(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】手洗監視システム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/24 20060101AFI20221219BHJP
G01V 3/12 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
A61L2/24
G01V3/12 Z
(21)【出願番号】P 2018145669
(22)【出願日】2018-08-02
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】592250414
【氏名又は名称】株式会社テックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】花浦 敏孝
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0104062(US,A1)
【文献】特開2015-153084(JP,A)
【文献】特開2017-012597(JP,A)
【文献】特開2016-059702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00 - 2/28
A61L 11/00 - 12/14
G01V 1/00 - 99/00
G06Q 50/22
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手洗用水を供給する手洗用水供給手段と、
作業者によって携帯され、無線通信によって識別子を識別子情報として送信するID(Identification)手段と、
前記手洗用水の供給に関する供給情報を取得する供給情報取得手段と、
前記手洗用水供給手段の内部又は外部近傍に配置され、前記識別子情報を取得する識別子情報取得手段と、
前記供給情報と前記識別子情報とを記録する記録手段とを備え、
前記ID手段は、
加速度を測定する加速度センサを備え、
前記加速度センサによって測定された加速度が所定の停止閾値未満になった場合に、作業者が移動していない非移動状態
であると判別し、前記識別子を送信する
ことを特徴とする手洗監視システム。
【請求項2】
前記ID手段は、
前記非移動状態を維持している時間である非移動時間が第1の非移動時間閾値を超えると、前記識別子情報の送信頻度を減少させる
ことを特徴とする請求項
1に記載の手洗監視システム。
【請求項3】
前記ID手段は、
前記非移動状態を維持している時間である非移動時間が第2の非移動時間閾値を超えると、前記識別子情報の送信を停止する
ことを特徴とする
請求項2に記載の手洗監視システム。
【請求項4】
前記手洗用水供給手段による手洗用水の供給の有無を検出し、前記供給情報を前記供給情報取得手段に送信する供給検出手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の手洗監視システム。
【請求項5】
前記供給検出手段は、
前記手洗用水供給手段における振動を検出することにより、
前記手洗用水の供給の有無を検出する
ことを特徴とする
請求項4に記載の手洗監視システム。
【請求項6】
前記供給検出手段は、
前記手洗用水供給手段から手洗用水の供給状況を表す供給信号を受信することにより、
前記手洗用水の供給の有無を検出する
ことを特徴とする
請求項4に記載の手洗監視システム。
【請求項7】
前記ID手段は、
電源として電池が使用されている
ことを特徴とする請求項1~
請求項5のいずれかに記載の手洗監視システム。
【請求項8】
前記識別子情報取得手段は、
近距離通信により識別子情報を要求するID要求信号を供給し、
前記ID手段は、
前記ID要求信号に応じて前記識別子情報を送信する
ことを特徴とする請求項1~
請求項7のいずれかに記載の手洗監視システム。
【請求項9】
前記供給情報取得手段と、前記識別子情報取得手段と、前記供給情報および前記識別子情報を含む監視情報を送信する送信手段とを有する監視情報送信手段と、
前記記録手段と、前記監視情報を受信する受信手段とを有する集計装置と
を備えることを特徴とする請求項1~
請求項8のいずれかに記載の手洗監視システム。
【請求項10】
前記監視情報送信手段は、
受信した識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報を特定し、特定された識別子情報に対応する作業者を手洗を行う作業者と判別する
ことを特徴とする
請求項9に記載の手洗監視システム。
【請求項11】
前記監視情報送信手段は、
受信した識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報を特定し、手洗用水の供給が開始された状態において、前記特定された識別子情報に対応する作業者を手洗を行っている作業者と判別する
ことを特徴とする
請求項9~請求項10のいずれかに記載の手洗監視システム。
【請求項12】
前記監視情報送信手段は、
画像を表示する表示部を有し、
受信した前記識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報を特定し、手洗用水の供給が開始された状態において、前記特定された識別子情報に対応する作業者を手洗を行っている手洗者であると判別し、
該手洗者を識別する情報を前記表示部に表示する
ことを特徴とする
請求項9~請求項11のいずれかに記載の手洗監視システム。
【請求項13】
前記手洗者を識別する情報は、
予め登録された前記手洗者の顔写真である
ことを特徴とする
請求項12に記載の手洗監視システム。
【請求項14】
前記ID手段は、
電源として使用されている電池の電圧を測定する電圧測定部を有し、
前記測定された電圧値が所定の通知閾値未満となると、電圧が低いことを表す電圧通知情報を前記監視情報送信手段に対して送信し、
