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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20221216BHJP
   B64D 47/06 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H04M11/00 301
B64D47/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021542601
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 JP2020026546
(87)【国際公開番号】W WO2021039135
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2019156837
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】奥西 晋一
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165099(JP,A)
【文献】特開2019-040514(JP,A)
【文献】特開2018-095049(JP,A)
【文献】特開2018-016203(JP,A)
【文献】特開2015-191254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B1/00-1/70
B64C1/00-99/00
B64D1/00-47/08
B64F1/00-5/60
B64G1/00-99/00
H04B7/24-7/26
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置であって、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御する通信制御部を備え、
前記通信制御部は、前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものであり、
前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記通信装置Aを用いて前記管理装置から取得した情報の他の飛行体への転送を含む処理を実行する、
制御装置。
【請求項2】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置であって、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御する通信制御部を備え、
前記通信制御部は、前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものであり、
記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記管理装置との通信がグループ全体で不可能になっていることを推定する、
御装置。
【請求項3】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置であって、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御する通信制御部を備え、
前記通信制御部は、前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものであり、
記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記他の飛行体のうち一部または全部が自機と通信できず且つ前記管理装置と通信できないことが推定される場合、前記他の飛行体のうち一部または全部を前記グループ設定から除外する、
御装置。
【請求項4】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置が、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御し、
前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものであり、
前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記通信装置Aを用いて前記管理装置から取得した情報の他の飛行体への転送を含む処理を実行する、
制御方法。
【請求項5】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置が、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御し、
前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものであり、
前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記管理装置との通信がグループ全体で不可能になっていることを推定する、
制御方法。
【請求項6】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置が、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御し、
前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものであり、
