(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】対象航空機の無力化を促進する対抗的配備システム
(51)【国際特許分類】
F41H 11/02 20060101AFI20221216BHJP
F42B 12/34 20060101ALI20221216BHJP
F41H 13/00 20060101ALI20221216BHJP
F41G 9/00 20060101ALI20221216BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221216BHJP
B64D 1/02 20060101ALI20221216BHJP
B64C 27/33 20060101ALI20221216BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20221216BHJP
B64D 1/16 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
F41H11/02
F42B12/34
F41H13/00
F41G9/00
B64C39/02
B64D1/02
B64C27/33
B64C27/08
B64D1/16
(21)【出願番号】P 2021517608
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(86)【国際出願番号】 US2019054547
(87)【国際公開番号】W WO2020142121
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-08-29
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518429137
【氏名又は名称】サ-コス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スミス,フレイザー エム.
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ,マーク エックス.
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/016017(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/114761(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/261292(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/057635(US,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2965908(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41H 11/02
F42B 12/34
F41H 13/00
F41G 9/00
B64C 39/02
B64D 1/02
B64C 27/33
B64C 27/08
B64D 1/16
B64D 5/00
B64C 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象航空機を無力化するシステムであって、
発射体発射機構と、
前記発射体発射機構により発射可能な発射体と、
飛行中の対象航空機を検出するように作動可能な少なくとも一つの検出センサを有する航空機検出システムであって、該航空機検出システムは、前記対象航空機の無力化を容易にするため、前記検出に応答して、前記発射機構または反撃無人航空機(UAV)の少なくとも一つにコマンドデータを提供するように作動可能であり、前記反撃UAVは、前記発射体に支持され、前記発射体から分離可能であり、航空機対抗手段を有する、航空機検出システムと、
を有し、
前記発射体は、相互に放出可能に結合された、前記反撃UAVを備える内側チャンバを定める、少なくとも第1のハウジング区画および第2のハウジング区画から形成され、
前記コマンドデータに基づき、前記発射体発射機構は、前記発射体を発射
するように作動され、
前記第1のハウジング区画および前記第2のハウジング区画は、相互に分離可能であり、前記コマンドデータに基づき、前記対象航空機に対する所定の位置で、前記内側チャンバから前記反撃UAVが放出され、
前記発射体からの分離の際に、前記反撃UAVは、前記航空機対抗手段により、前記対象航空機を無力化するように作動される、システム。
【請求項2】
前記反撃UAVは、予め定められた配置に前記反撃UAVを航空輸送するため、前記発射体内に折り畳まれた配置で構成され、
前記反撃UAVは、前記発射体からの分離の際に、広げられた位置に移動するように作動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記反撃UAV
が前記発射体から放出される所定の位置は、前記対象航空機に対する空中位置を
含み、前記反撃UAVは、前記対象航空機のセンサ
では検出されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コマンドデータは、妨害データ、航空機捕獲対抗手段配備コマンドデータ、対象航空機検出データ、反撃UAV制御データ、またはこれらの組み合わせの少なくとも一つを有する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記航空機検出システムは、前記反撃UAVにより支持された
前記少なくとも一つの検出センサを有する、オンボード航空機検出システムを有し、
前記少なくとも一つの
検出センサは、前記対象航空機の位置を検出するように構成され、
前記反撃UAVのフライト制御システムは、前記対象航空機の前記検出された位置に基づいて、前記反撃UAVの自動飛行を制御するように作動される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項6】
前記航空機検出システムは、前記発射体発射機構により支持された前記少なくとも一つの検出センサを有するオンプラットフォーム航空機検出システムを有し、
前記少なくとも一つの検出センサは、前記対象航空機を検出するように作動され、
前記オンプラットフォーム航空機検出システムは、前記反撃UAVにコマンドデータを提供し、前記対象航空機の妨害および無力化を容易化するように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
前記航空機検出システムは、地上基地構造に関連する地上基地外部航空機検出システムを有し、
前記地上基地外部航空機検出システムは、前記対象航空機を検出するように作動される前記少なくとも一つの検出センサを有し、
前記地上基地外部航空機検出システムは、前記発射体発射機構または前記反撃UAVの少なくとも一つに、コマンドデータを提供し、前記対象航空機の妨害および無力化が容易化されるように作動される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記反撃UAVは、飛行本体と、複数のロータ組立体とを有し、ロータ組立体の各々は、前記飛行本体の近傍に折り畳まれ、
前記複数のロータ組立体は、前記反撃UAVが前記
発射体から分離された際に、前記飛行本体から広がるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記内側チャンバは、前記反撃UAVを折り畳まれた配置で収容する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記発射体は、さらに、ハウジングリリース機構を有し、該ハウジングリリース機構は、前記第2のハウジング区画から前記第1のハウジング区画を少なくとも部分的に分離するように構成され、
前記内側チャンバが露出され、これにより、前記発射体からの前記反撃UAVの分離および放出が容易化される、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ハウジングリリース機構は、前記発射体と前記発射体発射機構の間に延在するテザーを有し、
前記発射体の発射の後、前記テザーは、前記第2のハウジング区画からの前記第1のハウジング区画の分離を促進し、前記発射体からの前記反撃UAVの分離および放出が容易化される、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記航空機対抗手段は、前記対象航空機の動作を妨害するように構成され、可撓性絡まり素子、ネット、流体、ペレット、放電装置、または照射装置の少なくとも一つを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記反撃UAVは、さらに、対抗手段発射装置を有し、該対抗手段発射装置は、前記対象航空機に向かって前記航空機対抗手段を発射し、前記対象航空機に衝突し、無力化するように作動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記航空機対抗手段は、前記対抗手段発射装置により発射可能なネットを有し、前記対象航空機が捕獲され、無力化される、請求項
13に記載のシステム。
【請求項15】
前記発射体発射機構は、複数の発射体を発射するように構成され、各発射体は、折り畳まれた配置で構成された反撃UAVを支持する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記対象航空機は、視野を定めるセンサを有し、
前記発射体は、前記対象航空機の前記視野内にはないステルス位置から、前記反撃UAVを放出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
対象航空機を検出し、無力化するシステムであって、
発射体発射機構と、
前記発射体発射機構から、所定の位置に発射することが可能な発射体
であって、
相互にリリース可能に結合され、反撃無人航空機(UAV)を支持するように作動可能な内側チャンバを定める、少なくとも第1のハウジング区画および第2のハウジング区画から形成され、前記発射体から分離可能であり航空機対抗手段を有する、発射体と、
飛行中の対象航空機を検出するように作動可能な少なくとも一つの検出センサを有する、航空機検出システム
であって、
前記対象航空機の検出の際に、前記発射機構または前記反撃UAVの少なくとも一つにコマンドデータを提供し、前記対象航空機の無力化を容易にする、航空機検出システムと、
を有し、
前記コマンドデータに基づき、前記発射体発射機構は、前記所定の位置に前記発射体を発射するように作動され、
前記コマンドデータに応じて、前記第1のハウジング区画および前記第2のハウジング区画は、相互から分離され、前記対象航空機に対する所定の位置に、前記内側チャンバから前記反撃UAVを放出し、
前記発射体からの分離の際に、前記反撃UAVは、前記航空機対抗手段により、前記対象航空機を無力化するように作動される、システム。
【請求項18】
前記反撃UAVは、該反撃UAVの空中輸送中、前記発射体内に折り畳まれた配置で構成され、
前記反撃UAVは、前記発射体からの分離の際に、広げられた位置に移動するように作動される、請求項
17に記載のシステム。
【請求項19】
前記発射体は、
前記第1および第2のハウジング区画を相互に分離するように作動されるハウジングリリース機構を有し、これにより
前記対象航空機に対する所定の位置に、前記反撃UAVが放出される、請求項
17に記載のシステム。
【請求項20】
前記対象航空機に対する前記所定の位置は、前記対象航空機のセンサの視野には入らない空中位置を有する、請求項
17に記載のシステム。
【請求項21】
前記コマンドデータは、妨害データ、航空機捕獲対抗手段配備コマンドデータ、対象航空機検出データ、反撃UAV制御データ、またはこれらの組み合わせの少なくとも一つを有する、請求項
17に記載のシステム。
【請求項22】
前記航空機検出システムは、前記反撃UAVにより支持された前記少なくとも一つの検出センサを有する、オンボード航空機検出システムを有し、
前記反撃UAVのフライト制御システムは、前記対象航空機の検出された位置に基づいて、前記反撃UAVの自動飛行を制御するように作動される、請求項
17に記載のシステム。
【請求項23】
前記航空機検出システムは、前記発射体発射機構により支持された少なくとも一つの検出センサを有するオンプラットフォーム航空機検出システムを有し、
前記少なくとも一つの検出センサは、前記対象航空機を検出するように作動される、請求項
17に記載のシステム。
【請求項24】
前記航空機検出システムは、地上基地構造に関連する地上基地外部航空機検出システムを有し、
前記地上基地外部航空機検出システムは、前記少なくとも一つの検出センサを有し、
前記地上基地外部航空機検出システムは、前記発射体発射機構または前記反撃UAVの少なくとも一つに、コマンドデータを提供し、前記対象航空機の妨害および無力化が容易化されるように作動される、請求項
17に記載のシステム。
【請求項25】
前記反撃UAVは、飛行本体と、複数のロータ組立体とを有し、ロータ組立体の各々は、前記飛行本体の近傍に折り畳まれ、
前記複数のロータ組立体は、前記反撃UAVが前記
発射体から分離された際に、前記飛行本体から広がるように構成される、請求項
17に記載のシステム。
【請求項26】
前記プラットフォームは、少なくとも一つの移動機構を有する移動可能な移動体を有し、
前記移動可能な移動体は、地表の周囲を移動可能である、請求項
17に記載のシステム。
【請求項27】
前記反撃UAVは、対抗手段発射装置を有し、
前記反撃UAVは、前記対抗手段発射装置を作動させるように構成され、前記航空機対抗手段は、前記対象航空機に向かって発射され、前記対象航空機に衝突し、前記対象航空機を無力化する、請求項
17に記載のシステム。
【請求項28】
前記航空機対抗手段は、液体充填物を含む液体発射体を有する発射体を有し、
