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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】接触部材
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20221219BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20221219BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20221219BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R4/64 A
H01R12/71
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019084045
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020181711
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000242231
【氏名又は名称】北川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】栗田 智久
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-097912(JP,A)
【文献】特開2015-032455(JP,A)
【文献】特許第5124789(JP,B2)
【文献】米国特許第08956194(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 4/64
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の薄板によって構成され、第1部材に表面実装されて前記第1部材と第2部材との間に挟まれた際に、前記第1部材と前記第2部材とを電気的に接続する接触部材であって、
前記接触部材の使用時に前記第1部材に対してはんだ付けされる接合面を有する基部と、
前記接触部材の使用時に前記第2部材に接触する接触部と、
前記基部の一端から延出し、その延出方向先端側に前記接触部が設けられ、前記接触部が前記第2部材に接触する際に弾性変形することにより、前記接触部を前記第2部材に対して加圧接触させるばね部と、
を備え、
三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を後方、y軸負方向を前方、z軸正方向を上方、z軸負方向を下方として、前記接合面が下方へ向けられ、かつ前記基部の前記一端が後方に向けられた状態において、
前記ばね部は、
前記基部の後端から湾曲して上方へと延出する第1延出部と、
前記第1延出部の上端から湾曲して前方へと延出し、上面が自動実装機の吸引ノズルで吸着可能な吸着面とされる第2延出部と、
前記第2延出部の前端から湾曲して斜め下前方へと延出する第3延出部と、
前記第3延出部の前端から湾曲して斜め後上方へと延出し、その延出方向先端側に前記接触部が設けられる第4延出部と、
を備え、さらに、
前記第3延出部から左方へと突出する第1引掛部と、
前記第3延出部から右方へと突出する第2引掛部と、
前記基部の左端から湾曲して上方へと延出する第1側壁部と、
前記基部の右端から湾曲して上方へと延出する第2側壁部と、
を備え、
前記ばね部に外力が作用して前記第3延出部が変位した際、前記第1引掛部が前記第1側壁部に接触する状態、及び前記第2引掛部が前記第2側壁部に接触する状態のうち、少なくとも一方の状態になることにより、前記第3延出部の変位が抑制されるように構成されている
接触部材。
【請求項2】
金属の薄板によって構成され、第1部材に表面実装されて前記第1部材と第2部材との間に挟まれた際に、前記第1部材と前記第2部材とを電気的に接続する接触部材であって、
前記接触部材の使用時に前記第1部材に対してはんだ付けされる接合面を有する基部と、
前記接触部材の使用時に前記第2部材に接触する接触部と、
前記基部の一端から延出し、その延出方向先端側に前記接触部が設けられ、前記接触部が前記第2部材に接触する際に弾性変形することにより、前記接触部を前記第2部材に対して加圧接触させるばね部と、
