(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20221219BHJP
F23L 17/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
F24H9/02 301B
F23L17/00 601J
(21)【出願番号】P 2018236232
(22)【出願日】2018-12-18
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢祐
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-021320(JP,A)
【文献】実開昭52-155610(JP,U)
【文献】実開昭52-079471(JP,U)
【文献】特開2003-269802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F23L 17/00-17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナからの燃焼排気の熱によって通水を加熱する熱交換器の上方に設けられ、前部が前記熱交換器よりも前方へ張り出し、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を外部に排出する開口を前記前部に備えた排気ケーシングと、
前記開口から前方に突出し、前記開口から排出された前記燃焼排気を前方に案内する排気筒と、
前記排気ケーシング内に支持され、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を前記開口に向けて整流する整流板と
を備えた給湯器において、
前記整流板は、
前記熱交換器側に配置され、前側から後側になるにつれて上り傾斜する下板部と、
前記下板部よりも前記熱交換器から離れる側に配置され、後側から前側になるにつれて下り傾斜する上板部と
の夫々の後端部を互いに連結して構成され、
前記下板部の前記後端部には、上方に屈曲された下側連結部が設けられ、
前記上板部の前記後端部には、下方に屈曲された上側連結部が設けられ、
前記下側連結部及び前記上側連結部のうち何れか一方には、前後方向に対して互い違いにずれる舌片部が左右方向に複数並んで形成され、
他方には、前記複数の舌片部と対応する複数の受け部が、前記複数の舌片部の前面側及び後面側に対して互い違いに対向するように左右方向に並んで形成され、
前記複数の受け部に対して、前記複数の舌片部が前後方向にずれるように差し込まれることによって、前記下側連結部と前記上側連結部が互いに連結されること
を特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記下板部の側部の後端側には、上方に突出する第一側面部が設けられ、
前記上板部の側部の後端側には、下方に突出し、且つ前記上側連結部と前記下側連結部が互いに連結した状態において、前記第一側面部と左右方向に重なる第二側面部が設けられ、
前記第一側面部には、係合部が設けられ、
前記第二側面部には、前記係合部が係合する被係合部が設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記排気ケーシングの内部には、
互いに連結する前記下側連結部と前記上側連結部を上下方向の両側から挟み込む挟持部が設けられたこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の上部に排気部を備えた給湯器が知られている(例えば、特許文献1参照)。排気部は、熱交換器のケーシングの上側に固定され、前面が開口して左右及び後部を覆うカバー状の排気ケーシングと、その排気ケーシングの内部に設けられる整流板とを備える。整流板は、熱交換器側で排気ケーシングの前端から後側にかけて上り傾斜した後、上方向に延び、その後、前側に向けて折り返され、さらに前方に向けて下り傾斜する折り返し形状を備える。整流板は、このような折り返し形状を備えることで、排気ケーシングの内部に排気通路を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
