(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】カテーテル挿入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 512
(21)【出願番号】P 2021159338
(22)【出願日】2021-09-29
(62)【分割の表示】P 2019547450の分割
【原出願日】2017-03-01
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ホワーン,ホーチン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジエンジアーン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ウェン・クエン・エイドリアン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0121755(US,A1)
【文献】国際公開第2016/152379(WO,A1)
【文献】特表2010-533014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0021545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体にカテーテルを挿入するための器具であって、
前記カテーテルの少なくとも一部が初期配置されているハウジングと、
前記ハウジングから遠位に延在するニードルであって、前記カテーテルの少なくとも一部が、前記ニードルを覆うように設けられている、ニードルと、
前記カテーテルを遠位に前進させるための前進組立体と、
前記ニードルの内部に部分的に初期配置されているガイドワイヤと、
前記ガイドワイヤを駆動するためのガイドワイヤ前進装置と
を備え、
前記ガイドワイヤ前進装置は、
ホイールと、
ガイドワイヤが前記ホイールの周りで駆動されるよう、前記ホイールを回転させるように構成されたラックと
を備える、
器具。
【請求項2】
前記ガイドワイヤ前進装置は、前記ホイールに同軸に固定された歯車をさらに備え、前記ラックが、前記歯車に係合する歯を含む、
請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記ガイドワイヤ前進装置は、前記ホイールの辺縁表面に前記ガイドワイヤを拘束するための少なくとも1つのアイドラをさらに備える、
請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記ガイドワイヤ前進装置は、前記ガイドワイヤの移動を案内するためのパイプレールをさらに備える、
請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記ハウジングは、遠位部および近位部を備える第1の部分と、
前記第1の部分に係合するように構成された第2の部分と
を備え、
前記第1の部分の前記遠位部が、前記第2の部分に対して遠位に摺動して、前記第1の部分と前記第2の部分との間の係合部を解除することができるように構成される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項6】
前記第1の部分の前記近位部が、前記第2の部分に固定される、
請求項5に記載の器具。
【請求項7】
前記第1の部分の前記遠位部の内側表面にフックが設けられ、前記フックが、前記ハウジングの近位端部に向かって延在する先端を有し、前記第2のハウジング部分にはスロットが設けられ、
前記第1の部分と前記第2の部分が係合されるとき、前記スロットが前記フックを受け、前記第1の部分の前記遠位部が遠位に摺動されると、前記フックは前記スロットから解放され、それにより、前記第1の部分が前記第2の部分から解放される、
請求項6に記載の器具。
【請求項8】
ニードルの近位端部を保持するために、前記第2の部分の内側表面に基部が設けられる、
請求項6に記載の器具。
【請求項9】
前記第1の部分および前記第2の部分のうちの少なくとも一方の内側表面に溝が設けられ、前記溝の内幅が、前記カテーテルが軸方向において自由に移動することを可能にするのに十分に広く、前記カテーテルが前記軸方向に対して垂直に移動することを制限するのに十分に狭い、
請求項5に記載の器具。
【請求項10】
前記遠位部が遠位に摺動されて前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記係合部を解除した後、前記第1の部分の前記遠位部が、前記第1の部分の近位部および前記第2の部分に連結されている、
請求項5に記載の器具。
【請求項11】
前記第1の部分の前記遠位部の近位端部が、前記第1の部分の前記近位部と前記第2の部分との間にクランプされる構造体を含み、前記構造体の移動が、前記第1の部分の前記近位部および前記第2の部分によって形成される空洞内に制限されるように構成される、
請求項5に記載の器具。
【請求項12】
前記遠位部が遠位に摺動されて前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記係合部を解除した後、前記第1の部分の前記遠位部が、前記第2の部分から分離される、
請求項5に記載の器具。
【請求項13】
前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部が、前記第2の部分に軸方向にロックされるように構成され、
前記第1の部分の前記遠位部は、前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部と前記第2の部分との間のロックが解除されると、前記第2の部分に対して遠位に摺動することができ、それによって前記第1の部分と前記第2の部分との間の前記係合部を解除するように構成される、
請求項5に記載の器具。
【請求項14】
前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部が、可撓性であり、前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部が前記第2の部分に軸方向にロックされるとき、前記第2の部分に向かって付勢される、
請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部が、スライダによって前記第2の部分に向かって付勢され、前記スライダが所定の位置まで遠位に移動されると、前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部は付勢されなくなり、前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部と前記第2の部分との間の前記ロックが解除される、
請求項14に記載の器具。
【請求項16】
第1の突出部が、前記遠位部の前記近位端部から前記第2の部分に向かって延在し、第2の突出部が、前記第2の部分から前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部に向かって延在し、
前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部が前記第2の部分に向かって付勢され、かつ前記第1の突出部が前記第2の突出部に対して相対的に近位であるとき、前記第1の部分の前記遠位部の前記近位端部が、軸方向に前記第2の部分にロックされる、
請求項14に記載の器具。
【請求項17】
前記前進組立体の内部に設けられた隔壁を備え、前記隔壁は、
円筒形の本体と、
前記本体の上表面の中央部分から延在する第1の突出部と
を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項18】
前記隔壁は、前記隔壁の長手方向軸に沿って前記隔壁の内部に形成されたスリットをさらに含む、
請求項17に記載の器具。
【請求項19】
前記スリットが、前記第1の突出部の内部に形成される、
請求項18に記載の器具。
【請求項20】
前記スリットが、前記隔壁を通って延在する、
請求項18に記載の器具。
【請求項21】
前記スリットは、ニードルが前記スリットを通って延在するときに広がり、前記ニードルが前記隔壁から抜去されると閉じる、
請求項18に記載の器具。
【請求項22】
前記隔壁が前記カテーテル挿入器具の内腔に装着される前、前記隔壁の前記本体の外径が、前記内腔の内径よりも大きい、
請求項17に記載の器具。
【請求項23】
前記第1の突出部が、前記上表面から先細りになる円錐台の形をとる、
請求項17に記載の器具。
【請求項24】
前記円錐台の上表面が、辺縁部では丸みを付けられている、
請求項23に記載の器具。
【請求項25】
前記隔壁の前記上表面が、前記辺縁部では丸みを付けられている、
請求項17に記載の器具。
【請求項26】
前記第1の突出部が、円筒の形をとる、
請求項17に記載の器具。
【請求項27】
前記隔壁は、前記上表面に対向する前記本体の下表面の中央部分から延在する第2の突出部をさらに備える、
請求項17に記載の器具。
【請求項28】
前記第2の突出部が、前記下表面から先細りになる円錐台の形をとる、
請求項27に記載の器具。
【請求項29】
前記前進組立体の内部に設けられた隔壁を備え、前記隔壁は、
円形末端部分と、
前記末端部分の辺縁部から延在する管状部分と
