(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/931 20200101AFI20221216BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20221216BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20221216BHJP
【FI】
G01S13/931
G01S15/931
G01S17/931
(21)【出願番号】P 2021541859
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2019033631
(87)【国際公開番号】W WO2021038740
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 裕
(72)【発明者】
【氏名】井上 悟
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 直哉
(72)【発明者】
【氏名】辻田 亘
(72)【発明者】
【氏名】朝比奈 努
(72)【発明者】
【氏名】山下 元気
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-116466(JP,A)
【文献】特開2002-154396(JP,A)
【文献】特開2018-063143(JP,A)
【文献】特開2014-074665(JP,A)
【文献】特開2017-015494(JP,A)
【文献】特開2016-080650(JP,A)
【文献】特開2014-101101(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0036387(KR,A)
【文献】特開2013-257249(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180081(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/024220(WO,A1)
【文献】特開2004-184371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/64,
G01S 13/00-13/95,
G01S 15/00-15/96,
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられている測距センサが
、前記車両が走行している最中に、反射波を受信したか否かを検知する検知部と、
前記検知部により検知された反射波を、基準障害物で反射した基準反射波グループ、又は種別を判別する対象となる対象障害物で反射した対象反射波グループに分類する認識部と、
前記対象反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値を、前記基準反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値に基づいて正規化する正規化部と、
前記対象反射波グループに分類された複数の反射波の、正規化後の大きさに相関のある値を用いて2つの特徴量を算出し、当該2つの特徴量に基づいて前記対象障害物の種別を判別する判別部と、
前記判別部により判別された前記対象障害物の種別を示す情報を出力する出力部とを備え、
前記認識部は、前記基準反射波グループ
における前記車両の進行方向の長さが予め定められた範囲内である場合、前記基準障害物の識別を、駐車スペースに駐車している駐車車両の側面と認識し、
前記対象障害物は、前記駐車スペースを区画している奥側の障害物である
ことを特徴とする障害物検知装置。
【請求項2】
車両に設けられている測距センサが
、前記車両が走行している最中に、反射波を受信したか否かを検知する検知部と、
前記検知部により検知された反射波を、基準障害物で反射した基準反射波グループ、又は種別を判別する対象となる対象障害物で反射した対象反射波グループに分類する認識部と、
前記対象反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値を、前記基準反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値に基づいて正規化する正規化部と、
前記対象反射波グループに分類された複数の反射波の、正規化後の大きさに相関のある値を用いて2つの特徴量を算出し、当該2つの特徴量に基づいて前記対象障害物の種別を判別する判別部と、
前記判別部により判別された前記対象障害物の種別を示す情報を出力する出力部とを備え、
前記認識部は、前記基準反射波グループ
における前記車両の進行方向の長さが予め定められた範囲外である場合、前記基準障害物の識別を、駐車スペースを区画している段差と認識し、
前記対象障害物は、前記駐車スペースを区画している奥側の障害物である
ことを特徴とする障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、障害物検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の2つの理由から、車両の周辺にある障害物の高さを検知するための技術が求められている。
