(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】磁着性を有するブロック玩具および走行コースの設計図
(51)【国際特許分類】
A63H 33/08 20060101AFI20221219BHJP
A63H 17/00 20060101ALI20221219BHJP
A63H 18/02 20060101ALI20221219BHJP
A63H 33/04 20060101ALI20221219BHJP
A63H 33/26 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A63H33/08 A
A63H17/00 Z
A63H18/02 A
A63H33/04 B
A63H33/26 A
(21)【出願番号】P 2021520437
(86)(22)【出願日】2021-01-04
(86)【国際出願番号】 JP2021001139
(87)【国際公開番号】W WO2021137303
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019240233
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314016845
【氏名又は名称】株式会社サンスマイル
(72)【発明者】
【氏名】入江 誠
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-299618(JP,A)
【文献】実開昭60-049900(JP,U)
【文献】特開2011-005208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0367247(US,A1)
【文献】特開平09-051990(JP,A)
【文献】特開2008-018028(JP,A)
【文献】実公昭46-019929(JP,Y1)
【文献】実開昭60-071297(JP,U)
【文献】登録実用新案第3215614(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0304166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283472(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項13】
前記ブロック様体の並びの色の順または模様の順を走行コースとして記録した記録媒体を有する、請求項12に記載の磁着性を有するブロック玩具。
【請求項14】
前記走行コースが循環コースである、請求項13に記載の
磁着性を有するブロック玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、走行コースの磁着板に磁着しつつ転動する帯磁車輪のための、走行コースを設定するのに必要な磁着性を有するブロック玩具、および当該ブロック玩具と前記帯磁車輪との組に成るブロック玩具、および前記走行コースの設計図に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より知育玩具の一形態として、嵌脱自在な凸部と凹部とを有するブロックの複数個を、自己の凸部を相手の凹部に嵌め合わせるようにしていろいろな形状に組み立てたり、また別の形状に組み立て直したりすることが出来るようにしたものがある。この代表的なブロック玩具としてレゴ(登録商標)を上げる。この種ブロック玩具は創造性を育むには効果的な玩具ではあるが、組み上がったものは建物や動物などの静的なものである。
【0003】
そこでこのような基本的なブロック玩具を改良して新しい機能を持たせたものとして、例えば特開平06-091062号のような、凸部と凹部を有するブロック本体と、このブロック本体に回転自在に支持されていて、ブロック・ユニットの連結方向に配置した回転軸と、この回転軸の端部に設けられていて、他のブロック・ユニットと連結自在の回転伝達部とを備えたブロック玩具用ブロック・ユニットを上げる。この特開平06-091062号の
図7ではモータ・ブロック・ユニットにギヤ・ブロック・ユニットを連結してモータの回転軸の回転を他のブロック・ユニットに伝達する状態が説明されている。
【0004】
また例えば実用新案登録3052774号のマグネットブロック玩具は、立体の一側外面または背合せ外面にマグネットを配置し、それ以外の外面にマグネットを吸着する吸磁板を配置したものである。
図17で各種形態のブロックから車輪である所の円柱長寸形立方体ブロック10を有する自動車を組み合わせる遊び方が説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平06-091062号公報
【文献】実用新案登録3052774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに特開平06-091062号や実用新案登録3052774号によれば、静的なブロック玩具を脱して動的な組み合わせに成る遊び方が提案されているようにも見える。しかしながら上記は何れもブロック玩具が可動であると言うだけであり、手元で動く程度であって、ダイナミックな可動範囲が想定されているものではなかった。
【0007】
そこで当発明者は、いろいろな形状に組み立てたりまた別の形状に組み立て直したりすることが出来て、創造性を育むのに効果があると言うブロック玩具の特性はそのままに、ダイナミックな可動範囲を獲得するにはどのようにしたら良いかに付いて鋭意研究を行った。その結果、上述したような可動性のあるブロック玩具、あるいはこれに類する玩具をレールに沿って移動出来るようにすると共に、そのレール自体をブロック玩具としていろいろな形状に組み立てたりまた別の形状に組み立て直したりすることが出来るようにすれば良い、と言うことに想到したのである。
