(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】断熱壁
(51)【国際特許分類】
E04B 1/76 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
E04B1/76 500F
(21)【出願番号】P 2022124976
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2022-08-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508202832
【氏名又は名称】アイディールブレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100224926
【氏名又は名称】内田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】松永 智也
(72)【発明者】
【氏名】大島 和仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝典
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-220838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/76
E04B 2/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の断熱壁であって、
一対の柱材と、
前記柱材に固定される第1梁材と前記第1梁材よりも上方に離間して配置される第2梁材と、
前記柱材に固定されるとともに互いに離間して配置される一対の面材と、
一対の前記面材の間に、前記第1梁材の上方に粉粒状の断熱材が積層されて構成される断熱部と、を備え、
前記第2梁材は、前記面材との間に第1隙間が形成され、
前記断熱部は、前記第1隙間に配置され
、
一対の前記面材は、上端部が開口されており、
前記断熱材は、当該開口から落下し、前記第1梁材の上方に積層されること
を特徴とする断熱壁。
【請求項2】
一対の前記柱材の間に配置される一対の縦材と、
一対の前記縦材を繋ぐ横材と、を更に備え、
前記柱材は、前記縦材との間に第2隙間が形成され、
前記断熱部は、前記第2隙間に配置されること
を特徴とする請求項1記載の断熱壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物の断熱壁に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅・ビル・工場・倉庫等のような建造物に断熱壁を設ける場合、一対の面材の間に形成される内部空間(以降、単に「内部空間」という)に、断熱材を充填する方法により施工される。
【0003】
この点、特許文献1では、内部空間を形成する面材に切り欠き部を形成し、断熱材を切り欠き部から内部空間に吹き込んで、断熱部が配置される断熱壁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の断熱壁は、断熱材が面材の切り欠き部から内部空間に搬送される方法によって断熱部が配置されるため、切り欠き部を塞いで面材を復旧する必要がある。また、特許文献1の断熱壁は、断熱材を切り欠き部から内部空間に吹き込んで搬送することから、断熱材が粉塵として部屋の内部に飛散するおそれがある。このため、部屋の内部に飛散した粉塵の清掃が必要となり、施工性が低い懸念が挙げられる。
【0006】
そこで本発明は、上述した事情に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、施工性の優れた断熱壁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る断熱壁は、建築物の断熱壁であって、一対の柱材と、前記柱材に固定される第1梁材と前記第1梁材よりも上方に離間して配置される第2梁材と、前記柱材に固定されるとともに互いに離間して配置される一対の面材と、一対の前記面材の間に、前記第1梁材の上方に粉粒状の断熱材が積層されて構成される断熱部と、を備え、前記第2梁材は、前記面材との間に第1隙間が形成され、前記断熱部は、前記第1隙間に配置され、一対の前記面材は、上端部が開口されており、前記断熱材は、当該開口から落下し、前記第1梁材の上方に積層されることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る断熱壁は、第1発明において、一対の前記柱材の間に配置される一対の縦材と、一対の前記縦材を繋ぐ横材と、を更に備え、前記柱材は、前記縦材との間に第2隙間が形成され、前記断熱部は、前記第2隙間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明及び第2発明によれば、第2梁材は、面材との間に第1隙間が形成され、断熱部は、第1隙間に配置される。このため、互いに離間した面材の上端部から断熱材を落下させることができ、断熱部を配置する際に断熱材の粉塵が部屋の内部に飛散することを抑制することができる。これにより、施工性の優れた断熱壁を提供することができる。
