IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社高尾の特許一覧

<>
  • 特許-封入式回胴遊技機 図1
  • 特許-封入式回胴遊技機 図2
  • 特許-封入式回胴遊技機 図3
  • 特許-封入式回胴遊技機 図4
  • 特許-封入式回胴遊技機 図5
  • 特許-封入式回胴遊技機 図6
  • 特許-封入式回胴遊技機 図7
  • 特許-封入式回胴遊技機 図8
  • 特許-封入式回胴遊技機 図9
  • 特許-封入式回胴遊技機 図10
  • 特許-封入式回胴遊技機 図11
  • 特許-封入式回胴遊技機 図12
  • 特許-封入式回胴遊技機 図13
  • 特許-封入式回胴遊技機 図14
  • 特許-封入式回胴遊技機 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】封入式回胴遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
A63F5/04 605B
A63F5/04 605D
A63F5/04 691B
A63F5/04 699
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018193817
(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2020058740
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】巽 正吾
【審査官】安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-073457(JP,A)
【文献】特開2016-123531(JP,A)
【文献】特開2007-167194(JP,A)
【文献】特開2003-225351(JP,A)
【文献】特開2003-079807(JP,A)
【文献】特開2013-220160(JP,A)
【文献】特開2016-221046(JP,A)
【文献】特開2015-134014(JP,A)
【文献】特開2014-039797(JP,A)
【文献】特開2012-245231(JP,A)
【文献】特開2012-187267(JP,A)
【文献】特開2019-187858(JP,A)
【文献】特開2020-025815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードユニットから入力される遊技価値を貸コイン数データとして主制御基板に送信するコイン数データ管理制御基板と、遊技の進行を制御する主制御基板と、を備え、前記コイン数データ管理制御基板と前記主制御基板とを双方向通信可能に接続し、前記主制御基板に始動レバー(スイッチ)、回胴停止ボタン(スイッチ)及びベットスイッチを接続し、前記コイン数データ管理制御基板に精算スイッチを接続した封入式回胴遊技機であって、
前記主制御基板には、
前記ベットスイッチが操作されると前記始動レバーの操作を有効とし、前記回胴停止ボタンの操作に基づき入賞があるか否かを決定する入賞決定手段と、
前記貸コイン数データを持コイン数データとして記憶し、前記ベットスイッチが操作されるとベット数を前記持コイン数データから減算し、前記入賞決定手段により入賞があれば入賞に対応したコイン数データを前記持コイン数データに加算する持コイン数加減算手段と、を備え、
前記コイン数データ管理制御基板には、
前記精算スイッチが操作されると、操作されたことを示す信号を前記主制御基板に送信すると共に、前記主制御基板から前記持コイン数データを受信し、該受信した持コイン数データを前記カードユニットに移動する精算手段と、
を備えたことを特徴とする封入式回胴遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の封入式回胴遊技機において、
前記精算手段は、前記精算スイッチの操作量を前記主制御基板に送信し、前記主制御基板から前記操作量に従った前記持コイン数データを受信する、
ことを特徴とする封入式回胴遊技機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の封入式回胴遊技機において、
前記主制御基板は、前記ベットスイッチ又は前記始動レバーが操作された後から遊技の結果が得られるまでの間は、前記コイン数データ管理制御基板から前記精算スイッチが操作されたことを示す信号を受信しない、
ことを特徴とする封入式回胴遊技機。
【請求項4】
カードユニットから入力される遊技価値を貸コイン数データとして主制御基板に送信するコイン数データ管理制御基板と、遊技の進行を制御する主制御基板と、を備え、前記コイン数データ管理制御基板と前記主制御基板とを双方向通信可能に接続し、前記主制御基板に始動レバー(スイッチ)、回胴停止ボタン(スイッチ)、ベットスイッチを及び精算スイッチを接続した封入式回胴遊技機であって、
前記主制御基板には、
前記ベットスイッチが操作されると前記始動レバーの操作を有効とし、前記回胴停止ボタンの操作に基づき入賞があるか否かを決定する入賞決定手段と、
前記貸コイン数データを持コイン数データとして記憶し、前記ベットスイッチが操作されるとベット数を前記持コイン数データから減算し、前記入賞決定手段により入賞があれば入賞に対応したコイン数データを前記持コイン数データに加算する持コイン数加減算手段と、
前記精算スイッチの操作に従って持コイン数データを前記コイン数データ管理制御基板に移動させる持コイン数移動手段と、を備え、
前記コイン数データ管理制御基板は、受信した前記持コイン数データを前記カードユニットに移動させる持コイン数受渡手段と、
を備えたことを特徴とする封入式回胴遊技機。
【請求項5】
請求項4に記載の封入式回胴遊技機において、
前記持コイン数移動手段は、前記精算スイッチがオンすると全ての持コイン数データを前記コイン数データ管理制御基板に移動させる、
ことを特徴とする封入式回胴遊技機。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の封入式回胴遊技機において、
前記主制御基板は、前記ベットスイッチ又は前記始動レバーが操作された後から遊技の結果が得られるまでの間は、前記精算スイッチの操作を有効としない
ことを特徴とする封入式回胴遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回胴を有する回胴遊技機に関する。詳しくは、遊技メダル(コイン)を使用しない封入式回胴遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機台の内部に所定個数の遊技球を封入して、該遊技球を循環させることにより遊技を行う、所謂封入式の弾球遊技機が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる遊技機の構成は、封入した遊技球を遊技領域へ発射し、該遊技領域を介して遊技球を回収し、回収した遊技球を再び発射することによって、所定個数の遊技球を循環させるものであり、貸球や賞球としての遊技球を遊技者が直に触れることがない。この封入式弾球遊技機は、遊技球が払い出される上皿や下皿を備えていない。そして、機台に接続されたカードユニットに、遊技者の所有する遊技価値(残高や持ち球数など)を記憶したICカードを挿入し、該ICカードと該遊技価値のデータをやり取りすることで、遊技を行うことができるよう構成されている。
【0003】
このようなカードユニットを使用した遊技機は、弾球遊技機のみならず、回胴遊技機においても適用しうる。
現状の回胴遊技機は、所定個数(通常、50枚)の遊技メダル(コイン)を投入し、これをクレジットとして記憶させ遊技を行うことが可能である。
一方、封入式の回胴遊技機では、遊技を行うためのコインを使用することなく、記憶されたコイン数が零にならない限り遊技を行うことができる。封入式の回胴遊技機は、言わばフルクレジットであり、コインを全く使用しない。記憶された持コイン数がクレジットと言うことができる。
この封入式の回胴遊技機は、コインを投入するときに使用されるセレクターやコインを払い出すためのホッパー等を必要とせず、部品点数を少なくし機械的構成を簡素化することが可能となる。
