(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】デジタル通貨による企業のロイヤルティ及びインセンティブプログラム報酬の統合のための方法及びシステム-ユニバーサル無料デジタル通貨(UCDC:Universal Complimentary Digital Currency)システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221219BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
(21)【出願番号】P 2020543098
(86)(22)【出願日】2018-05-11
(86)【国際出願番号】 US2018032471
(87)【国際公開番号】W WO2019190573
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-22
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520295269
【氏名又は名称】チャン チャールズ
【氏名又は名称原語表記】CHANG, Charles
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】チャン チャールズ
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-508860(JP,A)
【文献】特開2001-256410(JP,A)
【文献】特開2004-078342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0248007(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0349898(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行されると、前記プロセッサにステップを実行させることにより、ロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムのためのユニバーサル
無料デジタル通貨を生成させるソフトウェア命令を格納した非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ステップは、
(i)各参加企業によって提供されるロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムのための簿価(B値)及び市場価格値(MP値)を決定することと、
(ii)前記参加企業によってユニバーサル
無料デジタル通貨準備基金に支払いとして預けられる各参加企業のための未払いのロイヤルティ及びインセンティブ報酬プログラムの負債のための推定金銭価値(EM値)を決定することと、
(iii)ユニバーサル
無料デジタル通貨の値(UCDC値)と、最初に発行するユニバーサル
無料デジタル通貨の量(Q)を決定することと、
(iv)ユニバーサル
無料デジタル通貨の前記発行のために前記参加企業によって預けられる支払い(P)を決定することと、
(v)前記参加企業がユニバーサル
無料デジタル通貨を前記ユニバーサル
無料デジタル通貨準備基金に売り戻すためのバイバック/クレジットバック保証レート(Gレート)を決定することと、
(vi)前記企業からのロイヤリティ及びインセンティブ報酬を受ける資格がある各参加企業の顧客にユニバーサル
無料デジタル通貨を発行し、これにより、各参加企業のロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムをユニバーサル
無料デジタル通貨に置き換えることと、を含む、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサに、さらに、式を適用し、ロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムのための前記値、未払いのロイヤルティ及びインセンティブ報酬プログラムの負債、並びに、バイバッククレジットバック保証レートを決定することを実行させる、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項3】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、参加企業のロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムの前記B値を決定する前記式は、
