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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】散薬秤量システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019020037
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020124441
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100106345
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 香
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130972(JP,A)
【文献】国際公開第2013/154202(WO,A1)
【文献】特開2004-157579(JP,A)
【文献】特開2006-247150(JP,A)
【文献】特開昭63-117760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された散薬を秤量するのに用いられる秤量装置と、秤量を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した第1散薬に係る調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、
第2散薬識別情報を付された第2散薬収容器を着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から第2散薬を排出させて計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、
前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報に対応した前記第2散薬に係る調剤用情報も保持しており、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示し、前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになっており、
前記情報処理装置が、前記画面表示器に表示している前記調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での計量から前記秤量装置での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようにもなっており、
前記計量装置が、いずれも、それへの前記第2散薬収容器の着脱を手動でのみ行えるものであることを特徴とする散薬秤量システム。
【請求項2】
前記情報処理装置が、前記第2散薬に係る調剤指示情報を前記画面表示器に表示するときに、前記第2散薬収容器を目視で特定することができる情報も前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする請求項1記載の散薬秤量システム。
【請求項3】
前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報の読み取り後に前記計量部の動作指示を出すに先だって前記画面表示器に確認を求める表示を行うようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された散薬秤量システム。
【請求項4】
前記情報処理装置が、前記計量装置に前記計量部の動作指示を出した後に前記計量装置から計量値を取得して前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載された散薬秤量システム。
【請求項5】
前記情報処理装置が、前記第1情報読取器にて前記第1散薬識別情報が読み取られると前記秤量装置の秤量値を取得して前記第1散薬の調剤済みデータに含めるとともに、前記計量装置に前記計量部の動作指示を出した後に前記計量装置から計量値を取得して前記第2散薬の調剤済みデータに含めるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された散薬秤量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、散薬収容器から運搬容器へ移す散薬に係る秤量作業を支援する散薬秤量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
散薬分割装置は、多数のマスを列設したものもあるが、分割数を可変設定しうるターンテーブルを装備したものが使い易く多用されている。
ターンテーブルは、R円盤などとも呼ばれるが、円環状の上面解放溝が形成されたものであり、上記の円環状溝を循環回転させるようになっている。
その散薬分割装置は、散薬フィーダから散薬を上記の円環状溝へ均等に配分させた後、円環状溝から散薬を分割数に応じて切り出すようになっている。
【0003】
散薬分包機は、分割された散薬の自動分包まで行うものであり、散薬フィーダや,散薬分割装置,制御装置に加えて包装装置も具備している。そして、所定量の散薬を投入された散薬フィーダから散薬を少量ずつ排出させてから或いは排出させながら散薬分割装置にて散薬を一包分ずつに分割したうえで包装装置にて分包するようになっている。
かかる散薬分包機や散薬分割装置には(以下、単に散薬分包機という)、秤量済み散薬を収容している運搬容器を運搬する容器運搬作業とか運搬容器から散薬フィーダへ散薬を投入する散薬投入作業などを調剤者が行う謂わば人手投入タイプの半自動型と、容器運搬作業や散薬投入作業も機械が行う謂わば機械投入タイプの全自動型とがある。
【0004】
人手投入タイプの散薬分包機は(例えば特許文献1参照)、散薬フィーダに投入される散薬を秤量する手段を装備していないので、使用に先立って別の所で予め電子天秤などを用いて秤量しながら手作業で散薬収容器から必要量の散薬を取り出し、その秤量済み散薬を収めた運搬容器を散薬分包機の所へ運び、その運搬容器から散薬を散薬分包機の散薬フィーダへ投入する、という一連の作業を終えてからでないと、散薬の分割動作や包装動作を始めることができない。
【0005】
