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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】流体噴射又は吸引装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/00 20180101AFI20221219BHJP
   F04B 9/08 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B05B15/00
F04B9/08 G
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021000923
(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公開番号】P2022106138
(43)【公開日】2022-07-19
【審査請求日】2022-06-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237167
【氏名又は名称】富士フィルター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕一
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203111(JP,A)
【文献】国際公開第02/32583(WO,A1)
【文献】特開平9-184460(JP,A)
【文献】特開2017-160890(JP,A)
【文献】特開2007-229687(JP,A)
【文献】特開昭63-294982(JP,A)
【文献】特開平11-57643(JP,A)
【文献】特公昭48-9431(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
F04B 9/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを介して流体を対象空間に噴射又は前記対象空間から吸引する流体噴射又は吸引装置であって、
中空管状に形成され、両端開口部が閉塞部材で閉塞されたシリンダと、
前記シリンダに前記両端開口部間で相対移動可能に挿嵌されて、前記シリンダの内部を第1流体室と第2流体室とに区画するピストンと、
前記シリンダに挿嵌された前記ピストンから前記閉塞部材を貫通して前記シリンダの外部まで延びて固定され、前記ピストンを支持するとともに前記閉塞部材の貫通孔と摺接して前記シリンダの移動を案内し、前記第1流体室を外部の第1外部配管に連通接続する第1内部流路、及び、前記第2流体室を外部の第2外部配管に連通接続する第2内部流路を有する、前記ピストンよりも周方向外形の面積が小さいガイドと、
前記ノズルのうち前記第1流体室と前記対象空間とを連通する第1ノズルと、
前記ノズルのうち前記第2流体室と前記対象空間とを連通する第2ノズルと、
を備え、
前記第1外部配管及び前記第2外部配管のうち所定圧力の流体を発生させる流体圧力源に連通する配管が順次切り替えられるように構成され、
前記流体圧力源から前記第1ノズル及び前記第2ノズルまでの流路において、前記第1流体室と前記第2流体室とを短絡すると共に双方向に流体を流通可能な短絡流路を有し、前記短絡流路には流路を絞る絞り手段が設けられており、
前記絞り手段は、前記第1流体室と前記第2流体室のうち前記流体圧力源と連通する流体室と連通しない流体室との間に発生する内圧差に応じて、前記流体を高圧側の流体室から低圧側の流体室に向けて流通させ、前記低圧側の流体室の容積の減少速度を低下させながら前記ピストンを相対移動させるように構成されている、
流体噴射又は吸引装置。
【請求項2】
前記短絡流路は前記ピストンに形成されている、請求項1に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項3】
前記絞り手段としてオリフィスを有する、請求項2に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項4】
前記ピストンを前記第1流体室側から前記第2流体室側まで貫通する貫通孔が穿設されるとともに、前記貫通孔にはプラグが着脱可能に装着され、
前記短絡流路は前記プラグにおいて前記第1流体室と前記第2流体室とを連通して形成された、請求項2又は請求項3に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項5】
前記閉塞部材のうち前記シリンダの一端開口部を閉塞する第一閉塞部材には前記プラグを出し入れ可能な作業用貫通孔が穿設されており、該作業用貫通孔は常閉蓋によって開閉可能に閉塞されている、請求項4に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項6】
前記プラグは前記貫通孔に螺合して装着され、
前記プラグは該プラグの回転軸線と同軸の円錐面を有するとともに、前記貫通孔は前記プラグが装着されたときに前記円錐面と対向する対向円錐面を有し、
前記短絡流路は、前記円錐面と前記対向円錐面との間に形成された隙間を含んで形成され、
前記絞り手段として、前記貫通孔に対する前記プラグの螺合量に応じて前記隙間の間隔が変化する可変絞り弁を有する、請求項4又は5に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項7】
前記プラグの前記第2流体室側において、前記第1流体室から前記第2流体室への前記短絡流路を介した流体流入を許容し、かつ、前記第2流体室から前記第1流体室への前記短絡流路を介した流体流入を阻害する弁体を備えた、請求項4乃至6の何れか一項に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項8】
前記ピストンには前記第1流体室と前記第2流体室とを連通する別の貫通孔がさらに穿設されるとともに、前記別の貫通孔には前記プラグが追加プラグとしてさらに着脱可能に装着され、
前記追加プラグの前記第1流体室側において、前記第2流体室から前記第1流体室への前記短絡流路を介した流体流入を許容し、かつ、前記第1流体室から前記第2流体室への前記短絡流路を介した流体流入を阻害する弁体を備えた、
請求項7に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項9】
前記短絡流路は前記シリンダの外部に現れる短絡配管を介して形成され、
