(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】中央処理装置、通信システム、端末管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 43/045 20220101AFI20221216BHJP
H04L 43/0811 20220101ALI20221216BHJP
【FI】
H04L43/045
H04L43/0811
(21)【出願番号】P 2022555901
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016883
【審査請求日】2022-09-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】宇都 隆
【審査官】佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211317(JP,A)
【文献】特開2008-278148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0188475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 43/045
H04L 43/0811
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、前記複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出する端末抽出部と、
前記監視対象端末から取得された情報である端末情報を含む端末状態情報を取得する端末状態情報取得部と、
端末状態情報と端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と前記端末状態情報取得部によって取得された前記端末状態情報のうち前記通信不良端末に対応する前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定する原因推定部と、
前記通信不良の原因の推定結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする中央処理装置。
【請求項2】
前記端末状態情報取得部は、前記監視対象端末の周辺の前記端末である周辺端末から取得した情報である端末情報を含む端末状態情報を取得し、
前記原因推定部は、前記相関情報と前記端末状態情報取得部によって取得された前記端末状態情報のうち前記通信不良端末に対応する前記端末状態情報と前記端末状態情報取得部によって取得された前記端末状態情報のうち前記通信不良端末の周辺の端末に対応する前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定することを特徴とする請求項1に記載の中央処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、地図上の前記端末の位置に当該端末を示す図形を表示し、前記通信不良端末に対応する前記図形を、推定された前記原因の種類に応じた表示方法で表示することを特徴とする請求項2に記載の中央処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記端末が前記監視対象端末と前記周辺端末と監視対象端末ではなくかつ前記周辺端末ではない前記端末とのうちのいずれであるかを示す属性に応じた表示方法で前記端末に対応する前記図形を表示することを特徴とする請求項3に記載の中央処理装置。
【請求項5】
前記通信品質情報は、前記端末における受信信号強度を含むことを特徴とする請求項1に記載の中央処理装置。
【請求項6】
前記複数の端末は、前記中央処理装置に定期的に定期送信情報を送信し、
前記通信品質情報は、前記定期送信情報の予定受信日時と前記定期送信情報を受信した日時との差を含むことを特徴とする請求項1に記載の中央処理装置。
【請求項7】
前記端末状態情報は、前記端末の位置を示す位置情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の中央処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記原因に対応する対策を出力することを特徴とする請求項1に記載の中央処理装置。
【請求項9】
前記相関情報は、機械学習によって生成された、端末状態情報から通信不良の原因を推論するための学習済モデルであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の中央処理装置。
【請求項10】
前記相関情報は、通信不良の原因が既知の通信不良端末に関する端末状態情報と当該原因とを含み、
前記原因推定部は、コサイン類似法を用いて前記原因を推定することを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の中央処理装置。
【請求項11】
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出する端末抽出部と、
前記通信不良端末の周辺の前記端末である周辺端末から取得された
複数の種類の情報
を含む端末情報を含む端末状態情報を取得する端末状態情報取得部と、
通信不良端末の周辺の端末の端末状態情報と当該通信不良端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と前記端末状態情報取得部によって取得された前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定する原因推定部と、
前記通信不良の原因の推定結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする中央処理装置。
【請求項12】
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末と、
中央処理装置と、
を備え、
前記中央処理装置は、
前記複数の端末のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、前記複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出する端末抽出部と、
前記監視対象端末から取得された情報である端末情報を含む端末状態情報を取得する端末状態情報取得部と、
端末状態情報と端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と前記端末状態情報取得部によって取得された前記端末状態情報のうち前記通信不良端末に対応する前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定する原因推定部と、
前記通信不良の原因の推定結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項13】
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末と、
中央処理装置と、
を備え、
前記中央処理装置は、
前記複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出する端末抽出部と、
前記通信不良端末の周辺の前記端末である周辺端末から取得された
複数の種類の情報
を含む端末情報を含む端末状態情報を取得する端末状態情報取得部と、
通信不良端末の周辺の端末の端末状態情報と当該通信不良端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と前記端末状態情報取得部によって取得された前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定する原因推定部と、
前記通信不良の原因の推定結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項14】
中央処理装置における端末管理方法であって、
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、前記複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出するステップと、
前記監視対象端末から取得された情報である端末情報を含む端末状態情報を取得するステップと、
端末状態情報と端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と取得された前記端末状態情報のうち前記通信不良端末に対応する前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定するステップと、
前記通信不良の原因の推定結果を出力するステップと、
を含むことを特徴とする端末管理方法。
【請求項15】
中央処理装置における端末管理方法であって、
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出するステップと、
前記通信不良端末の周辺の前記端末である周辺端末から取得された
複数の種類の情報
を含む端末情報を含む端末状態情報を取得するステップと、
通信不良端末の周辺の端末の端末状態情報と当該通信不良端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と取得された前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定するステップと、
前記通信不良の原因の推定結果を出力するステップと、
を含むことを特徴とする端末管理方法。
【請求項16】
コンピュータシステムに、
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、前記複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出するステップと、
前記監視対象端末から取得された情報である端末情報を含む端末状態情報を取得するステップと、
端末情報と端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と前記端末状態情報のうち前記通信不良端末に対応する前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定するステップと、
前記通信不良の原因の推定結果を出力するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
コンピュータシステムに、
無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出するステップと、
前記通信不良端末の周辺の前記端末である周辺端末から取得された
複数の種類の情報
を含む端末情報を含む端末状態情報を取得するステップと、
通信不良端末の周辺の端末の端末情報と当該通信不良端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と取得された前記端末状態情報とを用いて前記通信不良端末の通信不良の原因を推定するステップと、
前記通信不良の原因の推定結果を出力するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システムを管理する中央処理装置、この中央処理装置を備える通信システム、端末管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力量やガスをはじめとした自動検針、各種の計測データの収集、などのように、複数の端末から広範囲にデータを収集するシステムで無線マルチホップネットワークが導入されている。このようなシステムでは、通信不良の端末が発生するとデータの収集ができなくなるため、通信不良の端末を特定し、通信不良の原因に応じた対策を行う必要がある。
【0003】
例えば、電力量の自動検針においては、検針情報を収集する中央処理装置は、定期的に収集される検針情報の収集結果をもとに、検針情報を収集できなかった端末を通信不良として特定することができる。一方、通信不良の端末が特定された後は、例えば、保守者、運用者などが、人手によって原因の推定が行われ対策が決定される。したがって、保守のために時間およびコストを要するとともに、保守者、運用者などが持つ経験と保守を行う組織が持つノウハウとに大きく依存する。電力量の自動検針システムをガス、水道の検針と連係させたり、他のデータの収集、制御などに使用したりといった利用が進むことも考慮すると、より効率的な保守手段が求められる。
【0004】
特許文献1には、通信網の障害の原因が既知である過去の障害事例をもとに、障害の特徴と障害原因との間の対応関係を求めておき、障害発生時に通信機器から取得したログから特徴量を抽出し、抽出した特徴量と上記の対応関係とを用いて障害の原因を推定する障害原因分析システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、障害原因分析システムが障害の原因を自動で推定することができる。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、分析対象の端末からログを取得する必要がある。したがって、通信断となる通信不良が発生した端末に関して通信不良の原因を推定するときには、通信によってログを取得することができないため遠隔で原因の推定を行うことができない。このため、特許文献1に記載の技術では、保守者、運用者などが当該端末の設置場所に出向いてログを取得しなければならず、作業効率を向上させることが難しい。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、通信不良の原因推定における作業効率を向上させることができる中央処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる中央処理装置は、無線マルチホップネットワークを構成する複数の端末のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出する端末抽出部と、監視対象端末から取得された情報である端末情報を含む端末状態情報を取得する端末状態情報取得部と、端末状態情報と端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と端末状態情報取得部によって取得された端末状態情報のうち通信不良端末に対応する端末状態情報とを用いて通信不良端末の通信不良の原因を推定する原因推定部と、通信不良の原因の推定結果を出力する出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる中央処理装置は、通信不良の原因推定における作業効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す図
【
図4】実施の形態の通信不良端末の原因推定処理手順の一例を示すフローチャート
【
図6】実施の形態の統計情報の取得対象となる端末の一例を示す図
【
図8】過去情報における統計情報の一例を示す模式図
【
図9】原因の推定に機械学習が用いられる場合の原因推定部の構成例を示す図
【
図10】原因推定結果をリスト形式で表示する場合の表示画面の一例を示す図
【
図11】原因推定結果をリスト形式で表示する場合の表示画面の一例を示す図
【
図12】原因推定結果を地図上で表示する場合の表示画面の一例を示す図
【
図13】実施の形態の通信不良の原因の推定処理手順の別の一例を示すフローチャート
【
図14】実施の形態の中央処理装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態にかかる中央処理装置、通信システム、端末管理方法およびプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
実施の形態.