これに対し、機械投入タイプの散薬分包機は、各種の散薬を収容した多数の散薬収容器を並べて保持する棚等の散薬収容器保持機構と、所要の散薬を該当する散薬収容器から取り出す秤量手段と、秤量済み散薬を散薬フィーダへ投入する散薬投入手段も具備しているので、散薬秤量作業も散薬投入作業も自動で行われる。
この機械投入タイプの散薬分包機には、電子秤りと運搬容器とが多数の散薬収容器の所を移動して所要の散薬を秤量および収集してから散薬フィーダへ投入するものや(例えば特許文献2参照)、多数の散薬収容器を循環移動可能に保持していて所要の散薬の散薬収容器を秤量位置・計量位置に移動させてから散薬を計量しつつ散薬フィーダへ投入するものなどがある(例えば特許文献3参照)。
【0006】
多数の散薬収容器を循環移動可能に保持していて所要の散薬の散薬収容器を秤量位置・計量位置に移動させてから散薬を計量しつつ運搬容器へ移すようになったものもある(例えば特許文献4参照)。
このような機械投入タイプの散薬分包機は、自動化率が高いので、秤量についても分包についても処理能力が高いうえ、秤量誤差や分包ミスも少ないので、大病院の薬局部門など処方量の多い薬局などに導入されることが多い。
【0007】
これに対し、人手投入タイプの散薬分包機は、簡素な分だけ小さいうえ安価なので、規模の小さい薬局に導入されることが多い。
そして、この人手投入タイプの散薬分包機については、計量から分包までの調剤作業を容易にすべく、調剤台の中に薬剤分包機を収納しておき、その台上に、多数の散薬収容器を並べておける棚と、散薬計量用の電子天秤と、条件設定用および計量監査用の情報処理装置とを装備するようになったものがある(例えば特許文献5参照)。この調剤装置では、散薬の秤量とフィーダ投入が依然として人手で行われるが、秤量済み散薬を収めた運搬容器を運ぶ作業が、調剤者が手先を動かす程度の軽作業になっている。
【0008】
また、機械投入タイプの散薬分包機に戻ると、近年は、更なる改良が施されて、秤量済み散薬を分割してから分包するのか分割しないで包装するのかを選択できるようになった散薬分包機や(例えば特許文献6参照)、散薬容器棚と第1散薬放出部と第2散薬放出部と散薬計量部との相互間で散薬収容器を移送できるようになった散薬分包機(例えば特許文献7参照)、排出口の遮蔽部の遮蔽面と遮蔽部の近傍の底面とのなす角度を開時に散薬の崩れない角度以下にすることで散薬のこぼれ防止を図った散薬収容器およびそれを搭載した散薬分包機も開発されている(例えば特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開昭62-260601号公報
【文献】特開昭59-026403号公報
【文献】特開平07-080043号公報
【文献】特開平11-114020号公報
【文献】特開2002-85523号公報
【文献】特開2016-73518号公報
【文献】特許第6406785号公報
【文献】特許第6422606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、人手投入タイプの散薬分包機を設置した薬局では、その散薬分包機が散薬分割部にターンテーブルを採用したものであれ他の分割方式のものであれ、機械投入タイプの散薬分包機への設備更新が、設置場所やコスト等の制約から、難しくて、なかなか進まない。そして、調剤者が運搬容器を電子天秤に乗せ置き、調剤者が散薬収容器を手に持って傾けることで、所要の散薬を秤量しながら散薬収容器から運搬容器へ移すという手作業が、依然として行われている。
【0011】
このため、そのような薬局では、散薬秤量業務に関して、調剤者の負担が重いままであるうえ、作業に掛かる時間も長いままである。
そこで、設置場所やコストの増大を抑えつつ手作業での散薬秤量業務の負担軽減や調剤時間に短縮に資する散薬秤量システムを実現することが技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の散薬秤量システムは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
第1散薬収容器に付された第1散薬識別情報を読み取るのに用いられる第1情報読取器と、前記第1散薬収容器から取り出された散薬を秤量するのに用いられる秤量装置と、秤量を含む調剤情報を表示するのに用いられる画面表示器と、調剤対象になりうる各種の散薬について前記第1散薬識別情報に対応した第1散薬に係る調剤用情報を保持している情報処理装置とを備えており、前記情報処理装置が、処方データに基づいて前記第1散薬が調剤対象にされると前記第1散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示するようになっている散薬秤量システムにおいて、
第2散薬識別情報を付された第2散薬収容器を着脱しうる容器保持部と、前記容器保持部に前記第2散薬収容器が置かれるとそれに付されている前記第2散薬識別情報を読み取る第2情報読取器と、前記容器保持部に置かれた前記第2散薬収容器から第2散薬を排出させて計量する計量部とを具備した計量装置が設けられ、
前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報に対応した前記第2散薬に係る調剤用情報も保持しており、処方データに基づいて前記第2散薬が調剤対象にされると前記第2散薬に係る前記調剤用情報に基づいて対応する調剤指示情報を前記画面表示器に表示し、前記第2情報読取器にて前記第2散薬識別情報が読み取られると前記計量装置に前記計量部の動作指示を出すようになっている、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の散薬秤量システムは(解決手段2)、上記解決手段1の散薬秤量システムであって、
前記情報処理装置が、前記第2散薬に係る調剤指示情報を前記画面表示器に表示するときに、前記第2散薬収容器を目視で特定することができる情報も前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の散薬秤量システムは(解決手段3)、上記解決手段1,2の散薬秤量システムであって、
前記情報処理装置が、前記第2散薬識別情報の読み取り後に前記計量部の動作指示を出すに先だって前記画面表示器に確認を求める表示を行うようになっていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の散薬秤量システムは(解決手段4)、上記解決手段1~3の散薬秤量システムであって、