前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記他の飛行体のうち一部または全部が自機と通信できず且つ前記管理装置と通信できないことが推定される場合、前記他の飛行体のうち一部または全部を前記グループ設定から除外する、
制御方法。
【請求項7】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置に、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御させ、
前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定させるものであり、
前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認させ、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記通信装置Aを用いて前記管理装置から取得した情報の他の飛行体への転送を含む処理を実行させる、
ためのプログラム。
【請求項8】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置に、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御させ、
前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定させるものであり、
前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認させ、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記管理装置との通信がグループ全体で不可能になっていることを推定させる、
ためのプログラム。
【請求項9】
地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置に、
前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御させ、
前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定させるものであり、
前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認させ、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記他の飛行体のうち一部または全部が自機と通信できず且つ前記管理装置と通信できないことが推定される場合、前記他の飛行体のうち一部または全部を前記グループ設定から除外させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
本願は、2019年08月29日に出願された日本国特許出願第2019-156837号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、データ収集機1の位置情報、中継機3の位置情報、データ収集機1と中継機3との間の通信状況に関する情報、および中継機3と地上機2との間の通信状況に関する情報を取得して、これらの情報に基づいて、データ収集機1と中継機3との間の見通し状態を判定して、データ収集機1と中継機3との間の見通しが確保されるように、中継機3の位置を制御する無線通信システムの発明が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-165099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、グループ設定された飛行体間で地上の管理装置からの情報を補完し合うことについて検討されていなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、グループ設定された飛行体間で地上の管理装置からの情報を補完し合うことを可能にする制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る制御装置、制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る制御装置は、地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置であって、前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御する通信制御部を備え、前記通信制御部は、前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記通信制御部は、前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記通信装置Aを用いて前記管理装置から取得した情報の他の飛行体への転送を含む処理を実行するものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記通信制御部は、前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記管理装置との通信がグループ全体で不可能になっていることを推定するものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記通信制御部は、前記通信装置Bを用いて、前記グループ設定された他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況を確認し、自機における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記確認した他の飛行体における前記通信装置Aを用いた前記管理装置との通信状況と、前記通信装置Bを用いた前記他の飛行体との通信状況とに基づいて、前記他の飛行体のうち一部または全部が自機と通信できず且つ前記管理装置と通信できないことが推定される場合、前記他の飛行体のうち一部または全部を前記グループ設定から除外するものである。
