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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】収容体、及び薄葉紙製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20221216BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20221216BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/20 B
A47K10/42 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021156703
(22)【出願日】2021-09-27
(62)【分割の表示】P 2017183973の分割
【原出願日】2017-09-25
(65)【公開番号】P2022000395
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】夘野 絢子
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-012178(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄葉紙の積層体を収容する収容体本体と前記収容体本体の上に接続された紙引出部とを備え、前記紙引出部を通して、前記積層体から前記薄葉紙をポップアップ式に引き出すことができる、可撓性フィルム製のピロー包装体である収容体であって、
前記積層体は、上面視で、幅方向に所定の幅と、前記幅方向に直交する奥行方向に所定の奥行とを有し、
前記紙引出部は、下蓋と前記下蓋の上に重ねられた上蓋とを備え、
前記下蓋は、前記幅方向に沿って延びる自由端部を有し、
前記上蓋は、スリット又は裂開することで前記スリットを形成可能な裂開線を前記幅方向に沿って有し、
前記薄葉紙は、前記下蓋の前記自由端部に接触しながら、前記上蓋の前記スリットを通して引き出され
前記下蓋は、前記奥行方向のいずれの側においても前記上蓋と固定されておらず、
前記下蓋を含むフィルムと前記上蓋を含むフィルムとが、前記幅方向に前記積層体より外側で、前記奥行方向に沿って固定されている、収容体。
【請求項2】
前記下蓋の前記自由端部と、前記上蓋の前記スリット又は前記裂開線とは、上面視で前記奥行方向に離間している、請求項1に記載の収容体。
【請求項3】
前記下蓋の前記自由端部と、前記上蓋の前記スリット又は前記裂開線との間隔は、前記積層体の奥行に対して上面視で5~90%である、請求項2に記載の収容体。
【請求項4】
前記上蓋の前記スリット又は前記裂開線の長さは、前記積層体の幅より小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の収容体。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の収容体と、薄葉紙の積層体とを含む、薄葉紙製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容体、及び薄葉紙製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシュペーパー等の薄葉紙を収容するための収容体として、紙製のものが広く知られている。しかし、近年では、環境への配慮から、また低価格であること、嵩張らずに持ち運びが容易であること等の理由により、可撓性フィルム製の収容体の利用が増加している。
【0003】
可撓性フィルム製の収容体は、例えば、特許文献1、2に開示されている。特許文献1、2に記載されている収容体には、上面のフィルムにミシン目が設けられており、使用時には、このミシン目に沿ってフィルムを裂開して取出口を形成する(図10)。そして、形成された取出口から薄葉紙を、いわゆるポップアップ式に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-183034号公報
【文献】特開2016-188092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポップアップ式の取り出し方法では、一枚又は複数枚重ねた1組の薄葉紙を引き出した後、後続の薄葉紙は、容易に摘まんで引き出せるように上面からできるだけ垂直に立ち上げられた状態で保持されていることが好ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に開示された収容体の構成では、特に保湿ティシューのような、柔らかい薄葉紙を用いた場合には、薄葉紙を立ち上げられた状態で保持できないことが多く、取り出しにくい(図11)。
【0007】
