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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20221219BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20221219BHJP
   B66F 9/08 20060101ALI20221219BHJP
   B66F 9/12 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B66F9/06 A
B66F9/075 L
B66F9/08 E
B66F9/12 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020073776
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021011384
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2019124375
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391033115
【氏名又は名称】株式会社カナモト
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】000213851
【氏名又は名称】朝日機材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519052466
【氏名又は名称】株式会社相互
(74)【代理人】
【識別番号】100183357
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 道信
(72)【発明者】
【氏名】永田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康如
(72)【発明者】
【氏名】山添 大樹
(72)【発明者】
【氏名】柚木 雅憲
(72)【発明者】
【氏名】上村 嘉孝
(72)【発明者】
【氏名】浜田 一路
(72)【発明者】
【氏名】武田 俊彦
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-019384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0100643(US,A1)
【文献】特開2012-201492(JP,A)
【文献】特開2014-061990(JP,A)
【文献】実開平03-130281(JP,U)
【文献】特開2014-055060(JP,A)
【文献】実開昭51-068169(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
B62B 1/00- 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降装置本体と、
前記昇降装置本体に備えられ、荷役部を有する昇降機構と、
少なくとも前輪と後輪とを備え、前後方向及び左右方向に移動切り替え可能な移動機構と、を含み、
前記昇降装置本体の前方には鉛直方向に立設される柱部が備えられ、
前記昇降機構は、前記柱部の前方に備えられるとともに、前記柱部に対して傾動可能に軸支される昇降装置であって、
前記昇降機構と柱部との軸支部は、前記柱部上端の面部と連続して設けられている柱部側面の上端に備えられ、
前記軸支部は、
前記柱部側面の上端領域に備えた第一の軸支片と、
前記昇降機構における前記第一の軸支片と対向する領域で、かつ昇降機構の側面部ほぼ中途部位に備えた第二の軸支片と、
前記第一の軸支片と前記第二の軸支片とにわたって同軸状に取り付けられる軸部材と、により構成されており、
前記柱部上端の面部は、前記昇降機構に向けて下り傾斜面状に構成されており、
前記第一の軸支片は、前記柱部上端の面部から同一平面上に連続した下り傾斜状に備えられ、
前記柱部上端の下り傾斜状の面部は、前記軸支部を中心にして前記昇降機構の上端側を柱部方向に傾動させた際に、前記昇降機構の側面部が、前記柱部上端の下り傾斜状の面部と対向し、かつ傾動作動前と比して昇降装置の全高を低くすることが可能な傾斜角度としたことを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記昇降機構の不意の傾動を阻止可能な傾動阻止機構を備え、
前記傾動阻止機構は、前記昇降機構と前記柱部とのいずれか一方に設けた係止部と、いずれか他方に設けられ、前記係止部が係脱可能な被係止部と、で構成され、
前記係止部は、柱部の側面にて起伏自在に支持される操作レバーと、前記操作レバーで引き寄せ操作される係止リンクと、で構成され、
前記被係止部は、前記昇降機構が傾動していない状態のときに、前記係止部と水平方向で相対向する位置に備えられる前方に向けて開放した引掛り爪部を有して構成されており、