(1)車両進退時に、障害物が車両のバンパに衝突する高い障害物か、バンパに衝突しない低い障害物か否かを判別し、低い障害物に対する不必要な警報又はブレーキを抑制するため
(2)車両駐車時に、バンパに衝突しない低い障害物に対して車両を適切なクリアランスで駐車し、乗員の乗り降りを容易にするため
【0003】
特許文献1に係る物体検知装置は、超音波センサを用いて車両が物体に接近したときの反射波強度の時間変化を観測し、接近時に反射波強度が増加から減少に変化した場合に低い物体と判定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る物体検知装置は以上のように構成されているので、車両が障害物に正対して接近していかないとこの障害物の高さを判別できないという課題があった。そのため、例えば駐車時、物体検知装置を搭載した車両が駐車スペース内に進入していかないと、当該駐車スペースに存在する駐車車両、壁、縁石、輪留め、及び段差といった高さの異なる障害物を判別することができない。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、障害物の種別を判別するために車両が障害物に正対して接近していく必要がない障害物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る障害物検知装置は、車両に設けられている測距センサが、車両が走行している最中に、反射波を受信したか否かを検知する検知部と、検知部により検知された反射波を、基準障害物で反射した基準反射波グループ、又は種別を判別する対象となる対象障害物で反射した対象反射波グループに分類する認識部と、対象反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値を、基準反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値に基づいて正規化する正規化部と、対象反射波グループに分類された複数の反射波の、正規化後の大きさに相関のある値を用いて2つの特徴量を算出し、当該2つの特徴量に基づいて対象障害物の種別を判別する判別部と、判別部により判別された対象障害物の種別を示す情報を出力する出力部とを備え、認識部は、基準反射波グループにおける車両の進行方向の長さが予め定められた範囲内である場合、基準障害物の識別を、駐車スペースに駐車している駐車車両の側面と認識し、対象障害物は、駐車スペースを区画している奥側の障害物である。
また、この発明に係る障害物検知装置は、車両に設けられている測距センサが、車両が走行している最中に、反射波を受信したか否かを検知する検知部と、検知部により検知された反射波を、基準障害物で反射した基準反射波グループ、又は種別を判別する対象となる対象障害物で反射した対象反射波グループに分類する認識部と、対象反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値を、基準反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値に基づいて正規化する正規化部と、対象反射波グループに分類された複数の反射波の、正規化後の大きさに相関のある値を用いて2つの特徴量を算出し、当該2つの特徴量に基づいて対象障害物の種別を判別する判別部と、判別部により判別された対象障害物の種別を示す情報を出力する出力部とを備え、認識部は、基準反射波グループにおける車両の進行方向の長さが予め定められた範囲外である場合、基準障害物の識別を、駐車スペースを区画している段差と認識し、対象障害物は、駐車スペースを区画している奥側の障害物である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、対象反射波グループに分類された複数の反射波の、正規化後の大きさに相関のある値を用いて2つの特徴量を算出し、当該2つの特徴量に基づいて対象障害物の種別を判別するようにしたので、障害物の種別を判別するために車両が障害物に正対して接近していく必要がない障害物検知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る障害物検知装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1の検知部による障害物の検知方法を示すグラフである。
【
図3】
図3Aは、路面の表面粗さが滑らかである場合の探査波と反射波の様子を示す図であり、
図3Bは、路面反射波と障害物反射波の反射レベルを示すグラフである。
【
図4】
図4Aは、路面の表面粗さが粗い場合の探査波と反射波の様子を示す図であり、
図4Bは、路面反射波と障害物反射波の反射レベルを示すグラフである。
【
図5】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、路面の状態を考慮しない場合の、判別部による障害物の種別判別方法を示すグラフである。
【
図6】駐車スペース及び反射波グループの一例を示す平面図である。
【
図7】
図6の駐車スペースをX軸方向から見た図である。
【
図8】駐車スペース及び反射波グループの別の例を示す平面図である。
【
図9】
図8の駐車スペースをX軸方向から見た図である。
【
図10】駐車スペース及び反射波グループの一例を示す平面図である。
【
図11】駐車スペース及び反射波グループの一例を示す平面図である。
【
図12】路面の状態を考慮した場合の、判別部による障害物の種別判別方法を示すグラフである。
