(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】有機金属錯体、発光素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20221216BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221216BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
H05B33/14 B
C09K11/06 660
(21)【出願番号】P 2021149436
(22)【出願日】2021-09-14
(62)【分割の表示】P 2020089372の分割
【原出願日】2016-12-14
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2015247005
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山口 知也
(72)【発明者】
【氏名】吉住 英子
(72)【発明者】
【氏名】木戸 裕允
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 哲史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 辰義
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-147496(JP,A)
【文献】特開2010-120931(JP,A)
【文献】特開2014-193856(JP,A)
【文献】特開2011-190242(JP,A)
【文献】特開2009-001546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/00
H05B 33/14
C09K 11/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(G1)で表される構造を含む有機金属錯体。
【化1】
(式(G1)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
1~R
6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。)
【請求項2】
式(G2)で表される構造を含む有機金属錯体。
【化2】
(式(G2)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。)
【請求項3】
式(G3)で表される有機金属錯体。
【化3】
(式(G3)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
1~R
6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。Lは、モノアニオン性の配位子を表す。)
【請求項4】
式(G4)で表される有機金属錯体。
【化4】
(式(G4)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。Lは、モノアニオン性の配位子を表す。)
【請求項5】
請求項3または請求項4において、
前記モノアニオン性の配位子は、β-ジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は二つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子、又はシクロメタル化によりイリジウムと金属-炭素結合を形成する芳香族複素環二座配位子である有機金属錯体。
【請求項6】
請求項3または請求項4において、
前記モノアニオン性の配位子は、下記式(L1)~(L6)のいずれか一である有機金属錯体。
【化5】
(式(L1)~(L6)中、R
71~R
94は、それぞれ独立に水素又は置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、ビニル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルチオ基を表す。A
1~A
3は、それぞれ独立に窒素、または水素と結合するsp
2混成炭素、又は置換基を有するsp
2混成炭素を表し、前記置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1~6のハロアルキル基、又はフェニル基を表し、B
1~B
8は、それぞれ独立に窒素、または置換もしくは無置換の炭素を表し、B
1~B
8が置換基を有する炭素の場合、前記置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1~6のハロアルキル基、又はフェニル基を表す。)
【請求項7】
式(G5)で表される有機金属錯体。
【化6】
(式(G5)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
1~R
6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。)
【請求項8】
式(G6)で表される有機金属錯体。
【化7】
(式(G6)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。)
【請求項9】
式(G7)で表される有機金属錯体。
【化8】
(式(G7)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
1~R
6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。)
【請求項10】
式(G8)で表される有機金属錯体。
【化9】
(式(G8)中、A
1~A
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R
6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。R
7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。)
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載の有機金属錯体において、
R
7~R
11の少なくとも一が、炭素数1~6のアルキル基である有機金属錯体。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載の有機金属錯体において、
R
7またはR
11の少なくとも一が、炭素数1~6のアルキル基である有機金属錯体。
【請求項13】
下記式(100)、(108)、(114)のいずれか一で表される有機金属錯体。
【化10】
【化11】
【化12】
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一に記載の有機金属錯体を有する発光素子。
【請求項15】
請求項1乃至請求項13のいずれか一に記載の有機金属錯体を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、有機金属錯体に関する。特に、三重項励起状態におけるエネルギーを
発光に変換できる有機金属錯体に関する。また、有機金属錯体を用いた発光素子、発光装
置、電子機器、および照明装置に関する。なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限
定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造
方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファク
チャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため
、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、上記以外にも半
導体装置、表示装置、液晶表示装置、蓄電装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、
それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
一対の電極間に発光物質である有機化合物を有する発光素子(有機EL素子ともいう)は
、薄型軽量・高速応答・低電圧駆動などの特性を有することから、これらを適用したディ
スプレイは、次世代のフラットパネルディスプレイとして注目されている。この発光素子
は、電圧が印加されると電極から注入された電子およびホールが再結合し、それによって
発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。なお、励起状
態の種類としては、一重項励起状態(S*)と三重項励起状態(T*)とがあり、一重項
励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と呼ばれている。また、発
光素子におけるそれらの統計的な生成比率は、S*:T*=1:3であると考えられてい
る。
【0003】
また、上記発光物質のうち、一重項励起状態におけるエネルギーを発光に変換することが
可能な化合物は蛍光性化合物(蛍光材料)と呼ばれ、三重項励起状態におけるエネルギー
を発光に変換することが可能な化合物は燐光性化合物(燐光材料)と呼ばれる。
【0004】
従って、上記の生成比率を根拠にした時、上記各発光物質を用いた発光素子における内部
量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は、蛍光材
料を用いた場合は25%、燐光材料を用いた場合は75%となる。
【0005】
つまり、蛍光材料を用いた発光素子に比べて、燐光材料を用いた発光素子では、より高い
効率を得ることが可能となる。そのため、近年では様々な種類の燐光材料の開発が盛んに
行われている。特に、その燐光量子収率の高さゆえに、イリジウム等を中心金属とする有
機金属錯体が注目されている(例えば、特許文献1。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1において報告されているように優れた特性を示す燐光材料の開発が進
んでいるが、さらに良好な特性を示す新規材料の開発が望まれている。
【0008】
そこで、本発明の一態様では、新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様で
は、耐熱性に優れた新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、昇華す
る際に分解の少ない新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、色純度
の良い新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、発光素子に用いるこ
とができる新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、発光素子のEL
層に用いることができる、新規な有機金属錯体を提供する。また、本発明の一態様では、
新規な発光素子を提供する。また、新規な発光装置、新規な電子機器、または新規な照明
装置を提供する。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。
また、本発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。また、
これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるもので
あり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能で
ある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、イリジウムと、配位子とを有し、配位子はピラジン骨格を有し、イリ
ジウムとピラジン骨格の1位の窒素とが結合し、ピラジン骨格には、2、3、および5位
にそれぞれフェニル基が結合し、2位および3位に結合するフェニル基は、それぞれが置
換基としてアルキル基を有し、5位に結合するフェニル基は、置換基としてシアノ基を有
することを特徴とする有機金属錯体である。
【0010】
また、本発明の別の一態様は、イリジウムと結合する、第1の配位子と、第2の配位子と
、を有し、第1の配位子は、ピラジン骨格を有し、イリジウムとピラジン骨格の1位の窒
素とが結合し、ピラジン骨格には、2、3、および5位にそれぞれフェニル基が結合し、
2位および3位に結合するフェニル基は、それぞれが置換基としてアルキル基を有し、5
位に結合するフェニル基は、置換基としてシアノ基を有し、第2の配位子は、モノアニオ
ン性の配位子であることを特徴とする有機金属錯体である。特に、第2の配位子としては
、β-ジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有
するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性
の二座キレート配位子、又は2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座
キレート配位子、又はシクロメタル化によりイリジウムと金属-炭素結合を形成する芳香
族複素環2座配位子であることが好ましい。
【0011】
なお、上記構成において、ピラジン骨格の5位に結合するフェニル基は、アルキル基をさ
らに有することが好ましい。特に、ピラジン骨格の5位に結合するフェニル基の少なくと
も2位にアルキル基を導入することにより、発光スペクトルが長波長に行きすぎることを
防ぎ、視感度を保つことができる。すなわち、色純度が高い上に高効率な深赤色を得るの
に特に好適である。
【0012】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G1)で表される構造を含む有機金属錯体で
ある。
【0013】
【0014】
但し、一般式(G1)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換
の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換
もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換
もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12の
ヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0015】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G2)で表される構造を含む有機金属錯体で
ある。
【0016】
【0017】
但し、一般式(G2)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキ
ル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数
3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に
、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数
6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シア
ノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0018】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G3)で表される有機金属錯体である。
【0019】
【0020】
但し、一般式(G3)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換
の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換
もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換
もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12の
ヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。Lは
、モノアニオン性の配位子を表す。
【0021】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G4)で表される有機金属錯体である。
【0022】
【0023】
但し、一般式(G4)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキ
ル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数
3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に
、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数
6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シア
ノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。Lは、モノアニオン性の配位
子を表す。
【0024】
なお、上記各構成において、モノアニオン性の配位子は、β-ジケトン構造を有するモノ
アニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレー
ト配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は二つ
の配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子、又はシクロメタ
ル化によりイリジウムと金属-炭素結合を形成する芳香族複素環二座配位子であることを
特徴とする。
【0025】
また、上記各構成において、モノアニオン性の配位子は、下記一般式(L1)~(L6)
のいずれか一であることを特徴とする。
【0026】
【0027】
但し、一般式(L1)~(L6)中、R71~R94は、それぞれ独立に水素又は置換も
しくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、ビニル基、置換もしくは無置換
の炭素数1~6のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキシ基、
又は置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルチオ基を表す。また、A1~A3は、
それぞれ独立に窒素、または水素と結合するsp2混成炭素、又は置換基を有するsp2
混成炭素を表し、前記置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1~6の
ハロアルキル基、又はフェニル基を表し、B1~B8は、それぞれ独立に窒素、または置
換もしくは無置換の炭素を表し、前記置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、
炭素数1~6のハロアルキル基、又はフェニル基を表す。
【0028】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G5)で表される有機金属錯体である。
【0029】
【0030】
但し、一般式(G5)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換
の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換
もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換
もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12の
ヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0031】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G6)で表される有機金属錯体である。
【0032】
【0033】
但し、一般式(G6)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキ
ル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数
3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に
、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数
6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シア
ノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0034】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G7)で表される有機金属錯体である。
【0035】
【0036】
但し、一般式(G7)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換
の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換
もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換
もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12の
ヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0037】
また、本発明の別の一態様は、下記一般式(G8)で表される有機金属錯体である。
【0038】
【0039】
但し、一般式(G8)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキ
ル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数
3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に
、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数
6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シア
ノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0040】
なお、上記一般式(G1)~(G8)において、R7~R11の少なくとも一が、炭素数
1~6のアルキル基であることが好ましい。また特に、発光スペクトルピークが長波長に
行きすぎることを防ぎ、視感度を保つためには、R7またはR11の少なくともいずれか
一が、炭素数1~6のアルキル基であることが好ましい。すなわちこの構成は、色純度が
高い上に高効率な深赤色を得るのに特に好適である。
【0041】
また、本発明の別の一態様は、下記構造式(100)で表される有機金属錯体である。
【0042】
【0043】
また、本発明の一態様である有機金属錯体は燐光を発光することができる、すなわち三重
項励起状態からの発光を得られ、かつ発光を呈することが可能であるため、発光素子に適
用することにより高効率化が可能となり、非常に有効である。したがって、本発明の一態
様である有機金属錯体を用いた発光素子は、本発明の一態様に含まれるものとする。
【0044】
また、本発明の別の一態様は、一対の電極間にEL層を有し、EL層は、発光層を有し、
発光層は、上記に記載の有機金属錯体のいずれかを有する発光素子である。
【0045】
また、本発明の別の一態様は、一対の電極間にEL層を有し、EL層は、発光層を有し、
発光層は、複数の有機化合物を有し、複数の有機化合物のうち一は、上記に記載の有機金
属錯体のいずれかである発光素子である。
【0046】
なお、本発明の一態様は、発光素子を有する発光装置だけでなく、発光装置を有する照明
装置も範疇に含めるものである。従って、本明細書中における発光装置とは、画像表示デ
バイス、または光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFP
C(Flexible printed circuit)もしくはTCP(Tape
Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TCPの先にプリント
配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass
)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものと
する。
【発明の効果】
【0047】
本発明の一態様では、新規な有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一態
様では、耐熱性に優れた新規な有機金属錯体を提供することができる。また、本発明の一
態様では、昇華する際に分解の少ない新規な有機金属錯体を提供することができる。また
、本発明の一態様では、色純度の良い新規な有機金属錯体を提供することができる。また
、本発明の一態様では、発光素子に用いることができる新規な有機金属錯体を提供するこ
とができる。また、本発明の一態様では、発光素子のEL層に用いることができる、新規
な有機金属錯体を提供することができる。なお、新たな有機金属錯体を用いた新規な発光
素子を提供することができる。また、新規な発光装置、新規な電子機器、または新規な照
明装置を提供することができる。なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げる
ものではない。また、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要は
ない。また、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らか
となるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図13】タッチセンサのブロック図及びタイミングチャート。
【
図18】構造式(100)に示す有機金属錯体の
1H-NMRチャート。
【
図19】構造式(100)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。
【
図20】構造式(100)に示す有機金属錯体のLC-MS測定結果を示す図。
【
図21】四重極型質量分析計の分圧と質量電荷比の関係を示す図。
【
図24】発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3の電流密度-輝度特性を示す図。
【
図25】発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3の電圧-輝度特性を示す図。
【
図26】発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3の輝度-電流効率特性を示す図。
【
図27】発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3の電圧-電流特性を示す図。
【
図28】発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3のCIE色度を示す図。
【
図29】発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3の発光スペクトルを示す図。
【
図30】発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3の信頼性を示す図。
【
図32】構造式(108)に示す有機金属錯体の
1H-NMRチャート。
【
図33】構造式(108)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。
【
図34】構造式(114)に示す有機金属錯体の
1H-NMRチャート。
【
図35】構造式(114)に示す有機金属錯体の紫外・可視吸収スペクトル及び発光スペクトル。
【
図36】発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6の電流密度-輝度特性を示す図。
【
図37】発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6の電圧-輝度特性を示す図。
【
図38】発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6の輝度-電流効率特性を示す図。
【
図39】発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6の電圧-電流特性を示す図。
【
図40】発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6のCIE色度を示す図。
【
図41】発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6の発光スペクトルを示す図。
【
図42】発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6の信頼性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の
説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を
様々に変更し得ることが可能である。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容
に限定して解釈されるものではない。
【0050】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応
じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜
」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用
語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0051】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である有機金属錯体について説明する。
【0052】
本実施の形態で示す有機金属錯体は、中心金属であるイリジウムと、配位子とを有し、配
位子はピラジン骨格を有し、イリジウムとピラジン骨格の1位の窒素とが結合し、ピラジ
ン骨格には、2、3、および5位にそれぞれフェニル基が結合し、2位および3位に結合
するフェニル基は、それぞれが置換基としてアルキル基を有し、5位に結合するフェニル
基は、置換基としてシアノ基を有することを特徴とする有機金属錯体である。
【0053】
さらに、本実施の形態で示す有機金属錯体は、中心金属であるイリジウムと結合する、第
1の配位子と、第2の配位子と、を有し、第1の配位子はピラジン骨格を有し、イリジウ
ムとピラジン骨格の1位の窒素とが結合し、ピラジン骨格には、2、3、および5位にそ
れぞれフェニル基が結合し、2位および3位に結合するフェニル基は、それぞれが置換基
としてアルキル基を有し、5位に結合するフェニル基は、置換基としてシアノ基を有し、
第2の配位子は、モノアニオン性の配位子であることを特徴とする有機金属錯体である。
特に、第2の配位子としては、β-ジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート
配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、フェノール性水
酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は2つの配位元素がいずれも窒素
であるモノアニオン性の二座キレート配位子、又はシクロメタル化によりイリジウムと金
属-炭素結合を形成しうる芳香族複素環2座配位子であることを特徴とする有機金属錯体
である。
【0054】
上述した本発明の一態様である有機金属錯体は、配位子に含まれるピラジン骨格の2位お
よび3位に、それぞれ置換基としてアルキル基を有するフェニル基が結合し、ピラジン骨
格の5位に、置換基としてシアノ基を有するフェニル基が結合している。また、ピラジン
骨格の2位に結合しているフェニル基が、イリジウムに対してオルトメタル化している。
【0055】
本発明の一態様である有機金属錯体は、ピラジン骨格の2位および3位に結合するフェニ
ル基がそれぞれアルキル基を置換基として有するため、昇華の際に有機金属錯体同士の反
応による炭化を防ぐことができ、さらに昇華温度を低減することができる。しかし、本発
明者らは、このアルキル基がこのような効果を有する一方で、昇華に伴って低分子量の分
解物をわずかに発生させ、それが発光素子の寿命を低下させることを見出した。さらに、
ピラジン骨格の5位に結合するフェニル基の置換基としてシアノ基を有することにより、
シアノ基を有さない場合に比べ、昇華温度は高くなるものの、昇華の際に高温で処理を行
っても上記アルキル基に由来する低分子量の分解物の発生、すなわちそれによる脱離ガス
の発生を防ぐことができることを見出した。
【0056】
従って、本発明の一態様である有機金属錯体は、ピラジン骨格の2位および3位に結合す
るフェニル基がそれぞれアルキル基を置換基として有し、さらにピラジン骨格の5位に結
合するフェニル基がシアノ基を置換基として有している点が特徴である。なお、本発明の
一態様である有機金属錯体は、昇華精製後に不純物として素子特性に悪影響を与え得る構
造異性体を生じにくく、これを用いて真空蒸着で素子を作製する際、素子への分解物の混
入を抑制することができるので、良好な寿命特性を有する素子を得ることができる。
【0057】
なお、ピラジン骨格の2位および3位に結合するフェニル基がそれぞれアルキル基を置換
基として有さない場合は、ピラジン骨格の5位に結合するフェニル基がシアノ基を有して
いても、昇華の際に有機金属錯体同士の反応による炭化が生じる。したがって、本発明の
一態様である有機金属錯体は、上記アルキル基と上記シアノ基のいずれも有していること
が、有機金属錯体同士の反応による炭化、および低分子量の脱離ガスの発生、を抑制する
のに必要な構成であり、これは新たな知見である。
【0058】
さらに、本発明の一態様である有機金属錯体が有する上記シアノ基は、有機金属錯体の発
光スペクトルを長波長化させる効果がある。すなわち、本発明の一態様である有機金属錯
