(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】ロープ外れ止め装置およびロープ外れ止め装置の隙間調整方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/06 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
B66B7/06 H
(21)【出願番号】P 2022069850
(22)【出願日】2022-04-21
【審査請求日】2022-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 理貴
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201626(JP,A)
【文献】特開2002-362863(JP,A)
【文献】中国実用新案第212893394(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
綱車に掛けられているロープに対向して設けられ、巻上機ハウジングに固定された固定部材と、
前記固定部材に支持され、前記固定部材に対して前記綱車の軸方向に移動可能な第1調整部材と、
前記固定部材に支持され、前記第1調整部材に対して前記軸方向に離れて設けられ、前記固定部材に対して前記軸方向に移動可能な第2調整部材と、
前記固定部材に対して移動可能に設けられ、移動することによって前記第1調整部材が前記軸方向に移動する第1調整ボルトと、
前記固定部材に対して移動可能に設けられ、移動することによって前記第2調整部材が前記軸方向に移動する第2調整ボルトと、
前記ロープと前記固定部材との間に設けられ、前記第1調整部材および前記第2調整部材を介して前記固定部材に支持されているロープガードと、
を備え、
前記ロープガードには、前記第1調整部材が接触している第1傾斜面と、前記第2調整部材が接触している第2傾斜面と、が形成されており、
前記第1調整部材が移動することによって、前記第1傾斜面が前記第1調整部材を介して前記綱車の径方向に移動し、
前記第2調整部材が移動することによって、前記第2傾斜面が前記第2調整部材を介して前記径方向に移動するロープ外れ止め装置。
【請求項2】
前記第1調整部材は、凸状半球面および平面が形成された第1半球部と、前記第1半球部の前記凸状半球面が面接触している凹状半球面が形成された第1移動部と、を有しており、
前記第1半球部の前記平面が前記第1傾斜面に接触している請求項1に記載のロープ外れ止め装置。
【請求項3】
前記第2調整部材は、凸状半球面および平面が形成された第2半球部と、前記第2半球部の前記凸状半球面が面接触している凹状半球面が形成された第2移動部と、を有しており、
前記第2半球部の前記平面が前記第2傾斜面に接触している請求項1または請求項2に記載のロープ外れ止め装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のロープ外れ止め装置を用いて、前記ロープと前記ロープガードとの間の隙間を調整するロープ外れ止め装置の隙間調整方法であって、
前記ロープガードを前記ロープに接触させる第1ステップと、
前記ロープガードが前記ロープに接触した状態から前記第1調整ボルトおよび前記第2調整ボルトのそれぞれを移動させることによって、前記第1調整部材および前記第2調整部材のそれぞれを移動させて、前記隙間を調整する第2ステップと、
を備えているロープ外れ止め装置の隙間調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロープ外れ止め装置およびロープ外れ止め装置の隙間調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定部材と、ロープガードと、調整ボルトと、を備えているロープ外れ止め装置が知られている。固定部材は、巻上機ハウジングに固定されている。ロープガードは、綱車に掛けられているロープと固定部材との間に設けられている。調整ボルトは、固定部材に設けられている。調整ボルトが固定部材に対して移動することによって、ロープガードがロープに近づく方向に移動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、固定部材およびロープガードは、互いに平行になっている。したがって、固定部材が綱車に対して平行になっていない場合には、ロープガードを綱車に対して平行にすることができない。