B=(ロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムの負債)/(未払いのロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラム単位の合計)
であり、
前記ロイヤルティ及びインセンティブ報酬プログラムの負債は、前記参加企業がロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムの顧客に支払うべき金銭価値であり、
前記未払いのロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラム単位の合計は、前記参加企業がロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムの顧客に支払うべき報酬単位である、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項4】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、参加企業のロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムの前記MP値を決定する前記式は、
MP=(報酬製品のスタンドアロン市場価格)/(前記製品のための交換(引き換え)可能な報酬単位の量)
であり、
単一の報酬製品の前記スタンドアロン市場価格は、前記製品の直近の平均販売価格であり、
複数の製品の前記スタンドアロン市場価格は、前記複数の製品の直近の累積平均販売価格である、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項5】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、各参加企業のための未払いのロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムの負債のための前記EM値を決定する前記式は、EM=(B×50%)+(MP×50%)である、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項6】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、最初に発行するユニバーサル
無料デジタル通貨の前記量(Q)を決定する前記式は、Q=MP/(UCDC値×未払いのロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラム単位の合計)である、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項7】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、ユニバーサル
無料デジタル通貨の前記発行のために前記参加企業によって預けられる前記支払い(P)を決定する前記式は、
P=EM×(未払いのロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラム単位の合計)
である、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項8】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ユニバーサル
無料デジタル通貨の国内通貨への為替レート(ER)を決定する前記式は、ER=1:(UCDC値)/MPである、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項9】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、未払いのロイヤルティ及びインセンティブ報酬プログラムのために生成されたユニバーサル
無料デジタル通貨の前記Gレートを決定する前記式は、G=(UCDC値×EM)/MPである、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項10】
請求項9に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサに、さらに、ユニバーサル
無料デジタル通貨を発行する各国の消費者物価指数(CPI)を決定し、前記国のCPIに基づいてフローティングGレートを設定するステップを実行することにより、前記ユニバーサル