前記監視情報送信手段は、
前記表示部に前記電圧通知情報に基づく通知画像を表示する
ことを特徴とする
請求項12または
請求項13に記載の手洗監視システム。
【請求項15】
前記監視情報送信手段は、
受信した識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報が所定の電波閾値を超えている場合には、前記表示部に手洗を促す手洗促進画像を表示する
ことを特徴とする
請求項12~
請求項14に記載の手洗監視システム。
【請求項16】
前記監視情報送信手段は、
受信した識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報が所定の電波閾値を超えている場合において、前記供給情報が供給されると、手洗の方法を指南する手洗指南画像を前記表示部に表示する
ことを特徴とする
請求項15に記載の手洗監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療品や衛生品、食品などを取り扱う現場に設置される手洗い用の電解水供給装置に使用される手洗監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設、食品を扱う現場などでは、衛生管理上、手洗いを徹底することが求められており、監視を行うなどして個人ごとに管理を行うことが望ましく、作業者の手洗状況を監視する手洗監視システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、かかる手洗監視システムでは、手洗者の認識精度を向上させることが重要である。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、手洗者の認識精度を向上させることができる手洗監視システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の手洗監視システムでは、
手洗用水を供給する手洗用水供給手段と、
作業者によって携帯され、無線通信によって識別子を識別子情報として送信するID(Identification)手段と、
前記手洗用水の供給に関する供給情報を取得する供給情報取得手段と、
前記手洗用水供給手段の内部又は外部近傍に配置され、前記識別子情報を取得する識別子情報取得手段と、
前記供給情報と前記識別子情報とを記録する記録手段とを備え、
前記ID手段は、
加速度を測定する加速度センサを備え、
前記加速度センサによって測定された加速度が所定の停止閾値未満になった場合に、作業者が移動していない非移動状態であると判別し、前記識別子を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、手洗者の認識精度を向上させることができる手洗監視システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】手洗監視システムの構成(1)を示す略線図である。
【
図2】手洗監視システムの構成(2)を示す略線図である。
【
図4】監視情報送信装置の構成を示す略線図である。
【
図6】供給情報送信装置の構成を示す略線図である。
【
図8】監視情報送信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<手洗監視システムの基本構成>
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示す1は、全体として手洗監視システムを示している。手洗監視システム1は、電解水供給装置2と、監視情報送信装置3と、ID(Identification)装置4と、集計装置5と、供給情報送信装置6とを有している。
図1では、2つの電解水供給装置2A~2Bに対し、それぞれ監視情報送信装置3A~3Bおよび供給情報送信装置6A~6Bが設置されている。またID装置4(図では4A~4B)は、作業者全員が身につけるものであり、作業者の数だけ存在する。
【0011】
図2に示すように、手洗監視システム1は、例えば食品などを取り扱う工場内で使用されることが想定されている。
図2では、工場内の一つの作業室を表している。電解水供給装置2及び監視情報送信装置3は、工場内における手洗場9の近傍に配置され、手洗場9に手洗用水を供給する。
【0012】
手洗場9の近傍の床には、手洗の順番を待つ待機ライン11が描かれており、作業者は手洗場9から見て待機ライン11より外側で待機する。従って手洗領域10には、手洗を行っている作業者と、手洗を行うために手洗場9に向かうため移動する作業者と、手洗が終了して手洗領域10から出ようと移動する作業者のみが存在することになる。
【0013】
図3に示すように、電解水供給装置2は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部21が電解水供給装置2の全体を統括的に制御するようになされている。
【0014】
センサ22は、衛生上の理由により、例えば赤外線など非接触式のものであることが好ましい。例えばセンサ22は、ユーザがセンサ22の前に手をかざすことにより、ユーザの手洗要求を感知すると、手洗要求信号を制御部21に供給する。
【0015】
制御部21は、センサ22から手洗要求信号を受信すると、電解水貯留部25から手洗用水の排出を開始する。
【0016】
具体的に、制御部21は、電解水貯留部25に対して排出開始信号を供給することにより、排出部26から手洗用の電解水(以下、これを手洗用水と呼ぶ)を排出させる。また、制御部21は、予め設定された供給時間に亘って手洗用水の供給を行うと、電解水貯留部25に対して供給停止信号を供給する。これにより、電解水供給装置2は、予め設定された供給時間だけ手洗用水の供給を行う。
【0017】
また、制御部21は、電解水貯留部25における手洗用水の残量を監視し、例えば手洗用水が所定量以下になると、電解水を生成する生成要求信号を電解水生成部24に対して供給する。
