(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】半導体ポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 61/12 20060101AFI20221219BHJP
H01L 51/05 20060101ALI20221219BHJP
H01L 51/30 20060101ALI20221219BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C08G61/12
H01L29/28 100A
H01L29/28 250G
H01L29/78 618B
(21)【出願番号】P 2018545333
(86)(22)【出願日】2017-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2017054507
(87)【国際公開番号】W WO2017148864
(87)【国際公開日】2017-09-08
【審査請求日】2020-02-25
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520139099
【氏名又は名称】クラップ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CLAP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-シャルル フロレ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル アヨ
(72)【発明者】
【氏名】イアン マカロック
(72)【発明者】
【氏名】ンケチニェレム オンウビコ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ケルブライン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユエ
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヤン チェン
(72)【発明者】
【氏名】アストリート-カロリーネ クナル
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00- 61/12
H01L 51/00- 51/56
H01L 29/00- 29/96
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II’):
【化1】
の構造を少なくとも1つ有するポリマーであって、
ここで、
Q
a、Q
b、Q
cまたはQ
dは、互いに独立して、O、S、またはNR
1であり、
ArおよびAr’が、
【化2】
から成る群より互いに独立して選択され、
ここで、ArまたはAr’が、単結合:
【化3】
を介して、基:
【化4】
に結合されており、
Y、Y’、Y’’およびY
*が、いずれの場合も、O、S、NR
1a、Se、Teであり、
Qは、O、S、またはNR
1
であり、
R
Wが、いずれの場合も、H、C
1~30アルキル、C
1~30アルコキシまたは基:
【化5】
[ここで、R
s1、R
s2、R
s3は、互いに独立して、H、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニルまたはフェニルである]
であり、
ここで、Ar、Ar’が、1つ以上の置換基R
2で置換されていてよく、
R
1、R
1aは、いずれの場合も、H、C
1~100アルキル、C
2~100アルケニル、C
2~100アルキニル、C
5~12シクロアルキル、C
6~18アリール、5~20員のヘテロアリール、C(O)-C
1~100アルキル、C(O)-C
5~12シクロアルキルおよびC(O)-OC
1~100アルキルから成る群より選択され、
ここで、
C
1~100アルキル、C
2~100アルケニルおよびC
2~100アルキニルは、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)-R
a、C(O)-OR
a、C(O)-R
a、NR
aR
b、NR
a-C(O)R
b、C(O)-NR
aR
b、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、SR
a、Si(R
Sia)(R
Sib)(R
Sic)、-O-Si(R
Sia)(R
Sib)(R
Sic)、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~40個の置換基で置換されていてよく、C
1~100アルキル、C
2~100アルケニルおよびC
2~100アルキニルの少なくとも2個のCH
2基(ただし、隣接していないCH
2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C
5~12シクロアルキルは、C
1~60アルキル、C
2~60アルケニル、C
2~60アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)-R
a、C(O)-OR
a、C(O)-R
a、NR
aR
b、NR
a-C(O)R
b、C(O)-NR
aR
b、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、SR
a、Si(R
Sia)(R
Sib)(R
Sic)、-O-Si(R
Sia)(R
Sib)(R
Sic)、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より独立的に選択された1~6個の置換基で置換されていてよく、C
5~12シクロアルキルの1個または2個のCH
2基(ただし、隣接していないCH
2基)は、O、S、OC(O)、CO、NR
aまたはNR
a-COと交換されていてよく、
C
6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールは、C
1~60アルキル、C
2~60アルケニル、C
2~60アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、OR
a、OC(O)-R
a、C(O)-OR
a、C(O)-R
a、NR
aR
b、NR
a-C(O)R
b、C(O)-NR
aR
b、N[C(O)R
a][C(O)R
b]、SR
a、Si(R
Sia)(R
Sib)(R
Sic)、-O-Si(R
Sia)(R
Sib)(R
Sic)、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
R
aおよびR
bは、H、C
1~60アルキル、C
2~60アルケニル、C
2~60アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
R
Sia、R
SibおよびR
Sicは、H、C
1~60アルキル、C
2~60アルケニル、C
2~60アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、O-C
1~60アルキル、O-C
2~60アルケニル、O-C
2~60アルキニル、O-C
5~8シクロアルキル、O-C
6~14アリール、O-5~14員のヘテロアリール、-[O-SiR
SidR
Sie]
o-R
Sif、NR
5R
6、ハロゲンおよびO-C(O)-R
5から成る群より独立的に選択され、
ここで、
oは1~50の整数であり、
R
Sid、R
Sie、R
Sifは、H、C
1~60アルキル、C
2~60アルケニル、C
2~60アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、O-C
1~60アルキル、O-C
2~60アルケニル、O-C
2~60アルキニル、O-C
5~8シクロアルキル、O-C
6~14アリール、O-5~14員のヘテロアリール、-[O-SiR
SigR
Sih]
p-R
Sii、NR
50R
60、ハロゲンおよびO-C(O)-R
50から成る群より独立的に選択され、
ここで、
pは1~50の整数であり、
R
Sig、R
Sih、R
Siiは、H、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C
1~30アルキル、O-C
2~30アルケニル、O-C
2~30アルキニル、O-C
5~6シクロアルキル、O-C
6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、O-Si(CH
3)
3、NR
500R
600、ハロゲンおよびO-C(O)-R
500から成る群より独立的に選択され、
R
5、R
6、R
50、R
60、R
500およびR
600は、H、C
1~60アルキル、C
2~60アルケニル、C
2~60アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
C
1~60アルキル、C
2~60アルケニルおよびC
2~60アルキニルは、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、OR
c、OC(O)-R
c、C(O)-OR
c、C(O)-R
c、NR
cR
d、NR
c-C(O)R
d、C(O)-NR
cR
d、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、SR
c、Si(R
Sij)(R
Sik)(R
Sil)、-O-Si(R
Sij)(R
Sik)(R
Sil)、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~20個の置換基で置換されていてよく、C
1~60アルキル、C
2~60アルケニルおよびC
2~60アルキニルの少なくとも2個のCH
2基(ただし、隣接していないCH
2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C
5~8シクロアルキルは、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、OR
c、OC(O)-R
c、C(O)-OR
c、C(O)-R
c、NR
cR
d、NR
c-C(O)R
d、C(O)-NR
cR
d、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、SR
c、Si(R
Sij)(R
Sik)(R
Sil)、-O-Si(R
Sij)(R
Sik)(R
Sil)、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、C
5~8シクロアルキルの1個または2個のCH
2基(ただし、隣接していないCH
2基)は、O、S、OC(O)、CO、NR
cまたはNR
c-COと交換されていてよく、
C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールは、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、OR
c、OC(O)-R
c、C(O)-OR
c、C(O)-R
c、NR
cR
d、NR
c-C(O)R
d、C(O)-NR
cR
d、N[C(O)R
c][C(O)R
d]、SR
c、Si(R
Sij)(R
Sik)(R
Sil)、-O-Si(R
Sij)(R
Sik)(R
Sil)、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
R
cおよびR
dは、H、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニルおよびC
2~30アルキニルから成る群より独立的に選択され、
R
Sij、R
SikおよびR
Silは、H、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C
1~30アルキル、O-C
2~30アルケニル、O-C
2~30アルキニル、O-C
5~6シクロアルキル、O-C
6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、-[O-SiR