【0008】
すなわちこの発明は、手元付近で動かすおもちゃとしてのブロックではなく、おもちゃとしての移動体がよりダイナミックな可動環境を獲得出来るようにするための、汎用性のあるコースブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題は、互いに結合可能な形状の凸部と凹部との少なくとも1対を備えているブロック様体であって、面の各辺からほぼ等しい距離となる面の中央部に1個の前記凸部があり、この面とは反対側の面の各辺からほぼ等しい距離となる面の中央部に1個の前記凹部があり、このブロック様体の複数個を前記凸部と凹部とで結合させた時におおよそ連続し得るような、磁石に磁着するための磁着体を前記凸部や凹部を設けていない面に有している、磁着性を有するブロック玩具を提供することにより達成される。これによって形成されるコースの上を磁石を備えた移動体が、コースの磁着体に磁着しつつ移動するのである。従って小さなスペースでも立体的に組み上げたコースに沿って移動体を走らせることが出来るのである。磁着体はコースと面一となるように設けることもあればそうでない構成もあり得る。またコース全体が磁着体であると言う設計も可能である。なお凸部と凹部は1対の場合もあれば2対の場合もある。更にブロックが直方体であるなどの形状によっては、3対以上もあり得る。
【0010】
凸部と凹部とで複数個のブロック様体を連結することが出来るのはこれまで通りであるが、この発明では各々のブロック様体の表面に磁着体を有しており、連結によって磁着体がおおよそ連続して磁着体のコースが形成される。
【0011】
上記磁着体には板状のものの他に、丸棒やワイヤーなど任意のものを用いて良い。また磁着体の特殊な形態としてゴム磁石の板状体などが上げられる。ゴム素材のものとすることにより移動体を走らせる際の車輪等に対するグリップ力を高めることが狙いであるが、磁石の性質を有していることもあって移動体に対する磁着力を高める効果が期待される。なお磁着体はコース上に於いて完全に連続していても僅かな隙間があったとしても、磁石を備えた移動体が磁着体に磁着しつつ移動出来る限り問題はない。或いは個々のブロック上に於いても上記同様のことが言える。
【0012】
次に、前記磁着体が磁着板であって、前記ブロック様体の面の一側の辺から相対する側の辺に掛けて、前記磁着板を納めるための溝部が形成されており、この溝部に前記磁着板を有しており、この磁着板より外側に前記磁石のガイドレールとなる段差が形成されているものとすることが出来る。おもちゃの4輪の自動車の場合で、左右の車輪が磁石の性質を帯びているものでは、左右の車輪が磁着することが出来る左右2列の溝部を形成することになる。また左右の車輪に磁着機能がなく、車輪を備えた移動体の中央部に磁石の性質を帯びた車輪を有するものでは、これに磁着するための中1列の溝部が形成される。この辺りの事は任意設計事項である。
【0013】
上記移動体はその磁石によってコースの磁着板に磁着しつつ移動するのであるが、この時に磁着板が嵌め込まれた溝部よりも外側に磁石のガイドレールとなる段差があるため、移動体の磁石にコース方向ではなくコースを外れる方向に不本意な力が加わったような場合でも、段差によって移動体の磁石が外れにくくなるのである。元々磁石は磁着板に磁着するのであるから、磁着板が磁石のガイドの働きをしているので段差を不要とする設計も可能ではあるが、このガイドの働きをより強めるものが上記段差であると言うことが出来る。この段差は段丘のような構造であっても、衝立のような構造であっても良く、これは任意設計事項である。
【0014】
次に、前記磁着体が磁着板であって、前記ブロック様体の面の一側の辺から相対する側の辺に掛けて前記磁石のガイドレールともなる台部が形成されており、この台部に前記磁着板を有しているものとすることが出来る。おもちゃの自動車の場合であれば移動体の中央部の磁石車輪が台部の磁着板に磁着しつつ移動させる設計が可能である。なお台部は中央に1本の他、2本並ぶ構成もあり得る。
【0015】
次に、前記磁着体が磁着板であって、前記磁着板が直線形状または曲線形状を呈するものとすることが出来る。この発明では各々のブロック様体の連結により磁着体がおおよそ連続したコースが形成される。この連結に成るコースは、ブロック様体や磁着体の形状によって直線形状のものも曲線形状のものも提供可能である。ブロック様体の連結によって左右方向や天地方向へのカーブを形成し得るように構成することが出来る。またこれ等の標準的なブロック様体のみならず、交差するコースや、分岐や合流のコースやスパイラルとなるコースを形成するための特殊なブロック様体を提供することが出来る。また連結するブロック様体の個数を少なくするための長尺の磁着体を有するような特殊なブロック様体を提供することが出来る。或いは上記移動体をコース上でジャンプさせるための特殊なブロック様体を提供することが出来る。
【0016】
次に、前記磁着体が磁着板であって、前記磁着板が十字形状を呈するものとすることが出来る。すなわちこの十字形状の磁着板を有するブロック様体は、その左右方向にも前後方向にも他のブロック様体を連結することが出来、この部位に言わば交差点を設けることが出来るのである。なお上記段差が形成されているものでは、段差によって移動体の磁石が左右方向にも前後方向にもより外れにくくなる効果がある。
【0017】
次に、前記凸部と前記凹部との少なくとも1対または前記凸部の少なくとも1対または前記凹部の少なくとも1対を備えており、且つ前記磁着体を有していない、ブロック様体を含むようにすることが出来る。各々1対を備えていさえすれば、他に何も無くても或いは更に幾つの凸部や凹部を備えていようとも自由である。これは例えば後述の実施例3で説明するように、立体的にコースを構築したいとする場合などに必要とされる。このようなごく普通のブロック様体を、この発明の磁着体を有しているブロック様体に連結させて使用することも、組み換えのバリエーションを豊かにすることに繋がる。なおこの言わばスペーサーとしてのブロック様体を磁着体を有するブロック様体で代用するような場合もあり得る。