なお、持コイン数とは、遊技の用に供することができる規則上の遊技メダルの数をデータとして表したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-51647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記弾球遊技機は、遊技領域に設けられた入賞口や始動口への遊技球の入球を検知し、該検知に従って遊技を進行させる主制御装置(主制御基板)と、該主制御装置からの信号に従って賞球の払い出し作動を制御する枠制御装置(又は、払出制御装置)(枠制御基板)とを備え、該主制御装置と枠制御装置とは双方向通信可能に接続されている。
上記した従来(特許文献1)の封入式の弾球遊技機にあっても、同様に、主制御装置と枠制御装置とは双方向通信可能に接続された構成である。
ところが、こうした構成では、枠制御装置がICカードを挿入するカードユニット(以下、CRユニットという)とデータや信号を送受信可能であることから、カードユニットと枠制御装置を介して主制御装置に外部からアクセスされる虞が考えられる。
【0006】
この虞は、管理遊技機(上記した封入式遊技機を含む)では一層危惧される。管理遊技機は、CRユニットが遊技店(ホール)内の管理コンピュータ(所謂、ホールコンピュータ等)に接続され、該管理コンピュータは広域ネットワークによりカード会社情報管理センタと接続される。そのため、こうした管理遊技機では、広域ネットワークを介することによって、外部から主制御装置にアクセスされる可能性が高まる。
もし仮に、主制御装置に外部から不正にアクセスされてしまうと、該主制御装置が不正に操作されて、不正に利益を得る不正行為の問題も懸念される。
この課題は、封入式回胴遊技機にも当てはまる。
なお、この課題は、CPUを搭載した枠制御装置を介せずCRユニットと主制御装置とが双方向通信可能に接続された封入式回胴遊技機にも当てはまる。
【0007】
本発明は、該課題を解決することのできる封入式回胴遊技機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題に鑑みてなされた請求項1に記載の封入式回胴遊技機は、
カードユニットから入力される遊技価値を貸コイン数データとして主制御基板に送信するコイン数データ管理制御基板と、遊技の進行を制御する主制御基板と、を備え、前記コイン数データ管理制御基板と前記主制御基板とを双方向通信可能に接続し、前記主制御基板に始動レバー(スイッチ)、回胴停止ボタン(スイッチ)及びベットスイッチを接続し、前記コイン数データ管理制御基板に精算スイッチを接続した封入式回胴遊技機であって、
前記主制御基板には、
前記ベットスイッチが操作されると前記始動レバーの操作を有効とし、前記回胴停止ボタンの操作に基づき入賞があるか否かを決定する入賞決定手段と、
前記貸コイン数データを持コイン数データとして記憶し、前記ベットスイッチが操作されるとベット数を前記持コイン数データから減算し、前記入賞決定手段により入賞があれば入賞に対応したコイン数データを前記持コイン数データに加算する持コイン数加減算手段と、を備え、
前記コイン数データ管理制御基板には、
前記精算スイッチが操作されると、操作されたことを示す信号を前記主制御基板に送信すると共に、前記主制御基板から前記持コイン数データを受信し、該受信した持コイン数データを前記カードユニットに移動する精算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項1の封入式回胴遊技機では、主制御基板の持コイン数加減算手段が、検出したベット数を持コイン数から減算し、入賞に応じたコイン数を持コイン数に加算する。これにより、主制御基板は、遊技の進行を制御すると共に持コイン数の管理を行うことができる。
従って、主制御基板は、遊技中、枠制御基板から受信する必要が殆どない。
この結果、主制御基板と枠制御基板とが双方向通信可能に接続されていても、主制御基板が枠制御基板から受信する信号(データ)又はタイミング(受信期間)を大幅に限定することができ、主制御基板に対する不正行為を未然に防止する効果を発揮する。
また、請求項1に記載の封入式回胴遊技機は、持コイン数の管理を主制御基板が一括管理することができるという優れた効果を有する。
【0010】
ここで、持コイン数加減算手段の「ベットスイッチが操作されるとベット数を持コイン数から減算し」とは、検出したベット数に従って持コイン数を減算すれば良く、ベット数を検出したときに減算しても良く、検出したベット数が記憶する持コイン数未満と判断されたときに減算しても良い。また、回胴を駆動させるための始動レバー(始動スイッチ)を操作したときに減算する構成でも良い。
尚、ベット数とは、規定数のことをいう。現状の規則では、「遊技メダル(コイン)にあっては3枚を超えるものではないこと」と規定されている。
【0011】
また、持コイン数加減算手段の「入賞」とは、「図柄について遊技メダル(コイン)を獲得するために必要な組合せとして予め定められたものが表示されること」をいう。入賞があれば、データとしての持コインが図柄の組合せに応じて所定数獲得できる。
現状では、始動レバーが操作されたタイミングに基づき抽選した結果が当選すれば内部当選とし、内部当選した状態で回胴停止ボタンの操作により予め定められた図柄を停止させることができれば入賞が成立する。内部当選した状態で回胴停止ボタンの操作により予め定められた図柄を停止させることができなければ、内部当選した状態が維持され、再び始動レバーが操作されることにより、回胴停止ボタンの操作を行うことが可能となる。
一般的に、内部当選していない状態では、回胴停止ボタンの操作により予め定められた図柄が揃うことはない。
【0012】
入賞決定手段は、ベットスイッチが操作されると始動レバーの操作を有効とし、回胴停止ボタンの操作に基づき入賞があるか否かを決定(抽選)するものであれば良い。
「ベットスイッチが操作されると」とはベットスイッチの操作により持ちコインからベット数が減算された場合のことであり、減算されない場合は始動レバーを有効としない。
現状では、始動レバーが操作されると複数の回胴が回転し、回胴停止ボタンの操作に従って回転する回胴が停止する。回胴停止ボタンが所定時間内に操作されない場合には、自動停止する。一般に、自動停止する場合には、入賞が成立することがないが、入賞が成立する構成でも良い。
従って、入賞決定手段により入賞があるか否かを決定するのは、少なくとも回胴停止ボタンの操作に基づき決定されるのであり、自動停止する場合に入賞があるか否かを決定することを排除するものではない。
【0013】
精算手段は、精算スイッチが操作されたことを示す信号を主制御基板に送信するが、精算スイッチが操作されれば精算スイッチがオンしたことを示す信号(遊技終了を示す信号)を送信する構成でも良く、精算スイッチの操作量を示す信号を送信する構成でも良い。
遊技終了を示す信号を送信する構成では、主制御基板は持コイン数を全て枠制御基板に移動させ、遊技終了処理を行う。
持コイン数を移動させるとは、持コイン数を送信し、送信量に応じて記憶する持コイン数を減少させることを意味する。従って、記憶する全ての持コイン数を送信すれば、記憶する持コイン数は零となる。
【0014】
なお、カードユニットには、少なくとも、貸コインを遊技者に貸出し貸コイン数を示すデータを枠制御基板に送信し、枠制御基板から入力する持コイン数をICカードに書き込むために、枠制御基板と通信を行う手段が搭載されている。広域ネットワークに接続された管理遊技機の場合には、カード会社情報管理センタとの通信も可能に構成される。
【0015】
請求項2に記載の封入式回胴遊技機は、請求項1に記載の封入式回胴遊技機において、
前記精算手段は、前記精算スイッチの操作量を前記主制御基板に送信し、前記主制御基板から前記操作量に従った前記持コイン数を受信する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の封入式回胴遊技機は、請求項1に記載の封入式回胴遊技機を、枠制御基板が精算スイッチの操作量を示す信号を送信する構成に限定したものである。
精算スイッチの操作量を送信するとは、精算スイッチが操作されている時間だけオン信号を送信し主制御基板が操作量を判断する構成でも良く、枠制御基板が判断した操作量を送信する構成でも良い。枠制御基板が判断した操作量を送信する構成の場合、主制御基板との通信時間を短縮できる効果を有する。
請求項2に記載の封入式回胴遊技機では、主制御基板が記憶する持コイン数を全て枠制御基板に移動させたときが遊技終了となり、このとき主制御基板は遊技終了処理を行う。
【0017】
