(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-15
(45)【発行日】2022-12-23
(54)【発明の名称】管理コントローラ、機器通信システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20221216BHJP
H04L 49/201 20220101ALI20221216BHJP
【FI】
H04L12/28 200B
H04L12/28 100F
H04L49/201
(21)【出願番号】P 2022564568
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 JP2022022921
【審査請求日】2022-10-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 達也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 秀崇
【審査官】佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-124095(JP,A)
【文献】特開2013-005060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0219269(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112636884(CN,A)
【文献】特開2022-167764(JP,A)
【文献】特許第7066080(JP,B1)
【文献】金 成昊 SUNGHO KIM,制御コントローラ向けコンテナ及びTSN活用技術の研究 Study on Container and TSN technology for Indu,情報処理学会 研究報告 システム・アーキテクチャ(ARC) 2021-ARC-246 [online,日本,情報処理学会,2021年10月04日,pp.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04L 49/201
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割方式を適用したTSN(Time Sensitive Networking)にてサイクリック通信する管理コントローラであって、
前記時分割方式における1周期内の通信において、マルチキャスト通信に非対応の第1機器と第1タイムスロットにて通信し、マルチキャスト通信に対応する第2機器と第2タイムスロットにて通信する通信手段と、
前記通信手段が前記第1タイムスロットにて前記第1機器から受信したデータを、前記通信手段により前記第2タイムスロットにて前記第2機器に転送する転送手段と、
を備える管理コントローラ。
【請求項2】
前記第1機器は入出力機器であり、前記第2機器は前記入出力機器を制御する一般コントローラであり、
前記1周期内の通信においては、前記第1タイムスロットによる通信が前記第2タイムスロットによる通信よりも前に行われる、
請求項1に記載の管理コントローラ。
【請求項3】
前記通信手段は、前記第1タイムスロットよりも後かつ前記第2タイムスロットよりも前の第3タイムスロットにて非定周期通信を行う、
請求項2に記載の管理コントローラ。
【請求項4】
通信手段による通信対象となる機器が第1機器であるか第2機器であるかを識別する識別手段をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の管理コントローラ。
【請求項5】
前記識別手段は、前記通信手段にて接続機器検出フレームを前記通信対象となる機器にブロードキャストし、前記通信対象となる機器が前記接続機器検出フレームに対して応答した機器情報に基づいて、前記通信対象となる機器が第1機器であるか第2機器であるかを識別する、
請求項4に記載の管理コントローラ。
【請求項6】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の管理コントローラと、前記第1機器と、前記第2機器とを備える、
機器通信システム。
【請求項7】
時分割方式を適用したTSN(Time Sensitive Networking)にてサイクリック通信する通信方法であって、
前記時分割方式における1周期内の通信において、マルチキャスト通信に非対応の第1機器と第1タイムスロットにて通信し、マルチキャスト通信に対応する第2機器と第2タイムスロットにて通信し、
前記第1タイムスロットにて前記第1機器から受信したデータを、前記第2タイムスロットにて前記第2機器に転送する、
通信方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載の通信方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理コントローラ、機器通信システム、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)分野のネットワークは、ネットワーク全体を制御する管理コントローラと制御機器である一般コントローラとが通信するコントローラ間ネットワークと、管理コントローラと入出力機器とが通信するフィールドネットワークとに分かれることが一般的である。また、フィールドネットワークでは1つの機器に対してデータを送信する通信方式であるユニキャスト通信が行われ、コントローラ間ネットワークでは複数の機器に対して一度にデータを送信する通信方式であるマルチキャスト通信が行われることが一般的である。これは、入出力機器はユニキャスト通信にのみ対応し、マルチキャスト通信には対応していないことが一般的だからである。