を備え、
三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を後方、y軸負方向を前方、z軸正方向を上方、z軸負方向を下方として、前記接合面が下方へ向けられ、かつ前記基部の前記一端が後方に向けられた状態において、
前記ばね部は、
前記基部の後端から湾曲して上方へと延出する第1延出部と、
前記第1延出部の上端から湾曲して前方へと延出し、上面が自動実装機の吸引ノズルで吸着可能な吸着面とされる第2延出部と、
前記第2延出部の前端から湾曲して斜め下前方へと延出する第3延出部と、
前記第3延出部の前端から湾曲して斜め後上方へと延出し、その延出方向先端側に前記接触部が設けられる第4延出部と、
を備え
前記接触部は、y軸方向について前記第2延出部よりも前方となる位置に設けられている
接触部材。
【請求項3】
請求項2に記載の接触部材であって、
前記第3延出部から左方へと突出する第1引掛部と、
前記第3延出部から右方へと突出する第2引掛部と、
前記基部の左端から湾曲して上方へと延出する第1側壁部と、
前記基部の右端から湾曲して上方へと延出する第2側壁部と、
を備え、
前記ばね部に外力が作用して前記第3延出部が変位した際、前記第1引掛部が前記第1側壁部に接触する状態、及び前記第2引掛部が前記第2側壁部に接触する状態のうち、少なくとも一方の状態になることにより、前記第3延出部の変位が抑制されるように構成されている
接触部材。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載の接触部材であって、
前記ばね部に外力が作用して前記第3延出部が斜め後上方へと変位した際に、前記第1引掛部が前記薄板の端面側で前記第1側壁部に接触する状態、及び前記第2引掛部が前記薄板の端面側で前記第2側壁部に接触する状態のうち、少なくとも一方の状態になることにより、前記第3延出部の斜め後上方への変位が抑制されるように構成されている
接触部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の接触部材であって、
前記接触部は、前記第4延出部の上端から後方へと湾曲して下方へと延出しており、その湾曲した部分の外周面で前記第2部材に接触するように構成されている
接触部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接触部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面実装コンタクト(本開示でいう接触部材に相当。)が開示されている。特許文献1に記載の表面実装コンタクトは、例えば、プリント基板のアースパターン上に取り付けられて、そのプリント基板とシャーシ等の導電部材とを導通させる部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5124789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機器の多機能化や小型化が進むに当たり、基板実装部品の高密度化が加速度的に進んでいる。そのため、個々の基板実装部品に対しても小型化が要求されている。上記表面実装コンタクトも例外ではなく、更に小型化することが求められている。
【0005】
本開示の一局面は、従来品以上の小型化を実現可能な接触部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面における接触部材は、金属の薄板によって構成され、第1部材に表面実装されて第1部材と第2部材との間に挟まれた際に、第1部材と第2部材とを電気的に接続する。接触部材は、基部と、接触部と、ばね部と、を備える。基部は、接触部材の使用時に第1部材に対してはんだ付けされる接合面を有する。接触部は、接触部材の使用時に第2部材に接触する。ばね部は、基部の一端から延出し、その延出方向先端側に接触部が設けられ、接触部が第2部材に接触する際に弾性変形することにより、接触部を第2部材に対して加圧接触させる。三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を後方、y軸負方向を前方、z軸正方向を上方、z軸負方向を下方として、接合面が下方へ向けられ、かつ基部の一端が後方に向けられた状態において、ばね部は、第1延出部と、第2延出部と、第3延出部と、第4延出部と、を備える。第1延出部は、基部の後端から湾曲して上方へと延出する。第2延出部は、第1延出部の上端から湾曲して前方へと延出し、上面が自動実装機の吸引ノズルで吸着可能な吸着面とされる。第3延出部は、第2延出部の前端から湾曲して斜め下前方へと延出する。第4延出部は、第3延出部の前端から湾曲して斜め後上方へと延出し、その延出方向先端側に接触部が設けられる。
