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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】気体成分検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20221219BHJP
   G01N 30/64 20060101ALI20221219BHJP
   G01N 30/88 20060101ALI20221219BHJP
   G01N 30/40 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G01N30/26 M
G01N30/64 Z
G01N30/88 G
G01N30/40
G01N30/26 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020096824
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021189105
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-05-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】504253980
【氏名又は名称】有限会社ピコデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】津田 孝雄
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119403(JP,A)
【文献】特開2005-315704(JP,A)
【文献】特開2005-098817(JP,A)
【文献】特開2005-221341(JP,A)
【文献】特開2013-140154(JP,A)
【文献】特開平06-148166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出気体の成分を分離するカラムと、
前記カラムの下流に接続され、前記被検出気体の成分を検出するセンサと、
前記カラムと前記センサとを接続する下流側流路と、
前記下流側流路に配置された流路切替器と、
を備え、
前記流路切替器は、
前記カラムから排出された前記被検出気体を前記センサに流入させる計測態様と、前記カラムから排出された前記被検出気体を外部に排出する排出態様と、前記下流側流路から前記カラムを通過するように気体を逆流させることで前記カラムを洗浄する逆流態様と、
を切り替えて実行し、
前記流路切替器は、
バルブまたは整流機能を有するブロアを備え、
制御部によって前記バルブまたは前記ブロアを制御することで前記被検出気体の前記センサへの流路を遮断し、前記被検出気体を外部に放出する、
気体成分検出装置。
【請求項2】
前記被検出気体を搬送するキャリアガスを前記カラムに導入するキャリアガス導入ポンプを備え、
前記流路切替器は、
前記キャリアガス導入ポンプによるキャリアガスの導入開始時刻を基準にして、前記計測態様を開始する、
請求項1に記載の気体成分検出装置。
【請求項3】
前記被検出気体を搬送するキャリアガスを前記カラムに導入するキャリアガス導入ポンプを備え、
前記流路切替器は、
前記キャリアガス導入ポンプによるキャリアガスの導入開始時刻を基準にして、前記排出態様を開始する、
請求項1に記載の気体成分検出装置。
【請求項4】
前記流路切替器は、
前記センサの出力の変化を基準にして、前記計測態様を開始する、
請求項2または請求項3に記載の気体成分検出装置。
【請求項5】
前記センサは、半導体センサである、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の気体成分検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスクロマトグラフィの技術を用いて、気体の成分を検出する気体成分検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、クロマトグラフィを用いて成分を検出する装置(例えば、特許文献1参照)が、各種実用化されている。そして、クロマトグラフィの一種として、ガスクロマトグラフィがある。ガスクロマトグラフィは、気体に含まれる成分を検出する。
【0003】
ガスクロマトグラフィを用いた気体成分検出装置は、被検出気体をキャリアガスによって搬送し、検出器に曝すことによって、気体の成分を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-256714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体センサ等の特定のセンサを検出器に用いる場合、被検出気体(被検出気体)とともに、センサを被毒させる気体が含まれていると、当該被毒気体によって、センサが被毒してしまう。そして、センサが被毒すると、感度の劣化等、センサの性能が劣化してしまう。
【0006】
したがって、本発明は、センサの被毒を抑制する気体成分検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の気体成分検出装置は、カラム、センサ、下流側流路、および、流路切替器を備える。カラムは、被検出気体の成分を分離する。センサは、カラムの下流に接続され、被検出気体の成分を検出する。下流側流路は、カラムとセンサとを接続する。流路切替器は、下流側流路に配置されている。流路切替器は、カラムから排出された被検出気体をセンサに流入させる計測態様と、カラムから排出された被検出気体を外部に排出する排出態様とを切り替えて実行する。