【
図13】実施の形態1に係る障害物検知装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態1に係る障害物検知装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図15】実施の形態1に係る障害物検知装置のハードウェア構成の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る障害物検知装置1の構成例を示すブロック図である。車両には、障害物検知装置1、測距センサ2、送受信部3、及び自動駐車装置4が搭載されている。障害物検知装置1には、送受信部3及び自動駐車装置4が接続されており、送受信部3には、測距センサ2が接続されている。
【0011】
車両には、例えば車両の側方へ向けて探査波を送信する測距センサ2が設けられている。測距センサ2は、TOF(Time of Flight)方式のセンサであり、超音波、光、又は電波等の「探査波」を送信し、探査波が車両周辺で反射した「反射波」を受信する。
【0012】
送受信部3は、測距センサ2に送信信号を出力し、送信信号に応じた探査波を測距センサ2から送信させる。また、送受信部3は、測距センサ2が受信した反射波を受信信号に変換し、障害物検知装置1へ出力する。
【0013】
障害物検知装置1は、検知部11、認識部12、正規化部13、判別部14、及び出力部15を備える。
この障害物検知装置1は、車両の周辺にある障害物を検知し、検知した障害物の高さに対応する障害物の種別を判別する。ここでは、障害物の種別は、「走行障害物」、「路上障害物」、及び「路面障害物」の3つであるものとする。障害物のうち、車両のバンパに接触する程度に高い高さを有する障害物を「走行障害物」という。走行障害物は、壁又は駐車中の他車両等である。また、障害物のうち、車両のバンパに接触しない程度に低い高さを有し、かつ、車両が乗り越えられない程度に高い高さを有する障害物を「路上障害物」という。路上障害物は、縁石又は輪留め等である。また、障害物のうち、車両のバンパに接触しない程度に低い高さを有し、かつ車両が乗り越えられる程度に低い高さを有する障害物を「路面障害物」という。路面障害物は、段差等である。すなわち、走行障害物は路上障害物よりも高い高さを有する障害物であり、路上障害物は路面障害物よりも高い高さを有する障害物である。
【0014】
検知部11は、測距センサ2が受信した反射波の大きさ(つまり、反射レベル)と、予め定められた閾値Th1とを比較し、測距センサ2が反射波を受信したか否かを検知する。
【0015】
図2は、実施の形態1の検知部11による障害物の検知方法を示すグラフである。グラフの横軸は測距センサ2から送信された探査波が車両周辺の障害物で反射して測距センサ2で受信されるまでの伝搬距離であり、縦軸は送受信部3から出力された受信信号の大きさ、すなわち反射レベルである。検知部11は、反射波の反射レベルが予め定められた閾値Th1を超えている場合、当該反射波を検知する。また、検知部11は、反射レベルが閾値Th1を超えたときの伝搬距離に基づいて、測距センサ2と当該反射波が反射した反射点との距離を算出し、反射点の2次元座標位置を算出する。
なお、検知部11は、測距センサ2が探査波を1回送信した場合に、最初に検知した閾値Th1以上の反射レベルの反射波を「第1反射波」とし、次に検知した閾値Th1以上の反射レベルの反射波を「第2反射波」とする。
【0016】
また、検知部11は、反射波の反射レベルが閾値Th1を超えている部位の幅を「波幅」として検知する。または、検知部11は、反射波の反射レベルが閾値Th1を超えている部位の波形面積を「面積」として検知してもよい。または、検知部11は、反射波の反射レベルの最大値を「波高値」として検知してもよい。または、検知部11は、反射波の反射レベルが最大値になった時点から閾値Th1を下回る時点までを「応答時間」として検知してもよい。波幅、面積、波高値、及び応答時間は、反射波の大きさに相関する値である。なお、反射波の大きさに相関する値は、上記の波幅等に限定されない。検知部11は、反射波の波形における立下りの傾き、又は反射波の波形における時定数等を、反射波の大きさに相関する値として検知してもよい。
【0017】
検知部11は、検知した反射波の大きさに相関する値及び反射点の位置の情報を認識部12へ出力する。反射点の位置は、2次元座標で表される情報である。
【0018】
図3Aは、路面51の表面粗さが滑らかである場合の探査波52と反射波53の様子を示す図であり、矢印211は探査波の主な伝搬経路を示す。
図3Bは、路面反射波54の反射レベルを示すグラフである。
図4Aは、路面61の表面粗さが粗い場合の探査波62と反射波63の様子を示す図であり、矢印212は探査波の主な伝搬経路を示す。
図4Bは、路面反射波64の反射レベルを示すグラフである。
図3B及び
図4Bにおいて、グラフの縦軸は、反射波の大きさ(つまり反射レベル)、横軸は、測距センサ2から送信された探査波が障害物で反射して反射波として測距センサ2で受信されるまでの伝搬距離である。路面51の表面粗さがコンクリート路面のように滑らかな平坦である場合(
図3A)、路面51で反射した反射波53、すなわち路面反射波54の反射レベルは小さい(
図3B)。これに対し、路面61の表面粗さがアスファルト路面のように粗い場合(
図4A)、路面61で反射した反射波63、すなわち路面反射波64の反射レベルは大きい(
