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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20221219BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20221219BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
G02F1/1335 505
G02F1/1335 510
G02F1/13357
G02F1/13363
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2017183548
(22)【出願日】2017-09-25
(65)【公開番号】P2018049273
(43)【公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】10-2016-0122498
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0121375
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】金 範錫
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ヒュン▼碩
(72)【発明者】
【氏名】金 柱▲ヒョン▼
(72)【発明者】
【氏名】辻 雅司
(72)【発明者】
【氏名】甘 尚娥
(72)【発明者】
【氏名】兪 貞恩
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-081398(JP,A)
【文献】特開2014-224835(JP,A)
【文献】特開2004-070329(JP,A)
【文献】特開2005-121827(JP,A)
【文献】特開2002-182036(JP,A)
【文献】特開2012-078431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0331278(US,A1)
【文献】特開2008-111977(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0137367(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0201909(US,A1)
【文献】特開2014-010398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源および液晶パネルを含み、
前記液晶パネルは、
前記光源側に位置する第1基板と、
前記第1基板と向き合う第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に位置する液晶層と、
前記第2基板と前記液晶層との間に位置し前記光源から第1可視光が供給されて第2可視光を放出する発光体を含む色変換層と、
前記液晶層と前記色変換層との間に位置する第1偏光層と、
前記液晶層と前記第1偏光層との間に位置する第1位相差層と、を含み、
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第1位相差層は下記関係式1の屈折率、関係式2の厚さ方向位相差及び関係式2’の面内位相差を満足し、
[関係式1]
x1≧ny1>nz1
前記関係式1において、
x1は第1位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y1は第1位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z1は第1位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である、
[関係式2]
40nm≦R th1 (450nm)≦310nm
前記関係式2において、
th1 (450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
[関係式2’]
0nm≦R in1 (450nm)≦20nm
前記関係式2’において、
in1 (450nm)は450nm波長で第1位相差層の面内位相差である、液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1位相差層は耐熱性高分子、耐熱性液晶またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記耐熱性高分子および前記耐熱性液晶は150℃以上のガラス転移温度を有する、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記光源と前記第1基板との間に位置する第2偏光層をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第2偏光層と前記第1基板との間に位置する第2位相差層をさらに含む、請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2位相差層は下記関係式3および4の屈折率を満足する、請求項5に記載の液晶表示装置:
[関係式3]
x2>ny2
[関係式4]
x2>nz2
前記関係式3および4において、
x2は第2位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項7】
前記第2位相差層は下記関係式5-1の屈折率を満足する、請求項に記載の液晶表示装置:
[関係式5-1]
x2>ny2=nz2
前記関係式5-1において、
x2は第2位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項8】
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第2位相差層は下記関係式6-1の位相差を満足する、請求項に記載の液晶表示装置:
[関係式6-1]
70nm≦Rin2(450nm)≦170nm
前記関係式6-1において、
in2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の面内位相差である。
【請求項9】
前記第1位相差層は下記関係式2-1の位相差を満足する、請求項に記載の液晶表示装置:
[関係式2-1]
130nm≦Rth1(450nm)≦310nm
前記関係式2-1において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項10】
前記光源と前記第1基板との間で前記第2位相差層の下部または上部に位置する第3位相差層をさらに含み、
前記第3位相差層は下記関係式7および8の屈折率を満足する、請求項に記載の液晶表示装置:
[関係式7]
x3>nz3
[関係式8]
y3>nz3
前記関係式7および8において、
x3は第3位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y3は第3位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z3は第3位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項11】
前記第3位相差層は下記関係式9の屈折率を満足する、請求項10に記載の液晶表示装置:
[関係式9]
x3≧ny3>nz3
前記関係式9において、
x3は第3位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y3は第3位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z3は第3位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項12】
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第1位相差層と前記第3位相差層は下記関係式10の位相差を満足し、
前記第2位相差層は、下記関係式6-3の位相差を満足する、請求項11に記載の液晶表示装置:
[関係式10]
130nm≦Rth1(450nm)+Rth3(450nm)≦310nm
前記関係式10において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で第3位相差層の厚さ方向位相差であり、
[関係式6-3]
40nm≦Rth2(450nm)≦200nm
前記関係式6-3において、Rth2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項13】
前記第1位相差層と前記第3位相差層は、それぞれ下記関係式11および12の位相差を満足する、請求項12に記載の液晶表示装置:
[関係式11]
20nm≦Rth1(450nm)≦290nm
[関係式12]
20nm≦Rth3(450nm)≦290nm
前記関係式11および12において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で第3位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項14】
前記第2位相差層は下記関係式5-2の屈折率を満足する、請求項に記載の液晶表示装置:
[関係式5-2]
x2>ny2>nz2
前記関係式5-2において、
x2は第2位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項15】
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第2位相差層は下記関係式6-2および6-3の位相差を満足する、請求項14に記載の液晶表示装置:
[関係式6-2]
40nm≦Rin2(450nm)≦110nm
[関係式6-3]
40nm≦Rth2(450nm)≦200nm
前記関係式6-2および6-3において、
in2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の面内位相差であり、
th2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項16】
前記第1位相差層は下記関係式2-2の位相差を満足する、請求項15に記載の液晶表示装置:
[関係式2-2]
40nm≦Rth1(450nm)≦260nm
前記関係式2-2において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項17】
前記発光体は量子ドットおよび蛍光体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記第2可視光は前記第1可視光と同一波長の光、または前記第1可視光より長い波長の光を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記第1可視光は青色光であり、
前記第2可視光は青色光、緑色光、赤色光またはこれらの組み合わせである、請求項18に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記液晶パネルは前記液晶層を中心として対向している画素電極と共通電極をさらに含み、
前記液晶層は前記画素電極と前記共通電極との間に電場無印加時に前記第1基板と前記第2基板の表面に対して垂直方向に配向される液晶を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
色変換層、第1偏光層、第1位相差層、共通電極、液晶層、画素電極、第2位相差層、第2偏光層および光源の順に配置され、
前記色変換層は前記光源から第1可視光が供給されて前記第1可視光と同一波長の光、または前記第1可視光より長い波長の光を含む第2可視光を放出する発光体を含み、
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第1位相差層は下記関係式1の屈折率、関係式2の厚さ方向位相差及び関係式2’の面内位相差を満足し、
前記第2位相差層は下記関係式3および4の屈折率を満足する、液晶表示装置:
[関係式1]
x1≧ny1>nz1
前記関係式1において、
x1は第1位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y1は第1位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z1は第1位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
[関係式2]
40nm≦R th1 (450nm)≦310nm
前記関係式2において、
th1 (450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
[関係式2’]
0nm≦R in1 (450nm)≦20nm
前記関係式2’において、
in1 (450nm)は450nm波長で第1位相差層の面内位相差であり、
[関係式3]
x2>ny2
[関係式4]
x2>nz2
前記関係式3および4において、
x2は第2位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項22】
前記第2位相差層は下記関係式5-1の屈折率を満足する、請求項21に記載の液晶表示装置:
[関係式5-1]
x2>ny2=nz2
前記関係式5-1において、
x2は第2位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項23】
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第1位相差層は下記関係式2-1の位相差を満足し、
前記第2位相差層は下記関係式6-1の位相差を満足する、請求項22に記載の液晶表示装置:
[関係式2-1]
130nm≦Rth1(450nm)≦310nm
[関係式6-1]
70nm≦Rin2(450nm)≦170nm
前記関係式2-1または6-1において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
in2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の面内位相差である。
【請求項24】
前記画素電極と前記第2偏光層との間に位置する第3位相差層をさらに含み、
前記第3位相差層は下記関係式7および8の屈折率を満足する、請求項22に記載の液晶表示装置:
[関係式7]
x3>nz3
[関係式8]
y3>nz3
前記関係式7および8において、
x3は第3位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y3は第3位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z3は第3位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項25】
前記第3位相差層は下記関係式9の屈折率を満足する、請求項24に記載の液晶表示装置:
[関係式9]
x3≧ny3>nz3
前記関係式9において、
x3は第3位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y3は第3位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z3は第3位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項26】
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第1位相差層と前記第3位相差層は下記関係式10の位相差を満足する、請求項25に記載の液晶表示装置:
[関係式10]
130nm≦Rth1(450nm)+Rth3(450nm)≦310nm
前記関係式10において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で第3位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項27】
前記第1位相差層と前記第3位相差層は、それぞれ下記関係式11および12の位相差を満足する、請求項26に記載の液晶表示装置:
[関係式11]
20nm≦Rth1(450nm)≦290nm
[関係式12]
20nm≦Rth3(450nm)≦290nm
前記関係式11および12において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で第3位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項28】
前記第2位相差層は下記関係式5-2の屈折率を満足する、請求項21に記載の液晶表示装置:
[関係式5-2]
x2>ny2>nz2
前記関係式5-2において、
x2は第2位相差層の面内屈折率が最も大きい方向である遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の面内屈折率が最も小さい方向である進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【請求項29】
前記光源の最大発光波長は450nmであり、
前記第1位相差層は下記関係式2-2の位相差を満足し、
前記第2位相差層は下記関係式6-2および6-3の位相差を満足する、請求項28に記載の液晶表示装置:
[関係式2-2]
40nm≦Rth1(450nm)≦260nm
[関係式6-2]
40nm≦Rin2(450nm)≦110nm
[関係式6-3]
40nm≦Rth2(450nm)≦200nm
前記関係式2-2、6-2または6-3において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
in2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の面内位相差であり、
th2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の厚さ方向位相差である。
【請求項30】
前記第1可視光は青色光であり、
前記第2可視光は青色光、緑色光、赤色光またはこれらの組み合わせである、請求項2129のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(liquid crystal displayay、LCD)は現在幅広く使用されている平板表示装置のうちの一つである。液晶表示装置は、電場生成電極が形成されている二枚の表示板と、その間に入っている液晶層を含み、電場生成電極の間に形成される電場によって液晶が回転しながら光の透過率が変わることになり、このような透過率の変化によって映像を表示する。
【0003】
液晶表示装置は光源から出る光と色フィルター(color filter)とを組み合わせて色を表示することができる。しかし、色フィルターは光源から出る光の相当量を吸収するため、光効率が低いこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/00331278号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近来、色フィルターの代わりに発光体を使って色を表示する光発光液晶表示装置(photoluminescent LCD)が研究されている。