前記絞り手段として、前記短絡配管に配設された流量調整弁を有する、請求項1に記載の流体噴射又は吸引装置。
【請求項10】
ノズルを介して流体を対象空間に噴射又は前記対象空間から吸引する流体噴射又は吸引装置であって、
中空管状に形成され、両端開口部が閉塞部材で閉塞されたシリンダと、
前記シリンダに前記両端開口部間で相対移動可能に挿嵌されて、前記シリンダの内部を第1流体室と第2流体室とに区画するピストンと、
前記シリンダに挿嵌された前記ピストンから前記閉塞部材を貫通して前記シリンダの外部まで延びて固定され、前記ピストンを支持するとともに前記閉塞部材の貫通孔と摺接して前記シリンダの移動を案内し、前記第1流体室を外部の第1外部配管に連通接続する第1内部流路、及び、前記第2流体室を外部の第2外部配管に連通接続する第2内部流路を有する、前記ピストンよりも周方向外形の面積が小さいガイドと、
前記ノズルのうち前記第1流体室と前記対象空間とを連通する第1ノズルと、
前記ノズルのうち前記第2流体室と前記対象空間とを連通する第2ノズルと、
を備え、
前記第1外部配管及び前記第2外部配管のうち所定圧力の流体を発生させる流体圧力源に連通する配管が順次切り替えられるように構成され、
前記第1外部配管と前記第2外部配管とを連通接続する短絡配管を有し、前記短絡配管には流路を絞る絞り手段として流量調整弁が配設されている、
流体噴射又は吸引装置。
【請求項11】
ノズルを介して流体を対象空間に噴射又は前記対象空間から吸引する流体噴射又は吸引装置であって、
中空管状に形成され、両端開口部が閉塞部材で閉塞されたシリンダと、
前記シリンダに前記両端開口部間で相対移動可能に挿嵌されて、前記シリンダの内部を第1流体室と第2流体室とに区画するピストンと、
前記シリンダに挿嵌された前記ピストンから前記閉塞部材を貫通して前記シリンダの外部まで延びて固定され、前記ピストンを支持するとともに前記閉塞部材の貫通孔と摺接して前記シリンダの移動を案内し、前記第1流体室を外部の第1外部配管に連通接続する第1内部流路、及び、前記第2流体室を外部の第2外部配管に連通接続する第2内部流路を有する、前記ピストンよりも周方向外形の面積が小さいガイドと、
前記ノズルのうち前記第1流体室と前記対象空間とを連通する第1ノズルと、
前記ノズルのうち前記第2流体室と前記対象空間とを連通する第2ノズルと、
を備え、
前記第1外部配管及び前記第2外部配管のうち所定圧力の流体を発生させる流体圧力源に連通する配管が、前記流体圧力源と圧力接続管を介して接続された流路切換弁で順次切り替えられるように構成され、
前記流体圧力源から前記第1ノズル及び前記第2ノズルまでの流路において、前記流体圧力源に連通している流路と前記流体圧力源に連通していない流路とを短絡する短絡流路を有し、
前記流路切換弁を迂回して前記圧力接続管と前記第1外部配管とを連通接続する第1短絡配管と、前記流路切換弁を迂回して前記圧力接続管と前記第2外部配管とを連通接続する第2短絡配管と、を有し、
前記第1短絡配管及び前記第2短絡配管には、各流路を絞る絞り手段として流量調整弁がそれぞれ配設された、流体噴射又は吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の噴射又は吸引を行う流体噴射又は吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射又は吸引装置として、例えば特許文献1に記載のように、挿嵌したピストンでシリンダ内を区画した2つの空間のそれぞれに外部と連通するノズルを設け、2つの空間とシリンダ外部との間で2つのノズルを介して流体の噴射又は吸引を行うものが知られている。この流体噴射又は吸引装置では、ピストンを固定して、流体噴射時には高圧源から一方の空間へ流体を送り出し、あるいは、流体吸引時には一方の空間から低圧源へ流体を吸い込み、このときの2つの空間の容積変化を利用してシリンダを移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-203111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の流体噴射又は吸引装置では、流体の噴射量又は吸引量が一定であればシリンダを一定の速度で移動させることができるが、何らかの理由により、シリンダ移動速度の低下を必要とする状況が想定される。
【0005】
シリンダ移動速度は、高圧源又は低圧源の発生圧力の調整により低下させることが可能である。しかし、流体を噴射しているときに高圧源の発生圧力を減少させてシリンダ移動速度を低下させると、流体の噴射量が減少してしまう一方、流体を吸引しているときに低圧源の発生圧力を上昇させてシリンダ移動速度を低下させると、流体の吸引量が減少してしまう。
【0006】
また、シリンダ移動速度は、シリンダ内の2つの空間の最大容積の増大化設計やノズル口径の小径化設計により低下させることが可能である。しかし、シリンダ内の2つの空間の最大容積を増大させるとシリンダが大径化して設置空間が限定されたり、ノズル口径を小径化すると流体の噴射量又は吸引量の減少を招いたりするおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は以上のような問題点に鑑み、体格の大型化や流体の噴射量又は吸引量の減少を抑えつつ、簡易な構成でシリンダ移動速度の低下が可能な流体噴射又は吸引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流体噴射又は吸引装置では、ノズルを介して流体を対象空間に噴射又は対象空間から吸引するものであって、中空管状に形成され、両端開口部が閉塞部材で閉塞されたシリンダと、シリンダに両端開口部間で相対移動可能に挿嵌されて、シリンダの内部を第1流体室と第2流体室とに区画するピストンと、シリンダに挿嵌されたピストンから閉塞部材を貫通してシリンダの外部まで延びて固定され、ピストンを支持するとともに閉塞部材の貫通孔と摺接してシリンダの移動を案内し、第1流体室を外部の第1外部配管に連通接続する第1内部流路、及び、第2流体室を外部の第2外部配管に連通接続する第2内部流路を有する、ピストンよりも周方向外形の面積が小さいガイドと、ノズルのうち第1流体室と対象空間とを連通する第1ノズルと、ノズルのうち第2流体室と対象空間とを連通する第2ノズルと、を備え、第1配管及び第2配管のうち所定圧力の流体を発生させる流体圧力源に連通する配管が順次切り替えられるように構成され、流体圧力源から第1ノズル及び第2ノズルまでの流路において、第1流体室と第2流体室とを短絡すると共に双方向に流体を流通可能な短絡流路を有し、短絡流路には流路を絞る絞り手段が設けられており、絞り手段は、第1流体室と第2流体室のうち流体圧力源と連通する流体室と連通しない流体室との間に発生する内圧差に応じて、流体を高圧側の流体室から低圧側の流体室に向けて流通させ、前記低圧側の流体室の容積の減少速度を低下させながら前記ピストンを相対移動させるように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る流体噴射又は吸引装置によれば、体格の大型化や流体の噴射量又は吸引量の減少を抑えつつ、簡易な構成でシリンダ移動速度を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る流体噴射又は吸引装置を模式的に示す概略構成図である。
