子PDは、カソードがカソード電位が与えられる配線CLと電気的に接続されている。
【0082】
トランジスタM1、トランジスタM2、及びトランジスタM4は、スイッチとして機能する。トランジスタM3は、増幅素子(アンプ)として機能する。
【0083】
トランジスタM1乃至トランジスタM4の全てに、チャネルが形成される半導体にシリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、低温多結晶シリコン(LTPS)を含む)を用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタと表記する)を適用することが好ましい。または、トランジスタM1乃至トランジスタM4の全てに、チャネルが形成される半導体に酸化物半導体を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと表記する)を適用することが好ましい。
【0084】
また、SiトランジスタとOSトランジスタの両方を用いてもよい。例えば、トランジスタM1及びトランジスタM2に、OSトランジスタを適用し、トランジスタM3に、Siトランジスタを適用することが好ましい。このとき、トランジスタM4は、OSトランジスタ及びSiトランジスタのどちらを適用してもよい。
【0085】
トランジスタM1及びトランジスタM2にOSトランジスタを適用することで、受光素子PDに発生する電荷に基づき、トランジスタM3のゲートに保持される電位が、トランジスタM1またはトランジスタM2を介してリークされるのを防ぐことができる。
【0086】
OSトランジスタとしては、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。特に、OSトランジスタの半導体層として、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。または、インジウム、スズ、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。または、インジウム、ガリウム、スズ、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。
【0087】
シリコンよりもバンドギャップが広く、かつキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。そのため、特に容量Cに直列に接続されるトランジスタM1及びトランジスタM2には、それぞれ、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。トランジスタM1及びトランジスタM2として酸化物半導体を有するトランジスタを適用することで、容量Cに保持される電荷が、トランジスタM1またはトランジスタM2を介してリークされることを防ぐことができる。また、容量Cに保持される電荷を長時間に亘って保持できるため、露光から読出しまでの期間を延長できる。
【0088】
例えば、グローバルシャッタ方式を用いた撮像を行う場合、画素によって電荷の転送動作が終了してから読出し動作が開始されるまでの期間(電荷保持期間)が異なる。例えば全ての画素で階調値が等しくなる画像を撮像すると、理想的には全ての画素において同じ高さの電位を有する出力信号が得られる。しかし、電荷保持期間の長さが行毎に異なる場合、各行の画素のノードに蓄積されている電荷が時間の経過と共にリークしてしまうと、画素の出力信号の電位が行毎に異なってしまい、行毎にその階調数が変化した画像データが得られてしまう。そこで、トランジスタM1及びトランジスタM2としてOSトランジスタを適用することで、ノードの電位変化を極めて小さくすることができる。すなわち、グローバルシャッタ方式を用いて撮像を行っても、電荷保持期間が異なることに起因する画像データの階調の変化を小さく抑え、撮像された画像の品質を向上させることができる。
【0089】
一方で、トランジスタM3には、Siトランジスタを適用することが好ましい。Siトランジスタは、OSトランジスタよりも、高い電界効果移動度を実現することができ、駆動能力及び電流能力に優れる。そのため、トランジスタM3は、トランジスタM1及びトランジスタM2と比較して、より高速な動作が可能となる。トランジスタM3にSiトランジスタを用いることで、受光素子PDの受光量に基づく微小の電位に応じた出力を、トランジスタM4に対して素早く行うことができる。
【0090】
つまり、画素15[i,j]において、トランジスタM1及びトランジスタM2はリーク電流が少なく、かつ、トランジスタM3は駆動能力が高いことで、受光素子PDで受光し、トランジスタM1を介して転送された電荷がリークすることなく保持でき、かつ、高速で読出しを行うことができる。
【0091】
トランジスタM4は、トランジスタM3からの出力を配線WX[j]に流すスイッチとして機能するため、トランジスタM1乃至トランジスタM3のように、小さいオフ電流及び高速動作等は必ずしも求められない。そのため、トランジスタM4には、Siトランジスタを適用してもよいし、OSトランジスタを適用してもよい。
【0092】
なお、図5Aにおいて、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。
【0093】
画素15[i,j]が有する各トランジスタ、CDS回路CDS[j]が有するトランジスタ、電流源I[j]が有するトランジスタ等は、基板21上に同一工程を経て作製されることが好ましい。
【0094】
画素15[i,j]に接続される配線WX[j]には、直列に電流源I[j]が接続されている。電流源I[j]と、画素15[i,j]が有するトランジスタM3とにより、ソースフォロア回路が構成されている。
【0095】
電流源I[j]の構成は特に限られず、例えばゲートに定電位が与えられるトランジスタ、またはカレントミラー回路などを用いることができる。
【0096】
また、配線WX[j]には、CDS回路CDS[j]が接続されている。CDS回路CDS[j]は、相関二重サンプリングを実行することのできる回路である。
【0097】
CDS回路CDS[j]の出力端子は、増幅部PA[j]の入力端子に接続されている。CDS回路CDS[j]でサンプリングされた信号は、増幅部PA[j]に出力される。
【0098】
回路部12において、変換部ADC[j]から出力信号として、信号SOUT[j]が出力される。信号SOUT[j]は、変換部ADC[j]によりアナログ信号から変換されたデジタル信号である。信号SOUT[j]は、撮像装置の外部に設けられる演算回路などに出力され、処理される。
【0099】
〔画素の駆動方法例〕
ここで、画素15[i,j]の駆動方法について、説明する。図5Bは、画素15[i,j]の駆動方法にかかるタイミングチャートである。図5Bでは、配線TX[i]、配線SE[i]、配線RS[i]、及び配線WX[j]についてそれぞれの電位の推移を示している。
【0100】
画素15[i,j]の駆動は、大きく撮像期間T1と、読出し期間T2とに分けられる。撮像期間T1において、撮像部11の全画素で撮像し、その後の読出し期間T2で行ごとに順次読み出すことで、グローバルシャッタ駆動を実現できる。一方、一行ごとに撮像期間T1と読出し期間T2を設けることで、ローリングシャッタ駆動を実現できる。
【0101】
撮像期間T1は、期間T11、期間T12、及び期間T13に分けられる。期間T11は、画素のリセット期間に相当し、期間T12は露光期間に相当し、期間T13は転送期間に相当する。
【0102】
期間T11において、配線TX[i]と配線RS[i]がハイレベル電位となる。これにより、トランジスタM1とトランジスタM2が導通状態となり、受光素子PDのアノードの電位が、電位V1にリセットされる。
【0103】
続いて、期間T12において、配線TX[i]と配線RS[i]がローレベル電位となる。これにより、トランジスタM1が非導通状態となる。期間T12において、受光素子PDに入射される光によって光電変換が起こり、受光素子PDのアノードに電荷が蓄積される。
【0104】
続いて、期間T13において、配線TX[i]がハイレベル電位となる。これにより、トランジスタM1が導通状態となり、受光素子PDに蓄積された電荷が、容量Cに転送される。
【0105】
その後、配線TX[i]にローレベル電位が与えられ、トランジスタM1が非導通状態となることで、容量Cの電荷が保持される。
【0106】
読出し期間T2は、期間T21と期間T22に分けられる。期間T21では、受光電位を含む信号を出力し、期間T22では、リセット電位を含む信号を出力する。
【0107】
グローバルシャッタ駆動では、上記撮像期間T1ののち、行ごとに読出し動作が行われる。図5Bでは、i行目の読出し期間T2[i]を示している。
【0108】
期間T21において、配線SE[i]にハイレベル電位が与えられる。これによりトランジスタM4が導通状態となる。このとき、トランジスタM3と電流源I[j]とでソースフォロア回路が構成され、配線WX[j]を介してCDS回路CDS[j]にデータ信号Dが出力される。このとき、配線WX[j]に出力されるデータ信号Dの電位は、トランジスタM3のゲート電位に応じて決定される。データ信号Dは、上記第1の信号(受光信号)に相当する。
【0109】
続いて、期間T22において、配線SE[i]と配線RS[i]にハイレベル電位が与えられる。これにより、トランジスタM2とトランジスタM4が導通状態となる。これにより、トランジスタM3のゲートに電位V1が与えられた状態となる。すなわち、画素15[i,j]がリセットされた状態となる。期間T22では、この状態におけるデータ信号Dが配線WX[j]に出力される。データ信号Dは、上記第2の信号(リセット信号)に相当する。
【0110】
このように駆動することで、読出し期間T2において、画素15[i,j]から配線WX[j]に、第1の信号と第2の信号とを順に出力することができる。
【0111】
以上が、画素回路の駆動方法についての説明である。
【0112】
[撮像装置の構成例3]
図6には、上記図5Aとは一部の構成が異なる撮像装置の構成例を示している。図6に示す撮像装置は、複数のCDS回路と、増幅部PAとの間に、マルチプレクサ回路MUXを有している。
【0113】
ここでは、i列目のn個の画素15のうち、j番目の画素15[i,j]からk番目の画素15[i,k]までの出力が、一つのマルチプレクサ回路MUXを介して増幅部PAに出力される構成を示している。
【0114】
また、図6に示すように、各画素15とマルチプレクサ回路MUXとの間に、CDS回路CDSを設けてもよい。
【0115】
このような構成とすることで、基板21と基板22との間の接続端子の数を削減することができる。特に基板22をチップ化し、基板22を有するICチップを基板21、または他の回路基板などにバンプなどを用いて接合することにより実装する場合には、基板22の端子数を減らすことは、チップサイズの縮小に大きく寄与するため、好ましい。
【0116】
[表示装置の構成例]
以下では、画像を表示する機能と、画像を撮像する機能とを兼ね備えた表示装置について説明する。
【0117】
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、受光素子(受光デバイスともいう)と発光素子(発光デバイスともいう)とを有する。表示部には、発光素子がマトリクス状に配置され、当該発光素子を用いて、表示部に画像を表示することができる。また、表示部には、受光素子がマトリクス状に配置され、表示部は、受光部としての機能を有する。表示部に設けられる複数の受光素子により画像を撮像することができるため、表示装置は、イメージセンサ、またはタッチパネルなどとして機能することができる。すなわち、表示部で画像を撮像すること、及び、対象物(指やペンなど)の近接、または接触を検出することができる。さらに、表示部に設けられる発光素子は、受光の際の光源として利用することができるため、表示装置とは別に光源を設ける必要がなく、電子機器の部品点数を増やすことなく、機能性の高い表示装置を実現できる。
【0118】
本発明の一態様は、表示部が有する発光素子の発光を、対象物が反射した際に、受光素子がその反射光を検出できるため、暗い環境でも撮像及びタッチ(非接触を含む)の検出を行うことができる。
【0119】
また、本発明の一態様の表示装置は、表示部に指、掌などを接触させた際に、指紋または掌紋を撮像することができる。そのため、本発明の一態様の表示装置を備える電子機器は、撮像した指紋を用いて、個人認証を実行することができる。これにより、指紋認証またはや掌紋認証のための撮像装置を別途設ける必要がなく、電子機器の部品点数を削減することができる。また、表示部にはマトリクス状に受光素子が配置されるため、表示部内のどの場所であっても指紋、掌紋などの撮像を行うことができ、利便性に優れた電子機器を実現できる。
【0120】
ここで、表示部には、受光素子と一以上のトランジスタを備える第1の画素回路と、発光素子と一以上のトランジスタを備える第2の画素回路とが、それぞれマトリクス状に配置される構成とすることができる。
【0121】
以下では、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