【0010】
(5):本発明の他の態様に係る制御方法は、地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置が、前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御し、前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定するものである。
【0011】
(6):本発明の他の態様に係るプログラムは、地上の管理装置と通信する通信装置Aと、飛行体同士で通信する通信装置Bと、飛行手段とを備える飛行体に搭載される制御装置に、前記通信装置Aおよび前記通信装置Bを制御させ、前記管理装置によってグループ設定された飛行体間で、前記管理装置から受信した情報を転送し合うためのチャネルを前記通信装置Bに設定させるものである。
【発明の効果】
【0012】
上記(1)~(6)の態様によれば、グループ設定された飛行体間で地上の管理装置からの情報を補完し合うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】制御装置を利用した管制システムの一例を示す図である。
図2】管理装置の構成図である。
図3】ドローンの構成図である。
図4】制御装置のより詳細な構成図である。
図5】制御装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】制御装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図5および図6の処理と並行して制御装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図5および図6の処理と並行して制御装置により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】管制システムにおいて生じる第1の場面を示す図である。
図10】管制システムにおいて生じる第2の場面を示す図である。
図11】管制システムにおいて生じる第3の場面を示す図である。
図12】管制システムにおいて生じる第4の場面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の制御装置、制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。制御装置は、例えば、ドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体に搭載される。以下の説明では飛行体がドローンであるものとするが、飛行体は自動制御されるヘリコプターや航空機であってもかまわない。
【0015】
[構成]
図1は、制御装置を利用した管制システム1の一例を示す図である。管制システム1では、一以上のドローン100が、無線基地局70と通信しながら飛行する。ドローン100の飛行に関する大まかな制御は、地上にある管理装置10によって行われる。例えば、管理装置10は、予め指定された出発地点から到着地点までの経路を生成し、経路の情報(飛行制御のための情報)を、時間の経過と共に逐次、ネットワークNWおよび無線基地局70を介してドローン100に送信する。ネットワークNWは、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネットなどを含む。
【0016】
ドローン100は、例えば、内部にGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機などの位置測位手段を備えており、管理装置10から受信した経路の情報に従って飛行するように自律飛行を行う。制御装置は、この自律飛行を制御するものである。ドローン100は、飛行に伴って最も通信しやすい無線基地局70が変化するので、随時、通信相手の無線基地局70を切り替えながら飛行する。管理装置10の態様は上記に限らず、操作者が手動で操作子(リモートコントローラ)を操作した内容をドローン100に送信するものであってもよい。
【0017】
無線基地局70とドローン100の間の通信は、例えば、比較的低周波な第1周波数f1の電波と、第1周波数よりも高周波な第2周波数f2の電波とで並行して行われる。例えば、ドローン100は、第1周波数f1の通信で経路の情報を取得し、第2周波数f2の通信で、カメラにより撮像した画像を管理装置10に送信する。第1周波数f1の電波はデータ転送量が比較的小さいが、通信可能範囲が比較的広いため信頼性が高いので、飛行制御のための情報を送受信するのに向いている。一方、第2周波数f2の電波は、データ転送量が比較的大きいので、画像などの情報を送受信するのに向いている。
【0018】