前記液体発射体は、前記液体充填物と組み合わされた添加剤を含む、非剛性飛行完全性部材を有し、飛行中の前記液体充填物の実質的な崩壊が抑制され、
前記液体発射体は、所定の事象の際に、流体的に分散するように構成される、請求項
27に記載のシステム。
【請求項29】
前記所定の事象は、前記液体発射体を前記対象航空機に衝突
させることを含み、
前記分散された液体充填物は、前記対象航空機の少なくとも一つの重大な作動装置
の作動を妨害するように構成される、請求項
28に記載のシステム。
【請求項30】
前記液体発射体は、さらに、少なくとも一つの直接衝突装置を有し、
該直接衝突装置は、前記対象航空機に衝突し、無力化するように構成され、
前記少なくとも一つの直接衝突装置は、プラスチックもしくはポリマーのペレット、金属ペレット、複合体ペレット、フィラメント素子、またはタグ形成剤を有する、請求項
28に記載のシステム。
【請求項31】
対象航空機を無力化する方法であって、
飛行中の対象航空機を検出
し、前記対象航空機の検出に基づいてコマンドデータを生成するステップと、
前記生成されたコマンドデータに応じて、発射体発射機構から発射体を発射するステップであって、前記発射体は、反撃無人航空機(UAV)を支持
し、前記発射体は、相互にリリース可能に結合され、前記反撃UAVを収容する内側チャンバを定める、少なくとも第1のハウジング区画および第2のハウジング区画から形成される、ステップと、
前記第2のハウジング区画から前記第1のハウジング区画を分離し、前記生成されたコマンドデータに基づいて、前記対象航空機に対する所定の位置に、前記発射体の前記内側チャンバから前記反撃UAVを放射するステップと、
前記反撃UAVを作動させ、前記対象航空機を無力化するステップと、
を有する、方法。
【請求項32】
さらに、前記発射体からの分離の際に、前記反撃UAVのロータ組立体を広げるステップを有する、請求項
31に記載の方法。
【請求項33】
さらに、前記発射体から前記反撃UAVを分離するステップは、ハウジングリリース機構を作動させるステップを有し、
前記対象航空機の検出された位置に対する所定の位置で、前記反撃UAVが放射される、請求項
31に記載の方法。
【請求項34】
さらに、航空機検出システムから、前記反撃UAVにコマンドデータを伝送するステップを
有する、請求項
31に記載の方法。
【請求項35】
前記対象航空機を検出するステップは、前記発射体からの分離の後、前記反撃UAVの少なくとも一つの検出センサを作動させるステップを有する、請求項
31に記載の方法。
【請求項36】
前記反撃UAVを作動させ、前記対象航空機を無力化するステップは、前記反撃UAVから、前記対象航空機に向かって航空機対抗手段を発射し、前記対象航空機を無力化するステップを有する、請求項
31に記載の方法。
【請求項37】
前記対象航空機を検出するステップは、前記対象航空機の動的位置を自動で追跡するステップを有する、請求項
31に記載の方法。
【請求項38】
さらに、前記発射体発射機構の移動機構を介して、地表に沿って、地上基地配置まで前記発射体発射機構を移動させるステップを有する、請求項
31に記載の方法。
【請求項39】
前記航空機を検出するステップは、さらに、前記対象航空機の既知の高度を定めるステップ、または前記対象航空機の所定の高度を予測するステップの少なくとも一つを有し、
前記所定の位置で、前記第2のハウジング区画から前記第1のハウジング区画を分離するステップは、さらに、前記第2のハウジング区画から前記第1のハウジング区画を分離し、前記コマンドデータに基づき、前記対象航空機の前記既知の高度または前記予測された高度よりも高い高度で、前記発射体の前記内側チャンバから前記反撃UAVを放出するステップを有し、これにより前記反撃UAVは、前記対象航空機のセンサにより検出されない、請求項
31に記載の方法。
【請求項40】
前記反撃UAVを作動させ、前記対象航空機を無力化するステップは、前記対象航空機
の作動を妨害するように構成された、航空機対抗手段を作動させるステップを有し、
前記航空機対抗手段は、可撓性絡まり素子、ネット、流体、ペレット、放電装置、または照射装置の少なくとも一つを有する、請求項
31に記載の方法。
【請求項41】
前記航空機検出システムは、前記対象航空機の飛行経路を追跡するように作動され、
前記コマンドデータに基づき、前記発射体発射機構は、前記追跡された飛行経路に基づいて、前記発射体の発射のタイミングまたは前記発射体の速度の少なくとも一つを制御するように作動される、請求項1に記載のシステム。
【請求項42】
前記発射体から前記反撃UAVが放出される前記所定の位置は、前記対象航空機の既知のまたは予測された高度よりも高い高度を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項43】
対象航空機を無力化するシステムであって、
相互にリリース可能に結合され、反撃無人航空機(UAV)を支持するように作動された内側チャンバを定める、少なくとも第1のハウジング区画および第2のハウジング区画から形成された発射体であって、前記反撃UAVは、前記発射体から分離可能であり、航空機対抗手段を有する、発射体を有し、
前記発射体または前記反撃UAVの少なくとも一つは、飛行中の対象航空機の検出の際に、航空機検出システムからのコマンドデータを受信するように作動され、
前記航空機検出システムは、前記対象航空機を検出するように作動された少なくとも一つの検出センサを有し、前記コマンドデータに基づき、前記発射体は、発射体発射機構により発射されるように作動され、
前記第1のハウジング区画および前記第2のハウジング区画は、相互に分離可能であり、前記コマンドデータに基づき、前記対象航空機に対する所定の位置で、前記内側チャンバから前記反撃UAVを放出し、
前記発射体からの前記反撃UAVの放出の際に、前記反撃UAVは、前記航空機対抗手段により前記対象航空機を無力化するように作動される、システム。
【請求項44】
対象航空機を無力化するシステムであって、
航空機検出システムを有し、
該航空機検出システムは、
飛行中の対象航空機を検出するように作動される少なくとも一つの検出センサと、
発射体発射機構、該発射体発射機構により発射される発射体、または前記発射体により支持され前記発射体から分離可能であり、航空機対抗手段を有する反撃無人航空機(UAV)の少なくとも一つと電子的に通信するように作動可能な、少なくとも一つの送受信器と、
を有し、
前記航空機検出システムは、前記検出に応じて、前記発射機構または前記反撃UAVの少なくとも一つにコマンドデータを提供するように作動され、前記対象航空機の無力化が容易となり、
前記発射体は、相互にリリース可能に結合され、前記反撃UAVを収容する内側チャンバを定める、少なくとも第1のハウジング区画および第2のハウジング区画から形成され、
前記コマンドデータに基づいて、前記発射体発射機構は、前記発射体を発射するように作動され、
前記第1のハウジング区画および前記第2のハウジング区画は、相互に分離可能であり、前記コマンドデータに応じて、前記対象航空機に対する所定の位置で、前記内側チャンバから前記反撃UAVを放出し、
前記発射体からの前記反撃UAVの放出の際に、前記反撃UAVは、前記航空機対抗手段により前記対象航空機を無力化するように作動される、システム。
【請求項45】
対象航空機を無力化するシステムであって、
発射体発射機構と、
前記発射体発射機構により発射される発射体であって、相互にリリース可能に結合され、反撃無人航空機(UAV)を支持するように作動する内側チャンバを定める、少なくとも第1のハウジング区画および第2のハウジング区画から形成された、発射体と、
飛行中の対象航空機を検出するように作動される少なくとも一つの検出センサを有する航空機検出システムであって、前記検出に応じて、前記発射体発射機構、前記発射体、または前記反撃(UAV)の少なくとも一つにコマンドデータを提供するように作動され、前記対象航空機の無力化が容易化される、航空機検出システムと、
を有し、
前記コマンドデータに基づいて、前記発射体発射機構は、前記発射体を発射するように作動され、
前記第1のハウジング区画および前記第2のハウジング区画は、相互に分離可能であり、前記コマンドデータに応じて、前記対象航空機に対する所定の位置で、前記内側チャンバから前記反撃(UAV)を放出し、前記対象航空機を無力化する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象航空機の無力化を促進する対抗的配備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転式ドローンおよび固定翼ドローンのような無人航空機(UAV)は、過去10年間において、消費者にとっての人気が益々上昇している。この人気は、絶え間ない性能向上に伴い、政府複合施設、国際空港、原子力発電所、石油化学施設、貯水池、および他の人口密集または重要なインフラのような、価値の高い標的への偶発的な攻撃か、意図的なテロ攻撃かにかかわらず、他の航空機および構造体との衝突という点で、脅威となっている。このような脅威に関する一因は、ドローンの高速性、その小さな形跡、および多数の攻撃性ドローンからの同時的かつ秩序的攻撃の可能性にある。これらの因子は、ドローンが比較的安価で、携帯性が高く、操作性が高いという事実により、悪化される。また、民生ドローンは、耐久性、射程距離、ペイロード輸送能力の点で、劇的に改善されている(例えば、一部の民生ドローンは、10kg以上を搬送することができ、これは、爆発物、発射体、および/または化学兵器を運搬するのに十分である)。多くの場合、意図的な攻撃のために操作されたドローンが発射されると、わずか数秒で保護された周辺地に飛び込むことができ、これには、攻撃するドローンを検知し、無力化するための最小限の時間しか残されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの全ての考慮を念頭におくと、1または2以上の安価な敵対的ドローンは、アマチュアプログラマ/オペレータによる極めて低コストおよび低労力で、大量の損害および/または有害性を引き起こす可能性がある一方、自動でまたは手動で保護地域に飛び込むことができる。既存の技術を用いてそのような脅威に対抗することは、特に、数百エーカーまたは平方kmにわたる比較的大きな空域を保護しようとした場合、極めて高コストで複雑となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、対象航空機を無力化するためのシステムに関し、当該システムは、発射体発射機構と、前記発射体発射メカニズムにより発射可能な発射体と、前記発射体により支持され、前記発射体から分離可能な反撃無人航空機(UAV)とを備え、さらに、航空機対抗手段を備え、対象航空機を検出すると、前記発射体発射機構は、発射体を発射するように作動され、発射体からの分離の際に、反撃UAVは、航空機対抗手段により、対象航空機を無力化するように作動される。
【0005】
反撃UAVは、所定の位置への反撃UAVの空中輸送のため、発射体内の折り畳まれた位置に構成され得る。反撃UAVは、発射体から分離した際に、広げられた位置に移動するように作動可能である。
【0006】
反撃UAVは、対象航空機に対する空中位置を含む所定の位置で、発射体から発射することができ、反撃UAVは、対象航空機のセンサでは、検出不可能である。
【0007】
発射体は、相互に解放可能に結合された、第1のハウジング区画および第2のハウジング区画とを有し、これらは、折り畳まれた位置に反撃UAVを収容する内部チャンバを画定する。発射体は、さらに第2のハウジング区画から第1のハウジング区画を少なくとも部分的に分離し、内部チャンバを露出させるハウジングリリース機構を有し、これにより、発射体から反撃UAVの分離および放出が容易となる。
【0008】
また、本開示は、対象航空機を検出し、無力化するシステムに関し、当該システムは、発射体発射機構と、発射体発射機構から所定の位置に発射可能な発射体と、発射体により支持され、前記発射体から分離可能な反撃無人航空機(UAV)であって、航空機対抗手段を含む、反撃無人航空機(UAV)と、飛行中に対象航空機を検出するように作動される少なくとも1つの検出センサを有する航空機検出システムと、を備え、対象航空機が検出されると、発射体発射機構は、発射体を所定の位置に発射するように作動し、発射体から分離された際に、反撃UAVは、航空機対抗手段を介して、対象航空機を無力化するように作動される。
【0009】
本開示は、さらに、対象航空機を無力化する方法に関し、当該方法は、飛行中に対象航空機を検出するステップと、反撃無人航空機(UAV)を支持する発射体を発射体発射機構から発射するステップと、発射体から反撃UAVを分離するステップと、反撃UAVを作動させ、対象航空機を無力化するステップとを有する。対抗UAVを発射体から分離するステップは、さらに、ハウジングリリース機構を作動させ、対象航空機の検出位置に対して、所定の配置で対抗UAVを放出するステップを有する。
本発明の特徴および利点は、添付図面を参照した、以下の詳細な説明から明らかであり、添付図面には、まとめて、一例としての本発明の特徴が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例による、発射体発射機構から発射される反撃UAVにより対象航空機を検出し、無力化するシステムを概略的に示した図である。
【
図2】本開示の例による、
図3のシステムの想定される検出および通信の特徴を示すブロック図である。
【
図3】本開示の例による、
図1および/または
図2に示すような、反撃UAVの想定される検出および動作の特徴を示すブロック図である。
【
図4A】本開示の例による、反撃UAVを支持する発射体を発射する発射体発射機構を示した図である。
【
図4B】本開示の例による、反撃UAVを支持する
図4Aの発射体を示した図である。
【
図5】本開示の例による、発射体から分離され、対象航空機を妨害する反撃UAVを示した図である。
【
図6】本開示の別の例による、対象航空機を無力化し、または捕獲する航空機対抗手段を発射する反撃UAVを示した図である。
【
