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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】電動パワーユニット及び作業機
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20221216BHJP
   H01R 13/60 20060101ALI20221216BHJP
   E01C 19/30 20060101ALN20221216BHJP
【FI】
H01R13/52 Z
H01R13/52 302E
H01R13/60
E01C19/30
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021509491
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013263
(87)【国際公開番号】W WO2020196603
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/013833
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】松永 直樹
(72)【発明者】
【氏名】神原 史吉
(72)【発明者】
【氏名】太田 能司
(72)【発明者】
【氏名】村岡 敬介
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3207870(JP,U)
【文献】特開2012-190736(JP,A)
【文献】特開2013-015009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0211910(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R13/56-13/72
E01C19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーユニット本体と、
前記パワーユニット本体を駆動する電装部品と、
前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子と、を備える電動パワーユニットであって、
前記電装部品が脱着可能に設けられる載置部材を備え、
前記接続端子は、前記パワーユニット本体の取付部に対して脱着可能に設けられ
前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材に設けられる、電動パワーユニット。
【請求項2】
前記電装部品から外された前記接続端子を保護可能な保護部材を有する、請求項1に記載の電動パワーユニット。
【請求項3】
前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際に前記接続端子が指向する方向と、前記接続端子が前記取付部に取り付けられた際に前記接続端子が指向する方向と、が同一方向である、請求項1又は2に記載の電動パワーユニット。
【請求項4】
前記接続端子は、前記取付部に脱着可能である脱着部を有し、
前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材の上面に設けられ、
前記脱着部は、前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際、又は前記接続端子が前記取付部に取り付けられた際に、前記接続端子の端子部の突出方向と交差する方向に配置される前記接続端子の側面に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の電動パワーユニット。
【請求項5】
前記載置部材の前記上面は略水平面である、請求項に記載の電動パワーユニット。
【請求項6】
前記載置部材は、前記電装部品の周囲から上方へ突出するように配置される覆い部を有し、
前記取付部は、前記覆い部に設けられる、請求項のいずれか1項に記載の電動パワーユニット。
【請求項7】
前記載置部材は、前記電装部品の周囲から上方へ突出するように配置される覆い部を有し、
前記取付部は、前記覆い部に設けられ、
前記取付部は、前記覆い部の上面に開口する凹溝からなり、
前記凹溝における前記電装部品から遠い側の側方は閉塞され、
前記接続端子の前記脱着部は、前記凹溝に対する抜け止め部を有する突起状に形成される、請求項に記載の電動パワーユニット。
【請求項8】
前記載置部材は、上面に前記覆い部が取り付けられる載置部材本体を有し、
前記凹溝は、前記電装部品に近い側の側方を開放した側方開口部を有し、
前記載置部材本体は、前記凹溝の底部よりも下方に配置されて前記側方開口部に対して平面視で重なる突出部を有し、前記凹溝の前記底部と前記突出部との間によってラビリンス構造を形成する、請求項に記載の電動パワーユニット。
【請求項9】
パワーユニット本体と、
前記パワーユニット本体を駆動する電装部品と、
前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子と、を備える電動パワーユニットであって、
前記接続端子は、前記パワーユニット本体の取付部に対して脱着可能である脱着部を有し、
前記脱着部は、前記接続端子と前記導電経路部材とに跨って設けられる、電動パワーユニット。
【請求項10】
前記電装部品から外された前記接続端子を保護可能な保護部材を有する、請求項に記載の電動パワーユニット。
【請求項11】
前記保護部材で保護された前記接続端子が前記取付部に取り付けられた状態で、前記取付部に対して取り付けられた部位以外の前記接続端子の一部又は前記保護部材の一部が、前記パワーユニット本体の外面に当接している、請求項10に記載の電動パワーユニット。
【請求項12】
前記脱着部は、前記接続端子の側面に連続して設けられる、請求項11のいずれか1項に記載の電動パワーユニット。
【請求項13】
前記接続端子は、前記取付部に対し、磁石によって脱着可能に設けられる、請求項12のいずれか1項に記載の電動パワーユニット。
【請求項14】
パワーユニット本体と、
前記パワーユニット本体を駆動する電装部品と、
前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子と、
前記接続端子を保護可能な保護部材と、を備える電動パワーユニットであって、
前記パワーユニット本体は、前記保護部材及び前記接続端子を脱着可能な共通取付部を有し、
前記共通取付部は、前記接続端子が前記電装部品に接続している時は前記保護部材を取り付け可能であり、前記接続端子が前記電装部品から取り外されている時は当該接続端子を取り付け可能に設けられる、電動パワーユニット。
【請求項15】
前記保護部材は、前記接続端子と連結される連結部材を有する、請求項14に記載の電動パワーユニット。
【請求項16】
前記接続端子における前記連結部材との連結部は、前記接続端子と前記導電経路部材とに跨って設けられる、請求項15に記載の電動パワーユニット。
【請求項17】
前記連結部は、前記接続端子の側面に連続して設けられる、請求項16に記載の電動パワーユニット。
【請求項18】
前記保護部材は、前記接続端子を挿入する挿入口を有すると共に、前記挿入口が重力方向の下向きとなるように前記共通取付部に対して取り付け可能に構成される、請求項14~17のいずれか1項に記載の電動パワーユニット。
【請求項19】
前記接続端子及び前記保護部材は、前記共通取付部に対し、磁石によって脱着可能に設けられる、請求項14~18のいずれか1項に記載の電動パワーユニット。
【請求項20】
電力により駆動される駆動部材と、
前記駆動部材に電力を供給するための電装部品と、を備える作業機であって、
前記駆動部材は、少なくともパワーユニット本体を含むとともに、
前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子と、前記電装部品が脱着可能に設けられる載置部材と、を更に備え、
前記接続端子は、前記パワーユニット本体の取付部に対して脱着可能に設けられ
前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材に設けられる、作業機。
【請求項21】
前記電装部品から外された前記接続端子を保護可能な保護部材を有する、請求項20に記載の作業機。
【請求項22】
前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際に前記接続端子が指向する方向と、前記接続端子が前記取付部に取り付けられた際に前記接続端子が指向する方向と、が同一方向である、請求項20又は21に記載の作業機。
【請求項23】
前記接続端子は、前記取付部に脱着可能である脱着部を有し、
前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材の上面に設けられ、
前記脱着部は、前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際、又は前記接続端子が前記取付部に取り付けられた際に、前記接続端子の端子部の突出方向と交差する方向に配置される前記接続端子の側面に設けられる、請求項20~22のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項24】
前記載置部材の前記上面は略水平面である、請求項23に記載の作業機。
【請求項25】
前記載置部材は、前記電装部品の周囲から上方へ突出するように配置される覆い部を有し、
前記取付部は、前記覆い部に設けられる、請求項2024のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項26】
前記載置部材は、前記電装部品の周囲から上方へ突出するように配置される覆い部を有し、
前記取付部は、前記覆い部に設けられ、
前記取付部は、前記覆い部の上面に開口する凹溝からなり、
前記凹溝における前記電装部品から遠い側の側方は閉塞され、
前記接続端子の前記脱着部は、前記凹溝に対する抜け止め部を有する突起状に形成される、請求項23に記載の作業機。
【請求項27】
前記載置部材は、上面に前記覆い部が取り付けられる載置部材本体を有し、
前記凹溝は、前記電装部品に近い側の側方を開放した側方開口部を有し、
前記載置部材本体は、前記凹溝の底部よりも下方に配置されて前記側方開口部に対して平面視で重なる突出部を有し、前記凹溝の前記底部と前記突出部との間によってラビリンス構造を形成する、請求項26に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーユニット及び作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばプレートコンパクター、ランマー等の地固め装置、草刈り機等の刈払機等の作業機の駆動源として、モータを有する電動パワーユニットを使用するニーズが高まっている。
【0003】
特許文献1には、ハウジング内に、充電バッテリと、充電バッテリから電力供給されるモータと、を備えたアスファルトタンパーが開示されている。充電バッテリは、充電コードの接続によって再充電されるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7682102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、作業機は、埃や塵、雨に晒される環境下で使用されることが多い。このため、電気的接続を行う接続端子を有する電動パワーユニットを作業機に搭載する場合、接続端子が埃や塵、雨によって汚染されることを防止する必要がある。作業機の非使用時等では、接続端子は非接続状態とされて外部に露出するためである。
【0006】