【0018】
電解水生成部24には、原料液貯留部23が接続されている。原料液貯留部23は、電解水原料液を貯蔵すると共に、電解水生成部24に対して電解水原料液を供給する。電解水の原液として水道水ではなく調整された電解水原料液を用いることにより、フィルターを設置することなく電極や配管の石灰化を防止でき、電解水供給装置2の小型化が可能となる。
【0019】
この電解水原料液としては、次亜塩素酸を発生させるため、電解質の一部又は全部として塩素を含有するものが使用されることが好ましい。好ましくは、塩化ナトリウムと塩酸とを混合した水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩酸、塩化カリウムなどが単独または混合されて使用される。次亜塩素酸の含有量が安定化するpHを保つためである。
【0020】
また、手洗用水としてアルカリ性電解水を用いることも可能である。この場合、電解水原料液としては、例えば炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどナトリウムを含有する水溶液や炭酸カリウム、水酸化カリウムなどカリウムを含有する水溶液が用いられることが好ましい。もちろん、酸性電解水及びアルカリ性電解水を混合して使用することも可能である。
【0021】
さらに、本実施の形態における電解水原料液は、次亜塩素酸の存在量を向上させる調整機能を有する調整ガスの微細気泡を含有しても良い。例えば、調整ガスとして酸素ガス(O2)若しくはオゾンガス(O3)を用いることにより、塩素の酸化を促進することができ、結果として電解水中の次亜塩素酸の存在量を向上させることができる。
【0022】
また、調整ガスとして塩素ガス(Cl2)を用いることにより、電解水原料液中の塩素含有量を増大させることができ、結果として電解水中の次亜塩素酸の存在量を向上させることができる。また、調整ガスとして水素ガス(H2)を使用することにより、電解水のpHを2.7~6.5の範囲にコントロールし易くできる。
【0023】
微細気泡は、1μm未満のいわゆる微細気泡であり、電解水原料液中において、数ヶ月以上に亘って安定的に存在することができる。また、電解水の代わりに、微細気泡を含有するナノバブル水や殺菌・芳香・保湿効果のある水、水道水などを手洗用水として使用することもできる。
【0024】
微細気泡に含まれるガス成分としては、空気の他に、殺菌効果のある塩素やオゾン、保湿効果のある炭酸や窒素、香りのある香り成分ガスや酸化防止効果のある水素、消臭効果のあるガスなど、特定の効果を有する特定効果ガスを使用することができる。また、生成されたナノバブル水に対して、香り成分や保湿成分などの仕上げ成分を混合することもできる。なお、本発明において、微細気泡は必ずしも必須ではない。
【0025】
電解水生成部24は、電解水原料液を電気分解して電解水を製造し、電解水貯留部25に供給する。電解水生成部24としては、公知のものを使用することができ、例えば無隔膜式の電解槽を用いることができる。また、2槽式、3槽式の電解槽で生成される酸性及びアルカリ性の電解水を混合しても良い。
【0026】
なお、例えば水道や純水など、電解水を希釈する希釈水の供給装置に接続された混合希釈部(図示しない)を設け、予め設定された混合比率で、電解水貯留部25から供給される電解水に希釈水を混合し、手洗用水として排出部26に供給するようにしても良い。
【0027】
このように、電解水供給装置2は、ユーザの手洗用水の供給要求に応じて、予め設定された時間に亘って手洗用水を供給するようになされている。
【0028】
図4に示すように、監視情報送信装置3は、コンピュータ構成でなり、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM及びRAMから構成される制御部31が監視情報送信装置3の全体を統括的に制御し、記憶部33に記憶されたプログラムをRAMに展開することにより手洗監視プログラムなどの各種プログラムが実行される。監視情報送信装置3としては、例えばスマートフォンやタブレット端末などの小型のコンピュータ端末が好適に使用される。
【0029】
監視情報送信装置3は、例えば音波やBluetooth(登録商標)といった数m(例えば0.5~3.0m)を通信範囲とする、いわゆる近距離通信機能と、有線LAN(Local Area Network)や無線LANなどといった比較的長距離での通信が可能ないわゆるローカルネットワークとの2つの通信機能を有している。また、監視情報送信装置3は、タッチパネルやボタンでなる操作入力部34と、液晶などでなる表示部35とを有している。
【0030】
制御部31は、近距離通信及びローカルネットワークを使用し、外部インターフェース32を介して外部の装置と通信を行う。
【0031】
図5に示すように、ID装置4は、図示しないMPU、ROM及びRAMから構成される制御部41がID装置4の全体を統括的に制御するようになされている。制御部41は、近距離通信機能を使用し、外部インターフェース42を介して外部の装置と通信を行う。ID装置4は、電源としてボタン電池などのいわゆる交換可能な乾電池や、繰返し充電可能な充電池を使用している。
【0032】
ID装置4には、識別子情報が記憶されており、近距離通信により所定の周期(例えば1~50Hz)で識別子情報を送信する。ID装置4は、監視センサ43として、加速度センサを有している。監視センサ43は、所定の周期(例えば1~1000Hz)で加速度を測定する。制御部41の停止判定部41Aは、監視センサ43を監視し、所定の測定期間(例えば0.05~1.0秒)における加速度の平均値である加速度測定値が移動閾値以上か否かを判別する。
【0033】
