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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221216BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20221216BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221216BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20221216BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/34 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022539427
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 JP2021038935
【審査請求日】2022-06-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川井 由宇
(72)【発明者】
【氏名】泉 喜久夫
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-107991(JP,A)
【文献】特開2014-180159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電要素と、
前記蓄電要素と、負荷との間に接続され、前記蓄電要素に対する充放電を制御するとともに、前記負荷に交流電圧を出力する第1の電力変換器と、
前記第1の電力変換器を制御する第1の制御部と、
発電電力を供給する発電要素と、
前記第1の電力変換器と並列に、前記負荷と交流端で接続され、前記負荷に交流電圧を出力する第2の電力変換器と、
前記第2の電力変換器を制御する第2の制御部とを備え、
前記第1の電力変換器は、前記交流端に出力する交流電圧を調整する交流電圧調整部を含み、
前記第2の電力変換器は、前記交流端に出力する交流電流を調整する交流電流調整部を含み、
前記第1の制御部は、前記蓄電要素の充電状態の上昇に従って、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つを増加させ、前記蓄電要素の充電状態の下降に従って、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つを減少させる第1のテーブルに従って前記第1の電力変換器に対して前記交流端の交流電圧を調整するための指令を前記交流電圧調整部に出力し、
前記第2の制御部は、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つの増加に従って前記第2の電力変換器から出力する皮相電力あるいは有効電力を減少させ、あるいは無効電力を増加させ、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つの減少に従って前記第2の電力変換器から出力する皮相電力あるいは有効電力を増加させ、あるいは無効電力を減少させる第2のテーブルに従って前記第2の電力変換器に対して前記交流端に出力する交流電流を調整するための指令を前記交流電流調整部に出力し、
前記交流端の交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つが増加した場合に、第2の電力変換器が前記交流端に対する皮相電力あるいは有効電力を減少させ、あるいは無効電力を増加させることにより、前記蓄電要素に蓄電される電力が抑制され、
前記交流端の交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つが減少した場合に、第2の電力変換器が前記交流端に対する皮相電力あるいは有効電力を増加させ、あるいは無効電力を減少させることにより、前記蓄電要素から放電される電力が抑制される、電力変換システム。
【請求項2】
前記第1の制御部は、前記蓄電要素の充電状態が所定のしきい値以上である場合に、前記蓄電要素の充電状態の上昇に従って、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つを増加させ、前記蓄電要素の充電状態が所定のしきい値以下である場合に、前記蓄電要素の充電状態の下降に従って、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つを減少させる前記第1のテーブルに従って前記第1の電力変換器に対して前記交流端の交流電圧を調整するように指示し、
前記第2の制御部は、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つの増加に従って前記第2の電力変換器から出力する皮相電力あるいは有効電力を減少させ、あるいは無効電力を増加させ、前記交流電圧の振幅、実効値のいずれか1つの減少に従って前記第2の電力変換器から出力する皮相電力あるいは有効電力を増加させ、あるいは無効電力を減少させる前記第2のテーブルに従って前記第2の電力変換器に対して前記交流端に出力する交流を調整するように指示する、請求項1記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記蓄電要素と、前記第1の電力変換器と、前記第1の制御部とを一組とした構成を複数組設け、
前記交流端に複数組の構成が並列接続される、請求項1記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記蓄電要素の充電率を検出する検出器を含み、
前記第1の制御部は、前記検出器からの充電率に基づいて、前記第1のテーブルに従って前記第1の電力変換器に対して前記交流端の交流電圧を調整するように指示する、請求項1記載の電力変換システム。
【請求項5】
蓄電要素と、
前記蓄電要素と、負荷との間に接続され、前記蓄電要素に対する充放電を制御するとともに、前記負荷に交流電圧を出力する第1の電力変換器と、
前記第1の電力変換器を制御する第1の制御部と、
発電電力を供給する発電要素と、
前記第1の電力変換器と並列に、前記負荷と交流端で接続され、前記負荷に交流電圧を出力する第2の電力変換器と、
前記第2の電力変換器を制御する第2の制御部と、
前記第1の電力変換器の内部状態を検出する検出器とを備え、
前記第1の電力変換器は、
前記蓄電要素の電圧を受けて直流電圧を出力するコンバータ部と、
前記コンバータ部の直流電圧を受けて前記交流電圧を出力するインバータ部とを含み、
前記検出器は、前記第1の電力変換器の内部状態として、前記コンバータ部が出力する直流電圧を検出し、
前記第1の制御部は、前記第1の電力変換器の前記検出器で検出する直流電圧の上昇に従って、前記交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つを増加させる第1のテーブルに従って前記第1の電力変換器に対して前記交流端の交流電圧を調整するように指示し、
前記第2の制御部は、前記交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つの増加に従って前記第2の電力変換器から出力する皮相電力あるいは有効電力を減少させ、あるいは無効電力を増加させる第2のテーブルに従って前記第2の電力変換器に対して前記交流端に出力する交流電流を調整するように指示する、電力変換システム。
【請求項6】
蓄電要素と、
前記蓄電要素と、負荷との間に接続され、前記蓄電要素に対する充放電を制御するとともに、前記負荷に交流電圧を出力する第1の電力変換器と、
前記第1の電力変換器を制御する第1の制御部と、
発電電力を供給する発電要素と、
前記第1の電力変換器と並列に、前記負荷と交流端で接続され、前記負荷に交流電圧を出力する第2の電力変換器と、
前記第2の電力変換器を制御する第2の制御部と、
前記第1の電力変換器の内部温度を検出する検出器とを備え、
前記第1の制御部は、前記第1の電力変換器の前記検出器で検出する内部温度の上昇に従って、前記交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つを増加させる第1のテーブルに従って前記第1の電力変換器に対して前記交流端の交流電圧を調整するように指示し、
前記第2の制御部は、前記交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つの増加に従って前記第2の電力変換器から出力する皮相電力あるいは有効電力を減少させ、あるいは無効電力を増加させる第2のテーブルに従って前記第2の電力変換器に対して前記交流端に出力する交流電流を調整するように指示する、電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電要素を備えた電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自立運転時に系統連系機器が負荷側に接続される蓄電要素を備える電力変換装置において、蓄電要素の充電状態が上昇した際に発電要素を備える系統連系機器を停止させ、蓄電要素の充電制限による自立運転動作停止を防止し、重要負荷への電力供給を継続することが望ましい。
