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特許7195423空調換気システム及び空調換気システムの制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】空調換気システム及び空調換気システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20221216BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20221216BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20221216BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20221216BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20221216BHJP
   F24F 11/30 20180101ALI20221216BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20221216BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20221216BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20221216BHJP
   F24F 110/12 20180101ALN20221216BHJP
   F24F 140/30 20180101ALN20221216BHJP
   F24F 140/00 20180101ALN20221216BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/74
F24F11/77
F24F11/80
F24F11/64
F24F11/30
F24F7/007 B
F24F110:10
F24F110:20
F24F110:12
F24F140:30
F24F140:00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021524606
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 JP2019022566
(87)【国際公開番号】W WO2020245986
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 信
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/203603(WO,A1)
【文献】特開2019-032140(JP,A)
【文献】特開平10-339496(JP,A)
【文献】特開2016-065848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/65
F24F 11/74
F24F 11/77
F24F 11/80
F24F 11/64
F24F 11/30
F24F 7/007
F24F 110/10
F24F 110/20
F24F 110/12
F24F 140/30
F24F 140/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気装置と、空調機と、送風機と、内壁の複数箇所に配置された複数の表面温度検出部と、室内露点温度取得部と、制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記複数の表面温度検出部を含む各種検出部の検出値の時間変化を記憶する挙動記憶部と、
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部によって取得された室内露点温度に基づいて結露発生リスクが生じたか否かを判別する結露リスク判別部と、
前記結露発生リスクの増大要因を推定する結露要因推定部と、
前記結露発生リスクの増大要因に応じて設定された複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を選択する選択部とを有し
前記結露リスク判別部は、
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部の取得した前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分を演算し、
前記最小差分が第1閾値未満の場合に前記結露発生リスクか生じたと判定し、前記最小差分が第1閾値未満を満たさない場合に前記結露発生リスクが無いと判定する
空調換気システム。
【請求項2】
前記結露要因推定部は、
時間変化した前記室内露点温度取得部によって取得された前記室内露点温度が上昇傾向である場合を第1増大要因と推定し、
前記挙動記憶部が記憶した時間変化した前記複数の表面温度検出部の各検出値の全部が低下した場合を第2増大要因と推定する請求項に記載の空調換気システム。
【請求項3】
前記室内露点温度取得部は、
室内温度検出部及び室内湿度検出部を有し、
前記室内温度検出部及び前記室内湿度検出部の各検出値に基づいて前記室内露点温度を演算し、
前記結露要因推定部は、
前記挙動記憶部が記憶した時間変化した前記室内温度検出部及び前記室内湿度検出部の各検出値の時間変化に基づく前記室内露点温度が上昇傾向である場合を前記第1増大要因と推定する請求項に記載の空調換気システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記結露要因推定部によって時間変化した前記室内露点温度取得部が取得した前記室内露点温度が上昇傾向である第1増大要因を推定した場合に、前記選択部が前記換気装置によって換気量を増大する第1結露回避運転を選択する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の空調換気システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記結露要因推定部によって前記挙動記憶部が記憶した時間変化した前記複数の表面温度検出部の各検出値の全部が低下した第2増大要因ではないと推定した場合に、前記選択部が前記空調機及び前記送風機の風量を増大する第2結露回避運転を選択する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の空調換気システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記結露要因推定部によって前記挙動記憶部が記憶した時間変化した前記複数の表面温度検出部の各検出値の全部が低下した第2増大要因を推定した場合に、前記選択部が前記空調機の設定温度を上昇させる第3結露回避運転を選択する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の空調換気システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
結露が発生したか否かを判別する結露発生判別部を有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の空調換気システム。
【請求項8】
前記結露発生判別部は、
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部によって取得された前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分を演算し、
前記最小差分が第2閾値未満の場合に結露が発生したことを判定する請求項に記載の空調換気システム。
【請求項9】
内壁の複数箇所に配置された複数の表面温度検出部の検出結果と、室内露点温度取得部によって取得された室内露点温度と、に応じて、換気装置と、空調機と、送風機と、を制御する空調換気システムの制御装置であって、
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部の取得した前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合であって、時間変化した前記室内露点温度取得部によって取得された前記室内露点温度が上昇傾向である場合は、前記換気装置によって換気量を増大する第1結露回避運転を実施し、