【0007】
ただし、第1延出部の延出方向は、厳密な意味での上方に限定されず、z軸方向に対して僅かに傾いた延出方向であってもよい。第2延出部の延出方向は、厳密な意味での前方に限定されず、y軸方向に対して僅かに傾いた延出方向であってもよい。
【0008】
このように構成された接触部材によれば、ばね部が、上述のような第1延出部と、第2延出部と、第3延出部と、第4延出部と、を備える構造とされている。そのため、接合面を有する基部と吸着面を構成する第2延出部との間に存在する構造を、上記特許文献1でいう「第1折返し部」よりもy軸方向の寸法が小さい構造にすることができ、その分だけ接続部材におけるy軸方向の寸法を低減することができる。また、第3延出部の延出方向を、第2延出部の前端から湾曲して斜め下前方へと延出するように構成してある。そのため、特許文献1に記載の技術のように、吸着面を有する部分と当該部分から更に延出する部分が同一方向に沿って延在する場合に比べ、第3延出部のy軸方向の寸法を小さくし、その分だけ接続部材におけるy軸方向の寸法を低減することができる。これらの構成により、上記接触部材であれば、特許文献1に記載の技術以上に接触部材の小型化を図ることができる。
【0009】
なお、本開示の接触部材は、更に以下に挙げるような構成を備えていてもよい。
(A)例えば、第1引掛部と、第2引掛部と、第1側壁部と、第2側壁部と、を備えてもよい。第1引掛部は、第3延出部から左方へと突出する。第2引掛部は、第3延出部から右方へと突出する。第1側壁部は、基部の左端から湾曲して上方へと延出する。第2側壁部は、基部の右端から湾曲して上方へと延出する。ばね部に外力が作用して第3延出部が変位した際、第1引掛部が第1側壁部に接触する状態、及び第2引掛部が第2側壁部に接触する状態のうち、少なくとも一方の状態になることにより、第3延出部の変位が抑制されるように構成されていてもよい。
【0010】
このように構成された接触部材によれば、ばね部に外力が作用した場合でも、第1引掛部、第1側壁部、第2引掛部及び第2側壁部が設けられていることにより、第3延出部の変位が抑制される。したがって、ばね部に想定外の変形が生じるのを抑制することができる。しかも、第1引掛部及び第2引掛部が、上述のように構成された第3延出部に設けられているので、z軸方向について第1引掛部及び第2引掛部を、吸着面が設けられた第2延出部よりも下方となる位置に配置することができる。したがって、引掛部を吸着面が設けられた部分と同等な高さ位置に配置してある特許文献1に記載の技術に比べ、第1側壁部及び第2側壁部の上端をより下方に配置することができる。したがって、第1側壁部及び第2側壁部の上端がより上方に配置される場合に比べ、自動実装機の吸引ノズルで吸着面を吸着する際に、吸引ノズルの先端が第1側壁部及び第2側壁部の上端に引っ掛かる可能性を低減することができる。
【0011】
(B)例えば、ばね部に外力が作用して第3延出部が斜め後上方へと変位した際に、第1引掛部が薄板の端面側で第1側壁部に接触する状態、及び第2引掛部が薄板の端面側で第2側壁部に接触する状態のうち、少なくとも一方の状態になることにより、第3延出部の斜め後上方への変位が抑制されるように構成されていてもよい。
【0012】
このように構成された接触部材によれば、第1引掛部及び第2引掛部は、それぞれを構成する薄板の端面側で第1側壁部又は第2側壁部に接触する。そのため、薄板の表裏いずれか一方の板面側で第1側壁部又は第2側壁部に接触する場合に比べ、第1引掛部及び第2引掛部が曲げられにくくなる。したがって、第1引掛部及び第2引掛部が曲げられにくくなる分だけ、薄板の板厚を薄めにすることが可能となり、接触部材の小型化に寄与する。
【0013】
(C)例えば、接触部は、第4延出部の上端から後方へと湾曲して下方へと延出しており、その湾曲した部分の外周面で第2部材に接触するように構成されていてもよい。