これにより、綱車に掛けられている複数のロープのそれぞれと固定部材との間の隙間のそれぞれを均一に調整することが困難になるという課題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ロープガードを綱車に対して平行にすることができるロープ外れ止め装置およびロープ外れ止め装置の隙間調整方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るロープ外れ止め装置は、綱車に掛けられているロープに対向して設けられ、巻上機ハウジングに固定された固定部材と、固定部材に支持され、固定部材に対して綱車の軸方向に移動可能な第1調整部材と、固定部材に支持され、第1調整部材に対して軸方向に離れて設けられ、固定部材に対して軸方向に移動可能な第2調整部材と、固定部材に対して移動可能に設けられ、移動することによって第1調整部材が軸方向に移動する第1調整ボルトと、固定部材に対して移動可能に設けられ、移動することによって第2調整部材が軸方向に移動する第2調整ボルトと、ロープと固定部材との間に設けられ、第1調整部材および第2調整部材を介して固定部材に支持されているロープガードと、を備え、ロープガードには、第1調整部材が接触している第1傾斜面と、第2調整部材が接触している第2傾斜面と、が形成されており、第1調整部材が移動することによって、第1傾斜面が第1調整部材を介して綱車の径方向に移動し、第2調整部材が移動することによって、第2傾斜面が第2調整部材を介して径方向に移動する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るロープ外れ止め装置およびロープ外れ止め装置の隙間調整方法によれば、ロープガードを綱車に対して平行にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るロープ外れ止め装置を示す側面図である。
【
図2】
図1の第1傾斜面が押し上げられる様子を示す拡大図である。
【
図3】
図1の第1傾斜面が自重によって下がる様子を示す拡大図である。
【
図4】
図1の第2傾斜面が押し上げられる様子を示す拡大図である。
【
図5】
図1の第2傾斜面が自重によって下がる様子を示す拡大図である。
【
図6】実施の形態1に係るロープ外れ止め装置の隙間調整方法を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態2に係るロープ外れ止め装置の第1調整部材を示す側面図である。
【
図8】実施の形態2に係るロープ外れ止め装置の第2調整部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置を示す側面図である。実施の形態1に係るロープ外れ止め装置は、エレベータ巻上機1に取り付けられる。エレベータ巻上機1は、巻上機ハウジング101と、綱車102と、を備えている。綱車102には、複数の綱溝103が形成されている。複数の綱溝103のそれぞれには、複数のロープ2が1つずつ掛けられている。
【0010】
綱車102の軸線に沿った方向を軸方向D1とする。綱車102の軸線に直交する平面において綱車102の軸線を中心とする円の半径に沿った方向を径方向D2とする。複数の綱溝103は、軸方向D1に並んでいる。したがって、複数のロープ2は、軸方向D1に並んでいる。
【0011】
実施の形態1に係るロープ外れ止め装置は、固定部材3と、第1調整部材4と、第2調整部材5と、第1調整ボルト6と、第2調整ボルト7と、ロープガード8と、一対の固定ボルト9と、を備えている。また、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置は、ロックナット10と、ロックナット11と、一対のロックナット12と、を備えている。
【0012】
固定部材3は、巻上機ハウジング101に固定されている。固定部材3は、取付部301と、基部302と、第1腕部303と、第2腕部304と、を備えている。
【0013】
取付部301は、複数の締付ボルト13を介して巻上機ハウジング101に取り付けられている。基部302は、軸方向D1であって巻上機ハウジング101から離れる方向に取付部301から延びている。第1腕部303および第2腕部304のそれぞれは、基部302に設けられている。第1腕部303および第2腕部304は、軸方向D1に互いに離れている。第2腕部304は、第1腕部303よりも取付部301側にある。
【0014】
第1腕部303は、基部302から径方向D2であって綱車102に近づく方向に延びた第1板部305と、第1板部305の先端部から軸方向D1であって第2腕部304に近づく方向に延びた第2板部306と、を備えている。第1板部305には、軸方向D1に貫通したねじ穴307が形成されている。