【0006】
しかし、光発光液晶表示装置は、発光体の散乱特性などにより発光体上部に偏光板と補償フィルムを配置する既存構造を採用しにくい。したがって、色フィルターを使用する液晶表示装置と比較して明暗比が落ちる場合があり、これによって、表示特性が低下する場合がある。
【0007】
本発明の目的は、光発光液晶表示装置の明暗比を高めて表示特性を改善できる液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、光源および液晶パネルを含み、前記液晶パネルは前記光源側に位置する第1基板と、前記第1基板と向き合う第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に位置する液晶層と、前記第2基板と前記液晶層との間に位置し前記光源から第1可視光の供給を受けて第2可視光を放出する発光体を含む色変換層と、前記液晶層と前記色変換層との間に位置する第1偏光層と、前記液晶層と前記第1偏光層との間に位置する第1位相差層とを含む液晶表示装置を提供する。
【0009】
前記第1位相差層は耐熱性高分子、耐熱性液晶、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0010】
前記耐熱性高分子および前記耐熱性液晶は約150℃以上のガラス転移温度を有してもよい。
【0011】
前記液晶表示装置は前記光源と前記第1基板との間に位置する第2偏光層をさらに含んでもよい。
【0012】
前記液晶表示装置は前記光源と前記第1基板との間に位置する第2位相差層をさらに含んでもよい。
【0013】
前記第1位相差層は、下記関係式1の屈折率を満足する。
[関係式1]
nx1 ≧ ny1 >nZ1
前記関係式1において、
x1は第1位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y1は第1位相差層の進相軸での屈折率であり、
z1は第1位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0014】
前記第1位相差層は、下記関係式2の位相差を満足する。
[関係式2]
40 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 310 nm
前記関係式2において、Rth1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差である。
【0015】
前記液晶表示装置は、前記光源と前記第1基板との間に位置する第2位相差層とを含んでもよく、前記第2位相差層は、下記関係式3および4の屈折率を満足する。
[関係式3]
nx2 >ny2
[関係式4]
nx2 >nZ2
前記関係式3および4において、
x2は第2位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0016】
前記第2位相差層は、下記関係式5-1の屈折率を満足する。
[関係式5-1]
nx2 >ny2 nZ2
前記関係式5-1において、
x2は第2位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0017】
前記第2位相差層は、下記関係式6-1の位相差を満足する。
[関係式6-1]
70 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 170 nm
前記関係式6-1において、
in2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の面内位相差である。
【0018】
前記第1位相差層は、下記関係式2-1の位相差を満足する。
[関係式2-1]
130 nm ≦ Rth1(450nm)≦310 nm
前記関係式2-1において、Rth1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差である。
【0019】
前記液晶表示装置は、前記光源と前記第1基板との間で前記第2位相差層の下部または上部に位置する第3位相差層をさらに含んでもよく、前記第3位相差層は、下記関係式7および8の屈折率を満足する。
[関係式7]
nx3 >nZ3
[関係式8]
ny3 >nZ3
前記関係式7および8において、
x3は第3位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y3は第3位相差層の進相軸での屈折率であり、
z3は第3位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0020】
前記第3位相差層は、下記関係式9を満足する。
[関係式9]
nx3 ≧ ny3 >nZ3
前記関係式9において、
x3は第3位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y3は第3位相差層の進相軸での屈折率であり、
z3は第3位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
前記第1位相差層および前記第3位相差層は、下記関係式10の位相差を満足する。
[関係式10]
130 nm ≦ Rth1(450nm)+ Rth3(450nm)≦310 nm
前記関係式10において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で第3位相差層の厚さ方向位相差である。
【0021】
前記第1位相差層および前記第3位相差層は、それぞれ下記関係式11および12の位相差を満足する。
[関係式11]
20 nm≦Rth1(450nm)≦290 nm
[関係式12]
20 nm≦Rth3(450nm)≦290 nm
前記関係式11および12において、
th1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で第3位相差層の厚さ方向位相差である。
【0022】
前記第2位相差層は、下記関係式5-2の屈折率を満足する。
[関係式5-2]
nx2 >ny2 >nZ2
前記関係式5-2において、
x2は第2位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y2は第2位相差層の進相軸での屈折率であり、
z2は第2位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0023】
前記第2位相差層は、下記関係式6-2および6-3の位相差を満足する。
[関係式6-2]
40 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 110 nm
[関係式6-3]
40 nm ≦ Rth2(450nm) ≦ 200 nm
前記関係式6-2および6-3において、
in2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の面内位相差であり、
th2(450nm)は450nm波長で第2位相差層の厚さ方向位相差である。
【0024】
前記第1位相差層は、下記関係式2-2の位相差を満足する。
[関係式2-2]
40 nm ≦ Rth1(450nm)≦260 nm
前記関係式2-2において、Rth1(450nm)は450nm波長で第1位相差層の厚さ方向位相差である。
【0025】
前記発光体は、量子ドットおよび蛍光体のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0026】
前記第2可視光は前記第1可視光と同一であるか、または前記第1可視光より長い波長の光であってもよい。
【0027】
前記第1可視光は青色光であってもよく、前記第2可視光は青色光、緑色光、赤色光またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
前記液晶パネルは、前記液晶層を中心として対向している画素電極と共通電極とをさらに含んでもよく、前記液晶層は前記画素電極と前記共通電極との間に電場無印加時に前記第1基板および前記第2基板に対して垂直方向に配向される液晶を含んでもよい。
【0029】
他の実施形態によれば、色変換層、第1偏光層、第1位相差層、共通電極、液晶層、画素電極、第2位相差層、第2偏光層および光源の順に配置され、前記色変換層は前記光源から第1可視光の供給を受けて前記第1可視光と同一であるか、または前記第1可視光より長い波長の光である第2可視光を放出する発光体を含み、前記第1位相差層は前記関係式1の屈折率を満足し、前記第2位相差層は前記関係式3および4の屈折率を満足する液晶表示装置を提供する。
【0030】
前記第2位相差層は、前記関係式5-1の屈折率を満足する。
【0031】
前記第1位相差層は前記関係式2-1の位相差を満足し、前記第2位相差層は前記関係式6-1の位相差を満足する。
【0032】
前記液晶表示装置は、前記画素電極と前記第2偏光層との間に位置する第3位相差層をさらに含んでもよく、前記第3位相差層は、前記関係式7および8の屈折率を満足する。
【0033】
前記第3位相差層は、前記関係式9の屈折率を満足する。
【0034】
前記第1位相差層および前記第3位相差層は、前記関係式10の位相差を満足する。
【0035】
前記第1位相差層および前記第3位相差層は、前記関係式11および12の位相差を満足する。
【0036】
前記第2位相差層は、前記関係式5-2の屈折率を満足する。
【0037】
前記第1位相差層は前記関係式2-2の位相差を満足し、前記第2位相差層は前記関係式6-2および6-3の位相差を満足する。
【0038】
前記第1可視光は青色光であってもよく、前記第2可視光は青色光、緑色光、赤色光またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0039】