図4B)。
【0019】
図3Aに矢印211で示されるように、探査波52の一部は、滑らかな路面51で鏡面反射した後、障害物55で反射して測距センサ2へ戻る。
図4Aに矢印212で示されるように、探査波62の一部は、粗い路面61で拡散反射した後、拡散反射した反射波の一部が障害物65で反射して測距センサ2へ戻る。
図4Aのように路面61が粗い場合、路面61で探査波62が拡散するため、障害物65で反射した反射波63、すなわち障害物反射波66の反射レベルは、障害物55で反射した反射波53、すなわち障害物反射波56の反射レベルに比べて著しく低下する。このように、同一の高さの障害物55,65で反射した反射波53,63の反射レベルは、路面51,61の表面粗さ(つまり外乱)によって変化する。そのため、障害物検知装置1が反射波の大きさに相関する値を用いて障害物の種別を判別する場合、外乱に弱く、障害物の種別を精度よく判別することが困難である。そこで、実施の形態1では、路面の状態を考慮することで、外乱に強い、高精度に障害物の種別を判別可能な障害物検知装置1を実現する。
【0020】
ここで、路面の状態を考慮しない場合の、判別部14による障害物の種別判別方法を説明する。
路面の状態を考慮しない場合、判別部14は、反射波の大きさに相関する値を用いて2つの特徴量を算出し、算出した2つの特徴量を2軸に持った特徴量空間上で、予め定められた第1閾値及び第2閾値に基づいて障害物の種別を判別する。反射波の大きさに相関する値は、上述のように、波高値、波幅、面積、又は応答時間等である。特徴量は、測距センサ2による複数回の探査により得られた、複数の反射波の大きさに相関する値の統計値であり、平均値、分散値、又は標準偏差等である。判別部14は、例えば、第1特徴量として、反射波の大きさに相関のある値の平均値を用いる。また、判別部14は、第2特徴量として、反射波の大きさに相関のある値の標準偏差を用いる。ここでは、背の高い障害物は背の低い障害物に比べ、第1特徴量及び第2特徴量ともに大きいものとする。
【0021】
図5A、
図5B、及び
図5Cは、路面の状態を考慮しない場合の、判別部14による障害物の種別判別方法を示すグラフである。判別部14が種別を判別する対象となる障害物を「対象障害物」と呼ぶ。
図5Bのグラフは、基準路面上の対象障害物に関する特徴量空間を示す。
図5Aのグラフは、基準路面よりも表面が粗い路面上の対象障害物に関する特徴量空間を示す。
図5Cのグラフは、基準路面よりも表面が滑らかな路面上の対象障害物に関する特徴量空間を示す。グラフの横軸は第1特徴量、縦軸は第2特徴量である。判別部14には、第1特徴量と第2特徴量との組み合わせに応じた第1閾値Th11と第2閾値Th12とが、予め定められている。判別部14は、第1閾値Th11と、第1閾値Th11より大きい第2閾値Th12とにより、対象障害物が路面障害物、路上障害物、又は走行障害物のいずれであるかを判別する。判別部14は、第1特徴量及び第2特徴量が第1閾値Th11より小さい範囲に、対象障害物の特徴量が含まれる場合、この対象障害物を路面障害物と判別する。また、判別部14は、第1特徴量及び第2特徴量が第1閾値Th11以上かつ第2閾値Th12より小さい範囲に、対象障害物の特徴量が含まれる場合、この対象障害物を路上障害物と判別する。また、判別部14は、第1特徴量及び第2特徴量が第2閾値Th12以上である範囲に、対象障害物の特徴量が含まれる場合、この対象障害物を走行障害物と判別する。
【0022】
反射波の大きさに相関する値、並びに、反射波の大きさに相関する値から算出された第1特徴量及び第2特徴量は、路面の状態に依存する。そのため、判別部14が、基準路面でチューニングされた第1閾値Th11及び第2閾値Th12を用いて、基準路面よりも表面が粗い路面に存在する対象障害物の種別を判別する場合、反射波の大きさに相関する値並びに第1特徴量及び第2特徴量が想定よりも小さくなり、
図5Aのように背の高い対象障害物を背の低い対象障害物であると誤判別してしまう。逆に、判別部14が、基準路面でチューニングされた第1閾値Th11及び第2閾値Th12を用いて、基準路面よりも表面が滑らかな路面に存在する対象障害物の種別を判別する場合、反射波の大きさに相関する値並びに第1特徴量及び第2特徴量が想定よりも大きくなり、
図5Cのように背の低い物体を背の高い物体であると誤判別してしまう。
【0023】
そこで、実施の形態1の障害物検知装置1では、正規化部13が、対象障害物が存在する路面と表面粗さが同一の路面に存在する既知物体(つまり基準障害物)の反射波の大きさに相関する値を用いて、当該対象障害物の反射波の大きさに相関する値を正規化することにより、判別部14における路面の影響をキャンセルする。基準障害物は、例えば、駐車シーンにおいて駐車車両(つまり走行障害物)、又は段差(路面障害物)である。
【0024】
認識部12は、反射波の大きさに相関する値及び反射点の位置の情報を、検知部11から受け取る。認識部12は、反射点の位置に基づいて反射波をグループ化する。認識部12は、グループ化した反射波に基づいて、このグループに含まれる反射波が基準障害物で反射したものであるか否かを認識する。認識部12は、基準障害物であると認識したグループの反射波の位置に基づいて、基準障害物の種別を認識する。また、認識部12は、基準障害物であると認識したグループの反射波の大きさに相関する値に基づいて、基準値Prefを算出する。認識部12は、基準障害物の種別、基準値Pref、及び基準値Prefを算出できたことを示すフラグの情報を、正規化部13へ出力する。