上記の点に鑑みて、本発明の一形態は、薄葉紙を取り出しやすい収容体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の形態は、薄葉紙の積層体を収容する収容体本体と前記収容体本体の上に接続された紙引出部とを備え、前記紙引出部を通して、前記積層体から前記薄葉紙をポップアップ式に引き出すことができる、可撓性フィルム製の収容体であって、前記積層体は、上面視で、幅方向に所定の幅と、前記幅方向に直交する奥行方向に所定の奥行とを有し、前記紙引出部は、下蓋と前記下蓋の上に重ねられた上蓋とを備え、前記下蓋及び前記上蓋はそれぞれ、スリット又は裂開することで前記スリットを形成可能な裂開線を前記幅方向に沿って有し、前記薄葉紙は、前記下蓋の前記スリット、及び前記上蓋の前記スリットを通して引き出される。
【0009】
上記第一の形態によれば、収容体は可撓性フィルム製であるので、薄葉紙を紙引出部を通して引き出す際に上蓋及び下蓋は容易に変形する。この変形によって、上蓋及び下蓋には元の形状に復元する力が生じる。また、後続の薄葉紙と、上蓋のスリットの縁部及び下蓋のスリットの縁部との間に摩擦力も発生する。これにより、後続の薄葉紙を、上蓋及び下蓋によって上下方向の複数の箇所で支持することができ、薄葉紙を立ち上げられた状態で保持することができる。
【0010】
本発明の第二の形態では、薄葉紙の積層体を収容する収容体本体と前記収容体本体の上に接続された紙引出部とを備え、前記紙引出部を通して、前記積層体から前記薄葉紙をポップアップ式に引き出すことができる、可撓性フィルム製の収容体であって、前記積層体は、上面視で、幅方向に所定の幅と、前記幅方向に直交する奥行方向に所定の奥行とを有し、前記紙引出部は、下蓋と前記下蓋の上に重ねられた上蓋とを備え、前記下蓋は、前記幅方向に沿って延びる自由端部を有し、前記上蓋は、スリット又は裂開することで前記スリットを形成可能な裂開線を前記幅方向に沿って有し、前記薄葉紙は、前記下蓋の前記自由端部に接触しながら、前記上蓋の前記スリットを通して引き出される。
【0011】
上記第二の形態によれば、収容体は可撓性フィルム製であるので、薄葉紙を紙引出部を通して引き出す際に上蓋及び下蓋は容易に変形する。この変形によって、上蓋及び下蓋には元の形状に復元する力が生じる。また、後続の薄葉紙と、上蓋のスリットの縁部及び下蓋の自由端部との間に摩擦力も発生する。これにより、後続の薄葉紙を、上蓋及び下蓋によって上下方向の複数の箇所で支持することができ、薄葉紙を立ち上げられた状態で保持することができる。
【0012】
本発明の第三の形態では、前記下蓋の前記スリット又は前記裂開線と、前記上蓋の前記スリット又は前記裂開線とは、上面視で前記奥行方向に離間している。
【0013】
上記第三の形態によれば、下蓋のスリットと上蓋のスリットとは上面視で離間して形成されている。そのため、薄葉紙を紙引出部を通して上面から垂直方向に引き出す場合には、上下のスリットの位置は、薄葉紙の積層体の奥行方向で見て中央に引き寄せられる。これにより、上蓋及び下蓋の変形が大きくなって、また薄葉紙が接触するスリットの縁部の部分が増えるので、薄葉紙とスリットの縁部との間に生じる摩擦力が増大し、薄葉紙の支持がより確実になる。また、上蓋の縁部と下蓋の縁部とが薄葉紙を挟んで支持することもできるので、薄葉紙を立ち上げられた状態で保持する性能を高めることができる。
【0014】
上記第四の形態では、前記下蓋の前記スリット又は前記裂開線と、前記上蓋の前記スリット又は前記裂開線との間隔は、前記積層体の奥行に対して上面視で5~90%である。
【0015】
本発明の第四の形態によれば、上蓋のスリットと、下蓋のスリットとの間隔が所定の大きさであるので、スリットの縁部による支持がより確実になるという第三の形態による効果が向上するとともに、薄葉紙を引き出す際に、薄葉紙に過度な負荷がかかることを防止することができる。
【0016】
本発明の第五の形態では、前記下蓋の前記スリット又は前記裂開線の長さは、前記積層体の幅より小さい。
【0017】
上記第五の形態によれば、下蓋のスリットの長さは積層体の幅より小さいので、薄葉紙が下蓋のスリットを通る際に薄葉紙の幅が縮められる。これにより、薄葉紙とスリットとの間の摩擦力が増大し、薄葉紙がスリットにおいてより良好に保持される。
【0018】
本発明の第六の形態では、前記上蓋の前記スリット又は前記裂開線の長さは、前記積層体の幅より小さい。
【0019】
上記第六の形態によれば、上蓋のスリットの長さは積層体の幅より小さいので、薄葉紙が上蓋のスリットを通る際に薄葉紙の幅が縮められる。これにより、薄葉紙とスリットとの間の摩擦力が増大し、薄葉紙がスリットにおいてより良好に保持される。
【0020】
本発明の第七の形態では、前記下蓋は、前記奥行方向の端部において、前記上蓋と接続されていない。
【0021】
上記第七の形態によれば、下蓋と上蓋とが互いに比較的自由に動くことができるので、薄葉紙が引き出される際の下蓋及び上蓋の変形がより容易となり、また変形の度合いも大きくなる。これにより、下蓋及び上蓋の元の形状に戻ろうとする力がより大きくなり、上述の薄葉紙を支持する作用を高めることができる。