【0010】
また、第1発明及び第2発明によれば、第2梁材は、面材との間に第1隙間が形成され、断熱部は、第1隙間に配置される。これにより、断熱性の高い断熱壁を提供することができる。
【0011】
特に、第2発明によれば、柱材は、縦材との間に第2隙間が形成され、断熱部は、第2隙間に配置される。このため、窓枠等が設置される場合であっても、断熱部の断熱性が確保される。これにより、窓枠が形成される場合であっても、断熱性の高い断熱壁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1(a)~
図1(b)は、第1実施形態における断熱壁の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における断熱壁の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における断熱壁の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における断熱壁の第1変形例を示す断面図である。
【
図5】
図5(a)は、第1実施形態における断熱壁の第2変形例を示す断面図であり、
図5(b)は、第1実施形態における断熱壁の第3変形例を示す断面図であり、
図5(c)は、第1実施形態における断熱壁の第4変形例を示す断面図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(d)は、第1実施形態における第1隙間の形成方法の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(b)は、第1実施形態における断熱壁の構築方法を示す断面図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(b)は、第2実施形態における断熱壁の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態における断熱壁の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10(a)~
図10(b)は、第2実施形態における断熱壁の一例を示す平面図である。
【
図11】
図11(a)~
図11(b)は、第2実施形態における断熱壁の変形例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における断熱壁の内部に配置されるガイド部の一例を示す断面図である。
【
図13】
図13(a)~
図13(b)は、第2実施形態における断熱壁の構築方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態としての断熱壁の一例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、高さ方向Zとし、高さ方向Zと交差、例えば直交する1つの方向を前後方向Xとし、高さ方向Z及び前後方向Xのそれぞれと交差、例えば直交する方向を左右方向Yとする。各図における構成は、説明のため模式的に記載されており、例えば各構成の大きさや、構成毎における大きさの対比等については、図とは異なってもよい。
【0014】
(第1実施形態:断熱壁1)
図1~
図5を参照して、本実施形態における断熱壁1の一例を説明する。
図1(a)~
図1(b)は、本実施形態における断熱壁1の一例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態における断熱壁1の一例を示す断面図である。
図3は、本実施形態における断熱壁1の一例を示す平面図である。
図4は、本実施形態における断熱壁1の第1変形例を示す断面図である。
図5(a)は、本実施形態における断熱壁1の第2変形例を示す断面図であり、
図5(b)は、本実施形態における断熱壁1の第3変形例を示す断面図であり、
図5(c)は、本実施形態における断熱壁1の第4変形例を示す断面図である。
