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特許7195653視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20221219BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020568582
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2018077715
(87)【国際公開番号】W WO2019165620
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520332841
【氏名又は名称】ヒーズ アイピー ホールディングス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】陳台國
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-147718(JP,A)
【文献】特開2011-145607(JP,A)
【文献】特開2002-090704(JP,A)
【文献】特開2016-020929(JP,A)
【文献】特開平11-234705(JP,A)
【文献】国際公開第2015/170080(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法であって、
自発光ディスプレイの1つまたは複数の画素が光をコリメータに放出することで前記コリメータを通る前記光がコリメート光を形成するように平行化されるステップと、
少なくとも2つの画素からの前記コリメート光が、視野の深さを連続的に変えるように異なる場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にし、視野像の複数の深さを実現するように複数の仮想画像を表示することを可能にするように前記コリメート光の方向を変更するために前記コリメータからの前記光の経路上に少なくとも1つのコリメート光方向変更ユニットを設けるステップと、を含み、
前記少なくとも1つのコリメート光方向変更ユニットは、液晶空間光変調器であることを特徴とする、
視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項2】
前記自発光ディスプレイは、有機発光ダイオード、微小発光ダイオード、量子ドット発光体、またはレーザを含む活性光源を備えることを特徴とする、請求項1に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項3】
前記自発光ディスプレイは透明ディスプレイまたは不透明ディスプレイであることを特徴とする、請求項1に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項4】
前記コリメータは、マイクロレンズ、平面メタレンズ、または液晶空間光変調器であることを特徴とする、請求項1に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項5】
前記平面メタレンズは光の方向を平行化するためのジオプターレンズの機能を有することを特徴とする、請求項4に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項6】
前記コリメート光方向変更ユニットの前記液晶空間光変調器は複数の液晶セルを備え、前記液晶セル内の液晶の配列は、各画素からの入射光の方向が平行化されるように、前記液晶セルに加えられる駆動電圧を変えることによって変更可能であることを特徴とする、請求項4に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項7】
前記液晶空間光変調器は複数の液晶セルを備え、前記液晶セル内の液晶の配列は、前記コリメート光の方向を変更し、かつ少なくとも2つのコリメート光が交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするように、前記液晶セルに加えられる駆動電圧を変えることによって変更可能であることを特徴とする、請求項1に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項8】
少なくとも2つの液晶セルの前記駆動電圧は、少なくとも2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を作るために種々の場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするために変更可能であることを特徴とする、請求項に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項9】
少なくとも1つの液晶セルの前記駆動電圧は、少なくとも2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を作るために種々の場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするために変更可能であることを特徴とする、請求項に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【請求項10】
前記画素は、単一の画素、または、複数の画素を含む画素群であることを特徴とする、請求項1に記載の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法に関し、より詳細には、出力像が視野の複数の深さを有するように、任意の2つの画素によって放出される光を種々の場所で交差させかつ焦点を作らせることが可能なニアアイディスプレイ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイム情報に対する要求が増大するにつれて、オンデマンドデータ伝送の重要性も大きくなっている。ニアアイディスプレイ(NED)は、携帯型であることが多く、他のデバイスに容易に組み込み可能であり、かつ、画像、色、テキスト、および/または音声データをいつでも送信可能であるため、主に、携帯情報機器またはオンデマンドデータ伝送の目的として選ばれる。
ニアアイディスプレイは、従来軍用または官用に実装されることが多かった。しかし現在は、ニアアイディスプレイ産業は、消費者部門での拡大を求めている。同時に、娯楽産業もニアアイディスプレイの市場潜在力を見出しており、例えば、家庭用娯楽システムおよびゲームソフト開発者は、ニアアイディスプレイの研究および開発に取り組んでいる。
