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特許7195440低減された厚さ及び低減されたディスク平坦度を有するディスクを備える磁気記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】低減された厚さ及び低減されたディスク平坦度を有するディスクを備える磁気記録装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/73 20060101AFI20221216BHJP
   G11B 5/82 20060101ALI20221216BHJP
   G11B 5/84 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
G11B5/73
G11B5/82
G11B5/84 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021532449
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 US2020038763
(87)【国際公開番号】W WO2021061237
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】16/583,169
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504056130
【氏名又は名称】ウェスタン デジタル テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スズキ、ショウジ
(72)【発明者】
【氏名】ビアンキーニ、ジョン、ミッチェル
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-007251(JP,A)
【文献】特開平07-296377(JP,A)
【文献】特開平11-232631(JP,A)
【文献】特開平03-212817(JP,A)
【文献】特開2000-143285(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00941973(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/73
G11B 5/82
G11B 5/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブで用いられるディスクを作製するための方法であって、
作製される新しいディスクに対する許容可能な平坦度偏差を選択することと、
前記ハードディスクドライブで用いられるために構成された基準ディスクを取得することであって、前記基準ディスクは厚さ(S )の基板を有しており、第1のニッケルリン(NiP)コーティングが前記基板の第1の表面上に直接にあり、第2のNiPコーティングが前記基板の反対側の第2の表面上に直接にあり、平坦度偏差は前記許容可能な平坦度偏差未満である、取得することと、
前記基準ディスクの前記第1のNiPコーティングの厚さと前記第2のNiPコーティングの厚さとの間の厚さの差(TD )を決定することと、
前記新しいディスクのための基板を提供することであって、前記基板が、基板厚さ を有するとともに、前記基準ディスクの直径と同一の直径を有する、提供することと、
前記新しいディスクの前記基板の第1の表面に塗布される第1のNiPコーティングと前記新しいディスクの前記基板の反対の表面である第2の表面に塗布される第2のNiPコーティングとの間の厚さの差(TD )を決定することであって、前記新しいディスクのための前記厚さの差(TD )は、前記基準ディスクの前記厚さの差(TD )、および、S のS に対する無次元比の2乗に少なくとも部分的に基づいて決定される、決定することと、
前記新しいディスクの前記基板の前記第1の表面上に、前記第1のNiPコーティングを直接に形成することと、
前記新しいディスクの前記基板の前記第2の表面上に、前記第2のNiPコーティングを直接に形成することと、を含み、
前記新しいディスクの前記第1のNiPコーティングと前記第2のNiPコーティングとの間の厚さの差は、前記新しいディスクのための前記厚さの差(TD )以下である、方法。
【請求項2】
前記新しいディスクのための前記厚さの差(TD )が、
【数1】
の関数として決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基準ディスクの前記基板は、基板ヤング率値E を有しており、
前記新しいディスクの前記基板は、基板ヤング率値E を有しており、
前記新しいディスクのための前記厚さの差(TD )は、E のE に対する無次元比に少なくとも部分的に基づいてさらに決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記新しいディスクのための前記厚さの差(TD )が、
【数2】
の関数として決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基準ディスクの前記基板および前記新しいディスクの前記基板が、同一材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基準ディスクの前記基板および前記新しいディスクの前記基板が、マグネシウム、亜鉛、ガラス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項に記載の方法
【請求項7】
前記基準ディスクの前記基板および前記新しいディスクの前記基板は、Al-Mgを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記新しいディスクのための前記厚さの差(TD )は、最大の許容可能な厚さの差(MTD )である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基準ディスクの前記第1のNiPコーティングおよび前記第2のNiPコーティングの膨張率は、前記基準ディスクの前記基板の膨張率未満であり、