図1は、実施の形態にかかる通信システムの構成例を示す図である。実施の形態の通信システム100は、例えば、電力量、ガスなどの自動検針のために、計量データを収集するシステムであるが、計測データを収集するセンサネットワークシステムであってもよく、通信システム100の用途はこれらに限定されない。以下、通信システム100が電力量の検針情報を収集するシステムである例を説明するが、上述したように、通信システム100の用途はこれに限定されない。
【0013】
図1に示すように、通信システム100は、中央処理装置1、集約装置2-1,2-2および端末3-1~3-7を備える。以下、集約装置2-1,2-2のそれぞれを個別に区別せずに示すときには、集約装置2と記載し、端末3-1~3-7のそれぞれを個別に区別せずに示すときには、端末3と記載する。なお、
図1では、集約装置2を2台図示し、端末3を7台図示しているが、集約装置2および端末3のそれぞれの数はこれに限定されない。
【0014】
集約装置2―1,2-2および端末3-1~3-7のそれぞれは、無線マルチホップネットワークを構築するための通信制御を行うことが可能である。以下、無線マルチホップネットワークを構成する集約装置2―1,2-2および端末3-1~3-7のそれぞれを、ノードとも呼ぶ。
【0015】
端末3は、例えば、電力量を計量する後述するメータに接続される通信装置であり、端末3と対応するメータとで、いわゆるスマートメータが構成される。すなわち、端末3は、例えばスマートメータの一部であり、電力量の検針情報を、対応する集約装置2へ向けて送信する。端末3は、例えば、電力の需要家に設置される。また、本実施の形態の通信システム100が電力量の自動検針以外の他の用途に用いられる場合には、端末3は、用途に応じて、メータ以外の他の装置と通信を行い、他の装置から取得したデータを対応する集約装置2へ向けて送信する。端末3は、定期的に検針情報を送信する。検針情報は、端末3が中央処理装置1に定期的に送信する定期送信情報の一例である。定期的な検針情報の送信周期を、以下、定期送信周期と呼ぶ。定期送信周期は、例えば、30分、15分および5分のうちのいずれかであるが、定期送信周期はこれらに限定されない。以下、定期的な検針情報の収集を定期収集とも呼ぶ。
【0016】
集約装置2は、端末3から検針情報を収集し、収集した検針情報を集約して、ネットワークを介して中央処理装置1へ送信する。これにより、中央処理装置1は、端末3から上りデータとして検針情報を定期的に収集することができる。集約装置2と中央処理装置1との間のネットワークは、例えば、IP(Internet Protocol)ネットワークであり、光回線ネットワーク、携帯電話ネットワークであるが、これらに限定されない。集約装置2は、例えば、電柱などに設置されるが、設置位置は電柱に限定されない。本実施の形態の通信システム100が電力量の自動検針以外の他の用途に用いられる場合には、集約装置2は、端末3から受信した他の用途のためのデータを、ネットワークを介して中央処理装置1へ送信する。
【0017】
また、集約装置2および端末3を含む無線マルチホップネットワークでは、定められた経路制御プロトコルに基づいて経路制御が行われる。経路制御プロトコルとしては、RPL(IPv6 Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks)を用いることができる。経路制御プロトコルは、これに限定されない。RPLでは、各端末3から集約装置2へ向かう通信経路である上り経路に関しては、各端末3が集約装置2へ向かう経路における次の端末3を上り経路として管理する。
図1において、端末3間および集約装置2と端末3との間を接続する線は、互いに無線通信を行うことが可能であることを示している。
図1に示すように、各端末3は、複数の端末3と無線通信を行うことが可能な場合がある。各端末3は、経路構築のための制御メッセージを他の端末3または集約装置2とやりとりすることで、通信可能な端末3のなかから、または通信可能な端末3および集約装置2のなかから、上り経路を選択する。例えば、各端末3は、例えば、集約装置2までのホップ数、通信品質などに応じて、自身が属する集約装置2を選択し、集約装置2へ向かう上り経路を選択する。また、各端末3は、上り制御メッセージに自身の識別情報を順次付加する。これにより、集約装置2は、各端末3に対応する上り経路として経由した端末3を把握することができる。RPLでは、集約装置2から各端末3へ向かう下り経路に関しては、集約装置2が上り経路の逆の経路を下り経路として決定する。
【0018】
また、各端末3は、集約装置2として主と副の両方を定めておき、主の集約装置2へ向かう経路である主経路と、副の集約装置2へ向かう経路である副経路との2つを管理していてもよい。通常は主経路を用いて通信を行い、主経路における通信の障害を検出した場合に副経路を選択するようにしてもよいし、中央処理装置1から主と副との切替えが指示されてもよい。
【0019】
中央処理装置1は、集約装置2および端末3を管理する装置である。中央処理装置1は、集約装置2から検針情報を収集し、収集した検針情報を図示しないメーターデータ管理システム(MDMS(Meter Data Management System))へ送信する。MDMSは、メーターデータを管理する装置である。また、本実施の形態の通信システム100が電力量の自動検針以外の他の用途に用いられる場合には、中央処理装置1は、他の用途のために端末3から収集されたデータを、他の用途のための管理システムなどへ送信する。また、中央処理装置1は、端末3を制御するための制御信号を、集約装置2を介して端末3へ送信する。
【0020】
中央処理装置1は、後述するように、原因が既知である過去の通信状況に関する端末状態情報と当該原因とを含む過去情報と通信不良端末の端末状態情報とを用いて原因を推定する。例えば、中央処理装置1は、検針情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される端末3である通信不良端末を検出し、検出した通信不良端末に対応する端末状態情報と過去情報とを用いて通信不良の原因を推定する。通信不良端末に対応する端末状態情報は、例えば、通信不良となる前に当該通信不良端末から取得した統計情報を含む。端末状態情報は、さらに、中央処理装置1が内部で保持している情報を含んでいてもよい。また、本実施の形態では、通信状態に関する情報を用いて監視対象端末を抽出し、抽出した監視対象端末から統計情報を取得する。すなわち、本実施の形態の中央処理装置1は、通信不良端末となる可能性があるが通信不能には至っていない状態の端末3を監視対象として統計情報を取得しておくことで、監視対象端末が通信不能となった場合でも、通信不能となる直前の統計情報を用いて通信不良の原因を推定することができる。すなわち、保守者、運用者などが通信不良端末の設置場所に出向いて情報を取得する必要がなく、中央処理装置1から遠隔で原因の推定を行うことができるため、保守者、運用者などが通信不良端末の設置場所に出向く場合に比べて、通信不良の原因推定における作業効率を向上させることができる。
【0021】