通常、接続端子の汚染防止の目的では、接続端子をキャップ等の保護部材で覆って保護することが考えられる。しかし、保護部材は、接続端子が接続状態のときは取り外されるため、紛失し易い問題がある。更に、接続端子についても、非接続状態にあるときは、保護部材によって保護された状態で電動パワーユニットの外部に突出したままとなるため、電動パワーユニットの搬送時等に外部の物にぶつかって破損等するおそれがある。このため、電動パワーユニットにおいて、接続端子の接続状態における保護部材の所在又は非接続状態の接続端子自体の所在に対し、作業性を向上させるための手当が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、接続端子の接続状態における保護部材の所在又は非接続状態の接続端子自体の所在に対し、作業性を向上させることが可能な電動パワーユニット及び作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の一側面に係る電動パワーユニットは、パワーユニット本体(例えば、後述のパワーユニット本体2、6)と、前記パワーユニット本体を駆動する電装部品(例えば、後述のバッテリ4)と、前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材(例えば、後述のハーネス23)の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子(例えば、後述の接続端子24)と、を備える電動パワーユニット(例えば、後述の電動パワーユニット1、5、7、8)であって、前記接続端子は、前記パワーユニット本体の取付部(例えば、後述の第1の取付部38、第2の取付部28)に対して脱着可能に設けられる。
【0009】
上記(1)によれば、接続端子を電装部品から取り外している間は、接続端子をパワーユニット本体の取付部に取り付けておくことができるため、電動パワーユニット自体又は電動パワーユニットを搭載した作業機の搬送時等に、接続端子が外部の物に誤ってぶつかって破損するおそれを回避することができる。このため、非接続状態における接続端子の所在に対し、作業性を向上させることが可能である。
【0010】
(2) (1)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記電装部品から外された前記接続端子を保護可能な保護部材(例えば、後述のキャップ25)を有してもよい。
【0011】
上記(2)によれば、接続端子を電装部品から取り外した際に、接続端子を保護部材によって保護することができるため、接続端子の破損のおそれを一層回避することができる。
【0012】
(3) (1)又は(2)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記電装部品が脱着可能に設けられる載置部材(例えば、後述のバッテリトレイ3)を備え、前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材に設けられてもよい。
【0013】
上記(3)によれば、電装部品の載置部材に取付部を設けることによって、電装部品から取り外された接続端子を電装部品の近くで保持することができる。これによって、導電経路部材の長さを抑えることができ、電動パワーユニットをコンパクトに構成することができる。
【0014】
(4) (3)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際に前記接続端子が指向する方向(例えば、後述の方向D2)と、前記接続端子が前記第1の取付部に取り付けられた際に前記接続端子が指向する方向(例えば、後述の方向D1)と、が同一方向であってもよい。
【0015】
上記(4)によれば、導電経路部材の長さを抑えることができ、電動パワーユニットをコンパクトに構成することができる。
【0016】
(5) (3)又は(4)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記接続端子は、前記取付部に脱着可能である脱着部(例えば、後述の突起部244)を有し、前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材の上面(例えば、後述の上面31b)に設けられ、前記脱着部は、前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際、又は前記接続端子が前記取付部に取り付けられた際に、前記接続端子の端子部(例えば、後述の端子部241)の突出方向と交差する方向に配置される前記接続端子の側面(例えば、後述の側面240b)に設けられてもよい。
【0017】
上記(5)によれば、接続端子を電装部品から取り外した際に、接続端子をパワーユニット本体に対して横向きに取り付けることができるため、接続端子に保護部材を取り付け忘れても、接続端子内に雨水等が浸入することを抑制できる。
【0018】
(6) (5)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記載置部材の前記上面は略水平面であってもよい。
【0019】
上記(6)によれば、接続端子をパワーユニット本体に対して横向きに取り付けた際に、接続端子に保護部材を取り付け忘れても、接続端子内に雨水等が浸入することをより一層抑制できる。
【0020】
(7) (3)~(6)のいずれかに記載の電動パワーユニットにおいて、前記載置部材は、前記電装部品の周囲から上方へ突出するように配置される覆い部(例えば、後述の化粧カバー31)を有し、前記取付部は、前記覆い部に設けられてもよい。
【0021】
上記(7)によれば、接続端子が電装部品に対して接続された際の接続端子の接続位置と、接続端子が取付部に取り付けられた際の接続端子の取付け位置とを近づけることができる。そのため、導電経路部材の長さをより一層抑えることができ、接続端子を電装部品から取り外した際の電動パワーユニットをよりコンパクトに構成することができる。
【0022】
(8) (7)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記取付部は、前記覆い部の上面(例えば、後述の上面31b)に開口する凹溝(例えば、後述の凹溝381)からなり、前記凹溝における前記電装部品から遠い側の側方は閉塞され、前記接続端子の前記脱着部は、前記凹溝に対する抜け止め部(例えば、突起部244)を有する突起状に形成されてもよい。
【0023】
上記(8)によれば、接続端子を取付部に対して強固に取り付けて保持することができる。取付部は外方から視認されにくいため、電動パワーユニットの意匠性を向上させることができる。
【0024】
(9) (8)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記載置部材は、上面に前記覆い部が取り付けられる載置部材本体(例えば、後述のトレイ本体30)を有し、前記凹溝は、前記電装部品に近い側の側方を開放した側方開口部(例えば、後述の側方開口部381b)を有し、前記載置部材本体は、前記凹溝の底部(例えば、後述の底部381c)よりも下方に配置されて前記側方開口部に対して平面視で重なる突出部(例えば、後述の突出部302)を有し、前記凹溝の前記底部と前記突出部との間によってラビリンス構造を形成してもよい。
【0025】
上記(9)によれば、凹溝への水の浸入時に、ラビリンス構造によって、浸入する水の勢いを弱めることができる。そのため、電動パワーユニット内部の部品への被水影響を緩和することができる。
【0026】
(10) (1)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記接続端子は、前記取付部に脱着可能である脱着部(例えば、後述の連結基部243)を有し、前記脱着部は、前記接続端子と前記導電経路部材とに跨って設けられてもよい。
【0027】
上記(10)によれば、脱着部によって、接続端子と導電経路部材との接続部位を補強することができると共に、脱着部が接続端子の操作性(持ち易さ)に与える影響を少なくすることができる。
【0028】
(11) (10)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記電装部品から外された前記接続端子を保護可能な保護部材(例えば、後述のキャップ25)を有してもよい。
【0029】
上記(11)によれば、接続端子を電装部品から取り外した際に、接続端子を保護部材によって保護することができるため、接続端子の破損のおそれを一層回避することができる。
【0030】
(12) (11)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記保護部材で保護された前記接続端子が前記取付部に取り付けられた状態で、前記取付部に対して取り付けられた部位以外の前記接続端子の一部又は前記保護部材の一部(例えば、キャップ25の金属板253を有する面)が、前記パワーユニット本体の外面(例えば、後述のファンカバー203f)に当接していてもよい。
【0031】
上記(12)によれば、接続端子は、取付部と取付部以外との少なくとも二点で支持されるため、接続端子や取付部に無理な負荷が掛かることがなく、接続端子をパワーユニット本体に対して安定して取り付けることができる。
【0032】
(13) (10)~(12)のいずれかに記載の電動パワーユニットにおいて、前記脱着部は、前記接続端子の側面(例えば、後述の側面240a)に連続して設けられてもよい。
【0033】
上記(13)によれば、接続端子と導電経路部材との接続部位を補強する効果を維持しつつ、脱着部が接続端子の操作性(持ち易さ)に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0034】
(14) (10)~(13)のいずれかに記載の電動パワーユニットにおいて、前記接続端子は、前記取付部に対し、磁石(例えば、後述の磁石281)によって脱着可能に設けられてもよい。
【0035】
上記(14)によれば、接続端子を電動パワーユニットの取付部に対して容易且つ迅速に脱着させることができる。
【0036】
(15) 本発明の他の一側面に係る電動パワーユニットは、パワーユニット本体(例えば、後述のパワーユニット本体2、6)と、前記パワーユニット本体を駆動する電装部品(例えば、後述のバッテリ4)と、前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材(例えば、後述のハーネス23)の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子(例えば、後述の接続端子24)と、前記接続端子を保護可能な保護部材(例えば、後述のキャップ25)と、を備える電動パワーユニット(例えば、後述の電動パワーユニット1、5、7、8)であって、前記保護部材は、前記パワーユニット本体の保護部材取付部(例えば、後述の第2の取付部28)に対して脱着可能に設けられる。
【0037】
上記(15)によれば、接続端子を電装部品から取り外している間は、接続端子を保護部材で保護することで、接続端子の被水、防塵を図ることができると共に、接続端子を電装部品に接続している間は、保護部材をパワーユニット本体の保護部材取付部に取り付けておくことができる。更に、保護部材が保護部材取付部に取り付けられた状態で、電動パワーユニットが搭載された作業機の振動等によって保護部材が揺れて作業者の邪魔になることを防止できる。このため、接続端子の接続状態における保護部材の所在に対し、作業性を向上させることが可能である。
【0038】
(16) (15)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記保護部材は、前記接続端子と連結される連結部材(例えば、後述のケーブル26)を有してもよい。
【0039】
上記(16)によれば、パワーユニット本体の保護部材取付部に取り付けられた保護部材が、誤って脱落して紛失することを防止できる。また、保護部材を、連結部材を利用して接続端子近傍に容易に手繰り寄せることができるため、保護部材を接続端子に取り付ける際の取付け作業性も向上する。