図2は、管理装置10の構成図である。管理装置10は、例えば、通信部20と、入力装置22と、表示装置24とを備える。通信部20は、例えば、ネットワークNWに接続するための、ネットワークカードなどの通信インターフェースである。入力装置22は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなどである。表示装置24は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)表示装置、プラズマディスプレイなどである。
【0019】
また、管理装置10は、第1通信制御部32と、ドローン位置管理部34と、経路決定部36と、入力受付部38と、第2通信制御部40と、画像管理部42と、表示制御部44と、第3通信制御部46と、タスク管理部48とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0020】
また、管理装置10は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置(メモリ)に、位置管理テーブル60、タスク管理テーブル62、画像データなどの情報やデータを記憶させている。
【0021】
第1通信制御部32は、無線基地局70とドローン100が第1周波数f1の電波で通信することを前提とした通信を制御する。例えば、第1通信制御部32は、第1周波数f1の電波で通信するように指示するフラグが設定されたパケットを通信部20に送信させたり、第1周波数f1の電波で通信することで取得されたことを示すフラグが設定されたパケットを取得してドローン位置管理部34に渡したりする。後述するようにドローン100は、自機の位置を管理装置10に第1周波数f1の電波でアップロードするように設定されているため、第1通信制御部32はドローン100の位置を取得可能である。また、第1通信制御部32は、経路決定部により決定された経路の情報を、通信部20を用いてドローン100に送信する。
【0022】
ドローン位置管理部34は、ドローン100によりアップロードされたドローン100の位置を位置管理テーブル60に登録する。経路決定部36は、位置管理テーブル60およびタスク管理テーブル62に登録された情報、および入力受付部38によって管理装置10の利用者から受け付けられた入力操作の内容に基づいて、ドローン100ごとの経路を決定し、第1通信制御部32および通信部20を介してドローン100に送信する。
【0023】
第2通信制御部40は、無線基地局70とドローン100が第2周波数f2の電波で通信することを前提とした通信を制御する。例えば、第2通信制御部40は、第2周波数f2の電波で通信するように指示するフラグが設定されたパケットを通信部20に送信させたり、第2周波数f2の電波で通信することで取得されたことを示すフラグが設定されたパケットを取得して画像管理部42に渡したりする。後述するようにドローン100は、カメラによって撮像した画像を管理装置10に第2周波数f2でアップロードするように設定されているため、第2通信制御部40はドローン100のカメラによって撮像された画像を取得可能である。画像管理部42は、取得した画像を例えばドローン100の識別情報と対応付けて画像データ64に登録する。表示制御部44は、入力受付部38によって管理装置10の利用者から受け付けられた入力操作の内容に基づいて、画像データ64に含まれる所望の画像を表示装置24に表示させる。
【0024】
第3通信制御部46は、ネットワークNWを介して外部装置(各種サーバや端末装置など)との間で行われる通信を制御する。例えば、第3通信制御部46は、ドローン100が行うべきタスクの内容を指定したタスク指定情報を外部装置から取得し、タスク管理部48に渡す。タスクとは、例えば、ある決まった地域(鉄道沿線や送電線、河川の周辺など)を飛行してカメラによる撮像を行ったり、配達物を運搬したりすることを含む。タスク管理部48は、取得したタスク指定情報をタスク管理テーブル62に登録する。
【0025】
図3は、ドローン100の構成図である。ドローン100は、例えば、第1通信装置110と、第2通信装置112と、第3通信装置114と、GNSS受信機120と、センサ群122と、カメラ130と、バッテリ140と、制御装置150と、回転翼170-1~170-m(mは自然数)と、モータ172-1~172-mと、ESC(Electric Speed Controller)174-1~174-mとを備える。
【0026】
第1通信装置110は、第1周波数f1の電波で無線基地局70と通信する。第2通信装置112は、第2周波数f2の電波で無線基地局70と通信する。第1通信装置および第2通信装置は「通信装置A」の一例である。第3通信装置114は、他のドローン100の第3通信装置114と通信する。第3通信装置114は「通信装置B」の一例である。
【0027】
GNSS受信機120は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、ドローン100の位置を特定する。GNSS衛星とは、GPS(Global Positioning System)、GLONAS、Galileo、BeiDou、QZSS、Gaganなどのシステムを構成する衛星である。
【0028】
センサ群122は、例えば、角速度センサ、加速度センサ、高度センサ(対地距離センサ)、ジャイロセンサなどを含む。センサ群122のそれぞれのセンサは、検出結果を制御装置150に出力する。
【0029】
カメラ130は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子を利用したカメラである。カメラ130は、例えば、ドローン100が飛行する際に下方または斜め下方を撮像可能な位置に取り付けられている。カメラ130の撮像方向は、通信によって制御可能であってもよい。