SimR
Sin]
q-R
Sio、NR
7R
8、ハロゲンおよびO-C(O)-R
7から成る群より独立的に選択され、
ここで、
qは1~50の整数であり、
R
Sim、R
Sin、R
Sioは、H、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C
1~30アルキル、O-C
2~30アルケニル、O-C
2~30アルキニル、O-C
5~6シクロアルキル、O-C
6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、-[O-SiR
SipR
Siq]
r-R
Sir、NR
70R
80、ハロゲンおよびO-C(O)-R
70から成る群より独立的に選択され、
ここで、
rは1~50の整数であり、
R
Sip、R
Siq、R
Sirは、H、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C
1~30アルキル、O-C
2~30アルケニル、O-C
2~30アルキニル、O-C
5~6シクロアルキル、O-C
6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、O-Si(CH
3)
3、NR
700R
800、ハロゲンおよびO-C(O)-R
700から成る群より独立的に選択され、
R
7、R
8、R
70、R
80、R
700およびR
800は、H、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリールおよび5~10員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
C
1~30アルキル、C
2~30アルケニルおよびC
2~30アルキニルは、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~10個の置換基で置換されていてよく、
R
2は、いずれの場合も、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~12シクロアルキル、C
6~18アリール、5~20員のヘテロアリール、OR
21、OC(O)-R
21、C(O)-OR
21、C(O)-R
21、NR
21R
22、NR
21-C(O)R
22、C(O)-NR
21R
22、N[C(O)R
21][C(O)R
22]、SR
21、ハロゲン、CN、SiR
SisR
SitR
SiuおよびOHから成る群より選択され、
ここで、
R
21およびR
22は、H、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニル、C
5~12シクロアルキル、C
6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
C
1~30アルキル、C
2~30アルケニルおよびC
2~30アルキニルは、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、OR
e、OC(O)-R
e、C(O)-OR
e、C(O)-R
e、NR
eR
f、NR
e-C(O)R
f、C(O)-NR
eR
f、N[C(O)R
e][C(O)R
f]、SR
e、ハロゲン、CN、SiR
SisR
SitR
SiuおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~10個の置換基で置換されていてよく、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニルおよびC
2~30アルキニルの少なくとも2個のCH
2基(ただし、隣接していないCH
2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C
5~12シクロアルキルは、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニルおよびC
2~20アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、OR
e、OC(O)-R
e、C(O)-OR
e、C(O)-R
e、NR
eR
f、NR
e-C(O)R
f、C(O)-NR
eR
f、N[C(O)R
e][C(O)R
f]、SR
e、ハロゲン、CN、SiR
SisR
SitR
SiuおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、C
5~12シクロアルキルの1個または2個のCH
2基(ただし、隣接していないCH
2基)は、O、S、OC(O)、CO、NR
eまたはNR
e-COと交換されていてよく、
C
6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールは、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニル、C
2~20アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、OR
e、OC(O)-R
e、C(O)-OR
e、C(O)-R
e、NR
eR
f、NR
e-C(O)R
f、C(O)-NR
eR
f、N[C(O)R
e][C(O)R
f]、SR
e、ハロゲン、CN、SiR
SisR
SitR
SiuおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
R
Sis、R
SitおよびR
Siuは、H、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニル、C
2~20アルキニル、C
5~6シクロアルキル、フェニルおよびO-Si(CH
3)
3から成る群より互いに独立的に選択され、
R
eおよびR
fは、H、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニル、C
2~20アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
ここで、
C
1~20アルキル、C
2~20アルケニルおよびC
2~20アルキニルは、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
g、OC(O)-R
g、C(O)-OR
g、C(O)-R
g、NR
gR
h、NR
g-C(O)R
h、C(O)-NR
gR
h、N[C(O)R
g][C(O)R
h]、SR
g、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C
5~8シクロアルキルは、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
g、OC(O)-R
g、C(O)-OR
g、C(O)-R
g、NR
gR
h、NR
g-C(O)R
h、C(O)-NR
gR
h、N[C(O)R
g][C(O)R
h]、SR
g、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールは、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
g、OC(O)-R
g、C(O)-OR
g、C(O)-R
g、NR
gR
h、NR
g-C(O)R
h、C(O)-NR
gR
h、N[C(O)R
g][C(O)R
h]、SR
g、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
R
gおよびR
hは、H、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニルおよびC
2~10アルキニルから成る群より独立的に選択され、
ここで、
C
1~10アルキル、C
2~10アルケニルおよびC
2~10アルキニルは、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
R
100およびR
101は、いずれの場合も、H、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニル、C
2~20アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択されるか、またはR
100およびR
101は、同じ原子に結合されている場合、この結合されている原子と一緒に、5~12員の環系を形成し、
ここで、
C
1~20アルキル、C
2~20アルケニルおよびC
2~20アルキニルは、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C
5~8シクロアルキルは、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールは、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
5~12員の環系は、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
R
qおよびR
rは、H、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニルおよびC
2~10アルキニルから成る群より独立的に選択され、
ここで、
C
1~10アルキル、C
2~10アルケニルおよびC
2~10アルキニルは、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
nは3~1000である、
ポリマー。
【請求項2】
ArおよびAr’が、
【化6】
から成る群より互いに独立して選択される、
請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
ArおよびAr’が、
【化7】
から成る群より選択される、
請求項1または2記載のポリマー。
【請求項4】
式1’、2’または3’:
【化8】
[式中、R
1b、R
1cおよびR
1dは、
R
1
と同じように規定されている]
の基を少なくとも1つ有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項5】
テトラオンAとジオンBとの縮合:
【化11】
[式中、Q
a、Q
b、Q
c、Q
d、ArおよびAr’は、請求項
1に規定されている]
により、請求項
1記載のポリマーを製造する方法。
【請求項6】
Q
aおよびQ
bがNR
1であり、Q
cおよびQ
dがOまたはNR
1である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマーを含む電子デバイス。
【請求項8】
有機電界効果トランジスタである、請求項7記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー、これらのポリマーの製造方法、中間体、これらのポリマーを含む電子デバイス、および半導体材料としてのこれらのポリマーの使用に関する。
【0002】
有機半導体材料は、電子デバイス、例えば、有機光起電力素子(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機発光ダイオード(OLED)、有機フォトダイオード(OPD)および有機エレクトロクロミック素子(ECD)において使用され得る。
【0003】
有機半導体材料は、液体処理技術、例えばスピンコーティングに適していることが望ましい。なぜなら、液体処理技術は、加工性の点で好都合であるため、低コストな有機半導体材料ベースの電子デバイスの製造が可能になるからである。それに加えて、液体処理技術は、プラスチック基板にも適しているため、有機半導体材料ベースの軽量かつ機械的に柔軟な電子デバイスの製造が可能になる。
【0004】
有機光起電力素子(OPV)、有機電界効果トランジスタ(OFET)および有機フォトダイオード(OPD)における用途について、有機半導体材料が高い電荷キャリア移動度を示すことがさらに望ましい。
【0005】
有機光起電力素子(OPV)および有機フォトダイオード(OPD)における用途について、有機半導体材料が可視光および近赤外光の強い吸収を示すことも望ましい。