【0040】
(17) (16)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記接続端子における前記連結部材との連結部(例えば、後述の連結基部243)は、前記接続端子と前記導電経路部材とに跨って設けられてもよい。
【0041】
上記(17)によれば、連結部によって、接続端子と導電経路部材との接続部位を補強することができると共に、連結部が接続端子の操作性(持ち易さ)に与える影響を少なくすることができる。
【0042】
(18) (17)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記連結部は、前記接続端子の側面(例えば、後述の側面240a)に連続して設けられてもよい。
【0043】
上記(18)によれば、接続端子と導電経路部材との接続部位を補強する効果を維持しつつ、連結部が接続端子の操作性(持ち易さ)に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0044】
(19) (15)~(18)のいずれかに記載の電動パワーユニットにおいて、前記保護部材は、前記接続端子を挿入する挿入口(例えば、後述の挿入口251)を有すると共に、前記挿入口が重力方向の下向きとなるように前記保護部材取付部に対して取り付け可能に構成されてもよい。
【0045】
上記(19)によれば、保護部材の内部に埃や塵、水等が溜まることがない。
【0046】
(20) (15)~(19)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記保護部材は、前記保護部材取付部に対し、磁石(例えば、後述の磁石281)によって脱着可能に設けられてもよい。
【0047】
上記(20)によれば、保護部材を電動パワーユニットの保護部材取付部に対して容易且つ迅速に脱着させることができる。
【0048】
(21) 本発明の他の一側面に係る電動パワーユニットは、パワーユニット本体(例えば、後述のパワーユニット本体2、6)と、前記パワーユニット本体を駆動する電装部品(例えば、後述のバッテリ4)と、前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材(例えば、後述のハーネス23)の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子(例えば、後述の接続端子24)と、前記接続端子を保護可能な保護部材(例えば、後述のキャップ25)と、を備える電動パワーユニット(例えば、後述の電動パワーユニット1、5、7、8)であって、前記パワーユニット本体は、前記保護部材及び前記接続端子を脱着可能な共通取付部(例えば、後述の第2の取付部28)を有する。
【0049】
上記(21)によれば、パワーユニット本体が共通取付部を有するため、保護部材及び接続部材をパワーユニット本体の共通取付部に取り付けておくことができる。このため、保護部材及び接続端子の所在に対し、作業性を向上させることが可能である。
【0050】
(22) (21)に記載の電動パワーユニットにおいて、前記共通取付部は、前記接続端子が前記電装部品に接続している時は前記保護部材を取り付け可能であり、前記接続端子が前記電装部品から取り外されている時は当該接続端子を取り付け可能に設けられてもよい。
【0051】
上記(22)によれば、接続端子が電装部品に接続している時は、電動パワーユニットが搭載された作業機の振動等によって保護部材が揺れて作業者の邪魔になることを防止できる。また、接続端子が電装部品から取り外されている時は、接続端子が作業者の邪魔になることを防止できる。
【0052】
(23) 本発明の一側面に係る作業機は、電力により駆動される駆動部材(パワーユニット本体2、6、動力伝達機構部102、起振機構部103、105)と、前記駆動部材に電力を供給するための電装部品(例えば、後述のバッテリ4)と、を備える作業機(例えば、後述の作業機100、100A)であって、前記駆動部材は、少なくともパワーユニット本体(例えば、後述のパワーユニット本体2、6)を含むとともに、前記パワーユニット本体から延びる導電経路部材(例えば、後述のハーネス23)の先端に設けられ、前記電装部品に対して接続可能な接続端子(例えば、後述の接続端子24)を更に備え、前記接続端子は、前記パワーユニット本体の取付部(例えば、後述の第1の取付部38)に対して脱着可能に設けられる。
【0053】
上記(23)によれば、接続端子を電装部品から取り外している間は、接続端子をパワーユニット本体の取付部に取り付けておくことができるため、作業機の搬送時等に、接続端子が外部の物に誤ってぶつかって破損するおそれを回避することができる。このため、非接続状態における接続端子の所在に対し、作業性を向上させることが可能である。
【0054】
(24) (23)に記載の作業機において、前記電装部品から外された前記接続端子を保護可能な保護部材(例えば、後述のキャップ25)を有してもよい。
【0055】
上記(24)によれば、接続端子を電装部品から取り外した際に、接続端子を保護部材によって保護することができるため、接続端子の破損のおそれを一層回避することができる。
【0056】
(25) (23)又は(24)に記載の作業機において、前記電装部品が脱着可能に設けられる載置部材を備え、前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材に設けられてもよい。
【0057】
上記(25)によれば、電装部品の載置部材に取付部を設けることによって、電装部品から取り外された接続端子を電装部品の近くで保持することができる。これによって、導電経路部材の長さを抑えることができ、作業機をコンパクトに構成することができる。
【0058】
(26) (25)に記載の作業機において、前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際に前記接続端子が指向する方向と、前記接続端子が前記取付部に取り付けられた際に前記接続端子が指向する方向と、が同一方向であってもよい。
【0059】
上記(26)によれば、導電経路部材の長さを抑えることができ、作業機をコンパクトに構成することができる。
【0060】
(27) (25)又は(26)に記載の作業機において、前記接続端子は、前記取付部に脱着可能である脱着部を有し、前記パワーユニット本体の前記取付部は、前記載置部材の上面に設けられ、前記脱着部は、前記接続端子が前記電装部品に対して接続された際、又は前記接続端子が前記取付部に取り付けられた際に、前記接続端子の端子部の突出方向と交差する方向に配置される前記接続端子の側面に設けられてもよい。
【0061】
上記(27)によれば、接続端子を電装部品から取り外した際に、接続端子をパワーユニット本体に対して横向きに取り付けることができるため、接続端子に保護部材を取り付け忘れても、接続端子内に雨水等が浸入することを抑制できる。
【0062】
(28) (27)に記載の作業機において、前記載置部材の前記上面は略水平面であってもよい。
【0063】
上記(28)によれば、接続端子をパワーユニット本体に対して横向きに取り付けた際に、接続端子に保護部材を取り付け忘れても、接続端子内に雨水等が浸入することをより一層抑制できる。
【0064】
(29) (25)~(28)のいずれかに記載の作業機において、前記載置部材は、前記電装部品の周囲から上方へ突出するように配置される覆い部を有し、前記取付部は、前記覆い部に設けられてもよい。
【0065】
上記(29)によれば、接続端子が電装部品に対して接続された際の接続端子の接続位置と、接続端子が取付部に取り付けられた際の接続端子の取付け位置とを近づけることができる。そのため、導電経路部材の長さをより一層抑えることができ、接続端子を電装部品から取り外した際の作業機をよりコンパクトに構成することができる。
【0066】
(30) (29)に記載の作業機において、前記取付部は、前記覆い部の上面に開口する凹溝からなり、前記凹溝における前記電装部品から遠い側の側方は閉塞され、前記接続端子の前記脱着部は、前記凹溝に対する抜け止め部を有する突起状に形成されてもよい。
【0067】
上記(30)によれば、接続端子を取付部に対して強固に取り付けて保持することができる。取付部は外方から視認されにくいため、作業機の意匠性を向上させることができる。
【0068】
(31) (30)に記載の作業機において、前記載置部材は、上面に前記覆い部が取り付けられる載置部材本体を有し、前記凹溝は、前記電装部品に近い側の側方を開放した側方開口部を有し、前記載置部材本体は、前記凹溝の底部よりも下方に配置されて前記側方開口部に対して平面視で重なる突出部を有し、前記凹溝の前記底部と前記突出部との間によってラビリンス構造を形成してもよい。
【0069】
上記(31)によれば、凹溝への水の浸入時に、ラビリンス構造によって、浸入する水の勢いを弱めることができる。そのため、作業機内部の部品への被水影響を緩和することができる。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、接続端子の接続状態における保護部材の所在又は非接続状態の接続端子自体の所在に対し、作業性を向上させることが可能となる電動パワーユニット及び作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】第1実施形態に係る電動パワーユニットを搭載した作業機の構成例を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電動パワーユニットの正面図である。
図3】第1実施形態に係る電動パワーユニットの背面図である。
図4】第1実施形態に係る電動パワーユニットの右側面図である。
図5】第1実施形態に係る電動パワーユニットの左側面図である。
図6】第1実施形態に係る電動パワーユニットの平面図である。
図7】第1実施形態に係る電動パワーユニットの分解斜視図である。
図8】バッテリ及びバッテリトレイの化粧カバーを取り外した第1実施形態に係る電動パワーユニットを示す斜視図である。
図9図8に示す電動パワーユニットを示す平面図である。
図10】係合部材とトレイ本体との取り付け部位を拡大して示す斜視図である。
図11図10中のA-A線に沿う断面図である。
図12】バッテリトレイ上に設けられる弾性部材を示す正面図である。
図13】バッテリの平面図である。
図14】バッテリの右側面を背面側から見た斜視図である。
図15】バッテリの左側面を背面側から見た斜視図である。
図16】接続端子を示す斜視図である。
図17】バッテリをバッテリトレイに取り付ける方法を説明する説明図である。
図18】バッテリをバッテリトレイに取り付ける方法を説明する説明図である。
図19】バッテリをバッテリトレイに取り付ける方法を説明する説明図である。
図20】キャップを断面で示す斜視図である。
図21】接続端子をキャップで保護した様子を示す第1実施形態に係る電動パワーユニットの斜視図である。
図22】第1実施形態に係る電動パワーユニットの要部を示す斜視図である。
図23】保護部材取付部にキャップを取り付けた状態を示す第1実施形態に係る電動パワーユニットの要部を示す右側面図である。
図24】接続端子をバッテリから取り外した状態を示す第1実施形態に係る電動パワーユニットの要部を示す斜視図である。
図25】接続端子をバッテリから取り外した状態を示す第1実施形態に係る電動パワーユニットの要部を示す右側面である。
図26】第2実施形態に係る電動パワーユニットを搭載した作業機の構成例を示す斜視図である。
図27】接続端子がバッテリに接続された状態を示す第2実施形態に係る電動パワーユニットの斜視図である。
図28図27に示す電動パワーユニットの左側面図である。
図29】第2実施形態に係る電動パワーユニットの要部の分解斜視図である。
図30】接続端子がバッテリから取り外された状態を示す第2実施形態に係る電動パワーユニットの斜視図である。
図31図30に示す電動パワーユニットの左側面図である。