【0122】
図7Aに、表示装置50のブロック図を示す。表示装置50は、表示部51、回路部52、駆動回路部53等を有する。
【0123】
図7Aでは、表示部51及び駆動回路部53が基板21に設けられ、回路部52が基板22に設けられる例を示している。基板22はチップ化され、ICチップの形態であることが好ましい。このとき、基板22を有するICチップは、基板21または基板21に接続されるFPC(Flexible Printed Circuit)に、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、またはバンプ等により接合されることが好ましい。なお、表示部51と駆動回路部53とは、別々の基板に設けられてもよい。または、一つの基板に、表示部51、回路部52、及び駆動回路部53が設けられてもよい。
【0124】
表示部51は、マトリクス状に配置された複数の画素70を有する。画素70は、副画素61R、副画素61G、副画素61B、及び撮像画素62を有する。副画素61R、副画素61G、及び副画素61Bは、それぞれ表示素子として機能する発光素子を有する。撮像画素62は、光電変換素子として機能する受光素子を有する。
【0125】
画素70は、配線GL、配線SLR、配線SLG、配線SLB、配線TX、配線SE、配線RS、及び配線WX等と電気的に接続されている。配線SLR、配線SLG、配線SLB、及び配線WXは、回路部52と電気的に接続されている。配線GL、配線TX、配線SE、及び配線RSは、駆動回路部53と電気的に接続されている。回路部52は、ソース線駆動回路(ソースドライバともいう)としての機能と、読出し回路としての機能を有する。駆動回路部53は、ゲート線駆動回路(ゲートドライバともいう)としての機能と、撮像画素62の駆動回路としての機能を有する。
【0126】
画素70は、副画素61R、副画素61G、及び副画素61Bを有する。例えば、副画素61Rは赤色を呈する副画素であり、副画素61Gは緑色を呈する副画素であり、副画素61Bは青色を呈する副画素である。これにより、表示装置50はフルカラーの表示を行うことができる。なお、ここでは画素70が3色の副画素を有する例を示したが、4色以上の副画素を有していてもよい。
【0127】
副画素61R、副画素61G、及び副画素61Bは、それぞれ発光素子と、画素回路を有する。画素回路は、回路部52から供給され、配線SLR、配線SLG、または配線SLBを介して入力される信号(電位)に基づいて、発光素子の階調を制御する機能を有する。
【0128】
副画素61Rは、赤色の光を呈する発光素子を有する。副画素61Gは、緑色の光を呈する発光素子を有する。副画素61Bは、青色の光を呈する発光素子を有する。なお、画素70は、他の光を呈する発光素子を有する副画素を有していてもよい。例えば画素70は、上記3つの副画素に加えて、白色の光を呈する発光素子を有する副画素、または黄色の光を呈する発光素子を有する副画素などを有していてもよい。
【0129】
配線GLは、行方向(配線GLの延伸方向)に配列する副画素61R、副画素61G、及び副画素61Bと電気的に接続されている。配線SLRは、列方向(配線SLR等の延伸方向)に配列する複数の副画素61R(図示しない)と電気的に接続されている。同様に、配線SLG、及び配線SLBは、それぞれ列方向に配列する複数の副画素61G、または副画素61B(図示しない)と電気的に接続されている。
【0130】
画素70が有する撮像画素62は、配線TX、配線SE、配線RS、及び配線WXが電気的に接続されている。
【0131】
駆動回路部53は、撮像画素62を駆動させるための信号を生成し、配線SE、配線TX、及び配線RSを介して撮像画素62に出力する機能を有する。回路部52は、撮像画素62から配線WXを介して出力される信号を受信し、画像データとして外部に出力する機能を有する。回路部52は、読出し回路として機能する。
【0132】
〔画素回路の構成例1〕
図7Bに、上記副画素61R、副画素61G、及び副画素61Bに適用することのできる画素61の回路図の一例を示す。画素61は、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、容量C11、及び発光素子ELを有する。また、画素61には、配線GL及び配線SLが電気的に接続される。配線SLは、図7Aで示した配線SLR、配線SLG、及び配線SLBのうちのいずれかに対応する。
【0133】
トランジスタM5は、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの一方が配線SLと電気的に接続され、他方が容量C11の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続される。トランジスタM6は、ソース及びドレインの一方が配線ALと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が発光素子ELの一方の電極、容量C11の他方の電極、及びトランジスタM7のソース及びドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタM7は、ゲートが配線GLと電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が配線RLと電気的に接続される。発光素子ELは、他方の電極が配線CLと電気的に接続される。
【0134】
トランジスタM5及びトランジスタM7は、スイッチとして機能する。トランジスタM6は、発光素子ELに流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能する。
【0135】
ここで、トランジスタM5乃至トランジスタM7の全てに、Siトランジスタを適用することが好ましい。特に、Siトランジスタとして、チャネルが形成される半導体にLTPSが適用されたトランジスタ(LTPSトランジスタ)を用いることが好ましい。または、トランジスタM5乃至トランジスタM7の全てに、OSトランジスタを適用することが好ましい。または、トランジスタM5とトランジスタM7にOSトランジスタを適用し、トランジスタM6にLTPSトランジスタを適用することが好ましい。
【0136】
OSトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、特に容量C11に直列に接続されるトランジスタM5及びトランジスタM7には、それぞれ、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。これにより、容量C1に保持される電荷が、トランジスタM5またはトランジスタM7を介してリークされることを防ぐことができる。また、容量C11に保持される電荷を長時間に亘って保持できるため、画素61のデータを書き換えることなく、静止画を長期間に亘って表示することが可能となる。
【0137】
配線SLには、データ電位が与えられる。配線GLには、選択信号が与えられる。当該選択信号には、トランジスタを導通状態とする電位と、非導通状態とする電位が含まれる。
【0138】
配線RLには、リセット電位が与えられる。配線ALには、アノード電位が与えられる。配線CLには、カソード電位が与えられる。画素61において、アノード電位はカソード電位よりも高い電位とする。また、配線RLに与えられるリセット電位は、リセット電位とカソード電位との電位差が、発光素子ELのしきい値電圧よりも小さくなるような電位とすることができる。リセット電位は、カソード電位よりも高い電位、カソード電位と同じ電位、または、カソード電位よりも低い電位とすることができる。
【0139】
図7Cに、撮像画素62の回路図の一例を示す。撮像画素62は、図5Aで例示した画素15[i,j]と同様の構成を有する。図7Cに示す構成は、容量Cに置き換えて容量C12を有する以外は、図5Aと同様であるため、詳細な説明は上記記載を援用できる。
【0140】
なお、画素61及び撮像画素62が有するトランジスタとして、半導体層を介して重なる一対のゲートを有するトランジスタを適用することもできる。
【0141】
一対のゲートを有するトランジスタにおいて、一対のゲートが互いに電気的に接続され、同じ電位が与えられる構成とすることで、トランジスタのオン電流が高まること、及び飽和特性が向上するといった利点がある。また、一対のゲートの一方に、トランジスタのしきい値電圧を制御する電位を与えてもよい。また、一対のゲートの一方に、定電位を与えることで、トランジスタの電気特性の安定性を向上させることができる。例えば、トランジスタの一方のゲートを、定電位が与えられる配線と電気的に接続する構成としてもよいし、自身のソースまたはドレインと電気的に接続する構成としてもよい。
【0142】
[回路部の構成例]
続いて、上記回路部52に用いることのできる構成の一例について説明する。
【0143】
〔構成例1〕
図8Aに、回路部52の回路図を示す。図8Aでは、j番目の配線WX[j]及び配線SL[j]に対応する一部の構成要素を示している。配線SL[j]は、j番目の配線SLR[j]、配線SLG[j]、及び配線SLB[j](図示せず)のいずれかに対応する。また、図8Aには、配線WX[j]が接続される入力端子INと、配線SL[j]が接続される出力端子OUTを示している。
【0144】
回路部52は、増幅部PA[j]、変換部ADC[j]、増幅部VA[j]、及び変換部DAC[j]を有する。
【0145】
増幅部PA[j]及び変換部ADC[j]は、上記図1Bと同様の構成を有する。増幅部PA[j]は、比較回路AMP1、容量C1、容量C2、及びスイッチSW1を有する。変換部ADC[j]は、増幅部PA[j]から入力されるアナログ電位をデジタル電位に変換し、デジタルの信号SOUT[j]として、外部に出力する。
【0146】
変換部DAC[j]は、デジタルの信号S[j]が入力され、アナログ電位である電位VDATAに変換し、増幅部VA[j]に出力する機能を有する。変換部DAC[j]はデジタル-アナログ変換回路として機能する。信号S[j]は、ビデオ信号とも呼ぶことができる。
【0147】
増幅部VA[j]は、入力される電位VDATAを配線SL[j]に出力する。増幅部VA[j]は、ビデオアンプとして機能する。
【0148】
図8Aでは、増幅部VA[j]が比較回路AMP2を有する例を示している。比較回路AMP2は、出力端子と反転入力端子とが電気的に接続され、非反転入力端子に、変換部DAC[j]から出力される電位VDATAが入力される。比較回路AMP2の出力端子は、配線SL[j]が接続される出力端子OUTと電気的に接続される。これにより、配線SL[j]に、電位VDATAを安定して出力することができる。
【0149】
基板22に、増幅部PA[j]、変換部ADC[j]、増幅部VA[j]、及び変換部DAC[j]を設け、基板22をチップ化してICの形態とすることで、表示装置50におけるソース線駆動回路と、読出し回路とを一つのICで実現することができる。これにより、表示装置50及び表示装置50が適用される電子機器の部品点数を削減することが可能となる。これにより、表示装置50及び表示装置50が適用される電子機器の製造コストを低減することができる。
【0150】
〔構成例2〕
図8Bでは、増幅部PA[j]として、上記図3で例示した構成を適用した場合の、回路部52の構成例を示している。
【0151】
増幅部PA[j]において、比較回路AMP1の非反転入力端子に、スイッチSW2を介して参照電位VREFSが与えられる配線と、スイッチSW3を介して参照電位VREFRが与えられる配線が、それぞれ接続されている。
【0152】
増幅部PA[j]の駆動方法例については、上記記載を援用できる。このような構成とすることで、読出し動作におけるクリッピングの発生を好適に抑制することができる。
【0153】
〔構成例3〕
図9Aに、上記とは一部の構成が異なる回路部52の構成例を示している。
【0154】
図9Aでは、増幅部PA[j]が有する比較回路AMP1の非反転入力端子に、増幅部VA[j]が有する比較回路AMP2の出力端子が電気的に接続されている。したがって、比較回路AMP1の非反転入力端子には、増幅部VA[j]の出力電位が、参照電位として与えられる構成となっている。
【0155】
また、変換部DAC[j]に入力される信号S[j]には、ビデオデータのほかに、増幅部PA[j]の動作に用いる2種類の参照電位のデータが含まれる。そのため、変換部DAC[j]から出力されるアナログ電位は、電位VDATA、参照電位VREFS、及び参照電位VREFRの3種類の電位が、異なる期間に出力される。
【0156】
表示部51の各画素への書き込み期間中は、信号S[j]に含まれるビデオデータに基づいて、出力端子OUTを介して配線SL[j]に電位VDATAが順次出力される。表示部51の撮像画素62を用いた撮像期間中は、信号S[j]に含まれる参照電位のデータに基づいて、比較回路AMP1の非反転入力端子に、参照電位VREFSと参照電位VREFRとが順に出力される。
【0157】