【0003】
系統連系機器が備える単独運転機能を利用して自立運転時に発電要素を備える系統連系機器を停止させる方法として、特開2014―180159号公報(特許文献1)がある。
【0004】
当該公報では、蓄電要素を備える電力変換装置の充電状態が上昇した場合に発電要素を備える系統連系機器が停止する条件を成立させて重要負荷への電力供給継続を実現可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-180159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、上記の技術では、蓄電要素の充電状態に基づいた電力変換器の出力電圧変化に起因して系統連携機器を遮断および再投入する技術が提案されている。
【0007】
しかし、蓄電要素の充電状態に限らず発電要素を備える系統連携機器を急に遮断および再投入すると電力変換器が供給する電力が急変するため自立系統の不要な電力変動を引き起こしてしまう可能性がある。
【0008】
本開示のある局面は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、自立系統の不要な電力変動を抑制することが可能な電力変換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施の形態に従う電力変換システムは、蓄電要素と、蓄電要素と、負荷との間に接続され、蓄電要素に対する充放電を制御するとともに、負荷に交流電圧を出力する第1の電力変換器と、第1の電力変換器を制御する第1の制御部と、発電電力を供給する発電要素と、第1の電力変換器と並列に、負荷と接続される交流端に負荷に交流電圧を出力する第2の電力変換器と、第2の電力変換器を制御する第2の制御部とを備える。第1の制御部は、蓄電要素の充電状態もしくは第1の電力変換器の内部状態に基づいて第1のテーブルに従って第1の電力変換器に対して交流端の交流電圧を調整するように指示し、第2の制御部は、交流端の交流電圧の状態の変化に基づいて第2のテーブルに従って第2の電力変換器に対して交流端に出力する交流電流を調整するように指示する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に従う電力変換システムは、自立系統の不要な電力変動を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る電力変換システム100の構成について説明する図である。
図2】実施の形態1に従う第1の制御部3および第2の制御部5における第1および第2のテーブルについて説明する図である。
図3】実施の形態1に従う第1の制御部3および第2の制御部5における第1および第2のテーブルについて説明する別の図である。
図4】実施の形態1に従う第1の制御部3および第2の制御部5における第1および第2のテーブルについて説明するさらに別の図である。
図5】実施の形態2に係る電力変換システム110の構成について説明する図である。
図6】実施の形態3に係る電力変換システム120の構成について説明する図である。
図7】実施の形態4に係る電力変換システム200の構成を説明する図である。
図8】実施の形態4に従う第1の制御部3a,3bおよび第2の制御部5a,5bにおけるパラメータの調整について説明する図である。
図9】実施の形態4に従う第1の制御部3a,3bおよび第2の制御部5a,5bにおけるパラメータの別の調整について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じであるためそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力変換システム100の構成について説明する図である。図1に示されるように、電力変換システム100は、蓄電要素1と、第1の電力変換器10と、第1の電力変換器10を制御する第1の制御部3と、発電電力を供給する発電要素6と、第2の電力変換器4と、第2の電力変換器4を制御する第2の制御部5と、検出器1Aとを備える。また、一般負荷7と、重要負荷8と(以下、負荷とも称する)が設けられている。
【0014】
第1の電力変換器10は、蓄電要素1と、負荷との間に接続され、蓄電要素1に対する充放電を制御するとともに、負荷に交流電圧を出力する。
【0015】
第1の電力変換器10は、蓄電要素1からの直流電圧を受けて、直流電圧に変換するDC-DCコンバータ2Aと、DC-DCコンバータ2Aの直流電圧を受けて、交流端に交流電圧を出力するDC-ACコンバータ2Bと、DC-ACインバータ2Bから出力する交流電圧を調整する交流電圧調整部20と、交流端Zの交流電圧を計測する計測部22とを含む。
【0016】
第2の電力変換器4は、第1の電力変換器10と並列に、負荷と交流端Zで接続され、負荷に交流電圧を出力する。
【0017】
第2の電力変換器4は、発電要素6からの直流電圧を受けて、直流電圧に変換するDC-DCコンバータ4Aと、DC-DCコンバータ4Aの直流電圧を受けて、交流端に交流電圧を出力するDC-ACインバータ4Bと、DC-ACインバータ4Bから出力する交流電流を調整する交流電流調整部40と、交流端Zの交流電圧を計測する計測部42とを含む。
【0018】
第2の制御部5は、交流端Zの状態の変化に基づいて有効電力を調整する。
ここで、発電要素6が太陽電池や燃料電池の場合において、第2の電力変換器4の放電動作とは発電要素6の発電電力に準じた電力を第2の電力変換器4の交流端Zに出力することを意味する。第2の電力変換器4の充電動作は、発電要素6が蓄電機能を備えないため存在しない。
【0019】
また、発電要素6が蓄電池やフライホイールの場合において、第2の電力変換器4の放電動作とは発電要素6に蓄えられたエネルギーを放出する電力に準じた電力を第2の電力変換器4の交流端Zに出力することを意味する。第2の電力変換器4の充電動作は、発電要素6に第2の電力変換器4の交流端Zより充電した電力に準じたエネルギーを蓄積することを意味する。
【0020】
検出器1Aは、蓄電要素1の充電状態に関する情報を第1の制御部3に出力する。
第1の制御部3は、蓄電要素1の充電状態に基づいて第1のテーブルに従って第1の電力変換器10に対して交流端Zの交流電圧を調整するように指示する。
【0021】
第2の制御部5は、交流端Zの交流電圧の状態の変化に基づいて第2のテーブルに従って第2の電力変換器4に対して交流端Zに出力する交流電流を調整するように指示する。
【0022】
具体的には、第1の制御部3は、蓄電要素1の充電状態の上昇に従って、交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つを増加させ、蓄電要素1の充電状態の下降に従って、交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つを減少させる第1のテーブルに従って第1の電力変換器に対して交流端Zの交流電圧を調整するように指示する。
【0023】
第2の制御部5は、交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つの増加に従って第2の電力変換器5から出力する皮相電力あるいは有効電力を減少させ、あるいは無効電力を増加させ、交流電圧の振幅、実効値、周波数のいずれか1つの減少に従って第2の電力変換器から出力する皮相電力あるいは有効電力を増加させ、あるいは無効電力を減少させる第2のテーブルに従って第2の電力変換器5に対して交流端Zに出力する交流電流を調整するように指示する。
【0024】
図2は、実施の形態1に従う第1の制御部3および第2の制御部5における第1および第2のテーブルについて説明する図である。
【0025】
図2を参照して、第1の制御部3は、基準量Rに応答して、調整量Tを出力する第1のテーブルを備える。一例として、当該第1のテーブルは、基準量R1に対して、調整量T1を出力する。
【0026】
第2の制御部5は、基準量Rに応答して、調整量Uを出力する第2のテーブルを備える。一例として、当該第2のテーブルは、基準量R2に対して、調整量U1を出力する。
【0027】
図3は、実施の形態1に従う第1の制御部3および第2の制御部5における第1および第2のテーブルについて説明する別の図である。
【0028】
図3を参照して、第1の制御部3は、基準量Rに応答して、調整量Tを出力する第3のテーブルを備える。一例として、当該第3のテーブルは、基準量R3に対して、調整量T2を出力する。
【0029】
第2の制御部5は、基準量Rに応答して、調整量Uを出力する第4のテーブルを備える。一例として、当該第2のテーブルは、基準量R4に対して、調整量U2を出力する。図2図3とを比較すると、図2には、不感帯があり、所定の閾値を超えた場合にパラメータを調整し、所定の閾値を超えるまではパラメータを調整しない点が異なる。その他の点については、同様である。
【0030】
(構成例1.1)
基準量R1が蓄電要素1の充電状態である場合について説明する。
【0031】
第1の制御部3は、基準量R1として蓄電要素1の充電状態の入力に対して、調整量T1として交流電圧の振幅を調整する場合について説明する。
【0032】