図32】第3実施形態に係る電動パワーユニットの正面図である。
図33】第3実施形態に係る電動パワーユニットの接続端子の正面図である。
図34】第3実施形態に係る電動パワーユニットからバッテリを取り外した状態を示す平面図である。
図35】第3実施形態に係る電動パワーユニットにおける接続端子取付部を示す拡大図である。
図36】第3実施形態に係る電動パワーユニットの接続端子取付部に接続端子を取り付ける様子を示す拡大図である。
図37】第3実施形態に係る電動パワーユニットの接続端子取付部に接続端子を取り付けた状態を示す拡大図である。
図38】第3実施形態に係る電動パワーユニットの接続端子取付部に接続端子を取り付けた状態を示す斜視図である。
図39】第3実施形態に係る電動パワーユニットのバッテリトレイから化粧カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図40】第3実施形態に係る電動パワーユニットのトレイ本体の突出部を示す拡大図である。
図41図34中のB-B線に沿う断面図である。
図42】第4実施形態に係る電動パワーユニットを搭載した作業機の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
[第1実施形態]
<作業機の構成>
まず、電動パワーユニットの第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係る電動パワーユニットを搭載した作業機の構成例を示す斜視図である。本発明において、具体的な作業機は何ら限定されないが、例えば、地固め装置、芝刈り機、耕運機、除雪機等の土木機械や農業機械が挙げられる。本実施形態では、作業機100として、地固め装置の一形態であるプレートコンパクターを例示している。
作業機100は、動力源として電動パワーユニット1を搭載した作業機である。詳しくは、作業機100は、電動パワーユニット1と、作業機構部101と、動力伝達機構部102と、起振機構部103と、ハンドル104と、を備える。
【0073】
電動パワーユニット1は、モータ(図1では図示せず)を有するパワーユニット本体2と、このパワーユニット本体2の上部に設けられるバッテリトレイ3と、このバッテリトレイ3上に載置され、パワーユニット本体2を駆動する駆動源であるバッテリ4と、を有する。この電動パワーユニット1の構成については、後段において更に詳しく説明する。
【0074】
作業機構部101は、主として地面の転圧を行う部位であり、接地部材の一実施形態である。作業機構部101は、地面に接する転圧板101aと、この転圧板101aの上面に配置される基台101bと、を有する。電動パワーユニット1は、基台101bの上面に取り付けられている。
動力伝達機構部102は、パワーユニット本体2が有するモータの回転動力を、ベルト、チェーン等の動力伝達部材(図示せず)を介して起振機構部103に伝達する。
【0075】
起振機構部103は、動力伝達機構部102と動力伝達可能に連結される偏心荷重(図示せず)を有する。起振機構部103は、動力伝達機構部102によって伝達されるモータの回転動力によって偏心荷重を回転させることにより、作業機構部101の転圧板101aを上下に振動させ、地面に対する締め固め力を発生させる。
【0076】
なお、これらパワーユニット本体2、動力伝達機構部102及び起振機構部103は、接地部材を電力によって駆動させるための駆動部材の一実施形態である。
ハンドル104は、作業者が立位状態で把持可能なバー状に構成される。これにより、作業者は、ハンドル104によって作業機100を押しながら、地面の転圧作業を行うことができる。
【0077】
<電動パワーユニットの構成>
次に、電動パワーユニット1の構成について説明する。図2は、第1実施形態に係る電動パワーユニットの正面図である。図3は、第1実施形態に係る電動パワーユニットの背面図である。図4は、第1実施形態に係る電動パワーユニットの右側面図である。図5は、第1実施形態に係る電動パワーユニットの左側面図である。図6は、第1実施形態に係る電動パワーユニットの平面図である。図7は、第1実施形態に係る電動パワーユニットの分解斜視図である。
なお、図7において、各部品を取り付けるためのねじ、ボルト等の締結部材については、図示を省略している。
【0078】
(電動パワーユニットの全体構成)
電動パワーユニット1は、パワーユニット本体2と、バッテリトレイ3と、バッテリ4と、を有する。このパワーユニット本体2は、モータ20と、PDU(Power Delivery Unit)21と、を有する。モータ20は、パワーユニット本体2を作業機構部101の基台101b上に取り付けるためのベース板201上に、出力軸(回転軸)20aを電動パワーユニット1の背面側に向けて取り付けられている。
【0079】
PDU21は、バッテリ4からの電力を、パワーユニット本体2内のモータ20やその他の電気部品に配電制御するためのものである。PDU21は、ベース板201からモータ20の側面及び上面に亘って設けられる支持枠板202に取り付けられている。PDU21は複数の接続部を有し、そのうちの1つの接続部21aに、バッテリ4と電気的に接続してバッテリ4からの電力をPDU21に導入するため接続端子24を有するハーネス23が接続されている。なお、PDU21には、接続端子24及びハーネス23を介して導入された電力をモータ20に供給するためのハーネスや、センサー等の他の電気部品との電気的接続のためのハーネスが接続されるが、図7では、それらのハーネスについての図示を省略している。
【0080】
モータ20の周囲は、前側モータカバー203a、後側モータカバー203b、右側モータカバー203c及び左側モータカバー203dによって覆われている。これらのモータカバー203a~203dは、パワーユニット本体2の側面を覆うハウジングを構成する。PDU21は、左側モータカバー203dと支持枠板202との間に収容されている。また、PDU21に接続されるハーネス23も、前側モータカバー203a及び左側モータカバー203dの内側に収容されている。前側モータカバー203aは、モータ20の前側に配置される冷却ファンのための気体取り込み口203eを有する。気体取り込み口203eは、ファンカバー203fによって覆われている。
【0081】
(バッテリトレイ)
バッテリトレイ3は、バッテリ4を載置してパワーユニット本体2上に取り付けるためのものであり、バッテリ4を載置して固定する載置部材の一実施形態である。本実施形態のバッテリトレイ3は、支持枠板202の上面に取り付けられる載置部材本体としての矩形状のトレイ本体30と、トレイ本体30の外周を取り囲むようにトレイ本体30の上面に取り付けられる覆い部としての矩形枠状の化粧カバー31と、を有する。
【0082】
化粧カバー31は、樹脂製であり、トレイ本体30の上面の周縁部から上方に突出し、バッテリトレイ3に載置されるバッテリ4の下部外周を取り囲むように設けられている。化粧カバー31の上面31bは平坦な略水平面に形成されている。化粧カバー31の前側の外周の一部は、部分的に凹むように形成されることにより、前側モータカバー203a及び左側モータカバー203dの内側と連通するハーネス引出し部31aを構成している。ハーネス引出し部31aは、パワーユニット本体2の前側において、PDU21に対応して正面視で左側に片寄った位置に配置されている。前側モータカバー203a及び左側モータカバー203dの内側に収容されるハーネス23は、このハーネス引出し部31aから、パワーユニット本体2の上方に向けて外側に引き出されている。
【0083】
バッテリトレイ3の構成について、更に、図8図12を参照して詳しく説明する。図8は、バッテリ及びバッテリトレイの化粧カバーを取り外した電動パワーユニットを示す斜視図である。図9は、図8に示す電動パワーユニットを示す平面図である。図10は、係合部材とトレイ本体との取り付け部位を拡大して示す斜視図である。図11は、図10中のA-A線に沿う断面図である。図12は、バッテリトレイ上に設けられる弾性部材を示す正面図である。
【0084】
バッテリトレイ3のトレイ本体30の上面には、左右方向の一方端部(パワーユニット本体2を正面視した場合の右端部)に、保持部32が設けられていると共に、他方端部(パワーユニット本体2を正面視した場合の左端部)に、バックル33が設けられている。このバックル33は、バッテリ4を係合させてバッテリトレイ3に固定する係合部材の一実施形態である。
【0085】
保持部32は、バッテリ4の一方端部を係止してバッテリトレイ3に保持するためのものであり、トレイ本体30の中央に向けて逆L字型に立ち上がるように設けられている。保持部32は、図8に記載のねじやボルト等の締結部材321によって、トレイ本体30に対して脱着可能に取り付けられている。
【0086】
バックル33は、バッテリ4に対して係合してバッテリ4を保持部32と共にバッテリトレイ3に固定するためものであり、トレイ本体30に対して揺動可能に設けられる可動部331と、この可動部331の先端に連続して回動可能に設けられるレバー部332と、を有する。
【0087】
可動部331は、直線状に延びる一対の平行なワイヤ部331a,331aと、ワイヤ部331a,331aの下端部同士を連結する軸部331bと、を有し、断面円形状の金属線材を屈曲することにより形成されている。ワイヤ部331a,331aの先端は、トレイ本体30上に直立した状態において、保持部32に向けて屈曲していると共に、更にその先端が両側に向けて屈曲することにより、レバー部332に対する取付軸部331c,331cを構成している。また、可動部331の軸部331bは、トレイ本体30の上面に突設された一対の引っ掛け爪部34,34によって係止されている。これにより、可動部331は、パワーユニット本体2の左右方向(保持部32に対して近接又は離反する方向)に揺動可能に取り付けられている。
【0088】
レバー部332は、バッテリ4を押圧する押圧部の一実施形態である。レバー部332は、下端部に一対の支持脚332a,332aを有する。この支持脚332a,332aには、可動部331の取付軸部331c,331cが、支持脚332a,332aの内側から外側に向けて貫通するように取り付けられている。これにより、レバー部332は、可動部331の先端において、取付軸部331c,331cを中心にして回動可能に取り付けられている。また、レバー部332は、取付軸部331c,331cの取り付け部位よりも下端側且つワイヤ部331a,331aよりも内側寄り(トレイ本体30寄り)の位置に、一対の支持脚332a,332aに亘る1本の棒軸状の係止軸部332bを有している。
【0089】
図10及び図11に示すように、トレイ本体30に設けられる一対の引っ掛け爪部34,34の間には、軸部331bを中心とした可動部331の揺動時に、摩擦による抵抗を生じさせる抵抗部材35が配置されている。一般に、抵抗部材35は、ゴムや樹脂等の弾性又は可撓性を有する部材により形成され、引っ掛け爪部34,34との間で可動部331の軸部331bをバッテリトレイ3に対して挟みつけるように設けられている。この抵抗部材35により、バッテリトレイ3からバッテリ4が取り外された後のバックル33が作業機100の搬送中などに意図せず揺動することを抑制できるため、作業機100を容易に搬送することができる。また、抵抗部材35の抵抗値(形状、素材)を適宜変更することによって、バックル33が自重によって意図せず倒れ込むようなことがなく、バックル33を任意の揺動角度の位置で仮固定することができる。このため、バッテリトレイ3に対してバッテリ4を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0090】