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部の取得した前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合であって、時間変化した前記複数の表面温度検出部の各検出値の全部が低下していない場合には、前記空調機及び前記送風機の風量を増大する第2結露回避運転を実施し、
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部の取得した前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合であって、時間変化した前記複数の表面温度検出部の各検出値の全部が低下した場合には、前記空調機の設定温度を上昇させる第3結露回避運転を実施する空調換気システムの制御装置。
【請求項10】
前記第1結露回避運転、前記第2結露回避運転又は前記第3結露回避運転のうちの1以上の対応する結露回避運転を実施した場合は、前記対応する結露回避運転を前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部の取得した前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値を超えるまで継続させる請求項に記載の空調換気システムの制御装置。
【請求項11】
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部の取得した前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合は、結露発生リスクが生じたと判定したことを使用者に通知する請求項又は請求項10に記載の空調換気システムの制御装置。
【請求項12】
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部によって取得された前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第2閾値未満の場合は、結露が発生したことを使用者に警告する請求項~請求項11のいずれか1項に記載の空調換気システムの制御装置。
【請求項13】
前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部によって取得された前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第2閾値未満の場合は、前記換気装置によって換気量を増大する結露除去運転を実施する請求項~請求項12のいずれか1項に記載の空調換気システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置と空調機と送風機とを備える空調換気システム、空調換気システムの制御装置及び空調換気システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅躯体の高気密化及び高断熱化の進行により、24時間連続で機械換気が行われることが一般的になっている。これにより、屋内に水分発生あるいは除湿機能が無い場合には、屋内の絶対湿度が外気の湿度と等しくなる。そのため、冬期には、暖房によって室内相対湿度が20%以下になることがある。しかし、空気加熱と併せて加湿が行われると、窓又は外壁内側などの低温面には結露が生じる可能性がある。結露発生により、躯体寿命あるいは衛生面での悪影響が懸念されている。
【0003】
最近では、屋内側にて低温面を形成するおそれのある複数箇所に温度センサを設置し、結露し始める最も手前の湿度に制御目標を設定する湿度制御方法が考えられている。これにより、過剰乾燥による悪影響と、結露による悪影響と、の双方が抑制される。しかし、断熱不良などでいずれかに低温面が形成されると、過剰乾燥が回避できない。
【0004】
このような問題を回避するため、使用者の指示する結露許可情報によって一部領域の結露発生を許容し、屋内の湿度制御目標を適正に維持する空調制御システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、結露発生の可能性の大小あるいは余裕度によって換気量の増加又は低温面への総風量増大などの結露回避運転を切り替える車両用空気調和装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-96511号公報
【文献】特開昭61-193921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1の技術では、結露を許容した領域にて発生した水滴による汚染が懸念される。また、一時的に発生する結露リスクの増大などに対して使用者による結露許容の可否判別が必要になり、使用者にとって煩わしい作業が発生する。
【0008】
また、上記特許文献2の技術では、結露リスクの増大の要因を特定しないままに結露回避運転が行われる。このため、本来不要な回避運転による室内快適性の悪化あるいは挽回不可能な湿度低下をもたらす可能性がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、結露回避のための結露回避運転が適切に実施され、室内快適性を確保した状態で結露が回避できる空調換気システム、空調換気システムの制御装置及び空調換気システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る空調換気システムは、換気装置と、空調機と、送風機と、内壁の複数箇所に配置された複数の表面温度検出部と、室内露点温度取得部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数の表面温度検出部を含む各種検出部の検出値の時間変化を記憶する挙動記憶部と、前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部によって取得された室内露点温度に基づいて結露発生リスクが生じたか否かを判別する結露リスク判別部と、前記結露発生リスクの増大要因を推定する結露要因推定部と、前記結露発生リスクの増大要因に応じて設定された複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を選択する選択部とを有し、前記結露リスク判別部は、前記複数の表面温度検出部の各検出値と前記室内露点温度取得部の取得した前記室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分を演算し、前記最小差分が第1閾値未満の場合に前記結露発生リスクか生じたと判定し、前記最小差分が第1閾値未満を満たさない場合に前記結露発生リスクが無いと判定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る空調換気システム、空調換気システムの制御装置及び空調換気システムの制御方法によれば、制御部は、結露発生リスクの増大要因に応じて設定された複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を選択する。これにより、結露発生リスクの増大要因に応じた最適な結露回避運転が実施できる。したがって、結露回避のための結露回避運転が適切に実施され、室内快適性を確保した状態で結露が回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1に係る空調換気システムを示す概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る換気装置を示す概略構成図である。
図3】実施の形態1に係る空調換気システムを示す機能ブロック図である。
図4】実施の形態1に係る制御装置を示すハードウェア構成図である。
図5】実施の形態1に係る制御装置が有する環境情報を示す時系列グラフである。
図6】実施の形態1に係る空調換気システムの制御を示すメインフローチャートである。
図7】実施の形態1に係る空調換気システムの制御を示すサブフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面に基づいて実施の形態が説明されている。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、断面図の図面においては、視認性に鑑みて適宜ハッチングが省略されている。さらに、明細書全文に示す構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
【0016】
実施の形態1.