を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の器具。
【請求項30】
前記隔壁は、前記管状部分に対向する前記円形末端部分の表面の中央部分から延在する突出部をさらに備える、
請求項29に記載の器具。
【請求項31】
前記末端部分の内部にスリットが形成される、
請求項29に記載の器具。
【請求項32】
前記スリットが、前記突出部の内部に形成される、
請求項31に記載の器具。
【請求項33】
前記スリットが、前記末端部分を通って延在する、
請求項31に記載の器具。
【請求項34】
前記スリットは、ニードルが前記スリットを通って延在するときに広がり、前記ニードルが抜去されると閉じる、
請求項31に記載の器具。
【請求項35】
前記管状部分が、少なくとも1つの穴を含む、
請求項29に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は医療装置に関し、より詳細には、患者の身体にカテーテルを挿入するためのカテーテル挿入装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
[0002]本発明の実施形態は、カテーテルまたは他の管状の医療装置を患者の身体に挿入するための挿入器具を対象とする。一実施形態における挿入器具は、ニードルの挿入、ガイドワイヤの前進、ハウジングから遠位に延在するニードル、およびカテーテルの挿入を単一の装置にまとめて、カテーテル配備手技を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]一実施形態では、本発明のカテーテル挿入器具は、ハウジングと、ニードルに沿って摺動可能な安全キャップとを備え、安全キャップは、ニードルの先端が安全キャップの内部に隔離される位置まで遠位に摺動すると、ハウジングにロックされるように構成される。
【0004】
[0004]一実施形態では、安全キャップは、ニードルを包む第1の部分と、摺動可能にレールに取り付けられる第2の部分とを含み、レールは、ハウジングの一体部品であるか、またはハウジングに固定されている。代替の一実施形態では、カテーテル挿入器具は、ニードルの先端を隔離する位置まで安全キャップが遠位に摺動するとき、安全キャップがハウジングにロックされるまで安全キャップに連結されているカテーテルハブをさらに備える。
【0005】
[0005]一実施形態では、本発明のカテーテル挿入器具のハウジングは、遠位部および近位部を備える第1の部分と、第1の部分に係合する第2の部分とを備え、第1の部分の遠位部は、第2の部分に対して遠位に摺動して、第1の部分と第2の部分との間の係合部を解除することができるように構成される。
【0006】
[0006]代替の一実施形態では、ハウジングの第1の部分の近位部は、第2の部分に固定される。代替の一実施形態では、第1の部分の遠位部の内側表面にフックが設けられ、フックは、ハウジングの近位端部に向かって延在する先端を有し、第2のハウジング部分にはスロットが設けられ、第1の部分と第2の部分が係合されるとき、スロットはフックを受け、第1の部分の遠位部が遠位に摺動されると、フックはスロットから解放され、それにより、第1の部分が第2の部分から解放される。
【0007】
[0007]代替の一実施形態では、ハウジングの第1の部分の遠位部の近位端部は、ハウジングの第2の部分に軸方向にロックされるように構成され、第1の部分の遠位部は、第1の部分の遠位部の近位端部と第2の部分との間のロックが解除されると、第2の部分に対して遠位に摺動することができ、それによって第1の部分と第2の部分との間の係合部を解除するように構成される。代替の一実施形態では、第1の部分の遠位部の近位端部は、可撓性であり、第1の部分の遠位部の近位端部が第2の部分に軸方向にロックされるとき、第2の部分に向かって付勢される。代替の一実施形態では、第1の部分の遠位部の近位端部は、スライダによって第2の部分に向かって付勢され、スライダが一定の位置まで遠位に移動されると、第1の部分の遠位部の近位端部は付勢されなくなり、第1の部分の遠位部の近位端部と第2の部分との間のロックが解除される。
【0008】
[0008]代替の一実施形態では、第1の突出部が、遠位部の近位端部からハウジングの第2の部分に向かって延在し、第2の突出部が、第2の部分からハウジングの第1の部分の遠位部の近位端部に向かって延在し、第1の部分の遠位部の近位端部が第2の部分に向かって付勢され、かつ第1の突出部が第2の突出部に対して相対的に近位であるとき、第1の部分の遠位部の近位端部は、軸方向に第2の部分にロックされる。
【0009】
[0009]一実施形態では、本発明のカテーテル挿入器具用の隔壁は、円筒形の本体と、本体の上表面の中央部分から延在する第1の突出部とを備える。
[00010]代替の一実施形態では、本発明の隔壁は、隔壁の長手方向軸に沿って隔壁の内
部に形成されたスリットをさらに含む。別法として、スリットは、第1の突出部の内部に形成される。別法として、スリットは、隔壁を通って延在する。別法として、スリットは、ニードルがスリットを通って延在するときに広がり、ニードルが隔壁から抜去されると閉じる。別法として、隔壁がカテーテル挿入器具の内腔に装着される前、隔壁の本体の外径は、内腔の内径よりも大きい。代替の一実施形態では、本発明の隔壁は、上表面に対向する本体の下表面の中央部分から延在する第2の突出部をさらに含む。
【0010】
[00011]一実施形態では、本発明のカテーテル挿入器具用の隔壁は、円形末端部分と、
円形末端部分の辺縁部から延在する管状部分とを備える。代替の一実施形態では、本発明の隔壁は、管状部分に対向する円形末端部分の表面の中央部分から延在する突出部をさらに含む。別法として、末端部分の内部にスリットが形成される。別法として、スリットは、突出部の内部に形成される。別法として、スリットは、末端部分を通って延在する。別法として、スリットは、ニードルがスリットを通って延在するときに広がり、ニードルが抜去されると閉じる。
【0011】
[00012]一実施形態では、本発明のカテーテル挿入器具用のガイドワイヤ前進装置は、
穴を含むプッシュブロックであって、この穴が、プッシュブロックの上表面から下表面へとプッシュブロックを通って延在し、穴の第1の側壁が、平面曲線の形をとる、プッシュブロックと、カテーテル挿入器具の長手方向において穴に位置合わせされた溝を含むレールとを備える。代替の一実施形態では、穴は、第1の側壁に対向する直線的な第2の側壁を有し、第1の側壁と第2の側壁との間の最小距離は、ガイドワイヤが長手方向に自由に移動することを可能にするのに十分に大きく、ガイドワイヤの揺れを制限するのに十分に小さい。
【0012】
[00013]代替の一実施形態では、ガイドワイヤ前進装置は、ガイドワイヤの一方の端部
が固定されるアンカー点をさらに備え、ガイドワイヤは、アンカー点から近位方向に延在し、レールの第1の部分を通って穴に入り、穴から離れるように延在し、レールの第2の部分へと遠位方向に延在する。
【0013】
[00014]一実施形態では、本発明のカテーテル挿入器具用のガイドワイヤ前進装置は、
ホイールと、ガイドワイヤがホイールの周りで駆動されるよう、ホイールを回転させるように構成されたラックとを備える。別法として、ガイドワイヤ前進装置は、ホイールに同軸に固定された歯車をさらに備え、ラックは、歯車に係合する歯を含む。別法として、ガイドワイヤ前進装置は、ホイールの辺縁表面にガイドワイヤを拘束するための少なくとも1つのアイドラをさらに備える。別法として、ガイドワイヤ前進装置は、ガイドワイヤの移動を案内するためのパイプレールをさらに備える。
【0014】
[00015]一実施形態では、本発明の挿入器具は、最初はカテーテルの少なくとも一部が
設けられているハウジングと、ハウジングから遠位に延在するニードルであって、カテーテルの少なくとも一部が、ニードルを覆うように設けられている、ニードルと、カテーテルを遠位に前進させるための前進組立体とを備え、ハウジングは、遠位部および近位部を
備える第1の部分と、第1の部分に係合する第2の部分とを備え、第1の部分の遠位部は、第2の部分に対して遠位に摺動して、第1の部分と第2の部分との間の係合部を解除することができるように構成され、前進組立体は、安全キャップを含み、この安全キャップは、最初はニードルを覆うように設けられ、ニードルの先端を安全キャップの内部に隔離する位置まで遠位に摺動すると、ハウジングにロックされるように構成される。代替の一実施形態では、ニードルの先端を安全キャップの内部に隔離する位置まで安全キャップを摺動させる準備として、ハウジングの第1の部分と第2の部分の係合部が解除される。
【0015】
[00016]本発明の実施形態の上記およびその他の特徴は、以下の説明および添付の特許
請求の範囲からより完全に明らかになるか、またはこれ以降述べる本発明の実施形態の実施によって知ることができる。
【0016】
[00017]本開示のより詳細な説明を、添付図面に図示されたその具体的な実施形態を参
照して示す。これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがってその範囲を限定するものと考えられるべきではないことを理解されたい。添付図面を使用することにより、本発明の実施形態例をさらに具体的かつ詳細に記載および説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】[00018]本発明の一実施形態による挿入器具の斜視図である。