【0015】
断熱壁1は、例えば住宅、ビル、工場、倉庫等の建築物の断熱壁である。
【0016】
断熱壁1は、例えば
図1(a)~
図1(b)に示すように、左右方向Yに互いに離間して配置される一対の柱材5(51,52)と、一対の柱材5に固定される第1梁材3と、第1梁材3よりも上方に離間して配置される第2梁材4と、前後方向Xに互いに離間して配置されるとともに一対の柱材5に固定される一対の面材6(61,62)と、一対の面材6の間に、第1梁材3の上方に粉粒状の断熱材20が積層されて構成される断熱部2と、を備える。
【0017】
断熱壁1は、例えば一対の面材6の間に形成される内部空間Qを有する。断熱壁1は、例えば内部空間Qに、断熱部2を備える。
【0018】
断熱壁1は、例えば複数の第2梁材4(4a,4b)を備える。断熱壁1は、例えば複数の第2梁材4(4a,4b)と面材61との間に、複数の第1隙間S1(S1a、S1b)を備える。内部空間Qは、複数の第1隙間S1(S1a、S1b)を内包する。
【0019】
<断熱部2>
断熱部2は、例えば内部空間Qに配置される。断熱部2は、第1梁材3の上方に粉粒状の断熱材20が積層されて構成される。断熱部2は、例えば内部空間Qに断熱材20が搬送されることで配置される。
【0020】
断熱部2は、例えば複数の第1隙間S1(S1a、S1b)に配置される。断熱部2は、例えば
図1(b)に示すように、高さ方向Zに沿って第2梁材4と略同じ高さまで配置されてもよい。
【0021】
断熱部2は、例えば
図2に示すように、内部空間Qへの配置に加え、高さ方向Zにおける最も上方に配置される第2梁材4aよりも高く断熱材20を積層した余盛2aを含んでもよい。
【0022】
<断熱材20>
断熱材20は、例えばスクリューコンベア等の公知の搬送装置を用いて、内部空間Qに充填される。断熱材20は、例えば空気搬送等の搬送可能な断熱材である。断熱材20としては、例えばパーライト、発泡フライアッシュ、発泡シラスバルーン、発泡ガラス、発泡ウレタン、発泡スチロール、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ゼオライト、軽石、火山灰、木片、コルク片、珪藻土、漆喰、木炭等が挙げられる。断熱材20は、例えば粉体、粒体、繊維状等の粉粒状である。粉粒状の断熱材20は、粉状、粒状、繊維状等の断熱材がダマになって構成される塊状の断熱材が含まれてもよい。断熱部2は、例えば粉体、粒体、繊維状、塊体の少なくとも何れかの断熱材20を含む。
【0023】
<第1梁材3>
第1梁材3は、例えば
図1(a)に示すように、一対の柱材5及び一対の面材6のうち少なくとも何れかに固定される。第1梁材3は、例えば高さ方向Zにおいて、内部空間Qよりも下方に配置される。第1梁材3は、例えば内部空間Qに配置される断熱部2の下部に接する。第1梁材3は、例えば建築物の床梁である。第1梁材3は、例えば
図2に示すように、1階の床梁である。第1梁材3と、1階の天井41bとの間には、1階の部屋R1が設けられる。
【0024】
<第2梁材4>
第2梁材4は、例えば一対の柱材5及び面材62のうち少なくとも何れかに固定される。第2梁材4は、第1梁材3よりも上方に配置される。第2梁材4は、例えば前後方向Xにおいて面材61と離間し、面材61との間に第1隙間S1が形成される。第1隙間S1は、例えば
図3に示すように、上方が開放された状態で形成される。これにより、第1隙間S1の上方から搬送された断熱材20は、第1隙間S1を通過して、第1隙間S1の下方の内部空間Qにも積層される。
【0025】
第2梁材4は、例えば1つの断熱壁1に対して、高さ方向Zにおいて離間する複数の第2梁材4a,4bを含む。第2梁材4aは、第2梁材4bの上方に配置される。第2梁材4aは、例えば前後方向Xにおいて面材61と離間し、面材61との間に第1隙間S1aが形成される。第2梁材4aは、
図2に示すように、例えば2階層の建築物の天井梁40aと接続される。天井梁40aの下方等の近傍には、建築物の2階の天井41aが設けられる。第2梁材4bは、例えば前後方向Xにおいて面材61と離間し、面材61との間に第1隙間S1bが形成される。第2梁材4bは、例えば2階層の建築物の床梁40bと接続される。第2梁材4bと床梁40bは、2階の床梁である。第2梁材4b及び床梁40b並びに天井41aとの間には、2階の部屋R2が設けられる。
【0026】
第1隙間S1bは、第1隙間S1aの真下の下方に形成されることが好ましい。これにより、第1隙間S1aの上方から搬送された断熱材20は、そのまま真下に落下して第1隙間S1bを通過して、第1隙間S1bの下方の内部空間Qにも積層され易い。