【0030】
バッテリ140は、ドローン100の各部に電力を供給する二次電池である。バッテリ140は、図示しない端子にアダプタおよび商用電源が接続されることで充電される。バッテリ140は、第1通信装置110や制御装置150などに動作用の電力を、ESC174-1~174-mに回転翼駆動用の電力をそれぞれ供給する。
【0031】
制御装置150は、例えば、通信制御部152と、飛行制御部154と、撮像制御部156とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0032】
通信制御部152は、第1通信装置110、第2通信装置112、および第3通信装置114のそれぞれを制御する。通信制御部152は、第1通信装置110によって得られた経路の情報などを飛行制御部154に渡したり、カメラ130によって撮像された画像を撮像制御部156から取得して第2通信装置112を用いて管理装置10にアップロードしたり、第3通信装置114を用いて他のドローン100と情報を共有したりする。
【0033】
飛行制御部154は、管理装置10から取得した経路の情報に従ってドローン100が飛行するように、GNSS受信機120により得られたドローン100の位置、センサ群122の検出結果を参照しながらESC174-1~174-mを制御する。
【0034】
撮像制御部156は、通信によって得られた指示、または予め設定された撮像時間帯のスケジュールに従い、カメラ130を動作させる。撮像制御部156は、カメラ130によって撮像された画像を通信制御部152に渡す。
【0035】
回転翼170-1~170-mは、所望の数mだけドローン100に搭載されている。以下、ハイフン以下の符号を省略して説明する。それぞれの回転翼170には、モータ172のロータが連結されている。モータ172は、例えばブラシレスモータである。ESC174は、飛行制御部154からの指示に応じてモータ172に供給する電力を調整する。これによって、回転翼170ごとの回転数が個別に調整され、ドローン100が所望の姿勢で所望の方向に飛行することができる。
【0036】
[グループ飛行時の通信制御]
以下、実施形態の管制システム1において実現されるグループ飛行、並びにグループ飛行時の通信制御について説明する。図4は、制御装置150のより詳細な構成図である。通信制御部152は、例えば、グループ設定部152Aと、システム状態判定部152Bと、中継処理部152Cとを備える。飛行制御部154は、例えば、異常時着陸制御部154Aを備える。
【0037】
グループ設定部152Aは、管理装置10からの指示に応じて、特定のドローン100同士で相互に通信することができるチャネルを設定する。管理装置10は、例えば、ドローン100の飛行開始前に、運行時間および距離が近い二以上のドローン100をグループとして設定し、その旨を対象のドローン100に送信する。グループ設定部152Aは、グループ設定に応じたチャネルを第3通信装置114に設定する。グループ設定された二以上のドローン100は、以下に説明するように、一時的に無線基地局70と通信できない状態になった場合に、無線基地局70と通信可能な状態を維持している他のドローン100を経由して管理装置10と通信する。
【0038】
システム状態判定部152Bは、例えば、管理装置10からの指示が所定時間以上途切れた場合に、通信途絶フラグをグループ内の各ドローン100に送信する。そして、そのやり取りの中で全てのドローン100が通信途絶状態にあると判定した場合に、管制システム1が停止していると判定する。
【0039】
中継処理部152Cは、システム状態判定部152Bにより、一部のドローン100のみが通信途絶状態にあると判定された場合、ドローン100間で第3通信装置114を用いて管理装置10からの指示を中継し合うための処理を行う。
【0040】
異常時着陸制御部154Aは、システム状態判定部152Bにより管制システム1が停止していると判定された場合、ドローン100(自機)を緊急着陸させるための制御を行う。例えば、異常時着陸制御部154Aは、カメラ130により撮像された画像から平坦且つ人などの物体が存在しない地上面を探索し、十分に遅い降下速度でドローン100を着陸させるようにESC174の制御を行う。
【0041】
以下、上記機能についてフローチャートを参照しながら説明する。図5および図6は、制御装置150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、後述する図7および図8のフローチャートの処理は、図5および図6の処理と並行して制御装置150により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0042】
図5に示すように、まず、通信制御部152のシステム状態判定部152Bは、第3通信装置114を用いて、グループ設定部152Aによりチャネルが設定されている(すなわち同じグループに設定されている)他のドローン100との間で、通信エラー状況、および設定しているフラグを共有する(ステップS200)。通信エラー状況とは、そのドローン100と管理装置10との間の通信の状態が、予め定められた通信エラー状態であるか否かを示す情報である。通信エラー状態の定義は任意になされてよいが、例えば、所定時間の間、通信が行われなかった、問い合わせに対する返信が無かったなどと定義される。フラグには、以下に説明する各種フラグのうち一部または全部が含まれる。
【0043】