【0008】
この構成では、カラムによって、被検出気体における被毒成分と計測対象成分とは、分離される。被毒成分は、排出態様によって外部に排出され、計測対象成分は、計測態様によってセンサに流入する。これにより、被毒成分がセンサに流入することは抑制される。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、センサの被毒を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る気体成分検出装置の構成を示す図である。
図2図2(A)、図2(B)は、気体成分検出装置の主要動作を示すフローチャートである。
図3図3(A)、図3(B)、図3(C)は、各動作時の気体の流れを示す図である。
図4図4(A)、図4(B)は、各動作時の気体の流れを示す図である。
図5図5(A)は、計測態様(計測期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行するフローチャートであり、図5(B)は、排出態様(排出期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行するフローチャートである。
図6図6(A)は、計測態様(計測期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図であり、図6(B)は、排出態様(排出期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図である。
図7図7(A)は、複数の計測態様(計測期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図であり、図7(B)は、複数の排出態様(排出期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図である。
図8図8は、計測対象成分の信号と排出対象成分の信号とが近接する場合における流路の切り替えを実行する概念を示す図である。
図9図9は、計測態様、排出態様、および、逆流態様を含む場合の流路の切り替えを実行する概念を示す図である。
図10図10(A)、図10(B)、図10(C)は、流路切替器の構成を示す図である。
図11図11は、ブロアの構成の一例を示す側面断面図である。
図12図12は、補助流路切替器をさらに備えた気体成分検出装置の構成を示す図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る気体成分検出装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る気体成分検出装置について、図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る気体成分検出装置の構成を示す図である。なお、図1は、気体成分検出装置を、機能ブロックを用いて模式的に示している。
【0012】
(気体成分検出装置10の構成)
図1に示すように、気体成分検出装置10は、制御部20、カラム21、流路切替器22、センサ23、吸気ポンプ31、キャリアガス導入ポンプ32、投入容器40、および、フィルタ50を備える。また、気体成分検出装置10は、流路61、流路621、流路622、流路63、流路64、および、流路65を備える。
【0013】
流路61、流路621、流路622、流路63、流路64、および、流路65は、流路に直交する面の断面積(流路断面積)が略一定の管状である。流路621と流路622とによって、本発明の「下流側流路」が構成される。
【0014】
流路61は、カラム21と吸気ポンプ31とに連通する。流路621は、カラム21と流路切替器22とに連通する。流路622は、流路切替器22とセンサ23とに連通する。センサ23は、開口72を介して外部空間に連通する。また、流路切替器22は、開口73を介して外部空間に連通する。
【0015】
流路63は、流路61とキャリアガス導入ポンプ32とに連通する。流路64は、吸気ポンプ31と投入容器40とに連通する。流路65は、キャリアガス導入ポンプ32とフィルタ50とに連通する。フィルタ50は、開口71を介して外部空間に連通する。
【0016】
制御部20は、流路切替器22、吸気ポンプ31、および、キャリアガス導入ポンプ32に接続する。制御部20は、流路切替器22、吸気ポンプ31、および、キャリアガス導入ポンプ32の動作を制御する制御信号を生成し、流路切替器22、吸気ポンプ31、および、キャリアガス導入ポンプ32に出力する。流路切替器22、吸気ポンプ31、および、キャリアガス導入ポンプ32は、入力された制御信号によって、所定の動作を実行する。なお、この制御および動作の詳細は、後述する。
【0017】
カラム21は、管状であり、内部に、吸着体または担体を備える。また、カラム21の流路断面積および管長、吸着体種類、担体の種類、すなわち、カラム21の仕様は、被検出気体の各成分の分解能等に基づいて決定される。カラム21は、既知の概念によって、流路61から流入する被検出気体の各成分の搬送時間を異ならせることで、各成分を分解し、流路621に送出する。
【0018】