また、請求項1又は請求項2に記載の封入式回胴遊技機において、
前記コイン数データ管理制御基板は、前記貸コイン数データ及び前記精算スイッチが操作されたことを示す信号を含む予め定められた所定のデータ以外のデータを前記主制御基板に送信することを禁止する、ことを特徴とすることが考えられる。
【0018】
これならば、貸コイン数データ及び前記精算スイッチが操作されたことを示す信号を含む予め定められた所定のデータ以外のデータを前記主制御基板に送信することをコイン数データ管理制御基板は禁止するので、不正行為に対してコイン数データ管理制御基板が防護壁となる効果が一層顕著となる。
【0019】
ここで、「貸コイン数及び前記精算スイッチが操作されたことを示す信号を含む予め定められた所定のデータ」とは、貸コイン数及び前記精算スイッチが操作されたことを示す信号以外に、遊技機監視用のデータである固有ID等のセキュリティに関するデータ、コインの単価を変更するレート変更に必要なデータを含んでも良いことを意味する。
従って、レート変更を行わずセキュリティに関するデータを主制御基板に送信しない封入式回胴遊技機の場合には、主制御基板には、貸コイン数及び前記精算スイッチが操作されたことを示す信号のみが送信されることになる。
遊技中に遊技機監視用データを主制御基板に送信しない封入式回胴遊技機の場合には、 請求項3の封入式回胴遊技機は、「前記枠制御基板は、遊技中、前記貸コイン数及び前記精算スイッチが操作されたことを示す信号以外のデータを前記主制御基板に送信することを禁止する」構成としても良い。
【0020】
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、請求項1又は請求項2に記載の封入式回胴遊技機において、
前記主制御基板は、前記ベットスイッチ又は前記始動レバーが操作された後から遊技の結果が得られるまでの間は、前記コイン数データ管理制御基板から前記精算スイッチが操作されたことを示す信号を受信しない、ことを特徴とする。
【0021】
ベットスイッチ又は始動レバーが操作されてから遊技の結果が得られるまでの間は、1回の遊技中である。従って、この期間に精算スイッチの操作を主制御基板において有効とすれば、1回の遊技が無効となり処理が複雑になる虞がある。
そこで、請求項4に記載の封入式回胴遊技機は、ベットスイッチ又は始動レバーが操作されてから遊技の結果が得られるまでの間は、精算スイッチが操作されたことを示す信号を受信しないのである。
「受信しない」とは、受信しても有効としないことも含む。
【0022】
ここで、「ベットスイッチが操作されてから遊技の結果が得られるまでの間」とした場合には、ベットスイッチを操作した後から遊技の結果が得られるまでの間は、精算スイッチの操作を有効としない。
一方、「始動レバーが操作されてから遊技の結果が得られるまでの間」とした場合には、ベットスイッチを操作した後から始動レバーが操作されるまでの間は、精算スイッチの操作は有効であり、ベットされたコイン数は払い戻されることになる。
【0023】
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、「請求項1又は請求項2に記載の封入式回胴遊技機において、前記コイン数データ管理制御基板は、前記ベットスイッチ又は前記始動レバーが操作された後から遊技の結果が得られるまでの間は、前記精算スイッチの操作を有効としない、ことを特徴とする封入式回胴遊技機。」としても良い。
但し、この構成の場合には、主制御基板からコイン数データ管理制御基板にベットスイッチ又は始動レバーが操作されたことにより遊技中である旨を知らせる必要がある。
なお、遊技の結果は、始動レバーを操作した後、回胴停止ボタンを操作して又は自動停止により回転する複数の回胴が全て停止したときに得られる。
【0024】
請求項1乃至請求項に記載の封入式回胴遊技機は、精算スイッチをコイン数データ管理制御基板に接続したが、主制御基板に接続しても良い。主制御基板に精算スイッチを接続したのが次の請求項乃至請求項に記載の封入式回胴遊技機である。
請求項乃至請求項に記載の封入式回胴遊技機は、精算スイッチが操作され記憶する持コイン数データを零にするときに遊技終了となり、遊技終了を知らせる信号がコイン数データ管理制御基板に送信され、持コイン数データコイン数データ管理制御基板に送信される。主制御基板に記憶する持コイン数データは零クリアされる。
【0025】
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、
カードユニットから入力される遊技価値を貸コイン数データとして主制御基板に送信するコイン数データ管理制御基板と、遊技の進行を制御する主制御基板と、を備え、前記コイン数データ管理制御基板と前記主制御基板とを双方向通信可能に接続し、前記主制御基板に始動レバー(スイッチ)、回胴停止ボタン(スイッチ)、ベットスイッチを及び精算スイッチを接続した封入式回胴遊技機であって、
前記主制御基板には、
前記ベットスイッチが操作されると前記始動レバーの操作を有効とし、前記回胴停止ボタンの操作に基づき入賞があるか否かを決定する入賞決定手段と、
前記貸コイン数データを持コイン数データとして記憶し、前記ベットスイッチが操作されるとベット数を前記持コイン数データから減算し、前記入賞決定手段により入賞があれば入賞に対応したコイン数データを前記持コイン数データに加算する持コイン数加減算手段と、
前記精算スイッチの操作に従って持コイン数データを前記コイン数データ管理制御基板に移動させる持コイン数移動手段と、を備え、
前記コイン数データ管理制御基板は、受信した前記持コイン数データを前記カードユニットに移動させる持コイン数受渡手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、請求項1に記載の封入式回胴遊技機が有する効果を一層顕著なものとすることができる。精算スイッチが主制御基板に接続されるので、精算スイッチの操作に係る信号をコイン数データ管理制御基板と主制御基板とでやり取りする必要がないからである。
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、原則、主制御基板がコイン数データ管理制御基板から貸コイン数データに関する信号を受信するだけで良く、持コイン数データが零又は前述した規定数未満にならない限り、遊技中はコイン数データ管理制御基板からの受信を禁止することも可能となる。
この結果、コイン数データ管理制御基板を主制御基板への不正行為の防護壁とすることも可能となる効果を有する。
なお、請求項において「原則」とするのは、前記ID等の遊技機監視用のデータを主制御基板に送信することを可能とするためである。
【0027】
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、請求項に記載の封入式回胴遊技機において、
前記持コイン数移動手段は、前記精算スイッチがオンすると全ての持コイン数データを前記コイン数データ管理制御基板に移動させる、ことを特徴とする。
【0028】
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、精算スイッチの操作量に応じて持コイン数データコイン数データ管理制御基板に移動させることも可能ではあるが、請求項に記載の封入式回胴遊技機は精算スイッチがオンすると全ての持コイン数データを前記コイン数データ管理制基板に移動させることに限定する。
これにより、精算スイッチが操作されると直ちに、持コイン数データコイン数データ管理制御基板に移動させ遊技終了処理を行うことが可能となる。
【0032】
請求項に記載の封入式回胴遊技機は、請求項4又は請求項5に記載の封入式回胴遊技機において、
前記主制御基板は、前記ベットスイッチ又は前記始動レバーが操作された後から遊技の結果が得られるまでの間は、前記精算スイッチの操作を有効としないことを特徴とする。
【0033】
請求項に記載の封入式回胴遊技機では、主制御基板は、ベットスイッチ又は始動レバーが操作された後から遊技の結果が得られるまでの間は精算スイッチの操作を有効としないので、1回の遊技が終了するまでの間に持コイン数データが変化することはない
【0034】
請求項1乃至請求項に記載の封入式回胴遊技機の関連発明として以下の発明が考えられる。
〔関連発明1〕
カードユニットから入力される遊技価値としての貸コイン数データを持コイン数データとして入力すると共に遊技の進行を制御する主制御基板を備え、該主制御基板に始動レバー(スイッチ)、回胴停止ボタン(スイッチ)、ベットスイッチを及び精算スイッチを接続した封入式回胴遊技機であって、