体は、色純度が高く、深い赤色発光を示す。なお、深い赤色発光を示す場合、通常、近赤
外領域にもスペクトルを有するため視感度が悪くなるが、本発明の一態様である有機金属
錯体が有する上記アルキル基(ピラジン骨格の2位および3位に結合するフェニル基が有
するアルキル基)は、発光スペクトルを狭線化させる効果も有するため、視感度の低下を
最大限に抑制することができる。従って、本発明の一態様である有機金属錯体は、色純度
の高い深赤色でも高い効率を得ることができる。
【0059】
なお、上記構成において、ピラジン骨格の5位に結合するフェニル基は、シアノ基だけで
なくアルキル基をも有することが、有機金属錯体同士の反応による炭化を抑制する上でさ
らに好ましい。特に、アルキル基をピラジン骨格の5位に結合するフェニル基の2位に有
することにより、発光スペクトルピークが長波長に行きすぎることを防ぎ、視感度を保つ
ことができる。すなわち、色純度が高い上に高効率な深赤色を得るのに特に好適である。
【0060】
本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G1)で表される構造を含む有機金属
錯体である。
【0061】
【0062】
なお、一般式(G1)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の
炭素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは
無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基
、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R
7~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基
、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~
12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す
。
【0063】
本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G2)で表される構造を含む有機金属
錯体である。
【0064】
【0065】
なお、一般式(G2)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキ
ル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数
3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に
、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数
6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シア
ノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0066】
本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G3)で表される有機金属錯体である
。
【0067】
【0068】
なお、一般式(G3)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換
の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換
もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換
もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12の
ヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。Lは
、モノアニオン性の配位子を表す。
【0069】
本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G4)で表される有機金属錯体である
。
【0070】
【0071】
なお、一般式(G4)中、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキ
ル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数
3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に
、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数
6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シア
ノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。Lは、モノアニオン性の配位
子を表す。
【0072】
なお、上記各構成におけるモノアニオン性の配位子としては、β-ジケトン構造を有する
モノアニオン性の二座キレート配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キ
レート配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、又は
二つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子、又はシクロ
メタル化によりイリジウムと金属-炭素結合を形成しうる芳香族複素環二座配位子などが
挙げられる。
【0073】
また、上記モノアニオン性の配位子としては、下記一般式(L1)~(L6)のいずれか
が挙げられる。
【0074】
【0075】
なお、一般式(L1)~(L6)において、R71~R94は、それぞれ独立に水素又は
置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、ビニル基、置換もしくは
無置換の炭素数1~6のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルコキ
シ基、又は置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキルチオ基を表す。また、A1~A
3は、それぞれ独立に窒素、または水素と結合するsp2混成炭素、又は置換基を有する
sp2混成炭素を表し、前記置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン基、炭素数1
~6のハロアルキル基、又はフェニル基を表し、B1~B8は、それぞれ独立に窒素、ま
たは置換もしくは無置換の炭素を表し、前記置換基は炭素数1~6のアルキル基、ハロゲ
ン基、炭素数1~6のハロアルキル基、又はフェニル基を表す。
【0076】
また、本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G5)で表される有機金属錯体
である。
【0077】
【0078】
なお、一般式(G5)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の
炭素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは
無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基
、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R
7~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基
、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~
12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す
。
【0079】
また、本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G6)で表される有機金属錯体
である。
【0080】
【0081】
なお、一般式(G6)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の
炭素数1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6の
アルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の
炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ
独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基
、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0082】
また、本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G7)で表される有機金属錯体
である。
【0083】
【0084】
なお、一般式(G7)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の
炭素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは
無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基
、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R
7~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基
、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~
12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す
。
【0085】
また、本実施の形態で示す有機金属錯体は、下記一般式(G8)で表される有機金属錯体
である。
【0086】
【0087】
なお、一般式(G8)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の
炭素数1~6のアルキル基を表し、R6は、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6の
アルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の
炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ
独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の
炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基
、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0088】
なお、上記一般式(G1)~(G8)のいずれかにおいて、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは
無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基が置換基を有する場合、該置換基としてはメ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブ
チル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基のような炭素数1~6のアルキル
基や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、1-ノルボルニル基、
2-ノルボルニル基のような炭素数5~7のシクロアルキル基や、フェニル基、ビフェニ
ル基のような炭素数6~12のアリール基が挙げられる。
【0089】
また、上記一般式(G1)~(G8)中のA1~A4、R1~R11のいずれかにおける
炭素数1~6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル
基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、ヘ
キシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル
基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、2-エチルブチル基、1,2-ジメ
チルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0090】
また、上記一般式(G1)~(G8)中のA1~A4、R1~R11のいずれかにおける
炭素数6~13のアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基(o-トリル基、
m-トリル基、p-トリル基)、ナフチル基(1-ナフチル基、2-ナフチル基)、ビフ
ェニル基(ビフェニル-2-イル基、ビフェニル-3-イル基、ビフェニル-4-イル基
)、キシリル基、ペンタレニル基、インデニル基、フルオレニル基、フェナントリル基等
が挙げられる。なお、上述の置換基同士が結合して環を形成していても良く、このような
例としては、例えば、フルオレニル基の9位の炭素が置換基としてフェニル基を2つ有し
、当該フェニル基同士が結合することによって、スピロフルオレン骨格が形成される場合
等が挙げられる。
【0091】
また、上記一般式(G1)~(G8)中のA1~A4、R1~R11のいずれかにおける
炭素数3~12のヘテロアリール基の具体例としては、イミダゾリル基、ピラゾリル基、
ピリジル基、ピリダジル基、トリアジル基、ベンゾイミダゾリル基、キノリル基等が挙げ
られる。
【0092】
一般式(G1)~(G8)に示した本発明の一態様である有機金属錯体は、A1~A4に
アルキル基を有するために、昇華の際に有機金属錯体同士の反応による炭化を防ぐことが
でき、さらに昇華温度を低減することができる。しかし、このアルキル基が、このような
効果を有する一方、昇華に伴って低分子量の分解物をわずかに発生させ、それが発光素子
の寿命を低下させる。また、ピラジン骨格の5位に結合するフェニル基の置換基としてR
7~R11の少なくともいずれか一にシアノ基を有することにより、シアノ基を有さない
場合に比べ、昇華温度は高くなるものの、昇華の際に高温で処理を行っても上記アルキル
基に由来する低分子量の分解物の発生、すなわちそれによる脱離ガスの発生を防ぐことが
できる。
【0093】
従って、本発明の一態様である有機金属錯体は、一般式(G1)~(G8)におけるA1
~A4にそれぞれアルキル基を置換基として有し、かつR7~R11の少なくともいずれ
か一にシアノ基を置換基として有している点が特徴である。なお、本発明の一態様である
有機金属錯体は、これを用いて真空蒸着で素子を作製する際、素子への分解物の混入を抑
制することができるので、良好な寿命特性を有する素子を得ることができる。
【0094】
なお、A1~A4にアルキル基を置換基として有さない場合は、R7~R11の少なくと
もいずれか一にシアノ基を有していても、昇華の際に有機金属錯体同士の反応による炭化
が発生する。したがって、本発明の一態様である有機金属錯体は、A1またはA2の一方
、およびA3またはA4の一方にアルキル基を有し、かつR7~R11の少なくともいず
れか一にシアノ基を有することが、有機金属錯体同士の反応による炭化、および低分子量
の脱離ガスの発生、を抑制するのに必要な構成である。
【0095】
さらに、R7~R11の少なくともいずれか一が有するシアノ基は、有機金属錯体の発光
スペクトルを長波長化させる効果がある。すなわち、本発明の一態様である有機金属錯体
は、色純度が高く、深い赤色発光を示す。なお、深い赤色発光を示す場合、通常、近赤外
領域にもスペクトルを有するため視感度が悪くなるが、A1~A4に導入されたアルキル
基は発光スペクトルを狭線化させる効果も有するため、視感度の低下を最大限に抑制する
ことができる。従って、本発明の一態様である有機金属錯体は、色純度が高い深赤色でも
高い効率を得ることができる。
【0096】
なお、上記一般式(G1)~(G8)において、ピラジン骨格の5位に結合するフェニル
基は、シアノ基だけでなくアルキル基をも有することが、昇華の際に有機金属錯体同士の
反応による炭化を抑制する上で、さらに好ましい。したがって、上記一般式(G1)~(
G8)において、R7~R11の少なくとも一が、炭素数1~6のアルキル基であること
が好ましい。特に、R7またはR11の少なくともいずれか一が、炭素数1~6のアルキ
ル基であることにより、発光スペクトルピークが長波長に行きすぎることを防ぎ、視感度
を保つことができる。すなわち、本発明の一態様である有機金属錯体においては、色純度
が高く、高効率な深赤色を得ることができる。
【0097】
次に、上述した本発明の一態様である有機金属錯体の具体的な構造式を下記に示す。ただ
し、本発明はこれらに限定されることはない。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
なお、上記構造式(100)~(130)で表される有機金属錯体は、燐光を発光するこ
とが可能な新規物質である。これらの物質は、配位子の種類によっては幾何異性体と立体
異性体が存在しうるが、本発明の一態様である有機金属錯体にはこれらの異性体も全て含
まれる。
【0103】
次に、本発明の一態様であり、一般式(G3)および一般式(G5)で表される構造を有
する有機金属錯体の合成方法の一例について説明する。
【0104】
≪一般式(G0)で表されるピラジン誘導体の合成法≫
一般式(G3)および一般式(G5)の合成に用いる、下記一般式(G0)で表されるピ
ラジン誘導体は、以下のような3種類の合成スキーム(A1)、(A2)、(A3)で示
す合成方法により合成することができる。
【0105】
【0106】
一般式(G0)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数
1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換
の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換
もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R
11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換
もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12の
ヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0107】
例えば、一般式(G0)で表されるピラジン誘導体は、下記合成スキーム(A1)に示す
ように、ハロゲン化ベンゼン誘導体(a1-1)をアルキルリチウム等でリチオ化し、ジ
フェニルピラジン(a2-1)と反応させることにより得ることができる。
【0108】
【0109】
なお、上記合成スキーム(A1)において、Zはハロゲンを表し、A1~A4は、それぞ
れ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それ
ぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置
換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリー
ル基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無
置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、
少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0110】
また、一般式(G0)で表されるピラジン誘導体は、下記合成スキーム(A2)に示すよ
うに、ベンゼン誘導体のボロン酸(a1-2)と、ジフェニルピラジンのハロゲン化物(
a2-2)と、をカップリングすることにより得ることができる。
【0111】
【0112】
合成スキーム(A2)において、Xはハロゲンを表し、A1~A4は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に
、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数
6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいず
れかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素
数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしく
は無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも
一は、シアノ基を表す。
【0113】
また、一般式(G0)で表されるピラジン誘導体は、下記合成スキーム(A3)に示すよ
うに、ベンゼン誘導体置換のジケトン(a1-3)と、ジアミン(a2-3)と、を反応
させることにより得ることができる。
【0114】
【0115】
合成スキーム(A3)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の
炭素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは
無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基
、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R
7~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基
、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~
12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す
。
【0116】
なお、上述した3種類の方法以外にも、誘導体(G0)の合成方法には複数の公知の合成
法が存在する。従って、いずれの方法を用いても良い。
【0117】
また、上述の化合物(a1-1)、(a1-2)、(a1-3)、(a2-1)、(a2
-2)、(a2-3)は、様々な種類が市販されているか、あるいは合成可能であるため
、一般式(G0)で表されるピラジン誘導体は数多くの種類を合成することができる。し
たがって、本発明の一態様である有機金属錯体は、その配位子のバリエーションが豊富で
あるという特徴がある。
【0118】
≪一般式(G3)で表される有機金属錯体の合成方法≫
次に、一般式(G3)で表される有機金属錯体の合成方法を示す。まず、下記合成スキー
ム(B-1)に示すように、一般式(G0)で表されるピラジン誘導体と、ハロゲンを含
むイリジウム化合物(塩化イリジウム、臭化イリジウム、ヨウ化イリジウムなど)と、を
無溶媒、またはアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2-メトキシエ
タノール、2-エトキシエタノールなど)単独、あるいはアルコール系溶媒1種類以上と
水との混合溶媒を用いて、不活性ガス雰囲気にて加熱することにより、ハロゲンで架橋さ
れた構造を有する有機金属錯体の一種であり、新規物質である複核錯体(B)を得ること
ができる。加熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロッ
ク等を用いることができる。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である
。
【0119】
【0120】
合成スキーム(B-1)において、Xはハロゲンを表し、A1~A4は、それぞれ独立に
、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立
に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素
数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のい
ずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭
素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もし
くは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくと
も一は、シアノ基を表す。
【0121】
さらに、下記合成スキーム(B-2)に示すように、上述の合成スキーム(B-1)で得
られる複核錯体(B)と、モノアニオン性の配位子の原料HLとを、不活性ガス雰囲気に
て反応させることにより、HLのプロトンが脱離してなるLが中心金属イリジウムに配位
するため、一般式(G3)で表される本発明の一態様である有機金属錯体が得られる。加
熱手段として特に限定はなく、オイルバス、サンドバス、又はアルミブロック等を用いる
ことができる。また、マイクロ波を加熱手段として用いることも可能である。
【0122】
【0123】
合成スキーム(B-2)において、Lはモノアニオン性の配位子を表し、Qはハロゲンを
表し、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基
を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のア
ルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭
素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7~R11は、それぞれ独
立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭
素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基、
シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0124】
≪一般式(G5)で表される有機金属錯体の合成方法≫
次に、一般式(G5)で表される有機金属錯体の合成方法を示す。合成スキーム(C)に
示すように、ハロゲンを含むイリジウム化合物(塩化イリジウム水和物、臭化イリジウム
、ヨウ化イリジウム、酢酸イリジウム、ヘキサクロロイリジウム酸アンモニウム等)、ま
たは有機イリジウム錯体化合物(アセチルアセトナト錯体、ジエチルスルフィド錯体、ジ
-μ-クロロ架橋二核錯体、ジ-μ-ヒドロキソ架橋二核錯体等)と、一般式(G0)で
表されるピラジン誘導体と、を混合した後、無溶媒、またはアルコール系溶媒(グリセロ
ール、エチレングリコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール等)に溶
解させ、その後、加熱することにより、一般式(G5)で表される有機金属錯体が得られ
る。
【0125】
【0126】
合成スキーム(C)において、A1~A4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭
素数1~6のアルキル基を表し、R1~R6は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無
置換の炭素数1~6のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、
置換もしくは無置換の炭素数3~12のヘテロアリール基のいずれかを表す。また、R7
~R11は、それぞれ独立に、水素、置換もしくは無置換の炭素数1~6のアルキル基、
置換もしくは無置換の炭素数6~13のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数3~1
2のヘテロアリール基、シアノ基のいずれかを表し、少なくとも一は、シアノ基を表す。
【0127】
以上、本発明の一態様である有機金属錯体の合成方法の一例について説明したが、本発明
はこれに限定されることはなく、他のどのような合成方法によって合成されても良い。
【0128】
なお、上述した有機金属錯体は、燐光を発光することが可能であるため、発光材料や発光
素子の発光物質として利用できる。
【0129】
また、本発明の一態様である有機金属錯体を用いることで、発光効率の高い発光素子、発
光装置、電子機器、または照明装置を実現することができる。また、消費電力が低い発光
素子、発光装置、電子機器、または照明装置を実現することができる。
【0130】
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。また、他の実施の形態に
おいて、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定され
ない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されて
いるため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様とし
て、発光素子に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。
また、状況に応じて、本発明の一態様は、発光素子以外のものに適用してもよい。
【0131】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0132】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子について
図1を用いて説明する。
【0133】
本実施の形態に示す発光素子は、一対の電極(第1の電極(陽極)101と第2の電極(
陰極)103)間に発光層113を含むEL層102が挟まれており、EL層102は、
発光層113の他に、正孔(または、ホール)注入層111、正孔輸送層112、電子輸
送層114、電子注入層115などを含んで形成される。
【0134】
このような発光素子に対して電圧を印加すると、第1の電極101側から注入された正孔
と第2の電極103側から注入された電子とが、発光層113において再結合し、それに
より生じたエネルギーに起因して、発光層113に含まれる有機金属錯体などの発光物質
が発光する。
【0135】
なお、EL層102における正孔注入層111は、正孔輸送層112または発光層113
に対して正孔を注入することができる層であり、例えば、正孔輸送性の高い物質とアクセ
プター性物質により形成することができる。この場合、アクセプター性物質によって正孔
輸送性の高い物質から電子が引き抜かれることにより正孔が発生する。従って、正孔注入
層111から正孔輸送層112を介して発光層113に正孔が注入される。なお、正孔注
入層111には、正孔注入性の高い物質を用いることもできる。例えば、モリブデン酸化
物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用
いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(C
uPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノ
フェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4
-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1
’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、
或いはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(P
EDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層111を形成することができる。
【0136】
以下に本実施の形態に示す発光素子を作製する上での好ましい具体例について説明する。
【0137】
第1の電極(陽極)101および第2の電極(陰極)103には、金属、合金、電気伝導
性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、酸化インジウ
ム-酸化スズ(Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した
酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛(Indium Zinc Ox
ide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、金(Au)、白金
(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo
)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)
の他、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシ
ウム(Cs)等のアルカリ金属、およびカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等
のアルカリ土類金属、マグネシウム(Mg)、およびこれらを含む合金(MgAg、Al
Li)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを
含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。なお、第1の電極(陽極)101
および第2の電極(陰極)103は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含
む)等により形成することができる。
【0138】
正孔注入層111、および正孔輸送層112に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳
香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、
デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。なお、複合
材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。
具体的には、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ま
しい。また、正孔輸送性の高い物質を用いてなる層は、単層だけでなく、二層以上の積層