このように構成された接触部材によれば、接触部は、薄板を湾曲させた部分の外周面で第2部材に接触する。したがって、ばね部が変形した際に接触部が僅かに回転を伴う方向へと変位しても、接触部が湾曲した外周面で第2部材に接触する状態を維持することができ、接触部と第2部材との電気的な接続状態を安定的に維持することができる。
【0014】
(D)例えば、接触部は、y軸方向について第2延出部よりも前方となる位置に設けられていてもよい。
このように構成された接触部材によれば、接触部と第2延出部は、上方から見た場合に、y軸方向(すなわち、前後方向。)について重ならない位置に配置される。したがって、接触部と第2延出部がy軸方向について重なる位置に配置される場合とは異なり、第2延出部の上面全体を吸着面として有効に利用することができる。よって、第2延出部のサイズを、所定寸法の吸着面を確保する上で必要最小限のサイズにすることが可能となるので、接触部と第2延出部がy軸方向について重なる位置に配置される場合よりも、第2延出部を小型化することができ、延いては接触部材全体を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1Aは第1実施形態の接触部材を左前上方から見た斜視図である。図1Bは第1実施形態の接触部材を右後下方から見た斜視図である。
図2図2Aは第1実施形態の接触部材の平面図である。図2Bは第1実施形態の接触部材の左側面図である。図2Cは第1実施形態の接触部材の正面図である。図2Dは第1実施形態の接触部材の右側面図である。図2Eは第1実施形態の接触部材の背面図である。図2Fは第1実施形態の接触部材の底面図である。
図3図3Aは接触部材に第2部材が接触していない状態におけるばね部の位置及び形状を示す断面図である。図3Bは接触部材に第2部材が接触している状態におけるばね部の位置及び形状を示す断面図である。
図4図4Aはばね部に外力F1が作用していない状態における第1引掛部の位置を示す右側面図である。図4Bはばね部に外力F1が作用している状態における第1引掛部の位置を示す右側面図である。
図5図5Aはばね部に外力F2が作用していない状態における第1引掛部及び第2引掛部の位置を示す正面図である。図5Bはばね部に外力F2が作用している状態における第1引掛部及び第2引掛部の位置を示す正面図である。
図6図6Aは第2実施形態の接触部材を左前上方から見た斜視図である。図6Bは第2実施形態の接触部材を右後下方から見た斜視図である。
図7図7Aは第2実施形態の接触部材の平面図である。図7Bは第2実施形態の接触部材の左側面図である。図7Cは第2実施形態の接触部材の正面図である。図7Dは第2実施形態の接触部材の右側面図である。図7Eは第2実施形態の接触部材の背面図である。図7Fは第2実施形態の接触部材の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、上述の接触部材について、例示的な実施形態を挙げて説明する。
(1)第1実施形態
図1A図1B図2A図2B図2C図2D図2E及び図2Fに示すように、接触部材1は、基部11と、接触部12と、ばね部13と、第1引掛部151と、第2引掛部152と、第1側壁部171と、第2側壁部172とを備える。接触部材1は、金属の薄板(本実施形態の場合厚み0.1mmのベリリウム銅板。)によって構成される。接触部材1は、図3Aに示すように、第1部材91に表面実装されて、図3Bに示すように、第1部材91と第2部材92との間に挟まれた際に、第1部材91と第2部材92とを電気的に接続する。第1部材91の一例としては、例えば電子回路基板を挙げることができる。第2部材92の一例としては、例えば機器の筐体を構成する金属パネル等を挙げることができる。
【0017】
基部11は、接合面21を有する。この接合面21は、接触部材1の使用時に第1部材91(図3A及び図3B参照。)に対してはんだ付けされる。接触部12は、接触部材1の使用時に第2部材92(図3B参照。)に接触する。ばね部13は、基部11の一端から延出し、その延出方向先端側に接触部12が設けられている。接触部12が第2部材92に接触する際には、ばね部13が弾性変形することにより、ばね部13が接触部12を第2部材92に対して加圧接触させる。
【0018】