【0025】
図6は、駐車スペース22及び反射波グループG1,G2の一例を示す平面図である。
図7は、
図6の駐車スペース22をX軸方向から見た図である。
図6及び
図7に示される例は、測距センサ2が設けられた自車両20が、駐車車両23と駐車車両24の間の駐車スペース22に縦列駐車しようとしている場面である。ここでは、自車両20の進行方向をX軸方向、X軸方向に直交する方向をY軸方向とする。駐車スペース22の奥側は、路上障害物である縁石21により区画されている。この例において、障害物検知装置1は、駐車車両23を基準障害物として用いて、駐車スペース22を区画している奥側の対象障害物の種別を判別する。
図6及び
図7の例では対象障害物が路上障害物である縁石21であるが、対象障害物の種別はこれに限定されない。
【0026】
自動駐車モードを開始した自車両20が矢印に示される方向へ走行している最中、例えば、測距センサ2が11回探査波を送信し、測域2aで反射した反射波を受信する。検知部11は、11回の探査結果を用いて、白丸(○)で示される11個の第1反射波の反射点の位置を算出する。検知部11は、11回の探査で得られた各反射波の大きさに相関する値と、11個の反射点の位置とを認識部12へ出力する。認識部12は、隣接する2つの反射点間のX軸方向の距離及びY軸方向の距離が予め定められた距離以下である場合、当該2つの反射点を同一の反射波グループと判定する。このようにして、認識部12は、上記11個の反射点を反射波グループG1と反射波グループG2にグループ化する。そして、認識部12は、反射波グループG1,G2のうちのより自車両20に近い側の反射波グループG2を基準反射波グループと認識し、当該反射波グループG2のX軸方向の長さが予め定められた範囲内である場合、当該反射波グループG2の基準障害物の種別を駐車車両23と認識する。この予め定められた範囲は、車両の側面の長さに相当する。認識部12は、基準障害物が駐車車両23であると認識した場合、反射波グループG2に含まれる6個の反射波の大きさに相関する値(例えば、波高値)の平均値を算出し、算出した平均値を基準値Prefとする。また、認識部12は、基準値Prefを算出できた場合、算出できたことを示すフラグを設定する。
【0027】
なお、上記例では、認識部12は、基準障害物の反射波グループG2の長さと予め定められた範囲とを比較することにより、基準障害物が駐車車両23であるか否かを認識したが、認識方法はこの方法に限定されない。
例えば、認識部12は、測距センサ2による1回の探査で得られた反射波の数に基づいて、基準障害物が駐車車両23であるか否かを認識してもよい。測距センサ2が探査波を1回送信し、検知部11が第1反射波のみ検知した場合、認識部12は、第1反射波が反射した反射点に相当する基準障害物が、当該反射点よりも奥の物体を探査することができない背の高い障害物、つまり駐車車両23であると認識する。一方、測距センサ2が探査波を1回送信し、検知部11が第1反射波の検知に続き第2反射波を検知した場合、認識部12は、第1反射波が反射した反射点に相当する基準障害物が、当該反射点よりも奥の物体を探査することができる背の低い障害物、つまり駐車車両23ではないと認識する。
また、例えば、認識部12は、車両で反射した反射点群の形状を機械学習した学習器を用いて、基準障害物が駐車車両23であるか否かを認識してもよい。
【0028】
図8は、駐車スペース22及び反射波グループG11,G12の別の例を示す平面図である。
図9は、
図8の駐車スペース22をX軸方向から見た図である。
図8及び
図9に示される例は、
図6及び
図7に示される例と同様に、測距センサ2が設けられた自車両20が、駐車車両23と駐車車両24の間の駐車スペース22に縦列駐車しようとしている場面である。ただし、
図8及び
図9に示される駐車スペース22は、手前側が路面障害物である段差30により区画され、奥側が路上障害物である縁石21により区画された、2段縁石の構造である。この例において、障害物検知装置1は、段差30を基準障害物として用いて、駐車スペース22を区画している奥側の対象障害物の種別を判別する。
図8及び
図9の例では対象障害物が路上障害物である縁石21であるが、対象障害物の種別はこれに限定されない。
【0029】
自動駐車モードを開始した自車両20が矢印に示される方向へ走行している最中、例えば、測距センサ2が11回探査波を送信し、測域2aで反射した反射波を受信する。検知部11は、11回の探査結果を用いて、白丸(〇)で示される11個の第1反射波の反射点の位置を算出する。検知部11は、11回の探査で得られた各反射波の大きさに相関する値と、11個の反射点の位置とを認識部12へ出力する。認識部12は、隣接する2つの反射点間のX軸方向の距離及びY軸方向の距離が予め定められた距離以下である場合、当該2つの反射点を同一の反射波グループと判定する。このようにして、認識部12は、上記11個の反射点を反射波グループG11にグループ化する。そして、認識部12は、反射波グループG11のX軸方向の長さが、予め定められた範囲外である場合、当該反射波グループG11を基準反射波グループと認識し、当該反射波グループG11の基準障害物の種別を段差30と認識する。この予め定められた範囲は、車両の側面の長さに相当する。認識部12は、基準障害物が段差30であると認識した場合、反射波グループG11に含まれる11個の反射波の大きさに相関する値(例えば、波高値)の平均値を算出し、算出した平均値を基準値Prefとする。また、認識部12は、基準値Prefを算出できた場合、算出できたことを示すフラグを設定する。
