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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】紙葉類格納装置及び紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/12 20190101AFI20221216BHJP
【FI】
G07D11/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021573641
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(86)【国際出願番号】 JP2020002789
(87)【国際公開番号】W WO2021152666
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本橋 康大
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-134385(JP,A)
【文献】特開平3-182457(JP,A)
【文献】国際公開第2017/072881(WO,A1)
【文献】特開2001-240257(JP,A)
【文献】特開2007-206911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類が格納される格納空間を有するケース部材と、
紙葉類が集積される載置台と、
紙葉類が集積される集積方向に沿って前記載置台を移動可能に支持する支持機構と、
前記載置台に対して紙葉類が進入する側へ向かって前記載置台を移動させるように付勢するばね部材と、
前記載置台の移動を規制するロック機構と、
前記ロック機構を作動させる作動機構と、を備え、
前記ケース部材は、装着部に対して着脱可能に装着され、
前記作動機構は、前記ケース部材が前記装着部に装着されたとき、前記作動機構が前記装着部の内面に接することで、前記載置台の移動の規制を解除するように前記ロック機構を作動させ、前記ケース部材が前記装着部から取り外されたとき、前記作動機構が前記装着部の内面から離れることで、前記載置台の移動を規制するように前記ロック機構を作動させる、紙葉類格納装置。
【請求項2】
前記作動機構は、前記装着部の内面に沿って接するローラ部材と、前記内面に前記ローラ部材が接することで回動するアーム部材と、を有する、
請求項1に記載の紙葉類格納装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記載置台に設けられた係合部材と、前記ケース部材に回動可能に支持されて前記係合部材が係合するロック部材と、を有し、前記ケース部材の内部に設けられ、
前記ロック部材は、前記アーム部材と連結されている、
請求項2に記載の紙葉類格納装置。
【請求項4】
前記係合部材は、前記ロック部材に係合する三角形状の突起を有し、
前記ロック部材は、前記載置台の移動方向に沿って配列されて前記突起が係合する複数の凹部と、隣り合う前記凹部同士の間にそれぞれ設けられた複数の隔壁と、を有する、
請求項3に記載の紙葉類格納装置。
【請求項5】
前記ロック部材には、前記載置台に集積された紙葉類の枚数が所定の枚数変化したときに、前記突起が係合する前記凹部の位置が1つずつずれるように、前記複数の凹部及び前記複数の隔壁が形成されている、
請求項4に記載の紙葉類格納装置。
【請求項6】
前記ケース部材に設けられ、紙葉類が前記ケース部材の内部へ搬入される搬入口と、
前記搬入口から搬入された紙葉類を送り、前記載置台に紙葉類を集積する羽根車と、を更に備え、
前記載置台は、水平方向に沿って移動可能に設けられて、紙葉類が集積される載置面が鉛直方向に対して傾斜されている、
請求項1に記載の紙葉類格納装置。
【請求項7】
請求項1に記載の紙葉類格納装置と、
前記装着部と、
紙葉類を前記紙葉類格納装置へ搬送する搬送路と、
を備える紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類格納装置及び紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ATM(Automated Teller Machine)等の紙幣取扱装置は、入金された紙幣を格納する紙幣格納装置を備えており、紙幣取扱装置の装着部に対して紙幣格納装置が着脱可能に設けられたものが知られている。紙幣取扱装置では、装着部から紙幣格納装置を取り外すことで、紙幣格納装置に格納された紙幣が運搬される。
【0003】