【0006】
G.KossmehlおよびG.Manecke、Die Makromolekulare Chemie 176(1975)、333~340頁には、π電子系が同一平面上で共役した以下の構造:
【化1】
が開示されている。
【0007】
国際公開第2009/053291号(WO2009/053291)には、以下の単位:
【化2】
を含む半導体ポリマー、およびこれらのポリマーを含む有機電界効果トランジスタが記載されている。
【0008】
国際公開第2014/071524号(WO2014/071524)には、以下の構造:
【化3】
[式中、Xは、独立して、O、SまたはNRであり、Rは、独立して、水素または任意で置換された炭化水素である]
の縮合環部分を有するモノマー、オリゴマーおよびポリマーが開示されている。
【0009】
国際公開第2016/005891号(WO2016/005891)には、電子デバイス用の半導体材料としての、式:
【化4】
の少なくとも1つの単位を有するポリマーが開示されている。
【0010】
本発明の対象は、有機半導体材料を提供することであった。
【0011】
本発明の第二の対象は、貴金属触媒を必要とすることなく合成可能な半導体ポリマーを提供することであった。
【0012】
この課題は、式(I):
【化5】
の化合物、および式(II):
【化6】
の少なくとも1つの構造を有するポリマー、好ましくは、式(II’)
【化7】
の少なくとも1つの構造を有するポリマー
により解決され、
ここで、
nは、3~1000であり、
T
1またはT
2は、互いに独立して、式=O、=S、=NR
1a、=CR
4R
4’、
【化8】
の基であり、
Q
a、Q
b、Q
c、Q
d、Q
eまたはQ
fは、互いに独立して、O、SまたはNR
1、好ましくはOまたはNR
1であり、
Halは、ハロゲン、好ましくはClまたはBr、特にClである。
【0013】
T
1またはT
2は、互いに独立して、式=O、=CR
4R
4’、
【化9】
の基であることが好ましく、
T
1またはT
2は、互いに独立して、式:
【化10】
の基であることがより好ましく、
T
1またはT
2は、互いに独立して、式:
【化11】
の基であることがさらにより好ましく、
T
1またはT
2は、互いに独立して、式:
【化12】
の基であることが最も好ましい。
【0014】
式(II)または(II’)の構造を有するポリマーは、二重結合により、他の部分に、例えば式(II)または(II’)の他の基に、または例えば末端基T1もしくはT2に結合されていてよい。
【0015】
Ar、Ar’、AreおよびArfは、互いに独立して、5~6員環であるか、または2~6個の5~6員縮合環を有する環系であり、ここで環のうち少なくとも1つは、芳香環または複素芳香環である。
【0016】
ArおよびAr’は、
【化13】
から成る群より互いに独立的に選択されることが好ましく、
ここでArまたはAr’は、単結合:
【化14】
を介して、基:
【化15】
[ここで、Qは、O、SまたはNR
1、好ましくはOまたはNR
1である]
に結合されている。
【0017】
ArおよびAr’は、
【化16】
から成る群より互いに独立的に選択されることがより好ましく、
ここでArまたはAr’は、単結合:
【化17】
を介して、基:
【化18】
[ここで、Qは、O、SまたはNR
1、好ましくはOまたはNR
1である]
に結合されており、
ArおよびAr’は、
【化19】
から互いに独立的に選択されることがさらにより好ましい。
【0018】
ArおよびAr’は、
【化20】
から互いに独立的に選択されることが最も好ましい。
【0019】
Ar
eは、
【化21】
から選択されることが好ましく、
ここでAr
eは、結合:
【化22】
を介して、基:
【化23】
に結合されている。
【0020】
Ar
eは、
【化24】
から選択されることがより好ましい。
【0021】
Ar
eは、
【化25】
から選択されることがさらにより好ましい。
【0022】
Ar
eは、
【化26】
であることが最も好ましい。
【0023】
Ar
fは、
【化27】
から成る群より選択されることが好ましい。
【0024】
Ar
fは、
【化28】
から選択されることがより好ましい。
【0025】
Ar
fは、
【化29】
から選択されることが最も好ましく、
ここで、Ar、Ar’、Ar
e、Ar
fは、1つ以上の置換基R
2で置換されていてよい。
【0026】
Y、Y’、Y’’およびY*は、いずれの場合も、O、S、NR1a、Se、Te、好ましくはO、S、NR1a、Se、より好ましくはO、S、Se、さらにより好ましくはS、Se、最も好ましくはSである。
【0027】
R
Wは、いずれの場合も、H、C
1~30アルキル、C
1~30アルコキシまたは基:
【化30】
[ここで、R
s1、R
s2、R
s3は、互いに独立して、H、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニルまたはフェニル、好ましくはC
1~20アルキルである]
、好ましくはH、C
1~30アルキルまたはC
1~30アルコキシ、より好ましくはHまたはC
1~30アルコキシ、最も好ましくはHである。
【0028】
R1、R1aは、いずれの場合も、H、C1~100アルキル、C2~100アルケニル、C2~100アルキニル、C5~12シクロアルキル、C6~18アリール、5~20員のヘテロアリール、C(O)-C1~100アルキル、C(O)-C5~12シクロアルキルおよびC(O)-OC1~100アルキルから成る群より選択され、
ここで、
C1~100アルキル、C2~100アルケニルおよびC2~100アルキニルは、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORa、OC(O)-Ra、C(O)-ORa、C(O)-Ra、NRaRb、NRa-C(O)Rb、C(O)-NRaRb、N[C(O)Ra][C(O)Rb]、SRa、Si(RSia)(RSib)(RSic)、-O-Si(RSia)(RSib)(RSic)、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~40個の置換基で置換されていてよく、C1~100アルキル、C2~100アルケニルおよびC2~100アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C5~12シクロアルキルは、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORa、OC(O)-Ra、C(O)-ORa、C(O)-Ra、NRaRb、NRa-C(O)Rb、C(O)-NRaRb、N[C(O)Ra][C(O)Rb]、SRa、Si(RSia)(RSib)(RSic)、-O-Si(RSia)(RSib)(RSic)、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、C5~12シクロアルキルの1個または2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、O、S、OC(O)、CO、NRaまたはNRa-COと交換されていてよく、
C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールは、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORa、OC(O)-Ra、C(O)-ORa、C(O)-Ra、NRaRb、NRa-C(O)Rb、C(O)-NRaRb、N[C(O)Ra][C(O)Rb]、SRa、Si(RSia)(RSib)(RSic)、-O-Si(RSia)(RSib)(RSic)、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
RaおよびRbは、H、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
RSia、RSibおよびRSicは、H、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、O-C1~60アルキル、O-C2~60アルケニル、O-C2~60アルキニル、O-C5~8シクロアルキル、O-C6~14アリール、O-5~14員のヘテロアリール、-[O-SiRSidRSie]o-RSif、NR5R6、ハロゲンおよびO-C(O)-R5から成る群より独立的に選択され、
ここで
oは1~50の整数であり、
RSid、RSie、RSifは、H、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、O-C1~60アルキル、O-C2~60アルケニル、O-C2~60アルキニル、O-C5~8シクロアルキル、O-C6~14アリール、O-5~14員のヘテロアリール、-[O-SiRSigRSih]p-RSii、NR50R60、ハロゲンおよびO-C(O)-R50から成る群より独立的に選択され、
ここで
pは1~50の整数であり、
RSig、RSih、RSiiは、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C1~30アルキル、O-C2~30アルケニル、O-C2~30アルキニル、O-C5~6シクロアルキル、O-C6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、O-Si(CH3)3、NR500R600、ハロゲンおよびO-C(O)-R500から成る群より独立的に選択され、
R5、R6、R50、R60、R500およびR600は、H、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
C1~60アルキル、C2~60アルケニルおよびC2~60アルキニルは、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、ORc、OC(O)-Rc、C(O)-ORc、C(O)-Rc、NRcRd、NRc-C(O)Rd、C(O)-NRcRd、N[C(O)Rc][C(O)Rd]、SRc、Si(RSij)(RSik)(RSil)、-O-Si(RSij)(RSik)(RSil)、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より選択される1~20個の置換基で置換されていてよく、C1~60アルキル、C2~60アルケニルおよびC2~60アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C5~8シクロアルキルは、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、ORc、OC(O)-Rc、C(O)-ORc、C(O)-Rc、NRcRd、NRc-C(O)Rd、C(O)-NRcRd、N[C(O)Rc][C(O)Rd]、SRc、Si(RSij)(RSik)(RSil)、-O-Si(RSij)(RSik)(RSil)、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、C5~8シクロアルキルの1個または2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、O、S、OC(O)、CO、NRcまたはNRc-COと交換されていてよく、
C6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールは、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、ORc、OC(O)-Rc、C(O)-ORc、C(O)-Rc、NRcRd、NRc-C(O)Rd、C(O)-NRcRd、N[C(O)Rc][C(O)Rd]、SRc、Si(RSij)(RSik)(RSil)、-O-Si(RSij)(RSik)(RSil)、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