【0015】
第2腕部304は、基部302から径方向D2であって綱車102に近づく方向に延びた第1板部308と、第1板部308の先端部から軸方向D1であって第1腕部303に近づく方向に延びた第2板部309と、を備えている。第1板部308には、軸方向D1に貫通したねじ穴310が形成されている。
【0016】
基部302には、径方向D2に貫通した一対のねじ穴311が形成されている。一対のねじ穴311は、軸方向D1に互いに離れて並んでいる。
【0017】
第1調整部材4は、固定部材3に支持されている。具体的には、第1調整部材4は、第1腕部303の第2板部306に載せられている。第1調整部材4は、固定部材3に対して軸方向D1に移動可能となっている。第1調整部材4は、くさび形状に形成されている。
【0018】
第2調整部材5は、固定部材3に支持されている。具体的には、第2調整部材5は、第2腕部304の第2板部309に載せられている。第2調整部材5は、固定部材3に対して軸方向D1に移動可能となっている。第2調整部材5は、くさび形状に形成されている。
【0019】
第2調整部材5は、第1調整部材4に対して軸方向D1に離れて設けられている。第1調整部材4は、軸方向D1であって第2調整部材5に近づくにつれて径方向D2の厚み寸法が小さくなるように配置されている。第2調整部材5は、軸方向D1であって第1調整部材4に近づくにつれて径方向D2の厚み寸法が小さくなるように配置されている。
【0020】
第1調整ボルト6は、固定部材3に対して軸方向D1に移動可能に設けられている。具体的には、第1調整ボルト6は、第1腕部303のねじ穴307に挿入されている。第1調整ボルト6が回転することによって、第1調整ボルト6は、第1腕部303に対して軸方向D1に移動する。
【0021】
第1調整ボルト6が軸方向D1に移動することによって、第1調整部材4は、軸方向D1に移動する。具体的には、第1調整部材4は、第1調整ボルト6よりも第2腕部304側に配置されている。第1調整部材4には、第1調整ボルト6の先端部が接触している。したがって、第1調整ボルト6が第2腕部304側に移動することによって、第1調整部材4は、第1調整ボルト6に押されて第2腕部304側に移動する。
【0022】
第2調整ボルト7は、固定部材3に対して軸方向D1に移動可能に設けられている。具体的には、第2調整ボルト7は、第2腕部304のねじ穴310に挿入されている。第2調整ボルト7が回転することによって、第2調整ボルト7は、第2腕部304に対して軸方向D1に移動する。
【0023】
第2調整ボルト7が軸方向D1に移動することによって、第2調整部材5は、軸方向D1に移動する。具体的には、第2調整部材5は、第2調整ボルト7よりも第1腕部303側に配置されている。第2調整部材5には、第2調整ボルト7の先端部が接触している。したがって、第2調整ボルト7が第1腕部303側に移動することによって、第2調整部材5は、第2調整ボルト7に押されて第1腕部303側に移動する。
【0024】
ロープガード8は、ロープ2と固定部材3との間に設けられている。ロープガード8は、第1調整部材4および第2調整部材5を介して固定部材3に支持されている。ロープガード8は、綱車102の真上に配置されている。ロープガード8は、取付部801と、ロープガード本体802と、連結部803と、を備えている。
【0025】
取付部801は、軸方向D1において、第1腕部303と第2腕部304との間に配置されている。取付部801には、第1調整部材4が接触している第1傾斜面804と、第2調整部材5が接触している第2傾斜面805と、が形成されている。
【0026】
第1傾斜面804および第2傾斜面805は、軸方向D1において互いに離れている。第2傾斜面805は、第1傾斜面804よりも取付部301側にある。
【0027】
ロープガード本体802は、固定部材3よりも径方向D2においてロープ2側に配置されている。ロープガード本体802は、径方向D2において複数のロープ2のそれぞれに対向している。例えば、地震が発生した場合に、ロープ2には、振動が発生する。ロープ2に振動が発生した場合に、ロープガード本体802は、ロープ2が綱溝103から外れることを抑制する。
【0028】
連結部803は、取付部801とロープガード本体802とを連結している。連結部803は、第1腕部303の第2板部306と第2腕部304の第2板部309との間を径方向D2に通っている。
【0029】
図2は、
図1の第1傾斜面804が押し上げられる様子を示す拡大図である。