図8及び図9に示すように、トレイ本体30上の外周には、バッテリ4を適正位置に案内して支持するための適宜数のガイド支持部36が突設されている。ガイド支持部36は、トレイ本体30の上面における各長辺側(正面側及び背面側)にそれぞれ配置されていると共に、トレイ本体30の上面におけるバックル33が配置される短辺側(左側)に、バックル33を挟むようにそれぞれ配置されている。各ガイド支持部36の表面は、トレイ本体30の中央側に向けて傾斜する傾斜面とされている。傾斜面の表面には、ゴム又は樹脂等からなる緩衝材が設けられている。このため、バッテリトレイ3上にバッテリ4が載置された際、バッテリ4は、これらガイド支持部36によって、自然にトレイ本体30の中央の適正位置に案内されると共に下面側から支持される。
【0091】
トレイ本体30は、ガイド支持部36よりもやや内側に、例えばゴムや樹脂等の弾性材からなる複数の弾性部材37が設けられている。弾性部材37は、バッテリトレイ3にバッテリ4が載置された際に、バッテリ4の荷重を受けて弾性変形することにより、バッテリ4を弾性的に支持する。本実施形態の弾性部材37は、図12に示すように、トレイ本体30上に取り付けられる基部37aと、基部37aの上部に突設される複数の突部37bと、を有している。隣り合う突部37b,37bの間は、突部37bと同程度の幅で離間している。各突部37bは、上方に行くに従って先細り状に形成されており、バッテリ4の荷重を受けた際に容易に撓むことができるようになっている。また、弾性部材37の基部37a側は幅広であるため、バッテリ4に対して適度な弾性反発力を作用させることができるようになっている。
【0092】
(バッテリ)
次に、バッテリ4の構成について、更に図13図15を用いて説明する。図13は、一実施形態に係るバッテリの平面図である。図14は、一実施形態に係るバッテリの右側面を背面側から見た斜視図である。図15は、一実施形態に係るバッテリの左側面を背面側から見た斜視図である。
本実施形態のバッテリ4は、略直方体形状を有し、パワーユニット本体2の上部のバッテリトレイ3に対して脱着可能に設けられている。このバッテリ4は、パワーユニット本体2を駆動する電装部品の一実施形態である。
【0093】
バッテリ4には、ハーネス23の先端に設けられる接続端子24を収容して、バッテリ4内のコネクタ部(図示せず)と接続させるための接続部41が、前方に向けて突出するように設けられている。接続部41は、バッテリ4の前側面4aに配置されており、バッテリ4がバッテリトレイ3上に取り付けられた状態で、ハーネス23及び接続端子24が配置される方向(図2における左方向)に、接続端子24が挿入される開口部41aを有している。
【0094】
図14に示すように、バッテリ4の右側面4bの下部に、係止溝部42が設けられている。係止溝部42は、トレイ本体30上の保持部32の先端を受け入れて、バッテリ4を保持部32に係止させる。また、図15に示すように、係止溝部42と相反するバッテリ4の左側面4cから上面4dにかけて、トレイ本体30上のバックル33と係合する被係合部43が設けられている。被係合部43は、バックル33の可動部331の一対のワイヤ部331a,331aを収容可能な一対の第1収容凹部431,431と、この第1収容凹部431,431の上端に連続して、バックル33のレバー部332を収容可能な第2収容凹部432と、を有する。一対の第1収容凹部431,431の間には、バックル33の係止軸部332bを係止可能な軸係止部433が設けられている。第1収容凹部431,431はバッテリ4の左側面4cに設けられ、第2収容凹部432はバッテリ4の左側面4cから上面4dにかけて設けられている。更に、バッテリ4の上面4dには、バッテリ4を運搬する際の手掛け部44が設けられている。
【0095】
(ハーネス及び接続端子)
本実施形態において、パワーユニット本体2とバッテリ4とを電気的に接続するハーネス23は、図7に示すように、パワーユニット本体2の内側に収容されてPDU21の接続部21aと電気的に接続される第1部分230と、パワーユニット本体2から外側に引き出され、バッテリ4に向けて延びる第2部分231と、を有する。ハーネス23は、任意の方向に容易に屈撓可能に構成されている。ハーネス23の途中には、ハーネス23の外周を壁状に包囲するように、樹脂製の密封部232が一体に設けられている。密封部232は、図2に示すように、前側モータカバー203a及び左側モータカバー203dに嵌合するように取り付けられると共に、ハーネス23の第2部分231が、バッテリトレイ3の化粧カバー31に設けられたハーネス引出し部31aを通るように配策される。これにより、ハーネス引出し部31aが密封部232によって密封され、ハーネス23の第2部分231の外表面を伝って埃や塵、雨等の異物がパワーユニット本体2の内部に侵入することが防止される。このハーネス23は、パワーユニット本体2から延びる導電経路部材の一実施形態である。
【0096】
接続端子24は、ハーネス23の第2部分231の先端に接続されている。この接続端子24の構成について図16を用いて説明する。図16は、一実施形態に係る接続端子を示す斜視図である。
接続端子24は、樹脂製の接続端子本体240と、接続端子本体240の先端から突出する端子部241と、を有する。接続端子本体240は、作業者が把持し易いように、ハーネス23よりも十分に幅広に形成されている。端子部241は、バッテリ4の開口部41aを通してバッテリ4内のコネクタ部(図示せず)に対して電気的接続を行う部位である。図2及び図4図6では、接続端子24が、バッテリ4の開口部41aを通して電気的に接続された状態(電動パワーユニット1の使用可能状態)を示している。この状態において、ハーネス23は、バッテリトレイ3のハーネス引出し部31aから上方に延びる第2部分231を、バッテリ4の開口部41aに向けて略直角方向に屈曲させると共に、先端の接続端子24を開口部41a内に挿入し、内部のコネクタ部(図示せず)に対して接続している。
【0097】
このように、本実施形態に示す電動パワーユニット1は、パワーユニット本体2の駆動源であるバッテリ4とパワーユニット本体2との間を、パワーユニット本体2からバッテリ4に向けて延びるハーネス23及び接続端子24を介して電気的に接続するように構成されている。これにより、電動パワーユニット1は、パワーユニット本体2とバッテリ4とをバッテリトレイ3を介さずに直接に電気的接続可能となる。バッテリトレイ3上には、バッテリ4との電気的接続のための端子を設ける必要がないため、バッテリ4の取り付け方向が規制されることがなく、バッテリ4を含む構成部品(例えば、作業機100のハンドル104等)のレイアウト自由度を向上させることができる。また、バッテリ4をバッテリトレイ3に取り付ける際に、端子の破損を危惧する必要がないため、バッテリ4の取り付けも安楽に行うことができる。更に、バッテリトレイ3を介してパワーユニット本体2とバッテリ4とを近接配置することができるため、ハーネス23の短縮化も可能である。
【0098】
(バッテリの取り付け方法)
ここで、本実施形態におけるバッテリ4をバッテリトレイ3に取り付ける方法について、図17図19を用いて説明する。図17図19は、バッテリをバッテリトレイに取り付ける方法を説明する説明図である。
(1)バッテリ4の手掛け部44を持って、係止溝部42を有する側を保持部32側に向け、係止溝部42側がやや斜め下向きとなるような姿勢で、バッテリ4をトレイ本体30上に搬送し、バッテリ4の係止溝部42を保持部32に係止させる。このとき、バックル33は、バッテリ4の搬入の邪魔にならない任意の揺動角度の位置で停止した状態で配置される(図17)。
【0099】
(2)バッテリ4の係止溝部42を保持部32に係止させた後、バッテリ4をトレイ本体30上に載置する。バッテリ4は、複数のガイド支持部36によってトレイ本体30の中央部の所定の載置位置に自然に案内される。このとき、バッテリ4は、弾性部材37がバッテリ4の荷重を受けて適度に弾性変形することにより、トレイ本体30に対して密着固定される。その後、バッテリ4の軸係止部433にバックル33の係止軸部332bを引っ掛けると共に、バックル33のレバー部332をバッテリ4側に回動させ、被係合部43内に収容する(図18)。
【0100】
(3)バックル33のレバー部332をバッテリ4の被係合部43内に収容すると、バックル33の係止軸部332bは、可動部331のワイヤ部331a,331aの弾性によって、バッテリ4の軸係止部433を下方に押圧する。これにより、バッテリ4は、バッテリトレイ3に固定される(図19)。このとき、バッテリ4には、弾性変形した弾性部材37の弾性反発力が作用するため、バッテリ4をガタつくことなく固定することができる。このため、バッテリ4に振動等が加わった際にバッテリ4とバッテリトレイ3とが相対移動することが抑制され、バッテリ4とバッテリトレイ3との間で摩耗が生じることが抑制される。
【0101】
以上のようにしてバッテリ4がバッテリトレイ3に固定された後、図2に示すように、接続端子24がバッテリ4に対して接続されることにより、パワーユニット本体2が駆動可能とされる。即ち、バッテリ4とパワーユニット本体2とは、接続端子24を有するハーネス23によって、直接に電気的接続される。
【0102】
(キャップ)
図7に示すように、接続端子24は、バッテリ4から取り外された際に端子部241を保護可能なキャップ25を有する。このキャップ25について、更に図20及び図21を用いて説明する。図20は、一実施形態に係るキャップを断面で示す斜視図である。図21は、接続端子をキャップで保護した様子を示す電動パワーユニットの斜視図である。
キャップ25は、例えばゴムや樹脂等の弾性又は可撓性を有する材質によって、接続端子24の端子部241に対して被せて覆うように取り付け可能な有底の容器状に形成されている。このキャップ25は、接続端子24を保護する保護部材の一実施形態である。
【0103】
キャップ25は、キャップ本体250と、キャップ本体250の一面に配置され、接続端子24の端子部241を挿入可能な矩形状に開口する挿入口251と、を有する有底容器状に形成されている。接続端子24をバッテリ4から取り外している間は、図21に示すように、接続端子24の端子部241にキャップ25を被せることで、接続端子24の保護、詳しくは、埃や塵、水による汚染や傷付きの防止を図ることが可能である。
【0104】
キャップ25の挿入口251の内周には、全周に亘る凹溝部252が設けられている。凹溝部252は、キャップ25が接続端子24の端子部241に取り付けられた際に、接続端子本体240の外周面の一部又は全周に亘って設けられた突条部242(図16参照)に対して、弾性的に係合するように構成される。これにより、キャップ25は、接続端子24に取り付けられた際に、接続端子24に保持されて容易に外れないように構成されている。
【0105】
キャップ本体250の一側面には、図20に示すように、磁石による吸着が可能な矩形状の金属板253が設けられている。金属板253は、キャップ本体250の側面に設けられた係止縁部254,254によって係止されて、大部分を外部に露出させるようにキャップ本体250に取り付けられている。但し、金属板253の取り付け構造はこれに限定されず、接着剤によってキャップ本体250に接着されてもよいし、ねじ等の締結部材を用いてキャップ本体250に固定されてもよい。また、金属板253は、キャップ本体250の内部に一体に埋設されてもよい。
【0106】
(ケーブル)
キャップ25は、接続端子24と連結されるケーブル26を有する。このケーブル26は、連結部材の一実施形態である。ケーブル26は、例えば、キャップ25を構成する材質と同一の材質又はその他の適宜の材質によって、可撓性を有する紐状に形成され、キャップ本体250と、接続端子24に設けられる連結基部243との間を連結する。これにより、キャップ25は、ケーブル26によって接続端子24に常に連結された状態とされている。このため、接続端子24をバッテリ4から取り外した際には、キャップ25を、ケーブル26を利用して手元に容易に手繰り寄せることができる。これにより、キャップ25を接続端子24へ取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0107】