【0018】
次に、上述したコースとなるブロック様体のセットが、前記磁着板に対して磁着しつつ転動する、前記磁石としての帯磁車輪を有する移動体を備えているものとすることが出来る。これはすなわちコースブロックと移動体との組であり、いろいろな形状に組み立てたりまた別の形状に組み立て直したりしたコース上を、移動体を移動させて遊ぶことが出来るのである。これを逆に言えば移動体をどのように動かしたいかによってコースを形作れば良いことになる。
【0019】
次に、上記移動体に関して、前記移動体の上に乗り物または生き物を模したボディーを備えているものとすることが出来る。移動体は帯磁車輪のみとすることが出来るのではあるが、より興趣あるものとするためには、移動体の外形を例えばスポーツカーにしたりパンダやイルカにしたりすると良い。
【0020】
次に、上記移動体に関して、前記帯磁車輪は前記移動体に備えたゼンマイを動力源とするものとすることが出来る。帯磁車輪はこれに手を副えてコース上を移動させて遊ぶことが出来る。またジェットコースターのようなアップダウンのあるコースを作れば、手を放しても落差を利用して帯磁車輪を移動させて遊ぶことが出来る。しかしながら動力源としてのゼンマイを備えていれば、手を放してコース上を移動させたり、坂を登らせたりして遊ぶことが出来るようになる。
【0021】
同様に、上記移動体に関して、前記帯磁車輪は前記移動体に備えた電動モータを動力源とするものとすることが出来る。ボディーには他に、一次電池や二次電池や電源スイッチと言ったものを設けるようにする。動力源が電動モータであると、ゼンマイのように巻かなくても、ゼンマイの場合よりもずっと長い時間を動作させ続けることが可能になる。
【0022】
次に、前記電動モータがブロック様体の前記磁着体から電力供給を受けるように構成されているものとすることが出来る。例えばブロック様体の表面の磁着体を2列に設けて各々通電可能とし、一方をプラス極とし他方をマイナス極として、走行中の移動体の給電ブラシを接触させるようにする。或いはブロック様体の表面の磁着体の脇に別途給電ラインを設けるようにする。なお通電する磁着体にしろ、給電ラインにしろ、凸部と凹部とで複数個のブロック様体を連結した時には、磁着体や給電ラインが連続するように設けられる必要がある。何れにせよこの構成により、上述の一次電池や二次電池が不要となり、従って一次電池の交換も要らなければ、二次電池の充電も必要なくなる。
【0023】
なお特開2006-204835号では円柱状等のクリアーな軟質系プラスチックのケースの中に、電球もしくは発光ダイオードを設置し、外部表面に取り付けた通電端子まで配線し、外部のレール等の通電材より電流を流すことで点滅するようにしたゲームが開示されている。しかしながら通電材である外部のレール等は、複数個のブロック様体を連結して形成されるものではないため、コースとしていろいろな形状に組み立てたりまた別の形状に組み立て直したりすることは出来なかったのである。
【0024】
さて上述した課題は、互いに結合可能でかつ結合方向を軸として回動可能な形状の凸部と凹部との少なくとも1対を備えているブロック様体であって、面の各辺からほぼ等しい距離となる面の中央部に1個の前記凸部があり、この面とは反対側の面の各辺からほぼ等しい距離となる面の中央部に1個の前記凹部があり、このブロック様体の複数個を前記凸部と凹部とで結合させた時におおよそ連続し得るような、磁石に磁着するための磁着体を前記凸部や凹部を設けていない面に有しており、前記凸部または前記凹部の一方の壁面にブロック様体の結合方向へ向けた嵌合溝が、他方にはこの嵌合溝に嵌合する嵌合突起が形成されており、ブロック様体を結合した状態で前記結合方向とは逆の解除方向へブロック様体を引いた時には前記嵌合突起が前記嵌合溝の前端部に掛止して解除出来ず、ブロック様体を結合した状態で回動させた時には前記嵌合突起が前記嵌合溝の側壁面を乗り越えて前記嵌合溝から外れることにより、前記嵌合突起が前記嵌合溝の前端部に掛止することなく解除出来、前記結合方向へブロック様体を押した時には前記嵌合突起が、前記嵌合溝の山越えとなる前記前端部を乗り越えて結合出来るように構成されている、磁着性を有するブロック玩具とすることにより達成される。
【0025】
ブロック様体同士の結合は凹部に凸部を圧入して嵌合することで為される。ブロック様体はその自重により繋げれば繋げるほど不安定になりやすいものである。特に室内のフローリングに接する形で平たいコースを作るような場合には安定させることが出来るのであるが、3次元の立体コースを作るような場合ではブロック様体の自重で嵌合状態が不安定化しやすいのである。このことは立体コースを組み立て終わってからだけでなく組み立てている最中に起こる可能性がある。
【0026】
この発明では嵌合突起が嵌合溝の圧入方向では山越えとなる前端部を乗り越えて嵌合溝に入り込むように構成されている。逆にブロック様体同士を引き離そうとする力が不本意に加えられたとしても、嵌合突起が嵌合溝の前端部に掛止されるように構成されている。従ってブロック様体同士を結合させる際には、凹部に凸部を圧入するだけで良い。これに対して結合を意識的に解除する際には、一旦ブロック様体同士を逆方向に回動させて嵌合突起が嵌合溝の前端部に掛止されないようにしてから、ブロック様体同士を引くようにするのである。これにより簡単に解除が出来る。
【0027】