また、中央処理装置1が、過去情報と、通信不良端末に対応する端末状態情報とを用いて原因を推定するため、人手によって原因の推定が行われる場合に比べて、保守のために時間およびコストを抑制することができる。また、保守者、運用者などが持つ経験と保守を行う組織が持つノウハウとに依存することなく、原因の推定を行うことができる。また、中央処理装置1は、原因に応じた対策を関連付けておくことで、通信不良の原因の推定の際に、原因の推定とともに対応する対策を提示する、すなわち対策を出力することができる。
【0022】
また、監視対象端末をあらかじめ抽出し、抽出した監視対象端末から統計情報を取得するため、全ての端末3から統計情報を取得する場合に比べて、通信システム100内のトラフィックの増加による輻輳を避けることができ、中央処理装置1における記憶容量を削減することができる。
【0023】
次に、本実施の形態の中央処理装置1および端末3の構成例について説明する。
図2は、本実施の形態の中央処理装置1の構成例を示す図である。
図2に示すように、中央処理装置1は、検針情報取得部11、端末抽出部12、端末状態情報取得部13、原因推定部14、出力部15、過去情報更新部16、検針情報記憶部17、端末状態情報記憶部18、過去情報記憶部19および監視対象端末記憶部20を備える。
【0024】
検針情報取得部11は、集約装置2を介して端末3から検針情報を受信することで、検針情報を取得し、取得した検針情報に受信日時を付加して検針情報記憶部17へ格納する。検針情報は、検針値と端末3の識別情報(以下、端末ID(IDentifier)と呼ぶ)と通信品質を示す情報とを含む。また、端末3が主経路と副経路とを管理している場合には、検針情報に、当該検針情報が主経路と副経路とのうちいずれで送信されたかを示す主/副経路情報が含まれていてもよい。受信日時は、例えば、検針情報が検針情報記憶部17へ格納される日時であるが、これに限らず、検針情報取得部11が検針情報を受信した日時であってもよい。受信日時は、中央処理装置1が検針情報を受信した時刻に相当するものであればよい。
【0025】
なお、検針情報記憶部17へ格納される検針情報は、集約装置2から受信した各端末3に対応する検針情報自体であってもよいし、受信した検針情報から一部の情報が削除されたものであってもよい。検針情報記憶部17に格納される検針情報は、少なくとも検針値および端末IDと受信日時とを含む。ここでは、検針情報は上述した定期送信周期で各端末3から送信されることとし、各端末3の定期送信周期ごとの検針値の検針情報記憶部17における格納領域(レコード位置)が定められる。検針情報取得部11は、対応する格納領域に検針情報を格納する。以下、この定期送信周期ごとの検針値のデータの収集を定期収集とも呼ぶ。定期取集は、各端末3が中央処理装置1から定期送信周期と初回の送信タイミングとを指示された後に自発的に定期送信周期ごとに検針情報を取得することで行われてもよいし、中央処理装置1が定期送信周期ごとに各端末3へ検針情報の取得要求を送信することで行われてもよい。
【0026】
検針情報取得部11は、対応する格納領域に格納済の検針情報を参照し、現在の定期送信周期における定期収集で検針情報を受信できなかった端末3がある場合、すなわち定期収集における欠測が生じた端末3がある場合には、検針情報の再収集処理である欠測補完処理を実施する。欠測補完処理では、検針情報取得部11が、定期収集における欠測が生じた端末3に、検針情報の再送を指示する。検針情報取得部11は、再送の指示により端末3から検針情報を受信できた場合には、検針情報記憶部17における対応する格納領域に当該検針情報を格納する。検針情報取得部11は、再送の指示を定められた回数送信しても端末3から検針情報を得られない場合には、端末3から応答が得られないことを示す情報を、該当する格納領域に格納してもよいし、該当する格納領域をブランクのままとしてもよい。
【0027】
端末抽出部12は、複数の端末3のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、複数の端末3のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出する。詳細には、端末抽出部12は、通信品質に関する情報の一例である検針情報に基づいて、監視対象端末を抽出し、抽出した監視対象端末の端末IDを監視対象端末リストとして監視対象端末記憶部20に格納する。また、端末抽出部12は、新たに、通信品質情報を用いた監視対象端末であるか否かの判定を行うと、判定結果に基づいて、監視対象端末リストを更新する。監視対象端末の抽出方法の詳細は後述する。
【0028】
また、端末抽出部12は、検針情報記憶部17に格納されている検針情報を用いて、通信不能と推定される端末3である通信不良端末を検出し、通信不良端末が検出された場合には、通信不良端末(通信不良端末の端末ID)を通信不良端末リストとして監視対象端末記憶部20に格納する。
【0029】
端末状態情報取得部13は、監視対象端末に関する情報である端末状態情報を取得する。端末状態情報は、端末3に記憶されている端末情報である統計情報を含む。端末状態情報取得部13は、監視対象端末記憶部20に記憶されている監視対象端末の端末IDに基づいて、監視対象端末から統計情報を取得し、取得した統計情報を端末状態情報記憶部18へ格納する。例えば、端末状態情報取得部13は、定期的に、端末3へ統計情報の送信を指示することで、統計情報を定期的に端末3から取得する。また、端末状態情報取得部13は、後述するように、監視対象端末の周辺の端末3の端末状態情報についても取得して端末状態情報記憶部18へ格納してもよい。統計情報の収集周期は、例えば、定期送信周期より長い周期に設定されるが、統計情報の収集周期は、これに限らず、どのように設定されてもよい。また、統計情報には、後述するように、端末3から取得する情報以外の情報が含まれていてもよく、端末状態情報取得部13は、端末3から取得する情報以外の情報を取得し端末状態情報記憶部18へ格納する。例えば、統計情報が端末3の位置情報を含み、端末3が位置情報を保持している場合には、位置情報が端末3から取得されてもよい。
【0030】
端末状態情報記憶部18には、端末状態情報が記憶される。端末状態情報は、上述したように、例えば、統計情報を含むが、さらに、中央処理装置1内で管理されている情報を含んでもよい。例えば、端末状態情報が端末3の位置を示す位置情報を含む場合、端末状態情報取得部13は、中央処理装置1における図示しない各端末3に関する契約情報が記憶されている契約情報記憶部から位置情報を読み出して端末状態情報記憶部18へ格納してもよい。なお、端末状態情報取得部13は、統計情報以外の端末状態情報は、全端末3(監視対象端末以外の端末3を含む)の位置情報を取得してもよいし、監視対象端末の端末IDに基づいて、中央処理装置1における図示しない各端末3に関する契約情報から監視対象端末に対応する位置情報を取得して端末状態情報記憶部18へ格納してもよい。位置情報を例に説明したが、端末状態情報に中央処理装置1で取得される情報が含まれている場合には、位置情報以外についても、同様に、端末状態情報取得部13が中央処理装置1内で取得して端末状態情報記憶部18へ格納する。上述したように、監視対象端末の周辺の端末3の端末状態情報を取得する場合も、同様に、端末状態情報記憶部18は、中央処理装置1は、中央処理装置1内で取得する情報を取得して端末状態情報記憶部18へ格納する。