前記操作レバーは、所定長さに形成されて回動自在に軸支される一端側と、前記一端側の反対側に一体に設けられる握持部とを有しており、
前記係止リンクは、前記操作レバーの中途部位に形成されている挿通孔内に摺動可能に挿通して配設される回動軸と、前記回動軸に両端部が取り付けられて一体に設けられる係止環とで構成され、前記昇降機構が傾動していない状態のときに、前記引掛り爪部に前記係止環が係止されるとともに、前記係止状態が解除されたときは、弾性部材によって、常時、後方に係止環の先端側が位置するように付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記移動機構は、前後動する操作部と、
前記操作部に連結され、該操作部の前後動作に従って車輪の向きが90度変更可能な車輪軸支部と、を含み、
前記操作部は、昇降装置本体に取り付けられて前後動作可能なシリンダであることを特徴とする請求項1又は2に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記昇降機構は、昇降動作可能なマスト部と、前記マスト部に連結されて上下昇降可能な前記荷役部と、を含み、
前記荷役部は、所定間隔をあけて備えられた一対の長尺状爪部と、前記それぞれの長尺状爪部の上面に備えられ、互いに向かい合って接近及び乖離可能な前後一対の荷物保持部と、を含み、
前記前後一対の荷物保持部は、それぞれが、接近方向には自由移動可能で、かつ乖離方向には移動が制限される間隔調整機構を備えており、
前記荷物保持部は、前記長尺状爪部上を前後方向に移動可能に備えられた本体部と、先端に係止爪を備えて本体部に軸支され、該軸支部を支点として回動可能に備えられた係止部と、を含み、
前記間隔調整機構は、前記係止部と、前記長尺状爪部の長手方向に備えられ、前記係止部が係止可能な複数個の歯部が並設されたラック部と、を含み、
前記ラック部に設けられた各歯部は、向かい合ったそれぞれの本体部の接近方向に昇り傾斜状のテーパ部と、前記テーパ部の下端から隣の歯部のテーパ部上端に向けて90度以下の角度をもって立ち上げ形成された立上り部と、を含み、
前記係止部は、常時、自重によって前記ラック部の歯部方向へと、先端の係止爪が落下することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の昇降装置。
【請求項5】
前記係止部は、前記荷物保持部の本体部の左右側面にそれぞれ一対ずつ軸支して備えられ、
それぞれの係止部は、それぞれの係止爪の近傍にわたって架け渡された解除機構を備えており、
前記解除機構は、上端に握持部を有し、前記握持部を前記本体部の上端方向に近接させることで前記係止爪を上昇方向に回動させて前記ラック部の歯部との係止状態を解除可能であることを特徴とする請求項4に記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場、工場あるいは倉庫などにて、資材などの運搬作業、荷揚げ作業、荷降ろし作業などに用いられる手動式の昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハンドリフトなどと称される手動式の昇降装置が、建築現場、工場、倉庫などにおいて、資材などの運搬作業、荷揚げ作業、あるいは荷降ろし作業などに用いられている。
このような手動式の昇降装置(ハンドリフト)は、フォークリフト(車両)や高所作業車などと比して、例えば、狭い場所での作業に適している、法定点検などの制限もなく簡単な始業点検だけでよい、さらに、運転技能講習などの資格が不要であるとともに、熟練作業員でなくても安全かつ的確に操作ができる、などの利点を有している。特に、建築現場などにおける作業員減少化が進む昨今、上述の利点は有用である。
【0003】
従来のこの種の手動式の昇降装置は、前後左右方向に方向転換可能な後輪を備えてはいるものの、前輪にあっては固定式のものが採用されている。
例えば、X軸方向に目的地近くまで前進移動した後、その状態のままY軸方向に目的地まで横移動(水平方向にスライド移動)できれば、移動作業(運搬作業)の簡素化、移動時間(運搬時間)及び荷揚げ・荷降ろし作業時間の短縮化などが図れ、手動式の昇降装置の有用性をさらに向上させることが可能である。
しかし、上述のとおり、従来の手動式の昇降装置では、X軸方向とY軸方向への切り替えができない構成であったため、目的地に到達するまでに、何度かの切り返し作業が必要であり、上述した作業及び作業時間の短縮化を図ることはなし得なかった。
【0004】
また、従来の手動式の昇降装置にあっては、荷物を持ち上げて移動するための左右の長尺状の爪部(フォーク)を備えてはいるものの、荷物のずれ落ち防止は、ベルトなどにて荷物を爪部(フォーク)に締結する手段を採用していたため、締結時及び解除時での作業手間を要していたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-154796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成にて前後進移動動作と左右方向移動動作とが容易かつ安価に成し得る手動式の昇降装置を提供することである。また、簡易かつ確実な荷物ずれ落ち防止の図り得るものとすることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、第1の本発明は、昇降装置本体と、