第2の制御部5は、基準量R2として第2の電力変換器4の交流電圧の振幅の入力に対して、調整量U1として有効電力P2を調整する場合について説明する。
【0033】
ここで、調整量は、同じ基準量に基づいて複数生成しても良い。
具体的に、第1の制御部3は、図2の第1のテーブルを用いる場合について説明する。第2の制御部5は、図2の第2のテーブルを用いる場合について説明する。
【0034】
第1の制御部3は、第1のテーブルに基づいて蓄電要素1の充電状態(充電率)が予め定めたしきい値を超えた際に充電率としきい値との差に応じて交流電圧の振幅を調整する。
【0035】
第1の制御部3は、第1テーブルに示されるように蓄電要素1の充電状態(充電率)である基準量R1が所定のしきい値を超えた場合に、調整量T1である交流電圧の振幅を調整する。なお、第1の制御部3は、充電状態(充電率)である基準量R1がしきい値の範囲内である場合には交流電圧の振幅を調整しない。
【0036】
ここで、しきい値の範囲内において交流電圧の振幅が一般的な系統電圧が設定され、振幅の調整は一般的な系統電圧振幅を基準に実施される。例えば、交流電圧の振幅の調整として、負荷に供給する基準の交流電圧±10%の範囲内で調整するようにしてもよい。
【0037】
例えば、蓄電要素1の充電率をS、しきい値をSthH,SthL、充電率によって調整される電圧振幅調整ゲインをK1aとする。なお、充電状態(充電率)が50%の場合を基準量0に設定している。しきい値SthHは、過充電状態の場合のしきい値である。しきい値SthLは、過放電状態の場合のしきい値である。
【0038】
第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値を超えた際(充電率が80%以上の場合)に調整量T1である交流電圧の振幅Vmについて次式のように算出する。なお、第1の電力変換器10の交流出力にて一般的な200V単相交流系統を模擬する場合、電圧振幅基準を意味するVm0は282Vが設定される。なお、電圧振幅調整ゲインK1aは、充電動作と放電動作とで個別に設定しても良い。
【0039】
蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以上の場合(過充電状態の場合):Vm=Vm0+K1a×(S-SthH)
蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以下の場合(過放電状態の場合):Vm=Vm0+K1a×(S-SthL)
すなわち、第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値(SthH)以上の場合(過充電状態の場合)に交流電圧の振幅Vmを上昇させる。
【0040】
一方、第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値(SthL)以下の場合(過放電状態の場合)に交流電圧の振幅Vmを下降させる。
【0041】
第1の制御部3は、交流電圧調整部20に電圧振幅指令として当該算出した振幅Vmを出力する。交流電圧調整部20は、当該指令に従ってDC-ACインバータ2Bから交流端Zに出力する交流電圧の振幅を調整する。
【0042】
第2の制御部5は、交流端Zの交流電圧の振幅Vmに応じて、有効電力を調整する。
具体的には、計測部42は、交流端Zの交流電圧の振幅を計測している。第2の制御部5は、計測部42からの交流電圧の振幅の変動に基づいて交流電力を調整する。
【0043】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmである基準量R2に従って調整量T2である有効電力P2を調整する。
【0044】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される有効電力を下降させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に有効電流指令として第2のテーブルに従う有効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合には、指令値0に設定している。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの有効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する有効電力P2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って有効電流指令が負の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して有効電流を調整(有効電流を小さく)して有効電力P2が下降するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが上昇した場合は交流端Zに対する有効電力P2の出力を下降させて蓄電要素1に蓄電される電力を抑制して過充電を防止することが可能である。なお、当該調整でも蓄電要素1に蓄電される電力の抑制が十分では無い場合には、最終的に有効電流は0に設定される。
【0045】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から下降した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される有効電力P2を上昇させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に有効電流指令として第2のテーブルに従う有効電流指令値を出力する。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの有効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する有効電力P2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って有効電流指令が正の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して有効電流を調整(有効電流を大きく)して有効電力P2が上昇するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが下降した場合は交流端Zに対する有効電力P2の出力を上昇させて蓄電要素1に放電される電力を抑制して過放電を防止することが可能である。なお、有効電力P2の調整は発電要素6が出力可能な範囲で実行され、例えば、発電要素6が出力可能な最大電力、および、第2の電力変換器4の定格電力よりも有効電力P2の調整値が大きい場合は発電要素6、および、第2の電力変換器4が出力可能な電力以上の電力を出力しないようにしてもよい。
【0046】
なお、図3の第1および第2テーブルを用いても上記と同様に実行可能である。
また、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合の有効電流指令値の基準は、発電要素の発電電力に準じた電流値を設定してもよい。
【0047】
(構成例1.2)
第2の制御部5は、基準量R2として第2の電力変換器4の交流電圧の振幅の入力に対して、調整量U1として無効電力Q2を調整する場合について説明する。
【0048】
ここで、調整量は、同じ基準量に基づいて複数生成しても良い。
図4は、実施の形態1に従う第1の制御部3および第2の制御部5における第1および第2のテーブルについて説明するさらに別の図である。
【0049】
図4を参照して、第1の制御部3は、基準量Rに応答して、調整量Tを出力する第1のテーブルを備える。一例として、当該第1のテーブルは、基準量R1に対して、調整量T1を出力する。
【0050】
第2の制御部5は、基準量Rに応答して、調整量Uを出力する第2のテーブルを備える。一例として、当該第2のテーブルは、基準量R2に対して、調整量U1を出力する。
【0051】
第1のテーブルは、図2の第1のテーブルと同様であるので、その動作についての説明は繰り返さない。
【0052】
第2のテーブルは、基準量R2の増加に対して調整量U1が増加する点が異なる。
第2の制御部5は、第2のテーブルを用いて交流端Zの交流電圧の振幅Vmに応じて、無効電力Q2を調整する。
【0053】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmである基準量R2に従って調整量T2である無効電力Q2を調整する。
【0054】
第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以上の場合(過充電状態の場合)に交流電圧の振幅Vmを上昇させる。
【0055】
一方、第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以下の場合(過放電状態の場合)に交流電圧の振幅Vmを下降させる。
【0056】
第1の制御部3は、交流電圧調整部20に電圧振幅指令として当該算出した振幅Vmを出力する。交流電圧調整部20は、当該指令に従ってDC-ACインバータ2Bから交流端Zに出力する交流電圧の振幅を調整する。
【0057】
第2の制御部5は、交流端Zの交流電圧の振幅Vmに応じて、無効電力を調整する。