【0027】
第2梁材4は、例えば
図4に示すように、1つの断熱壁1に対して、1つのみ含んでもよい。この場合においても、断熱部2を配置する際に断熱材20の粉塵が飛散することを抑制することができる。これにより、施工性に優れた断熱壁を提供することができる。
【0028】
第2梁材4は、例えば
図5(a)に示すように、外壁である面材62に接して配置される。この場合、第1隙間S1は、第2梁材4と内壁である面材61との間に形成される。この場合、面材61側に配置される第1隙間S1に断熱部2を配置できるため、断熱性のより高い断熱壁1を提供することができる。
【0029】
第2梁材4は、例えば
図5(b)に示すように、内壁である面材61に接して配置される。この場合、第1隙間S1は、第2梁材4と外壁である面材62との間に形成される。この場合、面材62側に配置される第1隙間S1に断熱部2を配置できる。
【0030】
第2梁材4は、例えば
図5(c)に示すように、内壁である面材61及び外壁である面材62の双方から離間して配置される。この場合、第1隙間S1は、第2梁材4と内壁である面材61との間と、第2梁材4と外壁である面材62との間と、の2箇所に形成される。この場合、断熱材20が内部空間Qに搬送される際に、断熱材20が内部空間Qの一部に偏在しにくくなり、断熱材20を内部空間Qに均一に配置することができる。これにより施工性の優れた断熱壁1を提供することができる。
【0031】
<一対の柱材5>
一対の柱材5は、例えば
図1(a)~
図1(b)に示すように、柱材51と、柱材52と、を含む。一対の柱材5は、例えば高さ方向Zに沿って延在する。柱材51は、例えば左右方向Yに沿って柱材52と離間する。
【0032】
<一対の面材6>
一対の面材6は、例えば面材61と、面材62と、を含む。一対の面材6は、例えば左右方向Y及び高さ方向Zに沿って延在する。面材61は、例えば前後方向Xにおいて面材62と離間する。面材61は、例えば第1梁材3及び一対の柱材5の少なくとも何れかの一部に固定され、第2梁材4と離間して配置される。面材62は、例えば第1梁材3、第2梁材4及び一対の柱材5の少なくとも何れかの一部に固定される。面材61は、例えば屋内側に配置される内壁である。面材62は、例えば屋外側に配置される外壁である。
【0033】
一対の面材6の形状は、例えば板状である。一対の面材6としては、例えば公知の石膏ボードのような可撓性を有しない面材が用いられる。一対の面材6としては、例えばJIS A 6930に適合する住宅用プラスチック系防湿フィルムのような可撓性を有する面材が用いられてもよい。
【0034】
次に、
図6(a)~
図6(d)を参照して、本実施形態における第1隙間S1の形成方法の一例を説明する。
図6(a)~
図6(d)は、本実施形態における第1隙間S1の形成方法の一例を示す斜視図である。
【0035】
第2梁材4は、例えば
図6(a)~
図6(d)に示すように、柱材51(51a,51b)に固定される。第2梁材4は、例えば
図6(a)に示すように、第2梁材4の前後方向Xの幅よりも幅広の柱材51を切り欠いた部分に挿通されて柱材51に固定される。また、面材61は、例えば左右方向Y及び高さ方向Zに沿って延在し、柱材51に接して配置される。これにより、第2梁材4と面材61との間に第1隙間S1が形成される。
【0036】
第2梁材4は、例えば
図6(b)に示すように、第2梁材4の前後方向Xの幅よりも幅広の柱材51aの下端及び柱材51bの上端と接するように配置される。柱材51a及び柱材51bは、第2梁材4と当て木51cと接するように配置される。また、面材61は、例えば左右方向Y及び高さ方向Zに沿って延在し、柱材51aと、柱材51bと、当て木51cとに接して配置される。これにより、第2梁材4と面材61との間に第1隙間S1が形成される。
【0037】
第2梁材4は、例えば
図6(c)に示すように、柱材51aの下端及び柱材51bの上端がそれぞれ第2梁材4の上部及び下部に接して配置される。第2梁材4は、柱材51a及び柱材51bが接する部分の側方に、面材61に対向する面が切り欠かれた切り欠き部41が形成される。また、面材61は、例えば左右方向Y及び高さ方向Zに沿って延在し、柱材51aと、柱材51bと、第2梁材4のうち切り欠き部41が設けられていない面とに接して配置される。これにより、第2梁材4の切り欠き部41と面材61との間に第1隙間S1が形成される。
【0038】
第2梁材4は、例えば