次に、システム状態判定部152Bは、パラメータnに1を設定する(ステップS202)。パラメータnは、ドローン100の識別子であり、同じグループに設定されているドローン100のそれぞれに対して1~Nまでの値が一つずつ付与されているものである。以下、識別子がnであるドローン100のことを、「ドローンn」と称する場合がある。Nは、例えば、グループ設定されたドローン100の数と一致する。
【0044】
次に、システム状態判定部152Bは、ドローンnが通信エラー状態であるか否かを判定する(ステップS204)。システム状態判定部152Bは、ドローンnから「自機が管理装置10との間で通信エラー状態である」旨の情報が得られた場合と、ドローンnと通信ができず且つ自機が管理装置10と通信できている場合の双方において、ドローンnが通信エラー状態であると判定する。また、システム状態判定部152Bは、ドローンnと通信ができず且つ自機が管理装置10と通信できていない場合、ドローンnが通信エラー状態ではないと判定する。
【0045】
ドローンnが通信エラー状態であると判定した場合、システム状態判定部152Bは、エラーカウント(n)を1インクリメントする(ステップS206)。エラーカウント(n)は、ドローンnに対して設定される変数であり、数が多い程、そのドローン100の通信状態が異常状態である確信度が高まる値である。ドローンnが通信エラー状態でないと判定した場合、システム状態判定部152Bは、エラーカウント(n)をゼロにする(ステップS208)。なお、システム状態判定部152Bは、ステップS208において、過去にエラーカウント(n)がゼロでない値となったドローンnについて、1回でも通信エラー状態でないと判定した場合に直ちにゼロにするのではなく、段階的に少しずつエラーカウント(n)を低減させてもよい。
【0046】
次に、システム状態判定部152Bは、エラーカウント(n)が閾値Th1以上であるか否かを判定する(ステップS210)。エラーカウント(n)が閾値Th1以上であると判定した場合、システム状態判定部152Bは、通信途絶フラグ(n)に1を設定する(ステップS212)。通信途絶フラグ(n)は、ドローンnが「管理装置10と通信できない(またはその可能性があると推認される)」場合に1が、そうでない場合にゼロが設定されるフラグである。エラーカウント(n)が閾値Th1未満であると判定した場合、システム状態判定部152Bは、通信途絶フラグ(n)にゼロを設定する(ステップS214)。
【0047】
次に、システム状態判定部152Bは、パラメータnがNに一致するか否かを判定する(ステップS216)。パラメータnがNに一致する場合、図6のフローチャートに処理が進められ、そうでない場合、システム状態判定部152Bは、パラメータnを1インクリメントして(ステップS218)、ステップS204に処理を戻す。
【0048】
図6に示すように、システム状態判定部152Bは、通信途絶フラグ(1)~(N)の全てが1であるか否かを判定する(ステップS220)。通信途絶フラグ(1)~(N)の全てが1である場合、システム状態判定部152Bは、システム停止フラグに1を設定する(ステップS222)。システム停止フラグは、管理装置10、または無線基地局70を含む通信ネットワーク全体の問題に起因して、管理装置10との通信がグループ全体で不可能になっていることが推認される場合に1が、そうでない場合にゼロが設定される値である。システム停止フラグに1が設定されている場合、図7および図8のフローチャートの処理が実行されず、例えば、グループ設定されている全てのドローン100が異常時着陸制御を行う。
【0049】
通信途絶フラグ(1)から通信途絶フラグ(N)の全てが1ではない場合、システム状態判定部152Bは、通信途絶フラグ(1)~(N)の全てがゼロであるか否かを判定する(ステップS224)。通信途絶フラグ(1)~(N)の全てがゼロである場合、システム状態判定部152Bは、システム停止フラグにゼロを設定する(ステップS228)。
【0050】
通信途絶フラグ(1)から通信途絶フラグ(N)の全てがゼロではない場合、すなわちこれらの一部が1であり、他の一部がゼロである場合、システム状態判定部152Bは、通信途絶フラグが1であるnの集合Rに含まれるiのそれぞれについて、情報転送フラグ(i)に1を設定する(ステップS226)。すなわち、システム状態判定部152Bは、通信途絶フラグが1であるドローンnについて、情報転送フラグ(n)に1を設定する。情報転送フラグ(n)が1であるということは、ドローンnに対して、管理装置10から取得された情報を転送する必要があることを示すものである。そして、システム状態判定部152Bは、システム停止フラグにゼロを設定する(ステップS228)。
【0051】
以下、図7および図8のフローチャートについて説明する。図7および図8のフローチャートの処理は、通信途絶フラグ(1)から通信途絶フラグ(N)のうち少なくとも一つが1である場合に実行される。まず、システム状態判定部152Bは、パラメーラnに1を設定する(ステップS300)。パラメータnは、ドローン100の識別子である点は、図5および図6のフローチャートと同様である。図5および図6のフローチャートの処理と、図7および図8のフローチャートの処理とでは、別々にカウントアップ等が行われる。
【0052】
次に、システム状態判定部152Bは、情報転送フラグ(n)が1であるか否かを判定する(ステップS302)。情報転送フラグ(n)が1でない(ゼロである)場合、システム状態判定部152Bは、ステップS340に処理を進める。
【0053】