<空調換気システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る空調換気システム100を示す概略構成図である。図1に示すように、空調換気システム100は、対象室1に対する空調、換気及び送風を実施する。対象室1は、掃き出し窓のある南面と、出窓のある西面と、の2面が外界と接している外壁である。対象室1は、天井に新鮮な外気が導入される給気口2と、室内空気を排気する排気口3と、が設けられている。
【0017】
空調換気システム100は、複数の表面温度検出部4と、室内温度検出部5と、室内湿度検出部6と、を備える。複数の表面温度検出部4は、低温面を形成しやすいと想定される床面近傍の内壁の複数箇所に配置されている。室内温度検出部5は、室内温度を検出する。室内湿度検出部6は、室内湿度を検出する。複数の表面温度検出部4、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6は、所定の時間間隔で検出を実施し、遠隔で制御装置7に検出情報を送信する。
【0018】
空調換気システム100は、換気装置8と、空調機9と、第1送風機10と、第2送風機11と、を備える。換気装置8は、天井裏の空間に配置され、対象室1の室内空気と外界の外気との24時間連続で換気を行う。換気装置8は、給気口2及び排気口3のそれぞれでの空気の流通量を制御する。空調機9は、対象室1の室内空気に対して冷房又は暖房を行う。空調機9は、冷媒回路を用いて外気を利用するヒートポンプ装置などである。空調機9は、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6を搭載している。第1送風機10及び第2送風機11は、対象室1の室内空気を撹拌する流れを生成する。第1送風機10及び第2送風機11は、内壁近傍の空気を撹拌し易い位置に配置されている。なお、送風機の数は、1以上であれば良い。換気装置8、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11は、遠隔で制御装置7から制御される。
【0019】
空調換気システム100は、制御装置7を備える。制御装置7は、空調換気システム100の集中制御装置である。制御装置7は、複数の表面温度検出部4、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の検出情報を遠隔で受信する。制御装置7は、換気装置8、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11を遠隔でそれぞれ制御する。制御装置7は、使用者に環境情報、操作情報、通知情報又は警告情報などを表示するとともに使用者が操作可能なタッチパネル部7aを有する。
【0020】
<換気装置8の構成>
図2は、実施の形態1に係る換気装置8を示す概略構成図である。図2に示すように、換気装置8は、外気温度検出部12と、第1換気送風機13と、第2換気送風機14と、熱交換器15と、を有する。
【0021】
外気温度検出部12は、屋外から給気口2に向かう給気流路に配置され、対象室1内に取り込まれる新鮮な外気温度を検出する。外気温度検出部12は、所定の時間間隔で検出を実施し、遠隔で制御装置7に検出情報を送信する。
【0022】
第1換気送風機13は、屋外から給気口2に向かう給気流路に配置され、対象室1内に取り込まれる新鮮な外気から取り込まれる給気SAを送風する。第1換気送風機13は、制御装置7からの制御指令によって給気SAの送風量を制御される。
【0023】
第2換気送風機14は、排気口3から屋外に向かう排気流路に配置され、屋外に排出される排気EAを送風する。第2換気送風機14は、制御装置7からの制御指令によって排気の送風量を制御される。
【0024】
熱交換器15は、屋外から対象室1内に取り込まれる外気OAと、対象室1内から屋外に排出される排気RAと、の間で熱交換させる。対象室1内に取り込まれる外気OAは、熱交換器15によって対象室1内の温熱を回収し、排気RAに近い温度になって対象室1内に給気SAとして供給される。熱交換後の排気EAは、低温になって外部に排出される。熱交換による給気SAの温熱回収の作用は、換気による空調機9の負荷増大が抑制できる。
【0025】
<空調換気システム100の機能構成>
図3は、実施の形態1に係る空調換気システム100を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置7は、複数の表面温度検出部4、外気温度検出部12、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6のそれぞれによって所定の時間間隔で送信された各種検出情報を受信する。また、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6は、室内露点温度を取得する室内露点温度取得部17を構成している。制御装置7は、各種検出情報に基づく演算結果に応じた制御指令を、換気装置8、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11にそれぞれ送信し、換気装置8、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11をそれぞれ制御する。
【0026】
制御装置7は、挙動記憶部71と、結露リスク判別部72と、結露要因推定部73と、選択部74と、継続部75と、通知部76と、結露発生判別部77と、警告部78と、結露除去部79と、を有する。
【0027】
挙動記憶部71は、複数の表面温度検出部4、室内温度検出部5、室内湿度検出部6及び外気温度検出部12といった各種検出部の各検出値の時間変化を記憶する。
【0028】
結露リスク判別部72は、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度に基づいて結露発生リスクが生じたか否かを判別する。結露リスク判別部72は、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の各検出値に基づいて室内露点温度を演算する。室内露点温度を演算する処理は、室内露点温度取得部17によって室内露点温度を取得する処理である。なお、室内露点温度は、たとえば露点温度計などを用いた他の周知の方法によって取得されて良い。結露リスク判別部72は、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分を演算する。結露リスク判別部72は、最小差分が第1閾値である2℃未満の場合に結露リスクか生じたと判定する。結露リスク判別部72は、最小差分が第1閾値である2℃未満を満たさない場合に結露リスクが無いと判定する。