図2】噴射モードでの移動シリンダの方向D1への移動状態を示す説明図である。
図3】噴射モードでの移動シリンダのD1規制状態を示す説明図である。
図4】噴射モードでの移動シリンダの方向D2への移動状態を示す説明図である。
図5】噴射モードでの移動シリンダのD2規制状態を示す説明図である。
図6】吸引モードでの移動シリンダの方向D1への移動状態を示す説明図である。
図7】吸引モードでの移動シリンダのD1規制状態を示す説明図である。
図8】吸引モードでの移動シリンダの方向D2への移動状態を示す説明図である。
図9】吸引モードでの移動シリンダのD2規制状態を示す説明図である。
図10】第2実施形態に係る流体噴射又は吸引装置の要部を模式的に示す断面図である。
図11】同装置におけるプラグ装着完了状態を示す断面図である
図12】同装置の第1変形例を模式的に示す断面図である。
図13】同変形例におけるプラグ装着完了状態を示す断面図である。
図14】同装置の第2変形例を模式的に示す断面図である。
図15】同装置の第3変形例を模式的に示す断面図である。
図16】同変形例におけるプラグ装着完了状態を示す断面図である。
図17】同変形例において複数プラグの装着状態を示す断面図である。
図18】第3実施形態に係る流体噴射又は吸引装置の一態様を模式的に示す概略構成図である。
図19】同装置の別態様を模試的に示す概略構成図である。
図20】第4実施形態に係る流体噴射又は吸引装置の一態様を模式的に示す概略構成図である。
図21】同装置の別態様を模式的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1図5を参照して、第1実施形態に係る流体噴射又は吸引装置について説明する。図1は、第1実施形態に係る流体噴射又は吸引装置の概略構成を示す断面図である。流体噴射又は吸引装置(以下、単に「流体装置」という)1は、例えば、濾過装置にフィルター洗浄機能として組み込まれ、流体をフィルターへ噴射して、あるいは、フィルターから流体を吸引することで、濾過装置の濾過機能によりフィルターに付着した捕捉物を除去する目的等で用いられる。概略構成として、流体装置1は、ピストン・シリンダ機構2と、ピストン・シリンダ機構2に接続された外部配管系3と、制御系4と、を備える。
【0013】
(ピストン・シリンダ機構)
ピストン・シリンダ機構2は、流体の噴射位置を移動させつつ流体を噴射し、あるいは、流体の吸引位置を移動させつつ流体を吸引する機構であり、流体の噴射又は吸引の対象となる空間(以下、「対象空間」という)Eに配置されるものである。ピストン・シリンダ機構2は、主に、移動シリンダ11、ピストン12、第1ガイド13及び第2ガイド14で構成される。
【0014】
具体的には、移動シリンダ11は断面一様な中空管状に形成され、移動シリンダ11の内周面に倣って周方向外形が形成されたピストン12が移動シリンダ11にその両端開口部間で相対移動可能に挿嵌される。第1ガイド13及び第2ガイド14は、断面一様に延びる中実棒状に、かつ、それらの周方向外形の面積がピストン12の周方向外形の面積よりも小さく形成され、以下の状態になるようにピストン12と接続ないし一体成形される。すなわち、第1ガイド13は、挿嵌されたピストン12のうち移動シリンダ11の一端開口部の方向を臨む部分からその一端開口部を介して外方に向けて延びる。また、第2ガイド14は、挿嵌されたピストン12のうち移動シリンダ11の他端開口部の方向を臨む部分からその他端開口部を介して外方に向けて延びる。第1ガイド13及び第2ガイド14のうち少なくとも一方(図示の例では第2ガイド14)はピストン・シリンダ機構2の外部(対象空間Eでもよい。以下同様。)の外部構造物Fに固定され、ピストン12はガイド13,14の少なくとも一方を介して支持される。このように、ピストン・シリンダ機構2は、移動シリンダ11がピストン12と摺接しつつガイド13,14に案内されて往復動するように構成される。
【0015】
以下、説明を容易にするために、移動シリンダ11は直管状に形成され、ガイド13,14は、移動シリンダ11の形状に倣って、移動シリンダ11に挿嵌されたピストン12から移動シリンダ11の両端開口後部を介して外方に向けて直線状に延びるものとする。これにより、移動シリンダ11は、ピストン12から第1ガイド13に向かう方向D1あるいはピストン12から第2ガイド14に向かう方向D2へ直線状に移動する。なお、方向D1,D2としては、ピストン・シリンダ機構2の設置姿勢に応じて、鉛直方向や水平方向等の様々な方向を選択することができる。
【0016】
移動シリンダ11の一端開口部は第1閉塞部材15で閉塞され、移動シリンダ11の他端開口部は第2閉塞部材16で閉塞される。第1閉塞部材15には第1ガイド13が相対移動可能に貫通し、第2閉塞部材16には第2ガイド14が相対移動可能に貫通している。ガイド13,14は、その外周面が閉塞部材15,16の貫通孔の内周面と摺接することで移動シリンダ11の移動を案内する。
【0017】
第1ガイド13の外周面と対向する第1閉塞部材15の貫通孔の内周面に全周に亘って陥凹形成された溝には、例えばOリング等の環状のシール部材17が保持される。また、第2ガイド14の外周面と対向する第2閉塞部材16の貫通孔の内周面に全周に亘って陥凹形成された溝には、シール部材17と同様の環状のシール部材18が保持される。このシール部材17,18は、ガイド13,14の外周面と接触して、移動シリンダ11の内外間を液密ないし気密に保つように構成される。
【0018】
2つの閉塞部材15,16で閉塞された移動シリンダ11の内部空間は、挿嵌されたピストン12によって、第1流体室19及び第2流体室20の2つの空間に区画される。具体的には、第1流体室19は、ピストン12、第1閉塞部材15、移動シリンダ11及び第1ガイド13によって画定され、第2流体室20は、ピストン12、第2閉塞部材16、移動シリンダ11及び第2ガイド14によって画定される。例えば、方向D1又は方向D2からみてガイド13,14及びピストン12の断面外形が重畳していなければ、第1流体室19及び第2流体室20は筒状の空間となる。