図3は、
図1の第1傾斜面804が自重によって下がる様子を示す拡大図である。第1傾斜面804は、第2傾斜面805に近づくにつれて綱車102に近づくように設けられている。
【0030】
第1傾斜面804には、第1調整部材4が下方から接触している。第1調整部材4における第1傾斜面804に接触している面は、第2調整部材5に近づくにつれて綱車102に近づくように設けられている。
【0031】
第1調整部材4が軸方向D1に移動することによって、第1傾斜面804が第1調整部材4を介して径方向D2に移動する。具体的には、第1調整部材4が第2調整部材5に近づく方向に移動することによって、第1傾斜面804は、綱車102から離れる方向に移動する。一方、第1調整部材4が第2調整部材5から離れる方向に移動することによって、第1傾斜面804は、自重によって、綱車102に近づく方向に移動する。
【0032】
図4は、
図1の第2傾斜面805が押し上げられる様子を示す拡大図である。
図5は、
図1の第2傾斜面805が自重によって下がる様子を示す拡大図である。第2傾斜面805は、第1傾斜面804に近づくにつれて綱車102に近づくように設けられている。
【0033】
第2傾斜面805には、第2調整部材5が下方から接触している。第2調整部材5における第2傾斜面805に接触している面は、第1調整部材4に近づくにつれて綱車102に近づくように設けられている。
【0034】
第2調整部材5が軸方向D1に移動することによって、第2傾斜面805が第2調整部材5を介して径方向D2に移動する。具体的には、第2調整部材5が第1調整部材4に近づく方向に移動することによって、第2傾斜面805は、綱車102から離れる方向に移動する。一方、第2調整部材5が第1調整部材4から離れる方向に移動することによって、第2傾斜面805は、自重によって、綱車102に近づく方向に移動する。
【0035】
図1に示すように、一対の固定ボルト9は、固定部材3の基部302に設けられている。具体的には、一対の固定ボルト9は、基部302の一対のねじ穴311のそれぞれに1つずつ挿入されている。それぞれの固定ボルト9において、固定ボルト9が回転することによって、固定ボルト9は、固定部材3に対して径方向D2に移動する。
【0036】
固定ボルト9は、径方向D2において外側からロープガード8に接触可能となっている。固定ボルト9がロープガード8に接触することによって、第1傾斜面804および第2傾斜面805のそれぞれの径方向D2における外側への移動が制限される。第1傾斜面804が自重によって綱車102に近づく方向に移動しない場合には、作業者は、固定ボルト9を操作して、固定ボルト9を綱車102に向かって移動させる。固定ボルト9が綱車102に向かって移動することによって、ロープガード8が固定ボルト9に押されて、第1傾斜面804が綱車102に近づく方向に移動する。また、第2傾斜面805が自重によって綱車102に近づく方向に移動しない場合には、作業者は、固定ボルト9を操作して、固定ボルト9を綱車102に向かって移動させる。固定ボルト9が綱車102に向かって移動することによって、ロープガード8が固定ボルト9に押されて、第2傾斜面805が綱車102に近づく方向に移動する。
【0037】
ロックナット10は、第1調整ボルト6に取り付けられている。ロックナット10が回転することによって、ロックナット10は、第1調整ボルト6の軸方向において第1調整ボルト6に対して移動する。ロックナット10が第1腕部303に接触することによって、第1調整ボルト6は、第1腕部303に対して固定される。
【0038】
ロックナット11は、第2調整ボルト7に取り付けられている。ロックナット11が回転することによって、ロックナット11は、第2調整ボルト7の軸方向において第2調整ボルト7に対して移動する。ロックナット11が第2腕部304に接触することによって、第2調整ボルト7は、第2腕部304に対して固定される。
【0039】
一対のロックナット12は、一対の固定ボルト9のそれぞれに1つずつ取り付けられている。ロックナット12が回転することによって、ロックナット12は、対応する固定ボルト9の軸方向において対応する固定ボルト9に対して移動する。ロックナット12が基部302に接触することによって、対応する固定ボルト9は、基部302に対して固定される。
【0040】
次に、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置を用いて、ロープ2とロープガード8との間の隙間Sを調整する手順について説明する。