図6(d)に示すように、第2梁材4の前後方向Xの幅と同じ幅の柱材51aの下端及び柱材51bの上端と接するように配置される。第2梁材4は、柱材51aと接する当て板51dと接するように配置される。また、柱材51bは、当て板51dと接する当て板51eと接するように配置される。また、面材61は、例えば左右方向Y及び高さ方向Zに沿って延在し、当て板51dと、当て板51eとに接して配置される。これにより、第2梁材4と面材61との間に第1隙間S1が形成される。
【0039】
(第1実施形態:断熱壁1の構築方法)
次に、
図7を参照して、本実施形態における断熱壁1の構築方法の一例を説明する。
図7(a)~
図7(b)は、本実施形態における断熱壁1の構築方法を示す断面図である。
【0040】
断熱壁1の構築方法は、断熱部配置工程を含む。
【0041】
<断熱部配置工程>
断熱部配置工程は、一対の面材61、62の間に、第1梁材3の上方に粉粒状の断熱材20が積層されて構成される断熱部2を設ける。断熱部配置工程は、前後方向Xに互いに離間して配置される第2梁材4と面材61と、の間に形成される第1隙間S1に、断熱部2を設ける。断熱部2は、一対の柱材5と第1梁材3と第2梁材4と一対の面材6とに接して設けられる。
【0042】
詳細には、断熱部配置工程において、内部空間Q及び第1隙間S1は、例えば
図7(a)に示すように、断熱部2を配置する前に形成されている。断熱部配置工程において、断熱部2は、例えば断熱材搬送機10が用いられ、断熱材20が内部空間Q及び第1隙間S1に搬送されることにより配置される。断熱材搬送機10は、例えば空気圧送等により断熱材20を搬送可能な公知の搬送装置である。
【0043】
断熱壁1は、互いに離間した一対の面材61、62は、上端部が開口されている。断熱部配置工程は、
図7(b)に示すように、2階の天井41aの上方にいる図示しない作業者が、互いに離間した一対の面材61、62の上端部に形成された開口から、断熱材搬送機10により断熱材20を落下させる。内部空間Qに第1隙間S1が形成されることから、落下させた断熱材20が第1隙間S1a及び第1隙間S1bを通過して第1梁材3から順次上方に積層される。断熱部配置工程において、断熱部2は、断熱材20が第2梁材4bまで積層されることで、第1隙間S1bに配置される。更に、断熱部配置工程において、断熱部2は、断熱材20が第2梁材4aまで積層され続けることで、第1隙間S1aに配置される。このように、断熱材搬送機10により断熱材20を搬送する際に、一対の面材61、62の上端部に形成された開口から、断熱材20を落下させ、第1梁材3の上に断熱材20を積層して断熱部2を設けることができる。これにより、第1隙間S1にも断熱部2を配置することができる。また、断熱部配置工程は、高さ方向Zにおける最も上方に配置される第2梁材4aよりも高く断熱材20を積層した余盛2aを形成する。
【0044】
また、断熱部配置工程では、断熱材20を積層する際に、面材6に振動機等により振動を付与してもよい。これにより、積層した断熱材20を密実にすることができる。
【0045】
従来、2階層の建築物に断熱壁1を設ける際には、各階層の一対の面材6に切り欠き部を形成し、断熱部2を配置した後に面材を復旧して切り欠き部を塞ぐ必要があった。この点、本実施形態によれば、第2梁材4は、面材61との間に第1隙間S1が形成され、断熱部2は、第1隙間S1に配置される。すなわち、各階層の面材に切り欠き部を設けることなく、互いに離間した一対の面材61、62の上端部に形成された開口から断熱材20を落下させることができる。断熱材20を落下させることで、第1隙間S1を通過した断熱材20が第1梁材3の上方に順次積層され、一対の面材61、62の間に断熱部2を設けることができる。このため、断熱部2を配置する際に、1階の部屋R1と2階の部屋R2に断熱材20の粉塵が飛散することを抑制することができる。これにより、1階の部屋R1と2階の部屋R2との清掃作業を省略することができることから、施工性の優れた断熱壁1を提供することができる。また、断熱部2は、第1隙間S1に配置されるため、断熱性の高い断熱壁1を提供することができる。
【0046】
本実施形態によれば、断熱部配置工程において、第2梁材4は、面材61との間に第1隙間S1が形成され、断熱部2は、第1隙間S1に配置される。このため、断熱部2を配置する際に断熱材20の粉塵が飛散することを抑制することができる。これにより、施工性の優れた断熱壁1を施工することができる。また、断熱部2は、第1隙間S1に配置されるため、断熱性の高い断熱壁1を提供することができる。
【0047】
このように、本発明によれば、各階層の一対の面材6についていずれも、断熱部2を配置する際に断熱材20の粉塵が飛散することを抑制することができ、さらに、2階層分の断熱壁を1つの断熱壁1を配置することで施工できる。これにより、2階層の建築物に対する断熱壁1を設ける場合において、より施工性に優れた断熱壁を提供することができる。なお、本発明は、例えば3階層以上の建築物に対して適用してもよい。