なお、以下の説明においては、図1A及び図1Bに示すように、三次元直交座標系におけるx軸正方向を右方、x軸負方向を左方、y軸正方向を後方、y軸負方向を前方、z軸正方向を上方、z軸負方向を下方と規定する。その上で、上述のような三次元直交座標系において、上述の接合面21が下方へ向けられ、かつ基部11の一端が後方に向けられた状態を想定して、接触部材1が備える各部の相対的な位置や形状等を説明する。ただし、接触部材1の使用時に接触部材1が備える各部がどのような方向に向けられるかは任意である。例えば、上述の接合面21が下方以外の方向へ向けられた状態で使用されてもよい。
【0019】
ばね部13は、第1延出部131と、第2延出部132と、第3延出部133と、第4延出部134と、を備える。第1延出部131は、基部11の後端から湾曲して上方へと延出する。ただし、第1延出部131の延出方向は、厳密な意味での上方に限定されず、z軸方向に対して僅かに(例えば±5度程度の範囲内で。)傾いた延出方向であってもよい。すなわち、第1延出部131の延出方向と接合面21とは、概ね垂直であれば、厳密な意味で垂直になっていなくてもよい。
【0020】
第2延出部132は、第1延出部131の上端から湾曲して前方へと延出する。ただし、第2延出部132の延出方向は、厳密な意味での前方に限定されず、y軸方向に対して僅かに(例えば±5度程度の範囲内で。)傾いた延出方向であってもよい。すなわち、第2延出部132の延出方向と接合面21とは、概ね平行であれば、厳密な意味で平行になっていなくてもよい。第2延出部132の上面は、自動実装機の吸引ノズルで吸着可能な吸着面23とされている。
【0021】
第3延出部133は、第2延出部132の前端から湾曲して斜め下前方へと延出する。本実施形態の場合、第3延出部133の延出方向は、接合面21との間に約42度の傾きをなす方向とされている。第4延出部134は、第3延出部133の前端から湾曲して斜め後上方へと延出する。本実施形態の場合、第4延出部134の延出方向は、接合面21との間に約74度の傾きをなす方向とされている。第4延出部134の延出方向先端側には接触部12が設けられる。
【0022】
接触部12は、第4延出部134の上端から後方へと湾曲して下方へと延出している。接触部12は、図3Bに示すように、湾曲した部分の外周面で第2部材92に接触するように構成されている。接触部12は、y軸方向について第2延出部132よりも前方となる位置に設けられている。
【0023】
第1引掛部151は、第3延出部133から左方へと突出する。第2引掛部152は、第3延出部133から右方へと突出する。第1側壁部171は、基部11の左端から湾曲して上方へと延出する。第2側壁部172は、基部11の右端から湾曲して上方へと延出する。本実施形態の場合、第1側壁部171には第1開口部251が設けられている。第2側壁部172には第2開口部252が設けられている。第1引掛部151は、第1開口部251の内側に入り込む位置に配置されている。第2引掛部152は、第1開口部251の内側に入り込む位置に配置されている。
【0024】
ばね部13に外力が作用して第3延出部133が変位した際、第1引掛部151は、第1開口部251の内側において第1側壁部171に接触する。第2引掛部152は、第2開口部252の内側において第2側壁部172に接触する。これにより、第3延出部133の変位が抑制され、ばね部13が過剰に変位して変形するのを抑制することができる。特に、本実施形態の場合、図4A及び図4Bに示すように、例えば、ばね部13に外力F1が作用したこと等が原因となって、第3延出部133が斜め後上方へと変位した際には、第1引掛部151が薄板の端面側で第1側壁部171に接触する。また、第2引掛部152が薄板の端面側で第2側壁部172に接触する。これにより、第3延出部133の斜め後上方への変位が抑制され、接触部12が上方へ持ち上がる方向へばね部13が変形するのを抑制することができる。
【0025】
また、本実施形態の場合、図5A及び図5Bに示すように、例えば、ばね部13に外力F2が作用したこと等が原因となって、第4延出部134が正面視で右へ傾く方向へと変位した際には、第1引掛部151が斜め後上方にある端部で第1側壁部171に接触する。これにより、第4延出部134が更に傾くのを抑制でき、ばね部13が変形するのを抑制することができる。
【0026】