【0019】
移動シリンダ11の内部空間を厳密に第1流体室19及び第2流体室20の2つの空間に区画するために、移動シリンダ11の内周面と対向するピストン12の外周面に全周に亘って陥凹形成された溝に、例えばOリング等の環状のシール部材21が保持される。このシール部材21は、移動シリンダ11がガイド13,14に沿って移動するときに移動シリンダ11の内周面と摺接して、第1流体室19と第2流体室20との間を液密ないし気密に保つように構成される。
【0020】
ピストン12及びガイド13,14等の相対的な静止体に対して運動を行う、移動シリンダ11及び閉塞部材15,16等の運動体には、第1流体室19と対象空間Eとを連通する第1連通路22が形成される。図示の例では、第1連通路22は第1閉塞部材15に穿設されている。また、運動体には、第2流体室20と対象空間Eとを連通する第2連通路23が形成される。図示の例では、第2連通路23は第2閉塞部材16に穿設されている。
【0021】
上記の第1連通路22には 対象空間Eに突出する中空管状の第1ノズル24が設けられ、同様に、上記の第2連通路23には対象空間Eに突出する中空管状の第2ノズル25が設けられる。第1ノズル24及び第2ノズル25は、ピストン・シリンダ機構2に接続される外部配管系3の流体圧力源(後述する)の種類に応じて、流体室19,20の流体を対象空間Eへ噴射するか、あるいは、対象空間Eの流体を流体室19,20へ吸引するものである。第1ノズル24は、第1流体室19の内面のうち第1流体室19内の流体圧力が方向D1に作用する実効的な面積(以下、「第1有効受圧面積」という)よりも極めて小さい流路断面積を有する。第2ノズル25は、第2流体室20の内面のうち第2流体室20内の流体圧力が方向D2に作用する実効的な面積(以下、「第2有効受圧面積」という)よりも極めて小さい流路断面積を有する。以下、説明を容易にするために、第1有効受圧面積と第2有効受圧面積とが共通のシリンダ有効受圧面積Sであり、第1ノズル24の流路断面積と第2ノズル25の流路断面積とが相互に共通であるものとする。
【0022】
第1ガイド13の内部には、第1流体室19と外部配管系3とを連通接続する第1内部流路26が形成される。具体的には、第1内部流路26は、第1ガイド13のうちピストン12の近傍で第1流体室19に臨んで開口する第1内側開口27から、第1ガイド13の延端部においてピストン・シリンダ機構2の外部に臨んで開口する第1外側開口28まで延びる。第1外側開口28には、第1内部流路26を外部配管系3と連通接続するための第1コネクタ29が設けられる。
【0023】
また、第1ガイド13、ピストン12及び第2ガイド14の内部には、第2流体室20と外部配管系3とを連通接続する第2内部流路30が形成される。具体的には、第2内部流路30は、第2ガイド14のうちピストン12の近傍で第2流体室20に臨んで開口する第2内側開口31から、第1ガイド13の延端部において第1外側開口28とは別にピストン・シリンダ機構2の外部に臨んで開口する第2外側開口32まで延びる。第2外側開口32には、第2内部流路30を外部配管系3と連通接続するための第2コネクタ33が設けられる。
【0024】
上述のように構成されるピストン・シリンダ機構2は、特開2016-203111公報に開示された流体供給・吸引手段と殆ど同様の構成を備えている。しかし、この流体供給・吸引手段は、ピストン12に穿設されたオリフィス流路34を備える点でピストン・シリンダ機構2と異なっている。オリフィス流路34は、第1流体室19と第2流体室20とを連通接続(短絡)する短絡流路と、この短絡流路を絞る絞り手段としてのオリフィス(絞り)と、を有する。オリフィス流路34の流路断面積は、上記のシリンダ有効受圧面積Sと比較して、極めて小さい値に設定されている。
【0025】
ピストン12は、移動シリンダ11が方向D1へ移動したときには第2閉塞部材16と当接することで、あるいは、移動シリンダ11が方向D2へ移動したときには第1閉塞部材15と当接することで、移動シリンダ11の移動を規制するストッパとしても機能する。ここで、移動シリンダ11の方向D1への移動が規制されるときの第1閉塞部材15の位置をD1規制位置といい、このような位置で移動シリンダ11の移動が規制されているときの流体装置1の状態をD1規制状態というものとする。また、移動シリンダ11の方向D2への移動が規制されるときの第2閉塞部材16の位置をD2規制位置といい、このような位置で移動シリンダ11の移動が規制されているときの流体装置1の状態をD2規制状態というものとする。
【0026】
D2規制状態では、第1閉塞部材15が第1内側開口27を塞いで対象空間Eと第1内部流路26との間で流体流通が困難となることが想定される。このため、第1閉塞部材15は、その一部が第1流体室19に向けて突出した第1突出部35を有する。第1突出部35の突出量は、D2規制状態において第1突出部35がピストン12と当接したときに、第1閉塞部材15が第1内側開口27を完全に塞がない位置までピストン12と離間するように設定される。
【0027】
また、D1規制状態では、第2閉塞部材16が第2内側開口31を塞いで対象空間Eと第2内部流路30との間で流体流通が困難となることが想定される。このため、第2閉塞部材16は、その一部が第2流体室20に向けて突出した第2突出部36を有する。第2突出部36の突出量は、D1規制状態において第2突出部36がピストン12と当接したときに、第2閉塞部材16が第2内側開口31を完全に塞がない位置までピストン12と離間するように設定される。
【0028】
(外部配管系)
外部配管系3には、第1外部配管37、第2外部配管38、圧力接続管39、流路切換弁40及び流体圧力源41が含まれる。第1外部配管37は、一端が上記の第1コネクタ29に接続され、他端が流路切換弁40に接続される。第2外部配管38は、一端が上記の第2コネクタ33に接続され、他端が流路切換弁40に接続される。圧力接続管39は、一端が流路切換弁40に接続され、他端が流体圧力源41に接続される。流路切換弁40としては、第1外部配管37が接続される第1ポートと、第2外部配管38が接続される第2ポートと、圧力接続管39が接続される圧力源ポートと、を有する三方電磁弁が用いられる。三方電磁弁は、外部制御によって少なくとも第1ポート又は第2ポートのいずれか一方を閉塞可能に構成されている。三方向電磁弁のポート切り替えにより、第1流路系又は第2流路系のいずれか一方で、流体圧力源41と対象空間Eとの間のピストン・シリンダ機構2を介した流体の流通が可能となる。ここで、第1流路系は、第1外部配管37、第1内部流路26、第1流体室19、第1連通路22及び第1ノズル24で構成される。また、第2流路系は、第2外部配管38、第2内部流路30、第2流体室20、第2連通路23及び第2ノズル25で構成される。