なお、上記凹部と凸部との圧入構造に関して、凹部と凸部とを回動可能な断面円形状として、凹部と凸部との接触面の何れかの側に突起を設けておき、他側にこの突起に係合して突起にブロック様体同士を引き離す方向に導くためのガイドを設けるようにすることが出来る。例えばガイドを、凹部や凸部の口方向に向けて末広がりとなるような段部として形成するのである。すると上記突起はこの段部にガイドされるため、凹部と凸部との間に両者が離れる方向に力が働くため、ブロック同士の結合状態が解除されるのである。
【0028】
なおこのガイド構造はブロック同士を結合させる時にも有効に働く。-側の突起が他側の段部にガイドされることによって、上記嵌合突起と嵌合溝との位置合わせが自然に行われる。
【0029】
さてここまではおもちゃとしての移動体がよりダイナミックな可動範囲を獲得出来るようなコースを作るための、汎用性のあるブロック玩具を説明して来たが、昨今、子供たちにScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を駆使して思考の基盤を作ることが出来るSTEAM教育が注目を集めていることに鑑み、この発明によるブロックを連結させてコースを自由に作り出すことを以てプログラミング思考を培うことが出来るのではないかと言うことに想到した。
【0030】
そこでこのブロック玩具を直線を作るパーツであるとかカーブを構成するパーツであるとかの機能の違いによってや形状別に色分けや模様分けをしたものとして提供し、コース上でのブロックの並びの色の順や模様の順をプログラムとして記録させることによって、走行コースの設計図を子供たち自身で作れるようにしたのである。或いはこのような設計図を子供たちに提供するようにしたのである。なお走行コースには始点と終点とがある場合と、循環して端部がない場合とがある。
【0031】
ブロック様体の並びの色の順や模様の順をプログラムすることで、設計図として自分で記録したものを、他者に伝えることが可能であり、逆に他者がプログラミングして記録したものを受けて自分でも再構築することが可能である。このようして走行コースを自由に作り出すプログラミング思考を培うことが出来るようになる。この結果文字の読み書きが出来ない小さな子供でも、色分けや模様分けでプログラミングをすることが可能となり、その走行コースに移動体を走らせることで達成感と楽しさとを共感することが可能となっている。
【0032】
磁着体を有する走行コースは卓上の小さいスペースに構築することも可能であるから、走行コースのプログラミングおよびその設計図と併せて、この発明は知育玩具として画期的なものとなっている。
【発明の効果】
【0033】
この発明は、磁着体を有するコースを、複数個のブロック様体によって構成し得るようにしたものである。こうして形成されたコースの上を、磁石を備えた移動体が、コースの磁着体に磁着しつつ移動するのである。この発明により、磁着体のあるコースを種々の形状に連結したりまた別の形状に連結し直したりすることが出来るようになっている。またコースに付いても創造性を育む知育玩具としての性能を持たせることに成功している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施例1のブロック1を分解して斜視した説明図である。
【
図2】ブロック1を組み立てた状態の説明図である。
【
図3】(A)は実施例2の、(B)は実施例3の説明図である。
【
図4】実施例1~3を用いた使用状態の説明図である。
【
図5】磁着板を有していないブロックの説明図である。
【
図12】実施例10の自動車800の説明図である。
【
図13】実施例11のブロック125の凸部材127側の説明図である。
【
図14】実施例11のブロック125の凹部材133側の説明図である。
【
図16】ブロック125の結合解除時の説明図である。
【
図17】実施例12のプログラミングされた立体的な走行コースの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0035】
図1及び
図2を用いて実施例1のブロック1を説明する。このものは直線コースを作るためのブロックであって、横の一方向にも縦の一方向にも直線コースを作ることが出来る点に特徴を有する。さらに
図4に示したような十字路のコースを作るのにも使用される。この場合には横一方向への直線専用のブロック3と縦一方向への直線専用のブロック33との交差点になることが出来る。
【0036】
このブロック1は4つのパーツから構成されている。すなわちブロック1の半分の大きさの下半体10と上半体13と、この間に組み込んで後述の凹部101を作るための枠体17と、上半体13の上表面に取り付けられる磁着板2とである。
【0037】
下半体10にはその4側面部の時計周りに、下半凸部11、11および下半窓部12,12が設けられている。上半体13にはその4側面部の時計周りに、上半凸部14,14および上半窓部15,15が設けられている。下半体10と上半体13とを合わせることで1つのブロック形状を得るわけであるが、この際に2か所の各々で下半凸部11と上半凸部14とが接合して凸部100となる。また下半窓部12と上半窓部15とが接合する部位に枠体17を嵌めることで凹部101となる。枠体17はその四隅の掛止突起18が下半窓部12と上半窓部15との内側に掛かっている。
【0038】
上半体13の上表面には十字形状の溝部16が形成されている。この溝部16に十字形状の磁着板2を嵌め込んで接着すると、磁着板2が溝部16内にしっかりと固定される。なお溝部16の方が磁着板2の厚さよりも深いために、磁着板2が一段落とされて段差が形成され、この十字の溝内を帯磁車輪などの移動体が脱線しにくい状態で進むことが出来るようになっている。なおこの段差が必須ではないのは他にも例えばガードレールの構成が可能だからである。磁着板2には扱いやすい鉄板を用いた。なお移動体の移動に付いては後述する。
【0039】