停止判定部41Aは、加速度閾値が移動閾値未満の場合には、現在が非移動状態であると判別し、識別子情報の送信を実行する。一方、加速度測定値が移動閾値以上である場合、現在が移動状態であると判別し、識別子情報の送信を停止する。すなわち、ID装置4は、作業者が停止中のときには識別子情報を送信する一方、作業者が移動中のときには識別子情報の送信を行わない。
【0034】
ID装置4は、例えば作業着の内部においてストラップなどで作業者の首に掛けたり、作業帽子や作業着にクリップで留めたり、作業着に縫い付けられたりなどして作業者に装着される(
図1参照)。
【0035】
また、ID装置4は、非移動状態の時間に応じて識別子情報の送信頻度を変更することができる。例えば、ID装置4は、非移動状態を維持している時間をカウントし、非移動時間が第1の非移動時間閾値を超えると、前記識別子情報の送信頻度を減少させる。
またID装置4は、前記非移動状態を維持している時間である非移動時間が第2の非移動時間閾値を超えると、前記識別子情報の送信を停止する。
【0036】
これにより、例えば休憩時間や就業終了後に作業者がID装置4を放置した場合であっても、自動的に識別子情報の送信を停止できるため、電池の消耗を抑制することができる。
【0037】
図6に示すように、供給情報送信装置6は、図示しないMPU、ROM及びRAMから構成される制御部61が供給情報送信装置6の全体を統括的に制御するようになされている。制御部61は、近距離通信機能を使用し、外部インターフェース62を介して外部の装置と通信を行う。供給情報送信装置6は、監視センサ63として、加速度センサを有している。
【0038】
供給情報送信装置6は、電解水供給装置2に取り付けられている。特に、手洗用水の供給時に大きく振動する排出部26の近傍(例えば排出ホース部分)に対して取り付けられることが好ましい。
【0039】
供給情報送信装置6は、電解水供給装置2の振動を測定することにより、電解水供給装置2における手洗用水の供給の有無を判別する。すなわち、監視センサ63は、所定の周期(例えば1~1000Hz)で加速度を測定する。供給情報送信装置6の供給判定部61Aは、監視センサ63を監視し、所定の測定期間(例えば0.05~1.0秒)における加速度の平均値である加速度測定値が振動閾値以上又は所定の範囲か否かを判別する。
【0040】
供給判定部61Aは、加速度測定値が振動閾値以上又は所定の範囲の場合には、手洗用水が供給されていることを表す供給情報を送信する一方、加速度測定値が振動閾値未満又は所定の範囲外の場合には、供給情報を送信しない。すなわち、供給情報送信装置6は、電解水供給装置2が手洗用水を供給しているときのみ供給情報を送信し、電解水供給装置2が手洗用水を供給していないときには供給情報を送信しない。
【0041】
上述したように監視情報送信装置3は、数mの通信範囲を有する近距離通信により、ID装置4から送信される識別子情報と供給情報送信装置6から送信される供給情報とを受信する。このため、監視情報送信装置3は、設置された位置から通信範囲内にあるID装置4および供給情報送信装置6から送信される識別子情報と供給情報とを受信する。
【0042】
監視情報送信装置3のID検出部31Aは、受信した識別子情報の電波強度に基づき、一の識別子情報を手洗を行う作業者(以下、これを手洗者と呼ぶ)として選択する。例えばID検出部31Aは、供給情報を受信すると、受信したときに最も電波強度の高い識別子情報を手洗者として選択する。ここで上述したように、ID装置4は、作業者が移動中のときには識別子情報を送信しない。このため、たまたま近くを通りかかった作業者が手洗者として認識してしまうことを防止でき、手洗者の認識精度を向上させることができる。
【0043】
また、監視情報送信装置3が識別子情報の送信要求信号を供給し、該送信要求信号を受信したときのみID装置4が識別子情報を送信することもできる。このときの送信要求信号は、所定の通信範囲(例えば0.5~2m)においてのみ供給される。これにより、作業者が監視情報送信装置3の通信範囲(すなわち電解水供給装置2の近傍)にいる場合にのみID装置4が識別子情報を送信するため、常時識別子情報を送信する場合と比較して、電力の消費を大きく低減させることができる。
【0044】
ID検出部31Aは、予め記憶部33に登録されている作業者の顔写真と氏名を表示部35に表示することにより、手洗者に自己を確認させる。なお、作業者の顔写真は、監視情報送信装置3を用いて撮影・登録することが可能である。また、集計装置5に顔写真を登録しても良い。
【0045】
また監視情報送信装置3は、表示部35に対する画像の表示や音出力部(図示しない)による音出力などにより、作業者に対して手洗の指南を行うことも可能である。例えば監視情報送信装置3は、作業者のID装置4から供給される識別子情報の電波強度が所定の電波強度を超えている場合には、作業者が手洗の準備ができていると判別し、例えば「手洗をしましょう」という文言や手の画像などを含むような、手洗を促進する手洗促進画像を表示部35に表示させる。
【0046】
また、監視情報送信装置3は、供給情報の受信と同時に、手洗の手順を指南する手洗動画像を表示開始することができる。この手洗動画像では、推奨される手洗方法に従って、手洗時間の経過と共、例えば5秒間のもみ洗いの後に指の間を一つずつ洗う、手首回りを2秒間洗うなどとというような、具体的な手洗の手順が時間を追って表示される。なお、所定の時間経過後に静止画像を切替えるようにしても同様に手洗の手順を表示することができる。
【0047】
監視情報生成部31Bは、供給情報の受信時間を確認し、手洗用水の供給時間および識別子情報の受信時間がいずれも手洗閾値以上又は所定の範囲であった場合に、供給条件を満たしたため手洗者が手洗を行ったと認識し、手洗者が手洗を開始した(すなわち供給情報を受信開始した)手洗開始時刻と、手洗者が手洗を終了した(すなわち供給情報を受信終了した)手洗終了時刻と、選択された識別子とを手洗監視情報として集計装置5へ送信する。また監視情報生成部31Bは、手洗者が手洗を中止したと認識した場合には、手洗を中止した手洗中止時刻を手洗監視情報に含める。