【0029】
結露要因推定部73は、結露発生リスクの増大要因を推定する。結露要因推定部73は、挙動記憶部71が記憶した時間変化した室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の各検出値の時間変化に基づく室内露点温度が上昇傾向である場合を第1増大要因と推定する。結露要因推定部73は、挙動記憶部71が記憶した時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下した場合を第2増大要因と推定する。
【0030】
選択部74は、結露発生リスクの増大要因に応じて複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を1以上選択する。選択部74は、換気装置8によって換気量を増大する第1結露回避運転と、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量を増大する第2結露回避運転と、空調機9の設定温度を上昇させる第3結露回避運転と、のうちから結露発生リスクの増大要因に応じて対応する結露回避運転を1以上選択する。
【0031】
継続部75は、選択部74が対応する結露回避運転を選択した場合に、対応する結露回避運転を結露リスク判別部72によって結露発生リスクが無いと判定するまで継続させる。
【0032】
通知部76は、結露リスク判別部72によって結露リスクが生じたと判定したことを使用者に通知する。通知部76は、たとえば、タッチパネル部7aに通知情報を表示させる。
【0033】
結露発生判別部77は、結露が発生したか否かを判別する。結露発生判別部77は、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の各検出値に基づいて室内露点温度を演算する。結露発生判別部77は、複数の表面温度検出部4の検出値と室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分を演算する。結露発生判別部77は、最小差分が第2閾値である0℃未満の場合に結露が発生したことを判定する。
【0034】
警告部78は、結露発生判別部77によって結露が発生したことの判定結果を使用者に警告する。警告部78は、たとえば、タッチパネル部7aに警告情報を表示させる。
【0035】
結露除去部79は、結露発生判別部77によって結露が発生したことを判定した場合に、換気装置8によって換気量を増大する結露除去運転を実施する。
【0036】
<制御装置7の構成>
図4は、実施の形態1に係る制御装置7を示すハードウェア構成図である。制御装置7は、換気装置8、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11などの制御を担う。図4に示すように、制御装置7は、CPU、ROM及びRAMなどのメモリ並びにI/Oポートなどの入出力装置を備えたマイコンを有した処理回路である。制御装置7の各種機能部は、メモリなどに構成されている。
【0037】
<環境情報の状態>
図5は、実施の形態1に係る制御装置7が有する環境情報を示す時系列グラフである。ここで、空調換気システム100では、基本的に、換気装置8が24時間連続で運転し、空調機9が使用者の運転指示によって動作している。
【0038】
制御装置7は、換気装置8、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11に運転指示として制御指令を送信する。制御装置7は、空調機9が有する室内温度情報及び室内湿度情報、並びに、壁面温度を検出する複数の表面温度検出部4の壁面温度情報を受信して記憶する。すなわち、制御装置7は、図5に示すような温度情報を取得し、一定期間保有している。
【0039】
図5では、冬期の室内環境情報の一例が示されている。図5に示すように、室内は、空調機9によって20℃前後に温度調整されている。一方、外気温度は、0℃前後になっている。このような場合には、壁面温度群は、室内温度と外気温度との間の温度になる。ここで、対象室1は、高断熱住宅を想定している。このため、壁面温度群は、室内温度に近い15℃~16℃になる。室内温度と壁面温度との差Aは、室内側壁面の対流熱伝達作用で決まる。外気温度と壁面温度との差Bは、外壁部材のうち主に断熱性で決まる。差Aと差Bとの比率は、様々な条件でもほとんど変わらない。
【0040】
ところで、室内露点温度は、室内の水分発生あるいは加湿によって10℃程度に維持されている。一般に、室内温度が20℃程度の場合には、室内露点温度が8℃以上であれば過剰乾燥による悪影響が回避できる。
【0041】
このように、高い断熱性を有する対象室1であれば、壁面温度が室内露点温度を下回る状態、すなわち結露が発生することが無い。しかし、なんらかの影響で壁面温度と室内露点温度とが接近し、結露リスクが高まることがある。
【0042】
壁面温度と室内露点温度との差△Tminが小さくなる場合としては、室内露点温度が上昇する場合あるいは壁面温度が低下する場合がある。差△Tminが小さくなる場合には、特定の領域だけが温度低下する場合と、複数の壁面温度が連動して低下する場合と、に分類できる。空調換気システム100では、これらの状態に応じて最適な結露回避制御が実施される。
【0043】
<空調換気システム100の制御>
図6は、実施の形態1に係る空調換気システム100の制御を示すメインフローチャートである。図7は、実施の形態1に係る空調換気システム100の制御を示すサブフローチャートである。空調換気システム100の制御は、基本的に所定の期間ごとに定期的に実施されている。
【0044】
図6に示すように、空調換気システム100の制御が実施されると、制御装置7は、ステップS1にて、複数の表面温度検出部4からの内壁面の壁面温度群、換気装置8からの外気温度、並びに、空調機9からの室内温度及び室内湿度の温度情報を取得する。制御装置7は、時間変化とともに各種温度情報を挙動記憶部71に随時記憶していく。
【0045】
制御装置7は、ステップS2にて、室内露点温度取得部17を構成した室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の室内温度と室内湿度との温度情報に基づいて室内露点温度を演算する。また、制御装置7は、ステップS2にて、複数の壁面温度それぞれと演算した室内露点温度とを比較して複数の差分を演算する。そして、制御装置7は、ステップS2にて、複数の差分のうち最も小さい最小差分を演算し、最小差分を結露リスク指標である差△Tminとする。
【0046】
制御装置7は、ステップS3にて、差△Tminが第1閾値としての2℃未満であるか否かを判別する。制御装置7は、差△Tminが2℃未満であり、結露リスクがあると判定した場合には、処理をステップS4に移行する。制御装置7は、差△Tminが2℃以上であり、結露リスクが無いと判定した場合には、処理をステップS5に移行する。