このような構成とすることで、例えば図8Bで例示した構成における、スイッチSW2、スイッチSW3、参照電位VREFSが与えられる配線、及び参照電位VREFRが与えられる配線等を省略することができる。また、スイッチSW2及びスイッチSW3を制御するための回路及び配線なども省略することができる。これにより、回路部52の構成を簡略化することができる。さらに、参照電位VREFS、及び参照電位VREFRを生成するための電源回路(電位生成回路)が不要となるため、構成を簡略化できるだけでなく、消費電力の低減にも寄与できる。
【0158】
なお、ここでは、変換部DAC[j]が、2種類の参照電位(参照電位VREFS、参照電位VREFR)を出力し、増幅部PA[j]が、2つの参照電位を切り替える駆動方法を用いる場合について説明したが、参照電位を切り替えない構成としてもよい。すなわち、変換部DAC[j]から、一種類の参照電位(参照電位VREF)が出力されるように、信号S[j]を変更することもできる。このように、図9Aに示す構成は、信号S[j]として与える信号によって、読出し回路の駆動方法を簡便に切り替えることができる。また、信号S[j]に含まれる参照電位のデータを変更することで、回路構成を変えることなく、参照電位の値の最適化を容易に行うことができる。
【0159】
〔構成例4〕
図9Bに、上記とは異なる構成を有する回路部52の例を示している。
【0160】
増幅部PA[j]が有する比較回路AMP1の非反転入力端子には、スイッチSW2を介して参照電位VREFSが与えられる配線と、スイッチSW3を介して参照電位VREFRが与えられる配線と、スイッチSW4を介して増幅部VA[j]の出力端子と、がそれぞれ接続されている。
【0161】
図9Bに示す構成は、スイッチSW4を非導通状態とすることで、増幅部PA[j]を、上記図3図4A及び図4Bで例示した方法により駆動することができる。スイッチSW4を非導通状態とすることで、出力端子OUTと増幅部PA[j]とが電気的に切り離された状態となる。これにより、表示部51の画素70へのデータの書き込み動作と、撮像画素62のからのデータの読出し動作とを、並行して行うことが可能となる。これにより、高速な撮像を実行することが可能となる。
【0162】
また、スイッチSW4を導通状態とすることで、信号S[j]に含まれ、変換部DAC[j]でアナログ変換された参照電位に基づいて、増幅部PA[j]を駆動させることができる。このような構成とすることで、あらかじめ設定された参照電位VREFS及び参照電位VREFRではない、他の参照電位を用いて増幅部PA[j]を駆動させることができる。
【0163】
このように、図9Bに示す回路部52では、スイッチSW4を制御することにより、増幅部PA[j]の駆動方法を切り替えることができる。例えば撮像モード、または外光の照度などに応じて、最適な駆動方法を選択し、切り替えることが容易となる。
【0164】
〔変形例〕
図10Aに示す回路部52は、図9Aに示した構成に、図9Bで示したスイッチSW4を追加した例である。
【0165】
図10Aに示す回路部52は、表示部51への各画素への書き込み期間中は、スイッチSW4を非導通状態とすることで、電位VDATAが比較回路AMP1に入力されないようにすることができるため、増幅部VA[j]の負荷を低減できる。また、撮像期間中は、スイッチSW4を導通状態とすることで、参照電位VREFSまたは参照電位VREFRを比較回路AMP1に出力することができる。または、参照電位VREFのみを比較回路AMP1に出力してもよい。
【0166】
図10Bに示す回路部52は、図10Aに示す構成に、さらにスイッチSW5を追加した例である。スイッチSW5は、一方の端子が出力端子OUTと電気的に接続され、他方の端子がスイッチSW4の一方の端子、及び比較回路AMP2の出力端子と電気的に接続されている。
【0167】
スイッチSW5は、表示部51への各画素への書き込み期間中に導通状態とし、撮像期間中に非導通状態とすることができる。これにより、撮像期間中において、増幅部VA[j]と配線SL[j]とを電気的に切り離すことができるため、増幅部VA[j]の負荷を低減することができる。
【0168】
なお、図10Bにおいて、スイッチSW4を設けない構成としてもよい。すなわち、図9Aに示した回路部52に、スイッチSW5のみを追加した構成としてもよい。
【0169】
また、図10Cに示す回路部52は、図9Bで例示した構成に、さらにスイッチSW5を追加した例である。
【0170】
以上が、回路部の構成例についての説明である。
【0171】
[接続部の構成例]
以下では、基板21と基板22の間の接続部の構成例について説明する。
【0172】
上述したように、基板22をチップ化し、基板22を含むICチップを基板21等に接合する場合には、これらの間の端子の数を削減することは、コストの低減、電子機器の小型化などの要求に対して重要である。以下では、端子数を削減することのできる接続部の構成について説明する。
【0173】
〔構成例1〕
図11Aには、基板21及び基板22の一部と、これらの接続部の構成を示している。基板21は端子31を有し、基板22は端子32を有する。また、端子31と端子32とは、配線33によって接続されている。
【0174】
配線33は、配線に限られず、端子31と端子32との電気的な接続を実現する様々な形態をとることができる。例えば、バンプ、プラグ、コネクタ、FPC、ACF、ACPなどのうち、1以上を配線33に用いることができる。
【0175】
基板21には、配線WX[j]、配線SL[j]、及び選択回路SEL1[j]が設けられる。ここで、配線SL[j]は、配線SLR[j]、配線SLG[j]、及び配線SLB[j](図示せず)のいずれかに対応する。
【0176】
選択回路SEL1[j]には、配線WX[j]、配線SL[j]、及び端子31が電気的に接続されている。選択回路SEL1[j]は、配線WX[j]と配線SL[j]のいずれか一方を選択し、端子31と電気的に接続させる回路である。これにより、例えば配線WX[j]または配線SL[j]は、端子31を介して配線33と導通する。
【0177】
基板22には、選択回路SEL2[j]、増幅部PA[j]、変換部ADC[j]、増幅部VA[j]、及び変換部DAC[j]が設けられる。増幅部PA[j]、変換部ADC[j]、増幅部VA[j]、及び変換部DAC[j]の各構成は、上記記載を援用することができる。なお図11Aでは、増幅部PA[j]と増幅部VA[j]を、簡易的に回路記号を用いて明示している。
【0178】
選択回路SEL2[j]は、増幅部PA[j]の入力端子、増幅部VA[j]の出力端子、及び端子32が電気的に接続されている。選択回路SEL2[j]は、増幅部PA[j]の入力端子が接続される配線と、増幅部VA[j]の出力端子が接続される配線のいずれか一方を選択し、端子32と電気的に接続させる回路である。これにより、例えば増幅部PA[j]の入力端子が接続される配線、または増幅部VA[j]の出力端子が接続される配線は、端子32を介して配線33と導通する。
【0179】
表示部51の各画素への書き込み期間では、選択回路SEL1[j]が配線SL[j]を選択し、選択回路SEL2[j]が増幅部VA[j]の出力端子が接続される配線を選択する。これにより、変換部DAC[j]で生成された電位VDATAが、選択回路SEL2[j]、端子32、配線33、端子31、及び選択回路SEL1[j]を介して、配線SL[j]に出力される。
【0180】
一方、表示部51の撮像画素62を用いた撮像期間では、選択回路SEL1[j]が配線WX[j]を選択し、選択回路SEL2[j]が増幅部PA[j]の入力端子が接続される配線を選択する。これにより、配線WX[j]から入力される第1の信号の電位である電位V、及び第2の信号の電位である電位Vが、選択回路SEL1[j]、端子31、配線33、端子32、及び選択回路SEL2[j]を介して、増幅部PA[j]に入力される。
【0181】
このような構成とすることで、基板21と基板22とを接続するための端子数を削減することができる。
【0182】
〔構成例2〕
図11Bに示す例では、基板21が有する選択回路SEL1[j]に、配線WX[j]、配線SLR[j]、配線SLG[j]、及び配線SLB[j]が接続されている。
【0183】
選択回路SEL1[j]は、配線WX[j]、配線SLR[j]、配線SLG[j]、及び配線SLB[j]のうち、いずれか1つを選択し、端子31と電気的に接続する機能を有する。例えば、配線WX[j]、配線SLR[j]、配線SLG[j]、または配線SLB[j]は、端子31を介して配線33と導通する。
【0184】
一方、基板22において、変換部DAC[j]には、信号SR[j]、信号SG[j]、信号SB[j]が異なる期間に入力される。信号SR[j]は、配線SLR[j]に出力するデータ電位を含む信号である。同様に信号SG[j]は配線SLG[j]に、信号SB[j]は配線SLB[j]に、それぞれ出力するデータ電位を含む信号である。
【0185】
表示部51の各画素への書き込み期間では、選択回路SEL1[j]が配線SLR[j]、配線SLG[j]、及び配線SLB[j]を順次選択し、選択回路SEL2[j]が増幅部VA[j]の出力端子が接続される配線を選択する。これにより、配線SLR[j]、配線SLG[j]、及び配線SLB[j]に順次データ電位が出力される。
【0186】
一方、表示部51の撮像画素62を用いた撮像期間では、選択回路SEL1[j]が配線WX[j]を選択し、選択回路SEL2[j]が増幅部PA[j]の入力端子が接続される配線を選択する。これにより、配線WX[j]から電位V、及び電位Vが、増幅部PA[j]に入力される。
【0187】
なお、ここでは選択回路SEL1[j]に3本のソース線(配線SLR[j]、配線SLG[j]、及び配線SLB[j])が接続される例を示したが、これに限られず、2本でもよいし、4本以上であってもよい。特に、3の倍数のソース線を接続することが好ましい。
【0188】
このような構成とすることで、基板21と基板22とを接続するための端子数をより削減することができる。
【0189】
ここで、選択回路SEL1[j]及び選択回路SEL2[j]の構成は特に限られず、様々な構成をとることができる。例えば、複数のアナログスイッチを有し、当該アナログスイッチにより、配線の導通、非導通を制御することのできる回路を好適に用いることができる。
【0190】
以上が、端子部の構成例についての説明である。
【0191】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0192】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0193】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について説明する。
【0194】
以下で例示する表示装置は、発光素子と、受光素子を備える。表示装置は、画像を表示する機能と、被検出体からの反射光を用いて位置検出を行う機能と、被検出体からの反射光を用いて指紋等の撮像を行う機能と、を有する。以下で例示する表示装置は、タッチパネルとしての機能と、指紋センサとしての機能と、を有するともいうことができる。
【0195】
本発明の一態様の表示装置は、第1の光を呈する発光素子(発光デバイス)と、当該第1の光を受光する受光素子(受光デバイス)とを有する。すなわち、受光素子は、その受光波長域が、発光素子の発光波長を包含する素子とする。受光素子は、光電変換素子であることが好ましい。第1の光としては、可視光、または赤外光を用いることができる。第1の光として赤外光を用いる場合には、第1の光を呈する発光素子のほかに、可視光を呈する発光素子を有する構成とすることができる。
【0196】
また、表示装置は、一対の基板(第1の基板と第2の基板ともいう)を有する。発光素子及び受光素子は、第1の基板と第2の基板との間に配置される。第1の基板は、表示面側に位置し、第2の基板は、表示面側とは反対側に位置する。
【0197】
発光素子から発せられた可視光は、第1の基板を介して外部に射出される。表示装置が、マトリクス状に配列した複数の当該発光素子を有することで、画像を表示することができる。
【0198】
また、発光素子から発せられた第1の光は、第1の基板の表面に到達する。ここで、第1の基板の表面に物体が触れると、第1の基板と物体の界面で第1の光が散乱され、その散乱光の一部が、受光素子に入射される。受光素子は第1の光を受光すると、その強度に応じた電気信号に変換して出力することができる。表示装置が、マトリクス状に配列した複数の受光素子を有することで、第1の基板に触れる物体の位置情報、形状などを検出することができる。すなわち、表示装置は、イメージセンサパネル、タッチセンサパネルなどとして機能させることができる。
【0199】
なお、物体が第1の基板の表面に触れない場合であっても、第1の基板を透過した第1の光が物体表面で反射または散乱され、その反射光または散乱光が、第1の基板を介して受光素子に入射される。そのため、表示装置は、非接触型のタッチセンサパネル(ニアタッチパネルともいう)として用いることもできる。
【0200】
第1の光として可視光を用いる場合には、画像の表示に用いた第1の光を、タッチセンサの光源として用いることができる。このとき、発光素子が表示素子としての機能と、光源としての機能とを兼ねるため、表示装置の構成を簡略化できる。一方、第1の光として赤外光を用いる場合には、使用者に視認されないため、表示画像に対する視認性を低下させることなく、受光素子による撮像またはセンシングを行うことができる。