【0029】
なお、流路切換弁40として、三方向電磁弁を用いる代わりに、2つの二方向電磁弁を用いてもよい。具体的には、流体圧力源41に接続される圧力接続管39を二分岐管として、二分岐管の一方の分岐口に二方向電磁弁を介して第1外部配管37を接続し、二分岐管の他方の分岐口に二方向電磁弁を介して第2外部配管38を接続してもよい。第1外部配管37に接続された二方向電磁弁を開弁し、かつ、第2外部配管38に接続された二方向電磁弁を閉弁することで、流体圧力源41と対象空間Eとの間のピストン・シリンダ機構2を介した流体の流通が第1流路系により可能となる。一方、第1外部配管37に接続された二方向電磁弁を閉弁し、かつ、第2外部配管38に接続された二方向電磁弁を開弁することで、流体圧力源41と対象空間Eとの間のピストン・シリンダ機構2を介した流体の流通が第2流路系により可能となる。要するに、流路切換弁40は、第1流路系又は第2流路系のいずれか一方で、流体圧力源41と対象空間Eとの間のピストン・シリンダ機構2を介した流体の流通を可能とすることができる外部制御可能な電磁弁であれば、その種類を問わない。
【0030】
流体圧力源41としては、流体室19,20からノズル24,25を介して対象空間Eへ流体を噴射する場合には高圧源が用いられる一方、対象空間Eからノズル24,25を介して流体室19,20に流体を吸引する場合には低圧源が用いられる。
【0031】
高圧源は、対象空間Eの圧力(以下、「対象空間圧力」という)Ptgtよりも高圧の流体を発生させる。具体的には、高圧源の発生圧力は、対象空間圧力Ptgtに対して、高圧源からノズル24,25まで(第1流路系や第2流路系等)の流路損失等Δpを考慮した圧力(Ptgt+Δp)よりも高圧に設定される。高圧源としては、例えば、流体を貯蔵する流体貯蔵槽と、この流体貯蔵槽の流体を一定に加圧するポンプと、を含み、さらに圧力を一定にするためレギュレータやバッファ・タンク等を含んでもよい。ただし、対象空間圧力Ptgtに対して高圧源から流体室までの流路損失等Δpを考慮した圧力(Ptgt+Δp)が大気圧よりも低圧の場合には、高圧源を省略して圧力源ポートを大気開放にしてもよい。
【0032】
低圧源は、対象空間圧力Ptgtよりも低圧の流体を発生させる。具体的には、低圧源の発生圧力は、対象空間圧力Ptgtに対して、ノズル24,25から低圧源まで(第1流路系や第2流路系等)の流路損失等Δpを考慮した圧力(Ptgt-Δp)よりも低圧に設定される。低圧源としては、例えば、真空ポンプを含み、さらに圧力を一定にするためレギュレータやバッファ・タンク等を含んでもよい。ただし、対象空間圧力Ptgtが、ノズル24,25から低圧源までの流路損失等Δpを大気圧に加えた圧力よりも高圧の場合には、低圧源を省略して圧力源ポートを大気開放にしてもよい。
【0033】
(制御系)
制御系4には、第1近接検出器42、第2近接検出器43及びコントローラ44が含まれる。第1近接検出器42は、移動シリンダ11がD1規制位置まで移動してきたことを検出したときに検出信号を出力するように配置構成されている。第2近接検出器43は、移動シリンダ11がD2規制位置まで移動してきたことを検出したときに検出信号を出力するように配置構成されている。近接検出器42,43としては、リミットスイッチ等による接触式や、光、磁気、静電誘導を用いた近接センサによる非接触式等、種々の検出方式を採用し得る。コントローラ44は、第1近接検出器42及び第2近接検出器43の2つの出力信号に基づいて制御信号を出力することで、流路切換弁40のポート切り替えを行う。
【0034】
コントローラ44は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有するマイクロコンピュータを備える。このマイクロコンピュータは、プロセッサと内部バスによって通信可能に接続された、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース等を有する。コントローラ44は、マイクロコンピュータのプロセッサがROMから流体装置1の動作制御プログラムをRAMに読み出して実行するソフトウェア処理によって、流体装置1の動作制御を行う。ただし、コントローラ44における流体装置1の動作制御は、その一部又は全部がハードウェアの構成により実行されることを排除するものではない。
【0035】
上記のように、ピストン・シリンダ機構2、外部配管系3、制御系4を備える流体装置1において噴射又は吸引に用いられる流体としては、流体装置1の用途に合わせて様々な流体を用いることができる。例えば、洗浄用途の場合には、水の他、洗剤の水溶液、有機溶媒、油等、さらには気体として、空気や様々なガスを用いることができ、塗装用途の場合には様々な塗料を用いることができ、散布用途の場合には様々な散布液を用いることができる。なお、流体が液体の場合には、粘度が0.2cP~1000cPであることが好ましい。
【0036】
(流体を噴射する動作)
次に、図2図5を参照して、流体室19,20からノズル24,25を介して対象空間Eへ流体を噴射する場合の流体装置1の運転方式である噴射モードについて説明する。噴射モードでは、上記のように、流体圧力源41として、対象空間圧力Ptgtよりも高圧の発生圧力Pかつ送出流量Qの高圧源が用いられる。以下、第1流路系及び第2流路系は流体で満たされているものとする。また、特記なき場合には、流体の位置エネルギや圧力損失を考慮しないものとする。
【0037】
図2は、噴射モードで移動シリンダ11が方向D1へ移動している状態を示す。この状態では、コントローラ44は、移動シリンダ11を方向D1へ移動させるために、三方向電磁弁に対し、その第2ポートを閉止させる制御信号を出力している。三方向電磁弁の第2ポートの閉止により、高圧源と第1外部配管37とが三方向電磁弁の第1ポートを介して連通接続され、これにより、高圧源から第1流体室19へ流体が送り出される。高圧源から第1流体室19へ流体が送り出されると、第1流体室19の内圧上昇によって第1流体室19内の流体が第1ノズル24を介して対象空間Eへ噴射されるとともに、第1流体室19の容積を増大させて、移動シリンダ11を方向D1へ移動させる。すると、第2流体室20の容積が減少するので、第2流体室20内の流体が第2ノズル25を介して対象空間Eへ噴射される。