具体的には、計測部42は、交流端Zの交流電圧の振幅を計測している。第2の制御部5は、計測部42からの交流電圧の振幅の変動に基づいて交流電力を調整する。
【0058】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電力を上昇させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に無効電流指令として第2のテーブルに従う無効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合には、指令値0に設定している。ここで、第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電流指令値は発電要素の発電電力に準じた電流値を設定されるものとする。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの無効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する無効電力を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って無効電流指令が正の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して無効電流を調整(無効電流を大きく)して無効電力Q2が上昇するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、無効電力を上昇させることで第2の電力変換器4の皮相電力定格値を超えないように間接的に有効電力を減少する機能を備える場合に、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが上昇した場合は交流端Zに対する無効電力Q2の出力を上昇させて蓄電要素1に蓄電される電力を抑制して過充電を防止することが可能である。
【0059】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から下降した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電力を下降させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に無効電流指令として第2のテーブルに従う無効電流指令値を出力する。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの無効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する無効電力Q2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って無効電流指令が負の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して無効電流を調整(無効電流を小さく)して無効電力Q2が下降するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、無効電力を下降させることで第2の電力変換器4の皮相電力定格値を超えないように間接的に有効電力を増加する機能を備える場合に、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが下降した場合は交流端Zに対する無効電力Q2の出力を下降させて蓄電要素1に放電される電力を抑制して過放電を防止することが可能である。なお、無効電力Q2の調整は発電要素6が出力可能な範囲で実行され、例えば、発電要素6が出力可能な最大電力、および、第2の電力変換器4の定格電力よりも無効電力の調整値が大きい場合は発電要素6、および、第2の電力変換器4が出力可能な電力以上の電力を出力しないようにしてもよい。
【0060】
なお、図3の第1のテーブルおよび図4の第2のテーブルを用いても上記と同様に実行可能である。
【0061】
以上の通り、上記構成では、第2の電力変換器4の有効電力P2または、無効電力Q2の調整により、第1の電力変換器10の過充電あるいは過放電が抑制されるため、第1の電力変換器10の動作都合で第2の電力変換器4を間接的に協調させることができる。なお、構成例1は調整量T1の交流電圧の振幅の代わりに交流電圧の実効値を用いても同様の効果を得ることが可能である。
【0062】
なお、上記においては、第2の制御部5bによる有効電流あるいは無効電流の調整について説明したが、いずれか一方のみならず両方調整するようにしてもよい。
【0063】
具体的には、交流端Zの交流電圧の振幅Vmの上昇に従って有効電力を下降させるとともに無効電力を上昇させるようにしてもよい。一方で、交流端Zの交流電圧の振幅Vmの下降に従って有効電力を上昇させるとともに無効電力を下降させるようにしてもよい。
【0064】
(構成例2.1)
基準量R1が蓄電要素1の充電状態である場合について説明する。
【0065】
第1の制御部3は、基準量R1として蓄電要素1の充電状態の入力に対して、調整量Tとして交流電圧の周波数を調整する場合について説明する。
【0066】
第2の制御部5は、基準量R2として第2の電力変換器4の交流電圧の周波数に対して、調整量U1として有効電力P2を調整する場合について説明する。
【0067】
ここで、調整量は、同じ基準量に基づいて複数生成しても良い。
具体的に、第1の制御部3は、図2の第1のテーブルを用いる場合について説明する。第2の制御部5は、図2の第2のテーブルを用いる場合について説明する。
【0068】
第1の制御部3は、第1のテーブルに基づいて蓄電要素1の充電状態(充電率)が予め定めたしきい値を超えた際に充電率としきい値との差に応じて交流電圧の周波数を調整する。
【0069】
第1の制御部3は、第1テーブルに示されるように蓄電要素1の充電状態(充電率)である基準量R1が所定のしきい値を超えた場合に、調整量T1である交流電圧の周波数を調整する。なお、第1の制御部3は、充電状態(充電率)である基準量R1がしきい値の範囲内である場合には交流電圧の周波数を調整しない。
【0070】
ここで、しきい値の範囲内において交流電圧の周波数が一般的な系統電圧が設定され、周波数の調整は一般的な系統電圧の周波数を基準に実施される。例えば、交流電圧の周波数の調整として、負荷に供給する基準の交流電圧の周波数±10%の範囲内で調整するようにしてもよい。
【0071】
例えば、第1の電力変換器10の充電率をS、しきい値をSthH,SthL、充電率によって調整される周波数調整ゲインをK1bとする。なお、充電状態(充電率)が50%の場合を基準量0に設定している。しきい値SthHは、過充電状態の場合のしきい値である。しきい値SthLは、過放電状態の場合のしきい値である。
【0072】
第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値を超えた際に調整量T1である交流電圧の周波数fについて次式のように算出する。なお、第1の電力変換器10の交流出力にて一般的な200V単相交流系統を模擬する場合、周波数f0は50Hz、または、60Hzが設定される。なお、周波数調整ゲインK1bは、充電動作と放電動作とで個別に設定しても良い。
【0073】
蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以上の場合(過充電状態の場合):f=f0+K1b×(S-Sth)
蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以下の場合(過放電状態の場合):f=f0+K1b×(S-Sth)
すなわち、第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以上の場合(過充電状態の場合)に交流電圧の周波数fを上昇させる。
【0074】
一方、第1の制御部3は、蓄電要素1の充電率が予め定めたしきい値以下の場合(過放電状態の場合)に交流電圧の周波数fを下降させる。
【0075】
第1の制御部3は、交流電圧調整部20に電圧周波数指令として当該算出した周波数fを出力する。交流電圧調整部20は、当該指令に従ってDC-ACインバータ2Bから交流端Zに出力する交流電圧の周波数を調整する。
【0076】
第2の制御部5は、交流端Zの交流電圧の周波数fに応じて、有効電力P2を調整する。
【0077】
具体的には、計測部42は、交流端Zの交流電圧の周波数fを計測している。第2の制御部5は、計測部42からの交流電圧の周波数の変動に基づいて交流電力を調整する。
【0078】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の周波数fである基準量R2に従って調整量T2である有効電力P2を調整する。