前記新しいディスクの前記第1のNiPコーティングおよび前記第2のNiPコーティングの膨張率は、前記新しいディスクの前記基板の膨張率未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のコーティング上に磁気記録層を形成することであって、前記磁気記録層が、情報を記憶するように構成されている、形成することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記基準ディスクは、前記新しいディスクの前の反復である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
が、約0.5ミリメートル(mm)である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記新しいディスクの前記第1のNiPコーティングおよび前記第2のNiPコーティングが、12~30マイクロメートル(μm)の範囲内の厚さを有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年9月25日に出願された「MAGNETIC RECORDING APPARATUS COMPRISING DISK WITH REDUCED THICKNESS AND REDUCED DISK FLATNESS」と題する米国特許出願第16/583,169号の優先権及び利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、磁気記録装置に関し、より具体的には、低減された厚さ及び低減されたディスク平坦度を有するディスクを含む磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0003】
序論
ハードドライブディスク(HDD)などの磁気記憶デバイスは、データ又は情報を磁気的に記憶する記憶デバイスである。高容量HDDは、多くの場合、データを記憶するために複数のディスクを使用する。HDD内でディスクの数が増加するにつれて、ディスク(複数可)の厚さは、HDDのサイズを同じに又はより小さく保つために低減される場合がある。しかしながら、ディスクは、多くが異なる機能を有する多くの異なる層を含む。ディスクの厚さを単純に低減すると、ディスクの性能に影響を及ぼす物理的制限及び制約がもたらされ、多くの場合、ディスクがHDDと一緒に適切に動作するのを妨げ得る。したがって、HDDの性能を維持し及び/又は増加させながら、低減された厚さを有するディスク(複数可)を含むHDDが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
磁気記録装置用のディスクが提供される。ディスクは、第1の表面及び第2の表面を備える基板を含み、基板は、基板厚さを有する。ディスクは、基板の第1の表面上に配設された第1のコーティング層を含み、第1のコーティング層は、第1のコーティング層厚さを有する。ディスクは、基板の第2の表面上に配設された第2のコーティング層を含み、第2のコーティング層は、第2のコーティング層厚さを有する。ディスクは、ディスク厚さを有し、ディスク厚さは、基板厚さを含む。第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差は、ディスク厚さの2乗の関数である。
【0005】
情報を記憶するように構成されている磁気記憶デバイスが提供される。磁気記憶デバイスは、ディスクと、ディスクの表面上を滑動するように構成されているスライダと、を含む。ディスクは、第1の表面及び第2の表面を備える基板を含み、基板は、基板厚さを有する。ディスクは、基板の第1の表面上に配設された第1のコーティング層を含み、第1のコーティング層は、第1のコーティング層厚さを有する。ディスクは、基板の第2の表面上に配設された第2のコーティング層を含み、第2のコーティング層は、第2のコーティング層厚さを有する。ディスクは、ディスク厚さを有し、ディスク厚さは、基板厚さを含む。第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差は、ディスク厚さの2乗の関数である。
【0006】
磁気記録装置用のディスクを作製するための方法が提供される。この方法は、第1の表面及び第2の表面を備える基板を提供し、基板は、基板厚さを有する。この方法は、基板の第1の表面上に第1のコーティング層を形成し、第1のコーティング層は、第1のコーティング層厚さを有する。この方法は、基板の第2の表面上に第2のコーティング層を形成し、第2のコーティング層は、第2のコーティング層厚さを有する。ディスクは、ディスク厚さを有するように作製され、ディスク厚さは、基板厚さを含む。第2のコーティング層は、第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差が、ディスク厚さの2乗の関数であるように、第2の表面上に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係るディスクドライブの平面図を示す。
【0008】
図2】本開示の一実施形態に係るスライダ及びディスクの断面図を示す。
【0009】
図3】本開示の一実施形態に係るディスクの断面図を示す。
【0010】
図4】本開示の一実施形態に係るディスクの断面図を示す。
【0011】
図5】本開示の一実施形態に係るディスクの断面図を示す。
【0012】
図6】本開示の一実施形態に係るディスクの断面図を示す。
【0013】
図7】本開示の実施形態に係る応力下のディスクの断面図を示す。
【0014】
図8】2つのコーティング層間の最大の厚さの差を判定するための方法の例示的なフロー図を示す。
【0015】
図9】異なるメッキ厚さがどのようにディスクに影響を及ぼし得るかのグラフを示す。
【0016】
図10A】低減された厚さ及び低減された平坦度を有するディスクを作製するためのプロセスの例示的なシーケンスを示す。
図10B】低減された厚さ及び低減された平坦度を有するディスクを作製するためのプロセスの例示的なシーケンスを示す。
【0017】