前記昇降装置本体に備えられ、荷役部を有する昇降機構と、
少なくとも前輪と後輪とを備え、前後方向及び左右方向に移動切り替え可能な移動機構と、を含み、
前記昇降装置本体の前方には鉛直方向に立設される柱部が備えられ、
前記昇降機構は、前記柱部の前方に備えられるとともに、前記柱部に対して傾動可能に軸支される昇降装置であって、
前記昇降機構と柱部との軸支部は、前記柱部上端の面部と連続して設けられている柱部側面の上端に備えられ、
前記軸支部は、
前記柱部側面の上端領域に備えた第一の軸支片と、
前記昇降機構における前記第一の軸支片と対向する領域で、かつ昇降機構の側面部ほぼ中途部位に備えた第二の軸支片と、
前記第一の軸支片と前記第二の軸支片とにわたって同軸状に取り付けられる軸部材と、により構成されており、
前記柱部上端の面部は、前記昇降機構に向けて下り傾斜面状に構成されており、
前記第一の軸支片は、前記柱部上端の面部から同一平面上に連続した下り傾斜状に備えられ、
前記柱部上端の下り傾斜状の面部は、前記軸支部を中心にして前記昇降機構の上端側を柱部方向に傾動させた際に、前記昇降機構の側面部が、前記柱部上端の下り傾斜状の面部と対向し、かつ傾動作動前と比して昇降装置の全高を低くすることが可能な傾斜角度としたことを特徴とする昇降装置としたことである。
【0008】
第2の本発明は、第1の本発明において、前記昇降機構の不意の傾動を阻止可能な傾動阻止機構を備え、
前記傾動阻止機構は、前記昇降機構と前記柱部とのいずれか一方に設けた係止部と、いずれか他方に設けられ、前記係止部が係脱可能な被係止部と、で構成され、
前記係止部は、柱部の側面にて起伏自在に支持される操作レバーと、前記操作レバーで引き寄せ操作される係止リンクと、で構成され、
前記被係止部は、前記昇降機構が傾動していない状態のときに、前記係止部と水平方向で相対向する位置に備えられる前方に向けて開放した引掛り爪部を有して構成されており、
前記操作レバーは、所定長さに形成されて回動自在に軸支される一端側と、前記一端側の反対側に一体に設けられる握持部とを有しており、
前記係止リンクは、前記操作レバーの中途部位に形成されている挿通孔内に摺動可能に挿通して配設される回動軸と、前記回動軸に両端部が取り付けられて一体に設けられる係止環とで構成され、前記昇降機構が傾動していない状態のときに、前記引掛り爪部に前記係止環が係止されるとともに、前記係止状態が解除されたときは、弾性部材によって、常時、後方に係止環の先端側が位置するように付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置としたことである。
【0009】
第3の本発明は、第1の本発明又は第2の本発明において、前記移動機構は、前後動する操作部と、
前記操作部に連結され、該操作部の前後動作に従って車輪の向きが90度変更可能な車輪軸支部と、を含み、
前記操作部は、昇降装置本体に取り付けられて前後動作可能なシリンダであることを特徴とする昇降装置としたことである。
【0010】
第4の本発明は、第1の本発明乃至第3の本発明のいずれかにおいて、前記昇降機構は、昇降動作可能なマスト部と、前記マスト部に連結されて上下昇降可能な前記荷役部と、を含み、
前記荷役部は、所定間隔をあけて備えられた一対の長尺状爪部と、前記それぞれの長尺状爪部の上面に備えられ、互いに向かい合って接近及び乖離可能な前後一対の荷物保持部と、を含み、
前記前後一対の荷物保持部は、それぞれが、接近方向には自由移動可能で、かつ乖離方向には移動が制限される間隔調整機構を備えており、
前記荷物保持部は、前記長尺状爪部上を前後方向に移動可能に備えられた本体部と、先端に係止爪を備えて本体部に軸支され、該軸支部を支点として回動可能に備えられた係止部と、を含み、
前記間隔調整機構は、前記係止部と、前記長尺状爪部の長手方向に備えられ、前記係止部が係止可能な複数個の歯部が並設されたラック部と、を含み、
前記ラック部に設けられた各歯部は、向かい合ったそれぞれの本体部の接近方向に昇り傾斜状のテーパ部と、前記テーパ部の下端から隣の歯部のテーパ部上端に向けて90度以下の角度をもって立ち上げ形成された立上り部と、を含み、
前記係止部は、常時、自重によって前記ラック部の歯部方向へと、先端の係止爪が落下することを特徴とする昇降装置としたことである。
【0011】
第5の本発明は、第4の本発明において、前記係止部は、前記荷物保持部の本体部の左右側面にそれぞれ一対ずつ軸支して備えられ、
それぞれの係止部は、それぞれの係止爪の近傍にわたって架け渡された解除機構を備えており、