【0048】
図7に示すように、集計装置5は、コンピュータ構成でなり、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM及びRAMから構成される制御部51が集計装置5の全体を統括的に制御するようになされている。
【0049】
集計装置5の制御部51は、外部インターフェース52を介して手洗監視情報信号を受信すると、当該手洗監視情報信号(送信情報)から手洗監視情報を生成し、集計処理を行う。
【0050】
具体的に、制御部51の外部インターフェース52は、識別子に対応付けられたユーザごとに、供給開始信号及び供給終了信号に基づいて手洗監視情報を集計する。この結果、外部インターフェース52は、各ユーザが手洗いに使っている時間を集計することができる。
【0051】
そして制御部51は、操作者が操作入力部54を介して集計結果の表示要求を行うと、集計結果をグラフや一覧表にまとめ、表示部55に表示させる。
【0052】
この結果、管理者は、ユーザごとの手洗いの回数及び手洗いに使っている時間を視認することができ、手洗いに関する管理を徹底することができる。
【0053】
次に、監視情報送信装置3の制御部31が手洗監視プログラムに従って実行する手洗監視情報送信処理RT1について、
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0054】
監視情報送信装置3は、手洗監視情報送信処理を開始すると、ステップS01へ移る。
【0055】
ステップS01において、監視情報送信装置3は、供給情報に基づき手洗用水が供給開始されたか否かについて判別する。否定結果が得られると、監視情報送信装置3は、ステップS01において供給情報の受信を待ち受ける。
【0056】
ステップS01において肯定結果が得られた場合、このとき監視情報送信装置3は、このときの時刻を供給開始時刻と決定し、次のステップS02へ移る。
【0057】
ステップS02において、監視情報送信装置3は、受信中の識別子情報の電波強度を確認し、最も電波強度の大きい識別子情報を選択すると次のステップS03へ移る。
【0058】
ステップS03において、監視情報送信装置3は、供給情報に基づき手洗用水の供給がストップされたか否かについて判別する。ここで否定結果が得られると、監視情報送信装置3は、ステップS03に留まり、供給情報の受信を継続する。
【0059】
これに対してステップS03で肯定結果が得られると、監視情報送信装置3は、供給情報信号を最後に受信した時刻を供給終了時刻と決定し、次のステップS04へ移る。
【0060】
ステップS04において、監視情報送信装置3は、供給情報および受信した識別子情報に基づいて供給条件を満たすか否かについて判別する。ここで否定結果が得られた場合、監視情報送信装置3は、手洗が実行されていないと認識し、ステップS01へ戻る。一方、ステップS04において肯定結果が得られた場合、このことは手洗者によって適正に手洗が実行されたことを表しており、このとき監視情報送信装置3は、次のステップS05へ移る。
【0061】
ステップS05において、監視情報送信装置3は、供給開始時刻及び供給終了時刻、並びに識別子情報から抽出した識別子を手洗監視情報として送信すると、終了ステップへ移って処理を終了する。
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0062】
本発明の手洗監視システム(手洗監視システム1)では、 手洗用水を供給する手洗用水供給手段(電解水供給装置2)と、
作業者によって携帯され、無線通信によって識別子を識別子情報として送信するID(Identification)手段(ID装置4)と、
前記手洗用水の供給に関する供給情報を取得する供給情報取得手段(監視情報送信装置3の外部インターフェース32)と、
前記手洗用水供給手段の内部又は外部近傍に配置され、前記識別子情報を取得する識別子情報取得手段(監視情報送信装置3の外部インターフェース32)と、
前記供給情報と前記識別子情報とを記録する記録手段(監視情報送信装置3の記憶部33または集計装置5の記憶部53)とを備え、
前記ID手段は、
作業者が移動していない非移動状態のときに前記識別子を送信することを特徴とする。
【0063】
これにより、例えばたまたま近くを通りかかった移動状態の作業者を手洗者として誤認識することを防止でき、手洗者の認識精度を向上させることができる。
【0064】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段は、
加速度を測定する加速度センサを備え、
前記加速度センサによって測定された加速度が所定の停止閾値未満になった場合に、前記非移動状態であると判別することを特徴とする。
【0065】
これにより、加速度によって移動状態または非移動状態を適切に判別できる。
【0066】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段は、前記非移動状態を維持している時間である非移動時間が第1の非移動時間閾値を超えると、前記識別子情報の送信頻度を減少させることを特徴とする。
【0067】
これにより、例えば休憩時間や就業終了後などのように非移動状態が長い場合に識別子情報を送信しないため、電池の消耗を抑制することができる。
【0068】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段は、前記非移動状態を維持している時間である非移動時間が第2の非移動時間閾値を超えると、前記識別子情報の送信を停止することを特徴とする。
【0069】
これにより、例えば休憩時間や就業終了後などのように非移動状態が長い場合に識別子情報を送信しないため、電池の消耗を抑制することができる。
【0070】