前記情報処理装置が、前記計量装置に前記計量部の動作指示を出した後に前記計量装置から計量値を取得して前記画面表示器に表示するようになっていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の散薬秤量システムは(解決手段5)、上記解決手段1~4の散薬秤量システムであって、
前記情報処理装置が、前記第1情報読取器にて前記第1散薬識別情報が読み取られると前記秤量装置の秤量値を取得して前記第1散薬の調剤済みデータに含めるとともに、前記計量装置に前記計量部の動作指示を出した後に前記計量装置から計量値を取得して前記第2散薬の調剤済みデータに含めるようになっていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の散薬秤量システムは(解決手段6)、上記解決手段1~5の散薬秤量システムであって、
前記情報処理装置が、前記画面表示器に表示している前記調剤指示情報のうち前記第2散薬に係るものについて前記計量装置での計量から前記秤量装置での秤量への切替指示を受付可能なものであって前記切替指示を受け付けると前記第1散薬に係る処理と同様の処理を行うようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明の散薬秤量システムにあっては(解決手段1)、所定の第1情報読取器と秤量装置と画面表示器と情報処理装置とを備えているので、処方箋情報の総て或いはその一部を含んだ処方データを受けたときに、その調剤対象が人手秤量必須の第1散薬である場合、手作業での秤量に役立つ調剤指示情報等の画面表示がなされるとともに、第1散薬識別情報の読取による第1散薬収容器の確認がなされる。そのため、所要の散薬を秤量しながら散薬収容器から運搬容器へ移すという散薬秤量業務が、調剤者の手作業に依存するものであっても、的確に遂行される。
【0019】
また、所定の計量装置が設けられていて、その容器保持部に第2散薬収容器が置かれると、その容器に付されている第2散薬識別情報が第2情報読取器にて読み取られるとともに、第2散薬収容器から排出された第2散薬が計量部にて計量されるようにもなっている。そのため、第2散薬収容器に収められている第2散薬については、それが調剤対象にされると、第2散薬識別情報の読取による確認がなされるのに加えて、計量の動作指示が出されることから、第2散薬収容器の容器保持部への着脱操作は別として、主たる計量を自動計量にて迅速かつ的確に行わせることが可能になる。
そして、その自動計量の間は、調剤者が計量作業から解放されるため、他の作業たとえば第1散薬の人手秤量を並行して行うことも可能となる。
【0020】
さらに、装着済み第2散薬収容器から散薬を排出して計量するところは計量装置にて自動処理されるようにしたが、第2散薬収容器の着脱など他の機能については自動化しないでも済むように情報処理装置等の共用化を図ったことにより、コストアップが抑制される。しかも、比較的小さい計量装置を増設する余地が作業机上面等にあれば、既存の人手投入タイプの散薬分包機を設置済みの薬局等でも、容易に導入することができる。
従って、この発明によれば、設置場所やコストの増大を抑えつつ手作業での散薬秤量業務の負担軽減や調剤時間に短縮に資する散薬秤量システムを実現することができる。
【0021】
また、本発明の散薬秤量システムにあっては(解決手段2)、第2散薬に係る調剤指示情報の画面表示に際して、第2散薬収容器を目視で特定することができる情報も画面表示されるようにしたことにより、第2散薬収容器が人手で計量装置に着脱されるものであっても、それに先立って必要な第2散薬収容器を調剤者が特定するのが容易になる。
【0022】
さらに、本発明の散薬秤量システムにあっては(解決手段3)、第2散薬識別情報の機械読取による自動確認に加えて、画面表示を見た調剤者の目視確認も行われるようにしたことにより、確認の確度が高まるばかりか、例えば計量の順番を変えたいといった状況や散薬の変わり目で運搬容器を使い分けたいといった状況などにも柔軟に対処することができる。
【0023】
また、本発明の散薬秤量システムにあっては(解決手段4)、自動計量中にその時々の計量値が画面表示されるため、調剤者が別の散薬の人手秤量を行っているときでも、調剤者は画面表示に目をやることで容易に自動計量の進み具合を知ることができる。
【0024】
また、本発明の散薬秤量システムにあっては(解決手段5)、人手秤量によって得られた計量値も、自動計量によって得られた計量値も、情報処理装置によって調剤済みデータに含められるようにしたことにより、人手秤量と自動計量との混在する作業が行われても、得られたデータの管理や利用は統一的に行うことができる。
【0025】
また、本発明の散薬秤量システムにあっては(解決手段6)、自動計量の対象として画面表示された第2散薬について人手秤量への切替を指示すると自動計量の対象から外されて第1散薬の如く人手秤量が行えるようにしたことにより、例えば第2散薬収容器の中の第2散薬が予想外に固まったりして自動調剤を避けたくなったときなどには簡便に自動調剤を回避して代わりに人手調剤を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1について、散薬秤量システムの構成を示すブロック図である。
図2】(a)が小規模な散薬秤量システムの外観図、(b)が人手秤量用の第1散薬収容器である散薬瓶の正面図、(c)が自動計量用の第2散薬収容器である散薬カセットの外観図、(d)が前扉を開けて運搬容器のカップを置いた状態の計量装置に係る外観図、(e)が前扉を閉めるとともに散薬カセットを載置して保持させた状態の計量装置に係る外観図である。
図3】調剤指示選択画面の表示例である。
図4】調剤指示情報画面の表示例である。
図5】調剤指示情報画面の表示例である。
図6】調剤指示情報画面の表示例である。
図7】調剤指示情報画面の表示例である。
図8】調剤指示情報画面の表示例である。
図9】調剤指示情報画面の表示例である。
図10】調剤指示情報画面の表示例である。
図11】調剤指示情報画面の表示例である。
図12】調剤結果出力紙片の例である。
図13】調剤指示選択画面の表示例である。
図14】調剤指示情報画面の表示例である。
図15】(a)が自動計量から人手秤量へ変更中の調剤指示情報画面の表示例、(b)が変更後の調剤指示情報画面の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