前記解除機構は、上端に握持部を有し、前記握持部を前記本体部の上端方向に近接させることで前記係止爪を上昇方向に回動させて前記ラック部の歯部との係止状態を解除可能であることを特徴とする昇降装置としたことである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構成にて前後進移動動作と横方向移動動作とが容易かつ安価に成し得る手動式の昇降装置を提供することができる。また、本発明によれば、荷役部における簡易かつ確実な荷物ずれ落ち防止が図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明昇降装置の一実施形態を示す概略全体側面図である。
図2図1の状態からマスト部が延びて荷役部が上昇している状態を示す概略全体側面図である。
図3】昇降機構を省略して示す概略平面図であって、(a)は前輪後輪ともに前後進方向に向いている状態を示し、(b)は前輪後輪ともに、横方向に向きが変えられてスライド移動可能な状態を示す。
図4】前輪領域を拡大して示す概略拡大側面図であって、(a)は前輪が前後進方向に向いている状態を示し、(b)は前輪が横方向に向きを変えてスライド移動可能な状態を示す。
図5】荷役部領域を拡大して示す概略拡大側面図であって、(a)は間隔調整機構を最大限近くまで広げて間隔を広く取っており、かつ係止部がラック部の歯部に係止されている状態を示し、(b)は係止部がラック部の歯部から外れて係止状態が解除された状態を示し、(c)は間隔調整機構が接近・乖離可能な状態を示す。
図6】昇降機構を省略して示す概略平面図であって、(a)はアウトリガーを横方向に張り出していない状態を示し、(b)は軸支部分を支点として90度水平方向に回転させてアウトリガーを横方向に張り出させた状態を示す。
図7】アウトリガーの先端の接地部が格納可能な構成であることを示す部分拡大側面図であって、(a)は軸支部分を支点にして上方に向けて回転させて格納した状態を示し、(b)は軸支部分を支点にして下方に向けて回転させて地面に接地した状態を示す。
図8】本発明昇降装置の第二実施形態を示す概略全体側面図である。
図9図8の状態から、昇降装置本体に対して昇降機構が傾動している状態を示す概略全体側面図である。
図10】傾動阻止機構を拡大して示す側面図で、係止部が被係止部に係止されている状態を示す。
図11】傾動阻止機構を拡大して示す側面図で、係止部が被係止部から脱れた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る昇降装置について、添付図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施形態にすぎず、何等これらに限定して解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計可能である。
【0017】
「第一実施形態」
本実施形態の昇降装置は、基台1から前方に向けてそれぞれ長尺棒状に並設される一対の脚部3,3と、基台1から鉛直方向(図中、矢印Vで示す方向)に立設される外枠(第一マスト)5とで構成される昇降装置本体を有し、昇降装置本体は、荷役部39を有する昇降機構と、前後方向及び左右(横)方向に移動可能な移動機構と、を有している(図1乃至図7参照。)。
図中7は、基台上に備えたコントロールボックスを示す。
【0018】
移動機構は、少なくとも前輪13と後輪27とを備え、それぞれが前後方向及び左右方向に移動切替可能に構成されている。
【0019】
前輪13は、昇降装置本体のそれぞれの脚部3,3の先端領域の下面にて、鉛直方向の軸を中心にして左右方向(図中Hで示す水平方向)に回動可能に備えられる車輪軸支部(前輪軸支部)15に備えられている(図1乃至図4参照。)。
【0020】
車輪軸支部15は、水平板部17から下方に向けて並設され、前輪13を回動可能に軸支する二片の軸支片19,19と、水平板部17から上方に向けて突設されて脚部3の先端領域の軸孔にて回動可能に軸支される軸部(図示省略)と、水平板部17から水平方向に突設されたピストンロッド連結突片21と、で構成されている。
また、本実施形態では、昇降装置本体の脚部3の側面に操作部23が備えられている(図3及び図4参照。)。
【0021】
操作部23の先端部は、車輪軸支部15のピストンロッド連結突片21に連結されており、操作部23の前後動操作によって、車輪軸支部15が鉛直方向軸を中心にして90度回動可能に構成されている(図4参照。)。
【0022】
本実施形態において操作部23は、前後動作可能なシリンダで構成されている。
シリンダ23は、例えば、図4に示すように、昇降装置本体の脚部3の側面に備えられるとともに、車輪軸支部15のピストンロッド連結突片21にピストンロッド25の先端が軸支されている。
【0023】
そして、図3に示すようにコントロールボックス7側に備えた切替スイッチ9の切替操作によってピストンロッド25が脚部3の長手方向に前進移動若しくは後退移動することにより、車輪軸支部15をその鉛直方向軸を中心にして90度回動させる(図4参照。)。
【0024】