【0003】
現在、典型的なニアアイディスプレイは、画像をユーザの目に直接投影できるヘッドマウントディスプレイ(HMD)を含む。このタイプのディスプレイは、より大きいディスプレイをエミュレートして、モバイルデバイスにおけるディスプレイの欠点を克服することが可能である。ヘッドマウントディスプレイはまた、仮想現実または拡張現実の使用に適用可能である。
【0004】
ニアアイディスプレイは、さらに、2つのタイプ、没入型ディスプレイおよびシースルーディスプレイに分類可能である。仮想現実(VR)環境では、没入型ディスプレイは、合成画像がユーザの視野を完全に覆うことを可能にするように実装可能である。拡張現実(AR)環境では、シースルーディスプレイが実装されることで、テキスト、注記、または画像は、実像と重ね合わせられ得る。拡張現実ディスプレイ技術の分野では、シースルーディスプレイにおいて(光学または電気工学手段によって実装される)透明パネルが使用されることが多い。これによって、ニアアイディスプレイのユーザは、仮想画像および実像の両方を同時に見ることが可能になる。
【0005】
しかしながら、人間の目は非常に近い距離に置かれた物体に焦点を合わせることが不可能であるため(例えば、ユーザが眼鏡をかけ、かつ読書補助具として拡大鏡を使用する時、拡大鏡および眼鏡の範囲内の距離は「近距離」とみなされる)、その結果、ニアアイディスプレイは、ユーザに快適な使用体験を提供するように、焦点の合っていない画像を回避するために較正かつ調節される必要がある。従来のニアアイディスプレイは、画像の焦点を調節するために複雑で重い光学アセンブリに頼るが、ニアアイディスプレイは通常、ユーザの頭に装着されるため、ニアアイディスプレイが重くなると、ユーザは順応不可能であることが多い。
【0006】
上記の欠点を克服するために、少なくとも2つの別個の画素によって放出される少なくとも2つの光ビームが鮮明な画像を生じさせるように交差し、かつ焦点が合わせられ得る場合、重い光学アセンブリはもはや不必要になり、さらに、光学アセンブリに起因する製造費はなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、製造費を低減し、かつ表示効率を高める、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法を提供する。本発明は、任意の2つの画素によって放出される光が種々の場所で交差し、かつ焦点を作ることを可能にすることで、出力像が視野の複数の深さを有するようにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を実現するために、本発明は、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法であって、自発光ディスプレイの1つまたは複数の画素が光をコリメータに放出することでコリメータを通る光がコリメート光を形成するように平行化されるステップと、少なくとも2つの画素からのコリメート光が、視野の深さの変更を生じさせるように異なる場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするようにコリメート光の方向を変更するためにコリメータからの光の経路上に少なくとも1つのコリメート光方向変更ユニットを設けるステップと、を含むことを特徴とする、ニアアイディスプレイ表示方法を開示する。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、自発光ディスプレイは、有機発光ダイオード、微小発光ダイオード、量子ドット発光体、またはレーザを含む活性光源を備える。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、自発光ディスプレイは透明ディスプレイまたは不透明ディスプレイである。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、コリメータは、マイクロレンズ、平面メタレンズ、または液晶空間光変調器である。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、平面メタレンズは光の方向を平行化するためのジオプターレンズの機能を有する。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶空間光変調器は複数の液晶セルを備え、液晶セル内の液晶の配列は、各画素からの入射光の方向が平行化されるように、液晶セルに加えられる駆動電圧を変えることによって変更可能である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、コリメート光方向変更ユニットは、マイクロレンズ、平面メタレンズ、または液晶空間光変調器である。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、マイクロレンズによって、少なくとも2つのコリメート光が交差し、かつ焦点を合わせることが可能になる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、平面メタレンズは、少なくとも2つのコリメート光が交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするためのバンプを有する複数の部位を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、バンプを有する2つの異なる部位を利用して、少なくとも2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を作るために種々の場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にする。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、バンプを有する部位を利用して、少なくとも2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を作るために種々の場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にする。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、液晶空間光変調器は複数の液晶セルを備え、液晶セルにおける液晶の配列は、コリメート光の方向を操作し、かつ少なくとも2つのコリメート光が交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするように、液晶セルに加えられる駆動電圧を変えることによって変更可能である。