図7】本開示の別の例による、対象航空機を無力化し、または捕獲する航空機対抗手段を発射する反撃UAVを示した図である。
【
図8】本開示の別の例による、対象航空機を無力化する航空機対抗手段を作動する反撃UAVを示した図である。
【
図9】本開示の別の例による、対象航空機を無力化する航空機対抗手段を発射する反撃UAVを示した図である。
【
図10】本開示の別の例による、対象航空機を無力化する航空機対抗手段を発射する発射体発射機構を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、示された例示的な実施形態について参照する。これを表す際に、特定の言語が使用される。ただし、これにより、本発明の範囲が制限されることは、意図されていないことが理解される。
【0012】
本願において、「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、もしくは結果の完全な、またはほぼ完全な範囲または程度を表す。例えば、「実質的に」囲まれた物体は、完全に囲まれている物体、またはほぼ完全に囲まれている物体を意味する。ある場合には、絶対的完全性からの正確な許容可能な逸脱の程度は、特定の文脈に依存する。ただし、一般には、完全性の近さは、絶対的および完全な完成が得られた場合のような、同じような全体的結果が得られる。「実質的に」という用語は、否定の意味で使用される場合も同様に利用することができ、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、もしくは結果の完全な、またはほぼ完全な欠如を表す。
【0013】
本願で使用される「隣接」という用語は、2つの構造または要素の近接性を意味する。特に、「隣接」していると定められる要素は、境界を接しても、接続されてもよい。そのような素子は、相互に接近または近づいていてもよく、必ずしも互いに接触している必要はない。ある場合には、正確な近接の度合いは、特定の状況に依存する。
【0014】
本技術をさらに記載するため、図面を参照して実施例について説明する。
【0015】
図1には、一例としての地上ベースの外部航空機検出システム100、および/または発射体発射機構200aおよび200bのような、外部航空機検出システムにより、空域Aを保護するシステムおよび方法を概略的に示す。これは、例えばUAV102aおよび102bのような、1または2以上の反撃UAVで作動される(任意の数の反撃UAVが、航空機検出システム100で作動され得ることが留意される)。外部航空機検知システム100および/または発射体発射機構200a、200bは、1または2以上の対象航空機であって、空域Aに対する脅威であると判断される対象航空機(例えば、対象航空機104a、104b参照)を無力化する反撃UAV102a、102bの少なくとも1つと通信するように構成される。
【0016】
図2は、外部航空機検知システム100(および発射体発射機構200a、200b)の部材と、
図1に示した対象航空機104a、104bの検知およびリアルタイム追跡を実行し、反撃UAV102a、102bにコマンドデータを通信する機能を示したブロック図である。コマンドデータは、対象UAVの捕獲を容易にすることに関する任意のデータを含み、これには、これに限られるものではないが、対象UAVの位置に関するデータが含まれる。
図3は、対象航空機104aの1または2以上を無力化する、反撃UAV102a(および102b)の制御システムを示すブロック図である。外部航空機検知システム100、および/または発射体発射機構200a(および別の反撃UAV102b)で、制御システムがどのように作動されるかも示されている。
【0017】
概説すると、
図1および
図2を特に参照した一例において、システムは、外部航空機検出システム100、および/または発射体発射機構200a、200bを有し得る。これらは各々、空域A内のインフラおよび/または資産(例えば、建物、民生航空機、ユーティリティ、人)に脅威を及ぼす可能性のある、侵入する対象航空機104aおよび104bを検出し、追跡するように構成することができる。外部航空機検出システム100、ならびに/または発射体発射機構200aおよび/もしくは200bは、それぞれ、周期的時間にわたって、またはリアルタイムで、それらの追跡位置、高度、軌跡、速度、および目標航空機104a、104bに関連する他の検知もしくは取得情報のような、検出された対象航空機104a、104bに関する情報を取得し、通信するように構成され得る。いったん取得されると、この情報は、少なくとも1つの、または複数の反撃UAV102aもしくは102b、またはその両方と通信することができ、以下にさらに詳述するように、反撃UAV102aおよび102bは、航空機対抗手段を利用して、対象航空機104aおよび104bを無力化する(例えば、
図5の絡まり素子134を参照)。
【0018】
図4A乃至
図9に関して以下にさらに説明するように、対象航空機104aを検出すると、発射体発射機構200aが作動され、飛行中に、反撃UAV102aを支持または収容する発射体201aが発射され得る。次に、特定の所定の時間または位置において、反撃UAV102aが飛行すると、以下にさらに詳述するように、対象航空機104aを妨害し、無力化することができる。同様のことは、反撃UAV102bを支持し、または収容する発射体201bを発射する、発射体発射機構200bについても言える。
【0019】
対象航空機104a、104bは、任意のタイプであってもよく、これに限られるものではないが、自動または手動で作動できる、無人の単一もしくは多重のロータUAV、または固定翼UAV(または傾斜ロータUAV)のであってもよい。前述のように、対象航空機104a、104b(例えば、多重ロータUAV)は、重大な脅威となり得る。これらは、空域で数キロメートルまで、垂直に上昇/下降することができ、長時間滞空でき、極めて機敏、高速で、障害物の周囲で操縦可能であり、小さな可視/IR/レーダ形跡を有し、実質的なペイロードを輸送できるためである。従って、比較的短い時間枠(例えば、数秒)内で、それらの位置および速度を迅速に検出し追跡することは、空域Aの侵入を効果的に抑止する上で重要であり、さらに監視された空域Aに関する資産を保護するためにも重要である。
【0020】
外部航空機検出システム100は、該外部航空機検出システム100と関して本願に記載した、多くの部材を支持することが可能な、地上構造、車両(例えば、陸、海、または空)、可動プラットフォーム、または他のプラットフォームにより支持され、あるいは関連付けられる。外部航空機検知システム100は、異なる構造の周囲で相互に離間された、多くのセンサまたはプラットフォームを有し、これらにより、各々は、相互に通信可能に結合され、および/またはジンバルを制御し、位置を指示し、対象航空機に関するデータを処理し、1または2以上の反撃UAVにコマンドデータを通信する、中央コンピュータシステムに通信可能に結合され得る。複数の航空機検出システム(例えば100)は、大型の航空機を保護するため、領域の周囲に配備され、各々は、所与の空域を協力して監視し保護するため、他の航空機検知システムのコンピュータシステムに通信可能に結合されたコンピュータシステムを有することに留意する必要がある。
【0021】
図2により詳しく示すように、外部航空機検出システム100は、少なくとも1つの検出センサ106a(図示されていないが、最大n個(任意)の検出センサが想定されることは、当業者には明らかである)を備えることができ、これは、対象航空機104aおよび104b(例えば、速度、地上位置、高度、軌道または飛行経路など)に関連するデータを収集および生成するように動作される。例えば、検出センサ106aは、音響センサ110aのような1または2以上の音響センサと、カメラ114aのような1または2以上のカメラとを有し、これらのカメラは、対象航空機104a~104nに関連するデータを収集し生成するように作動される。検出センサ106aは、レーダ装置107a、LIDAR(ライダー)装置109a、および/または双眼鏡111aのような、他の対象取得資産を有し、各々は、CPU112に結合され、対象航空機の方位高度角/傾斜角を測定する機能を有する。検出センサ106aは、さらに、他のセンサを有し、例えば、離陸前に対象航空機を検出するために使用される電磁痕跡センサ、またはLWIRからSWIR、可視光の電磁スペクトルの異なる部分にわたって動作可能なカメラなどを有する。他の想定されるセンサには、検出器(例えば、カメラ)を備えた狭小バンドの発光装置であって、光エミッタのそれに近い検出バンドを有する発光装置、および/または狭小バンド光エミッタ(例えば、UV源)のような他のセンサであって、検出を容易にする電磁スペクトルの異なる部分において対象蛍光を発光させるセンサが含まれる。検出センサ106aは、複数の対象航空機を同時に検出してもよいことが留意される。CPU112(または複数のCPU)は、どのセンサが対象航空機に関して最も信憑性または信頼性があるかを決定するように構成され、その後、特定の対象航空機を追跡することに他のセンサを割り当てずに、そのようなセンサの1または2以上を割り当て、対象航空機を追跡し監視し続けるように構成される。この概念は、「信頼性階層」に関し、以降でさらに議論される。
【0022】
発射体発射機構200aおよび/または200bは、外部航空機検出システム100に関して記載したものと同一のまたは同様の全ての特徴を有することが留意される。従って、発射体発射機構200aは、例えば、オンプラットフォームの外部車両検出システムとみなしてもよい。これは、1または2以上の検出センサ206a、および多くの他の部材(例えば
図2)を有し、指示し、さらに詳しく説明するように、対象航空機を検出および追跡するように作動されるからである。また、外部航空機検出システム100は、地上構造と関連付けることができるため、地上ベースの外部車両検出システムとみなすことができる。
【0023】
ある例では、音響センサ110aは、1または2以上のマイクロホンを有し、対象航空機104aおよび104bを大きな距離(例えば、最大500メートル、またはそれ以上)で検出し、追跡することができる。UAV形跡のデータベースを取得または構築し、航空機検出システム100のCPU112によりアクセスして、検出された対象航空機104aおよび104bの存在および種類を定めることができる。この方法では、CPU112は、プロセッサを使用して、飛行可能性のある任意の(友好的な)反撃UAV102aおよび102bの痕跡を除去または無視する一方、対象航空機104aおよび104bの痕跡を検出できる(「友好的な」および「敵対する」UAVが異なるタイプのUAVである場合、または、例えば、CPU112が反撃UAVの既知の位置に基づいて、2つの間を区別するようにプログラムされている場合)。
【0024】
ある例では、1または2以上のセンサもしくはカメラ114a(例えば、IR、光学、CCD、CMOS)を、外部航空機両検出システム100の検出センサ106a(および/または発射体発射機構200aのセンサ206a)の1または2以上として組み込むことができる。例えば、赤外線(IR)カメラをシステムに実装し、特定の空域に向けて誘導し、侵入の可能性のある対象ト航空機を視認することができる。IRカメラは、このシステムにおいて有用である。これらは、他のセンサ(例えば、光学カメラ)により生じる環境の課題の解決の支援ができるためである。なぜなら、IRカメラは、暗所、霧状、ほこり状、または曇った状態で動作することができるからである。このシステムで使用されるIRカメラは、対象航空機(例えば、UAV)からのIR信号が、飛行中の鳥類の信号とは大きく異なるという、追加の利点を有する。短波赤外(SWIR)スペクトルに基づくIRカメラは、反射性で、跳ね返る物体であり、可視波長と同様の方法で、対象と相互作用することができる。その結果、SWIR光は、そのイメージに影とコントラストを有する。SWIRカメラからの画像は、解像度および細部において可視画像と同等である。夜空の輝きまたは夜光と呼ばれる大気の現象は、星光よりも5~7倍の照度の光を放射し、そのほとんどは、SWIR波長に含まれる。このため、SWIRカメラでは、月のない夜でも鮮明に物体を見ることができる。そのようなSWIRカメラを、本外部航空機検出システム100(および/または反撃UAV)に組み込むことができる。長波長赤外(LWIR)カメラは、SWIRカメラよりも太陽からの放射線の影響を受けにくいため、屋外での使用により適切である。このように、LWIRカメラを外部航空機検出システム100に組み込み、屋外利用の利点を得て、対象航空機を検出し、追跡することができる。光学カメラ(例えば、HD、4K)のような他のカメラも、外部航空機検出システム100の検出センサ106aとして組み込み、対象航空機104a、104bの位置の検出および追跡を支援することができる。
【0025】
ある例では、1または2以上の望遠レンズが、SWIRおよびLWIRカメラ、および/または光学カメラの1または2以上とともに備えられ、外部航空機検出システム100(および/または発射体発射機構200a)に関連する高解像度モータジンバル(例えば、2軸または3軸ジンバル)上に取り付けられ、ある場合には、使用センサの種類に応じて、角度位置および/または方位角の高さを含む、対象航空機104a、104bの動的位置の検出および追跡が支援される。本願に記載された2または3以上の検出センサを使用して、対象航空機の範囲を計算することができる。また、特定のカメラ(例えば、IR、光学)をオンボード(または遠隔サポート)のレーザレンジファインダと組み合わせて使用して、三次元空間(例えば、距離、方位角、および仰角)における対象航空機の位置を決定することができる。そのような望遠レンズおよびジンバルは、各々、関連するカメラのポインティング位置を確立する(およびポインティング位置を動的に修正する)ように作動され、従って、特定のカメラ(例えば、センサ206a)の視野(FOV)105a(