図11】低減された厚さ及び低減された平坦度を有するディスクを作製するための方法の例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、本開示の様々な態様の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が与えられる。しかしながら、態様は、これらの具体的な詳細を伴わずに実践され得ることが当業者には理解されよう。例えば、回路は、不必要な詳細において態様を不明瞭にするのを回避するために、ブロック図に示される場合がある。他の例では、周知の回路、構造、及び技術は、本開示の態様を不明瞭にしないために、詳細に示されない場合がある。
【0019】
本開示では、情報を記憶するように構成されている磁気記憶デバイス(例えば、ディスクドライブ、ハードディスクドライブ)を説明する。磁気記憶デバイスは、ディスクと、ディスクの表面上を滑動するように構成されているスライダとを含む。ディスクは、第1の表面及び第2の表面を備える基板を含み、基板は、基板厚さを有する。ディスクは、基板の第1の表面上に配設された第1のコーティング層を含み、第1のコーティング層は、第1のコーティング層厚さを有する。ディスクは、基板の第2の表面上に配設された第2のコーティング層を含み、第2のコーティング層は、第2のコーティング層厚さを有する。ディスクは、ディスク厚さを有し、ディスク厚さは、基板厚さを含む。ディスクは、通常、いくらかの平坦度偏差を有する。ディスクの最大平坦度偏差を指定することは、ディスクの最高点とディスクの最低点との間に過度にばらつきがないことを確実にするのに役立つ。平坦度偏差が大きすぎると、スライダが所望のフライ特性から逸脱し、及び/又はディスクの一部に当たることさえあり得る。平坦度偏差は、2つのコーティング層における応力レベルが典型的には同じであるため、これらの同時にめっきされる2つの層(例えば、第1のコーティング層と第2のコーティング層)の間の厚さの差による応力不均衡に関連する。したがって、ディスクが最大平坦度偏差を超えないことを確実にするために、第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの差は、最大の厚さの差を超えてはいけない。第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差は、ディスク厚さの2乗の関数である。いくつかの実装形態では、第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差は、(i)基板厚さを含む第1の比の2乗、及び(ii)基板ヤング率値を含む第2の比の関数である。
低減厚さディスク(複数可)を有する例示的な記憶デバイス
【0020】
図1は、低減された厚さのディスクを使用するために構成されているディスクドライブ100(例えば、ハードディスクドライブ)の平面図を示す。ディスクドライブ100は、あるタイプの磁気記憶デバイスであってもよい。ディスクドライブ100は、1つ以上の媒体102(例えば、ディスク)、スピンドルアセンブリ104、ドライブハウジング106、スライダ108、及び回路110を含む。スライダ108は、スライダヘッドを含んでもよい。スライダ108は、スライダヘッドを位置付けるために使用されてもよい。1つ以上の媒体102は、データを記憶するように構成されてもよい。媒体102は、磁気記録媒体であってもよい。媒体102は、媒体ディスクであってもよい。媒体102は、データを記憶するための手段であってもよい。以下で更に説明するように、媒体102は、特定の条件を満たす低減された厚さ媒体(例えば、低減された厚さのディスク)であってもよい。媒体102は、ドライブハウジング106に取り付けられたスピンドルアセンブリ104上に位置付けられる。データは、媒体102の磁気記録層内のトラックに沿って記憶されてもよい。データの読み取り及び書き込みは、スライダ108と共に配置された読み取り要素及び書き込み要素を用いて達成される。書き込み要素は、媒体102の磁気記録層の特性を変更し、それによって、そこに情報を書き込むために使用される。一実装形態では、スライダ108は、誘導読み取り/書き込みヘッド又はホール効果ヘッドを含み得る。
【0021】
ディスクドライブ100の動作中、スピンドルモータ(図示せず)がスピンドルアセンブリ104を回転させ、それによって、媒体102を回転させる。スライダ108は、所望のディスクトラック107に沿った特定の位置において媒体102上に位置付けられてもよい。媒体102に対するスライダ108の位置は、位置制御回路110によって制御されてもよい。媒体102が回転しているとき、スライダ108は、媒体102上を滑動し得る。
【0022】
図2は、図1のスライダ108及び媒体102の断面図を示す。具体的には、図2は、スライダ108、近距離変換器(NFT)204(ヘッドが熱補助型磁気記録(HAMR)ヘッドである場合)、書き込み器206、及び読み取り器208を含むアセンブリ200を示す。NFT204は、非HAMRヘッドでは省略されてもよく、他の構成要素は、他のタイプのエネルギー補助型記録技術(例えば、マイクロ波補助型磁気記録(MAMR)ヘッド内のスピントルクオシレータ(STO))において代わりに使用されてもよい。アセンブリ200は、媒体102上に位置付けられる。スライダ108は、1つの構成要素又はいくつかの構成要素であってもよい。スライダ108は、スライダ及びスライダヘッドを含んでもよい。いくつかの実装形態では、スライダヘッドは、スライダ108と一体化され得る別個の構成要素であってもよい。NFT204、書き込み器206、及び読み取り器208は、スライダ、スライダヘッド、又はこれらの組み合わせ内に実装されてもよい。
【0023】
スライダ108は、媒体102に面する第1の表面180(例えば、下面)を含む。第1の表面180は、エアベアリング面(ABS)と称され得る。スライダ108はまた、媒体102から離れて面する第2の表面182(例えば、上面)を含む。NFT204、書き込み器206、及び読み取り器208は、スライダ108の第1の表面180の近くに又はそれに沿って配置されてもよい。書き込み器206は、媒体102上にデータを書き込むための書き込み要素(例えば、データを書き込むための手段)であってもよく、読み取り器208は、媒体102上のデータを読み取るための読み取り要素(例えば、データを読み取るための手段)であってもよい。書き込み器206は、書き込み極/書き込み器の極を含んでもよい。
