(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】複合材料リブ成形および複合材料リブアンドシート成形のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/10 20060101AFI20221216BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20221216BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20221216BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
B29C70/10
B29C70/42
B29C43/20
B29C43/34
(21)【出願番号】P 2021545288
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(86)【国際出願番号】 US2019056353
(87)【国際公開番号】W WO2020081577
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-11
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521016379
【氏名又は名称】アリス・コンポジッツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ライリー・リース
(72)【発明者】
【氏名】エリック・デヴィッドソン
(72)【発明者】
【氏名】イーサン・エスコウィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェー・スコット・パーキンス
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/159118(WO,A1)
【文献】特開2013-010254(JP,A)
【文献】特開2016-159517(JP,A)
【文献】国際公開第2014/136876(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272645(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0172121(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0079111(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0196837(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0239856(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/00-70/88
B29C 43/00-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮成形によりリブアンドシートパーツを成形するための方法であって、
第1の形状を有する充填プリフォームを第1の型穴内に配置するステップであって、前記充填プリフォームは、相互に接着された複数の連続繊維プリフォームの集合体であり、各プリフォームが、単方向に整列された繊維の束および熱可塑性ポリマー樹脂を備える、ステップと、
前記熱可塑性ポリマー樹脂を溶融するのに十分な熱と、前記充填プリフォームを前記第1の形状を有するリブへと完全に一体化するのに十分な圧力とに対して前記充填プリフォームをさらすことにより、前記充填プリフォームを第1の型内において圧縮成形するステップと、
事前形成されたプリプレグシート、複数のプリプレグプライ、およびチョップド繊維からなる群より選択される第1の材料を前記第1の型内または第2の型内において圧縮成形するステップであって、前記圧縮成形により印加される熱および圧力が、前記リブと共に前記第1の材料を一体化するのに十分なものである、ステップと、
前記一体化された第1の材料および前記リブを冷却するステップであって、それによりリブアンドシートパーツを形成する、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の形状はループからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の連続繊維プリフォームを形成するステップと、
前記第1の形状を有する前記集合体へと前記プリフォームをまとめるステップであって、前記集合体は複数の層からなり、各層が前記プリフォームの中の少なくとも1つからなり、前記層の中の少なくともいくつかが前記第1の形状を有する、ステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リブは不連続体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記層のうちの前記第1の形状を有する少なくともいくつかが、中に間隙を有し、前記間隙を有する前記層同士が重なり合う関係で相互に直に隣接して位置する場合に、前記プリフォームをまとめるステップは、前記隣接し合う層中の前記間隙をオフセットするステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記層のうち前記第1の形状を有する少なくともいくつかについて、前記第1の形状が2つの「L字」形状プリフォームから形成されるループ形状である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
プリフォームの前記集合体を共に付着させるステップであって、それにより前記第1の形状を有する前記充填プリフォームを形成する、ステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記プリフォームを集合体へとまとめるステップは、