RcおよびRdは、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルから成る群より独立的に選択され、
RSij、RSikおよびRSilは、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C1~30アルキル、O-C2~30アルケニル、O-C2~30アルキニル、O-C5~6シクロアルキル、O-C6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、-[O-SiRSimRSin]q-RSio、NR7R8、ハロゲンおよびO-C(O)-R7から成る群より独立的に選択され、
ここで、
qは1~50の整数であり、
RSim、RSin、RSioは、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C1~30アルキル、O-C2~30アルケニル、O-C2~30アルキニル、O-C5~6シクロアルキル、O-C6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、-[O-SiRSipRSiq]r-RSir、NR70R80、ハロゲンおよびO-C(O)-R70から成る群より独立的に選択され、
ここで、
rは1~50の整数であり、
RSip、RSiq、RSirは、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、O-C1~30アルキル、O-C2~30アルケニル、O-C2~30アルキニル、O-C5~6シクロアルキル、O-C6~10アリール、O-5~10員のヘテロアリール、O-Si(CH3)3、NR700R800、ハロゲンおよびO-C(O)-R700から成る群より独立的に選択され、
R7、R8、R70、R80、R700およびR800は、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリールおよび5~10員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルは、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より選択される1~10個の置換基から選択されていてよい。
【0029】
R1、R1aは、いずれの場合も、H、C1~100アルキル、C3~100アルケニル、C3~100アルキニルから成る群より選択されることが好ましく、
ここで、
C1~100アルキル、C3~100アルケニルおよびC3~100アルキニルは、C5~8シクロアルキル、ORa、OC(O)-Ra、C(O)-ORa、C(O)-Ra、Si(RSia)(RSib)(RSic)およびハロゲンから成る群より独立的に選択される1~40個の置換基で置換されていてよく、C1~100アルキル、C3~100アルケニルおよびC3~100アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
ここで、
Raは、H、C1~60アルキル、C3~60アルケニル、C3~60アルキニル、C5~8シクロアルキルから成る群より選択され、
RSia、RSibおよびRSicは、H、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキルおよび-[O-SiRSidRSie]o-RSifから成る群より独立的に選択され、
ここで、
oは1~50の整数であり、
RSid、RSie、RSifは、H、C1~60アルキル、C2~60アルケニル、C2~60アルキニル、C5~8シクロアルキルおよび-[O-SiRSigRSih]p-RSiiから成る群より独立的に選択され、
ここで
pは1~50の整数であり、
RSig、RSih、RSiiは、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~6シクロアルキル、O-Si(CH3)3から成る群より独立的に選択される。
【0030】
R1、R1aは、いずれの場合も、H、C1~50アルキル、C3~50アルケニル、C3~50アルキニルから成る群より選択されることがより好ましく、
ここで、
C1~50アルキル、C3~50アルケニルおよびC3~50アルキニルは、ORa、OC(O)-Ra、C(O)-ORa、Si(RSia)(RSib)(RSic)およびハロゲンから成る群より独立的に選択される1~20個の置換基で置換されていてよく、C1~50アルキル、C3~50アルケニルおよびC3~50アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
ここで、
Raは、H、C1~20アルキル、C3~20アルケニル、C3~20アルキニルから成る群より選択され、
RSia、RSibおよびRSicは、H、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、-[O-SiRSidRSie]o-RSifから成る群より独立的に選択され、
ここで、
oは1~20の整数であり、
RSid、RSie、RSifは、H、C1~20アルキル、C2~20アルケニルおよび-[O-SiRSigRSih]p-RSiiから成る群より独立的に選択され、
ここで、
pは1~20の整数であり、
RSig、RSih、RSiiは、H、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、O-Si(CH3)3から成る群より独立的に選択される。
【0031】
R1、R1aは、いずれの場合も、C1~50アルキル、C3~50アルケニル、C3~50アルキニルから成る群より選択されることがさらにより好ましく、
ここで、
C1~50アルキル、C3~50アルケニルおよびC3~50アルキニルは、ORaおよびハロゲンから成る群より独立的に選択される1~20個の置換基で置換されていてよく、C1~50アルキル、C3~50アルケニルおよびC3~50アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
ここで、
Raは、H、C1~20アルキル、C3~20アルケニル、C3~20アルキニルから成る群より選択される。
【0032】
R1、R1aは、いずれの場合も、C1~50アルキルから成る群より選択されることがはるかにより好ましく、
ここで、
C1~50アルキルは、ORaおよびハロゲンから成る群より独立的に選択される1~20個の置換基で置換されていてよく、C1~50アルキルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
ここで、
Raは、HまたはC1~20アルキルから成る群より選択される。
【0033】
R1、R1aは、いずれの場合も、C1~50アルキルから成る群より選択されることが特に好ましく、
ここで、
C1~50アルキルは、1~20個のハロゲンで置換されていてよい。
【0034】
R1、R1aは、C1~50アルキルであることが最も好ましい。
【0035】
R2は、いずれの場合も、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~12シクロアルキル、C6~18アリール、5~20員のヘテロアリール、OR21、OC(O)-R21、C(O)-OR21、C(O)-R21、NR21R22、NR21-C(O)R22、C(O)-NR21R22、N[C(O)R21][C(O)R22]、SR21、ハロゲン、CN、SiRSisRSitRSiuおよびOHから成る群より選択され、
ここで、
R21およびR22は、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~12シクロアルキル、C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルは、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORe、OC(O)-Re、C(O)-ORe、C(O)-Re、NReRf、NRe-C(O)Rf、C(O)-NReRf、N[C(O)Re][C(O)Rf]、SRe、ハロゲン、CN、SiRSisRSitRSiuおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~10個の置換基で置換されていてよく、C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C5~12シクロアルキルは、C1~20アルキル、C2~20アルケニルおよびC2~20アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORe、OC(O)-Re、C(O)-ORe、C(O)-Re、NReRf、NRe-C(O)Rf、C(O)-NReRf、N[C(O)Re][C(O)Rf]、SRe、ハロゲン、CN、SiRSisRSitRSiuおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、C5~12シクロアルキルの1個または2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、O、S、OC(O)、CO、NReまたはNRe-COと交換されていてよく、
C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールは、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORe、OC(O)-Re、C(O)-ORe、C(O)-Re、NReRf、NRe-C(O)Rf、C(O)-NReRf、N[C(O)Re][C(O)Rf]、SRe、ハロゲン、CN、SiRSisRSitRSiuおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
RSis、RSitおよびRSiuは、H、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C5~6シクロアルキル、フェニルおよびO-Si(CH3)3から成る群より互いに独立的に選択され、
ReおよびRfは、H、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択され、
ここで、
C1~20アルキル、C2~20アルケニルおよびC2~20アルキニルは、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、ORg、OC(O)-Rg、C(O)-ORg、C(O)-Rg、NRgRh、NRg-C(O)Rh、C(O)-NRgRh、N[C(O)Rg][C(O)Rh]、SRg、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C5~8シクロアルキルは、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、ORg、OC(O)-Rg、C(O)-ORg、C(O)-Rg、NRgRh、NRg-C(O)Rh、C(O)-NRgRh、N[C(O)Rg][C(O)Rh]、SRg、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールは、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、C2~10アルキニル、C5~6シクロアルキル、C6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、ORg、OC(O)-Rg、C(O)-ORg、C(O)-Rg、NRgRh、NRg-C(O)Rh、C(O)-NRgRh、N[C(O)Rg][C(O)Rh]、SRg、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
RgおよびRhは、H、C1~10アルキル、C2~10アルケニルおよびC2~10アルキニルから成る群より独立的に選択され、
ここで、
C1~10アルキル、C2~10アルケニルおよびC2~10アルキニルは、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよい。
【0036】