ここで、接続端子24の連結基部243について更に説明する。図16に示すように、連結基部243は、接続端子24とハーネス23の第2部分231とに跨って設けられている。詳しくは、連結基部243は、接続端子本体240の把持部となる一方の側面240aに連続して、該側面240aから接続端子24との接続部位近傍の第2部分231に亘って延びている。この接続端子本体240の側面240aは、図2に示すように、接続端子24がバッテリ4に接続された状態において、上方を向くように配置される側面である。
【0108】
連結基部243は、接続端子24との接続部位近傍の第2部分231の表面から、接続端子24の一方の側面240aと同じ位置まで側方に張り出した形状を有している。この連結基部243が、接続端子24とハーネス23とに跨って設けられることにより、接続端子24とハーネス23との接続部位が補強されると共に、接続端子24の操作性(持ち易さ)に与える影響を少なくすることができる。また、図2に示すように、接続端子24がバッテリ4に接続された状態において、連結基部243は上側に配置されるため、接続端子24をバッテリ4に接続する際、この連結基部243が上側に配置されることを目印にすることにより、接続端子24の挿入作業を間違いなく行うことができる。更に、本実施形態の連結基部243は、接続端子24の把持部となる一方の側面240aに連続して設けられるため、接続端子24とハーネス23との接続部位を補強する効果を維持しつつ、連結基部243が接続端子24の操作性(持ち易さ)に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0109】
連結基部243は、ケーブル26を連結するためのケーブル取付け孔243aを有する。ケーブル取付け孔243aは、連結基部243の一部が側方に突出した部位に貫通して形成されている。ケーブル26は、キャップ25との連結端と反対端に短円柱状の連結軸261を有しており、この連結軸261が、ケーブル取付け孔243aに対して、正面側から、圧入、熱かしめ、接着、ねじ止め等の手段によって取り付けられている。即ち、ケーブル26を介してキャップ25が接続端子24に連結されるという観点において、連結基部243は、接続端子24におけるケーブル26(連結部材)の連結部の一実施形態を示す。
【0110】
連結基部243には、ケーブル26以外にも、磁石による吸着が可能な金属製のピン27が取り付けられている。本実施形態のピン27は、円板状のピン本体271の一面から取付け突部272が突出している。取付け突部272は、連結基部243に貫通して形成されたピン取付け孔243bに対して、背面側から、圧入、接着、ねじ止め等の手段によって取り付けられている。
【0111】
(取付部)
本実施形態のキャップ25は、パワーユニット本体2の第2の取付部28に脱着可能に構成されている。この第2の取付部28について、図22及び図23を用いて更に説明する。図22は、電動パワーユニットの要部を示す斜視図である。図23は、取付部にキャップを取り付けた状態を示す電動パワーユニットの要部を示す右側面図である。
本実施形態の第2の取付部28は、パワーユニット本体2の前側モータカバー203aの上端のほぼ中央部に設けられている。第2の取付部28は、前側モータカバー203aの外表面から所定の突出量で突出して設けられるゴム又は樹脂製のカバー部材280の内部に、磁石281が収容されることにより構成されている。第2の取付部28の先端面28aは、矩形状の平坦面となっている。この先端面28aの面積は、キャップ25に設けられる金属板253の面積(キャップ25の外部に露出している部分の面積)にほぼ等しい。また、第2の取付部28の先端面28aは、係止縁部254,254間の面積にも等しく設けられているため、先端面28aを各係止縁部254,254の内面に当接するように設けることができ、キャップ25の脱落を一層防止できる。
【0112】
キャップ25は、第2の取付部28に対して金属板253を有する面を当接させることにより磁力吸着され、第2の取付部28に取り付けられる。したがって、第2の取付部28は、保護部材であるキャップ25を取り付けるという観点において、保護部材取付部でもあるということができる。これにより、図2及び図23に示すように、接続端子24をバッテリ4に接続している間は、キャップ25をパワーユニット本体2の第2の取付部28に取り付けておくで、キャップ25の紛失を防止することができる。しかも、電動パワーユニット1が搭載された作業機100の振動等によってキャップ25が揺れて、作業者の邪魔になることも防止できる。このため、本実施形態の電動パワーユニット1及びこれを搭載した作業機100は、接続端子24の接続状態におけるキャップ25の所在に対し、作業性を向上させることが可能である。
【0113】
本実施形態の第2の取付部28は、磁石281によりキャップ25を吸着するため、キャップ25を容易且つ迅速に脱着させることができる。第2の取付部28に取り付けられたキャップ25は、磁石281の吸着力に抗して引き離すことにより、第2の取付部28から容易に取り外すことが可能である。また、本実施形態のキャップ25は、ケーブル26によって接続端子24に連結されているため、キャップ25が第2の取付部28から誤って脱落した場合にも、キャップ25の紛失を防止することができる。
【0114】
なお、図2及び図23に示すように、キャップ25は、挿入口251が重力方向の下向きとなるように第2の取付部28に取り付け可能に構成されている。即ち、図2に示すように、接続端子24がバッテリ4に接続された状態において、ケーブル26は、キャップ25を下向きにして第2の取付部28に取り付け可能となる必要十分な長さに設定されている。このようにキャップ25が下向きに第2の取付部28に取り付けられることにより、キャップ25内に、埃や塵、水等が溜まることがなく、キャップ25を接続端子24に取り付けた際に、端子部241を汚染するおそれがない。
【0115】
(接続端子にキャップが取り付けられた状態について)
図24及び図25を用いて、接続端子24にキャップ25を取り付けた場合について更に説明する。図24は、接続端子をバッテリから取り外した状態を示す電動パワーユニットの要部を示す斜視図である。図25は、接続端子をバッテリから取り外した状態を示す電動パワーユニットの要部を示す右側面である。
本実施形態の接続端子24は、バッテリ4から取り外した状態において、パワーユニット本体2の第2の取付部28に対して脱着可能とされる。したがって、この第2の取付部28は、接続端子24とキャップ25との両方を共通に脱着可能に取り付けることができるという観点において、共通取付部であるということもできる。
【0116】
図24及び図25に示すように、本実施形態の接続端子24には、バッテリ4から取り外されている間、端子部241を保護するためのキャップ25が取り付けられる。接続端子24は、キャップ25が取り付けられた状態で、パワーユニット本体2の第2の取付部28に脱着可能に取り付けられる。詳しくは、図16に示したように、接続端子24の連結基部243に、金属製のピン27が取り付けられている。バッテリ4から取り外された接続端子24は、図24に示すように、ハーネス23を第2部分231の可撓性を利用して下方に屈曲させることにより、ピン27を第2の取付部28に当接させている。第2の取付部28は、内部の磁石281によってピン27を吸着することにより、接続端子24を保持する。
【0117】
このように、接続端子24をバッテリ4から取り外している間は、接続端子24をパワーユニット本体2の第2の取付部28に取り付けておくことができるため、電動パワーユニット1自体又は電動パワーユニット1を搭載した作業機100の搬送時等に、接続端子24が外部の物に誤ってて破損等するおそれを回避することができる。このため、非接続状態における接続端子24の所在に対し、作業性を向上させることが可能である。また、第2の取付部28に磁力吸着された接続端子24は、磁石281の吸着力に抗して第2の取付部28から引き離すことにより、容易に取り外すことが可能である。
【0118】
なお、第2の取付部28に磁力吸着される接続端子24のピン27は、図16に示したように、接続端子24の連結基部243に設けられている。従って、接続端子24を第2の取付部28に脱着可能に取り付けるという観点において、連結基部243は、第2の取付部28に対する接続端子24の第2の脱着部の一実施形態を示す。
【0119】
連結基部243は、前述したように、接続端子24とハーネス23とに跨って設けられているため、接続端子24とハーネス23との接続部位が補強されると共に、接続端子24の操作性(持ち易さ)に与える影響を少なくすることができる。また、本実施形態の連結基部243は、接続端子24の把持部となる一方の側面240aに連続して設けられているため、接続端子24とハーネス23との接続部位を補強する効果を維持しつつ、連結基部243が接続端子24の操作性(持ち易さ)に与える影響を最小限に抑えることができる。更に、本実施形態の第2の取付部28は、磁石281により接続端子24を吸着するため、バッテリ4から取り外された接続端子24を容易且つ迅速に脱着させることができる。
【0120】
図25に示すように、キャップ25で保護された接続端子24が第2の取付部28に取り付けられた状態において、キャップ25の一部は、パワーユニット本体2の外面に当接している。詳しくは、キャップ25の金属板253を有する面が、前側モータカバー203aに取り付けられたファンカバー203fの外表面に当接している。このとき、接続端子24のピン27と第2の取付部28とは、ピン27の表面が第2の取付部28の先端面28aに対して傾くことなく、正常に面接触して取り付けられている。換言すれば、第2の取付部28がパワーユニット本体2の前方に向けて突出する高さは、第2の取付部28の先端面28aに接続端子24のピン27が正常に面接触して取り付けられた状態で、キャップ25の金属板253を有する面がファンカバー203fの外表面に当接し得るような高さに設定される。これにより、接続端子24は、第2の取付部28と第2の取付部28以外の部位(本実施形態ではキャップ25とファンカバー203fとの当接部位)との少なくとも二点で支持されるため、接続端子24や第2の取付部28に無理な負荷を掛かることがなく、非接続状態の接続端子24をパワーユニット本体2に対して安定して取り付けることができる。
【0121】
第2の取付部28以外の部位は、キャップ25に設けられなくてもよく、ピン27以外の接続端子24の一部であってもよい。例えば、接続端子本体240の一側面が、前側モータカバー203a又はファンカバー203fの外表面に当接するように構成されてもよい。しかし、本実施形態のように、第2の取付部28以外の部位をキャップ25に設けることにより、接続端子24を支持する二点間の距離を可及的に離すことができるため、第2の取付部28に対する接続端子24の取付け状態をより安定化させることができる。
【0122】
なお、本実施形態では、図25に示すように、第2の取付部28の突出高さを、ファンカバー203fと同じ突出高さとすることにより、第2の取付部28の先端面28aとファンカバー203fの先端面(キャップ25の当接部位)とが、同一面上に配置されるように構成している。これは、接続端子24のピン27の表面と、接続端子24に取り付けられたキャップ25の金属板263を有する面とが、同一面上に配置されているためである。このように、第2の取付部28の突出高さ(先端面28aの位置)を適宜調整することにより、第2の取付部28に取り付けられた接続端子24を二点で安定して支持することができる。
【0123】
[第2実施形態]
<作業機の構成>
電動パワーユニットの第2実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図26は、第2実施形態に係る電動パワーユニットを搭載した作業機の構成例を示す斜視図である。本実施形態では、作業機100Aとして、地固め装置の一形態であるランマーを例示している。
作業機100Aは、動力源として電動パワーユニット5を搭載した作業機である。詳しくは、作業機100Aは、電動パワーユニット5と、起振機構部105と、作業機構部106と、ハンドル107と、を備える。