この種の紙幣格納装置としては、紙幣が集積される載置台と、載置台を一方向へ向かって移動させるように付勢するばね部材と、を備える構造がある。載置台に集積される紙幣の増加に伴って、載置台は、ばね部材の付勢力に抗して移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-322626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した紙幣格納装置では、紙幣が集積された載置台が、ばね部材の付勢力のみによって付勢されている。このため、紙葉類格納装置を運搬する際等に、紙幣格納装置の外部から振動や衝撃が加わった場合、ばね部材の付勢力に抗して載置台が移動することで、載置台に集積された紙幣に乱れが生じるおそれがある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、紙葉類格納装置を運搬する際等に、載置台に集積された紙葉類に乱れが生じることを抑えられる紙葉類格納装置及び紙葉類取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する紙葉類格納装置の一態様は、紙葉類が格納される格納空間を有するケース部材と、紙葉類が集積される載置台と、紙葉類が集積される集積方向に沿って前記載置台を移動可能に支持する支持機構と、前記載置台に対して紙葉類が進入する側へ向かって前記載置台を移動させるように付勢するばね部材と、前記載置台の移動を規制するロック機構と、前記ロック機構を作動させる作動機構と、を備え、前記ケース部材は、装着部に対して着脱可能に装着され、前記作動機構は、前記ケース部材が前記装着部に装着されたとき、前記作動機構が前記装着部の内面に接することで、前記載置台の移動の規制を解除するように前記ロック機構を作動させ、前記ケース部材が前記装着部から取り外されたとき、前記作動機構が前記装着部の内面から離れることで、前記載置台の移動を規制するように前記ロック機構を作動させる。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する紙葉類格納装置の一態様によれば、紙葉類格納装置を運搬する際等に、載置台に集積された紙葉類に乱れが生じることを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の紙幣取扱装置を示す概略図である。
図2図2は、実施例の紙幣格納装置を示す斜視図である。
図3図3は、実施例の紙幣格納装置を示す斜視図である。
図4図4は、実施例の紙幣格納装置を模式的に示す平面図である。
図5図5は、実施例の紙幣格納装置を模式的に示す側面図である。
図6図6は、実施例の紙幣格納装置のロック機構及び作動機構を示す斜視図である。
図7図7は、実施例の紙幣格納装置が装着部に装着された状態を示す透視側面図である。
図8図8は、実施例の紙幣格納装置が装着部に装着されたときのロック機構及び作動機構を示す側面図である。
図9図9は、実施例の紙幣格納装置が装着部から取り外された状態を示す透視側面図である。
図10図10は、実施例の紙幣格納装置が装着部から取り外されたときのロック機構及び作動機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する紙葉類格納装置及び紙葉類取扱装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類格納装置及び紙葉類取扱装置が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
(紙幣取扱装置の構成)
図1は、実施例の紙幣取扱装置を示す概略図である。図1に示すように、実施例の紙幣取扱装置1は、紙幣6を入出金する入出金部11と、入出金部11から搬送された紙幣6を鑑別する鑑別部12と、鑑別部12から搬送された紙幣6を一時的に収容する複数の一時保留部13と、各一時保留部13から搬送された紙幣6を格納する格納部14と、を備える。
【0012】
また、紙幣取扱装置1は、各部11、12、13、14の間で紙幣6を搬送路15aに沿って搬送する搬送機構15と、各部11、12、13、14をそれぞれ制御する制御部(不図示)と、を備える。搬送機構15は、紙幣6を搬送する搬送路15aを構成する搬送ベルト及び複数のローラを有しており、入出金部11、鑑別部12、各一時保留部13及び格納部14をそれぞれつなぐように配置されている。制御部は、鑑別部12、各一時保留部13、格納部14及び搬送機構15のそれぞれと電気的に接続されている。
【0013】
図1に示すように、紙幣取扱装置1が備える格納部14が、実施例の紙幣格納装置に相当する。以下、格納部14を紙幣格納装置14に言い換えて説明する。紙幣取扱装置1は、直方体状の紙幣格納装置14が、X-Y平面(水平面)に沿って着脱される装着部18を有する。すなわち、紙幣格納装置14は、紙幣取扱装置1の装着部18に対して着脱可能に設けられており、いわゆる紙幣格納庫として用いられる。装着部18の内面は、水平面(X-Y平面)に沿う平坦な天板18aを有しており、紙幣格納装置14が装着部18に装着されたときに紙幣格納装置14の上部が天板18aに沿って接する。紙幣取扱装置1は、装着部18から紙幣格納装置14が取り外されることで、紙幣格納装置14に集積されて格納された紙幣6が運搬される。
