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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/16 20060101AFI20221219BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B62B3/16
B62B5/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018170158
(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公開番号】P2020040553
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】春日 一輝
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-095342(JP,A)
【文献】実開昭57-147157(JP,U)
【文献】実開平06-020160(JP,U)
【文献】特開2002-293243(JP,A)
【文献】特開2017-226382(JP,A)
【文献】米国特許第06257152(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/16
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台盤の上面外縁部から突出して対向する1対の土手部と
前記1対の土手部の長手方向の略中央部における内側面から張り出しかつ各前記土手部の長手方向に延びる1対の土手突部と、
前記1対の土手突部の内側隣位置に形成され、前記台盤を上下に貫通する1対の嵌合孔
前記台盤の下面のうち前記1対の嵌合孔を90度旋回した位置に設けられる1対の下面嵌合突部と、を備え、
前記土手突部は、前記嵌合孔より前記土手部の長手方向の両方向に長く延び、
台車同士を90度向きを変えてクロス状態に段積みして上段側の台車がスライドされると、上段側の台車の前記1対の下面嵌合突部が、下段側の前記台車の前記1対の土手突部によって前記1対の嵌合孔に案内されて嵌合する台車。
【請求項2】
各前記下面嵌合突部には、前記スライド方向に対して傾斜して、前記スライド時に前記土手突部と摺接可能な斜面が形成されている請求項1に記載の台車。
【請求項3】
各前記土手部の上面と内外側面との両角部を、各前記土手部の長手方向の略中央部でそれ以外の部分に比べて大きく面取りしてなる1対の面取曲面を備える請求項1又は2に記載の台車。
【請求項4】
前記土手突部の長手方向の端部には、前記長手方向に対して傾斜した斜面が備えられている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の台車。
【請求項5】
前記台盤のうち前記1対の土手部同士の間の略中央で、前記土手部の長手方向に並ぶ2位置から垂下する1対の下面突部と、
前記台盤の下面から垂下し、前記1対の下面突部の対向方向と直交する方向で対向すると共に前記1対の下面突部の下面と面一の下面を有する1対の追加下面突部と、を備え、
前記1対の下面嵌合突部は、前記1対の下面突部の下面から突出し、前記1対の下面嵌合突部が嵌合する前記1対の嵌合孔を有する前記台盤の上面に、前記1対の下面突部の下面と前記1対の追加下面突部の下面とが当接する請求項1から4の何れか1の請求項に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台車同士を90度向きを変えてクロス状態に段積み可能な台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の台車として、台盤の外縁部近傍に1対の嵌合孔が対向配置されると共に、それら1対の嵌合孔を90度旋回した位置から1対の下面嵌合突部が垂下し、台車同士をクロス状態に段積みすると、下段側の台車の1対の嵌合孔に上段側の台車の1対の下面嵌合突部が嵌合するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許3404619号公報(図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の台車では、嵌合孔が持手孔として利用されることがある。