光発光液晶表示装置の明暗比を高めて、表示特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】一実施形態による液晶表示装置を概略的に示した断面図である。
図2】実施例1による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
図3】実施例2による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
図4】実施例3による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
図5】実施例6による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
図6】比較例1による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
図7】比較例2による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
図8】比較例3による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、権利範囲は様々な相異な形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0042】
図面では様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あるというとき、これは他の部分の“直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるというときは、その中間に他の部分がないことを意味する。
【0043】
以下、図面を参考にして一実施形態による液晶表示装置について説明する。
【0044】
図1は、一実施形態による液晶表示装置を概略的に示した断面図である。
【0045】
図1を参考にすれば、一実施形態による液晶表示装置500は、光源40、液晶パネル300、下部偏光層440および下部位相差層450を含む。
【0046】
光源40は液晶パネル300に光を供給する面光源、点光源または線光源であることができ、例えばエッジ型または直下型に配置することができる。光源40は発光体を含む発光部、発光部の下側に位置して発光部から出る光を反射させる反射板、発光部から発光した光を液晶パネル側に供給する導光板および/または導光板上部に位置する一つ以上の光学シートが含まれるが、これに限定されない。
【0047】
発光体は、例えば蛍光ランプまたは発光ダイオード(light emitting diode、LED)であり、例えば、可視光線領域の光(以下、‘可視光’という)を供給でき、例えば高いエネルギーを有する青色光(blue light)を供給することができる。
【0048】
液晶パネル300は光源40側に配置されている下部表示板100と、下部表示板100と対向する上部表示板200と、下部表示板100および上部表示板200の間に位置する液晶層3とを含む。
【0049】
下部表示板100は、下部基板110、複数の配線(図示せず)、薄膜トランジスターQ、画素電極191および配向膜11を含む。
【0050】
下部基板110は、例えば、ガラス基板または高分子基板のような絶縁基板であり、高分子基板は例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリイミドまたはこれらの組み合わせで作られるが、これに限定されない。
【0051】
下部基板110の上に、ゲート信号を伝達する複数のゲート線(図示せず)およびデータ信号を伝達する複数のデータ線(図示せず)が互いに交差して形成されており、ゲート線およびデータ線によって定義される領域にほぼ行列(matrix)形態で配列された複数の画素(pixel)PXを含む。
【0052】
下部基板110の上に複数の薄膜トランジスターQが形成されている。薄膜トランジスターQはゲート線に連結されているゲート電極(図示せず)、ゲート電極と重畳する半導体(図示せず)、ゲート電極と半導体との間に位置するゲート絶縁膜(図示せず)、データ線に連結されているソース電極(図示せず)および半導体を中心にソース電極と向き合うドレイン電極(図示せず)を含む。図1では、各画素(PX)に一つの薄膜トランジスターQを含む構造を例示的に示したが、これに限定されず、二つ以上の薄膜トランジスターを含んでもよい。
【0053】
薄膜トランジスターQの上には保護膜180が形成されており、保護膜180は薄膜トランジスターQを露出する接触孔185を有する。
【0054】
保護膜180の上には画素電極191が形成されている。画素電極191はITOまたはIZOのような透明導電体からなり、接触孔185を通じて薄膜トランジスターQと電気的に連結されている。画素電極191は所定のパターンを有する。
【0055】
画素電極191の上には配向膜11が形成されている。
【0056】
上部表示板200は、上部基板210、色変換層230、上部偏光層240、上部位相差層250、共通電極270および配向膜21を含む。
【0057】
上部基板210は、例えばガラス基板または高分子基板のような絶縁基板であり、高分子基板は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリイミドまたはこれらの組み合わせで作られるが、これに限定されない。
【0058】
上部基板210の一面にはブラックマトリックス(black matrix)とも呼ばれる遮光部材220が形成されている。遮光部材220は画素電極191の間の光漏れを防止する。
【0059】
また、上部基板210の一面には色変換層(color conversion layer)230が形成されている。色変換層230は所定の波長領域の光が供給されて、これと同一または他の波長領域の光を放出して色を表示することができる。色変換層230は光によって刺激されて自ら光を出す光発光(photoluminescence)物質、つまり、発光体を含む。発光体は、例えば量子ドットおよび蛍光体のうちの少なくとも一つであってもよい。
【0060】
また、発光体は光源40から供給された光の波長領域と同一またはそれより長い波長領域の光を放出することができる。例えば、光源40が青色光を供給する場合、発光体はそのような波長領域の青色光を放出したり、青色光より長い波長領域の光、例えば赤色光または緑色光を発光したりすることができる。
【0061】
このように発光体を含む色変換層230を含むことによって、高い光変換効率および低い消費電力を実現することができる。また、既存の染料および/または顔料を含む色フィルターが光源40から出る光の相当量を吸収して光効率が低いものと比較して、発光体を含む色変換層230は吸収による光の損失を低減できるので、光効率を高めることができる。また、発光体固有の発光色によって色純度を高めることができる。また、発光体は全ての方向に散乱される散乱光を発光するので、視野角特性を改善することができる。
【0062】
図1では、赤色光を放出する赤色発光体を含む赤色変換層230R、緑色光を放出する緑色発光体を含む緑色変換層230G、および青色光を放出する青色発光体を含む青色変換層230Bを示しているが、これに限定されない。赤色変換層230Rは、例えば約590nm超過700nm以下の波長領域の光を放出することができ、緑色変換層230Gは約510nm乃至590nmの波長領域の光を放出することができ、青色変換層230Bは約380nm以上510nm未満の波長領域の光を放出することができる。また、発光体は、例えば青緑色(cyan)光を放出する発光体、赤紫色(magenta)光を発光体および/または黄色(yellow)光を放出する発光体であってもよく、このような発光体をさらに含んでもよい。また、光源40が青色光を供給する時、青色変換層230Bは別途の発光体なしに光源から供給される光をそのまま透過させて青色を表示でき、この時、青色変換層230Bは空いていたり、透明絶縁体を含んでいたりしてもよい。
【0063】
発光体は、例えば蛍光体および量子ドットのうちの少なくとも一つであってもよい。
【0064】
また、赤色変換層230Rは赤色蛍光体を含むことができ、例えばYS:Eu、YVO:Eu、Bi、YS:Eu、Bi、SrS:Eu、(Ca、Sr)S:Eu、SrY:Eu、CaLa:Ce、(Sr、Ca、Ba)SiO:Eu、(Sr、Ca、Ba)Si:Euおよび(Ca、Sr)AlSiN:Euから選択された一つ以上でありうる。また、緑色変換層230Gは緑色蛍光体を含むことができ、例えばYBO:Ce、Tb、BaMgAl1017:Eu、Mn、(Sr、Ca、Ba)(Al、Ga):Eu、ZnS:Cu、AlCaMg(SiOCl:Eu、Mn、BaSiO:Eu、(Ba、Sr)SiO:Eu、Ba(Mg、Zn)Si:Eu、(Ba、Sr)Al:Eu、SrSi.2SrCl:Eu、(Sr、Ca、Ba、Mg)P:Eu、Mn、(Sr、Ca、Ba、Mg):Eu、Mn、CaScSi12:Ce、CaSc:Ce、b-SiAlON:Eu、LnSi:Tbおよび(Sr、Ca、Ba)Si:Euから選択された一つ以上でありうる。
【0065】
また、赤色変換層230は量子ドットを含むことができる。量子ドットは広い意味の半導体ナノ結晶を意味し、例えば等方性半導体ナノ結晶、クアンタムロードおよびクアンタムプレートなど多様な形態を有することができる。ここで、クアンタムロードは縦横比が1より大きい、例えば縦横比が約2以上、約3以上または約5以上の量子ドットを意味する。また、クアンタムロードの縦横比は約50以下、約30以下、または約20以下であってもよい。量子ドットは、例えば約1nm乃至約100nmの粒径(球形でない場合、最も長い部分の大きさ)を有することができ、例えば約1nm乃至80nmの粒径を有することができ、例えば約1nm乃至50nmの粒径を有することができ、例えば約1nm乃至20nmの粒径を有することができる。