【0079】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の周波数fが基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される有効電力P2を下降させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に有効電流指令として第2のテーブルに従う有効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の周波数fが基準値である場合には、指令値0に設定している。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの有効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する有効電力P2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って有効電流指令が負の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して有効電流を調整(有効電流を小さく)して有効電力P2が下降するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、交流端Zの周波数fが上昇した場合は交流端Zに対する有効電力P2の出力を下降させて蓄電要素1に蓄電される電力を抑制して過充電を防止することが可能である。なお、当該調整でも蓄電要素1に蓄電される電力の抑制が十分では無い場合には、最終的に有効電流は0に設定される。
【0080】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の周波数fが基準値から下降した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される有効電力P2を上昇させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に有効電流指令として第2のテーブルに従う有効電流指令値を出力する。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの有効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する有効電力P2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って有効電流指令が正の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して有効電流を調整(有効電流を大きく)して有効電力P2が上昇するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、交流端Zの交流電圧の周波数fが下降した場合は交流端Zに対する有効電力P2の出力を上昇させて蓄電要素1に放電される電力を抑制して過放電を防止することが可能である。なお、有効電力P2の調整は発電要素6が出力可能な範囲で実行され、例えば、発電要素6が出力可能な最大電力、および、第2の電力変換器4の定格電力よりも有効電力P2の調整値が大きい場合は発電要素6、および、第2の電力変換器4が出力可能な電力以上の電力を出力しないようにしてもよい。
【0081】
なお、図3の第1および第2テーブルを用いても上記と同様に実行可能である。
また、交流電圧の周波数fが基準値である場合の有効電流指令値の基準は、発電要素の発電電力に準じた電流値を設定してもよい。
【0082】
(構成例2.2)
第2の制御部5は、基準量R2として第2の電力変換器4の交流電圧の周波数の入力に対して、調整量U1として無効電力Q2を調整する場合について説明する。
【0083】
ここで、調整量は、同じ基準量に基づいて複数生成しても良い。
第1の制御部3は、図2の第1のテーブルを用いて基準量R1として蓄電要素1の充電状態の入力に対して、調整量T1として交流電圧の周波数を調整する。
【0084】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の周波数である基準量R2に従って調整量T2である無効電力Q2を調整する。
【0085】
具体的には、計測部42は、交流端Zの交流電圧の周波数を計測している。第2の制御部5は、計測部42からの交流電圧の周波数の変動に基づいて交流電力を調整する。
【0086】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の周波数が基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電力を上昇させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に無効電流指令として第2のテーブルに従う無効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の周波数が基準値である場合には、指令値0に設定している。ここで、第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電流指令値は発電要素の発電電力に準じた電流値を設定されるものとする。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの無効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する無効電力Q2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って無効電流指令が正の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して無効電力Q2が上昇するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、無効電力を上昇させることで第2の電力変換器4の皮相電力定格値を超えないように間接的に有効電力を減少する機能を備える場合に、交流端Zの交流電圧の周波数が上昇した場合は交流端Zに対する無効電力Q2の出力を上昇させて蓄電要素1に蓄電される電力を抑制して過充電を防止することが可能である。
【0087】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の周波数が基準値から下降した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電力Q2を下降させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に無効電流指令として第2のテーブルに従う無効電流指令値を出力する。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの無効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する無効電力Q2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って無効電流指令が負の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して無効電力Q2が下降するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、無効電力Q2を上昇させることで第2の電力変換器4の皮相電力定格値を超えないように間接的に有効電力を減少する機能を備える場合に、交流端Zの交流電圧の周波数が下降した場合は交流端Zに対する無効電力Q2の出力を下降させて蓄電要素1に放電される電力を抑制して過放電を防止することが可能である。なお、無効電力Q2の調整は発電要素6が出力可能な範囲で実行され、例えば、発電要素6が出力可能な最大電力、および、第2の電力変換器4の定格電力よりも無効電力Q2の調整値が大きい場合は発電要素6、および、第2の電力変換器4が出力可能な電力以上の電力を出力しないようにしてもよい。
【0088】
なお、図3の第1のテーブルおよび図4の第2のテーブルを用いても上記と同様に実行可能である。
【0089】
なお、上記においては、第2の制御部5bによる有効電流あるいは無効電流の調整について説明したが、いずれか一方のみならず両方調整するようにしてもよい。
【0090】
具体的には、交流端Zの交流電圧の周波数の上昇に従って有効電力P2を下降させるとともに無効電力Q2を上昇させるようにしてもよい。一方で、交流端Zの交流電圧の周波数の下降に従って有効電力P2を上昇させるとともに無効電力Q2を下降させるようにしてもよい。
【0091】
なお、上記の構成例2においては、調整量T1として交流電圧の周波数を調整する場合について説明したが、周波数に限られず位相を調整する場合についても同様に適用可能である。
【0092】
実施の形態1の電力変換システム100は、第1の電力変換器10の都合に合わせて間接的に第2の電力変換器4を協調動作させることで電力変換器間の電力融通を実現し、第2の電力変換器4を活用することで交流電圧を生成する第1の電力変換器10の運転継続性を改善できる。
【0093】
実施の形態1の電力変換システム100は、蓄電要素1と接続される第1の電力変換器10が第1の制御部3を介して生成する協調要素と、発電要素6と接続される第2の電力変換器4が検出する協調要素に関連する検出値に応じて第2の制御部5が第2の電力変換器4を調整する機能を備えることで、蓄電要素1と発電要素6とを協調的に調整して電力供給の急変を抑制でき、第1の電力変換器10の交流電圧の生成停止要因を緩和できるため接続された負荷に安定的な電力供給を実現できる。
【0094】
実施の形態2.