流路切替器22は、計測態様と排出態様とを切り替える。または、流路切替器22は、計測態様、排出態様、および、逆流態様を切り替える。計測態様では、流路切替器22は、流路621から流路622に向けて気体を搬送する。排出態様では、流路切替器22は、流路621から開口73に向けて気体を搬送する。逆流態様では、流路切替器22は、開口73から流路621に向けて気体を搬送する。
【0019】
センサ23は、例えば、半導体センサを備える。なお、センサの種類は、特定の気体によって被毒する性質を有するものであれば、半導体センサに限らず、本発明の構成に適用できる。センサ23は、被検出気体の各成分の濃度に応じた強度の電圧を、計測信号として出力する。この計測信号によって、被検出気体に含まれる成分を検出できる。
【0020】
投入容器40は、呼気等の被検出気体を収容している。投入容器40は、着脱可能な容器である。吸気ポンプ31は、流路64を通じて、投入容器40から被検出気体を吸入し、流路61に送出する。
【0021】
フィルタ50は、気体清浄化フィルタであり、例えば、空気に含まれる塵、微粒子等の不純物を濾過する。この濾過された気体が、ガスクロマトグラフィ用のキャリアガスとなる。キャリアガス導入ポンプ32は、流路65を通じて、フィルタ50から出力されたキャリアガスを吸入し、流路63を通じて、流路61に送出する。この際、キャリアガス導入ポンプ32は、カラム21の仕様と同様に、被検出気体の成分の分解能が所望の性能となるように、流速を決定する。
【0022】
(気体成分検出装置10における被検出気体の搬送および成分の検出方法)
図2(A)、図2(B)、図2(C)は、気体成分検出装置の主要動作を示すフローチャートである。図2(A)は、計測と排出を実行する場合を示し、図2(B)は、計測、排出、逆流を実行する場合を示し、図2(C)は、洗浄を含めた別の主要動作を示す。
【0023】
図3(A)、図3(B)、図3(C)、図4(A)、図4(B)は、各動作時の気体の流れを示す図である。
【0024】
(計測と排出を実行する場合:図2(A)参照)
・前洗浄(順流洗浄)
気体成分検出装置10は、前洗浄(順流洗浄)を実行する(S11)。前洗浄では、制御部20は、吸気ポンプ31を停止させ、キャリアガス導入ポンプ32を動作させる。また、制御部20は、流路切替器22を、計測態様と同様の態様にする。
【0025】
これにより、図3(A)に示すように、フィルタ50で生成されたキャリアガスは、キャリアガス導入ポンプ32、流路65、流路61を通じて、カラム21に送入される。なお、吸気ポンプ31には、バルブが備え付けられており、制御部20は、前洗浄時に、バルブを閉じる。これにより、流路61と流路64(投入容器40)との連通は遮断される。
【0026】
カラム21を通ったキャリアガスは、流路621を通じて、流路切替器22に挿入される。流路切替器22は、計測態様と同様に、流路621と流路622とを連通する。これにより、キャリアガスは、流路622、センサ23、開口72を通じて、外部に送出される。
【0027】
このような動作によって、キャリアガスが計測用の流路の順方向に流れ、カラム21およびセンサ23は、キャリアガスによって洗浄される。さらには、流路61、流路621、流路622、流路切替器22も洗浄される。これにより、残留成分によるセンサ23の被毒は、抑制される。また、新たな計測における残留成分による誤差は、抑制される。なお、この前洗浄は、省略することもできるが、これらの理由によって、実施するとよい。
【0028】
・被検出気体の投入
気体成分検出装置10は、被検出気体を投入する(S12)。被検出気体の投入では、制御部20は、吸気ポンプ31を動作させ、キャリアガス導入ポンプ32を停止させる。
【0029】
これにより、図3(B)に示すように、投入容器40に収容された被検出気体は、流路64、吸気ポンプ31を通じて、流路61に投入される。
【0030】
・被検出気体の搬送
気体成分検出装置10は、被検出気体をカラム21に送入するように搬送する(S13)。被検出気体の搬送では、制御部20は、キャリアガス導入ポンプ32を動作させる。
【0031】
これにより、図3(C)、図4(A)に示すように、流路61に投入された被検出気体は、キャリアガスと混合し、カラム21に挿入される。
【0032】
・排出切替付き計測
気体成分検出装置10は、予め設定した条件に基づいて、カラム21から送出された被検出気体の成分の計測と、カラム21から送出された被検出気体の排出と、を切り替えて実行する(S14)。排出切替付き計測では、制御部20は、キャリアガス導入ポンプ32を動作させる。また、制御部20は、流路切替器22を、計測態様と排出態様とで切り替えるように動作させる。
【0033】
排出態様では、図3(C)に示すように、カラム21から送出された被検出気体は、流路621、および、流路切替器22を通じて、開口73から排出される。排出態様は、被検出気体におけるセンサ23を被毒させる成分、すなわち、計測に対して不要な成分が搬送される期間(排出期間)に実行される。被毒させる成分としては、例えば、シロキサン、塩素ガス、硫化ガス、メチルメルカブタン、フレオンガス等である。
【0034】
計測態様では、図4(A)に示すように、カラム21から送出された被検出気体は、流路621、流路切替器22、および、流路622を通じて、センサ23に送入する。計測態様は、被検出気体における計測対象の成分が搬送される期間(計測期間)に実行される。計測対象の成分は、例えば、アセトンである。