【0124】
電動パワーユニット5は、第1実施形態に示した電動パワーユニット1と同様に、モータ20を有するパワーユニット本体6と、このパワーユニット本体6を駆動する駆動源であるバッテリ4と、を有する。この電動パワーユニット5の構成については、後段において更に詳しく説明する。
【0125】
起振機構部105は、モータ20と動力伝達可能に連結されるクランク(図示せず)を有する。起振機構部105は、モータ20の回転動力をクランクによって上下動に変換し、作業機構部106に伝達する。
作業機構部106は、主として地面の締め固めを行う部位であり、接地部材の一実施形態である。作業機構部106は、上下に伸縮可能な脚部106aと、この脚部106aの下端部に設けられて地面に接する転圧板106bと、を有する。脚部106aは、起振機構部105によって上下動し、そのときの反動で作業機100A自体を跳ね上げる。作業機100Aは、落下時の衝撃を転圧板106bによって地面に作用させることで、地面に対する締め固め力を発生させる。
なお、これらパワーユニット本体6及び起振機構部105は、接地部材を電力により駆動させるための駆動部材の一実施形態である。
【0126】
ハンドル107は、起振機構部105に取り付けられ、作業者が立位状態で把持可能なバー状に構成される。本実施形態のハンドル107は、主ハンドル107aと、上部ハンドル107bと、一対の側部ハンドル107c,107cと、で構成される。主ハンドル107aは、ブラケット108,108によって、図27図30に示す振動抑制部材(弾性部材)109を介して、起振機構部105の両側面に取り付けられ、作業機100Aの上部に設けられるパワーユニット本体6の周囲を略矩形状に取り囲むように配置されている。上部ハンドル107bは、主ハンドル107aにおけるパワーユニット本体6の左右に配置される部位から立ち上がり、主ハンドル107aを左右に亘ってつなげるように延びている。上部ハンドル107bは、バッテリ4のすぐ背面側に配置されている。側部ハンドル107c,107cは、主ハンドル107aにおけるパワーユニット本体6の左右に配置される部位からそれぞれ下向きに延びると共に、起振機構部105側にL型に屈曲し、ブラケット108,108によって起振機構部105に取り付けられている。
【0127】
<電動パワーユニットの構成>
次に、第2実施形態に係る電動パワーユニット5の構成について説明する。図27は、接続端子がバッテリに接続された状態を示す第2実施形態に係る電動パワーユニットの斜視図である。図28は、図27に示す電動パワーユニットの左側面図である。図29は、第2実施形態に係る電動パワーユニットの要部の分解斜視図である。図30は、接続端子がバッテリから取り外された状態を示す第2実施形態に係る電動パワーユニットの斜視図である。図31は、図30に示す電動パワーユニットの左側面図である。
なお、第2実施形態に係る電動パワーユニット5において、第1実施形態に係る電動パワーユニット1と同一符号の部位は同一構成の部位を示すため、それらの詳細な説明については第1実施形態に係る電動パワーユニット1についての説明を援用し、以下の説明では省略する。また、図29において、各部品を取り付けるためのねじ、ボルト等の締結部材については、図示を省略している。
【0128】
電動パワーユニット5は、パワーユニット本体6と、バッテリトレイ3と、バッテリ4と、モータ20と、を有する。本実施形態のモータ20の配置構成は、第1実施形態の電動パワーユニット1のモータ20の配置構成と異なり、パワーユニット本体6から離れて配置されている。即ち、本実施形態のモータ20は、図示しない出力軸(回転軸)を起振機構部105のクランク(図示せず)に連結させ、作業機100Aの起振機構部105の正面側に取り付けられている。
更に、パワーユニット本体6は、PDU(Power Delivery Unit)21と、PDUケース60と、を有する。
【0129】
PDUケース60は、上面が開口する矩形容器状に形成され、内部にPDU21を収容している。PDU21を収容したPDUケース60は、天板61により被蓋されると共に、主ハンドル107a上に取り付けられた適宜数の支持脚62を介して、主ハンドル107aの内側に吊り下げ状に取り付けられている。バッテリトレイ3は、天板61上に載置されている。
【0130】
PDU21は、図26に示すように、メインハーネス53によってモータ20と電気的に接続されている。また、図27に示すように、バッテリ4との接続部である接続端子24を有するハーネス23は、PDUケース60内でPDU21に電気的に接続されると共に、バッテリトレイ3に設けられたハーネス引出し部31aを挿通して、PDUケース60内から外部に引き出され、バッテリ4に向けて延びている。
【0131】
本実施形態において、接続端子24及びキャップ25を脱着可能な第2の取付部28は、パワーユニット本体6におけるPDUケース60の前面60aに設けられている。これにより、図27及び図28に示すように、接続端子24がバッテリ4と接続されている間は、キャップ25をPDUケース60の前面60aの第2の取付部28に取り付けておくことができる。一方、図30及び図31に示すように、接続端子24がバッテリ4から取り外されている間は、接続端子24にキャップ25を取り付けた状態で、接続端子24をPDUケース60の前面60aの第2の取付部28に取り付けておくことができる。このため、本実施形態の電動パワーユニット5及びこの電動パワーユニット5を搭載した作業機100Aによれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0132】
なお、第2実施形態に係る作業機100Aは、図30及び図31に示すように、キャップ25を取り付けた接続端子24を、接続端子24のピン27の一点のみで第2の取付部28に支持されているが、第1実施形態に係る作業機100と同様に、接続端子24を第2の取付部28以外の部位でも支持可能となるように、PDUケース60の前面60a等に、接続端子24自体又は接続端子24に取り付けられたキャップ25を支持するための支持専用部品を設けるようにしてもよい。
【0133】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る電動パワーユニット7の構成について、図面を参照して説明する。第3実施形態に係る電動パワーユニット7において、第1実施形態に係る電動パワーユニット1と同一符号の部位は同一構成の部位を示すため、それらの詳細な説明については第1実施形態に係る電動パワーユニット1についての説明を援用し、以下の説明では省略する。図32は、接続端子がバッテリに接続された状態を示す第3実施形態に係る電動パワーユニットの正面図である。図33は、第3実施形態に係る電動パワーユニットの接続端子の正面図である。
【0134】
第3実施形態に係る電動パワーユニット7は、第1実施形態に係る電動パワーユニット1に対して、バッテリ4から取り外された接続端子24をパワーユニット本体2に脱着可能に取り付けるための構成が相違している。詳しくは、電動パワーユニット7における接続端子24は突起部244を有し、電動パワーユニット7は、接続端子24の脱着部244を係合させて接続端子24を脱着可能に取り付ける取付部である第1の取付部38を有する。
【0135】
突起部244は、接続端子24を第1の取付部38に脱着可能に取り付ける第1の脱着部の一実施形態である。突起部244は、接続端子本体240において相反して配置される2つの側面240a,240bのうちの他方の側面240bに設けられている。この側面240bは、図32に示すように、接続端子24がバッテリ4の開口部41aを通して接続部41に接続されたときに、その接続方向と交差する方向に配置される側面である。具体的には、側面240bは、接続端子24がバッテリ4の接続部41に接続されたときに、パワーユニット本体2が配置される下方を向いて配置される面であり、後述の第1の取付部38が設けられるバッテリトレイ3の上面31bに対向して配置される面である。突起部244は、図32に示すように、接続端子24がバッテリ4の接続部41に接続された際に、開口部41aの外側に配置されるように側面241bに設けられ、且つ、図33に示すように、接続端子24の端子部241にキャップ25が取り付けられた際に、キャップ25と干渉しない位置に配置されるように側面240bに設けられる。
【0136】
突起部244は、樹脂製であり、側面240bから略円柱状に突出している。図33に示すように、突起部244は、部分的に小径な小径部244aと、小径部244aの先端側に隣接する大径部244bと、を有する。大径部244bは、突起部244において、小径部244aよりも径方向の外側に膨出する膨出部を構成する。この大径部244bは、突起部244が後述の第1の取付部38に取り付けられた際に、突起部244が第1の取付部38から容易に抜け外れることのないように抜け止めする抜け止め部を構成する。
【0137】
次に、電動パワーユニット7の第1の取付部38について、図34図38を参照して説明する。図34は、電動パワーユニット7からバッテリ4を取り外した状態を示す平面図である。図35は、電動パワーユニット7における接続端子取付部を示す拡大図である。図36は、電動パワーユニット7の接続端子取付部に接続端子24を取り付ける様子を示す拡大図である。図37は、電動パワーユニット7の接続端子取付部に接続端子24を取り付けた状態を示す拡大図である。図38は、電動パワーユニット7の接続端子取付部に接続端子24を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0138】
接続端子24を脱着可能に取り付ける第1の取付部38は、パワーユニット本体2の上面に配置されるバッテリトレイ3の化粧カバー31に配置される。詳しくは、第1の取付部38は、ハーネス引出し部31aが配置される部位と同じパワーユニット本体2の前面側の化粧カバー31の上面31bに配置される。さらに詳しくは、第1の取付部38は、図36に示すように、接続端子24のハーネス23の第2部分231をパワーユニット本体2の前面側の化粧カバー31の上面31bに沿うように横向きに折り曲げた際に、接続端子24の突起部244と対向し得るように配置される。
【0139】
第1の取付部38は、図35に示すように、化粧カバー31の略水平面からなる上面31bに上方開口部381aを有する凹溝381からなる。凹溝381は、化粧カバー31の略垂直面からなる内周面31cの一部を切り欠いて形成されている。凹溝381において、化粧カバー31の内周面31c側の側方、すなわち、バッテリトレイ3に載置されるバッテリ4に近い側の側方は、載置されたバッテリ4に向けて開放された側方開口部381bを有する。凹溝381において、載置されたバッテリ4から遠い側の側方(側面)は閉塞されている。上方開口部381aから底部381cまでの凹溝381の深さは、突起部244が接続端子24の側面240bから突出する高さにほぼ等しい。
【0140】
化粧カバー31の内側から凹溝381を見たときの凹溝381の幅、すなわち、側方開口部381bの幅は、上方開口部381a側では小さく、底部381c側では大きい。詳しくは、凹溝381は、図35に示すように、上方開口部381a側の側方開口部381bの幅を部分的に狭めるように対向して突出する一対の突部381d,381dを有する。一対の突部381d,381dの間隔Y1は、接続端子24の突起部244の小径部244aの外径に等しいか、わずかに小さい。凹溝381の上方開口部381aの内径Y2は、突起部244の大径部244bの外径Y3よりも小さく、小径部244aの外径よりもやや大きく形成されている。これに対して、底部381c側の側方開口部381bの幅Y4は、接続端子24の突起部244の大径部244bの外径Y3に等しいか、わずかに大きい。
【0141】