上記の実施形態1においては、蓄電要素1の充電状態(充電率)にしたがって交流端Zに出力する交流電圧を調整する方式について説明した。
【0095】
実施の形態2においては、蓄電要素1の充電状態を第1の電力変換器10の内部状態で計測する方式について説明する。
【0096】
図5は、実施の形態2に係る電力変換システム110の構成について説明する図である。
【0097】
図5に示されるように、電力変換システム110は、第1の電力変換器10を第1の電力変換器10Aに置換した点が異なる。また、検出器1Aを設けていない点についても異なる。なお、検出器1Aを設ける構成としてもよい。
【0098】
第1の電力変換器10Aは、第1の電力変換器10と比較して検出器24をさらに設けた点が異なる。検出器24は、第1の電力変換器10Aの内部状態値を検出する。具体的には、検出器24は、DC-DCコンバータ2Aの出力である直流電圧の値を検出する。
【0099】
例えば、検出器24は、DC-DCコンバータ2Aの出力電圧が上昇するエネルギーバッファに類するコンデンサ端の電圧を検出するようにしてもよい。
【0100】
蓄電要素1の充電状態が上昇するに従ってDC-DCコンバータ2Aの出力電圧が上昇する。したがって、内部状態値であるDC-DCコンバータ2Aの出力電圧を検出することにより蓄電要素1の充電状態を検出することが可能である。
【0101】
第1の制御部3は、DC-DCコンバータ2Aの出力電圧に基づいて第1のテーブルに従って第1の電力変換器10に対して交流端Zの交流電圧を調整するように指示する。
【0102】
第2の制御部5は、交流端Zの交流電圧の状態の変化に基づいて第2のテーブルに従って第2の電力変換器4に対して交流端Zに出力する交流電流を調整するように指示する。
【0103】
基準量R1がDC-DCコンバータ2Aの出力電圧である場合について説明する。
第1の制御部3は、基準量R1としてDC-DCコンバータ2Aの出力電圧の入力に対して、調整量T1として交流電圧の振幅を調整する場合について説明する。
【0104】
第2の制御部5は、基準量R2として第2の電力変換器4の交流電圧の振幅の入力に対して、調整量U1として有効電力を調整する場合について説明する。
【0105】
ここで、調整量は、同じ基準量に基づいて複数生成しても良い。
具体的に、第1の制御部3は、図2の第1のテーブルを用いる場合について説明する。第2の制御部5は、図2の第2のテーブルを用いる場合について説明する。
【0106】
第1の制御部3は、第1のテーブルに基づいてDC-DCコンバータ2Aの出力電圧が予め定めたしきい値を超えた際に出力電圧としきい値との差に応じて交流電圧の振幅を調整する。
【0107】
第1の制御部3は、第1の電力変換器10Aの装置内部値(直流電圧)が予め定めたしきい値を超えた際に装置内部値としきい値の差に応じて交流電圧の振幅を調整する。ここで、しきい値の範囲内において交流電圧の振幅が一般的な系統電圧が設定され、振幅の調整は一般的な系統電圧振幅を基準に実施される。
【0108】
第1の制御部3は、第1テーブルに示されるように装置内部値(直流電圧)である基準量R1が所定のしきい値を超えた場合に、調整量T1である交流電圧の振幅を調整する。なお、第1の制御部3は、装置内部値(直流電圧)である基準量R1がしきい値の範囲内である場合には交流電圧の振幅を調整しない。
【0109】
例えば、第1の電力変換器10の動作制約などの都合により電圧が上昇するエネルギーバッファに類するコンデンサ端の直流電圧X、第1の制御部3のしきい値をXth、装置内部値によって調整される電圧振幅調整ゲインをK1gとする。
【0110】
第1の制御部3は、図2の第1のテーブルを用いる場合について説明する。
調整量T1の交流電圧の振幅Vmは次式のように求まる。なお、第1の電力変換器10の交流出力にて一般的な200V単相交流系統を模擬する場合、電圧振幅基準を意味するVm0は282Vが設定される。なお、エネルギーマネジメントシステムなどを介して蓄電要素1の充電状態と充放電動作の2項に応じて電圧振幅調整ゲインK1gを個別に設定しても良い。
【0111】
Vm=Vm0+K1g×(X-Xth)
すなわち、第1の制御部3は、装置内部値が予め定めたしきい値を超えた場合(直流電圧が予め定めたしきい値以上)(過充電状態の場合)に交流電圧の振幅Vmを上昇させる。
【0112】
第2の制御部5は、第2の電力変換器4が接続される交流端Zの振幅に応じて、有効電力P2を調整する。
【0113】
具体的には、計測部42は、交流端Zの交流電圧の振幅を計測している。第2の制御部5は、計測部42からの交流電圧の振幅の変動に基づいて交流電力を調整する。
【0114】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmである基準量R2に従って調整量T2である有効電力P2を調整する。
【0115】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される有効電力P2を下降させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に有効電流指令として第2のテーブルに従う有効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合には、指令値0に設定している。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの有効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する有効電力P2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って有効電流指令が負の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して有効電流を調整(有効電流を小さく)して有効電力P2が下降するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが上昇した場合は交流端Zに対する有効電力の出力を下降させて蓄電要素1に蓄電される電力を抑制して過充電を防止することが可能である。なお、当該調整でも蓄電要素1に蓄電される電力の抑制が十分では無い場合には、最終的に有効電流は0に設定される。
【0116】
なお、図3の第1および第2テーブルを用いても上記と同様に実行可能である。
また、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合の有効電流指令値の基準は、発電要素の発電電力に準じた電流値を設定してもよい。
【0117】
また、上記においては、第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmである基準量R2に従って調整量T2である有効電力P2を調整する場合について説明したが、無効電力Q2を調整するようにしてもよい。
【0118】
具体的には、第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電力Q2を上昇させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に無効電流指令として第2のテーブルに従う無効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合には、指令値0に設定している。ここで、第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電流指令値は発電要素の発電電力に準じた電流値を設定されるものとする。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの無効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する無効電力Q2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って無効電流指令が正の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して無効電流を調整(無効電流を大きく)して無効電力が上昇するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、無効電力を上昇させることで第2の電力変換器4の皮相電力定格値を超えないように間接的に有効電力を減少する機能を備える場合に、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが上昇した場合は交流端Zに対する無効電力Q2の出力を上昇させて蓄電要素1に蓄電される電力を抑制して過充電を防止することが可能である。
【0119】
また、調整量T1の交流電圧の振幅の代わりに交流電圧の実効値を用いても同様の効果を得ることが可能である。また、調整量T1の交流電圧の振幅の代わりに周波数を調整する場合についても同様に適用可能である。
【0120】
実施の形態3.