【0014】
説明の便宜上、図1において紙幣取扱装置1を入出金部11側から見て、紙幣取扱装置1の前後方向をX方向、紙幣取扱装置1の幅方向をY方向、紙幣取扱装置1の上下方向をZ方向と称する。図1以降の図面においても、図1と同様にX、Y、Z方向をそれぞれ示す。また、本実施例では、紙葉類の一例として紙幣6を用いるが、紙幣6に限定するものではない。紙葉類には、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券も含まれる。
【0015】
(紙幣格納装置の構成)
図2及び図3は、実施例の紙幣格納装置14を示す斜視図である。図4は、実施例の紙幣格納装置14を模式的に示す平面図である。図5は、実施例の紙幣格納装置14を模式的に示す側面図である。
【0016】
図2図3及び図4図5に示すように、紙幣格納装置14は、紙幣6が格納される格納空間21aを有するケース部材21と、紙幣6が集積される載置台22と、載置台22に紙幣6を集積する羽根車23と、紙幣6が集積される集積方向に沿って載置台22を移動可能に支持する支持機構24(図5参照)と、を備える。また、図5に示すように、紙幣格納装置14は、載置台22に対して紙幣6が進入する側(羽根車23側)へ向かって載置台22を移動させるように付勢するばね部材25と、載置台22の移動を規制するロック機構26と、ロック機構26を作動させる作動機構27と、を備える。
【0017】
紙幣格納装置14において、作動機構27は、ケース部材21が装着部18に装着されたとき、作動機構27が装着部18の内面としての天板18aに接することで、載置台22の移動の規制を解除するようにロック機構26を作動させ、ケース部材21が装着部18から取り外されたとき、作動機構27が装着部18の天板18aから離れることで、載置台22の移動を規制するようにロック機構26を作動させる。
【0018】
ケース部材21の上部には、図2及び図3に示すように、内部の格納空間21aを開閉可能な蓋部材21bが、支軸21cを介して回動可能に設けられている。蓋部材21bには、紙幣取扱装置1の搬送路15aに沿って送られた紙幣6を格納空間21aへ搬入するための搬入口21dが設けられている。また、ケース部材21の内部には、図5に示すように、搬入口21dから搬入された紙幣6を案内するガイド板29が設けられている。ガイド板29は、紙幣6が搬入口21dから羽根車23に向かって所定の姿勢で落下するように案内する。
【0019】
また、図3及び図4に示すように、ケース部材21の内部は、紙幣6が集積される格納空間21aを仕切る一組の仕切り板30が、載置台22のY方向における両側にそれぞれ設けられている。各仕切り板30は、ケース部材21の内部に固定されている。ロック機構26及び作動機構27は、図4及び図5に示すように、一方の仕切り板30とケース部材21の内面との間の空間に配置されている。仕切り板30とケース部材21の内面との間の空間には、支持機構24及びばね部材25が配置されており、この空間の上方の、支持機構24が配置されていない空きスペースに、ロック機構26及び作動機構27が配置されている。これにより、ケース部材21の内部の空きスペースが有効利用されており、ケース部材21や紙幣格納装置14の大型化を避けて、ロック機構26及び作動機構27をケース部材21の内部に配置することができる。
【0020】
載置台22は、羽根車23によって送られた紙幣6が集積される載置面22aを有する。載置台22は、水平方向(X―Y平面に沿う方向)に沿って移動可能に設けられており、載置面22aが鉛直方向(Z方向)に対して傾斜されている。載置台22は、載置面22aの上端が、下端よりも羽根車23から離れるように傾斜されている。このように載置面22aが傾斜されることで、回転する羽根車23によって送られた紙幣6が、載置台22にスムーズに集積される。
【0021】
羽根車23は、図4及び図5に示すように、紙幣6を送る複数の羽根23aを有しており、搬入口21dに対向する位置に配置されている。羽根車23は、搬入口21dから搬入された紙幣6を羽根23aの間に保持し、羽根23aを回転させることで載置台22に紙幣6を集積するように送る。
【0022】
支持機構24は、図6に示すように、仕切り板30にX方向に沿って設けられたガイドレール部材31と、ガイドレール部材31に沿ってY方向に往復移動するスライド部材32と、を有する。スライド部材32は、載置台22と連結されており、スライド部材32がガイドレール部材31に沿って移動することで、格納空間21a内で載置台22がX方向に沿って移動する。
【0023】