【0003】
一方で、ネットワークをコントローラ間ネットワークとフィールドネットワークとに分けずに1のネットワーク内で機器間通信を行う技術も存在する。特許文献1には、高精度に時刻同期されたマスタ装置とスレーブ装置(これらをまとめて通信装置と呼ぶ)とがサイクリック通信を行い、そのサイクリック通信のデータをデータ収集管理装置が収集するデータ収集システムが開示されている。このシステムでは、マルチキャストによりデータを更新するサイクリック通信期間と、ユニキャストによりデータを更新する非サイクリック通信期間を設けることにより、1のネットワーク内で、マルチキャスト通信に対応する通信装置と、マルチキャスト通信に対応しないデータ収集管理装置とが、機器間通信を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のデータ収集システムでは、マルチキャスト通信によりデータを更新するサイクリック通信を行うため、マルチキャスト通信が可能な通信装置のデータしか収集できないという問題がある。そのため、例えば、特許文献1のデータ収集システムでは、入出力機器のデータを容易には収集できない。上述のとおり入出力機器はマルチキャスト通信に対応していないことが一般的であるからである。したがって、特許文献1のデータ収集システムは、ユーザにとって利便性に欠ける。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、マルチキャスト通信に対応する機器とマルチキャスト通信に非対応の機器とが混在するネットワークにおいてユーザの利便性がよい管理コントローラ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本開示に係る管理コントローラは、時分割方式を適用したTSN(Time Sensitive Networking)にて通信する管理コントローラであって、時分割方式における1周期内の通信において、マルチキャスト通信に非対応の第1機器と第1タイムスロットにて通信し、マルチキャスト通信に対応する第2機器と第2タイムスロットにて通信する通信手段と、通信手段が第1タイムスロットにて第1機器から受信したデータを、通信手段により第2タイムスロットにて第2機器に転送する転送手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、マルチキャスト通信に対応する機器とマルチキャスト通信に非対応の機器とが混在するネットワークにおいてユーザの利便性がよい管理コントローラ等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態に係る機器通信システムの全体構成を示す図
【
図2】本開示の実施の形態に係る機器通信システムにおけるサイクリック通信の一例を示すシーケンス図
【
図3】本開示の実施の形態に係る管理コントローラの機能的構成を示す図
【
図4】本開示の実施の形態に係る管理コントローラにおけるサイクリックメモリの一例を示す図
【
図5】本開示の実施の形態に係る管理コントローラのハードウェア構成の一例を示す図
【
図6】本開示の実施の形態に係る管理コントローラによる機器識別の動作の一例を説明するフローチャート
【
図7】本開示の実施の形態に係る管理コントローラによる機器通信の動作の一例を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態に係る機器通信システムを説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
【0011】
(実施の形態)
図1を参照しながら、実施の形態に係る機器通信システム1を説明する。機器通信システム1は、例えば工場内ネットワーク上にて構築される機器通信システムである。機器通信システム1は、管理コントローラ10と、1以上の一般コントローラ20と、1以上の入出力機器30とを備える。
図1においては、2の一般コントローラ20と1の入出力機器30とが示されている。また、2の一般コントローラ20をそれぞれ一般コントローラ20-1,20-2としている。以下では、これらの一般コントローラ20を区別する必要がないときは単に一般コントローラ20という。
図1においては、ネットワークはライン型だが、バス型、スター型などのネットワークであってもよいし、複数の型が混在するネットワークであってもよい。機器通信システム1は、本開示に係る機器通信システムの一例である。
【0012】
以下、管理コントローラ10、一般コントローラ20及び入出力機器30を総称して「機器」ということがある。
【0013】
機器通信システム1では、各機器は時分割方式を適用したTSN(Time Sensitive Networking)によるサイクリック通信にて通信する。サイクリック通信を行うために、各機器は時刻同期プロトコルにより高精度に時刻同期されている。機器通信システム1において、管理コントローラ10と一般コントローラ20とはマルチキャストにて通信し、管理コントローラ10と入出力機器30とはユニキャストにて通信する。一般コントローラ20と入出力機器30とは直接通信できない。管理コントローラ10と一般コントローラ20とは、マルチキャスト通信に対応しているが、入出力機器30はマルチキャスト通信に非対応である。ここで、「マルチキャスト通信に非対応」とは、複数の機器に同時にデータを送信することができず、かつマルチキャスト通信にて送信されたフレームを処理することもできないことをいう。
【0014】
