(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】段取り替え作業設定装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20221216BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
H05K13/02 Z
(21)【出願番号】P 2021501160
(86)(22)【出願日】2019-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2019005852
(87)【国際公開番号】W WO2020170305
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深尾 和也
(72)【発明者】
【氏名】村岡 寛応
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-059090(JP,A)
【文献】特開2005-216965(JP,A)
【文献】特開2013-110445(JP,A)
【文献】特開2018-116988(JP,A)
【文献】国際公開第2018/092250(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する複数のフィーダが入れ替え可能に搭載される台車が交換可能に装備される部品装着機で、前記部品を装着する基板を現基板種から次基板種に変更する段取り替えの際に、前記台車において入れ替えが必要となる前記フィーダの個数を取得するフィーダ数取得部と、
前記フィーダ数取得部の取得結果に基づいて、前記部品装着機に装備された前記台車における複数種類の段取り替え作業の優劣を比較する作業比較部と、
前記作業比較部の比較結果に基づいて、前記台車に複数種類の前記段取り替え作業のいずれかを設定する作業設定部と、を備え
、
前記作業比較部は、前記部品装着機に装備された前記台車において前記フィーダを入れ替える内段取り作業に要する内段取り時間と、前記台車の交換作業に要する台車交換時間との優劣を比較し、
前記作業設定部は、前記内段取り時間が前記台車交換時間未満の前記台車に前記内段取り作業を設定し、前記内段取り時間が前記台車交換時間以上の前記台車に前記交換作業を設定する、
段取り替え作業設定装置。
【請求項2】
前記作業比較部は、1個の前記フィーダの入れ替えに要するフィーダ入れ替え時間に、入れ替える前記フィーダの個数を乗算して前記内段取り時間を推定する、請求項
1に記載の段取り替え作業設定装置。
【請求項3】
前記作業設定部は、前記交換作業で装備する前記台車を対象として、予め前記部品装着機の機外において前記次基板種に必要となる前記フィーダを搭載する外段取り作業を設定する、請求項
1または2に記載の段取り替え作業設定装置。
【請求項4】
前記部品装着機に装備されていない使用可能な前記台車の在庫台数を取得する台車数取得部と、
前記作業設定部によって前記交換作業が設定された前記台車の台数が、前記在庫台数を超過しているときに、超過分の前記台車に設定されていた前記交換作業を前記内段取り作業に変更設定する作業変更部と、
を備える請求項
1~3のいずれか一項に記載の段取り替え作業設定装置。
【請求項5】
前記作業変更部は、前記交換作業が設定された前記台車のうちで入れ替える前記フィーダの個数が少ない前記台車から順番に変更設定する、請求項
4に記載の段取り替え作業設定装置。
【請求項6】
前記作業比較部は、
前記部品装着機に装備された前記台車において前記フィーダを入れ替える内段取り作業、
前記台車の交換作業、および、
前記交換作業で取り外される前記台車から前記次基板種に必要となる前記フィーダを取り外して、前記交換作業で装備される前記台車に再搭載するフィーダ使い回し作業を前記交換作業に付加した混合作業の優劣を比較し、
前記作業設定部は、前内段取り作業、前記台車の前記交換作業、および前記混合作業のいずれかを設定する、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の段取り替え作業設定装置。
【請求項7】
作業者からの指令にしたがい、前記台車に設定された前記段取り替え作業の種類を変更する指令変更部を備える、請求項1~
6のいずれか一項に記載の段取り替え作業設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品装着機で装着作業を実施する基板を現基板種から次基板種に変更する段取り替えの際に、フィーダが搭載される台車の段取り替え作業を設定する段取り替え作業設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機の代表例として、部品の装着作業を実施する部品装着機がある。一般的に、部品装着機は、部品供給用のリールが装填されたフィーダが入れ替え可能に搭載されて、様々な種類の部品が供給される。そして、部品を装着する基板を現基板種から次基板種に変更する段取り替えの際に、複数のフィーダを一括して入れ替える目的で台車が使用される。