その場合、台盤のうち嵌合孔より外側部分の強度不足が問題になることがあり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、台盤の上面外縁部から突出して対向する1対の土手部と、前記1対の土手部の長手方向の略中央部における内側面から張り出しかつ各前記土手部の長手方向に延びる1対の土手突部と、前記1対の土手突部の内側隣位置に形成され、前記台盤を上下に貫通する1対の嵌合孔、前記台盤の下面のうち前記1対の嵌合孔を90度旋回した位置に設けられる1対の下面嵌合突部と、を備え、前記土手突部は、前記嵌合孔より前記土手部の長手方向の両方向に長く延び、台車同士を90度向きを変えてクロス状態に段積みして上段側の台車がスライドされると、上段側の台車の前記1対の下面嵌合突部が、下段側の前記台車の前記1対の土手突部によって前記1対の嵌合孔に案内されて嵌合する台車である。
【0006】
請求項2の発明は、各前記下面嵌合突部には、前記スライド方向に対して傾斜して、前記スライド時に前記土手突部と摺接可能な斜面が形成されている請求項1に記載の台車である。
【0007】
請求項3の発明は、各前記土手部の上面と内外側面との両角部を、各前記土手部の長手方向の略中央部でそれ以外の部分に比べて大きく面取りしてなる1対の面取曲面を備える請求項1又は2に記載の台車である。
【0008】
請求項4の発明は、前記土手突部の長手方向の端部には、前記長手方向に対して傾斜した斜面が備えられている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の台車である。
【0009】
請求項5の発明は、前記台盤のうち前記1対の土手部同士の間の略中央で、前記土手部の長手方向に並ぶ2位置から垂下する1対の下面突部と、前記台盤の下面から垂下し、前記1対の下面突部の対向方向と直交する方向で対向すると共に前記1対の下面突部の下面と面一の下面を有する1対の追加下面突部と、を備え、前記1対の下面嵌合突部は、前記1対の下面突部の下面から突出し、前記1対の下面嵌合突部が嵌合する前記1対の嵌合孔を有する前記台盤の上面に、前記1対の下面突部の下面と前記1対の追加下面突部の下面とが当接する請求項1から4の何れか1の請求項に記載の台車である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の台車では、台盤の1対の土手部の略中央部の内側隣位置に1対の嵌合孔が形成されているので、土手部のうち嵌合孔より外側部分(以下、「ハンドル部」という)を把持して台車を持ち上げることができる。このとき、ハンドル部を嵌合孔より離れる側に曲げる負荷がかかる。これに対し、請求項1の台車では、土手突部が、土手部の内側面のうち嵌合孔と隣り合わせになる部分(即ち、ハンドル部の内側面)から嵌合孔側に張り出しかつ土手部の長手方向に延びているので、その土手突部にてハンドル部が補強されて曲げ強度が高くなる。また、土手突部が、嵌合孔より土手部の長手方向の両方向に長く延びているので、ハンドル部にかかる負荷が広く分散されて更なる強度アップが図られる。さらには、台車同士をクロス状態に段積みする際に、上段側の台車の下面嵌合突部を、下段側の台車の荷物載置面に当接させた状態でスライドすると、上段側の台車の1対の下面嵌合突部が、下段側の台車の土手突部によって嵌合孔に案内され、台車同士の段積み作業を容易に行うことができる。
【0012】
ここで、土手突部は、土手部の上面と同じ高さをなしていてもよい。また、土手突部が、土手部の上面より下方位置で土手部の内側面から段付き状に突出した構造としてもよく、そうすれば、台車に搭載される荷物との干渉が抑えられる。
【0013】
請求項4の台車では、土手突部の端部には斜面が備えられているので、荷物をスライドさせて台車に搭載する際に荷物を土手突部に引っ掛けずにスムーズに作業を行うことができる。また、台車同士をクロス状態に段積みする際に、上段側の台車の下面嵌合突部を、下段側の台車の荷物載置面に当接させた状態でスライドし、下面嵌合突部を土手突部の斜面に摺接させて嵌合孔まで移動することができる。これにより、クロス状態に段積する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の台車の斜視図
図2】台車の下面側斜視図
図3】土手突部の斜視図
図4】第1のコンテナを搭載した台車の一部破断斜視図
図5】第2のコンテナを搭載した台車の一部破断斜視図
図6】第3のコンテナを搭載した台車の一部破断斜視図
図7】同じ向きで段積された台車の斜視図
図8】クロス積みされた台車の斜視図
図9】台車同士のクロス積み作業の初期段階の斜視図
図10】クロス積みされた台車の斜視図