であってもよい。以下に、正孔輸送性の物質として用いることのできる有機化合物を具体
的に列挙する。
【0139】
例えば、芳香族アミン化合物としては、N,N’-ジ(p-トリル)-N,N’-ジフェ
ニル-p-フェニレンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’-ビス[N-(4-ジ
フェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、DN
TPD、1,3,5-トリス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルア
ミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フ
ェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPBまたはα-NPD)やN,N’-ビス(3-メ
チルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミ
ン(略称:TPD)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニ
ルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)
トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチ
ルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,
4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ
]ビフェニル(略称:BSPB)等を挙げることができる。
【0140】
また、カルバゾール誘導体としては、具体的には、3-[N-(9-フェニルカルバゾー
ル-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPC
A1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルア
ミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチ
ル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾー
ル(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。その他にも、4,4’-ジ(N-
カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾ
リル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アン
トリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、1,4-ビス[4-(N
-カルバゾリル)フェニル]-2,3,5,6-テトラフェニルベンゼン等を用いること
ができる。
【0141】
また、芳香族炭化水素としては、例えば、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナ
フチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ
(1-ナフチル)アントラセン、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アント
ラセン(略称:DPPA)、2-tert-ブチル-9,10-ビス(4-フェニルフェ
ニル)アントラセン(略称:t-BuDBA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラ
セン(略称:DNA)、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2
-tert-ブチルアントラセン(略称:t-BuAnth)、9,10-ビス(4-メ
チル-1-ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、2-tert-ブチル-9,1
0-ビス[2-(1-ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10-ビス[2-(1-
ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(1
-ナフチル)アントラセン、2,3,6,7-テトラメチル-9,10-ジ(2-ナフチ
ル)アントラセン、9,9’-ビアントリル、10,10’-ジフェニル-9,9’-ビ
アントリル、10,10’-ビス(2-フェニルフェニル)-9,9’-ビアントリル、
10,10’-ビス[(2,3,4,5,6-ペンタフェニル)フェニル]-9,9’-
ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11-テ
トラ(tert-ブチル)ペリレン等が挙げられる。また、この他、ペンタセン、コロネ
ン等も用いることができる。このように、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を
有し、炭素数14から42である芳香族炭化水素を用いることがより好ましい。また、芳
香族炭化水素は、ビニル骨格を有していてもよい。ビニル基を有している芳香族炭化水素
としては、例えば、4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:D
PVBi)、9,10-ビス[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]アントラセ
ン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0142】
さらに、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4-ビニルトリフェ
ニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニル
アミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](
略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス
(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることも
できる。
【0143】
また、正孔注入層111、および正孔輸送層112に用いるアクセプター性物質としては
、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称
:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4
,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(HAT-CN)等の電子吸引基(ハロ
ゲン基やシアノ基)を有する化合物を挙げることができる。特に、HAT-CNのように
複素原子を複数有する縮合芳香環に電子吸引基が結合している化合物が、熱的に安定であ
り好ましい。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げる
ことができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、
酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いた
め好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱い
やすいため好ましい。
【0144】
発光層113は、発光物質を含む層である。なお、発光物質としては、蛍光性の発光物質
と燐光性の発光物質とが挙げられるが、本発明の一態様である発光素子においては、実施
の形態1で示した有機金属錯体を発光物質として発光層113に用いることが好ましい。
また、発光層113は、この有機金属錯体(ゲスト材料)よりも三重項励起エネルギーの
大きい物質をホスト材料として含むことが好ましい。また、発光層113は、発光物質に
加えて、発光層113におけるキャリア(電子及びホール)の再結合の際に励起錯体(エ
キサイプレックスとも言う)を形成することができる組み合わせとなる2種類の有機化合
物(上記ホスト材料のいずれかであってもよい)を含む構成としてもよい。なお、効率よ
く励起錯体を形成するためには、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性を有する材料
)と、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性を有する材料)とを組み合わせることが
特に好ましい。このように電子輸送性を有する材料と、正孔輸送性を有する材料とを組み
合わせて励起錯体を形成するホスト材料とする場合、電子輸送性を有する材料及び正孔輸
送性を有する材料の混合比率を調節することで、発光層における正孔と電子のキャリアバ
ランスを最適化することが容易となる。発光層における正孔と電子のキャリアバランスを
最適化することにより、発光層中で電子と正孔の再結合が起こる領域が偏ることを抑制で
きる。再結合が起こる領域の偏りを抑制することで、発光素子の信頼性を向上させること
ができる。
【0145】
なお、上記励起錯体を形成する上で用いることが好ましい電子を受け取りやすい化合物(
電子輸送性を有する材料)としては、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素
芳香族や金属錯体などを用いることができる。具体的には、ビス(10-ヒドロキシベン
ゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8
-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq
)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾ
オキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベン
ゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体や、2-
(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジ
アゾール(略称:PBD)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-te
rt-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、1,3-ビス[
5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベ
ンゼン(略称:OXD-7)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾー
ル-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)、2,2’,2’’
-(1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール
)(略称:TPBI)、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]-1-
フェニル-1H-ベンゾイミダゾール(略称:mDBTBIm-II)などのポリアゾー
ル骨格を有する複素環化合物や、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル
]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-
(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサ
リン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[3’-(9H-カルバゾール-9-
イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mCzBPD
Bq)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]
ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベ
ンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mD
BTPDBq-II)、及び、6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]
ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)、4,6-ビス[
3-(フェナントレン-9-イル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6mPnP2Pm
)、4,6-ビス[3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン(略称:4,6
mDBTP2Pm-II)、4,6-ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェ
ニル]ピリミジン(略称:4,6mCzP2Pm)などのジアジン骨格を有する複素環化
合物や、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カ
ルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(略
称:PCCzPTzn)などのトリアジン骨格を有する複素環化合物や、3,5-ビス[
3-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ピリジン(略称:35DCzPPy)
、1,3,5-トリ[3-(3-ピリジル)フェニル]ベンゼン(略称:TmPyPB)
などのピリジン骨格を有する複素環化合物が挙げられる。上述した中でも、ジアジン骨格
及びトリアジン骨格を有する複素環化合物やピリジン骨格を有する複素環化合物は、信頼
性が良好であり好ましい。特に、ジアジン(ピリミジンやピラジン)骨格及びトリアジン
骨格を有する複素環化合物は、電子輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与する。
【0146】
また、上記励起錯体を形成するために用いる上で好ましい正孔を受け取りやすい化合物(
正孔輸送性を有する材料)としては、π電子過剰型複素芳香族(例えばカルバゾール誘導
体やインドール誘導体)又は芳香族アミンなどを好適に用いることができる。具体的には
、2-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]スピロ-
9,9’-ビフルオレン(略称:PCASF)、4,4’,4’’-トリス[N-(1-
ナフチル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:1’-TNATA)、2
,7-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]スピロ-9
,9’-ビフルオレン(略称:DPA2SF)、N,N’-ビス(9-フェニルカルバゾ
ール-3-イル)-N,N’-ジフェニルベンゼン-1,3-ジアミン(略称:PCA2
B)、N-(9,9-ジメチル-2-ジフェニルアミノ-9H-フルオレン-7-イル)
ジフェニルアミン(略称:DPNF)、N,N’,N’’-トリフェニル-N,N’,N
’’-トリス(9-フェニルカルバゾール-3-イル)ベンゼン-1,3,5-トリアミ
ン(略称:PCA3B)、2-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニル
アミノ]スピロ-9,9’-ビフルオレン(略称:DPASF)、N,N’-ビス[4-
(カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニル-9,9-ジメチルフル
オレン-2,7-ジアミン(略称:YGA2F)、NPB、N,N’-ビス(3-メチル
フェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(
略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニ
ルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、BSPB、4-フェニル-4’-(9-フェ
ニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル
-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAF
LP)、N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-N-{9,9-ジメ
チル-2-[N’-フェニル-N’-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル
)アミノ]-9H-フルオレン-7-イル}フェニルアミン(略称:DFLADFL)、
PCzPCA1、3-[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]
-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzDPA1)、3,6-ビス[N-(4-ジフ
ェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:P
CzDPA2)、DNTPD、3,6-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-
N-(1-ナフチル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzTPN2)、
PCzPCA2、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル
)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9
-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1
BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル
)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’
-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCB
NBB)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)
アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、9,9-ジメチル-N
-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フ
ルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル
-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-ア
ミン(略称:PCBASF)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H
-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:P
CBiF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9
H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-
アミン(略称:PCBBiF)などの芳香族アミン骨格を有する化合物や、1,3-ビス
(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、CBP、3,6-ビス(3,5-ジフ
ェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、9-フェニル-9H
-3-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)カルバゾール(略称:PCCP
)などのカルバゾール骨格を有する化合物や、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,
5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフ
ェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾ
チオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオ
レン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-
IV)などのチオフェン骨格を有する化合物や、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3
,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3
-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン
(略称:mmDBFFLBi-II)などのフラン骨格を有する化合物が挙げられる。上
述した中でも、芳香族アミン骨格を有する化合物やカルバゾール骨格を有する化合物は、
信頼性が良好であり、また、正孔輸送性が高く、駆動電圧低減にも寄与するため好ましい
。
【0147】
なお、発光層113において、上述した有機金属錯体(ゲスト材料)とホスト材料とを含
んで形成することにより、発光層113からは、発光効率の高い燐光発光を得ることがで
きる。
【0148】
また、発光層113は、発光素子において
図1(A)に示す単層構造だけに限らず、
図1
(B)に示すような2層以上の積層構造であってもよい。但し、この場合には、積層され
た各層からそれぞれの発光が得られる構成とする。例えば、1層目の発光層113(a1
)からは、蛍光発光が得られる構成とし、1層目の発光層113(a1)に積層される2
層目の発光層113(a2)からは燐光発光が得られる構成とすればよい。なお、積層順
については、この逆であってもよい。また、燐光発光が得られる層においては、励起錯体
からドーパントへのエネルギー移動による発光が得られる構成とするのが好ましい。また
、発光色については、一方の層から得られる発光色と、他方の層から得られる発光色とが
同一であっても異なっていてもよいが、異なっている場合には、例えば、一方の層から青
色発光が得られる構成とし、他方の層からは橙色発光または黄色発光などが得られる構成
とすることができる。また、各層において、複数種のドーパントが含まれる構成としても
よい。
【0149】
なお、発光層113が積層構造を有する場合には、実施の形態1で示した有機金属錯体の
他、一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質、または三重項励起エネルギーを発光
に変える発光物質等を各々単独または組み合わせて用いることができる。この場合には、
例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0150】
一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、蛍光を発する物質(蛍
光性化合物)が挙げられる。
【0151】
蛍光を発する物質としては、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フ
ェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)
、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)
トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4
’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAP
PA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル
]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、ペリレン、2,5,8,1
1-テトラ(tert-ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4-(10-フェニル-9
-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニル
アミン(略称:PCBAPA)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9
,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4
-フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9
,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(
略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニ
ル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAP
PA)、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジ
ベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、ク
マリン30、N-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)-N,9-ジフェニル-9
H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPA)、N-[9,10-ビス(1,1
’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル]-N,9-ジフェニル-9H-カルバゾ
ール-3-アミン(略称:2PCABPhA)、N-(9,10-ジフェニル-2-アン
トリル)-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DP
APA)、N-[9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-2-アントリル
]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPABP
hA)、9,10-ビス(1,1’-ビフェニル-2-イル)-N-[4-(9H-カル
バゾール-9-イル)フェニル]-N-フェニルアントラセン-2-アミン(略称:2Y
GABPhA)、N,N,9-トリフェニルアントラセン-9-アミン(略称:DPhA
PhA)、クマリン545T、N,N’-ジフェニルキナクリドン(略称:DPQd)、
ルブレン、5,12-ビス(1,1’-ビフェニル-4-イル)-6,11-ジフェニル
テトラセン(略称:BPT)、2-(2-{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]エ
テニル}-6-メチル-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:DC
M1)、2-{2-メチル-6-[2-(2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-
ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロ
パンジニトリル(略称:DCM2)、N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェ
ニル)テトラセン-5,11-ジアミン(略称:p-mPhTD)、7,14-ジフェニ
ル-N,N,N’,N’-テトラキス(4-メチルフェニル)アセナフト[1,2-a]
フルオランテン-3,10-ジアミン(略称:p-mPhAFD)、{2-イソプロピル
-6-[2-(1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,
5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン
}プロパンジニトリル(略称:DCJTI)、{2-tert-ブチル-6-[2-(1
,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[i
j]キノリジン-9-イル)エテニル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニト
リル(略称:DCJTB)、2-(2,6-ビス{2-[4-(ジメチルアミノ)フェニ
ル]エテニル}-4H-ピラン-4-イリデン)プロパンジニトリル(略称:BisDC
M)、2-{2,6-ビス[2-(8-メトキシ-1,1,7,7-テトラメチル-2,
3,6,7-テトラヒドロ-1H,5H-ベンゾ[ij]キノリジン-9-イル)エテニ
ル]-4H-ピラン-4-イリデン}プロパンジニトリル(略称:BisDCJTM)な
どが挙げられる。
【0152】
三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、燐光を発する物質(燐
光性化合物)や熱活性化遅延蛍光(TADF)を示すTADF材料(熱活性化遅延蛍光性
化合物)が挙げられる。なお、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様の
スペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、1×10-6秒以
上、好ましくは1×10-3秒以上である。
【0153】
燐光を発する物質としては、ビス{2-[3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)フェ
ニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(C
F3ppy)2(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジ
ナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac
)、トリス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)
3])、ビス(2-フェニルピリジナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(
略称:[Ir(ppy)2(acac)])、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェ
ナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])、
ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[
Ir(bzq)2(acac)])、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト
-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)2
(acac)])、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト
-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(p-PF-
ph)2(acac)])、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジ
ウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bt)2(acac)])、ビス
[2-(2’-ベンゾ[4,5-a]チエニル)ピリジナト-N,C3’]イリジウム(
III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(btp)2(acac)])、ビス(1
-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(
略称:[Ir(piq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビ
ス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(F
dpq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フ
ェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)2(aca
c)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニル
ピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)2(acac)
])、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム
(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])、ビス(2,3,5-トリフ
ェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(t
ppr)2(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-
フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(ac
ac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウ
ム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])、2,3,7,8,12,
13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:
PtOEP)、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナ
ントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])、ト
リス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナント
ロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)3(Phen)])などが挙
げられる。
【0154】
また、TADF材料としては、例えば、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアク
リジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、
カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラ
ジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。該金属含有ポルフィリンと
しては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Proto
IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Meso IX))、
ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Hemato IX))、コプ
ロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Copro
III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(O
EP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(略称:SnF2(Etio I))、
オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(略称:PtCl2OEP)等が挙げられる。
さらに、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,
3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(略称:PIC-TRZ
)等のπ電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物を用い
ることもできる。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合
した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプタ
ー性が共に強くなり、S1とT1のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
【0155】
さらに、発光層113には、独特な光学特性を有する量子ドット(QD:Quantum
Dot)を用いることもできる。なお、QDは、ナノスケールの半導体結晶のことを指
し、具体的にはおよそ数nm~数十nmの直径を有する。また、結晶の大きさを変えるこ
とで光学的特性や電子的特性を変えることができるので、発光色などの調整が容易である
。また、量子ドットは、発光スペクトルのピーク幅が狭いため、色純度のよい発光を得る
ことができる。
【0156】
量子ドットを構成する材料としては、元素周期表第14族元素、第15族元素、第16族
元素、複数の第14族元素からなる化合物、第4族から第14族に属する元素と第16族
元素との化合物、第2族元素と第16族元素との化合物、第13族元素と第15族元素と
の化合物、第13族元素と第17族元素との化合物、第14族元素と第15族元素との化
合物、第11族元素と第17族元素との化合物、酸化鉄類、酸化チタン類、カルコゲナイ
ドスピネル類、各種半導体クラスターなどを挙げることができる。
【0157】
具体的には、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化亜鉛
、酸化亜鉛、硫化亜鉛、テルル化亜鉛、硫化水銀、セレン化水銀、テルル化水銀、砒化イ
ンジウム、リン化インジウム、砒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化インジウム、窒化ガ
リウム、アンチモン化インジウム、アンチモン化ガリウム、リン化アルミニウム、砒化ア
ルミニウム、アンチモン化アルミニウム、セレン化鉛、テルル化鉛、硫化鉛、セレン化イ
ンジウム、テルル化インジウム、硫化インジウム、セレン化ガリウム、硫化砒素、セレン
化砒素、テルル化砒素、硫化アンチモン、セレン化アンチモン、テルル化アンチモン、硫
化ビスマス、セレン化ビスマス、テルル化ビスマス、ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム
、錫、セレン、テルル、ホウ素、炭素、リン、窒化ホウ素、リン化ホウ素、砒化ホウ素、
窒化アルミニウム、硫化アルミニウム、硫化バリウム、セレン化バリウム、テルル化バリ
ウム、硫化カルシウム、セレン化カルシウム、テルル化カルシウム、硫化ベリリウム、セ
レン化ベリリウム、テルル化ベリリウム、硫化マグネシウム、セレン化マグネシウム、硫
化ゲルマニウム、セレン化ゲルマニウム、テルル化ゲルマニウム、硫化錫、セレン化錫、
テルル化錫、酸化鉛、フッ化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、酸化銅、セレン化銅、酸化
ニッケル、酸化コバルト、硫化コバルト、四酸化三鉄、硫化鉄、酸化マンガン、硫化モリ
ブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニ
ウム、窒化ケイ素、窒化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、セレンと
亜鉛とカドミウムの化合物、インジウムと砒素とリンの化合物、カドミウムとセレンと硫
黄の化合物、カドミウムとセレンとテルルの化合物、インジウムとガリウムと砒素の化合
物、インジウムとガリウムとセレンの化合物、インジウムとセレンと硫黄の化合物、銅と
インジウムと硫黄の化合物およびこれらの組合せなどを挙げることができる。但し、これ
らに限定されるものではない。また、組成が任意の比率で表される、いわゆる合金型量子
ドットを用いても良い。例えば、カドミウムとセレンと硫黄の合金型量子ドットは、元素
の含有比率を変化させることで発光波長を変えることができるため、青色発光を得るには
有効な手段の一つである。
【0158】
また、量子ドットの構造としては、コア型、コア-シェル型、コア-マルチシェル型など
があり、そのいずれを用いても良い。なお、コアを覆ってシェルが形成されるコア-シェ
ル型やコア-マルチシェル型の量子ドットの場合には、コアに用いる無機材料よりも広い
バンドギャップを持つ別の無機材料を用いてシェルを形成することによって、ナノ結晶表
面に存在する欠陥やダングリングボンドの影響を低減させることができ、発光の量子効率
を大きく改善させることができるため好ましい。
【0159】
また、QDは、溶液に分散させることができるため、塗布法、インクジェット法、印刷法
などにより発光層113を形成することができる。なお、QDは、発色が明るく鮮やかな
だけでなく、広範囲の波長の光を発光可能で、高効率、長寿命であることから、発光層1
13に用いることで素子特性を向上させることができる。
【0160】
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質(電子輸送性化合物ともいう)を含む層であ
る。電子輸送層114には、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3
)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、Be
Bq2、BAlq、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(
略称:Zn(BOX)2)、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]
亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などの金属錯体を用いることができる。また、PBD、
1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール
-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、TAZ、3-(4-tert-ブチルフェ
ニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリア
ゾール(略称:p-EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキ
ュプロイン(略称:BCP)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イ
ル)スチルベン(略称:BzOs)などの複素芳香族化合物も用いることができる。また
、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフル
オレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py
)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビ
ピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)の他、ホスフィンオキシド骨格
を有する高分子化合物等を用いることもできる。ここに述べた物質は、主に1×10-6
cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高
い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層114として用いてもよい。
【0161】
また、電子輸送層114は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層
された構造としてもよい。
【0162】
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、フ
ッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、
リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれら
の化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金
属化合物を用いることができる。また、電子注入層115にエレクトライドを用いてもよ
い。該エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子
を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、上述した電子輸送層114を構成する物質
を用いることもできる。
【0163】
また、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材
料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生
するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、
発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電
子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる
。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的に
は、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マ
グネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ
金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、
バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いるこ
ともできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いること
もできる。
【0164】
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114
、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、印刷法(例えば、凸版
印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法、平版印刷法、孔版印刷法等)、インクジェット法
、塗布法等の方法を単独または組み合わせて用いて形成することができる。また、上述し
た、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、及び電子
注入層115には、上述した材料の他、量子ドットなどの無機化合物または高分子化合物
(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いてもよい。
【0165】
上述した発光素子は、第1の電極101および第2の電極103の間に与えられる電位差
により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する
。そして、この発光は、第1の電極101および第2の電極103のいずれか一方または
両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101および第2の電極103の
いずれか一方、または両方が透光性を有する電極となる。
【0166】
以上により説明した発光素子は、有機金属錯体に基づく燐光発光が得られることから、蛍
光性化合物のみを用いた発光素子に比べて、高効率な発光素子を実現することができる。
【0167】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いる
ことができるものとする。
【0168】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様であり、EL層を複数有する構造の発光素子(以下、
タンデム型発光素子という)について説明する。
【0169】
本実施の形態に示す発光素子は、
図2(A)に示すように一対の電極(第1の電極201
および第2の電極204)間に、電荷発生層205を介して複数のEL層(第1のEL層
202(1)、第2のEL層202(2))を有するタンデム型発光素子である。
【0170】
本実施の形態において、第1の電極201は、陽極として機能する電極であり、第2の電
極204は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極201および第2の電極2
04は、実施の形態2と同様な構成を用いることができる。また、複数のEL層(第1の
EL層202(1)、第2のEL層202(2))は、実施の形態2で示したEL層と両
方とも同様な構成であっても良いが、いずれか一方が同様の構成であっても良い。すなわ
ち、第1のEL層202(1)と第2のEL層202(2)は、同じ構成であっても異な
る構成であってもよく、同じ構成である場合は、実施の形態2を適用することができる。
【0171】
また、複数のEL層(第1のEL層202(1)、第2のEL層202(2))の間に設
けられている電荷発生層205は、第1の電極201と第2の電極204に電圧を印加し
たときに、一方のEL層に電子を注入し、他方のEL層に正孔を注入する機能を有する。
本実施の形態の場合には、第1の電極201に第2の電極204よりも電位が高くなるよ
うに電圧を印加すると、電荷発生層205から第1のEL層202(1)に電子が注入さ
れ、第2のEL層202(2)に正孔が注入される。
【0172】
なお、電荷発生層205は、光の取り出し効率の点から、可視光に対して透光性を有する
(具体的には、電荷発生層205の可視光の透過率が、40%以上)ことが好ましい。ま
た、電荷発生層205は、第1の電極201や第2の電極204よりも低い導電率であっ
ても機能する。
【0173】
電荷発生層205は、正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体(アクセプター)が添加
された構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体(ドナー)が添加され
た構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。
【0174】
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸
送性の高い有機化合物としては、実施の形態2で正孔注入層111、および正孔輸送層1
12に用いる正孔輸送性の高い物質として示した物質を用いることができる。例えば、N
PBやTPD、TDATA、MTDATA、BSPBなどの芳香族アミン化合物等を用い
ることができる。ここに述べた物質は、主に1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度
を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以
外の物質を用いても構わない。
【0175】
また、電子受容体としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフ
ルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。ま
た元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具
体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、
酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中で
も特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好まし
い。
【0176】
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、
電子輸送性の高い有機化合物としては、実施の形態2で電子輸送層114に用いる電子輸
送性の高い物質として示した物質を用いることができる。例えば、Alq、Almq3、
BeBq2、BAlqなど、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等
を用いることができる。また、この他、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキ
サゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、
金属錯体以外にも、PBDやOXD-7、TAZ、BPhen、BCPなども用いること
ができる。ここに述べた物質は、主に1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有す
る物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物
質を用いても構わない。
【0177】
また、電子供与体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類金属また
は元素周期表における第2、第13族に属する金属およびその酸化物、炭酸塩を用いるこ
とができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)
、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、
炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化
合物を電子供与体として用いてもよい。
【0178】
なお、上述した材料を用いて電荷発生層205を形成することにより、EL層が積層され
た場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。また、電荷発生層205の形成
方法としては、蒸着法(真空蒸着法を含む)、印刷法(例えば、凸版印刷法、凹版印刷法
、グラビア印刷法、平版印刷法、孔版印刷法等)、インクジェット法、塗布法等の方法を
単独または組み合わせて用いて形成することができる。
【0179】
本実施の形態では、EL層を2層有する発光素子について説明したが、
図2(B)に示す
ように、n層(ただし、nは、3以上)のEL層(202(1)~202(n))を積層
した発光素子についても、同様に適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素
子のように、一対の電極間に複数のEL層を有する場合、EL層とEL層との間にそれぞ
れ電荷発生層(205(1)~205(n-1))を配置することで、電流密度を低く保
ったまま、高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命素子を
実現できる。
【0180】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望
の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1
のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素
子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合する
と無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色の光を互いに混合する
と、白色発光を得ることができる。具体的には、第1のEL層から青色発光が得られ、第
2のEL層から黄色発光または橙色発光が得られる組み合わせが挙げられる。この場合、
青色発光と黄色発光(または橙色発光)が両方とも同じ蛍光発光、または燐光発光である
必要はなく、青色発光が蛍光発光であり、黄色発光(または橙色発光)が燐光発光である
組み合わせや、その逆の組み合わせとしてもよい。
【0181】
また、3つのEL層を有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1のEL層の発
光色が赤色であり、第2のEL層の発光色が緑色であり、第3のEL層の発光色が青色で
ある場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0182】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0183】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置について説明する。
【0184】
なお、上記発光装置は、パッシブマトリクス型の発光装置でもアクティブマトリクス型の
発光装置でもよい。また、本実施の形態に示す発光装置には、他の実施形態で説明した発
光素子を適用することが可能である。
【0185】
本実施の形態では、まずアクティブマトリクス型の発光装置について
図3を用いて説明す
る。
【0186】
なお、
図3(A)は発光装置を示す上面図であり、
図3(B)は
図3(A)を鎖線A-A
’で切断した断面図である。本実施の形態に係る発光装置は、素子基板301上に設けら
れた画素部302と、駆動回路部(ソース線駆動回路)303と、駆動回路部(ゲート線
駆動回路)(304a、304b)と、を有する。画素部302、駆動回路部303、及
び駆動回路部(304a、304b)は、シール材305によって、素子基板301と封
止基板306との間に封止されている。
【0187】
また、素子基板301上には、駆動回路部303、及び駆動回路部(304a、304b
)に外部からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット
信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線307が設けられ
る。ここでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)308を
設ける例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCには
プリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置に
は、発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含
むものとする。
【0188】
次に、断面構造について
図3(B)を用いて説明する。素子基板301上には駆動回路部
及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース線駆動回路である駆動回路部303と
、画素部302が示されている。
【0189】
駆動回路部303はFET309とFET310とを組み合わせた構成について例示して
いる。なお、駆動回路部303は、単極性(nチャネル型またはpチャネル型のいずれか
一方のみ)のトランジスタを含む回路で形成されても良いし、nチャネル型のトランジス
タとpチャネル型のトランジスタを含むCMOS回路で形成されても良い。また、本実施
の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしもその必要
はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
【0190】
また、画素部302はスイッチング用FET(図示せず)と、電流制御用FET312と
を有し、電流制御用FET312の配線(ソース電極又はドレイン電極)は、発光素子3
17aおよび発光素子317bの第1の電極(陽極)(313a、313b)と電気的に
接続されている。また、本実施の形態においては、画素部302に2つのFET(スイッ
チング用FET、電流制御用FET312)を用いて構成する例について示したが、これ
に限定されない。例えば、3つ以上のFETと、容量素子とを組み合わせる構成としても
よい。
【0191】
FET309、310、312としては、例えば、スタガ型や逆スタガ型のトランジスタ
を適用することができる。FET309、310、312に用いることのできる半導体材
料としては、例えば、第13族半導体、第14族(シリコン等)半導体、化合物半導体、
酸化物半導体、有機半導体を用いることができる。また、該半導体の結晶性については、
特に限定されず、例えば、非晶質半導体、または結晶性半導体を用いることができる。特
に、FET309、310、312としては、酸化物半導体を用いると好ましい。なお、
酸化物半導体としては、例えば、In-Ga酸化物、In-M-Zn酸化物(Mは、Al
、Ga、Y、Zr、La、Ce、HfまたはNd)等が挙げられる。FET309、31
0、312として、例えば、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以
上、さらに好ましくは3eV以上の酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電
流を低減することができる。
【0192】
また、第1の電極(313a、313b)には、光学調整のための導電膜(320a、3
20b)を積層した構造を含む。例えば、
図3(B)に示すように発光素子317aと発
光素子317bとで取り出す光の波長が異なる場合には、導電膜320aと導電膜320
bとの膜厚は異なる。また、第1の電極(313a、313b)の端部を覆って絶縁物3
14が形成されている。ここでは、絶縁物314として、ポジ型の感光性アクリル樹脂を
用いることにより形成する。また、本実施の形態においては、第1の電極(313a、3
13b)を陽極として用いる。
【0193】
また、絶縁物314の上端部または下端部に曲率を有する面を形成するのが好ましい。絶
縁物314の形状を上記のように形成することで、絶縁物314の上層に形成される膜の
被覆性を良好なものとすることができる。例えば、絶縁物314の材料として、ネガ型の
感光性樹脂、或いはポジ型の感光性樹脂のいずれかを使用することができ、有機化合物に
限らず無機化合物、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等を使用す
ることができる。
【0194】
第1の電極(313a、313b)上には、EL層315及び第2の電極316が積層形
成される。EL層315は、少なくとも発光層が設けられており、第1の電極(313a
、313b)、EL層315及び第2の電極316からなる発光素子(317a、317
b)は、EL層315の端部が、第2の電極316で覆われた構造を有する。また、EL
層315の構成については、実施の形態2や実施の形態3に示す単層構造または積層構造
と同様であっても異なっていてもよい。さらに、発光素子ごとに異なっていてもよい。
【0195】
なお、第1の電極(313a、313b)、EL層315及び第2の電極316に用いる
材料としては、実施の形態2に示す材料を用いることができる。また、発光素子(317
a、317b)の第1の電極(313a、313b)は、領域321において、引き回し
配線307と電気的に接続されFPC308を介して外部信号が入力される。さらに、発
光素子(317a、317b)の第2の電極316は、領域322において、引き回し配
線323と電気的に接続され、ここでは図示しないが、FPC308を介して外部信号が
入力される。
【0196】
また、
図3(B)に示す断面図では発光素子(317a、317b)を2つのみ図示して
いるが、画素部302において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものと
する。すなわち、画素部302には、2種類(例えば(B、Y))の発光が得られる発光
素子だけでなく、3種類(例えば(R、G、B))の発光が得られる発光素子や、4種類
(例えば(R、G、B、Y)または(R、G、B、W)等)の発光が得られる発光素子等
をそれぞれ形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。なお、この
時の発光層の形成には、発光素子の発光色などに応じて異なる材料を用いた発光層を形成
(いわゆる塗り分け形成)してもよいし、複数の発光素子が同じ材料を用いて形成された
共通の発光層を有し、カラーフィルタと組み合わせることによってフルカラー化を実現さ
せてもよい。このように数種類の発光が得られる発光素子を組み合わせることにより、色
純度の向上、消費電力の低減等の効果が得ることができる。さらに、量子ドットとの組み
合わせにより発光効率を向上させ、消費電力を低減させた発光装置としてもよい。
【0197】
さらに、シール材305で封止基板306を素子基板301と貼り合わせることにより、
素子基板301、封止基板306、およびシール材305で囲まれた空間318に発光素
子(317a、317b)が備えられた構造になっている。
【0198】
また、封止基板306には、有色層(カラーフィルタ)324が設けられており、隣り合
う有色層の間には、黒色層(ブラックマトリクス)325が設けられている。なお、黒色
層(ブラックマトリクス)325と一部重なるように隣り合う有色層(カラーフィルタ)
324の一方または両方が設けられていてもよい。なお、発光素子317a、317bで
得られた発光は、有色層(カラーフィルタ)324を介して外部に取り出される。
【0199】
なお、空間318には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール
材305で充填される構成も含むものとする。また、シール材を塗布して貼り合わせる場
合には、UV処理や熱処理等のいずれか、またはこれらを組み合わせて行うのが好ましい
。
【0200】
また、シール材305にはエポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また
、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、
封止基板306に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiber-R
einforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエス
テルまたはアクリル樹脂等からなるプラスチック基板を用いることができる。シール材と
してガラスフリットを用いる場合には、接着性の観点から素子基板301及び封止基板3
06はガラス基板であることが好ましい。
【0201】
なお、発光素子と電気的に接続されるFETの構造は、
図3(B)とはゲート電極の位置
が異なる構造、すなわち
図3(C)に示すFET326、FET327、FET328に
示す構造としてもよい。また、封止基板306に設けられる有色層(カラーフィルタ)3
24は、
図3(C)に示すように黒色層(ブラックマトリクス)325と重なる位置でさ
らに隣り合う有色層(カラーフィルタ)324とも重なるように設けられていてもよい。
【0202】
以上のようにして、アクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
【0203】
また、本発明の一態様である発光装置としては、上述したアクティブマトリクス型の発光
装置のみならずパッシブマトリクス型の発光装置とすることもできる。
【0204】
図4(A)(B)にパッシブマトリクス型の発光装置を示す。
図4(A)には、パッシブ
マトリクス型の発光装置の上面図、
図4(B)には、断面図をそれぞれ示す。
【0205】
図4(A)(B)に示すように、基板401上には、第1の電極402と、EL層(40
3a、403b、403c)と、第2の電極404とを有する発光素子405が形成され
る。なお、第1の電極402は、島状であり、一方向(
図4(A)では、横方向)にスト
ライプ状に複数形成されている。また、第1の電極402上の一部には、絶縁膜406が
形成されている。絶縁膜406上には絶縁材料を用いてなる隔壁407が設けられる。隔
壁407の側壁は、
図4(B)に示すように基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他
方の側壁との間隔が狭くなるような傾斜を有する。
【0206】
なお、絶縁膜406は、第1の電極402上の一部に開口部を有するため、EL層(40
3a、403b、403c)および第2の電極404を第1の電極402上に所望の形状
に分離形成することができる。