【0022】
本発明の第八の形態は、上記第一から第七のいずれかの収容体と、薄葉紙の積層体とを含む、薄葉紙製品である。
【0023】
上記第八の形態によれば、上記第一から第七の形態のいずれかと同様の作用効果を有する、薄葉紙製品を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一形態によれば、薄葉紙を取り出しやすい収容体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第一の形態による収容体の斜視図である。
図2図1のI-I線断面の模式図である。
図3図1の収容体の紙引出部の構成を説明するための図である。
図4図1、2に示す収容体の機能を説明するための図である。
図5】本発明の第一の形態による収容体の変形例の断面の模式図である。
図6図5の収容体の紙引出部の構成を説明するための図である。
図7図5、6に示す収容体の機能を説明するための図である。
図8】本発明の第二の形態による収容体の斜視図である。
図9図8の収容体の紙引出部の構成を説明するための図である。
図10】従来技術による収容体の斜視図である。
図11】従来技術による収容体から薄葉紙が引き出された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0027】
図1に、本発明の第一の形態による、薄葉紙の積層体を内部に収容した収容体1(薄葉紙製品100)の斜視図を示す。また、図2に、図1の収容体1(薄葉紙製品100)をI-I線で切った模式的な部分断面図を示し、図3に、図1の収容体1の紙引出部3の部分分解図を示す。
【0028】
図1、2に示すように、収容体1は、薄葉紙の積層体を収容できる空間を有する収容体本体2と、この収容体本体2の上に接続された紙引出部3とを備えている。図示の形態では、収容体本体2と紙引出部3とは一体的に形成されている。収容体1においては、紙引出部3を通して、収容されている薄葉紙の積層体Sから薄葉紙をポップアップ式に引き出すことができる。
【0029】
図示の形態では、紙引出部3は、下蓋20と下蓋20の上に重ねられた上蓋10を備えており、下蓋20にはスリット25、上蓋10にはスリット15が形成されている。薄葉紙は、両スリット25、15を通して収容体1の上面から外部へと取り出すことができる。図3に示すように、下蓋20のスリット25及び上蓋10のスリット15はいずれも、上面視で同じ方向に、すなわち図示の第2方向D2に沿って延びている。下蓋20のスリット25及び上蓋10のスリット15は、第2方向D2に直交する第1方向D1で見て上蓋10の中央の、同じ位置に配置されている。
【0030】
上記の第2方向D2は、収容体1に収容される薄葉紙の積層体の幅方向に対応する。第2方向D2は、薄葉紙の積層体から薄葉紙を引き出す際の引出し方向に直交しており、引き出す際に摘ままれる薄葉紙の端部の延在方向に対応する。また、第1方向D1は、収容体1に収容される薄葉紙の積層体の奥行方向に対応する。本形態では、収容体1に収容される薄葉紙の積層体の幅方向の長さは、奥行き方向の長さよりも長くなっている。
【0031】
下蓋20には、図2に示すように、スリット25が形成されていることによって第1方向D1で見て2つの部分、すなわち下蓋第1部分21及び下蓋第2部分22(合せて下蓋部分と呼ぶ場合がある)が形成されている。下蓋第1部分21及び下蓋第2部分22はそれぞれ、縁部21a及び22aを有している。また、上蓋10には、スリット15が形成されていることによって第1方向D1で見て2つの部分、すなわち上蓋第1部分11及び上蓋第2部分12(合せて上蓋部分と呼ぶ場合がある)が形成されている。上蓋第1部分11及び上蓋第2部分12はそれぞれ、縁部11a及び12aを有している。
【0032】
図2に示すように、収容体本体2の内部空間には、薄葉紙の積層体Sを収容することができる。薄葉紙の積層体Sは、薄葉紙がポップアップ式に引き出されるように構成されている。例えば、薄葉紙は、折りの向きが互い違いになるように各々二つ折りされ、その折り返された面の縁部が上下に隣接する薄葉紙の折り返された内面にそれぞれ入り込んだ状態、すなわち、互い違いに入れ込まれた状態で積層されている。そして、一枚又は複数枚重ねた1組の薄葉紙を取り出すと、後続の薄葉紙が部分的に外部へ飛び出した状態となる。なお、ポップアップ式に引き出し可能であれば、薄葉紙は三つ折り又は四つ折りされていてもよい。なお、本明細書において、薄葉紙を引出部3から収容体1の外部へ引き出した時に、後続の薄葉紙の前端が引出部3よりも飛び出して露出した位置まで収容体本体から引き出される方式をポップアップ式という。
【0033】