R2は、いずれの場合も、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、OR21、C(O)-OR21、C(O)-R21、ハロゲンおよびCNから成る群より選択されることが好ましく、
ここで、
R21は、H、C1~30アルキル、C3~30アルケニル、C3~30アルキニルから成る群より選択され、
C1~30アルキル、C3~30アルケニルおよびC3~30アルキニルは、ORe、OC(O)-Re、C(O)-ORe、C(O)-Reおよびハロゲンから成る群より独立的に選択される1~10個の置換基で置換されていてよく、C1~30アルキル、C3~30アルケニルおよびC3~30アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
ここで、
Reは、H、C1~20アルキル、C3~20アルケニル、C3~20アルキニルから成る群より選択される。
【0037】
R2は、いずれの場合も、C1~30アルキル、OR21およびハロゲンから成る群より選択されることがより好ましく、
ここで、
R21は、C1~30アルキルであり、
C1~30アルキルは、OReおよびハロゲンから成る群より独立的に選択される1~10個の置換基で置換されていてよく、C1~30アルキルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
ここで、
Reは、HまたはC1~20アルキルから成る群より独立的に選択される。
【0038】
R2は、いずれの場合も、C1~20アルキル、OR21およびハロゲンから成る群より選択されることがさらにより好ましく、
ここで、
R21は、C1~20アルキルであり、
C1~20アルキルは、1~10個のハロゲンで置換されていてよく、C1~20アルキルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよい。
【0039】
R2は、いずれの場合も、C1~20アルキル、OR21およびハロゲンから成る群より選択されることがはるかにより好ましく、
ここで、
R21は、1~10個のハロゲンで任意で置換可能なC1~20アルキルである。
【0040】
R2は、いずれの場合も、C1~20アルキル、OR21およびハロゲンから成る群より選択されることが特に好ましく、
ここで、
R21は、C1~20アルキルである。
【0041】
R2は、いずれの場合も、OR21およびハロゲンから成る群より選択されることが最も好ましく、
ここで、
R21は、C1~20アルキルである。
【0042】
R4およびR4’は、いずれの場合も、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~12シクロアルキル、C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリール、C(O)-R41、C(O)-NR41R42、C(O)-OR41およびCNから成る群より独立的に選択され、
ここで、
R41およびR42は、いずれの場合も、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C5~12シクロアルキル、C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールから成る群より互いに独立的に選択され、
ここで、
C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルは、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORi、OC(O)-Rj、C(O)-ORi、C(O)-Ri、NRiRj、NRi-C(O)Rj、C(O)-NRiRj、N[C(O)Ri][C(O)Rj]、SRi、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~10個の置換基で置換されていてよく、C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C5~12シクロアルキルは、C1~20アルキル、C2~20アルケニルおよびC2~20アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORi、OC(O)-Rj、C(O)-ORi、C(O)-Ri、NRiRj、NRi-C(O)Rj、C(O)-NRiRj、N[C(O)Ri][C(O)Rj]、SRi、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、C5~12シクロアルキルの1個または2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、O、S、OC(O)、CO、NRiまたはNRi-COと交換されていてよく、
C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールは、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C5~8シクロアルキル、C6~14アリール、5~14員のヘテロアリール、ORi、OC(O)-Rj、C(O)-ORi、C(O)-Ri、NRiRj、NRi-C(O)Rj、C(O)-NRiRj、N[C(O)Ri][C(O)Rj]、SRi、ハロゲン、CNおよびNO2から成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、
RiおよびRjは、H、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C5~8シクロアルキルから成る群より独立的に選択される。
【0043】
R4およびR4’は、いずれの場合も、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリール、C(O)-R41、C(O)-NR41R42、C(O)-OR41およびCNから成る群より独立的に選択されることが好ましく、
ここで、
R41およびR42は、いずれの場合も、H、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニルから成る群より互いに独立的に選択され、
ここで、
C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルは、ORiおよびハロゲンから成る群より独立的に選択される1~10個の置換基で置換されていてよく、C1~30アルキル、C2~30アルケニルおよびC2~30アルキニルの少なくとも2個のCH2基(ただし、隣接していないCH2基)は、OまたはSと交換されていてよく、
C6~18アリールおよび5~20員のヘテロアリールは、C1~20アルキル、ORi、ハロゲンから成る群より独立的に選択される1~6個の置換基で置換されていてよく、
Riは、H、C1~20アルキル、C2~20アルケニル、C2~20アルキニル、C5~8シクロアルキルから成る群より選択される。
【0044】
R4およびR4’は、いずれの場合も、H、C1~30アルキル、C(O)-R41、C(O)-NR41R42、C(O)-OR41およびCNから成る群より独立的に選択されることがより好ましく、
ここで、
R41およびR42は、いずれの場合も、HまたはC1~30アルキルから成る群より互いに独立的に選択される。
R4およびR4’は、いずれの場合も、C(O)-R41、C(O)-NR41R42、C(O)-OR41およびCNから成る群より独立的に選択されることが最も好ましく、
ここで、
R41およびR42は、いずれの場合も、HまたはC1~30アルキルから成る群より互いに独立的に選択される。
【0045】
R200は、水素、C1~C36アルキル、C2~C36アルケニル、C2~C36アルキニル、Ar200、CN、COOR201、CONR202R203、COR204である。
【0046】
R201、R202、R203およびR204は、互いに独立して、水素、C1~C36アルキル、C2~C36アルケニル、C2~C36アルキニルまたはフェニルであり、
Ar200は、Arfを意味し、
ハロゲンは、F、Cl、BrおよびIであり得る。
【0047】
C1~4アルキル、C1~10アルキル、C1~20アルキル、C1~30アルキル、C1~36アルキル、C1~50アルキル、C1~60アルキルおよびC1~100アルキルは、分枝鎖状であっても、非分枝鎖状であってもよい。C1~4アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルである。C1~10アルキルの例は、C1~4アルキル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n-(1-エチル)プロピル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-(2-エチル)ヘキシル、n-ノニルおよびn-デシルである。C1~20アルキルの例は、C1~10アルキルおよびn-ウンデシル、n-ドデシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシルおよびn-イコシル(C20)である。C1~30アルキル、C1~36アルキル、C1~50アルキル、C1~60アルキルおよびC1~100アルキルの例は、C1~20アルキルおよびn-ドコシル(C22)、n-テトラコシル(C24)、n-ヘキサコシル(C26)、n-オクタコシル(C28)およびn-トリアコンチル(C30)である。
【0048】
C2~10アルケニル、C2~20アルケニル、C2~30アルケニル、C2~60アルケニルおよびC2~100アルケニルは、分枝鎖状であっても、非分枝鎖状であってもよい。C1~20アルケニルの例は、ビニル、プロペニル、cis-2-ブテニル、trans-2-ブテニル、3-ブテニル、cis-2-ペンテニル、trans-2-ペンテニル、cis-3-ペンテニル、trans-3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-メチル-3-ブテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニルおよびデセニルである。C2~20アルケニル、C2~60アルケニルおよびC2~100アルケニルの例は、C2~10アルケニルおよびリノレイル(C18)、リノレニル(C18)、オレイル(C18)およびアラキドニル(C20)である。C2~30アルケニルの例は、C2~20アルケニルおよびエルシル(C22)である。
【0049】
C2~10アルキニル、C2~20アルキニル、C2~30アルキニル、C2~60アルキニルおよびC2~100アルキニルは、分枝鎖状であっても、非分枝鎖状であってもよい。C2~10アルキニルの例は、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、3-ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、へプチニル、オクチニル、ノニニルおよびデシニルである。C2~20アルキニル、C2~30アルケニル、C2~60アルキニルおよびC2~100アルキニルの例は、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノナデシニルおよびイコシニル(C20)である。
【0050】
C5~6シクロアルキルの例は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。C5~8シクロアルキルの例は、C5~6シクロアルキルおよびシクロヘプチルおよびシクロオクチルである。C5~12シクロアルキルは、C5~8シクロアルキルおよびシクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシルである。
【0051】
C
6~10アリールの例は、フェニル、
【化31】
である。
【0052】
C
6~14アリールの例は、C
6~10アリール、ならびに
【化32】
である。
【0053】
C
6~18アリールの例は、C
6~14アリール、ならびに
【化33】
である。
【0054】
好ましいアリール基は、フェニル、