前記プリフォームを前記第1の形状へとまとめるように物理的に適合された固定具内において前記プリフォームを集合体へとまとめるステップと、
プリフォームの前記集合体を共に付着させるステップであって、それにより前記第1の形状を有する充填プリフォームを形成する、ステップと、
前記固定具から前記充填プリフォームを取り出し前記第1の型内に配置するステップと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
第1の型内において前記充填プリフォームを圧縮成形するステップは、
前記完全に一体化された充填プリフォームを冷却するステップと、
前記第2の型内に前記リブを配置するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の型は、前記リブアンドシートパーツの外周部に前記リブの少なくとも一部分を配設するように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の材料および前記充填プリフォームは、前記第1の型内において同時に圧縮成形される、請求項
1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の形状は外周部分および内部部分を備え、前記外周部分はループを画定し、前記内部部分は、前記外周部分内に配設され前記外周部分と交差する1つまたは複数の部材を備える、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の記載
本願は、2018年10月15日に出願された米国特許出願第62/745,686号の優先権を主張する。またこの米国特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、繊維複合材料パーツに関し、より詳細には複合材料リブおよび複合材料リブアンドシート構造体を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リブ状構造体により前面および/または後面が支持されたシートからなる構造パーツが存在する。リブアンドシート構造物は、高強度、高剛直性、および軽量である複合材料を使用して製造されてきた。いくつかの例では、これらの複合材料は、金属または他のタイプの材料と組み合わせて使用される。
【0004】
複合材料リブアンドシート構造体は、典型的にはチョップドプリプレグから2ステッププロセスで作製される。特に、リブおよびシートは、別個に作製され、接着剤などで共に結合される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本教示によれば、リブアンドシート構造体が、整列された連続繊維からなるリブを備える。リブは、圧縮成形により整列された連続繊維から製造され、それにより整列された連続強化リブが提供される。チョップド繊維ではなく整列された連続繊維から作製されるリブアンドシート構造体は、結果的に材料特性の改善が得られることに本発明者らは気づいた。
【0006】
先行技術におけるようなシートに対するリブの結合ではなく、本発明の実施形態では、整列された連続繊維補強リブは、圧縮成形プロセスにおいてシートへと成形される。また、先行技術におけるような接着ではなく、成形により、本教示により製造されるリブアンドシート構造体の材料特性が優れたものとなる。
【0007】
本発明の一実施形態では、リブアンドシート構造体は、2ステップ圧縮成形プロセスで作製される。この2ステッププロセスは、繊維束ベースプリフォームからニアネット形状リブを作製することと、次いで(i)事前形成されたシート、(ii)成形プロセス中にラミネート/シートを形成するプライ、または(iii)成形プロセス中にシートを形成するチョップド繊維のいずれかと共にリブを成形することとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、リブは、第1の型内において形成され、次いでリブアンドシートパーツを形成するために第2の型へ移動される。いくつかの他の実施形態では、リブは、最終(リブアンドシート)パーツを形成するために使用される同じ型を使用して形成される。
【0009】
別の実施形態では、リブアンドシート構造体は、1ステップ圧縮成形プロセスで製造され、繊維束ベースプリフォームと、(i)事前形成されたシート、(ii)ラミネート/シートを形成するプライ、または(iii)チョップド繊維とが、型内において組み合わされ、シングルステップで成形される。
【0010】
例示の実施形態では、リブは、シートの外周部に位置するループの形態の連続構造体である。リブは、整列された連続繊維からなる。しかし、リブは、多数の他の構成を有することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、リブは、不連続体である/セグメント化される(しかし各セグメント内の繊維は連続繊維であり整列される)。いくつかのさらなる実施形態では、リブは、追加の支持部材で補強される。いくつかの他の実施形態では、リブアンドシートパーツは、複数の同心状に構成されたリブを備える。これらのリブは、他のリブ構成の中のいくつかの非限定的な例に過ぎない。
【0011】
(a)リブの構造および(b)「接着」ではなく「成形」により、先行技術よりも良好な機械特性を最終リブアンドシートパーツに与えることに加えて、1ステッププロセスおよび2ステッププロセスは両方とも、従来の接着剤ベースプロセスに比べて大幅な時間削減をもたらす。
【0012】
第1の例示の実施形態では、本発明は、圧縮成形によりリブアンドシートパーツを成形するための方法であって、
複数の連続繊維プリフォームを形成するステップであって、各プリフォームが本質的にトウプレグのセグメントからなり、トウプレグのセグメントが第1のポリマー樹脂で含浸された繊維束からなる、ステップと、