【0035】
ここで、上述のように、被検出気体における各成分は、カラム21を通過する時間(搬送時間)が異なる。したがって、カラム21から複数の成分が出力される時間には差が生じる。このため、各成分が流路切替器22に送入される時間にも差が生じる。これを利用することで、排出期間と計測期間とは、区別して設定できる。
【0036】
このような処理を実行することで、気体成分検出装置10は、計測対象の成分をセンサ23で計測し、且つ、被毒成分等の不要成分によるセンサ23の被毒等を抑制し、センサ23の性能劣化を抑制できる。
【0037】
(計測、排出、逆流を実行する場合:図2(B)参照)
逆流を実行する態様は、上述の計測と排出とを実行する態様に対して、さらに逆流を実行する態様を追加した点で異なる。計測態様と排出態様とは、図2(A)に示す上述の場合と同様であり、説明は省略する。
【0038】
気体成分検出装置10は、計測が終了すると(S15:YES)、逆流態様である後洗浄(逆流洗浄)を実行する(S16)。なお、所定の計測(例えば所定回数の計測等)が終了していなければ(S15:NO)、排出切替付きの計測が継続される。
【0039】
気体成分検出装置10は、後洗浄(逆流洗浄)を実行する(S16)。後洗浄(逆流洗浄)では、制御部20は、吸気ポンプ31およびキャリアガス導入ポンプ32を停止させる。なお、キャリアガス導入ポンプ32には、バルブが備え付けられており、制御部20は、後洗浄時に、バルブを閉じる。これにより、流路63と流路65(フィルタ50)との連通は遮断される。
【0040】
制御部20は、流路切替器22を、逆流態様で動作させる。逆流態様では、流路切替器22は、開口73から気体を吸入して、流路621に送出する。また、流路切替器22は、開口73と流路622との連通を遮断する。
【0041】
逆流態様では、図4(B)に示すように、開口73から吸入された気体(外気)は、流路切替器22、および、流路621を通じて、カラム21に送入される。さらに、気体は、カラム21、流路61、吸気ポンプ31、流路64を通じて、投入容器40に送入され、投入容器40から外部に排出される。これにより、流路621、カラム21、流路61、吸気ポンプ31、流路64、および、投入容器40は、外気によって洗浄される。この結果、残留成分による次の計測時でのセンサ23の被毒、計測誤差の増大等の悪影響は、抑制される。なお、投入容器40は、開口73から吸入された気体(外気)ではなく、別に用意された流路により洗浄されていてもよい。この場合、投入容器40にクリーンエアーを導入する機構(例えば、流路切替器22とは別の流路切替器)が直結される。
【0042】
なお、このような後洗浄は、少なくともカラム21を洗浄できればよい。したがって、カラム21のみを洗浄するのであれば、流路61の途中に排出弁を設置するとよい。この場合、流路61の排出弁は、計測態様および排出態様では遮断状態とし、逆流態様では開放状態とすればよい。
【0043】
(別の洗浄を実行する場合:図2(C)参照)
図2(C)に示す動作(処理フロー)は、図2(B)に示した動作(処理フロー)に対して、カラムの洗浄方向において異なる。他の動作は、図2(B)と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0044】
・(前洗浄)
気体成分検出装置10は、前洗浄を実行する(S11A)。この前洗浄は、カラム21を逆流洗浄し、センサ23を順流洗浄する。より具体的には、制御部20は、流路切替器22を、逆流態様で動作させる。この場合、吸気ポンプ31を、双方向の気体搬送が可能な構成にする。そして、制御部20は、吸気ポンプ31を排気態様、すなわち、流路61から流路64に気体を搬送するように制御する。これにより、カラムの逆流洗浄が実現される。
【0045】
また、制御部20は、流路切替器22にて、開口73と流路622とを連通する。この際、流路切替器22または流路621に、逆流防止弁を設置し、制御部20は、この逆流防止弁を閉じる。開口73から吸入された気体(外気)は、流路622を通じて、センサ23に挿入され、センサ23から開口72に送出される。これにより、センサ23の順流洗浄が実現される。
【0046】
このようなカラム21の逆流洗浄を含む前洗浄を行うことによって、過去の計測等によって、カラム21に残留していた気体(例えば、雑ガス)を、センサ23に送出することなく、効果的に排除できる。特に、カラム21を構成する液相にとらわれ、残留した気体は、カラム21の入口付近(流路61側)に貯まり易い。したがって、逆流洗浄を行うことによって、カラム21に残留した気体を、より効果的に排出できる。
【0047】
・(後洗浄)
気体成分検出装置10は、計測の終了後、後洗浄を実行する(S16A)。ステップS16Aの後洗浄は、上述のステップS11Aの前洗浄と同様である。
【0048】
(計測態様と排出態様の制御方法の具体的な一例)
上述の流路の切り替えを実行するため、気体成分検出装置10における制御部20を含む各部は、次の制御を実行する。なお、以下では、各種の制御を、制御部20によって実行する態様を示すが、気体成分検出装置10の各部(流路切替器22、吸気ポンプ31、キャリアガス導入ポンプ32)が個々に制御部を備え、各制御部間で制御用のデータを送受信することで、制御を実行することも可能である。
【0049】