図11】台車同士のクロス積み作業の初期段階の断面図
図12】クロス積みされた台車の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図12を参照して、台車10の第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の台車10は、平面形状が長方形の台盤11を有する。以下、台盤11の長手方向を「縦方向H1」、短手方向を「横方向H2」ということとする。
【0017】
台盤11は、樹脂の射出成形品であって、上面が荷物載置面90をなした主板部12の下面に補強リブ12Lを張り巡らせた構造をなしている。また、図2に示すように、台盤11の下面四隅にはキャスター20が取り付けられている。各キャスター20は、ローラ21を支持する支持アーム22をベース板23に旋回可能に連結してなり、ベース板23が台盤11に固定されている。
【0018】
図1に示すように、台盤11の中央部には、中央開口30が形成されている。中央開口30は、例えば、台盤11の縦方向H1に長い六角形をなしている。また、前述した補強リブ12Lの一部は、主板部12における中央開口30の開口縁から垂下されて、中央開口30の内側面を構成している。
【0019】
台盤11の上面の1対の長辺側外縁部からは1対の長辺土手部13,13(特許請求の範囲の「土手部」に相当する)が突出し、1対の短辺側外縁部からは1対の短辺土手部14,14が突出している。長辺土手部13及び短辺土手部14は、下面開放の角溝構造をなしている。詳細には、長辺土手部13及び短辺土手部14は、主板部12から略直角に起立した内側壁13A,14Aと、内側壁13A,14Aの上端部から外側に略直角に屈曲して水平になった上面壁13B,14Bとを有する。また、上面壁13B,14Bの外縁からは、外側壁13C,14Cが補強リブ12Lの下面と面一になる位置まで垂下されている。そして、それら外側壁13C,14Cのうち主板部12の上面より上側部分と、前述の内側壁13A,14Aと上面壁13B,14Bとから長辺土手部13及び短辺土手部14が形成されている。また、図2に示すように、長辺土手部13及び短辺土手部14のそれぞれの長手方向の複数位置には、補強リブ12Lが配置されている。
【0020】
図1に示すように、短辺土手部14の幅は長辺土手部13の幅の例えば2~3倍になっている。また、長辺土手部13の上面と短辺土手部14の上面とは面一をなし、長辺土手部13と短辺土手部14とが直交する各コーナー部の上面からはコーナー突部15が突出している。コーナー突部15は、平面形状がL字状をなして、L字の各辺の幅は長辺土手部13より僅かに小さくなっていている。そして、コーナー突部15の各辺の外面が外側壁13C,14Cの外面と面一になるように配置されている。なお、コーナー突部15の各辺の先端面は、長辺土手部13及び短辺土手部14の上面に対して傾斜している。
【0021】
主板部12の各キャスター20の上方位置には、図7に示すように台車10,10同士を段積みしたときに、上段側の台車10のローラ21を受容するローラ受容部19が陥没形成されている。図1に示すように、ローラ受容部19は、縦方向H1に長い長方形をなし、4つの内側面が何れも傾斜している。また、1対のローラ受容部19,19は、一方の短辺土手部14を交差するように形成され、残り1対のローラ受容部19,19は、他方の短辺土手部14寄り位置に配置されている。短辺土手部14のうちローラ受容部19,19との交差部分には、短辺土手部14の一部を縦方向H1の全体に亘って切除してなる切欠部16,16が形成されている。
【0022】
各短辺土手部14の内側面には、上下に延びる角溝状の位置決凹部18が1対ずつ形成されている。また、一方の短辺土手部14における1対の位置決凹部18,18同士の間隔は、他方の短辺土手部14における1対の位置決凹部18,18同士の間隔より狭くなっている。
【0023】
1対の短辺土手部14,14の長手方向の中央部の内側隣位置には、1対の短辺側持手孔31,31が形成されている。短辺側持手孔31は、横方向H2に長い長方形をなしている。また、補強リブ12Lの一部は、主板部12における短辺側持手孔31の開口縁から垂下されて短辺側持手孔31の内側面を構成し、その内側面の一部は短辺土手部14の内側面と面一になっている。
【0024】