プリフォームをその集合体へとまとめるステップであって、集合体が第1の形状を有し、集合体が複数の層からなり、各層がプリフォームの中の少なくとも1つからなり、層の中の少なくともいくつかが第1の形状を有する、ステップと、
第1の型内において集合体を第1のポリマー樹脂を溶融するのに十分な熱と圧力とにさらすステップであって、それにより集合体を一体化する、ステップと、
事前形成されたプリプレグシート、複数のプリプレグプライ、およびチョップド繊維からなる群より選択される第1の材料を熱および圧力にさらすステップであって、熱および圧力が一体化された集合体に第1の材料を一体化するのに十分なものである、ステップと、
一体化された第1の材料および一体化された集合体を冷却するステップであって、それによりリブアンドシートパーツを形成する、ステップと
を含む、方法を提供する。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、圧縮成形によりリブアンドシートパーツを成形するための方法であって、
型穴内に構成要素を配置するステップであって、構成要素は、
(i)事前形成されたプリプレグシート、複数のプリプレグプライ、およびチョップド繊維からなる群より選択される第1の材料、ならびに
(ii)複数の連続繊維プリフォームであって、各プリフォームが単方向に整列された繊維の束からなり、型穴内に連続繊維プリフォームを配置するステップが複数のプリフォームをその集合体へと構成するステップをさらに含み、集合体が第1の形状を有する、複数の連続繊維プリフォーム
を含む、ステップと、
構成要素を熱および圧力にさらすことにより一体化するステップと、
構成要素を冷却するステップであって、それによりリブアンドシートパーツを形成する、ステップと
を含む、方法を提供する。
【0014】
さらに別の実施形態では、本発明は、圧縮成形によりリブアンドシートパーツを成形するための方法であって、
第1の型穴内に構成要素を配置するステップであって、構成要素は、
(i)事前形成されたプリプレグシート、複数のプリプレグプライ、およびチョップド繊維からなる群より選択される第1の材料、ならびに
(ii)本質的にポリマーマトリクス中の連続繊維からなるリブであって、繊維の大部分が単方向に整列され、リブが第1の形状を有する、リブ
を含む、ステップと、
構成要素を熱および圧力にさらすことにより一体化するステップと、
構成要素を冷却するステップであって、それによりリブアンドシートパーツを形成する、ステップと
を含む、方法を提供する。
【0015】
さらなる一実施形態では、本発明は、
事前形成されたプリプレグシート、複数のプリプレグプライ、およびチョップド繊維からなる群より選択される材料から本質的になる平面状シート部分と、
リブの少なくとも一部分が平面状シート部分の外周部に配設され、本質的にポリマーマトリクス中の連続繊維からなる、リブ部分と
を備える、リブアンドシートパーツを提供する。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、上記に開示した実施形態および以下の発明を実施するための形態に挙げられる特徴の任意の他の矛盾しない組合せを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】先行技術におけるリブアンドシートパーツを示す図である。
【
図2】パーツが2ステッププロセスで成形される、第1の例示の実施形態によるリブアンドシートパーツの分解図である。
【
図3A】本教示によるリブアンドシートパーツを作製するための充填プリフォームの第1の例示の実施形態を示す図である。
【
図3B】本教示によるリブアンドシートパーツを作製するための充填プリフォームの第2の例示の実施形態を示す図である。
【
図4】パーツが1ステッププロセスにより成形される、第2の例示の実施形態により作製されるリブアンドシートパーツの構成要素を示す図である。
【
図5A】本発明の実施形態と組み合わせて使用するためのリブを成形するための型を示す図である。
【
図5B】本発明の例示の実施形態によるリブアンドシートパーツを成形するための型を示す図である。
【
図6A】本教示によるリブの代替的な実施形態を示す図である。
【
図6B】本教示によるリブの代替的な実施形態を示す図である。
【
図6C】本教示によるリブの代替的な実施形態を示す図である。
【
図6D】本教示によるリブの代替的な実施形態を示す図である。
【
図6E】本教示によるリブの代替的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示および添付の特許請求の範囲において使用する以下の用語およびその変化形を、以下の通りに定義する。
「繊維」は、個別の材料ストランドを意味する。繊維は、直径をはるかに上回る長さを有する。本明細書において使用する場合に、繊維は(i)連続繊維または(ii)短繊維に分類される。連続繊維は、それらが中に配置される型の長尺特徴部の長さとほぼ同等の長さを有する。さらに同様に、連続繊維は、それらが内部に存在することとなるパーツの長さとほぼ同等の長さを有する。短繊維は、それらが中に配置される型の長尺特徴部の長さよりも短い長さを有し、連続繊維などの他の繊維に「重畳する」ことが可能になるように典型的には型の短尺特徴部の長さと幾分かの追加長さとの和に相当する。本明細書において、「短繊維」という用語は、当分野において一般的に使用される用語である「チョップド繊維」または「切断繊維」とは異なる。本開示のコンテクストにおいて、短繊維は、プリフォーム内に存在し、そのためプリフォーム、型、および最終パーツの中において規定の配向を有する。当分野で一般的に使用される場合に、チョップド繊維または切断繊維は、型および最終パーツの中においてランダム配向を有する。さらに、本明細書において、「短繊維」の長さは、型の短尺特徴部の長さに基づく(同等の長さとなる)。対照的に、チョップド繊維または切断繊維の長さは、典型的には型/パーツのどの特徴部の長さに対しても所定の関係を有さない。
「適合性のある」は、2つの異なる樹脂材料に関連して使用される場合に、これらの2つの樹脂が相互に混合および結合されることを意味する。
