(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】ケーブル取付装置及びロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20221216BHJP
【FI】
B25J15/08 C
(21)【出願番号】P 2022558667
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2020040415
(87)【国際公開番号】W WO2022091246
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 沙織
(72)【発明者】
【氏名】毬山 利貞
(72)【発明者】
【氏名】リアロカピス ミナス
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン ジェイデン テレンス
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-218105(JP,A)
【文献】特開2017-189850(JP,A)
【文献】特開2001-205584(JP,A)
【文献】特開平2-299298(JP,A)
【文献】特開2001-44695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面に置かれたケーブルを当該平面から持ち上げる持ち上げ部と、
前記持ち上げ部によって持ち上げられたケーブルを、その幅方向両側から挟み込んで把持し、その把持したケーブルを、互いの逆方向への回転によって繰り出す一対の把持ローラと
、
前記持ち上げ部によって持ち上げられたケーブルの幅寸法に応じて、当該ケーブルの幅方向において互いに接近又は離間する一対の可動部材と、
各可動部材に対して、ケーブルの幅方向において移動可能にそれぞれ支持される一対の従動部材と、
前記可動部材と当該可動部材に支持される前記従動部材との間をそれぞれ繋ぐ一対の弾性部材と、
前記従動部材に設けられ、前記持ち上げ部によって持ち上げられたケーブルの幅方向両端が差し込まれる一対の差し込み溝とを備え、
前記一対の把持ローラは、各外周面が対応した前記差し込み溝内に入り込んだ状態でそれぞれ配置される
ことを特徴とするケーブル取付装置。
【請求項2】
前記持ち上げ部は、
前記平面に置かれたケーブルの厚さ方向に移動する吸引管と、
前記吸引管の先端と連通し、前記平面に置かれたケーブルを吸着して保持する吸着カップとを有する
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル取付装置。
【請求項3】
前記一対の把持ローラは、シリコン材又は弾性樹脂材で形成される
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル取付装置。
【請求項4】
複数のアームを備え、
請求項1から
請求項3のうちのいずれか1項記載のケーブル取付装置は、
複数のアームのうち、最も先端側に配置されるアームの先端に着脱可能に装着される
ことを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブル取付装置及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等に対するケーブルの取付作業を自動で行うようにした技術が、種々提供されている。特許文献1には、例えば、ケーブルの取付作業を、ロボットを用いて自動で行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術においては、ロボットのアーム先端に、エンドエフェクターが設けられている。このエンドエフェクターは、ケーブルを吸着して保持するものである。このため、特許文献1に開示された技術においては、ロボットを6軸制御することで、エンドエフェクターの位置及び姿勢を制御して、当該エンドエフェクターによって吸着したケーブルの端部を、基板のコネクタに挿入するようにしている。
【0005】
ここで、特許文献1に開示された技術において、基板のコネクタに対して、ケーブルの端部を最終的に取り付ける場合、ケーブルの端部をコネクタに対向させてから、当該ケーブルを直線移動させてコネクタに挿入している。このため、特許文献1に開示された技術においては、エンドエフェクターを直線的に移動させる場合でも、ロボットの6軸制御を行う必要がある。このような、エンドエフェクターの直線移動を、ロボットの6軸制御で対応するためには、6軸制御が複雑になる。