図5(A)は、計測態様(計測期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行するフローチャートであり、図5(B)は、排出態様(排出期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行するフローチャートである。図5(C)は、洗浄を含むフローチャートである。図6(A)は、計測態様(計測期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図であり、図6(B)は、排出態様(排出期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図である。図6(C)は、流路切り替えを行いながら計測を行う態様におけるガスクロマトグラフの一例を示す図である。なお、図6(A)、図6(B)に示すように、本願の構成、処理を用いなければ、センサに入力される成分(排出対象成分)については、破線で示している。以下、図7図8図9についても、本願の構成、処理を用いなければ、センサに入力される成分(排出対象成分)については、破線で示している。
【0050】
(計測態様基準:図5(A)、図6(A)参照)
制御部20は、計測開始のトリガを受けると、被検出気体の成分の計測を開始する(S21)。計測開始のトリガは、例えば、ユーザの操作入力等である。
【0051】
制御部20は、計測開始とともに、キャリアガス導入ポンプ32の動作を開始する。これにより、被検出気体は、キャリアガスとともに、カラム21に送入される。制御部20は、計測開始、すなわち、キャリアガス導入ポンプ32によるキャリアガスの導入開始時間に、計時を開始する。
【0052】
制御部20は、計測態様開始時間まで(S22:NO)、排気態様を実行するように、流路切替器22の動作を制御する(S23)。
【0053】
制御部20は、計測態様開始時間になると(S22:YES)、計測態様を実行するように、流路切替器22の動作を制御する(S24)。
【0054】
制御部20は、計測態様を継続する時間(計測期間の終了時間)までは(S25:NO)、計測態様を維持する。
【0055】
制御部20は、計測期間の終了時間になると(S25:YES)、計測態様を終了する。
【0056】
このような制御によって、図6(A)に示すような選択的な成分の検出が可能になる。
【0057】
まず、キャリアガスの導入開始時刻t0を基準に、計測態様開始時間ttsが計時される。上述のように、カラム21の仕様、キャリアガス導入ポンプ32の流速によって、被検出気体の各成分がカラム21から送出される時間、そして、センサ23に導入される時間は、推定できる。したがって、計測態様開始時間ttsは、計測対象成分がセンサ23に導入されるであろう導入開始時間tsを基準に設定できる。例えば、導入開始時間tsに対して、温度等の各種誤差に対するマージン時間Δtを差分した時間が、計測態様開始時間ttsに設定される。
【0058】
また、計測対象成分のスペクトル波形が現れる時間長tmも、同様に、カラム21の仕様、キャリアガス導入ポンプ32の流速によって推定できる。
【0059】
したがって、計測期間は、計測態様開始時間ttsと時間長tmとによって設定できる。
【0060】
そして、この期間を計測態様に制御し、他の期間を排出態様に制御する。これによって、センサ23は、計測対象成分のみを計測でき、排出対象成分によってセンサ23が曝されることを抑制できる。
【0061】
(排出態様基準:図5(B)、図6(B)参照)
制御部20は、計測開始のトリガを受けると、被検出気体の成分の計測を開始する(S31)。計測開始のトリガは、例えば、ユーザの操作入力等である。
【0062】
制御部20は、計測開始とともに、キャリアガス導入ポンプ32の動作を開始する。これにより、被検出気体は、キャリアガスとともに、カラム21に送入される。制御部20は、計測開始、すなわち、キャリアガス導入ポンプ32によるキャリアガスの導入開始時間に、計時を開始する。
【0063】
制御部20は、排出態様開始時間まで(S32:NO)、待機する。制御部20は、排出態様開始時間になると(S32:YES)、排出態様を実行するように、流路切替器22の動作を制御する(S33)。
【0064】
制御部20は、排出態様を継続する時間(排出期間の終了時間)までは(S34:NO)、排出態様を維持する。
【0065】
制御部20は、排出期間の終了時間になると(S34:YES)、排出態様を終了し、計測態様に切り替える(S35)。
【0066】
このような制御によって、図6(B)に示すような選択的な成分の検出が可能になる。
【0067】
まず、キャリアガスの導入開始時刻t0を基準に、排出態様開始時間ttvsが計時される。上述のように、カラム21の仕様、キャリアガス導入ポンプ32の流速によって、被検出気体の各成分がカラム21から送出される時間、そして、センサ23に導入される時間は、推定できる。したがって、排出態様開始時間ttvsは、排出対象成分がセンサ23に導入されるであろう導入開始時間tvsを基準に設定できる。例えば、導入開始時間tvsに対して、温度等の各種誤差に対するマージン時間Δtvを差分した時間が、排出態様開始時間ttvsに設定される。
【0068】
また、排出対象成分の信号波形が現れる時間長tvも、同様に、カラム21の仕様、キャリアガス導入ポンプ32の流速によって推定できる。
【0069】
したがって、排出期間は、排出態様開始時間ttvsと時間長tvとによって設定できる。
【0070】