以上のように構成された接触部材1によれば、ばね部13が、上述のような第1延出部131と、第2延出部132と、第3延出部133と、第4延出部134と、を備える構造とされている。そのため、接合面21を有する基部11と吸着面23を構成する第2延出部132との間に存在する構造を、上記特許文献1でいう「第1折返し部」よりもy軸方向の寸法が小さい構造にすることができ、その分だけ接続部材におけるy軸方向の寸法を低減することができる。また、第3延出部133の延出方向を、第2延出部132の前端から湾曲して斜め下前方へと延出するように構成してある。そのため、特許文献1に記載の技術のように、吸着面23を有する部分と当該部分から更に延出する部分が同一方向に沿って延在する場合に比べ、第3延出部133のy軸方向の寸法を小さくし、その分だけ接続部材におけるy軸方向の寸法を低減することができる。これらの構成により、上記接触部材1であれば、特許文献1に記載の技術以上に接触部材1の小型化を図ることができる。
【0027】
また、本実施形態の場合、ばね部13が、上述のような第1延出部131と、第2延出部132と、第3延出部133と、第4延出部134と、を備える構造とされている。そのため、図3A及び図3Bに示すように、ばね部13は、第1延出部131及び第2延出部132の2箇所で撓みが増減し、第1引掛部151及び第2引掛部152は第1部材91の部品実装面に対して略垂直に移動する。したがって、第1引掛部151及び第2引掛部152に相当する構成が前後方向へも大きく移動する場合に比べ、接触部材1の前後方向寸法を低減することができる。
【0028】
また、本実施形態の場合、ばね部13に外力が作用した場合でも、第1引掛部151、第1側壁部171、第2引掛部152及び第2側壁部172が設けられていることにより、第3延出部133の変位が抑制される。したがって、ばね部13に想定外の変形が生じるのを抑制することができる。しかも、第1引掛部151及び第2引掛部152が、上述のように構成された第3延出部133に設けられているので、z軸方向について第1引掛部151及び第2引掛部152を、吸着面23が設けられた第2延出部132よりも下方となる位置に配置することができる。したがって、引掛部を吸着面23が設けられた部分と同等な高さ位置に配置してある特許文献1に記載の技術に比べ、第1側壁部171及び第2側壁部172の上端をより下方に配置することができる。したがって、第1側壁部171及び第2側壁部172の上端がより上方に配置される場合に比べ、自動実装機の吸引ノズルで吸着面23を吸着する際に、吸引ノズルの先端が第1側壁部171及び第2側壁部172の上端に引っ掛かる可能性を低減することができる。
【0029】
また、本実施形態の場合、図4A及び図4Bに示すように、ばね部13に外力が作用して第3延出部133が斜め後上方へと変位した際に、第1引掛部151及び第2引掛部152は、それぞれを構成する薄板の端面側で第1側壁部171又は第2側壁部172に接触する。そのため、第1引掛部151及び第2引掛部152が薄板の表裏いずれか一方の板面側で第1側壁部171又は第2側壁部172に接触する場合に比べ、第1引掛部151及び第2引掛部152が曲げられにくくなる。したがって、第1引掛部151及び第2引掛部152が曲げられにくくなる分だけ、薄板の板厚を薄めにすることが可能となり、接触部材1の小型化に寄与する。
【0030】
また、本実施形態の場合、図5A及び図5Bに示すように、ばね部13に外力が作用して第4延出部134が傾いた際に、第1引掛部151が斜め後上方にある端部で第1側壁部171に接触する。そのため、第1引掛部151及び第2引掛部152が薄板の表裏いずれか一方の板面側で第1側壁部171又は第2側壁部172に接触する場合に比べ、第1引掛部151及び第2引掛部152が曲げられにくくなる。したがって、第1引掛部151及び第2引掛部152が曲げられにくくなる分だけ、薄板の板厚を薄めにすることが可能となり、接触部材1の小型化に寄与する。
【0031】
また、本実施形態の場合、接触部12は、薄板を湾曲させた部分の外周面で第2部材92に接触する。したがって、ばね部13が変形した際に接触部12が僅かに回転を伴う方向へと変位しても、接触部12が湾曲した外周面で第2部材92に接触する状態を維持することができ、接触部12と第2部材92との電気的な接続状態を安定的に維持することができる。
【0032】