手洗監視システムでは、前記手洗用水供給手段による手洗用水の供給の有無を検出し、前記供給情報を前記供給情報取得手段に送信する供給検出手段を備えることを特徴とする。
【0071】
これにより、手洗の有無と手洗者とを関連付けて集計手段に送信することができる、供給情報と手洗者との関係性を明確にできる。
【0072】
手洗監視システムにおいて、前記供給検出手段は、
前記手洗用水供給手段における振動を検出することにより、
前記手洗用水の供給の有無を検出することを特徴とする。
【0073】
これにより、振動を検出する外付けの装置を用いて手洗用水の供給情報を検出することができ、手洗用水供給手段から直接的に供給状況を表す信号を取得する方法と比較して、手洗監視システムの構成を簡易にすることができる。
【0074】
手洗監視システムにおいて、前記供給検出手段は、
前記手洗用水供給手段から手洗用水の供給状況を表す供給信号を受信することにより、
前記手洗用水の供給の有無を検出することを特徴とする。
【0075】
これにより、手洗監視システムでは、手洗用水の供給状況に基づく正確な供給情報を集計装置に送信することができる。
【0076】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段は、電源として電池が使用されていることを特徴とする。
【0077】
これにより、ID手段は移動状態において識別子情報を送信せずに済み、電池を大幅に節約することができる。
【0078】
手洗監視システムにおいて、前記識別子情報取得手段は、近距離通信により識別子情報を要求するID要求信号を供給し、前記ID手段は、前記ID要求信号に応じて前記識別子情報を送信することを特徴とする。
【0079】
これにより、前記識別子情報取得手段の要求がない場合には識別子情報を送信しないため、常に識別子情報を送信する場合と比較して電池の消耗を抑制することができる。
【0080】
手洗監視システムにおいて、前記供給情報取得手段と、前記識別子情報取得手段と、前記供給情報および前記識別子情報を含む監視情報を送信する送信手段とを有する監視情報送信装置(監視情報送信装置3)と、前記記録手段と、前記監視情報を受信する受信手段とを有する集計装置(集計装置5)とを備えることを特徴とする。
【0081】
これにより、複数台の監視情報送信装置を1台の集計装置によって管理することができ、手洗監視システムの設計の自由度を高めることができる。
【0082】
手洗監視システムにおいて、前記監視情報送信手段は、
受信した前記識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報を特定し、特定された識別子情報に対応する作業者を手洗を行う作業者と判別することを特徴とする。
【0083】
これにより、複数の作業者が近傍に位置する場合であっても、手洗者を適切に判別することができる。
【0084】
手洗監視システムにおいて、前記監視情報送信手段は、
受信した前記識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報を特定し、手洗用水の供給が開始された状態において、前記特定された識別子情報に対応する作業者を手洗を行っている作業者と判別することを特徴とする。
【0085】
これにより、手洗用水が供給されているときだけ手洗者の判別を行えば良いため、手洗用水が供給されていないときに手洗者を判別するといったムダな処理を省くと共に手洗者を適切に判別することができる。なお、手洗用水の供給開始の判別と、識別子情報の特定との順番に制限はなく、先に識別子情報の特定を行った状態で手洗用水の供給が開始されたことを判別し、特定された作業者が手を洗っていると判別しても良く、手洗用水の供給が開始された状態で最も電波強度の大きい一の識別子情報を特定し、特定された作業者が手を洗っていると判別してもよい。
【0086】
手洗監視システムにおいて、前記監視情報送信手段は、
画像を表示する表示部を有し、
受信した前記識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報を特定し、手洗用水の供給が開始された状態において、前記特定された識別子情報に対応する作業者を手洗を行っている手洗者であると判別し、
該手洗者を識別する情報を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0087】
これにより、手洗者に自身を確認させることができ、手洗者の認識精度を一層向上させ得る。
【0088】
手洗監視システムにおいて、前記手洗者を識別する情報は、
予め登録された前記手洗者の顔写真であることを特徴とする。
【0089】
これにより、手洗者に顔写真を用いて自身を確認させることができ、手洗者の認識精度を一層向上させ得る。
【0090】
手洗監視システムにおいて、前記ID手段は、電源として使用されている電池の電圧を測定する電圧測定部を有し、前記測定された電圧値が所定の通知閾値未満となると、電圧が低いことを表す電圧通知情報を前記監視情報送信手段に対して送信し、前記監視情報送信手段は、前記表示部に前記電圧通知情報に基づく通知画像を表示することを特徴とする。
【0091】
これにより、電池の残量不足を作業者に通知できるため、電池の残量不足に伴うトラブルを事前に回避できる。
【0092】
手洗監視システムにおいて、前記監視情報送信手段は、受信した識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報が所定の電波閾値を超えている場合には、前記表示部に手洗を促す手洗促進画像を表示することを特徴とする。
【0093】
これにより、監視情報送信手段が有する表示部を用いて、手洗者の認証が終了したことを作業者に知らせつつ手洗の開始を促すことができる。
【0094】
手洗監視システムにおいて、前記監視情報送信手段は、受信した識別子情報のうち、最も電波強度の大きい一の識別子情報が所定の電波閾値を超えている場合において、前記供給情報が供給されると、手洗の方法を指南する手洗指南画像を前記表示部に表示することを特徴とする。