「剛直性」は、ヤング係数により測定される屈曲抵抗を意味する。
「引張強度」は、伸張され/引っ張られている場合に「ネッキング」または他の欠陥を生じる(脆弱材料の場合)まで材料が耐えることができる最大応力を意味する。
「連続」繊維または「連続」繊維束は、繊維/束が中に配置される型の長尺特徴部の長さとほぼ同等である長さを有する繊維/束を意味する。
「トウ」は、繊維束を意味し、これらの用語は、別様のことが明示されない限り本明細書においては同義的に用いられる。一般的には、1Kトウ、4Kトウ、8Kトウ等の、合計数千本の繊維を有するトウが入手可能である。
「プリプレグ」は、樹脂で含浸された任意形態の繊維(例えばトウ、織成繊維、テープ等)を意味する。
「トウプレグ」または「プリプレグトウ」は、樹脂で含浸された繊維束(すなわちトウ)を意味する。
「プリフォーム」は、トウプレグのサイズ設定されたまたはサイズ設定および形状設定された部分を意味し、繊維束の断面が約0.25~約6の間のアスペクト比(幅:太さ)を有する。「プリフォーム」という用語は、サイズ設定/形状設定された(i)テープ(約10~約30の間のアスペクト比の上述のような断面を典型的に有するもの)、(ii)繊維シート、および(iii)ラミネートを明確に排除する。
「リブアンドシートパーツ」は、シートおよび1つまたは複数のリブを備え、これらのリブは、シートの表面と密着状態にあり、シートの表面に対して実質的に鉛直方向に位置する。シートは、その長さ寸法および幅寸法よりもはるかに小さい厚さ寸法を有し、リブは、その幅または高さよりもはるかに大きい長さ寸法を有する。リブの高さは、典型的にはリブの幅以上である。
「平面状の」は、二次元特徴を有することを意味する。「平面状の」という用語は、湾曲平面状表面を含むように明確に意図される。例えば、リブアンドシートパーツの「シート」部分は、湾曲状または平坦状であり得る。
「約」または「実質的に」は、挙げられた数字または公称値に対して±20%を意味する。
【0019】
これらの例以外においては、または別様のことが示唆される場合には、例えば本明細書および特許請求の範囲で使用される材料の量を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という語で修飾されるものとして理解されたい。したがって、対照的なことが示唆されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示す数値パラメータは、当業者に理解されるような方法で実現される望ましい特性に応じて変更され得る近似値であると理解される。一般的に、これは、少なくとも±20%の変動値を意味する。
【0020】
さらに、本明細書において挙げられる任意の数値範囲は、その数値範囲に包含されるあらゆる下位範囲を含むように意図される点を理解されたい。例えば、「1~10」の範囲は、挙げられた最小値である約1と挙げられた最大値である約10との間の、すなわち約1以上の最小値と約10以下の最大値とを有するあらゆる下位範囲を含むように意図される。
【0021】
本明細書において使用される、プリフォームを形成するようにサイズ設定されたまたはサイズ設定および形状設定された繊維束は、典型的には1000の倍数(例えば1k、10k、24k等)である数千本の個別の繊維からなる。かかる繊維束は、典型的には「トウ」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、トウの繊維は、ポリマー樹脂で含浸され、かかる材料は「トウプレグ」または「プリプレグトウ」と呼ばれる。図面に示すトウプレグはいずれも円筒状である(すなわち円形断面を有する)が、任意の適切な断面形状(例えば楕円形、三裂状、多角形等)を有し得る。
【0022】
各繊維は、任意の直径を有することが可能であり、直径は、典型的には1~100ミクロンの範囲内であるがそれに限定されない。各繊維は、限定するものではないがサイジング、加工の容易化、結合剤の接着、繊維の自己接着性の最小抑制、または何らかの特徴(例えば導電性等)の付与などの作用を有する外部コーティングを備えることが可能である。
【0023】
各繊維はそれぞれ、単一の材料もしくは複数の材料から(以下に挙げる材料などから)形成されるものが可能であり、またはそれ自体が複合材料であることが可能である。例えば、各繊維は、導電性材料、電気絶縁性材料、伝熱性材料、または断熱性材料などの第2の材料で被覆される芯(第1の材料の)からなることが可能である。
【0024】
複合材料に関して、各繊維はそれぞれ、例えば炭素、ガラス、天然繊維、アラミド、ホウ素、金属、セラミック、およびポリマーフィラメント等であることが可能であるが、それらに限定されない。金属繊維の非限定的な例としては、鋼、チタン、タングステン、アルミニウム、金、銀、それらの任意の合金、および形状記憶合金が含まれる。「セラミック」は、あらゆる無機および非金属の材料を指す。セラミック繊維の非限定的な例としては、ガラス(例えばSガラス、Eガラス、ARガラス等)、石英、金属酸化物(例えばアルミナ)、アルミナシリケート、ケイ酸カルシウム、ロックウール、窒化ホウ素、炭化ケイ素、およびそれらの任意の組合せが含まれる。さらに、カーボンナノチューブが使用可能である。
【0025】
適切な樹脂としては、熱および/または圧力の下で自己結合する任意の熱可塑性マトリクス、熱硬化性マトリクス、または金属マトリクスが含まれるが、ほとんどの実施形態では熱可塑性物質が使用される。
【0026】
本発明の実施形態と組み合わせて有用となる熱可塑性樹脂の例としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ナイロン、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネートABS(PC-ABS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリリン酸(PPA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスルホン(PSU)、ポリウレタン(PU)、およびポリ塩化ビニル(PVC)が含まれるがそれらに限定されない。一例の熱硬化性物質は、エポキシである。