【0031】
原因推定部14は、端末情報と端末3の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と端末状態情報取得部13によって取得された端末状態情報のうち、通信不良端末に対応する端末状態情報を用いて通信不良端末の通信不良の原因を推定する。原因推定部14は、監視対象端末記憶部20に格納されている通信不良端末リストを参照することで通信不良端末を把握する。後述するように、原因推定部14は、例えば、機械学習またはコサイン類似法によって原因を推定する。機械学習が用いられる場合、相関関係を判定するための相関情報は、端末状態情報から通信不良の原因を推論するための学習済モデルであり、コサイン類似法が用いられる場合、相関関係を判定するための相関情報は、過去情報である。学習済モデルも過去情報に基づいて生成されるため、原因推定部14は、過去情報記憶部19に格納されている過去情報を用いて、原因を推定することになる。過去情報は、原因が既知である事例に対応する過去の端末状態情報と当該端末状態情報に対応する原因の特定結果とを含む情報である。原因推定部14は、端末抽出部12から通信不良端末の通知を受けると、通信不良端末に対応する端末状態情報と、相関情報とを用いて原因を推定し、推定した原因を通信不良端末の端末IDとともに出力部15へ通知する。なお、原因推定部14は、原因の推定結果とともに対応する対策も求め、求めた対策を原因の推定結果とともに出力部15へ通知してもよい。
【0032】
出力部15は、通信不良端末の通信不良の推定結果、通信不良端末の一覧、監視対象端末の一覧、各端末3の位置および端末3の属性を示す情報などの各種の情報を、表示したり、印刷したりすることで出力する。端末3の属性は、例えば、通信不良端末であるか、監視対象端末であるか、通信不良端末でもなく監視対象端末でもない正常端末であるかである。
【0033】
過去情報更新部16は、保守者から、過去の通信不良に関する原因の特定結果(または原因の特定結果と施した対策)と、対応する端末状態情報を示す情報との入力を受け付け、入力をもとに過去情報を更新する。この過去の端末状態情報における統計情報は、端末3において取得された統計情報であってもよいし、中央処理装置1が記憶している統計情報であってもよい。例えば、端末3において取得された統計情報が、外部記録媒体、または図示しない他の装置を介して中央処理装置1へ入力されてもよい。また、対応する端末3が監視対象端末であった場合には中央処理装置1に統計情報が記憶されているため、保守者によって指定された端末IDと対応する日時とに基づいて、端末状態情報記憶部18から対応する統計情報を読み出すことで統計情報を取得してもよい。
【0034】
図3は、本実施の形態の端末3の構成例を示す図である。
図3に示すように、端末3は、通信部31、統計情報記憶部32、制御処理部33、検針値記憶部34および検針値取得部35を備える。端末3は、電力量を計量するメータ4に接続される。ここでは、上述したように、端末3が電力量の検針に用いられる例を説明するが、端末3が電力量の検針以外に用いられる場合には、用途に応じた他の装置が接続される。
【0035】
通信部31は、無線マルチホップネットワークにおける経路制御プトロコルに基づいて他のノードとの間で通信を行う。例えば、通信部31は、制御処理部33から検針値を受領すると、検針値に端末IDなどの情報を付加した検針情報を生成し、集約装置2宛ての検針情報を保持している上り経路上の次ノードに送信する。検針情報は上述したように集約装置2から中央処理装置1へ送信される。また、通信部31は、自装置宛ての中央処理装置1からの指示を受信すると、制御処理部33へ出力する。また、通信部31は、他のノード宛ての情報を受信すると、経路制御プロトコルにしたがって宛先に向けて、受信した情報を転送する。また、通信部31は、他のノードから受信した信号に基づいて通信品質を示す情報の一例であり、受信電波の強度を示すRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)を測定し、RSSIを検針情報に含めて送信する。
【0036】
また、通信部31は、通信に関するログを統計情報として統計情報記憶部32に格納する。通信部31は、中央処理装置1から統計情報の送信の指示を受信すると、統計情報記憶部32に格納されている統計情報を上り経路上の次ノードに送信する。統計情報は、集約装置2を経由して中央処理装置1へ到着する。
【0037】
制御処理部33は、定期的に検針値記憶部34に格納されている検針値を読み出し、読み出した検針値を通信部31へ出力する。また、制御処理部33は、通信部31を介して中央処理装置1からの指示を受けとると指示に応じた処理を行う。例えば、検針情報の再収集の指示を受けとると、指示に基づいて検針値記憶部34に格納された検針値を読み出して通信部31へ出力する。検針値取得部35は、メータ4から計量結果である検針値を取得し、取得した検針値を検針値記憶部34に格納する。
【0038】
中央処理装置1、集約装置2および端末3における検針情報の収集に関する動作は、一般的な検針システムにおける動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
次に、本実施の形態の中央処理装置1における通信不良端末の原因推定に関する動作について説明する。
図4は、本実施の形態の通信不良端末の原因推定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0040】
図4に示すように、中央処理装置1は、検針情報を用いて監視対象端末を抽出する(ステップS1)。詳細には、端末抽出部12が、検針情報記憶部17に格納されている検針情報における各端末3の通信品質に関する情報を用いて監視対象端末を抽出し、抽出した監視対象端末の端末IDを監視対象端末記憶部20へ格納する。
【0041】
通信品質に関する情報(通信品質情報)、すなわち監視対象端末の判定パラメータとしては、例えば、下記の(1)および(2)のうちの少なくとも一方を用いることができる。例えば、(1)を用いた条件を満たす端末3と(2)を用いた条件を満たす端末3との両方を監視対象端末としてもよいし、いずれか一方を用いた条件を満たす端末3を監視対象端末としてもよい。ただし、後述する通信不良の判定で通信不良と判定される端末3も監視対象端末とすることが望ましいため、(1)を用いた条件を用いる場合には、当該条件を満たす端末3と後述するステップS3で通信不良端末と判定される条件を満たす端末3との両方を監視対象端末とすることが望ましい。
(1)各端末3における受信強度を示す情報
具体的には、例えば、RSSIを用いることができる。
(2)検針情報の受信日時
具体的には、端末3の検針情報の登録予定日時と受信日時との差を用いることができる。上述したように、定期収集では定期送信周期ごとに検針情報が送信されるため、過去に正常に登録された受信日時と定期送信周期とに基づいて登録予定時刻を求めることができる。例えば、予定受信日時と受信日時との差の絶対値がしきい値以上の場合には、定期収集で検針情報を収集できずに、欠測補完処理によって検針情報が収集されて登録されたと推定される。定期収集で検針情報を収集できない場合は通信が不安定な可能性がある。なお、受信日時は、中央処理装置1が検針情報を受信した日時に相当するものであればよく、例えば、検針情報取得部11は、検針情報の予定受信日時と検針情報を受信した日時との差を用いて監視対象端末を抽出することができる。