各短辺土手部14には、短辺側持手孔31と隣り合わせになる部分を陥没させて持手凹部17が形成されている。横方向H2における持手凹部17の両端部は、斜面17B,17Bになっている。また、持手凹部17の底面と短辺土手部14の内側面及び外側面との角部は、円弧状に面取りされた面取曲面17A,17Aになっている。面取曲面17Aは、横方向H2の両端から中央寄りの2位置に向かって徐々に曲率半径が大きくなると共に、中央寄りの2位置の間は均一の曲率半径になっている。
【0025】
1対の長辺土手部13,13の長手方向の中央部の内側隣位置には、1対の長辺側持手孔32,32(特許請求の範囲の「嵌合孔」に相当する)が形成されている。図3に示すように、長辺側持手孔32は、縦方向H1に長い長方形をなし、短辺側持手孔31と同様に、補強リブ12Lにて長辺側持手孔32の内側面が構成されている。また、長辺側持手孔32の内側面の一部は長辺土手部13に形成された土手突部33の内側面と面一になっている。
【0026】
土手突部33は、長辺土手部13の内側面のうち長辺側持手孔32と隣り合わせになる部分から段付き状に突出し、土手突部33の上面33Aは、長辺土手部13の上面と荷物載置面90との間の略中央に配置されている。また、土手突部33は、長辺側持手孔32より縦方向H1の両方向に長く延びている。さらに、土手突部33のうち長辺側持手孔32から離れた端部寄り位置から端部までの間には、縦方向H1に対して傾斜した斜面33Bが形成されている。そして、土手突部33のうち斜面33B,33Bの間の内側面33Cが、長辺側持手孔32の内側面と面一になっている。
【0027】
長辺土手部13のうち土手突部33に対応する位置には、面取曲面34が形成されている。面取曲面34は、長辺土手部13の上面と内側面及び外側面との角部を円弧状に面取りしてなる。また、面取曲面34は、土手突部33の全長と略同一の長さをなし、中央寄り位置から両端に向かうに従って徐々に曲率半径が小さくなっている。そして、長辺土手部13の全体に均一の曲率半径で形成されている面取曲面に面取曲面34の先端が連続している。
【0028】
図2に示すように、台盤11の下面には、横方向H2で中央開口30を挟んで対峙する2対の下面突部40と、縦方向H1で中央開口30を挟んで対峙する1対の複合下面突部41とが設けられている。下面突部40は、各長辺側持手孔32を縦方向H1で挟んだ2位置に配置されている。また、各下面突部40は、補強リブ12Lから下方に延設された角筒状をなし、断面形状が縦方向H1に長い長方形になっている。さらに、図11に示すように、下面突部40の下面40Aは、水平でかつ例えばローラ21の回転中心P1より上方に位置している。
【0029】
複合下面突部41は、下面突部40と面一の下面42Aを有する下面突部42と、その下面突部42の下面42Aから段付き状に突出する下面嵌合突部43とからなる。図2に示すように、下面突部42は、補強リブ12Lから下方に延設された角筒状をなし、その断面形状は、横方向H2に細長い長方形になっている。また、下面突部42の一側面は、中央開口30の内側面の一部になっている。
【0030】
下面嵌合突部43の断面形状は、横方向H2に細長い長方形の1対の角部を斜めにカットしてなる六角形をなし、それらカットされた1対の角部は、中央開口30と反対側に位置している。また、下面嵌合突部43は、横方向H2では下面突部42より小さく、下面突部42の中央に位置している。さらに、下面嵌合突部43は、縦方向H1では下面突部42と同じ大きさをなしている。そして、下面嵌合突部43のうち中央開口30と反対側で下面突部42の側面と面一となった側面の両横に、1対の斜面43A,43Aが備えられている。
【0031】
図11に示すように、下面嵌合突部43の下面43Bは水平で、例えばローラ21の回転中心P1と略同一の高さに位置している。また、下面突部42の下面42Aと下面嵌合突部43の下面43Bとの間の高低差L2は、長辺土手部13の上面と荷物載置面90との間の高低差L1より小さく、かつ、土手突部33の上面33A(図3参照)と荷物載置面90との間の高低差L3より大きくなっている。さらに、図10に示すように、台車10,10同士を90度旋回して段積みすると、上段側の台車10の1対の下面嵌合突部43,43が、下段側の台車10の1対の長辺側持手孔32,32に丁度嵌合して、下面突部42,42の下面42Aと下面突部40の下面40Aとが荷物載置面90に当接するようになっている。
【0032】
本実施形態の台車10の構成に関する説明は、以上である。次ぎに、台車10の作用効果について説明する。本実施形態の台車10は、図4図6に示すように、下端部の形状が異なる第1~第3の3種類のコンテナ80,84,86を搭載することができる。