【0038】
噴射モードにおいて一定の速度Vで方向D1へ移動している移動シリンダ11に作用する力の釣り合いは、高圧源の発生圧力P、第2流体室20の内圧PB1、摩擦力R(>0)及びシリンダ有効受圧面積Sを用いて下式(1)で示される。なお、下式(1)において、左辺は移動シリンダ11の方向D1に作用する力であり、右辺は移動シリンダ11の方向D2に作用する力である。下式(1)では、上記のように圧力損失を考慮せずに、第1流体室19の内圧PA1として高圧源の発生圧力Pを用いている。また、摩擦力Rは、移動シリンダ11とピストン12(あるいはシール部材21)との間や閉塞部材15,16(あるいはシール部材17,18)とガイド13,14との間に生じる摩擦力である。
×S=PB1×S+R …(1)
【0039】
第1流体室19の内圧PA1と第2流体室20の内圧PB1との差圧ΔP(=PA1-PB1)は、第1流体室19の内圧PA1が高圧源の発生圧力Pと同等値になるものとして、上式(1)を変形して下式(2)で示される。これにより、第2流体室20の内圧PB1よりも第1流体室19の内圧PA1の方が高圧となることがわかる(PA1>PB1)。
ΔP=PA1-PB1=R/S …(2)
【0040】
また、移動シリンダ11における流入流量と流出流量との釣り合いは、高圧源の送出流量Q、第1ノズル24の噴射流量QA1及び第2ノズル25の噴射流量QB1を用いて下式(3)で示される。なお、下式(3)において、左辺は移動シリンダ11への流入流量であり、右辺は移動シリンダ11からの流出流量である。
=QA1+QB1 …(3)
【0041】
ところで、第2流体室20の容積は、移動シリンダ11の速度Vとシリンダ有効受圧面積Sとの乗算値で示される容積減少速度[m/s]で減少する。しかし、第2流体室20の内圧PB1よりも第1流体室19の内圧PA1の方が高圧であるため、第2流体室20には、オリフィス流路34を介して、微小流量q(>0)の流体が第1流体室19から流入する。この微小流量qは、オリフィス流路34の流路断面積やオリフィス流路34の前後の差圧ΔP(=PA1-PB1)の大きさ等に応じて定まる。第2ノズル25は、第2流体室20の容積減少速度と微小流量qとを加えた流量の流体を噴射することになるので、噴射流量QB1について下式(4)が成立する。
B1=S×V+q …(4)
【0042】
上式(4)を変形すると移動シリンダ11の速度Vは下式(5)で得られる。
=(QB1-q)/S …(5)
【0043】
次に、噴射モードにおける流体装置1のオリフィス流路34による効果を理解するために、オリフィス流路34を備えていない場合に、移動シリンダ11の速度、第1ノズル24の噴射流量及び第2ノズル25の噴射流量の夫々について成立する関係式を説明する。
【0044】
噴射モードで一定の速度V’で方向D1へ移動している移動シリンダ11に作用する力の釣り合いは、上式(1)と同様に、高圧源の発生圧力P、第2流体室20の内圧PB1’、摩擦力R’及びシリンダ有効受圧面積Sを用いて下式(6)で示される。なお、下式(6)において、左辺は移動シリンダ11の方向D1に作用する力であり、右辺は移動シリンダ11の方向D2に作用する力である。
×S=PB1’×S+R’ …(6)
【0045】
また、移動シリンダ11における流入流量と流出流量との釣り合いは、上式(3)と同様に、高圧源の送出流量Q、第1ノズル24の噴射流量QA1’及び第2ノズル25の噴射流量QB1’を用いて下式(7)で示される。なお、下式(7)において、左辺は移動シリンダ11への流入流量であり、右辺は移動シリンダ11からの流出流量である。
=QA1’+QB1’ …(7)
【0046】
ところで、第2流体室20の容積は、上記と同様に、移動シリンダ11の速度V’とシリンダ有効受圧面積Sとの乗算値で示される容積減少速度[m/s]で減少する。しかし、ピストン・シリンダ機構2がオリフィス流路34を備えていない場合には、第1流体室19と第2流体室20との間に流体流通は発生しない。このため、第2ノズル25は、第2流体室20の容積減少速度に等しい流量で流体を噴射するので、噴射流量QB1’について下式(8)が成立する。
B1’=S×V’ …(8)
【0047】
移動シリンダ11とピストン12との間や閉塞部材15,16とガイド13,14との間に生じる摩擦力は、厳密には移動シリンダ11の速度に応じて変化する。しかし、移動シリンダ11の方向D2に作用する力(上式(1),(6)の右辺参照)としては、摩擦力R,R’よりも第2流体室20の内圧PB1,PB1’の方が極めて支配的である。このため、上式(1)及び(6)において、速度V’で移動している移動シリンダ11に作用する摩擦力R’と速度Vで移動している移動シリンダ11に作用する摩擦力Rとが同等の値であるとみなして(R’=R)、上式(1)及び(6)より下式(9)が成立する。
B1’=PB1 …(9)
【0048】
第2ノズル25の噴射流量は、第2流体室20の内圧と対象空間圧力Ptgtとの差圧に応じた値となるため、上式(9)に示されるようにPB1’=PB1であれば、下式(10)が成立する。これにより、オリフィス流路34がないときの第2ノズル25の噴射流量Q’とオリフィス流路34があるときの第2ノズル25の噴射流量Qとが同じになることがわかる。
B1’=QB1 …(10)
【0049】
上式(10)を上式(8)に代入して変形すると、移動シリンダ11の速度V’は下式(11)で得られる。
’=QB1/S …(11)
【0050】
したがって、オリフィス流路34がないときの移動シリンダ11の速度V’とオリフィス流路34があるときの移動シリンダ11の速度Vとの速度差ΔV(=V’-V)は、上式(5)及び(11)により、下式(12)で得られる。これにより、オリフィス流路34があるときの移動シリンダ11の速度Vは、オリフィス流路34がないときの移動シリンダ11の速度V’よりも低速となっていることがわかる。
ΔV=V’-V=q/S …(12)
【0051】
また、上式(3),(7)及び(10)によれば、下式(13)が成立する。これにより、オリフィス流路34がないときの第1ノズル24の噴射流量QA1’とオリフィス流路34があるときの第1ノズル24の噴射流量QA1とが同じになることがわかる。
A1’=QA1 …(13)
【0052】
このように、流体装置1では、オリフィス流路34を備えることで、噴射モードで移動シリンダ11が方向D1へ移動するときに、第1ノズル24の噴射流量及び第2ノズル25の噴射流量の減少を抑えつつ移動シリンダ11の速度を低下させることができる。