このような本発明の散薬秤量システムについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1図15に示した実施例1は、上述した解決手段1~6(出願当初の請求項1~6)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、フレームや,ボルト等の締結具,ヒンジ等の連結具,電動モータ等の駆動源,タイミングベルト等の伝動部材,モータドライバ等の電気回路,コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
【実施例1】
【0028】
本発明の散薬秤量システムの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、散薬秤量システム10の構成を示すブロック図である。
また、図2は、(a)が散薬秤量システム10と散薬分包機6との外観図であり、(b)が人手秤量用の第1散薬収容器50の典型例である散薬瓶の正面図であり、(c)が自動計量用の第2散薬収容器60の一例である散薬カセットの斜視図である。
さらに、図2(d)及び(e)は計量装置40の斜視図であり、そのうち(d)が前扉を開けて計量部45に運搬容器70の典型例のカップを置いた状態を示しており、(e)が前扉を閉めるとともに第2散薬収容器60を載置して保持させた状態を示している。
【0029】
先ずハードウェア構成から説明すると(図1図2(a)参照)、散薬秤量システム10は、調剤管理ユニット20と散薬調剤ユニット30と計量装置40とを備えている。
調剤管理ユニット20と散薬調剤ユニット30は離れていても一緒になっていても良いが、計量装置40は散薬調剤ユニット30と一緒か手の届く近傍に置かれる。
この散薬秤量システム10は、小規模なので、調剤管理ユニット20も散薬調剤ユニット30も一台のものを図示したが、一台の調剤管理ユニット20に複数の散薬調剤ユニット30を組み合わせることや、複数台の調剤管理ユニット20に多数の散薬調剤ユニット30を組み合わせることも、場所や費用等の制約は別として技術的には可能である。
【0030】
調剤管理ユニット20は(図1参照)、共用の情報処理装置21を主体としたものであって、ハードディスク等のデータ保持部に薬品マスタ22と第1調剤用情報23と第2調剤用情報24と調剤指示情報25とを保持するとともに、処方データ入力手段26から処方箋に基づく処方データを入力するようになっている。
処方データ入力手段26は、手入力用のキーボードやタッチパネル等からなるものでも良く、小型の処方箋読取装置などでも良い。規模の大きなシステムでは、処方データ入力手段26に加えて又は代えて、処方データ送信手段4に接続し、その装置間通信機能にて外部の処方オーダエントリシステムから処方データを取得するようにしても良い。
【0031】
情報処理装置21は、デスクトップパソコンやノートパソコンといった一般的なコンピュータで良く、ここで共用と呼んだのは、後述の散薬調剤ユニット30が複数化されたときには各ユニット30,30における個別の情報処理装置31,31と協働してデータの処理や各部材の制御を遂行するからである。逆に、より小規模な構成では、情報処理装置21,31の機能を統合したプログラムが単体のコンピュータからなる情報処理装置(21+31)にインストールされて、必要な制御やデータ処理が単一コンピュータの情報処理装置(21+31)によって遂行されるようにしても良い。
【0032】
薬品マスタ22は、散薬秤量システム10で取り扱う可能性のある総ての薬品について種々の情報を格納したデータベースであり、例えば、薬品の名称や、識別情報、剤種、適用可能な調剤手法、特記事項などを、検索可能な態様でデータ保持している。特に、第1散薬収容器50に収容されていて秤量装置37を用いて人手秤量される散薬については該当する第1散薬識別情報51や目視特定用情報52のデータが薬品マスタ22に保持される。また、第2散薬収容器60に収容されていて計量装置40を用いて自動計量しうる散薬については、該当する第2散薬識別情報61や目視特定用情報62のデータが薬品マスタ22に保持されるとともに、該当する第2散薬収容器60を収納しておく棚の位置が予め定められている場合にはその棚番号も薬品マスタ22にデータ保持される。
【0033】
第1調剤用情報23は、人手秤量必須の散薬である第1散薬に係る情報であり、薬品マスタ22に含める態様で保持されていても良いが、ここでは明記のため別枠で図示した。各種の第1散薬それぞれに固有の第1散薬識別情報が割り振られており、それらが、調剤管理のため第1調剤用情報23にデータ保持されている。
また、それらの第1散薬識別情報は、人手秤量作業のために棚の右側部分等の所定箇所に置かれる第1散薬収容器50のうち該当するものに(図2(a),(b)参照)、バーコード等といった機械読取可能な第1散薬識別情報51として付記されるとともに、目視で読み取れる数字や他の文字からなる目視特定用情報52としても付記されている。
【0034】
第2調剤用情報24は(図1参照)、自動計量可能な散薬である第2散薬に係る情報であり、やはり薬品マスタ22に含める態様で保持されていても良いが、ここでも明記のため別枠で図示した。各種の第2散薬それぞれに固有の第2散薬識別情報が割り振られており、それらが、調剤管理のため第2調剤用情報24にデータ保持されている。
また、それらの第2散薬識別情報は、自動計量作業のため棚の左側部分等の所定箇所に置かれる第2散薬収容器60のうち該当するものに(図2(a),(c)参照)、無線利用のRFIDリーダ等を用いて非接触で機械読取できるRFIDタグ等で具現化された第2散薬識別情報61として付記されるとともに、目視で読み取れる数字や他の文字からなる目視特定用情報62としても記されている。
【0035】
これらの情報22,23,24は、調剤管理ユニット20の通常稼動外のときなどに予め情報処理装置21のデータベースに設定されるようになっている。
これに対し、調剤指示情報25は、処方データから散薬秤量システム10の取り扱い部分を抽出したものが大半であり、後述する調剤指示選択画面や調剤指示情報画面の表示項目に係るデータ等が保持されている。そして、情報処理装置21は、処方データ入力手段26等を介して処方データが情報処理装置21に入力される度に、必要部分を抽出や整理して調剤指示情報25を次々に作成し、待ち行列のように連ねてストックするとともに、調剤作業が完了すると該当情報25をストックから取り除くようになっている。