この種の部品供給用の台車に関連する一技術例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、部品装着機を複数連結した部品装着ラインにおいて、生産対象となる複数の基板種をフィーダの配置が共通な複数のグループに分けるグループ決定方法が開示されている。このグループ決定方法は、次のグループで共通に使用するフィーダを部品装着ラインから取り外されている台車に配置する外段取り作業に要する外段取り作業時間を算出する工程と、外段取り作業時間を考慮して次のグループの全基板の生産が完了するまでの生産完了時間を算出する工程と、生産完了時間が短くなるようにグループを決定する工程と、を含む。これによれば、従来よりも高い生産性を得ることが可能な共通配置のグループを決定できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、次グループで使用するフィーダをライン外で台車に配置する外段取り作業と、部品装着ラインの現グループの装着作業とを並行させることによって生産性を高めている。しかしながら、特許文献1と異なり、部品装着機に装備された状態でフィーダの入れ替えが可能な台車がある。これによれば、段取り替え作業の種類は、台車の交換作業に限定されず、フィーダの入れ替え作業や、台車の交換とフィーダの入れ替えを併用する作業なども考えられる。つまり、段取り替え作業の種類が多様化する。
【0006】
ここで、効率的な段取り替え作業の種類は、現基板種および次基板種に必要とされる部品の種類(部品種)に依存して変化する。従来、台車に関する段取り替え作業の種類は、勘や経験に頼って設定されてきた。しかしながら、経験の浅い作業者は、必ずしも効率的な段取り替え作業を設定することができなかった。これにより、部品装着機の停止時間が長引いて生産性が低下する、等の問題点が発生していた。また、使用可能な台車の在庫台数に制約がある場合には、制約範囲内で効率的な段取り替え作業を設定することが一層難しくなる。
【0007】
本明細書では、部品装着機で部品を装着する基板を現基板種から次基板種に変更する段取り替えの際に、熟練作業者の勘や経験に頼ることなく、部品供給用の台車に関する優れた段取り替え作業を設定することができる段取り替え作業設定装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、部品を供給する複数のフィーダが入れ替え可能に搭載される台車が交換可能に装備される部品装着機で、前記部品を装着する基板を現基板種から次基板種に変更する段取り替えの際に、前記台車において入れ替えが必要となる前記フィーダの個数を取得するフィーダ数取得部と、前記フィーダ数取得部の取得結果に基づいて、前記部品装着機に装備された前記台車における複数種類の段取り替え作業の優劣を比較する作業比較部と、前記作業比較部の比較結果に基づいて、前記台車に複数種類の前記段取り替え作業のいずれかを設定する作業設定部と、を備える段取り替え作業設定装置を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示する段取り替え作業設定装置では、段取り替えの際に入れ替えが必要となるフィーダの個数を取得し、これに基づいて部品装着機に装備された台車における複数種類の段取り替え作業の優劣を比較し、比較結果に基づいて台車に段取り替え作業のいずれかを設定する。ここで、優劣を比較する評価尺度として、部品装着機の停止時間や他の評価尺度が適宜選択される。したがって、熟練作業者の勘や経験に頼ることなく、部品供給用の台車に関する優れた段取り替え作業が自動的に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の段取り替え作業設定装置が適用される部品装着機の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図2】部品供給用の台車を斜め上方から見下ろした斜視図である。
【
図3】段取り替え作業設定装置に関連する制御の構成を示したブロック図である。
【
図4】段取り替え作業設定装置の動作フローを示した図である。
【
図5】部品装着ラインにおける段取り替え作業の設定例を示した図である。
【
図6】段取り替え作業の設定の応用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.部品装着機1の構成例
まず、実施形態の段取り替え作業設定装置8(
図3参照)が適用される部品装着機1の構成例について、
図1および
図2を参考にして説明する。部品装着機1は、部品を基板Kに装着する装着作業を実施する。部品装着機1は、1台のみで単独に用いられてもよく、複数台が一列に配列されて部品装着ラインが構成されてもよい。
図1の紙面左側から右側に向かう方向が基板Kを搬送するX軸方向、紙面下側(前側)から紙面上側(後側)に向かう方向がY軸方向となる。部品装着機1は、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、部品カメラ5、および制御装置6などが基台9に組み付けられて構成される。
【0012】