【0053】
図3は、噴射モードにおける移動シリンダ11のD1規制状態を示す。この状態では、移動シリンダ11がD1規制位置で停止することで、第1流体室19の容積が最大、かつ、第2流体室20の容積が最小となって容積変化が停止する。移動シリンダ11がD1規制位置で停止した当初は、高圧源から第1流体室19へは未だ流体が送り出されているため、第1ノズル24からの流体噴射が継続する。一方、第2流体室20の容積変化が停止するため、第1流体室19から第2流体室20へオリフィス流路34を介して流入する僅かな流量の流体が第2ノズル25から対象空間Eへ流出するにすぎない。
【0054】
コントローラ44は、第1近接検出器42の出力信号に基づいて、移動シリンダ11がD1規制位置で停止したことを検出すると、移動シリンダ11の移動方向を方向D2へ切り替えるために、三方向電磁弁に対し、その第1ポートを閉止させる制御信号を出力する。
【0055】
図4は、噴射モードで移動シリンダ11が方向D2へ移動している状態を示す。この状態では、コントローラ44による三方向電磁弁の第1ポートの閉止制御により、高圧源と第2外部配管38とが三方向電磁弁の第2ポートを介して連通接続され、これにより、高圧源から第2流体室20へ流体が送り出される。高圧源から第2流体室20へ流体が送り出されると、第2流体室20の内圧PB1の上昇によって第2流体室20内の流体が第2ノズル25を介して対象空間Eへ噴射されるとともに、第2流体室20の容積を増大させて、移動シリンダ11を方向D2へ移動させる。すると、第1流体室19の容積が減少して内圧PA1が上昇し、第1流体室19内の流体が第1ノズル24を介して対象空間Eへ噴射される。
【0056】
移動シリンダ11が一定の速度Vで方向D2へ移動している場合には、上式(1)~(13)は、以下のようにすることで成立する。すなわち、上式(1)~(13)は、第1流体室19の内圧PA1,PA1’と第2流体室20の内圧PB1,PB1’とをそれぞれ互いに入れ替え、第1ノズル24の噴射流量QA1,QA1’と第2ノズル25の噴射流量QB1,QB1’とをそれぞれ互いに入れ替えることで成立する。したがって、流体装置1では、オリフィス流路34を備えることで、第1ノズル24の噴射流量及び第2ノズル25の噴射流量の減少を抑えつつ、移動シリンダ11の方向D2への速度を低下させることができる。
【0057】
図5は、噴射モードにおける移動シリンダ11のD2規制状態を示す。この状態では、移動シリンダ11がD2規制位置で停止することで、第1流体室19の容積が最小、かつ、第2流体室20の容積が最大となって容積変化が停止する。移動シリンダ11がD2規制位置で停止した当初は、高圧源から第2流体室20へは未だ流体が送り出されているため、第2ノズル25からの流体噴射が継続する。一方、第1流体室19の容積変化が停止するため、第2流体室20から第1流体室19へオリフィス流路34を介して流入する僅かな流量の流体が第1ノズル24から対象空間Eへ流出するにすぎない。
【0058】
コントローラ44は、第2近接検出器43の出力信号に基づいて、移動シリンダ11がD2規制位置で停止したことを検出すると、移動シリンダ11の移動方向を方向D1へ切り替えるために、三方向電磁弁に対し、その第2ポートを閉止させる制御信号を出力する。これにより、図2に示すように、移動シリンダ11が再び方向D1へ移動する。
【0059】
(流体を吸引する動作)
次に、図6図9を参照して、対象空間Eからノズル24,25を介して流体室19,20へ流体を吸引する場合の流体装置1の運転方式である吸引モードについて説明する。吸引モードでは、上記のように、流体圧力源41として、対象空間圧力Ptgtよりも低圧の発生圧力Pかつ吸込流量Qの低圧源が用いられる。
【0060】
図6は、吸引モードで移動シリンダ11が方向D1へ移動している状態を示す。この状態では、コントローラ44は、三方向電磁弁に対し、その第1ポートを閉止させる制御信号を出力している。三方向電磁弁の第1ポートの閉止により、低圧源と第2外部配管38とが三方向電磁弁の第2ポートを介して連通接続され、これにより、第2流体室20から低圧源へ流体が吸い込まれる。第2流体室20から低圧源へ流体が吸い込まれると、第2流体室20の内圧低下によって対象空間Eの流体が第2ノズル25を介して第2流体室20へ吸引されるとともに、第2流体室20の容積を減少させて、移動シリンダ11を方向D1へ移動させる。すると、第1流体室19の容積が増大して、対象空間Eの流体が第1ノズル24を介して第1流体室19へ吸引される。
【0061】
吸引モードにおいて一定の速度Vで方向D1へ移動している移動シリンダ11に作用する力の釣り合いは、低圧源の発生圧力P、第1流体室19の内圧PA2、摩擦力R(>0)及びシリンダ有効受圧面積Sを用いて下式(14)で示される。なお、下式(14)において、左辺は移動シリンダ11の方向D1に作用する力であり、右辺は移動シリンダ11の方向D2に作用する力である。下式(14)では、上記のように圧力損失を考慮せずに、第2流体室20の内圧PB2として低圧源の発生圧力Pを用いている。
A2×S=P×S+R …(14)
【0062】
第1流体室19の内圧PA2と第2流体室20の内圧PB2との差圧ΔP(=PA2-PB2)は、第2流体室20の内圧PB2が低圧源の発生圧力Pと同等値になるものとして、上式(14)を変形して下式(15)で示される。これにより、第2流体室20の内圧PB2よりも第1流体室19の内圧PA2の方が高圧となることがわかる(PA2>PB2)。
ΔP=PA2-PB2=R/S …(15)
【0063】
また、移動シリンダ11における流入流量と流出流量との釣り合いは、低圧源の吸込流量Q、第1ノズル24の吸引流量QA2及び第2ノズル25の吸引流量QB2を用いて下式(16)で示される。なお、下式(16)において、左辺は移動シリンダ11からの流出流量であり、右辺は移動シリンダ11への流入流量である。
=QA2+QB2 …(16)
【0064】
ところで、第1流体室19の容積は、移動シリンダ11の速度Vとシリンダ有効受圧面積Sとの乗算値で示される容積増大速度[m/s]で増大する。しかし、第2流体室20の内圧PB2よりも第1流体室19の内圧PA2の方が高圧であるため、第1流体室19からは、オリフィス流路34を介して、微小流量q(>0)の流体が第2流体室20へ流出する。この微小流量qは、オリフィス流路34の流路断面積やオリフィス流路34の前後の差圧ΔP(=PA2-PB2)の大きさに応じて定まる。第1ノズル24は、第1流体室19の容積増大速度と微小流量qとを加えた流量の流体を吸引することになるので、吸引流量QA2について下式(17)が成立する。