そして、この期間を排出態様に制御し、他の期間を計測態様に制御する。これによって、センサ23は、排出対象成分によってセンサ23が曝されることを抑制しながら、計測対象成分のみを計測できる。
【0071】
(洗浄を行う場合:図5(C)、図6(C)参照)
この図5(C)、図6(C)に示す処理は、図5(A)、図6(A)に示した処理に対して、さらに、前洗浄と後洗浄を追加した点で異なる。他の処理は、同様であり、必要箇所を除いて、詳細な説明は省略する。
【0072】
制御部20は、常に計測トリガが始まる前はカラム21の逆流洗浄を行う(S201)。この時、制御部20は、センサ23を順流洗浄する。計測開始のトリガを受けると、被検出気体の成分の計測を開始する(S21)。計測開始のトリガは、例えば、ユーザの操作入力等である。
【0073】
制御部20は、計測開始とともに、吸気ポンプ31を使って投入容器の気体をカラム21へ送り込む。制御部20は、所定の気体の量がカラムに送り込まれたら、吸気ポンプ31を止め、キャリアガス導入ポンプ32の動作を開始する。所定の気体の量は、流速と時間とによって制御される。これにより、被検出気体は、キャリアガスとともに、カラム21に送入される。制御部20は、計測開始、すなわち、キャリアガス導入ポンプ32によるキャリアガスの導入開始時間に、計時を開始する。
【0074】
制御部20は、計測態様開始時間まで(S22:NO)、排気態様を実行するように、流路切替器22の動作を制御する(S23)。
【0075】
制御部20は、計測態様開始時間になると(S22:YES)、計測態様を実行するように、流路切替器22の動作を制御する(S24)。
【0076】
制御部20は、計測態様を継続する時間(計測期間の終了時間)までは(S25:NO)、計測態様を維持する。
【0077】
制御部20は、計測期間の終了時間になると(S25:YES)、計測態様を終了する。
【0078】
制御部20は、計測期間が終了したのち、流路切替器22を制御し、カラム21の逆流洗浄、および、センサ23の順流洗浄を行い、次の計測までその状態を維持する(S202)。すなわち、このステップS202の後洗浄は、上述のステップS201の前洗浄に繋がる。
【0079】
(複数の計測対象成分の計測)
上述の説明では、1種類の計測対象成分を計測する場合を示したが、複数種類の計測対象成分を計測しながら、排出対象成分を排出することができる。図7(A)は、複数の計測態様(計測期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図である。なお、基本的な制御は、複数種類の場合であっても、1種類の場合の制御を適用できるので、詳細な説明は省略する。
【0080】
複数種類の計測対象成分を計測する場合、計測対象成分毎に、計測態様開始時間と計測期間の時間長を設定すればよい。具体的には、図7(A)の場合であれば、第1の計測対象成分に対して、導入開始時間ts1が推定され、導入開始時間ts1から計測態様開始時間tts1が設定される。また、第1の計測対象成分に対して、計測期間の時間長tm1も設定される。同様に、第2の計測対象成分に対して、導入開始時間ts2が推定され、導入開始時間ts2から計測態様開始時間tts2が設定される。また、第2の計測対象成分に対して、計測期間の時間長tm2も設定される。
【0081】
そして、このように設定された複数の計測態様を実行するとともに、これら複数の計測態様以外の時間帯に対して排出態様を実行する。これにより、気体成分検出装置10は、複数種類の計測対象成分をそれぞれに計測しながら、排出態様成分によってセンサ23が曝されることを抑制できる。
【0082】
(複数の排出対象成分の排出)
図7(B)は、複数の排出態様(排出期間)の設定を基準に流路の切り替えを実行する概念を示す図である。なお、基本的な制御は、複数種類の場合であっても、1種類の場合の制御を適用できるので、詳細な説明は省略する。
【0083】
複数種類の排出対象成分を計測する場合、排出対象成分毎に、排出態様開始時間と排出期間の時間長を設定すればよい。具体的には、図7(B)の場合であれば、第1の排出対象成分に対して、導入開始時間tvs1が推定され、導入開始時間tvs1から排出態様開始時間ttvs1が設定される。また、第1の排出対象成分に対して、排出期間の時間長tv1も設定される。同様に、第2の排出対象成分に対して、導入開始時間tvs2が推定され、導入開始時間tvs2から排出態様開始時間ttvs2が設定される。また、第2の排出対象成分に対して、排出期間の時間長tv2も設定される。
【0084】
そして、このように設定された複数の排出態様を実行するとともに、これら複数の排出態様以外の時間帯に対して計測態様を実行する。これにより、気体成分検出装置10は、排出態様成分によってセンサ23が曝されることを抑制しながら、複数種類の計測対象成分をそれぞれに計測できる。
【0085】
(計測対象成分と排出対象成分の信号が近接する場合)
図8は、計測対象成分の信号と排出対象成分の信号とが近接する場合、言い換えれば、計測対象成分と排出対象成分が発生する時間とが近接する場合における流路の切り替えを実行する概念を示す図である。
【0086】
なお、基本的な制御は、計測対象成分の信号と排出対象成分の信号とが離れている場合の制御を適用できるので、詳細な説明は省略する。
【0087】
計測対象成分の信号と排出対象成分の信号とが近接する場合、計測期間の時間長を長く取り過ぎると、計測期間中に、排出対象成分の信号が現れてしまう。
【0088】