【化34】
である。
【0055】
フェニルが最も好ましい。
【0056】
5~10員のヘテロアリールは、5~10員の単環式または多環式、例えば、二環式、三環式または四環式の環系であり、これらの環系は、少なくとも1つの複素芳香環を含み、かつ非芳香環も含むことができ、これらの環は=Oで置換されていてよい。
【0057】
5~14員のヘテロアリールは、5~14員の単環式または多環式、例えば、二環式、三環式または四環式の環系であり、これらの環系は、少なくとも1つの複素芳香環を含み、かつ非芳香環も含むことができ、これらの環は=Oで置換されていてよい。
【0058】
5~20員のヘテロアリールは、5~20員の単環式または多環式、例えば、二環式、三環式または四環式の環系であり、これらの環系は、少なくとも1つの複素芳香環を含み、かつ非芳香環も含むことができ、これらの環は=Oで置換されていてよい。
【0059】
5~10員のヘテロアリールの例は、
【化35-1】
【化35-2】
であり、
5~14員のヘテロアリールの例は、5~10員のヘテロアリールについて記載されている例、ならびに
【化36-1】
【化36-2】
であり、
5~20員のヘテロアリールの例は、5~14員のヘテロアリールについて記載されている例、ならびに
【化37】
であり、
ここで、
R
100およびR
101は、いずれの場合も、H、C
1~20アルキル、C
2~20アルケニル、C
2~20アルキニル、C
5~8シクロアルキル、C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールから成る群より独立的に選択されるか、またはR
100およびR
101は、同じ原子に結合されている場合、この結合されている原子と一緒に、5~12員の環系を形成し、
ここで、
C
1~20アルキル、C
2~20アルケニルおよびC
2~20アルキニルは、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C
5~8シクロアルキルは、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
C
6~14アリールおよび5~14員のヘテロアリールは、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より独立的に選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
5~12員の環系は、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニル、C
2~10アルキニル、C
5~6シクロアルキル、C
6~10アリール、5~10員のヘテロアリール、OR
q、OC(O)-R
q、C(O)-OR
q、C(O)-R
q、NR
qR
r、NR
q-C(O)R
r、C(O)-NR
qR
r、N[C(O)R
q][C(O)R
r]、SR
q、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよく、
ここで、
R
qおよびR
rは、H、C
1~10アルキル、C
2~10アルケニルおよびC
2~10アルキニルから成る群より独立的に選択され、
ここで、
C
1~10アルキル、C
2~10アルケニルおよびC
2~10アルキニルは、ハロゲン、CNおよびNO
2から成る群より選択される1~5個の置換基で置換されていてよい。
【0060】
C6~18アリーレンは、6~18員の単環式または多環式、例えば、二環式、三環式または四環式の環系であり、これらの環系は、少なくとも1つの複素芳香環を含み、かつ非芳香環も含むことができ、これらの環は=Oで置換されていてよい。
【0061】
好ましいヘテロアリール基は、
【化38】
である。
【0062】
より好ましいヘテロアリール基は、
【化39】
である。
【0063】
さらにより好ましいヘテロアリール基は、
【化40】
である。
【0064】
最も好ましいヘテロアリール基は、
【化41】
である。
【0065】
好ましいポリマーは、式(II’)
【化42】
[式中、nは4~500の整数であり、より好ましくは、nは5~400であり、より好ましくは、nは6~300であり、さらにより好ましくは、nは7~200であり、最も好ましくは、nは8~100、特に10~50である]
の構造を少なくとも1つ有する。
【0066】
ポリマーは、好ましくは10重量%超の式(II’)の基、より好ましくは30重量%超の式(II’)の基、さらにより好ましくは50重量%超の式(II’)の基、はるかにより好ましくは70重量%の式(II’)の基、最も好ましくは90重量%超の式(II’)の基を有する。
【0067】
好ましいポリマーは、式1、式2または式3の基を少なくとも1つ有し、ここで、式1および式2の基が特に好ましい:
【化43】
【0068】
ポリマーは、式1’、式2’または式3’の基を少なくとも1つ有することがより好ましく、ここで、式1’および2’の基が特に好ましく、nは上記または以下で規定されている。
【0069】
ArおよびAr’は、同じであってよい。
R
1aおよびR
1bは、同じであってよい。
R
1cおよびR
1dは、同じであってよい。
R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dは、同じであってよい:
【化44】
【0070】
R1b、R1cおよびR1dは、上記のR1aと同じように規定されており、これには、好ましい範囲が含まれる。
【0071】
ポリマーは、例えば、T1またはT2でエンドキャップされていてよい。
【0072】
非常に好ましいポリマーは、例えば、以下の基:
【化45-1】
【化45-2】
【化45-3】
【化45-4】
を少なくとも1つ有し、ここで、nは3~1000の整数であり、mは3~1000の整数である。
【0073】
mは、好ましくは4~500の整数であり、mは、より好ましくは5~400であり、mは、より好ましくは6~300であり、mは、さらにより好ましくは7~200であり、mは、最も好ましくは8~100、特に10~50である。
【0074】
式(II’)を有するポリマーは、例えば、テトラオンAとジオンBとの縮合による以下の合成経路1:
【化46】
により合成可能である。
【0075】
テトラオンAの場合、QaおよびQbは、置換窒素原子であることが好ましい。ジオンBの場合、QcおよびQdは、酸素または置換窒素原子であることが好ましい。
【0076】
熱(使用される溶媒の還流温度までの室温)を用いることで、溶媒、例えば、酢酸、トルエン、キシレンなどにおいて縮合を起こすことができる。塩基または酸、好ましくは酸を触媒として添加することができる。
【0077】
このような塩基は、例えば、酢酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムであり得る。
【0078】
例えば、このような酸は、プロトン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、HCl、H2SO4、HPF6、p-トルエンスルホン酸であっても、ルイス酸、例えば、AlCl3、好ましくはプロトン酸、特にp-トルエンスルホン酸であってもよい。
【0079】
縮合反応により得られる水を、例えば、トルエンを溶媒として用いて、または4オングストロームのモレキュラーシーブを用いて、共沸蒸留により除去することができる。これらのポリマーの端部は、出発材料AおよびBにより決定される。合成の間に、特殊な末端キャッパーを付加することができ、これには、例えば:
【化47】
好ましくは、
【化48】
があり、
ここで、R
210およびR
211は、互いに独立して、水素、C
1~30アルキル、C
2~30アルケニル、C
2~30アルキニルまたはC
5~12シクロアルキル、好ましくはC
1~30アルキルである。
【0080】
Q
a、Q
b、Q
cおよびQ
dが置換窒素原子である出発材料A1、A2、B1、B2は、例えば、以下のように合成経路2または3で合成可能である。
合成経路2:
【化49】
合成経路3:
【化50】
【0081】
Q
cおよびQ
dが酸素原子である出発材料Bは例えば、
【化51】
については、J.Am.Chem.Soc.、1944、66(9)、1540~1542頁に記載されている以下の方法により合成可能であり、
【化52】
については、Chem.Commun.、2015、51、13515~13518に記載されている以下の方法により合成可能である。
【0082】
合成経路4
このポリマーは、例示的には、モノマーAと試薬P(NEt
2)
3とを溶媒中で混合して、例えばトルエン中で混合して、テトラオンAを単独重合:
【化53】
[式中、mは3~1000の整数である]
させることによっても合成可能である。
【0083】
また、本発明は、本発明の化合物またはポリマーを含む電子デバイス、特に有機電界効果トランジスタに関する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】化合物P1から作製されたFETの代表的な伝達特性を示す。
【0085】
以下の非限定的な例により、本発明を説明する。なお、実施例17から実施例20は参考例を示している。
【0086】
実施例
1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-5,7-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,6(1H,3H)-ジオンおよび1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-1,5-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,3,6,7-テトラオンへの合成経路のスキームを以下に示す:
【化54】
【0087】
反応条件:(a)PPh3、DCM、NBS、rt98%;フタルイミドカリウム、DMF62%;ヒドラジン水和物、MeOH;(b)1,4-シクロヘキサンジオン、EtOH、空気、48%;(c)NEt3、アセトキシアセチルクロリド、DCM、96%;(d)K2CO3、THF/MeOH/H2O、94%;(e)塩化オキサリル、DMSO、DCM、NEt3、-78℃;(f)DCM、PhSH、TFAA、BF3(g)SmI2、THF、28%;(h)CAN、THF/H2O、15%。
【0088】
実施例1 1-ブロモ-2-デシルテトラデカンの合成(1)
アルゴン下に、
ジクロロメタン(以下、「DCM
」ともいう。)(47ml)を用いてトリフェニルホスフィン
(70.5mmol)をフラスコ内で懸濁させた。この混合物を0℃に冷却し、それから、2-デシルテトラデカン-1-オール
(105.8mmol)を導入した。5分にわたり撹拌した後に、N-ブロモスクシンイミド(18.8g、105.8mmol)を少しずつフラスコに添加した。反応混合物は、すぐに黄色になり、それから黒ずんで、橙色になった。この反応物を16時間にわたり撹拌し、その後、溶媒を真空蒸発により除去した。褐色の残渣を石油エーテルで希釈して、この溶液をシリカ充填物に通してフラッシングした。ろ液を蒸発させると、透明な油状物が得られた。収率:28.7g、98%。
【数1】
【0089】
実施例2 2-(2-デシルテトラデシル)イソインドリン-1,3-ジオンの合成
1-ブロモ-2-デシルテトラデカン(20.0g、48.0mmol)とフタルイミドカリウム(9.98g、52.8mmol)とをDMF(57.2ml)に入れた溶液を16時間にわたり還流させた。反応混合物を室温に冷却し、水に注いだ。水相をDCMで3回抽出した。合した有機相を0.2MのKOHで洗浄し、引き続き、H2OおよびNH4Clで洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥させ、塩を濾過した後に、溶媒を真空で除去した。石油エーテル中で10%のEtOAcを使用して、残渣をシリカ充填物に送り、得られた黄色の油状物(14.4g、62%)をすぐに使用した。
【0090】
実施例3 2-デシルテトラデカン-1-アミンの合成(2)