【0047】
なお、第1閾値は、2℃に限られず、0℃を超える適切な値に適宜設定できる。ステップS2及びステップS3の処理は、結露発生リスクが生じたか否かを判別する結露リスク判別部72を構成している。
【0048】
制御装置7は、ステップS4にて、結露回避制御を実施する。結露回避制御の詳細は、後述の図7に示すサブフローチャートの処理である。制御装置7は、結露回避制御の実施後には、処理をステップS6に移行する。
【0049】
制御装置7は、ステップS5にて、結露回避制御のフラグを0にし、結露回避制御を行わず、処理を終了する。ステップS5の処理は、継続部75によって結露リスクが無くなるまで対応する結露回避運転を継続した終点の処理である。このため、制御装置7は、対応する結露回避運転を実施していた場合には、その対応する結露回避運転を終了する。また、制御装置7は、結露除去運転を実施していた場合には、結露除去運転を終了する。さらに、制御装置7は、タッチパネル部7aでの通知情報及び警告情報の表示も終了する。
【0050】
制御装置7は、ステップS6にて、差△Tminが第2閾値としての0℃未満であるか否かを判別する。制御装置7は、差△Tminが0℃未満である場合には、壁面に結露が発生したと判定して処理をステップS8に移行する。制御装置7は、差△Tminが0℃以上である場合には、壁面に結露が発生していないと判定して処理をステップS7に移行する。
【0051】
ステップS2及びステップS6の処理は、結露が発生したか否かを判別する結露発生判別部77を構成している。
【0052】
制御装置7は、ステップS8にて、結露発生の警告情報をタッチパネル部7aに表示する。なお、警告情報は、アラームによる報知などでも良い。また、警告情報は、使用者が認識できれば携帯端末あるいはリモコンなどに表示又は報知しても良い。制御装置7は、ステップS8の処理の後、処理をステップS9に移行する。
【0053】
ステップS8の処理は、結露発生判別部77によって結露が発生したことの判定結果を使用者に警告する警告部78を構成している。
【0054】
制御装置7は、ステップS9にて、換気装置8によって換気量を増大する結露除去運転を実施する。制御装置7は、ステップS9の処理の後、処理をステップS1に移行する。
【0055】
ステップS9の処理は、結露発生判別部77によって結露が発生したことを判定した場合に、換気装置8によって換気量を増大する結露除去運転を実施する結露除去部79を構成している。
【0056】
制御装置7は、ステップS7にて、結露発生の警告情報をタッチパネル部7aから非表示に切り替える。非表示に切り替える理由は、差△Tminが0℃以上であり、結露が発生していないからである。制御装置7は、ステップS7の処理の後、処理をステップS1に移行する。
【0057】
<結露回避制御>
図7に示すように、結露回避制御が実施されると、制御装置7は、ステップS41にて、現在結露回避制御中であるか否かを判別する。具滝的には、制御装置7は、結露回避制御のフラグが1であるか否かを判別する。制御装置7は、結露回避制御のフラグが1でないと判定した場合には、処理をステップS42に移行する。制御装置7は、結露回避制御のフラグが1であると判定した場合には、処理をステップS43に移行する。
【0058】
制御装置7は、ステップS42にて、複数の表面温度検出部4からの内壁面の壁面温度群、換気装置8からの外気温度、並びに、空調機9からの室内温度及び室内湿度の温度情報の時間変化量を演算する。この結果、室内露点温度の時間変化による上昇傾向と、壁面温度群の全部の時間変化による低下傾向と、が識別できる。制御装置7は、ステップS42の処理の後、処理をステップS44に移行する。ステップS42の処理は、結露回避制御を新たに開始するタイミング、すなわち、差△Tminが2℃未満となったタイミングであるときに過去の温度履歴から各部温度の時間変化を演算する処理である。制御装置7は、この演算結果の時間変化量から結露リスクが高まった要因を推定し、その要因に最も好適な結露回避運転を実施する。
【0059】
制御装置7は、ステップS44にて、室内露点温度が時間変化によって上昇傾向か否かを判別する。制御装置7は、室内露点温度が時間変化によって上昇傾向と判定した場合には、処理をステップS45に移行する。制御装置7は、室内露点温度が時間変化によって上昇傾向ではないと判定した場合には、処理をステップS46に移行する。
【0060】
ステップS44の処理は、挙動記憶部71が記憶した時間変化した室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の検出した室内温度及び室内湿度の温度情報の時間変化に基づく室内露点温度が上昇傾向である場合を推定する第1増大要因を推定する結露要因推定部73を構成している。
【0061】
制御装置7は、ステップS45にて、換気装置8によって換気量を増大する第1結露回避運転を実施する。制御装置7は、ステップS45の処理の後、処理をステップS46に移行する。
【0062】
室内露点温度が上昇傾向である場合には、室内に新たな水分発生源が生じたと考えられるので、水分排出が最も有効な結露回避運転である。このため、制御装置7は、結露回避運転として換気装置8に換気量増大を指示する。これにより、水分含有量の少ない外気の流入が増えるので、室内露点温度は低下傾向となる。ここで、換気量の増大は、最も確実な結露回避運転である。このため、制御装置7は、ステップS9のような△Tminが0℃未満となった結露発生状態でも、換気量の増大を指示する。
【0063】
一方、換気量の増大によって室内空気よりも低温の外気が流入する。このため、暖房負荷が増大し、空調機9の消費電力が増えてしまうという不利益がある。さらに、対象室1内から一旦水分を排出してしまうと、結露リスクが解消された後も対象室1内が過剰に乾燥した状態が継続してしまうという不利益がある。そのため、室内露点温度が上昇しないケースに対しては換気量の増大ではない対策制御、すなわち、後述するステップS47又はステップS48の結露回避運転を実施する。
【0064】
ステップS45の処理は、換気装置8によって換気量を増大する第1結露回避運転を選択する選択部74を構成している。
【0065】
制御装置7は、ステップS46にて、壁面温度群の全部が時間変化によって低下傾向であるか否かを判別する。制御装置7は、壁面温度群の全部が時間変化によって低下傾向ではないと判定した場合には、処理をステップS47に移行する。制御装置7は、壁面温度群の全部が時間変化によって低下傾向と判定した場合には、処理をステップS48に移行する。
【0066】