【0095】
これにより、監視情報送信手段が有する表示部を用いて、手洗者に対して手洗の指南をすることができる。
【0096】
<他の実施の形態>
【0097】
なお、上述実施形態においては、識別子情報と供給開始時刻と供給停止時刻とが集計装置5に供給されるようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば電解水貯留部25にpH測定器、温度計、有効塩素濃度測定計が設置されている場合には、電解水が供給されているときの各測定値(pH、温度、有効塩素濃度)を一緒に集計装置5に供給するようにしても良い。これにより、手洗時における電解水の品質を証明することが可能となる。また、供給情報は、手洗用水の供給の有無や供給の開始・終了などが分かる情報であればよく、手洗供給装置の制御部が送信する供給信号を供給情報として監視情報送信装置にも送信したり、手洗供給装置が手洗用水の供給時にランプ点灯を行う場合には、ランプの点灯の有無を検出して供給情報としてもよい。これらの監視情報は、無線または有線で集計装置に送信される。
【0098】
さらに、集計装置5において、識別子情報と供給開始時刻と供給停止時刻に基づき、平均手洗時間や、一定期間(日、週、月、年など)当りの手洗回数及び時間などを集計することも可能である。
【0099】
また、上述実施形態においては、供給情報の受信後、最初に検出された識別子を集計装置5に供給するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば上記に加えて、識別子情報の変化を監視し、変化した場合には、上記に加えて変化した時刻及び識別子を集計装置5に送信しても良い。また、検出された識別子の全てを集計装置5に送信しても良い。
【0100】
さらに、上述実施形態においては、作業者の識別として無線通信を利用して手洗者の存在を確認したが、本発明はこれに限らず、例えば画像識別子や体重計など別のセンサを用いて手洗者の存在を確認するようにしても良い。また、特段センサを設けなくても、人物の検出に応じて手洗用水を供給開始するようにしても良い。
【0101】
また、上述実施の形態においては、電解水供給装置2は、予め設定された量又は時間に亘って手洗用水を供給するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、センサ22は、人物の手を検出し、電解水供給装置2は、人物の手が検出されている間、手洗用水を供給するようにしてもよい。これにより、ユーザごとに必要な量だけ、無駄なく電解水を供給することが可能となる。
【0102】
さらに、上述実施形態においては、生成した電解水をそのまま手洗用水として使用したが、本発明はこれに限られない。例えば電解水貯留部25にpH測定器や有効塩素濃度測定器を設け、pHや有効塩素濃度測定器が所定の値の範囲内になるように希釈水(水道水やナノバブル水など)を加えたり、生成された電解水の量に応じた希釈水を加えたりして電解水貯留部25の内部で手洗用水を調製しても良い。また、電解水貯留部25は必須ではなく、電解水の生成と供給がセットで行われてもよい。この場合、電解水貯留部25の代わりに電解水の供給を調整する弁を有する電解水供給部が設置される。
【0103】
さらに、上述実施の形態においては、監視情報送信装置3を外付けにしたようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、電解水供給装置2に内蔵してもよい。
【0104】
さらに、ID装置4を防水仕様にすることにより、ID装置4が落下した地点に水があった場合であっても故障することなく通信を行うことが可能となる。また、ID装置4にマイク機能やスピーカ機能を設けても良い。
【0105】
上述実施形態では、ID装置4と監視情報送信装置3間でペアリング処理をしていないが、監視情報送信装置3は、手洗用水の供給が終了する度に近距離通信圏内のスキャニングを行い、最も電波強度の大きいID装置4を選択してペアリング処理を実行するようにしてもよい。このとき、例えば表示部(図示しない)に「●●さん、手を洗ってください」と表示したり、音声出力したりすることにより、ID装置4の検出ミス(人違い)を減少させることが可能である。なお、供給情報送信装置6と監視情報送信装置3間では、常に1対1で通信を行うため、ペアリング処理をすることが望ましい。
【0106】
上述実施形態では、電解水供給装置2を2台設置するようにしたが、本発明はこれに限らず、1つの手洗場9に対して1台または任意の台数の電解水供給装置2を設置することも可能である。この場合、集計装置5を介して又は監視情報送信装置3同士が直接通信することにより相互に通信を行い、現在手洗中の作業者をスキャニングの際に除外して検出しないようにすることができる。また相互通信により、隣接する電解水供給装置2間における手洗用水の供給状況や手洗有無の状況を勘案して手洗判別の精度を向上させることもできる。
【0107】
上述実施形態では、加速度センサを用いて作業者の移動状態または非移動状態を判別したが、本発明はこれに限らず、例えばGPS(global positioning system)やNFC(Near Field Communication)などの位置検出システムを用いて判別しても良い。
【0108】
上述実施形態では、識別子情報と供給情報とを関連付けて監視情報として送信したが、本発明はこれに限らず、必ずしも関連付ける必要は無い。例えば、識別子情報と供給情報とをそれぞれ受信した際にそれぞれを送信しても良い。
【0109】
上述実施形態では、ID装置4が電池を電源にする場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば電磁誘導式によって電池なしで作動したり、外付けのバッテリを電源とすることも可能である。
