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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/02 20060101AFI20221219BHJP
   B65D 25/52 20060101ALN20221219BHJP
【FI】
B65D25/02 Z
B65D25/52 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018189020
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2020055618
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】原田 裕也
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-116555(JP,A)
【文献】特開2016-050032(JP,A)
【文献】特開2005-035646(JP,A)
【文献】特開2002-145253(JP,A)
【文献】特開2004-059070(JP,A)
【文献】米国特許第05829592(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 59/02
B65D 25/02
B65D 25/52
B65D 85/672
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール製品を覆う包装シートと共に前記ロール製品の芯管に嵌合されるキャップであって、キャップ同士を重ねると一方のキャップの内側に他方のキャップの一部が嵌合したネスティング状態になるキャップにおいて、
前記芯管に対する嵌合方向の前方に向かって縮径する環状側壁と、
前記環状側壁の周方向の複数位置から側方に突出する複数の側面突部と、
前記環状側壁の周方向の複数位置に形成され、前記ネスティング状態で前記複数の側面突部を受容する複数の突部受容部とを備えるキャップ。
【請求項2】
前記突部受容部は、前記環状側壁を貫通している請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記突部受容部は、前記側面突部同士の間に複数配置され、
前記側面突部は、前記ネスティング状態で前記突部受容部を貫通する請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記側面突部のうち前記嵌合方向の前端には、前記環状側壁から離れるに従って前記嵌合方向の後方に向かうように傾斜する傾斜面が備えられている請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロール製品を覆う包装シートと共に芯管に嵌合されるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のキャップは、円筒形状になっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
意匠登録第1311061号公報([意匠に係る物品の説明],[使用状態を示す参考斜視図])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の構造では、使用前の複数のキャップがコンパクトに纏まり難く、箱にランダムに収容されていた。このため、嵩張って保管等に広いスペースを必要としたり、保管又は搬送中に箱内でキャップが変形して芯管に嵌合し難くなる等の問題が生じ、そのような問題が生じないキャップの開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、ロール製品を覆う包装シートと共に前記ロール製品の芯管に嵌合されるキャップであって、キャップ同士を重ねると一方のキャップの内側に他方のキャップの一部が嵌合したネスティング状態になるキャップにおいて、前記芯管に対する嵌合方向の前方に向かって縮径する環状側壁と、前記環状側壁の周方向の複数位置から側方に突出する複数の側面突部と、前記環状側壁の周方向の複数位置に形成され、前記ネスティング状態で前記複数の側面突部を受容する複数の突部受容部とを備えるキャップである。
【0007】
請求項の発明は、前記突部受容部は、前記環状側壁を貫通している請求項に記載のキャップである。
【0008】
請求項の発明は、前記突部受容部は、前記側面突部同士の間に複数配置され、前記側面突部は、前記ネスティング状態で前記突部受容部を貫通する請求項に記載のキャップである。
【0009】