図6は、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置の隙間調整方法を示すフローチャートである。実施の形態1に係るロープ外れ止め装置の隙間調整方法は、第1ステップS101と、第2ステップS102と、第3ステップS103と、を備えている。
【0041】
第1ステップS101では、第1調整ボルト6および第2調整ボルト7のそれぞれを互いに離れる方向に移動させて、ロープガード8を複数のロープ2のそれぞれに接触させる。
【0042】
その後、第2ステップS102では、ロープガード8がそれぞれのロープ2に接触した状態から第1調整ボルト6および第2調整ボルト7のそれぞれを互いに近づく方向に移動させる。第1調整ボルト6および第2調整ボルト7のそれぞれを軸方向D1に移動させることによって、第1調整部材4および第2調整部材5のそれぞれを径方向D2に移動させて、ロープ2とロープガード8との間の隙間Sの寸法Lを調整する。隙間Sの寸法Lの調整は、作業者が隙間Sを目視しながら行われる。
【0043】
固定部材3の基部302が綱車102に対して平行になっていない場合には、ロープガード8が綱車102に対して平行になるように、第1調整部材4および第2調整部材5のそれぞれの移動量を調整する。ロープガード8が綱車102に対して平行になることによって、綱車102に掛けられている複数のロープ2のそれぞれとロープガード8のロープガード本体802との間の隙間Sのそれぞれが均一に調整される。
【0044】
軸方向D1における綱車102に対するロープガード8の位置がずれている場合には、第1調整ボルト6および第2調整ボルト7のそれぞれを同一方向に同一距離だけ移動させる。これにより、第1調整部材4および第2調整部材5が同一方向に同一距離だけ移動する。その結果、ロープガード8とロープ2との間の隙間Sの寸法Lが変化することなく、軸方向D1における綱車102に対するロープガード8の位置が調整される。
【0045】
その後、第3ステップS103では、一対の固定ボルト9を基部302に接触させる。また、第3ステップS103では、ロックナット10を介して第1調整ボルト6を第1腕部303に対して固定する。また、第3ステップS103では、ロックナット11を介して第2調整ボルト7を第2腕部304に対して固定する。また、第3ステップS103では、一対のロックナット12を介して一対の固定ボルト9のそれぞれを基部302に対して固定する。以上により、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置を用いて、ロープ2とロープガード8との間の隙間Sを調整する手順が終了する。
【0046】
以上説明したように、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置は、固定部材3と、第1調整部材4と、第2調整部材5と、第1調整ボルト6と、第2調整ボルト7と、ロープガード8と、を備えている。固定部材3は、綱車102に掛けられているロープ2に対向して設けられており、巻上機ハウジング101に固定されている。第1調整部材4は、固定部材3に支持されており、固定部材3に対して軸方向D1に移動可能となっている。第2調整部材5は、固定部材3に支持されており、第1調整部材4に対して軸方向D1に離れて設けられており、固定部材3に対して軸方向D1に移動可能となっている。第1調整ボルト6は、固定部材3に対して移動可能に設けられており、移動することによって第1調整部材4が軸方向D1に移動するようになっている。第2調整ボルト7は、固定部材3に対して移動可能に設けられており、移動することによって第2調整部材5が軸方向D1に移動するようになっている。ロープガード8は、ロープ2と固定部材3との間に設けられており、第1調整部材4および第2調整部材5を介して固定部材3に支持されている。ロープガード8には、第1調整部材4が接触している第1傾斜面804と、第2調整部材5が接触している第2傾斜面805と、が形成されている。第1調整部材4が移動することによって、第1傾斜面804が第1調整部材4を介して径方向D2に移動し、第2調整部材5が移動することによって、第2傾斜面805が第2調整部材5を介して径方向D2に移動する。この構成によれば、固定部材3の基部302が綱車102に対して平行になっていない場合に、ロープガード8が綱車102に対して平行になるように、第1傾斜面804および第2傾斜面805のそれぞれの径方向D2への移動量を調整することができる。これにより、ロープガード8を綱車102に対して平行にすることができる。
【0047】