基板搬送装置2は、一対のガイドレール21、22、一対のコンベアベルト、および基板クランプ機構などで構成される。コンベアベルトは、基板Kを載置した状態でガイドレール21、22に沿って輪転することにより、基板Kを作業実施位置まで搬入する。基板クランプ機構は、作業実施位置の基板Kを押し上げてクランプし、位置決めする。部品の装着作業が終了すると、基板クランプ機構は基板Kを解放する。続いて、コンベアベルトは、基板Kを搬出する。
【0013】
部品供給装置3は、複数のフィーダ36が入れ替え可能に台車31に搭載されて構成される。台車31は、基台9の前側に交換可能に装備される。なお、2台の台車31が、基台9の前側および後側にそれぞれ装備されてもよい。
図2に示されるように、台車31は、車体32、アーム部材33、およびパレット部材34などで構成される。
図2において、1個のフィーダ36のみが台車31に搭載されている。通常の使用時には、多数のフィーダ36が台車31に搭載されて、幅方向に配列される。
【0014】
車体32は、部品装着機1の幅寸法よりも小さめに形成され、床面に平行して配置される。車体32は、複数の移動用キャスタ321を下側にもつ。車体32の左右の側部に、それぞれ高さ調整部322が設けられる。各高さ調整部322から上方に向けて、取手323が立設される。各高さ調整部322から後向き斜め上方に向けて、それぞれアーム部材33が高さ調整可能に設けられる。両方のアーム部材33の後側の上部に、板状のパレット部材34が水平に架け渡される。パレット部材34の後側に、起立した連結部341が設けられる。
【0015】
パレット部材34の上面には、前後方向に延びる複数のスロット342が幅方向に並んで形成される。フィーダ36は、スロット342の前側から後側に向かって差し込まれ、搭載される。連結部341の各スロット342に対応する位置に、位置決め部およびコネクタが設けられる。位置決め部は、フィーダ36の位置を定めて固定する。コネクタは、フィーダ36に電源供給するとともに、フィーダ36と制御装置6の間の通信路を確保する。
【0016】
図1に示されるように、フィーダ36は、本体部37の前側にリール39が装填される。本体部37の後側寄りの上部に、部品を供給する所定の供給位置38が設定される。リール39には、多数のキャビティにそれぞれ部品を収納したキャリアテープが巻回されている。フィーダ36は、図略のテープ送り機構によりキャリアテープを間欠的に送り、部品を供給位置38にセットする。これにより、フィーダ36は、部品の供給動作を順次行う。
【0017】
フィーダ36は、識別情報が付与されて管理される。識別情報は、バーコードを印刷したラベルなどによって表示される。さらに、フィーダ36の図略の制御部は、識別情報を保持しており、通信を用いて識別情報を送信する機能を有する。また、リール39に収納されている部品種の情報は、バーコードを印刷したラベルがリール39に貼付されて表示される。なお、識別情報や部品種の情報は、上記以外の表示箇所および表示方法によって付与されてもよい。
【0018】
部品移載装置4は、基板搬送装置2や部品供給装置3よりも上方に配設される。部品移載装置4は、部品供給装置3から部品を採取して基板Kに装着する。部品移載装置4は、ヘッド駆動機構40、移動台44、装着ヘッド45、吸着ノズル46、およびマークカメラ47などで構成される。ヘッド駆動機構40は、一対のY軸レール41、42、Y軸スライダ43、および図略の駆動モータを含んで構成される。Y軸レール41、42は、Y軸方向に延び、相互に離隔して平行配置される。X軸方向に長いY軸スライダ43は、両方のY軸レール41、42にまたがって装架され、Y軸方向に移動する。移動台44は、Y軸スライダ43に装架され、X軸方向に移動する。ヘッド駆動機構40は、Y軸スライダ43をY軸方向に駆動するとともに、Y軸スライダ43上の移動台44をX軸方向に駆動する。
【0019】
移動台44は、装着ヘッド45およびマークカメラ47を保持する。装着ヘッド45は、1本または複数本の吸着ノズル46を下側に保持するとともに、ヘッド駆動機構40に駆動されて水平二方向に移動する。吸着ノズル46は、図略の昇降駆動部に駆動されて昇降動作する。吸着ノズル46は、供給位置38の上方から下降し、負圧の供給により部品を吸着採取する吸着動作を行う。また、吸着ノズル46は、基板Kの上方に駆動され、正圧の供給により部品を装着する装着動作を行う。装着ヘッド45や吸着ノズル46は、複数種類あり、自動または手動で交換される。マークカメラ47は、位置決めされた基板Kに付設された位置マークを撮像して、基板Kの正確な作業実施位置を検出する。
【0020】
部品カメラ5は、基板搬送装置2と部品供給装置3との間の基台9の上面に、上向きに設けられる。部品カメラ5は、移動台44が部品供給装置3から基板Kに移動する途中で、吸着ノズル46が吸着している部品を撮像する。部品カメラ5の画像処理部は、取得した画像データを画像処理して部品の有無および正誤を判定し、さらに部品の吸着姿勢を取得する。画像処理の結果は、吸着ノズル46の装着動作に反映される。
【0021】
制御装置6は、基台9に組み付けられており、その配設位置は特に限定されない。制御装置6は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置により構成される。なお、制御装置6は、複数のCPUが機内に分散配置されて構成されてもよい。制御装置6は、ジョブデータ73(