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ロボットの6軸制御を行うことなく、ケーブルをコネクタに取り付けることができるケーブル取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るケーブル取付装置は、平面に置かれたケーブルを当該平面から持ち上げる持ち上げ部と、持ち上げ部によって持ち上げられたケーブルを、その幅方向両側から挟み込んで把持し、その把持したケーブルを、互いの逆方向への回転によって繰り出す一対の把持ローラと、持ち上げ部によって持ち上げられたケーブルの幅寸法に応じて、当該ケーブルの幅方向において互いに接近又は離間する一対の可動部材と、各可動部材に対して、ケーブルの幅方向において移動可能にそれぞれ支持される一対の従動部材と、可動部材と当該可動部材に支持される従動部材との間をそれぞれ繋ぐ一対の弾性部材と、従動部材に設けられ、持ち上げ部によって持ち上げられたケーブルの幅方向両端が差し込まれる一対の差し込み溝とを備え、一対の把持ローラは、各外周面が対応した差し込み溝内に入り込んだ状態でそれぞれ配置されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ロボットの6軸制御を行うことなく、ケーブルをコネクタに取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るケーブル取付装置が適用されるロボットの構成を示す図である。
図1Aは、ロボットの構成を示す斜視図である。
図1Bは、
図1Aの要部拡大図である。
【
図2】実施の形態1に係るケーブル取付装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】持ち上げ部の持ち上げ動作を順に示す図である。
図3Aは、吸着カップがケーブルに接近する様子を示す図である。
図3Bは、吸着カップがケーブルを吸着して保持する様子を示す図である。
図3Cは、吸着カップがケーブルを持ち上げる様子を示す図である。
【
図5】把持部の把持動作を順に示す図である。
図5Aは、把持ローラがケーブル側に移動する様子を示す図である。
図5Bは、把持ローラがケーブルを把持した様子を示す図である。
【
図6】把持部の繰り出し動作を順に示す図である。
図6Aは、把持ローラがケーブルを繰り出し始める様子を示す図である。
図6Bは、把持ローラがケーブルを繰り出す様子を示す図である。
図6Cは、把持ローラがケーブルを繰り出し終わる様子を示す図である。
【
図7】ケーブルの取付作業を順に示す図である。
図7Aは、ケーブルの一端が一方のコネクタに対向した状態を示す図である。
図7Bは、ケーブルの一端が一方のコネクタに取り付けられる様子を示す図である。
図7Cは、ケーブルの他端が他方のコネクタに対向した状態を示す図である。
図7Dは、ケーブルの他端が他方のコネクタに取り付けられる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示をより詳細に説明するために、本開示を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係るケーブル取付装置30について、
図1から
図7を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係るケーブル取付装置30が適用されるロボット10の構成を示す図である。この
図1に示すように、ロボット10は、多関節ロボットである。このロボット10は、例えば、ケーブル70の取付作業を行うために使用される。ロボット10の先端には、ロボットハンドとして、ケーブル取付装置30が着脱可能に装着されている。
【0013】
図7は、ケーブル70の取付作業を順に示す図である。この
図7に示すように、ロボット10は、例えば、その先端に取り付けられたケーブル取付装置30を用いて、ケーブル70の一端70aを基板80のコネクタ81に取り付けた後、ケーブル70の他端70bを基板80のコネクタ82に取り付ける。ロボット10によるケーブル70の取付作業については、後述する。
【0014】
ケーブル70は、可撓性を有するケーブルである。このケーブル70は、例えば、帯状のフレキシブルフラットケーブル等である。また、ロボット10によるケーブル70の取付作業開始時においては、当該ケーブル70は、予め、平面90上に置かれている。
【0015】
先ず、ロボット10の構成について、
図1を用いて説明する。
【0016】
ロボット10は、例えば、6軸の自由度を有する多関節ロボットである。このロボット10は、基台11、複数のアーム12~15、及び、複数の回転軸R1~R6を備えている。
図1は、4つのアーム12~15及び6つの回転軸R1~R6を備えたロボット10の例を示している。このようなロボット10は、制御プログラムに従って動作し、目的とする、ケーブル70の取付作業を行う。
【0017】
基台11は、床面に固定されている。第1アーム12、第2アーム13、第3アーム14、及び、第4アーム15は、その基台11から順に接続されている。第1アーム12、第2アーム13、第3アーム14、及び、第4アーム15は、全体として、基台11に対して、回転軸R1周りに回転可能に支持されている。
【0018】