【0066】
量子ドットは、大きさおよび/または組成を変化させて発光波長を調節することができる。例えば、量子ドットはII族-VI族化合物、III族-V族化合物、IV族-VI族化合物、VI族化合物またはこれらの組み合わせを含むことができる。II-VI族化合物は、例えばCdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgSおよびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnSおよびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびHgZnTeS、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeおよびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択される。III-V族化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSbおよびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNPおよびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSbおよびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択される。IV-VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTeおよびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTeおよびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTeおよびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択される。IV族化合物は、Si、Geおよびこれらの混合物からなる群より選択される単元素化合物;およびSiC、SiGeおよびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物からなる群より選択される。
【0067】
量子ドットは前記二元素化合物、三元素化合物または四元素化合物を実質的に均一な濃度に含んだり、濃度分布が部分的に異なる状態に分かれて含んだりしてもよい。量子ドットは、一つの量子ドットを異なる量子ドットが取り囲むコア-シェル(core-shell)構造を有することもできる。例えば、量子ドットのコアとシェルの界面はシェルに存在する元素の濃度が中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有することができる。例えば、量子ドットのシェルを構成する物質組成が量子ドットのコアをなす物質組成より高いエネルギーバンドギャップを有することができ、これによって、量子拘束効果を有することができる。量子ドットは、一つの量子ドットのコアとこれを取り囲む多層の量子ドットのシェルを含む構造であってもよい。この時、多層のシェル構造は2層以上のシェル構造を有するもので、それぞれの層は単一組成、合金または濃度勾配を有することができる。例えば、多層のシェルの中、コアから遠い方に位置するシェルがコアから近く位置するシェルより高いエネルギーバンドギャップを有することができ、これによって、量子拘束効果を有することができる。
【0068】
量子ドットは約10%以上、例えば約30%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上または約90%以上の量子収率(quantum yield)を有することができるが、これに限定されない。量子ドットは比較的狭い幅のスペクトルを有することができる。例えば、量子ドットは約45nm以下、例えば約40nm以下または約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅を有することができる。
【0069】
量子ドットは、ポリマーに分散している量子ドット-ポリマー複合体の形態で色変換層230に含まれる。ポリマーは、量子ドット-ポリマー複合体のマトリックス(matrix)の役割をすることができ、量子ドットを消光(quenching)しない物質であれば特に限られない。ポリマーは透明ポリマーであることができ、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(メチル)アクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート(PBMA)、これらの共重合体またはこれらの組み合わせであることができるが、これに限定されない。量子ドット-ポリマー複合体は1層または多層であってもよい。
【0070】
色変換層230の一面には上部偏光層240が形成されている。
【0071】
上部偏光層240は、液晶パネル300内部に位置する内部偏光層(in-cellpolarizing layer)であり、色変換層230の下部の全面(whole surface)に配置されている。上部偏光層240は色変換層230の下部に位置して、色変換層230に偏光された光を供給することができる。
【0072】
このように上部偏光層240は色変換層230の下部に位置し液晶パネル300の外側に付着された別途の偏光層を備えないことにより、色変換層230の発光体から放出した光が液晶パネルの外側に付着された偏光層の影響を受けることなく明暗比を改善することができる。具体的に、色変換層230の発光体は偏光が壊れた状態の散乱光(scattered light)を放出するが、もし色変換層230の上部、つまり、散乱光が通過する位置に偏光層が位置する場合ブラック輝度が大きく増加して明暗比が低くなることができる。また、色変換層230の発光体から放出した散乱光による液晶表示装置の視野角の改善効果を妨害せず、そのまま維持できる。
【0073】
したがって、上部偏光層240として内部偏光層を使うことで、発光体から放出される光が液晶パネルの外部に付着された偏光層の影響を受けて色が変質したり映像が歪曲されたりすることを防止し、発光体固有の発光特性を維持することによって高い色純度を確保し光損失を減少させることができる。また、内部偏光層は約1μm以下の薄膜であるので、液晶表示装置の厚さを減少させることができる。
【0074】
上部偏光層240は光源40から出て液晶層3を通過した光を線偏光に変換させる線状偏光子(linear polarizer)であってもよい。
【0075】
また、上部偏光層240は、例えば延伸されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)からなり、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを延伸し、これにヨードまたは異色性染料を吸着させた後、ホウ酸処理および洗浄などの方法で形成することができる。
【0076】
また、上部偏光層240は、例えば、高分子と異色性染料を溶融混合(melt blend)して準備された偏光フィルムであって、例えば、高分子と異色性染料を混合し前記高分子の溶融点以上の温度で溶融してシートに製作する方法で形成してもよい。前記高分子は疎水性高分子であってもよく、例えばポリオレフィンであってもよい。
【0077】
また、上部偏光層240はワイヤーグリッド偏光子(wire grid polariZer)であってもよい。ワイヤーグリッド偏光子は、複数の金属ワイヤーが一方向に配列されている構造で、入射光がワイヤーグリッド偏光子を通過すれば金属ワイヤーに平行な成分は吸収または反射し、垂直な成分だけが透過して線偏光をなす。この時、光の波長が金属ワイヤー間の間隔より大きい場合に効率的な線偏光をなす。ワイヤーグリッド偏光子は内部偏光層に適用可能であり、薄い厚さによって液晶表示装置500の薄型化を実現するに有利である。
【0078】
上部偏光層240の一面には上部位相差層250が形成されている。
【0079】
上部位相差層250は液晶パネル300内部に位置する内部位相差層(in-cell phase difference layer)である。また、上部位相差層250は上部偏光層240と当接している。また、上部位相差層250は他の層を介在して上部偏光層240から離隔しており、例えば、酸化ケイ素、酸化窒素のような絶縁膜を介在して離隔している。上部位相差層250は1層または2層以上であってもよい。
【0080】
上部位相差層250は下部表示板100の外側に備えられた下部位相差層450と組み合わせて位相差を調節することによって、ブラックモードで色変換層230に到達する前の側面からの光漏れを減らすこと又は防止することができ、これによって、ブラックモードで色変換層230の不必要な発光を減らすことによって、ブラック輝度を減少させて明暗比を改善することができる。
【0081】
上部位相差層250は耐熱性高分子、耐熱性液晶またはこれらの組み合わせを含んでもよい。耐熱性高分子は、例えば、約150℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する高分子から選択され、例えば、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミド、ポリカーボネート、シクロオレフィンまたはこれらの組み合わせであることができるが、これに限定されるものではない。耐熱性高分子は前記範囲内で例えば、約180℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することができ、例えば、約200℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することができ、例えば、約220℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することができ、例えば、約230℃以上のガラス転移温度(Tg)を有することができる。また、上部位相差層250は正または負の複屈折率を有する液晶からなる液晶層を含んでもよく、液晶層の一面に配向膜をさらに含んでもよい。