図4(A)および
図4(B)には、メタルマスク等のマス
クと絶縁膜406上の隔壁407とを組み合わせてEL層(403a、403b、403
c)および第2の電極404を形成する例を示す。また、EL層403a、EL層403
b、EL層403cは、それぞれ異なる発光色(例えば、赤、緑、青、黄、橙、白等)を
呈する場合の例を示す。
【0207】
また、EL層(403a、403b、403c)を形成した後、第2の電極404が形成
される。従って、第2の電極404は、EL層(403a、403b、403c)上に第
1の電極402と接することなく形成される。
【0208】
なお、封止の方法については、アクティブマトリクス型の発光装置の場合と同様に行うこ
とができるので、説明は省略する。
【0209】
以上のようにして、パッシブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
【0210】
例えば、本明細書等において、様々な基板を用いて、トランジスタまたは発光素子を形成
することが出来る。基板の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板の一例
としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板
、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチ
ル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓
性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、又は基材フィルムなどがある。ガ
ラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、又は
ソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの
一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例とし
ては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリ
エステル、ポリフッ化ビニル、又はポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、
ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、又は紙類などがある
。特に、半導体基板、単結晶基板、又はSOI基板などを用いてトランジスタを製造する
ことによって、特性、サイズ、又は形状などのばらつきが少なく、電流供給能力が高く、
サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって
回路を構成すると、回路の低消費電力化、又は回路の高集積化を図ることができる。
【0211】
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタまたは発光素
子を形成してもよい。または、基板とトランジスタまたは発光素子との間に剥離層を設け
てもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分
離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタまたは発光
素子は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例え
ば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミ
ド等の有機樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
【0212】
つまり、ある基板を用いてトランジスタまたは発光素子を形成し、その後、別の基板にト
ランジスタまたは発光素子を転置し、別の基板上にトランジスタまたは発光素子を配置し
てもよい。トランジスタまたは発光素子が転置される基板の一例としては、上述したトラ
ンジスタまたは発光素子を形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、
アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊
維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊
維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、又
はゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性のよいトランジスタの形
成、消費電力の小さいトランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量
化、又は薄型化を図ることができる。
【0213】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0214】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置を適用して完成させた様々な電子機器
や自動車の一例について、説明する。
【0215】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジ
ョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオ
カメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携
帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げ
られる。これらの電子機器の具体例を
図5、
図6に示す。
【0216】
図5(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐
体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示す
ることが可能であり、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出力装置)
であってもよい。なお、本発明の一態様である発光装置を表示部7103に用いることが
できる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示して
いる。
【0217】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモ
コン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー
7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示され
る映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機
7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0218】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機に
より一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線によ
る通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送
信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0219】
図5(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キー
ボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。
なお、コンピュータは、本発明の一態様である発光装置をその表示部7203に用いるこ
とにより作製することができる。また、表示部7203は、タッチセンサ(入力装置)を
搭載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。
【0220】
図5(C)は、スマートウオッチであり、筐体7302、表示部7304、操作ボタン7
311、7312、接続端子7313、バンド7321、留め金7322、等を有する。
【0221】
ベゼル部分を兼ねる筐体7302に搭載された表示部7304は、非矩形状の表示領域を
有している。表示部7304は、時刻を表すアイコン7305、その他のアイコン730
6等を表示することができる。また、表示部7304は、タッチセンサ(入力装置)を搭
載したタッチパネル(入出力装置)であってもよい。
【0222】
なお、
図5(C)に示すスマートウオッチは、様々な機能を有することができる。例えば
、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネ
ル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラ
ム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュ
ータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を
行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示す
る機能、等を有することができる。
【0223】
また、筐体7302の内部に、スピーカ、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速
度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電
圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むも
の)、マイクロフォン等を有することができる。なお、スマートウオッチは、発光装置を
その表示部7304に用いることにより作製することができる。
【0224】
図5(D)、
図5(D’-1)、及び
図5(D’-2)は、携帯電話機(スマートフォン
を含む)の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に、表示部7402
、マイク7406、スピーカ7405、カメラ7407、外部接続部7404、操作用ボ
タン7403などを備えている。また、本発明の一態様に係る発光素子を、可撓性を有す
る基板に形成して発光装置を作製した場合、
図5(D)に示すような曲面を有する表示部
7402に適用することが可能である。
【0225】
図5(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報
を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、
表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0226】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表
示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示
モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0227】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を
主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合
、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ま
しい。
【0228】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロセンサや加速度センサ等の検出装置を設ける
ことで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示
を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0229】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作
用ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類
によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画
のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0230】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示
部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モード
から表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0231】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部74
02に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。ま
た、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源
を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0232】
さらに、携帯電話機(スマートフォンを含む)の別の構成として、
図5(D’-1)や図
5(D’-2)のような構造を有する携帯電話機に適用することもできる。
【0233】
なお、
図5(D’-1)や
図5(D’-2)のような構造を有する場合には、文字情報や
画像情報などを筐体7500(1)、7500(2)の第1面7501(1)、7501
(2)だけでなく、第2面7502(1)、7502(2)に表示させることができる。
このような構造を有することにより、携帯電話機を胸ポケットに収納したままの状態で、
第2面7502(1)、7502(2)などに表示された文字情報や画像情報などを使用
者が容易に確認することができる。
【0234】
また、発光装置を適用した電子機器として、
図6(A)~(C)に示すような折りたたみ
可能な携帯情報端末が挙げられる。
図6(A)には、展開した状態の携帯情報端末931
0を示す。また、
図6(B)には、展開した状態又は折りたたんだ状態の一方から他方に
変化する途中の状態の携帯情報端末9310を示す。さらに、
図6(C)には、折りたた
んだ状態の携帯情報端末9310を示す。携帯情報端末9310は、折りたたんだ状態で
は可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優
れる。
【0235】
表示部9311はヒンジ9313によって連結された3つの筐体9315に支持されてい
る。なお、表示部9311は、タッチセンサ(入力装置)を搭載したタッチパネル(入出
力装置)であってもよい。また、表示部9311は、ヒンジ9313を介して2つの筐体
9315間を屈曲させることにより、携帯情報端末9310を展開した状態から折りたた
んだ状態に可逆的に変形させることができる。本発明の一態様の発光装置を表示部931
1に用いることができる。表示部9311における表示領域9312は折りたたんだ状態
の携帯情報端末9310の側面に位置する表示領域である。表示領域9312には、情報
アイコンや使用頻度の高いアプリやプログラムのショートカットなどを表示させることが
でき、情報の確認やアプリなどの起動をスムーズに行うことができる。
【0236】
また、発光装置を適用した自動車を
図7(A)(B)に示す。すなわち、発光装置を、自
動車と一体にして設けることができる。具体的には、
図7(A)に示す自動車の外側のラ
イト5101(車体後部も含む)、タイヤのホイール5102、ドア5103の一部また
は全体などに適用することができる。また、
図7(B)に示す自動車の内側の表示部51
04、ハンドル5105、シフトレバー5106、座席シート5107、インナーリアビ
ューミラー5108等に適用することができる。その他、ガラス窓の一部に適用してもよ
い。
【0237】
以上のようにして、本発明の一態様である発光装置を適用して電子機器や自動車を得るこ
とができる。なお、適用できる電子機器や自動車は、本実施の形態に示したものに限らず
、あらゆる分野において適用することが可能である。
【0238】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0239】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子を適用して作製される照明装置の構成
について
図8を用いて説明する。
【0240】
図8(A)、(B)、(C)、(D)には、照明装置の断面図の一例を示す。なお、
図8
(A)、(B)は基板側に光を取り出すボトムエミッション型の照明装置であり、
図8(
C)、(D)は、封止基板側に光を取り出すトップエミッション型の照明装置である。
【0241】
図8(A)に示す照明装置4000は、基板4001上に発光素子4002を有する。ま
た、基板4001の外側に凹凸を有する基板4003を有する。発光素子4002は、第
1の電極4004と、EL層4005と、第2の電極4006を有する。
【0242】
第1の電極4004は、電極4007と電気的に接続され、第2の電極4006は電極4
008と電気的に接続される。また、第1の電極4004と電気的に接続される補助配線
4009を設けてもよい。なお、補助配線4009上には、絶縁層4010が形成されて
いる。
【0243】
また、基板4001と封止基板4011は、シール材4012で接着されている。また、
封止基板4011と発光素子4002の間には、乾燥剤4013が設けられていることが
好ましい。なお、基板4003は、
図8(A)のような凹凸を有するため、発光素子40
02で生じた光の取り出し効率を向上させることができる。
【0244】
また、基板4003に代えて、
図8(B)の照明装置4100のように、基板4001の
外側に拡散板4015を設けてもよい。
【0245】
図8(C)の照明装置4200は、基板4201上に発光素子4202を有する。発光素
子4202は第1の電極4204と、EL層4205と、第2の電極4206とを有する
。
【0246】
第1の電極4204は、電極4207と電気的に接続され、第2の電極4206は電極4
208と電気的に接続される。また第2の電極4206と電気的に接続される補助配線4
209を設けてもよい。また、補助配線4209の下部に、絶縁層4210を設けてもよ
い。
【0247】
基板4201と凹凸のある封止基板4211は、シール材4212で接着されている。ま
た、封止基板4211と発光素子4202の間にバリア膜4213および平坦化膜421
4を設けてもよい。なお、封止基板4211は、
図8(C)のような凹凸を有するため、
発光素子4202で生じた光の取り出し効率を向上させることができる。
【0248】
また、封止基板4211に代えて、
図8(D)の照明装置4300のように、発光素子4
202の上に拡散板4215を設けてもよい。
【0249】
なお、本実施の形態で示す照明装置は、本発明の一態様である発光素子と、筐体、カバー
、または、支持台を有する構成を有していても良い。さらに発光素子のEL層4005、
4205に、本発明の一態様である有機金属錯体を適用することができる。この場合、消
費電力の低い照明装置を提供することができる。
【0250】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0251】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光装置を適用した応用品である照明装置の一
例について、
図9を用いて説明する。
【0252】
図9は、発光装置を室内の照明装置8001として用いた例である。なお、発光装置は大
面積化も可能であるため、大面積の照明装置を形成することもできる。その他、曲面を有
する筐体を用いることで、発光領域が曲面を有する照明装置8002を形成することもで
きる。本実施の形態で示す発光装置に含まれる発光素子は薄膜状であり、筐体のデザイン
の自由度が高い。したがって、様々な意匠を凝らした照明装置を形成することができる。
さらに、室内の壁面に照明装置8003を備えても良い。
【0253】
なお、上記以外にも室内に備えられた家具の一部に発光装置を適用することにより、家具
としての機能を備えた照明装置とすることができる。
【0254】
以上のように、発光装置を適用した様々な照明装置が得られる。なお、これらの照明装置
は本発明の一態様に含まれるものとする。
【0255】
また、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0256】
(実施の形態8)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光素子または本発明の一態様の発光装置を
有するタッチパネルについて、
図10~
図14を用いて説明を行う。
【0257】
図10(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、
図10(A)(B
)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
【0258】
タッチパネル2000は、表示パネル2501とタッチセンサ2595とを有する(
図1
0(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、及び基
板2590を有する。
【0259】
表示パネル2501は、基板2510上に複数の画素及び該画素に信号を供給することが
できる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にま
で引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509
(1)と電気的に接続する。
【0260】
基板2590には、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する
複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回
され、その一部は端子2599を構成する。そして、端子2599はFPC2509(2
)と電気的に接続される。なお、
図10(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側
(基板2510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実
線で示している。
【0261】
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容
量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
【0262】
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式など
がある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
【0263】
まず、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用する場合について、
図10(B)を用い
て説明する。なお、投影型静電容量方式の場合には、指等の検知対象の近接または接触を
検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
【0264】
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有する
。電極2591と電極2592は、複数の配線2598のうちのそれぞれ異なる配線と電
気的に接続する。また、電極2592は、
図10(A)(B)に示すように、一方向に繰
り返し配置された複数の四辺形が角部で配線2594により、一方向に接続される形状を
有する。電極2591も同様に複数の四辺形が角部で接続される形状を有するが、接続さ
れる方向は、電極2592が接続される方向と交差する方向となる。なお、電極2591
が接続される方向と、電極2592が接続される方向とは、必ずしも直交する関係にある
必要はなく、0度を超えて90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
【0265】
なお、配線2594の電極2592との交差部の面積は、できるだけ小さくなる形状が好
ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキ
を低減できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減す
ることができる。
【0266】
なお、電極2591及び電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる
。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介し
て電極2592を複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592
の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面
積を低減できるため好ましい。
【0267】
次に、
図11を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。
図11は、
図1
0(A)に示す一点鎖線X1-X2間の断面図に相当する。
【0268】
タッチパネル2000は、タッチセンサ2595と表示パネル2501とを有する。
【0269】
タッチセンサ2595は、基板2590に接して千鳥格子状に配置された電極2591及
び電極2592と、電極2591及び電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電
極2591を電気的に接続する配線2594とを有する。なお、隣り合う電極2591の
間には、電極2592が設けられている。
【0270】
電極2591及び電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成することができ
る。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジ
ウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いるこ
とができる。また、グラフェン化合物を用いることもできる。なお、グラフェン化合物を
用いる場合は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを還元して形成することができる
。還元する方法としては、熱を加える方法やレーザを照射する方法等を挙げることができ
る。
【0271】
電極2591及び電極2592の形成方法としては、例えば、透光性を有する導電性材料
を基板2590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々
なパターニング技術により、不要な部分を除去することで形成することができる。
【0272】
絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂
、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウ
ムなどの無機絶縁材料を用いることができる。
【0273】
また、絶縁層2593の一部に形成された配線2594により、隣接する電極2591が
電気的に接続される。なお、配線2594に用いる材料は、電極2591及び電極259
2に用いる材料よりも導電性の高い材料を用いることにより電気抵抗を低減することがで
きるため好ましい。
【0274】
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。なお、
配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598には、例えば、アルミニウム
、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト
、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができ
る。
【0275】
また、端子2599により、配線2598とFPC2509(2)とが電気的に接続され
る。なお、端子2599には、様々な異方性導電フィルム(ACF:Anisotrop
ic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Aniso
tropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0276】
また、配線2594に接して接着層2597が設けられる。すなわち、タッチセンサ25
95は、接着層2597を介して、表示パネル2501に重なるように貼り合わされる。
なお、接着層2597と接する表示パネル2501の表面は、
図11(A)に示すように
基板2570を有していてもよいが、必ずしも必要ではない。
【0277】
接着層2597は、透光性を有する。例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂を用いるこ
とができ、具体的には、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロ
キサン系樹脂を用いることができる。
【0278】
図11(A)に示す表示パネル2501は、基板2510と基板2570との間にマトリ
クス状に配置された複数の画素と駆動回路とを有する。また、各画素は発光素子と、発光
素子を駆動する画素回路とを有する。
【0279】
図11(A)には、表示パネル2501の画素の一例として、画素2502Rを示し、駆
動回路の一例として走査線駆動回路2503gを示す。
【0280】
画素2502Rは、発光素子2550Rと、発光素子2550Rに電力を供給することが
できるトランジスタ2502tとを有する。
【0281】
トランジスタ2502tは、絶縁層2521で覆われている。なお、絶縁層2521は、
先に形成されたトランジスタ等に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、
絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。この場合、不純物の
拡散によるトランジスタ等の信頼性の低下を抑制できるので好ましい。
【0282】
発光素子2550Rは、トランジスタ2502tと配線を介して電気的に接続される。な
お、配線と直接接続されるのは、発光素子2550Rの一方の電極である。なお、発光素
子2550Rの一方の電極の端部は、絶縁体2528で覆われている。
【0283】
発光素子2550Rは、一対の電極間にEL層を有してなる。また、発光素子2550R
と重なる位置に着色層2567Rが設けられており、発光素子2550Rが発する光の一
部は、着色層2567Rを透過して、図中に示す矢印の方向に射出される。また、着色層
の端部に遮光層2567BMが設けられており、発光素子2550Rと着色層2567R
との間には、封止層2560を有する。
【0284】
なお、発光素子2550Rからの光を取り出す方向に封止層2560が設けられている場
合には、封止層2560は、透光性を有するのが好ましい。また、封止層2560は、空
気より大きい屈折率を有すると好ましい。
【0285】
走査線駆動回路2503gは、トランジスタ2503tと、容量素子2503cとを有す
る。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。従っ
て、画素回路のトランジスタ2502tと同様に、駆動回路(走査線駆動回路2503g
)のトランジスタ2503tも絶縁層2521で覆われている。
【0286】
また、トランジスタ2503tに信号を供給することができる配線2511が設けられて
いる。なお、配線2511と接して端子2519が設けられる。また、端子2519は、
FPC2509(1)と電気的に接続されており、FPC2509(1)は、画像信号及
び同期信号等の信号を供給する機能を有する。なお、FPC2509(1)にはプリント
配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
【0287】
図11(A)において示す表示パネル2501には、ボトムゲート型のトランジスタを適
用する場合について示したが、トランジスタの構造はこれに限られることはなく様々な構
造のトランジスタを適用することができる。また、
図11(A)に示す、トランジスタ2
502t及びトランジスタ2503tには、酸化物半導体を含む半導体層をチャネル領域
として用いることができる。その他、アモルファスシリコンを含む半導体層や、レーザー
アニールなどの処理により結晶化させた多結晶シリコンを含む半導体層をチャネル領域と
して用いることができる。
【0288】
また、
図11(A)に示すボトムゲート型のトランジスタとは異なるトップゲート型のト
ランジスタを表示パネル2501に適用する場合の構成について、
図11(B)に示す。
なお、トランジスタの構造が変わった場合でも、チャネル領域に用いることができるバリ
エーションについては同様とする。
【0289】
図11(A)で示したタッチパネル2000は、
図11(A)に示すように画素からの光
が外部に射出される側の表面に、少なくとも画素と重なるように反射防止層2567pを
有するのが好ましい。なお、反射防止層2567pとして、円偏光板等を用いることがで
きる。
【0290】
図11(A)で示した基板2510、基板2570、基板2590としては、例えば、水
蒸気の透過率が1×10
-5g/(m
2・day)以下、好ましくは1×10
-6g/(
m
2・day)以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、こ
れらの基板の熱膨張率が、およそ等しい材料を用いることが好ましい。例えば、線膨張率
が1×10
-3/K以下、好ましくは5×10
-5/K以下、より好ましくは1×10
-
5/K以下である材料が挙げられる。
【0291】
次に、
図11に示すタッチパネル2000と構成の異なるタッチパネル2000’につい
て、
図12を用いて説明する。但し、タッチパネル2000と同様にタッチパネルとして
適用することができる。
【0292】
図12には、タッチパネル2000’の断面図を示す。
図12に示すタッチパネル200
0’は、
図11に示すタッチパネル2000と、表示パネル2501に対するタッチセン