【0201】
第1の光として赤外光を用いる場合には、赤外光、好ましくは近赤外光を含むことが好ましい。特に、波長700nm以上2500nm以下の範囲に一以上のピークを有する近赤外光を好適に用いることができる。特に、波長750nm以上1000nm以下の範囲に一以上のピークを有する光を用いることで、受光素子の活性層に用いる材料の選択の幅が広がるため好ましい。
【0202】
表示装置の表面に、指先が触れることで、指紋の形状を撮像することができる。指紋は凹部と凸部があり、第1の基板表面に触れる指紋の凸部では第1の光が散乱されやすい。そのため、指紋の凸部と重畳する受光素子に入射される散乱光の強度は大きく、凹部と重畳する受光素子に入射される散乱光の強度は小さくなる。これにより、指紋を撮像することができる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、撮像された指紋の画像を利用して、生体認証のひとつである指紋認証を行うことができる。
【0203】
また、表示装置は、指または手などの血管、特に静脈を撮像することもできる。例えば、波長760nm及びその近傍の光は、静脈中の還元ヘモグロビンに吸収されないため、手のひら、指などからの反射光を受光素子で受光して画像化することで、静脈の位置を検出することができる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、撮像された静脈の画像を利用して、生体認証のひとつである静脈認証を行うことができる。
【0204】
また、本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、タッチセンシングと、指紋認証と、静脈認証とを同時に行うこともできる。これにより、部品点数を増やすことなく、低コストで、セキュリティレベルの高い生体認証を実行できる。
【0205】
受光素子は、可視光と赤外光の両方を受光可能な素子であることが好ましい。このとき、発光素子として、赤外光を発する発光素子と、可視光を発する発光素子の両方を有する構成とすることが好ましい。これにより、可視光を用いてユーザーの指で反射した反射光を受光素子で受光することにより、指紋の形状を撮像することができる。さらに、赤外光を用いて静脈の形状を撮像することができる。これにより、指紋認証と静脈認証の両方を、一つの表示装置で実行することが可能となる。また、指紋の撮像と、静脈の撮像は、それぞれ異なるタイミングで実行してもよいし、同時に実行してもよい。指紋の撮像と、静脈の撮像とを同時に行うことで、指紋の形状の情報と、静脈の形状の情報の両方が含まれる画像データを取得することが可能となり、より精度の高い生体認証を実現できる。
【0206】
また、本発明の一態様の表示装置は、ユーザーの健康状態を検出する機能を有していてもよい。例えば、血中の酸素飽和度の変化に応じて、可視光及び赤外光に対する反射率及び透過率が変化することを利用し、当該酸素飽和度の時間変調を取得することにより、心拍数を測定することが可能となる。また、真皮中のグルコース濃度、または血液中の中性脂肪濃度なども、赤外光または可視光により測定することもできる。本発明の一態様の表示装置を有するデバイスは、ユーザーの健康状態の指標となる情報を取得することのできる、ヘルスケア機器として用いることができる。
【0207】
また、第1の基板は、発光素子を封止するための封止基板、または保護フィルムなどを用いることができる。また、第1の基板と第2の基板との間に、これらを接着する樹脂層を有していてもよい。
【0208】
ここで、発光素子には、OLED(Organic Light Emitting Diode)、またはQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。また、発光素子として、マイクロLED(Light Emitting Diode)などのLEDを用いることもできる。
【0209】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。光電変換素子は、入射する光量に応じて、発生する電荷量が決まる。特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0210】
発光素子は、例えば一対の電極間に発光層を備える積層構造とすることができる。また、受光素子は、一対の電極間に活性層を備える積層構造とすることができる。受光素子の活性層には、半導体材料を用いることができる。例えば、シリコンなどの無機半導体材料を用いることができる。
【0211】
また、受光素子の活性層に、有機化合物を用いることが好ましい。このとき、発光素子と受光素子の一方の電極(画素電極ともいう)を、同一面上に設けることが好ましい。さらに、発光素子と受光素子の他方の電極を、連続した一の導電層により形成される電極(共通電極ともいう)とすることがより好ましい。さらに、発光素子と受光素子とが、共通層を有することがより好ましい。これにより、発光素子と受光素子とを作製する際の作製工程を簡略化でき、製造コストを低減すること、及び、製造歩留りを向上させることができる。
【0212】
以下では、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
【0213】
[表示パネルの構成例1]
〔構成例1-1〕
図12Aに、表示パネル80の模式図を示す。表示パネル80は、基板81、基板82、受光素子83、発光素子87R、発光素子87G、発光素子87B、機能層85等を有する。
【0214】
発光素子87R、発光素子87G、発光素子87B、及び受光素子83は、基板81と基板82の間に設けられている。
【0215】
発光素子87R、発光素子87G、発光素子87Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の光を発する。
【0216】
表示パネル80は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子83を有する。受光素子83は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子83を有していてもよい。
【0217】
図12Aには、基板82の表面に指90が触れる様子を示している。発光素子87Gが発する光の一部は、基板82と指90との接触部で反射または散乱される。そして、反射光または散乱光の一部が、受光素子83に入射されることにより、指90が基板82に接触したことを検出することができる。すなわち、表示パネル80はタッチパネルとして機能することができる。
【0218】
機能層85は、発光素子87R、発光素子87G、発光素子87Bを駆動する回路、及び、受光素子83を駆動する回路を有する。機能層85には、スイッチ、トランジスタ、容量、配線などが設けられる。なお、発光素子87R、発光素子87G、発光素子87B、及び受光素子83をパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチ、トランジスタなどを設けない構成としてもよい。
【0219】
表示パネル80は、指90の指紋を検出する機能を有していてもよい。図12Bには、基板82に指90が触れている状態における接触部の拡大図を模式的に示している。また、図12Bには、交互に配列した発光素子87と受光素子83を示している。
【0220】
指90は凹部及び凸部により指紋が形成されている。そのため、図12Bに示すように指紋の凸部が、基板82に触れ、これらの接触面において、散乱光(破線矢印で示す)が生じる。
【0221】
図12Bに示すように、指90と基板82の接触面で散乱される散乱光の強度分布は、概ね接触面に垂直な向きの強度が最も高く、これよりも斜め方向に角度が大きくなるほど低い強度分布となる。したがって、接触面の直下に位置する(接触面と重なる)受光素子83が受光する光の強度が最も高くなる。また、散乱光のうち、散乱角が所定の角度以上の光は、基板82の他方の面(接触面とは反対側の面)で全反射し、受光素子83側には透過しなくなる。そのため、明瞭な指紋形状を撮像することができる。
【0222】
受光素子83の配列間隔は、指紋の2つの凸部間の距離、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね200μmであることから、例えば受光素子83の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下であって、1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上とする。
【0223】
表示パネル80で撮像した指紋の画像の例を図12Cに示す。図12Cには、撮像範囲93内に、指90の輪郭を破線で、接触部91の輪郭を一点鎖線で示している。接触部91内において、受光素子83に入射する光量の違いによって、コントラストの高い指紋92を撮像することができる。
【0224】
表示パネル80は、タッチパネル、またはペンタブレットとしても機能させることができる。図12Dには、スタイラス95の先端を基板82に接触させた状態で、破線矢印の方向に滑らせている様子を示している。
【0225】
図12Dに示すように、スタイラス95の先端と、基板82の接触面で散乱される散乱光が、当該接触面と重なる部分に位置する受光素子83に入射することで、スタイラス95の先端の位置を高精度に検出することができる。
【0226】
図12Eには、表示パネル80で検出したスタイラス95の軌跡96の例を示している。表示パネル80は、高い位置精度でスタイラス95等の被検出体の位置検出が可能であるため、描画アプリケーション等において、高精細な描画を行うことも可能である。また、静電容量式のタッチセンサや、電磁誘導型のタッチペン等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検出体であっても位置検出が可能であるため、スタイラス95の先端部の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペンなど)を用いることもできる。
【0227】
ここで、図12F乃至図12Hに、表示パネル80に適用可能な画素の一例を示す。
【0228】
図12F、及び図12Gに示す画素は、それぞれ赤色(R)の発光素子87R、緑色(G)の発光素子87G、青色(B)の発光素子87Bと、受光素子83を有する。画素は、それぞれ発光素子87R、発光素子87G、発光素子87B、及び受光素子83を駆動するための画素回路を有する。
【0229】
図12Fは、2×2のマトリクス状に、3つの発光素子と1つの受光素子が配置されている例である。図12Gは、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、横長の1つの受光素子83が配置されている例である。
【0230】
図12Hに示す画素は、白色(W)の発光素子87Wを有する例である。ここでは、4つの発光素子が一列に配列し、その下側に受光素子83が配置されている。
【0231】
なお、画素の構成は上記に限られず、様々な配置方法を採用することができる。
【0232】
〔構成例1-2〕
以下では、可視光を呈する発光素子と、赤外光を呈する発光素子と、受光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0233】
図13Aに示す表示パネル80Aは、図12Aで例示した構成に加えて、発光素子87IRを有する。発光素子87IRは、赤外光IRを発する発光素子である。またこのとき、受光素子83には、少なくとも発光素子87IRが発する赤外光IRを受光することのできる素子を用いることが好ましい。また、受光素子83として、可視光と赤外光の両方を受光することのできる素子を用いることがより好ましい。
【0234】
図13Aに示すように、基板82に指90が触れると、発光素子87IRから発せられた赤外光IRが指90により反射または散乱され、当該反射光または散乱光の一部が受光素子83に入射されることにより、指90の位置情報を取得することができる。
【0235】
図13B乃至図13Dに、表示パネル80Aに適用可能な画素の一例を示す。
【0236】
図13Bは、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、発光素子87IRと、受光素子83とが横に並んで配置されている例である。また、図13Cは、発光素子87IRを含む4つの発光素子が一列に配列し、その下側に、受光素子83が配置されている例である。
【0237】
また、図13Dは、発光素子87IRを中心にして、四方に3つの発光素子と、受光素子83が配置されている例である。
【0238】
なお、図13B乃至図13Dに示す画素において、発光素子同士、及び発光素子と受光素子とは、それぞれの位置を交換可能である。
【0239】
[表示パネルの構成例2]
〔構成例2-1〕
図14Aに、表示パネル100Aの断面概略図を示す。
【0240】