【0082】
また、上部位相差層250は耐熱性高分子から作られたフィルムを一軸または二軸延伸して所定の位相差を付与できる。また、上部位相差層250は耐熱性高分子または耐熱性液晶を溶液として準備してコーティングおよび乾燥し、乾燥段階で耐熱性高分子または耐熱性液晶の線配向または面配向を誘導することによって、所定の位相差を付与できる。
【0083】
上部位相差層250の一面には共通電極270が形成されている。共通電極270は、例えば、ITOまたはIZOなどの透明な導電体からなり、上部位相差層250の全面に形成されることができる。共通電極270は所定のパターンを有することができる。
【0084】
共通電極270の一面には配向膜21が塗布されている。
【0085】
下部表示板100と上部表示板200との間には複数の液晶30を含む液晶層3が介在している。液晶30は正または負の誘電率異方性を有することができる。また、液晶30は負の誘電率異方性を有することができる。また、液晶30は画素電極191と共通電極270との間に電場無印加時に基板110、210の表面に対して実質的に垂直方向に整列されている。したがって、液晶表示装置500は垂直配向液晶表示装置(vertical alignment LCD)を実現することができる。
【0086】
下部偏光層440は下部表示板100の外側に付着している。下部偏光層440は線状偏光子であってもよく、光源40から供給される光を偏光させて液晶層3に偏光された光を供給することができる。
【0087】
また、下部偏光層440は、例えば、延伸されたポリビニルアルコール(PVA)からなり、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを延伸し、これにヨードまたは異色性染料を吸着させた後、ホウ酸処理および洗浄などの方法で形成することができる。
【0088】
また、下部偏光層440は、例えば、高分子と異色性染料を溶融混合して準備された偏光フィルムであって、例えば、高分子と異色性染料を混合し前記高分子の溶融点以上の温度で溶融してシートに製作する方法で形成してもよい。前記高分子は疎水性高分子であってもよく、例えばポリオレフィンであってもよい。
【0089】
また、下部偏光層440はワイヤーグリッド偏光子であってもよい。ワイヤーグリッド偏光子は、上部偏光層240と組み合わせて液晶表示装置500の薄型化を実現するに有利である。
【0090】
下部位相差層450は下部表示板100の外側に付着しており、下部表示板100と下部偏光層440との間に配置されている。下部位相差層450は1層または2層以上であってもよい。
【0091】
前述のように、上部位相差層250は下部位相差層450と組み合わせて位相差を調節することによって、ブラックモードで色変換層230に到達する前の側面からの光漏れを減らすこと又は防止することができ、したがって、ブラックモードで色変換層230の不必要な発光を減らすことによって、ブラック輝度を減少させて明暗比を改善することができる。上部位相差層250と下部位相差層450の組み合わせは光漏れを減らし明暗比を高めるように多様に具現される。
【0092】
また、上部位相差層250は、例えば、下記関係式1の屈折率を満足する。
[関係式1]
nx1 ≧ ny1 >nz1
前記関係式1において、
x1は上部位相差層の面内屈折率が最も大きい方向(以下、遅相軸(slow axis)という)での屈折率であり、
y1は上部位相差層の面内屈折率が最も小さい方向(以下、進相軸(fast axis))での屈折率であり、
z1は上部位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0093】
前記関係式1において、nx1とny1がnx1>ny1の場合、例えばnx1の屈折率がny1の屈折率より約0.02以下の範囲でより大きいこともあり、前記範囲内で、例えば、約0.01以下の範囲でより大きいこともある。これを満足することによって、上部位相差層250は実質的に面内等方性を有することができる。
【0094】
上部位相差層250は関係式1の屈折率を満足することによって、視野角依存性を減らす補償機能を行うことができる。
【0095】
上部位相差層250の位相差は、面内位相差Rin1と厚さ方向位相差Rth1で表される。上部位相差層250の面内位相差Rin1は上部位相差層250の面内方向で発生する位相差で、Rin1=(nx1-ny1)dで示される。上部位相差層250の厚さ方向位相差Rth1は上部位相差層250の厚さ方向で発生する位相差で、Rth1={[(nx1+y1)/2]-nz1}d1で示される。ここで、dは上部位相差層250の厚さである。
【0096】
上部位相差層250はnx1、ny1、nz1および/または厚さdを変化して所定範囲の面内位相差および厚さ方向位相差を有するように調節することができる。
【0097】
前記関係式1を満足する上部位相差層250は、例えば、下記関係式2の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式2]
40 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 310 nm
前記関係式2において、Rth1(450nm)は450nm波長で上部位相差層の厚さ方向位相差である。
【0098】
前記関係式2を満足することにより、厚さ方向位相差を減少または相殺させることによって、視野角依存性を減らして補償機能を行うことができる。
【0099】
ここでは、450nm基準にして位相差が記載されているが、光源の発光波長が変更されると基準波長が変更され、この場合、位相差も変更される。例えば、位相差と基準波長は0.25xλBL(nm)≦Rth(λBL)≦0.70xλBL(nm)(λBL(nm)は、光源の最大発光波長である)の関係に設定され、例えば、0.28xλBL(nm)≦Rth(λBL)≦0.70xλBL(nm)の関係に設定され、例えば、0.30xλBL(nm)≦Rth(λBL)≦0.70xλBL(nm)の関係に設定されるが、これに限定されない。
【0100】
上部位相差層250は、例えば、下記関係式2aの厚さ方向位相差を満足する。
[関係式2a]
40 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 290 nm
【0101】
上部位相差層250は、例えば、下記関係式2bの厚さ方向位相差を満足する。
[関係式2b]
40 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 270 nm
【0102】
前記関係式1を満足する上部位相差層250は、例えば、下記関係式2'の面内位相差を満足する。
[関係式2’ ]
0nm ≦ Rin1(450nm)≦ 20nm
前記関係式2’において、Rin1(450nm)は450nm波長で上部位相差層の面内位相差である。
【0103】
上部位相差層250は、例えば、下記関係式2'aの面内位相差を満足する。
[関係式2’a]
0nm ≦ Rin1(450nm) ≦10nm
【0104】
上部位相差層250は、例えば、下記関係式2'bの面内位相差を満足する。
[関係式2’b]
0nm ≦ Rin1(450nm)≦5nm
【0105】
上部位相差層250は、例えば、下記関係式2'cの面内位相差を満足する。
[関係式2’c]
0nm ≦ Rin1(450nm)≦2nm
【0106】
上部位相差層250が前記関係式1を満足する時、下部位相差層450は、例えば、下記関係式3および4の屈折率を満足する。
[関係式3]
nx2 >ny2
[関係式4]
nx2 >nz2
前記関係式3および4において、
x2は下部位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y2は下部位相差層の進相軸での屈折率であり、
z2は下部位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0107】
また、下部位相差層450は、例えば、下記関係式5-1の屈折率を満足する。
[関係式5-1]
nx2 >ny2 nz2
【0108】
前記関係式5-1において、ny2とnz2は完全に同一の場合以外に、実質的に同一の場合も含まれ、例えば、ny2とnz2の屈折率差が約0.02以下、前記範囲内で例えば、約0.01以下である場合、実質的に同一であるとみられる。
【0109】
このような屈折率を有する上部位相差層250と下部位相差層450とを組み合わせることによって、効果的な補償機能を行って光漏れを効果的に減らすことができる。
【0110】
下部位相差層450の位相差は、面内位相差Rin2と厚さ方向位相差Rth2で表される。下部位相差層450の面内位相差Rin2は、下部位相差層450の面内方向で発生する位相差で、Rin2=(nx2-ny2)dで示される。下部位相差層450の厚さ方向位相差Rth2は、下部位相差層450の厚さ方向で発生する位相差で、Rth2={[(nx2+y2/2]-nz2}dで示される。ここで、dは下部位相差層450の厚さである。
【0111】
前記関係式5-1を満足する下部位相差層450は、例えば、下記関係式6-1の面内位相差を満足する。
[関係式6-1]
70 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 170 nm