【0036】
散薬調剤ユニット30は(図1図2(a)参照)、小形のコンピュータからなり対応調剤指示情報34や調剤済みデータ35を内蔵ハードディスク等にデータ保持する情報処理装置31と、その制御下等で動作する調剤指示入力手段32と画面表示器33と第1情報読取器36と秤量装置37と出力装置38とを具備したものである。そのうち、出力装置38は、チケットプリンタと呼ばれる小いさな卓上印刷器であり、散薬調剤結果を紙媒体に出力する。秤量装置37は、秤量データを情報処理装置31へ送出しうる電子天秤であり、上述の第1散薬収容器50から散薬を手作業で取り出しながら取出量を量る人手秤量を行うのに用いられる。第1情報読取器36は、バーコードリーダ等からなり、上述した第1散薬収容器50に付された第1散薬識別情報51の読み取りに用いられる。
【0037】
画面表示器33は、液晶パネル等の画面を具備していて、秤量装置37の秤量値を含む各種の調剤情報を表示するのに用いられるものである。
調剤指示入力手段32は、画面表示器33に表示された選択項目や入力項目に対して適宜な指示や値を入力して情報処理装置31へ送るのに用いられるものである。
この散薬調剤ユニット30では、コンパクト化のため、上述した情報処理装置31と調剤指示入力手段32と画面表示器33とが、タッチパネル兼用ディスプレイ等にて一体的に纏められている。
【0038】
対応調剤指示情報34は、調剤管理ユニット20の保持する調剤指示情報25のうち、散薬調剤ユニット30での調剤対象に選出されて、調剤管理ユニット20から散薬調剤ユニット30へ複製転送されたデータである。
調剤済みデータ35は、対応調剤指示情報34のうち調剤作業の済んだ部分に係るデータを保持しており、対応調剤指示情報34に追記する態様で保持しても良いが、ここでは明示のため別枠で図示した。例えば、対応調剤指示情報34で指示された散薬のうち上述した散薬調剤ユニット30の秤量装置37を用いて人手秤量されたときの秤量値や、後で詳述する計量装置40を用いて自動計量されたときの計量値が、含まれる。
【0039】
計量装置40は、散薬調剤ユニット30に付設して用いられるものなので、上述したように散薬調剤ユニット30の近くに設置される。ここでは、それらの設置先として、調剤作業台と監査台とを兼ねる机に対して第1散薬収容器50及び第2散薬収容器60を適宜区分けして保管するための棚を一体化したものを図示したが(図2(a)参照)、棚は別置きでも良い。机の下や中に空きがあれば、そこに調剤管理ユニット20を収納しても良い。散薬分包機6は、大きい装置なので、上記の机とは別個に設置されており、出力装置38で印刷したチケットを用いれば散薬分包機6をオフラインで使用することが可能であるが、散薬調剤ユニット30を介して分包情報をダウンロードするようにしても良い。
【0040】
本例の計量装置40は(図1図2(d),(e)参照)、コントローラ41と容器保持部42と第2情報読取器43と計量部44,45とを具備している。
コントローラ41は、マイクロプロセッサ等からなり、所定のプログラムを実行することにより、第2情報読取器43から読み取り情報を入力することに加えて、計量部44,45の動作を制御するとともにその計量値を入力することも行うようになっている。
容器保持部42は、第2散薬収容器60を手に持って容易に着脱できるように上板の中央部分を凹ませて形成されている。計量部44,45が手前側にあるので、第2散薬収容器60は開口側を手前にして計量部44に載せ置くようになっている。図示のものは第2散薬収容器60を一個しか置けないようになっているが、複数載置可能にしても良い。
【0041】
第2情報読取器43は、第2散薬収容器60に付記された第2散薬識別情報61がRFIDタグ等で具体化されていることに対応して、その第2散薬識別情報61を読み取り可能なRFIDリーダ等が採用されている。しかも、第2情報読取器43は、容器保持部42のうちRFIDで無線通信可能な適宜部位に設置されている。そして、第2情報読取器43は、容器保持部42に第2散薬収容器60が適切な姿勢で載置されると、それに付されている第2散薬識別情報61を読み取るようになっている。
【0042】
計量部44は、撮像装置等を具備していて、第2散薬収容器60から少しずつ排出された散薬を落下中に撮影等して落下散薬の量を計測するものであり、計量部45は、電子天秤等を具備していて、そこに置かれた運搬容器70の重量の初期値と増分とから運搬容器70に収容された散薬量を計測するものであり、それらの計測値と予測制御とにて測定精度の向上とを図ったものである(例えば特開2018-11974号公報を参照)。
このような計量部44,45を具備した計量装置40は、容器保持部42に置かれた第2散薬収容器60から第2散薬を排出させて自動計量するものとなっている。
【0043】
このようなハードウェア構成に基づいて、散薬秤量システム10は、情報処理装置21+31のソフトウェアにより、以下のような処理も行うようになっている。
すなわち、処方データ入力手段26等を介して取得した処方データに処方対象として人手秤量用の第1散薬が含まれていると、その第1散薬を含む調剤指示情報25を薬品マスタ22や第1調剤用情報23に基づいて作成するとともに、その調剤指示情報25が散薬調剤ユニット30の調剤対象に選出されると、その第1散薬に係る第1調剤用情報23等の複製等にて対応する対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示するようになっている。
【0044】
それから、調剤対象の第1散薬を収容した第1散薬収容器50から第1散薬識別情報51が第1情報読取器36を用いて読み取られると、該当する第1散薬の画面表示部分を色変更等にて明示するようになっている。
そして、その後は、秤量装置37から秤量値を取得して画面表示器33に表示することも行うが、その際、人手秤量は一般に時間が掛かるため、更には秤量の進み具合を画面でも確認できるようにするために、秤量値の取得と表示は随時行うようになっている。
秤量完了時には、そのときの秤量値を調剤対象の第1散薬に係る実測値として調剤済みデータ35の該当箇所に含めるようにもなっている。
【0045】