前記主制御基板には、
前記ベットスイッチが操作されると前記始動レバーの操作を有効とし、前記回胴停止ボタンの操作に基づき入賞があるか否かを決定する入賞決定手段と、
前記貸コイン数データを持コイン数データとして記憶し、前記ベットスイッチが操作されるとベット数を前記持コイン数データから減算し、前記入賞決定手段により入賞があれば入賞に対応したコイン数データを前記持コイン数データに加算する持コイン数加減算手段と、
前記精算スイッチの操作に従って持コイン数データを前記カードユニットに移動させる持コイン数移動手段と、
を備えたことを特徴とする封入式回胴遊技機。
【0035】
関連発明1では、カードユニットと主制御基板とは双方向通信可能に直接接続されるが、
原則、主制御基板がカードユニットから貸コイン数に関する信号を受信するだけで良く、持コイン数が零又は前述した規定数未満にならない限り、遊技中は枠制御基板からの受信を禁止することも可能となる。
「原則」とするのは、請求項5と同様の趣旨である。
なお、関連発明1では、カードユニットと主制御基板とは双方向通信可能に直接接続されるが、周辺基板又はCPU等を搭載しない中継基板(「中継端子板」ともいう。外部機器と接続するための「外部端子板」も含む。」)を介して接続しても良い。周辺基板とは、主制御基板や枠制御基板以外の基板で、中継基板以外のものをいう。中継基板とは、配線を相互に接続するための電子部品のみが装着されたものをいう。
【0036】
〔関連発明2〕
関連発明1に記載の封入式回胴遊技機において、
前記持コイン数送信手段は、前記精算スイッチがオンすると全ての持コイン数を前記枠制基板に移動させる、ことを特徴とする。
【0037】
関連発明1に記載の封入式回胴遊技機は、精算スイッチの操作量に応じて持コイン数をカードユニットに移動させることも可能ではあるが、関連発明2に記載の封入式回胴遊技機は精算スイッチがオンすると全ての持コイン数を前記枠制基板に移動させることに限定する。
これにより、精算スイッチが操作されると直ちに、持コイン数を枠制御基板に移動させ遊技終了処理を行うことが可能となる。
【0038】
〔関連発明3〕
関連発明1又は関連発明2に記載の封入式回胴遊技機において、
前記主制御基板は、貸コイン数を含む予め定められた所定のデータのみを受信することを特徴とする。
【0039】
関連発明3に記載の封入式回胴遊技機では、貸コイン数を含む予め定められた所定のデータ以外のデータを前記主制御基板は受信しないので、不正行為に対する効果が一層顕著となる。
ここで、「貸コイン数を含む予め定められた所定のデータ」とは、請求項3の「所定のデータ」に関する記載が準用される。レート変更についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施例1にかかる封入式回胴遊技機の正面図である。
図2】実施例1にかかる封入式回胴遊技機の電気ブロック図である。
図3】実施例1にかかる図柄配列を示すための回胴の展開図である。
図4】実施例1にかかるレート変更時にCRユニット46及び枠制御装置50が実行する処理を示すフローチャートである。
図5】実施例1にかかるレート変更時にユニット表示装置57に表示される画像を示す図である。
図6】実施例1にかかる主制御装置40が実行する遊技進行処理のフローチャートである。
図7】実施例1にかかる枠制御装置50が実行する「送信禁止処理1」を示すフローチャートである。
図8】実施例1にかかる枠制御装置50が実行する「持コイン数移動処理1」を示すフローチャートである。
図9】実施例1にかかる主制御装置40が実行する「遊技終了処理1」を示すフローチャートである。
図10】実施例2にかかる封入式回胴遊技機の電気ブロック図である。
図11】実施例2にかかる枠制御装置50が実行する「送信禁止処理2」を示すフローチャートである。
図12】実施例2にかかる主制御装置40が実行する「遊技終了処理2」を示すフローチャートである。
図13】実施例2にかかる枠制御装置50が実行する「持コイン数移動処理2」を示すフローチャートである
図14】実施例3にかかる封入式回胴遊技機の電気ブロック図である。
図15】実施例3にかかる主制御装置40が実行する「受信禁止処理」を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明の実施の形態は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する種々の形態を採り得ることができることが可能なことはいうまでもない。
【0042】
〔第1実施例〕
〔全体の構成〕
図1に示すように、本実施形態の回胴遊技機1の前面には表示窓2(3×3の停止図柄の有効領域を表示可能とする)を備えた表示パネル3が設けられている。この回胴遊技機1は、実際のコイン(遊技メダル)を使用せず、データとしての持コイン数で遊技を行う封入式として構成されている。
【0043】
表示窓2の背後には回胴である3本のリール4(それぞれを区別する場合は、左から順にリール4L、4C、4R、その他の部品等についても左、中、右を区別する場合は符号にL、C、Rを添える。)を有する図示しない回胴機構部が配されており、各リール4に設けられている図柄の中の3図柄ずつを表示窓2から視認できる。また、表示窓2の周囲にはベットランプ5や複数のデジタル表示装置6等が配されている。
【0044】
表示窓2の下方には、ベットボタン7、始動レバー8、3つの停止ボタン9(それぞれを区別する場合は、左から順に停止ボタン9L、9C、9R)等を備える操作部11が設けられている。なお、ベットボタン7は、3枚ベット機能に加えて、1枚ベット機能、及び2枚ベット機能も含まれている。
なお、ベット機能は、いずれかの機構1個の構成でも良い。
【0045】
さらに下方にはスピーカボックス13、遊技可能な持コイン数を表示する持コイン数表示装置51を備える下部構造部14が設けられている。
【0046】
また、本実施例の回胴遊技機1は、ICカードの読み書きなどを行うカードユニット(CRユニット)56が隣接されている。CRユニット56には、ICカードを挿入および取り出し可能なカード挿入口59と、紙幣を挿入可能な紙幣挿入口58とを備え、さらに、該CRユニット56の下部から右方へ突出するように、ユニット表示装置57が設けられている。このユニット表示装置57は、タッチパネル式のLCD画面を備え、該画面に、前記カード挿入口59に挿入されたICカードに記憶されたクレジット残高(又は、クレジット残高内で貸出可能なコイン数)などが表示される。そして、このクレジット残高(又は、貸出可能なコイン数)は、コインの貸出や返却に応じて更新される。このユニット表示装置57の表示態様については、その詳細を後述する。尚、本実施例では、規則上の「遊技メダル」をコインと呼ぶ。
【0047】
また、図2に示すように、回胴遊技機1は、CRユニット56を介してホールコンピュータ(遊技店の管理コンピュータ)70に接続され、さらに、広域ネットワークを介して外部の情報管理センタに接続されている(図示せず)。これにより、各回胴遊技機1は、夫々の認証情報に基づいて、メーカーからの出荷情報、設置された遊技店の情報、遊技店間での移動情報、廃棄情報等が管理され、不正な使用や不正な改造などを防ぐ高いセキュリティ能力を有している。こうした回胴遊技機1は、管理遊技機とも呼ばれている。
【0048】
なお、CRユニット56には、少なくとも、貸コインを遊技者に貸出し貸コイン数を示すデータを枠制御装置50に送信し、枠制御装置50から入力する持コイン数をICカードに書き込むために、枠制御装置50と通信を行う手段が搭載されている。広域ネットワークに接続された管理遊技機の場合には、カード会社情報管理センタとの通信も可能に構成されている。
【0049】
〔電気的構成〕
回胴遊技機1の電気的接続は、図2に示す通りに構成されており、主制御装置40はCPU、ROM、RAM40a、入力ポート、出力ポート等を備えている。本実施例では、RAM40aのみ図示する。
【0050】
また、主制御装置40には、ベットボタン7の操作信号、始動レバー8の操作信号(始動信号)、停止ボタン9L~Rの操作信号(停止信号)、各リール4の位置検出センサ41の信号等が入力される。
【0051】