【0042】
また、各端末3が主経路と副経路とを管理しており、検針情報に主/副経路情報が含まれている場合には、監視対象端末の判定パラメータとして主/副経路情報を用いてもよい。
【0043】
次に、
図4に示すように、中央処理装置1は、監視対象端末および周辺端末の統計情報を取得する(ステップS2)。詳細には、端末状態情報取得部13が、端末3、中央処理装置1内などから監視対象端末に関する統計情報を取得し、取得した統計情報を端末状態情報記憶部18に格納する。なお、ここでは、中央処理装置1が、監視対象端末および周辺端末の統計情報を取得する例を説明するが、中央処理装置1は周辺端末の統計情報を取得しなくてもよい。
【0044】
図5は、本実施の形態の端末状態情報の一例を示す図である。
図5では、端末状態情報ごとの、取得先と情報が示す事象とが示されている。取得先は、端末状態情報取得部13がどこから情報を取得するかを示している。
図5に示すように、端末状態情報としては、監視対象端末の判定パラメータ、位置情報、無線通信状態、CSMA(Carrier Sense Multiple Access)状態、信号通信状態、監視対象端末の識別情報などを例示することができる。無線通信状態、CSMA状態および信号通信状態は、端末3の通信状態を示す情報である。無線通信状態は、上位端末からの受信状態を判定するパラメータであり、例えば、MAC(Media Access Control address)再送回数、MAC応答未受信回数などが例示されるが、これらに限定されない。CSMA状態は、トラフィック量・輻輳を判定するパラメータであり、例えば、back off(バックオフ)最大値、無線輻輳検知回数などが例示されるが、これらに限定されない。無線通信状態は、途中経路の通信状態を判定するパラメータであり、例えば、ICMP(Internet Control Message Protocol)パケット送信失敗数、副経路を用いた送信回数、経路なしと判定された回数、中央処理装置1が発信した要求に対する応答未受信回数などが例示されるが、これらに限定されない。監視対象端末の判定パラメータおよび位置情報の取得先は、中央処理装置1である。すなわち、端末状態情報取得部13は、監視対象端末の判定パラメータおよび位置情報を中央処理装置1内で取得する。無線通信状態、CSMA状態、信号通信状態は、例えば、統計情報であり、取得先は端末3である。無線通信状態、CSMA状態、信号通信状態のうちの一部は、中央処理装置1から取得されるものであってもよい。例えば、中央処理装置1が発信した要求に対する応答未受信回数は、中央処理装置1内で取得される。なお、上述したように、位置情報を端末3が保持している場合には、端末3から位置情報が取得されてもよい。
【0045】
監視対象端末の判定パラメータは、上述したステップS1で監視対象端末の抽出に用いられた判定パラメータである。位置情報は、端末3の位置を示す情報であり、例えば緯度経度で示されるが位置情報の表現方法は緯度経度に限定されない。
【0046】
中央処理装置1は、
図5に示した情報の全てを端末状態情報として取得してもよいし、一部を端末状態情報として取得してもよいし、
図5に記載した以外の情報を端末状態情報として取得してもよい。
図5は一例であり、端末状態情報は、
図5に示した例に限定されない。
【0047】
図6は、本実施の形態の統計情報の取得対象となる端末3の一例を示す図である。上述したように、中央処理装置1は、監視対象端末と判定された端末3の通信状態情報を取得してもよいし、さらに、監視対象端末の周辺の端末3である周辺端末の通信状態情報を取得してもよい。
【0048】
図6に示した例では、地図上に、端末3すなわちスマートメータ(
図6では、SMと記載)が正方形の図形で示され、集約装置2がひし形の図形で示されている。ハッチングがされていないスマートメータ51は、正常な端末3である正常端末を示し、薄いハッチングがされたスマートメータ52は、周辺端末を示し、黒くハッチングされたスマートメータ53は、監視対象端末を示す。スマートメータ51,52,53のそれぞれと同様のハッチングが施された図形は、それぞれ正常端末、周辺端末、監視対象端末を示す。
図6に示した例では、監視対象端末の周辺の4つの端末3が周辺端末である。周辺端末は、例えば、監視対象端末からの距離、および監視対象端末からのホップ数のうちの少なくとも一方に基づいて決定される。例えば、端末状態情報取得部13は、監視対象端末からの距離がしきい値以下であり、かつ監視対象端末からのホップ数が定められた数以下の端末3を周辺端末として決定してもよいし、これら2つの条件のうちの一方を満たす端末3を周辺端末として決定してもよい。監視対象端末からのホップ数は、例えば、各端末3から受信する検針情報における上り経路を示す情報に基づいて把握することができる。
【0049】
本実施の形態では、中央処理装置1が、周辺端末からも統計情報を取得することで、後述する、通信不良の原因の推定処理の精度の向上を図ることができる。また、例えば、端末3が設置直後に通信不良となり通信ができない場合には、当該端末3から統計情報を取得することができないが、当該端末3も監視対象端末に含まれているため周辺端末の統計情報は取得される。このため、周辺端末の統計情報を用いて後述する原因の推定を行うことができる。なお、監視対象端末と周辺端末とで取得する統計情報の内容を変えてもよい。
【0050】
なお、
図6は、出力部15が表示する表示画面の一例であり、
図4では省略しているが、監視対象端末が決定された後に、図示を省略した中央処理装置1の入力手段を用いて保守者などから表示の指示を受け付けると、出力部15は、
図6に例示した表示画面を表示してもよい。地図情報については、例えば、図示を省略した中央処理装置1内の表示情報記憶部に格納されている。なお、
図6は、一例であり、正常端末、周辺端末、監視対象端末の具体的な表示方法などは
図6に示した例に限定されない。また、出力部15は、監視対象端末の一覧として監視対象端末の端末IDをリスト形式で表示してもよいし、監視対象端末および周辺端末の一覧をリスト形式で表示してもよい。リスト形式で表示される際に、監視対象端末の判定パラメータおよび端末状態情報のうちの少なくとも一部が端末IDとともに表示されてもよい。
【0051】
図4の説明に戻る。中央処理装置1は、通信不良が発生したか否かを判定する(ステップS3)。詳細には、端末抽出部12が、検針情報を用いて通信不良端末があるか否かを判断する。通信不良端末の判定は、通信が不能であると推定されるか否かの判定であり、例えば、端末抽出部12は、次のように通信不良端末を検出する。
【0052】