本実施形態では、ピストンロッド25を押し工程(前進移動)とすることにより、例えば右側(図3では向かって左側)の前輪13の車輪軸支部15がその鉛直方向軸を中心にして、平面視で時計回り方向に90度回動する。左側(図3では向かって右側)の前輪13の車輪軸支部15にあっては、ピストンロッド25の押し工程(前進移動)により、その鉛直方向軸を中心にして、平面視で反時計回り方向に90度回動する。
このように構成したため、前輪13を横移動可能なように前後進移動状態から90度変更して横移動状態とできる(図3(b)及び図4(b)参照。)。
そして、ピストンロッド25を引き工程(後退移動)とすることにより、例えば右側(図3では向かって左側)の前輪13の車輪軸支部15がその鉛直方向軸を中心にして、平面視で反時計回り方向に90度回動する。左側(図3では向かって右側)の前輪13の車輪軸支部15にあっては、ピストンロッド25の引き工程(前進移動)により、その鉛直方向軸を中心にして、平面視で時計回り方向に90度回動する。このようにして、前輪13を前後移動可能なように横移動状態から90度変更して前後進移動状態とできる(図3(a)及び図4(a)参照。)。
【0025】
シリンダ23は、油圧・空気圧の何れであっても本発明の範囲内である。また、本実施形態では、左右のシリンダ23は、単一の切替スイッチ9で同時に90度回動可能なように同期させている。
【0026】
また、本実施形態では、例えば、前後進移動状態の時には緑色、横移動状態の時には赤色となるように、コントロールボックス7上に備えたランプ11を点灯表示して、現状の前輪状態を色表示で確認きるようにしている。音声にて注意喚起することも可能である。
【0027】
後輪27は、本実施形態では、コントロールボックス7に突設した軸支部29にて、鉛直方向軸を支点にして左右方向に回動可能に構成された操作ハンドル31の下端に備えられ、操作ハンドル31の左右方向の動きに同期して後輪27の向きが前後進移動方向と横移動方向とに切り替え可能に構成されている。本実施形態における後輪27は電気的手段によって回転可能に構成されている(図1乃至図3参照。)。
なお、操作ハンドル31と後輪27とが同期していない形態であっても本発明の範囲内である。
すなわち、後輪は、前輪13と同様に車輪軸支部によって鉛直方向軸を中心に90度回転可能に構成されるとともに、シリンダ(操作部)によって車輪軸支部を90度回動可能に構成するものであってもよく本発明の範囲内である。
また、本実施形態における後輪27は、電気的手段により回転動作し得るが、後輪は電気的に回転動作するものでなくてもよく限定解釈されない。
【0028】
昇降機構は、昇降動作可能なマスト部33と、マスト部33に連結されて上下昇降可能な荷役部39と、を含んで構成されている(図1及び図2参照。)。
【0029】
マスト部33は、本実施形態では、外枠(第一マスト)5の内側にて隣接して上下昇降可能に立設された第二マスト35と、第二マスト35に隣接して上下昇降可能に立設された第三マスト37と、で構成されている(図2参照。)。マスト部33は、特に本実施形態に限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0030】
荷役部39は、所定間隔をあけて備えられた一対の長尺状爪部41,41と、それぞれの長尺状爪部41の上面に備えられ、互いに向かい合って接近及び乖離可能な前後一対の荷物保持部43,43と、を含み、マスト部33によって上下昇降可能に構成されている。なお、長尺状爪部41の上面には、滑り止め処理が施されているのが好ましい。滑り止め処理は、滑り止め剤を塗布するものであったり、すべり止め材を貼り付けるものであったり、周知の滑り止め処理が本発明の範囲内で採用可能である。
【0031】
前後一対の荷物保持部43,43は、長尺状爪部41の上面を前後方向(爪部の長手方向)に移動可能に備えられた本体部45と、本体部45に軸支され、軸支部を支点として回動可能に備えられた係止部55と、を含み、それぞれの荷物保持部43は、間隔調整機構によって、接近方向には自由移動可能で、かつ乖離方向には移動が制限されるように構成されている。
【0032】
本体部45は、長尺状爪部41の上面を短手方向(横方向)に跨ぐように配設される跨設部47と、跨設部47の上面から所定間隔をあけて立設される略三角板状の左右の側面部49,49と、左右の側面部49,49の傾斜辺上にわたって架け渡される傾斜上面部51とで構成され、跨設部47は、長尺状爪部41の側面を覆うようにして底面に向けて先端部を折曲成形している(図3及び図4参照。)。跨設部47は、長尺状爪部41の上面を前後方向(爪部41の長手方向)にスライド移動可能に配設されている。
【0033】
間隔調整機構は、本実施形態では、例えばラチェット機構を採用している。本実施形態の場合、荷物保持部43の本体部45に備えた係止部55,55と、左右に存するそれぞれの長尺状爪部41の両側面の長手方向に備えられ、係止部55,55が係止可能な複数個の歯部73が並設されたラック部65,65と、で構成されている。
【0034】