図3参照)にしたがって、部品の装着作業を制御する。ジョブデータ73は、生産する基板製品の種類(基板種)ごとに異なる。ジョブデータ73は、各基板種に装着される部品種の情報を含む。
【0022】
2.部品装着機1および管理コンピュータ7の制御の構成
図3に示されるように、制御装置6は、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、および部品カメラ5を制御する。部品装着機1を制御する上位の制御装置として管理コンピュータ7が設けられる。部品装着機1の制御装置6と管理コンピュータ7の間は、有線または無線で通信接続される。管理コンピュータ7は、装着作業に関する指令を制御装置6に送信する。制御装置6は、装着作業の進捗状況に関する情報を管理コンピュータ7に送信する。なお、管理コンピュータ7は、複数台の部品装着機1および別種の対基板作業機を併せて制御することができる。
【0023】
管理コンピュータ7は、管理に必要となるジョブデータ73などの各種データを記憶する記憶装置71を有する。記憶装置71内のデータは、指令に添付されて制御装置6に転送され、あるいは、制御装置6からのアクセスが可能となっている。
【0024】
管理コンピュータ7は、オペレータによって操作されるバーコードリーダ72を有する。バーコードリーダ72は、フィーダ36に表示されたバーコードを読み取り、フィーダ36の識別情報を取得する。また、バーコードリーダ72は、リール39に表示されたバーコードを読み取り、部品種の情報を取得する。バーコードリーダ72によって取得された情報は、記憶装置71に記憶される。なお、フィーダ36の識別情報および部品種の情報の表示方法がバーコードと相違する場合には、表示方法に対応してバーコードリーダ72以外の装置が用いられる。
【0025】
3.台車31に関する段取り替え作業
次に、台車31に関する段取り替え作業の種類について説明する。台車31に関する段取り替え作業は、装着作業を実施する基板Kを現基板種から次基板種に変更する段取り替えの際に実施される。この段取り替え作業は、次基板種に必要となる部品種を段取りすることが目的となる。段取り替え作業には、1)内段取り作業、2)台車31の交換作業、および、3)混合作業という3種類の選択肢がある。これらの作業の詳細は、以下の説明のとおりである。なお、混合作業は、必須で無く、選択肢から除外されてもよい。
【0026】
1)内段取り作業
作業者は、部品装着機1に装備された台車31において、フィーダ36を入れ替える。作業者は、まず、現基板種に装着されかつ次基板種に装着されない部品種を供給するフィーダ36、すなわち不要になったフィーダ36を台車31から取り外す。作業者は、次に、現基板種に装着されずかつ次基板種に装着される部品種を供給するフィーダ36、すなわち次基板種に必要となるフィーダ36を台車31に搭載する。パレット部材34の1箇所のスロット342においてフィーダ36の入れ替えに要する時間をフィーダ入れ替え時間tfとする。
【0027】
なお、パレット部材34のスロット342の箇所数に余裕がある場合、作業者は、不要になったフィーダ36を取り外さなくてもよい。例えば、現基板種に装着される部品種が次基板種に装着されなくても、次の次の基板種に装着されることが予め判っている場合がある。この場合、作業者は、当該の部品種を供給するフィーダ36を取り外さないことで、次回の段取り替え作業における再搭載の手間が不要になる。なお、当該のフィーダ36は、次基板種の装着作業において遊休状態となる。また、スロット342の箇所数に余裕がある場合、作業者は、次基板種に必要となるフィーダ36を前回の段取り替え作業で予め搭載しておいてもよい。この場合、当該のフィーダ36は、現基板種の装着作業において遊休状態となっている。
【0028】
2)台車31の交換作業
作業者は、部品装着機1に装備された台車31を取り外して、別の台車31を装備する。別の台車31は、次基板種に必要となるフィーダ36が搭載されている必要がある。台車31の交換作業に要する時間を台車交換時間tdとする。多くの場合、台車31の交換作業に先行して外段取り作業が必要となる。
【0029】
外段取り作業で、作業者は、部品装着機1の機外において、次基板種に必要となるフィーダ36を予め台車31に搭載しておく。1個のフィーダ36の搭載に要する時間をフィーダ搭載時間ttとする。搭載に先立ってスロット342から不要なフィーダ36を取り外す場合、フィーダ搭載時間ttは少し長くなる。なお、過去に次基板種の生産実績があり、そのときに使用された台車31が使用可能な状態で保管されていた場合、外段取り作業は不要となる。
【0030】
3)混合作業
作業者は、前述した台車31の交換作業、およびフィーダ使い回し作業の両方を実施する。フィーダ使い回し作業とは、交換作業で取り外される台車31から次基板種に必要となるフィーダ36を取り外して、交換作業で装備される台車31に再搭載する使い回しの作業を言う。1個のフィーダ36のフィーダ使い回し作業に要する時間をフィーダ使い回し時間tuとする。
【0031】
4.実施形態の段取り替え作業設定装置8の機能
実施形態の段取り替え作業設定装置8の機能の説明に移る。段取り替え作業設定装置8は、