上述したように、定期収集により検針情報が収集され、定期収集で収集できなかった端末3には再収集の処理である欠測補完処理が行われる。端末抽出部12は、この欠測補完処理が終了した時点で検針情報を収集できない端末3がある場合、当該端末3を通信不良端末と判定し、通信不良端末の端末IDを監視対象端末記憶部20に格納する。例えば、上述したように検針情報記憶部17には、格納領域が定められているため、欠測補完処理が終了した時点で対応する格納領域に検針情報が格納されていない端末3を通信不良端末と判定する。なお、ここでは、端末抽出部12が、1回の定期送信周期で、検針情報が取得できなかった端末3を、通信不良端末と判定する例を説明したが、これに限らず、複数回の定期送信周期で連続して検針情報が取得できなかった端末3を通信不良端末と判定してもよい。すなわち、端末抽出部12は、定められた回数以上すなわちN(Nは1以上の整数)回以上の定期送信周期で連続して検針情報が取得できない場合に、通信不良端末と判定すればよい。または、端末抽出部12は、定められた時間以上連続して検針情報が取得できない場合に、通信不良端末と判定するようにしてもよい。
【0053】
通信不良が発生していないと判定した場合(ステップS3 No)、中央処理装置1は、ステップS2の処理を繰り返す。通信不良が発生したと判定した場合(ステップS3 Yes)、中央処理装置1は、過去情報を用いた原因推定を行う(ステップS4)。詳細には、原因推定部14が、監視対象端末記憶部20に格納されている通信不良端末リストを参照して、通信不良端末を把握し、相関情報と、通信不良端末に対応する端末状態情報とを用いて、通信不良端末の通信不良の原因を推定する。相関情報は、上述したように、例えば、学習済モデル、または過去情報である。通信不良端末に対応する端末状態情報は、当該通信不良端末が監視対象端末である場合には、当該通信不良端末に関してすでに取得済の端末状態情報記憶部18に格納されている端末状態情報である。通信不良端末が正常端末であった場合、または端末3の設置直後に通信不良になった場合には、統計情報が取得されていないため、原因推定部14は、端末状態情報取得部13に通信不良端末に関する統計情報の取得を指示し、端末状態情報取得部13が指示に基づいて統計情報を取得する。このとき、通信不良端末自体は通信ができない可能性が高いため、通信不良端末からは統計情報が取得できない可能性が高い。このため、端末状態情報取得部13は、通信不良端末の周辺端末からも統計情報を取得する。端末状態情報取得部13は、周辺端末に関する、統計情報以外の端末状態情報についても、取得して端末状態情報記憶部18に格納する。なお、正常端末から通信不良端末へ遷移した場合、または端末3の設置直後に通信不良になった場合は、通信不良が発生した後に統計情報の取得を要求するため、監視対象端末の統計情報に比べて統計情報に対応する期間は短くなるが、周辺端末の統計情報を用いて通信不良の原因の推定を行うことができる。すなわち、原因推定部14は、相関情報と端末状態情報取得部13によって取得された端末状態情報のうち通信不良端末に対応する端末状態情報と端末状態情報取得部13によって取得された統計情報のうち通信不良端末の周辺の端末に対応する端末状態情報とを用いて通信不良端末の通信不良の原因を推定することができる。
【0054】
ここで、相関情報の例について説明する。相関情報は、例えば機械学習によって学習された学習済モデルであってもよい。コサイン類似法によって原因が推定される場合は、相関情報は過去情報である。
【0055】
いずれの場合も、入力となる過去情報としては、過去の通信不良が発生する前の一定期間の端末状態情報と、当該端末状態情報に対応する既知の原因とを用いることができる。また、過去情報に、原因に対応する対策が含まれていてもよいし、対策については、原因と対策との対応が、相関情報とは別に、例えば対応テーブルなどとして保持されてもよい。
【0056】
図7は、過去情報の一例を示す図である。
図7では、過去に取得された端末状態情報は、当該端末状態情報が格納されたファイルを示すデータ名によって示されている。
図7に示した情報は、例えば保守者などから入力され、過去情報更新部16が当該入力を受け付けて過去情報を更新する。または、
図7に示した情報は、図示しない他の装置から送信されてもよい。初期の学習済モデルの初回の作成時には、過去情報更新部16以外の図示しない入力手段から、過去情報が入力されてもよい。
【0057】
図8は、過去情報における統計情報の一例を示す模式図である。
図8に示すように、過去情報における統計情報は、通信不良の発生から一定期間前の時刻から一定期間分の情報である。一定期間の長さは例えば、数十分から数時間程度に設定することができるが、どのように設定されてもよくこの例に限定されない。例えば、
図8に示した例では、統計情報の一例としてRSSIが示されており、通信不良となる前にRSSIが徐々に低下している。このように、通信不良の発生前になんらかの前兆が現れることができ、これらの現象を通信不良の原因と対応付けて学習しておくことで原因の推定に利用することができる。なお、上述したように統計情報は、例えば
図5に示した情報のうちの1つ以上の情報である。
【0058】
原因の推定に機械学習が用いられる場合、学習方法としては、例えば、ランダムフォレスト、ニューラルネットワークなどを用いた教師あり学習を用いることができる。学習方法はこれらに限定されない。
【0059】
図9は、原因の推定に機械学習が用いられる場合の原因推定部14の構成例を示す図である。
図9に示した例では、原因推定部14は、学習済モデル生成部141、学習済モデル記憶部142および推論部143を備える。
【0060】
学習済モデル生成部141は、過去情報における端末状態情報と当該対応する正解データとを1組のデータセットとし、複数のデータセットを用いて機械学習により学習済モデルを生成し、生成した学習済モデルを学習済モデル記憶部142へ格納する。推論部143は、通信不良の原因の推定対象の端末3に関する端末状態情報を、学習済モデル記憶部142から読み出した学習済モデルに入力することで、推論結果として原因の推定結果(原因推定結果)を取得し、原因推定結果を出力部15へ出力する。なお、通信不良の原因の推定対象の端末3の周辺の端末3の端末状態情報を取得している場合には、推論部143は、周辺端末に関しても、同様に推定を行い、これらの推定結果を重み付けして加算した結果を用いるなどの処理により、通信不良の原因の推定結果を決定する。コサイン類似法によって原因が推定される場合も同様である。なお、通信不良の原因の推定結果の推定方法はこの例に限定されない。
【0061】
なお、
図9に示した例では、原因推定部14が学習済モデル生成部141を生成する例を説明したが、学習済モデルの生成は図示しない学習装置によって行われてもよい。この場合、原因推定部14の学習済モデル記憶部142には学習装置が生成した学習済モデルが格納される。この場合、学習装置が、過去情報記憶部19および過去情報更新部16を備え、中央処理装置1は、過去情報記憶部19および過去情報更新部16を備えていなくてよい。
【0062】
また、初期の学習済モデルが学習装置によって生成されて学習済モデル記憶部142に格納され、学習済モデル生成部141が、過去情報が更新された場合に学習済モデルの更新を行ってもよい。
【0063】
原因の推定にコサイン類似法を用いる場合には、例えば、原因推定部14は、端末状態情報のうち同じ原因に対応する端末状態情報を用いて、原因ごとに代表的な端末状態情報を求めておく。推定時には、原因推定部14は、原因ごとの代表的な統計情報と推定対象の端末3に関する端末状態情報との距離を用いて類似度を算出し、例えば、類似度の最も高い原因推定結果とし、原因推定結果を出力部15へ出力する。また、原因推定部14は、1つの原因を推定結果として決定する代わりに、原因ごとの類似度を、原因推定結果として出力部15へ出力してもよい。このとき、端末状態情報として周辺端末の情報も取得されている場合には、周辺端末ごと(監視対象端末ごと)の原因推定結果が出力部15へ出力されてもよい。