前記関係式6-1において、Rin2(450nm)は450nm波長で下部位相差層の面内位相差である。
【0112】
前記関係式6-1を満足することにより、上部位相差層250と下部位相差層450の位相差を組み合わせて視野角依存性を効果的に減らし補償機能を一層高めることができる。
【0113】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6a-1の面内位相差を満足する。
[関係式6a-1]
90 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 150 nm
【0114】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6b-1の面内位相差を満足する。
[関係式6b-1]
100 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 140 nm
【0115】
前記関係式5-1を満足する下部位相差層450は、例えば、下記関係式6'-1および/または6’’-1の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式6'-1]
Rin2(450nm)/2 - 10nm ≦ Rth2(450nm) ≦ Rin2(450nm)/2 + 10nm
[関係式6’’-1]
35nm ≦ Rth2(450nm)≦ 85nm
前記関係式6'-1および6’’-1において、Rth2(450nm)は450nm波長で下部位相差層の厚さ方向位相差であり、Rin2(450nm)は450nm波長で下部位相差層の面内位相差である。
【0116】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6’’a-1の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式6’’a-1]
45 nm ≦ Rth2(450nm) ≦ 75nm
【0117】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6’’b-1の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式6’’b-1]
50 nm ≦ Rth2(450nm) ≦ 70nm
【0118】
下部位相差層450が前記関係式5-1の屈折率を満足する時、上部位相差層250の厚さ方向位相差は、下記関係式2-1を満足する。
[関係式2-1]
130 nm ≦ Rth1(450nm)≦310 nm
【0119】
下部位相差層450が前記関係式5-1の屈折率を満足する時、上部位相差層250の厚さ方向位相差は、下記関係式2a-1を満足する。
[関係式2a-1]
150 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 290 nm
【0120】
下部位相差層450が前記関係式5-1の屈折率を満足する時、上部位相差層250の厚さ方向位相差は、下記関係式2b-1を満足する。
[関係式2b-1]
170 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 270 nm
【0121】
下部位相差層450は例えば1層または2層であってもよい。下部位相差層450が2層の場合、例えば、前記関係式3および4または前記関係式5-1の屈折率を有する下部主位相差層450aと、下記関係式7および8の屈折率を満足する下部補助位相差層450bとを含んでもよい。下部補助位相差層450bは下部主位相差層450aの上部または下部に位置することができる。
[関係式7]
nx3 >nz3
[関係式8]
ny3 >nz3
前記関係式7および8において、
x3は下部補助位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y3は下部補助位相差層の進相軸での屈折率であり、
z3は下部補助位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0122】
下部補助位相差層450bは、例えば、下記関係式9の屈折率を満足する。
[関係式9]
nx3 ≧ ny3 >nz3
前記関係式9において、
x3は下部補助位相差層の遅相軸での屈折率であり、
y3は下部補助位相差層の進相軸での屈折率であり、
z3は下部補助位相差層の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率である。
【0123】
前記関係式9において、nx3とny3がnx3>ny3の場合、例えば、nx3の屈折率がny3の屈折率より約0.02以下の範囲でより大きいこともあり、前記範囲内で、例えば、約0.01以下の範囲でより大きいこともある。これを満足することによって、下部補助位相差層450bは実質的に面内等方性を有することができる。
【0124】
下部補助位相差層450bの位相差は面内位相差Rin3と厚さ方向位相差Rth3で表される。下部補助位相差層450bの面内位相差Rin3は下部補助位相差層450bの面内方向で発生する位相差で、Rin3=(nx3-y3)dで示される。下部補助位相差層450bの厚さ方向位相差Rth3は下部補助位相差層450bの厚さ方向で発生する位相差で、Rth3={[(nx3+y3/2]-nz3}dで示される。ここで、dは下部補助位相差層450bの厚さである。
【0125】
前記関係式9の屈折率を満足する下部補助位相差層450bは上部位相差層250と組み合わせて、例えば、下記関係式10の位相差を満足する。
[関係式10]
130 nm ≦ Rth1(450nm)+ Rth3(450nm) ≦ 310 nm
前記関係式10において、
th1(450nm)は450nm波長で上部位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で下部補助位相差層の厚さ方向位相差である。
【0126】
前記関係式10を満足する範囲内で、上部位相差層250と下部補助位相差層450bは、それぞれ下記関係式11および12の位相差を満足する。
[関係式11]
20 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 290 nm
[関係式12]
20 nm ≦ Rth3(450nm) ≦ 290 nm
前記関係式11および12において、
th1(450nm)は450nm波長で上部位相差層の厚さ方向位相差であり、
th3(450nm)は450nm波長で下部補助位相差層の厚さ方向位相差である。
【0127】
前記関係式12を満足する下部補助位相差層450bは、例えば、下記関係式12’の面内位相差を満足する。
[関係式12’ ]
0nm ≦ Rin3(450nm)≦ 20nm
前記関係式12’において、Rin3(450nm)は450nm波長で下部補助位相差層の面内位相差である。
【0128】
下部補助位相差層450bは、例えば、下記関係式12'aの面内位相差を満足する。
[関係式12'a]
0nm ≦ Rin3(450nm) ≦ 10nm
【0129】
下部補助位相差層450bは、例えば、下記関係式12'bの面内位相差を満足する。
[関係式12'b]
0nm ≦ Rin3(450nm) ≦ 5nm
【0130】
また、下部位相差層450は、例えば、下記関係式5-2の屈折率を満足する。
[関係式5-2]
nx2 >ny2 >nz2
【0131】
このような屈折率を有する上部位相差層250と下部位相差層450とを組み合わせることによって、効果的な補償機能を行って光漏れを効果的に減らすことができる。
【0132】
前記関係式5-2を満足する下部位相差層450は、例えば、下記関係式6-2の面内位相差を満足する。
[関係式6-2]
40 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 110 nm
【0133】
前記関係式5-2を満足する下部位相差層450は、例えば、下記関係式6-3の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式6-3]
40 nm ≦ Rth2(450nm) ≦ 200 nm
【0134】
前記関係式6-2および/または6-3を満足することにより、上部位相差層250と下部位相差層450の位相差を組み合わせて視野角依存性を効果的に減らして補償機能を一層高めることができる。
【0135】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6a-2の面内位相差を満足する。
[関係式6a-2]
50 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 100 nm
【0136】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6b-2の面内位相差を満足する。
[関係式6b-2]
60 nm ≦ Rin2(450nm) ≦ 90 nm
【0137】
前記関係式5-2を満足する下部位相差層450は、例えば、下記関係式6'-3の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式6’-3]
60nm ≦ Rth2(450nm)≦ 180nm
【0138】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6’’a-3の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式6’’a-3]
80 nm ≦ Rth2(450nm) ≦ 160nm
【0139】
下部位相差層450は、例えば、下記関係式6’’b-3の厚さ方向位相差を満足する。
[関係式6’’b-3]
90 nm ≦ Rth2(450nm) ≦ 150nm