【0033】
図4に示された第1のコンテナ80は、上端位置から側方に張り出す第1フランジ83Aと、上下方向の中間位置から側方に張り出す第2フランジ83Bとを備える。また、第1のコンテナ80の内側面には第2フランジ83Bから上方に延びる複数の縦溝82が備えられる一方、第1のコンテナ80の外側面には、第2フランジ83Bから下端寄り位置まで延びる複数の側面突部81が備えられている。そして、第1のコンテナ80,80同士が同じ向きにして段積みされると下段側の第1のコンテナ80の上面開口80Kに上段側の第1のコンテナ80の側面突部81群より下側部分が嵌合されて、側面突部81群の下面が第1フランジ83Aの上面に当接するスタッキング状態になり、第1のコンテナ80,80同士が180度向きを変えて段積みされると下段側の第1のコンテナ80の縦溝82群に上段側の第1のコンテナ80の側面突部81群が受容されて、上段側の第1のコンテナ80の第2フランジ83Bが下段側の第1のコンテナ80の第1フランジ83Aに重なるネスティング状態になる。
【0034】
この第1のコンテナ80は、その下部が台車10の1対の長辺土手部13,13及び短辺土手部14,14の内側に嵌合し、側面突部81,81が台車10の短辺土手部14,14に備えた位置決凹部18に受容される。これにより、第1のコンテナ80が台車10に縦方向H1と横方向H2の両方向で位置決めされる。なお、側面突部81は、台車10の1対の長辺土手部13,13に対してはそれらの内側に離れた位置に配置される。
【0035】
図5に示された第2のコンテナ84は、下面の外縁部の除く全体に下面突部85を備える。そして、第2のコンテナ84,84同士が段積みされると、下段側の第2のコンテナ84の上面開口84Kに上段側の第2のコンテナ84の下面突部85が嵌合して上下の第2のコンテナ84,84同士の横ずれが防止される。
【0036】
この第2のコンテナ84は、その下部が台車10の1対の長辺土手部13,13及び短辺土手部14,14の内側に嵌合する。その状態で下面突部85が荷物載置面90に当接し、第2のコンテナ84の下面の外縁部が荷物載置面90から浮いた状態になる。そして、土手突部33が第2のコンテナ84の下面の外縁部の下方に配置される。即ち、第2のコンテナ84が土手突部33に乗り上がって斜めになることはなく、第2のコンテナ84の安定した搬送が可能になる。なお、この第2のコンテナ84は、1対の側壁84A,84Aを上端部を中心に内側に回動し、残り1対の側壁84B,84Bを2つ折りにし、折り畳むことができ、折畳状態でも台車10に搭載することができる。
【0037】
図6に示された第3のコンテナ86は、上面の各コーナー部からコーナー突部87が突出すると共に、下面の各コーナー部にコーナー突部87が凹凸係合するコーナー凹部88Aが備えられている。この第3のコンテナ86は、下面の外縁部が台車10の長辺土手部13及び短辺土手部14の上面に載置され、第3のコンテナ86のコーナー凹部88Aに台車10のコーナー突部15が凹凸係合した状態になる。
【0038】
さて、台車10は、図7図8とに示すように、2つの形態で段積み状態にすることができる。図7に示した第1の段積形態では、台車10,10同士が同じ向きか又は180度異なる向きにされて下段側の台車10のローラ受容部19に上段側の台車10のローラ21が受容された状態に段積みされる。その段積作業を容易に行うには、例えば、上段側となる台車10の1対の長辺側持手孔32,32に両手の親指を入れて、台盤11のうち1対の長辺側持手孔32,32より外側部分(以下、「ハンドル部13H」という)を両手で把持して持ち上げ、縦方向H1の一端側を下げた傾斜姿勢にして全てのローラ21を同じ向きにする。そして、上段側となる台車10の下側の1対のローラ21,21を下段側の台車10のローラ受容部19,19に受容してから、台車10を傾斜姿勢から水平姿勢に変え、残りの1対のローラ21,21を残りのローラ受容部19,19に受容すればよい。
【0039】