表示パネル100Aは、受光素子110及び発光素子190を有する。受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0241】
画素電極111、画素電極191、共通層112、活性層113、発光層193、共通層114、及び共通電極115は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0242】
画素電極111及び画素電極191は、絶縁層214上に位置する。画素電極111と画素電極191は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。
【0243】
共通層112は、画素電極111上及び画素電極191上に位置する。共通層112は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0244】
活性層113は、共通層112を介して、画素電極111と重なる。発光層193は、共通層112を介して、画素電極191と重なる。活性層113は、第1の有機化合物を有し、発光層193は、第1の有機化合物とは異なる第2の有機化合物を有する。
【0245】
共通層114は、共通層112上、活性層113上、及び発光層193上に位置する。共通層114は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0246】
共通電極115は、共通層112、活性層113、及び共通層114を介して、画素電極111と重なる部分を有する。また、共通電極115は、共通層112、発光層193、及び共通層114を介して、画素電極191と重なる部分を有する。共通電極115は、受光素子110と発光素子190に共通で用いられる層である。
【0247】
本実施の形態の表示パネルでは、受光素子110の活性層113に有機化合物を用いる。受光素子110は、活性層113以外の層を、発光素子190(EL素子)と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子190の作製工程に、活性層113を成膜する工程を追加するのみで、発光素子190の形成と並行して受光素子110を形成することができる。また、発光素子190と受光素子110とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示パネルに受光素子110を内蔵することができる。
【0248】
表示パネル100Aでは、受光素子110の活性層113と、発光素子190の発光層193と、を作り分ける以外は、受光素子110と発光素子190が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子110と発光素子190の構成はこれに限定されない。受光素子110と発光素子190は、活性層113と発光層193のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい(後述の表示パネル100D、100E、100F参照)。受光素子110と発光素子190は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示パネルに受光素子110を内蔵することができる。
【0249】
表示パネル100Aは、一対の基板(基板151及び基板152)間に、受光素子110、発光素子190、トランジスタ131、及びトランジスタ132等を有する。
【0250】
受光素子110において、それぞれ画素電極111及び共通電極115の間に位置する共通層112、活性層113、及び共通層114は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極111は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極111の端部は隔壁216によって覆われている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0251】
受光素子110は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子110は、基板152を介して外部から入射される光122を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0252】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。
【0253】
遮光層BMとしては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層BMは、可視光を吸収することが好ましい。遮光層BMとして、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層BMは、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0254】
ここで、発光素子190の発光の一部が、表示パネル100A内で反射され、受光素子110に入射されてしまう場合がある。遮光層BMは、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層BMが設けられていない場合、発光素子190が発した光123aは、基板152で反射され、反射光123bが受光素子110に入射することがある。遮光層BMを設けることで、反射光123bが受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0255】
発光素子190において、それぞれ画素電極191及び共通電極115の間に位置する共通層112、発光層193、及び共通層114は、EL層ということもできる。画素電極191は可視光を反射する機能を有することが好ましい。画素電極191の端部は隔壁216によって覆われている。画素電極111と画素電極191とは隔壁216によって互いに電気的に絶縁されている。共通電極115は可視光を透過する機能を有する。
【0256】
発光素子190は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子190は、画素電極191と共通電極115との間に電圧を印加することで、基板152側に光121を射出する電界発光素子である。
【0257】
発光層193は、受光素子110の受光領域と重ならないように形成されることが好ましい。これにより、発光層193が光122を吸収することを抑制でき、受光素子110に照射される光量を多くすることができる。
【0258】
画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ131が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。
【0259】
画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ132が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。トランジスタ132は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。
【0260】
トランジスタ131とトランジスタ132とは、同一の層(図14Aでは基板151)上に接している。
【0261】
受光素子110と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子190と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示パネルの厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0262】
受光素子110及び発光素子190は、それぞれ、保護層195に覆われていることが好ましい。図14Aでは、保護層195が、共通電極115上に接して設けられている。保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。また、接着層142によって、保護層195と基板152とが貼り合わされている。
【0263】
なお、図15Aに示すように、受光素子110上及び発光素子190上に保護層を有していなくてもよい。図15Aでは、接着層142によって、共通電極115と基板152とが貼り合わされている。
【0264】
また、図15Bに示すように、遮光層BMを有さない構成としてもよい。これにより、受光素子110の受光面積を大きくできるため、よりセンサの感度を高めることができる。
【0265】
〔構成例2-2〕
図14Bに表示パネル100Bの断面概略図を示す。なお、以降の表示パネルの説明において、先に説明した表示パネルと同様の構成については、説明を省略することがある。
【0266】
図14Bに示す表示パネル100Bは、表示パネル100Aの構成に加え、レンズ149を有する。
【0267】
レンズ149は、受光素子110と重なる位置に設けられている。表示パネル100Bでは、レンズ149が基板152に接して設けられている。表示パネル100Bが有するレンズ149は、基板151側に凸面を有する凸レンズである。なお、基板152側に凸面を有する凸レンズを、受光素子110と重なる領域に配置してもよい。
【0268】
基板152の同一面上に遮光層BMとレンズ149との双方を形成する場合、その形成順は問わない。図14Bでは、レンズ149を先に形成する例を示すが、遮光層BMを先に形成してもよい。図14Bでは、レンズ149の端部が遮光層BMによって覆われている。
【0269】
表示パネル100Bは、光122がレンズ149を介して受光素子110に入射する構成である。レンズ149を有すると、レンズ149を有さない場合に比べて、受光素子110に入射される光122の光量を増やすことができる。これにより、受光素子110の感度を高めることができる。
【0270】
本実施の形態の表示パネルに用いるレンズの形成方法としては、基板上または受光素子上にマイクロレンズなどのレンズを直接形成してもよいし、別途作製されたマイクロレンズアレイなどのレンズアレイを基板に貼り合わせてもよい。
【0271】
〔構成例2-3〕
図14Cに、表示パネル100Cの断面概略図を示す。表示パネル100Cは、基板151、基板152、及び隔壁216を有さず、基板153、基板154、接着層155、絶縁層212、及び隔壁217を有する点で、表示パネル100Aと異なる。
【0272】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0273】
表示パネル100Cは、作製基板上に形成された絶縁層212、トランジスタ131、トランジスタ132、受光素子110、及び発光素子190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示パネル100Cの可撓性を高めることができる。例えば、基板153及び基板154には、それぞれ、樹脂を用いることが好ましい。
【0274】
基板153及び基板154としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板153及び基板154の一方または双方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いてもよい。
【0275】
本実施の形態の表示パネルが有する基板には、光学等方性が高いフィルムを用いてもよい。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
【0276】
隔壁217は、発光素子が発した光を吸収することが好ましい。隔壁217として、例えば、顔料もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。また、茶色レジスト材料を用いることで、着色された絶縁層で隔壁217を構成することができる。
【0277】
発光素子190が発した光123cは、基板154及び隔壁217で反射され、反射光123dが受光素子110に入射することがある。また、光123cが隔壁217を透過し、トランジスタまたは配線等で反射されることで、反射光が受光素子110に入射することがある。隔壁217によって光123cが吸収されることで、反射光123dが受光素子110に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子110を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0278】
隔壁217は、少なくとも、受光素子110が検出する光の波長を吸収することが好ましい。例えば、発光素子190が発する赤色の光を受光素子110が検出する場合、隔壁217は、少なくとも赤色の光を吸収することが好ましい。例えば、隔壁217が、青色のカラーフィルタを有すると、赤色の光123cを吸収することができ、反射光123dが受光素子110に入射することを抑制できる。
【0279】
〔構成例2-4〕
上記では、発光素子と受光素子が、2つの共通層を有する例を示したが、これに限られない。以下では、共通層の構成が異なる例について説明する。