収容体1は可撓性フィルム製である。そのため、薄葉紙の引出しの際には、剛性のある紙製の収容体と異なり、収容体1は、薄葉紙からの力を受けて容易に変形する。可撓性フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(PA)等の、薄葉紙の収容体として一般的に用いられる汎用樹脂フィルムを用いることができる。可撓性フィルムの材質としては、柔軟で取扱い性に優れること、ヒートシールした場合のシール性も高いこと、安価であること等から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が好ましく、特にポリエチレンは無臭であり、耐水性・耐薬品性にも優れ、低コストで大量生産が可能であることからより好ましい。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等を用いることができ、柔軟性に優れることから低密度ポリエチレンが好ましい。また、可撓性フィルムは、複数のフィルムを積層したラミネートフィルムであってもよいし、上記のうち2以上の樹脂からなる貼りあわせフィルムであってもよい。
【0034】
可撓性フィルムの厚さは、10~70μmであると好ましく、30~60μmであるとより好ましい。可撓性フィルムの厚さを10μmとすることで、収容体としての、またスリットから飛び出した薄葉紙を支持するための十分な強度を確保することができる。また、可撓性フィルムの厚さを70μm以下とすることで、薄葉紙を引き出す際の収容体の変形を容易にする十分な柔軟性を確保して薄葉紙に掛かる負荷を軽減するとともに、コストを抑えることができる。
【0035】
図4は、図2と同様の断面模式図であるが、薄葉紙Pが、薄葉紙の積層体Sから紙引出部3を通して引き出されている状態を示す図である。
【0036】
上述のように収容体1は薄葉紙の引出しの際に変形するが、その変形は、紙引出部3において顕著に見られる。具体的には、紙引出部3の上蓋10のスリット15及び下蓋20のスリット25の周辺の領域が、スリットの縁部の中央付近を中心に、薄葉紙に引きずられて持ち上がる。そして、薄葉紙を一枚又は複数枚重ねた1組を引き出した後には、図4に示すように、紙引出部3から後続の薄葉紙Pが飛び出した状態となる。この際、上蓋10のスリット15の上蓋第1部分11及び上蓋第2部分12は反るように変形するため、これらの上蓋部分には元の形状に復元する力が小さいながらも生じる。また、後続の薄葉紙Pは、上蓋10のスリット15の上蓋第1部分11の縁部11a及び上蓋第2部分12の縁部12aと少なくとも部分的に接触するため、摩擦力も生じる。これにより、薄葉紙Pに対して鉛直下方向に重力が働いても、薄葉紙Pは、上蓋第1部分11及び上蓋第2部分12によって支持されるので、薄葉紙Pの形状は崩れにくい。
【0037】
同様に、後続の薄葉紙Pは、下蓋20のスリット25の下蓋第1部分21及び下蓋第2部分22によっても支持される。
【0038】
このように、本形態では、上蓋10及び下蓋20のスリット15、25によって、上下方向の複数の箇所において、いわば階層的に薄葉紙を支持することができる。そのため、例えば、薄葉紙のシートを収容体1の上面から垂直方向に引き出した場合には、後続の薄葉紙Pを、引き出された直後の状態でほぼ垂直に立ち上げられた状態で保持することができる。これにより、使用者が後続の薄葉紙を使用しようとした際に薄葉紙を容易に摘まんで取り出すことができる。なお、薄葉紙のシートを立ち上げられた状態で保持する収容体の性能を、シート保持性能と呼ぶ場合がある。
【0039】
また、収容体1内に残された薄葉紙が少なくなって、紙引出部3と薄葉紙の積層体Sとの間の距離が大きくなった場合には、薄葉紙が収容体1の内部に落ち込みやすい傾向がある。しかし、本形態によれば、上蓋10及び下蓋20による上述の階層的な支持によって、そのような落込みも防止される。
【0040】
図1に示す収容体1は、全体としてほぼ直方体の立体形状を有しており、第1方向D1の長さは第2方向D2の長さより短くなっている。しかし、収容体1は、収容される薄葉紙、及び薄葉紙の積層体の形状に応じて別の立体形状を有していてよい。例えば、収容体1の第1方向D1の長さは、第2方向D2の長さと等しくてもよいし、第2方向D2の長さより長くなっていてよい。
【0041】
上蓋10のスリット15は、例えばフィルムに単線状の切れ目を作ることによって形成することができ、薄葉紙を取り出す前の状態では、縁部11aと12aとが接触可能となっている。また、スリット15は、フィルムから幅の狭い細長形状の部分を切り取ること等によって形成することもでき、その場合、スリット15は、幅の狭い細長形状の間隙となり、薄葉紙を取り出す前の状態では、縁部11aと12aとの間は離間している。
【0042】
上蓋10は、スリット15に代えて、収容体1(薄葉紙製品100)の使用開始時に、裂開線を使用者が裂開することによってスリットとなる裂開線を有していてもよい。このような裂開線は、ミシン目であってよいし、その他の線状の脆弱部又は目印であってもよい。
【0043】