【0027】
図1は、湾曲(非平坦)シート104の外周部の周囲に連続リブ102を有する従来のリブアンドシートパーツ100を示す。この先行技術において、このリブアンドシートパーツはチョップドプリプレグから製造される。いくつかの先行技術の方法では、リブおよびシートは、別個の成形ステップで形成され、次いで接着剤を用いて共に接着されてリブアンドシートパーツを形成する。また、先行技術のリブアンドシートパーツは、ランダム配向されたチョップド繊維を使用しておよびその典型的な性能を用いて、圧縮成形により1ステップで製造することも可能である。
【0028】
本教示によれば、リブアンドシートパーツ100と同一の外観を有するリブアンドシートパーツが、連続繊維補強リブを使用して形成される。このパーツは、1ステッププロセスまたは2ステッププロセスのいずれかを利用して成形することが可能である。先行技術と比較すると、本教示により作製されるリブアンドシートパーツは、リブがチョップド繊維ではなく整列された連続繊維から作製されることにより、はるかにより高い強度および剛直性を有する。さらに、先行技術のリブアンドシートパーツは、リブおよびシートを成形するのではなく接着剤により作製される限りは、完全成形パーツに比べて比較的劣る特性を示す。
【0029】
2ステッププロセス。2ステップ圧縮成形プロセスの第1のステップによれば、リブが形成される。形成される場合に、リブは、最終パーツの最終形状に非常に近い(ニアネット)形状を有する。第2の作業において、事前形成されたリブおよび平面状(湾曲または平坦)事前形成シート、または2つ以上の平面状(湾曲または平坦)プライ(ラミネートシートを形成する)、またはチョップド繊維プリプレグが、型内に配置され、成形されてリブアンドシートパーツを形成する。
【0030】
A.シート
【0031】
図2は、このプロセスの第2のステップの一実施形態による型内に配置される構成要素を示す。具体的には、事前形成されたリブ202ならびにプライ204Aおよび204Bが、型穴内に追加される。リブ202は、例えば
図5Aに示し本明細書において以降でさらに詳細に説明される型515などを使用して形成されるが、それに限定されない。
図5Bに示し本明細書において以降でさらに詳細に説明される型521が、プライ204Aおよび204Bと共にリブ202を同時に成形することにより最終パーツを形成するために使用され得る。前述のように、いくつかの他の実施形態では、事前形成されたシートまたはチョップド繊維プリプレグが、プライではなく型穴内に配置され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、両プライ204Aおよび204Bは、熱可塑性樹脂を含むテープまたは繊維などの複合材料プリプレグからなる。かかる実施形態では、2つのプライに使用される熱可塑性樹脂は、同一であり、または異なる場合にはこれらの樹脂は、相互に適合性を有さなければならない。さらに、プライ204Aおよび204Bは、異なるタイプの繊維を含むことが可能である、異なる繊維体積全体分率を有することが可能である、および/または異なる長さの繊維を含むことが可能である。各プライは、典型的には約0.25ミリメートル未満である太さを有する。いくつかの他の実施形態では、3つ以上のプライが、リブアンドシートパーツの「シート」部分を形成するために使用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、2つのプライの一方の中の繊維は、2つのプライの他方の中の繊維とは異なる配向で整列された繊維を有する。すべてのプライ中の繊維が単一軸に沿って同一方向に配向されたプライを有するラミネートに比べて、異なる繊維配向を有するプライを有するラミネートは、かような異なる配向における特性が改善される。
【0034】
より具体的には、当業者には理解されるように、繊維は、その長さに沿った方向における張力が強い。テープがプライとして使用され(テープが単一方向に配向された繊維を有する)、両プライが同一方向に配向された繊維を有する場合に、このテープから形成されたラミネートは、繊維が配向された一方向のみにおいて張力が強い。それに対して、2つのテープベースプライ中の繊維が相互に対して直交方向に配向される場合には、これらの2つのプライから形成されたラミネートは、2つの直交方向に強い。これらのテープベースプライの一方の中の繊維が+45°で配向され、これらのテープベースプライの他方の中の繊維が-45°で配向される(形成されるラミネートの長軸に対して)場合には、ラミネートは、せん断応力(ねじれ)に抵抗する能力が強化される。織成マットがプライとして使用される場合には、各プライは、2つの直交方向に強い。これらのプライの一方が他方のプライに対して45°回転されると、結果的に得られるラミネートは、4つの方向(例えば0°、90°、-45°、および+45°等)における張力が強い。
【0035】
いくつかの実施形態では、両プライ204Aおよび204Bが、チョップド繊維(すなわちチョップド繊維またはチョップドプリプレグのいずれかまたは両方として定義される)と、連続繊維とを備える。いくつかの実施形態では、これらのプライの一方が、チョップド繊維のみを備える。いくつかの他の実施形態では、両プライが、チョップド繊維のみを備える。さらにいくつかのさらなる実施形態では、これらのプライの一方または両方が、連続繊維のみを備える。
【0036】
いくつかの他の実施形態では、プライ204Aおよび204Bの一方または両方が、複合材料以外の材料からなり、この材料は、複合材料リブと一体成形され得る。かかる材料の例としては、プラスチック、鋼、またはアルミニウムが含まれるが、それらに限定されない。これらのプライの一方または両方が金属である実施形態では、その結合表面は、好ましくは結合性を改善するためにテクスチャード加工される。典型的なテクスチャ加工技術としては、陽極酸化法または機械的方法が含まれる。