図3に示されるように、管理コンピュータ7のソフトウェアにより実現されている。これに限定されず。段取り替え作業設定装置8は、制御装置6に設けられ、あるいは管理コンピュータ7に通信接続された別のコンピュータに設けられてもよい。段取り替え作業設定装置8は、六つの機能部、すなわちフィーダ数取得部81、作業比較部82、作業設定部83、台車数取得部84、作業変更部85、および指令変更部86を備える。
【0032】
段取り替え作業設定装置8は、1台の部品装着機1に装備される1台または2台の台車31や、部品装着ラインに用いられる複数の台車31を対象とする。ここで、使用可能な台車31の在庫台数に十分な余裕があって実質的に制約を受けない場合、台車数取得部84および作業変更部85は省略されてもよい。さらに、指令変更部86が省略されてもよい。
【0033】
フィーダ数取得部81は、現基板種から次基板種に変更する段取り替えの際に、台車31において入れ替えが必要となるフィーダ36の個数nfを取得する。フィーダ数取得部81は、現基板種および次基板種に対応する二つのジョブデータ73を相互に比較し、部品種の相違に基づいて、容易に個数nfを取得することができる。
【0034】
作業比較部82は、フィーダ数取得部81が取得した個数nfに基づいて、部品装着機1に装備された台車31における段取り替え作業の優劣を比較する。優劣を比較する評価尺度として、部品装着機1の停止時間Ts、段取り替え作業の延べ作業時間(Twi、Twc、Twm)、ならびにフィーダ36およびリール39の利用度や制約度、などが用いられる。なお、作業比較部82は、複数の評価尺度を総合的に勘案して優劣を比較することも可能である。
【0035】
内段取り作業における部品装着機1の停止時間Tsは、内段取り作業に要する内段取り時間Tinと一致する。1名の作業者である場合に、内段取り時間Tinは、フィーダ入れ替え時間tfと個数nfが乗算されて求められる。台車31の交換作業における停止時間Tsは、台車交換時間tdに一致する。混合作業における停止時間Tsは、フィーダ使い回し時間tuと使い回すフィーダ36の個数nuが乗算され、さらに台車交換時間tdが加算されて求められる。なお、2名以上の作業者が内段取り作業やフィーダ使い回し作業を並行して実施する場合、停止時間Tsは、上記よりも短縮される。当然ながら、部品装着機1の停止時間Tsは、短いほど優れる。
【0036】
内段取り作業の延べ作業時間Twiは、フィーダ入れ替え時間tfと個数nfが乗算されて求められる。1名の作業者である場合に、延べ作業時間Twiは、停止時間Tsおよび内段取り時間Tinと一致する。台車31の交換作業における延べ作業時間Twcは、台車交換時間tdと外段取り作業の延べ作業時間Twoが加算されて求められる。外段取り作業の延べ作業時間Twoは、フィーダ搭載時間ttと搭載するフィーダ36の個数ntが乗算されて求められる。混合作業における延べ作業時間Twmは、フィーダ使い回し時間tuと使い回すフィーダ36の個数nuが乗算され、さらに台車交換時間tdおよび外段取り作業の延べ作業時間Twoが加算されて求められる。当然ながら、段取り替え作業の延べ作業時間(Twi、Twc、Twm)は、短いほど優れる。
【0037】
フィーダ36およびリール39の利用度とは、フィーダ36やリール39を滞留させずに有効利用できる程度を表す評価尺度である。例えば、現基板種および次基板種に装着される共通部品種が有りながら台車31の交換作業を実施する場合、交換される両方の台車31に共通部品種を供給するフィーダ36が必要となる。つまり、一つの共通部品種に対して複数のフィーダ36およびリール39が段取りされる。
【0038】
この結果、次基板種の生産が終了した時点で、複数のリール39が使いかけになり、さらに、使いかけのリール39が装填された2個のフィーダ36が残る。すると、使いかけのリール39が滞留して長期保管が必要となり、利用度が低下する。リール39の長期保管は、部品の信頼性低下のおそれや、保管費用の増加などの点で好ましくない。また、2個のフィーダ36は、使いかけのリール39を取り外してからでないと他の部品種に転用することができず、利用度が低下する。
【0039】
一方、フィーダ36およびリール39の制約度とは、フィーダ36やリール39の個数の制約を表す評価尺度である。例えば、使用可能なフィーダ36の在庫数が台車31のスロット342の総数よりも少ないと、外段取り作業において、全部のスロット342にフィーダ36を搭載することができない。
【0040】
また例えば、共通部品種の部品を供給するリール39が一つしか無い場合、必然的に、このリール39を装填したフィーダ36を使い回す必要が生じる。さらに、他にリール39の在庫が有っても、使いかけのリール39の滞留を回避したり、フィーダ36の在庫数を確保したりする目的で、リール39およびフィーダ36の使い回しが選択されることも考えられる。このように、フィーダ36およびリール39の利用度や制約度に応じて、台車31に関する優れた段取り替え作業の種類が変化する。
【0041】