情報転送フラグ(n)が1であると判定した場合、システム状態判定部152Bは、パラメータnがNに一致するか否かを判定する(ステップS308)。、パラメータnがNに一致する場合、システム状態判定部152Bは、パラメータtに1を設定する(ステップS310)。パラメータnがNに一致しない場合、システム状態判定部152Bは、パラメータtにn+1を設定する(ステップS312)。パラメータtは、ドローンnに管理装置10からの情報を転送する転送主体のドローンを示す識別子である。このため、ステップS308~S312の処理は、情報転送が必要なドローンnに対して原則として識別子が一つ大きいドローンn+1を転送主体として選択し、但し、n=Nの場合はドローン1を転送主体として選択する処理である。
【0054】
次に、システム状態判定部152Bは、パラメータtとnが一致せず、且つ自機の識別子がパラメータtと一致するか否かを判定する(ステップS314)。パラメータtとnが一致せず、且つ自機の識別子がパラメータtと一致する場合、中継処理部152Cが、ドローンnに管理装置10からの情報(以下、転送情報と称する)を転送する処理を行う(ステップS316)。次に、システム状態判定部152Bは、自機の識別子がパラメータnと一致するか否かを判定する(ステップS318)。
【0055】
自機の識別子がパラメータnと一致する場合、システム状態判定部152Bは、ドローンtから転送情報を受信できたか否かを判定する(ステップS320)。ドローンtから転送情報を受信できなかった場合、システム状態判定部152Bは、転送情報受信OKフラグ(n)にゼロを設定する(ステップS322)。そして、システム状態判定部152Bは、転送主体となりうる(識別子がパラメータtとして設定され得る)全てのドローン100について転送情報を受信できたかどうか確認済であるか否かを判定する(ステップS324)。全てのドローン100について確認済でない場合、システム状態判定部152Bは、パラメータtとNが一致するか否かを判定する(ステップS326)。システム状態判定部152Bは、パラメータtとNが一致する場合、ステップS310に処理を戻し、パラメータtとNが一致しない場合、パラメータtを1インクリメントして(ステップS328)、ステップS314に処理を戻す。ステップS324において全てのドローン100について確認済であると判定した場合、システム状態判定部152Bは、ドローンnの(ここでは自機がnになっているため自機を意味する)異常時着陸制御を行うように、異常時着陸制御部154Aに指示し(ステップS332)、ステップS334に処理を進める。
【0056】
ステップS320において、ドローンtから転送情報を受信できたと判定した場合、システム状態判定部152Bは、転送情報受信OKフラグ(n)に1を設定する(ステップS330)。
【0057】
ステップS330またはステップS332の処理の後、或いは、ステップS318(図7)で自機の識別子がパラメータnと一致すると判定された場合、システム状態判定部152Bは、転送情報受信OKフラグ(n)が1であるか否かを判定する(ステップS334)。転送情報受信OKフラグ(n)が1でない場合、転送情報受信OKフラグ(n)が1でない回数が閾値Th2以上であるか否かを判定する(ステップS336)。回数が閾値Th2以上である場合、グループ設定部152Aは、ドローンnのグループ設定を解除する(ステップS338)。次に、システム状態判定部152Bは、パラメータnがNと一致するか否かを判定する(ステップS340)。システム状態判定部152Bは、パラメータnがNと一致しない場合、パラメータnを1インクリメントして(ステップS342)ステップS302に処理を戻し、パラメータnがNと一致する場合、本フローチャートの1ルーチンの処理を終了し、ステップS300に処理を戻す。
【0058】
以下、上記説明した処理の結果として実現されるドローン100の動作について説明する。以下の説明では、ドローン100(1)とドローン100(2)がグループ設定されており、各ドローンの識別子がそれぞれ1、2であるものとする(n=1、2、N=2)。
【0059】
図9は、管制システム1において生じる第1の場面を示す図である。第1の場面では、ドローン100(1)、100(2)共に管理装置10からの情報を受信できておらず、ドローン100(1)と100(2)の通信は行われている。
【0060】
第1の場面では、図5のフローチャートの処理において、エラーカウント(1)およびエラーカウント(2)がインクリメントされて閾値Th1に至り、通信途絶フラグ(1)、(2)共に1が設定される。次いで、図6のフローチャートにおいて通信途絶フラグ(1)~(N(ここでは2))の全てが1であるため、システム停止フラグに1が設定される。この場合、前述したように、ドローン100(1)と100(2)の双方が異常時着陸制御を行う。
【0061】
図10は、管制システム1において生じる第2の場面を示す図である。第2の場面では、ドローン100(1)は管理装置10からの情報を受信できているが、ドローン100(2)は管理装置10からの情報を受信できていない。また、ドローン100(1)と100(2)の通信は行われている。
【0062】
第2の場面では、図5のフローチャートの処理において、エラーカウント(2)がインクリメントされて閾値Th1に至り、通信途絶フラグ(2)に1が設定される。次いで、図6のフローチャートにおいて通信途絶フラグ(1)~(N(ここでは2))の一部のみが1であるため、システム停止フラグにゼロが、情報転送フラグ(2)に1がそれぞれ設定される。この場合、ドローン100(1)が実行する図7のフローチャートの処理において情報転送フラグ(2)=1と判定され、n=N=2であるため、tに1が設定される。ドローン100(1)は自機を転送主体として選択し、ドローン100(2)への転送処理を行う。その後、ドローン100(2)が実行する図8のフローチャートの処理において、ドローン(1)からの転送情報を受信できたと判定し、転送情報受信OKフラグ(2)に1が設定される。この結果、ドローン100(1)、100(2)のいずれの処理においてもステップS334でYesに進み、グループ設定の解除は行われない。なお、前述したように、ドローン100(2)によって転送情報受信OKフラグ(2)に1が設定されたことはドローン100(1)にも共有されている。