図8に示した第2の段積形態では、台車10,10同士が90度異なる向きにされて下段側の台車10の1対の長辺側持手孔32,32に上段側の台車10の下面嵌合突部43,43が嵌合され、図10に示すように、上段側の台車10の下面突部40及び下面突部42の下面40A,42Aが、下段側の台車10の荷物載置面90に当接させた状態にされる。その段積作業を容易に行うには、例えば、上段側となる台車10の1対の短辺側持手孔31,31に両手の親指を入れて、台盤11のうち1対の短辺側持手孔31,31より外側部分を把持して持ち上げる。そして、図9に示すように、上段側の台車10を、下段側の台車10に対して90度旋回させた状態にして下段側の台車10における縦方向H1の一端寄り位置の1対の長辺土手部13,13の間に、上段側の台車10の1対の複合下面突部41,41を配置する。ここで、1対の長辺土手部13,13の内側面同士の間隔は、1対の複合下面突部41,41の外側面同士の間隔より少なくとも長辺土手部13からの土手突部33の突出量分は広いので、1対の長辺土手部13,13の間に1対の複合下面突部41,41を容易に配置することができる。そして、図11に示すように、上段側の台車10の下面嵌合突部43,43の下面43A,43Aが下段側の台車10の荷物載置面90に当接した姿勢で安定する。その状態で上段側の台車10を下段側の台車10の縦方向H1の中央側にスライドすればよい。
【0040】
すると、下段側の台車10の土手突部33の斜面33Bと、上段側の台車10の下面嵌合突部43の斜面43Aとが摺接により、上段側の台車10が下段側の台車10の横方向H2に中央に寄せられる。そして、下面嵌合突部43のうち斜面43A,43Aの間の側面と、土手突部33のうち斜面33B,33Bの間の内側面33Cとが重なり合ったところで、図12に示すように1対の下面嵌合突部43,43が1対の長辺側持手孔32,32に嵌合し、図10に示すように、上段側の台車10の下面突部40,42の下面40A,42Aが、下段側の台車10の荷物載置面90に当接した状態になり、第2の形態の段積作業が完了する。
【0041】
なお、上記スライド操作の途中で上段側の台車10の下面突部40が下段側の台車10の短辺土手部14に干渉したときには、上段側の台車10を傾斜姿勢にして下面突部40が短辺土手部14を乗り越えるようにすればよい。また、下面突部40との干渉を回避するために短辺土手部14の一部を段付き状に陥没させてもよいし、下面突部40の下面40Aと下面嵌合突部43の下面43Aとの高低差を、短辺土手部14の上面と荷物載置面90との高低差より大きくしてもよい。
【0042】
ところで、台車10を段積する際、また、台車10をトラック等に搭載する際に、台車10を片手で持ち上げる作業が行われることがある。その際、ハンドル部13Hを把持して台車10を持ち上げる作業が行われることがある。このとき、台車10が一気に持ち上げられると、ハンドル部13Hに大きな負荷がかかる。これに対し、本実施形態の台車10では、長辺土手部13の内側面のうち長辺側持手孔32と隣り合わせになる部分(つまり、ハンドル部13Hの内側面)から土手突部33が張り出しかつ長辺土手部13の長手方向に延びているので、土手突部33によってハンドル部13Hの曲げ強度が高くなり、ハンドル部13Hの曲げ変形が防がれる。具体的には、土手突部33の上面33Aを構成する壁部がリブの役割をして、ハンドル部13Hの強度アップが図られる。また、土手突部33は、長辺側持手孔32より長辺土手部13の長手方向の両方向に長く延びているので、ハンドル部13Hにかかる負荷が広く分散されて更なる強度アップが図られる。しかも、土手突部33の上面33Aは、長辺土手部13の上面より下方に位置しているので、土手突部33と荷物との干渉が抑えられる。また、土手突部33の端部には斜面33Bが備えられているので、台車10,10同士をクロス状態に段積する作業を容易に行うことができる。また、荷物をスライドさせて台車10に搭載する際も、荷物を土手突部33に引っ掛けずにスムーズに作業を行うことができる。
【0043】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の台車10の土手突部33の上面33Aは、長辺土手部13の上面より下方に位置していたが、長辺土手部13の上面と面一であってもよい。
【0044】
(2)前記実施形態の台車10では、土手突部33は、長辺土手部13に形成されていたが、短辺土手部14に形成されていてもよい。
【0045】
(3)前記実施形態の台車10の下面嵌合突部43は、斜面43Aを備えていたが、斜面43Aを備えない長辺側持手孔32と同形状の長方形又は長円形としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 台車
11 台盤
13 長辺土手部(土手部)
13H ハンドル部
32 長辺側持手孔(嵌合孔)
33 土手突部
33B 斜面
34 面取曲面
43 下面嵌合突部
90 荷物載置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12