水中で51%のヒドラジン水和物(5.00ml、3.1mmol)を、2-(2-デシルテトラデシル)イソインドリン-1,3-ジオン(14.40g、29.80mmol)をメタノール(10ml)に入れた溶液に導入し、16時間にわたり還流させた。冷却後、溶媒を真空で除去し、それから、DCMおよび10%のKOH溶液を残渣に添加した。これらの相を分離させ、水相をDCMでさらに3回抽出した。合した有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。収率10.0g、94%の淡黄色の油状物が得られた。
【数2】
【0091】
実施例4 N,N’-ビス(2-デシルテトラデシル)ベンゼン-1,4-ジアミンの合成(3)
1,4-シクロヘキサンジオン(0.6g、5.0mmol)をエタノールに溶解させ、この溶液に、2-デシルテトラデカン-1-アミンを添加した。2時間にわたり、空気を反応混合物にバブリングさせ、それから、溶媒を減圧下で除去した。石油エーテル中で3%のEtOAcを使用し、塩基性にしたシリカゲルにおいて赤色の残渣を精製したところ、1.8g、46%の褐色の油状物が得られた。
【数3】
【0092】
実施例5 ベンゼン-1,4-ジイルビス{[(2-デシルテトラデシル)イミノ]-2-オキソエタン-2,1-ジイル}ジアセテートの合成(4)
トリエチルアミン(0.70ml、4.99mmol)を、無水DCM(22.70ml)に溶解したN,N’-ビス(2-デシルテトラデシル)ベンゼン-1,4-ジアミン(1.77g、2.27mmol)に0℃で添加した。アセトキシアセチルクロリド(0.54ml、4.99mmol)をフラスコに液滴で注入し、それから、反応物を室温に温め、16時間にわたり撹拌した。この反応をNaHCO
3で停止させ、EtOAcを添加した。これらの相を分離させ、水相をEtOAcで3回抽出した。合した有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、塩を濾過し、溶媒を圧力下で除去したところ、2.00g、96%の淡黄色の固形物が得られた。
【数4】
【0093】
実施例6 N,N’-ベンゼン-1,4-ジイルビス[N-(2-デシルテトラデシル)-2-ヒドロキシアセトアミド]の合成(5)
THF(200ml)に入れたベンゼン-1,4-ジイルビス{[(2-デシルテトラデシル)イミノ]-2-オキソエタン-2,1-ジイル}ジアセテート(3.6g、3.7mmol)、およびMeOH/水の混合物(180ml、20ml)。この反応混合物を、過剰なK
2CO
3の存在下にて室温で16時間にわたり撹拌し、それから、塩を濾過した。混合物を減圧下で濃縮し、この残渣に水および酢酸エチルを添加した。これらの相を分離させ、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合した有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒をロータリーエバポレーター内で除去したところ、3.1g、94%の淡黄色の物質が得られた。
【数5】
【0094】
実施例7 N,N’-(1,4-フェニレン)ビス(N-(2-デシルテトラデシル)-2-オキソアセトアミド)の合成(6)
アルゴン雰囲気下に、塩化オキサリル(0.31ml、3.89mmol)をDCM(4ml)で希釈し、-78℃に冷却した。DMSO(0.28ml)をDCM(4.2ml)に入れた溶液を、-78℃で反応フラスコに入れた。この反応フラスコを20分にわたり撹拌し、それから、7mlのDCMにおいて希釈したN,N’-ベンゼン-1,4-ジイルビス[N-(2-デシルテトラデシル)-2-ヒドロキシアセタミド](1.45g、1.62mmol)を、フラスコに液滴で注入した。この反応混合物は、アクアグリーン色になる。-78℃で1.5時間後に、トリエチルアミン(16.2mmol)をゆっくりと添加した。その後、反応物を-78℃で4時間にわたり撹拌し、それから、反応物をゆっくりと室温に温めた。反応物を16時間にわたり撹拌し、それから、反応をNaHCO3飽和溶液で停止させた。これらの相を分離させ、水相をDCMで3回抽出した。合した有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去したところ、0.61gの褐色の油状物が得られ、これをすぐに使用した。
【0095】
実施例8 1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-3,7-ビス(フェニルチオ)-5,7-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,6(1H,3H)-ジオンの合成(7)
粗N,N’-(1,4-フェニレン)ビス(N-(2-デシルテトラデシル)-2-オキソアセトアミド)(1.44g、1.61mmol)をDCM(6ml)で希釈し、それから、チオフェノール(0.33ml、3.23mmol)をフラスコに添加した。その後、反応混合物を16時間にわたり室温で撹拌した。この後に、トリフルオロ酢酸無水物(以下、「TFAA」ともいう。)(2.01ml、14.50mmol)をゆっくりと反応物に添加し、1時間30分にわたり撹拌し、その後、BF3・Et2O(0.99ml、8.05mmol)をフラスコに慎重に添加した。さらに3時間にわたり撹拌した後に、反応物を0℃に冷却し、それから、反応をNaHCO3で停止させた。水相をDCMで3回抽出し、有機相を合し、塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去したところ、赤色/褐色の残渣が粗生成物として得られ、この粗生成物をさらなる精製なしで使用した。収率(1.32g、76%)MS(TOF ES+):計算値1077.8244 C70H112N2O2S2、[M+H]+測定値1077.8278。
【0096】
実施例9 1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-1,5-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,3,6,7-テトラオンの合成(9)
硝酸セリウムアンモニウム(9.48g、17.8mmol)を、6:1の比のTHF/水(42ml)混合物に溶解した1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-3,7-ビス(フェニルチオ)-5,7-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,6(1H,3H)-ジオン(2.40g、2.22mmol)の溶液に添加した。室温で30分にわたり撹拌した後に、反応混合物は、濃紫色の色合いになる。3時間にわたり撹拌した後に、反応混合物の溶媒を真空で留去した。40~60℃の石油エーテル中で3~10%の酢酸エチルの勾配で、粗残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物を得た。収率:300mg、15%。
【数6】
【0097】
実施例10 1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-5,7-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,6(1H,3H)-ジオンの合成(8)
1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-3,7-ビス(フェニルチオ)-5,7-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,6(1H,3H)-ジオンを無水THF(37.0ml)に溶解させ、この溶液に、THF(40.0m
l)中で0.1MのSmI
2を室温で添加した。16時間後に、飽和NaHCO
3(200ml)を反応混合物に導入し、水相を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。40~60℃の石油エーテル中で15%の酢酸エチルにおいてカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、800mgのベージュ色の固形物が得られた;収率:28%。
【数7】
【0098】
実施例11 pDPID P1を生成する重合
マイクロウェーブバイアルに、1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-5,7-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,6(1H,3H)-ジオン(8)(50.0mg、0.06mmol)と、1,5-ビス(2-デシルテトラデシル)-1,5-ジヒドロピロロ[2,3-f]インドール-2,3,6,7-テトラオン(9)(51.6mg、0.06mmol)と、p-トルエンスルホン酸(3.3mg、0.02mmol)と、4オングストロームのモレキュラーシーブとを充填した。このバイアルを封止し、すでに30分脱気済の無水トルエン(2ml)をこのバイアルに注入した。反応物を120℃で21時間にわたり加熱し、引き続き、180℃で10時間にわたり暗所で加熱した。反応混合物は、重合時間にわたり、青色から赤色/褐色に、そして濃紫色へと色を変えた。粗ポリマーをメタノール中に沈殿させ、メタノール、アセトンおよびヘキサンを用いて、ソックスレー抽出により精製した。真空下でヘキサン画分を回収して減少させ、ポリマーをメタノール中へと沈殿させた。このポリマーを濾過および乾燥させた。P1の収率:83mg、82%の濃紫色の固形物。
【数8】
【0099】
M
n=18400g/mol、M
w=29900g/mol、PDI=1.6
【化55】
【0100】
実施例12
化合物P1をベースとする有機電界効果トランジスタ(OFET)の作製および電気特性評価
バックコンタクト型・トップゲート型FETの作製
化合物P1を0.75重量%の濃度でトルエンに溶解させる。トランジスタは、リソグラフィーにより予めパターン形成された金接触部を有するPET基板に作製されており、この金接触部は、FETのソースおよびドレインの接触部として機能する。半導体を堆積させる前に、4-メトキシベンゼンチオールをエタノールに入れた1重量%の溶液に、基板を2分にわたり浸漬した。その後、基板をエタノールですすぎ、窒素を使用して乾燥機で乾燥させた。次に、半導体調製物をスピンコーティング(1,000rpm、15秒)で塗布した。被覆が完了したら、予熱したホットプレートに基板をすぐに移し、30秒間にわたり90℃で加熱した。次に、Cytop CTL-809Mから成るゲート誘電体層を、有機半導体の上部にスピンコーティングする(1250rpm、30秒)。スピンコーティング後に、ホットプレートに基板を再び移動させ、さらに5分にわたり90でアニールする。誘電体層の厚さは、側面計で測定して500nmである。最終的に、シャドーマスクでパターン形成された厚さ50nmの金ゲート電極が、真空蒸着により堆積され、FETがBCTG構成で完成する。
【0101】
電気特性評価
得られたデバイスは、n型の特性を示す。移動度μは、飽和領域において計算される伝達特性曲線の平方根表示(灰色の実線の曲線)から計算される。傾きmは、
図1の黒色の破線から求められる。
図1の黒色の破線は、平方根表示の直線状の傾きに対して良好な相関関係が得られるように、電流特性IDの平方根表示の領域にあてはめたものである。
【0102】
閾値電圧U
Thは、
図1の黒色の破線とX軸部分(V
GS)が交差した点から求めることができる。
【0103】
OFETの電気特性を計算するために、以下の等式:
【数9】
[式中、ε
0は、8.85×10
-12As/Vmの真空誘電率であり、Cytopの場合、ε
r=2.1であり、誘電体の厚さは、d=500nmであり、W/L=25である]
を用いる。
【0104】
各化合物について移動度を計算したところ、以下のとおりであった:
【表1】
【0105】
図1は、化合物P1から作製されたFETの代表的な伝達特性を示し、ここでV
GSは、0.5Vの刻み幅で-10V~+30Vであり、V
DSは+30Vである。ドレイン電流(黒色の実線の曲線)、ゲート電流(灰色の点線で描かれた曲線)、ドレイン電流の平方根(灰色の実線の曲線)、あてはめられた平方根値の傾き(黒色の破線で描かれた曲線)。