【
図2】[00019]
図1の挿入器具の断面の上面図である。
【
図3A】[00020]
図1および
図2の挿入器具の種々の分解図である。
【
図4A】[00021]本発明の一実施形態によるカテーテル挿入器具のハウジングの側面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態によるカテーテル挿入器具のハウジングの側面図である。
【
図4C】本発明の一実施形態によるカテーテル挿入器具のハウジングの側面図である。
【
図5A】[00023]本発明の一実施形態によるカテーテル挿入器具のハウジングの側面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態によるカテーテル挿入器具のハウジングの側面図である。
【
図5C】本発明の一実施形態によるカテーテル挿入器具のハウジングの側面図である。
【
図6A】[00025]本発明の一実施形態による挿入器具の内部構造の種々の図である。
【
図6B】本発明の一実施形態による挿入器具の内部構造の種々の図である。
【
図6C】[00026]本発明の一実施形態による挿入器具の安全キャップの構造を示す図である。
【
図7A】[00027]本発明の一実施形態による挿入器具の、カテーテルハブと安全キャップとの間の係合部を示す図である。
【
図7B】本発明の一実施形態による挿入器具の、カテーテルハブと安全キャップとの間の係合部を示す図である。
【
図8A】[00028]本発明の一実施形態による挿入器具の、安全キャップおよびレールの断面の上面図である。
【
図9】[00031]本発明の一実施形態による挿入器具に設けられる隔壁を示す図である。
【
図10A】[00032]本発明の一実施形態による隔壁の種々の図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による隔壁の種々の図である。
【
図10C】本発明の一実施形態による隔壁の種々の図である。
【
図10D】本発明の一実施形態による隔壁の種々の図である。
【
図11A】[00033]本発明の一実施形態による隔壁の種々の図である。
【
図11B】本発明の一実施形態による隔壁の種々の図である。
【
図12A】[00034]本発明の一実施形態によるガイドワイヤ前進組立体の種々の図である。
【
図12B】本発明の一実施形態によるガイドワイヤ前進組立体の種々の図である。
【
図13A】[00035]本発明の一実施形態によるガイドワイヤプッシャーの種々の図である。
【
図13B】本発明の一実施形態によるガイドワイヤプッシャーの種々の図である。
【
図13C】本発明の一実施形態によるガイドワイヤプッシャーの種々の図である。
【
図14A】[00036]本発明の一実施形態によるガイドワイヤ前進組立体の種々の図である。
【
図14B】本発明の一実施形態によるガイドワイヤ前進組立体の種々の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[00037]次に図を参照するが、各図では、同様の構造体には同様の参照符号が与えられ
ている。各図面は、本発明の例示的な実施形態の図表示および概略図であり、限定的なものではなく、必ずしも一定の縮尺で描かれてもいないことを理解されたい。
【0019】
[00038]説明を明瞭にするために、「近位」という語は、本明細書に記載される装置を
使用する臨床医に比較的近い方向を指し、「遠位」という語は、臨床医から比較的遠い方向を指すことを理解されたい。たとえば、患者の体内に留置されるカテーテルの端部は、カテーテルの遠位端部であると考えられ、身体の外にとどまるカテーテル端部は、カテーテルの近位端部である。また、特許請求の範囲を含めて本明細書において使用される「含む」、「有する」および「有している」という語は、「備える」という語と同じ意味をもつものとする。そうでないことが具体的に示されていなければ、「最初は(換言すれば、初期)」という語は、病院もしくは診療所などの医療施設(または患者自身もしくは患者のパーソナルケアアシスタントが使用するために患者)に引き渡され、操作または使用されていないとき、まだ組み立てられた状態にあるときの、本発明の挿入器具の状態を指す。そうでないことが具体的に示されていなければ、「軸方向」または「軸方向に」は、挿入器具の長手方向を指し、これはニードルの向きでもある。
【0020】
[00039]本発明の実施形態は、概して、カテーテルまたは他の管状の医療装置を患者に
留置することを助けるための器具を対象とする。たとえば、患者の脈管構造へのアクセスを確立し、薬剤の注入または体液の吸引を可能にするために、通常は、種々の長さのカテーテルが患者の体内に留置される。本明細書に記載されるカテーテル挿入器具により、こうしたカテーテルの留置が容易になる。以下の考察では、特定のタイプで長さが比較的短いカテーテルを留置することに焦点を当てるが、末梢静脈に中期的または長期的に留置されるカテーテル、PICC、中心静脈カテーテルなどを含め、種々のタイプ、サイズおよび長さのカテーテルをこの装置によって挿入できることに留意されたい。一実施形態では、任意の長さのカテーテルが考えられる。
【0021】
[00040]まず
図1および
図2を参照するが、これらには、全体として10で示された、
一実施形態による(これ以降「挿入器具」とも呼ばれる)カテーテル挿入器具の種々の詳
細が示してある。挿入器具の斜視図である
図1に示すように、挿入器具10はハウジング12を含み、このハウジング12は、第1の部分12Aおよび第2の部分12Bを含む。
【0022】
[00041]一実施形態では、ハウジング12の第1の部分12Aは、ハウジング12の第
2の部分12Bに分離可能に係合される。一実施形態では、第1の部分12Aは、第2の部分12Bに対して遠位に摺動して、係合を解除することができる。係合および解除に関する詳細は後で提示する。
【0023】
[00042]
図2は、挿入器具の断面の上面図である。
図2に示すように、一実施形態では
、挿入器具10はレール14を含み、このレール14は、ハウジング12の一体部品であるか、または独立した要素であるがハウジング12に固定される。たとえば、レール14は、ハウジング12の(
図1に示した)第1の部分12Aまたはハウジング12の第2の部分12Bの一体部分でもよく、成形または組立てによってハウジング12に固定されてもよい。
【0024】
[00043]挿入器具10は、器具を操作する際、臨床医が安定して器具10を保持できる
ようにするためのハンドル16をさらに含む。一実施形態では、ハンドル16は、レール14から延在する。他の実施形態では、ハンドル16はハウジング12から延在し、ハンドルは、ハウジング12の第1の部分12Aまたは第2の部分12Bに設けられる。一実施形態では、摩擦を増やすために、ハンドル16の一表面は小さい突出部を含む。別の実施形態では、ハンドル16の表面は、摩擦を増やすことができる他の構造体、たとえば溝、畝部、艶消し表面などを含む。ハンドル16の表面のこうした突出部、または同様の構造体により、臨床医などの使用者が挿入器具を操作するときの操作安定性が改善される。
【0025】
[00044]
図3Aおよび
図3Bは、
図1および
図2の挿入器具10の種々の分解図である
。次に
図3Aを参照するが、ここでは、中空ニードル18を支持するニードルハブ18Aが、ハウジング部分12Aとハウジング部分12Bとの間に配置されている。ニードル18は、ニードルハブ18Aから遠位に、挿入器具10の本体を通ってハウジング12の遠位端部の外へと延在する。別の実施形態では、ニードル18は、本明細書に記載の機能性を可能にしながら、少なくとも部分的には中空である。一実施形態では、ニードル18の遠位端部に近接したその壁部に、切欠き18Bが画定される。カテーテル挿入手順中に患者の脈管構造へのアクセスが得られると、切欠き18Bにより、血液のフラッシュバックが中空ニードル18によって画定される内腔から出て行くことが可能になる。したがって、臨床医は切欠き18Bから出て行く血液を見て、ニードルが適切に脈管構造に挿入されていることを確認することができる。
【0026】
[00045]
図2および
図3Bに示すように、挿入器具10は、カテーテル22を患者の脈
管構造へと遠位に前進させるためのカテーテル前進組立体20をさらに含む。カテーテル22の近位端部は、カテーテルハブ24に連結される。カテーテル22とカテーテルハブ24はどちらも、最初はニードル18上に配置される。そして、カテーテル22の少なくとも一部、およびカテーテルハブ24は、ハウジング12の内部に予め配置される。一実施形態では、カテーテル22の遠位部分は、ハウジング12の遠位端部から延在する。一実施形態では、カテーテルハブ24は、ハウジングのスロット12Cからハウジング12の外に延在するハンドルを含み、カテーテルハブ24のハンドルを使用して、カテーテル22およびカテーテルハブ24の前進を行うことができる。スロット12Cは、ハウジング12の第1の部分12Aと第2の部分12Bとの間に存在して、カテーテルハブ24のハンドルが移動することを可能にする。別の実施形態では、カテーテルハブ24のハンドルは、カテーテルハブ24から延在する分岐パイプ24Aである。別の実施形態では、分岐パイプには滅菌保護が施される。