【0037】
図2では、プライ204Aおよび204Bは、湾曲状のものとして示される。いくつかの他の実施形態では、これらのプライは(またはプリフォームシートは)、平坦状であり成形(第2の)ステップの最中に湾曲形状に形成される。プライ204Aおよび204Bは、単軸(すなわちプライの横方向中間点)を中心として湾曲するものとして示されるが、プライは2つ以上の軸を中心として湾曲するものであることが可能である。
【0038】
前述のように、2ステッププロセスにおいては、リブは、第1の型(例えば
図5Aの型515)内で形成され、最終リブアンドシートパーツは、第2の型内で形成される。
図5Bは、最終リブアンドシートパーツを形成するのに適した型521を示す。
【0039】
図5Bを参照すると、最終リブアンドシートパーツの「シート」部分を形成することになる材料は、最初に型穴522内に配置されて、底部表面524上に置かれる。様々な実施形態で、この材料は、(i)プライ204Aおよび204B、(ii)事前形成されたラミネートシート(図示せず)、または(iii)型穴522の底部表面524上に均一に分散されたチョップド繊維(図示せず)のいずれかである。
【0040】
次いで、リブ202が型穴522内に配置される。リブは、型穴内に配置された場合に内方壁部526に当接するように寸法設定および構成される。雄型部分528が型穴522に組み合わされることにより、湾曲状底部表面532が材料を圧迫して「シート」部分を形成する。リブ202は、型穴522の内方壁部526と雄型部分528の壁部530との間に挟まれる。次いで、型は、リブ202中の樹脂とシート部分を形成することになる材料中の樹脂とを溶融させるのに適した熱にさらされる。したがって、型の内容物が、熱および圧力により一体化される。適切な時間量にわたり熱および圧力をかけられた後に、型521およびその内容物が冷却され、リブアンドシートパーツが取り出される。
【0041】
B.リブ
【0042】
上記で論じたリブ202について、かかるリブは、連続繊維プリフォームから形成される。これらのプリフォームは、サイジング機械/曲げ機械を使用して形成される。プリフォームの形成は、典型的にはロボットまたは他の適切な機構によりトウプレグを適切に曲げることと、次いで所望の長さへとトウプレグの曲げ部分を切断することとを伴う。適宜、曲げおよび切断の順序は逆にすることが可能である。これらのプリフォームは、成形されることによりリブ202を形成する構成要素である。
【0043】
リブ202を形成するために使用されるプリフォームは、相互に異なることが可能である。例えば、これらのプリフォームを構成する繊維束の繊維および/または樹脂においてプリフォームごとに異なることが可能である。しかし、すべてのプリフォームにおいて同一の樹脂を使用することが一般的には好ましい。異なる樹脂が使用される場合には、これらの樹脂は適合性を有さなければならない。さらに、
図3Aおよび
図3Bの図と組み合わせて以降で論じるように、サイズおよび形状においてプリフォームごとに違いが存在することも可能である。
【0044】
次いで、リブ202を形成するために使用されるプリフォームは、それに適した
図5Aの型515などの型内に配置される。これらのプリフォームは、型穴518の壁部520に沿って適切な構成で積み重ねられる(以下の
図3Aおよび
図3Bの説明を参照)。雄型部分516が型穴518に組み合わされると、プリフォーム集合体が、型穴518の内方壁部520と雄型部分516の壁部517との間に挟まれる。型を閉じることにより圧力が印加される。
【0045】
次いで、型515が、プリフォーム中の樹脂を溶融するのに適した熱にさらされる。したがって、プリフォームを構成する材料が、熱および圧力により一体化される。適切な時間量にわたり熱および圧力をかけられた後に、型515およびその内容物が冷却され、リブ。雄型部分528が、型穴522と組み合わされることにより、湾曲状底部表面532が材料を圧迫して「シート」部分を形成する。リブ202は、型穴522の内方壁部526と雄型部分528の壁部530との間に挟まれる。次いで、型は、リブ202中の樹脂とシート部分を形成することになる材料中の樹脂とを溶融させるのに適した熱にさらされる。したがって、型の内容物が、熱および圧力により一体化される。適切な時間量にわたり熱および圧力をかけられた後に、型515およびその内容物が冷却され、リブ202が取り出される。
【0046】
いくつかの実施形態では、リブ202を形成するために使用されるプリフォームは、単一の「充填プリフォーム」へと共に付着/接合され得る。共に付着された場合に、各プリフォームは、緩く積層されたプリフォームに比べて相互に対して位置を変位する可能性が非常に低く、したがって相互に対する配向を必ず維持する。さらに、充填プリフォームは、その全体形状により、型内において自動位置合わせする(すなわち適切な位置を確立および維持する)傾向を有する。これは、型が閉じられると配向も位置も確認不能となるため有利となる。さらに、充填プリフォームが型とは別個の固定具を使用して形成される実施形態では、型へと複数のプリフォームを個別に追加し次いで型内に構成することに比べて、この固定具から充填プリフォームを取り外し型へと移動する(典型的にはロボットにより)ことが比較的容易である。
【0047】
いくつかの実施形態では、プリフォームは、軟化するまで加熱し次いで共に圧迫することにより共に付着される。加熱は、樹脂が熱可塑性である場合に必要となる。熱硬化性物質は、粘着性を有し、典型的にはかかる加熱および軟化を必要としない。熱可塑性プリフォームが軟化する温度は、使用される特定の熱可塑性物質の熱たわみ温度以上である。例えば熱風、加熱ランプ、超音波溶接、摩擦溶接、レーザ、化学接着剤、およびラッシングなどの機械的方法等を含むがそれらに限定されない任意の様々な加熱技術を利用することが可能である。軟化すると、各重なり合うプリフォームの重量が、典型的には隣接し合うプリフォーム同士を相互に付着させるのに十分な圧力を与え、加熱が停止されると、材料が冷却される。