【0048】
ここで、断熱部2が自重、または一対の面材6を介して断熱部2に作用する経時的な振動に伴って沈下した場合、第2梁材4の下方に断熱部2が配置されない空間が生じ、断熱壁の断熱性が低下する懸念がある。これに対し、本実施形態によれば、断熱部2は、第2梁材4よりも高く積層された余盛2aを含む。このため、内部空間Qに配置された断熱部2が時間の経過とともに沈下した場合であっても、第2梁材4よりも高く積層された余盛2aを下方に沈下させて、断熱部2が配置されない空間の発生を抑制することができる。これにより、断熱性能の経時的な低下がさらに抑制された断熱壁を提供することができる。
【0049】
本実施形態によれば、一方の面材61は、屋内側に配置され、他方の面材62は、屋外側に配置され、第1隙間S1は、第2梁材4と面材61との間に形成される。このため、面材61側に配置される第1隙間S1に断熱部2を配置できるため、断熱性のより高い断熱壁1を提供することができる。
【0050】
(第2実施形態:断熱壁1)
次に、
図8~
図10を参照して、本実施形態における断熱壁1の一例を説明する。
図8(a)~
図8(b)は、本実施形態における断熱壁1の一例を示す斜視図である。
図9は、本実施形態における断熱壁1の一例を示す断面図である。
図10(a)~
図10(b)は、本実施形態における断熱壁1の一例を示す平面図である。本実施形態は、断熱壁1が、一対の縦材7及び一対の横材8を更に備える点、断熱部2が、柱材51(52)と縦材71(72)との間に形成される第2隙間S2に配置される点で、第1実施形態と異なる。なお、上述の内容と同様の構成については、説明を省略する。
【0051】
<断熱壁1>
断熱壁1は、例えば
図8(a)~
図8(b)に示すように、一対の縦材7(71,72)及び1つ以上の横材8(81,82)を更に備える。
【0052】
断熱壁1は、例えば内部空間Qのうち、一対の縦材7と各横材81,82とに囲われた窓枠が形成される。断熱壁1は、例えば一対の柱材5と、一対の縦材7との間に、1つ以上の第2隙間S2を備える。内部空間Qは、1つ以上の第2隙間S2を内包する。
【0053】
<断熱部2>
断熱部2は、例えば第2隙間S2に配置される。この場合、内部空間Qの一部において窓枠が形成される場合であっても、断熱部2を配置することができる。これにより、窓枠が形成される場合であっても、断熱性の高い形状の自由度が高い断熱壁1を提供することができる。
【0054】
<一対の柱材5>
一対の柱材5は、例えば一対の縦材7との間に、1つ以上の第2隙間S2が形成される。柱材51は、例えば縦材71との間に第2隙間S2が形成される。柱材52は、例えば縦材72との間に第2隙間S2が形成される。
【0055】
<一対の縦材7>
一対の縦材7は、例えば
図9に示すように、一対の柱材5の間に配置される。一対の縦材7は、例えば縦材71と、縦材72と、を含む。一対の縦材7は、例えば高さ方向Zに沿って延在する。縦材7は、一対の面材6に接して設けられる。縦材71は、左右方向Yにおいて縦材72と離間する。縦材71は、例えば左右方向Yにおいて柱材51と離間する。縦材72は、例えば左右方向Yにおいて柱材52と離間する。各縦材71,72の形状は、例えば角柱状である。
【0056】
一対の縦材7は、例えばサッシの縦枠部分である。一対の縦材7としては、例えば金属が用いられる。
【0057】
図9に示すように、柱材5と縦材7との間には、第2隙間S2を保持するための保持部73が設けられてもよい。
【0058】
<保持部73>
保持部73としては、
図10に示すように、例えば断面ロ字型の中空状の樹脂製の管材が用いられる。保持部73は、柱材5と縦材7とを貫通する釘74等を介して、柱材5と縦材7とに固定される。保持部73は、一対の縦材7とともに横材8の一部に固定されてもよく、一対の縦材7に代えて横材8の一部に固定されてもよい。
【0059】
保持部73は、例えば
図10(a)に示すように、第2隙間S2に前後方向Xに離間して2つ設けられる。この場合、2つの保持部73の間と、中空状の保持部73の内部と、に断熱部2が設けられてもよい。
【0060】
保持部73は、例えば
図10(b)に示すように、第2隙間S2に1つ設けられる。この場合、中空状の保持部73の内部に断熱部2が設けられる。
【0061】
<横材8>
横材8は、例えば
図9に示すように、横材81と、横材82と、を含む。横材8は、例えば左右方向Yに沿って延在する。横材8は、一対の面材6に接して設けられる。横材81は、例えば高さ方向Zにおいて横材82と離間する。横材8の形状は、例えば角柱状である。横材8は、例えば一部が保持部73に固定されてもよい。