そこで、気体成分検出装置10の制御部20は、計測期間の時間長tmを、計測対象成分の信号が現れる時間長よりも短くする。例えば、図8に示すように、計測期間の時間長tmを、計測対象成分の信号の全体の時間長の略1/2にする。
【0089】
これにより、計測期間内に、排出対象成分の信号が現れることを抑制できる。なお、この場合、センサ23は、計測対象成分の信号の一部しか計測できないが、信号の変化率と、計測対象成分の濃度とは一意の関係にあるので、この場合であっても、計測対象成分の濃度を、精度良く計測できる。
【0090】
したがって、気体成分検出装置10は、計測対象成分の信号と排出対象成分の信号とが近接していても、計測対象成分をより確実に計測し、排出対象成分によってセンサ23が曝されることを抑制できる。
【0091】
(逆流態様(洗浄態様)を実行する場合)
上述の計測態様と排出態様とに加えて逆流態様(洗浄態様)を実行する場合は、例えば、次の制御によって実現が可能である。図9は、計測態様、排出態様、および、逆流態様を含む場合の流路の切り替えを実行する概念を示す図である。
【0092】
排出態様と計測態様との切り替えは、上述の説明(例えば、図6(A)の場合)と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0093】
計測期間の終了時間tteになると、制御部20は、これを検出して、計測態様から逆流態様に切り替える。これにより、気体成分検出装置10は、計測対象成分の計測、および、排出対象成分の排出とともに、カラム21等の洗浄を実行できる。
【0094】
(流路切替器の具体的な構成例)
上述の流路切り替えを実行するため、流路切替器は、例えば、図10(A)、図10(B)、図10(C)に示すような構成を備える。図10(A)、図10(B)、図10(C)は、流路切替器の構成を示す図である。
【0095】
図10(A)に示す流路切替器22は、ポンプ221とバルブ222とを備える。ポンプ221は、流路621と開口73との間に接続される。バルブ222は、流路621と流路622との間に接続される。
【0096】
この構成では、計測態様の場合、ポンプ221は動作せず、バルブ222は開放される。これにより、被検出気体における計測対象成分は、流路621から流路622に搬送され、センサ23に送入される。
【0097】
排出態様の場合、ポンプ221は動作し、バルブ222は遮断される。これにより、被検出気体における排出対象成分は、流路621から開口73に搬送され、外部に送出される。
【0098】
逆流態様の場合、ポンプ221は動作し、バルブ222は遮断される。この際、ポンプ221は、排出態様とは逆方向に気体を搬送するように制御される。これにより、開口73から外部の気体が吸入され、流路621に搬送され、カラム21に送入される。
【0099】
図10(B)に示す流路切替器22Aは、ブロア223とブロア224とを備える。ブロア223とブロア224とは、それぞれ逆止弁構造を有している。ブロア223およびブロア224は、一方向にのみ気体を搬送し、この搬送方向に対して逆方向には気体を搬送せず、遮断する。ブロア223は、流路621と開口73との間に接続され、流路621から開口73に向けて気体を搬送する。ブロア224は、流路621と流路622との間に接続され、流路621から流路622に向けて気体を搬送する。
【0100】
この構成では、計測態様の場合、ブロア223は停止させ、ブロア224は動作させる。これにより、被検出気体における計測対象成分は、流路621から流路622に搬送され、センサ23に送入される。
【0101】
排出態様の場合、ブロア223は動作させ、ブロア224は停止させる。これにより、被検出気体における排出対象成分は、流路621から開口73に搬送され、外部に送出される。
【0102】
なお、逆流態様を実行する場合には、ブロア223に並列させて、逆向きに、もう一つのブロアを接続すればよい。そして、ブロア223およびブロア224を停止させ、ブロア223に並列に接続したブロアを動作させればよい。
【0103】
図10(C)に示す流路切替器22Bは、ポンプ221とバルブ222Bとを備える。バルブ222Bは、流路621、流路622、および、ポンプ221に接続する。ポンプ221は、バルブ222Bと開口73との間に接続する。
【0104】
計測態様の場合、バルブ222Bは、流路621と流路622との間を連通し、流路621とポンプ221および開口73との間を遮断する。
【0105】
排出態様の場合、バルブ222Bは、流路621とポンプ221および開口73との間を連通し、流路621と流路622との間を遮断する排出態様と、を切り替える。
【0106】
逆流態様の場合、すなわち、カラム21を逆流洗浄する場合、バルブ222Bは、開口73およびポンプ221と流路621との間を連通し、開口73およびポンプ221と流路622との間を遮断し、流路621と流路622との間を遮断する。
【0107】
順流態様の場合、すなわち、センサ23を順流洗浄する場合、バルブ222Bは、開口73およびポンプ221と流路622との間を連通し、開口73およびポンプ221と流路621との間を遮断し、流路621と流路622との間を遮断する。
【0108】
さらに、逆流態様と順流態様とを同時に実行する場合、すなわち、カラム21の逆流洗浄とセンサ23の順流洗浄を行う場合、バルブ222Bは、開口73およびポンプ221と流路621との間を連通し、開口73およびポンプ221と流路622との間を連通する。
【0109】