無料デジタル通貨のためのフローティングGレートを決定することを実行させる、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項11】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサに、さらに、参加企業によって提供されるロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムのためのユニバーサル
無料デジタル通貨を生成する前に、前記参加企業が前記ユニバーサル
無料デジタル通貨準備基金に支払いを預けたかどうかを決定するステップを実行することにより、前記参加企業がプレミアムメンバーとして適格かどうかを決定することを実行させる、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項12】
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサに、さらに、前記プレミアムメンバーがユニバーサル
無料デジタル通貨を余分に有するか又は不足するかを決定することにより、ユニバーサル
無料デジタル通貨を買う、売る又は交換するオプションを前記プレミアムメンバーに提供することと、全ての取引の記録を保持することとを実行させる、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項13】
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサに、さらに、タイムリーにユニバーサル
無料デジタル通貨の増価又は減価を決定することにより、且つユニバーサル
無料デジタル通貨の流通を増加又は減少させる必要があるかどうかを確立することにより、前記準備基金にユニバーサル
無料デジタル通貨を買う、売る又は交換するオプションを提供することと、全ての取引の記録を保持することとを実行させる、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項14】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ソフトウェア命令は、前記プロセッサにステップを実行することにより、全ての取引を記録することを実行させ、前記ステップは、(a)暗号通貨の公的元帳を確立すること、(b)集中ユニバーサル
無料デジタル通貨システムを確立することと、(c)参加企業の顧客にユニバーサル
無料デジタル通貨を発行することと、(d)暗号通貨を受け入れる企業の顧客に暗号通貨を発行することと、(e)ロイヤリティ及びインセンティブ報酬プログラムを暗号通貨又はユニバーサル
無料デジタル通貨に変換するための変換システムを確立することと、(f)取引のレポートを提供することと、を含む、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項15】
請求項2に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記ロイヤルティ及びインセンティブ報酬プログラムは、マイレージサービスを受けるためのマイル、キャッシュバック報酬、優待飲食、優待ホテル滞在、優待航空券、無料サービス、無料商品、報酬ポイント及び割引クーポンの1つ以上を含む、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、ほとんどの航空会社、ホテル、カジノ、レストラン、小売店、クレジットカード(企業)は、独自の顧客ロイヤルティ/インセンティブプログラム*(L/I(Loyalty/Incentive)プログラム)を有する。企業は通常、ロイヤルティプログラムソフトウェアを含むPOSシステムを使用してL/Iプログラムをサポートするが、一部の企業は、アドオンのロイヤルティプログラムソフトウェアを使用している。会社が、支店又はチェーン店を有し、顧客に全ての支店/チェーン店において報酬ポイント、マイレージ、又はその他の優待バリュー単位(プログラム報酬)の利用を許容する場合、このプログラムを、会社内システムと呼ぶ場合がある。
【0002】
一部の企業は、他の企業と契約しているため、その顧客は、他の企業のプログラム報酬を利用できる。契約上の共同L/Iプログラムを、企業間システムと呼ぶ場合がある。例えば、航空会社のプログラム報酬は、レンタカー会社やホテルと引き換えることができ、その逆もそうである。
【0003】
ユニバーサル無料デジタル通貨(UCDC:Universal Complimentary Digital Currency)システムは、デジタル通貨*を利用して、企業のL/Iプログラムの全ての報酬単位を1つのシステムに統合及び統一するシステムである。
【0004】