【0140】
下部位相差層450が前記関係式5-2の屈折率を満足する時、上部位相差層250の厚さ方向位相差は、下記関係式2-2を満足する。
[関係式2-2]
40 nm ≦ Rth1(450nm)≦260 nm
【0141】
下部位相差層450が前記関係式5-2の屈折率を満足する時、上部位相差層250の厚さ方向位相差は、下記関係式2a-2を満足する。
[関係式2a-2]
60 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 250 nm
【0142】
下部位相差層450が前記関係式5-2の屈折率を満足する時、上部位相差層250の厚さ方向位相差は、下記関係式2b-2を満足する。
[関係式2b-2]
70 nm ≦ Rth1(450nm) ≦ 240 nm
【0143】
本実施形態による液晶表示装置は、発光体を含む色変換層を使って色を表示することによって、光効率を高めて色特性を改善することができる。また、上部偏光層および上部位相差層を液晶パネル内部に導入し上部基板の外側に偏光板および位相差フィルムを省略することによって、上部基板の外側に配置された偏光板および位相差フィルムにより光特性および色特性が変質することを防止でき、発光体を含む色変換層による光特性および視野角特性をそのまま確保できて表示特性を改善することができる。また、上部偏光層および上部位相差層を薄い厚さで実現することによって、薄形液晶表示装置を実現することができる。
【0144】
以下、実施例を通して上述した具現例をより詳細に説明する。ただし、以下の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0145】
光学シミュレーション
下記のような液晶表示装置の構造を設定し光学シミュレーションを行う。
光学シミュレーションはTechwiz program((株)サンアイシステム)を利用して行い、450nm波長での0度乃至360度の方位角および0度乃至90度の傾斜角でのブラック輝度の分布を計算した後、その平均値を比較する。
【0146】
[実施例1]
観察者側から、上部基板(ガラス)、上部偏光層、上部位相差層、垂直配向液晶層、下部基板(ガラス)、下部位相差層、下部偏光層、青色光源の順に配置された液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。各層の入力変数は以下の通りである。
-上部および下部基板(ガラス)の屈折率:1.5、
-上部および下部基板(ガラス)の厚さ:500μm、
-上部および下部偏光層の透過度:42.45%、
-上部および下部偏光層の偏光度:99.99%、
-垂直配向液晶層の屈折率値(ne、no):ne=1.6163およびno=1.4956、
-上部位相差層の平均屈折率:1.60、
-上部位相差層のnx-nz:0.052、
-下部位相差層の平均屈折率:1.65、
-下部位相差層のnx-nZ:0.0026、
-青色光源:450nm短波長光源
【0147】
下記の光学条件を満足する多様な範囲内で光学シミュレーションを実施する。
-垂直配向液晶層:Rth=-295nm、
-上部位相差層:nx1=ny1>nz1、Rin1=0nm、Rth1=160~280nm、および
-下部位相差層:nx2>ny2=nz2、Rin2=60~180nm、Rth2=30~90nm
【0148】
[実施例2]
垂直配向液晶層と上部位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-垂直配向液晶層:Rth=-275nm、
-上部位相差層:nx1=ny1>nz1、Rin1=0nm、Rth1=140~260nm
【0149】
[実施例3]
垂直配向液晶層と上部位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-垂直配向液晶層:Rth=-315nm、
-上部位相差層:nx1=ny1>nz1、Rin1=0nm、Rth1=180~300nm
【0150】
[実施例4]
垂直配向液晶層と上部位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-垂直配向液晶層:Rth=-255nm、
-上部位相差層:nx1=ny1>nz1、Rin1=0nm、Rth1=120~240nm
【0151】
[実施例5]
垂直配向液晶層と上部位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-垂直配向液晶層のRth=-335nm、
-上部位相差層はnx1=ny1>nz1、Rin1=0nm、Rth1=200~320nm
【0152】
[実施例6]
下部基板と下部位相差層との間に下部補助位相差層を追加し、上部位相差層および下部補助位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-上部位相差層:nx1=ny1>nz1、Rin1=0nm、Rth1=110nm
-下部補助位相差層:nx3=ny3>nz3、Rin3=0nm、Rth3=110nm
【0153】
[実施例7]
垂直配向液晶層、上部位相差層および下部位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-垂直配向液晶層のRth=-295nm、
-上部位相差層:nx1=ny1>nz1、Rin1=0nm、Rth1=40~260nm
-下部位相差層:nx2>ny2>nz2、Rin2=40~110nm、Rth2=40~200nm
【0154】
[比較例1]
上部位相差層および下部位相差層を含まないことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
【0155】
[比較例2]
上部位相差層を含まず、下部位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-下部位相差層:nx2>ny2=nz2、Rin2=120nm、Rth2=60m
【0156】
[比較例3]
上部位相差層を含まず、下部位相差層の光学条件を以下のように変更したことを除いて、実施例1と同一の液晶表示装置を設定し光学シミュレーションを実施する。
-下部位相差層:nx2≠ny2>nz2、Rin2=65nm、Rth2=250nm
【0157】
評価1
光学シミュレーションの結果は450nm波長での0度乃至360度の方位角および0度乃至90度の傾斜角でのブラック輝度の分布に示し、その結果を図2乃至図8に示す。
【0158】
図2は、実施例1による液晶表示装置(Rth1=220nm、Rin2=120nm)のブラック輝度の分布を示すダイアグラムであり、図3は、実施例2による液晶表示装置(Rth1=200nm、Rin2=120nm)のブラック輝度の分布を示すダイアグラムであり、図4は、実施例3による液晶表示装置(Rth1=240nm、Rin2=120nm)のブラック輝度の分布を示すダイアグラムであり、図5は、実施例6による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムであり、図6は、比較例1による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムであり、図7は、比較例2による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムであり、図8は、比較例3による液晶表示装置のブラック輝度の分布を示すダイアグラムである。
【0159】
全ての方位角および傾斜角でのブラック輝度の和はブラックモードで色変換層に到達する光量に比例すると見ることができ、ブラック輝度の和が少ないほどブラックモードで色変換層によって発光する光量が減ってブラック輝度が低くなると見ることができる。したがって、ブラック輝度が低いほど液晶表示装置の明暗比が高くなると予想できる。
【0160】
図2乃至図8を参考にすれば、実施例1ないし3および6による液晶表示装置は、比較例1ないし3による液晶表示装置と比較して、全ての方位角および傾斜角でブラック輝度が低く維持されることを確認でき、したがって、液晶表示装置の明暗比が高いと予想できる。
【0161】
評価2
実施例1ないし7と比較例1ないし3による液晶表示装置の平均ブラック輝度値を評価する。
【0162】
平均ブラック輝度値は全ての方位角および傾斜角でのブラック輝度の平均値から求められる。平均ブラック輝度値が低いほど液晶表示装置の明暗比が高いと予想できる。
その結果は表1乃至表3の通りである。
【0163】
【表1】
【0164】
【表2】
【0165】
【表3】
【0166】
表1乃至表3を参考にすれば、実施例1ないし7による液晶表示装置は、比較例1ないし3による液晶表示装置と比較して平均ブラック輝度が低いことを確認できる。これから実施例1ないし7による液晶表示装置は、比較例1ないし3による液晶表示装置と比較して液晶表示装置の明暗比が改善されると予想できる。
【0167】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実際に具現される構造はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および添付する図面の範囲内で種々変形して実施することができ、これも権利範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0168】
3 液晶層
11、21 配向膜
30 液晶
40 光源
100 下部表示板
110 下部基板
180 保護膜
185 接触孔
191 画素電極
200 上部表示板
210 上部基板
220 遮光部材
230 色変換層
240 上部偏光層
250 上部位相差層
270 共通電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8