【0030】
なお、上記例では、認識部12は、基準障害物の反射波グループG11の長さと予め定められた範囲とを比較することにより、基準障害物が段差30であるか否かを認識したが、認識方法はこの方法に限定されない。
例えば、認識部12は、測距センサ2による1回の探査で得られた反射波の数に基づいて、基準障害物が段差30であるか否かを認識してもよい。測距センサ2が探査波を1回送信し、検知部11が第1反射波及び第2反射波を検知した場合、認識部12は、第1反射波が反射した反射点に相当する基準障害物が、当該反射点よりも奥の物体を探査することができる背の低い障害物、つまり段差30であると認識する。
また、例えば、認識部12は、段差で反射した反射点群の形状を機械学習した学習器を用いて、基準障害物が段差30であるか否かを認識してもよい。
【0031】
図8及び
図9に示される例において、障害物検知装置1は、駐車車両23を基準障害物として用いて、駐車スペース22を区画している奥側の対象障害物(つまり、路上障害物である縁石21)を判別してもよい。この場合、検知部11は、11回の探査結果を用いて、白丸(○)で示される11個の第1反射波の反射点の位置と、白三角(△)で示される7個の第2反射波の反射点の位置を算出する。認識部12は、第1反射波に対してグループ化の判定を行い、反射波グループG11にグループ化する。同様に、認識部12は、第2反射波に対してグループ化の判定を行い、反射波グループG12にグループ化する。そして、認識部12は、
図6及び
図7に示される認識方法を用いて、第2反射波の反射波グループG12の基準障害物が駐車車両23であるか否かを認識する。認識部12は、基準障害物が駐車車両23であると認識した場合、反射波グループG12に含まれる6個の反射波の大きさに相関する値(例えば、波高値)の平均値を算出し、算出した平均値を基準値Prefとする。また、認識部12は、基準値Prefを算出できた場合、算出できたことを示すフラグを設定する。
【0032】
認識部12は、基準障害物の認識終了後、対象障害物の種別を判別するために、反射波の大きさに相関する値及び反射点の位置の情報を、検知部11から受け取る。認識部12は、反射点の位置に基づいて反射波をグループ化する。認識部12は、グループ化した反射波に基づいて、このグループに含まれる反射波が対象障害物で反射したか否かを認識する。認識部12は、対象障害物であると認識したグループの反射波の大きさに相関する値の情報を、正規化部13へ出力する。
【0033】
正規化部13は、基準障害物の種別、基準値Pref、及び基準値Prefを算出できたことを示すフラグの情報を、認識部12から受け取る。また、正規化部13は、対象障害物で反射した反射波の大きさに相関する値を、検知部11から受け取る。正規化部13は、基準値Prefを算出できたことを示すフラグを受け取った場合、対象障害物で反射した反射波の大きさに相関する値(例えば、波高値)を、基準値Pref(例えば、波高値の平均値)で正規化し、正規化後の対象障害物で反射した反射波の大きさに相関する値、及び上記フラグの情報を判別部14へ出力する。一方、正規化部13は、上記フラグを受け取っていない場合、対象障害物で反射した反射波の大きさに相関する値を、正規化せずに判別部14へ出力する。
【0034】
図10は、駐車スペース22及び反射波グループG31の一例を示す平面図である。
図10に示される駐車スペース22は、
図6及び
図7に示される駐車スペース22と同じである。自動駐車装置4が自動駐車モードを開始し認識部12における基準障害物の認識期間が経過した後、自車両20が矢印に示される方向へ走行している最中に、例えば、測距センサ2が6回探査波を送信し、測域2aで反射した反射波を受信する。この例において、認識部12が、白丸(○)で示される6個の第1反射波の反射点を、反射波グループG31にグループ化し、当該反射波グループG31を対象反射波グループと認識したとする。正規化部13は、基準対象物である駐車車両23が存在する路面粗さと、対象障害物が存在する路面粗さとが同じであるものと仮定する。そして、正規化部13は、対象障害物の反射波グループG31に含まれる6個の反射波の大きさに相関する値W1~W6を、それぞれ、基準対象物の反射波から算出された基準値Prefで正規化する。下式において、W1´~W6´は、反射波の大きさに相関する値W1~W6の正規化後の値である。
【0035】
W1´=W1/Pref
W2´=W2/Pref
・・・・
W6´=W6/Pref
【0036】
図11は、駐車スペース22及び反射波グループG41,G42の一例を示す平面図である。
図11に示される駐車スペース22は、
図8及び
図9に示される駐車スペース22と同じである。自動駐車装置4が自動駐車モードを開始し認識部12における基準障害物の認識期間が経過した後、自車両20が矢印に示される方向へ走行している最中に、例えば、測距センサ2が6回探査波を送信し、測域2aで反射した反射波を受信する。この例において、認識部12が、白丸(○)で示される6個の第1反射波の反射点を反射波グループG41に、白三角(△)で示される6個の第2反射波の反射点を反射波グループG42にグループ化したとする。そして、認識部12は、反射波グループG41,G42のうちのより自車両20から遠い側の反射波グループG42を、対象反射波グループと認識する。正規化部13は、基準対象物である駐車車両23が存在する路面粗さと、対象障害物が存在する路面粗さとが同じであるものと仮定する。そして、正規化部13は、対象障害物の反射波グループG42に含まれる6個の反射波の大きさに相関する値を、それぞれ、基準対象物の反射波から算出された基準値Prefで正規化する。