第1アーム12の基端は、基台11に対して、回転軸R1周りに回転可能に支持されている。また、第1アーム12の基端は、基台11に対して、回転軸R2周りに回転可能に支持されている。第2アーム13の基端は、第1アーム12の先端に対して、回転軸R3周りに回転可能に支持されている。第3アーム14の基端は、第2アーム13の先端に対して、回転軸R4周りに回転可能に支持されている。第4アーム15の基端は、第3アーム14の先端に対して、回転軸R5周りに回転可能に支持されている。
【0019】
第4アーム15は、軸部材15aを有している。この軸部材15aは、第4アーム15に対して、回転軸R6周りに回転可能に支持されている。軸部材15aの先端には、種々のロボットハンドが着脱可能となっている。そのロボットハンドは、ロボット10の作業内容に応じて選択される。上述したように、実施の形態1に係るロボット10は、ケーブル70の取付作業を行うため、その軸部材15aの先端には、ケーブル取付装置30が装着されている。
【0020】
次に、ケーブル取付装置30の構成について、
図2から
図6を用いて説明する。
【0021】
図2は、実施の形態1に係るケーブル取付装置30の構成を示す斜視図である。
図3は、持ち上げ部50の持ち上げ動作を順に示す図である。
図4は、把持部60の構成を示す分解斜視図である。
図5は、把持部60の把持動作を順に示す図である。
図6は、把持部60の繰り出し動作を順に示す図である。なお、
図2から
図6に示したケーブル取付装置30は、その構成を理解し易くするため、支持台40を下方に配置した状態で図示されている。
【0022】
図2に示すように、ケーブル取付装置30は、支持台40、持ち上げ部50、及び、把持部60を備えている。
【0023】
支持台40は、第4アーム15における軸部材15aの先端に着脱可能に装着されている。この支持台40には、持ち上げ部50及び把持部60が支持されている。
【0024】
また、
図2及び
図3に示すように、支持台40は、一対の案内レール41及びピニオン42を有している。一対の案内レール41は、把持部60をケーブル取付装置30の幅方向(以下、装置幅方向と称す)に案内する。この一対の案内レール41は、共に装置幅方向に延びている。ピニオン42は、一対の案内レール41間に配置されている。このピニオン42は、支持台40に回転可能に支持されている。また、ピニオン42は、把持用モータ(図示省略)に接続されており、当該把持用モータが駆動すると、回転する。
【0025】
なお、装置幅方向とは、後述する吸着カップ54によって吸着されたケーブル70の幅方向(以下、ケーブル幅方向と称す)と略一致する方向である。
【0026】
持ち上げ部50は、平面90に置かれたケーブル70を、その平面90から持ち上げるものである。この持ち上げ部50は、例えば、平面90に置かれたケーブル70を、真空吸着を用いて持ち上げるものである。
【0027】
図3に示すように、持ち上げ部50は、一対の固定部材51、一対の吸引管52、一対の移動用モータ53、及び、一対の吸着カップ54を有している。装置前後方向一方側の固定部材51、吸引管52、移動用モータ53、及び、吸着カップ54は、対応している。また、装置前後方向他方側の固定部材51、吸引管52、移動用モータ53、及び、吸着カップ54は、対応している。
【0028】
固定部材51は、ケーブル取付装置30の前後方向(以下、装置前後方向と称す)において、対向して配置されている。一方の固定部材51は、支持台40の前面に支持されている。他方の固定部材51は、支持台40の後面に支持されている。一方の固定部材51の先端と、他方の固定部材51の先端とは、装置前後方向において所定の隙間を有して対向している。
【0029】
なお、装置前後方向とは、後述する吸着カップ54によって吸着されたケーブル70の長さ方向(以下、ケーブル長さ方向と称す)と略一致する方向である。
【0030】
吸引管52は、固定部材51に対して、その軸方向において移動可能に支持されている。この吸引管52は、装置前後方向に沿って配置されている。また、吸引管52は、接続部52aを有している。この接続部52aは、吸引管52の軸方向中間部に連通しており、吸引装置(図示省略)と接続している。
【0031】
なお、吸引管52の軸方向、即ち、吸引管52の移動方向は、後述する吸着カップ54によって吸着されたケーブル70の厚さ方向(以下、ケーブル厚さ方向と称す)と略一致する方向である。
【0032】
移動用モータ53は、吸引管52をその軸方向に移動させるものである。この移動用モータ53は、固定部材51に固定されている。例えば、移動用モータ53が正転した場合、吸引管52は、固定部材51から突出するように移動する。また、移動用モータ53が逆転した場合、吸引管52は、固定部材51に収納されるように移動する。
【0033】
吸着カップ54は、ケーブル70を吸着して保持するものである。この吸着カップ54は、吸引管52の先端に設けられている。このため、吸着カップ54は、吸引管52がその軸方向に移動するのに伴って、ケーブル厚さ方向に移動する。また、吸着カップ54は、吸引管52及び接続部52aを介して、吸引装置と連通している。