図1)が調整され、監視された対象航空機104aを、カメラの略中心に維持できる(外部航空機検出システム100のカメラまたはFOV105bの略中心に配置されている対象航空機104bについても同様である)。これらの望遠鏡レンズおよびジンバルは、手動または自動で(以降に示す)作動され、特定の対象航空機の動的飛行位置または経路を連続的に追跡する。また、ある例では、360゜のカメラ装置(IRカメラまたは光学カメラを有する)を、外部航空機検出システム100(および/または発射体発射機構200a)と一体化して、全360゜の空域を監視してもよい。これは、そのような空域を監視する動作に、ジンバルを必要としても、しなくてもよい。
【0026】
外部航空機検出システム100(および/または発射体発射機構200a)のCPU112により保管され処理されるコンピュータビジョンアルゴリズムは、対象航空機104a、104bの自動検出と追跡のために実装され得る。そのようなコンピュータビジョンアルゴリズムは、静止背景から移動物体を「引き抜き」、これを形状により分類できる(すなわち、特徴検出)。対象航空機104a、104bの分類の他の機構には、ニューラルネットワークを使用することが含まれ、これは、人間の脳の動作を模倣するように設計されたコンピュータアルゴリズムであり、特定の検出された対象航空機104a、104bに似たプロファイルの既知の/保管された画像を認識するように訓練される。当業者には、業界で知られるYOU ONLY LOOK ONCE(YOLO)検出アーキテクチャによって提供されるような、迅速検出と組み合わされた「畳み込みニューラルネットワーク」(CNN)を含む、各種既知のアルゴリズムを実装して、この機能を達成することが認識される。いったん、コンピュータビジョンシステム(例えば、CNN、YOLO)により、対象航空機が検出されると、カメラを支持するジンバル配向を使用して、対象航空機の方位角および高さが決定できる。複数のコンピュータビジョンシステムからの情報を組み合わせて、方位角および仰角に加えて、範囲が計算される。さらに、コンピュータビジョンシステムを使用して収集された対象の分類および位置情報は、別のセンサ(例えば、106a)から収集された情報と組み合わされ/融合され、検出の可能性、および/または、対象航空機の分類の精度、および/または、対象航空機の位置の追跡の可能性を高められる。
【0027】
ある例では、位相ベースのビデオモーション処理技術を、外部航空機検出システム100に組み込むことができる(例えば、CPU112により処理されるソフトウェア)。位相ベースのビデオモーション処理技術は、そうでなければ検出できないような、極めて小さな動きを増幅する。この技術は、2015年7月1日に出願された米国特許公開公報US20170000356A1号にさらに記載されている。本文献は、本願の参照により取り入れられる。従って、対象航空機(例えば、UAV)に固有の小さな振動運動を検出することができ、これは、カメラのみを使用して、対象航空機を検出し追跡することに伴う問題を克服できる。例えば、同様に米国特許公開公報US20170000356A1号に記載されているように、プロセッサ(例えば、CPU112)により実行される方法では、入力としてビデオを受信し(例えば、対象航空機のビデオ)、微妙な変化および微小な動きが誇張される。本方法では、動きの増幅のために特徴物の追跡、または光学的流れ計算が実行されることはなく、単に時空間処理が使用され、一時的な変化が増幅される。このオイラーベースの方法では、固定空間領域において画素が一時的に処理され、有益な信号が明確化され、実世界のビデオにおける小さな動きが増幅される。オイラーベースの方法では、2または3以上の画像の画素値の検査から開始される。次に、この方法では、検査された画素値の時間変化が(プロセッサを用いて)定められる。この方法は、小さな時間変動のみを増幅するように設計される。この方法は、大きな時間変動に適用し得るが、この方法の利点は、対象航空機が長い範囲で検出される場合などに、小さな時間変動が提供されることである。従って、飛行中の特定の対象航空機の画像の間に、入力ビデオが小さな時間的変動を示す場合、この方法が最適化できる。この方法では、その後、画素値に信号処理が適用され得る。例えば、信号処理では、例えば、本開示の外部航空機検出システムの光学センサにより、連続画像に捕捉された対象航空機の振動のように、時間変動が小さい場合であっても、定められた時間変動が増幅できる。
【0028】
いったん、対象航空機104a、104bが(例えば、IRおよび/もしくは4K光学カメラ、ならびに/またはレーダのような他のセンサを使用して)ビデオの連続フレームに識別されると、対象航空機104a、104bの動的飛行位置または経路が自動的に追跡され、異なる感知方法(例えば、カメラおよびレーダ)により提供される位置情報の融合が、カルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ、粒子フィルタ、または別のベイズフィルタの変形を利用することにより、実行される。これらのフィルタは、例えば、特定の対象航空機104aの速度、位置、および配向の予測を取り、その後、対象航空機104aがビデオの次のフレームのどこにあるかを予測することにより、作動する。その後、次のビデオフレームにおける対象航空機104aの位置が予測された位置と比較され、速度、位置、および方向の推定が更新される。カメラ114aの1つによるそのような追跡の間、フィードバック制御ループは、(特定のカメラを支持する)ジンバルを、自動かつ連続的に調節して、発射体発射機構200a(または、場合によっては、外部航空機検出システム100)のカメラのFOV105aの略中心に、対象航空機104aを維持できる。これは、特定の対象航空機の動的飛行位置の連続的な追跡を容易にし、または維持する。一般的なアルゴリズムは、重心追跡、エッジ検出、特徴物ベースアルゴリズム、および面積相関追跡を含む。カメラおよびフィルタのこのシステムを使用して、外部航空機検出システム100および/または発射体発射機構200aは、特定の対象航空機空の飛行位置または経路をリアルタイムで検出し、追跡できる。
【0029】
実際に、外部航空機検出システム100の位置の周囲の空域に関し、最大360゜の周囲を協力的かつ集合的に監視することができるように、多数の検出センサ106aを、外部航空機検出システム100の構造またはプラットフォームの周囲に配置し、領域(例えば、空域の被覆率の半径500メートル以上)を保護することができる。あるいは、検出センサ106aは、峡谷、または保護領域Aに対して重要な他の特定の出口を介して、被覆率360°未満の特定の関心領域を示すように取り付けられ、構成されてもよい。
【0030】
ある例では、外部航空機検出システム100は、レーザまたは高出力LEDのような、検出された対象航空機104a、104bに照射するように作動される、少なくとも1つの照射装置(照射装置116a参照)を有し得る。特定の照射装置116aは、ジンバル装置(例えば、3軸)に取り付けることができ、これは、例えば、一定の照射で、照射装置のポインティング位置または方向を変更して、対象航空機104aに向かって、照射装置を連続的に誘導するように作動される。このように、コントローラ(CPU 112に動作可能に結合される)は、対象航空機104aの追跡位置または飛行経路に基づいて、ポインティング位置を制御するように作動され得る。以下に示すように、反撃UAV102aおよび/または102bは、バンドパスフィルタ(またはカメラ)を有し、外部航空機検出システム100の照射装置116aにより、対象航空機104aおよび/または104bに照射された光の狭小のバンドの周波数のみを検出できる。
【0031】
外部航空機検出システム(100)の検出センサの別の例では、望遠鏡、または方位角センサと仰角センサとを備えた一組の人用双眼鏡を使用して、潜在的な対象航空機の位置を特定し、反撃UAV(および/または外部航空機検出システムのCPU)に、部分位置情報を伝送してもよい。別の例では、望遠鏡または双眼鏡系の検出システムは、レーザ距離検出器のような距離センサを備えることができ、この距離センサにより提供される情報は、方位角センサおよび仰角センサにより提供される情報と組み合わされ、これにより、対象UAVの位置を3Dで追跡することができる。
【0032】
対象航空機104aが監視空域(例えば、発射体発射機構200aの半径500m以内)に侵入したことが検出されると、発射体発射機構200a(または外部航空機検出システム100)は、特定の航空機対策手段(例えば、モノフィラメント繊維)で対象航空機104aを無力化する目的で、コマンドデータを反撃UAV102aに伝送できる。コマンドデータは、CPU112により生成され、無線機118aを介して、飛行中であっても、あるいは発射体201a内にとどまっていても、反撃UAV102aに伝送される。必要な場合、双方向自由空間通信リンク113を、無線装118a~cの交換(または補足)に利用することができる。コマンドデータは、位置データを含むことができ、対象航空機104aの検出された位置に関連付けることができ、この位置は、飛行経路、高度、経度、緯度、GPS座標(度、分、秒)、および/または対象航空機104aの空間的位置および/または速度に関する他のデータを含み得る。また、コマンドデータは、以下にさらに例示するように、対象航空機104aを妨害、捕獲、および/または無力化するため、ある速度で飛行するように、反撃UAV102aに指令する情報または命令のような妨害データを含むことができる。
【0033】
「妨害」とは、反撃UAV102a(および/または102b)のような反撃UAVが、対象航空機(例えば、対象航空機104a)に相対する位置に飛行し、反撃UAV102aにより、対象航空機104aに関する機能が無力化されることを意味し得る。これには、これに限られるものではないが、対象航空機104aの投影飛行経路に、または対象航空機104aの近傍のずれた飛行経路に沿って、または対象航空機104aに近接する位置に、または対象航空機104aの背後の飛行経路に沿って、または反撃UAV102aが標的航空機104aに近接する任意の他の飛行経路もしくは位置に沿って、反撃UAV102aを飛ばすことが含まれる。
【0034】
また、発射体発射機構200a(および/または外部航空機検出システム100)により、反撃UAV102aに伝送されるコマンドデータは、例えば、反撃UAV102aを特定の位置、方向、および時間に飛行させるように、指示もしくは命令する情報または命令のような、空中航空機対抗装備コマンドデータを含み得る。また、コマンドデータは、位置データまたは(前述の)情報のような対象航空機検出データ、および検出センサ106a(および/または206a)によって検出された対象航空機104aのUAVのタイプに関する識別情報のような、位置情報以外の情報を含むことができる。そのような情報は、外部航空機検知システム100(および/または発射体発射機構および/または反撃UAV102a)が、特定の対象航空機のサイズ、タイプ(例えば、固定翼または回転翼)、オンボード特徴物、および/または特性能力を定めることに役立つ。これらは、例えば、以下にさらに示すように、発射体201aから反撃UAV(102a)をいつ、および/またはどこに発射するのか、あるいは特定の対抗手段を作動させるのかといった、対象的航空機を無力化することの態様に影響し得る。
【0035】
また、コマンドデータは、反撃UAV制御データを含むことができ、これは、反撃UAV102aおよび/または102bのあるまたは全ての態様を制御する命令を含み得る。このように、反撃UAV102aおよび/または102bは、内部飛行制御を無効化し、または覆す「ダミー」ドローンとなり、その結果、外部航空機検出システム100(および/または発射体発射機構)は、特定の反撃UAVの飛行、センサ位置などを制御することができる。従って、外部航空機検知システム100(および/または発射体発射機構201a)は、反撃UAV102aおよび/または102bのそれぞれの位置および動作を監視し、制御したまま、1つの検知センサおよび処理ユニットを有する対象航空機の位置または飛行経路を検知し、監視することができる。
【0036】
発射体発射機構201aは、そのような指令データの少なくとも一部を使用して、特定の時間および方向で、発射体201a(および支持された反撃UAV102a)を自動的に発射し、その後以下にさらに示すように、発射体201aから反撃UAV102aを自動で分離するように作動することができる。その後、反撃UAV102aは、自動動作により、対象航空機104aを妨害し、無力化することができる。
図1および
図2に関して説明したこのシステムは、対象航空機104aおよび/または104bが、空域Aから数キロメートル離れ、さらに高度が数キロメートル離れている場合、特に有意である。これは、個々の反撃UAVにとって、妥当と思われる大きな空域と想定される長い範囲で、どこを「見るか」を把握ことは、容易ではないからである。これは、反撃UAVの多くのオンボードカメラは、FOVが著しく低下する場合(例えば10度以下)、より大きな範囲(例えば、100m超)で対象を検出し、識別し、分類することしかできないためである。また、自らのパワーを用いて、それ自身において、反撃UAVを飛行させる必要がある前に、発射体の発射機構によって、対象航空機と近い位置に、反撃UAVを発射し、配置することを可能にするため、反撃UAVの飛行時間は、延長することができる。
【0037】