【0037】
なお、基準障害物が背の高い駐車車両23である場合の基準値Prefと背の低い縁石21である場合の基準値Prefとは異なるため、正規化後の値W1´~W6´も基準障害物の種別によって異なる。そこで、正規化部13は、複数の種別の基準障害物を用いる前提である場合、基準障害物の種別に応じた補正値を用いて、正規化後の値W1´~W6´のそれぞれを補正すればよい。基準障害物の種別に応じた補正値は、正規化部13に予め設定されているものとする。
【0038】
判別部14は、正規化後の対象障害物の反射波の大きさに相関する値W1´~W6´、及び基準値Prefを算出できたことを示すフラグの情報を、正規化部13から受け取る。判別部14は、正規化後の対象障害物の反射波の大きさに相関する値W1´~W6´を用いて2つの特徴量を算出し、算出した2つの特徴量を2軸に持った特徴量空間上で、予め定められた第1閾値Th11及び第2閾値Th12に基づいて対象障害物の種別を判別する。特徴量は、平均値、分散値、又は標準偏差等である。判別部14は、例えば、第1特徴量として、正規化後の対象障害物の反射波の大きさに相関する値W1´~W6´の平均値を算出し、第2特徴量として正規化後の対象障害物の反射波の大きさに相関する値W1´~W6´の標準偏差を算出する。
【0039】
図12は、路面の状態を考慮した場合の、判別部14による障害物の種別判別方法を示すグラフである。判別部14は、
図12に示される正規化された特徴量空間に、対象障害物の正規化された特徴量40をプロットする。判別部14は、第1閾値Th11以上かつ第2閾値Th12より小さい範囲に特徴量40が含まれるため、この対象障害物を路上障害物と判別する。出力部15は、対象障害物が路上障害物であることを示す情報を自動駐車装置4へ出力する。
【0040】
自動駐車装置4は、対象障害物の種別を示す情報を出力部15から受け取り、この情報を用いて自車両20を駐車スペース22に駐車する。その際、自動駐車装置4は、自車両20が駐車スペース22に進入する前に、駐車スペース22の奥側に存在する障害物が、自車両20のバンパに接触する程度に高い走行障害物か、バンパに接触しない程度に低い路上障害物かを判別することができるので、自車両20を制御する際の誘導経路の最適化、及び駐車位置の最適化等が可能となる。また、自動駐車装置4は、駐車スペース22が
図8及び
図9に示されるような2段縁石の構造になっている場合でも、対象障害物の情報を用いて駐車スペース22を正確に検知することができる。
【0041】
次に、障害物検知装置1の動作を説明する。
図13は、実施の形態1に係る障害物検知装置1の動作例を示すフローチャートである。ステップST1において、送受信部3は、測距センサ2による測距を開始する。
【0042】
ステップST2において、検知部11は、自動駐車装置4が自動駐車モードを開始したことの通知を受け取ると(ステップST2“YES”)、ステップST3において、送受信部3から受け取る送受信結果を用いて反射波を検知する。認識部12は、検知部11が検知した反射波のうち、基準障害物で反射した反射波を認識して当該反射波を基準反射波グループに分類する。一方、自動駐車モードでない場合(ステップST2“NO”)、障害物検知装置1の動作は終了する。
【0043】
ステップST4において、認識部12は、基準反射波グループに分類した複数の反射波の大きさに相関する値を用いて基準値を算出する。
【0044】
ステップST5において、検知部11は、探査波の送受信結果を用いて反射波を検知する。認識部12は、検知部11が検知した反射波のうち、対象障害物で反射した反射波を認識して当該反射波を対象反射波グループに分類する。
認識部12は、例えば、自動駐車モードが開始された時点から予め定められた時間が経過した場合に、又は測距センサ2が予め定められた回数の探査を行った場合に、このステップST5の動作を開始する。
【0045】
ステップST6において、正規化部13は、認識部12により算出された基準値を用いて、対象反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関する値を正規化する。
【0046】
ステップST7において、判別部14は、対象反射波グループに分類された複数の反射波の、正規化された大きさに相関する値を用いて、第1特徴量及び第2特徴量を算出する。判別部14は、算出した第1特徴量及び第2特徴量を2軸に持った特徴量空間上で、第1閾値Th11及び第2閾値Th12に基づいて対象障害物の種別を判別する。
【0047】
ステップST8において、出力部15は、判別部14により判別された対象障害物の種別を示す情報を、自動駐車装置4へ出力する。
【0048】
次に、実施の形態1に係る障害物検知装置1のハードウェア構成を説明する。
図14及び