【0034】
従って、移動用モータ53が正転した場合、吸着カップ54は、平面90に置かれたケーブル70に対して当接することができる。一方、移動用モータ53が逆転した場合、吸着カップ54は、吸着したケーブル70を平面90から固定部材51側に持ち上げることができる。
【0035】
また、吸引装置が駆動した場合、吸着カップ54の内部は、吸引管52を介して、真空引きされる。このため、吸着カップ54は、平面90に置かれたケーブル70を吸着して保持することができる。一方、吸引装置が停止した場合、吸着カップ54の内部は、開放される。このため、吸着カップ54は、吸着して保持したケーブル70を解離すことができる。
【0036】
なお、上述した持ち上げ部50は、ケーブル70を持ち上げるために、吸引管52、移動用モータ53、及び、吸着カップ54を備えているが、これらに替えて、静電吸着式グリッパ、又は、機械式グリッパ等を備えても良い。
【0037】
把持部60は、持ち上げ部50が持ち上げたケーブル70を把持し、この把持したケーブル70を繰り出すものである。
【0038】
図4及び
図5に示すように、把持部60は、一対の可動部材61、一対の従動部材62、一対の係止溝63、一対のラバーバンド64、一対の繰り出し用モータ65、及び、一対の把持ローラ66を有している。装置幅方向一方側の可動部材61、従動部材62、係止溝63、ラバーバンド64、繰り出し用モータ65、及び、把持ローラ66は、対応している。また、装置幅方向他方側の可動部材61、従動部材62、係止溝63、ラバーバンド64、繰り出し用モータ65、及び、把持ローラ66は、対応している。
【0039】
可動部材61は、装置幅方向において対向して配置されている。可動部材61は、対応する案内レール41に沿って、装置幅方向に移動可能に支持されている。また、可動部材61は、ラック61aを有している。ラック61aは、可動部材61の下部に設けられており、装置幅方向に延びている。このとき、一対のラック61aは、装置前後方向において対向するように配置されており、互いにピニオン42と噛み合っている。従って、ピニオン42が回転した場合、一対の可動部材61は、持ち上げ部50によって持ち上げられたケーブル70の幅寸法に応じて、当該ケーブル幅方向において互いに接近又は離間することができる。
【0040】
従動部材62は、可動部材61に対して、装置幅方向において移動可能に支持されている。また、従動部材62は、差し込み溝62aを有している。この差し込み溝62aは、従動部材62の装置幅方向内面に設けられている。一対の差し込み溝62aは、持ち上げ部50によって持ち上げられたケーブル70の幅方向両端が、それぞれ差し込まれるものである。即ち、一方の差し込み溝62aには、ケーブル70の幅方向一端が差し込まれる。他方の差し込み溝62aには、ケーブル70の幅方向他端が差し込まれる。
【0041】
係止溝63は、可動部材61の装置幅方向内面と従動部材62の装置幅方向内面とに亘って形成されている。係止溝63は、環状に形成されている。
【0042】
ラバーバンド64は、環状に形成されており、係止溝63内に嵌め込まれている。このため、ラバーバンド64は、可動部材61と、この可動部材61に移動可能に支持される従動部材62との間を、繋いでいる。また、ラバーバンド64は、弾性樹脂材で形成されている。これらのラバーバンド64は、一対の弾性部材を構成するものである。従って、可動部材61が、ケーブル70の幅寸法に応じて、ケーブル幅方向において移動した場合、従動部材62は、ラバーバンド64の収縮によって、その可動部材61の移動に追従することができる。
【0043】
繰り出し用モータ65は、従動部材62に設けられている。この繰り出し用モータ65の出力軸(図示省略)には、把持ローラ66が接続されている。繰り出し用モータ65が駆動した場合、一対の把持ローラ66は、互いに逆回転する。このような把持ローラ66は、シリコン材又は弾性樹脂材で形成されており、柔らかく、且つ、弾性を有している。
【0044】
一対の把持ローラ66は、持ち上げ部50によって持ち上げられたケーブル70を、その幅方向両側から挟み込んで把持し、この把持したケーブル70を、互いの逆方向への回転によって繰り出すものである。この把持ローラ66は、その外周面が差し込み溝62a内に入り込んだ状態で配置されている。
【0045】
このため、把持ローラ66は、差し込み溝62aと共に、ケーブル70をその幅方向両側から挟み込むことになる。このとき、把持ローラ66は、シリコン材又は弾性樹脂材で形成されているため、ケーブル70の幅方向両端に沿って変形し、当該ケーブル70の幅方向両端に密着する。更に、把持ローラ66は、そのようにケーブル70を把持した状態から回転することで、その把持した状態のまま、ケーブル70を繰り出すことができる。
【0046】