前述のように、外部航空機検出システム100は、複数の検出センサ(例えば、検出センサ106aのうちの2つ以上)を作動し、対象航空機に関連する位置データを生成することができる。次に、CPU112は、複数の検出センサに関する信頼性階層に基づいて、1つ以上の検出センサに関する位置データを除去するように作動できる。そのような信頼性の階層は、環境条件に基づくことができる。例えば雲のない昼間に動作する場合、信頼性階層は、優先順位付けされた検出センサの以下のリストから得られる位置データを含み得る:(1)光学カメラ、(2)双眼鏡、(3)赤外線カメラ、(4)レーダ装置、(5)LIDAR(ライダー)装置、(6)音響センサ、(7)照射装置、および(8)他のセンサ。より具体的には、CPU112がこのような環境条件を判断し、または検知すると、CPU112は、センサ3~7に関する位置データを除去する(および/またはそのようなセンサを動作から割り当てないようにする)一方、(1)光学カメラ、および(2)双眼鏡(例えば、割り当てられた検出センサ)から生成された位置データを使用することができる。理想的には、光学カメラから生成された位置データは、雲や鳥類などがない、昼間の日中において、最も信頼される。しかしながら、(2)の双眼鏡から生成された信号が、任意の特定の理由でより信頼性が高い場合(例えば、双眼鏡は、光学カメラよりも間欠的な信号損失が少ない)、CPU112は、光学カメラから生成された位置データを除去し、双眼鏡から生成された位置データを使用し、その後、位置データを1または2以上の反撃UAVに伝送できる。特定の位置データを除去するそのような処理は、毎分何度も起こり得る。従って、最良のトラッキング情報は、反撃UAVに伝送するための外部航空機システム100により生成され処理され、これにより、検出された対象航空機を妨害し、捕獲するチャンスが改善され、または高められる。
【0038】
信頼性階層の別の例では、作動条件が夜間であり、雲の覆いがあり、外部航空機検出システム100により監視される領域に、非常に少ない光しか放射されないと仮定される。ここで、信頼性階層は、(1)赤外線カメラ、(2)音響センサ、(3)レーダ装置、(4)ライダー装置、(5)照射装置、(6)その他のセンサ、(7)光学カメラ、(8)双眼鏡であってもよい。これは、夜間、IRカメラは、前述のように、最も信頼できる位置データを生成し得るからである。従って、CPU112は、検出センサ4~8から生成された位置データを除去し、その後、検出センサ1~3から生成された信号を分析して、生成された最も信頼できる位置データを決定できる。例えば、音響センサが他の音からの干渉を受け、レーダ装置が気象パターンの影響を受けている場合、CPUは、IRカメラからの位置データのみを、反撃UAVに伝送する最も信頼性の高い位置データ(および唯一のデータ)として使用し、検出された対象航空機を妨害し、捕獲するチャンスを高めることができる。
【0039】
CPU112が、1または2以上のプロセッサを誘導して、本願に記載の方法ステップおよび動作を実行するように構成された1または2以上のコンピュータソフトウェアモジュールを含む、有形で、非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得ることは、当業者には明らかである。
【0040】
図3に示すように、特定の反撃UAV(例えば、反撃UAV102a)は、1または2以上の光センサ(例えば、光センサ119を参照)、および/または他の検出センサ120を含むことができる。光センサ119および他のセンサ120はCPU122に動作可能に結合され、例えば、対象航空機104aの存在または位置に関連する光センサ119および他のセンサ120により生成されたデータが処理される。
【0041】
さらに、反撃UAV102aは、無線機124(例えば、シックテレメトリラジオ)のような無線通信装置を備え、この無線通信装置は、外部航空機検出システム100および/または発射体発射機構200aからのコマンドデータを無線受信することができる。次に、処理のためコマンドデータがCPU122に伝送される。無線装置124を用いて、光学センサ119により捕捉されたビデオフィードが、外部航空機検出システム100および/または発射体発射機構200a(または他の外部コンピュータシステム、または手動監視ディスプレイ)に戻される。
【0042】
受信コマンドデータに基づき、反撃UAV102aは自動で作動し、特定の方向および速度で飛行し、特定の追跡飛行経路に基づいて、対象航空機104aを移動および/または配備し、航空機対抗手段134により、対象航空機104aを捕獲(または他の方法で無力化)する。より具体的には、反撃UAV102aは、CPU122に結合されたフライト制御器126を有し、CPU122により処理されたコマンドデータに関するコマンド信号が受信される。次に、フライト制御器126は、各種ロータ組立体(例えば、ロータ組立体128参照)を制御することができ、この各々は、電子速度制御器130、およびモータ/プロペラ132を有し、反撃UAV102aを特定の位置に、および/または特定の速度で移動させ、特定の飛行経路に沿って、または特定の飛行経路に、航空機対抗手段134を好適に移動できる。従って、CPU122、フライト制御器126、およびロータ組立体128は、フライト制御システム133を定め、後にさらに説明するように、航空機対抗手段134の適切な位置に、反撃UAV102aの飛行を促進するように作動される(または、反撃UAVが、
図6、
図7、および
図9に示すように、対象航空機に向かって、特定の航空機対抗手段装置を発射する)。
【0043】
更新されたコマンドデータは、反撃UAV102aと連続的に通信することができ、フライト制御器126は、対象航空機104aの追跡飛行経路または位置に対応して、反撃UAV102aの飛行を制御することができる。このように、反撃UAV102aは、対象航空機104aを妨害し、その後、
図5に関して以下にさらに例示するように、反撃UAV102aに結合または支持された航空機対抗手段134(例えば、フィラメント)により、対象航空機104aを無力化することができる。また、これは、本願に示された他の例示的な航空機対抗手段にも適用可能であり、すなわち、特定の反撃UAVは、無力化のため、検出された対象航空機に近接する特定の位置または飛行経路に沿って、飛行することができる。
【0044】
光学センサ119(および/または他のセンサ120)およびCPU122は、オンボード航空機検出システム137を定め、これは、一例では(例えば、外部の航空機検出システムの支援がなくても)、対象航空機104aをそれ自身で検出するように作動される。従って、反撃UAV102aは、対象航空機104aを検出することができ(範囲内であることを仮定)、その後、CPU122は、コマンドデータを生成し、次に、コマンドデータに関する信号をフライト制御器126に伝送して、反撃UAV102aの飛行が容易となる(そのような飛行は、テザー(つなぎ止め)ネットの位置を維持するために静的であり、あるいは、そのような飛行は、テザーネットを配備するため動的であり、テザーネットを動かすため動的である)。そのようなオンボード航空機検知システム137は、外部航空機検知システム100および/または発射体発射機構200aと連動して、対象航空機104aの動的飛行位置を追跡することができ、その結果、外部航空機検知システム100および/または発射体発射機構200aが何らかの理由で追跡することができない場合、オンボード航空機検知システム137が、バックアップまたは冗長検知システムとして、それ自身で、対象航空機104aの追跡を継続することができる。
【0045】
これとともに(またはこれとは別に)反撃UAV102aが飛行中に作動している間、反撃UAV102aのCPU122によりコマンドデータが処理され、光センサ119のポインティング位置が制御され、例えば、反撃UAV102aに、空中で、対象航空機104aを「見つける」位置を「知らせる」ことができる。具体的には、光センサ119のうちの1つは、1または2以上のジンバル装置138により、反撃UAV102aの飛行本体またはプラットフォームに回転可能に取り付けられる。次に、CPU122は、ジンバル制御器に制御信号を伝送し、該ジンバル制御器は、ジンバル装置138(例えば3軸ジンバル)の動作を制御し、光学センサ119のポインティング位置が確立され、制御される(すなわち、検出された対象航空機104aに向かって、特定のカメラを指向させる)。対象航空機104aがカメラの検出範囲内にある限り(例えば、いくつかの例では、最大150mまたはそれ以上)、反撃UAV102aは、必要な場合、外部航空機検出システム100および/または発射体発射機構200aの支援がなくても、それ自体で、対象航空機104aの位置を検出し、追跡することができる。同様に、反撃UAV102bのような、本願に例示される他の任意の反撃UAVも、同じまたは同様の特徴および機能を有することができる。
【0046】
ある例では、別のセンサ120は、小型位相アレイレーダおよび自動車レーダのような、1または2以上のレーダ装置を備えることができる。Echodyne Mesa-X7、Fortem Technologies TrueView R20のような、小型位相アレイレーダシステム、およびDelphi Automotive Radarのような、自動車レーダシステムは、反撃UAV102aに組み込まれ、これは、小型の民生ドローン(例えば、DJI Fantom 4)のような小型対象用に、200mを超える射程を有する。また、レーダーアレイは、対象航空機の検出用の外部航空機検知システム100の検出センサとして使用され得る。
【0047】
ある例では、外部航空機検出システム100(または発射体発射機構200a)が、(例えば、天候、または断続的な信号損失のため)、対象航空機104aを検出できない場合、反撃UAV102は、その構成部材(
図3)を利用して、対象航空機104aの位置を検出し、追跡することができる。
【0048】
図3に概略的に示した各種部材は、反撃UAV102a(例えば、
図5)の飛行プラットフォーム210の周囲に支持できる。飛行プラットフォーム210は、
図3の部材を構造的に支持する(さらには、そのような部材に電力を供給するバッテリを支持する)飛行体またはその一部を含み得る。
【0049】
図1に示すように、一例では、いったん、対象航空機104aが、反撃UAV102aのある検出可能な距離(例えば、10~150m)内を飛行し、対象航空機104aが光学センサ119のFOV136内に入ると、対向攻撃UAV102aは、そのオンボード光学センサ119を利用して、対象航空機104aの動的位置または飛行経路を連続的に追跡することができる。例えば、特定のオンボード光学センサは、(反撃UAV102aにより支持され、作動された)ジンバル装置に取り付けられたビデオカメラを有し、このビデオカメラは、外部航空機検出システムの検出センサに関して前述したように、対象航空機104aを同定し、追跡するように作動する。例えば、カルマンフィルタ(またはベイズフィルタの別のバリエーション)は、CPU122のプロセッサにより、アルゴリズムとして実行することができ、ビデオカメラにより生成されたデジタル信号を使用して、特定の対象航空機の速度、位置、および方向が推定され、予測され、その後、ジンバル装置を自動かつ連続的に調節するフィードバック制御ループが実行され、例えば、ビデオカメラのFOV136を中心に、対象航空機が維持される。そのようなカメラは、長焦点または中焦点の望遠写真レンズを備え、対象航空機を定め、追跡する距離を最大化できる。しかしながら、外部航空機検出システム100および/または発射体発射機構200aは、対象航空機104aの検出された位置に関するコマンドデータを反撃UAV 02aに伝送することができるため、オンボードカメラがより長い検出範囲および追跡能力を有する場合、ある例では、狭小のFOVが許容できる。
【0050】
ある例では、
図3に示すように、反撃UAV102aは、狭小バンドパスフィルタを有する光学センサまたはカメラ(例えば、119)を備え、光周波数整合照明源(例えば、高出力LED)を伴うことができる。LEDは、バックグラウンド寄与を低減したまま、対象航空機104aを照らすように指向することができ、カメラおよびフィルタは、対象航空機104aをよりいっそう検出し追跡することができる。また、
図1に関して前述したように、そのようなオンボードカメラおよび狭小バンドパスフィルタを使用して、外部航空機検出システム100の照射装置116a、および/または発射体発射機構200(例えば、200a)により、対象航空機に照射された光の周波数のみを検出することができる。
【0051】
図3をさらに参照すると、反撃UAV102aは、フライト制御器126に結合されたGPS装置135(例えば、リアルタイム速度(RTK)GPS)を有し、(例えば、他の反撃UAVおよび/または外部航空機検出システム100および/または発射体発射機構200に対して)反撃UAV102aの位置を定め、更新することができる。反撃UAV102aは、UAV間スウォーム(swarm)通信システムを有し、これは、反撃UAV102b等のような他の反撃UAV間の通信のためのCPU122に結合されたUAV間無線141を有し、例えば、複数の反撃UAVが発射された位置、および飛行中の位置の、調整された飛行構成が容易化される。UAV間スウォーム通信システムは、さらに、CPU122に動作可能に結合された、UAV間位置センサ139(例えば、超広帯域(UWB)タブ)を有し、反撃UAV102aの個々の位置の決定を支援し、他の反撃UAV(例えば、102b)との想定される調整フライト構成が容易化される。
【0052】
図3に概略的に示すように、一例では、発射体201aは、リリース装置127および無線機125(または他の無線送信機)を有し、これらは、反撃UAV102aの無線機124、および/または外部航空機検出システム100の無線機、および/または発射体発射機構200aの無線機と、通信可能に結合できる。このように、無線機125は、リリース装置127を活性化/作動させる時刻および場所の、特定の時間および/または地点に関するコマンドデータを受信でき、これにより、発射体のハウジングが分離され、発射体201aから、特定の位置および高度において反撃UAV102aが放出または分離される。
【0053】
図4A乃至
図5には、1または2以上の対象航空機(