この突起部244及び第1の取付部38を有する電動パワーユニット7において、接続端子24は、第1の取付部38に対して次のようにして取り付けられる。まず、バッテリ4との接続が解除された接続端子24は、図36に示すように、突起部244を凹溝381からなる第1の取付部38に近接するように、つまり、接続端子24のハーネス23の第2部分231をパワーユニット本体2の前面側の化粧カバー31の上面31bに沿うように、横向きに折り曲げられる。その後、接続端子24が化粧カバー31の内側から凹溝381の側方開口部381bに向けて押し付けられると、突起部244は、図37に示すように、凹溝381に弾性的に嵌合して凹溝381内に収容される。これによって、接続端子24は、図38に示すように、第1の取付部38に取り付けられる。
【0142】
凹溝381の上方開口部381aの内径Y2は、突起部244の大径部244bの外径Y3よりも小さいため、凹溝381内に収容された突起部244は、上方に抜け外れることはなく、また、凹溝381の一対の突部381d,381dの間隔Y1は、突起部244の小径部244aの外径に等しいか、わずかに小さいため、接続端子24の取付け状態は強固に維持される。凹溝381の前面(載置されたバッテリ4から遠い側の側面)側は閉塞されているため、バッテリ4がバッテリトレイ3に載置された際及びバッテリトレイ3から取り外された際のいずれにおいても、第1の取付部38は外方から視認されにくい。そのため、電動パワーユニット7の意匠性を向上させることができる。
【0143】
第1の取付部38は、バッテリトレイ3に設けられるため、バッテリ4から取り外された接続端子24をバッテリ4の近くで保持することができる。これによって、ハーネス23の長さを抑えることができ、電動パワーユニット7をコンパクトに構成することができる。さらに、第1の取付部38は、バッテリトレイ3の上面31bに設けられ、接続端子24の突起部244は、接続端子24の側面240bに設けられるため、第1の取付部38に対して接続端子24を横向きに取り付けることができる。そのため、接続端子24の端子部241にキャップ25を取り付け忘れたとしても、端子部241は横向きに配置され、接続端子24内への雨水等の浸入を抑制することができる。さらに、バッテリトレイ3の上面31bは略水平面であるため、接続端子24内への雨水等の浸入をより一層抑制することができる。
【0144】
第1の取付部38は、バッテリトレイ3においてバッテリ4の周囲から上方へ突出するように配置される化粧カバー31に設けられているため、第1の取付部38に対する接続端子24の取付け位置と、バッテリ4に対する接続端子24の接続位置とを近づけることができる。これによって、ハーネス23の長さを必要最小限にすることができ、電動パワーユニット7をより一層コンパクトに構成することができる。
【0145】
図37及び図38に示すように、接続端子24が第1の取付部38に取り付けられた際に接続端子24が指向する方向D1は、図32に示すように、接続端子24がバッテリ4に対して接続された際に接続端子24が指向する方向D2と同一の方向である。接続端子24が指向する方向D1は、接続端子本体240に対して端子部241が突出する方向である。本実施形態において、この方向D1は、方向D2に対して略平行な方向であり、バッテリ4の載置面であるバッテリトレイ3の上面に対しても略平行な方向である。これによって、バッテリ4から取り外された接続端子24を、姿勢を大きく変更する必要なく、第1の取付部38に対して取り付けることができる。そのため、ハーネス23の長さをさらに短くすることができる。バッテリ4から取り外された接続端子24を第1の取付部38に取り付ける際の移動距離は最小限の移動距離で済むため、接続端子24を第1の取付部38に取り付ける際の作業時間も短縮される。
【0146】
図39は、電動パワーユニット7のバッテリトレイ3から化粧カバー31を取り外した状態を示す斜視図である。図40は、電動パワーユニット7のトレイ本体30の突出部を示す拡大図である。図41は、図34中のB-B線に沿う断面図である。図39において、バッテリ4は取り外されている。接続端子24及びハーネス23の図示は省略されている。
【0147】
図39に示すように、バッテリトレイ3のトレイ本体30は、外周縁から上方に向けて突出する突壁部301を有する。突壁部301は、化粧カバー31によって覆われる又は化粧カバー31の内周縁に近接して配置される部位であり、バッテリ4の前方側(ハーネス引出し部31aが配置される側)及び後方側の下部にそれぞれ沿うように立設されている。
【0148】
突壁部301の前側面301bには、突出部302が設けられている。突出部302は、正面視で矩形状に形成され、突壁部301の前側面301bから前方に僅かに突出している。突出部302が設けられる前側面301bの部位は、図34に示すように、化粧カバー31に設けられる第1の取付部38の位置に対応している。
【0149】
突出部302は、図40に示すように、突壁部301の前側面301bから前方に矩形状に突出する突出面302aを有する。突出面302aは、突壁部301の前側面301bのほぼ全高に亘って設けられている。したがって、突出部302の上面302bと突壁部301の上面301aとは同一面である。突出面302aは、図41に示すように、化粧カバー31に設けられた凹溝381の底部381cの内端部381eの位置よりもわずかに前方側(図41における左側)に配置されている。
【0150】
突出部302の上部には、突出面302aに対して前方及び上方から凹むように設けられた凹部303が設けられている。凹部303は、図40及び図41に示すように、突壁部301の前側面301bに対して同一面となるように平行に配置される第1側面303aと、突壁部301の上面301aに対して平行に配置される第2側面303bと、を有する。第1側面303aの上端は、突壁部301の上面301aに接続される。第2側面303bは、第1側面303aに対して略直交し、第1側面303aの下端と突出面302aの上端とに亘って設けられている。これによって、突出部302が配置された突壁部301は、凹部303の第1側面303a、第2側面303b及び突出面302aによって階段状に形成される。
【0151】
図41に示すように、化粧カバー31に設けられた凹溝381の底部381cは、凹部303の第2側面303bよりもわずかに上方に配置されるとともに、突出部302の突出面302aよりも凹部303内に入り込んで、第1側面303aに近接している。凹部303の第1側面303aは、凹溝381の底部381cよりもわずかに上方に突出し、凹溝381の側方開口部381bの下部を内側から覆っている。したがって、突出部302は、凹溝381の底部381cよりも下方、且つ、底部381cの内端部381eよりもわずかに前方に配置される。そのため、凹溝381を平面視したときに、突出部302(より詳細には、第2側面303b)は、凹溝381の底部381cと重なるように配置される。
【0152】
これによって、化粧カバー31における第1の取付部38とトレイ本体30の突壁部301との間には、図41に示すように、階段状のわずかな隙間Sが形成される。詳しくは、隙間Sは、凹溝381の側方開口部381bと凹部303の第1側面303aとの間、凹溝381の底部381cの内端部381eと凹部303の第1側面303aとの間、凹溝381の底部裏面381fと凹部303の第2側面303bとの間によって形成される。この隙間Sによって、第1の取付部38とトレイ本体30の突壁部301との間には、いわゆるラビリンス構造が形成される。これによって、第1の取付部38が凹溝381によって形成されていても、凹溝381に水がかかった際に、凹溝381内からパワーユニット本体2内に水が浸入することを防止する、又は、浸入する水の勢いを弱めることができる。そのため、パワーユニット本体2の被水影響を緩和することができる。
【0153】
[第4実施形態]
図42は、第4実施形態に係る電動パワーユニット8を搭載した作業機の要部を示す斜視図である。図27に示した第2実施形態に係る電動パワーユニット5と同一符号の部位は同一構成の部位を示すため、それらの詳細な説明については第2実施形態に係る電動パワーユニット5についての説明を援用し、以下の説明では省略する。
【0154】
図42に示す電動パワーユニット8は、図27に示す電動パワーユニット5と同様に、作業機であるランマーの上部に設けられている。電動パワーユニット8は、第3実施形態に係る電動パワーユニット7と同様に、接続端子24は突起部244を有し、パワーユニット本体6の上部に設けられるバッテリトレイ3の化粧カバー31には、凹溝381からなる第1の取付部38が設けられている。したがって、この作業機の電動パワーユニット8においても、第3実施形態に係る電動パワーユニット7と同一の効果を得ることができる。
【0155】
[その他の実施形態]
以上説明した各実施形態では、磁石281を有する第2の取付部28をパワーユニット本体2、6側に設け、磁石281と吸着するピン27、金属板253を接続端子24、キャップ25側に設けるようにしたが、これに限定されない。キャップ25、接続端子24側に磁石を設け、この磁石と吸着する金属部品をパワーユニット本体2、6側に設けるようにしてもよい。
【0156】
また、接続端子24、キャップ25を取付部に対して脱着可能に設けるための構成は、磁石と金属部品との磁力吸着によるものに限らない。例えば、凹凸係合、フックを用いた係止等であってもよい。しかし、以上説明したように、接続端子24、キャップ25を磁石281を用いた磁力吸着によって脱着可能に構成することにより、取付部に対して任意の方向から容易に脱着操作を行うことができるため、作業性も向上する。
【0157】
第3実施形態及び第4実施形態では、接続端子24は、バッテリトレイ3の第1の取付部38に取り付けられ、磁石281を有する第2の取付部28に取り付けられない。そのため、接続端子24には、第2の取付部28の磁石281と吸着するピン27が設けられていない。しかし、接続端子24は、ピン27を有することによって、必要に応じて第2の取付部28に取付可能に構成されてもよい。
【0158】
更に、作業機は、以上説明した地固め装置に限定されない。しかし、以上の各実施形態に示したように、作業機100、100Aが地固め装置である場合は、特に顕著な効果を有する。即ち、接続端子24を電装部品であるバッテリ4から取り外している間は、他の地固め作業によって巻き上げられた埃や塵、小石等から接続端子24を保護部材であるキャップ25で保護することができると共に、接続端子24をバッテリ4に接続している間は、キャップ25をパワーユニット本体2、6の第2の取付部28に取り付けておくことで、地固め装置の振動等によってキャップ25が揺れて作業者の邪魔になることを防止できる。
【0159】
なお、作業機は、本実施形態に示した電動パワーユニット1、5、7、8のみを搭載して構成されるものに限らず、図示しないが、電動パワーユニット1、5、7、8と汎用エンジンとを併用したハイブリット型の作業機であってもよい。
【符号の説明】
【0160】
1、5、7、8 電動パワーユニット
2、6 パワーユニット本体(駆動部材)
203f ファンカバー
23 ハーネス(導電経路部材)
24 接続端子
240a (接続端子の)側面
240b (接続端子の)側面
241 端子部
243 連結基部(連結部、第2の脱着部)
244 突起部(第1の脱着部)
244b 大径部(抜け止め部)
25 キャップ(保護部材)
251 挿入口
253 金属板
26 ケーブル(連結部材)
28 取付部(第2の取付部、保護部材取付部、共通取付部)
281 磁石
3 バッテリトレイ(載置部材)
30 トレイ本体(載置部材本体)
302 突出部
31 化粧カバー(覆い部)
31a (化粧カバーの)上面
38 第1の取付部
381 凹溝
381a 上面開口部
381b 側方開口部
381c 底部
4 バッテリ(電装部品)
100、100A 作業機
101、106 作業機構部(接地部材)
102 動力伝達機構部(駆動部材)
103、105 起振機構部(駆動部材)
図1
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