整流板は、上記折り返し形状を備えるので、一体形成した場合には、加工工程が多く、コストが高くなるという問題点があった。この問題点を解消する為、例えば、整流板を複数の部品で構成し、折り返し部分で連結できるようにすることで、コストを下げることが考えられる。しかしながら、搬送時の振動、衝撃、各構成部品の撓り戻り等により連結状態が緩んでしまい、排気ケーシング内における燃焼排気の圧力損失が高くなる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、複数の部品を連結してなる整流板の連結状態を強固に保持できる給湯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の給湯器は、バーナからの燃焼排気の熱によって通水を加熱する熱交換器の上方に設けられ、前部が前記熱交換器よりも前方へ張り出し、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を外部に排出する開口を前記前部に備えた排気ケーシングと、前記開口から前方に突出し、前記開口から排出された前記燃焼排気を前方に案内する排気筒と、前記排気ケーシング内に支持され、前記熱交換器を上方に通過した前記燃焼排気を前記開口に向けて整流する整流板とを備えた給湯器において、前記整流板は、前記熱交換器側に配置され、前側から後側になるにつれて上り傾斜する下板部と、前記下板部よりも前記熱交換器から離れる側に配置され、後側から前側になるにつれて下り傾斜する上板部との夫々の後端部を互いに連結して構成され、前記下板部の前記後端部には、上方に屈曲された下側連結部が設けられ、前記上板部の前記後端部には、下方に屈曲された上側連結部が設けられ、前記下側連結部及び前記上側連結部のうち何れか一方には、前後方向に対して互い違いにずれる舌片部が左右方向に複数並んで形成され、他方には、前記複数の舌片部と対応する複数の受け部が、前記複数の舌片部の前面側及び後面側に対して互い違いに対向するように左右方向に並んで形成され、前記複数の受け部に対して、前記複数の舌片部が前後方向にずれるように差し込まれることによって、前記下側連結部と前記上側連結部が互いに連結されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の給湯器において、前記下板部の側部の後端側には、上方に突出する第一側面部が設けられ、前記上板部の側部の後端側には、下方に突出し、且つ前記上側連結部と前記下側連結部が互いに連結した状態において、前記第一側面部と左右方向に重なる第二側面部が設けられ、前記第一側面部には、係合部が設けられ、前記第二側面部には、前記係合部が係合する被係合部が設けられるとよい。
【0008】
請求項3の給湯器の前記排気ケーシングの内部には、互いに連結する前記下側連結部と前記上側連結部を上下方向の両側から挟み込む挟持部が設けられるとよい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の給湯器によれば、複数の受け部に対して、複数の舌片部が前後方向にずれるように差し込まれることによって、下板側連結部と上板側連結部が互いに連結される。これにより、下板部及び上板部の同じ方向への応力が分散して加わるので、連結状態が緩むのを防止できる。よって、安価な構成を取りつつも、排気ケーシング内への圧損が高くなるのを防止できる。
【0010】
請求項2の給湯器によれば、下板部の第一側面部に設けられた係合部と、上板部の第二側面部に設けられた被係合部とを互いに係合させることで、下板部と上板部の仮組みが容易となる。これにより、整流板の組立工程における作業効率を向上できる。
【0011】
請求項3の給湯器によれば、挟持部が下側連結部と前記上側連結部を上下方向の両側から挟み込むので、排気ケーシング内で下板部と上板部が分離するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0014】
図1、
図2を参照し、給湯器1の構造を説明する。給湯器1は、筐体2とフロントカバー8を備える。筐体2の前面には開口7が設けられる。フロントカバー8は、筐体2の前面に着脱可能であって、開口7を閉塞する。フロントカバー8の上部には、排気筒9が前方に突出し(
図2参照)、下部には吸気口(図示略)が設けられる。筐体2の底板4には、外部の給湯栓へ繋がる出湯口11、外部から水道管が接続される入水口12、外部からガス管が接続されるガス入口(図示略)が夫々設けられる。筐体2の背板6の上部と下部には、壁取付用の金具16A、16Bが夫々設けられる。
【0015】
筐体2内の上部には、下方から順に、燃焼部18、熱交換器19、排気部30が設けられる。燃焼部18はバーナ側ケーシング21内に設けられ、複数のバーナ181を左右方向に並べて備える。燃焼部18の下方には、複数のバーナ181に燃焼用空気を供給する給気ファン25が設けられる。