このように4つのパーツから構成されたブロック1の複数個を同じ方向に繋げることによって、図示しない直線コースが得られる。なおこの実施例では凹部101を作るための枠体17をパーツとしているが、これとは別に凸部100を作るための枠体と言うものをパーツに設定することが出来る。またこの実施例では下半体10と上半体13とを合わせることで1つのブロックを得ているが、右半体と左半体とを合わせて1つのブロックとする設計も可能である。或いは磁着体をインサート品として、合成樹脂のインサート成型によりブロックを一つの塊として、一体的に形成することが出来る。このように磁着体を有するブロックの設計は任意事項である。
【実施例2】
【0040】
図3(A)を用いて実施例2のブロック3を説明する。このものは
図4に示したようなコースを作るのに使用され、
図4に於ける横方向の直線部の1ブロックとなる。そのブロック3の構成は、上述した実施例1のブロック1にほぼ倣い、4側面部の時計周りに凸部30、30および凹部31、31が設けられているが、磁着板20の形状とこれを嵌め込む溝部32の形状とに付いて幾分異なっている。
【0041】
すなわち溝部32は横の一方向に形成されており、ここに直線形状の磁着板20が横向きに嵌め込まれて固定されている。なお帯磁車輪などの移動体が脱線しにくい状態で進むことが出来るように、溝部32の方を磁着板20の厚さよりも深くすることで磁着板20が一段落とされて段差が形成されるようになっている。
【実施例3】
【0042】
図3(B)を用いて実施例3のブロック33を説明する。このものは
図4に示したようなコースを作るのに使用されて、
図4に於ける縦方向の直線部の1ブロックとなる。そのブロック33の構成は、上述した実施例1のブロック1にほぼ倣い、4側面部の時計周りに凸部34、34および凹部35、35が設けられているが、磁着板21の形状とこれを嵌め込む溝部36の形状とに付いて幾分異なっている。
【0043】
すなわち溝部36は縦の一方向に形成されており、ここに直線形状の磁着板21が縦向きに嵌め込まれて固定されている。なお帯磁車輪などの移動体が脱線しにくい状態で進むことが出来るように、溝部36の方を磁着板21の厚さよりも深くすることで磁着板21が一段落とされて段差が形成されるようになっている。
【0044】
実施例1~3を用いた使用状態を
図4を用いて説明する。実施例2のブロック3の複数個を用いて、隣り合うブロック3の凹部31に凸部30を嵌め込むようにすることで横方向の直線を形成することが出来る。また実施例3のブロック33の複数個を用いて、隣り合うブロック33の凹部35に凸部34を嵌め込むようにすることによって縦方向の直線を形成することが出来る。この2種類の縦横直線を交差させるのに実施例1のブロック1を使用するのである。ブロック1の凸部100はブロック3の凹部31にもブロック33の凹部35にも接続可能でありまたブロック1の凹部101はブロック3の凸部30にもブロック33の凸部34にも接続可能である。このように交差点の位置や個数はユーザーの好みによって自由に変えられる。
【0045】
なお上述した使用例は、ブロック1、ブロック3、ブロック33を床面などの上にそのまま置いて組み立てる場合を説明したものであるが、これ等のブロックを積み上げて立体的にコースを構築したいとする場合もある。このような場合には、各々のブロックの底部にも凹部や凸部を、下側に来るブロックの形態に合わせて予め設けておいたものを使用するようにすれば良い。このようなブロックの設計に付いても任意事項である。要は、この発明の磁着体を有するブロックを用いてコースの構築を行い得るようであれば良い。
【0046】
上述した下側に来るブロックの一例を
図5の磁着板を有していないブロック120として説明する。このものは4側面部の時計周りに凸部121、凹部122、凸部121及び凹部122が順次設けられている。また上面に凸部123、下面に凹部124が設けられている。しかしながら磁着板は有しておらず言わば従来からある素のブロックである。
【実施例4】
【0047】
図6を用いて実施例4のブロック4を説明する。このものは水平のコースから下りへと方向転換させるコースや、垂直の登りのコースから水平へと、更には下りへと方向転換させるコースを作ることが出来るものである。なお後述する実施例5の
図7と組み合わせることで、より変化に富んだ起伏のあるコースを作ることが出来る。
【0048】
ブロック4は、側面が凸部40を有する面と、これに直角な凹部41有する面と、溝部42に凸湾曲した磁着板22が嵌め込まれた円弧状の面と、の3面から構成されている。すなわち凸部40と凹部41とを1個ずつ有している。溝部42の方を磁着板22の厚さよりも深くすることにより磁着板22が一段落とされて段差が形成されている。なおこのブロック4は実施例1のブロック1と組み合わせたり、上記磁着板を有さずに3つの凸部121、121,123と3つの凹部122、122、124とを有するスペーサーとしてのブロック120などと組み合わせたりすることが出来る。
【実施例5】
【0049】
次に
図7を用いて実施例5のブロック5を説明する。このものは実施例4のブロック4とは逆に溝部52に凹湾曲した磁着板23が嵌め込まれた円弧状の内側の側面部と、この側面部を挟んで互いに直角方向を向くように配置された凸部50および凹部51の2面との3面から構成されている。磁着板23が円弧状の内側の側面部に嵌め込まれて円弧状の外側の側面部よりもカーブがきつくなるため、ブロック5の全長を上述の実施例4のブロック4よりも大きく設計している。なお溝部52の方を磁着板23の厚さよりも深くすることにより磁着板23が一段落とされて段差が形成される。
【0050】
このブロック5を用いることで、水平のコースから登りへと方向転換させるコースや、垂直の下りのコースから水平へと方向転換させたり、更には登りへと方向転換させたりするコースを作ることが出来るものである。
【0051】