ラック部65は、ラック部65の長手方向の略中間領域に設けられている無歯領域67を境にして、無歯領域67とラック部基端65aとの間に存する第一歯部領域69と、無歯領域67とラック部先端65bとの間に存する第二歯部領域71とで構成されている。
【0035】
第一歯部領域69と第二歯部領域71とに設けられた各歯部73は、それぞれの領域69,71に配されている荷物保持部43,43の接近方向(無歯領域67に向かう方向)に向けて昇り傾斜状のテーパ部75と、テーパ部75の下端から隣の歯部73のテーパ部73上端に向けて90度若しくは鋭角の角度をもって立ち上げ形成された立上り部77と、で構成され、それぞれの領域69,71内で連続して形成されている。
【0036】
係止部55は、棒状腕部57と、棒状腕部57の先端から略直角状に垂設される係止爪59とで構成されている。荷物保持部43の本体部45の左右側面部49,49にそれぞれ一対ずつ、水平方向軸を支点として上下方向に回動可能に棒状腕部57の基端側を軸支して備えられ、係止部55は、常時、自重によってラック部65の歯部73方向へと、係止爪59が落下するように構成されている。
【0037】
本実施形態によれば、荷物保持部43が、それぞれ乖離する方向に移動しようとしても、係止部55の係止爪59が、ラック部65の歯部73の立上り部77に突き当たり、荷物保持部43の乖離方向への移動を制限する。また、荷物保持部43が接近する方向に移動させようとすると、係止爪59の先端が昇り傾斜状のテーパ部75に沿って係止爪59を押し上げつつスムーズに移動し得る。
【0038】
係止部55,55は、左右の係止爪59,59の近傍領域にわたって架け渡された解除機構を備えている。
解除機構は、左右の係止爪59,59間にわたって架け渡される板状本体61と、板状本体61の上端に一体成形される握持部63と、を有し、握持部63は、荷物保持部43の本体部45と反対方向に傾斜するように折曲成形されている。また、握持部63と対向する荷物保持部43の本体部45の上端領域、すなわち、傾斜上面部51の上端領域は、鉛直方向に向けて折曲形成して本体部45側の握持部53を構成している。
従って、解除機構側の握持部63と、本体部45側の握持部53と、を一緒に握持するとともに、解除機構側の握持部63を本体部45側の握持部53方向に近接させることで、係止爪59,59を上昇方向に回動させてラック部65の歯部73との係止状態を解除可能である。
【0039】
アウトリガー79は、基台1側にて基部81が鉛直方向軸を支点として軸支され、左右方向に回動可能に構成されている(図6参照。)。
先端領域には、水平方向軸85を支点として上下方向に回動可能に構成された接地部83を備えている(図1乃至図3図6及び図7参照。)。すなわち、アウトリガー79の使用時には、水平方向軸85を支点として下方に回動させて接地部83を作業領域の床面(地面)に接地可能である(図1図2図6及び図7(b)参照。)。
不使用時、例えば移動時には、移動走行時の邪魔にならないように、水平方向軸85を支点として上方に回動させて接地部83を格納することが可能である(図3及び図7(a)参照。)。
また、図中87で示すそれぞれの孔は、接地部83の格納状態、接地状態をそれぞれ維持するために、図示しない固定ピンを挿入するための孔である(図7参照。)。
【0040】
本実施形態の昇降装置によれば、上述のように構成されているため、次のような作用効果を奏する。
【0041】
例えば、前輪13と後輪27とを、前後進移動状態(図3(a)及び図4(a)に示す直進移動)としてX軸方向に目的地近くまで前進移動した後、その状態のままY軸方向に目的地まで横移動(水平方向にスライド移動)させたい場合、切替スイッチ9をピストンロッド25の押し工程とすることによって、それぞれの前輪13の車輪軸支部15がその鉛直方向軸を中心にして90度回動してそれぞれの前輪13を横移動可能なように前後進移動状態から90度変更されて横移動状態となる(図3(b)及び図4(b)参照。)。
そして、操作ハンドル31を横移動したい方向に90度向きを変えると、操作ハンドル31と同期させた後輪27が90度変更されて横移動状態となる(図3(b)参照。)。
また、前後移動状態に戻す場合、ピストンロッド25の引き工程により車輪軸支部15を、その鉛直方向軸を中心にして90度回動させれば、前輪13は前後移動可能なように横移動状態から90度変更されて前後進移動状態となる(図4(a)参照。)。また、操作ハンドル31を90度回動させれば同期している後輪27も90度回動して前後進移動状態となる(図3(a)参照。)。
【0042】
このように前輪13と後輪27が90度横方向に向いた横移動状態に簡単に切替操作(方向変換操作)可能であるため、前進移動した後、その状態のままY軸方向に目的地まで横移動(水平方向にスライド移動)でき、移動作業(運搬作業)が極めて簡素化される。
また、昇降装置の切り返し作業なども不要であるため、移動時間(運搬時間)も大幅に縮減され、かつ荷揚げ・荷降ろし作業時間も大幅に縮減されるため、移動時間及び作業時間の短縮化が図れる。