請求項の発明は、前記側面突部のうち前記嵌合方向の前端には、前記環状側壁から離れるに従って前記嵌合方向の後方に向かうように傾斜する傾斜面が備えられている請求項乃至の何れか1の請求項に記載のキャップである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のキャップは、キャップ同士を重ねると一方のキャップの内側に他方のキャップの一部が嵌合したネスティング状態になって容易にコンパクトに纏まり、保管・搬送時の省スペース化及びキャップの変形防止が図られる。
【0011】
また、請求項のキャップでは、周方向の複数位置に配置された複数の側面突部でシートを芯管の端部内面に押し付け、側面突部同士の間にシートを緩く収容することができるので、キャップの芯管への嵌合作業を容易に行うことができる。それでいて、ネスティング状態では、キャップ同士の間で一方のキャップの側面突部が、他方のキャップの突部受容部に受容されるのでキャップ同士がコンパクトに纏まる。
【0012】
ここで、突部受容部は環状側壁を貫通していなくてもよいが、突部受容部が環状側壁を貫通していれば(請求項の発明)、側面突部を突部受容部に深く受容することができ、キャップ同士をより一層コンパクトに纏めることができる。その場合、側面突部が突部受容部を貫通してもよいし、しなくてもよい。
【0013】
また、請求項のキャップのように、突部受容部を側面突部同士の間に複数配置すれば、側面突部が突部受容部を貫通する大きさであっても、複数のキャップを順次一方向に位相をずらして重ねることで、側面突部が複数の突部受容部に亘って受容されるようにしてネスティング状態にすることができる。
【0014】
請求項のキャップでは、側面突部のうち嵌合方向の前端に傾斜面が備えられているのでキャップを芯管に嵌合する際のシートへの負荷が抑えられる。また、側面突部が、突部受容部の外側まで貫通する構成とした場合に、傾斜面を備えたことで側面突部の突部受容部の外側への突出量が抑えられ、ネスティング状態がコンパクトになる。

【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のキャップの内面側の斜視図
図2】キャップの外面側の斜視図
図3】キャップの底面図
図4】キャップの平面図
図5】ネスティング状態のキャップの一部破断斜視図
図6】ネスティング状態のキャップの一部破断斜視図
図7】ロール製品にキャップが取り付けられた状態の斜視図
図8】ネスティング状態にされる前の複数のキャップの斜視図
図9】ネスティング状態の複数のキャップの斜視図
図10】ネスティング状態の複数のキャップの一部破断斜視図
図11】第2実施形態のキャップの平面図
図12】変形例に係るキャップの側断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、図1図10を参照してキャップ10の一実施形態について説明する。本実施形態のキャップ10は、例えば樹脂の射出成形品であって、図1に示すように全体が薄皿構造をなしている。即ち、キャップ10は、円錐形状(テーパー形状)の環状側壁11の小径側の端部を底壁13で閉塞されかつ、大径側の端部に円環状のフランジ12を備えた構造をなしている。また、底壁13とフランジ12は平行になっている。
【0017】
図3に示すように、キャップ10を周方向でM×N等分する位置には、側面突部15か又は突部受容部20が形成されている。具体的には、キャップ10を周方向でN等分(例えば6等分)するN箇所に側面突部15が形成されると共に、隣り合う側面突部15同士の間をM等分する(M-1)×N箇所に突部受容部20が形成されている。
【0018】
図2に示すように、側面突部15は、環状側壁11の外面11Gから突出しかつ、側方から見ると略三角形になっている。詳細には、側面突部15の1対の側面16と環状側壁11の外面11Gとの間の1対の境界線L3は、環状側壁11の外面11Gとフランジ12との第1円形境界線L1と、環状側壁11の外面11Gと底壁13との第2円形境界線L2との間を最短で結ぶように真っ直ぐ延びている。そして、側面突部15の1対の側面16は、境界線L3を底辺とする三角形のフランジ12側の角部を僅かにカットした形状をなし、その底辺に対する対角P1が、フランジ12と底壁13との間の中央より僅かに下方に位置している。また、側面16の三角形の底辺以外の一方の辺は、第1円形境界線L1より僅かに外側にずれた位置でフランジ12に対して略垂直に延び、他方の辺は、第2円形境界線L2から斜め外側に延びている。さらに、1対の側面16は、互いに接近するように対称に傾斜している。
【0019】