【0024】
図3は、ディスク300の拡大図を示す。ディスク300は、本開示に記載されるように、媒体102であってもよい。図3に示すように、ディスク300は、基板301と、基板301の第1の表面上に配設された第1のコーティング層302と、基板301の第2の表面上に配設された第2のコーティング層304と、第1のコーティング層302上に配設された第1の磁気記録層320と、第2のコーティング層304上に配設された第2の磁気記録層340と、第1の磁気記録層320上に配設された第1の保護層322と、第2の磁気記録層340上に配設された第2の保護層342と、を含む。いくつかの実装形態では、ディスク300は、図3について記載された層のうちのいくつかのみを含んでもよい。ディスク300は、他の層及び/又は構成要素を含んでもよいことに留意されたい。基板301は、ガラス、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304は各々、ニッケルリン(NiP)を含んでもよい。第1及び第2の磁気記録層(例えば、320、340)は、コバルト白金(CoPt)、鉄白金(FePt)合金、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。第1及び第2の保護層(例えば、322、342)は、炭素、ダイヤモンド様結晶、水素及び/若しくは窒素ドーピングを持つ炭素、並びに/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0025】
基板301は、基板厚さ(S1)を有し、第1のコーティング層は、第1のコーティング層厚さ(C1)を有し、第2のコーティング層は、第2のコーティング層厚さ(C2)を有する。ディスク300のディスク厚さ(D1)は、基板(S1)、第1のコーティング層厚さ(C1)、及び第2のコーティング層厚さ(C2)を含んでもよい。しかしながら、ディスク300のディスク厚さ(D1)は、異なって定義されてもよいことに留意されたい。例えば、いくつかの実装形態では、ディスク300のディスク厚さ(D1)は、第1の磁気記録層320、第2の磁気記録層340、第1の保護層322、及び/又は第2の保護層342の厚さを含んでもよい。
【0026】
図4図6は、コーティング層(例えば、302、304)の厚さの差がどのようにディスクごとに変化し得るかの例を示す。図4は、基板301、第1のコーティング層302、及び第2のコーティング層304を含むディスク300の例を示し、第1のコーティング層厚さ(C1)は、第2のコーティング層厚さ(C2)に等しい。図5は、基板301、第1のコーティング層302、及び第2のコーティング層304を含むディスク300の例を示し、第1のコーティング層厚さ(C1)は、第2のコーティング層厚さ(C2)よりも大きい。図6は、基板301、第1のコーティング層302、及び第2のコーティング層304を含むディスク300の例を示し、第1のコーティング層厚さ(C1)は、第2のコーティング層厚さ(C2)未満である。
【0027】
ディスク剛性及びディスク平坦度偏差(又はディスク平坦度)は、ディスクの重要な特性であり、特定の量のディスク剛性をディスクに提供し、かつ平坦度偏差の量を制限することが重要である。ディスク剛性の最小値は、ディスクが動作中(例えば、スピン中)に過度に振動しないことを確実にするのに役立つ。ディスク剛性が高いほど、ディスク振動は、より小さくなる。許容可能なディスク平坦度とは、ヘッドフライ特性に悪影響を及ぼす、トポグラフィ的な変動があまり存在しないことを意味する。最大平坦度偏差は、ディスクの最高点とディスクの最低点との間に過度にばらつきがないことを確実にするのに役立つ。平坦度偏差が大きすぎると、スライダがディスクの一部に当たり得る。したがって、ディスクのディスク厚さが低減されるとき、ディスクは、依然として最小ディスク剛性を満たさなければならず、平坦度偏差は、最大の許容可能な平坦度偏差よりも低くなければならない。
【0028】
ディスクのディスク剛性は、基板301及び/又はコーティング層(例えば、302、304)に使用される材料によって制御されてもよい。ディスクのディスク平坦度偏差(例えば、ディスク平坦度)は、主としてディスク(例えば、300)のコーティング層(例えば、302、304)における厚さ不均衡(又は厚さの差)に比例する応力不均衡によって引き起こされる。コーティング層間の差が高いほど、応力不均衡はより高くなり、ディスクのディスク平坦度偏差はより高くなる。同様に、コーティング層間の差が低いほど、応力不均衡はより低くなり、ディスクのディスク平坦度偏差はより低くなる。
【0029】
コーティング層内の内部応力は、基板301(例えば、Al-Mg材料)とコーティング層(例えば、NiP)302及び/又は304との間の熱膨張率(例えば、熱膨張係数(CTE)の差)の差によって判定される。なぜならば、コーティング層(例えば、302、304)の膨張率が基板301よりも小さい(例えば、圧縮応力が通常、コーティング層302、304内に存在する)からである。図7は、コーティング層(複数可)(例えば、302、304)及び基板301の膨張率の差によるディスク300における引張応力及び圧縮応力を示す。引張応力及び圧縮応力により、ディスク300は平坦度(又は平坦度偏差)(A)を有する。コーティング層(複数可)302及び/又は304におけるこの応力不均衡は、厚さが十分な厚さを有する基板301によって支持されなければならない。したがって、より薄い基板301は、第1のコーティング層302と第2のコーティング層304との間のより低い厚さの差を必要とするはずである。したがって、ディスク300のディスク厚さ(D1)が薄くなるにつれて、第1のコーティング層厚さ(C1)と第2のコーティング層厚さ(C2)との差がディスクの平坦度に影響を与えるため、第1のコーティング層厚さ(C1)と第2のコーティング層厚さ(C2)との厚さの差を制御することが重要である。いくつかの実装形態では、異なるディスク厚さ(D1)は、第1のコーティング層厚さ(C1)と第2のコーティング層厚さ(C2)との差のために、異なる公差(例えば、最大の厚さの差)を有し得る。どのようにこのような厚さの差を判定すべきかについて、以下に更に記載される。