管理コントローラ10及び一般コントローラ20は、例えばプログラマブルロジックコントローラである。入出力機器30は、例えばセンサ及びアクチュエータである。管理コントローラ10の機能的構成については後述する。管理コントローラ10は、本開示に係る管理コントローラの一例である。一般コントローラ20は、本開示に係る一般コントローラ及び第2機器の一例である。入出力機器30は、本開示に係る入出力機器及び第1機器の一例である。
【0015】
上記のとおり、一般コントローラ20と入出力機器30とは直接通信できないため、一般コントローラ20が入出力機器30を制御するには、一般コントローラ20が管理コントローラ10と通信し、その通信に基づいて管理コントローラ10が入出力機器30と通信することとなる。
【0016】
図2を参照しながら、機器通信システム1におけるサイクリック通信の一例を説明する。各機器は、周期Tを1単位としてサイクリック通信を行う。また、1周期の間には、少なくとも第1タイムスロットTS1にてユニキャスト通信が行われ、第2タイムスロットTS2にてマルチキャスト通信が行われる。また、その他の通信が第3タイムスロットTSx及び第4タイムスロットTSyにて行われるものであってもよい。その他の通信とは、例えばサイクリック通信とは別に行われる非定周期通信である。あるいは、第3タイムスロットTSx及び第4タイムスロットTSyはなくてもよい。以下では、第3タイムスロットTSx及び第4タイムスロットTSyはないものとして、より詳細に説明する。
【0017】
まず、管理コントローラ10が、ユニキャスト通信により入出力機器30にデータを送信し(ステップU1)、入出力機器30がユニキャスト通信により管理コントローラ10にデータを送信する(ステップU2)。ステップU1及びU2におけるユニキャスト通信は、第1タイムスロットTS1の期間内に行われる。
【0018】
次に、管理コントローラ10が、マルチキャスト通信により各一般コントローラ20に一度にデータを送信し(ステップM1)、各一般コントローラ20がそれぞれマルチキャスト通信により管理コントローラ10及び他の一般コントローラ20にデータを送信する(ステップM2,M3)。ステップM1,M2及びM3におけるマルチキャスト通信は、第2タイムスロットTS2の期間内に行われる。ここまでで、サイクリック通信の1周期内におけるユニキャスト通信及びマルチキャスト通信が完了する。
【0019】
このように、サイクリック通信の1周期内において、まず第1タイムスロットTS1にて管理コントローラ10がユニキャスト通信により入出力機器30と通信し、その後に第2タイムスロットTS2にて管理コントローラ10がマルチキャスト通信により各一般コントローラ20と通信することにより、サイクリック通信の1周期内にて、入出力機器30から受信したデータを一般コントローラ20に送信することができる。具体的にどのようにして入出力機器30から受信したデータを一般コントローラ20に送信するかについては後述する。
【0020】
次に、
図3を参照しながら、管理コントローラ10の機能的構成を説明する。管理コントローラ10は、通信部100と通信制御部101と転送部102と識別部103と記憶部104とを備える。
【0021】
通信部100は、通信制御部101の制御に基づいて、入出力機器30とユニキャスト通信をし、一般コントローラ20とマルチキャスト通信をする。通信部100は、本開示に係る通信手段の一例である。
【0022】
通信制御部101は、現時点がサイクリック通信におけるどのタイムスロットに属するかを判定し、タイムスロットに応じた通信制御を行う。例えば、現時点が
図2における第1タイムスロットTS1に属するとき、通信制御部101は、ユニキャスト通信により入出力機器30と通信するように通信部100を制御する。現時点が
図2における第2タイムスロットTS2に属するとき、通信制御部101は、マルチキャスト通信により各一般コントローラ20と通信するように通信部100を制御する。
【0023】
また、通信制御部101は、通信部100が受信したデータを後述する転送部102に出力する。また、通信制御部101は、転送部102が通信制御部101に出力したデータに基づいて通信部100を制御する。詳細は後述するが、これにより、管理コントローラ10は、入出力機器30がユニキャスト通信により管理コントローラ10に送信したデータを、マルチキャスト通信により一般コントローラ20に転送することができる。また、同様に、管理コントローラ10は、一般コントローラ20がマルチキャスト通信により管理コントローラ10に送信したデータを、ユニキャスト通信により入出力機器30に転送することができる。
【0024】
なお、通信制御部101は、機器管理システム1の各機器のうちどの機器がマルチキャストに対応し、どの機器がマルチキャストに非対応であるかを、後述の識別部103により判定し、判定結果に応じた通信制御を行う。
【0025】
転送部102は、通信部100が受信し通信制御部101が出力したデータを、後述の手法により記憶部104のサイクリックメモリに保存する。転送部102は、記憶部104のサイクリックメモリからデータを読み込んで通信制御部101に出力する。これにより、結果として入出力機器30から一般コントローラ20にデータを転送し、一般コントローラ20から入出力機器30へデータを転送できる。転送部102は、本開示に係る転送手段の一例である。
【0026】
以下、
図4を参照しながら、記憶部104のサイクリックメモリを説明する。
図4に示すように、サイクリックメモリは、各機器から受信したデータ及び各機器に送信するデータをそれぞれ別個に保存する。転送部102は、通信部100が受信し通信制御部101が出力したデータを、送信元の機器ごとにサイクリックメモリに保存する。