【0280】
図16Aに、表示パネル100Dの断面概略図を示す。表示パネル100Dは、共通層114を有さず、バッファ層184及びバッファ層194を有する点で、表示パネル100Aと異なる。バッファ層184及びバッファ層194は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0281】
表示パネル100Dにおいて、受光素子110は、画素電極111、共通層112、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、表示パネル100Dにおいて、発光素子190は、画素電極191、共通層112、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0282】
表示パネル100Dでは、共通電極115と活性層113との間のバッファ層184と、共通電極115と発光層193との間のバッファ層194とを作り分ける例を示す。バッファ層184及びバッファ層194としては、例えば、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0283】
図16Bに、表示パネル100Eの断面概略図を示す。表示パネル100Eは、共通層112を有さず、バッファ層182及びバッファ層192を有する点で、表示パネル100Aと異なる。バッファ層182及びバッファ層192は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0284】
表示パネル100Eにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、共通層114、及び共通電極115を有する。また、表示パネル100Eにおいて、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、共通層114、及び共通電極115を有する。
【0285】
表示パネル100Eでは、画素電極111と活性層113との間のバッファ層182と、画素電極191と発光層193との間のバッファ層192とを作り分ける例を示す。バッファ層182及びバッファ層192としては、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を形成することができる。
【0286】
図16Cに、表示パネル100Fの断面概略図を示す。表示パネル100Fは、共通層112及び共通層114を有さず、バッファ層182、バッファ層184、バッファ層192、及びバッファ層194を有する点で、表示パネル100Aと異なる。
【0287】
表示パネル100Fにおいて、受光素子110は、画素電極111、バッファ層182、活性層113、バッファ層184、及び共通電極115を有する。また、表示パネル100Fにおいて、発光素子190は、画素電極191、バッファ層192、発光層193、バッファ層194、及び共通電極115を有する。
【0288】
受光素子110と発光素子190の作製において、活性層113と発光層193を作り分けるだけでなく、他の層も作り分けることができる。
【0289】
表示パネル100Fでは、受光素子110と発光素子190とで、一対の電極(画素電極111または画素電極191と共通電極115)間に、共通の層を有さない例を示す。表示パネル100Fが有する受光素子110及び発光素子190は、絶縁層214上に画素電極111と画素電極191とを同一の材料及び同一の工程で形成し、画素電極111上にバッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を、画素電極191上にバッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を、それぞれ形成した後に、バッファ層184及びバッファ層194等を覆うように共通電極115を形成することで作製できる。
【0290】
なお、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184の積層構造と、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194の積層構造の作製順は特に限定されない。例えば、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜した後に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を成膜してもよい。逆に、バッファ層182、活性層113、及びバッファ層184を成膜する前に、バッファ層192、発光層193、及びバッファ層194を成膜してもよい。また、バッファ層182、バッファ層192、活性層113、発光層193、などの順に交互に成膜してもよい。
【0291】
[表示パネルの構成例3]
以下では、表示パネルのより具体的な構成例について説明する。
【0292】
〔構成例3-1〕
図17に、表示パネル200Aの斜視図を示す。
【0293】
表示パネル200Aは、基板151と基板152とが貼り合された構成を有する。図17では、基板152を破線で示している。
【0294】
表示パネル200Aは、表示部162、回路164、配線165等を有する。図17では、表示パネル200AにIC(集積回路)173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、図17に示す構成は、表示パネル200A、IC、及びFPCを有する表示モジュールということもできる。
【0295】
回路164としては、走査線駆動回路を用いることができる。
【0296】
配線165は、表示部162及び回路164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から入力されるか、またはIC173から配線165に入力される。
【0297】
図17では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式などにより、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173は、例えば走査線駆動回路及び信号線駆動回路等を有するICを適用できる。なお、表示パネル200A及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0298】
図18に、図17で示した表示パネル200Aの、FPC172を含む領域の一部、回路164を含む領域の一部、表示部162を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0299】
図18に示す表示パネル200Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ201、トランジスタ205、トランジスタ206、発光素子190、受光素子110等を有する。
【0300】
基板152と絶縁層214は接着層142を介して接着されている。発光素子190及び受光素子110の封止には、固体封止構造または中空封止構造などが適用できる。図18では、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143が、不活性ガス(窒素、アルゴンなど)で充填されており、中空封止構造が適用されている。接着層142は、発光素子190と重ねて設けられていてもよい。また、基板152、接着層142、及び絶縁層214に囲まれた空間143を、接着層142とは異なる樹脂で充填してもよい。
【0301】
発光素子190は、絶縁層214側から画素電極191、共通層112、発光層193、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極191は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ206が有する導電層222bと接続されている。トランジスタ206は、発光素子190の駆動を制御する機能を有する。画素電極191の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極191は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0302】
受光素子110は、絶縁層214側から画素電極111、共通層112、活性層113、共通層114、及び共通電極115の順に積層された積層構造を有する。画素電極111は、絶縁層214に設けられた開口を介して、トランジスタ205が有する導電層222bと電気的に接続されている。画素電極111の端部は、隔壁216によって覆われている。画素電極111は可視光を反射する材料を含み、共通電極115は可視光を透過する材料を含む。
【0303】
発光素子190が発する光は、基板152側に射出される。また、受光素子110には、基板152及び空間143を介して、光が入射する。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0304】
画素電極111及び画素電極191は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。共通層112、共通層114、及び共通電極115は、受光素子110と発光素子190との双方に用いられる。受光素子110と発光素子190とは、活性層113と発光層193の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示パネル200Aに受光素子110を内蔵することができる。
【0305】
基板152の基板151側の面には、遮光層BMが設けられている。遮光層BMは、受光素子110と重なる位置及び発光素子190と重なる位置に開口を有する。遮光層BMを設けることで、受光素子110が光を検出する範囲を制御することができる。また、遮光層BMを有することで、発光素子190から受光素子110に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0306】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0307】
基板151上には、絶縁層211、絶縁層213、絶縁層215、及び絶縁層214がこの順で設けられている。絶縁層211は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層213は、その一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層215は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層214は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0308】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水または水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0309】
絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0310】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示パネル200Aの端部近傍に開口を有することが好ましい。これにより、表示パネル200Aの端部から有機絶縁膜を介して不純物が拡散することを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示パネル200Aの端部よりも内側に位置するように有機絶縁膜を形成し、表示パネル200Aの端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0311】
平坦化層として機能する絶縁層214には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0312】
図18に示す領域228では、絶縁層214に開口が形成されている。これにより、絶縁層214に有機絶縁膜を用いる場合であっても、絶縁層214を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制できる。したがって、表示パネル200Aの信頼性を高めることができる。
【0313】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、ソース及びドレインとして機能する導電層222a及び導電層222b、半導体層231、ゲート絶縁層として機能する絶縁層213、並びに、ゲートとして機能する導電層223を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。絶縁層211は、導電層221と半導体層231との間に位置する。絶縁層213は、導電層223と半導体層231との間に位置する。
【0314】