【0027】
[00046]引き続き
図2および
図3Bを参照するが、ここでは、挿入器具10は安全キャ
ップ26を含む。安全キャップ26は、最初はカテーテルハブ24に取り付けられており、一定の位置まで遠位に摺動されると、カテーテルハブ24から分離することができる。一実施形態では、安全キャップ26は、その位置まで摺動されると、ハウジング12にロックされる。このロック機構の詳細は以下で説明する。
【0028】
[00047]一実施形態では、安全キャップ26は、ニードルを包む第1の部分26Aと、
摺動可能にレール14に取り付けられる第2の部分26Bとを含む。一実施形態では、カテーテルハブ24と安全キャップ26が分離することができる位置は、ニードル18の先端が安全キャップ26の第1の部分26Aの内部に隔離される位置である。一実施形態では、ニードル18の先端が安全キャップ26の第1の部分26Aの内部に隔離される位置まで安全キャップ26が摺動すると、安全キャップ26の第2の部分26Bは、レール14にロックされる。安全キャップ26(より具体的には第2の部分26B)とレール14との間のロックにより、安全キャップ26とニードル18との間の相対移動が防止されて、ニードル先端の再露出が防止され、それにより、ニードルが臨床医または患者を刺す可能性がなくなる。
【0029】
[00048]
図3Bを参照すると、一実施形態では、挿入器具10は、ニードルおよびカテ
ーテルが患者の身体に挿入され、または患者の身体から抜去される際に血液曝露を防止する、少なくとも1つの隔壁28をさらに含む。挿入器具10の内部には、1つまたは複数の隔壁が配置されてもよい。一実施形態では、カテーテルハブ24の内腔の内部に、隔壁28(
図3Bには図示せず)が設けられる。一実施形態では、安全キャップ26の第1の部分26Aに、隔壁28が設けられる。一実施形態では、安全キャップ26の第1の部分26Aの内腔の内部に、隔壁28が設けられる。隔壁は、挿入器具の別の要素、たとえばカテーテルハブ24の分岐管の内部にも設けられてもよいことに留意されたい。隔壁のサイズおよび形状は、対応する要素、または要素の内腔に嵌合するように構成され、複数の隔壁が使用されるとき、各隔壁のサイズおよび形状は同じでもよく、異なってもよい。
【0030】
[00049]再び
図3Aを参照すると、一実施形態では、挿入器具10は、患者の脈管構造
へとガイドワイヤ32を遠位に前進させ、または患者の脈管構造からガイドワイヤ32を抜去するためのガイドワイヤ前進組立体30を備える。一実施形態では、ガイドワイヤ前進組立体30は、カテーテル22を前進させる準備としてガイドワイヤ32の移動を操作するためのプッシャー34をさらに含む。
【0031】
[00050]一実施形態では、ガイドワイヤ32の少なくとも一部は、ニードル18の内腔
に配置される。代替の一実施形態では、ガイドワイヤ32の遠位端部は、最初はニードル18の先端内に配置され、ガイドワイヤ32の他方の端部は、ハウジング12またはレール14のアンカー点に固定される。ガイドワイヤ32は、アンカー点から近位方向に延在し、プッシャー34に設けられた穴36に入り、穴36によって屈曲し、穴36から離れるように延在し、ニードル18の内腔へと遠位方向に延在する。一実施形態では、プッシャー34が移動すると、ガイドワイヤ32の屈曲部分に摩擦力が印加されて、ガイドワイヤ32の遠位部分が前進または後退する。プッシャー34が遠位に移動されるとき、ガイドワイヤ32は、プッシャー34の移動距離の2倍の距離にわたって遠位に前進する。これにより、こうした医療装置の操作において所望されるガイドワイヤ前進効率が好都合に向上する。
ハウジング
[00051]
図4Aおよび
図4Bは、本発明のカテーテル挿入器具のハウジング40の側面
図である。ハウジング40は、遠位部42Aおよび近位部42Bを備える第1の部分42と、第1の部分42に係合する第2の部分44とを含み、第1の部分42の遠位部42Aは、第2の部分44に対して遠位に摺動して、第1の部分42と第2の部分44との間の
係合部46を解除することができるように構成される。
【0032】
[00052]一実施形態では、第1の部分42の近位部42Bは、第2の部分44に固定さ
れる。別法として、第1の部分42の近位部42Bは、分離可能な構成、たとえばスナップフィット接合部、ピン接合部、リベット接合部、バックルなどによって第2の部分44に係合される。ハウジングが誤って分離することを防止するために、第1の部分42の近位部42Bと第2の部分44との間の分離可能な係合を解除するには、閾値の大きさを上回る力が必要とされる。別の実施形態では、第1の部分42の近位部42Bと第2の部分44は、互いから分離不能であるか、または一体化された部品を形成する。
【0033】
[00053]一実施形態では、
図4Cおよび
図4Dに示すように、ハウジングの第1の部分
42の遠位部42Aの内側表面にフック46Aが設けられる。フック46Aは、ハウジング40の近位端部に向かって延在する先端を有する。第2の部分44には、スロット46Bが設けられる。第1の部分42と第2の部分44が係合されるとき、スロット46Bはフック46Aを受け、第1の部分42の遠位部42Aが遠位に摺動されると、フック46Aはスロット46Bから解放され、それにより、第1の部分42が第2の部分44から解放される。
【0034】
[00054]
図4Aを再び参照すると、ハウジング40の第1の部分42と第2の部分44
は、フック46Aおよびスロット46Bによって形成される係合部46、ならびに第1の部分42の近位部42Bと第2の部分44との間の係合部によって互いに係合されている。第1の部分42の遠位部42Aは、矢印で示した方向で、ハウジング40の第2の部分44に対して遠位に摺動することができる。第1の部分42の遠位部42Aが遠位に摺動すると、フック46Aが穴46Bに対して遠位に移動する。フック46Aの先端が
図4Bに示した位置に到達すると、フック46Aは穴46Bから離れることができ、それにより、係合部46が解除され、第1の部分42の遠位部42Aと第2の部分44とは、互いに対して垂直な方向に分離することができる。
【0035】
[00055]
図4A~
図4Dには1対のフック46Aおよび穴46Bのみが示してあるが、
一実施形態では、本発明のハウジング40は2つのフックおよび2つの穴を含むことに留意されたい。係合部46をより安定化するために、最適な一実施形態として、2つのフックが遠位部42Aの内側表面に平行に配置され、それに対応して、2つのフックと同じ方式で、2つの穴が第2の部分44に配置される。他の数および構成のフックおよび穴も考えられ、本発明の趣旨に含まれる。
【0036】
[00056]
図4Aおよび
図4Bに示すように、一実施形態では、ニードル18の近位端部
を保持するために、ハウジング40の第2の部分44の内側表面には、基部48が設けられる。ニードル18の近位端部は、ハウジングに固定される。一実施形態では、基部48は穴を含み、それにより、ガイドワイヤが穴を通ってニードル18の内腔へと延在することが可能になる。
【0037】
[00057]
図4Dに示すように、一実施形態では、第1の部分42および第2の部分44
のうちの少なくとも一方の内側表面に溝45が設けられ、溝45の内幅は、カテーテルが軸方向において自由に移動することを可能にするのに十分に広く、カテーテルが軸方向に対して垂直に移動することを制限するのに十分に狭い。つまり、ハウジングの第1の部分と第2の部分は、互いに係合すると、ニードル18の遠位部分に支持を与え、これにより、ニードル18が患者の身体に挿入され、または患者の身体から抜去される際、ニードル18の揺れが抑えられる。
【0038】
[00058]一実施形態では、遠位部42Aと近位部42Bは、遠位部42Aが遠位に移動
する前または移動した後、常に互いに連結されている。この連結部は、弾性、または折畳み可能、またはヒンジ式の連結部によって形成されてもよい。弾性または折畳み可能な連結部の例は、ヒンジ、ばね、または別の可撓性部品でもよい。
【0039】
[00059]別の実施形態では、遠位部が遠位に摺動して第1の部分42と第2の部分44
との間の係合を解除した後、第1の部分42の遠位部42Aは、第2の部分44から分離することができる。
【0040】
[00060]引き続き
図4A~
図4Dを参照する。別の実施形態では、第1の部分42の遠
位部42Aの近位端部は、第1の部分42の近位部42Bと第2の部分44との間にクランプされる構造体49を含み、構造体49の移動は、第1の部分42の近位部42Bおよび第2の部分44によって形成される空洞内に制限される。具体的には、一実施形態では、構造体49は、遠位部42Aの近位端部から近位に延在する可撓性シート49Aと、可撓性シート49Aの末端部分の2辺(換言すれば、2つの側部)から垂直に延在する2つの壁部49Bとを含む。一実施形態では、遠位部42Aが一定の距離にわたって遠位に摺動された後、構造体49は、第1の部分42の遠位部42Aがさらに遠位に移動することを防止するように、基部48によってブロックされる。この一定の距離は、フック46Aが穴46から解放されることを可能にする、フック46Aの遠位移動距離でもある。
【0041】
[00061]一実施形態では、遠位部42Aの構造体49のシート49Aおよび2つの壁部
49Bは、基部48から延在する隆起部と係合する。隆起部は、構造体49のためのレールのように機能し、これにより、隆起部に沿った遠位移動が可能になるが、遠位移動中の構造体49の揺れも制限される。