【0027】
転送部102は、サイクリックメモリに保存されたデータのうち、送信先の機器に送信すべきデータを読み込んで通信制御部101に出力する。「送信先の機器」は、現時点がサイクリック通信におけるどのタイムスロットに属するかに応じて入出力機器30であるか一般コントローラ20であるかが異なるので、「送信先の機器に送信すべきデータ」も、現時点がサイクリック通信におけるどのタイムスロットに属するかに応じて異なる。
【0028】
例えば、現時点が第1タイムスロットTS1でありユニキャスト通信により入出力機器30と通信する場合を考える。この場合、転送部102は、「入出力機器30に送信するデータ」「一般コントローラ20-1から受信したデータ」及び「一般コントローラ20-2から受信したデータ」を通信制御部101に出力する。同様に、現時点が第2タイムスロットTS2でありマルチキャスト通信により一般コントローラ20と通信する場合、転送部102は、「入出力機器30から受信したデータ」「一般コントローラ20-1に送信するデータ」及び「一般コントローラ20-2に送信するデータ」を通信制御部101に出力する。
【0029】
識別部103は、管理コントローラ10の通信対象となる機器のうち、どの機器がマルチキャスト通信に対応し、どの機器がマルチキャスト通信に非対応であるかを識別する。識別部103は、例えば接続機器検出フレームを全ての機器にブロードキャストし、各機器が接続機器検出フレームに対して応答した機器情報に基づいて、どの機器がマルチキャスト通信に対応し、どの機器がマルチキャスト通信に非対応であるかを識別する。機器情報は、例えばマルチキャスト通信に対応しているか否かを示す情報を含む。一般コントローラ20が応答する機器情報は、マルチキャストに対応している旨の情報を含む。入出力機器30が応答する機器情報は、マルチキャストに対応していない旨の情報を含む。
【0030】
識別部103は、識別結果を示す情報を記憶部104に保存する。通信制御部101は、記憶部104に保存された識別結果を示す情報を参照して、現時点が第1タイムスロットTS1に属するときにはマルチキャスト通信に対応していない機器を通信対象としたユニキャスト通信を行い、現時点が第2タイムスロットTS2に属するときにはマルチキャスト通信に対応した機器を通信対象としたマルチキャスト通信を行う。識別部103は、本開示に係る識別手段の一例である。
【0031】
記憶部104は、上述のサイクリックメモリと、識別部103による識別結果を示す情報とを保存する。
【0032】
次に、管理コントローラ10のハードウェア構成の一例を、
図5を参照しながら説明する。
図5に示す管理コントローラ10は、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコントローラなどのコンピュータにより実現される。
【0033】
管理コントローラ10は、バス1000を介して互いに接続された、プロセッサ1001と、メモリ1002と、インタフェース1003と、二次記憶装置1004と、を備える。
【0034】
プロセッサ1001は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)である。プロセッサ1001が、二次記憶装置1004に記憶された動作プログラムをメモリ1002に読み込んで実行することにより、管理コントローラ10の各機能が実現される。
【0035】
メモリ1002は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成される主記憶装置である。メモリ1002は、プロセッサ1001が二次記憶装置1004から読み込んだ動作プログラムを記憶する。また、メモリ1002は、プロセッサ1001が動作プログラムを実行する際のワークメモリとして機能する。メモリ1002により、記憶部104の機能が実現される。
【0036】
インタフェース1003は、例えばシリアルポート、USB(Universal Serial Bus)ポート、ネットワークインタフェースなどのI/O(Input/Output)インタフェースである。インタフェース1003により、通信部100の機能が実現される。
【0037】
二次記憶装置1004は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)である。二次記憶装置1004は、プロセッサ1001が実行する動作プログラムを記憶する。
【0038】
次に、
図6を参照しながら、管理コントローラ10による機器識別の動作の一例を説明する。機器識別とは、どの機器がマルチキャスト通信に対応しどの機器がマルチキャスト通信に対応していないかを識別することである。
図6に示す動作は、例えば初めて機器通信システム1が構築された際に実行される。
【0039】
管理コントローラ10の識別部103は、接続機器検出フレームを通信対象となる全ての機器にブロードキャストする(ステップS101)。
【0040】
識別部103は、通信部100が接続機器検出フレームに対する応答の機器情報を受信するのを待ち受ける(ステップS102)。
【0041】
通信部100がステップS102にて応答の機器情報を受信すると、識別部103は、機器情報に基づいて、応答した機器がマルチキャスト通信に対応しているか否かを識別する(ステップS103)。
【0042】
識別部103は、ステップS103の識別結果を示す情報を記憶部104に保存する(ステップS104)。
【0043】
識別部103は、通信対象となる全ての機器から機器情報を受信したか否かを判定する(ステップS105)。全ての機器からは機器情報を受信していないとき(ステップS105:No)、識別部103はステップS102からの動作を繰り返す。全ての機器から機器情報を受信したとき(ステップS105:Yes)、識別部103は機器識別の動作を終了する。