【0064】
図4の説明に戻る。中央処理装置1は、結果を出力する(ステップS5)。詳細には、例えば、出力部15が、原因推定部14から受け取った原因推定結果を表示する。
図10および
図11は、原因推定結果をリスト形式で表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
図10および
図11は、コサイン類似法が用いられた場合の原因推定結果の一例を示している。また、
図10および
図11に示す例では、原因に対応する対策も示されている。
図10では、1つの通信不良端末に関して、原因ごとの類似度も含む原因推定結果が示されている。
図11では、全通信不良端末に関して原因推定結果が示されており、1つの通信不良端末に関しては最も類似度が高い原因が示されている。
図10および
図11に示した例は一例であり、表示形式は、これらの例に限定されない。
【0065】
図12は、原因推定結果を地図上で表示する場合の表示画面の一例を示す図である。
図12に示した例では、通信不良端末に対応するスマートメータに、推定された原因ごとに異なるハッチングが施されている。このように、出力部15は、地図上の端末3の位置に当該端末3を示す図形を表示し、通信不良端末に対応する図形を、推定された原因の種類に応じた表示方法で表示してもよい。ハッチングされていないスマートメータは通信不良端末ではない端末3に対応するスマートメータである。
【0066】
また、各スマートメータを示す正方形の枠線の線種の違いは、正常端末であるか監視対象端末であるか周辺端末であるかを示している。このように、出力部15は、端末3が監視対象端末と周辺端末と正常端末とのうちのいずれであるかを示す属性に応じた表示方法で端末3に対応する図形を表示してもよい。例えば、スマートメータ51は、正常端末であり、スマートメータ52は周辺端末であり、スマートメータ53は監視対象端末である。また、スマートメータ54,55は、正常端末が通信不良端末となり原因が推定されている。
図12に示すように、地図上で端末3の位置や属性がわかるように、原因を表示することで、保守者、運用者は対策を検討しやすくなる。なお、
図12では、端末の属性とともに、原因をハッチングの違いで示しているが、端末の属性は示されずに原因だけが地図上に端末3の位置とともに示されてもよい。
【0067】
図4の説明に戻る。中央処理装置1は、保守者の判断が行われたか否かを判定する(ステップS6)。詳細には、過去情報更新部16が、保守者から、原因の推定結果が正しいことを示す入力を受け付けたか否かを判定する。保守者は、表示された原因推定結果(または原因および対策)に対応する対策を行い、推定結果が適切であったか否かを判断する。または、保守者は対策を行う際に、端末3の設置場所に出向いて原因の推定結果が適切であったか否かを判断してもよい。過去情報更新部16は、原因の推定結果が正しいことを示す入力を受け付けると、保守者の判断が行われたと判定する。
【0068】
保守者の判断が行われた場合(ステップS6 Yes)、過去情報更新部16は、過去情報を更新する(ステップS7)。詳細には、過去情報更新部16は、原因の推定結果を正解データとし、対応する端末状態情報と正解データとを過去情報として過去情報記憶部19に格納する。保守者の判断が行われなかった場合(ステップS6 No)、すなわち、原因の推定結果が正しいことを示す入力を受け付けなかった場合、過去情報更新部16は、原因および復旧作業の入力を受付け(ステップS8)、ステップS7を実施する。ステップS8の後に、ステップS7が実施される場合には、正解データとして、ステップS8で入力された原因が用いられる。また、対策も過去情報として記憶される場合には、ステップS8で入力された復旧作業が正解データにおける対策として用いられる。
【0069】
原因推定部14は、機械学習によって原因を推定する場合、更新された過去情報を用いて学習済モデルを更新する。なお、原因推定部14は、過去情報が更新されるたびに、学習済モデルを更新してもよいし、過去情報が一定数更新された場合に、学習済モデルを更新してもよい。
【0070】
なお、保守者が、通信不良端末および周辺端末のそれぞれの推定結果を参照して、通信不良端末に関する最終的な原因の推定結果を決定してもよい。例えば、推定結果である相関判定の結果が類似度降順に表示され、保守者がこの結果を確認する。そして、保守者は、表示された順に復旧作業(対策)を行う。表示された対策のうちのいずれかで解決した場合、原因の推定結果が正しいことを中央処理装置1へ入力する。これによりステップS6の判定でYesとなり、この場合、作業者は解決した対策・原因と、対応する端末状態情報とを過去情報として中央処理装置1へ入力する。中央処理装置1は、入力された情報を過去情報として記憶する。また、保守者は、表示された内容で、通信不良が解決できず別の対策を行った場合、または一部修正が必要であった場合は、表示された対策と別の対策を行ったことを中央処理装置1へ入力する。これによりステップS6の判定でNoとなり、保守者は、保守者が行った対策と当該対策に対応する原因と対応する端末状態情報とを過去情報として中央処理装置1へ入力する。なお、以上に述べた保守者の確認手順と過去情報の入力情報は、一例であり、具体的な方法はこの例に限定されない。
【0071】
図13は、本実施の形態の通信不良の原因の推定処理手順の別の一例を示すフローチャートである。
図4に示した処理では、中央処理装置1は、監視対象端末を抽出し、抽出した監視対象端末から統計情報を取得し、通信不良端末が検出された場合に、取得した統計情報を含む端末状態情報を用いて原因を推定したが、
図13に示す例では、監視対象端末を抽出せずに、通信不良端末が検出された場合に、周辺端末の統計情報を取得し、端末状態情報に基づいて通信不良の原因を推定する。この場合も、通信不良端末の設置位置に出向かずに遠隔で原因の推定を行うことができる。
【0072】
図13に示したように、中央処理装置1は、
図4と同様のステップS3を実施する。ステップS3でNoの場合には、ステップS3を繰り返す。ステップS3でYesの場合、中央処理装置1は、通信不良端末と通信不良端末の周辺の端末3との端末状態情報を取得する(ステップS11)。通信不良端末の周辺の端末3は、監視対象端末の周辺端末と同様に、例えば、ホップ数および距離のうちの少なくとも一方に基づいて決定される。
【0073】
ステップS11の後、中央処理装置1は、過去情報を用いた原因推定を実施する(ステップS12)。詳細には、原因推定部14が、ステップS11で取得した端末状態情報と過去情報とを用いて、
図4に示したステップS4と同様に原因を推定する。すなわち、原因推定部14は、通信不良端末の周辺の端末の統計情報と当該通信不良端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と、端末状態情報取得部13によって取得された端末状態情報(通信不良端末と通信不良端末の周辺の端末3との端末状態情報)とを用いて通信不良端末の通信不良の原因を推定する。相関情報は、