【0016】
熱交換器19は、熱交換器側ケーシング26内に設けられる。熱交換器側ケーシング26は、バーナ側ケーシング21の上部に固定される。熱交換器19は、左右方向に所定間隔をおいて複数枚積層したフィン20を左右方向に貫通し、互いに平行に配設される複数の伝熱管19Aを有する。隣接する伝熱管19A同士は、U字状の接続管(図示略)によって連結されることで、蛇行状に繋がる一連の管体を形成する。熱交換器19の管体の上流端には、入水口12と接続される入水管27の下流端が接続され、当該管体の下流端には、出湯口11に接続される出湯管(図示略)が接続される。燃焼部18からの燃焼排気が伝熱管19A同士の隙間を通過することによって、伝熱管19Aの通水との間で熱交換が行われ、伝熱管19Aの通水が加熱される。
【0017】
排気部30は、排気ケーシング40と整流板50を備える(
図2参照)。排気ケーシング40は、熱交換器側ケーシング26の上部に固定され、排気筒9と連通する。排気ケーシング40は、前部が熱交換器19よりも前方へ張り出す。整流板50は、排気ケーシング40内に支持され、熱交換器19から排気ケーシング40内に流入した燃焼排気の排気通路を形成する。
【0018】
図2~
図5を参照し、排気ケーシング40の形状を説明する。
図2、
図3に示すように、排気ケーシング40は、後部において上方に膨出し、前方へ向かうに従って徐々に低くなる形状を備える。排気ケーシング40は前部に開口400(
図3参照)を有する。開口400は、正面視下側に開口する略コの字型である。排気ケーシング40は、後方から前方にかけて順に、湾曲部41、最上部42、急傾斜部43、緩傾斜部44を備え、それらの左右両側に一対の側面部45を備える。湾曲部41は、上方に立ち上がりつつ前方に湾曲する。最上部42は、湾曲部41の前端部から前方に向けて略水平に延びる。急傾斜部43は、最上部42の前端部から急な角度で斜め下方に傾斜する。緩傾斜部44は、急傾斜部43の前端部から急傾斜部43よりも緩い角度で傾斜し、前方に延びる。一対の側面部45は、湾曲部41、最上部42、急傾斜部43、緩傾斜部44の左右両端部から垂下し、排気ケーシング40の左右の両側面を形成する。
【0019】
排気ケーシング40は、取付フランジ部46、上側フランジ部47、外側折返部48、複数の加締め部49を更に備える。取付フランジ部46(
図3参照)は、排気ケーシング40の前端部であって、緩傾斜部44の前端部と、一対の側面部45の夫々の前端部とに沿って設けられる。取付フランジ部46(
図3、
図5参照)は、外側に向かってフランジ状に突出し、正面視下方に開口する略コの字型に形成される。上側フランジ部47は、湾曲部41の下端部と、一対の側面部45の夫々の下端部とに沿って設けられる。上側フランジ部47は、外側に向かってフランジ状に突出し、底面視前方に開口する略コの字型に形成される。外側折返部48は、上側フランジ部47の外周部に沿って設けられ、下方に折り返して突出する。加締め部49は、外側折返部48の下端部に沿って設けられる。上側フランジ部47の下側に、熱交換器側ケーシング26の上端部に設けられた下側フランジ部261(
図3参照)を配置し、複数の加締め部49の夫々を内側に折り曲げて加締め固定する。これにより、熱交換器側ケーシング26の上部に、排気ケーシング40が固定される。
【0020】
一対の側面部45の夫々には、上側挟持部451と下側挟持部452が設けられる。上側挟持部451は、側面部45における最上部42の近傍に設けられ、内側に向けて略矩形状に突出する。なお、上側挟持部451は絞り加工で形成するとよい。下側挟持部452は、上側挟持部451の下方で且つ後方寄りに設けられ、内側に向けて略矩形状に突出する。下側挟持部452の上面は、前側に下り傾斜する。
【0021】
最上部42の上面には、側面視略L字状のブラケット55の一端部がネジ38で固定される。ブラケット55の他端部は、筐体2の背板6にネジ(図示略)で固定される。これにより、排気ケーシング40は、筐体2の背面に固定される。
【0022】
図2、
図3を参照し、排気筒9の構造を説明する。排気筒9は、排気ケーシング40の前部に固定され、前方に突出する略四角筒状に形成される。排気筒9の前部には、左右方向に長い環状の開口端部90が設けられ、開口端部90の内側に排気出口92が設けられる。排気出口92は、正面視左右方向に長い長円状に形成される。排気出口92の周縁部には、内側後方に向けて屈曲された受傷防止用のバーリング部91が設けられる。開口端部90の下側部の左右両側には、二つの抜け穴95(