【0042】
[00062]一実施形態では、構造体49は、第2の部分44の基部48と第1の部分42
の近位部42Bの内側表面によってクランプされる。これにより、遠位部42Aがハウジングの残りの部分から外れることが防止され、第2の部分44に対してある角度で遠位部42Aを開閉移動させることが可能になる。こうした機構により、使用後にハウジングがばらばらになることが避けられ、これは医療安全(たとえば針刺しおよび/または血液汚染の防止)ならびにユーザ体験にとって好ましい。
【0043】
[00063]
図5A~
図5Cは、本発明のカテーテル挿入器具のハウジング50の側面図で
ある。
図5Aに示すように、ハウジング50は、遠位部52A、ならびに
図4Aおよび
図4Bに示した近位部42Bに類似した近位部を備える第1の部分52と、第1の部分52に係合する第2の部分54とを含む。第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56は、第2の部分54に軸方向にロックされ得るように構成され、第1の部分52の遠位部52Aは、第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56と第2の部分54との間のロックが解除されると、第2の部分54に対して遠位に摺動し、それによって第1の部分52と第2の部分54との間の係合部46を解除することができるように構成される。
【0044】
[00064]引き続き
図5Aを参照するが、一実施形態では、部分拡大図「A」に示すよう
に、第1の突出部56Aが、遠位部52Aの近位端部56から第2の部分54に向かって延在し、第2の突出部56Bが、第2の部分54から第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56に向かって延在する。
図5Aでは、第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56は可撓性で、(たとえばスライダ58によって)第2の部分54に向かって付勢されており、また第1の突出部56Aは第2の突出部56Bに対して相対的に近位であり、それにより、第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56は、第1の部分52が第2の部分54に対して軸方向に遠位に移動することができないように、軸方向に第2の部分54にロックされる。
【0045】
[00065]
図5Bは、
図5Aに示したハウジングの第1の部分52の遠位部52Aの側面
図である。
図5Bに示した遠位部52Aの近位端部56は、付勢されていない自然な状態であり、近位方向においてわずかに上向きに傾斜したベベルの形をとる。ベベルの厚みは一定でもよい。別法として、ベベルの厚みは遠位方向において徐々に増加または減少し、(第1の突出部56A自体の高さは考慮せず)第1の突出部56Aの場所で最小または最大の厚みに到達してもよい。こうした変動的な厚みをもつベベルは、スライダ58がベベルに加える力の量、およびスライダ58とベベルとの間の摩擦を変化させる助けとなる場合がある。
【0046】
[00066]
図5Cは、第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56と第2の部分54と
の間のロックが解除されたときの、ハウジング50の側面図である。一実施形態では、スライダ58が遠位に移動されると、スライダ58が第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56に加える力は減少し、近位端部56は徐々に付勢されなくなり、したがって、第1の突出部56Aは第2の突出部56Bに対して上向きに移動する。
図5Cに示すように、スライダ58が一定の位置へと遠位に移動されると、第1の突出部56Aは上に動いて、第2の突出部56Bが第1の突出部56Aの遠位移動を妨げなくなる位置に到達し、それにより、第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56と第2の部分54との間のロックが解除される。
【0047】
[00067]
図4A~
図4Dのハウジング40と同様に、
図5Dおよび
図5Eに示す一実施
形態では、ハウジング50の第1の部分52の遠位部52Aの内側表面にはフック46Aが設けられ、ハウジング50の第2の部分54には、フック46Aに対応する位置にスロット46Bが設けられる。
図5Fに示すように、フック46Aは、まずハウジング50の第1の部分52の遠位部52Aの内側表面から垂直に突出し、次いで水平方向に近位に延在する形をとってもよい。第1の部分52と第2の部分54が係合されるとき、スロット46Bはフック46Aを受け、また第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56と第2の部分54との間のロックが解除されて第1の部分52の遠位部52Aが遠位に摺動されると、フック46Aはスロット46Bから解放され、それにより、第1の部分52を第2の部分54から解放することができる。
【0048】
[00068]
図5Fは、第1の部分52の遠位部52Aと第2の部分54との間の係合が解
除されたときの状態を示す、挿入器具の側面図である。一実施形態では、第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56は、第1の部分52の(
図5Fには図示していない)近位部と第2の部分54との間にクランプされる構造体56Cを含み、構造体56Cの移動は、第1の部分52の近位部および第2の部分54によって形成される空洞内に制限される。具体的には、一実施形態では、構造体56Cは、
図4A~
図4Cに示した構造体49に類似している。一実施形態では、遠位部52Aが一定の距離にわたって遠位に摺動された後、構造体56Cは、第1の部分52の遠位部52Aがさらに遠位に移動することを防止するように、基部48によってブロックされ、前記一定の距離は、フック46Aがスロット46Bから解放されることを可能にする、フック46Aの遠位移動距離でもある。
【0049】
[00069]第1の部分52の遠位部52Aの近位端部56と第2の部分54との間のこう
したロック機構により、ハウジングの第1の部分の遠位部を遠位に移動させる恐れのある、臨床医の不用意な操作を効果的に防止することができ、したがって、ハウジングが望まずして分離するのを防止することができる。さらに、一実施形態では、スライダ58の遠位移動は、第1の部分52の遠位部52Aと第2の部分54との間の軸方向のロックを解除することに加え、同時にガイドワイヤを前進させるようにも構成され、こうした構成により、操作の効率および安全性が向上する。
ニードル先端の保護
[00070]
図2および
図6Aには、本発明の挿入器具10の一実施形態の内部構造が示し
てある。具体的には、
図2は、ハウジング12の第1の部分12Aのない、挿入器具10の上面図である。一実施形態では、本発明の挿入器具10は、ハウジング12と、ハウジングに取り付けられたレール14と、ハウジング12から遠位に延在するニードル18と、カテーテル前進組立体20と、ガイドワイヤ前進組立体30とを含み、カテーテル前進組立体20は、カテーテル22と、カテーテルハブ24と、カテーテルハブ24に分離可能に取り付けられた安全キャップ26とを含む。
【0050】
[00071]
図2に示した状態に加え、
図6Aには、レール14に安全キャップ26がロッ
クされる位置まで、安全キャップ26が遠位に摺動することが示してある。一実施形態では、安全キャップ26は、ニードル18の先端が安全キャップ26の内部に隔離される位置まで遠位に摺動すると、ハウジング12にロックされるように構成される。レール14はハウジングの一部でもよく、またはハウジングに取り付けられるので、安全キャップ26がレール14にロックされるとき、安全キャップ26は、ハウジング12にもロックされていると考えられ得ることに留意されたい。
図6Aには、安全キャップ26がハウジングにロックされ、ニードル先端が安全キャップ26の内部に隔離される位置がはっきりと示してある。この位置では、ニードル先端の再露出が防止されるように、安全キャップ26とニードル18との間の関連する移動が制限される。
【0051】
[00072]
図6Bには、安全キャップ26が
図6Aで説明した位置にあるときに、カテー
テルハブ24を安全キャップ26から分離した図が示してある。
[00073]
図6Aおよび
図6Bに示すように、一実施形態では、ニードルの先端18Cが
安全キャップの内部に隔離される位置まで安全キャップ26が摺動すると、安全キャップ26は場所60においてハウジング12にロックされ、ニードル18の先端18Cは安全キャップ26の内部に隔離される。
【0052】
[00074]
図6Cには、本発明の一実施形態の安全キャップ26の構造が示してある。安
全キャップ26は、第1の部分26Aおよび第2の部分26Bを含む。
図2、
図6A、および
図6Bを合わせて確認すると、一実施形態では、安全キャップ26の第1の部分26Aはニードル18を包み、安全キャップ26の第2の部分26Bは、摺動可能にレール14に取り付けられる。具体的には、一実施形態では、安全キャップ26の第1の部分26Aは、ニードル18を収容して包む第1の部分26Aに延在する内腔27を含む。