ディスクのコーティング層間の最大の厚さの差を判定する
【0030】
指定されたディスク厚さについてコーティング層間の最大の許容可能な厚さの差を実験によって判定することは、時間がかかるプロセスであり得る。時間がかかる実験を実施する代わりに、指定されたディスク厚さについてのコーティング層間の最大の許容可能な厚さの差は、以下の式又は関数を使用することによって判定することができる。
【数1】
MTDは、ディスク(例えば、現在のディスク、第1のディスク)の第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差であり、
は、ディスク(例えば、現在のディスク、第1のディスク)のディスク厚さであり、
は、ディスクの基板(例えば、現在の基板、第1の基板)の基板ヤング率値であり、
は、特定の基板(例えば、第2の基板、別の基板、基準基板)の基板ヤング率値であり、
は、特定の基板(例えば、第2の基板、別の基板、基準基板)を備える特定のディスク(例えば、第2のディスク、別のディスク、基準ディスク)のディスク厚さであり、
MTDは、特定のディスクの第1の特定のコーティング層厚さと第2の特定のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差である。
【0031】
上記の関数は、第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差(MTD)が、ディスク厚さの2乗の関数であることを示している。特に、上記の関数は、第1のコーティング層厚さと第2のコーティング層厚さとの間の最大の厚さの差(MTD)が、(i)ディスク厚さ(D)を含む第1の比の2乗、及び(ii)基板ヤング率値(E)を含む第2の比の関数であることを示している。様々な比の分子及び分母は、基準ディスクとして使用されるディスク及び所望のディスク(例えば、現在のディスク)の特性及び寸法に基づいて変化する。
【0032】
上記の式又は関数は、特定のディスク厚さについて値が既知であるとき、非常に有用である。例えば、第2のディスク及び第2の基板の特性が既知である場合、第1のディスク、第1の基板、及び/又はコーティング層(複数可)の特性は、上記の関数を使用することによって判定され得る。上記の式を使用して、任意の所望の又は指定されたディスク厚さについて、ディスク300が20マイクロメートル(μm)の最大平坦度A(又は最大平坦度偏差)を有することを確実にすることができ、これは、ディスク300がHDDと一緒に適切に動作するのを確実にすることに役立つ。
【0033】
関数1はD及びDを使用するが、いくつかの実装形態では、D及びDの代わりにS及びSが使用されてもよいことに留意されたい。したがって、いくつかの実装形態では、関数1の目的で、DはSに等しく、DはSに等しく、Sは、基板(例えば、現在の基板、第1の基板)の基板厚さであり、Sは、特定の基板(例えば、別の基板、第2の基板、基準基板)の基板厚さである。
【0034】
異なる実装形態は、ディスクのために異なる厚さを使用してもよい。いくつかの実装形態では、ディスク300は、0.2ミリメートル(mm)~1ミリメートル(mm)の範囲内にある厚さ(例えば、0.38mm、0.5mm、0.6mm、0.635mm、0.8mm、及び1mm)を有してもよい。基板のヤング率値は、60~100ギガパスカル(Gpa)の範囲内にあってもよい(例えば、68Gpa、95Gpa、60~80Gpa)。いくつかの実装形態では、十分な剛性を有するために、第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304は各々、約12~30マイクロメートル(μm)の範囲内にある厚さを有してもよい。ディスク300並びに第1及び第2のコーティング層(例えば、302、304)に関して例示的な材料及び厚さを説明したが、上記の関数の使用を、以下において表1及び表2に示す。
【表1】
【0035】
表1は、別のディスク(例えば、第2のディスク、基準ディスク)の特性が既知である場合、ディスク(例えば、現在のディスク、第1のディスク)に関して2つのコーティング層間の最大の厚さの差がどのように判定され得るかを示す。この例では、特定の基板を備える特定のディスクは、0.635mmのディスク厚さ(D)、68Gpaの基板ヤング率(E)、及び特定の第1のコーティング層と特定の第2のコーティング層との間の0.7μmの最大の厚さの差(MTD)を有する。この情報を考慮して、ディスク厚さ0.5mm(D)及び基板ヤング率68Gpa(E)を有する現在のディスク(例えば、第1のディスク)の2つのコーティング層間の最大の厚さの差(MTD)は、関数1を使用して判定され得る。この例では、最大の厚さの差(MTD)は0.43μmである。
【0036】
本開示で使用するとき、「特定のディスク」という用語は、現在のディスク(例えば、第1のディスク)の基準点として使用され得る任意の他のディスクを指し得る。特定のディスクは、基準ディスク、別のディスク、又は第2のディスクであってもよい。特定のディスクは、現在のディスクと同じハードドライブ内に存在してもよく、又はディスクの前の反復若しくは前のバージョンであってもよい。特定のディスクは、現在のディスクとは異なるハードドライブ内に配置されてもよい。
【0037】
同様に、本開示で使用するとき、「特定の基板」という用語は、現在の基板の基準点として使用され得る任意の他の基板を指し得る。特定の基板は、基準基板、別の基板、又は第2の基板であってもよい。特定の基板は、現在の基板と同じハードドライブ内に存在してもよく、又は基板の前の反復若しくは前のバージョンであってもよい。特定の基板は、現在の基板とは異なるハードドライブ内に配置されてもよい。特定の基板は、特定のディスクの一部であってもよい。
【表2】
【0038】