【0106】
【0107】
化合物12を参照文献(J.Mater、Chem.A.2016、4、6940~6945)に従って合成し、この化合物を精製なしで粗生成物として使用した。
【0108】
粗ビスイサチン12(300mg、1.13mmol)および無水K
2CO
3(660mg、4.78mmol)およびヨウ化アルキル[1639798-42-7](2.2g、3.26mmol)を10mLの無水DMFに溶解させた。反応混合物を4時間にわたり100℃に加熱した。冷却後、反応混合物を20mLのH
2Oに注いだ。水層をCHCl
3で抽出した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濃縮したところ、粗残渣が得られた。粗生成物をシリカゲルにおいてカラムクロマトグラフィーで精製(CHCl
3:ヘキサン:2:1)したところ、化合物13が得られた。ジクロロメタンおよびメタノールで再結晶させ、回収し、真空で乾燥させた。合計収率:230mg(15%)。
【数10】
【0109】
実施例14 pDPID P9を生成する重合
【化57】
【0110】
化合物14を、以下の参照文献に従って合成した:J.Am.Chem.Soc.2014、136、2135~2141。ポリマーP9:バイアルに、13(71.82mg、0.053mmol、1当量)、ビスオキシインドール14(10.04mg、0.053mmol、1当量)およびPTSA(2mg)を添加した。チューブを封止し、アルゴンでフラッシングし、その後、0.5mlの脱気済のトルエンを添加した。混合物を30分にわたりアルゴン下に完全に脱気させ、その後、アルゴンの注入口を取り外した。バイアルを120℃で3日間にわたり加熱した。室温に冷却した後に、ポリマーをメタノールへと沈殿させ、ソックスレー円筒濾紙により濾過した。ソックスレー装置を使用して、ポリマーをメタノール、アセトン、ヘキサンおよびクロロホルムで抽出した。ヘキサンおよびクロロホルムの画分を濃縮し、メタノールへと沈殿させた。沈殿物を濾過し、真空で乾燥させたところ、P9が暗色の固形物として得られた(59mg、73%)。GPC(クロロベンゼン、80℃):Mn:25.2KDa、Mw:44.3KDa、PDI=1.76。
【数11】
【0111】
実施例15 pDPID P10を生成する重合
【化58】
【0112】
化合物15を、以下の参照文献に従って合成した:Chem.Commun.、2015、51、13515。ポリマーP10:バイアルに、13(52.78mg、0.039mmol、1当量)、ビスオキシインドール15(9.32mg、0.039mmol、1当量)およびPTSA(2mg)を添加した。チューブを封止し、アルゴンでフラッシングし、その後、0.5mlの脱気済のトルエンを添加した。混合物を30分にわたりアルゴン下に完全に脱気させ、その後、アルゴンの注入口を取り外した。バイアルを120℃で3日間にわたり加熱した。室温に冷却した後に、ポリマーをメタノールへと沈殿させ、ソックスレー円筒濾紙により濾過した。ソックスレー装置を使用して、ポリマーをメタノール、アセトン、ヘキサンおよびクロロホルムで抽出した。ヘキサンおよびクロロホルムの画分を濃縮し、メタノールへと沈殿させた。沈殿物を濾過し、真空で乾燥させると、P10が暗色の固形物として得られた(47mg、77%)。GPC(クロロベンゼン、80℃):Mn:10.5K、Mw:15.7K、PDI:1.49。
【数12】
【0113】
実施例16 pDPID P11を生成する重合
【化59】
【0114】
化合物16を以下の参照に従って合成した:Organic Electronics 37(2016)190~196。ポリマーP11:バイアルに、13(80.95mg、0.0595mmo
l)、ビスオキシインドール16
(0.04mmo
l)およびPTSA(4mg)を添加した。チューブを封止し、アルゴンでフラッシングし、その後、0.7mlの脱気済のトルエンを添加した。混合物を30分にわたりアルゴン下に完全に脱気させ、その後、アルゴンの注入口を取り外した。バイアルを120℃で3日間にわたり加熱した。室温に冷却した後に、ポリマーをメタノールへと沈殿させ、ソックスレー円筒濾紙により濾過した。ソックスレー装置を使用して、ポリマーをメタノール、アセトン、ヘキサンおよびクロロホルムで抽出した。ヘキサンおよびクロロホルムの画分を濃縮し、メタノールへと沈殿させた。沈殿物を濾過し、真空で乾燥させると、P11が暗色の固形物として得られた(65mg、70%)。GPC(クロロベンゼン、80℃):Mn=21.1K、Mw=31.2K、PDI=1.48。
【数13】
【0115】
【0116】
化合物17を実施例13の化合物13に従って合成し、ここで、[1639798-42-7]の代わりに[1044598-79-9]をヨウ化アルキルとして用いた。
【0117】
実施例18 pDPID P12を生成する重合
【化61】
【0118】
マイクロウェーブバイアルに、ビシサチン17(0.1mmol、1.0当量)を添加し、その後、これを封止した。封止したバイアルを、真空で脱気させ、その後、アルゴンで3サイクルにわたりパージした。脱気済の無水トルエンをアルゴン下に添加し、その後、アルゴンをバブリングさせながら、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィンP(NEt2)3(0.22mmol、2.2当量)を室温で混合物に添加した。混合物は暗緑色になり、その後、温度が100℃に上昇した。3時間にわたる反応後に、反応混合物は濃紫色になり、その後、これをメタノールに注いだ。得られたポリマー沈殿物を円筒濾紙により濾過し、その後、ソックスレー抽出により、メタノール、ヘキサン、酢酸エチル、最後にクロロホルムの順序で精製した。クロロホルムの画分を回転蒸発により濃縮し、メタノール中に懸濁させ、濾過したところ、ポリマーがメタリック調の暗緑色の固形物として得られた。GPC(80℃のクロロベンゼン):Mn=20.2kDa、Mw=72.5kDa、PDI=3.59。
【0119】
実施例19 チエノ[3,2-b]チオフェンビシサチン23の合成
【化62】
化合物18を以下の文献に従って合成した:Adv.Mater.28、6921~6925(2016)。
【0120】
化合物19の合成:
ジメチルチエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジカルボキシレート(18)(0.77g、3.0mmol、1.0当量)をエタノール/テトラヒドロフラン/水(50mL/50mL/5mL)に入れた混合物に、水酸化ナトリウム(1.5g、37.5mmol、12.5当量)を添加した。反応混合物を一晩かけて還流させた後に、溶媒を、真空で元々の体積のおよそ半分まで蒸発させた。水(50mL)を混合物に添加し、白色の沈殿物が形成されるまで、この溶液を濃塩酸で処理した。この沈殿物を濾過し、その後、水で洗浄したところ、チエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジカルボン酸(19)が、白色の固形物として得られ、この固形物を、真空炉内で乾燥させ、その後、さらなる精製なしで次の工程において使用した(0.61g、2.67mmol、89%の収率)。
化合物20の合成:
チエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジカルボン酸(19)(0.55g、2.4mmol、1.0当量)、ジフェニルホスホリルアジドDPPA(0.56mL、2.6mmol、1.08当量)およびトリエチルアミン(0.36mL、2.6mmol、1.08当量)を、tert-ブタノール(無水)(4.5mL)中で合し、得られた混合物を加熱して還流させた。一晩にわたる反応後に、溶液を冷却し、その後、真空で濃縮し、溶媒を除去した。残渣をジエチルエーテル中に取り出し、5%のクエン酸水溶液、水および塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物を、溶離液としての酢酸エチル/石油エーテル(1:4)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、ジ-tert-ブチルチエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジイルジカルバメート(20)が、薄褐色の固形物として得られた(0.60g、1.61mmol、67%の収率)。
【数14】
【0121】
化合物21の合成:
ジ-tert-ブチルチエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジイルジカルバメート(20)(0.93g、2.5mmol、1.0当量)をDMF(25mL)に溶解させ、0℃に冷却した。水素化ナトリウム(0.40g、鉱油中で60%の分散液、10.0mmol、4.0当量)を添加し、この溶液を室温で1時間にわたり撹拌した。この混合物に、7-(ブロモメチル)ペンタデカン(2.29g、7.5mmol、3.0当量)を添加し、この溶液を80℃で3時間にわたり撹拌した。この溶液を室温に冷却した後に、混合物を氷水に注ぎ、引き続き、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を合し、水、塩水で洗浄し、その後、MgSO
4で乾燥させ、濃縮した。得られた褐色の油状物を、溶離液としてのジクロロメタン/石油エーテル(1:1)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製したところ、ジ-tert-ブチルチエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジイルビス((2-ヘキシルデシル)カルバメート)が、薄褐色の油状物(21)(1.64g、2.0mmol、80%の収率)として得られた。
【数15】
【0122】
化合物22の合成:
ジ-tert-ブチルチエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジイルビス((2-ヘキシルデシル)カルバメート)(21)(1.64g、2.0mmol、1.0当量)を、ジクロロメタン(20mL)に溶解させ、0℃に冷却した。トリフルオロ酢酸(2.7mL)を添加し、反応混合物を室温に温め、一晩かけて撹拌した。この混合物を水に注ぎ、重炭酸ナトリウム、塩水で洗浄して、MgSO
4で乾燥させ、その後、濃縮したところ、N
3,N
6-ビス(2-ヘキシルデシル)チエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジアミン(22)が、薄褐色の油状物として得られた。この生成物は、空気中で不安定であり、さらなる精製なしで次の工程においてすぐに使用された(1.1g、1.78mmol、89%の収率)。
【数16】
【0123】
化合物23の合成:
無水ジクロロメタン(5mL)に入れたN
3,N
6-ビス(2-ヘキシルデシル)チエノ[3,2-b]チオフェン-3,6-ジアミン(22)(1.1g、1.78mmol、1.0当量)を、塩化オキサリル(0.39mL、4.63mmol、2.6当量)を無水ジクロロメタン(10mL)に入れた撹拌溶液に0℃で滴加した。この混合物を室温に温め、1時間にわたり撹拌した。無水ジクロロメタン(5mL)に入れたトリエチルアミン(2.23ml、16.02mmol、9.0当量)を室温で滴加し、この溶液を一晩かけて撹拌した。この混合物を水に注ぎ、その後、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を合し、水、塩水で洗浄し、その後、MgSO
4で乾燥させ、濃縮した。この粗生成物を、溶離液としてのジクロロメタン/石油エーテル(3:2)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、その後、ジクロロメタン/メタノールで再結晶させたところ、生成物(23)が紫色の固形物として得られた。
【数17】
【0124】
実施例20 pDPID P14を生成する重合
【化63】
【0125】
実施例18のポリマーP12の手順に従って、化合物23からポリマーP14を合成した。