サ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成についてのみ説明し、同様の構成を用い
ることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用することとする。
【0293】
着色層2567Rは、発光素子2550Rと重なる位置にある。また、
図12(A)に示
す発光素子2550Rからの光は、トランジスタ2502tが設けられている方向に射出
される。すなわち、発光素子2550Rからの光(一部)は、着色層2567Rを透過し
て、図中に示す矢印の方向に射出される。なお、着色層2567Rの端部には遮光層25
67BMが設けられている。
【0294】
また、タッチセンサ2595は、表示パネル2501の発光素子2550Rから見てトラ
ンジスタ2502tが設けられている側に設けられている(
図12(A)参照)。
【0295】
また、接着層2597は、表示パネル2501が有する基板2510と接しており、
図1
2(A)に示す構造の場合には、表示パネル2501とタッチセンサ2595とを貼り合
わせている。但し、接着層2597により貼り合わされる表示パネル2501とタッチセ
ンサ2595との間に基板2510を設けない構成としてもよい。
【0296】
また、タッチパネル2000の場合と同様にタッチパネル2000’の場合も表示パネル
2501には、様々な構造のトランジスタを適用することができる。なお、
図12(A)
においては、ボトムゲート型のトランジスタを適用する場合について示したが、
図12(
B)に示すようにトップゲート型のトランジスタを適用してもよい。
【0297】
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、
図13を用いて説明を行う。
【0298】
図13(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。
図13(
A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、図
13(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1-X6として、電流の変化
を検知する電極2622をY1-Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。また
、
図13(A)は、電極2621と、電極2622とが重畳することで形成される容量2
603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換え
てもよい。
【0299】
パルス電圧出力回路2601は、X1-X6の配線に順にパルス電圧を印加するための回
路である。X1-X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する
電極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等に
より容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、また
は接触を検出することができる。
【0300】
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1-Y6の配線で
の電流の変化を検出するための回路である。Y1-Y6の配線では、被検知体の近接、ま
たは接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接
触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出
は、積分回路等を用いて行えばよい。
【0301】
次に、
図13(B)には、
図13(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出
力波形のタイミングチャートを示す。
図13(B)では、1フレーム期間で各行列での被
検知体の検出を行うものとする。また
図13(B)では、被検知体を検出しない場合(非
タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なお
Y1-Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示してい
る。
【0302】
X1-X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1-Y
6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1-X6の
配線の電圧の変化に応じてY1-Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接ま
たは接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する
。このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知
することができる。
【0303】
また、
図13(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設けるパ
ッシブ型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを備えたアクティブ型
のタッチセンサとしてもよい。
図14にアクティブ型のタッチセンサに含まれる一つのセ
ンサ回路の例を示している。
【0304】
図14に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ2
612と、トランジスタ2613とを有する。
【0305】
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に電
圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611の
ゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方がト
ランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VSS
が与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたはド
レインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VSS
が与えられる。
【0306】
次に、
図14に示すセンサ回路の動作について説明する。まず信号G2としてトランジス
タ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲートが
接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2として
トランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持
される。続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変
化することに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
【0307】
読み出し動作は、信号G1としてトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。
ノードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる
電流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出する
ことができる。
【0308】
トランジスタ2611、トランジスタ2612、及びトランジスタ2613としては、酸
化物半導体層をチャネル領域が形成される半導体層に用いることが好ましい。とくにトラ
ンジスタ2613にこのようなトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を長
期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リフ
レッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
【0309】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0310】
(実施の形態9)
本実施の形態においては、本発明の一態様の発光素子を有する表示装置として、反射型の
液晶素子と、発光素子と、を有し、透過モードと反射モードの両方の表示を行うことので
きる表示装置について、
図15~
図17を用いて説明する。なお、このような表示装置は
、ER-hybrid display(Emissive OLED and Ref
lective LC Hybrid display)とも呼ぶことができる。
【0311】
なお、本実施の形態で示す表示装置は、屋外など外光の明るい場所において、反射モード
を用いた表示により、極めて電力消費が低い駆動を行うことができる。一方、夜間や室内
など外光が暗い場所では、透過モードを用いた表示により、最適な輝度で画像を表示する
ことができるという特徴を有する。従って、これらを組み合わせて表示させることにより
、従来の表示パネルに比べて、低い消費電力で、且つコントラストの高い表示を行うこと
ができる。
【0312】
本実施の形態で示す表示装置の一例としては、反射電極を備えた液晶素子と、発光素子と
が積層され、発光素子と重なる位置に反射電極の開口部が設けられ、反射モードの際には
可視光を反射電極によって反射させ、透過モードの場合には、反射電極の開口部から発光
素子の光が射出される構成を有する表示装置について示す。なお、これらの素子(液晶素
子および発光素子)の駆動に用いるトランジスタは、同一平面上に配置されていることが
好ましい。また、積層される液晶素子と、発光素子とは、絶縁層を介して形成されること
が好ましい。
【0313】
図15(A)には、本実施の形態で説明する表示装置のブロック図を示す。表示装置50
0は、回路(G)501、回路(S)502、および表示部503を有する。なお、表示
部503には、画素504が、方向R及び方向Cにマトリクス状に複数配置されている。
また、回路(G)501は、配線G1、配線G2、配線ANO、及び配線CSCOMが、
それぞれ複数電気的に接続されており、さらにこれらの配線は、方向Rに複数配列された
画素504とも電気的に接続されている。回路(S)502は、配線S1及び配線S2が
、それぞれ複数電気的に接続されており、さらにこれらの配線は、方向Cに複数配列され
た画素504とも電気的に接続されている。
【0314】
また、画素504は、液晶素子と発光素子を有し、これらは、互いに重なる部分を有する
。
【0315】
図15(B1)には、画素504が有する液晶素子の反射電極として機能する導電膜50
5の形状について示す。なお、導電膜505の一部で発光素子と重なる位置506に開口
部507が設けられている。すなわち、発光素子からの光は、この開口部507を介して
射出される。
【0316】
図15(B1)に示す画素504は、方向Rに隣接する画素504が異なる色を呈するよ
うに配列されている。さらに、開口部507は、方向Rに一列に配列されることのないよ
うに設けられている。このような配列にすることは、隣接する画素504が有する発光素
子間におけるクロストークを抑制する効果を有する。さらに、素子形成が容易になるとい
ったメリットも有する。
【0317】
開口部507の形状としては、例えば多角形、四角形、楕円形、円形または十字等の形状
とすることができる。また、細長い筋状、スリット状等の形状としてもよい。
【0318】
なお、導電膜505の配列のバリエーションとしては、
図15(B2)に示す配列として
もよい。
【0319】
導電膜505の総面積(開口部507を除く)に対する開口部507の割合は、表示装置
の表示に影響を与える。すなわち、開口部507の面積が大きいと液晶素子による表示が
暗くなり、開口部507の面積が小さいと発光素子による表示が暗くなるという問題が生
じる。また、上記の比率だけでなく、開口部507の面積そのものが小さい場合にも、発
光素子から射出される光の取り出し効率が低下するという問題が生じる。なお、上記導電
膜505の総面積(開口部507を除く)に対する開口部507の面積の割合としては、
5%以上60%以下とするのが液晶素子および発光素子を組み合わせた際の表示品位を保
つ上で好ましい。
【0320】
次に、画素504の回路構成の一例について
図16を用いて説明する。
図16では、隣接
する2つの画素504を示す。
【0321】
画素504は、トランジスタSW1、容量素子C1、液晶素子510、トランジスタSW
2、トランジスタM、容量素子C2、及び発光素子511等を有する。なお、これらは、
配線G1、配線G2、配線ANO、配線CSCOM、配線S1、及び配線S2のいずれか
と画素504において、電気的に接続されている。また、液晶素子510は配線VCOM
1と、発光素子511は配線VCOM2と、それぞれ電気的に接続されている。
【0322】
また、トランジスタSW1のゲートは、配線G1と接続され、トランジスタSW1のソー
ス又はドレインの一方は、配線S1と接続され、ソース又はドレインの他方は、容量素子
C1の一方の電極、及び液晶素子510の一方の電極と接続されている。なお、容量素子
C1の他方の電極は、配線CSCOMと接続されている。また、液晶素子510の他方の
電極は、配線VCOM1と接続されている。
【0323】
また、トランジスタSW2のゲートは、配線G2と接続され、トランジスタSW2のソー
ス又はドレインの一方は、配線S2と接続され、ソース又はドレインの他方は、容量素子
C2の一方の電極、及びトランジスタMのゲートと接続されている。なお、容量素子C2
の他方の電極は、トランジスタMのソース又はドレインの一方、及び配線ANOと接続さ
れている。また、トランジスタMのソース又はドレインの他方は、発光素子511の一方
の電極と接続されている。また、発光素子511の他方の電極は、配線VCOM2と接続
されている。
【0324】
なお、トランジスタMは、半導体を挟む2つのゲートを有し、これら2つのゲートは、電
気的に接続されている。このような構造とすることにより、トランジスタMが流す電流量
を増大させることができる。
【0325】
配線G1から与えられる信号によって、トランジスタSW1の導通状態または非導通状態
が制御される。また、配線VCOM1からは、所定の電位が与えられる。また、配線S1
から与えられる信号によって、液晶素子510の液晶の配向状態を制御することができる
。また、配線CSCOMからは、所定の電位が与えられる。
【0326】
配線G2から与えられる信号によって、トランジスタSW2の導通状態または非導通状態
が制御される。また、配線VCOM2及び配線ANOからそれぞれ与えられる電位の電位
差によって、発光素子511を発光させることができる。また、配線S2から与えられる
信号によって、トランジスタMの導通状態を制御することができる。
【0327】
したがって、本実施の形態で示す構成において、例えば反射モードの場合には、配線G1
及び配線S1から与えられる信号により液晶素子510を制御し、光学変調を利用して表
示させることができる。また、透過モードの場合には、配線G2及び配線S2から与えら
れる信号により発光素子511を発光させることができる。さらに両方のモードを同時に
用いる場合には、配線G1、配線G2、配線S1及び配線S2のそれぞれから与えられる
信号に基づき所望の駆動を行うことができる。
【0328】
次に、本実施の形態で説明する表示装置500の断面概略図を
図17に示し、詳細を説明
する。
【0329】
表示装置500は、基板521と基板522との間に、発光素子523および液晶素子5
24を有する。なお、発光素子523および液晶素子524は、絶縁層525を介してそ
れぞれ形成される。すなわち、基板521と絶縁層525との間に発光素子523を有し
、基板522と絶縁層525との間に液晶素子524を有する。
【0330】
絶縁層525と発光素子523との間には、トランジスタ515、トランジスタ516、
トランジスタ517、および着色層528等を有する。
【0331】
基板521と発光素子523との間には、接着層529を有する。また、発光素子523
は、絶縁層525側から一方の電極となる導電層530、EL層531、他方の電極とな
る導電層532の順に積層された積層構造を有する。なお、発光素子523は、ボトムエ
ミッション型の発光素子であるため、導電層532は可視光を反射する材料を含み、導電
層530は可視光を透過する材料を含む。発光素子523が発する光は、着色層528、
絶縁層525を透過し、さらに開口部533を通って液晶素子524を透過した後、基板
522から外部に射出される。
【0332】
絶縁層525と基板522との間には、液晶素子524の他、着色層534、遮光層53
5、絶縁層546および構造体536等を有する。また、液晶素子524は、一方の電極
となる導電層537、液晶538、他方の電極となる導電層539、および配向膜540
、541等を有する。なお、液晶素子524は、反射型の液晶素子であり、導電層539
は、反射電極として機能するため反射率の高い材料を用いる。また、導電層537は、透
明電極として機能するため可視光を透過する材料を含む。さらに、導電層537および導
電層539の液晶538側には、それぞれ配向膜540、541を有する。また、絶縁層
546は、着色層534及び遮光層535を覆うように設けられており、オーバーコート
としての機能を有する。なお、配向膜540、541は不要であれば設けなくてもよい。
【0333】
導電層539の一部には、開口部533が設けられている。なお、導電層539に接して
導電層543を有しており、導電層543は透光性を有するため、導電層543には可視
光を透過する材料を用いる。
【0334】
構造体536は、絶縁層525と基板522とが必要以上に接近することを抑制するスペ
ーサとしての機能を有する。なお、構造体536は不要であれば設けなくてもよい。
【0335】
トランジスタ515のソース又はドレインのいずれか一方は、発光素子523の導電層5
30と電気的に接続されている。例えばトランジスタ515は、
図16に示すトランジス
タMに対応する。
【0336】
トランジスタ516のソース又はドレインのいずれか一方は、端子部518を介して液晶
素子524の導電層539及び導電層543と電気的に接続されている。すなわち、端子
部518は、絶縁層525の両面に設けられる導電層同士を電気的に接続する機能を有す
る。なお、トランジスタ516は、
図16に示すトランジスタSW1に対応する。
【0337】
基板521と基板522とが重ならない領域には、端子部519が設けられている。端子
部519は端子部518と同様に、絶縁層525の両面に設けられる導電層同士を電気的
に接続する。端子部519は、導電層543と同一の導電膜を加工して得られた導電層と
電気的に接続されている。これにより、端子部519とFPC544とを接続層545を
介して電気的に接続することができる。
【0338】
また、接着層542が設けられる一部の領域には、接続部547が設けられている。接続
部547において、導電層543と同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層5
37の一部が、接続体548によって電気的に接続されている。したがって、導電層53
7に、FPC544から入力される信号または電位を、接続体548を介して供給するこ
とができる。
【0339】
導電層537と導電層543の間に、構造体536が設けられている。構造体536は、
液晶素子524のセルギャップを保持する機能を有する。
【0340】
導電層543としては、金属酸化物、金属窒化物、または低抵抗化された酸化物半導体等
の酸化物を用いることが好ましい。酸化物半導体を用いる場合には、水素、ボロン、リン
、窒素、及びその他の不純物の濃度、並びに酸素欠損量の少なくとも一が、トランジスタ
に用いる半導体層に比べて高められた材料を、導電層543に用いればよい。
【0341】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成と適宜組み合わせて用い
ることができる。
【0342】
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の一態様である発光素子について説明する。なお、本実施の形
態で説明する発光素子は、実施の形態2で説明した発光素子と異なる構成を有する。従っ
て、発光素子の素子構造およびその作製方法について
図31(A)(B)を用いて説明す
る。但し、実施の形態2で説明した発光素子と共通する部分については、実施の形態2の
説明を参照することとして、説明を省略する。
【0343】
本実施の形態で説明する発光素子は、基板3200上に形成された一対の電極(陰極32
01と陽極3203)間に発光層3213を含むEL層3202が挟まれた構造を有する
。なお、EL層3202は、実施の形態2におけるEL層と同様に発光層、正孔注入層、
正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等を積層して形成することができる。
【0344】
本実施の形態では、
図31(A)に示すように、基板3200上に形成された陰極320
1上に、電子注入層3214、発光層3213、正孔輸送層3215、および正孔注入層
3216を順次積層してなるEL層3202を有し、正孔注入層3216上に陽極320
3が形成された構造を有する発光素子について説明する。なお、ここでは、電子輸送層を
設けていないが、電子注入層3214に電子輸送性の高い材料を含めることにより、電子
輸送層の機能を兼ねるように形成することもできる。
【0345】
上述した発光素子は、陰極3201および陽極3203の間に与えられる電位差により電
流が流れ、EL層3202において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そし
て、この発光は、陰極3201および陽極3203のいずれか一方または両方を通って外
部に取り出される。従って、陰極3201および陽極3203のいずれか一方、または両
方が透光性を有する電極であり、透光性を有する電極側から光を取り出すことができる。
【0346】
本実施の形態で示す発光素子は、
図31(A)に示すように陰極3201の端部が、絶縁
物3217で覆われている。なお、絶縁物3217は、
図31(B)に示すように隣り合
う陰極3201同士(例えば、3201aと3201b)の間を埋めるように形成される
。
【0347】
また、絶縁物3217は、絶縁性の有機化合物や無機化合物を用いることができる。有機
化合物としては、感光性の樹脂(レジスト材料など)を用いることができ、例えばアクリ
ル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。また、無機化合物
としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等を用いることがで
きる。なお、絶縁物3217の表面は、撥水性を有することが好ましく、その処理方法と
しては、プラズマ処理の他、薬液(アルカリ性溶液、有機溶媒)処理などが挙げられる。
【0348】
本実施の形態において、陰極3201上に形成される電子注入層3214は、高分子化合
物を用いて形成する。但し、非水溶媒に溶解しにくく、電子輸送性の高い高分子化合物を
用いるのが好ましい。具体的には、実施の形態2において、電子注入層115および電子
輸送層114に用いることができる材料として挙げたもの(高分子化合物だけでなくアル
カリ金属やアルカリ土類金属、またはそれらの化合物を含む)を適宜組み合わせて用い、
これらを極性溶媒に溶解させ、塗布法により形成する。
【0349】
なお、ここで用いる極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプ
ロパノール、ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0350】
電子注入層3214上には、発光層3213が形成される。発光層3213は、実施の形
態2において、発光層3213に用いることができる材料(発光物質)として挙げたもの
を適宜組み合わせて非極性溶媒に溶解(または、分散)させたインクを湿式法(インクジ
ェット法または印刷法)により成膜(または塗布)し、形成する。なお、電子注入層32
14は、発光色の異なる発光素子に対して共通であるが、発光層3213には、発光色に
応じた材料を選択する。また、非極性溶媒としては、トルエンやキシレン等の芳香族系の
溶媒やピリジンなどの複素芳香族系の溶媒を用いることができる。その他にもヘキサン、
2-メチルヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルムなどの溶媒を用いることができる。
【0351】
図31(B)に示すように、溶液を塗布するための装置(以下、溶液塗布装置という。)
のヘッド部3300から発光層3213を形成するためのインクが塗布される。なお、ヘ
ッド部3300は、インクを噴射する機能を持つ複数の噴射部3301a~3301cを
有しており、それぞれに圧電素子(ピエゾ素子)3302a~3302cが設けられる。
また、噴射部3301a~3301cのそれぞれには異なる発光色を示す発光物質を含む
インク3303a~3303cが充填されている。
【0352】
噴射部3301a~3301cからインク3303a~3303cがそれぞれ噴射される
ことにより、発光色の異なる発光層(3213a、3213b、3213c)がそれぞれ
形成される。
【0353】
発光層3213上には、正孔輸送層3215が形成される。正孔輸送層3215は、実施
の形態2において、正孔輸送層3215に用いることができる材料として挙げたものを適
宜組み合わせて用いることができる。なお、正孔輸送層3215の形成方法として、真空
蒸着法や塗布方法を用いることができる。なお、塗布法を用いる場合には、溶媒に溶解さ
せたものを発光層3213および絶縁物3217上に塗布する。なお、塗布方法としては
、インクジェット法、スピンコート法、印刷法等を用いることができる。
【0354】
また、正孔輸送層3215上には、正孔注入層3216が形成され、正孔注入層3216
上には、陽極3203が形成される。なお、これらの形成は、実施の形態2に示した材料
を適宜組み合わせて用い、真空蒸着法により形成することができる。
【0355】
以上により発光素子を形成することができる。なお、発光層において、本発明の一態様で
ある有機金属錯体を用いる場合には、有機金属錯体に基づく燐光発光が得られるため、蛍
光性化合物のみを用いた発光素子に比べて、高効率な発光素子を実現することができる。
【0356】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いる
ことができるものとする。
【実施例1】
【0357】
≪合成例1≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(100)で表される本発明の一態様である有機金
属錯体、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル
)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2
,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(
III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)])の合成方法につい
て説明する。なお、[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]の構造を以下に示
す。
【0358】
【0359】
<ステップ1:5-ヒドロキシ-2,3-(3,5-ジメチルフェニル)ピラジンの合成
>
まず、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジル5.27gとグリシンアミド塩酸塩2
.61g、水酸化ナトリウム1.92g、メタノール50mLを、還流管を付けた三口フ
ラスコに入れ、フラスコ内部を窒素置換した。その後、これを80℃で7時間撹拌するこ
とで反応させた。ここに12M塩酸2.5mLを加え30分撹拌した後、炭酸水素カリウ
ム2.02gを加え、30分撹拌した。この懸濁液を吸引ろ過した後、得られた固体を水
、メタノールで洗浄することにより、目的のピラジン誘導体を得た(乳白色粉末、収率7
9%)。ステップ1の合成スキームを下記(a-1)に示す。
【0360】
【0361】
<ステップ2:5,6-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ピラジン-2-イルトリフル
オロメタンスルホン酸の合成>
次に、上記ステップ1で得た5-ヒドロキシ-2,3-(3,5-ジメチルフェニル)ピ
ラジン4.80gとトリエチルアミン4.5mL、脱水ジクロロメタン80mLを三口フ
ラスコに入れ、内部を窒素置換した。このフラスコを-20℃に冷却した後、トリフルオ
ロメタンスルホン酸無水物3.5mLを滴下し、室温で17時間半攪拌した。その後、フ
ラスコを0℃に冷却した後、更にトリフルオロメタンスルホン酸無水物0.7mLを滴下
し、室温で22時間攪拌して反応させた。反応溶液に水50mL、1M塩酸5mLを加え
、ジクロロメタンを加えて、反応溶液中に含まれる物質をジクロロメタン中に抽出させた
。このジクロロメタンに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水を加えて洗浄し
、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。乾燥後にこの溶液をろ過し、ろ液を濃縮して得
られた残渣を、トルエン:ヘキサン=1:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで精製し、目的のピラジン誘導体を得た(黄色オイル、収率96%
)。ステップ2の合成スキームを下記(a-2)に示す。
【0362】
【0363】
<ステップ3:5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル)-2,3-ビス(3,5
-ジメチルフェニル)ピラジン(略称:Hdmdppr-dmCP)の合成>
次に、上記ステップ2で得た5,6-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ピラジン-2-
イルトリフルオロメタンスルホン酸2.05g、4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル
ボロン酸1.00g、リン酸三カリウム3.81g、トルエン40mL、水4mLを三口
フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後
、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.044g、トリス(2,6
-ジメトキシフェニル)ホスフィン0.084gを加え、7時間還流した。反応溶液に水
を加え、トルエンを加えて、反応溶液中に含まれる物質をトルエン中に抽出させた。この
トルエンに飽和食塩水を加えて洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥させた。乾燥後、
この溶液をろ過し、ろ液を濃縮して得られた残渣を、ヘキサン:酢酸エチル=5:1(体
積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的のピラジン
誘導体Hdmdppr-dmCPを得た(白色粉末、収率90%)。ステップ3の合成ス
キームを下記(a-3)に示す。
【0364】
【0365】
<ステップ4:ジ-μ-クロロ-テトラキス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シア
ノ-2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル
-κN]フェニル-κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dm
CP)2Cl]2)の合成>
次に、2-エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ3で得たHdmdpp
r-dmCP(略称)1.74g、塩化イリジウム水和物(IrCl3・H2O)(フル
ヤ金属社製)0.60gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン
置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させ
た。溶媒を留去した後、得られた残渣をヘキサンで吸引ろ過、洗浄し、複核錯体[Ir(
dmdppr-dmCP)2Cl]2を得た(褐色粉末、収率89%)。また、ステップ
4の合成スキームを下記(a-4)に示す。
【0366】
【0367】
<ステップ5:ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフ
ェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC
}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジ
ウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]の合成>
さらに、2-エトキシエタノール30mL、上記ステップ4で得た複核錯体[Ir(dm
dppr-dmCP)2Cl]2 0.96g、ジピバロイルメタン(略称:Hdpm)
0.26g、炭酸ナトリウム0.48gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラス
コ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分間
照射した。ここで更に、Hdpm0.13gを加え、反応容器にマイクロ波(2.45G
Hz 120W)を60分間照射することで反応させた。溶媒を留去し、得られた残渣を
、ジクロロメタン:ヘキサン=1:1(体積比)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにより精製した。更に、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより精製した後、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒にて再
結晶することにより、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdppr-dm
CP)2(dpm)]を赤色粉末として得た(収率37%)。得られた赤色粉末固体0.
39gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.
6Pa、アルゴンガスを流量5mL/minで流しながら、300℃で固体を加熱した。
昇華精製後、目的物の赤色固体を収率85%で得た。ステップ5の合成スキームを下記(
a-5)に示す。
【0368】
【0369】
なお、上記ステップ5で得られた赤色粉末の核磁気共鳴分光法(
1H-NMR)による分
析結果を下記に示す。また、
1H-NMRチャートを
図18に示す。このことから、本合
成例において、上述の構造式(100)で表される有機金属錯体、[Ir(dmdppr
-dmCP)
2(dpm)]が得られたことがわかった。
【0370】
1H-NMR.δ(CD2Cl2):0.91(s,18H),1.41(s,6H),
1.95(s,6H),2.12(s,12H),2.35(s,12H),5.63(
s,1H),6.49(s,2H),6.86(s,2H),7.17(s,2H),7
.34(s,4H),7.43(s,4H),8.15(s,2H).
【0371】
次に、[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dpm)]のジクロロメタン溶液の紫外可
視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定し
た。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)
を用い、ジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定
を行った。また、発光スペクトルの測定には、絶対PL量子収率測定装置((株)浜松ホ
トニクス製 C11347-01)を用い、グローブボックス((株)ブライト製 LA
BstarM13(1250/780)にて、窒素雰囲気下でジクロロメタン脱酸素溶液
(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、密栓し、室温で測定を行った。得られた
吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を
図19に示す。横軸は波長、縦軸は吸収
強度および発光強度を表す。また、
図19において2本の実線が示されているが、細い実
線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。
図19に示す吸収
スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れて測定
した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクト
ルを差し引いた結果を示している。
【0372】
図19に示す通り、有機金属錯体、[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dpm)]は
、635nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液からは赤色の発光が観測さ
れた。
【0373】
次に、有機金属錯体、[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]を液体クロマト
グラフ質量分析(Liquid Chromatography Mass Spect
rometry,略称:LC/MS分析)によって分析した。
【0374】
LC/MS分析は、LC(液体クロマトグラフィー)分離をウォーターズ社製Acqui
ty UPLC(登録商標)により、MS分析(質量分析)をウォーターズ社製Xevo
G2 Tof MSにより行った。LC分離で用いたカラムはAcquity UPL
C BEH C8 (2.1×100mm 1.7μm)、カラム温度は40℃とした。
移動相は移動相Aをアセトニトリル、移動相Bを0.1%ギ酸水溶液とした。また、サン
プルは任意の濃度の[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]をクロロホルムに
溶解し、アセトニトリルで希釈して調整し、注入量は5.0μLとした。
【0375】
LC分離には移動相の組成を変化させるグラジエント法を用い、測定開始後0分から1分
までが、移動相A:移動相B=85:15、その後組成を変化させ、10分における移動
相Aと移動相Bとの比が移動相A:移動相B=95:5となるようにした。組成はリニア
に変化させた。
【0376】
MS分析では、エレクトロスプレーイオン化法(ElectroSpray Ioniz
ation、略称:ESI)によるイオン化を行い、キャピラリー電圧は3.0kV、サ
ンプルコーン電圧は30V、検出はポジティブモードで行った。なお、測定する質量範囲
はm/z=100~1500とした。
【0377】
以上の条件で分離、イオン化されたm/z=1209.53の成分を衝突室(コリジョン
セル)内でアルゴンガスと衝突させてプロダクトイオンに解離させた。アルゴンを衝突さ
せる際のエネルギー(コリジョンエネルギー)は70eVとした。解離させたプロダクト
イオンを飛行時間(TOF)型MSで検出した結果を
図20に示す。
【0378】
図20の結果から、構造式(100)で表される有機金属錯体、[Ir(dmdppr-
dmCP)
2(dpm)]は、主としてm/z=1025、609、417付近にプロダ
クトイオンが検出されることがわかった。なお、
図20に示す結果は、[Ir(dmdp
pr-dmCP)
2(dpm)]に由来する特徴的な結果を示すものであることから、混
合物中に含まれる[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dpm)]を同定する上での重
要なデータであるといえる。
【0379】
なお、m/z=1025付近のプロダクトイオンは、構造式(100)の化合物における
ジピバロイルメタンとプロトンが離脱した状態のカチオンと推定され、m/z=1009
付近のプロダクトイオンは、ここからさらにメチル基が脱離した状態のカチオンと推定さ
れ、m/z=609付近のプロダクトイオンは、構造式(100)の化合物におけるジピ
バロイルメタンと一つの配位子Hdmdppr-dmCP(略称)、プロトンが離脱した
状態のカチオンと推定され、m/z=417付近のプロダクトイオンは配位子Hdmdp
pr-dmCPのカチオンと推定され、これらは本発明の一態様である有機金属錯体の特
徴の一つである。
【0380】
ここで、本実施例で合成した有機金属錯体、[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dp
m)](構造式:100)と、アルキル基は有するがシアノ基は有さない有機金属錯体、
[Ir(dmdppr-dmp)
2(dpm)](構造式:200)について、昇華温度
を高真空差動型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG-DTA24
10SA)により測定した。真空度10Paにて、昇温速度を10℃/minに設定し、
昇温した。その結果を
図22に示す。図からわかるように[Ir(dmdppr-dmC
P)
2(dpm)]の昇華温度は、275℃であり、[Ir(dmdppr-dmp)
2
(dpm)]の昇華温度は240℃であった。すなわち、[Ir(dmdppr-dmC
P)
2(dpm)]は、シアノ基を置換基として有することにより、昇華温度が高くなる
ことがわかった。
【0381】
【0382】
また、上記の2種類の有機金属錯体について、真空度5~8×10
-5Paのチャンバー
内でそれぞれを2.0×10
-2nm/secのレートで昇華させた時の脱離ガス成分分
析を四重極型質量分析計(ULVAC社製、残留ガス分析計 Qulee BGM-20
2 )を用いて行った。結果を
図21に示す。なお、
図21では、横軸に質量電荷比(m
/z)、縦軸にチャンバー内部の被測定ガス中の質量電荷比に対応する特定ガスの圧力(
検出分圧:Pa)を示す。この結果、[Ir(dmdppr-dmp)
2(dpm)]は
、[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dpm)]に比べ、昇華温度が低いにもかかわ
らず分子量の低い脱離ガス成分が検出された。このことから、[Ir(dmdppr-d
mp)
2(dpm)]は、[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dpm)]よりも熱分
解しやすいことがわかった。つまり、本実施例で合成した有機金属錯体[Ir(dmdp
pr-dmCP)
2(dpm)]は、シアノ基を置換基に含むことにより、昇華温度が高
くなったにもかかわらず、熱分解しにくい(低分子量の分解物が生成しにくい)構造であ
ることが確認された。
【0383】
一方、シアノ基を置換基に含むが、アルキル基を有さない有機金属錯体、[Ir(dpp
r-3CP)
2(acac)](構造式:201)の重量減少率についても、高真空差動
型示差熱天秤(ブルカー・エイエックスエス株式会社製、TG-DTA2410SA)に
より測定した。測定時の真空度10Paとし、昇温速度を10℃/minに設定し、昇温
させながら測定を行った。結果を
図22に併せて載せた。
【0384】
【0385】
その結果、本実施例で合成した有機金属錯体[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dp
m)](構造式:100)、および[Ir(dppr-3CP)
2(acac)](構造
式:201)は、いずれも同程度に高い昇華温度(280℃付近)を示した。しかし、物
質の昇華に伴う重量減少については、
図22に示す通り、[Ir(dmdppr-dmC
P)
2(dpm)](構造式:100)の重量減少率がおよそ100%であるのに対し、
[Ir(dppr-3CP)
2(acac)](構造式:201)の重量減少率は、およ
そ48%であった。ただし、今回測定した重量減少率は秤量の測定誤差が含まれることか
ら厳密な値ではないが、これらの有機金属錯体の熱重量曲線に大きな差があると言える。
なお、[Ir(dppr-3CP)
2(acac)]を昇温させた際、[Ir(dppr
-3CP)
2(acac)]が炭化したような残渣が得られたため、昇華時に有機金属錯
体同士の反応・分解も同時に発生していると考えられる。なお、両者の構造を比較するこ
とにより、ピラジン骨格に置換したフェニル基が置換基としてアルキル基を有することに
より、昇華時の有機金属錯体同士の反応・分解を抑制し、それに伴う残渣の発生が低減さ
れることがわかった。
【実施例2】
【0386】
本実施例では、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dpm)](構造式(100))を用いた発光素子1および発光素子2、[Ir(d
mdppr-dmp)
2(dpm)](構造式(200))を用いた比較発光素子3、を
それぞれ作製した。なお、発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の作製について
は、
図23を用いて説明する。また、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
【0387】
【0388】
≪発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の作製≫
まず、ガラス製の基板900上に酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITO)をスパッ
タリング法により成膜し、陽極として機能する第1の電極901を形成した。なお、その
膜厚は70nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0389】
次に、基板900上に発光素子を形成するための前処理として、基板表面を水で洗浄し、
200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0390】
その後、1×10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空
蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板900を
30分程度放冷した。
【0391】
次に、第1の電極901が形成された面が下方となるように、基板900を真空蒸着装置
内に設けられたホルダーに固定した。本実施例では、真空蒸着法により、EL層902を
構成する正孔注入層911、正孔輸送層912、発光層913、電子輸送層914、電子
注入層915が順次形成される場合について説明する。
【0392】
真空装置内を1×10-4Paに減圧した後、1,3,5-トリ(ジベンゾチオフェン-
4-イル)ベンゼン(略称:DBT3P-II)と酸化モリブデンとを、DBT3P-I
I:酸化モリブデン=4:2(質量比)となるように共蒸着し、第1の電極901上に正
孔注入層911を形成した。膜厚は20nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物
質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。
【0393】
次に、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン
(略称:BPAFLP)を20nm蒸着し、正孔輸送層912を形成した。
【0394】
次に、正孔輸送層912上に発光層913を形成した。
【0395】
発光素子1の場合は、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-
イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、N-(
1,1’-ビフェニル-4-イル)-9,9-ジメチル-N-[4-(9-フェニル-9
H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PC
BBiF)、[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]を、2mDBTBPDB
q-II:PCBBiF:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]=0.7:
0.3:0.06(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を20nmとした。さらに、2
mDBTBPDBq-II:PCBBiF:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dp
m)]=0.8:0.2:0.06(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を20nmと
した。以上により、発光素子1の発光層913を膜厚40nmで形成した。
【0396】
発光素子2の場合は、発光素子1と同様の材料を用い、2mDBTBPDBq-II:P
CBBiF:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]=0.7:0.3:0.
025(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を20nmとした。さらに、2mDBTB
PDBq-II:PCBBiF:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]=0
.8:0.2:0.025(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を20nmとした。以
上により、発光素子2の発光層913を膜厚40nmで形成した。
【0397】
比較発光素子3の場合は、2mDBTBPDBq-II、PCBBiF、[Ir(dmd
ppr-dmp)2(dpm)]を、2mDBTBPDBq-II:PCBBiF:[I
r(dmdppr-dmp)2(dpm)]=0.7:0.3:0.05(質量比)とな
るように共蒸着し、膜厚を20nmとした。さらに、2mDBTBPDBq-II:PC
BBiF:[Ir(dmdppr-dmp)2(dpm)]=0.8:0.2:0.05
(質量比)となるように共蒸着し、膜厚を20nmとした。以上により、比較発光素子3
の発光層913を膜厚40nmで形成した。
【0398】
次に、発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の発光層913上に、2mDBTB
PDBq-IIを20nm蒸着した後、Bphenを10nm蒸着し、電子輸送層914
を形成した。
【0399】
さらに、電子輸送層914上にフッ化リチウムを1nm蒸着し、電子注入層915を形成
した。
【0400】
最後に、電子注入層915上にアルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着し、陰
極となる第2の電極903を形成し、発光素子1、発光素子2および比較発光素子3を得
た。なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0401】
以上により得られた発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の素子構造を表1に示
す。
【0402】
【0403】
また、作製した発光素子1、発光素子2および比較発光素子3は、大気に曝されないよう
に窒素雰囲気のグローブボックス内において封止した(シール材を素子の周囲に塗布し、
封止時にUV処理、及び80℃にて1時間熱処理)。
【0404】
≪発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の動作特性≫
作製した発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の動作特性について測定した。な
お、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0405】
発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の電流密度-輝度特性を
図24、電圧-輝
度特性を
図25、輝度-電流効率特性を
図26、電圧-電流特性を
図27、1000cd
/m
2付近におけるCIE色度を
図28にそれぞれ示す。
【0406】
また、1000cd/m2付近における発光素子1、発光素子2および比較発光素子3の
主な初期特性値を以下の表2に示す。
【0407】
【0408】
また、
図29に発光素子1、発光素子2および比較発光素子3に2.5mA/cm
2の電
流密度で電流を流した際の発光スペクトルを示す。
図29に示す通り、発光素子1および
発光素子2の発光スペクトルは、いずれも630nm付近にピークを有しており、本発明
の一態様である有機金属錯体[Ir(dmdppr-dmCP)
2(dpm)]の深赤色
発光に由来していることが示唆される。また、比較発光素子3は、[Ir(dmdppr
-dmp)
2(dpm)]に由来した619nm付近の赤色発光が確認された。このよう
に、シアノ基の導入により、より色純度の高い発光が得られることが分かる。
【0409】
次に、発光素子1、発光素子2および比較発光素子3に対する信頼性試験を行った。信頼
性試験の結果を
図30に示す。
図30において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規
格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。なお、信頼性試験は、初期
輝度を5000cd/m
2に設定し、電流密度一定の条件で発光素子1、発光素子2、お
よび比較発光素子3を駆動させた。
【0410】
なお、発光素子1、発光素子2、および比較発光素子3を比較したところ、本発明の一態
様である有機金属錯体、[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]を発光層に用
いた発光素子1および発光素子2は、[Ir(dmdppr-dmp)2(dpm)]を
発光層に用いた比較発光素子3に比べて高い信頼性を示す結果が得られた。これは、上述
の通りアルキル基およびシアノ基を適切な位置に有することで、有機金属錯体同士の反応
による炭化、および低分子量の脱離ガスの発生を抑制することが可能となり、蒸着時の分
解が低減されたことに起因する。従って、本発明の一態様である有機金属錯体を用いるこ
とで発光素子の長寿命化を実現できることがわかる。
【実施例3】
【0411】
≪合成例2≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(108)で表される本発明の一態様である有機金
属錯体、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(5-シアノ-2-メチルフェニル)-3
-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,
6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III
)(略称:[Ir(dmdppr-m5CP)2(dpm)])の合成方法について説明
する。なお、[Ir(dmdppr-m5CP)2(dpm)]の構造を以下に示す。
【0412】
【0413】
<ステップ1:5-(5-シアノ-2-メチルフェニル)-2,3-ビス(3,5-ジメ
チルフェニル)ピラジン(略称:Hdmdppr-m5CP)の合成>
まず、5,6-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ピラジン-2-イルトリフルオロメタ
ンスルホン酸1.83g、5-シアノ-2-メチルフェニルボロン酸0.79g、リン酸
三カリウム3.17g、トルエン33mL、水3.3mLを三口フラスコに入れ、内部を
窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、トリス(ジベンジリデ
ンアセトン)ジパラジウム(0)0.038g、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)
ホスフィン0.075gを加え、8時間還流した。反応後、トルエンによる抽出を行った
。その後、ヘキサン:酢酸エチル=5:1を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグ
ラフィーで精製し、目的のピラジン誘導体、Hdmdppr-m5CP(略称)を得た(
白色固体、収率96%)。ステップ1の合成スキームを下記(b-1)に示す。
【0414】
【0415】
<ステップ2:ジ-μ-クロロ-テトラキス{4,6-ジメチル-2-[5-(5-シア
ノ-2-メチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN
]フェニル-κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-m5CP)
2Cl]2)の合成>
次に、2-エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ1で得たHdmdpp
r-m5CP(略称)1.59g、塩化イリジウム水和物(IrCl3・H2O)(フル
ヤ金属社製)0.57gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン
置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させ
た。溶媒を留去した後、得られた残渣をメタノールで吸引ろ過、洗浄し、複核錯体、[I
r(dmdppr-m5CP)2Cl]2 を得た(赤褐色固体、収率66%)。ステッ
プ2の合成スキームを下記(b-2)に示す。
【0416】
【0417】
<ステップ3:[Ir(dmdppr-m5CP)2(dpm)]の合成>
さらに、2-エトキシエタノール20mL、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(dm
dppr-m5CP)2Cl]2 0.65g、ジピバロイルメタン(略称:Hdpm)
0.25g、炭酸ナトリウム0.33gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラス
コ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を2時間照
射した。得られた反応溶液を吸引ろ過した後、ろ物を水、メタノールで洗浄した。
【0418】
得られた固体を、ジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィー
により精製した後、ジクロロメタンとメタノールの混合溶媒にて再結晶することにより、
本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdppr-m5CP)2(dpm)]
を赤色粉末として得た(収率44%)。得られた赤色粉末固体0.31gを、トレインサ
ブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力2.7Pa、アルゴンガス
を流量5mL/minで流しながら、275℃で固体を加熱した。昇華精製後、目的物の
赤色固体を収率84%で得た。ステップ3の合成スキームを下記(b-3)に示す。
【0419】
【0420】
なお、上記ステップ3で得られた赤色粉末の核磁気共鳴分光法(
1H-NMR)による分
析結果を下記に示す。また、
1H-NMRチャートを
図32に示す。このことから、本合
成例において、上述の構造式(108)で表される有機金属錯体、[Ir(dmdppr
-m5CP)
2(dpm)]が得られたことがわかった。
【0421】
1H-NMR.δ(CD2Cl2):0.95(s,18H),1.42(s,6H),
1.95(s,6H),2.38(s,12H),2.49(s,6H),5.68(s
,1H),6.48(s,2H),6.83(s,2H),7.20(s,2H),7.
35(s,4H),7.43(d,2H),7.62(d,2H),7.70(s,2H
),8.43(s,2H).