作業設定部83は、作業比較部82の比較結果に基づいて、台車31に段取り替え作業のいずれかを設定する。例えば、評価尺度に部品装着機1の停止時間Tsが用いられた場合、作業設定部83は、内段取り時間Tinが台車交換時間td未満の台車31に内段取り作業を設定する。また、作業設定部83は、内段取り時間Tinが台車交換時間td以上の台車31に交換作業を設定する。定性的には、個数nfが或る閾個数よりも小さいときに内段取り作業が設定され、個数nfが閾個数以上のときに台車31の交換作業が設定される。
【0042】
さらに、作業設定部83は、台車31の交換作業を設定した場合に、交換作業で装備する台車31を対象として、外段取り作業を併せて設定する。また、作業設定部83は、フィーダ36およびリール39の利用度や制約度の条件が有る場合に、必要に応じて混合作業を設定する。つまり、作業設定部83は、台車31の交換作業に併せてフィーダ使い回し作業を設定する。
【0043】
台車数取得部84は、部品装着機1に装備されていない使用可能な台車31の在庫台数NSを取得する。例えば、台車数取得部84は、入力画面を表示して作業者に入力操作を要請し、入力された在庫台数NSの情報を取得する。また、識別情報を表すバーコードを台車31に付設し、管理コンピュータ7から台車31の使用状況を管理するようにしてもよい。この態様において、台車数取得部84は、台車31の使用状況に基づき、容易に在庫台数NSを取得することができる。
【0044】
作業変更部85は、作業設定部83によって交換作業が設定された台車31の台数NRが、在庫台数NSを超過しているときに、超過分の台車31に設定されていた交換作業を内段取り作業に変更設定する。つまり、台車31が不足しているときに、作業変更部85は、在庫台数NSの台車31を使い切るように交換作業を設定する。また、作業変更部85は、超過分(=NR-NS)の台車31について、内段取り作業に変更設定する。
【0045】
さらに、作業変更部85は、交換作業が設定された台車31の中で入れ替えるフィーダ36の個数が少ない台車31から順番に変更設定する。これにより、内段取り作業で入れ替えるフィーダ36の個数が最小となり、内段取り作業の延べ作業時間Twiが最小化される。さらには、部品装着機1の停止時間Tsが最短化される。なお、台数NRが在庫台数NS以下であるときに、台車31は不足しておらず、作業変更部85は機能しない。
【0046】
指令変更部86は、作業者からの指令にしたがい、台車31に設定された段取り替え作業の種類を変更する。つまり、作業者は、作業設定部83や作業変更部85が設定した段取り替え作業の方法を後から変更することができる。例えば、作業者は、段取り替え作業設定装置8が用いていない評価尺度を総合的に勘案して、指令を発することができる。これにより、段取り替え作業の種類が柔軟に設定され、臨機応変の対応も可能となる。六つの機能部の各機能については、次の動作の説明の中でも述べる。
【0047】
5.段取り替え作業設定装置8の動作および作用
次に、実施形態の段取り替え作業設定装置8の動作および作用について、
図4~
図6を参考にして説明する。以降の説明を簡明化するために、第1~第4までの4台の部品装着機(11~14)が一列に配列されて部品装着ラインが構成され、8個のフィーダ36が各台車31に搭載される構成を想定する。実際には、さらに多数のフィーダ36が台車31に搭載される。
【0048】
さらに、段取り替え作業を実施する作業者は1名と想定する。また、フィーダ入れ替え時間tfは30秒、フィーダ搭載時間ttは10秒、フィーダ使い回し時間tuは40秒と想定する。また、台車交換時間tdは、70秒と想定する。これらの想定によれば、外段取り作業の延べ作業時間Twoは、Two=tt×nt=10×8=80秒となる。
【0049】
図4に示される段取り替え作業設定装置8の動作フローは、次基板種の生産が開始されるよりも早い時期に実行され、好ましくは、現基板種および次基板種が決定された後に直ちに実行される。換言すると、この動作フローは、段取り替えの際に入れ替えが必要となるフィーダ36の個数nfが判明した後に直ちに実行されることが好ましい。これにより、作業者は、第1~第4部品装着機(11~14)の現基板種の装着作業と並行して外段取り作業を実施し、現基板種の生産が終了する以前に外段取り作業を完了させることができる。
【0050】
したがって、台車31の交換作業が設定された場合に、第1~第4部品装着機(11~14)の停止時間Tsは、台車交換時間tdだけで済む。仮に、動作フローの実行が遅れると、現基板種の生産が終了しても外段取り作業が完了していない事態となる。このとき、直ちに台車31の交換作業を実施することができないので、第1~第4部品装着機(11~14)の停止時間Tsがいたずらに長引く。
【0051】
図4のフィーダ数取得ステップS1で、フィーダ数取得部81は、第1~第4部品装着機(11~14)の各台車(311~314)において、入れ替えが必要となるフィーダ36の個数nfを取得する。
図5の例で、第1部品装着機11の第1台車311には、現基板種に必要な第11~第18フィーダ(F11~F18)が搭載されている。そして、次基板種で必要となるフィーダ36は、第13~第18フィーダ(F13~F18)、第19フィーダF19および第1Aフィーダである。このため、第11フィーダF11および第12フィーダF12を、第19フィーダF19および第1AフィーダF1Aに入れ替える必要がある。したがって、個数nfは2個である。