【0043】
さらに、長尺状爪部41の上面を前後方向(爪部41の長手方向)に移動可能な前後一対の荷物保持部43,43を備えたため、左右の長尺状爪部41,41上にわたって載置した荷物、例えば一本乃至複数本のパイプなどを前後方向から挟み込むようにして保持すれば簡易にずれ落ち防止が図れ、従来のようにバンドなどを用いての締結作業も不要である。よって、荷物移送時、荷揚げ・荷降ろし時に、荷物が前方にずれ落ちたりもしないため安全性を向上し得る。
また、荷物保持部43は、間隔調整機構によって、接近方向には自由移動可能で、かつ乖離方向には移動が制限されるように構成されているため、細幅のものから太幅のものまで荷物保持部43,43の間隔幅内で広く保持対象物が選択可能である。また、乖離方向には移動が制限されているため、不意の移動による荷物の保持状態解除といった不具合が生じる虞もなく安全性を向上し得る。
【0044】
また、図示は省略するが、荷役部39の所定位置に、鉛直方向を照射する第一のレーザーポインターと、水平方向を照射する第二のレーザーポインターを備えている。
図2において、矢印LP1は第一のレーザーポインターから照射されるレーザーの照射方向を示し、図2及び図3において、矢印LP2は第二のレーザーポインターから照射されるレーザーの照射方向を示す。
第一のレーザーポインターからのレーザー照射により、上昇時・移動時などにおける高さ方向の安全性を確認可能であり、第二のレーザーポインターからのレーザー照射により、荷役部39に載せる際の荷物の中心位置を簡単に視認可能となり、水平方向の安全性を確認可能である。各レーザーポインターの配設数量は一個乃至複数個を本発明の範囲内で配設可能である。
【0045】
「第二実施形態」
図8乃至図11は本発明昇降装置の第二実施形態を示す。
図8にて、符号91は本実施形態の昇降機構を示す。
本実施形態では、昇降装置本体の前方、例えばコントロールボックス7の前方(矢印Aで示す方向)にて鉛直方向に立設される左右の柱部90,90が一体に備えられており、この柱部90,90に対して昇降機構91を傾動可能に連結している点に特徴を有している。すなわち、本実施形態では、昇降装置本体に柱部90,90を含み、昇降機構91には外枠(第一マスト)5、マスト部33(35,37)及び荷役部39を含んで構成されている実施の形態を想定する。
以下、本実施形態に特徴的な構成についての説明にとどめる。なお、その他の構成及び作用効果は、第一実施形態と同一であるため、図1乃至図7及びその説明を援用する。
本発明の昇降装置は、その仕様に応じて様々な高さのタイプが想定されるが、本実施形態は、鉛直方向高さが高いタイプの昇降装置に対して特に有用である。
【0046】
本実施形態では、柱部90の所定位置から前方(矢印Aで示す方向)に向けて突設した第一の軸支片101,101と、昇降機構91の外枠5の所定位置から後方(矢印Cで示す方向)に向けて突設した第二の軸支片103,103と、第一の軸支片101に設けられている通孔と、第二の軸支片103に設けられている通孔と、を同軸上に連通させるとともに、それら両通孔にわたって挿通されて取り付けられる軸部材105,105とで構成されている軸支部99,99を備えている(図8乃至図11)。
従って、本実施形態の昇降装置は、軸支部99,99の軸部材105,105を中心として、図9にて矢印R1で示す方向に回動可能に昇降機構91を連結することにより、昇降機構91が傾動可能に構成されている。
第一の軸支片101,101と、第二の軸支片103,103とは、それぞれ相対向する位置に備えられている。
【0047】
昇降装置本体の前方所定位置にはシリンダ107が備えられており、そのシリンダロッド109の先端は、昇降機構91の外枠5の所定位置に連結されている(図8及び図9)。
従って、本実施形態では、シリンダ107の油圧によりシリンダロッド109を伸長あるいは収縮作動させれば、そのシリンダロッド109の伸長・収縮作動によって、軸支部99の軸部材105を中心として昇降機構91が、自動にて、矢印R1で示す所定方向に回動(傾動)作動する(図9にて反時計回り方向に回動する。)。
【0048】
本実施形態では、昇降機構91の不意の傾動を阻止することが可能な傾動阻止機構(ロック機構)93を備えている(図8乃至図11)。
【0049】
傾動阻止機構93は、柱部90の側面に備えられた係止部95と、昇降機構91の外枠5の側面に備えられ、係止部95が係脱可能に係止される被係止部97と、で構成されている。
本実施形態では、傾動阻止機構93が、一方の側面の上下に2箇所、他方の側面の上下に2箇所で計4箇所備えられている(図8及び図9)。なお、本実施形態では安全性を考慮して4箇所備える実施の一形態を想定しているが、傾動阻止機構93の配備数量は特に限定されず本発明の範囲内で任意に設定可能である。
【0050】
係止部95は、被係止部97に対して係脱可能な構成を有している。
例えば本実施形態では、柱部90の側面に取付固定される基板95aと、基板95a上に一端側が軸支されて起伏自在に支持される操作レバー95bと、この操作レバー95bで引き寄せ操作される係止リンク95cと、で構成されている(図10及び図11)。