統合とデータ変換の後、企業のロイヤルティプログラムソフトウェアは、UCDCのみをプログラム報酬として使用する。特許が最初に米国で承認された場合、UCDCの最初の公募(IDCO/ICO)価格は、米国で1ドル(名目値)になる。UCDCシステムは、さまざまな国の全ての現地通貨を受け入れる(取引日の為替レートによる)が、UCDCシステムの準備基金*は、米ドル、ユーロ、及び中国人民元のみを保持する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
統合及びシステム変換プロセスは次のとおりである:
【0006】
1.プログラム報酬評価プロセス*
UCDCシステムのホスティング組織*(組織)は、既存のL/Iプログラムを既に有している企業と協力して、評価プロセスを実行する。評価プロセスは、企業が使用する報酬プログラム(プログラム報酬)の各単位の金銭価値を決定するプロセスである。プログラム報酬には、ポイント、マイレージ、消費頻度、及びその他の優待単位が含まれるが、これらに限定されない。その後、金銭価値は、報酬プログラム負債の合計を計算するための基礎となり、企業のためにUCDCを発行するために組織の準備基金を支払う。
【0007】
多くの場合、企業は、コスト基準(価格差利益マージン)を使用して、未払いのプログラム報酬の合計を現在の負債として帳簿に記録する。企業(申請者)がUCDCシステムへの登録を申請する場合、組織は、最初に、申請者のL/Iプログラム負債を未払いのプログラム報酬の合計で割った額を使って、報酬単位の簿価(B報酬値)を取得する。次に、組織は、企業のために独立した市場製品価格(市場価格)を確立する。市場価格は、単一の製品の直近の年の平均価格、複数の製品の加重平均価格、季節や場所ごとの価格変動を、考慮する。市場価格が計算されて企業によって合意された後、報酬単位の市場価格アプローチ値(MP報酬値)は、市場価格を、製品/サービス(製品)と交換(引き換え)可能な報酬単位の数で割った値によって、計算できる。
【0008】
ほとんどの場合、B報酬値とMP報酬値の平均は、申請者のL/Iプログラムの報酬単位の公正な推定値(FE報酬値*)になる。FE報酬値は、UCDCを企業に発行するときに企業が組織の準備基金に支払うプログラム報酬の基本価格にもなる。支払い後、企業は、プレミアムメンバーになる*。UCDCが発行される度に、支払いは、FE報酬値に未払いのプログラム報酬を掛けたものに等しくなる。
【0009】
名目為替レートは、名目値(米ドルで1ドル)をMP報酬値で割った値に等しくなる。 UCDCの発行量は、MP報酬値に未払いのプログラム報酬の合計を掛けて、UCDCの名目値で割ったものである。
【0010】
初期段階のプログラム報酬のバイバック又はクレジットバック保証レート(Gレート)は、UCDC名目値にFE報酬値を掛けてMP報酬値で割った値に等しくなる。初期段階の後、Gレートは、UCDCを発行する組織の国の消費者物価指数(CPI: Consumer Price Index)によって設定される。例えば、全国CPIが2月に2%増加し、政府が2月のCPI統計レポートを3月10日に発表した場合、組織は、最新のGレートに102%を掛けた値を新しいレートに使用する。組織は、フローティングGレートを、毎月、UCDCシステムのウェブサイトで発表する。組織が企業からUCDCをバイバック及びクレジットバックできる最大額は、準備基金への企業の支払い総額である。
【0011】
式は次のとおりである:
【0012】
110 B報酬値= L/Iプログラム負債/未払いのプログラム報酬の合計
【0013】
120 MP報酬値=スタンドアロン市場価格/製品と交換(引き換え)できる報酬単位の量
【0014】
121 複数の製品のスタンドアロン市場価格:{製品1の平均販売価格×(製品1の販売金額/全ての製品の合計販売金額)+製品2の平均販売価格×(製品2の販売金額/全ての製品の合計販売金額)・・・}
【0015】
122 単一の製品のスタンドアロン市場価格:単位あたりの平均販売価格
【0016】
130 FE報酬値=(B報酬値×50%+MP報酬値×50%)
注:一部の企業のB報酬値がコストよりも大きい又は小さい場合、上記のパーセンテージは異なり得る。
【0017】
140 UCDCの初期発行量=MP報酬値/UCDCの名目値×未払いのプログラム報酬の合計
【0018】
150 プレミアムメンバーの支払い=FE報酬値×未払いのプログラム報酬の合計
【0019】
160 為替レート=1:(1ドル(名目値)/MP報酬値)
【0020】
170 初期段階Gレート(バイバック又はクレジットバック保証レート)=名目値×FE報酬値/MP報酬値
【0021】
評価プロセスの例:
Sホテルは、米国カリフォルニア州に同じタイプの部屋を300室有しており、1泊あたりの平均宿泊料金は200ドルである。SホテルはSホテルのL/IプログラムにSポイントを使用する。消費者には、宿泊料金に対して1ドル使うごとに1 Sポイントが付与される。消費者が1部屋1泊を引き換えるには、10,000 Sポイントが必要である。2019年3月31日の時点で、Sホテルは、帳簿に168,000ドルのL/Iプログラム負債を有しており、12,000万の未処理のSポイントがSホテルの報酬システムにある。
【0022】
Cシステムは米国の非営利団体である。Cシステムは、2019年2月1日にネバダ州ラスベガスにおいてUCDCシステムを起動する。Cシステムは、暗号通貨である米国Eコイン(USA E Coin)を使用して、全てのプログラム報酬を統一する。SホテルとCシステムは、Sホテルのプログラム報酬を米国Eコインに変換する締切日を2019年3月31日とすると合意する。Vプロセスは次のようになる:
【0023】
110 B報酬値=L/Iプログラム負債/未払いのプログラム報酬の合計
B報酬値=168,000ドル/12,000,000=0.014ドル
【0024】
120 MP報酬値=スタンドアロン市場価格/製品と交換(引き換え)できる報酬単位の量
(122 単一の製品のスタンドアロン市場価格:単位あたりの平均販売価格)
MP報酬値=200ドル/10,000=0.02ドル
【0025】
130 FE報酬値=B報酬値×50%+MP報酬値×50%
FE報酬値=0.014×50%+0.02×50%=0.017ドル
【0026】
140 UCDCの初期発行量=MP報酬値/UCDCの名目値×未払いのプログラム報酬の合計
UCDCの発行量=0.02ドル/1.00ドル×12百万=240,000単位
【0027】
150 プレミアムメンバーの支払い=FE報酬値×未払いのプログラム報酬の合計 プレミアムメンバーの支払い=0.017×12百万=204,000ドル
【0028】
160 為替レート=1:(1ドル(名目値)/MP報酬値)
為替レート=1:(1ドル/0.02ドル)=1:50
【0029】
170 Gレート(バイバック又はクレジットバック保証レート)=名目値×FE報酬値/MP報酬値
Gレート=1ドル×0.017/0.02=0.85ドル/UCDC
【0030】
上記の計算に基づくと、Cシステムの準備基金に対するSシステムの未払いの12百万Sポイントの支払いは、204,000ドル(0.017ドル×12百万) になる。Cシステムは、Sホテルが提供する配布リストに基づいて、240,000単位の米国EコインをSホテルの顧客に発行すべきである。初期段階のGレートは、UCDCあたり0.85ドルである。
【0031】
2.システム統合プロセス
企業が組織と評価プロセスを(1つずつ)行った後、企業は、組織と、プレミアムメンバーの契約を交渉して署名する。次に、組織は、次のようにシステム統合プロセスを実行する:
【0032】
210 システムレビュー:この手順は、企業の現在のロイヤルティプログラムソフトウェアの能力を理解するためのものである。企業のロイヤルティプログラムソフトウェアは、POSシステムの一部としての組み込み機能、又は、第三者のアドオンソフトウェアであり得る。ほとんどの場合、アドオンロイヤルティプログラムソフトウェアは、必要に応じてさまざまなレポートを作成する組み込みシステムよりも柔軟なターンキーデザインになる傾向がある。しかし、システムレビューは、システム統合プロセスのどのジョブを企業のロイヤルティプログラムソフトウェアによって完了できるか、並びに、それに関連する時間とコストを、決定するための、さらなる情報を提供する。
【0033】
220 データ変換の開始:データ変換は、締切日に獲得したプログラム報酬に関連する顧客の情報を変換する手順である。手順は次を含む:
【0034】
221 顧客リストのダウンロード:最初にレポート形式を設定し、次に企業ソフトウェアから情報をダウンロードする。リストの情報は、顧客の名前、誕生日、eメールアドレス、及びプログラム報酬の残高を含む。
【0035】
222 変換テーブルと配布リスト:組織は、為替レート(手順160を参照)を使用して変換テーブルを作成し、次に、変換テーブルを有する顧客のリストを配布リストに統合する。
【0036】
223 データのアップロード:組織は、企業が配布リストをUCDCシステムのメンバー管理機能にアップロードするのを支援する。配布リストは、顧客の名前、誕生日、eメールアドレス、及びUCDCの残高を含む。
【0037】
230 ブリッジソフトウェア及びアプリケーション:最初のデータ変換後、組織は、企業のL/Iプログラムソフトウェア言語を使用してブリッジソフトウェア及びアプリを作成し、それにより、配布リストを自動的に作成する。
【0038】
240 パラメータの設定とレポートの作成:
最初のデータ変換後、組織は、企業のL/Iプログラムソフトウェアの長所と短所を理解すべきである。組織は、企業が、L/Iプログラムソフトウェアのためのパラメータを設定して、必要に応じて、リアルタイム、週次、月次、及び年次のレポートを作成するのを、支援する。
【0039】
3.UCDCシステム操作:
310 顧客へのUCDCの発行
組織が支払い又は約束手形を受け取った後、組織は、UCDCがアカウントに発行された旨の通知を顧客に送付するために、企業が提供するプログラム報酬配布リストを取得する。通知は、ウェブサイトのアドレス、ログイン情報、規約及び条件、並びに、UCDCを使用するためのユーザーマニュアルを含むが、これらに限定されない。顧客が登録を完了すると、顧客は、UCDCシステムの消費者メンバー*になる。
【0040】
320 UCDC報酬元帳の更新
変換後の初期段階では、プレミアムメンバーは、組織に、タイムリーに更新されたUCDC報酬記録(元帳)を提供できない場合がある。プレミアムメンバーは、1日(24時間)ごと以下に元帳を少なくとも提供する。
【0041】
初期段階の後、組織は、パラメータを設定するだけでよいブリッジソフトウェアでプレミアムメンバーを支援し、必要に応じて元帳のタイムリーな更新を受け取る。
【0042】
321 UCDC取引に対するロイヤルティ報酬なし
組織は、プレミアムメンバーが、UCDCを使用して製品を購入(交換)する消費者にロイヤルティ報酬を提供しないことを提案する。これは、取引がプログラム報酬の引き換えとして扱われるべきであるためである。ただし、プレミアムメンバーは、もしそれにより消費者にさらに多くのインセンティブがもたらされるのであれば、自身でその決定をすることができる。
【0043】
330 一般メンバーの操作及びアップグレード
企業は、それらのほとんどが中小規模の企業であり得るために、現在L/Iプログラムを有していない場合、UCDCシステムの一般メンバー*になることができる。彼らは、ビジネス取引のためのUCDC支払いを受け入れるために、ホスティング組織に登録できる。彼らは、また、UCDC交換プラットフォーム*を介したUCDCの売買を許可する。一般メンバーがL/Iプログラムを設立してUCDCをプログラム報酬として使用することを決定した場合、彼らは、また、1年後にメンバーシップをプレミアムメンバーシップにアップグレードすることを申請できる。
【0044】
340 消費者メンバー:
現在企業のL/Iプログラムに登録している消費者においては、企業がプレミアムメンバーになると、消費者は、UCDCシステムの消費者メンバーになり、消費者の元のプログラム報酬はUCDCになる。消費者メンバーは、UCDCを使用して、UCDCシステムの全てのメンバーから商品やサービスを購入できるか、あるいは、法定通貨の交換プラットフォームでUCDCを販売できる。
【0045】
350 IDCO/ICO
組織は、システムがスムーズに運用され、法的環境が十分に確立されていると確信したら、より多くのメンバーを取得するために、初期デジタル通貨オファリング又は初期暗号通貨オファリングの開始を検討することもできる。
【0046】
4.準備基金システムと流通プロセス
410 企業がプレミアムメンバーになると、企業は、プレミアムメンバーの支払い(プログラム報酬評価プロセスで定義)を、全額で、又は、分割払いする約束手形とともに、UCDC準備基金(基金)に支払う。基金への支払いは、組織の収入ではないが、組織に対する現在の負債として計上される。組織は、UCDCシステムの各プレミアムメンバーの全ての取引を記録する。
【0047】
420 月ベースで、企業が発行したよりも多くのUCDCを受け取った場合、企業は、UCDC交換プラットフォームを通じてUCDCを販売するか、あるいは、組織にこれらの購入を要求する(バイバック取引)という選択肢を有する。
【0048】
430 企業が受け取ったよりも多くのUCDCを発行した場合、企業は、受け取ったUCDCの額を、クレジットとして使用し(クレジットバック取引)、法定通貨で残高を支払う。
【0049】
440 UCDCの市場価格が組織によって設定された基準を下回る場合、基金は、独自の裁量で、UCDC(トレジャリーコイン*)を交換プラットフォームでバイバックして、UCDCの流通を減らす。
【0050】
450 UCDCの市場価格が組織によって設定された基準を上回った場合、基金は、独自の裁量で、UCDC(トレジャリーコイン)を交換プラットフォームで販売して、UCDCの流通を増やす。
【0051】
組織は、バイバック及びクレジットバック取引の両方にGレートを使用する。Gレートは、UCDCを発行する組織の国のCPIによって設定される。組織は、フローティングGレートを毎月UCDCシステムのウェブサイトで発表する。