【0053】
[00075]一実施形態では、安全キャップ26の第1の部分26Aは、2つの指部62を
有する。一実施形態では、2つの指部62は、ニードル18を包むスリットをそれらの間に有する。別の実施形態では、3つ、4つ、またはさらに多くの指部が考えられる。別の実施形態では、指部62は帯または柱の形状である。
【0054】
[00076]
図7Aおよび
図7Bには、本発明の一実施形態の、カテーテルハブ24と安全
キャップ26との間の係合部が示してある。この係合部は、カテーテルハブ24に設けられた凹部66に指部62の突出部64を挿入することによって形成される。
【0055】
[00077]
図7Aを参照すると、一実施形態では、指部62は、ニードル18の軸棒が安
全キャップ26の第1の部分26Aを通って延在するとき、カテーテルハブ24の内側表面に向かって半径方向に付勢されるように構成される。つまり、安全キャップ26の第1の部分26Aがニードル軸棒を包むとき、指部62は、ニードル18によって外側にわずかに付勢/押圧される。半径方向に付勢された指部62は、その突出部64を凹部66に挿入し、ニードル18からの圧力は、突出部64を確実に凹部66に挿入する助けとなり、それにより、カテーテルハブ24と安全キャップ26との間の係合が実現される。
【0056】
[00078]
図7Bを参照すると、一実施形態では、指部62は、安全キャップ24がニー
ドル18の先端を隔離する位置まで遠位に摺動すると、付勢された位置から解放されるように構成される。つまり、ニードルからの圧力が失われたとき、指部62はカテーテルハブ24の内腔の軸に向かって集束し、突出部64を凹部66から引き抜くことができ、それにより、カテーテルハブ24を安全キャップ26から分離することができる。
【0057】
[00079]
図7Aを参照すると、一実施形態では、指部62は、ニードルの軸棒が安全キ
ャップ26の第1の部分26Aを通って延在するとき、および安全キャップ26がニードルの先端を隔離する位置まで遠位に摺動したとき、同じ位置にとどまるように構成される。つまり、指部62は同じ位置に保持され、ニードル18からの圧力の有無にかかわらず、基本的には付勢されない。そして、指部によって形成される中空円筒の外径は、ニードルが中空円筒を通って延在しようとそうでなかろうと変化しない。しかし、ニードル18からの圧力により、突出部64と凹部66との挿入が容易になる。
【0058】
[00080]
図7Bを参照すると、一実施形態では、ニードルからの圧力が失われたとき、
指部62は、ニードル18によって付勢/押圧されたのと同じ位置に保持される。この状況では、挿入器具の使用者がカテーテルハブ24から安全キャップ26を引き離そうとするとき、突出部64は凹部66から引き抜かれる。
【0059】
[00081]一実施形態では、指部62のそれぞれが突出部64を含み、対応する数の凹部
66が、カテーテルハブの内側表面に設けられる。一実施形態では、指部62のそれぞれは、1つまたは複数の突出部64を含んでもよい。
【0060】
[00082]次に
図6Cを参照する。突出部64の近位面は、指部62の、この近位面が指
部62から延在する表面に対して鈍角を形成する。つまり、突出部64の近位面は、指部62がニードル18によって付勢/押圧されていないとき、突出部64を凹部66から引き抜くことを可能にするスロープである。
【0061】
[00083]
図8A~
図8Cを参照すると、安全キャップ26の第2の部分26Bは、レー
ル14に沿って摺動するレバー81である。一実施形態では、レバー81は、レール14に向き合うレバー81の表面84の2辺(換言すれば、2つの側部)から垂直に延在する、2つの垂直壁部82を含む。2つの垂直壁部82のそれぞれは、突出部86を備えた水平部を有し、この突出部は、ニードル18の先端が安全キャップ26の内部に隔離される位置まで安全キャップ26が遠位に摺動したとき、レール14に形成された切欠き88の内部にロックされて、安全キャップ26をハウジング12にロックする。
【0062】
[00084]レバー81の構造を明確に示すために、安全キャップ26の内腔の軸に垂直な
平面の断面図である
図8Cを参照する。一実施形態では、レール14に向き合うレバーの表面84は2つの垂直壁部82を含み、レバー81は、表面84の反対側では安全キャップ26の第1の部分26Aに連結される。2つの垂直壁部82のそれぞれは、突出部86を備えた水平部を有する。ここでは、水平部は、基本的には表面84に対して平行であり、一実施形態では、垂直壁部82は、レバーの全長にわたって延在し、水平部は、レバーの全長よりも短い。別の実施形態では、垂直壁部82はレバーの部分的な長さだけにわたって延在し、水平部は、垂直壁部82の長さよりも短い。
【0063】
[00085]
図8Bに示すように、一実施形態では、切欠き88は、レールに設けられた2
つの隆起バンプ88Aと88Bとの間に形成される。別の実施形態では、近位バンプ88Aは、近位側には傾斜したスロープ88Cを有し、遠位側ではレールの表面に対して実質的に垂直である。一実施形態では、遠位バンプ88Bは、近位バンプ88Aよりもレール14の表面から高く隆起する。突出部86が近位バンプ88Aの傾斜したスロープ88Cの上を摺動している間、レバーの2つの突出部86の間の距離は、傾斜したスロープ88
Cに沿って大きくなり、2つの突出部86の間の張力も徐々に増加する。突出部86が隆起バンプ88Aおよび88Bによって形成された切欠きに入ると、隆起バンプ88Bの近位面および隆起バンプ88Aの遠位面により、突出部86がさらに移動することが妨げられ、したがって、安全キャップ26がレール14にロックされる。
【0064】
[00086]一実施形態では、挿入器具の使用者(たとえば臨床医)は、安全キャップ26
がハウジング12にロックされるとき、たとえばレバーの突出部86が切欠き88に入るとき、触知感覚を感じる。一実施形態では、触知感覚に加えて、可聴音が生成される。
隔壁
[00087]
図9を参照すると、一実施形態では、挿入器具は、ニードルが挿入され、カテ
ーテルが患者の身体へと前進されるかまたは引き抜かれる際に血液曝露を防止する、少なくとも1つの隔壁90を含む。一実施形態では、隔壁90は、挿入器具の内部の内腔に設けられてもよい。たとえば、隔壁90は、挿入器具のカテーテルハブ24の内腔に配置されてもよく、かつ/または挿入器具の安全キャップ26の内腔に配置されてもよい。
【0065】
[00088]一実施形態では、隔壁90がカテーテルハブ24の内腔に設けられる。一実施
形態では、隔壁100が安全キャップ26の第1の部分26Aに設けられる。一実施形態では、隔壁110が安全キャップ26の第1の部分26Aの内腔に設けられる。隔壁は、挿入器具の他の要素、たとえば、カテーテルハブ24の分岐管にも設けられてもよいことに留意されたい。隔壁26のサイズおよび形状は、対応する要素、または要素の内腔に嵌合するように構成され、各隔壁のサイズおよび形状は同じでもよく、異なってもよい。
【0066】
[00089]
図10A~
図10Dには、本発明の一実施形態の隔壁90が示してある。
図1
0Aを参照すると、一実施形態では、隔壁90は、円筒形の本体92と、本体92の上表面94Aの中央部分から延在する第1の突出部94とを備える。一実施形態では、円筒形の本体92の厚みは、隔壁90とニードル18との間の摩擦を減らすように、ニードル18の先端と切欠きとの間の距離よりも小さくなるように構成される。
【0067】
[00090]
図10Bに示すように、隔壁90は、隔壁の長手方向軸に沿って隔壁90の内
部に形成されたスリット96を有する。一実施形態では、スリット96は、第1の突出部の内部に形成される。一実施形態では、スリット96は、隔壁を通って延在する。具体的には、スリット96は、円筒形の本体92および突出部を部分的または全体的に通って延在することができる。一実施形態では、スリット96は、ニードル18がそこを通って延在するときに広がり、ニードル18が隔壁90から抜去されると閉じる。ニードルが隔壁全体を刺したとき、その結果として、スリット96は隔壁全体にわたって延在する。好ましい一実施形態として、隔壁90の封止性能を確実にするために、スリット96は、最初は隔壁90の厚み全体に通っておらず、したがって、組立てプロセス中にニードルが隔壁90を刺すと、隔壁90はニードルを堅く包み、ニードルの周りに堅い封止部を形成することになる。別の実施形態として、隔壁90は貫通スリットなしで形成され、ニードルが隔壁90を刺すと、隔壁90はニードルを堅く包み、(この構成がその他のすべての態様において同じであると仮定すると)スリットを備えた構成が形成するのよりも堅い封止部をニードルの周りに形成することができる。
【0068】
[00091]一実施形態では、隔壁90がカテーテル挿入器具の内腔に装着される前、隔壁
90の本体92の外径は、内腔の内径よりもわずかに大きい。具体的には、隔壁90の本体92の外径は、カテーテルハブ24の内径よりも大きい。隔壁90がカテーテルハブ24の内腔に組み付けられたとき、カテーテルハブ24の内側表面は隔壁90と堅く接触し、したがってより優れた封止が実現される。
【0069】
[00092]一実施形態では、
図10Bに示すように、隔壁の第1の突出部94は、本体9