【0044】
次に、
図7を参照しながら、管理コントローラ10による機器通信の動作の一例を説明する。
図7に示す動作は、例えば
図6に示す動作の終了後に実行される。
【0045】
管理コントローラ10の通信制御部101は、現在時刻が第1タイムスロットTS1の開始時点を経過するまで待機する(ステップS201)。
【0046】
ステップS201にて現在時刻が第1タイムスロットTS1の開始時点を経過すると、転送部102は、入出力機器30に送信するデータを記憶部104のサイクリックメモリから読み込む(ステップS202)。読み込んだデータは、通信制御部101に出力される。
【0047】
通信制御部101は、通信部100を制御して、ユニキャスト通信で入出力機器30と通信する(ステップS203)。ステップS202にて読み込んだデータは、このステップにて入出力機器30に送信される。
【0048】
転送部102は、ステップS203にて通信部100が入出力機器30から受信したデータを記憶部104のサイクリックメモリに保存する(ステップS204)。
【0049】
通信制御部101は、現在時刻が第2タイムスロットTS2の開始時点を経過するまで待機する(ステップS205)。
【0050】
ステップS205にて現在時刻が第2タイムスロットTS2の開始時点を経過すると、転送部102は、一般コントローラ20に送信するデータを記憶部104のサイクリックメモリから読み込む(ステップS206)。読み込んだデータは、通信制御部101に出力される。
【0051】
通信制御部101は、通信部100を制御して、マルチキャスト通信で一般コントローラ20と通信する(ステップS207)。ステップS206にて読み込んだデータは、このステップにて一般コントローラ20に送信される。
【0052】
転送部102は、ステップS207にて通信部100が一般コントローラ20から受信したデータを記憶部104のサイクリックメモリに保存する(ステップS208)。そして通信制御部101は、ステップS201からの動作を繰り返す。
【0053】
以上、実施の形態に係る機器通信システム1を説明した。機器通信システム1によれば、管理コントローラ10が転送部102により各機器から受信したデータを適切なタイミングで適切に転送するので、マルチキャスト通信に対応する機器とマルチキャスト通信に非対応の機器とが混在するネットワークにおいてユーザの利便性がよい。例えば、機器通信システム1によれば、ユーザがマルチキャスト通信非対応の入出力機器30からマルチキャスト通信対応の一般コントローラ20へのデータ送信が必要なときに、ユーザが専用のプログラムを作成して対応する必要がないため、ユーザの利便性がよい。
【0054】
(変形例)
図5に示すハードウェア構成においては、管理コントローラ10が二次記憶装置1004を備えている。しかし、これに限らず、二次記憶装置1004を管理コントローラ10の外部に設け、インタフェース1003を介して管理コントローラ10と二次記憶装置1004とが接続される形態としてもよい。この形態においては、USBフラッシュドライブ、メモリカードなどのリムーバブルメディアも二次記憶装置1004として使用可能である。
【0055】
また、
図5に示すハードウェア構成に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いた専用回路により管理コントローラ10を構成してもよい。また、
図5に示すハードウェア構成において、管理コントローラ10の機能の一部を、例えばインタフェース1003に接続された専用回路により実現してもよい。
【0056】
管理コントローラ10で用いられるプログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、USBフラッシュドライブ、メモリカード、HDD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することが可能である。そして、かかるプログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを管理コントローラ10として機能させることが可能である。
【0057】
また、上述のプログラムをインターネット上の他のサーバが有する記憶装置に格納しておき、当該サーバから上述のプログラムがダウンロードされるようにしてもよい。
【0058】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0059】
1 機器通信システム、10 管理コントローラ、20,20-1,20-2 一般コントローラ、30 入出力機器、100 通信部、101 通信制御部、102 転送部、103 識別部、104 記憶部、1000 バス、1001 プロセッサ、1002 メモリ、1003 インタフェース、1004 二次記憶装置、TS1 第1タイムスロット、TS2 第2タイムスロット、TSx 第3タイムスロット、TSy 第4タイムスロット。
【要約】
時分割方式を適用したTSN(Time Sensitive Networking)にてサイクリック通信する管理コントローラ(10)は、時分割方式における1周期内の通信において、マルチキャスト通信に非対応の第1機器と第1タイムスロットにて通信し、マルチキャスト通信に対応する第2機器と第2タイムスロットにて通信する通信部(100)と、通信部(100)が第1タイムスロットにて第1機器から受信したデータを、通信部(100)により第2タイムスロットにて第2機器に転送する転送部(102)と、を備える。