ステップS46の処理は、挙動記憶部71が記憶した時間変化した複数の表面温度検出部4の壁面温度の温度情報の全部が低下した場合を第2増大要因と推定する結露要因推定部73を構成している。
【0067】
制御装置7は、ステップS47にて、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量を増大する第2結露回避運転を実施する。制御装置7は、ステップS47の処理の後、処理をステップS49に移行する。
【0068】
特定の壁面温度だけが低下する場合には、温度低下した部位周辺の空気移動が阻害されたと考えられる。たとえば、温度低下した壁面箇所を隠すように什器16又は荷物が置かれた場合、あるいは、カーテンが窓面に接するように閉じられた場合などである。このようなときには、壁面近傍の空気移動を促進するように、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量増加の運転指示によって室内空気の移動を促進するような結露回避運転が実施される。風による内壁近傍の対流促進は、電力増大をほとんど伴わず、エネルギー消費量が増加しない対策制御である。一方、送風騒音及びドラフト感が増大するので、室内快適性が悪化する懸念がある。このため、風量増加の対策制御は、一時的な結露回避運転として用いる。
【0069】
ステップS47の処理は、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量を増大する第2結露回避運転を選択する選択部74を構成している。
【0070】
制御装置7は、ステップS48にて、空調機9の設定温度を上昇させる第3結露回避運転を実施する。制御装置7は、ステップS48の処理の後、処理をステップS49に移行する。
【0071】
室内露点温度が不変のまま壁面温度が低下しても結露リスクが高まる。複数の壁面温度の全部が低下するような場合には、室内温度が低下している又は外気温度が低下していると考えられる。このため、対策制御としては、室内温度を上昇させるべく空調機9の設定温度である温調目標値を上昇させる結露回避運転が実施される。室内温度が上昇すれば、室内湿度を低下させずに結露リスクが低減でき、対象室内の過剰な乾燥が回避できる。空調機9の設定温度の上昇は、一時的に空調機9の消費電力の増大を伴う。しかし、結露リスクが回避された後に空調機9の設定温度を下げると、空調機9の消費電力が低減できる。その結果、大きな消費電力増大を伴わずに結露回避運転が実現できる。
【0072】
ステップS48の処理は、空調機9の設定温度を上昇させる第3結露回避運転を選択する選択部74を構成している。
【0073】
制御装置7は、ステップS49にて、結露回避制御のフラグを1にする。制御装置7は、ステップS49の処理の後、結露回避制御の処理を終了し、処理を図6のステップS6に移行する。
【0074】
一方、制御装置7は、ステップS41から引き続くステップS43にて、結露回避制御のフラグが1であると判定した場合には、現在の対応する結露回避運転、すなわち、実施中の第1結露回避運転、第2結露回避運転又は第3結露回避運転のいずれか1つあるいは2以上の組み合わせを継続する。制御装置7は、ステップS43の処理の後、結露回避制御の処理を終了し、処理を図6のステップS6に移行する。
【0075】
ステップS43の処理は、選択部74が対応する結露回避運転を選択した場合に、対応する結露回避運転を結露リスク判別部72によって結露発生リスクが無いと判定するまで継続させる継続部75を構成している。
【0076】
ステップS44及びステップS46の処理は、結露発生リスクの増大要因を推定する結露要因推定部73を構成している。
【0077】
ステップS45、ステップS47及びステップS48の処理は、結露発生リスクの増大要因に応じて複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を1以上選択する選択部74を構成している。
【0078】
<実施の形態1の効果>
実施の形態1によれば、空調換気システム100は、換気装置8と、空調機9と、内壁近傍に設置された第1送風機10及び第2送風機11と、内壁の複数箇所に配置された表面温度検出部4と、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の検出値に基づいて室内露点温度を取得する室内露点温度取得部17と、制御装置7と、を備える。制御装置7は、複数の表面温度検出部4、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6を含む各種検出部の検出値の時間変化を記憶する挙動記憶部71を有する。制御装置7は、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度に基づいて結露発生リスクが生じたか否かを判別する結露リスク判別部72を有する。制御装置7は、結露発生リスクの増大要因を推定する結露要因推定部73を有する。制御装置7は、結露発生リスクの増大要因に応じて設定された複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を選択する選択部74を有する。
【0079】
この構成によれば、結露発生リスクの増大要因に応じた最適な結露回避運転が実施できる。したがって、結露回避のための結露回避運転が適切に実施され、室内快適性を確保した状態で結露が回避できる。その結果、結露リスクの増大要因によって結露回避運転が選択でき、たとえば室内水分量が増大するような場合でも確実に結露が回避できる。また、一時的な室温低下又は外気温度低下による結露リスクの増大要因に対しては、室内水分を排出しない結露回避運転が実施でき、過剰乾燥にならない快適な環境が維持できる。さらに、特定部位の結露リスクの増大要因に対しては、内壁近傍の対流を促進する結露回避運転が実施でき、快適性の悪化あるいは消費電力の増大を伴うことなく、速やかに結露リスクが解消できる。
【0080】
実施の形態1によれば、制御装置7は、選択部74が対応する結露回避運転を選択した場合に、対応する結露回避運転を結露リスク判別部72によって結露発生リスクが無いと判定するまで継続させる継続部75を有する。
【0081】
この構成によれば、結露発生リスクが無くなるまで対応する結露回避運転が継続されるので、室内快適性を確保した状態で結露が完全に回避できる。
【0082】
実施の形態1によれば、結露リスク判別部72は、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17の取得した室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分を演算する。結露リスク判別部72は、最小差分が第1閾値未満である2℃未満の場合に結露リスクか生じたと判定する。