【0051】
操作レバー95bは、所定長さに形成され、基板95a上から突設される軸支片95a´に回動自在に軸支される一端側95fと、一端側95fの反対側に一体に設けられる握持部95gとを有している。
【0052】
係止リンク95cは、操作レバー95bの中途部位に形成されている挿通孔内に摺動可能に挿通して配設される回動軸95dと、回動軸95dに両端部が取り付けられて一体に設けられるほぼU字状の係止環95eとで構成されている。
従って、係止リンク95cは、操作レバー95bの中途部位にて前後方向に回動可能であり、かつ、操作レバー95bの起伏動作に追従する。
さらに本実施形態では、図示しないスプリングなどの弾性部材によって、常時、後方(図10及び図11にて矢印C方向)に係止環95eの先端側(係止部位側)95e´が位置するように付勢(制御)されている。
すなわち、被係止状態のとき、フリー状態の係止リンク95cが昇降機構91側に位置していると、傾動状態の昇降機構91を垂直状態に戻した際に、誤って昇降機構91と柱部90との間に挟み込んで破損させてしまう虞があるため、上述のとおり制御するようにしている。
【0053】
被係止部97は、昇降機構91が傾動していない状態(図8に示す直立状態)のときに、係止部95と水平方向で相対向する位置に備えられている(図10)。
被係止部97は、前方(図10及び図11にて矢印A方向)に向けて開放したほぼU字形状の引掛り爪部97aを有している。
【0054】
ここで、傾動阻止機構93の動作説明をすると、係止部95と被係止部97との係止状態(ロック状態)を解除するには、操作レバー95bの握持部95gを持って、操作レバー95bを、矢印aで示す前方に向けて起こす。
この操作レバー95bを起こす動作に追従して係止リンク95cが矢印aで示す前方に向けて移動し、係止リンク95cの係止環95eが被係止部97の引掛り爪部97aから脱れ、昇降機構91はフリー(ロック解除状態)となる(図11)。
このとき、係止リンク95cは、弾性部材の弾性力(復元力)により、矢印Cで示す後方に向けて移動するため、同時に操作レバー95bも後方に向けて移動する。
次に、係止部95と被係止部97とを係止状態(ロック状態)とするには、操作レバー95bを矢印aで示す前方に向けて起こし、弾性部材の弾性力に抗して係止リンク95cを矢印aで示す前方に向けて移動させる。
そして、係止リンク95cの係止環95eを、被係止部97の引掛り爪部97aに係止するとともに、操作レバー95bを矢印Cで示す後方に向けて戻す(伏せる)と、係止リンク95cが矢印Cで示す後方に向けて引き寄せられて係止状態(ロック状態)となる(図10)。
【0055】
従って、本実施形態によれば、柱部90に対して昇降機構91を傾動可能に構成したため、鉛直方向(矢印Vで示す方向)の昇降装置の高さを低くすることができる。
例えば、倉庫内などを自走して移動する際に、その倉庫内の高さの低い室内領域を通過しなければならない場合がある。
そのような場合、傾動阻止機構93を構成する被係止部97に係止されている係止部95の係止状態を解除して昇降機構91を傾動可能状態とする。
そして、係止部95の係止状態が解除され、フリー状態となっている昇降機構91は、シリンダ107の油圧によりシリンダロッド109を伸長させれば、そのシリンダロッド109の伸長作動によって軸支部99の軸部材105位置を中心として矢印R1方向に回動して傾動することとなる。
このように昇降機構91が傾動すれば、昇降装置全体の高さが低くなるため、倉庫内の高さの低い室内領域であっても自走しての移動がスムーズに行える。このように構成することで、作業性が向上し作業労力も軽減される。
【0056】
傾動阻止機構93は、昇降機構91を傾動させる際、及び傾動状態で移動させる際には係止部95と被係止部97とを被係止状態にするが、荷役部43の昇降作動時(第二マスト35,第三マスト37の昇降作動時)などにあっては係止部95と被係止部97とは係止状態(ロック状態)として昇降機構91の不意の傾動を阻止する。
また、傾動阻止機構93にはリミットスイッチが備えられており、4箇所すべての傾動阻止機構93が係止状態(ロック状態)でなければ、第二マスト35,第三マスト37の上下昇降作動は行われないように制御されている。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、手動式の昇降装置全般に利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
13 前輪
15 車輪軸支部
27 後輪
23 シリンダ(操作部)
25 ピストンロッド
39 荷役部
43 荷物保持部
55 係止部
59 係止爪
65 ラック部
73 歯部
90 柱部
91 昇降機構
93 傾動阻止機構
95 係止部
97 被係止部
107 シリンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11