【0048】
図3Aは、充填プリフォーム302Aを示し、
図3Bは、充填プリフォーム302Bを示す。これらの充填プリフォームは、リブ202を形成するのに適した2つの例のプリフォーム集合体に相当する。
【0049】
この実施形態では、充填プリフォーム302Aは、矩形ループ形状(すなわちリブの最終形状)に形成される5つの連続繊維プリフォーム308と、プリフォーム306A、306B、および306Cのそれぞれ2つからなる線形の6つのプリフォームとを備える。線形プリフォームは、リブ202の湾曲形状部を構成し、最終成形されたリブアンドシートパーツにおいてシートの湾曲部を膨らませるために備えられる。
【0050】
ループとして形状設定されるプリフォーム308は、少なくとも1つの「始点」および1つの「終点」を含む。すなわち、各プリフォーム308がトウプレグの屈曲セグメントであるため、以前に2つの端部であった部分は、「非連結」状態に留まり、しかしながら相互に近傍に位置する(
図3Aには図示せず)。有利には、充填プリフォームの各「層」におけるこの不連続部は、隣接する上下の層中の不連続部の位置が重ならないように互い違いに配置される。かかる互い違いの構成により、不連続部が互い違いに配置されない構成と比べた場合に、最終パーツの材料特性が結果として比較的良好なものとなる。
【0051】
図3Bに示す充填プリフォーム302Bなどにおけるいくつかの実施形態では、各ループは2つの個別のプリフォームを含む。より具体的には、各ループは、2つの「L字形状」プリフォーム、屈曲部312Aを有するL字形状プリフォーム310Aと屈曲部312Bを有するL字形状プリフォーム310Bとから構成される。各ループは、2つの間隙314を有し、これらの間隙314は、2つのプリフォームの2つの端部間の空間である。充填プリフォーム302Aと同様に、充填プリフォーム302Bは、プリフォーム306A、306B、および306Cのそれぞれ2つからなる6つの線形プリフォームを備える。
【0052】
充填プリフォーム302Aの説明と併せて述べたように、各層中の不連続部は、充填プリフォーム中の各連続層について間隙314がオフセットされるように、互い違いに配置されるべきである。換言すれば、充填プリフォームの任意の所与の「層」において、間隙314がループの「隅部1」および「隅部3」に位置決めされる場合に、上下に位置する層中の間隙が「隅部2」および「隅部4」に位置決めされる。これにより、充填プリフォームおよび成形パーツの強度が強化される。
【0053】
充填プリフォーム302Aおよび302Bは、リブ202を形成するための2つの集合体の例である。充填プリフォーム302Aまたは302Bに示すもの以外の形状を有するプリフォームが、2ステッププロセスによりリブ202を形成するために使用され得る点が理解されよう。例えば、各矩形層を作製するために、1つの「U字形状」プリフォームが1つの線形プリフォームと組み合わせて使用され得る。この「U字形状」プリフォームは、2つの長側部および1つの短側部を、または2つの短側部および1つの長側部を有し得る。いくつかの他の実施形態では、3つ以上のプリフォームがループ形状を作製するために使用される。
【0054】
いくつかの他の実施形態では、各ループ形状層中の任意の間隙が、充填プリフォームの形成のために固定具または型の中にループを配置する前に閉じられる。さらに、ループ形状が形成される様式は、所望に応じて層ごとに異なることが可能である。例えば、1つの層が充填プリフォーム302Aの様式で形成され、隣接する層が充填プリフォーム302Bの様式で形成されてもよい。
【0055】
充填プリフォームを形成する代わりに、熱および圧力による一体化時にリブ202が形成されるようにプリフォームが単に適宜緩く積み重ねられ得る。
【0056】
1ステッププロセス。
図4は、シングルステップ成形プロセスの構成要素を示す。この1ステップ方法は、2ステップ方法と同様である。しかし、第1の成形作業においてリブを形成するのではなく、リブの製造およびシートの製造(シートが事前形成されない場合)が、単一の型においておよび単一の成形ステップにおいて同時に実施される。したがって、雌型の穴は、これらのプリフォームのすべてを受けるのに十分な深さを有さなければならない。雄型は、シングルステップで最終パーツの全表面を形成するように形状設定される。
【0057】
上記で論じたように、いくつかの他の実施形態では、プライ204Aおよび204B(テープまたは織成繊維)は、サイズ切断され、型穴内に配置される。いくつかの他の実施形態では、事前形成されたシートが型穴内に配置される。さらにいくつかの他の実施形態では、チョップド繊維(シートを形成するための)が、型穴内に均一に拡散される。
【0058】
いくつかの実施形態では、充填プリフォーム302Aまたは302Bなどの充填プリフォームが形成される。この充填プリフォームは、別個の固定具内で形成され、次いで型へ追加されることが可能であり、または型内で形成されることが可能である。代替的には、プリフォーム同士は、共に付着させることにより充填プリフォームを形成するのではなく、適切な形状で単に相互の上に位置決めされることが可能である。
【0059】
すべての構成要素が型穴内に位置すると、雄型が接合され、成形作業が開始される。熱および圧力がこれらの別個の材料を最終パーツへと一体化する。2ステッププロセスで使用された型521(
図5B)は、1ステッププロセスでも使用することが可能である。当然ながら、この型は、形成されることとなるリブアンドシートパーツの実際の仕様に合わせなければならない。
【0060】
シングルステッププロセスは、効率上の利点を有するが、2ステッププロセスは、シングルステッププロセスでは繊維配列を維持することが困難である状況において当然ながら好ましい。
【0061】
例示の実施形態では、リブ202などの「リブ」が、シートの外周部に位置する連続ループとなるように示される。しかし、他の形状が現在検討されており、本開示に照らして当業者には想起されよう。かかる代替形状の中のいくつかが、