そして、1対の側面16のうち対角P1よりフランジ12側の辺同士の間に嵌合面17が備えられる一方、1対の側面16のうち対角P1より底壁13側の辺同士の間に傾斜面18が備えられている。また、1対の側面16の対角P1は、円弧状に面取りされていて、嵌合面17と傾斜面18との間が円弧面19にて連絡されている。
【0020】
なお、図6に示すように、側面突部15は、環状側壁11の内面11Nに開口15Kを有する中空構造をなしている。また、図5に示すように側面突部15の1対の側面16の裏側内面16Nは台形状をなしてそれらの上辺部分が重なっている。さらに、嵌合面17及び傾斜面18の裏側内面17N,18Nは三角形になっている。
【0021】
図1に示すように、突部受容部20は、環状側壁11を内外に貫通している。突部受容部20は、側面突部15より僅かに幅広になってフランジ12から底壁13まで延びている。また、突部受容部20の底壁13側の内側端面20Bは、底壁13の内面13Nと面一になっている。一方、突部受容部20のフランジ12側の内側端面20Aは、フランジ12の径方向の中間に位置し、フランジ12の表裏の両面と直交している。また、対向配置されている両突部受容部20の内側端面20A同士の間隔は、対向配置されている両側面突部15の嵌合面17同士の間隔より広くなっている。
【0022】
図4に示すように、環状側壁11の内面11Nのうち隣り合う突部受容部20の間の下部には、スペーサ突部21が設けられている。図1に示すように、スペーサ突部21は、底壁13と環状側壁11とに直交するリブ構造をなし、底壁13の内面13Nから略垂直に起立する垂直面21Aと、フランジ12及び底壁13と平行な受面21Bとを有する。また、スペーサ突部21の受面21Bは、前述の側面突部15の対角P1より底壁13側に位置している。
【0023】
本実施形態のキャップ10の構造に関する説明は以上である。次に、このキャップ10の作用効果について説明する。図7には、ロール製品30が示されている。このロール製品30は、芯管31に製品本体である例えば樹脂フィルム32が巻かれたものであり、工場から出荷されるときに包装シート33で覆われて箱詰めにされる。具体的には、ロール製品30の外側に包装シート33が巻かれてロール製品30の両端面から筒状になって突出した状態にされる。そして、包装シート33の筒状の突出部分が、芯管31内の両端開口31Kに集められる。その状態で芯管31の両端開口31Kに包装シート33と共にキャップ10が嵌合されて、包装シート33がキャップ10と芯管31とに挟持される。
【0024】
ここで、キャップ10は、外周面に複数の側面突部15を有するので包装シート33の重なり合った部分が側面突部15同士の間の空間に収まって、嵌合作業を容易に行うことができる。また、キャップ10と芯管31との嵌合がきつくても芯管31が側面突部15に部分的に押されて変形するので、この点においても嵌合作業を容易に行うことができる。しかも、側面突部15の嵌合方向の先端側には傾斜面18が備えられ、さらに側面突部15の嵌合面17と傾斜面18との間は円弧面19で連絡されているので、包装シート33が側面突部15に引っ掛かって破損することも防がれる。また、突部受容部20を通して、包装シート33がキャップ10と芯管31の内面との間に正常に収まっているか否かを目視確認することもできる。
【0025】
なお、キャップ10を装着されたロール製品30は、図示しない箱体に収容される。そして、キャップ10が箱体の内面又は箱に充填される緩衝材によって移動を規制され、ロール製品30の両端部に嵌合した状態に保持される。
【0026】
ところで、ロール製品30の製造工場では、上記包装作業は、例えば、ロール製品30が量産される生産ラインの最終工程で流れ作業の一部として行われる。そのために、複数のキャップ10が纏めてロール製品30の製造工場に搬入されて保管されると共に、生産ラインに一定複数量のキャップ10が配置される。
【0027】
これに対し、本実施形態のキャップ10の構造によれば、複数のキャップ10をネスティング状態にしてコンパクトに纏めることができるので、保管・搬送時の省スペース化を図ることができる。具体的には、本実施形態のキャップ10の構成によれば、図8に示すように、複数のキャップ10を、反時計回り方向(時計回り方向でも可)に360°/(M×N)ずつ位相をずらして重ねることで、同図の上下方向で隣合うキャップ10同士の間で、図5及び図6に示すように、上側のキャップ10の側面突部15が、下側のキャップ10の突部受容部20に受容されて、上側のキャップ10の一部が下側のキャップ10に受容されたネスティング状態になる。これにより、図9に示すように複数のキャップ10が容易にコンパクトに纏まり、前述の如く保管・搬送時の省スペース化を図ることができる。また、複数のキャップ10を纏まった状態で保管・搬送することができるので、それができずに箱にランダムに収容された従来のキャップで生じていた変形も防がれる。