【0052】
また、第2部品装着機12の第2台車312には、第21~第28フィーダ(F21~F28)が搭載されている。そして、第21~第24フィーダ(F21~F24)を第29~第2Cフィーダ(F29~F2C)に入れ替える必要がある。したがって、個数nfは4個である。第3部品装着機13の第3台車313には、第31~第38フィーダ(F31~F38)が搭載されている。そして、第31~第36フィーダ(F31~F36)を第39~第3Eフィーダ(F39~F3E)に入れ替える必要がある。したがって、個数nfは6個である。第4部品装着機14の第4台車314には、第41~第48フィーダ(F41~F48)が搭載されている。そして、全部のフィーダ36を第49~第4Gフィーダ(F49~F4G)に入れ替える必要がある。したがって、個数nfは8個である。
【0053】
次の作業比較ステップS2で、作業比較部82は、第1~第4部品装着機(11~14)のそれぞれについて、内段取り替え作業と第1~第4台車(311~314)の交換作業との優劣を比較する。評価尺度に第1~第4部品装着機(11~14)の停止時間Tsが用いられる場合、作業比較部82は、第1~第4台車(311~314)のそれぞれについて、内段取り時間Tin1~Tin4を求める。
【0054】
第1台車311の内段取り時間Tin1は、Tin1=tf×nf=30×2=60秒となる。同じ計算式により、第2台車312の内段取り時間Tin2=30×4=120秒となる。また、第3台車313の内段取り時間Tin3=30×6=180秒となる。また、第4台車314の内段取り時間Tin4=30×8=240秒となる。一方、第1~第4台車(311~314)の交換作業は、同一の台車交換時間td(=70秒)を要する。
【0055】
次の作業設定ステップS3で、作業設定部83は、作業比較部82の比較結果に基づいて、内段取り作業または第1~第4台車(311~314)の交換作業を設定する。作業設定部83は、内段取り時間Tin1(=60秒)が台車交換時間td(=70秒)未満の第1台車311に内段取り作業を設定する。具体的に、作業設定部83は、第11フィーダF11を第19フィーダF19と入れ替え、第12フィーダF12を第1AフィーダF1Aと入れ替える内段取り作業を設定する(矢印W1参照)。
【0056】
また、作業設定部83は、内段取り時間(Tin2、Tin3、Tin4)が台車交換時間td以上の第2~第4台車(312~314)に交換作業を設定する(白抜き矢印V2、V3、V4参照)。交換作業が設定された台車31の台数NRは、3台となる。なお、上述した例において、内段取り作業と台車31の交換作業とを分ける閾個数は3個である。
【0057】
さらに、作業設定部83は、交換作業で装備する第5~第7台車(315~317)を対象として、外段取り作業を併せて設定する。具体的に、作業設定部83は、第2台車312を取り外して装備する第5台車315を対象として、外段取り作業を設定する。作業設定部83は、第25~第28フィーダ(F25~F28)と同じ部品種を供給する別の4個の第25R~第28Rフィーダ(F25R~F28R)、および4個の第29~第2Cフィーダ(F29~F2C)を搭載する設定を行う(矢印W2参照)。
【0058】
また、作業設定部83は、第3台車313を取り外して装備する第6台車316の外段取り作業で、第37、38フィーダ(F37、F38)と同じ部品種を供給する別の2個の第37R、38Rフィーダ(F37R、F38R)、および6個の第39~第3Eフィーダ(F39~F3E)を搭載する設定を行う(矢印W3参照)。さらに、作業設定部83は、第4台車314を取り外して装備する第7台車317の外段取り作業で、8個の第49~第4Gフィーダ(F49~F4G)を搭載する設定を行う(矢印W4参照)。
【0059】
次の台車数取得ステップS4で、台車数取得部84は、使用可能な台車31の在庫台数NSを取得する。次の作業変更ステップS5で、作業変更部85は、まず、交換作業が設定された台車31の台数NR(=3台)と在庫台数NSを比較する。在庫台数NSが3台以上であるとき、台車31は不足しておらず、作業変更部85は機能しない。
【0060】
また、在庫台数NSが2台であるとき、作業変更部85は、交換作業が設定された第2~第4台車(312~314)のうちで、入れ替えるフィーダ36の個数が4個と最も少ない第2台車312を内段取り作業に変更設定する。さらに、在庫台数NSが1台であるとき、作業変更部85は、第2~第4台車(312~314)のうちで、入れ替えるフィーダ36の個数が4個および6個と少ない順番にしたがい、第2台車312および第3台車313を内段取り作業に変更設定する。
図5において、在庫台数NSが3台以上のときが示され、第2台車312および第3台車313の内段取り作業は示されていない。
【0061】
次の指令変更ステップS6で、指令変更部86は、作業者からの指令の有無を確認する。例えば、「第2台車312は内段取り作業」の指令が有る場合、指令変更部86は、指令にしたがい、第2台車312の交換作業を内段取り作業に変更設定する。以上の動作により、段取り替え作業設定装置8は、第1~第4台車(311~314)の段取り替え作業の種類を最終的に決定して、作業者に提示する。