図2参照)が設けられる。これにより、排気筒9内に降り込んだ雨水は、抜け穴95から外部に排出される。
【0023】
排気筒9の後端部には、外方に向けてフランジ状に突出するフランジ部93が設けられる。フランジ部93は、左右方向に長い正面視略矩形リング状に形成される。フランジ部93の外周部には、内側に折り返された加締め片94が設けられる(
図3参照)。フランジ部93の後面に対して、排気ケーシング40の前端部に設けられた取付フランジ部46と、整流板50の後述する下板部51の前端部に設けられた取付片512が配置され、加締め片94で加締められる。これにより、排気ケーシング40の前端部と、整流板50の下板部51の前端部に対し、排気筒9が固定される。
【0024】
排気ケーシング40の開口400の前方に、排気筒9の排気出口92が配置される。これにより、排気筒9は、排気ケーシング40の開口400から流れる燃焼排気を排気出口92から良好に排出できる。排気筒9は、フロントカバー8の上部に設けられた筒用固定穴(図示略)に対して背面側から挿入される(
図1参照)。よって、排気筒9がフロントカバー8の上部において前方に突出する状態で固定される。
【0025】
図3~
図7を参照し、整流板50の形状を説明する。
図3、
図6に示すように、整流板50は、下板部51、上板部52、雨除け部100を備える。
図4に示すように、下板部51は、本体部511を備える。本体部511は平面視略矩形状に形成され、前側から後側になるにつれて斜め上方に傾斜する。本体部511の前端部には、前方に向けて略水平に延び、その先端側が下方に略直角に折り返した側面視略逆L字状の取付片512が設けられる。
【0026】
本体部511の後端部には、上方に略直角に屈曲する下側連結部513が設けられる。下側連結部513は、4つの第一受け部71と3つの第二受け部72を左右方向において交互に並べて備える。第一受け部71は、背面視上下方向に長い細長略矩形状に形成された板状部である。第二受け部72も、第一受け部71と同様に、背面視上下方向に長い細長略矩形状に形成された板状部であり、第一受け部71よりも前側に凹んで形成される。下側連結部513は、上板部52の後述する上側連結部521と連結する。
【0027】
下板部51の前側の領域には、三つの支持部517(
図3、
図7において一つのみ図示)が左右方向に間隔をあけて設けられる。支持部517は、平面視略矩形状で上方に突出する。支持部517の上面には、後述する上板部52の下面が接触する。これにより、支持部517は、上板部52を支持する。さらに、本体部511の左右の両端部には、リブ状に上方に突出する左右一対の突出片514が設けられる。各突出片514は、側面視前後方向に長い略矩形状に形成される。各突出片514の上端部の後側には、上方に更に突出する側面視略矩形状の側面部515が設けられる。左右一対の側面部515は互いに対向する。各側面部515の略中央部には、係合突起516が設けられる。係合突起516は内側に向かって突出するように切り起こされ、側面視略三角形状に形成される。
【0028】
図5に示すように、上板部52は、下板部51の上側に支持され、平面視略矩形状に形成される。上板部52は、後方から順に、傾斜部61、水平部62、後側傾斜部63、前側傾斜部64を備える。傾斜部61は平面視左右方向に長い略矩形状であって、後述する上側連結部521の上端部から前側に向かって上り傾斜する。水平部62は平面視左右方向に長い略矩形状であって、傾斜部61の上端部から前側に向かって略水平に延び、排気ケーシング40の最上部42の下面と対向する(
図3参照)。水平部62の左右両端部には、下方に延びる左右一対の側面部66が設けられる。各側面部66は側面視略矩形状に形成され、その略中央部には、略矩形状の開口部67が設けられる。
【0029】
後側傾斜部63は平面視左右方向に長い略矩形状であって、水平部62の前端部から急な角度で斜め下方に傾斜する。後側傾斜部63の傾斜角度は、排気ケーシング40の急傾斜部43の傾斜角度と略同一である。後側傾斜部63は、排気ケーシング40の急傾斜部43の下方に位置し、且つその下面と対向する(
図3参照)。前側傾斜部64は平面視左右方向に長い略矩形状であって、後側傾斜部63の前端部から後側傾斜部63よりも緩い角度で傾斜する。前側傾斜部64の前側部の左右両側には、側面視略矩形状の一対の邪魔板部68、69が立設される。邪魔板部68、69は、平面視、前方に向かうに従って左右方向の中央部側に傾斜する。これにより、邪魔板部68、69は、排気ケーシング40の排気通路から排気筒9内に流れる燃焼排気を、排気出口92の左右方向中央部に向けて案内する。