本実施の形態の表示パネルが有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0315】
トランジスタ201、トランジスタ205、及びトランジスタ206には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0316】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0317】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0318】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0319】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0320】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Mに対するInの原子数比が1以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
【0321】
スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する半導体層を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
【0322】
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inを4としたとき、Gaが1以上3以下であり、Znが2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inを5としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inを1としたときに、Gaが0.1より大きく2以下であり、Znが0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0323】
回路164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0324】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。接続部204の上面は、画素電極191と同一の導電膜を加工して得られた導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0325】
基板152の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0326】
基板151及び基板152には、それぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示パネルの可撓性を高めることができる。
【0327】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0328】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0329】
発光素子190は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型などがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0330】
発光素子190は少なくとも発光層193を有する。発光素子190は、発光層193以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、電子ブロック材料、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。例えば、共通層112は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することが好ましい。例えば、共通層114は、電子輸送層及び電子注入層の一方または双方を有することが好ましい。
【0331】
共通層112、発光層193、及び共通層114には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。共通層112、発光層193、及び共通層114を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0332】
発光層193は、発光材料として、量子ドットなどの無機化合物を有していてもよい。
【0333】
受光素子110の活性層113は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光素子190の発光層193と、受光素子110の活性層113と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0334】
活性層113が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光デバイスとして有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0335】
また、活性層113が有するn型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0336】
活性層113が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0337】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0338】
例えば、活性層113は、n型半導体とp型半導体とを共蒸着して形成することが好ましい。または、活性層113は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0339】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示パネルを構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0340】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料、または該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示パネルを構成する各種配線及び電極などの導電層、または表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0341】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0342】
〔構成例3-2〕
図19Aに、表示パネル200Bの断面図を示す。表示パネル200Bは、レンズ149及び保護層195を有する点で、主に表示パネル200Aと相違している。
【0343】
受光素子110及び発光素子190を覆う保護層195を設けることで、受光素子110及び発光素子190に水などの不純物が拡散することを抑制し、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0344】
表示パネル200Bの端部近傍の領域228において、絶縁層214の開口を介して、絶縁層215と保護層195とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層215が有する無機絶縁膜と保護層195が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部162に不純物が拡散することを抑制することができる。したがって、表示パネル200Bの信頼性を高めることができる。
【0345】
図19Bに、保護層195が3層構造である例を示す。図19Bにおいて、保護層195は、共通電極115上の無機絶縁層195aと、無機絶縁層195a上の有機絶縁層195bと、有機絶縁層195b上の無機絶縁層195cと、を有する。
【0346】
無機絶縁層195aの端部と無機絶縁層195cの端部は、有機絶縁層195bの端部よりも外側に延在し、互いに接している。そして、無機絶縁層195aは、絶縁層214(有機絶縁層)の開口を介して、絶縁層215(無機絶縁層)と接する。これにより、絶縁層215と保護層195とで、受光素子110及び発光素子190を囲うことができるため、受光素子110及び発光素子190の信頼性を高めることができる。
【0347】
このように、保護層195は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0348】
基板152の基板151側の面に、レンズ149が設けられている。レンズ149は、基板151側に凸面を有する。受光素子110の受光領域は、レンズ149と重なり、かつ、発光層193と重ならないことが好ましい。これにより、受光素子110を用いたセンサの感度及び精度を高めることができる。
【0349】
レンズ149は、受光素子110が受光する光の波長に対する屈折率が1.3以上2.5以下であることが好ましい。レンズ149は、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を用いて形成することができる。例えば、樹脂を含む材料をレンズ149に用いることができる。また、酸化物及び硫化物の少なくとも一方を含む材料をレンズ149に用いることができる。
【0350】
具体的には、塩素、臭素、またはヨウ素を含む樹脂、重金属原子を含む樹脂、芳香環を含む樹脂、硫黄を含む樹脂などをレンズ149に用いることができる。または、樹脂と当該樹脂より屈折率の高い材料のナノ粒子を含む材料をレンズ149に用いることができる。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムなどをナノ粒子に用いることができる。
【0351】
また、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、インジウムとスズを含む酸化物、またはインジウムとガリウムと亜鉛を含む酸化物などを、レンズ149に用いることができる。または、硫化亜鉛などを、レンズ149に用いることができる。
【0352】
また、表示パネル200Bでは、保護層195と基板152とが接着層142によって貼り合わされている。接着層142は、受光素子110及び発光素子190とそれぞれ重ねて設けられており、表示パネル200Bには、固体封止構造が適用されている。
【0353】
〔構成例3-3〕
図20Aに、表示パネル200Cの断面図を示す。表示パネル200Cは、トランジスタの構造が異なる点、遮光層BM及びレンズ149を有さない点で、主に表示パネル200Bと相違している。
【0354】
表示パネル200Cは、基板151上に、トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210を有する。
【0355】
トランジスタ208、トランジスタ209、及びトランジスタ210は、ゲートとして機能する導電層221、ゲート絶縁層として機能する絶縁層211、チャネル形成領域231i及び一対の低抵抗領域231nを有する半導体層、一対の低抵抗領域231nの一方と接続する導電層222a、一対の低抵抗領域231nの他方と接続する導電層222b、ゲート絶縁層として機能する絶縁層225、ゲートとして機能する導電層223、並びに、導電層223を覆う絶縁層215を有する。絶縁層211は、導電層221とチャネル形成領域231iとの間に位置する。絶縁層225は、導電層223とチャネル形成領域231iとの間に位置する。
【0356】
導電層222a及び導電層222bは、それぞれ、絶縁層225及び絶縁層215に設けられた開口を介して低抵抗領域231nと接続される。導電層222a及び導電層222bのうち、一方はソースとして機能し、他方はドレインとして機能する。
【0357】
発光素子190の画素電極191は、導電層222bを介してトランジスタ208の一対の低抵抗領域231nの一方と電気的に接続される。
【0358】
受光素子110の画素電極111は、導電層222bを介してトランジスタ209の一対の低抵抗領域231nの他方と電気的に接続される。
【0359】
図20Aには、絶縁層225が半導体層の上面及び側面を覆う例を示している。一方、図20Bには、絶縁層225は、半導体層231のチャネル形成領域231iと重なり、低抵抗領域231nとは重ならないトランジスタ202の例を示している。例えば、導電層223をマスクとして用いて絶縁層225を加工することで、図20Bに示す構造を作製できる。図20Bでは、絶縁層225及び導電層223を覆って絶縁層215が設けられ、絶縁層215の開口を介して、導電層222a及び導電層222bがそれぞれ低抵抗領域231nと接続されている。さらに、トランジスタを覆う絶縁層218を設けてもよい。
【0360】
〔構成例3-4〕
図21に、表示パネル200Dの断面図を示す。表示パネル200Dは、基板の構成が異なる点で、表示パネル200Cと主に相違している。
【0361】
表示パネル200Dは、基板151及び基板152を有さず、基板153、基板154、接着層155、及び絶縁層212を有する。