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも2つの液晶セルの駆動電圧は、少なくとも2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を作るために種々の場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするために変更可能である。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの液晶セルの駆動電圧は、少なくとも2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を作るために種々の場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするために変更可能である。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、画素は、単一の画素、または、複数の画素を含む画素群である。
【0023】
本発明による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法は、先行技術に対して以下の利点を有する。
1.本発明は、2つ以上の画素によって放出された光が、種々の場所で交差して焦点を作ることを可能にすることで、出力像が視野の複数の深さを有する効果を示すようにする。前述の画素は、単一の画素、または、複数の画素を含む画素群である。
2.本発明による液晶空間光変調器は、コリメート光の方向を直接調節できるため、2つの画素によって放出される光を使用して種々の場所に焦点を作るために画素の位置を移動させる必要はない。すなわち、2つの画素によって放出される光は種々の場所で交差し、かつ種々の焦点を作ることが可能である。過剰な光学素子を使用することに起因する費用をなくすことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の概略的なフロー図である。
図2A】本発明の第1の実施形態による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の概略的なアーキテクチャ図である。
図2B】本発明の第1の実施形態による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の模式図である。
図3A】本発明の第2の実施形態による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の概略的なアーキテクチャ図である。
図3B】本発明の第2の実施形態による、視野像の複数の深さを有するニアアイディスプレイ表示方法の模式図である。
図4A】本発明の第3の実施形態による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の概略的なアーキテクチャ図である。
図4B】本発明の第3の実施形態による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の模式図である。
図5A】本発明の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法による、視野の複数の深さの概念を示す模式図である。
図5B】本発明の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法による、視野の複数の深さの概念を示す別の模式図である。
図6A】本発明の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の別の実施形態による、視野の複数の深さの概念を示す模式図である。
図6B】本発明の視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法の別の実施形態による、視野の複数の深さの概念を示す別の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、ここで、例としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法のフロー図であり、方法は、以下のステップを含む。
ステップ101:自発光ディスプレイの1つまたは複数の画素が光をコリメータに放出することでコリメータを通る光が平行化されるステップ
ステップ102:少なくとも2つの画素からのコリメート光が、視野の深さを変えるように異なる場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にするようにコリメート光の方向を変更するためにコリメータからの光の経路上に少なくとも1つのコリメート光方向変更ユニットを設けるステップ
【0027】
前述の方法において、自発光ディスプレイ1は自発光を可能にする技術を利用し、自発光ディスプレイ1は、透明ディスプレイまたは不透明ディスプレイであってよい。自発光ディスプレイ1は、有機発光ダイオード(OLED)、微小発光ダイオード(マイクロLED)、量子ドット発光体、またはレーザなどの活性光源を備えてよい。
【0028】
コリメータは、マイクロレンズ、液晶空間光変調器(LCSLM)、または平面メタレンズであってよい。以下では、種々のタイプのコリメータについてさらに説明する。
(1)マイクロレンズ:図2Aに示されるように、マイクロレンズ2は、自発光ディスプレイ1によって放出される光の光路上にある。動作中、図2Bに示されるように、自発光ディスプレイ1の少なくとも1つの画素11からの入射光の方向は平行化される。
(2)液晶空間光変調器(LCSLM):図3Aに示されるように、液晶空間光変調器3は複数の液晶セル31を備え、自発光ディスプレイ1上の少なくとも1つの画素11が入射光を放出する時、図3Bに示されるように、少なくとも1つの画素11の入射光を受ける液晶セル31のうちの1つの駆動電圧は、少なくとも1つの画素11からの入射光が平行化されるように変更可能である(液晶の位相を変えるために液晶セル31の駆動電圧を変更する既知の技術はここでは省略される)。
(3)平面メタレンズ:図4Aに示されるように、平面メタレンズ4はバンプを有する複数の部位41を備え、動作中、図4Bに示されるように、画素11のうちの1つからの入射光は部位41のうちの1つによって平行化可能である(平面メタレンズ4が光に影響を与えて異なる方向に進むようにし得るという事実は、当技術分野では周知であるため、ここではさらなる説明は省略される)。本明細書に説明される平面メタレンズは、光を屈折させ、かつコリメート光の方向を変更する機能を果たすナノバンプを含有するメタ表面である。