図1に示す対象航空機104aおよび104bなど)を妨害し、無力化するシステムおよび方法のさらなる詳細を示す。発射体発射機構200aは、複数の発射チャンバ208を支持し、画定できるプラットフォーム203を有し、この複数の発射チャンバ208は、各々、チャンバ208から発射される発射体201のような発射体を受け入れ、支持し、発射することができる。1または2以上の検出センサ206は、概略的に示されており、これは、前述のセンサ106aと同様であってもよく、好適な方法で、(例えば、電動ジンバルにより)、プラットフォーム203に支持されてもよい。あるいは、検出センサ206は、別の場所で遠隔支持され、その後、検出された対象航空機104aに関連するコマンドデータが、(局所的に支持されるか、発射機発射機構から遠隔的に支持されるかにかかわらず)発射機発射機構200aの無線機に伝送され、CPUで処理される。次に、CPUは、発射体発射機構200aに指示し、発射体発射機構200aの発射装置(例えば、エアキャノン)が作動され、特定の時間、特定の位置および高度に、発射体201が発射される。また、発射体発射機構200aは、前述のように、対象航空機104aの検出された位置に関するコマンドデータを反撃UAV102aに伝送することができる。
【0054】
一実施形態では、反撃UAV102aは、発射チャンバ208aにあるとき(および反撃UAV102aの空中輸送中)に、発射体201の内部チャンバ209内で折り畳まれた位置(
図4B)に構成される。反撃UAV102aは、発射体201から放出または分離される際、以下に詳述するように、折り畳まれていない構成(
図5)に再構成することができる。従って、反撃UAV102aは、飛行プラットフォーム210、および複数のロータ組立体212とを有し、後者の各々は、飛行プラットフォーム210に対して内部に折り畳まれる。各ロータ組立体212は、飛行プラットフォーム210により支持され、これから延在する可動支持部材と、各可動支持部材の端部に支持されたプロペラ/ロータとを有し得る。可動支持部材は、各々、任意の好適な方法で、飛行体203に旋回可能に結合され、弾性部材(例えば、コイルばね)は、各可動支持部材を外方に付勢し、発射体201aから放出または分離される際に、ロータ組立体212は、飛行モードに備えるため、自動で外方に付勢される。本願において想定されているような、ロータ組立体を折り畳み、飛行体から自動で(または制御可能に)ロータ組立体を広げる多くの異なる方法があることは、当業者には明らかである。
【0055】
より詳しく説明すると、
図5に示すように、発射体201aは、第1のハウジング区画211aおよび第2のハウジング区画211aを有し、これらは、相互に取り外し可能に結合され、
反撃UAV102aを収容または支持する内部チャンバ209を画定できる。第1のハウジング区画211aおよび第2のハウジング区画211bは、複合材、ポリマー、プラスチックのような剛性材料で構成することができ、圧入、接着、クリップ、または2つの物体を相互に結合し、発火装置等を介して、力または他の分離事象を加えることにより分離が可能となる、他のそのような手段のような好適手段により、相互に取り外し可能に結合できる。
【0056】
第1のハウジング部211aおよび第2のハウジング部211bが相互に結合されると、
図4Bに示すように、反撃UAV102aを収容することが可能となり、折り畳まれた構成でロータ組立体212に付勢するように動作する第1のハウジング部211aおよび第2のハウジング部211bのサイズおよび形状により、ロータ組立体212を折り畳まれた構成に維持することができる。第1のハウジング部211aが第2のハウジング部211bから分離されると、それぞれの弾性部材(前述)により、ロータ組立体212は、広げられた位置に自動的に移動する。ある態様では、位置センサまたは他のセンサは、反撃UAV102aにより支持され、ロータ組立体212の1または2以上が自動的に広げられたことを感知し、または決定するように構成され得る。そのようなセンサは、CPU112に電気的に結合され、CPU112は、センサから信号を受信した後、フライト制御器126に動作を指示(または動作を制御)し、これにより、反撃UAV102aを飛行モード(すなわち、発射体200aから分離された直後)に配置することができる。また、各種オンボード電気部材(例えば、センサ119および/または120)を起動するような、そのような信号をCPUに伝送した後、CPU112は、対象航空機を追跡するため、センサが反撃UAV102aの他の構成部材を同様に「ターンオン」し、または起動するように構成され得る。ロータ組立体212を広げられた位置に移動させる他の方法が実施されてもよく、例えば、センサおよびオンボードCPUの動作を介して定められ、発射体201aから放出された際に、ロータ組立体212を自動で広げるように作動する支持部材に結合された電気アクチュエータを作動してもよい。
【0057】
ある例では、発射体201は、第2のハウジング区画211bから、第1のハウジング区画211aを少なくとも部分的に(または全体を)分離するように構成された、ハウジングリリース機構127を有し得る。ハウジングリリース機構127は、第1および第2のハウジング区画211a、211bの分離を容易に行える任意の装置またはシステムを有し得る。ある非限定的な例では、ハウジングリリース機構127は、一組の対向する作動部材を作動させる、電気アクチュエータを有し、この作動部材は、対向する力を行使し、またはそれぞれのハウジング区画211aおよび211bに対抗する力を行使し、ハウジング区画211aおよび211bを分離する。あるいは、ハウジングリリース機構127は、制御された爆発装置であり、小さな爆発で、ハウジング区画211aおよび211bの分離を引き起こしてもよい。そのような分離方法を達成するため、制御器、クロック、または他の装置が要求されてもよい。多くの機構を使用して、ハウジング区画の分離を達成してもよい。ある例では、小型爆発ボルト(ファスナー)を使用して、ハウジング区画を一緒に保持し、飛行中にハウジング区画の分離が可能となるようトリガー化してもよい。
【0058】
別の例では、ハウジング区画は、単純なピンおよびクレビス(U字型金具)を用いて相互に保持されてもよい。ピンは、細いトレッド(例えば、Dynemaファイバ)により付勢状態に保持されたピンでばね荷重化されてもよく、その周囲に小さな加熱ワイヤが巻き付けられてもよい。ピンをリリースすることにより、加熱ワイヤを加熱し、張力下でピンに連結されたバネを保持するのに使用されるトレッドを溶融する上で十分なエネルギーを有する小さな電流パルスが送信され、ハウジング区画が相互に分離される。複数の他の方法を使用して、ハウジング区画を一緒に保持し、求められた際にこれらを分離してもよい。
【0059】
ハウジング区画211aおよび211bを分離する別の方法では、ハウジングリリース機構127は、テザー(ロープ)218を有し、これは、一方の端部が、発射チャンバ208aの内側部分でプラットフォーム203(
図4A)に結合され、テザー218の他端は、結合機構220を介してテザー218が発射体201に結合され得る。結合機構220は、本体となり、ハウジング区画211aおよび211bの一部に連結され(または結合機構220は、ハウジング区画を一緒に結合することができ)、発射体201がプラットフォーム203から特定の距離に達した際に、テザー218は完全に延伸され、これにより、結合機構220は、テザーを介した衝撃力または引張力により、ハウジング区画211aおよび211bが相互から自動的に分離される。これにより、所定の位置で、反撃UAV102aを発射体201から分離させることができる。ある態様では、テザー218は、プラットフォーム203に関連する制御可能なリール装置の周りで巻き取ることができる。そのような制御可能なリール装置は、CPUにより制御され、所定の距離で、テザー218の巻き取りが停止される。この距離は、対象航空機104aの検出されたまたは予測された位置および高度に関係する。多くの異なる機構を使用して、この目的を達成してもよい。ある例では、ハウジング区画は、迅速リリースボール戻り止めピンにより、一緒に保持される。このピンは、ハウジング区画を一緒に保持するように構成された特徴部を備えるソケットに挿入される。ボール戻り止めピンは、リール装置により巻き取られていないロープに結合できる。リールが未巻き取りを停止するように制御されると、ロープに張力が生じ、ピンがそのソケットから引き出され、ハウジング区画の分離が可能となる。
【0060】
別の例では、ハウジング区画211aおよび211bは、空気流の力により、互いに開放され、または分離され得る。例えば、ハウジングリリース機構127は、ハウジング区画211aおよび211bに形成された1または2以上の開口を含むエアショックシステムを有し得る。発射体201が発射された後、ハウジング区画211aおよび211bの一方または両方を介して形成された1または2以上の開口部に入る空気の量に応じて、空気圧が十分に増加し、ハウジング区画211aおよび211bが互いに分離され、これにより、反撃UAV102aが配備される。
【0061】
別の例では、特定の発射体は、該発射体がプラットフォームから発射された後に反撃UAVを牽引し、その後、反撃UAV(折り畳まれていても、広げられていてもよい)は、特定の場所および高度で、発射装置により発射体から発射され得る。従って、発射体は、反撃UAVを牽引する単なる輸送手段として機能できる。別の例では、1つ以上の反撃UAVは、発射体内に折り畳まれていない構成で保管され、支持された複数の小型UAVのように、折り畳まれていない構成で発射体の内部に支持され、発射体のハウジング区画の分離の際に、発射体から放出され、配備されてもよい。小型UAVは、空の対抗手段を運搬し、配備してもよく、あるいはこれらは、群れで飛行して、対象航空機と物理的に関わりこれを妨害し、その結果、対象航空機を無力化してもよい。
【0062】
別の実施例では、発射体201は、オンボード推進システムを有し、これは、プラットフォーム203(または他のプラットフォーム)からの発射、および一定期間の持続飛行を容易化できる。この例では、オンボード推進装置は、推進を行うため、空気、水、燃料などを利用するような、任意の数の推進システムを有し得る。
【0063】
反撃UAV102aを発射体201からリリースまたは分離する方法に関わらず、反撃UAV102aは、対象航空機104aのセンサ(FOV215を有する)により検出できない対象航空機に対して、所定の配置または位置(例えば、地理的位置および高度)で、発射体201から放射できる。例えば、大部分のまたは全てのUAVは、飛行体の水平面の下方に取り付けられたセンサ/カメラを有し、そのため、カメラは、飛行体に対して、前方または下方にのみ「見る」ことができる(すなわち、一般に水平に飛行する場合、カメラは、飛行体を見上げたり、または上方に見たりすることはできない)。従って、発射体発射機構201aが対象航空機104a(例えば、静止高度または一定の高度ゲインを有する)の特定の飛行経路を検出し、追跡する場合、発射体発射機構201aは、発射体201aを発射するタイミングを制御することができ、さらには発射体201の速度を制御することができる(例えば、発射体201aを発射する圧縮空気の量を制御することにより)。従って、発射体が到達できる高度を制御することができる。いったん発射体201が飛行状態になると、発射体発射機構201a(またはオンボードリリース装置)は、発射体201から反撃UAV102aを発射する特定の時点および高度を制御できる。これは、発射体発射機構201aを制御器またはリリース装置と無線通信させることにより達成でき、発射体発射機構201a上のCPUまたは制御器は、いつハウジングを互いに分離するように作動すべきかをリリース装置に指示し、これにより、反撃UAV102aが配備される。これは、発射体201のアクセントもしくはディーセントの間、または発射体201の遠地点で実施することができる。従って、反撃UAV102aを、高度A1のようなステルス位置である所定の空中位置または位置で、発射体201により供給(およびリリース)することができる。高度A1は、既知のまたは所定の空中位置であってもよく、対象航空機104aの既知のまたは予測高度A2よりも大きい。この態様では、対象航空機104aがその感知能力の限界のため、その特定の位置で反撃UAVを感知または検出できない場合、対象航空機104aは、反撃UAV102aを検出することができない(従って、潜在的に回避できる)。いったん反撃UAV102aが飛行状態になると、オンボードセンサ(例えば、119、120、およびFOV136を有する)は、妨害および無力化の目的で、対象航空機104aの上方(およびその背後)の位置から、対象航空機104aを視認し、追跡するように作動できる。従って、反撃UAV102aは、対象航空機104aによりその存在が検出される前に、対象航空機104aの上方の位置から攻撃を開始し、対象航空機104aを無力化できる。
【0064】
また、反撃UAV102aは、発射体発射機構201aにより空中に発射されるため、反撃UAV102aは、例えば、ステルス位置への輸送のため、オンボード電力を必要とせず、バッテリ電力を節約できる。従って、反撃UAV102aは、特定の対象航空機よりも長時間の間、飛行作動することができ、これにより、対象航空機の妨害および無力化の向上が助長される。特に、対象航空機104aが、該対象航空機104aのバッテリ容量よりも長い時間反撃UAV102aを回避(または反撃)しようと試みる場合、反撃UAV102aは、対象航空機104aの時間を超えた延長された期間、飛行を維持できるためである。
【0065】
図1乃至
図5に示した例では、反撃UAV102aは、対象航空機104aを無力化する、ネットまたはフィラメント素子のような航空機対抗手段134を有し、または支持することができる。具体的には、発射体201は、好適な方法で、内部チャンバ209内に、航空機対抗手段134を支持することができる。例えば、反撃UAV102aが発射体201から放出された際にフィラメントが引き出される開口を有する小型ハウジングのような、装備または取り外し可能な装置により一緒に束ねられる。例えば、発射体は、航空機対抗手段134を受け入れ、収容するチャンバまたは領域を有し得る。また、1または2以上のフィラメントの端部に、少量のおもりを結合して、フィラメントが反撃UAV102aのロータに絡まることを防止できる。あるいは、発射体から分離された際に、飛行体により支持された1または2以上の支持ロッドまたは部材を広げ、支持ロッドまたは部材で、航空機対抗手段134のフィラメント素子を支持することができる。
【0066】