さらに、主制御装置40の出力側には、ベット数表示装置43、加算コイン数表示装置44、RBゲーム数表示装置45、RB実行数表示装置46、カウント数表示装置47、リール4を回動させる駆動モータ28L、28C、28R、リール4を発光させる投光ランプ31L、31C、31R、及び中継基板48、が接続されている。なお、ベット数表示装置43は、遊技者の持コイン数にかかわらず単にベット操作に基づいて1ゲーム(遊技)毎に消化されるコイン数を表示するものである。なお、ベット数表示装置43は、後述する枠制御装置50に接続しても良い。また、加算コイン数表示装置44は、遊技者の持コイン数にかかわらず単に入賞の結果加算されるコイン数を表示するものである。さらに、カウント数表示装置47は、遊技者の持コイン数にかかわらず電源投入後のゲーム数をカウント表示するものである。これらベット数表示装置43、加算コイン数表示装置44、又はカウント数表示装置47は例えばデジタル表示装置6で表示されてもよいし、回胴遊技機1とは別の外部表示装置で表示されてもよい。
【0052】
また、主制御装置40は、CPUがプログラムに従って動作することにより、ベット数表示装置43、加算コイン数表示装置44、RBゲーム数表示装置45、RB実行数表示装置46、カウント数表示装置47の表示、駆動モータ28の回転及び停止、並びに、投光ランプの点灯及び消灯等を制御する。
さらに、本実施例では、主制御装置40の出力側に持コイン数表示装置51が接続されている。持コイン数表示装置51が表示する持コイン数は遊技の進行に従って増減する。これについては、後述する。
【0053】
中継基板48には音・ランプ制御装置49が接続されており、主制御装置40は中継基板48経由で音・ランプ制御装置49に指令データを送ることで、効果音などの音声出力と電飾類の点灯及び消灯を間接的に制御する。
【0054】
なお、演出画像表示装置が備えられることがあり、その場合、演出画像表示装置を制御するための演出画像表示装置が音・ランプ制御装置49に接続される。演出画像表示装置は、主制御装置40が中継基板48に送出した指令データ又はこのデータに基づいて音・ランプ制御装置49が生成したデータを受信し、これに従って演出画像表示装置を制御する。
【0055】
この構成の場合、加算コイン数表示装置44、RBゲーム数表示装置45、RB実行数表示装置46及びカウント数表示装置47のいずれか又は全部を廃して、その表示を演出画像表示装置にて行ってもよい。
なお、主制御装置40は、メイン制御基板とサブ制御基板とによって構成しても勿論よい。
【0056】
また、主制御装置40の出力側には、枠制御装置50が接続されている。本実施例では、主制御装置40と枠制御装置50とは、双方向通信可能に接続されている。
本実施例では、少なくとも主制御装置40は枠制御装置50から、遊技の結果に影響を及ぼす虞のある情報又は遊技の性能に影響を与える情報(以下、これらの情報を「特定情報」という。)を受信できないよう構成されている。すなわち、主制御装置40から送信された情報を枠制御装置50が受信可能であるが、枠制御装置50から主制御装置40へは特定情報を送信不能に構成されている。これは、枠制御装置50が特定情報を送信できない構成、あるいは主制御装置40が特定情報を受信拒否する構成により具現化できる。例えば、プログラムにより特定情報であるか否かを判断し、特定情報であれば送信しない又は受信を拒否する等により具現化可能である。なお、少なくとも特定情報を受信不能とするので、特定情報以外の情報は受信可能でも良いし不可能でも良い。
【0057】
ここで、特定情報とは、遊技の性能(例えば遊技者の有利度に関与する出玉率等)に影響を与える情報又は遊技の結果に影響を及ぼす虞のある情報であり、持コイン数や、役抽選の結果や図柄の表示態様等の遊技の結果を示すデータ、若しくはベット数、RBゲーム数、当選確率、出玉率に関する信号等が考えられる。さらに、特定情報は、始動信号や停止信号であってもよい。
【0058】
一方、特定情報以外の情報とは、例えば、遊技機監視用の固有IDに関する情報、主制御装置40が送信した情報を枠制御装置50が受信したことのみを知らせる情報(応答信号)等が考えられる。
なお、特定情報以外の情報も主制御装置40が受信できない構成の場合には、枠制御装置50から主制御装置40への信号出力は不能となる完全な一方向通信回路とすることが好適である。
【0059】
前記主制御装置40のRAM40aは揮発性であるが、バックアップ電源により停電時でも記憶保持される。このバックアップ電源は、主制御装置40以外から供給される。
なお、RAM40aを揮発性としても良い。
【0060】
ここで、枠制御装置50は、前述したように、CRユニット56を介してホールコンピュータ70に接続され、さらに広域ネットワークを介して外部の情報管理センタに接続されている(上記した管理遊技機)。主制御装置40は、少なくとも特定情報を枠制御装置50からアクセス不能であることから、主制御装置40に対する不正行為を未然に防止することができる。
CRユニット56には、返却スイッチ69、貸出スイッチ68及び前述したユニット表示装置57が接続されている。
【0061】
返却スイッチ69が操作されると、ICカードが排出される。
持コイン数表示装置51は、CRユニット56に接続しても良い。この場合、ユニット表示装置57の画面上に持コイン数を表示する構成が考えられる。本実施例では、返却スイッチ69及び貸出スイッチ68は、ユニット表示装置57のタッチパネルを用いる。尚、返却スイッチ69及び貸出スイッチ68を枠制御装置50に接続することも考えられる。
【0062】
本実施例では、貸出スイッチ68が操作されると、操作に対応した貸コイン数(データ)が枠制御装置50に送信され、この受信した貸コイン数を枠制御装置50は主制御装置40に送信する。主制御装置40は受信した貸コイン数を持コイン数に加算する処理を行う。
【0063】
本実施例では、CRユニット56には、レート設定スイッチ75が接続されている。本実施例では、ユニット表示装置57のタッチパネルがレート設定スイッチ75として用いられる。このレートスイッチ75は、コインの単価を選択するものであるが、詳細については後述する。
また、本実施例では、枠制御装置50が記憶しているコイン数データ(持コイン数)をICカードに移行(移動)させる計数スイッチ76が枠制御装置に接続されている。枠制御装置50は、計数スイッチ76の操作時間又は操作量に応じた信号(以下、「操作量信号」ということもある。)を主制御装置40に出力する。主制御装置40は、受信した操作量信号に従って持コイン数を枠制御装置50に送信し、送信した持コイン数だけ記憶する持コイン数から減算する処理を行う。
【0064】
枠制御装置50は、受信した持コイン数をCRユニット56に移動させる処理を行う。主制御装置40に記憶する持コイン数を全て枠制御装置50に移動させると、主制御装置40は遊技終了処理を行う。
CRユニット56は、受信した持コイン数をICカードに書き込む処理を行う。
なお、計数スイッチ76の操作により枠制御装置50に移動させられ減算された持コイン数は、持コイン数表示装置51により確認することができる。このとき、減算された結果の現在の持コイン数だけでなく、移動させられたコイン数も表示すればユーザーフレンドリーである。
【0065】
なお、枠制御装置50は、計数スイッチがオンすれば、遊技終了信号を主制御装置40に送信しても良い。この構成の場合、主制御装置40は、遊技終了信号を受信すると枠制御装置50に記憶する持コイン数を送信し、持コイン数を零にして遊技終了処理を行う。
この構成とすれば、枠制御装置50と主制御装置40との通信処理を極めて簡略化できる効果を発揮する。
なお、計数スイッチ76が操作されたとき、CRユニット56にICカードが挿入されていなければ、計数スイッチ76の操作は有効とならない。このとき、ICカードが挿入されていないことを示す警告音が出力される。
【0066】
更に、枠制御装置50には、性能等表示装置78が接続されている。性能等表示装置78は、主制御装置40から受信するデータに基づき「役物比率」、「連続役物比率」又は「ベース」を表示するものである。役物比率とは、獲得するコイン数に対し役物の作動によるものの割合である。連続役物比率とは、獲得するコイン数に対し役物が連続して作動したものの割合である。ベースとは、遊技に使用したコイン数に対し役物の作動時以外に獲得したコイン数の割合である。この性能等表示装置78は、主制御装置40に接続しても良い。
【0067】
更に、本実施例では、前記主制御装置40には、設定値表示装置80、設定変更スイッチ81、クリアスイッチ82及び持コインクリアスイッチ77が接続されている。