また、本実施形態の場合、接触部12と第2延出部132は、上方から見た場合に、y軸方向(すなわち、前後方向。)について重ならない位置に配置される。したがって、接触部12と第2延出部132がy軸方向について重なる位置に配置される場合とは異なり、第2延出部132の上面全体を吸着面23として有効に利用することができる。よって、第2延出部132のサイズを、所定寸法の吸着面23を確保する上で必要最小限のサイズにすることが可能となるので、接触部12と第2延出部132がy軸方向について重なる位置に配置される場合よりも、第2延出部132を小型化することができ、延いては接触部材1全体を小型化することが可能となる。
【0033】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態で例示した構成の一部を変更しただけなので、第1実施形態との相違点を中心に詳述し、第1実施形態と同様な部分に関しては、第1実施形態と共通の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
図6A図6B図7A図7B図7C図7D図7E及び図7Fに示すように、接触部材31は、基部11と、接触部12と、ばね部13と、第1引掛部151と、第2引掛部152と、第1側壁部371と、第2側壁部372とを備える。第2実施形態においては、第1側壁部371及び第2側壁部372の形状が、第1実施形態において例示した第1側壁部171及び第2側壁部172とは相違する。具体的には、第1実施形態の場合は、第1側壁部171には第1開口部251が設けられ、第2側壁部172には第2開口部252が設けられて、第1側壁部171及び第2側壁部172の形状が逆U字状に構成されていた。これに対し、第2実施形態の場合は、第1側壁部371及び第2側壁部372の形状が逆L字状に構成されている。
【0035】
換言すれば、第1実施形態の場合、第1側壁部171及び第2側壁部172は、第1引掛部151及び第2引掛部152が過度に上方へと変位するのを抑制する部分と、第1引掛部151及び第2引掛部152が過度に後方へと変位するのを抑制する部分と、第1引掛部151及び第2引掛部152が過度に前方へと変位するのを抑制する部分とを有していた。これに対し、第2実施形態の場合、第1側壁部371及び第2側壁部372は、第1引掛部151及び第2引掛部152が過度に上方へと変位するのを抑制する部分と、第1引掛部151及び第2引掛部152が過度に後方へと変位するのを抑制する部分とを有しているが、第1引掛部151及び第2引掛部152が過度に前方へと変位するのを抑制する部分については省略されている。
【0036】
したがって、第1引掛部151及び第2引掛部152が過度に前方へと変位するのを抑制する機能が必要な場合には、第1実施形態の接触部材1を利用することが好ましいが、そのような機能が不要な場合には、第2実施形態の接触部材31を利用してもよい。第2実施形態の接触部材31であれば、第1実施形態の接触部材1よりも軽量になり、これにより機器の軽量化実現に寄与することができる。なお、上述のような相違点以外の点においては、第2実施形態の接触部材31も、第1実施形態の接触部材1と全く同様の作用、効果を奏する。
【0037】
(3)他の実施形態
以上、接触部材について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本開示の一態様として例示されるものにすぎない。すなわち、本開示は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
【0038】
例えば、上記実施形態では、第1側壁部及び第2側壁部の具体的な形状を2種類例示したが、更に細部の形状が異なる第1側壁部及び第2側壁部を設けてもよく、第1側壁部及び第2側壁部の形状は上記2例に限定されない。
【0039】
また、上記実施形態では、金属の薄板の例として、厚み0.1mmのベリリウム銅板を例示したが、金属はベリリウム銅以外であってもよいし、薄板の厚みは0.1mm以外であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1,31…接触部材、11…基部、12…接触部、13…ばね部、131…第1延出部、132…第2延出部、133…第3延出部、134…第4延出部、151…第1引掛部、152…第2引掛部、171,371…第1側壁部、172,372…第2側壁部、21…接合面、23…吸着面、251…第1開口部、252…第2開口部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7