図6A~
図6Eに示される。
【0062】
図6Aおよび
図6Bなどに示すいくつかの実施形態では、リブは、不連続体であるまたはセグメント化される。例として、
図6Aのリブアンドシートパーツ600Aでは、リブ602Aが2つの連続性中断部を有し、間隙640が、リブの2つの短側部のそれぞれに位置する。これは、リブの短側部に対して幾分かの可撓性を与える、および/またはワイヤ等がリブを横断して通過することが可能となる。
【0063】
図6Bのリブアンドシートパーツ600Bでは、リブ602Bは、4つの連続性中断部を有し、間隙642および間隙644が、リブの2つの長側部のそれぞれに位置する。これは、リブ602Bの1つまたは複数の所定の領域が比較的可撓性を有することを可能にする。例えば、間隙642と間隙644との間のリブの区間は、リブ602Bの他の部分よりも実質的に高い可撓性を有することになる。リブ602Bの各セグメント内において、繊維は連続繊維であり(セグメントの長さと等しい)、相互に整列される点に留意されたい。
【0064】
リブ602Aおよび602Bの間隙は、成形プロセスの一部として形成されることが可能であり、1ステップ方法または2ステップ方法のどちらを使用して形成されることも可能である。しかし、連続性中断部の個数が増加すると、2ステップ方法の利用は漸増的に作業量がさらに増えることになり、1ステップ方法が優先的に利用される。
【0065】
図6Cは、リブアンドシートパーツ600Cを示し、このリブの強度は、「外方」ループに対して筋交いを与える「内部」交差部材の使用により強化される。具体的には、ブレース648は、部材650A、650B、および652からなる。このブレースは、特徴的な「十字形」交差部654および「T字形」交差部656を示す。2ステッププロセスを適用することにより、リブ602Cのループ部分およびブレース648が、1ステップで形成され、次いで第2のステップでシート/プライ/チョップド繊維と共に成形され得る。代替的には、リブ602C自体が、2ステップで形成されることが可能であり、ループ部分およびブレース648は、相互に別個に形成され、次いでそれぞれ個別に別の型へ追加されてシート/プライ/チョップド繊維と共に成形されることにより最終パーツが形成される。
【0066】
さらに他の実施形態では、リブ602Cが3ステップで形成される。ループ部分およびブレース648が、別個に成形され、次いでループおよびブレース648は共に成形されることによりリブが形成される。代替的には、リブアンドシートパーツ600Cは、比較的複雑な型を用いて1ステップ方法により形成することが可能である。
【0067】
この実施形態では、2ステップ方法は、1ステップ方法よりも良好な特性を有するパーツを作製し得る点に留意されたい。部材650A、650Bおよび部材652の一端部を形成するものなどのブレース648を形成するために使用されるプリフォームのいくつかが、ループ部分を形成するプリフォームに重畳するように構成されるので、繊維が最終パーツにおいて重畳することになることにより、かような特性改善の可能性が得られる。しかし、1ステップ方法を使用する場合には繊維配列が幾分か失われる可能性があり、これは、例えば第1のステップでリブ/ブレースのみを成形し、次いで第2のステップで完全なリブアンドシートパーツを成形する場合には回避することが可能である。
【0068】
図6Dは、リブアンドシートパーツ600Dを示す。「トラス」658が、リブ602Dのループ部分内に形成される。このトラスは、ループの短側部に対して平行に整列され長側部を支持する部材660Aおよび660Bと、十字部材662Aおよび662Bとを備える。当然ながら、このトラス構成が非常に高い剛性の構造体を作製することが可能である点は周知の通りである。
【0069】
図6Eは、リブアンドシートパーツ600Eを示す。この例では2つのリブ602E-1および602E-2である複数のリブが、同心状にまたは入れ子状に構成される。この構成は、例えばパーツのシート部分上に構成されるいくつかの構成要素を隔離する場合などには有利となる。例えば、内方リブ602E-2が、金属を含み、ファラデー箱として機能することにより、内方リブのいずれかに位置する構成要素をリブの他方の側に位置する構成要素から発生する電磁場からシールドすることが可能である。
【0070】
本開示はいくつかの実施形態を説明するものであり、本開示を読むことにより当業者は本発明の多数の変形例を容易に考案することが可能となる点と、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲により決定されるべきものである点とを理解されたい。
【符号の説明】
【0071】
1 隅部
2 隅部
3 隅部
4 隅部
100 リブアンドシートパーツ
102 連続リブ
104 湾曲非平坦シート
202 リブ
204A プライ
204B プライ
302A 充填プリフォーム
302B 充填プリフォーム
306A プリフォーム
306B プリフォーム
306C プリフォーム
308 プリフォーム
310A L字形状プリフォーム
310B L字形状プリフォーム
312A 屈曲部
312B 屈曲部
314 間隙
515 型
516 雄型部分
517 壁部
518 型穴
520 壁部、内方壁部
521 型
522 型穴
524 底部表面
526 内方壁部
528 雄型部分
530 壁部
532 湾曲状底部表面
600A リブアンドシートパーツ
600B リブアンドシートパーツ
600C リブアンドシートパーツ
600D リブアンドシートパーツ
600E リブアンドシートパーツ
602A リブ
602B リブ
602C リブ
602D リブ
602E-1 リブ
602E-2 内方リブ
640 間隙
642 間隙
644 間隙
648 ブレース
650A 部材
650B 部材
652 部材
654 交差部
656 交差部
660A 部材
660B 部材
662A 十字部材
662B 十字部材