従って、ケーブル70が可撓性を有する場合であっても、把持ローラ66は、ケーブル70を、変形させることなく、把持することができる。また、把持ローラ66は、当該把持ローラ66が空転することなく、ケーブル70を繰り出すことができる。
【0047】
次に、ケーブル70の取付作業について、
図7を用いて説明する。
【0048】
図7Aに示すように、ケーブル取付装置30は、ロボット10の6軸制御によって、一対の把持ローラ66間に把持されたケーブル70の一端70aが基板80のコネクタ81に対向するように、配置される。このとき、一対の把持ローラ66は、予め、ケーブル70の一端70a側を把持している。
【0049】
次いで、
図7Bに示すように、ケーブル取付装置30は、繰り出し用モータ65を駆動させて、一対の把持ローラ66を互いに逆回転させる。このため、ケーブル70は、一対の把持ローラ66間から繰り出され、その一端70aは、コネクタ81に挿入される。
【0050】
続いて、
図7Cに示すように、ケーブル取付装置30は、ロボット10の6軸制御によって、一対の把持ローラ66間に把持されたケーブル70の他端70bが基板80のコネクタ82に対向するように、配置される。このとき、一対の把持ローラ66は、予め、ケーブル70の一端70a側から他端70b側に、把持位置を変更している。
【0051】
そして、
図7Dに示すように、ケーブル取付装置30は、繰り出し用モータ65を駆動させて、一対の把持ローラ66を互いに逆回転させる。このため、ケーブル70は、一対の把持ローラ66間から繰り出され、その他端70bは、コネクタ82に挿入される。
【0052】
以上、実施の形態1に係るケーブル取付装置30は、平面90に置かれたケーブル70を当該平面90から持ち上げる持ち上げ部50と、持ち上げ部50によって持ち上げられたケーブル70を、その幅方向両側から挟み込んで把持し、その把持したケーブル70を、互いの逆方向への回転によって繰り出す一対の把持ローラ66とを備える。このため、ケーブル取付装置30は、ロボット10の6軸制御を行うことなく、ケーブル70をコネクタ81,82に取り付けることができる。
【0053】
ケーブル取付装置30は、持ち上げ部50によって持ち上げられたケーブル70の幅寸法に応じて、当該ケーブル70の幅方向において互いに接近又は離間する一対の可動部材61と、各可動部材61に対して、ケーブル70の幅方向において移動可能にそれぞれ支持される一対の従動部材62と、可動部材61と当該可動部材61に支持される従動部材62との間をそれぞれ繋ぐ一対のラバーバンド64と、従動部材62に設けられ、持ち上げ部50によって持ち上げられたケーブル70の幅方向両端が差し込まれる一対の差し込み溝62aとを備え、一対の把持ローラ66は、各外周面が対応した差し込み溝62a内に入り込んだ状態でそれぞれ配置される。このため、ケーブル取付装置30は、ケーブル70を変形させることなく、一対の把持ローラ66によって把持することができる。また、ケーブル取付装置30は、把持ローラ66が空転させることなく、ケーブル70を繰り出すことができる。
【0054】
持ち上げ部50は、平面90に置かれたケーブル70の厚さ方向に移動する吸引管52と、吸引管52の先端と連通し、平面90に置かれたケーブル70を吸着して保持する吸着カップ54とを有する。このため、ケーブル取付装置30は、簡素な構成で、ケーブル70を持ち上げることができる。
【0055】
一対の把持ローラ66は、シリコン材又は弾性樹脂材で形成される。このため、ケーブル取付装置30は、把持ローラ66を一般的な材料で形成することができる。
【0056】
実施の形態1に係るロボット10は、複数のアーム12~15を備える。ケーブル取付装置30は、複数のアーム12~15のうち、最も先端側に配置される第4アーム15の先端に装着される。このため、ロボット10は、6軸制御を行うことなく、ケーブル70をケーブル取付装置30を用いてコネクタ81,82に取り付けることができる。
【0057】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは、実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示に係るケーブル取付装置は、一対の把持ローラを備えることで、ロボットの6軸制御を行うことなく、ケーブルをコネクタに取り付けることができるでき、ケーブル取付装置等に用いるのに適している。
【符号の説明】
【0059】
10 ロボット、11 基台、12 第1アーム、13 第2アーム、14 第3アーム、15 第4アーム、30 ケーブル取付装置、40 支持台、41 案内レール、42 ピニオン、50 持ち上げ部、51 固定部材、52 吸引管、52a 接続部、53 移動用モータ、54 吸着カップ、60 把持部、61 可動部材、61a ラック、62 従動部材、62a 差し込み溝、63 係止溝、64 ラバーバンド、65 繰り出し用モータ、66 把持ローラ、70 ケーブル、70a 一端、70b 他端、80 基板、81,82 コネクタ、90 平面、R1~R6 回転軸。