なお、この構成では、逆流態様および順流態様を行わなければ、ポンプ221を省略することも可能である。
【0110】
図11は、ブロアの構成の一例を示す側面断面図である。図11に示すように、ブロア90は、振動板91、支持体92、圧電素子93、平板94、平板95、側壁部材961、側壁部材962、弁膜97を備える。
【0111】
振動板91は、例えば平面視して円形の平板である。振動板91の外周は、支持体92によって振動可能に支持されている。振動板91と支持体92との間には、開口910を有する。
【0112】
圧電素子93は、振動板91に設置されている。圧電素子93に駆動電圧を印加することで圧電素子93の圧電体は歪む。そして、この歪みによって、振動板91はベンディング振動する。
【0113】
平板94は、振動板91から離れた位置に配置されている。平板94の外縁付近と支持体92とは、環形の側壁部材961を用いて接合されている。平板94の中心付近には、複数の開口940を有する。
【0114】
平板95は、平板94から離れた位置に配置されている。平板95の外縁付近と平板94の外縁付近とは、環形の側壁部材962を用いて接合されている。平板95の中心付近には、開口950を有する。開口950は、平面視において、開口940と重ならない。
【0115】
弁膜97は、平膜である。弁膜97の中心付近には、開口970を有する。弁膜97は、平板94、平板95、および、側壁部材962によって囲まれる空間内に配置される。平面視において、弁膜97の開口970と平板95の開口950とは重なる。
【0116】
このような構成によって、ブロア90は、振動板91の振動によって、振動板91、平板94および側壁部材961によって囲まれる空間(ポンプ室)内の圧力分布が変動し、気体を搬送できる。ここで、開口910から気体が流入すると、気体は、ポンプ室の中央方向に搬送され、開口940を挿通する。この気体によって、弁膜97が平板95側に移動し、気体は、開口970および開口950を通って、外部に送出される。一方、開口950から気体が流入すると、弁膜97は、平板94側に移動し、平板94に当接する。これにより、開口940は、弁膜97によって塞がれる。したがって、気体は搬送されない。このような構成によって、ブロア90は、一方向への気体の搬送を実現できる。
【0117】
そして、上述の構成を用いることで、ブロア90は薄型になる。したがって、ブロア90を上述の各ブロアに採用することで、気体成分検出装置10を小型化できる。
【0118】
なお、上述の構成に補助流路切替器を追加してもよい。図12は、補助流路切替器をさらに備えた気体成分検出装置の構成を示す図である。図12に示すように、気体成分検出装置10Xは、補助流路切替器24を備える。補助流路切替器24は、ブロア241およびブロア242を備える。
【0119】
ブロア241は、カラム21の入口に連通する流路61と、流路64との間に接続する。ブロア241は、流路61から流路64への一方向に気体を搬送する。ブロア241は、例えば、上述の逆流態様、すなわち、カラム21の逆流洗浄、または、カラム21と投入容器40の逆流洗浄に利用できる。
【0120】
ブロア242は、流路61と開口74との間に接続する。ブロア242は、開口74から流路61への一方向に気体を搬送する。ブロア242は、例えば、カラム21の順流洗浄に利用できる。
【0121】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る気体成分検出装置について、図を参照して説明する。図13は、第2の実施形態に係る気体成分検出装置の構成を示す図である。
【0122】
図13に示すように、第2の実施形態に係る気体成分検出装置10Aは、第1の実施形態に係る気体成分検出装置10に対して、計測態様の開始トリガにおいて異なる。気体成分検出装置10Aの他の構成は、気体成分検出装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0123】
気体成分検出装置10Aは、制御部20Aを備える。制御部20Aは、センサ23から出力される計測信号を取得する。制御部20Aは、計測信号から信号強度Pを、所定のサンプリング周期で検出する。制御部20Aは、信号強度Pの時間変化率ΔP/ΔtPを、順次算出する。制御部20Aは、信号強度Pの時間変化率ΔP/ΔtPが閾値TH以上であれば、計測態様を実行する。
【0124】
このように、制御部20Aは、制御開始からの時間のみでなく、信号強度Pの時間変化率ΔP/ΔtPも用いて、流路の切り替えを行うことも可能である。
【0125】
なお、上述の各構成および制御は、適宜組合せが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0126】
10、10A、10X:気体成分検出装置
20:制御部
20A:制御部
21:カラム
22、22A、22B:流路切替器
23:センサ
24:補助流路切替器
31:吸気ポンプ
32:キャリアガス導入ポンプ
40:投入容器
50:フィルタ
61、621、622、63、64、65:流路
71、72、73、74:開口
221:ポンプ
222:バルブ
223、224、241、242、90:ブロア
91:振動板
92:支持体
93:圧電素子
94、95:平板
97:弁膜
910、940、950、970:開口
961、962:側壁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13