また、処方データ入力手段26等を介して取得した処方データに処方対象として自動軽量の第2散薬が含まれていると、その第2散薬を含む調剤指示情報25を薬品マスタ22や第2調剤用情報24に基づいて作成するとともに、その調剤指示情報25が散薬調剤ユニット30の調剤対象に選出されると、その第2散薬に係る第2調剤用情報24等の複製等にて対応する対応調剤指示情報34を作成し、その内容を画面表示器33に表示するようになっている。その際、第2散薬収容器60を目視で特定することができる情報として、目視特定用情報62と同じ情報か(図2(c)では薬品名やコード「0098」)、代用可能な情報である例えば第2散薬収容器60載置先の棚番号か、あるいは両方を、画面表示器33に表示するようにもなっている。
【0046】
それから、調剤対象の第2散薬を収容した第2散薬収容器60から第2散薬識別情報61が第2情報読取器43によって読み取られると、その読み取り後に計量部44,45の動作指示を計量装置40へ出すに先だって画面表示器33に確認を求める表示を行い、肯定的な確認が得られたら、計量装置40のコントローラ41に対して計量部44,45の動作開始を指示する。計量装置40に計量部44,45の動作指示を出した後には計量装置40から計量値を取得して画面表示器33に表示することも行う。計量完了時には、そのときの計量値を調剤対象の第2散薬に係る実測値として調剤済みデータ35の該当箇所に含めるようにもなっている。
【0047】
さらに、第2散薬については、第2散薬収容器60に収容されているだけでなく第1散薬収容器50にも収容されている場合は第1散薬収容器50の方を使用することにより、ほとんどのものが第1散薬と同様に秤量装置37で秤量することも可能なので、それらのうち自動計量に拘らないで人手秤量でも良いとするものには、計量装置40での自動計量から秤量装置37での人手秤量への切替指示を受付可能なものであることを例えば第2調剤用情報24のフラグ設定等にて指定できるようになっている。
【0048】
そして、調剤対象になっていて画面表示器33に表示している対応調剤指示情報34のうち第2散薬に係るものについては、計量装置40での計量から秤量装置37での秤量への切替指示を受け付けると、該当する第2散薬に係る画面表示内容を第1散薬に係る画面表示内容と同様のものに変更する。そして、その後は、恰も第1散薬の如く秤量装置37を用いて秤量したときには対応するデータ更新や画面表示を遂行するが、計量装置40を用いて計量しようとすると誤操作やエラーとして扱い計量処理を行わないようにもなっている。
【0049】
なお、自動計量から人手秤量への切替指示は、画面表示器33の画面表示に係る調剤指示入力手段32の操作等によって情報処理装置31に入力される他、第2散薬を収容している第1散薬収容器50に付されている第1散薬識別情報51を第1情報読取器36で読み取る操作によっても情報処理装置31に入力されるようになっている。
第2散薬収容器60やその中の散薬が計量装置40での散薬自動排出に加えて手作業での散薬取出も許容しているものであって更に第2散薬識別情報61だけでなく第1散薬識別情報51も付されているような場合も、その第1散薬識別情報51を第1情報読取器36で読み取る操作にて、情報処理装置31に上記の切替指示を出すことができる。
【0050】
この実施例1の散薬秤量システム10について、その使用態様及び動作を、画面表示器33の表示例を示した図面を引用して説明する。
【0051】
図3図13は、調剤指示情報25から一つ選択された対応調剤指示情報34に係る一連のものであり、そのうち図3は、調剤指示選択画面の表示例であり、図4図11は、調剤指示情報画面の表示例であり、図12は、調剤結果出力紙片(チケット)の印刷例であり、図13は、調剤指示情報画面の表示例である。
また、図14は、調剤指示選択画面の表示例である。さらに、図15は、(a)が自動計量から人手秤量へ変更中の調剤指示情報画面の表示例であり、(b)が変更後の調剤指示情報画面の表示例である。
【0052】
幾つかの処方データが処方データ入力手段26等から調剤管理ユニット20に入力されたとして、さらに、そのうち五人の患者の処方データの中に、散薬秤量システム10で調剤しうる散薬が含まれていたとする。そうすると、それに応じて、散薬調剤ユニット30で処理しうる調剤指示情報25が五つほど調剤管理ユニット20において作成される。
その状態で、調剤者が散薬調剤ユニット30を起動させると、画面表示器33に「調剤指示選択画面」が表示される(図3参照)。その画面には、常に表示される調剤者名や設定欄などの共通項目に加えて、上述した五人の患者情報が一覧表示される。夫々の患者情報には、受付番号や,患者氏名,受付日時,引換券番号,診療科などが含まれる。
【0053】
その中から調剤者が調剤指示入力手段32にて適宜な患者情報を選択すると、散薬調剤ユニット30によって、その選択に対応した調剤指示情報25が複製されて対応調剤指示情報34とされ、更にその情報34に基づく「調剤指示情報画面」が画面表示器33に表示される(図4参照)。
その画面には、選択された一人の患者情報に係る選択患者情報が表示されるとともに(図4の例では左端の欄を参照)、その患者に処方された散薬に係る調剤内容が画面表示器33に一覧表示される(図の例では中央の欄を参照)。計量作業を促す案内などが有ればそれも画面表示器33に表示される(図4の例では下端の欄を参照)。
【0054】
その患者に処方された散薬が例えば「何々細粒1%」と「何とか散2%」と「何々顆粒3%」との三種類であるとすると、その一覧表示では(図4の例では中央の欄を参照)、「状態」や、「棚番号」、「カセット」、「薬品名」、「一日量」、「目標値」、「実測値」といった項目名が横に並べて表示されるとともに、それぞれの下に夫々の散薬に関する項目値が一行ずつ表示される。例えば「何々細粒1%」の場合、「状態」の項目値は調剤完了前は空白であるが調剤完了後は「済」にされ、「棚番号」の項目値は人手秤量のものは空白であるが自動計量のものは「A-11」等の棚番号にされ、「カセット」の項目値は人手秤量のものは空白であるが自動計量のものは「0098」といった第2散薬識別情報61対応の目視特定用情報62の値にされ、「薬品名」の項目値は何れも該当する薬品名の文字列にされ、「一日量」の項目値は何れも一日当たりの処方量にされ、「目標値」の項目値は総処方量にされ、「実測値」の項目値は初期状態では空白にされる。
【0055】