図示の形態のように下蓋20にスリット25が形成されている場合には、この下蓋20のスリット25も、上蓋10のスリット15と同様に形成することができる。また、上蓋10のスリット15について説明したように、下蓋20のスリット25に代えて、使用者が裂開することによってスリットとなる裂開線を形成することもできる。
【0044】
図5図6に、本発明の第一の形態の変形例を示す。図5は、図2と同様に収容体1(薄葉紙製品100)の断面の模式図であり、図6は、図5に示す収容体1の紙引出部3の部分的な分解図である。図5図6に示す収容体1の基本的な構造は、図1図4を参照して説明した形態と同じであるが、下蓋20に形成されたスリット25と上蓋10に形成されたスリット15との位置が、第1方向D1で見て離間している点で異なっている。図示の形態では、下蓋20にスリット25が形成されていることで、下蓋第1部分21と、この下蓋第1部分21よりも第1方向D1の長さが短い下蓋第2部分22とが形成されている。また、上蓋10にスリット15が形成されていることで、上蓋第1部分11と、この上蓋第1部分11よりも第1方向D1の長さが長い上蓋第2部分12とが形成されている。
【0045】
図7は、図5と同様の断面模式図であるが、薄葉紙Pが、薄葉紙の積層体Sから紙引出部3を通して引き出されている状態を示す。本形態は、図1図4で説明した形態と同様に、薄葉紙は、下蓋20及び上蓋10の複数の階層で支持されるため、薄葉紙を立ち上げられた状態で保持することができる。また、収容されている薄葉紙が少なくなった場合に薄葉紙が収容体1の内部に落ち込むことも防止することができる。そのため、本形態の収容体1からは薄葉紙を取り出しやすい。
【0046】
本形態では、薄葉紙を紙引出部3を通して垂直方向に引き出す場合、図7に示すように、互いに離間している下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15とが第1方向D1で見て互いに近づき合うように変形する。そのため、収容体1の変形の度合いは、下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15とが離間していない形態(図1図4)に比べて大きくなる。特に、下蓋部分のうち第1方向D1で見てより長い下蓋第1部分21、及び上蓋部分のうち第1方向D1で見てより長い上蓋第2部分12の変形は大きい。変形が大きい分だけ、下蓋第1部分21及び上蓋第2部分12に発生する元の形状に復元する力が大きくなり、薄葉紙Pを支持する力が大きくなる。また、薄葉紙Pと、下蓋第1部分21の縁部21a及び上蓋第2部分12の縁部12aそれぞれとの接触部分は増えるため、薄葉紙とスリットの縁部との間に生じる摩擦力が増大し、薄葉紙Pの支持がより確実になる。
【0047】
また、下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15とが第1方向D1で見て離間していることで、下蓋20と上蓋10とが協働して薄葉紙Pを支持することができる。図7の形態では、下蓋部分のうち第1方向D1で見てより長い下蓋第1部分21と、上蓋部分のうち第1方向D1で見てより長い上蓋第2部分12とで、薄葉紙Pを支持することができる。
【0048】
さらに、下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15とが第1方向D1で見て離間していると、取出口が狭くなるので、引き出される薄葉紙の幅(第2方向D2の長さ)が縮められる。これにより、薄葉紙Pは、部分的に折り重なったり、湾曲したり、襞が発生した状態で紙引出部3において支持されるので、薄葉紙Pの立ち上げられた部分の剛性が高まるとともに、スリットの縁部との摩擦力が増大し、薄葉紙Pが紙引出部3においてほぼ垂直に立ち上げられた状態で保持される。よって、ポップアップした後続の薄葉紙を容易に取り出すことができる。
【0049】
下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15との間隔d(図6)は、薄葉紙の積層体の奥行(第1方向D1の長さ)に対して上面視で5~90%であると好ましく、10~80%であるとより好ましく、30~50%であるとさらに好ましい。下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15との間隔が5%以上であることで、薄葉紙を引き出す際の下蓋20及び上蓋10の変形の度合いが大きくなるため、下蓋20及び上蓋10に発生する復元力の増大及び薄葉紙Pとの間での摩擦力の増大によって、上述の薄葉紙Pを支持する作用を一層向上させることができる。また、90%以下であることで、薄葉紙を引き出す際に、薄葉紙に過度な負荷がかかることを防止することができる。下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15との間隔は、例えば、5~90mm、好ましくは15~80mm、より好ましくは35~50mmとすることができる。
【0050】