上記の実施形態2においては、第1の電力変換器10Aの内部状態値としてDC-DCコンバータ2Aの出力電圧を用いる場合について説明した。
【0121】
一方で、第1の電力変換器10Aの内部状態値として、第1の電力変換器10Aの温度を利用するようにしてもよい。
【0122】
図6は、実施の形態3に係る電力変換システム120の構成について説明する図である。
【0123】
図6に示されるように、電力変換システム120は、第1の電力変換器10を第1の電力変換器10Bに置換した点が異なる。また、検出器1Aを設けていない点についても異なる。なお、検出器1Aを設ける構成としてもよい。
【0124】
第1の電力変換器10Bは、第1の電力変換器10と比較して検出器26をさらに設けた点が異なる。検出器26は、第1の電力変換器10Aの内部状態値を検出する。具体的には、検出器26は、第1の電力変換器10Aの内部の温度を検出する。例えば、一例としてDC-DCコンバータ2A等の各種部品の温度を検出するようにしてもよい。
【0125】
第1の電力変換器10Aの温度が上昇して高温になればなるほど第1の電力変換器10Aに異常が生じる可能である。
【0126】
第1の制御部3は、検出器26で検出される温度に基づいて第1のテーブルに従って第1の電力変換器10に対して交流端Zの交流電圧を調整するように指示する。
【0127】
第2の制御部5は、交流端Zの交流電圧の状態の変化に基づいて第2のテーブルに従って第2の電力変換器4に対して交流端Zに出力する交流電流を調整するように指示する。
【0128】
基準量R1が検出器26の温度である場合について説明する。
第1の制御部3は、基準量R1として検出器26の温度の入力に対して、調整量T1として交流電圧の振幅を調整する場合について説明する。
【0129】
第2の制御部5は、基準量R2として第2の電力変換器4の交流電圧の振幅の入力に対して、調整量U1として有効電力P2を調整する場合について説明する。
【0130】
ここで、調整量は、同じ基準量に基づいて複数生成しても良い。
具体的に、第1の制御部3は、図2の第1のテーブルを用いる場合について説明する。第2の制御部5は、図2の第2のテーブルを用いる場合について説明する。
【0131】
第1の制御部3は、第1のテーブルに基づいて検出器26の温度が予め定めたしきい値を超えた際に当該温度としきい値との差に応じて交流電圧の振幅を調整する。
【0132】
第1の制御部3は、第1の電力変換器10Aの装置内部値(温度)が予め定めたしきい値を超えた際に装置内部値としきい値の差に応じて交流電圧の振幅を調整する。ここで、しきい値の範囲内において交流電圧の振幅が一般的な系統電圧が設定され、振幅の調整は一般的な系統電圧振幅を基準に実施される。
【0133】
第1の制御部3は、第1テーブルに示されるように装置内部値(温度)である基準量R1が所定のしきい値を超えた場合に、調整量T1である交流電圧の振幅を調整する。なお、第1の制御部3は、装置内部値(温度)である基準量R1がしきい値の範囲内である場合には交流電圧の振幅を調整しない。
【0134】
例えば、第1の電力変換器10の検出器26の温度Y、第1の制御部3のしきい値をYth、装置内部値によって調整される電圧振幅調整ゲインをK1hとする。
【0135】
第1の制御部3は、図2の第1のテーブルを用いる場合について説明する。
調整量T1の交流電圧の振幅Vmは次式のように求まる。なお、第1の電力変換器10の交流出力にて一般的な200V単相交流系統を模擬する場合、電圧振幅基準を意味するVm0は282Vが設定される。なお、エネルギーマネジメントシステムなどを介して蓄電要素1の充電状態と充放電動作の2項に応じて電圧振幅調整ゲインK1hを個別に設定しても良い。
【0136】
Vm=Vm0+K1h×(Y-Yth)
すなわち、第1の制御部3は、装置内部値が予め定めたしきい値を超えた場合(温度が予め定めたしきい値以上)に交流電圧の振幅Vmを上昇させる。
【0137】
第2の制御部5は、第2の電力変換器4が接続される交流端Zの振幅に応じて、有効電力P2を調整する。
【0138】
具体的には、計測部42は、交流端Zの交流電圧の振幅を計測している。第2の制御部5は、計測部42からの交流電圧の振幅の変動に基づいて交流電力を調整する。
【0139】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmである基準量R2に従って調整量T2である有効電力P2を調整する。
【0140】
第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される有効電力P2を下降させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に有効電流指令として第2のテーブルに従う有効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合には、指令値0に設定している。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの有効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する有効電力P2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って有効電流指令が負の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して有効電流を調整(有効電流を小さく)して有効電力P2が下降するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが上昇した場合は交流端Zに対する有効電力P2の出力を下降させて、第1の電力変換器10Bに入力される電力を抑制することが可能である。これにより入力される電力量の増大による温度上昇を抑制することが可能である。なお、当該調整でも入力される電力量の抑制が十分では無い場合には、最終的に有効電流は0に設定される。
【0141】
なお、図3の第1および第2テーブルを用いても上記と同様に実行可能である。
また、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合の有効電流指令値の基準は、発電要素の発電電力に準じた電流値を設定してもよい。
【0142】
また、上記においては、第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmである基準量R2に従って調整量T2である有効電力P2を調整する場合について説明したが、無効電力Q2を調整するようにしてもよい。
【0143】
具体的には、第2の制御部5は、第2のテーブルに基づいて交流電圧の振幅Vmが基準値から上昇した際に第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電力Q2を上昇させる。第2の制御部5は、交流電流調整部40に無効電流指令として第2のテーブルに従う無効電流指令値を出力する。なお、交流電圧の振幅Vmが基準値である場合には、指令値0に設定している。ここで、第2の電力変換器4から交流端Zへ出力される無効電流指令値は発電要素の発電電力に準じた電流値を設定されるものとする。交流電流調整部40は、第2の制御部5からの無効電流指令に従ってDC-ACインバータ4Bから交流端Zに出力する無効電力Q2を調整する。例えば、交流電流調整部40は、第2のテーブルに従って無効電流指令が正の値である場合には、DC-ACインバータ4Bに対して無効電流を調整(無効電流を大きく)して無効電力が上昇するように指示する。これにより、第2の電力変換器4は、無効電力を上昇させることで第2の電力変換器4の皮相電力定格値を超えないように間接的に有効電力を減少する機能を備える場合に、交流端Zの交流電圧の振幅Vmが上昇した場合は交流端Zに対する無効電力Q2の出力を上昇させて、第1の電力変換器10Bに入力される電力を抑制することが可能である。これにより入力される電力量の増大による温度上昇を抑制することが可能である。
【0144】
また、調整量T1の交流電圧の振幅の代わりに交流電圧の実効値を用いても同様の効果を得ることが可能である。また、調整量T1の交流電圧の振幅の代わりに周波数を調整する場合についても同様に適用可能である。
【0145】
実施の形態4.