設定変更スイッチ81は、設定キーが挿入される挿入口として構成されており、設定変更スイッチ81に挿入された設定キーを回転操作することで、操作状態がON状態又はOFF状態に切り替えられる。そして、設定変更スイッチ81及びクリアスイッチ82の操作状態を示す信号が、主制御装置40に送信される。また、設定値表示装置80は、例えば、8セグのLED等を備え、主制御装置40からの信号に応じて、パチンコ機1の設定値を表示するよう構成されている。
【0068】
図3に示すとおり、各リール4L(左図柄)、4C(中図柄)、4R(右図柄)にはそれぞれの21個の図柄(重複しているので図柄の種類は7種類)が印刷されている。
ここで、主制御装置40は、役抽選部を備え、役抽選部は、あらかじめ複数定められた役について当選か否かを決定する役抽選を行う。さらに具体的には、乱数発生部と、乱数抽出部と、抽選テーブルと、役抽選判定部等を備えている。
【0069】
ここで、役抽選では、抽出した乱数と抽選テーブルの当選確率とを参照して、いずれか一つの当選役の当選、又は全ての当選役の落選(ハズレ)を決定する。本実施形態では、具体的に第1抽選テーブル及び第2抽選テーブルを少なくとも備えている。なお、第2抽選テーブルで定められている内部当選確率(内部抽選の当選確率)は、第1抽選テーブルで定められている内部当選確率よりも高くなるように設定されており、高確率区間においては第2抽選テーブルに基づいて役抽選が実行され、低確率区間においては第1抽選テーブルに基づいて役抽選が実行される。
【0070】
そして、回胴遊技機1にあっては、第1抽選テーブルに従って役抽選を実行する低確率区間と、第1抽選テーブルよりも遊技者にとって有利な第2抽選テーブルに従って役抽選を実行する高確率区間とが選択的に発生して遊技が進行する。本実施例においては低確率区間から高確率区間への移行や、高確率区間から低確率区間への移行は1回の役抽選のたびに1回実行されるが、1回の役抽選について複数回区間移行の抽選が実行されてもよいし、特定の役に当選したときにのみ区間移行の抽選が実行されてもよい。
【0071】
〔確率設定〕
本実施例では、図2に示す電源基板85の電源スイッチ85aをオン操作するときに、クリアスイッチ82及び設定変更スイッチ81がオン状態であれば、前述の始動レバー8を操作したときに抽出される乱数値による当り(ボーナス)の当否(当選)確率を設定変更可能な構成となっている。この状態時には、設定値表示装置80には設定変更可能であることを示す初期設定画像が表示され、クリアスイッチ82を押下毎に設定値を変更することが可能である。初期設定画像が表示されたときには、主制御基板40のRAM40aに記憶されたデータが初期状態に設定される。このとき、枠制御装置50にRAMクリア信号が出力される。RAMクリア信号を受信すると、枠制御装置50は、RAM50aに記憶されたデータを初期設定する。
なお、電源投入時に持コインクリアスイッチ77をオン操作していればRAM40aに記憶する持コイン数データのみを零クリアすることができる。持コインクリアスイッチ77を有しない構成の場合には、電源投入時にクリアスイッチ82がオン状態であれば、RAM40aに記憶された持コイン数を含むデータは初期設定される。
【0072】
初期設定画面が表示された後、クリアスイッチ82から手を離し、その後、設定する当否確率に従った回数だけクリアスイッチ82を押下するのである。
具体的に説明すると、初期設定画面には当否確率が最も低い設定1(1/300)が表示され、その後、クリアスイッチ82を押下する毎に、設定2(1/290)、設定3(1/280)、設定4(1/270)、設定5(1/260)、設定6(1/250)が表示される。設定1~6は低確率時の当否確率を示すが、高確率時の当選確率も設定1~6に従って設定変更される。但し、高確率時の当選確率は、例えば1/50のように一定でも良い。尚、各設定の当否確率は一例であり、ARTの抽選確率も設定1~6に従って設定変更する構成でも良い。
設定変更スイッチ81をオフの位置に切り替えると、RAM40aに記憶されたデータが初期設定された旨が表示され、表示されていた当否確率が新たな設定値に変更され、変更された設定及び/又は当否確率も表示される。
本実施例では、クリアスイッチ82をRAM40a及びRAM50aの他記憶領域の初期設定に使用する他、設定1~6の設定(選択)にも使用するよう構成するが、設定1~6の設定用に専用スイッチを設ける構成でも良い。
【0073】
当否確率の設定変更が終了すると、新たに設定された当否確率を示すデータが枠制御装置50に送信される。本実施例では、偶然、前回と同じ当否確率が設定されても送信される。枠制御装置は、受信した当否確率をRAM50aの他記憶領域に記憶する。但し、持コイン数記憶領域に記憶しても良い。持コイン数は当否確率と密接に関係しているからである。枠制御装置50は、受信した確率データに基づき当否確率の履歴を作成することも可能となる。
電源スイッチ85aをオンしたとき、設定変更スイッチ81がオフ状態でありクリアスイッチ82がオン状態であれば、主制御装置40のRAM40a及び枠制御装置50のRAM50aの他記憶領域に記憶されたデータが初期設定される。
電源スイッチ85aをオンしたとき、設定変更スイッチ81がオン状態でありクリアスイッチ82がオフ状態であれば、現在設定されている設定及び/又は当否確率を確認することができる。
【0074】
〔レート設定〕
次に図4及び図5に従ってレートの設定について説明する。
図4に示す「レート変更処理」はCRユニット56により定期的に実行され、「レート許可処理」は回胴遊技機1の枠制御装置50により定期的に実行される。
本実施例では、遊技者の操作に応じて、回胴遊技機1に併設されたCRユニット56でのコイン貸しのレートが設定される。
パチンコ機1及びCRユニット56への電源投入後には、表示装置57には図5(a)に示す画像が表示されている。
画面には、貸出スイッチ68に対応する画像68a、返却スイッチ69に対応する画像69a、レート設定スイッチ75に対応する画像75aが表示されている。前述したように、本実施例では表示装置57はタッチパネルとして構成され、各画像68a、69a、75aの表示領域を指でタッチすると各スイッチがオンするよう構成されている。尚、一例として、画面には、現在のレートが20円であり、貸出数表示57aには1回のコイン貸しにおける貸出数が示されている。
【0075】
レート設定スイッチ75に対応する画像75aの表示領域がタッチされるとレート設定スイッチ75がオン状態となり(図4のS90)、CRユニット56は枠制御装置50にレートの変更が可能か否かの問合せ信号を出力する(S91)。
一方、枠制御装置50は、レートの変更が可能か否かの問合せ信号を受信すると、レート変更が可能か否かを判定する(S92)。
本実施例では、持コイン数が零である、当選遊技中でない、内部当選していない、高確率遊技中でない、ART遊技中でない、リプレイ遊技中でない、全てのリール4L、4C及び4Rが変動中でない(停止している)、又は始動レバー8が操作された直後でない、等が判断される。これは、レート変更前の遊技が終了していることを判断することを意味している。
持コイン数は遊技者が遊技をしていなければ、原則、零である。持コイン数が零でない遊技中にレートを変更したい場合には、計数スイッチ76を押下して主制御装置40のRAM40aに記憶する持コイン数をCRユニット56に移動させれば良い。この処理を行ったときには、レート変更前のレートで移動した持コイン数が処理される。
【0076】
持コイン数が零である、当選遊技中でない、内部当選していない、高確率遊技中でない、RT遊技中でない、リプレイ遊技中でない、全てのリール4L、4C及び4Rが変動中でない(停止している)、又は始動レバー8が操作された直後でない、等であることは、枠制御装置50が主制御装置40から受信した遊技状態を示すデータから判断される。
この判断処理は、遊技を行うことができる持コイン数が存在する場合にレート変更を可能とすれば、貸出されたときの単価と相違することになるからである。また、レート変更前の遊技により得た当選や高確率状態等の遊技結果(成果)の価値を変化させないためである。例えば、低いレートで遊技を行い当選後にレートを高くすれば、当選により得られる金銭的価値が高く変化するからである。
【0077】