【0029】
コリメート光方向変更ユニットは、マイクロレンズ、液晶空間光変調器(LCSLM)、または平面メタレンズである。以下では、種々のタイプのコリメート光方向変更ユニットについてさらに説明する。
(1)マイクロレンズ:
A.マイクロレンズ2の構造は図2Aに示されており、マイクロレンズ2を利用して、少なくとも2つのコリメート光が仮想画像を作るために交差し、かつ焦点を合わせることを可能にする。
B.2つの異なるマイクロレンズ2を利用して、2つのコリメート光が交差できるようにし、別のマイクロレンズ2を利用して、別のコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を生じさせるために異なる場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にする。
(2)液晶空間光変調器(LCSLM):
A.液晶空間光変調器3の構造は図3Aに示されている。液晶空間光変調器3の構造は複数の液晶セル31を備え、コリメート光の方向を変更する動作原理は、2つの画素11の入射光(コリメート光)を受ける液晶セル31のうちの1つの駆動電圧を変更することで、少なくとも2つの入射光(コリメート光)の方向は変更されて、少なくとも2つの入射光(コリメート光)を交差させかつ仮想画像の焦点を作らせる。
B.少なくとも2つの異なる液晶セル31の駆動電圧は、視野の複数の深さを有する画像を生じさせるために、2つのコリメート光が異なる場所で交差し、かつ焦点を作るように変更される。
C.液晶セル31の駆動電圧は一定のままであり、少なくとも別の異なる液晶セル31の駆動電圧は、視野の複数の深さを有する画像を生じさせるために、2つのコリメート光が異なる場所で交差し、かつ焦点を作るように変更される。
(3)平面メタレンズ:
A.平面メタレンズ4の構造は図4Aに示されている。平面メタレンズ4は、少なくとも2つのコリメート光が、仮想画像を生じさせるために交差し、かつ焦点を作ることを可能にする。
B.バンプを有する2つの異なる部位41を利用して、2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を生じさせるために、それぞれ、種々の場所で交差して焦点を作ることを可能にする。
C.バンプを有する異なる部位41を利用して、少なくとも2つのコリメート光が、視野の複数の深さを有する画像を作るために、種々の場所で交差し、かつ焦点を合わせることを可能にする。
【0030】
視野の複数の深さを有する画像を生成する時、コリメータおよびコリメート光方向変更ユニットの種々の組み合わせが使用可能である。この組み合わせについて、以下のように説明する。
(1)マイクロレンズはコリメータとして使用され、マイクロレンズ、液晶空間光変調器(LCSLM)、または平面メタレンズはコリメート光方向変更ユニットとして使用される。
(2)液晶空間光変調器はコリメータとして使用され、同液晶空間光変調器はコリメート光方向変更ユニットとして使用される。
(3)平面メタレンズはコリメータとして使用され、同平面メタレンズはコリメート光方向変更ユニットとして使用される。
(4)平面メタレンズはコリメータとして使用され、マイクロレンズ、液晶空間光変調器、または平面メタレンズは、コリメート光方向変更ユニットとして使用される。
【0031】
図5Aに示されるように、コリメータはマイクロレンズ2であり、コリメート光方向変更ユニットは液晶空間光変調器3である。マイクロレンズ2が自発光ディスプレイの2つの画素11からの光を平行化した後、液晶空間光変調器3の液晶セル31のうちの1つは、画素11の1つまたは複数からの光の方向を調節することで、2つの画素11の光は拡張し、かつ仮想画像51を形成できる。
図5Bに示されるように、液晶セル31のうちの1つの位相は、コリメート光の方向を変えるために変更され得、それによって、2つの画素の光は、視野の深さを拡張するように別の仮想画像52を形成するために別の場所で重なり合うことが可能である。前述の方法によって、液晶セル31の位相は、人間の目6が視野像の複数の深さを実現するように複数の連続した仮想画像を見ることが可能であるように常に調節可能である。
【0032】
本発明の別の態様では、単一の要素は、光の方向を平行化し、かつ変更するために利用可能である。この説明は以下のようになる。
(1)マイクロレンズ2は、光を直接平行化し、かつコリメート光の方向を変更できる。しかしながら、種々のマイクロレンズがコリメート光の方向を変えることが可能である方向は、マイクロレンズの製造プロセスに従ってあらかじめ定められる。従って、図6Aに示されるように、2つの別個のマイクロレンズ2によって、2つのコリメート光は、仮想画像53を生じさせるために交差しかつ焦点を作る。しかしながら、別の仮想画像のための焦点を形成することが必要とされる場合、図6Bに示されるように、別のマイクロレンズ2からの光および元のマイクロレンズ2からのコリメート光は、別の仮想画像54を生じさせるために交差し、かつ別の焦点を作る。
(2)液晶空間光変調器3または平面メタレンズ4を同時に使用して、光を平行化し、かつコリメート光の方向を調節することが可能であり、液晶空間光変調器3の液晶セル31の駆動電圧は、仮想画像を生じさせるために種々の場所で焦点を作るようにコリメート光の方向を調節するために直接変更可能である。しかしながら、平面メタレンズ4は、仮想画像を生じさせるために種々の場所で焦点を作るようにバンプを有する複数の種々の部位41を利用することが必要である。
【0033】
本発明による、視野像の複数の深さを可能にするニアアイディスプレイ表示方法は、先行技術に対する以下の利点を有する。
1.本発明によって、2つ以上の画素によって放出される光は、種々の場所で交差して焦点を作ることで、出力像が視野の複数の深さを有する効果を示すようにする。前述の画素は、単一の画素、または、複数の画素を含む画素群である。
2.本発明による液晶空間光変調器は、コリメート光の方向を直接調節できるため、2つの画素によって放出される光を種々の場所で交差させ、かつ焦点を作ることを可能にするために画素の位置を移動させる必要はない。過剰な光学素子を使用することに起因する費用をなくすことが可能である。
【0034】
本発明の特定の実施形態は例示の目的で詳細に説明されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および向上がなされてよい。それ故に、本発明は添付の特許請求の範囲によるものを除き限定されることはない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B