【0028】
また、各キャップ10には、突部受容部20が側面突部15同士の間に複数配置されているので、側面突部15が突部受容部20を貫通する大きさであっても、上述の如く、複数のキャップ10を順次一方向に位相をずらして重ねることで、側面突部15が複数の突部受容部20に亘って受容されるようにしてネスティング状態にすることができる。これにより側面突部15の環状側壁11からの側方への突出量を大きくして、側面突部15同士の間の空間を広くし、そこに包装シート33が収まり易くすることができる。
【0029】
さらに、側面突部15に傾斜面18を備えたことで、図10に示すように、側面突部15と、その側面突部15を有するキャップ10より3つ下のキャップ10のフランジ12及び環状側壁11との干渉が抑えられる。これにより、複数のキャップ10をコンパクトに纏めることができる。
【0030】
また、図5に示すように、重なり合うキャップ10同士の間では、突部受容部20の内側端面20Aと側面突部15の嵌合面17との間には僅かな隙間が形成される。さらに、一方のキャップ10のスペーサ突部21の受面21Bに他方のキャップ10の底壁13が当接して、両キャップ10のフランジ12同士の間及び底壁13同士の間にも隙間が形成される。これらにより、ネスティング状態のキャップ10群から容易に1つのキャップ10を分離させることができる。しかも、キャップ10を同じ向きにして1つずつ分離することができるので、上記包装作業の作業効率が向上する。
【0031】
なお、上記包装作業は自動機にて行ってもよく、その場合、本実施形態のキャップ10によれば、キャップ10を同じ向きに並べて自動機に供給することができるので、自動機の動作が安定する。
【0032】
[第2実施形態]
本実施形態のキャップ10Cは、前記第1実施形態のキャップ10の底壁13のうち複数のスペーサ突部21が立ち上がっている部分より内側を円形に切除して底孔13Kを設けた構造になっている。本実施形態のキャップ10Cによって、第1実施形態と同様の作業効果を奏する。
【0033】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態のキャップ10は、図7に示されているように嵌合状態に保持される程度の嵌め合いで芯管31に嵌合されていたが、芯管から簡単に抜ける程度の緩い嵌め合いで嵌合(所謂、遊嵌)されていてもよい。その場合、例えば、箱詰めされることでキャップが芯管に嵌合した状態に保持されればよい。
【0034】
(2)前記実施形態のキャップ10,10Cは、外周面に複数の側面突部15を有していたが、ロール製品の芯管に包装シートと共に嵌合されるキャップであってネスティング可能であれば、側面突部を有していなくてもよい。具体的には、図12(A)に示したキャップ10Aのように、前記第1実施形態のキャップ10から複数の側面突部15と突部受容部20とを排除した構成としてもよい。
【0035】
(3)キャップの環状側壁は、テーパー状でなくてもよく、例えば、図12(B)に示したキャップ10Bのように円筒状の環状側壁11Vを有し、その環状側壁11Vのフランジ12側が大径部11Aをなす一方、底壁13側が小径部11Bになってもよい。この場合、キャップ10B同士を重ねたときに、一方のキャップ10Bの小径部11Bが他方のキャップ10Bの大径部11Aに嵌合してネスティング状態になればよい。
【0036】
(4)前記実施形態のキャップ10は、ロール製品30の芯管31に包装シート33と共に嵌合されるものであったが、例えば家電製品、自動車、家屋等の開口部を塞ぐ所謂「詰栓」として、前記第1実施形態のキャップ10を使用してもよい。つまり、前記第1実施形態を、
「相手部材の開口部に嵌合される詰栓であって、前記開口部に対する嵌合方向の前方に向かって縮径する環状側壁と、前記環状側壁の周方向の複数位置から側方に突出する複数の側面突部と、前記環状側壁の周方向の複数位置に形成され、前記ネスティング状態で前記複数の側面突部を受容する複数の突部受容部とを備え、前記詰栓同士を位相をずらして重ねると一方の詰栓の前記側面突部が、他方の詰栓の突部受容部に受容される詰栓」、の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10,10A,10B,10C キャップ
11 環状側壁
12 フランジ
15 側面突部
18 傾斜面
20 突部受容部
30 ロール製品
31 芯管
33 包装シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12