下蓋20のスリット25の長さL2(図3図6)は、薄葉紙の積層体の幅と比較して、小さいことが好ましい。これにより、薄葉紙は、スリット25を通して引き出される際、薄葉紙の幅(第2方向D2の長さ)が縮められる。そのため、薄葉紙Pは、部分的に折り重なったり、湾曲したり、襞が発生した状態で、下蓋20において支持される。よって、薄葉紙Pの剛性が高まるとともに、薄葉紙Pとスリット25との間の摩擦力が増大し、薄葉紙Pが下蓋20において良好に保持される。また、スリット25が、線状の切れ目によって形成されている場合には、スリット25の両端において薄葉紙Pを強く挟み込むことができる。
【0051】
下蓋20のスリット25の長さL2は、薄葉紙の積層体の幅に対して、35~95%であると好ましく、45~85%であるとより好ましく、55~75%であるとさらに好ましい。下蓋20のスリット25の第2方向D2の長さを薄葉紙の積層体の幅に対して35%以上とすることで、引出しの際に薄葉紙に過度の負荷が掛って薄葉紙が損傷することを防止することができる。また、下蓋20のスリット25の第2方向D2の長さを薄葉紙の積層体の幅に対して95%以下とすることで、薄葉紙が引き出される際に薄葉紙の幅が縮められ、薄葉紙とスリット25との間の摩擦力を大きくする作用を高めることができる。
【0052】
また、下蓋20のスリット25と同様に、上蓋10のスリット15の長さL1(図3図6)は、薄葉紙の積層体の幅と比較して、小さいことが好ましい。上蓋10のスリット15の第2方向D2の長さは、薄葉紙の積層体の幅に対して、35~95%であると好ましく、45~85%であるとより好ましく、55~75%であるとさらに好ましい。上蓋10のスリット15の第2方向D2の長さを上記範囲とすることで、引出しの際に薄葉紙に過度の負荷がかかることを防止するとともに、引き出された薄葉紙Pの剛性、薄葉紙Pとスリット15との間の摩擦力を大きくし、保持を確実にすることができる。
【0053】
上述の形態では、下蓋20のスリット25の長さL2と、上蓋10のスリット15の長さL1とは等しいが、両者は異なっていてもよい。下蓋20のスリット25の長さL2は、上蓋10のスリット15の長さL1に対して、80~170%であると好ましく、100~150%であるとより好ましい。
【0054】
なお、下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15との第2方向D2での位置関係は特に限定されないが、下蓋20のスリット25の第2方向D2の中心と、上蓋10のスリット15の第2方向D2の中心とは一致していることが好ましい。
【0055】
下蓋20と上蓋10とは、第2方向D2の両端で固定され、これにより、固定部50、50が形成されている(図1)。固定部50、50は、ヒートシールによって形成することができるし、接着剤による接着、或いは縫製によっても形成することができる。
【0056】
下蓋20は、第1方向D1の少なくとも一方の端部において上蓋10と接続されていない(ヒートシール又は接着剤によって一体化されていない)方が好ましい。これにより、下蓋20と上蓋10とが束縛されず、互いに自由に動くことができる。そのため、薄葉紙が引き出される際の下蓋20及び上蓋10の変形がより容易となり、また変形の度合いも大きくなる。これにより、薄葉紙と、下蓋20のスリット25の縁部及び上蓋10のスリット15の縁部との接触部分が大きくなり、上述のような薄葉紙を支持する作用を高めることができる。下蓋20は、第1方向D1の両端部において上蓋10と接続されていないことがより好ましい。また、下蓋20は、第1方向D1の少なくとも一方の端部において、収容体1の上蓋10以外の要素と接続されていないことが好ましい。
【0057】
図8図9に、本発明の第二の形態を示す。図8は、本発明の第二の形態による、薄葉紙の積層体を内部に収容した収容体1(薄葉紙製品100)の斜視図である。また、図9は、図8の収容体1の紙引出部3の部分分解図を示す。
【0058】
第二の形態による収容体1の基本的な構成は第一の形態と同じであるが、第一の形態とは、下蓋20にスリットが設けられていない点で異なる。本形態では、下蓋20は、自由端部28を有している。この自由端部28は、第2方向D2に延在する、第1方向D1の一方の端部である。
【0059】
薄葉紙が紙引出部3から引き出される場合には、下蓋20の自由端部28に接触しながら引き出される。その際、自由端部28は、上述の下蓋20のスリット25の縁部と同様の作用を奏する。すなわち、薄葉紙の引出しの際には、薄葉紙に引きずられて下蓋20の自由端部28が持ち上がり、変形する。そして、薄葉紙を一枚引き出した後には、下蓋20が反るように変形するので、下蓋20には元の形状に復元する力が発生する。また、自由端部28は、後続の薄葉紙と少なくとも部分的に接触することで、摩擦力も発生する。これにより、薄葉紙Pは下蓋20によって支持され、ほぼ垂直に立ち上げられた状態で保持されることが可能となる。よって、使用者は次に使用する薄葉紙を容易に摘まんで、取り出すことができる。