なおブロック4でもブロック5でも図示した姿勢で用いることが可能であり、この場合には帯磁車輪などの移動体を磁着板22、磁着板23すなわち壁面のコースに沿って移動させることが出来る。
【実施例6】
【0052】
次に
図8を用いて実施例6のブロック6を説明する。このブロック6は一般的に言うカーブを構成するためのブロックである。全体形状は上述した実施例5にほぼ倣うものであるが、磁着板24の形状と、これを嵌め込む溝部62の位置と形状とに付いて異なっている。
【0053】
すなわち溝部62はブロック6の天面にあって右カーブ形状を呈して、ここに右カーブ形状の磁着板24が嵌め込まれて固定されている。なお実施例5のブロック5と同じように、帯磁車輪などの移動体が脱線しにくい状態で進むことが出来るように溝部62の方を磁着板24の厚さよりも深くすることで、磁着板24が一段落とされて段差が形成されている。
【0054】
なお図示した姿勢ではなく、溝部62のある面を側面にしたり底面にしたりして用いることが可能である。底面にした場合には帯磁車輪などの移動体を天地を逆さまな状態にして移動させることが出来る。なおまた実用的には左カーブ形状のブロックも併せて用意しておくことが望ましい。
【実施例7】
【0055】
次に
図9を用いて実施例7の長尺ブロック7を説明する。このものは上述のような帯磁車輪をボディーに備えた電動モータを動力源とする移動体で遊ばせる場合であって、電動モータに外部からの電力を供給する場合に適用する長尺ブロック7である。なおこの長尺ブロック7に他のブロックを接続する場合、電力供給が行われるように、後述する磁着板25、26の各々が他のブロックの磁着板との間で、おおよそではなく確実に連続するように連結される必要があるので、そのように設計すれば良い。
【0056】
両端部分に鎖線で表した立方体のブロックの5個分の長さを横方向に有する長尺ブロック7は、先頭部分の側面に凸部70を有し、この凸部70にブロックとして嵌合可能な凹部71を後尾部分の側面に有する点に特徴がある。またこの長尺ブロック7の天面に直線状の台部72が形成されており、この台部72の上面に2個1対の長尺の磁着板25、26が隙間を空けるようにして、各々の両端部分を下方に向けて直角に折り曲げた図示しない差込片を、上記台部72の両端部に設けた差込口73に挿し込むようにして取り付けられている。磁着板25、26には電源へのリード線が通電可能に設けられている。
【0057】
なお上記溝部72の深さと磁着板25、26の厚さとはほぼ同じであるが、帯磁車輪などの移動体が脱線しにくい状態で進むことが出来るようにすべく、この実施例7では長尺ブロック7の両側に沿ってガードレール74が設けられている。しかしながらこの高さは僅かな段差程度である。
【0058】
図示はしないが、ここで用いる電動モータを動力源とする移動体には、左右1対の導電ブラシが設けられており、これが磁着板25、26の接触して移動しつつ給電されるものとなっている。動力源が電動モータであると永続的に動作させ続けることが可能になる。
【0059】
長尺ブロック7は立方体のブロック5個分の長さのものであることを上述したが、例えば実施例2の
図3(A)のブロック3であれば、この5個分で
図4に示したような横方向の直線コースを作る所、長尺ブロック7が1個で済むことになる。ある意味コスト削減に寄与する効果がある。
【0060】
このようにして2個の両端部のブロックと1個の長尺コース板とを組み合わせることによって、長尺コース板を備えた新たなブロックを得ることが出来る。なお長尺の磁着板は実施例7のものとは異なり、電動モータに外部からの電力を供給するためのものではないが、同様の構成とすることもまた可能である。
【0061】
なお上記長尺ブロック7に関連する構成例を図を用いずに説明する。このものは上述した実施例7のブロック7のような長尺コースを作るためのものであるが、ブロックの構成上、両端部に鎖線で表した立方体のブロックの代わりにこれよりも薄手の、支柱を設けるようにするのである。そしてこの支柱に凸部70や凹部71を形成する。これによりさらなる軽量化やコスト削減に寄与することが出来る。
【0062】
この他の構成例を2例上げておく。立方体のブロック5個分の長さを有する、ブロック形状ではない板状の、長尺コース板の表面に直線状の溝部を設けておいて、ここに長尺の磁着板を接着するようにする。またこの長尺コース板の裏面の両側に端部ブロックの天部に設けた固定突起を嵌合するための溝部を設けておく。端部ブロックは立方体のブロックであり、4側面部の時計周りに凸部および凹部を設けておく。また天部には上記固定突起がある。この長尺コース板と端部ブロック上面とで段差のない平面が得られるように構成したものを上げる。或いは立方体のブロック5個分の長さを有する長尺のブロックの上面に、上述した実施例7の凸部70や凹部71を形成したものを上げる。
【実施例8】
【0063】
さて
図10で表したものは、これまで説明して来た実施例を始めとして、種々のコースで使用することが出来るおもちゃの自動車8を裏側の車台80側から見たものである。
【0064】
車台80の前輪として回転軸82の両端に取り付けられた磁石車輪81があり、後輪として回転軸82の両端に取り付けられた磁石車輪83が設けられている。この後輪側となる磁石車輪83の中央部にはゴム製のOリング84が嵌め込まれており、これにてコースに対するグリップ力を確保している。磁石車輪81および磁石車輪83は上述した磁着板2や磁着板20~26等の磁着体に磁着した状態で進むことが出来るようになっている。なお車台80の前端部には電源スイッチ85が設けられている。
【0065】
自動車8の内部は図示しないが、電動モータを動力源とする一般的な自動車おもちゃであって、電動モータで回転軸82を駆動するが、このために必要な電池ボックスを備え、電池ボックスと電動モータと上記電源スイッチ85とが直列に配線されている。この電源スイッチ85をONにすることで磁石車輪83が回転を始めて、ブロックが作るコース上を転動する。この際に上記磁石車輪83および磁石車輪81がブロック側の磁着体に磁着した状態でコース上を離脱することなく進むことが出来るのである。