【0422】
次に、[Ir(dmdppr-m5CP)
2(dpm)]のジクロロメタン溶液の紫外可
視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定し
た。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)
を用い、ジクロロメタン溶液(0.011mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定
を行った。また、発光スペクトルの測定には、絶対PL量子収率測定装置((株)浜松ホ
トニクス製 C11347-01)を用い、グローブボックス((株)ブライト製 LA
BstarM13(1250/780)にて、窒素雰囲気下でジクロロメタン脱酸素溶液
(0.011mmol/L)を石英セルに入れ、密栓し、室温で測定を行った。得られた
吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を
図33に示す。横軸は波長、縦軸は吸収
強度および発光強度を表す。また、
図33において2本の実線が示されているが、細い実
線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。
図33に示す吸収
スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.011mmol/L)を石英セルに入れて測定
した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクト
ルを差し引いた結果を示している。
【0423】
図33に示す通り、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdppr-m5C
P)
2(dpm)]は、645nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液から
は赤色の発光が観測された。
【実施例4】
【0424】
≪合成例3≫
本実施例では、実施の形態1の構造式(114)で表される本発明の一態様である有機金
属錯体、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(2-シアノ-6-メチルフェニル)-3
-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,
6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III
)(略称:[Ir(dmdppr-m2CP)2(dpm)])の合成方法について説明
する。なお、[Ir(dmdppr-m2CP)2(dpm)]の構造を以下に示す。
【0425】
【0426】
<ステップ1:5-(2-シアノ-6-メチルフェニル)-2,3-ビス(3,5-ジメ
チルフェニル)ピラジン(略称:Hdmdppr-m2CP)の合成>
まず、5,6-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ピラジン-2-イルトリフルオロメタ
ンスルホン酸1.40g、3-メチル-2-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,
2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾニトリル0.98g、リン酸三カリウム2.4
8g、トルエン26mL、水2.6mLを三口フラスコに入れ、内部を窒素置換した。フ
ラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパ
ラジウム(0)0.029g、トリス(2,6-ジメトキシフェニル)ホスフィン0.0
58gを加え、7時間半還流した。反応後、トルエンによる抽出を行った。その後、ヘキ
サン:酢酸エチル=5:1を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製
し、目的のピラジン誘導体Hdmdppr-m2CP(略称)を得た(白色固体、収率8
5%)。ステップ1の合成スキームを下記(c-1)に示す。
【0427】
【0428】
<ステップ2:ジ-μ-クロロ-テトラキス{4,6-ジメチル-2-[5-(2-シア
ノ-6-メチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN
]フェニル-κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-m2CP)
2Cl]2)の合成>
次に、2-エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ1で得たHdmdpp
r-m2CP(略称)1.08g、塩化イリジウム水和物(IrCl3・H2O)(フル
ヤ金属社製)0.39gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン
置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させ
た。得られた反応溶液を吸引ろ過し、ろ物をメタノールで洗浄し、複核錯体[Ir(dm
dppr-m2CP)2Cl]2 (略称)を得た(橙色固体、収率44%)。ステップ
2の合成スキームを下記(c-2)に示す。
【0429】
【0430】
<ステップ3:[Ir(dmdppr-m2CP)2(dpm)]の合成>
さらに、2-エトキシエタノール20mL、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(dm
dppr-m5CP)2Cl]2(略称)0.59g、ジピバロイルメタン(略称:Hd
pm)0.22g、炭酸ナトリウム0.31gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、
フラスコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を2
時間照射した。反応溶液の溶媒を留去した後、得られた残渣を、ヘキサン:酢酸エチルを
展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、本発明
の有機金属錯体[Ir(dmdppr-m2CP)2(dpm)](略称)を深赤色粉末
として得た(収率10%)。ステップ3の合成スキームを下記(c-3)に示す。
【0431】
【0432】
なお、上記ステップ3で得られた赤色粉末の核磁気共鳴分光法(
1H-NMR)による分
析結果を下記に示す。また、
1H-NMRチャートを
図34に示す。このことから、本合
成例において、上述の構造式(114)で表される有機金属錯体、[Ir(dmdppr
-m2CP)
2(dpm)]が得られたことがわかった。
【0433】
1H-NMR.δ(CD2Cl2):0.94(s,18H),1.43(s,6H),
1.94(s,6H),2.23(s,6H),2.36(s,12H),5.64(s
,1H),6.49(s,2H),6.87(s,2H),7.18(s,2H),7.
39(s,4H),7.44(t,2H),7.53(d,2H),7.62(s,2H
),8.32(s,2H).
【0434】
次に、[Ir(dmdppr-m2CP)
2(dpm)]のジクロロメタン溶液の紫外可
視吸収スペクトル(以下、単に「吸収スペクトル」という)及び発光スペクトルを測定し
た。吸収スペクトルの測定には、紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)
を用い、ジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、室温で測定
を行った。また、発光スペクトルの測定には、絶対PL量子収率測定装置((株)浜松ホ
トニクス製 C11347-01)を用い、グローブボックス((株)ブライト製 LA
BstarM13(1250/780)にて、窒素雰囲気下でジクロロメタン脱酸素溶液
(0.010mmol/L)を石英セルに入れ、密栓し、室温で測定を行った。得られた
吸収スペクトル及び発光スペクトルの測定結果を
図35に示す。横軸は波長、縦軸は吸収
強度および発光強度を表す。また、
図35において2本の実線が示されているが、細い実
線は吸収スペクトルを示し、太い実線は発光スペクトルを示している。
図35に示す吸収
スペクトルは、ジクロロメタン溶液(0.010mmol/L)を石英セルに入れて測定
した吸収スペクトルから、ジクロロメタンのみを石英セルに入れて測定した吸収スペクト
ルを差し引いた結果を示している。
【0435】
図35に示す通り、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdppr-m2C
P)
2(dpm)]は、648nmに発光ピークを有しており、ジクロロメタン溶液から
は赤色の発光が観測された。
【実施例5】
【0436】
本実施例では、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dmdppr-m5CP)
2(dpm)](構造式(108))を用いた発光素子4、[Ir(dmdppr-m2
CP)2(dpm)](構造式(114))を用いた発光素子5、比較として[Ir(d
mdppr-25dmp)2(dpm)]を用いた比較発光素子6、をそれぞれ作製した
。なお、発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6の作製については、実施例2と
同様に行うことで作製することができるため説明は省略する。但し、具体的な構成につい
ては表3に示す。また、本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
【0437】
【0438】
【0439】
≪発光素子の動作特性≫
作製した各発光素子(発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6)の動作特性につ
いて測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。また、結果を図
36~
図40に示す。
【0440】
これらの結果より、本発明の一態様である発光素子は、良好な色度を示し、高い外部量子
効率を示していることがわかる。また、1000cd/m2付近における各発光素子の主
な初期特性値を以下の表4に示す。
【0441】
【0442】
また、
図41に発光素子4および発光素子5に2.5mA/cm
2の電流密度で電流を流
した際の発光スペクトルを示す。
図41に示す通り、発光素子4の発光スペクトルは64
3nm付近にピークを有しており、発光層913に含まれる有機金属錯体、[Ir(dm
dppr-m5CP)
2(dpm)]の発光に由来していることが示唆される。また、発
光素子5の発光スペクトルは648nm付近にピークを有しており、発光層913に含ま
れる有機金属錯体、[Ir(dmdppr-m2CP)
2(dpm)]の発光に由来して
いることが示唆される。
【0443】
次に、発光素子4、発光素子5、および比較発光素子6に対する信頼性試験を行った。信
頼性試験の結果を
図42に示す。
図42において、縦軸は初期輝度を100%とした時の
規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。なお、信頼性試験は、電
流密度一定の条件(50mA/cm
2)で発光素子4、発光素子5、および比較発光素子
6を駆動させた。
【0444】
その結果、比較発光素子6に比べて、本発明の一態様である有機金属錯体、[Ir(dm
dppr-m5CP)2(dpm)]を発光層に用いた発光素子4、[Ir(dmdpp
r-m2CP)2(dpm)]を発光層に用いた発光素子5は、いずれも高い信頼性を示
した。これは、上述の通りアルキル基およびシアノ基を適切な位置に有することで、有機
金属錯体同士の反応による炭化、および低分子量の脱離ガスの発生を抑制することが可能
となり、蒸着時の分解が低減されたことに起因する。従って、本発明の一態様である有機
金属錯体を用いることで発光素子の長寿命化を実現できることがわかる。
【0445】
≪参考合成例≫
本参考合成例では、実施例5において比較発光素子6に用いた有機金属錯体、ビス{4,
6-ジメチル-2-[5-(2,5-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェ
ニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3
,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmd
ppr-25dmp)2(dpm)])の合成方法について説明する。なお、[Ir(d
mdppr-25dmp)2(dpm)]の構造を以下に示す。
【0446】
【0447】
<ステップ1:5-ヒドロキシ-2,3-(3,5-ジメチルフェニル)ピラジンの合成
>
まず、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジル5.27gとグリシンアミド塩酸塩2
.61g、水酸化ナトリウム1.92g、メタノール50mLを、還流管を付けた三口フ
ラスコに入れ、フラスコ内部を窒素置換した。その後、これを80℃で7時間撹拌するこ
とで反応させた。ここに12M塩酸2.5mLを加え30分撹拌した後、炭酸水素カリウ
ム2.02gを加え、30分撹拌した。この懸濁液を吸引ろ過した後、得られた固体を水
、メタノールで洗浄することにより、目的のピラジン誘導体を得た(乳白色粉末、収率7
9%)。ステップ1の合成スキームを下記(d-1)に示す。
【0448】
【0449】
<ステップ2:5,6-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ピラジン-2-イルトリフル
オロメタンスルホン酸の合成>
次に、上記ステップ1で得た5-ヒドロキシ-2,3-(3,5-ジメチルフェニル)ピ
ラジン4.80gとトリエチルアミン4.5mL、dryジクロロメタン80mLを三口
フラスコに入れ、内部を窒素置換した。このフラスコを-20℃に冷却した後、トリフル
オロメタンスルホン酸無水物3.5mLを滴下し、室温で17時間半攪拌した。ここで、
フラスコを0℃に冷却した後、更にトリフルオロメタンスルホン酸無水物0.7mLを滴
下し、室温で22時間攪拌し反応させた。反応溶液に水、1M塩酸5mLを加え、ジクロ
ロメタンで有機層を抽出した。得られた抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食
塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。このろ液を
濃縮し、得られた残渣を、トルエン:ヘキサン=1:1を展開溶媒とするシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーで精製し、目的のピラジン誘導体を得た(黄色オイル、収率96%
)。ステップ2の合成スキームを下記(d-2)に示す。
【0450】
【0451】
<ステップ3:5-(2,5-ジメチルフェニル)-2,3-ビス(3,5-ジメチルフ
ェニル)ピラジン(略称:Hdmdppr-25dmp)の合成>
次に、上記ステップ2で得た5,6-ビス(3,5-ジメチルフェニル)ピラジン-2-
イルトリフルオロメタンスルホン酸1.22g、2,5-ジメチルフェニルボロン酸0.
51g、リン酸三カリウム2.12g、トルエン20mL、水2mLを三口フラスコに入
れ、内部を窒素置換した。フラスコ内を減圧下で撹拌することで脱気した後、トリス(ジ
ベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.026g、トリス(2,6-ジメトキシ
フェニル)ホスフィン0.053gを加え、4時間還流した。反応溶液に水を加え、トル
エンにて有機層を抽出した。得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥した。乾燥した後の溶液をろ過した。このろ液を濃縮し、得られた残渣を、トルエン
を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的のピラジン誘導体
Hdmdppr-25dmpを得た(無色オイル、収率97%)。ステップ3の合成スキ
ームを下記(d-3)に示す。
【0452】
【0453】
<ステップ4:ジ-μ-クロロ-テトラキス{4,6-ジメチル-2-[5-(2,5-
ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェ
ニル-κC}ジイリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-25dmp)2C
l]2)の合成>
次に、2-エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ3で得たHdmdpp
r-25dmp1.04g、塩化イリジウム水和物(IrCl3・H2O)(フルヤ金属
社製)0.36gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラスコ内をアルゴン置換し
た。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を1時間照射し、反応させた。溶
媒を留去した後、得られた残渣をメタノールで吸引ろ過、洗浄し、複核錯体[Ir(dm
dppr-25dmp)2Cl]2を得た(赤褐色粉末、収率80%)。また、ステップ
4の合成スキームを下記(d-4)に示す。
【0454】
【0455】
<ステップ5:ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(2,5-ジメチルフェニル)-3
-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,
6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III
)(略称:[Ir(dmdppr-25dmp)2(dpm)]の合成>
さらに、2-エトキシエタノール30mL、上記ステップ4で得た複核錯体[Ir(dm
dppr-25dmp)2Cl]2 1.58g、ジピバロイルメタン(略称:Hdpm
)0.44g、炭酸ナトリウム0.84gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、フラ
スコ内をアルゴン置換した。その後、マイクロ波(2.45GHz 100W)を60分
間照射することで加熱した。溶媒を留去し、得られた残渣をメタノールで吸引ろ過した。
得られた固体を水、メタノールで洗浄した。得られた固体を、ジクロロメタン:ヘキサン
=1:1を展開溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した後、ジク
ロロメタンとメタノールの混合溶媒にて再結晶することにより、有機金属錯体[Ir(d
mdppr-25dmp)2(dpm)]を赤色粉末として得た(収率71%)。得られ
た赤色粉末固体1.27gを、トレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精
製条件は、圧力2.6Pa、アルゴンガスを流量5mL/minで流しながら、250℃
で固体を加熱した。昇華精製後、目的物の赤色固体を収率92%で得た。ステップ5の合
成スキームを下記(d-5)に示す。
【0456】
【0457】
なお、上記ステップ5で得られた化合物の核磁気共鳴分光法(1H-NMR)による分析
結果を下記に示す。このことから、本参考合成例において、有機金属錯体、[Ir(dm
dppr-25dmp)2(dpm)]が得られたことがわかった。
【0458】
1H-NMR.δ(CD2Cl2):0.93(s,18H),1.43(s,6H),
1.94(s,6H),2.33(s,6H),2.35-2.40(m,18H),5
.63(s,1H),6.45(s,2H),6.79(s,2H),7.13(d,2
H),7.17-7.18(m,4H),7.20(s,2H),7.34(s,4H)
,8.44(s,2H).
【符号の説明】
【0459】
101 第1の電極
102 EL層
103 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
201 第1の電極
202(1) 第1のEL層
202(2) 第2のEL層
202(n-1) 第(n-1)のEL層
202(n) 第(n)のEL層
204 第2の電極
205 電荷発生層
205(1) 第1の電荷発生層
205(2) 第2の電荷発生層
205(n-2) 第(n-2)の電荷発生層
205(n-1) 第(n-1)の電荷発生層
301 素子基板
302 画素部
303 駆動回路部(ソース線駆動回路)
304a、304b 駆動回路部(ゲート線駆動回路)
305 シール材
306 封止基板
307 配線
308 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
309 FET
310 FET
312 電流制御用FET
313a、313b 第1の電極(陽極)
314 絶縁物
315 EL層
316 第2の電極(陰極)
317a、317b 発光素子
318 空間
320a、320b 導電膜
321、322 領域
323 引き回し配線
324 有色層(カラーフィルタ)
325 黒色層(ブラックマトリクス)
326、327、328 FET
401 基板
402 第1の電極
403a、403b、403c EL層
404 第2の電極
405 発光素子
406 絶縁膜
407 隔壁
500 表示装置
503 表示部
504 画素
505 導電膜
506 位置
507 開口部
510 液晶素子
511 発光素子
515 トランジスタ
516 トランジスタ
517 トランジスタ
518 端子部
519 端子部
521 基板
522 基板
523 発光素子
524 液晶素子
525 絶縁層
528 着色層
529 接着層
530 導電層
531 EL層
532 導電層
533 開口部
534 着色層
535 遮光層
536 構造体
537 導電層
538 液晶
539 導電層
540 配向膜
541 配向膜
542 接着層
543 導電層
544 FPC
545 接続層
546 絶縁層
547 接続部
548 接続体
900 基板
901 第1の電極
902 EL層
903 第2の電極
911 正孔注入層
912 正孔輸送層
913 発光層
914 電子輸送層
915 電子注入層
2000 タッチパネル
2000’ タッチパネル
2501 表示パネル
2502R 画素
2502t トランジスタ
2503c 容量素子
2503g 走査線駆動回路
2503t トランジスタ
2509 FPC
2510 基板
2511 配線
2519 端子
2521 絶縁層
2528 絶縁体
2550R 発光素子
2560 封止層
2567BM 遮光層
2567p 反射防止層
2567R 着色層
2570 基板
2590 基板
2591 電極
2592 電極
2593 絶縁層
2594 配線
2595 タッチセンサ
2597 接着層
2598 配線
2599 端子
2601 パルス電圧出力回路
2602 電流検出回路
2603 容量
2611 トランジスタ
2612 トランジスタ
2613 トランジスタ
2621 電極
2622 電極
3200 基板
3201 陰極
3202 EL層
3203 陽極
3213 発光層
3214 電子注入層
3215 正孔輸送層
3216 正孔注入層
3217 絶縁物
3300 ヘッド部
3301a 噴射部
3301c 噴射部
3302a 圧電素子
3302c 圧電素子
3303a インク
3303c インク
4000 照明装置
4001 基板
4002 発光素子
4003 基板
4004 電極
4005 EL層
4006 電極
4007 電極
4008 電極
4009 補助配線
4010 絶縁層
4011 封止基板
4012 シール材
4013 乾燥剤
4015 拡散板
4100 照明装置
4200 照明装置
4201 基板
4202 発光素子
4204 電極
4205 EL層
4206 電極
4207 電極
4208 電極
4209 補助配線
4210 絶縁層
4211 封止基板
4212 シール材
4213 バリア膜
4214 平坦化膜
4215 拡散板
4300 照明装置
5101 ライト
5102 ホイール
5103 ドア
5104 表示部
5105 ハンドル
5106 シフトレバー
5107 座席シート
5108 インナーリアビューミラー
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7302 筐体
7304 表示部
7305 時刻を表すアイコン
7306 その他のアイコン
7311 操作ボタン
7312 操作ボタン
7313 接続端子
7321 バンド
7322 留め金
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作用ボタン
7404 外部接続部
7405 スピーカ
7406 マイク
7407 カメラ
7500(1)、7500(2) 筐体
7501(1)、7501(2) 第1面
7502(1)、7502(2) 第2面
8001 照明装置
8002 照明装置
8003 照明装置
9310 携帯情報端末
9311 表示部
9312 表示領域
9313 ヒンジ
9315 筐体