レート変更が可能な状態でなければ(S92のNO)、変更待機状態とされ(S93)、その旨がCRユニット56に通知される(S94)。通知された状態は、表示装置57に表示される。持コイン数が零でなければ、計数スイッチ76を押下して持コイン数を零にするか、始動レバー8を操作して遊技を行い持コイン数を零にすれば良い。当選遊技中、高確率遊技中、ART遊技中、リプレイ遊技中、全てのリール4L、4C及び4Rが変動中又は始動レバー8が操作された直後である場合には、その遊技状態を経過させ持コイン数を零にすれば良い。
レート変更が可能な状態と判断されれば(S92のYES)、枠制御装置50はCRユニット56にレート許可信号を出力する(S95)。
レート許可信号を受信したCRユニット56は、表示装置57の画面上に遊技球のレートを表示し、遊技者が選択したレートに設定処理を行う(S96)。
本実施形態では、図5(b)に示すように、コイン1枚の単価は、5円(画像75a-1)、10円(画像75a-2)、15円(画像75a-3)、20円(画像75a-4)から選択することが可能である。画像75a-1の表示領域をタッチすればコイン1枚の単価は5円、画像75a-2の表示領域をタッチすればコイン1枚の単価は10円、画像75a-3の表示領域をタッチすればコイン1枚の単価は15円、画像75a-4の表示領域をタッチすればコイン1枚の単価は20円、に設定変更することができる。このレートは一例であり、2円や30円のレートがあっても良い。
【0078】
5円のレートを設定した後、貸出スイッチ68に対応する画像68aをタッチすれば、ICカードから250円が減額され、貸コインとして持コイン数50枚が貸し出される。10円のレートを設定した後、画像68aをタッチすれば、ICカードから500円が減額され、貸コインとして持コイン数50枚が貸し出される。15円のレートを設定した後、画像68aをタッチすれば、ICカードから750円が減額され、貸コインとして持コイン数50枚が貸し出される。20円のレートを設定した後、画像68aをタッチすれば、ICカードから1000円が減額され、貸コインとして持コイン数50枚が貸し出される。
画像68aを一回タッチしときに貸し出される持コイン数を一定としない構成も可能である。例えば、画像68aを1回タッチすれば1500円に対応する持コイン数を貸し出す構成でも良い。この場合、レートが5円であれば画像68aが1回タッチすれば300枚の持コイン数、10円であれば150枚の持コイン数、15円であれば100枚の持コイン数、20円であれば75枚の持コイン数が貸し出される。
【0079】
レートが新たに設定されると、CRユニット56は、枠制御装置50及び主制御装置40を介して、新たに設定されたレートを示すレート情報を、音・ランプ制御装置49に接続された演出画像制御装置に送信しても良い。そして、演出画像制御装置は、レート情報が示すレートに応じた態様で、各種演出を行っても良い。
レートに応じた態様で行う各種演出は、ユニット表示装置57で行っても良い。
【0080】
〔遊技の説明〕
次に回胴遊技機1の動作を、主制御装置40が実行する処理に従って説明する。
なお、実施例におけるフローチャートは、処理の流れを示しており、CPUにより実行される処理は各ステップに必ずしも留まるものではない。例えば、処理中にフラグが立てられれば、フローチャートに示す最初の処理から実行されることなく、フラグに対応する処理の途中から実行されることもある。
【0081】
図6に示すように、遊技進行処理は1回のゲームを実行する際に行われる処理であり、まず、前回のゲームの結果がリプレイであるか否かを判定する(S101)。そして、リプレイであればS103へ移行し、リプレイでなければS102へ移行する。
そしてS102では、当該ゲームの進行に必要なコイン数がベットされたか否かを判定する(ベット数検出)。検出されればS103へ移行し、検出されなければ「リターン」に抜ける。
このとき、主制御装置40は、検出されたベット数を記憶する持コイン数から減算する処理を行う(ステップS103)。記憶する持コイン数が検出されたベット数未満であれば、主制御装置40は、警告音を発する。或は、コイン貸出処理を行って持コイン数の増加を促すメッセージを出力する。
【0082】
その後、始動レバー8の操作が行われたか否かを判定する(S104)。ここで、始動レバー8の操作が行われていればS105へ移行し、始動レバー8の操作が行われていなければ「リターン」に抜ける。
【0083】
S105では、役抽選が実行される。また、左リール4L、中リール4C、及び右リール4Rを全て回動開始させる処理を実行する(S106)。回動しているリール4が全て定常回転したらS107へ移行する。
S107では、回転しているリール4に対応する停止ボタン9が操作されたか否かを判定し、全てのリール4が停止するまで待機する(S107)。停止ボタン9が操作されなければ、所定時間後に自動停止する。
【0084】
そして、全リール4が停止すると、当選役に入賞して配当があるか否かを判定する(S109)。配当がある場合は入賞の種類に対応したコイン数を記憶する持コイン数に加算する処理が行われる(S110)。一方、入賞がなければ処理は「リターン」に抜ける。
S103の処理により減算され、S110の処理により加算され、或は枠制御装置50から受信し加算される持コイン数は持コイン数表示装置51に表示される。
【0085】
本実施例では、S105の役抽選処理では、始動レバー8が操作されたタイミングに応じて第1抽選テーブル又は第2抽選テーブルから数値データが抽出される(乱数抽選)。抽選結果が当選であれば、内部当選状態に移行する。
内部当選状態では、遊技者が停止ボタン9を操作するタイミングに従って図柄が停止させられる。停止した図柄が予め定められた組合せであれば入賞が成立する。一方、予め定められた組み合わせでなければ入賞が成立せず、内部当選状態は維持され再びベットボタン7、始動レバー8、停止ボタン9の操作が遊技者により繰り返される遊技(ゲーム)が行われる。なお、入賞が成立するゲーム(遊技)は所定回数繰り返されて、内部当選状態は消滅する。所定回数は、当選役によって相違する。
遊技者が所定時間内に停止ボタン9を操作しなければ、各リール4は自動停止するが、内部当選状態であっても入賞不成立の図柄の組合せとなる。
〔通信処理〕
【0086】
ここで、主制御装置40と枠制御装置50との通信処理について詳細に説明する。
本実施例では、電源投入直後等に遊技機監視用の固有IDに関する情報が広域ネットワークから、CRユニット56及び枠制御装置50を介して主制御装置40に送信される。
また、遊技者のCRユニット56の操作により貸コイン数が枠制御装置50を介して主制御装置40に送信される。
さらに、計数スイッチ76が操作されたことを示す信号が枠制御装置50から主制御装置40に送信される。
これらのデータ(信号を含む)以外は、枠制御装置50から主制御装置40に送信されない。これらのデータを受信した旨を示す応答信号、持コイン数移動に関する持コイン数は、主制御装置40から枠制御装置50に送信される。
【0087】
〔送信禁止処理1〕
図7に示す「送信禁止処理」は、遊技機監視用の固有IDに関する情報、貸コイン数及び計数スイッチ76が操作されたことを示す信号以外のデータを枠制御装置50が主制御装置40に送信することを禁止する処理を示す(S200~S230)。
管理遊技機でない場合には、S200の処理は省かれる。
また、前述したレート変更処理は、本処理の適用範囲外である。
【0088】
また、遊技中に遊技機監視用の固有IDに関する情報を送信しない封入式回胴遊技機であって、図7に示す「送信禁止処理1」を遊技中に実行する封入式回胴遊技機の場合もS200の処理は省かれる。
遊技中とは、主制御装置40に記憶する持コイン数が零でない状態を意味する。
遊技中であることは、主制御装置40から枠制御装置50への出力により枠制御装置50が判別する。
【0089】
なお、ベットボタン7又は始動レバー8が操作されてから停止ボタン9の操作等により回転するリール4が停止して遊技の結果が得られるまでの間を遊技中としても良い(以下、「1回の遊技中」ということもある)。
ベットボタン7が操作されてから停止ボタン9の操作等により遊技の結果が得られるまでの間を1回の遊技中とした場合には、この間には計数スイッチ76の操作が有効とならない。
一方、始動レバー8が操作されてから停止ボタン9の操作等により遊技の結果が得られるまでの間を1回の遊技中とした場合には、ベットボタン7が操作されてから停止ボタン9が操作されるまでの間は、1回の遊技中ではなく、この間には計数スイッチ76の操作が有効となる。この間に計数スイッチ76が操作されれば、ベットしたコイン数は払い戻される。