ばね部材25は、一方の仕切り板30とケース部材21の内面との間の空間に配置された支持機構24の下方に配置されている。ばね部材25は、図5に示すように、引っ張りコイルばねが用いられており、一端25aが仕切り板30の固定部30aに固定されている。ばね部材25は、固定部30aからX方向に沿って延ばされて、仕切り板30に支持されたプーリー34に掛け渡されると共に、プーリー34で折り返してX方向に延ばされて、他端25bが載置台22に固定されている。このため、載置台22は、ばね部材25の付勢力によって羽根車23側へ付勢されている。載置台22に集積された紙幣6の集積量の増加に伴って、載置台22は、ばね部材25の付勢力に抗して羽根車23側から離れる方向へ移動される。
【0024】
(ロック機構の構成)
ロック機構26は、ケース部材21の内部に設けられており、載置台22に設けられた係合部材36と、係合部材36が係合するロック部材37と、を有する。載置台22は、仕切り板30に沿ってX方向に移動する側面部22bを有しており、側面部22bに係合部材36が固定されている。係合部材36は、ロック部材37に係合する三角形状の突起36aを有しており、突起36aの先端がロック部材37に対向して配置されている。
【0025】
ロック部材37は、ケース部材21に固定された仕切り板30に設けられた支軸37aに回動可能に支持されている。ロック部材37は、作動機構27が有する後述のアーム部材43と連結されており、アーム部材43を移動可能に支持する長穴37bを有する。
【0026】
ロック部材37は、係合部材36の突起36aが係合する複数の凹部38と、隣り合う凹部38同士の間にそれぞれ設けられた複数の隔壁39と、を有する。複数の凹部38は、ロック部材37の下端部に、載置台22の移動方向(X方向)に沿って配列されており、格納空間21a内における載置台22の移動領域に設けられている。隔壁39は、複数の凹部38の配列方向に直交する板状のリブとして形成されている。
【0027】
上述したように、係合部材36は、三角形状の突起36aを有することで、突起36aの先端が凹部38の隔壁39に接したときに隔壁39が、三角形状の突起36aの斜辺に沿って滑る。このため、係合部材36の突起36aは、隣り合う凹部38のいずれか一方に導かれるので、突起36aを凹部38内にスムーズに係合させることができる。したがって、X方向における載置台22の位置にかかわらず、ロック部材37によって載置台22の移動がスムーズに規制される。
【0028】
また、ロック部材37には、載置台22に集積された紙幣6の枚数が所定枚数、例えば、100枚変化したときに、載置台22と共に移動した突起36aが係合する凹部38の位置が1つずつずれるように、複数の凹部38及び複数の隔壁39が形成されている。これにより、紙幣6の集積量の変化に伴って載置台22がX方向に移動したとき、載置台22の突起36aがロック部材37の各凹部38に適正にそれぞれ係合するので、X方向に移動する載置台22をスムーズに規制できる。また、これにより、ロック部材37によって規制された載置台22に集積された紙幣6が、紙幣格納装置14に加わる振動や衝撃で乱れが生じることを更に適正に抑えられる。
【0029】
(作動機構の構成)
作動機構27は、図6に示すように、装着部18の天板18aに沿って接するローラ部材41と、天板18aにローラ部材41が接することで回動するアーム部材43と、アーム部材43を一方向に付勢するコイルばね44と、を有する。言い換えると、作動機構27は、ロック機構26が載置台22を規制したロック状態と、ロック機構26が載置台22の規制を解除した解除状態とに切り換える切換機構である。
【0030】
ローラ部材41は、アーム部材43の一端部に回転軸41aを介して回転自在に支持されている。回転軸41aは、Y方向に沿って配置されており、紙幣格納装置14が装着部18に対してX方向に挿脱されたときにローラ部材41が天板18aに沿って回転する。また、ローラ部材41は、ローラ部材41の一部を、蓋部材21bの開口21eを通してケース部材21の外側に突出させるようにアーム部材43に支持されている(図2及び図3参照)。言い換えると、装着部18に紙幣格納装置14が装着される姿勢において、ケース部材21の開口21eから外側に突出するローラ部材41の上端の位置は、装着部18の天板18aのZ方向の高さよりも高くされている。
【0031】
アーム部材43は、第1支軸43aを介して仕切り板30に回動自在に支持されると共に、第2支軸43bを介してロック部材37に回動自在に支持されている。また、アーム部材43は、第2支軸43bが、ロック部材37の長穴37bに支持されており、第2支軸43bが長穴37bの長手方向に沿って移動することで、ロック部材37を支軸37aまわりに回動させる。このため、作動機構27とロック機構26は、アーム部材43とロック部材37とが、長穴37bに支持された第2支軸43bによって連結されたリンク構造をなしている。
【0032】
コイルばね44は、一端が仕切り板30に固定されており、他端がアーム部材43に固定されている。コイルばね44は、アーム部材43を第1支軸43aまわりに回動させて、ローラ部材41をケース部材21の外側へ向かって移動させるように付勢している。