【0066】
なお車台80の表側にはボディー86が取り付けられている。ボディー86は一般的な自動車の形であるが、動物形状などとしても良い。
【実施例9】
【0067】
次に
図11を用いてこの実施例の自動車87を説明する。このものは車台88の中心部分に前後2列、各々左右1対の磁石車輪9を備えている。磁石車輪9の中央部分にはゴム製のOリング90が嵌め込まれており、これにてコースに対するグリップ力を確保している。また磁石車輪9は回転軸91に取り付けられており、回転軸91は車台88に設けられている。また車台88の表側には自動車の形のボディー89が取り付けられている。自動車87の内部構成は上述した実施例8のそれに倣うものである。
【0068】
この実施例の自動車87は、車台88の中心部分の磁石車輪9がブロック側の磁着体に磁着した状態で、コース上を離脱することなく進むことが出来る。
【実施例10】
【0069】
次に
図12を用いて実施例10の自動車800を説明する。車台801の前後輪として回転軸804の両端に合成樹脂製の車輪802が取り付けられており、この中に鎖線で表した磁石803が納められている。ある意味磁石803に車輪802が被せられた構成となっており、磁着体には非接触ではあるが磁着した状態で進むことが出来るようになっている点に特徴を有する。
【0070】
自動車800の内部構成は上述の実施例8のそれに倣うが、この自動車800の駆動力は車台801の中心部分に設けられた磁石車輪92に伝達されるように構成されている。磁石車輪92は回転軸93により回転自在である。なお符号85は電源スイッチを指す。
【実施例11】
【0071】
さて
図13乃至
図16を用いて実施例11のブロック125を説明する。例えば上述の実施例1ではブロック1同士の結合は凸部100と凹部101とを嵌合することによって行われる。これはこれで良いのであるが、ある意味で単なる圧入による嵌合が行われたに過ぎないと見ることが出来る。すなわち室内のフローリングの上など平らな場所でコースを作るような場合には安定するので良いのであるが、3次元の立体コースを作る場合ではブロック1の自重で凸部100と凹部101との嵌合状態が外れないとも限らない。このことは立体コースを作り終わってからだけでなく、組み立てている最中に起こるかも知れないのである。仮にこれを良しとしないのであれば、例えば凸部100と凹部101とに山越えを設けるなどしてロック感覚が得られるようにすることも可能であるが、もう一歩踏み込んだ対策を取りたいものである。すなわち必要十分な引張強度があると共に、必要に応じて簡単に結合を解消出来るようなブロックを提供するのが次の目的である。
【0072】
そこでこの実施例11では、立方体形状のブロック125の天面と底面とに同じ方向へ向かう磁着板27を有し、この方向の一側の側面部に設けた窓部126に円筒形状の凸部材127が取り付けられ、他側の側面部に設けた窓部132に凹部材133が取り付けられたものとしている。凸部材127の外壁の2回対称の位置には嵌合溝129が円筒の口方向に向かって至端部分を残すようにして形成されている。従って至端部分では後述するストッパ部130となり、嵌合溝129の両側では後述する段部131となっている。
【0073】
一方凹部材133の内壁の4回対称の位置、すなわち上記嵌合溝129と係合する部位には、弾力性を有する嵌合片135が形成されており、この嵌合片135の先端部分には嵌合突起136が上記嵌合溝129の方向に突出するように形成されている。従って2個のブロック125同士を結合する場合は、嵌合片135と嵌合溝129との位置を揃える形で、凸部材127を凹部材133の中に挿着することになる。この挿着に際しては嵌合突起136が嵌合片135の弾力性を利用してストッパ部130を乗り越えることが出来るのであるが、逆に結合状体を解除すべくブロック125同士に引っ張り力を加えた場合や、不本意に引っ張り力が加わったような場合には、嵌合突起136がストッパ部130に引っ掛かってストッパ部130を乗り越えることが出来ないように構成されている。
【0074】
そこで結合状態を意識的に解除したい場合には、ブロック125同士を互いに捻るようにすると、上記嵌合溝129の両側にある段部131の内の捻り方向の段部131を嵌合突起136が越えることが出来るように構成されていることによって、嵌合突起136は上記ストッパ部130を迂回する形で嵌合溝129から外れてブロック125同士の結合状体が解除される。凸部材127も凹部材133も円筒形状であるから捻ることが出来るのである。
【0075】
ところで凹部材133の内壁と凸部材127の外壁とには別の構造が設けられている。すなわち凹部材133の内壁の上記嵌合片135の間々の4回対称の位置には、三角形状の頂部をブロック125の結合方向に向けた突起状の凸ガイド134が設けられている。一方凸部材127の外壁の上記嵌合溝129の間々の4回対称の位置には、上記凸ガイド134を遊嵌するガイド溝128が設けられている。上述したように結合状態を意識的に解除したい場合にブロック125同士を互いに捻るようにすると、嵌合突起136が段部131を越えるが、正にこの時に、凸部材127の口方向に向けて言わば末広がりとなっているガイド溝128に凸ガイド134が当たり、そのままガイド溝128にガイドされる形となることにより、ブロック125同士が離れる方向に力が働くために両者の結合状態が解除されるのである。なおこのガイド溝128と凸ガイド134との構造は、ブロック125同士を結合させる時にも有効に働く。すなわちこの際も凸ガイド134がガイド溝128にガイドされるため、嵌合溝129と嵌合片135との位置合わせが自然に為され、このことに気を遣う必要がなくなっている。