この場合には、1回の遊技中でないときに図7に示す「送信禁止処理1」が実行される。従って、1回の遊技中でないときに、遊技機監視用の固有IDに関する情報、貸コイン数及び計数スイッチ76が操作されたことを示す信号を主制御装置40に送信することが可能となる。
【0090】
図7に示す処理を実行することにより、主制御基板には、遊技機監視用の固有IDに関する情報、貸コイン数及び計数スイッチ76が操作されたことを示す信号以外のデータは送信されない。
これにより、主制御装置40に対する不正行為を未然に防止する効果が得られる。
【0091】
〔持コイン数移動処理1〕
図8に示す「持コイン数移動処理1」では、枠制御装置50は前述した1回の遊技中でないことを判断する(S250)。
肯定判断が為されると計数スイッチ76が操作されたか否か判断され(S260)、肯定判断が為されると計数スイッチの操作量を主制御基板40に送信して操作量に応じた持コイン数を受信する(S270)。
その後、枠制御装置50は、受信した持コイン数をCRユニット56に移動させる(S280)。
【0092】
なお、計数スイッチ76が操作されれば遊技終了として、遊技終了信号を主制御装置40に送信し、主制御基板40から記憶する全ての持コイン数を受信しても良い。
この場合、主制御装置40は、全てのコイン数を送信した後、零クリアし遊技終了処理を実行する。
S250及びS260の処理により、1回の遊技中には、計数スイッチ76の操作に係る信号は送信できないことになる。
これにより、1回の遊技中に持コイン数が変化することを防止できることになる。
【0093】
〔遊技終了処理1〕
前記操作量を受信した主制御装置40は(図9のS300~S310)、受信した操作量に応じた持コイン数を枠制御装置50に送信し、送信した持コイン数を記憶する持コイン数から減算する処理を行う(S320)。
減算することにより記憶する持コイン数が零になれば(S330)、遊技終了処理を行う(S340)。
【0094】
図8に示す「持コイン数移動処理1」及び図9に示す「遊技終了処理1」を実行することにより、ベットボタン7が操作されてから遊技の結果が得られるまでの間に持コイン数が変化することはなく、処理の煩雑化を防止することが可能となる。
また、遊技者が正確な持コイン数を把握すること効果も期待できる。
〔第2実施例〕
【0095】
次に第2実施例について説明する。
第2実施例は、第1実施例の図2に示す電気回路として図10の電気回路を用い、図7図9に示す処理の代わりに図11図13に示す処理を実行するものであり、その他の構成及び処理は、第1実施例と同様である。
図10に示されるように、第2実施例では、計数スイッチ76は主制御装置40に接続される。従って、計数スイッチ76の操作は、主制御装置40により検出される。
【0096】
〔送信禁止処理2〕
第2実施例では、第1実施例の図7に示されるS220の判断処理は実行されない(図11のS350~S370)。
第2実施例では、遊技機監視用の固有IDに関する情報及び貸コイン数以外のデータを枠制御装置50が主制御装置40に送信することを禁止する(S350~S370)。
第2実施例では、主制御装置40に送信するデータ又は送信期間を一層少なくする効果を発揮し、主制御基板に対する不正行行為防止の効果がさらに期待される。
【0097】
〔遊技終了処理2〕
第2実施例では1回の遊技中でないときに(図12のS400)、主制御装置40に接続された計数スイッチ76の操作が検出されると(S410)、操作量に応じたコイン数が枠制御装置50に移動させられる(S420)。即ち、記憶する持コイン数から操作量に応じた持コイン数が減算され、操作量に応じた持コイン数が枠制御装置50に送信される。
減算された持コイン数が零になれば遊技終了処理を実行する(S430~S440)。
なお、「1回の遊技中」は、第1実施例と同じ意味である。第3実施例も同様である。
【0098】
第2実施例でも、1回の遊技中に持コイン数が変化することはなく、第1実施例と同様の効果を発揮する。
なお、第1実施例と同様、計数スイッチ76の操作が検出されると遊技終了とし、記憶する全ての持コイン数を枠制御装置50に送信しても良い。
【0099】
〔持コイン数移動処理2〕
主制御装置40から持コイン数を受信した枠制御装置50は、持コイン数をCRユニット56に移動する処理を行う(図13)。
【0100】
前述した第1実施例又は第2実施例では、主制御装置40と枠制御装置50とが双方向通信可能に構成されている。このため、主制御装置40と枠制御装置50との通信に正確性を有し、主制御装置40が遊技の進行を制御すると共に、持コイン数の管理を好適行うことができる。
この効果を発揮しながら、図7に示す「送信禁止処理1」又は図11に示す「送信禁止処理2」により主制御装置40に送信するデータ又は通信期間を極めて少なくすることができる。
この結果、主制御装置40と枠制御装置50との間が双方向通信であっても、主制御装置40に対する不正行為を行い難くする効果を有する。
〔第3実施例〕
【0101】
次に第3実施例について説明する。
第3実施例は、第2実施例の図10に示す電気回路として図14の電気回路を用いる。第3実施例では、枠制御装置50を使用することなく、主制御装置40とCRユニット56とを直接に双方向通信可能に接続する。
従って、第2実施例の枠制御装置50が行う処理は、CRユニット56が行うことになる。
なお、主制御装置40とCRユニット56との間にCPUを搭載しない中継基板を介装させても良い。ここでの直接とは、CPUを有する論理演算回路を介装させないことを意味する。この中継基板は、主制御装置40の指示により回胴遊技機1の前面の装飾ランプ類を点灯制御する構成であっても良い。要は、中継基板が貸コイン数又は持コイン数の受け渡しを行うだけであり、主制御装置40に送信されるデータの種類の判断を行わない構成であれば良い。
【0102】
第3実施例では、前述したレート変更処理を除く遊技中には、遊技機監視用の固有IDに関する情報及び貸コイン数以外のデータをCRユニット56が主制御装置40に送信することを禁止する処理を行う。管理遊技機でない場合には、貸コイン数以外のデータをCRユニット56が主制御装置40に送信することを禁止する処理を行う。
レート変更処理を行なわない構成の場合には、遊技機監視用の固有IDに関する情報及び貸コイン数以外のデータをCRユニット56が主制御装置40に送信することを禁止する処理を行うことができ、さらに管理遊技機でない場合には貸コイン数以外のデータをCRユニット56が主制御装置40に送信することを禁止する処理を行うことが可能となる。
【0103】
第3実施例では、第2実施例の図11に示す処理は、CRユニット56で実行される。
また、第2実施例の図12に示す処理は第3実施例でも実行される。第2実施例の図13に示す処理は第3実施例では実行されない。
CRユニット56で実行される図11の処理に替えて、図15に示す処理を主制御装置40が実行しても良い。
【0104】
図15に示す処理では、前述したレート変更処理を行うときには、主制御基板40は受信禁止処理を行わない(S500のNO)。
遊技機監視用の固有IDに関する情報等のセキュリティに関するデータは、受信禁止処理されない(S510のNO)。
CRユニットから送信される貸コイン数は、受信禁止処理されない(S520のNO)。
これらのデータ以外のデータは、受信禁止処理される(S530)。
なお、レート変更をしない回胴遊技機1では、S500の判断処理は実行されない。
同様に、管理遊技機でない回胴遊技機1では、S510の判断処理は実行されない。

〔特許請求の範囲との対応〕
主制御装置40が主制御基板、CRユニット56がカードユニット、枠制御装置50が枠制御基板、始動レバー8が始動レバー(スイッチ)、停止ボタン9L~9Rが回胴停止ボタン(スイッチ)、ベットボタン7がベットスイッチ、計数スイッチ76が精算スイッチの一例に該当する。
【符号の説明】
【0105】
1 回胴遊技機
7 ベットボタン
8 始動レバー
9L、9C、9R 停止ボタン
40 主制御装置
50 枠制御装置
56 CRユニット(カードユニット)
69 返却スイッチ(持ち遊技媒体数返却スイッチ)
75 レート設定スイッチ
76 計数スイッチ(精算スイッチ)
77 持コインクリアスイッチ
81 設定変更スイッチ
82 クリアスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15