また、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置の隙間調整方法は、第1ステップS101と、第2ステップS102と、を備えている。第1ステップS101では、ロープガード8をロープ2に接触させる。第2ステップS102では、ロープガード8がロープ2に接触した状態から第1調整ボルト6および第2調整ボルト7のそれぞれを移動させることによって、第1調整部材4および第2調整部材5のそれぞれを移動させて、隙間Sを調整する。この構成によれば、固定部材3の基部302が綱車102に対して平行になっていない場合に、ロープガード8が綱車102に対して平行になるように、第1傾斜面804および第2傾斜面805のそれぞれの径方向D2への移動量を調整することができる。これにより、ロープガード8を綱車102に対して平行にすることができる。
【0048】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係るロープ外れ止め装置の第1調整部材を示す側面図である。
図8は、実施の形態2に係るロープ外れ止め装置の第2調整部材を示す側面図である。実施の形態2に係るロープ外れ止め装置では、第1調整部材4は、第1半球部401と、第1移動部402と、を備え、第2調整部材5は、第2半球部501と、第2移動部502と、を備えている。
【0049】
第1半球部401には、凸状半球面403および平面404が形成されている。第1移動部402には、第1半球部401の凸状半球面403が面接触している凹状半球面405が形成されている。凸状半球面403の半径と凹状半球面405の半径は、互いに同一となっている。第1半球部401は、凹状半球面405の内側で第1移動部402に対して回転可能となっている。
【0050】
第1半球部401が第1移動部402に対して回転することによって、平面404の向きが変化する。第1半球部401の平面404が第1傾斜面804に対して平行になるように、第1半球部401は、第1移動部402に対して回転する。第1半球部401の平面404は、第1傾斜面804に面接触している。第1移動部402には、第1調整ボルト6の先端部が接触している。
【0051】
第2半球部501には、凸状半球面503および平面504が形成されている。第2移動部502には、第2半球部501の凸状半球面503が面接触している凹状半球面505が形成されている。凸状半球面503の半径と凹状半球面505の半径は、互いに同一となっている。第2半球部501は、凹状半球面505の内側で第2移動部502に対して回転可能となっている。
【0052】
第2半球部501が第2移動部502に対して回転することによって、平面504の向きが変化する。第2半球部501の平面504が第2傾斜面805に対して平行になるように、第2半球部501は、第2移動部502に対して回転する。第2半球部501の平面504は、第2傾斜面805に面接触している。第2移動部502には、第2調整ボルト7の先端部が接触している。
【0053】
実施の形態2に係るロープ外れ止め装置におけるその他の構成は、実施の形態1に係るロープ外れ止め装置の構成と同様である。
【0054】
以上説明したように、実施の形態2に係るロープ外れ止め装置では、第1調整部材4は、第1半球部401と、第1移動部402と、を備えている。第1半球部401には、凸状半球面403および平面404が形成されている。第1移動部402には、第1半球部401の凸状半球面403が面接触している凹状半球面405が形成されている。第1半球部401の平面404が第1傾斜面804に接触している。この構成によれば、第1半球部401の平面404が第1傾斜面804に対して平行になるように、第1半球部401は、第1移動部402に対して回転する。これにより、平面404を第1傾斜面804に面接触させることができる。
【0055】
また、実施の形態2に係るロープ外れ止め装置では、第2調整部材5は、第2半球部501と、第2移動部502と、を備えている。第2半球部501には、凸状半球面503および平面504が形成されている。第2移動部502には、第2半球部501の凸状半球面503が面接触している凹状半球面505が形成されている。第2半球部501の平面504が第2傾斜面805に接触している。この構成によれば、第2半球部501の平面504が第2傾斜面805に対して平行になるように、第2半球部501は、第2移動部502に対して回転する。これにより、平面504を第2傾斜面805に面接触させることができる。
【0056】
なお、各実施の形態では、ロープガード8が綱車102の真上に配置されている構成について説明した。しかしながら、綱車102の真上の位置から綱車102の周方向にずれた位置にロープガード8が配置されている構成であってもよい。