図4に示した例と同様に、機械学習を用いて推定が行われる場合には学習済モデルであり、コサイン類似法により推定が行われる場合は過去情報である。ステップS12以降は
図4に示した例と同様である。中央処理装置1は、通信不良端末からは統計情報を取得できない可能性が高いが、通信不良端末から統計情報を取得できなくても周辺端末からは統計情報を取得できることがある。この場合、周辺端末の統計情報を用いて、
図4に示した例と同様に原因を推定することができるため、通信不良端末の設置位置に出向く頻度を抑制することができる。したがって、ステップS11で取得する端末状態情報には、通信不良端末の端末状態情報が含まれていなくてもよい。
【0074】
次に、本実施の形態の中央処理装置1のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の中央処理装置1は、コンピュータシステム上で、中央処理装置1における処理が記述されたコンピュータプログラムであるプログラムが実行されることにより、コンピュータシステムが中央処理装置1として機能する。
図14は、本実施の形態の中央処理装置1を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。
図14に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。また、制御部101および記憶部103は処理回路を構成する。
【0075】
図14において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の中央処理装置1における処理が記述されたプログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタなどである。なお、
図14は、一例であり、コンピュータシステムの構成は
図14の例に限定されない。
【0076】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の中央処理装置1としての処理を実行する。
【0077】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、中央処理装置1における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0078】
図2に示した検針情報取得部11、端末抽出部12、端末状態情報取得部13、原因推定部14および過去情報更新部16は、
図14に示した記憶部103に記憶されたプログラムが
図14に示した制御部101により実行されることにより実現される。検針情報取得部11、端末抽出部12、端末状態情報取得部13、原因推定部14および過去情報更新部16の実現には、
図14に示した記憶部103も用いられる。また、検針情報取得部11および端末状態情報取得部13の実現には、
図14に示した通信部105も用いられる。過去情報更新部16の実現には、
図14に示した通信部105または入力部102も用いられる。
図2に示した検針情報記憶部17、端末状態情報記憶部18、過去情報記憶部19および監視対象端末記憶部20は、
図14に示した記憶部103の一部である。
図2に示した出力部15は、
図14に示した表示部104により実現される。
図2に示した出力部15の実現には、制御部101および記憶部103も用いられる。中央処理装置1は複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、中央処理装置1は、クラウドコンピュータシステムにより実現されてもよい。
【0079】
例えば、本実施の形態のプログラムは、複数の端末3のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出するステップと、監視対象端末に関する情報である端末情報を取得するステップと、を実行させる。さらに、本実施の形態のプログラムは、端末情報と端末3の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と取得された端末情報のうち通信不良端末に対応する端末情報とを用いて通信不良端末の通信不良の原因を推定するステップと、通信不良の原因の推定結果を出力するステップと、をコンピュータシステムに実行させる。
【0080】
以上のように、本実施の形態では、中央処理装置1は、通信状態に関する情報を用いて監視対象端末を抽出し、抽出した監視対象端末から統計情報を取得する。そして、中央処理装置1は、検針情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される端末3である通信不良端末を検出し、検出した通信不良端末に対応する端末状態情報(統計情報を含む)と相関情報とを用いて通信不良の原因を推定する。これにより、保守者、運用者などが通信不良端末の設置場所に出向いて情報を取得する必要がなく、中央処理装置1から遠隔で原因の推定を行うことができるため、保守者、運用者などが通信不良端末の設置場所に出向く場合に比べて、通信不良の原因推定における作業効率を向上させることができる。
【0081】
また、本実施の形態の別の例では、通信不良端末が検出された場合に、周辺端末の端末状態情報を取得し、端末状態情報に基づいて通信不良の原因を推定する。この場合も、保守者、運用者などが通信不良端末の設置場所に出向いて情報を取得する必要がなく、中央処理装置1から遠隔で原因の推定を行うことができるため、保守者、運用者などが通信不良端末の設置場所に出向く場合に比べて、通信不良の原因推定における作業効率を向上させることができる。
【0082】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 中央処理装置、2,2-1,2-2 集約装置、3,3-1~3-7 端末、4 メータ、11 検針情報取得部、12 端末抽出部、13 端末状態情報取得部、14 原因推定部、15,106 出力部、16 過去情報更新部、17 検針情報記憶部、18 端末状態情報記憶部、19 過去情報記憶部、20 監視対象端末記憶部、31,105 通信部、32 統計情報記憶部、33 制御処理部、34 検針値記憶部、35 検針値取得部、51,52,53,54,55 スマートメータ、100 通信システム、101 制御部、102 入力部、103 記憶部、104 表示部、107 システムバス、141 学習済モデル生成部、142 学習済モデル記憶部、143 推論部。
【要約】
本開示にかかる中央処理装置(1)は、複数の端末のそれぞれの通信品質に関する情報である通信品質情報を用いて監視対象の端末である監視対象端末を抽出し、複数の端末のそれぞれからの情報の受信状況に基づいて通信不能と推定される通信不良端末を検出する端末抽出部(12)と、監視対象端末から取得された情報である端末情報を含む端末状態情報を取得する端末状態情報取得部(13)と、端末状態情報と端末の通信不良の原因との相関関係を判定するための相関情報と端末状態情報取得部(13)によって取得された端末状態情報のうち通信不良端末に対応する端末状態情報とを用いて通信不良端末の通信不良の原因を推定する原因推定部(14)と、通信不良の原因の推定結果を出力する出力部(15)と、を備える。