【0060】
図9に示すように、下蓋20の自由端部28の位置と、上蓋10に形成されたスリット15との位置は、第1方向D1で見て離間している。そのため、第一の形態について図5図7を参照して説明したように、本形態でも、薄葉紙を紙引出部3を通して引き出す際に、下蓋20の自由端部28と上蓋10のスリット15とが第1方向D1で見て互いに近づき合うように変形する。これにより、下蓋20と上蓋10の変形はより大きくなり、その分だけ、下蓋20及び上蓋10が元の形状に復元する力が大きくなり、後続の薄葉紙を支持する力が大きくなる。また、薄葉紙と、下蓋20の自由端部28及び上蓋10のスリットの縁部との接触部分はそれぞれ増えるため、薄葉紙とスリットの縁部との間に生じる摩擦力が増大し、薄葉紙の支持がより確実になる。
【0061】
図9に示すように、上面視で、下蓋20は、上蓋10のスリット15の位置を越えて延びている。すなわち、上面視で第1方向D1で見て、下蓋20の自由端部28は、上蓋10のスリット15よりも、自由端部28の反対側の端部から遠くに位置している。
【0062】
下蓋20の自由端部28と上蓋10のスリット15との間隔d'(図9)は、上述の下蓋20のスリット25と上蓋10のスリット15との間隔について説明したものと同様、薄葉紙の積層体の奥行(第1方向D1の長さ)に対して上面視で5~90%であると好ましく、10~80%であるとより好ましく、30~50%であるとさらに好ましい。下蓋20の自由端部28と上蓋10のスリット15との間隔は、例えば、5~90mm、好ましくは15~80mm、より好ましくは35~50mmとすることができる。
【0063】
第一及び第二の形態による収容体1を含む薄葉紙製品100はピロー包装体であるが、包装形態は図示の形態に限られない。薄葉紙製品100は、例えば、マチを設けたキャラメル包装により薄葉紙を包装することによって作製することができる。
【0064】
収容体1に収容される薄葉紙は、ティシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパーハンドタオル、ペーパー布巾、ワイパー等の衛生薄葉紙であってよい。薄葉紙の1プライでの坪量は10~20g/m2であると好ましく、また薄葉紙の2プライでの紙厚は130~200μmであると好ましい。なお、坪量は、JIS P 8124(1998)の坪量測定方法による。
【0065】
また、薄葉紙の積層体の寸法は、第1方向D1の長さが80~115mm程度、第2方向D2の長さが180~250mm程度、高さが30~90mm程度とすることができる。このような薄葉紙の積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0066】
第一及び第二の形態による収容体1を用いた場合には、ポップアップ式に取出される薄葉紙を立ち上げられた状態で保持する性能が高い。そのため、形状が崩れやすい薄葉紙、例えば、厚さが薄い薄葉紙や、柔らかく、表面が比較的滑らかな薄葉紙等に好適に用いることができる。収容体1は、特に、いわゆる保湿ティシュ、ローションティシュ等の薬液を塗布した薄葉紙の積層体を収容する収容体として好ましい。
【実施例
【0067】
以下、本発明の形態について、さらに実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0068】
本実施例においては、薄葉紙の積層体を収容した収容体を作製して、薄葉紙を保持する機能(シート保持性能)を評価し、さらに薄葉紙の落ち込みについても評価した。
【0069】
(実施例1)
図1図2に示すような収容体を作製した。幅325mmのポリエチレン(PE)フィルム(福助工業株式会社製、フィルム膜厚:20μm)を用いて、薄葉紙の積層体をピロー包装することによって、薄葉紙の積層体が収容された収容体を作製した。ピロー包装においては、フィルムの両端部分が収容体の裏面中央で重ね合わされるようにして、薄葉紙の積層体を包んだ。その際、フィルムの上面が収容体の上蓋となる。薄葉紙の積層体を包む際には、フィルムと積層体との間に、下蓋となる別個のフィルム片を挟んだ。下蓋は、幅方向(第2方向D2)の端部と共にヒートシールされ、幅方向の端部に固定部(図1の50、50)を形成した。また、収容体の裏面中央で重ね合されたフィルム材料の両端部分も、ヒートシールした。
【0070】
収容体の奥行(第1方向D1長さ)は約115mm、幅(第2方向D2長さ、薄葉紙製品として平坦になっている上面部分の長さ)は約240mm、高さは約55mmであった。薄葉紙の積層体を包む前に、上蓋及び下蓋にはそれぞれ、190mmのスリットを、幅方向(第2方向D2)に延びる中心線上に、単線状の切れ目を作ることによって形成しておいた。作製された収容体において、上蓋及び下蓋のスリットの位置は上面視で同じ位置にあった。
【0071】