そのような表示が画面表示器33になされているときに(図4参照)、例えば人手秤量用の「何々顆粒3%」を収容した第1散薬収容器50を手にしてその第1散薬識別情報51を第1情報読取器36に読み取らせると、情報処理装置21+31によって、対応調剤指示情報34のデータ検索等が行われて、散薬「何々顆粒3%」が現在の人手秤量対象にされたことが確認され、人手秤量対象を明らかにする画面表示がなされる(図5参照)。具体的には、例えば人手秤量対象の散薬「何々顆粒3%」の表示行の色が赤く変更されるとともに(図5では対象散薬に係る表示行に散点を付して強調表示)、人手秤量対象の散薬「何々顆粒3%」の目標値に加えて許容誤差等を明瞭に示す表示が追加されたり、自動計量が並行して行えることを案内する表示も行われる(図5の例では下端の欄など)。
【0056】
そして、それらの表示参照なども行って散薬「何々顆粒3%」を対象にして調剤者が秤量装置37を用いて手作業にて秤量を行うのであるが、その人手秤量の実作業を開始する前であれ後であれ任意の時期に他の散薬の自動計量を始めることが可能なので、例えば散薬「何とか散2%」も並行して自動計量させることとする。
この場合、調剤者は、人手秤量の手作業を一時的に止めて、その代わりに散薬「何とか散2%」を収容している第2散薬収容器60を手作業にて計量装置40の容器保持部42へ適正な姿勢で載置すれば良い。
【0057】
そうすると、計量装置40の前扉が閉められていることや、計量装置40の計量部45に運搬容器70が置かれていることが、適宜なセンサや重量測定を用いて計量装置40によって自動確認される。そして、計量装置40が自動計量を始める準備が整うと、それに応じた情報処理装置21+31によって、自動計量開始の確認を求める表示が画面表示器33に出される。例えば(図6参照)、「何とか散2% 自動計量を開始しますか?」といったメッセージが表示されるので、自動計量を開始するときは「はい」を選択操作し、自動計量を開始しないときは「いいえ」を選択操作する。
【0058】
ここでは「はい」を選択操作したものとする。そうすると、計量装置40による散薬「何とか散2%」の自動計量が始まり、その時々の計量値が画面表示器33の該当項目欄に随時表示されるので(図7における該当散薬の実測値欄の「13.8g」を参照)、自動計量の進み具合を容易に確認することができる。
また、自動計量が進行中であることを明らかにする画面表示もなされ、例えば上記の該当項目だけが赤色に変更される(図7では該当箇所に散点を付して強調表示)。
その自動計量の開始後は、調剤者は、散薬「何とか散2%」の調剤作業から解放されるので、散薬「何々顆粒3%」の人手調剤の作業を再開して続行することができる。
【0059】
そして、その人手調剤が完了すると、該当する散薬「何々顆粒3%」の秤量完了を明らかにする画面表示がなされる(図7参照)。例えば、人手秤量対象の散薬「何々顆粒3%」の表示行の色が例えば水色に変更されるとともに、人手秤量対象の散薬「何々顆粒3%」の最終実測値や完了状態が表示される(図7における該当散薬に係る実測値欄の「45g」や状態欄の「済」を参照)。ここで、人手調剤の完了は、秤量装置37の測定値データを入力した情報処理装置21+31が目標値と比較することで自動的に行える他、秤量装置37の測定値表示等に基づいて人手調剤の完了を知った調剤者が調剤指示入力手段32の操作等にて情報処理装置21+31に指示することでも行える。
【0060】
そうこうするうちに、計量装置40による散薬「何とか散2%」の自動計量が完了すると、そのことが情報処理装置21+31によって自動検出され、該当する散薬「何とか散2%」の計量完了を明らかにする画面表示がなされる(図8参照)。具体的には、自動計量対象の散薬「何とか散2%」の表示行の色が例えば水色に変更されるとともに、自動計量対象の散薬「何とか散2%」の最終実測値や完了状態が表示される(図8における該当散薬に係る実測値欄の「44.9g」や状態欄の「済」を参照)。それを見て散薬「何とか散2%」の自動計量の完了を確認した調剤者は、計量装置40から散薬「何とか散2%」の第2散薬収容器60を取り外して、運搬容器70の交換が必要であればそれも行い、残っている散薬「何々細粒1%」を自動計量させる。
【0061】
繰り返しとなる煩雑な説明を避けて簡潔に述べると、調剤者は散薬「何々細粒1%」を収容している第2散薬収容器60を手作業にて計量装置40の容器保持部42へ適正な姿勢で載置する。すると、その第2散薬識別情報61の自動読取に応じて自動計量開始の確認を求める表示が出されるので(図9参照)、自動計量を開始する選択操作を行う。
そうすると、計量装置40による散薬「何々細粒1%」の自動計量が始まり、後は自動で、画面表示器33の該当項目欄の色が変更されるとともに計量値が随時表示される(図10における該当散薬の実測値欄の「12.9g」を参照)。
【0062】
そして、計量装置40による散薬「何々細粒1%」の自動計量が完了すると、その計量完了を明らかにする画面表示がなされる(図11参照)。
具体的には、該当する表示行の色が水色に変更され、その行の該当項目が更新される(図11における該当散薬に係る実測値欄の「44.9g」や状態欄の「済」を参照)。
さらに、図示は割愛したが、対応調剤指示情報34で指示された総ての散薬の調剤が済んだことの通知や、計量装置40から運搬容器70の取出を促す案内なども、画面表示器33の画面に表示される。
【0063】
こうして、調剤対象になった三種類の散薬に係る調剤作業が総て完了するので、情報処理装置21+31によって取得データ等が適宜整理されてデータベース等に格納保存されるとともに、散薬調剤結果を目視可能に示すチケット(散薬調剤結果出力紙片)が出力装置38にて印刷され出力される。このチケットは、調剤者による調剤作業の再確認や、監査者による最終監査などに役立つ。そのチケットでは(図12参照)、各散薬について、目視確認の容易のため、調剤が自動計量でなされたものには例えば「(自)」マークが付記され、調剤が人手秤量でなされたものには例えば「(手)」マークが付記される。また、そのチケットには、該当する散薬調剤を特定するための識別コードも機械読取可能なバーコード等で印刷されているので、何時でも簡便に所望情報を識別コード機械読取やデータベース検索などで取得したり利用することができる。
【0064】