【0110】
上述実施形態では、監視情報送信装置4が供給情報を受信(ステップS02)してから一の識別子情報を選択(ステップS03)したが、本発明はこれに限らず、一の識別子情報を選択している状態において供給情報を受信、すなわちステップS03の後にステップS02が実行されても良い。この場合であっても上述実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
上述実施形態では、ID装置4が送信時の電波強度を調整するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、電波強度の調整を行わないようにしても良い。この場合、例えばID検出部31Aは、継続して手洗者の識別子情報の電波強度を監視し、電波強度が低下閾値(例えば手洗開始からの平均強度の60~70%)未満に低下した場合、警告音を発生させたり、表示部35に表示などすることにより、必要な手洗時間が経過していないことを手洗者に通知する。また、電波強度が所定の低下閾値(例えば手洗開始からの平均強度の30~50%)未満に低下した場合、手洗者が手洗を中止したと認識する。
【0112】
上述実施形態では、電波強度が最も大きい一の作業者を手洗者としたが、本発明はこれに限らず、最も手洗者らしい一の作業者を手洗者とすればよく、例えば位置情報や手洗履歴などの情報を総合的に勘案して手洗者を認識することができる。
【0113】
上述実施形態では、非移動時間に応じて識別子情報の送信頻度を変更するようにしたが、本発明はこれに限らず、この構成は必ずしも必要ではない。例えば監視情報送信装置など他装置からのID要求信号に応じて、すなわち特定のエリアに作業者がいる場合にのみ識別子情報を送信する場合などには、非移動時間に応じた識別子情報の送信の送信頻度の変更を行わなくても良い。また、監視情報送信装置からのID要求信号の送信も必須ではない。これらの構成を適宜選択し、組み合わせて使用することができる。
【0114】
上述実施形態では、振動に基づく供給情報を監視情報送信装置3に送信したが、本発明はこれに限らず、電解水供給装置2から直接的に供給開始・停止を表す供給信号を受信したり、実際に手洗を行っていることを手洗場の音(すなわち電解水の供給に基づいて発生する音)などから検出して供給情報としたりすることも可能である。
【0115】
また上述実施形態では、振動の大きさによって手洗用水の供給の有無を判別し供給情報として送信するするようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば排出部における弁の開閉に特有な振動を検出し、手洗用水の供給開始または供給終了を判別して供給情報として送信することもできる。また、供給開始および終了に手洗用水の供給の有無と組み合わせたものを供給情報としても良い。
【0116】
上述実施形態では、ID装置が電圧低下を検出して電圧通知情報を監視情報送信手段に送信するようにしたが、本発明はこれに限らず、この構成は必須でない。例えば監視情報送信装置が電波強度から電池の消耗を推測してもよい。また、ID装置自身が所定のライトや音出力などによって電圧低下を作業者に通知しても良い。
【0117】
上述実施形態では、監視情報送信装置が手洗促進画像や手洗指南画像を表示したが、本発明はこれに限らず、この構成は必須でない。例えば、監視情報送信装置またはID装置からの音出力によるアナウンスなどによって手洗を推進・指南しても良い。
【0118】
上述実施形態では、監視情報送信装置3が供給情報取得手段と、識別子情報取得手段とを有し、集計装置5が記録手段を有するようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば監視情報送信手段が集計手段の機能を兼ね、供給情報取得手段と、識別子情報取得手段と記録手段とを有していても良い。また、集計装置が供給情報取得手段と、記録手段とを有し、識別子情報取得手段を別構成の装置または供給情報送信装置が兼ねるようにしても良い。
【0119】
上述実施形態では、供給条件を満たしたときのみ監視情報を送信する場合について述べたが本発明はこれに限らず、例えば供給情報または受信した識別子情報の全てを監視情報として送信しても良い。これにより、手洗場の状況を集計装置によって常に監視することができる。
【0120】
さらに、上述実施形態においては、手洗用水供給手段としての電解水供給装置2と、ID手段としてのID装置4と、監視情報送信手段としての監視情報送信装置3と、集計手段としての集計装置5とによって手洗監視システムとしての手洗監視システム1を構成するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成による電解水供給手段と、ID手段と、監視情報送信手段と、集計手段とによって本発明の手洗監視システムを構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、例えば病院や介護施設などの手洗いスペースに設置される手洗用水供給装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1:手洗監視システム、2:電解水供給装置、3:監視情報送信装置、4:ID装置、5:集計装置、6:供給情報送信装置、9:手洗場、10:手洗領域、11:待機ライン、21:制御部、22:センサ、23:原料液貯留部、24:電解水生成部、25:電解水貯留部、26:排出部、31:制御部、31A:ID検出部、31B:監視情報生成部、32:外部インターフェース、33:記憶部、34:操作入力部、35:表示部、41:制御部、41A:停止判定部、42:外部インターフェース、43:監視センサ、51:制御部、52:外部インターフェース、53:記憶部、54:操作入力部、55:表示部、61:制御部、61A:供給判定部、62:外部インターフェース、63:監視センサ