表2は、別のディスク(例えば、第2のディスク、基準ディスク)の特性が既知である場合、ディスク(例えば、現在のディスク、第1のディスク)に関して2つのコーティング層間の最大の厚さの差がどのように判定され得るかを示す。この例では、特定の基板を備える特定のディスクは、0.635mmのディスク厚さ(D)、68Gpaの基板ヤング率(E)、及び特定の第1のコーティング層と特定の第2のコーティング層との間の0.7μmの最大の厚さの差(MTD)を有する。この情報を考慮して、ディスク厚さ0.5mm(D)及び基板ヤング率95Gpa(E)を有する現在のディスク(例えば、第1のディスク)の2つのコーティング層間の最大の厚さの差(MTD)は、関数1を使用して判定され得る。この例では、最大の厚さの差(MTD)は0.60μmである。
【0039】
表1及び表2は、ディスク厚さが低減されるにつれて、どのようにコーティング層間の最大の厚さの差が判定され得るかの単なる例である。関数1は、任意の値及び/又は値範囲に使用することができ、本開示に記載された値及び/又は値範囲に限定されない。
【0040】
図8は、2つのコーティング層間の最大の厚さの差を判定するための方法800の例示的なフロー図を示す。図8の方法800は、ハードドライブ用の任意のディスクについて第1及び第2のコーティング層の最大の厚さの差(例えば、MTD)を判定するために使用されてもよい。図8のシーケンスは、2つのコーティング層間の最大の厚さの差を判定するための方法を簡略化及び/又は明確化するために、1つ以上のプロセスを組み合わせてもよいことに留意されたい。いくつかの実装形態では、プロセスの順序は変更又は修正されてもよい。
【0041】
この方法は、(805において)特定のディスクの厚さ(例えば、D)を判定する。特定のディスクは、特性及び寸法が既知である別のディスク(又は第2のディスク)であってもよい。特定のディスクは、ディスクの前の反復又は前のバージョンであってもよい。特定のディスクは、基準ディスクであってもよい。特定のディスクの例を表1及び表2に記載した。特定のディスクの厚さ(例えば、D)は、1ミリメートル~0.2ミリメートルの範囲内にあってもよい。
【0042】
方法は、(810において)特定のディスクの第1の特定のコーティング層と第2の特定のコーティング層との間の最大の厚さの差(例えば、MTD)を判定する。いくつかの実装形態では、MTDは既知であり、単に使用されてもよい。いくつかの実装形態では、MTDは、特定のディスクの最大の許容可能な平坦度に基づいて計算されてもよい。許容可能な最大平坦度は、特定のディスクについての最大の許容可能な平坦度偏差であってもよい。特定のディスクについての最大の許容可能な平坦度偏差は、特定のディスクにおける最低点と最高点との間の最大差であってもよい。いくつかの実装形態では、最大の許容可能な平坦度偏差は、20マイクロメートル(μm)である。
【0043】
方法は、(815において)特定のディスク(例えば、第2のディスク、別のディスク)の特定の基板(例えば、第2の基板、別のディスク)の基板ヤング率(例えば、E)を判定する。異なる実装形態は、異なる基板ヤング率を使用してもよい。方法はまた、(815において)ディスク(例えば、第1のディスク、現在のディスク)の基板(例えば、第1の基板、現在の基板)の基板ヤング率(例えば、E)を判定する。ヤング率の例は、本開示において上述されている。
【0044】
方法は、(820において)ディスク(例えば、第1のディスク、現在のディスク)の厚さ(例えば、D)を判定する。いくつかの実装形態では、ディスクの厚さ(例えば、D)は、業界標準によって指定された厚さであってもよい。ディスクの厚さ(例えば、D)は、1ミリメートル~0.2ミリメートルの範囲内にあってもよい。
【0045】
方法は、(825において)ディスク(例えば、第1のディスク、現在のディスク)の第1のコーティング層と第2のコーティング層との間の最大の厚さの差(例えば、MTD)を判定する。関数1を使用して、ディスクの第1のコーティング層と第2のコーティング層との間の最大の厚さの差(例えば、MTD)を判定する(例えば、計算する)ことができる。最大の厚さの差(例えば、MTD)を判定する際、方法800は、特定のディスクの厚さ(例えば、D)、MTD、及び基板ヤング率(E、E)を使用してもよい。
【0046】
最大の厚さの差(例えば、MTD)が判定されると、コーティング層の厚さを判定することができる。異なる実装形態は、第1及び第2のコーティング層(例えば、302、304)に対して異なる厚さを使用してもよい。いくつかの実装形態では、第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304は各々、約12~30マイクロメートル(μm)の範囲内の厚さを有してもよい。
【0047】
図9は、より厚いコーティング層をどのように使用するかを示すグラフ900を示しているが、ディスクの全体的な厚さを減少させることは、反復不可能なディスク振動を改善するのに役立ち得る。理想的には、(ディスクがスピンドルを中心に回転するため)ディスク上のトラックは円形であるべきである。しかしながら、反復不可能なディスク振動は、ディスク上のトラックが非円形の形状を有するようにさせる。反復不可能なディスク振動値は、理想的な円形経路からのトラックが有する偏差の量を表す。図9に示すように、0.55ミリメートルの同じ全体的な厚さを有する2つのディスクに関して、各側面上に30マイクロメートルのコーティングを有するディスクは、各側面上に10マイクロメートルのコーティングを有するディスクよりも低い反復不可能なディスク振動を有する。これは、ディスク(例えば、300)の全体的な厚さを低減しようとする際、いくつかの実装形態では、より薄いディスクのコーティング層の全体的な厚さを増加させることがより意味を成し得ることを示す。
低減された厚さのディスクを作製するための例示的なシーケンス
【0048】
図10A図10Bを含む)図10は、低減された厚さを有するディスク(例えば、1mm~0.2mmの範囲内の厚さを有するディスク)を提供又は作製するための例示的なシーケンスを示す。いくつかの実装形態では、図10A図10Bのシーケンスは、本開示に記載のディスク(例えば、300)のいずれかを提供又は作製するために使用されてもよい。
【0049】