実施の形態4は、複数台の蓄電要素を含む電力変換システムに関するものである。
【0146】
図7は、実施の形態4に係る電力変換システム200の構成を説明する図である。図7に示されるように、電力変換システム200は、蓄電要素1a,1bと、蓄電要素1a,1bの電圧をそれぞれ受けて交流電圧をそれぞれ出力する第1の電力変換器10a,10bと、交流電圧をそれぞれ調整する第1の制御部3a,3bと、交流端にそれぞれ電力を放電する第2の電力変換器4a,4bと、交流電圧を受けて電力をそれぞれ調整する第2の制御部5a,5bを備え、第2の電力変換器4a,4bの入力端にそれぞれ発電要素6a,6bが接続され、交流電圧の端に一般負荷7と重要負荷8が接続される。
【0147】
第1の制御部3a,3bは、実施の形態1で示した第1の制御部3と同様の構成を取る。なお、不感帯の幅や基準量R1と調整量T1の関係を表す傾きは異なる値を取っても良い。なお、蓄電要素の充電状態を検出する検出器については省略している。
【0148】
第2の制御部5a,5bは、実施の形態1~3で示した第2の制御部5と同様の構成を取る。なお、基準量R2と調整量U1の関係を表す傾きは異なる値を取っても良い。
【0149】
図8は、実施の形態4に従う第1の制御部3a,3bおよび第2の制御部5a,5bにおけるパラメータの調整について説明する図である。
【0150】
図9は、実施の形態4に従う第1の制御部3a,3bおよび第2の制御部5a,5bにおけるパラメータの別の調整について説明する図である。
【0151】
図8および図9のテーブルは、図2および図3で説明したのと基本的に同様なのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0152】
複数組の構成である場合においても実施の形態1~3と同様に適用することが可能である。
【0153】
第1の制御部3a,3bは、基準量R5,R6として第1の電力変換器10a,10bの交流電圧の有効電力に対して調整量T3,T4として交流端の交流電圧の周波数を調整する場合について説明する。
【0154】
第2の制御部5a,5bは、基準量R7,R8として交流端の交流電圧の周波数に対して、調整量U3,U4として第2の電力変換器4a,4bの交流電圧の有効電力を調整する場合について説明する。
【0155】
図8のテーブルを用いる場合について説明する。
第1の制御部3a,3bは、第1の電力変換器10a,10bの交流電圧の有効電力が予め定めたしきい値を超えた際に当該有効電力としきい値との差に応じて交流電圧の周波数を調整する。ここで、しきい値の範囲内において交流電圧の周波数が一般的な系統周波数が設定され、周波数の調整は一般的な系統電圧周波数を基準に実施される。
【0156】
ここで、図8のテーブルで用いるゲインKXa,KXbはそれぞれ蓄電要素1a,1bの充電率Sに準じて決定される。なお、充電率に依存させずに、固定値としても良い。同様に、有効電力のしきい値Pthはそれぞれ蓄電要素1a,1bの充電率Sに準じて決定しても良い。
【0157】
第2の制御部5a,5bは、交流端の交流電圧の周波数に対して、第2の電力変換器4a,4bの交流電圧の有効電力を調整する。
【0158】
ここで、図8のテーブルで用いるゲインKYa,KYbは、固定値としても良い。
次に、電力変換器10aの有効電力をPXa,電力変換器10bの有効電力をPXbとする。
【0159】
一般負荷7と重要負荷8の消費電力をそれぞれPLaとPLb、基準周波数f0における電力変換器4a,4bの出力する有効電力をそれぞれPYa0,PYb0とする。
【0160】
電力変換器4a,4bの有効電力PYa,PYbは次式で表すことができる。
ここで、dFは、基準周波数f0からの周波数変化幅とする。
【0161】
PYa=PYa0-KYa×dF
PYb=PYb0-KYb×dF
また、交流端における電力供給関係は次式により算出される。
【0162】
PXa+PXb+PYa+PYb=PLa+PLb
ここで、蓄電要素1a,1bが放電動作であるPXa≧Pth、かつ、PXb≧Pthにおいて、dFは次式により算出される。
【0163】
dF=KXa×(PXa-Pth)=KXb×(PXb-Pth)
電力需給関係は、次式により算出される。
【0164】
dF÷KXa+dF÷KXb+2Pth=PLa+PLb-Pya0-Pyb0+(Kya+Kyb)×dF
上式を展開するとdFは次式により算出される。
【0165】
dF=(PLa+PLb-Pya0-Pyb0-2Pth)÷(1÷KXa+1÷KXb-Kya-Kyb)
過放電抑制の観点から、蓄電要素1a,1bから放電する電力が大きいほど発電要素6a,6bから放電する電力も大きくする必要がある。したがって、dFは負の値を取る必要がある。すなわち、周波数f1は基準周波数f0より下がる。
【0166】
ここで、蓄電要素1a,1bが充電動作であるPXa≦-Pth、かつ、PXb≦-Pthにおいて、dFは次式により算出される。
【0167】
dF=KXa×(PXa+Pth)=KXb×(PXb+Pth)
電力需給関係は、次式により算出される。
【0168】
dF÷KXa+dF÷KXb-2Pth=PLa+PLb-Pya0-Pyb0+(Kya+Kyb)×dF
上式を展開するとdFは次式により算出される。
【0169】
dF=(PLa+PLb-Pya0-Pyb0+2Pth)÷(1÷KXa+1÷KXb-Kya-Kyb)
過充電防止の観点から蓄電要素1a,1bの充電電力が大きいほど発電要素6a,6bから放電電力を小さくする必要がある。よって、dFは正の値を取る必要がある。すなわち、周波数f1は基準周波数f0より上がる。
【0170】
第2の制御部5a,5bは、第2の電力変換器4a,4bがそれぞれ接続される交流端Zの周波数に応じて、有効電力を調整する。
【0171】
上式の様に周波数f1(=f0+dF)は第1の制御部3a,3bと第2の制御部5a,5bの設定に依存した値に定まる。
【0172】
したがって、実施の形態4に従う電力変換システムである複数の第1の電力変換器と複数の第2の電力変換器において有効電力の融通が実施形態1~3と同様に実現することが可能である。
【0173】
本開示は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組合せで実施の形態に適用可能である。
【0174】
従って、例示されていない無数の変形例が、開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組合せる場合が含まれるものとする。
【0175】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0176】
1,1a,1b 蓄電要素、2,2a,2b 第1の電力変換器、3,3a,3b 第1の制御部、4,4a,4b 第2の電力変換器、5,5a,5b 第2の制御部、6,6a,6b 発電要素、7 一般負荷、8 重要負荷、100,200 電力変換システム。
【要約】
電力変換システムは、蓄電要素と、蓄電要素と、負荷との間に接続され、蓄電要素に対する充放電を制御するとともに、負荷に交流電圧を出力する第1の電力変換器と、第1の電力変換器を制御する第1の制御部と、発電電力を供給する発電要素と、第1の電力変換器と並列に、負荷と接続される交流端に負荷に交流電圧を出力する第2の電力変換器と、第2の電力変換器を制御する第2の制御部とを備える。第1の制御部は、蓄電要素の充電状態に基づいて第1のテーブルに従って第1の電力変換器に対して交流端の交流電圧を調整するように指示し、第2の制御部は、交流端の交流電圧の状態の変化に基づいて第2のテーブルに従って第2の電力変換器に対して交流端に出力する交流電流を調整するように指示する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9