散薬調剤対象にされた患者一人分の調剤が終わると、設定により自動で又は調剤指示入力手段32等での指示に応じて、画面表示器33の表示が「調剤指示選択画面」に戻る(図13参照)。その画面では、散薬調剤の済んだ患者の情報が表示されなくなって、残りの四人の患者情報が一覧表示されるので、他の患者に係る散薬調剤も行うときには、上述した作業を必要なだけ繰り返せば良い。そして、調剤後の散薬は、それを収容している運搬容器70と該当するチケットとともに、セットで運ばれ、監査後に、散薬分包機6に投入される。その際、該当チケットのバーコード読取等によって、散薬秤量システム10から散薬分包機6へ或いは処方データ送信4から散薬分包機6へ、分包に必要な情報がダウンロードされるので、簡便かつ的確に分包がなされる。
【0065】
以上は、散薬の人手秤量と自動計量とがスムーズに進行したときの動作を説明したものであるが、円滑には進行できなかった幾つかの場合についても説明する。
先ず、計量装置40の容器保持部42に第2散薬収容器60を置いたときに、計量装置40の計量部45に運搬容器70が置かれていないことが検出されると、「計量カップがセットされていません。計量カップを確認してから計量を再開して下さい。」といった確認メッセージが画面表示器33に表示される(図14参照)。それに対して、調剤指示入力手段32を操作して、例えば、「いいえ」を選択すると自動計量が打ち切られ、運搬容器70をセットして前扉を閉めてから「はい」を選択すると自動計量が実行される。
【0066】
また、図示は割愛したが、運搬容器70がセットされていても計量装置40の前扉が開いたままであれば、その前扉を閉めるのを促す確認メッセージが画面表示される。
さらに、やはり図示は割愛したが、計量装置40に装着中の第2散薬収容器60が自動計量の途中で空になってしまったときには、第2散薬収容器60への散薬補充を促す確認メッセージが画面表示されるとともに、散薬補充後の第2散薬収容器60の再装着を待って自動計量が再開される。
【0067】
また(図15参照)、画面表示器33に調剤指示情報画面が表示されているときに、自動計量の対象になっている散薬のうち未だ自動計量が始められていないものについては、自動計量の対象から人手秤量の対象に変更することもできるようになっている。
人手秤量よりも自動計量の方が一般に素早く精度良く行えるので、通常は自動計量が好まれるが、対象になった第2散薬収容器60を手にしたときに第2散薬収容器60の中の散薬に予期しない異常たとえば湿気による不所望な凝固などが見つかったような場合でも、代わりの第1散薬収容器50を用いて必要な調剤を行えるようにするためである。
【0068】
そのような場合、該当する散薬の例えば「何々細粒1%」について、状態欄も実測値欄も空白で未だ自動計量が始められていないことを「調剤指示情報画面」の表示で確認してから、調剤指示入力手段32の操作にて人手秤量への変更を指示すると、「何々細粒1%を自動計量から人手秤量に変えますか?」といった確認メッセージが画面表示器33に表示される(図15(a)参照)。
そこで「はい」を選択すると、情報処理装置21+31によって散薬「何々細粒1%」が人手秤量の対象とされるとともに、該当表示行の棚番号欄とカセット欄とが人手秤量向け表示の空白になるため(図15(b)参照)、その変更を調剤者が目視で容易に確認することができるので、後は上述した手順で人手秤量を遂行すれば良い。
【0069】
[その他]
上記実施例の散薬秤量システム10には計量装置40が一台しか装備されていなかったが、机上などに設備追加の余裕が有れば計量装置40を増設して複数の自動計量までも並行処理できるようにしても良い。
上記実施例では、調剤指示情報25のうち調剤の対象に選出されたものが複製されて対応調剤指示情報34が作成されるようになっていたが、この複製は必須でなく、例えば適宜なポインタ等にて何れの調剤指示情報25が対応調剤指示情報であるかが判明するようになっていても良い。
【0070】
上記実施例では、秤量装置37を用いた人手秤量については秤量途中の実測値が画面に表示されるようになっていなかったが、秤量装置37の測定データを情報処理装置31へ随時送信するのが可能なハードウェア構成になっているので、秤量装置37を用いた人手秤量についても秤量途中の実測値を画面に表示して随時更新するようにしても良い。また、自動計量は、人手秤量より速いため、更には人手秤量中の秤量値表示と紛らわしくなるのを回避するため、逆に、計量値の表示更新を計量完了まで控えるようにしても良い。
【0071】
上記実施例では、自動計量から人手秤量への切替が行われたときに、該当散薬の画面表示において棚番号やカセット番号の表示が空白に変わったが、これは必須ではない。切替は調剤者が認識して行うことなので上記表示が上記切替では変わらないままにしても良い。あるいは第1散薬識別情報51の読取による切替では変わるが第2散薬識別情報61の読取を伴った切替では変わらない、といったように場合分けしても良い。
上記実施例では、散薬分包機6が散薬調剤ユニット30に対してオンライン接続可能なものになっていたが、散薬分包機6がオフラインであっても、散薬調剤ユニット30は不都合なく動作し使用することができる。
【符号の説明】
【0072】
4…処方データ送信(上位システム)、6…散薬分包機、
10…散薬秤量システム、21+31…情報処理装置、
20…調剤管理ユニット、
21…情報処理装置(共用)、22…薬品マスタ、23…第1調剤用情報、
24…第2調剤用情報、25…調剤指示情報、26…処方データ入力手段、
30…散薬調剤ユニット、
31…情報処理装置(個別)、32…調剤指示入力手段、
33…画面表示器(タッチパネルディスプレイ)、
34…対応調剤指示情報、35…調剤済みデータ、
36…第1情報読取器(バーコードリーダ)、37…秤量装置(電子天秤)、
38…出力装置(散薬調剤結果出力,チケットプリンタ)、
40…計量装置、
41…コントローラ、42…容器保持部、
43…第2情報読取器(RFIDリーダ,無線読取器,非接触読取器)、
44…計量部(落下量測定)、45…計量部(重量測定,容器検出部)、
50…第1散薬収容器(人手秤量の散薬を収容した散薬瓶)、
51…第1散薬識別情報(バーコード)、52…目視特定用情報(文字,数字)、
60…第2散薬収容器(自動計量用の散薬を収容した散薬カセット)、
61…第2散薬識別情報(RFIDタグ,無線タグ,非接触タグ)、
62…目視特定用情報(文字,数字)、70…運搬容器(カップ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
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図15