図10A図10Bのシーケンスは、ディスクを提供又は作製するためのシーケンスを簡略化及び/又は明確化するために、1つ以上の段階を組み合わせてもよいことに留意されたい。いくつかの実装形態では、プロセスの順序は変更又は修正されてもよい。いくつかの実装形態では、本開示の趣旨から逸脱することなく、プロセスのうちの1つ以上を交換又は置換してもよい。
【0050】
段階1は、図10Aに示すように、基板301が提供された後の状態を示す。基板301は、ガラス、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。基板301の厚さは、ディスク300の厚さに基づいて判定されてもよい。例えば、いくつかの実装形態では、基板301の厚さは、ディスクの全体的な所望の厚さから、コーティング層の厚さ(及び磁気記録層(複数可)の厚さ、保護層(複数可)の厚さ)を減じることによって判定されてもよい。いくつかの実装形態では、基板301は、所望の厚さにエッチング、研削、又は研磨されてもよい。
【0051】
段階2は、第1のコーティング層302が基板301の第1の表面上に配設され、かつ第2のコーティング層304が基板301の第2の表面上に配設された後の状態を示す。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304は各々、ニッケルリン(NiP)を含んでもよい。第1のコーティング層302は、めっきプロセスを通じて基板301の第1の表面上に形成されてもよい。同様に、第2のコーティング層304は、めっきプロセスを通じて基板301の第2の表面上に形成されてもよい。配設されている第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304の厚さは、ディスクの所望の厚さにほぼ近くてもよい(又はわずかに高くてもよい)。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304は、基板301上に同時に配設されてもよい。
【0052】
段階3は、第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304が研磨され、それによって、第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304の厚さを低減した後の状態を示す。いくつかの実装形態では、研磨は、第1のコーティング層302と第2のコーティング層304との間の厚さの差が、関数1によって指定される最大の厚さの差(例えば、MTD)以下になるまで行われる。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304の研磨は、同時に又は順次行われてもよい。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304を研磨するために、1つ以上のプラテンが使用されてもよい。研磨は、粗さ及びうねりなど、所望の表面形態が達成され、表面の欠陥が除去されるまで行われてもよい。一方、2つのコーティング層間の厚さの差は、上述した関数1によって指定される最大値の範囲内になければならない。研磨条件は、厚さのばらつきを有するように意図的に設計されていない。それでもなお、表面形態のばらつきが、研磨中に生成される場合がある。
【0053】
段階4は、図10Bに示すように、第1の磁気記録層320が第1のコーティング層302上に配設され、かつ第2の磁気記録層340が第2のコーティング層304上に配設された後の状態を示す。第1の磁気記録層320及び第2の磁気記録層340を形成するために、めっきプロセスが使用されてもよい。
【0054】
段階5は、第1の保護層322が第1の磁気記録層320上に配設され、かつ第2の保護層342が第2の磁気記録層340上に配設された後の状態を示す。段階5は、基板301と、基板301の第1の表面上に配設された第1のコーティング層302と、基板301の第2の表面上に配設された第2のコーティング層304と、第1のコーティング層302上に配設された第1の磁気記録層320と、第2のコーティング層304上に配設された第2の磁気記録層340と、第1の磁気記録層320上に配設された第1の保護層322と、第2の磁気記録層340上に配設された第2の保護層342と、を含む、ディスク300を示し得る。
低減された厚さのディスクを作製するための方法の例示的なフロー図
【0055】
いくつかの実装形態では、低減された厚さのディスクを作製することは、いくつかのプロセスを含む。図11は、低減された厚さのディスク(例えば、1mm~0.2mmの範囲内の厚さを有するディスク)を提供又は作製するための方法1100の例示的なフロー図を示す。図11の方法1100は、本開示に記載のディスク(例えば、300)のいずれかを提供又は作製するために使用されてもよい。
【0056】
図11のシーケンスは、低減された厚さのディスクを提供又は作製するための方法を簡略化及び/又は明確化するために、1つ以上のプロセスを組み合わせてもよいことに留意されたい。いくつかの実装形態では、プロセスの順序は、変更又は修正されてもよい。
【0057】
この方法は、(1105において)基板301を提供する。基板301は、ガラス、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及び/又はこれらの組み合わせを含んでもよい。基板301の厚さは、ディスク300の厚さに基づいて判定されてもよい。例えば、いくつかの実装形態では、基板301の厚さは、ディスクの全体的な所望の厚さから、コーティング層の厚さ(及び磁気記録層(複数可)の厚さ、保護層(複数可)の厚さ)を減じることによって判定されてもよい。いくつかの実装形態では、基板301は、所望の厚さにエッチング、研削、又は研磨されてもよい。
【0058】
方法は、(1110において)基板301の第1の表面上に第1のコーティング層302を形成する。第1のコーティング層302は、ニッケルリン(NiP)を含んでもよい。第1のコーティング層302は、めっきプロセスを通じて基板301の第1の表面上に形成されてもよい。基板301の第1の表面上に形成される第1のコーティング層302の厚さは、ディスクの所望の厚さにほぼ近くてもよい(又はわずかに高くてもよい)。
【0059】