2の上表面94Aから先細りになる円錐台の形をとる。そして、円錐台は本体92と同軸である。一実施形態では、第1の突出部94は、本体92と一体である。
【0070】
[00093]一実施形態では、隔壁90の上表面94Aは、辺縁部では丸みを付けられてい
る。一実施形態では、円錐台の上表面は、辺縁部では丸みを付けられている。
[00094]一実施形態では、本発明の隔壁90は、上表面94Aに対向する本体92の下
表面98Aの中央部分から延在する、第2の突出部98をさらに含む。
【0071】
[00095]一実施形態では、
図9Aおよび
図9Bに示すように、第2の突出部98は、下
表面98Aから先細りになる円錐台の形をとる。そして、円錐台は本体92と同軸である。一実施形態では、第2の突出部98は本体92と一体であり、一体化された本体を形成する。別の実施形態では、第2の突出部98は、本体92の中央部にはめ込まれた円筒の形をとる。別の実施形態では、第1の突出部94および第2の突出部98は、本体92の中央部にはめ込まれた円筒を形成する。一実施形態では、スリット96は、第1の突出部94または第2の突出部98によって形成される円筒内に部分的に延在する。別の実施形態では、スリット96は、円筒の全体にわたって延在する。
【0072】
[00096]一実施形態では、第1の突出部および第2の突出部は、サイズおよび形状が同
じである。別の実施形態では、第2の突出部98は、第1の突出部94よりも低い。カテーテルハブ24の内腔が隔壁90の一方の面において流体(たとえば血液)で満たされているとき、流体に面する第1の突出部または第2の突出部の側部表面は流体から求心圧力を受け、ニードルが隔壁を通って延在しているときはニードルをより堅く包み、またはスリットが隔壁を通って形成されている場合はスリットをより堅く閉じ、それによってより良好な流体封止を実現する。
【0073】
[00097]
図10Cおよび
図10Dには、カテーテルハブ24に組み付けられた隔壁90
が示してある。一実施形態では、
図10Cに示すように、隔壁90はカテーテルハブ24の内腔101の遠位端部に設けられ、この内腔は、安全キャップ26を受け入れることになる。内腔101は、内腔101の内径が遠位方向に小さくなるステップ101Aを有する。ステップ101Aより近位側では、隔壁90の本体92の外径は、カテーテルハブ24の内腔101の内側表面との流体封止接触を実現するのに十分な大きさである。ステップ101Aより遠位側では、隔壁90の第1の突出部94が、ステップ101Aより遠位な内腔101へと延在する。隔壁は、カテーテルハブ24の内腔101の他の位置にも設けることができることを理解されたい。
図10Dに示した別の実施形態では、隔壁90は、カテーテルハブ24の内腔101の内側表面に形成された、2つのステップ101Aとステップ101Bとの間に挟まれる。
【0074】
[00098]一実施形態では、隔壁90は、ポリイソプレン、シリコーンゴム、ポリウレタ
ン、ブチルゴム、またはラテックスで作られる。
[00099]
図11Aおよび
図11Bには、本発明の一実施形態の隔壁100が示してある
。
図11Aを参照すると、一実施形態では、隔壁100は、円形末端部分102と、末端部分102の辺縁部から延在する管状部分104とを備える。一実施形態では、隔壁100は、隔壁100の遠位端部には閉端(円形末端部分102)を有し、隔壁100の近位端部には開端を有する管形状である。具体的には、一実施形態では、末端部分102は丸くされた薄い膜であり、管状部分104は、膜の外辺部から、末端部分102の平面に対して垂直な方向に延在する。
【0075】
[000100]一実施形態では、隔壁100は、管状部分104に対向する円形末端部分102の表面の中央部分から延在する突出部106をさらに含む。一実施形態では、突出部106は、円筒の形をとる。別の実施形態では、突出部106は、下表面から先細りになる円錐台の形をとる。突出部106は、円形末端部分102と同軸である。一実施形態では、突出部106、円形末端部分102、および管状部分104は、一体の部品を形成する。
【0076】
[000101]隔壁90と同様に、隔壁100の末端部分102はスリットありで形成されてもよく、スリットなしで形成されてもよい。
[000102]
図11Bには、安全キャップ26の遠位部分に組み付けられた隔壁100が示してある。一実施形態では、隔壁100は安全キャップ26の指部に設置され、管状部分104の側壁は少なくとも1つの凹部108を含み、これにより、指部に設けられた突出部が凹部108を通って延在することが可能になる。一実施形態では、管状部分104に設けられる凹部108の数および位置は、安全キャップ26の指部に設けられる突出部の数および位置に対応する。前述のように、安全キャップの指部は、指部の遠位部分では互いから分離されており、ニードルを包むと半径方向に付勢され、ニードルがそこから引き抜かれると中心へと集束するように構成される。隔壁100は、指部にキャップ/蓋をし、それによって安全キャップの指部から血液が漏れることを防止する封止部を形成するように構成される。
【0077】
[000103]さらに、たとえば
図7B、
図9、または
図10Dに示すように、安全キャップ26の指部62が完全に、または部分的にカテーテルハブ24の内腔101の内部にあるとき、指部62に設けられた隔壁100により、安全キャップ26とカテーテルハブ24との間の封止が強化される。そして、隔壁100により、安全キャップ26とカテーテルハブ24との間に適当な摩擦が与えられ、ニードル先端が安全キャップの内部に隔離されるロック位置まで安全キャップ26が摺動したとき、この摩擦により、使用者/臨床医がカテーテルハブ24と安全キャップ26を分離するために力を加えることが必要になる。
【0078】
[000104]加えて、別の実施形態として、安全キャップ26とカテーテルハブ24が連結されているとき、安全キャップ26の指部に設けられた隔壁100とカテーテルハブ24の内腔101に設けられた隔壁90とが互いに接触する。具体的には、一実施形態では、安全キャップ26の指部部分がカテーテルハブ24の内腔101に完全に挿入されたとき、隔壁90の本体92または突出部94/98は、隔壁100の突出部106または末端部分102と堅く接触する。こうした構成により、ニードル先端が隔壁90および隔壁100を通過する際の血液の漏れを防止することができ、したがって、安全キャップ26とカテーテルハブ24が互いから分離されるときの血液曝露を防止することができる。
【0079】
[000105]一実施形態では、隔壁100は、ポリイソプレン、シリコーンゴム、ポリウレタン、ブチルゴム、またはラテックスで作られる。
[000106]一実施形態では、
図11Bに示すように、カテーテル挿入器具10は、第1の部分26Aの内腔に設けられる隔壁110をさらに含む。具体的には、一実施形態として、隔壁110は円筒の形状である。一実施形態では、隔壁110の厚みは、隔壁110とニードル18との間の摩擦を減らすように、ニードル18の先端と切欠きとの間の距離よりも小さくなるように構成される。
【0080】
[000107]隔壁90と同様に、隔壁110は、スリットありで形成されてもよく、スリットなしで形成されてもよい。
[000108]一実施形態では、隔壁110が安全キャップ26の第1の部分26Aの内腔に装着される前、隔壁110の外径は、内腔の内径よりも大きい。
【0081】
[000109]一実施形態では、隔壁110は、第1の部分26Aの内腔の近位端部に設けられ、それにより、隔壁100および内腔101とともに閉じた空洞を形成する。したがって、ニードル先端が安全キャップ26の閉じた空洞の内部に隔離されたとき、閉じた空洞
により、血液が漏れることが防止される。
【0082】
[000110]一実施形態では、隔壁110は、ポリイソプレン、シリコーンゴム、ポリウレタン、ブチルゴム、またはラテックスで作られる。
ガイドワイヤ前進組立体
[000111]
図2または
図3Aを再び参照すると、一実施形態では、挿入器具10は、ガイドワイヤ32を患者の脈管構造へと遠位に前進させ、またはガイドワイヤを患者の脈管構造から近位に抜去するための、ガイドワイヤ前進組立体30を備える。一実施形態では、ガイドワイヤ前進組立体30は、カテーテル22を前進させる準備としてガイドワイヤ32の移動を操作するためのプッシャー34をさらに含む。
【0083】
[000112]
図12Aおよび
図12Bには、ガイドワイヤ32を前進させる前後の、ガイドワイヤ前進組立体30の断面図が示してある。一実施形態では、ガイドワイヤ32の少なくとも一部は、ニードル18の内腔に配置される。ガイドワイヤ32の一方の端部はハウジング12のアンカー点120に固定され、ガイドワイヤ32は、アンカー点120から近位に延在し、レールの第1の部分122Aを通ってプッシャー34の穴36に入り、穴36から離れるように延在し、レールの第2の部分122Bへと遠位に延在し、最後にニードル基部を通ってニードル18の内腔へと延在する。
【0084】