【0083】
この構成によれば、制御装置7は、結露リスクか生じたことを確実に判定できる。
【0084】
実施の形態1によれば、結露リスク判別部72は、最小差分が第1閾値未満である2℃未満を満たさない場合に結露リスクが無いと判定する。
【0085】
この構成によれば、制御装置7は、結露リスクか無いことを確実に判定できる。
【0086】
実施の形態1によれば、室内露点温度取得部17は、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6を有する。室内露点温度取得部17は、室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の各検出値に基づいて室内露点温度を演算する。
【0087】
この構成によれば、室内露点温度取得部17は、室内露点温度を室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の各検出値から容易に取得できる。
【0088】
実施の形態1によれば、結露要因推定部73は、時間変化した室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度が上昇傾向である場合を第1増大要因と推定する。結露要因推定部73は、挙動記憶部71が記憶した時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下した場合を第2増大要因と推定する。
【0089】
この構成によれば、制御装置7は、第1増大要因又は第2増大要因からなる結露発生リスクの増大要因を推定できる。
【0090】
実施の形態1によれば、結露要因推定部73は、挙動記憶部71が記憶した時間変化した室内温度検出部5及び室内湿度検出部6の各検出値の時間変化に基づく室内露点温度が上昇傾向である場合を第1増大要因と推定する。
【0091】
この構成によれば、制御装置7は、第1増大要因である結露発生リスクの増大要因を推定できる。
【0092】
実施の形態1によれば、選択部74は、換気装置8によって換気量を増大する第1結露回避運転と、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量を増大する第2結露回避運転と、空調機9の設定温度を上昇させる第3結露回避運転と、のうちから結露発生リスクの増大要因に応じて対応する1以上の結露回避運転を選択する。
【0093】
この構成によれば、結露発生リスクの増大要因に応じて、第1結露回避運転と第2結露回避運転と第3結露回避運転とのいずれか又は複数の組み合わせから対応する結露回避運転が選択できる。
【0094】
実施の形態1によれば、制御装置7は、結露要因推定部73によって時間変化した室内露点温度取得部17が取得した室内露点温度が上昇傾向である第1増大要因を推定した場合に、選択部74が換気装置8によって換気量を増大する第1結露回避運転を選択する。
【0095】
この構成によれば、室内露点温度が上昇傾向であることから室内水分量が増大する。この場合には、換気装置8によって換気量を増大する第1結露回避運転が選択され、結露が確実に回避できる。
【0096】
実施の形態1によれば、制御装置7は、結露要因推定部73によって挙動記憶部71が記憶した時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下した第2増大要因ではないと推定した場合に、選択部74が空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量を増大する第2結露回避運転を選択する。
【0097】
この構成によれば、時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下しないことから特定部位の結露リスクの増大要因が発生している。この場合には、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量を増大して内壁近傍の対流を促進する結露回避運転が実施でき、快適性の悪化あるいは消費電力の増大を伴うことなく、速やかに結露リスクが解消できる。
【0098】
実施の形態1によれば、制御装置7は、結露要因推定部73によって挙動記憶部71が記憶した時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下した第2増大要因を推定した場合に、選択部74が空調機9の設定温度を上昇させる第3結露回避運転を選択する。
【0099】
この構成によれば、時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下することから一時的な室温低下又は外気温度低下による結露リスクの増大要因が発生している。この場合には、空調機9の設定温度を上昇させて室内水分を排出しない結露回避運転が実施でき、過剰乾燥にならない快適な環境が維持できる。
【0100】
実施の形態1によれば、制御装置7は、結露リスク判別部72によって結露リスクが生じたと判定したことを使用者に通知する通知部76を有する。
【0101】
この構成によれば、使用者は、結露リスクが生じたことを認識できる。
【0102】
実施の形態1によれば、制御装置7は、結露が発生したか否かを判別する結露発生判別部77を有する。
【0103】
この構成によれば、制御装置7は、結露が発生したか否かを判別できる。
【0104】
実施の形態1によれば、結露発生判別部77は、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分を演算する。結露発生判別部77は、最小差分が第2閾値未満である0℃未満の場合に結露が発生したことを判定する。
【0105】
この構成によれば、制御装置7は、結露が発生したことを判定できる。
【0106】
実施の形態1によれば、制御装置7は、結露発生判別部77によって結露が発生したことの判定結果を使用者に警告する警告部78を有する。
【0107】
この構成によれば、使用者は、結露が発生したことを認識できる。
【0108】
実施の形態1によれば、制御装置7は、結露発生判別部77によって結露が発生したことを判定した場合に、換気装置8によって換気量を増大する結露除去運転を実施する結露除去部79を有する。
【0109】
この構成によれば、結露が発生した場合には、換気装置8によって換気量を増大する結露除去運転が実施でき、結露が除去できる。
【0110】