【0062】
横材8は、例えばサッシの横枠部分である。横材8としては、例えば金属が用いられる。
【0063】
横材8は、例えば一対の縦材7と一体成形されてもよい。横材8は、例えば一対の縦材7と一体成型された断面ロ字型の形状を構成してもよい。横材8は、例えば一対の縦材7と一体成型された断面中空円型の形状を構成してもよい。
【0064】
次に、
図11~
図12を参照して、本実施形態における断熱壁1の変形例を説明する。
図11(a)~
図11(b)は、本実施形態における断熱壁1の変形例を示す断面図である。
図12は、本実施形態における断熱壁1の内部に配置されるガイド部9の一例を示す断面図である。
【0065】
<断熱壁1>
断熱壁1は、例えば内部空間Qにおいて、断熱部2の配置を容易にするためのガイド部9を備えてもよい。
【0066】
<ガイド部9>
ガイド部9は、例えば
図11(a)~
図11(b)に示すように、内部空間Qに1つ以上配置される。ガイド部9は、柱材5と離間して、第2隙間S2の下方に配置される。ガイド部9は、例えば左右方向Yにおいて内部空間Qの中央に近づくにつれて下方に向けて傾斜して形成される。これにより、内部空間Qに投入されて第2隙間S2を通過した断熱材20がガイド部9と柱材5との間に落下した場合、そのまま下方に落下して断熱材20が積層される。また、内部空間Qに投入されて第2隙間S2を通過した断熱材20がガイド部9に衝突した場合、ガイド9を介して断熱材20を内部空間Qの左右方向Yの中央、例えば横材8の下方に誘導できる。このため、断熱材20が内部空間Qに効率よく積層されやすい。これにより、施工性の優れた断熱壁1を提供することができる。
【0067】
ガイド部9は、例えば一対の面材6のうち少なくとも何れかに固定されて配置される。ガイド部9は、第2隙間S2の下方に、左右方向Yに離間して複数設けられる場合、内部空間Qの左右方向Yの中央側に配置されるガイド部9が、内部空間Qの左右方向Yの端部側に配置されるガイド部9の位置よりも低く配置されてもよい。この場合、内部空間Qの左右方向Yの中央に断熱材20をより誘導し易くでき、更に効率よく積層できる。
【0068】
ガイド部9の形状は、断熱材20を内部空間Qの左右方向Yの中央に誘導できる形状であれば任意であり、例えば板状である。
【0069】
ガイド部9は、例えば
図12に示すように、ガイド保持部91と、ガイド可動部92と、を有する。
【0070】
ガイド保持部91は、一対の面材6のうち少なくとも何れかに固定され、ガイド可動部92を保持する。ガイド可動部92は、例えば可撓性を有する樹脂製の板材等が用いられる。ガイド可動部92は、上方に断熱材20が衝突したとき、ガイド保持部91を支点として撓ませて、
図12の破線矢印で示す向きに揺動できる。このため、内部空間Qの左右方向Yの中央に断熱材20をより誘導し易くでき、更に効率よく積層できる。
【0071】
ガイド保持部91は、例えばねじりコイルばねを介してガイド可動部92を保持してもよい。この場合、内部空間Qに搬送された断熱材20が第2隙間S2を通過してガイド可動部92に衝突するとき、ガイド保持部91を支点として、ガイド可動部92が揺動できる。この場合、断熱材20が内部空間Qにより効率よく充填されやすい。
【0072】
ガイド保持部91の形状は、例えば棒状である。ガイド可動部92の形状は、断熱材20を内部空間Qの中央側に誘導できる形状であれば任意であり、例えば板状である。
【0073】
(第2実施形態:断熱壁1の構築方法)
【0074】
次に、
図13(a)~
図13(b)を参照して、本実施形態における断熱壁1の構築方法の一例を説明する。
図13(a)~
図13(b)は、本実施形態における断熱壁1の構築方法を示す断面図である。
【0075】
<断熱部配置工程>
断熱部配置工程は、一対の面材61、62の間に、第1梁材3の上方に粉粒状の断熱材20が積層されて構成される断熱部2を設ける。断熱部配置工程は、前後方向Xに互いに離間して配置される第2梁材4と面材61と、の間に形成される第1隙間S1に、断熱部2を設ける。断熱部配置工程において、断熱部2は、左右方向Yに互いに離間して配置される柱材51(52)と縦材71(72)と、の間に形成される第2隙間S2に配置される。断熱部2は、一対の柱材5と第1梁材3と第2梁材4と一対の面材6とに接して設けられる。
【0076】
断熱部配置工程において、内部空間Q、第1隙間S1及び第2隙間S2は、例えば
図13(a)に示すように、断熱部2を配置する前に形成されている。