【実施例12】
【0076】
さて
図17を用いてこの実施例12のプログラミングされた立体的な走行コースを説明する。形状と役割の異なるブロックB1~B5およびスペーサSのブロックを用いて循環する走行コースが構築されている。ブロックB1~B5の内ブロックB2とブロックB3は便宜的に同一ブロックの表裏を指す。各ブロックB1~B5は色分けされており、その内訳はブロックB1が黄、同一ブロックの表側のブロックB2が青で裏側のブロックB3が緑、ブロックB4が橙、ブロックB5が赤である。なお磁着板27のないブロックSは机上からブロックB4を浮かせるためのスペーサである。
【0077】
右端から2番目の黄色のブロックB1を始点として、このブロックB1の凸部材127がある右側から反時計回りに、黄(B1)-青B2(裏側が緑B3)-橙(B4)-赤(B5)-青B2-2個の黄(B1)-橙(B4)-アーチ形の緑B3(手前が青B2)-赤(B5)-2個の黄(B1)-2個の橙(B4)-2個の緑B3-黄(B1)-青B2-2個の黄(B1)-青B2-6個の黄(B1)として、始点のブロックB1の凹部材133に接続している。このようにして構築された環状の走行コースの磁着板27の上を帯磁車両が繰り返し走行することが出来る。
【0078】
このように始点の黄色のブロックB1から反時計回りのブロック連結を文章にて表したが、これは単にブロックの色だけで記録することが出来る。すなわち(反時計回りに)黄-青-橙-赤-青-黄-黄-橙-緑-緑-赤-黄-黄-橙-橙-緑-緑-黄-青-黄-黄-青-黄-黄-黄-黄-黄-黄、と記録することが出来る。このように色を文字にて表示しても、また文字をまだ学習していない幼児では、単に色鉛筆等を使用して色だけで表示しても、また例えば色の付いたシールを台紙に貼るようにしても良い。これがこの発明で言うプログラミングである。
【0079】
このコースプログラミングは、ブロックを組立てる前に頭の中でコースを想像してプログラミングすることもできる。また既に組立てられたことのある走行コースのプログラムを見て自分で同じ走行コースを組立てることも出来る。このように色にてプラグラミングをすることが出来、この実施例の発明は子供たちの思考の基盤をつくるためのSTEAM教育のための知育玩具として、幼児から大人まで一緒に遊ぶことが出来る特長を有する。なお色を使用する以外にも、模様、ブロックのシルエット等々でブロック要素を表すことが可能であり、この点に付いても任意設計事項である。
【0080】
さてこの発明は上述したような実施例に限定されるものではなく、この発明の思想内に於いて、すなわち互いに結合可能な形状の凸部と凹部とを備えたブロック様体に磁着体が設けられているブロック玩具である範囲に於いて、任意のバリエーションを与えることが出来る。例えばブロックの形状を三角柱や円柱としても良い。
図9で或いはその後に述べた長尺物に付いて、これで坂道を形成したり、各種のスパイラルを形成したり、ジャンプ台やシーソーを構成したりすることが出来る。或いは鉄道模型のレールのように移動体のコースを切り替えるためのスイッチを設けることも可能である。ブロックの凸部や凹部を塞いで床面への接地を安定させるための補助的なブロックを用意することも好ましい。このような補助的なブロックを滑り止め性のある合成ゴムで成型するなどしても良い。
【0081】
ブロックの素材に鉄板を用いて、いわゆるブリキのおもちゃのようなブロックを構成することにより、磁着体の役割をブロックそのものに担わせることが出来る。磁着体を有することの中にはこのような構成も含まれる。また鉄板のブロックにコースを描くことで、コースの部分を磁着体上に設定することが出来る。すなわちこのようにブロックの素材に鉄板を用いてそれ自体に磁着体の役割を担わせる構成もまたこの発明の権利範囲内のものである。
【0082】
この他帯磁車輪を有する移動体に付いて、必ずしも動力源がなくてはいけないと言うものではなく、手動で移動体に勢いを付けて送り出すような遊び方も可能である。また実施例8ではおもちゃの自動車8が電動モータを動力源とするものであることを説明したが、電動モータの代わりに図示しないがゼンマイを動力源とするものを設計することが可能である。ゼンマイはこれを巻くためのネジのみならず、これをON/OFFするスイッチを設けるようにすると良い。
【産業上の利用可能性】
【0083】
この発明のブロック玩具は、磁着板のあるコースをいろいろな形状に連結したり、別の形状に連結し直したりすることが出来る。このようにコースに付いても創造性を育む知育玩具としての性能を持たせることで、産業の発展に大きく寄与している。ブロックの素材は合成樹脂など任意であるが、木材を使用することによって積み木などのように木製玩具としての優れた性質を付加したり、間伐材の有効利用にも道を拓くことが出来る。
【符号の説明】
【0084】
1,120,125,3,33,4,5,6,B1~B5・・ブロック
7・・長尺ブロック
10・・下半体
11・・下半凸部
12・・下半窓部
13・・上半体
14・・上半凸部
15・・上半窓部
16,32,36,42,52,62・・溝部
17・・枠体
18・・掛止突起
100,121,123,30,34,40,50,60,70・・凸部
101,122,124,31,35,41,51,61,71・・凹部
126,132・・窓部
127・・凸部材
128・・ガイド溝
129・・嵌合溝
130・・ストッパ部
131・・段部
133・・凹部材
134・・凸ガイド
135・・嵌合片
136・・嵌合突起
2,20~26,27・・磁着板
72・・台部
73・・差込口
74・・ガードレール
8,87,800・・自動車
80,88,801・・車台
81,83,9,92・・磁石車輪
82,804,91,93・・回転軸
84,90・・Oリング
85・・電源スイッチ
86,89・・ボディー
802・・車輪
803・・磁石
S・・スペーサ