いったん反撃UAV102aが放出され、そのロータ組立体212が広げられると(従って、飛行中に航空機対抗手段134は牽引されている)、反撃UAV102aは、対象航空機104aを妨害し、無力化することができる。より具体的には、
図1乃至
図3に関して示したように、反撃UAV102aは、対象航空機104aの検出された位置に関するコマンドデータを受信し、反撃UAV102aは、そのオンボードカメラ(例えば、119)の一つのポインティング位置を自動で制御し、本願に例示されるように、対象航空機104aの位置を検出し追跡することができる。追跡位置に基づいて、反撃UAV102aは、反撃UAV102aを全速で作動できるフライト制御器(例えば、126)を動作させることにより、自動的に対象航空機104aを妨害でき、例えば、対象航空機104aに十分に近い距離(例えば、数メートル)で接近し、併飛行し、対象航空機104aのフィラメント要素134を、対象航空機104aのロータに巻き込ませ、対象航空機104aの動作を無力化できる。従って、反撃UAV102aは、対象航空機104aを妨害し、無力化する直前まで(例えば、対象航空機104aのほぼ上空数メートル以内)、ステルス位置または飛行経路(前述)で航行するように作動され得る。
【0067】
図4Aをさらに参照すると、プラットフォーム203は、プラットフォーム203により支持された少なくとも1つの移動機構221(例えば、車輪、軌道)を有する地上移動可能な移動体を有し、発射体発射機構200aは、例えば、地表に沿って所望の位置までプラットフォーム203を押したり引いたりする人間のオペレータまたは移動体により、運搬可能となる。折り畳み可能なスタンド222がプラットフォーム203により支持され、プラットフォーム203から広がるように作動され、プラットフォーム203が地表の周囲で押され/引かれ、プラットフォーム203が、監視空域に向かって上向きに配置される。これにより、所望の角度で関心空域に向かって、発射チャンバ208が配置され、従って、想定される侵入対象航空機に向かって位置決めすることができる。
【0068】
ある例では、少なくとも1つの移動機構221は、オンボード電気モータにより作動され、これは、プラットフォーム203を動かすことができる(すなわち、プラットフォーム203を所望の位置に押す人間の支援は、不要となる)。ある態様では、プラットフォーム203に搭載されたCPU(または他のCPU)は、信号の伝送を処理し、この信号は、プラットフォームの電動ホイールに指示し、自動で(または手動で)プラットフォーム203を所望の位置に移動させる。ある例では、1つのホイールのみを自動作動させ、これによりプラットフォーム203を地表の周りで回転または移動させ、これによりプラットフォーム203が上方に面する角度を変化させてもよい。これは、検出された対象航空機の位置に対応して実施できる。別の例では、プラットフォーム203は、砲塔の周囲で支持され、これは、プラットフォーム203が任意の方向に回転されるように給電し、または地表に対するその発射角度が変化するように給電する。
【0069】
図6には、反撃UAV302を用いて対象航空機304を無力化する別の例を示す。反撃UAV302は、前述の反撃UAVと同一のまたは同様の特徴を有し、発射体発射機構から発射される発射体に収容できる(その後、前述のように、発射体から分離される)。特に、この例では、反撃UAV302は、対抗発射装置306を有し、これは、対象航空機304に向かって航空機対抗手段334を発射するように作動され、対象航空機304が捕獲され、または無力化される。ある例では、対抗手段発射装置306は、単一用途の攪乱(disruptor)管であり、これは、(例えば、化学的に、空圧的に、燃焼を介して、またはその他の方法で)給電され、飛行中、ネット335を推進するのを支援する1または2以上のおもり308を有するネット335のような、航空機対抗手段334が発射、または放射される。単一使用の攪乱管の異なる種類および機能は、当業者には認識されるため、これらについては、これ以上詳しく説明しない。
【0070】
対抗発射装置306は、ジンバル装置を介して、反撃UAV302の飛行プラットフォーム310に回転可能に取り付けられる。このジンバル装置は、対抗発射装置306のポインティング位置を回転可能に制御する。ジンバル装置は、対象航空機304の追跡位置に向かってポインティング(指向)するように、自動で制御され得る。ジンバル装置の動きは、オンボードカメラ319を支持するジンバルの動きと同期または協調され、前述の
図3に示したように、これは、常に追跡対象航空機304に向かってポインティング(指向)することができる。従って、対象航空機304を追跡しながらオンボードカメラ319が移動するにつれて、発射体発射機構306は、通常、対象航空機304に向かってポインティング(指向)され得る。あるいは、対抗手段発射装置306は、例えば、電動ジンバル装置により、オンボードカメラの動きとは無関係に作動でき、例えば、対抗手段発射装置306の動きおよび動作に指令を与える、カルマンフィルタおよびオンボードCPUを利用して、電動ジンバル装置は、対象航空機の飛行経路が予測される位置に移動する。
【0071】
いったん反撃UAV302が、オンボードカメラ319(または他の外部センサ)により検出された対象航空機204に接近すると(例えば、1~10m)、反撃UAV302のCPUは、発射制御器にコマンド信号を伝送し、これにより、航空機対抗手段334の発射が生じる。
図5に関して例示したように、反撃UAV302は、、航空機対抗手段334が発射される前に、対象航空機304よりもわずか上方(高度)の飛行経路で放出され、作動される。これは、対象航空機304のセンサのFOV315の上方からの奇襲となり得る。また、これには、航空機対抗手段334に作用する重力の利点を利用することができ、これにより、航空機対抗手段334の飛行時間および範囲が延長され、これにより、対象航空機304を捕獲し、無力化する可能性を高めることができる。
【0072】
別の例では、発射体発射機構306から、多くのペレットまたは小塊(プラスチック、金属など)を発射または放射することができる。発射体発射機構306から発射され得る他の航空機捕捉対抗手段は、可燃性流体、接着剤もしくは膨張発泡体、またはUVセンサを用いて対象航空機304を追跡する対象タグ形成剤を有し得る。そのような衝撃装置は、物体に衝突すると破損するペイントボールハウジングのような、球状の破損可能な発射体ハウジング内に収容することができる。他の例では、特定の反撃UAVにより、複数の対抗手段発射装置を支持し、作動させることができる。別の例では、航空機対抗手段334にパラシュートを結合して、いったん対象航空機が捕獲された後、パラシュートをよりゆっくりと/安全に地面に到達させ、人の怪我または構造物への損傷を抑制することができる。
【0073】
図7には、
図6の代替システムを示す。図において、対抗手段発射装置406から発射される航空機対抗手段434(ネット)は、可撓性ライン409により、反撃UAV402に拘束されている。従って、いったん対象航空機404が捕獲されると、反撃UAV402は、対象航空機404を搬送し、安全な処分のため、特定の場所に輸送することができる(すなわち、人および構造物から遠ざけられ、不特定のまたは未制御場所で、上空から対象航空機が落下して生じ得る損傷が回避される)。テザー409は、対抗手段発射装置406の内側に束ねられ、または巻き取られ、反撃UAV402の飛行体、または対抗手段発射装置406につなぎ止められる。テザーは、比較的短く(例えば、1メートル)、または比較的長くてもよい(例えば、10メートル以上)。
【0074】
ある態様では、反撃UAV402は、可撓性ライン409を反撃UAV402に結合するリリース装置を有し得る。リリース装置は、オンボードCPUに(有線または無線で)通信可能に接続することができ、CPUは、リリース装置の動作を指示するように作動され、対抗手段発射装置406が放射され、捕獲された対象航空機404が特定の位置に解放出される(その後、反撃UAV402を飛行させることができる)。CPUは、安全なまたは所定の位置に反撃UAV402の飛行を制御し、その後、リリース装置を制御して、ネットおよび捕獲された対象航空機を放出することにより、これを自発的に達成できる。リリース装置は、該リリース装置の動作または作動の際に、2つのラインまたは本体を互いに解放するように作動可能な、任意の好適なリリース機構であってもよい。
【0075】
図8には、反撃UAV502により対象航空機504を無力化する別の例を示す。反撃UAV502は、前述の反撃UAVと同一のまたは同様の特徴を有し、発射体発射機構から発射される発射体に収容されてもよい(前述のように、その後、発射体から発射される)。特に、この例では、反撃UAV502は、標的航空機504の少なくとも1つの部材またはシステムの動作を妨害するように作動可能な、直接エネルギー装置536の形態の航空機捕獲対抗手段535を有し得る。ある実施形態では、直接エネルギー装置536は、所定の周波数の光を放射するように動作可能な光エミッタを有し、これにより、対象航空機504の少なくとも1つのセンサの動作が妨害され、これにより、対象航空機504が無力化される。より具体的には、直接エネルギー装置536は、極めて明るい光エミッタであり、これは、(対象航空機504の4Kカメラのような)カメラが、そのようなカメラの機能の全スペクトルまたは一部のスペクトルにわたって、感度を受ける周波数で光を放射する。直接エネルギー536は、反撃UAV502の制御器およびCPUに結合することができ、CPUをプログラム化して、そのようなカメラが動的光露出調整の恒久状態に陥る上最も有効な間隔および期間において、フラッシュを発生させることができる。これにより、視覚に対して、または視覚的な慣性走行距離測定、衝突回避、または物体認識を提供するための使用に対して、これらが無効にされる。これは、対象航空機の1または2以上のシステムまたは部材の動作を妨害することにより、対象航空機を「無効化」する別の例である。
図6に関して説明したように、航空機捕捉対抗手段536は、ジンバル装置を介して、反撃UAV502に回転可能に結合され、これは、オンボードカメラを支持するジンバル装置と同期して動いても、動かなくてもよい。
【0076】
別の例では、直接エネルギー装置536は、空気渦キャノン、音響波装置、マイクロ波装置、またはレーザの少なくとも1つを有し得る。空気渦キャノンを用いて、小さなドーナツ型の空気渦を対象航空機に向かって放射し、その飛行を妨害してもよい。これにより、対象航空機が地上に落下する間、そのロータの動作を自動的に停止させることができる。音響波装置を用いた場合、これを用いて、対象航空機の姿勢制御器に共振を励起することで、制御を喪失させ、地上に落下するようにさせることができる。マイクロ波装置を用いて、高出力マイクロ波兵器を反撃UAVに搭載し、対象航空機に向かって誘導し、対象航空機上の電子機器および/または誘導システムを妨害し、それを地面に落下させることができる。レーザを使用して、高出力レーザを反撃UAVに取り付け、対象航空機に向けて誘導し、対象航空機の作動に影響を及ぼし、または妨害し、対象航空機が地面に落下させることができる。
【0077】
これと同時に、または代わりに、そのような直接エネルギー装置は、外部航空機検出システム100(すなわち、地上基地構造、容器など)の一部であってもよく、および/または発射体発射機構200aの一部であってもよく、本願に記載の各種航空機検出センサおよびシステムと共に使用して、対象航空機を検出し、追跡し、無力化してもよい。
【0078】
図9には、反撃UAV602を用いて対象航空機604を無力化する別の例を示す。反撃UAV602は、前述の反撃UAVと同一のまたは同様の特徴を有し、発射体発射機構から発射される発射体に収容することができる(前述のように、その後、発射体から発射される)。特に、この例では、反撃UAV602は、対抗手段発射装置606を有し、これは、対象航空機604に向かって航空機捕獲対抗手段634を発射し、対象航空機604を無力化できる。具体的には、航空機捕獲対抗手段634は、米国特許第8,783,185B2号を参照して記載された発射装置26と同一のまたは同様であってもよく、その全体は、本願の参照により取り入れられている。
【0079】
対抗手段発射装置606は、ジンバル装置を介して反撃UAV602の飛行体に回転可能に取り付けることができ、
図6の例示的な対抗手段発射装置に関して説明したものと同様の方法で、作動させることができる。
【0080】
対抗手段発射装置606は、ウォータキャノンもしくは高圧空気キャノン、または化学的推進剤(爆発物、プロパン-空気のような可燃性混合物、およびその他)を使用するキャノンであってもよい。従って、対抗手段発射装置606は、液体充填物を有する非ニュートン液体発射体635の形態で、航空機対抗手段634を発射するように作動され得る。液体発射体635は、非剛性カプセル体636(例えば、ポリマー)を有し、これは、液体充填物と組み合わされた添加剤を有する非剛性飛行体部材を支持し、飛行中の液体充填物の実質的な崩壊が防止される。従って、液体発射体635は、所定の事象(例えば、対象航空機604との衝突)に応答して、流体分散するように構成される。液体発射体635は、特定の容積の液体充填物を有し得る。例えば、液体発射体は、1mL~5Lの範囲の液体体積を有してもよい。ただし、この範囲は、限定的ではなく、液体発射体は、反撃UAV602に収容され、反撃UAV602に収から発射される任意の体積を含み得る。ウォータキャノンは、良く知られており、これ以上詳しく説明しないが、本願の記載から、各種ウォータキャノンが使用され、または修正使用され得ることは明らかである。
【0081】
非剛性飛行完全部材638は、液体充填物を変更して、飛行中の液体充填物の実質的な崩壊を防止することができる。飛行完全部材は、添加剤、非剛性カプセル、温度修正部材、または他の構成要素であってもよい。飛行完全体部材を液体充填物と組み合わせることにより、液体充填物を、変更されていない液体充填物よりも高速で、より長い距離だけ、発射させることができる。
【0082】