【0033】
作動機構27は、ローラ部材41を有することで、装着部18に対してX方向における両側(前後)のいずれの側から紙幣格納装置14が着脱された場合であっても、ローラ部材41が天板18aに沿って転がるので、天板18aによってローラ部材41をケース部材21内にスムーズに押し込むことが可能になる。このため、紙幣格納装置14は、装着部18に対する双方向の着脱操作に対応可能になり、装着部18に対する着脱方向の制約を受けず、紙幣取扱装置1の装着部18の構造の自由度が高められる。
【0034】
(ロック機構及び作動機構の動作)
図7は、実施例の紙幣格納装置14が装着部18に装着された状態を示す透視側面図である。図8は、実施例の紙幣格納装置14が装着部18に装着されたときのロック機構26及び作動機構27を示す側面図である。
【0035】
図7及び図8に示すように、紙幣格納装置14は、装着部18に対してX方向に沿って装着されるとき、ケース部材21の開口21eから外側に突出するローラ部材41の上端が、天板18aの位置よりも高いので、ローラ部材41が天板18a近傍に接する。天板18a近傍に接したローラ部材41は、回転しながら天板18aの下方へ移動することで、天板18aによってローラ部材41が下方へ押し込まれて、紙幣格納装置14が装着部18内に装着される。
【0036】
このように紙幣格納装置14が装着部18内に装着されたときにローラ部材41が下方へ移動することで、コイルばね44の付勢力に抗してアーム部材43が第1支軸43aまわりに回動すると共に、第2支軸43bがロック部材37の長穴37bに沿って図8中の右側へ移動する。このため、ロック部材37は、アーム部材43の第2支軸43bが長穴37bに沿って移動するのに伴って、支軸37aまわりに回動されて、ロック部材37の下端部に沿って配列された複数の凹部38が、載置台22に設けられた係合部材36の突起36aから離れて上昇する。ロック部材37の複数の凹部38が上昇することで、凹部38と突起36aとの係合状態が解除され、ロック部材37による載置台22の移動の規制が解除される。
【0037】
これにより、載置台22は、X方向に移動自在となり、載置台22に集積された紙幣6の集積量に応じて移動することで、格納空間21aに紙幣6を格納することが可能になる。つまり、紙幣格納装置14は、装着部18に装着されたときに、天板18aに接したローラ部材41が、ケース部材21の内部に向かって移動することで、ロック機構26が規制する載置台22のロック状態が解除される。
【0038】
図9は、実施例の紙幣格納装置14が装着部18から取り外された状態を示す透視側面図である。図10は、実施例の紙幣格納装置14が装着部18から取り外されたときのロック機構26及び作動機構27を示す側面図である。
【0039】
図9及び図10に示すように、紙幣格納装置14は、装着部18から取り外されたとき、ローラ部材41を下方へ押し込む天板18aからローラ部材41が離れることで、コイルばね44の付勢力によってアーム部材43が回動して、ケース部材21の開口21eから外側にローラ部材41が突出する。
【0040】
このようにローラ部材41が上方へ移動したときに、作動機構27は、コイルばね44の付勢力によってアーム部材43が第1支軸43aまわりに回動すると共に、第2支軸43bがロック部材37の長穴37bに沿って図10中の左側へ移動する。このため、ロック部材37は、アーム部材43の第2支軸43bが長穴37bに沿って移動するのに伴って、支軸37aまわりに回動されて、ロック部材37の下端部に沿って配列された複数の凹部38が、載置台22に設けられた係合部材36の突起36aに向かって下降する。ロック部材37の複数の凹部38が下降することで、載置台22の位置に応じて、複数の凹部38のうちのいずれかの凹部38内に突起36aが進入し、凹部38と突起36aが係合することで、ロック部材37によって載置台22の移動が規制される。
【0041】
これにより、紙幣格納装置14の運搬時等の振動や衝撃によって載置台22が移動することが避けられるので、載置台22に集積された紙幣6の乱れを抑えることが可能になる。つまり、紙幣格納装置14は、装着部18から取り外されたときに、天板18aから離されたローラ部材41が、ケース部材21の外側へ向かって移動することで、ロック機構26が載置台22を規制するロック状態になる。
【0042】
なお、本実施例における作動機構27は、ローラ部材41が上下方向(Z方向)に対して移動するように配置されたが、作動機構27の配置を限定するものではない。作動機構27は、例えば、ローラ部材41が水平方向(X-Y平面に沿う方向)に移動するように配置されてもよく、作動機構27の配置に応じてロック機構26の配置が適宜変更されてもよい。同様に、装着部18は、ローラ部材41が接する天板18aを備える構造に限定されず、例えば、側面(X-Z平面)にローラ部材41が接するように構成されてもよい。