【0030】
傾斜部61の後端部には、下方に屈曲する上側連結部521が設けられる。上側連結部521は、4つの第一舌片部81と3つの第二舌片部82を左右方向において交互に並べて備える。第一舌片部81は、背面視上下方向に長い細長略矩形状に形成された板状部である。第二舌片部82も、第一舌片部81と同様に、背面視上下方向に長い細長略矩形状に形成された板状部である。隣り合う第一舌片部81と第二舌片部82の間には、隙間が形成される。なお、上側連結部521と、下板部51の下側連結部513との連結方法については後述する。
【0031】
雨除け部100は、前側傾斜部64の上面に固定される。雨除け部100は、平面視左右方向に長い略矩形状に形成され、排気筒9から排気ケーシング40内の整流板50に向かって勢いよく入射する雨水を受ける。雨除け部100に当たって後方に跳ね返った雨水は、排気ケーシング40の緩傾斜部44の下面に衝突するようになっている。緩傾斜部44の下面に衝突した雨水は、整流板50の前側傾斜部64上に落下し、排気出口92側に流れる。これにより、排気ケーシング40内において、雨水が整流板50の後部を超えて、筐体2内に侵入するのを防止できる。なお、排気出口92側に流れた雨水は、開口端部90の二つの抜け穴95から外部に排出される。
【0032】
図4~
図7を参照し、整流板50の組立方法と、排気ケーシング40内への設置方法を説明する。先ず、下板部51の上側に対して、上板部52を配置する。下板部51の下側連結部513に対し、上板部52の上側連結部521を上方から差し込む。このとき、上側連結部521の4つの第一舌片部81と3つの第二舌片部82を、下側連結部513の4つの第一受け部71と3つの第二受け部72に対して、前後方向にずれるように差し込む。具体的に言うと、4つの第一舌片部81を、4つの第一受け部71の前側に沿って差し込み、3つの第二舌片部82を、3つの第二受け部72の後側に沿って差し込む。4つの第一舌片部81と3つの第二舌片部82は、前後方向に互い違いに撓った状態で、4つの第一受け部71の前面と3つの第二受け部72の背面に夫々密着する。
【0033】
これにより、下側連結部513に対して、上側連結部521を強固に連結できる。よって、下板部51及び上板部52の同じ方向への応力が分散して加わるので、下側連結部513と上側連結部521の連結状態が緩むのを防止できる。整流板50の形状を安定して保持できるので、排気ケーシング40内における燃焼排気の良好な流れを維持できる。このことから、安価な構成を取りつつも、排気ケーシング40内における燃焼排気の圧力損失が高くなるのを防止できる。
【0034】
そして、下板部51の一対の側面部515の内側に対し、上板部52の一対の側面部66が上方から挿入して配置する。下板部51の右側の側面部515の左面に、上板部52の右側の側面部66が重なる。下板部51の左側の側面部515の右面に、上板部52の左側の側面部66が重なる。さらに、下側連結部513に対して、上側連結部521を連結したとき、各側面部515の係合突起516に対し、対向する側面部66の開口部67が係合する。これにより、下板部51と上板部52が夫々の後部において互いに強固に連結するので、排気ケーシング40に組み付ける前に、下板部51と上板部52を容易に仮組みできる。よって、排気部30の組立工程における作業効率を向上できる。また、下板部51の3つの支持部517の上面には、上板部52の前側傾斜部64の下面が載置されるので、上板部52は、下板部51の上方に安定して支持される。
【0035】
仮組みされた整流板50を、排気ケーシング40内に配置する。このとき、排気ケーシング40の左右一対の側面部45に設けられた上側挟持部451と下側挟持部452の間に対し、整流板50の後部を前方から挿入する。このとき、上側挟持部451の下面に対し、整流板50の上板部52の水平部62の上面を接触させる。下側挟持部452の上面に対し、整流板50の下板部51の本体部511の下面を接触させる。これにより、上側挟持部451と下側挟持部452は、整流板50の後部を上下両側から挟み込んで支持するので、下側連結部513と上側連結部521の連結状態をさらに強固にする。よって、排気ケーシング40内において、下板部51と上板部52が分離するのを確実に防止できる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の給湯器1は、排気ケーシング40、排気筒9、整流板50を備える。排気ケーシング40は、熱交換器19の上方に設けられ、前部が熱交換器19よりも前方へ張り出し、熱交換器19を上方に通過した燃焼排気を外部に排出する開口400を前部に備える。排気筒9は、開口400に接続され、前方に筒状に突出する。排気筒9は、前部に上下方向よりも左右方向に長い排気出口92を備え、開口400から排出された燃焼排気を外部に排出する。整流板50は、排気ケーシング40内に支持され、熱交換器19を上方に通過した燃焼排気を開口400に向けて整流する。