【0052】
組織が各プレミアムメンバーからUCDCをバイバック及びクレジットバックできる最大額は、各プレミアムメンバーの準備基金への支払い総額に等しい。
【0053】
5.二重記録方法
より良いサービスを提供するために、UCDCシステムは、分散システム(公共元帳)と集中システムの両方を同時に使用する。つまり、UCDCシステムは、集中システム内に全ての取引を記録する。集中システムは、公共元帳のバックアップ記録であるだけでなく、公共向けの分類及び統計レポートも提供する。
【0054】
結論:
過去数十年の間に、一部の企業は破産を申請し、それにより、L/Iプログラム負債が一掃された。一部の企業は、プログラム報酬の有効期限を短縮する。それらの一部は、プログラム報酬の価値を減らす。UCDCシステムは、消費者を保護できる。なぜなら、UCDCシステムは、企業のL/Iプログラム負債が破産により消滅するのを防ぐとともに、企業の期限切れのプログラム報酬が有効期限の短縮や価値の低下になるのを防ぐことができるためである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】プログラム報酬からデジタル通過への初期統合を説明するための図面である。
【
図2】準備基金システムと流通プロセスを説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
1. 顧客ロイヤルティ/インセンティブプログラム:顧客ロイヤルティ/インセンティブプログラム(L/Iプログラム)は、頻繁に購入する顧客に対して企業によって提供される報酬プログラムである。L/Iプログラムは、顧客に、優待飲食、優待ホテル滞在、優待航空券、無料サービス、無料商品、報酬ポイント、割引クーポン、及びその他の消費者向けの利益を提供することができる。このようなロイヤルティ報酬値は、企業によって設定され、将来の消費の約束を構成し、そのため、企業の貸借対照表において現在の負債としてカウントされる。
【0057】
2.デジタル通貨:デジタル通貨(デジタルマネー又は電子マネー又は電子通貨)は、物理的な形式(紙幣や硬貨など)ではなく、デジタル形式でのみ利用可能な通貨の一種である。デジタル通貨は、物理通貨と同様の特性を示すが、オンライン取引とボーダーレスな所有権の移転が可能である。デジタル通貨は、仮想通貨、暗号通貨、及びその他の集中型又は分散型の暗号化されたデジタル通貨を含むが、これらに限定されない。組織は、最先端のデジタル通貨テクノロジーを選択及び維持し、それにより、確実に、全ての取引がタイムリーに、適切に記録され、保護されるようにする。全ての取引デジタル元帳は、暗号化/ブロックチェーンされ、変更不能なタイムスタンプされ、集中型及び分散型の両方で保存されることができる。
【0058】
3.評価プロセスとFE報酬値:
評価プロセスは、企業が使用する報酬プログラム(プログラム報酬)の各単位の金銭価値を決定するプロセスである。プログラム報酬には、ポイント、マイレージ、消費頻度、及びその他の優待単位が含まれるが、これらに限定されない。その後、金銭価値は、報酬プログラム負債の合計を計算するための基礎となり、企業のためにUCDCを発行するために組織の準備基金を支払う。その後、金銭価値は、報酬プログラム負債の合計を計算するための基礎となり、企業のためにUCDCを発行するために組織の準備基金を支払う。理想的には、金銭価値は、製品の市場価格と製品コストの中間にあり、販売者に経済的負担を引き起こさずに、消費者に十分なインセンティブを提供する。UCDCシステムは、以下の式を利用して、プログラム報酬に公正な推定金銭価値(FE報酬値)を提供する。
【0059】
110 B報酬値= L/Iプログラム負債/未払いのプログラム報酬の合計
【0060】
120 MP報酬値=スタンドアロン市場価格/製品と交換(引き換え)できる報酬単位の量
【0061】
121 複数の製品のスタンドアロン市場価格:{製品1の平均販売価格×(製品1の販売金額/全ての製品の合計販売金額)+製品2の平均販売価格×(製品2の販売金額/全ての製品の合計販売金額)・・・}
【0062】
122 単一の製品のスタンドアロン市場価格:単位あたりの平均販売価格
【0063】
130 FE報酬値=(B報酬値×50%+MP報酬値×50%)
注:一部の企業のB報酬値がコストよりも大きい又は小さい場合、上記のパーセンテージは異なり得る。
【0064】
140 UCDCの初期発行量=MP報酬値/UCDCの名目値×未払いのプログラム報酬の合計
【0065】
150 プレミアムメンバーの支払い=FE報酬値×未払いのプログラム報酬の合計
【0066】
160 為替レート=1:(1ドル(名目値)/MP報酬値)
【0067】