【0043】
(実施例の効果)
上述のように、実施例の紙幣格納装置14は、載置台22に対して紙幣6が進入する側へ向かって載置台22を移動させるように付勢するばね部材25と、載置台22の移動を規制するロック機構26と、ロック機構26を作動させる作動機構27と、を備える。作動機構27は、ケース部材21が装着部18に装着されたとき、作動機構27が装着部18の天板18aに接することで、載置台22の移動の規制を解除するようにロック機構26を作動させ、ケース部材21が装着部18から取り外されたとき、作動機構27が装着部18の天板18aから離れることで、載置台22の移動を規制するようにロック機構26を作動させる。これにより、紙幣格納装置14が装着部18から取り外されたときにロック機構26によって載置台22の移動が規制されるので、紙幣格納装置14を運搬する際等の振動や衝撃で、載置台22に集積された紙幣6に乱れが生じることを抑えられる。
【0044】
また、実施例の紙幣格納装置14における作動機構27は、装着部18の天板18aに沿って接するローラ部材41と、天板18aにローラ部材41が接することで回動するアーム部材43と、を有する。このようにローラ部材41を有することで、装着部18に対してX方向における両側(前後)のいずれの側から紙幣格納装置14が着脱された場合であっても、天板18aによってローラ部材41をケース部材21内にスムーズに押し込むことが可能になる。このため、紙幣格納装置14は、装着部18に対する双方向の着脱操作に対応可能になり、装着部18に対する着脱方向の制約を受けず、紙幣取扱装置1の装着部18の構造の自由度が高められる。
【0045】
また、実施例の紙幣格納装置14におけるロック機構26は、載置台22に設けられた係合部材36と、ケース部材21に回動可能に支持されて係合部材36が係合するロック部材37と、を有しており、ケース部材21の内部に設けられている。ロック部材37は、アーム部材43と連結されている。これにより、ロック機構26及び作動機構27を、簡素なリンク構造で実現すると共にケース部材21の内部の空きスペースを有効利用して配置することが可能になり、ケース部材21及び紙幣格納装置14の大型化を避けられる。
【0046】
また、実施例の紙幣格納装置14のロック機構26は、係合部材36が、ロック部材37に係合する三角形状の突起36aを有しており、ロック部材37が、載置台22の移動方向に沿って配列されて突起36aが係合する複数の凹部38と、隣り合う凹部38同士の間にそれぞれ設けられた複数の隔壁39と、を有する。これにより、係合部材36の突起36aが凹部38に係合するときに隔壁39が、突起36aの先端が凹部38の隔壁39に接したときに隔壁39が、三角形状の突起36aの斜辺に沿って滑り、突起36aを凹部38内にスムーズに係合させることができる。したがって、格納空間21a内で移動する載置台22の位置にかかわらずに、ロック部材37によって載置台22の移動をスムーズに規制できる。
【0047】
また、実施例の紙幣格納装置14のロック機構26において、ロック部材37には、載置台22に集積された紙幣6の枚数が100枚変化したときに、突起36aが係合する凹部38の位置が1つずつずれるように、複数の凹部38及び複数の隔壁39が形成されている。これにより、紙幣6の集積量の変化に伴って移動する載置台22の突起36aが、ロック部材37の各凹部38に適正にそれぞれ係合するので、格納空間21a内で移動する載置台22をスムーズに規制できる。また、これにより、ロック部材37によって規制された載置台22に集積された紙幣6が、紙幣格納装置14に加わる振動や衝撃で乱れが生じることを更に適正に抑えられる。
【0048】
また、実施例の紙幣格納装置14は、ケース部材21の搬入口21dから搬入された紙幣6を送り、載置台22に紙幣6を集積する羽根車23を備える。載置台22は、水平方向(X-Y平面に沿う方向)に沿って移動可能に設けられており、紙幣6が集積される載置面22aが鉛直方向に対して傾斜されている。このように載置台22の載置面22aが傾斜する構造のときに、載置面22aに集積された紙幣6が乱れやすくなるので、ロック機構26によって載置台22を規制する効果が大きい。したがって、紙幣格納装置14の運搬等に、載置台22に集積された紙幣6に乱れが生じることを効果的に抑えられる。
【符号の説明】
【0049】
1 紙幣取扱装置(紙葉類取扱装置)
6 紙幣(紙葉類)
14 格納部、紙幣格納装置(紙葉類格納装置)
15a 搬送路
18 装着部
18a 天板(内面)
21 ケース部材
21a 格納空間
21d 搬入口
22 載置台
22a 載置面
23 羽根車
24 支持機構
25 ばね部材
26 ロック機構
27 作動機構
36 係合部材
36a 突起
37 ロック部材
38 凹部
39 隔壁
41 ローラ部材
43 アーム部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10