【0037】
整流板50は、下板部51と上板部52を備える。下板部51は、熱交換器19側に配置され、前側から後側になるにつれて上り傾斜する。上板部52は、下板部51よりも熱交換器19から離れる側に配置され、後側から前側になるにつれて下り傾斜する。整流板50は、下板部51と上板部52の夫々の後端部を互いに連結して構成される。下板部51の後端部には、上方に屈曲された下側連結部513が設けられる。上板部52の後端部には、下方に屈曲された上側連結部521が設けられる。
【0038】
上側連結部521には、前後方向に対して互い違いにずれる第一舌片部81と第二舌片部82が左右方向に複数並んで形成される。下側連結部513には、第一受け部71と第二受け部72が左右方向に並んで形成される。第一受け部71と第二受け部72は、自身と対向する第一受け部71の前面側と第二受け部72の後面側に対して互い違いに対向する。第一受け部71と第二受け部72に対して、第一舌片部81と第二舌片部82が前後方向にずれるように差し込まれることによって、下側連結部513と上側連結部521が互いに強固に連結される。これにより、下板部51及び上板部52の同じ方向への応力が分散して加わるので、連結状態が緩むのを防止できる。よって、安価な構成を取りつつも、排気ケーシング40内における燃焼排気の圧力損失が高くなるのを防止できる。
【0039】
上記説明において、上板部52の上側連結部521の第一舌片部81及び第二舌片部82は、本発明の「舌片部」の一例である。下板部51の下側連結部513の第一受け部71及び第二受け部72は、本発明の「受け部」の一例である。下板部51の一対の側面部515は、本発明の「第一側面部」の一例、上板部52の一対の側面部66は、本発明の「第二側面部」の一例である。側面部515に設けた係合突起516は、本発明の「係合部」の一例であり、側面部66に設けた開口部67は、本発明の「被係合部」の一例である。排気ケーシング40の左右一対の側面部45に設けられた上側挟持部451及び下側挟持部452は、本発明の「挟持部」の一例である。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。排気ケーシング40、下板部51、上板部52の夫々の傾斜角度、及び傾斜形状等は、上記実施形態に限らず、自由に変更可能である。
【0041】
整流板50において、下板部51の下側連結部513は、4つの第一受け部71と3つの第二受け部72を備えるが、夫々の数及び形状については自由に変更可能である。上板部52の上側連結部521の第一舌片部81及び第二舌片部82の夫々の数は、第一受け部71と第二受け部72の夫々の数に対応させればよい。第一受け部71、第二受け部72、第一舌片部81及び第二舌片部82の夫々の形状についても上記実施形態に限定されない。
【0042】
下板部51の下側連結部513には、複数の第一受け部71と第二受け部72が設けられ、上板部52の上側連結部521には、複数の第一舌片部81と第二舌片部82が設けられるが、複数の第一舌片部81と第二舌片部82を下側連結部513に設け、複数の第一受け部71と第二受け部72を上側連結部521に設けてもよい。
【0043】
整流板50の上板部52の上面に固定される雨除け部100は省略してもよい。整流板50の上板部52の左右両側の邪魔板部68、69も省略してもよい。下板部51の一対の側面部515、及び上板部52の一対の側面部66も省略してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 給湯器
7 開口
9 排気筒
19 熱交換器
40 排気ケーシング
45 側面部
50 整流板
51 下板部
52 上板部
66 側面部
67 開口部
71 第一受け部
72 第二受け部
81 第一舌片部
82 第二舌片部
181 バーナ
451 上側挟持部
452 下側挟持部
513 下側連結部
515 側面部
516 係合突起
521 上側連結部