収容体に収容される薄葉紙としては、保湿薬液を塗布したティシュペーパー(大王製紙株式会社製、「エリエール 贅沢保湿」)いわゆる保湿ティシュを用いた。ティシュペーパーは、2枚重ね1組からなる50組(100枚)であり、各組が2つ折りされて畳まれて、ポップアップ式に取り出される積層体となっている。積層体の奥行(第1方向D1の長さ)は103mm、幅(第2方向D2の長さ)は223mm、積層体の高さは25mmであった。
【0072】
(実施例2~6)
上蓋及び下蓋に形成されるスリットの位置を奥行方向(第1方向D1)に上面視で離間させたこと以外は、実施例1と同様にして、収容体を作製した。実施例2~6における上蓋のスリットと下蓋のスリットとの間の奥行方向(第1方向D1)の間隔は表1に示す通りであった。
【0073】
(実施例7~17)
スリット間隔は実施例6と同じ(70mm)であったが、上蓋及び下蓋のスリットの長さを表1に示すようにそれぞれ変更したこと以外は実施例6と同様にして、収容体を作製した。
【0074】
(実施例18)
下蓋にスリットを形成せず、図8図9に示すような下蓋が自由端部を有する形態にしたこと以外は、実施例9、14~17と同様の収容体を形成した。実際には、薄葉紙の積層体をピロー包装する際に、フィルムと積層体との間に挿入する別個のフィルム片の奥行方向の長さを短くした。上蓋のスリットと下蓋のスリットとは、図9に示すような位置関係にあった。
【0075】
(比較例1)
実施例1で用いた別個のフィルムを用いずに薄葉紙の積層体を1枚のフィルムでピロー包装し、図10に示す収容体1'のような従来技術による上面に長手方向にミシン目が形成されている収容体を準備した。この収容体は、使用時にミシン目を開裂させて取出し口を形成し、この取出し口から薄葉紙のシートを引き出すようにして使用するものである。比較例1の収容体のミシン目の長さは190mmであった。比較例1の収容体は、紙引出部の構成が異なること以外は、実施例1と同じ構成を有していた。フィルムの材質も実施例1のものと同じであった。
【0076】
上述のようにして作製した実施例1~18、比較例1の収容体について、取出し時のシート保持性能を評価した。各評価結果は、表1に示す。
【0077】
評価の方法は、以下の通りである:
[シート保持性能]
両面テープ(ニチバン株式会社製、「ナイスタックNW-15」)15×210mmを、収容体の裏面のヒートシール部から収容体1の第1方向D1の両端部に向かって各30mm離れた位置(第1方向D1で見て中央から各30mm離れた位置)に取り付けて、収容体を平坦な実験台に固定した。蓋体から露出している1組のティシュペーパーの先端の、第2方向D2で見た中央部分を、目玉クリップ(コクヨ株式会社製、「クリ-13」)で挟んだ。目玉クリップの持ち手部分の一方の穴にプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、型番:Z2-20)のフックを通し、0.7±0.3Nの力を維持しながら、収容体から1組のティシュペーパーを、収容体の上面に対して垂直な方向に引き出した。そして、1組を取り出す毎に、次の1組のティシュペーパーが、収容体の上面に対して垂直な方向に保持されているかを観察した。使用開始から11~20組目のティシュペーパーについて観察をし、記録した。
【0078】
評価は以下のようにして行った。
A:垂直に保持された組数が9~10組
B:垂直に保持された組数が7~8組
C:垂直に保持された組数が5~6組
D:垂直に保持された組数が3~4組
E:垂直に保持された組数が2組以下
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1~18はいずれもティシュペーパーの保持性能に優れ、とりわけ上蓋及び下蓋にスリットが形成され、両スリットが離間している実施例2~18は優れていた。一方、下蓋を有さない比較例1では、ティシュペーパーの保持性能に劣っていた。
【0081】
また、上記実施例について、ティシュペーパーの落ち込みについても観察をした。ティシュペーパーの落ち込みは、50組のティシュペーパーを順に取り出す際に、ティシュペーパーが取出口から出てこないで収容体の内部に落ち込んでしまった組数をティシュペーパー落ち込み回数として数え、記録した。実施例1~18では、ティシュペーパーの落ち込みは観察されなかった。
【符号の説明】
【0082】
1 収容体
1' 収容体(従来技術)
2 収容体本体
3 紙引出部
10 上蓋
11 上蓋第1部分
11a 上蓋第1部分の縁部
12 上蓋第2部分
12a 上蓋第2部分の縁部
15 上蓋のスリット
20 下蓋
21 下蓋第1部分
21a 下蓋第1部分の縁部
22 下蓋第2部分
22a 下蓋第2部分の縁部
25 下蓋のスリット
28 下蓋の自由端部
50 固定部
100 薄葉紙製品
D1 第1方向(奥行方向)
D2 第2方向(幅方向)
S 薄葉紙の積層体
P 薄葉紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11