【0057】
以上、好ましい各実施の形態に係るロープ外れ止め装置について説明したが、上述した各実施の形態に係るロープ外れ止め装置に制限されることはない。特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した各実施の形態に係るロープ外れ止め装置に種々の変形および変換を加えることができる。
【0058】
(付記1)
綱車に掛けられているロープに対向して設けられ、巻上機ハウジングに固定された固定部材と、
前記固定部材に支持され、前記固定部材に対して前記綱車の軸方向に移動可能な第1調整部材と、
前記固定部材に支持され、前記第1調整部材に対して前記軸方向に離れて設けられ、前記固定部材に対して前記軸方向に移動可能な第2調整部材と、
前記固定部材に対して移動可能に設けられ、移動することによって前記第1調整部材が前記軸方向に移動する第1調整ボルトと、
前記固定部材に対して移動可能に設けられ、移動することによって前記第2調整部材が前記軸方向に移動する第2調整ボルトと、
前記ロープと前記固定部材との間に設けられ、前記第1調整部材および前記第2調整部材を介して前記固定部材に支持されているロープガードと、
を備え、
前記ロープガードには、前記第1調整部材が接触している第1傾斜面と、前記第2調整部材が接触している第2傾斜面と、が形成されており、
前記第1調整部材が移動することによって、前記第1傾斜面が前記第1調整部材を介して前記綱車の径方向に移動し、
前記第2調整部材が移動することによって、前記第2傾斜面が前記第2調整部材を介して前記径方向に移動するロープ外れ止め装置。
(付記2)
前記第1調整部材は、凸状半球面および平面が形成された第1半球部と、前記第1半球部の前記凸状半球面が面接触している凹状半球面が形成された第1移動部と、を有しており、
前記第1半球部の前記平面が前記第1傾斜面に接触している付記1に記載のロープ外れ止め装置。
(付記3)
前記第2調整部材は、凸状半球面および平面が形成された第2半球部と、前記第2半球部の前記凸状半球面が面接触している凹状半球面が形成された第2移動部と、を有しており、
前記第2半球部の前記平面が前記第2傾斜面に接触している付記1または付記2に記載のロープ外れ止め装置。
(付記4)
付記1から付記3までの何れか一項に記載のロープ外れ止め装置を用いて、前記ロープと前記ロープガードとの間の隙間を調整するロープ外れ止め装置の隙間調整方法であって、
前記ロープガードを前記ロープに接触させる第1ステップと、
前記ロープガードが前記ロープに接触した状態から前記第1調整ボルトおよび前記第2調整ボルトのそれぞれを移動させることによって、前記第1調整部材および前記第2調整部材のそれぞれを移動させて、前記隙間を調整する第2ステップと、
を備えているロープ外れ止め装置の隙間調整方法。
【符号の説明】
【0059】
1 エレベータ巻上機、2 ロープ、3 固定部材、4 第1調整部材、5 第2調整部材、6 第1調整ボルト、7 第2調整ボルト、8 ロープガード、9 固定ボルト、10 ロックナット、11 ロックナット、12 ロックナット、13 締付ボルト、101 巻上機ハウジング、102 綱車、103 綱溝、301 取付部、302 基部、303 第1腕部、304 第2腕部、305 第1板部、306 第2板部、307 ねじ穴、308 第1板部、309 第2板部、310 ねじ穴、311 ねじ穴、401 第1半球部、402 第1移動部、403 凸状半球面、404 平面、405 凹状半球面、501 第2半球部、502 第2移動部、503 凸状半球面、504 平面、505 凹状半球面、801 取付部、802 ロープガード本体、803 連結部、804 第1傾斜面、805 第2傾斜面。
【要約】
【課題】ロープガードを綱車に対して平行にすることができるロープ外れ止め装置を得る。
【解決手段】このロープ外れ止め装置は、固定部材3と、第1調整部材4と、第2調整部材5と、移動することによって第1調整部材4が軸方向D1に移動する第1調整ボルト6と、移動することによって第2調整部材5が軸方向D1に移動する第2調整ボルト7と、第1調整部材4および第2調整部材5を介して固定部材3に支持されているロープガード8と、を備え、ロープガード8には、第1調整部材4が接触している第1傾斜面804と、第2調整部材5が接触している第2傾斜面805と、が形成されており、第1調整部材4が移動することによって、第1傾斜面804が径方向D2に移動し、第2調整部材5が移動することによって、第2傾斜面805が径方向D2に移動する。
【選択図】
図1