【0077】
断熱部配置工程は、
図13(b)に示すように、第2梁材4の上方にいる図示しない作業者が、互いに離間した一対の面材61、62の上端部に形成された開口から、断熱材搬送機10により断熱材20を落下させる。内部空間Qに第1隙間S1及び第2隙間S2が形成されることから、落下させた断熱材20が第1隙間S1及び第2隙間S2を通過して第1梁材3の上に順次積層される。断熱部配置工程において、断熱部2は、断熱材20が縦材71(72)の上端まで積層されることで、第2隙間S2に配置される。更に、断熱部配置工程において、断熱部2は、断熱材20が積層され続けることで、第1隙間S1に配置される。このように、断熱材搬送機10により断熱材20を搬送する際に、一対の面材61、62の上端部に形成された開口から、断熱材20を落下させ、内部空間Qに断熱材20を積層して断熱部2を設けることができる。これにより、第1隙間S1と第2隙間S2とにも断熱部2を配置することができる。
【0078】
また、断熱部配置工程では、断熱材20を積層する際に、面材6に振動機等により振動を付与してもよい。これにより、積層した断熱材20を密実にすることができる。
【0079】
本実施形態によれば、柱材51(52)は、縦材71(72)との間に第2隙間S2が形成され、断熱部2は、第2隙間S2に配置される。このため、窓枠等が設置される場合であっても、断熱部2の断熱性が確保される。これにより、窓枠が形成される場合であっても、断熱性の高い断熱壁1を提供することができる。
【0080】
本実施形態によれば、断熱部配置工程において第2隙間S2が形成され、断熱部2は、第2隙間S2に配置される。このため、窓枠等が設置される場合であっても、断熱部2の断熱性が確保される。これにより、枠が形成される場合であっても、断熱性の高い断熱壁1を施工することができる。
【0081】
本実施形態によれば、第2隙間S2の下方に、左右方向Yの中央に近づくにつれて下方に向けて傾斜したガイド部9を備え、ガイド部9は、柱材5と離間する。これにより、内部空間Qに投入されて第2隙間S2を通過した断熱材20がガイド部9と柱材5との間に落下した場合、そのまま下方に落下して断熱材20が積層される。また、内部空間Qに投入されて第2隙間S2を通過した断熱材20がガイド部9に衝突した場合、断熱材20を横材8の下方等の内部空間Qの左右方向Yの中央に誘導できる。このため、横材8の下方等の内部空間Qの左右方向Yの中央に断熱材20を効率よく積層できる。これにより、施工性の優れた断熱壁1を提供することができる。
【0082】
本実施形態によれば、ガイド部9は、ガイド保持部91を支点として揺動できるガイド可動部92を有する。このため、断熱材20がガイド可動部92の上方に衝突したとき、内部空間Qの左右方向Yの中央に断熱材20をより誘導し易くでき、更に効率よく積層できる。これにより、施工性の優れた断熱壁1を提供することができる。
【0083】
本実施形態によれば、ガイド部9は、第2隙間S2の下方に、左右方向Yに離間して複数設けられ、左右方向Yにおいて内部空間Qの中央側に配置されるガイド部9が、左右方向Yにおいて内部空間Qの端部側に配置されるガイド部9の位置よりも低く配置される。このため、内部空間Qの左右方向Yの中央に断熱材20をより誘導し易くでき、更に効率よく積層できる。これにより、施工性の優れた断熱壁1を提供することができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 :断熱壁
10 :断熱材搬送機
2 :断熱部
2a :余盛
20 :断熱材
3 :第1梁材
4 :第2梁材
40a :天井梁
40b :床梁
41a,41b:天井
5 :一対の柱材
51,52:柱材
6 :一対の面材
61,62:面材
7 :一対の縦材
71,72;縦材
73 :保持部
8 :横材
81,82:横材
9 :ガイド部
91 :ガイド保持部
92 :ガイド可動部
Q :内部空間
R1,R2:部屋
S1 :第1隙間
S2 :第2隙間
X :前後方向
Y :左右方向
Z :高さ方向
【要約】
【課題】施工性及び耐久性の優れた断熱壁を提供する。
【解決手段】実施形態における断熱壁1は、建築物の断熱壁であって、一対の柱材5と、柱材51,52に固定される第1梁材3と第1梁材3よりも上方に離間して配置される第2梁材4と、互いに離間して配置されるとともに一対の柱材5に固定される一対の面材6と、一対の面材6の間に、第1梁材3の上方に粉粒状の断熱材20が積層されて構成される断熱部2と、を備え、第2梁材4は、面材61との間に第1隙間S1が形成され、断熱部2は、第1隙間S1に配置されることを特徴とする。
【選択図】
図1