[000113]一実施形態では、レール122A~122Bは、カテーテル挿入器具の長手方向において穴36に位置合わせされた溝を含む。溝は、ガイドワイヤ32を拘束するように機能し、操作中、ガイドワイヤ32の望ましくない揺れまたは屈曲を防止する。具体的には、一実施形態として、アンカー点120およびレールの第1の部分122Aは、ハウジング12の第1の部分12Aの内側表面に設けられる。アンカー点120、レールの第1の部分122A、およびプッシャー34の穴36の上部開口は一直線に配置され、これにより、ガイドワイヤ32がアンカー点120から穴36へとまっすぐに延在することが可能になる。レールの第2の部分122Bは、ハウジング12の第2の部分12Bの内側表面に設けられる。穴36の下部開口、レールの第2の部分122B、およびニードル18の近位端部は一直線に配置され、これにより、ガイドワイヤ32が穴36からニードル18の内腔へとまっすぐに延在することが可能になる。別の実施形態では、レール122A~122Bの少なくとも一部はパイプである。
【0085】
[000114]
図12Aには、操作前のガイドワイヤ前進組立体30の構成が示してあり、ここでは、プッシャー34はハウジングの近位端部の近くに位置決めされている。
図12Bに示すように、プッシャー34がニードル基部の近くの位置へと遠位に移動されるとき、ガイドワイヤ32は、プッシャー34の移動距離の2倍の距離にわたって遠位に前進する。
【0086】
[000115]
図13A~
図13Cには、プッシャー34の構造が示してある。
図13Aは、プッシャー34の一実施形態の斜視図であり、この場合、プッシャー34は、プッシュブロック(換言すれば、押しブロック)130およびスライダ132を含む。一実施形態では、プッシュブロック130は、プッシュブロック130の上表面から下表面へとプッシュブロック130を通って延在する穴36を含む。
【0087】
[000116]
図13Bはプッシュブロック130の断面図であり、
図13Cはプッシュブロック130の斜視図である。
図13Bおよび
図13Cに示すように、プッシュブロック130は、穴36を画定する4つの側壁を含む。一実施形態では、穴36の4つの側壁は、平面曲線の形をとる第1の側壁134Aと、第1の側壁に対向する直線的な第2の側壁134Bとを含む。第1の側壁134Aと第2の側壁134Bとの間の最小距離は、ガイドワイヤ32が長手方向に自由に移動することを可能にするのに十分に大きく、ガイドワイヤ32の揺れを制限するのに十分に小さい。別の実施形態では、第2の側壁134Bも平面曲線の形をとり、第2の側壁134Bの平面状表面は、第1の側壁134Aの平面状表面と平行である。一実施形態では、この他の2つの側壁は直線的である。
【0088】
[000117]
図2および
図13Aを再び参照すると、一実施形態では、スライダ132はプッシュブロック130に連結され、プッシュブロック130はハウジング12の内側に設けられ、スライダ132は、部分的にハウジング12の外側に設けられる。一実施形態では、ハウジングの第2の部分13Bとハウジングの第1の部分13Aの近位部分との間にスリットが形成され、このスリットが、プッシュブロック130とスライダ132との間の連結部をクランプし、プッシャー34がハウジング12に対して摺動することを可能にする。
【0089】
[000118]
図14Aおよび
図14Bには、本発明のガイドワイヤ前進組立体140の別の実施形態が示してある。一実施形態では、ガイドワイヤ前進組立体140は、ホイール142および歯車144を含み、歯車144は、ホイール142に同軸に固定される。歯車144が回転すると、同期してホイール142の回転が駆動される。一実施形態では、ガイドワイヤ32が、ホイール142の外径の周りに部分的に巻かれる。
【0090】
[000119]一実施形態では、ガイドワイヤ前進組立体140はラック146をさらに含み、このラック146は、ラック146の歯と歯車144の歯との間の係合によって歯車144に係合する。一実施形態では、ラック146の遠位端部は、ハウジングに設けられたレールに摺動可能に取り付けられる。ラック146がレールに沿って摺動すると、歯車144の回転およびホイール142の回転が駆動され、それに応じて、ガイドワイヤ32がホイール142の周りで駆動される。
【0091】
[000120]一実施形態では、ガイドワイヤ前進組立体140は、ホイール142の辺縁表面にガイドワイヤ32を拘束するための少なくとも1つのアイドラ148をさらに含む。一実施形態では、少なくともホイール142の辺縁表面は、ホイール142とガイドワイヤ32との間の滑りを防止するのに十分な摩擦を与えるように構成される。これは、辺縁表面に特別な処理をすることによって実施されてもよく、表面を形成する適切な材料を選択することによって実施されてもよい。
【0092】
[000121]一実施形態では、ガイドワイヤ前進組立体140は、ガイドワイヤ32の移動を案内するためのパイプレールをさらに含む。
[000122]ガイドワイヤ前進組立体140の前進効率は、歯車144の直径とホイール142の直径の比に依存する。たとえば、歯車144の直径とホイール142の直径の比が1:3である場合、ラック146の摺動距離とガイドワイヤの移動距離の比も1:3である。
操作手順
[000123]
図4A~
図5Cには、患者の脈管構造にカテーテル22を留置する、挿入器具10の操作の種々の段階が示してある。図が見えやすいように、患者への実際の挿入は示さずに、種々の段階を示す。
図2に示す構成の挿入器具10では、挿入器具10を把持している使用者は、まず、適した挿入位置で遠位部分ニードル18を患者の皮膚に案内し、皮下血管にアクセスする。適切な血管アクセスが得られたことの確認は、血液のフラッシュ、すなわち血液がニードルの中空内部から切欠きを出て行くことにより、ニードル18の外径とカテーテル22の内径との間に血液が存在することから明らかになる。一実施形態では、血管にアクセスすると、血液がニードル18からハウジングに入るため、安全キャップ26に血液が存在することは、2次的な血液フラッシュインジケータとして機能することに留意されたい。
【0093】
[000124]ニードルが血管にアクセスしたことを確認した後、使用者は、ガイドワイヤ前進組立体30または140を操作する。一実施形態では、
図12A~
図13Cに示したガイドワイヤ前進組立体30については、プッシャー34が使用者の指によって遠位に摺動されて、最初は中空ニードル18の内部に設けられているガイドワイヤ32を遠位に前進させる。別の実施形態では、
図14A~
図14Bに示したガイドワイヤ前進組立体140については、ラック146が使用者の指によって遠位に摺動されて、ガイドワイヤ32を遠位に前進させる。ガイドワイヤの遠位方向の前進は、プッシャー34がその全移動長を遠位に摺動し、それにより、所定の長さのガイドワイヤ32がニードル18の遠位端部を通り越して延出するまで続く。一実施形態では、プッシュブロック130がニードル基部に接触すると、プッシャー34がさらに遠位に前進することが防止される。
【0094】
[000125]ガイドワイヤ32が患者の血管内に完全に延出されると、使用者はカテーテル前進組立体20を操作し、カテーテルハブ24は使用者によって遠位に前進され、それにより、カテーテル22はニードル18およびガイドワイヤ32を覆うように、挿入位置を経由して患者の脈管構造へと遠位に摺動する。この段階では、カテーテルハブおよびカテーテルをさらに遠位に移動させることは、ハウジングの遠位部分によって防止される。使用者は、次いでハウジングの第1の部分の遠位部をハウジングの第2の部分に対して摺動させて、ハウジングの2つの部分の間の係合を解除することができる。解除した後、カテーテルハブおよびカテーテルをさらに遠位に移動させることが可能になる。安全キャップ26は、最初はカテーテルハブ24に係合されているので、カテーテルハブ24を遠位に摺動させている間、安全キャップ26もカテーテルハブ24とともに摺動することに留意されたい。
【0095】
[000126]カテーテル22、カテーテルハブ24、および安全キャップ26がハウジングから解放された後、使用者は、カテーテルハブ24をさらに遠位に前進させ、また患者の身体からニードル18を抜去することができる。これらの2つの移動は、同時に操作されてもよく、連続的に操作されてもよい。安全キャップがロック点にロックされ、ニードル先端が安全キャップの内部に隔離されると、ニードルまたはハウジングに対するカテーテルハブおよび安全キャップの遠位移動は止まる。
【0096】
[000127]ニードル先端が安全キャップの指部から抜かれ、安全キャップの第1の部分の内腔で止められた状態では、カテーテルハブ24は、使用者によって安全キャップから自由に分離される。述べたように、カテーテルキャップおよび安全キャップの隔壁により、患者の血液の曝露が防止される。次いで、カテーテル22は患者の身体の中に残り、カテーテルハブ24は挿入位置の近くに残り、ハウジング12、ニードル18、安全キャップ26、およびガイドワイヤ前進組立体は取り除くことができる。
【0097】
[000128]一実施形態では、本発明の挿入器具10は、使用前の挿入器具に取外し可能に取り付けられてニードルおよびカテーテルを保護する、キャップまたは他の保護装置を含んでもよい。
【0098】
[000129]本開示の趣旨から逸脱しない限り、本発明の実施形態は、他の特定の形態で具体化されてもよい。説明した実施形態は、あらゆる点において単に例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきである。したがって、実施形態の範囲は、前述の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲に入るあらゆる変更は、その範囲に含まれることになる。