純水は、粘性を有し、降下する雨滴のように、比較的低速または少量で移動する場合、その形態を合理的に維持することができる。しかしながら、消火ホースから射出される水のように、水が高速で大量に射出される場合、空気抵抗により、水流の凝集構造が破壊され、得られる水流は、少なくとも部分的に破壊され、またはある距離後に噴霧に分離される。水または他の液体充填物を、高速で遠距離に発射するため、飛行完全性部材を水または他の液体充填物と組み合わせて、高められた構造、粘度、および/または凝集性を提供することができる。典型的な液体は、水、塩水、可燃性燃料のような液体燃料、および他の液体を含む。
【0083】
液体改質添加剤を液体充填物と組み合わせて、飛行中の液体の実質的な分解を抑制することもできる。本発明のある態様では、少量のポリエチレンオキシド(PEO)を水のような液体に、0.8wt%程度の少量添加し、液体の凝集特性を高めることができる。また、得られた液体発射体は、液体単独よりも摩擦および抵抗力が少なく、従って、噴霧化をさらに低減する。得られる液体発射体が発射された場合、発射装置からの摩擦が軽減され、発射ストリームまたはミサイルは、より高い凝集性を有することができ、その結果、より高い発射速度、より遠い軌道、改善された精度、および対象航空機に対して、より効果的な衝撃がもたらされる。
【0084】
同様に、ポリアクリルアミド、ポリプロピレンオキシド、ポリジアミン、および本技術分野で良く知られた他の実用的な添加剤を液体と組み合わせて、飛行中の液体の実質的な分解を抑制してもよい。これらおよび他の添加剤は、飛行中の液体電充填物の崩壊を抑制すること以外の、他の特性を有し、これは、液体発射体用途に有益であり得る。これらの特性には、滑り易いこと、接着性、臭いを有すること、例えば、識別用に、永久的もしくは一時的に対象に印を付ける変色を有すること、または他の各種有益な特性を示すことが含まれてもよい。
【0085】
また、添加剤を液体と組み合わせて、飛行中の液体の実質的な崩壊を抑制するため、ダイラタント流体としても知られている、剪断増粘流体を形成してもよい。剪断増粘流体は、剪断応力の増加とともに、液体充填物の粘度の増加を引き起こし、これは、剪断変形速度の上昇により、最も容易に達成される。例えば、剪断増粘流体は、指での優しい探りには、ほとんど抵抗を与えないが、指をすばやく流体に突きつけると、粘性が増大する。このように、剪断増粘流体発射体は、発射力に応答して、抵抗を高め、液体発射体を、より高い力で発射することができる。衝撃を受けると、この液体発射体は、衝撃の応力に対してその抵抗を高めることができ、従って、固体発射体のように機能し、対象により大きな損傷を与えることができる。
【0086】
典型的な剪断増粘添加剤は、以下を含む:シリカ、コーンスターチもしくは変性コーンスターチのナノ粒子を有するポリエチレングリコール、ポテトスターチ、ペクチン、キサンタンガム、アロールート粉末、セルロースのジヒドロキシプロピルエーテル、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、多数のセルロース化合物を含むセルロースフリーキサンタンガム。他の例には、スルホン化グアー、ならびにキサンタンガム、グアー、ヒドロキシプロピルグアーもしくは誘導体、ヒドロキシエチルセルロースもしくは誘導体からなる群から選択された少なくとも1つのメンバーを含む化合物が含まれる。さらに、剪断増粘添加剤は、以下を含んでもよい:カチオン性グアー、ならびにヒドロキシプロピルグアーもしくは誘導体、およびヒドロキシエチルセルロースもしくは誘導体、ポリマレイン酸およびヒドロキシ誘導体を有するヒドロキシプロピルセルロース、または本発明に実用的な任意の組合せの群から選択された少なくとも1つの成分を含む化合物。
【0087】
添加剤は、混合、撹拌、加熱/冷却プロセス、注入、反応または適用、ならびにこれらのプロセスの組み合わせにより、液体充填物と組み合わされてもよい。本発明では、他の組み合わせ方法も、同様に想定される。
【0088】
非剛性カプセル636は、破壊装置または制御された破壊機構(一般に破壊装置として示される)を有し、これは、非剛性カプセルの形態の飛行完全性部材を破壊し、液体充填物の分散または拡散を容易にするように構成または適合される。破壊装置は、飛行完全性部材または液体発射体のカプセルを割り、破損させ、または破るように機能し、あるいは、液体充填物の分散を促進することができる。破壊装置は、液体充填物の分散のタイミング(例えば、遅延、衝撃の際、または飛行中)、液体充填物の分散の方向(例えば、前方分散)などの制御に使用されてもよい。本質的に、破壊装置は、液体発射体が発射された後、無変化のまま留まり(液体充填物が分散されず)、従って、その意図された目的が無効となるような、好ましくない状況を抑止することを支援する。
【0089】
破壊装置は、発射された後、液体発射体の飛行完全性部材を破り、または壊すことが可能な、任意のシステムまたは装置を含んでもよい(すなわち破壊装置は、カプセルを壊し、引き裂き、分解し、爆破し、または破ることができる)。破壊装置は、カプセル、封止装置、またはその両方と協働するように構成されてもよい。破壊装置は、液体発射体(例えば、空中分散剤)の飛行中に、活性化されるように構成されてもよく、あるいは衝撃時、または衝撃後のある時点で活性化されてもよい。破壊装置は、機械的、電気的、電気機械的システムを有してもよい。例えば、破壊装置は、液体発射体のいずれかに支持された爆発装置またはチャージを有し得る。別の例では、破壊装置は、機械的装置を有し、これは、液体発射体の一部に突き刺され、または液体発射体を壊してもよい。液体発射体を壊す機能を実行できる他の物体または装置またはシステムは、当業者には理解される。
【0090】
破壊装置は、多くの方法で、無線周波数、熱センサ、タイミング機構、レーザ装置、および他の好適な手段のような、様々なソース源から、開始、または活性化されてもよい。例えば、破壊装置は、ある種のトリガーを用いて作動されてもよい。トリガーは、リアルタイムオペレータ起動トリガーを有し、オペレータは、最も適切または効果的であると判断された時間に、非剛性カプセル遅延破壊、および液体充填物の拡散を、選択的に開始または起動してもよい。あるいは、トリガーは、実際の状況または遭遇する変数を反映した事前プログラム化されたトリガーのような、プログラム化されたトリガーを有してもよい。さらに別の実施形態では、液体発射体は、ワイヤのスプール(例えば、関連する破壊装置を起動する電気信号を受信する)、またはストリング(機械的破壊装置を起動する)を支持し、これらは、液体発射体の発射に応答して巻かれてもよい。
【0091】
また、流動学的に改変された流体を、非剛性体飛行完全性部材(例えば、添加剤、非剛性カプセル化部材)と組み合わせて、固体物質を液体充填物に同伴させてもよい。例えば、0.10wt%のCarbopol(登録商標)674(Noveonの製品)を、液体充填物と組み合わせて、液体充填物内に、砂粒子を同伴、または懸濁させることができる。このように、各種固体を液体充填物中に同伴させ、発射させることができる。これらの固体は、本発明に実用的な、塗料、砂、ペレット、爆発充填物、および他の固体のカプセルであり得る。ある態様では、流動的に改質された流体は、飛行中の液体発射体の凝集特性を高める飛行完全性成分として機能することができる。別の態様では、流動学的に改質された流体は、対象に適用される衝撃力を増加させる追加の質量を提供し、さらには対象に固体を搬送する供給システムを提供できる。
【0092】
従って、対抗手段発射装置606は、米国特許第8,783,185B2号により詳しく示されている、液体発射体635を充填および発射する発射装置26と同一のまたは同様の特徴を有することができる。本文献は、本願の参照として取り入れられている。対抗手段発射装置606には、照準構造が結合され、例えば、対象航空機604を同定し、目標とすることができる。照準構造は、レーザ照準器、赤外線標的システム、光学照準器、ドット照準器、リング照準器、のぞき見器、スコープ等を含み得る。あるいは、照準構造は、(例えば、前述のように、ジンバル上に取り付けられた4Kの)カメラを有し得る。
【0093】
従って、前述の「所定の事象」は、実際に液体発射体635が対象航空機604に衝突することを含み、分散された液体充填物は、対象航空機604の少なくとも1つの電子デバイス(例えば、モータ、センサ、CPU、制御器など)の動作を妨害し、または対象航空機がもはや飛行できなくなるように、対象航空機に損害を与える。別の例では、制御された破壊機構は、別の所定の事象に応答して、液体発射体635を流体的に分散するように構成され得る。例えば、所定の事象は、反撃UAV602からの所定の距離、反撃UAV602からの発射からの所定の時間、および/または対象航空機604からの検出された距離のうちの少なくとも1つを含み得る。このように、反撃UAV602のCPUは、プログラム化され、液体発射体635の発射に関する距離および/または時間を定め、次に、前述のように、トリガー(例えば、無線周波数、熱センサ、タイミング機構、レーザ装置など)を介して、カプセル636の破壊を引き起こす。従って、液体発射体635が対象航空機604の近くを飛行中の場合、制御された破壊機構が作動され、液体発射体635が破損開放され、これにより、内容物を露出させることができる(これは、崩壊開放前に、依然として液体発射体635の速度に対しある速度で進行する)。
【0094】
ある例では、液体発射体635は、ペレット637a(例えば、プラスチック、ポリマーおよび/または金属、複合材)、フィラメント素子637b(モノフィラメント刺し網)、フィラメント637c(モノフィラメント)、および/または液体637d(または発泡材、接着剤など)のような、対象航空機604に衝突して、無力化するように構成された、少なくとも1つの直接衝撃装置を有し得る。ある実施形態では、液体発射体635は、タグ形成剤を有し、対象航空機604がタグ付けされ、センサ(例えば、106aまたは206a)、または他の追跡システムを用いて、飛行経路が追跡される。
【0095】
特定の例では、反撃UAV602は、自動作動され、(前述のように)対象航空機604を妨害できる。いったん反撃UAV602が、対象航空機604から3メートル以内に入ると(例えば、直接背後に10m/sで追従する)、反撃UAV602は、対象航空機604に向かって、既知の軌道および速度(例えば、25m/s)で、液体発射体635を自動で発射し、その後、液体発射体635が、対象航空機604と衝突するまで約1メートルの距離になると、制御された破壊機構が作動され、液体発射体635が崩壊放出される。次に、例えば、1または2以上のおもりを有するネット637bが液体発射体635から解放され、通常、(崩壊するまで)液体発射体635の軌道および初期速度が継続され、その後、ネット637bが対象航空機604のロータに衝突し、絡み合う。これにより、その動作を妨害し、これを捕獲し、無力化することができる。
【0096】
図10には、本開示の一例による、対象航空機704を無力化するシステムおよび方法を示す。この例では、発射体発射機構701は、複数の発射チャンバ708を支持し、これは、各々、例えば、チャンバ708aから発射される液体発射体734のような、発射体を支持し、発射を促進することができる。発射体発射機構701は、対象航空機を検出する航空機検出システムを有するなど、前述の発射体発射機構201aと同一のまたは同様の特徴を有することができる。
【0097】
いったん検出されると、発射体発射機構701は、プラットフォームから、対象航空機704に向かって液体発射体734を発射するように作動される。液体発射体734は、
図9に関して示した液体発射体635に関して説明した液体発射体734と同一のまたは同様の特徴を有し得る。同様に、いったん液体発射体734が対象航空機704に接近すると、発射体発射機構701(または他のシステム)は、液体発射体734の制御された崩壊機構に信号を送信し、これが崩壊、開放される。これにより、
図9に関して示したように、任意の数の部材(例えば、ネット、ペレット、フィラメント、液体、および他の当業者には明らかなもの)が放出され、対象航空機704に衝突する。
【0098】
ある態様では、発射体発射機構701(または201a)は、同じプラットフォームの異なる発射チャンバから、液体発射体と(反撃UAVを含む)発射体の組み合わせを発射するように作動され得る。
【0099】
図面に例示されている実施例を参照し、これを記載するため、特定の言語が使用される。ただし、これは、技術の範囲の制限を意図するものではないことが理解される。本願に示された特徴の変更およびさらなる修正、ならびに本願に示された実施例の追加の適用は、記載の範囲内にあることが考慮される。
【0100】
本開示では、本願に記載されたいくつかの実施形態または特徴が、記載された他の実施形態または特徴と組み合わされてもよいことが明示的に示されていないが、本開示は、当業者により実施可能である、任意のそのような組み合わせが記載されているものとして読まれるべきである。本開示における「または」の使用は、本願に特段の記載がない限り、非排他的な、すなわち「および/または」を意味することが理解される必要がある。
【0101】
さらに、記載された特徴、構造、または特性は、1または2以上の例において、任意の好適な方法で組み合わされてもよい。先の説明では、記載された技術の例の完全な理解を提供するため、各種構成例のような、多くの特定の詳細が提供されている。しかしながら、本技術は、特定の細部の1または2以上を伴わずに実施され、あるいは他の方法、部材、装置などと共に実施されてもよいことが理解される。他の例では、良く知られた構造または動作は、技術の態様が不明瞭になることを避けるため、詳細に示され、記載されていない。
【0102】
主題は、構造的特徴および/または動作に特有の言語で記載されているが、添付の特許請求の範囲に記載された主題は、必ずしも前述の特定の特徴および動作に限定されるものではないことが理解される。むしろ、前述の特定の特徴および動作は、請求項を実施する例示的な形態として開示されている。記載された技術の思想および範囲から逸脱することなく、多くの修正および代替配置を実施することができる。