170 Gレート(バイバック又はクレジットバック保証レート)=名目値×FE報酬値/MP報酬値
【0068】
4.ホスティング組織:
UCDCシステムのホスティング組織は、非営利組織又は営利企業とすることができる。ホスティング組織の責務は、UCDCの完全なウェブサイトサービス及びウェブサイトセキュリティの提供、人員募集、メンバーアカウント管理、顧客のアカウント管理及び監査、ウォレット及び支払いサービス、交換プラットフォーム、スマートフォンアプリの開発及びメンテナンス、最初の公募(IDCO / ICO)、法規制の遵守が含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
5.UCDCシステムメンバーシップ:
プレミアムメンバー:
プレミアムメンバーは、商人のメンバーの1つである。彼らは、メンバーになる1年以上前に既存のL/Iプログラムを有する必要がある。企業は通常、貸借対照表にL/Iプログラム負債を有する。ホスティング組織と企業は、評価プロセスを経て、プログラム報酬の金銭価値を決定する。両方の当事者が値に同意すると、企業は、組織に、全額を支払うか、あるいは、全額を分割払いすることを約束する。 支払いはUCDC準備基金に入金される。その後、ホスティング組織は、UCDCを企業の顧客に発行する(企業によって提供される配布リストに従う)。プレミアムメンバーは、現金払いで組織にタイムリーな配布リストを提供する。新しく発行されたUCDCの毎月の支払いは、消費者から受け取ったUCDCプレミアムメンバーによって相殺(バイバック及びクレジットバック)できる。
【0070】
一般メンバー:一般メンバーは、商人メンバーの1つである。プログラム報酬をUCDCシステムに変換したくないと思う企業や、L/Iプログラムを有しないがホスティング組織に登録及び契約して製品又はサービスを交換するための支払いの1つとしてUCDCを受け入れたいと思う企業が存在する。
また、彼らは、UCDC交換プラットフォームを介したUCDCの売買も許容する。
【0071】
消費者メンバー:消費者メンバーは、企業からUCDCを取得できる。彼らは、UCDCオンラインシステムでの自身のアカウントを使用して、UCDCを使用して商品やサービスを購入できる。彼らは、UCDC交換プラットフォームで彼らのUCDCを売買することができる。UCDCシステムでアカウントを設定するには、彼らは、eメールアドレス、名前、誕生日、及びパスワードを提供するだけでよい。
【0072】
組織は、そのメンバーシップのメンバーシップ階層を作成し、UCDCを使用する取引をより多く行っているメンバーに、より多くの利益を提供することができる。
【0073】
6.UCDC交換プラットフォーム:UCDCを市場価格にてオンラインで購入及び販売できるウェブサイト。このプラットフォームは、UCDCシステム所有のプラットフォーム又は他の契約プラットフォームとすることができる。
【0074】
7.UCDC準備基金:UCDC準備基金は、UCDCシステムのバックボーンである。初期基金は、プレミアムメンバーの支払いによって提供されるべきである。支払いは、組織の収入ではないが、組織に対する現在の負債として計上される。UCDCの総流通量は、この基金の残高に基づいている。この基金の残高は、法定通貨、CD、債券、及びUCDCトレジャリーコインを含むが、これらに限定されない。この基金は、また、UCDCの最低市場価格(Gレート)をプレミアムメンバーに提供する。それにもかかわらず、この基金は、プレミアムメンバーにバイバック及びクレジットバックサービスを提供する。UCDCの市場価格が組織によって設定された基準を下回る場合、基金は、独自の裁量で、UCDC(トレジャリーコインとなる)を交換プラットフォームでバイバックして、UCDCの流通を減らす。UCDCの市場価格が組織によって設定された基準を上回った場合、基金は、独自の裁量で、UCDC(トレジャリーコイン)を交換プラットフォームで販売して、UCDCの流通を増やす。基金は、3つの主要通貨のみを維持する;それらは米ドル、ユーロ、及び中国人民元である。UCDC準備基金のセキュリティのため、基金への投資は、CD及びAA格以上の国債でのみ行うことができる。
【0075】
8.歳入基金:
準備基金によって生み出された全ての収入は、歳入基金に移されるべきである。 収入は、利息収入、配当収入、及び準備基金のプレミアムメンバーアカウントの決算残高を含むが、これらに限定されない。歳入は、UCDCシステムの運用費用に使用される。
【0076】
9.UCDC IDCO/ICO:
UCDC初期デジタル通貨オファリング/初期コインオファリングとは、プレミアムメンバーを招待し、新しいデジタル通貨ベンチャー又は暗号通貨ベンチャーのために資金を調達することを意味する。