【0362】
基板153と絶縁層212とは接着層155によって貼り合わされている。基板154と保護層195とは接着層142によって貼り合わされている。
【0363】
表示パネル200Dは、作製基板上で形成された絶縁層212、トランジスタ208、トランジスタ209、受光素子110、及び発光素子190等を、基板153上に転置することで作製される構成である。基板153及び基板154は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示パネル200Dの可撓性を高めることができる。
【0364】
絶縁層212には、絶縁層211、絶縁層213、及び絶縁層215に用いることができる無機絶縁膜を用いることができる。または、絶縁層212として、有機絶縁膜と無機絶縁膜の積層膜としてもよい。このとき、トランジスタ209側の膜を、無機絶縁膜とすることが好ましい。
【0365】
以上が、表示パネルの構成例についての説明である。
【0366】
[金属酸化物について]
以下では、半導体層に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0367】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。例えば、亜鉛酸窒化物(ZnON)などの窒素を有する金属酸化物を、半導体層に用いてもよい。
【0368】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能または材料の構成の一例を表す。
【0369】
例えば、半導体層にはCAC(Cloud-Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconductor)を用いることができる。
【0370】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの半導体層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0371】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0372】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0373】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0374】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0375】
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0376】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0377】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0378】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0379】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入、及び欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物及び欠陥(酸素欠損(V:oxygen vacancyともいう。)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0380】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSまたは非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0381】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な構造をとる場合がある。特に、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0382】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0383】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0384】
半導体層として機能する金属酸化物膜は、不活性ガス及び酸素ガスのいずれか一方または双方を用いて成膜することができる。なお、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)に、特に限定はない。ただし、電界効果移動度が高いトランジスタを得る場合においては、金属酸化物膜の成膜時における酸素の流量比(酸素分圧)は、0%以上30%以下が好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、7%以上15%以下がさらに好ましい。
【0385】
金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上であることが好ましく、2.5eV以上であることがより好ましく、3eV以上であることがさらに好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0386】
金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、350℃以下が好ましく、室温以上200℃以下がより好ましく、室温以上130℃以下がさらに好ましい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度が室温であると、生産性を高めることができ、好ましい。
【0387】
金属酸化物膜は、スパッタリング法により形成することができる。そのほか、例えばPLD法、PECVD法、熱CVD法、ALD法、真空蒸着法などを用いてもよい。
【0388】
以上が、金属酸化物についての説明である。
【0389】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0390】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置が適用された電子機器について、図22図24を用いて説明する。
【0391】
本実施の形態の電子機器は、本発明の一態様の表示装置を有する。表示装置は、光を検出する機能を有するため、表示部で生体認証を行うこと、及び、タッチもしくはニアタッチを検出することができる。本発明の一態様の電子機器は、不正使用が困難で、セキュリティレベルの極めて高い電子機器である。また、電子機器の機能性及び利便性などを高めることができる。
【0392】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0393】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0394】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0395】
図22Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0396】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0397】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0398】
図22Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0399】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0400】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0401】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0402】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0403】
図23Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0404】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0405】
図23Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、または別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0406】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0407】
図23Bに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0408】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0409】
図23C、及び図23Dに、デジタルサイネージの一例を示す。
【0410】
図23Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0411】
図23Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0412】
図23C及び図23(D)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0413】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0414】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0415】
また、図23C、及び図23Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0416】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0417】
図24A乃至図24Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0418】
図24A乃至図24Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画または動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0419】
図24A乃至図24Fに示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0420】
図24Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字または画像情報をその複数の面に表示することができる。図24Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールまたはSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0421】
図24Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0422】
図24Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、及び充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0423】
図24D図24E、及び図24Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図24Dは携帯情報端末9201を展開した状態、図24Fは折り畳んだ状態、図24E図24D図24Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0424】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0425】
ADC:変換部:PA:増幅部:AMP:比較回路:DAC:変換部:VA:増幅部:MUX:マルチプレクサ回路:TX、SE、RS、WX、SL、GL:配線:PD:受光素子:EL:発光素子:IN:入力端子:OUT:出力端子:VREF、VREFR、VREFS:参照電位:AMP1、AMP2:比較回路:C、C1、C2、C11、C12:容量:M1乃至M7:トランジスタ:SW1乃至SW4:スイッチ:SEL1、SEL2:選択回路:10:撮像装置:11:撮像部:12:回路部:13:駆動回路部:15:画素:21乃至23:基板:30:画素:31、32:端子:33:配線:50:表示装置:51:表示部:52:回路部:53:駆動回路部:61:画素:61B、61G、61R:副画素:62:撮像画素:70:画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24