方法はまた、(1110において)基板301の第2の表面上に第2のコーティング層304を形成する。第2のコーティング層304は、ニッケルリン(NiP)を含んでもよい。第2のコーティング層304は、めっきプロセスを通じて基板301の第2の表面上に形成されてもよい。基板301の第2の表面上に形成される第2のコーティング層304の厚さは、ディスクの所望の厚さにほぼ近くてもよい(又はわずかに高くてもよい)。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304は、基板301上に同時に形成されてもよい。
【0060】
方法は、(1115において)第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304を研磨し、それによって、第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304の厚さを低減する。いくつかの実装形態では、研磨は、第1のコーティング層302と第2のコーティング層304との間の厚さの差が、関数1によって指定される最大の厚さの差(例えば、MTD)以下になるまで行われる。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304の研磨は、同時に又は順次行われてもよい。第1のコーティング層302及び第2のコーティング層304を研磨するために、1つ以上のプラテンが使用されてもよい。研磨は、粗さ及びうねりなど、所望の表面形態が達成され、表面の欠陥が除去されるまで行われてもよい。一方、2つのコーティング層間の厚さの差は、上述した関数1によって指定される最大値の範囲内になければならない。研磨条件は、厚さのばらつきを有するように意図的に設計されていない。それでもなお、表面形態のばらつきが、研磨中に生成される場合がある。
【0061】
方法は、(1120において)第1のコーティング層302上に第1の磁気記録層320を形成する。いくつかの実装形態では、方法は、(1125において)第2のコーティング層304上に第2の磁気記録層340を形成し得る。第1の磁気記録層320及び第2の磁気記録層340を形成するために、めっきプロセスが使用されてもよい。
【0062】
方法は、(1125において)第1の磁気記録層320上に第1の保護層322を形成する。いくつかの実装形態では、方法は、(1130において)第2の磁気記録層340上に第2の保護層342を形成し得る。いくつかの実装形態では、コーティング層、磁気記録層(複数可)、及び保護層(複数可)の形成後、方法は、基板301と、基板301の第1の表面上に配設された第1のコーティング層302と、基板301の第2の表面上に配設された第2のコーティング層304と、第1のコーティング層302上に配設された第1の磁気記録層320と、第2のコーティング層304上に配設された第2の磁気記録層340と、第1の磁気記録層320上に配設された第1の保護層322と、第2の磁気記録層340上に配設された第2の保護層342と、を含む、ディスク300を作製している。ディスク300は、関数1の条件を満たす厚さを有してもよい。
【0063】
本開示を鑑みる当業者は、磁気記録ディスクに関して様々な例示的な作製方法が本明細書において論じられたが、他のタイプの記録ディスク、例えば、コンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)などの光記録ディスク、又は光磁気記録ディスク、又は強誘電性データ記憶デバイスを作製するために、いくつかの修正を伴う又は伴わない方法が使用されてもよいことを認識されたい。
【0064】
本明細書に記載される様々な構成要素は、特定の材料又は材料の組成物を「含んでいる」か、又はそれらから作製されるとして記載され得る。一態様では、これは、構成要素が特定の材料(複数可)からなることを意味し得る。別の態様では、これは、構成要素が特定の材料(複数可)を含むことを意味し得る。
【0065】
「例示的な」という語は、本明細書では、「例、事例、又は例示として機能すること」を意味するために使用される。本明細書において「例示的な」として記載されたいかなる実装形態又は態様も、本開示の他の態様よりも必ず好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。同様に、「態様」という用語は、本開示の全ての態様が、論じられる特徴、利点、又は動作モードを含むことを要求しない。「結合された」という用語は、本明細書では、2つのオブジェクト間の直接的又は間接的結合を指すために使用される。例えば、オブジェクトAがオブジェクトBに物理的に接触し、オブジェクトBがオブジェクトCに接触する場合、オブジェクトA及びCは、それらが互いに物理的に直接接触しない場合であっても、互いに結合されているとやはり見なされ得る。更に、1つの構成要素が別の構成要素上に位置する文脈において、本出願において使用される「上に」という用語は、別の構成要素上にあり及び/又は別の構成要素内にある(例えば、構成要素の表面上にあるか若しくは構成要素内に埋め込まれた)構成要素を意味するために使用され得ることに留意されたい。したがって、例えば、第2の構成要素上にある第1の構成要素は、(1)第1の構成要素が第2の構成要素上にあるが、第2の構成要素に直接接触していないこと、(2)第1の構成要素が第2の構成要素上に(例えば、その表面上に)あること、及び/又は(3)第1の構成要素が第2の構成要素内にある(例えば、その中に埋め込まれている)ことを意味し得る。本開示において使用するとき、「約『値X』」、又は「およそ値X」という用語は、「値X」の10パーセント以内を意味するものとする。例えば、約1又はおよそ1の値は、0.9~1.1の範囲内の値を意味し得る。本開示では、様々な値範囲が指定、記載、及び/又は特許請求され得る。本明細書及び/又は請求項では、範囲が指定、記載、及び/又は特許請求されているときはいつでも、(少なくとも一実施形態では)端点を含むことが意図されていることに留意されたい。別の実施形態では、範囲は、範囲の端点を含まなくてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11