【0063】
図11は、管制システム1において生じる第3の場面を示す図である。第3の場面では、ドローン100(1)は管理装置10からの情報を受信できているが、ドローン100(2)は管理装置10からの情報を受信できていない。また、ドローン100(1)と100(2)の通信も行われていない。
【0064】
第3の場面では、ドローン100(1)が実行する図5のフローチャートにおいて、通信エラー状況やフラグが共有できないため、エラーカウント(2)がインクリメントされて閾値Th1に至り、通信途絶フラグ(2)に1が設定される。ドローン100(2)が実行する図5のフローチャートにおいては、通信エラー状況やフラグが共有できず、且つ自機が管理装置10と通信できていないため、エラーカウント(2)がインクリメントされて閾値Th1に至り、通信途絶フラグ(2)に1が設定される。このため、ドローン100(1)、100(2)共に、図6のフローチャートの処理では、情報転送フラグ(2)に1を設定する。
【0065】
この場合、ドローン100(1)が実行する図7のフローチャートの処理において、ドローン100(1)は自機をドローン100(2)への転送主体に選択し、転送処理を行う。しかしながら、ドローン100(2)から転送情報受信OKフラグ(2)=1という情報の共有が不可能であるので、ドローン100(1)は、図8のフローチャートにおけるステップS334でNo、ステップS336でYesという判定をし、ドローン100(2)をグループ設定から解除する。ドローン100(2)が実行する図8のフローチャートの処理では、ドローン100(1)から(この例では全ての他のドローン100から)転送情報を受信できないため、異常時着陸制御を行う。また、ドローン100(2)は、自身において設定している転送情報受信OKフラグ(2)が1にならないため、自機のグループ設定を解除する。
【0066】
図12は、管制システム1において生じる第4の場面を示す図である。第4の場面では、ドローン100(1)、100(2)共に管理装置10からの情報を受信できていない。また、ドローン100(1)と100(2)の通信も行われていない。
【0067】
第4の場面では、ドローン100(1)が実行する図5のフローチャートにおいて、通信エラー状況やフラグが共有できず、且つ自機が管理装置10と通信できていないため、エラーカウント(1)がインクリメントされて閾値Th1に至り、通信途絶フラグ(1)に1が設定される。また、ドローン100(2)が実行する図5のフローチャートにおいては、通信エラー状況やフラグが共有できず、且つ自機が管理装置10と通信できていないため、エラーカウント(2)がインクリメントされて閾値Th1に至り、通信途絶フラグ(2)に1が設定される。このため、図6のフローチャートの処理では、ドローン100(1)は、情報転送フラグ(1)に1を設定し、ドローン100(2)は、情報転送フラグ(2)に1を設定する。
【0068】
この場合、ドローン100(1)、100(2)が実行する図8のフローチャートの処理において、他のドローン100転送情報を受信できないため、異常時着陸制御が行われる。また、ドローン100(1)、100(2)共に、自身において設定している転送情報受信OKフラグが1にならないため、自機のグループ設定を解除する。
【0069】
以上説明した実施形態の制御装置150によれば、管理装置10によってグループ設定されたドローン100間で、管理装置10から受信した情報を転送し合うためのチャネルを第3通信装置114に設定するため、グループ設定された飛行体間で地上の管理装置からの情報を補完し合うことができる。
【0070】
また、実施形態の制御装置150によれば、第3通信装置114を用いて、グループ設定された他のドローン100における第1通信装置110または第2通信装置112を用いた管理装置10との通信状況を確認し、自機における第1通信装置110または第2通信装置112を用いた管理装置10との通信状況と、確認した他のドローン100における管理装置10との通信状況と、第3通信装置114を用いた他のドローン100との通信状況とに基づいて、管理装置10から取得した情報の他のドローン100への転送を含む処理を実行するため、より確実に、グループ設定された飛行体間で地上の管理装置からの情報を補完し合うことができる。
【0071】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 管制システム
10 管理装置
70 無線基地局
100 ドローン
110 第1通信装置
112 第2通信装置
114 第3通信装置
120 GNSS受信機
122 センサ群
130 カメラ
140 バッテリ
150 制御装置
152 通信制御部
152A グループ設定部
152B システム状態判定部
152C 中継処理部
154 飛行制御部
154A 異常時着陸制御部
156 撮像制御部
170 回転翼
172 モータ
174 ESC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12