図15は、実施の形態1に係る障害物検知装置1のハードウェア構成例を示す図である。障害物検知装置1における検知部11、認識部12、正規化部13、判別部14、及び出力部15の機能は、処理回路により実現される。即ち、障害物検知装置1は、上記機能を実現するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアとしての処理回路100であってもよいし、メモリ102に格納されるプログラムを実行するプロセッサ101であってもよい。
【0049】
図14に示されるように、処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。検知部11、認識部12、正規化部13、判別部14、及び出力部15の機能を複数の処理回路100で実現してもよいし、各部の機能をまとめて1つの処理回路100で実現してもよい。
【0050】
図15に示されるように、処理回路がプロセッサ101である場合、検知部11、認識部12、正規化部13、判別部14、及び出力部15の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ102に格納される。プロセッサ101は、メモリ102に格納されたプログラムを読みだして実行することにより、各部の機能を実現する。即ち、障害物検知装置1は、プロセッサ101により実行されるときに、
図13のフローチャートで示されるステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ102を備える。また、このプログラムは、検知部11、認識部12、正規化部13、判別部14、及び出力部15の手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。
【0051】
ここで、プロセッサ101とは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、又はマイクロプロセッサ等のことである。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、又はフラッシュメモリ等の不揮発性若しくは揮発性の半導体メモリであってもよいし、ハードディスク又はフレキシブルディスク等の磁気ディスクであってもよいし、CD(Compact Disc)又はDVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクであってもよい。
【0052】
なお、検知部11、認識部12、正規化部13、判別部14、及び出力部15の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、障害物検知装置1における処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述の機能を実現することができる。
【0053】
以上のように、実施の形態1に係る障害物検知装置1は、検知部11、認識部12、正規化部13、判別部14、及び出力部15を備える。検知部11は、自車両20に設けられている測距センサ2が反射波を受信したか否かを検知する。認識部12は、検知部11により検知された反射波を、基準障害物で反射した基準反射波グループ、又は種別を判別する対象となる対象障害物で反射した対象反射波グループに分類する。正規化部13は、対象反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値を、基準反射波グループに分類された複数の反射波の大きさに相関のある値に基づいて正規化する。判別部14は、対象反射波グループに分類された複数の反射波の、正規化後の大きさに相関のある値を用いて2つの特徴量を算出し、当該2つの特徴量に基づいて対象障害物の種別を判別する。出力部15は、判別部14により判別された対象障害物の種別を示す情報を出力する。判別部14が対象障害物で反射した反射波の大きさに相関のある値を用いて算出した2つの特徴量に基づいて当該対象障害物の種別を判別するようにしたので、対象障害物の種別を判別するために自車両20が対象障害物に正対して接近していく必要がない障害物検知装置1を提供することができる。また、正規化部13が対象反射波グループの反射波の大きさに相関のある値を基準反射波グループの反射波の大きさに相関のある値で正規化するようにしたので、外乱に強い、高精度に対象障害物の種別を判別可能な障害物検知装置1を提供することができる。
【0054】
なお、本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、又は実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
この発明に係る障害物検知装置は、障害物の種別を判別するようにしたので、自動駐車装置等に用いる障害物検知装置に適している。
【符号の説明】
【0056】
1 障害物検知装置、2 測距センサ、2a 測域、3 送受信部、4 自動駐車装置、11 検知部、12 認識部、13 正規化部、14 判別部、15 出力部、20 自車両、21 縁石(対象障害物)、22 駐車スペース、23 駐車車両(基準障害物)、24 駐車車両、30 段差(基準障害物)、40 特徴量、51,61 路面、52,62 探査波、53,63 反射波、54,64 路面反射波、55,65 障害物、56,66 障害物反射波、100 処理回路、101 プロセッサ、102 メモリ、211,212 矢印、G1,G2,G11,G12,G31,G41,G42 反射波グループ、Th1 閾値、Th11 第1閾値、Th12 第2閾値。