実施の形態1によれば、空調換気システム100の制御装置7は、内壁の複数箇所に配置された複数の表面温度検出部4の検出結果と、室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度と、に応じて、換気装置8と、空調機9と、内壁近傍に設置された第1送風機10及び第2送風機11と、を制御する。空調換気システム100の制御装置7は、複数の表面温度検出部4を含む各種検出部の検出値の時間変化を記憶する挙動記憶部71を有する。空調換気システム100の制御装置7は、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17が取得した室内露点温度に基づいて結露発生リスクが生じたか否かを判別する結露リスク判別部72を有する。空調換気システム100の制御装置7は、結露発生リスクの増大要因を推定する結露要因推定部73を有する。空調換気システム100の制御装置7は、結露発生リスクの増大要因に応じて設定された複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を選択する選択部74を有する。
【0111】
この構成によれば、結露回避のための結露回避運転が適切に実施され、室内快適性を確保した状態で結露が回避できる。
【0112】
実施の形態1によれば、空調換気システム100の制御装置7は、内壁の複数箇所に配置された複数の表面温度検出部4の検出結果と、室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度と、に応じて、換気装置8と、空調機9と、内壁近傍に設置された第1送風機10及び第2送風機11と、を制御する。複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17の取得した室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合であって、時間変化した室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度が上昇傾向である場合は、換気装置8によって換気量を増大する第1結露回避運転を実施する。複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17の取得した室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合であって、時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下していない場合には、空調機9、第1送風機10及び第2送風機11の風量を増大する第2結露回避運転を実施する。複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17の取得した室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合であって、時間変化した複数の表面温度検出部4の各検出値の全部が低下した場合には、空調機9の設定温度を上昇させる第3結露回避運転を実施する。
【0113】
この構成によれば、結露回避のための結露回避運転が適切に実施され、室内快適性を確保した状態で結露が回避できる。
【0114】
実施の形態1によれば、第1結露回避運転、第2結露回避運転又は第3結露回避運転のうちの1以上の対応する結露回避運転を実施した場合は、対応する結露回避運転を複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17の取得した室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値を超えるまで継続させる。
【0115】
この構成によれば、結露発生リスクが無くなるまで対応する結露回避運転が継続されるので、室内快適性を確保した状態で結露が完全に回避できる。
【0116】
実施の形態1によれば、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17の取得した室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第1閾値未満の場合は、結露リスクが生じたと判定したことを使用者に通知する。
【0117】
この構成によれば、使用者は、結露リスクが生じたことを認識できる。
【0118】
実施の形態1によれば、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第2閾値未満の場合は、結露が発生したことを使用者に警告する。
【0119】
この構成によれば、使用者は、結露が発生したことを認識できる。
【0120】
実施の形態1によれば、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度との差分のうち最も小さい最小差分△Timが第2閾値未満の場合は、換気装置8によって換気量を増大する結露除去運転を実施する。
【0121】
この構成によれば、結露が発生した場合には、換気装置8によって換気量を増大する結露除去運転が実施でき、結露が除去できる。
【0122】
実施の形態1によれば、空調換気システム100の制御方法は、内壁の複数箇所に配置された表面温度検出部4の検出結果と、室内露点温度取得部17によって取得された室内露点温度と、に応じて、換気装置8と、空調機9と、内壁近傍に設置された第1送風機10及び第2送風機11と、を制御する。空調換気システム100の制御方法は、複数の表面温度検出部4を含む各種検出部の検出値の時間変化を記憶する挙動記憶ステップを含む。空調換気システム100の制御方法は、複数の表面温度検出部4の各検出値と室内露点温度取得部17が取得した室内露点温度に基づいて結露発生リスクが生じたか否かを判別する結露リスク判別ステップを含む。空調換気システム100の制御方法は、結露発生リスクの増大要因を推定する結露要因推定ステップを含む。空調換気システム100の制御方法は、結露発生リスクの増大要因に応じて複数の結露回避運転のうちから対応する結露回避運転を選択する選択ステップを含む。
【0123】
この構成によれば、結露回避のための結露回避運転が適切に実施され、室内快適性を確保した状態で結露が回避できる。
【符号の説明】
【0124】
1 対象室、2 給気口、3 排気口、4 表面温度検出部、5 室内温度検出部、6 室内湿度検出部、7 制御装置、7a タッチパネル部、8 換気装置、9 空調機、10 第1送風機、11 第2送風機、12 外気温度検出部、13 第1換気送風機、14 第2換気送風機、15 熱交換器、16 什器、17 室内露点温度取得部、71 挙動記憶部、72 結露リスク判別部、73 結露要因推定部、74 選択部、75 継続部、76 通知部、77 結露発生判別部、78 警告部、79 結露除去部、100 空調換気システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7