【0062】
なお、評価尺度に段取り替え作業の延べ作業時間(Twi、Twc、Twm)が用いられる場合には、上述した説明と異なる設定が行われる。すなわち、作業比較ステップS2で、作業比較部82は、第1~第4台車(311~314)のそれぞれについて、内段取り作業の延べ作業時間(Twi1~Twi4)と、第1~第4台車(311~314)の交換作業における延べ作業時間(Twc1~Twc4)を求める。
【0063】
第1台車311において、内段取り作業の延べ作業時間Twi1=tf×nf=30×2=60(秒)となる。また、第1台車311の交換作業における延べ作業時間Twc1=td+Two=70+80=150秒となる。したがって、作業設定部83は、延べ作業時間Twi1が小さい側の内段取り作業を第1台車311に設定する。
【0064】
第2台車312において、内段取り作業の延べ作業時間Twi2=30×4=120(秒)となる。また、第2台車312の交換作業における延べ作業時間Twc2は、延べ作業時間Twc1に等しい150秒となる。したがって、作業設定部83は、延べ作業時間Twi2が小さい側の内段取り作業を第2台車312に設定する。この設定は、評価尺度に部品装着機1の停止時間Tsが用いられた場合と相違する。
【0065】
第3台車313において、内段取り作業の延べ作業時間Twi3=30×6=180(秒)となる。また、第3台車313の交換作業における延べ作業時間Twc3は、延べ作業時間Twc1に等しい150秒となる。したがって、作業設定部83は、延べ作業時間Twc3が小さい側の交換作業を第3台車313に設定する。また、第4台車314において、内段取り作業の延べ作業時間Twi4==30×8=240(秒)となる。また、第4台車314の交換作業における延べ作業時間Twc4は、延べ作業時間Twc1に等しい150秒となる。したがって、作業設定部83は、延べ作業時間Twc4が小さい側の交換作業を第4台車314に設定する。
【0066】
次に、
図6に示された応用例について説明する。この応用例では、現基板種および次基板種に装着される共通部品種を供給できるリール39が、第2部品装着機12の第28フィーダF28に装填された一つしかない場合を想定する。この場合、必然的に、第28フィーダF28を使い回す必要が生じる。作業設定部83は、第2台車312の交換作業(白抜き矢印V2参照)に併せて第28フィーダF28の使い回し作業(矢印W5参照)を設定する。
【0067】
さらに、作業設定部83は、第28フィーダF28以外の外段取り作業を設定する。すなわち、作業設定部83は、第25~第27フィーダ(F25~F27)と同じ部品種を供給する別の3個の第25R~第27Rフィーダ(F25R~F27R)、および4個の第29~第2Cフィーダ(F29~F2C)を第5台車315に搭載する設定を行う(矢印W6参照)。
【0068】
実際の段取り替え作業において、第5台車315の第28フィーダF28を搭載すべきスロット342は、空いたままとなる。そして、
図6の矢印W5に示されるように、第28フィーダF28は、第2台車312から取り外されて第5台車315に搭載され、使い回される。なお、複数のフィーダ36が使い回されてもよい。
【0069】
実施形態の段取り替え作業設定装置8では、段取り替えの際に入れ替えが必要となるフィーダ36の個数nfを取得し、これに基づいて部品装着機(1、11~14)に装備された台車(31、311~314)における複数種類の段取り替え作業の優劣を比較し、比較結果に基づいて台車(31、311~314)に段取り替え作業のいずれかを設定する。ここで、優劣を比較する評価尺度として、部品装着機(1、11~14)の停止時間Tsや他の評価尺度が適宜選択される。したがって、熟練作業者の勘や経験に頼ることなく、部品供給用の台車(31、311~314)に関する優れた段取り替え作業が自動的に設定される。
【0070】
5.実施形態の応用および変形
なお、フィーダ入れ替え時間tf、フィーダ搭載時間tt、フィーダ使い回し時間tu、および台車交換時間tdの各数値は、説明を簡明化するために想定されたものであり、相違する数値が適用されてもよい。また、或る部品種の調達時期が遅れたときに、作業設定部83は、実施形態と異なる段取り替え作業を設定することができる。つまり、作業設定部83は、当該部品種を供給する特定のフィーダ36を除いた外段取り作業および台車31の交換作業を先行させ、当該部品種が調達された後に、部品装着機1に装備済みの台車31に特定のフィーダ36を搭載する、という段取り替え作業を設定することができる。その他にも、実施形態は、様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1:部品装着機 11~14:第1~第4部品装着機 3:部品供給装置 31:台車 311~317:第1~第7台車 34:パレット部材 342:スロット 36:フィーダ 39:リール 4:部品移載装置 6:制御装置 7:管理コンピュータ 73:ジョブデータ 8:段取り替え作業設定装置 81:フィーダ数取得部 82:作業比較部 83:作業設定部 84:台車数取得部 85:作業変更部 86:指令変更部 K:基板