A2=S×V+q …(17)
【0065】
上式(17)を変形すると移動シリンダ11の速度Vは下式(18)で得られる。
=(QA2-q)/S …(18)
【0066】
次に、吸引モードにおける流体装置1のオリフィス流路34による効果を理解するために、オリフィス流路34を備えていない場合に、移動シリンダ11の速度、第1ノズル24の吸引流量及び第2ノズル25の吸引流量の夫々について成立する関係式を説明する。
【0067】
吸引モードで一定の速度V’で方向D1へ移動している移動シリンダ11に作用する力の釣り合いは、上式(14)と同様に、低圧源の発生圧力P、第1流体室19の内圧PA2’、摩擦力R’及びシリンダ有効受圧面積Sを用いて下式(19)で示される。
A2’×S=P×S+R’ …(19)
【0068】
また、移動シリンダ11における流入流量と流出流量との釣り合いは、上式(16)と同様に、低圧源の吸込流量Q、第1ノズル24の吸引流量QA2’及び第2ノズル25の吸引流量QB2’を用いて下式(20)で示される。
=QA2’+QB2’ …(20)
【0069】
ところで、第1流体室19の容積は、上記と同様に、移動シリンダ11の速度V’とシリンダ有効受圧面積Sとの乗算値で示される容積増大速度[m/s]で増大する。一方、ピストン・シリンダ機構2はオリフィス流路34を備えていないので、第1流体室19と第2流体室20との間に流体流通は発生しない。このため、第1ノズル24は、第1流体室19の容積増大速度に等しい流量で流体を吸引するので、吸引流量QA2’について下式(21)が成立する。
A2’=S×V’ …(21)
【0070】
上記のように、上式(14)及び(19)において、速度V’で移動している移動シリンダ11に作用する摩擦力R’と速度Vで移動している移動シリンダ11に作用する摩擦力Rとが同等の値であるとみなして(R’=R)、上式(14)及び(19)より下式(22)が成立する。
A2’=PA2 …(22)
【0071】
第1ノズル24の吸引流量は、第1流体室19の内圧と対象空間圧力Ptgtとの差圧に応じた値となるため、上式(22)に示されるようにPA2’=PA2であれば、下式(23)が成立する。これにより、オリフィス流路34がないときの第1ノズル24の吸引流量QA2’とオリフィス流路34があるときの第1ノズル24の吸引流量QA2とが同じになることがわかる。
A2’=QA2 …(23)
【0072】
上式(23)を上式(20)に代入して変形すると、移動シリンダ11の速度V’は下式(24)で得られる。
’=QA2/S …(24)
【0073】
したがって、オリフィス流路34がないときの移動シリンダ11の速度V’とオリフィス流路34があるときの移動シリンダ11の速度Vとの速度差ΔV(=V’-V)は、上式(18)及び(24)により、下式(25)で得られる。これにより、オリフィス流路34があるときの移動シリンダ11の速度Vは、オリフィス流路34がないときの移動シリンダ11の速度V’よりも低速となっていることがわかる。
ΔV=V’-V=q/S …(25)
【0074】
また、上式(16),(20)及び(23)によれば、下式(26)が成立する。これにより、オリフィス流路34がないときの第2ノズル25の吸引流量QB2’とオリフィス流路34があるときの第2ノズル25の吸引流量QB2とが同じになることがわかる。
B2’=QB2 …(26)
【0075】
このように、流体装置1では、オリフィス流路34を備えることで、吸引モードで移動シリンダ11が方向D1へ移動するときに、第1ノズル24の吸引流量及び第2ノズル25の吸引流量の減少を抑えつつ移動シリンダ11の速度を低下させることができる。
【0076】
図7は、吸引モードにおける移動シリンダ11のD1規制状態を示す。この状態では、移動シリンダ11がD1規制位置で停止することで、第1流体室19の容積が最大、かつ、第2流体室20の容積が最小となって容積変化が停止する。移動シリンダ11がD1規制位置で停止した当初は、第2流体室20から低圧源へは未だ流体が吸い込まれているため、第2ノズル25を介した流体吸引が継続する。一方、第1流体室19の容積変化が停止するため、第1流体室19から第2流体室20へオリフィス流路34を介して流出する僅かな流量の流体が、対象空間Eから第1流体室19へ第1ノズル24を介して流入するにすぎない。
【0077】
コントローラ44は、第1近接検出器42の出力信号に基づいて、移動シリンダ11がD1規制位置で停止したことを検出すると、移動シリンダ11の移動方向を方向D2へ切り替えるために、三方向電磁弁に対し、その第2ポートを閉止させる制御信号を出力する。
【0078】
図8は、吸引モードで移動シリンダ11が方向D2へ移動している状態を示す。この状態では、コントローラ44による三方向電磁弁の第2ポートの閉止制御により、低圧源と第1外部配管37とが三方向電磁弁の第1ポートを介して連通接続され、これにより、第1流体室19から低圧源へ流体が吸い込まれる。第1流体室19から低圧源へ流体が吸い込まれると、第1流体室19の内圧PA2の低下によって対象空間Eの流体が第1ノズル24を介して第1流体室19内へ吸引されるとともに、第1流体室19の容積を減少させて、移動シリンダ11を方向D2へ移動させる。すると、第2流体室20の容積が増大して内圧PB2が低下し、対象空間Eの流体が第2ノズル25を介して第2流体室20内へ吸引される。
【0079】
移動シリンダ11が一定の速度Vで方向D2へ移動している場合には、上式(14)~(26)は、以下のようにすることで成立する。すなわち、上式(14)~(26)は、第1流体室19の内圧PA2,PA2’と第2流体室20の内圧PB2,PB2’とを互いに入れ替え、第1ノズル24の吸引流量QA2,QA2’と第2ノズル25の吸引流量QB2,QB2’とを互いに入れ替えることで成立する。したがって、流体装置1では、オリフィス流路34を備えることで、第1ノズル24の吸引流量及び第2ノズル25の吸引流量の減少を抑えつつ、移動シリンダ11の方向D2への速度を低下させることができる。
【0080】
図9は、吸引モードにおける移動シリンダ11のD2規制状態を示す。この状態では、移動シリンダ11がD2規制位置で停止することで、第1流体室19の容積が最小、かつ、第2流体室20の容積が最大となって容積変化が停止する。移動シリンダ11がD2規制位置で停止した当初は、第1流体室19から低圧源へは未だ流体が吸い込まれているため、第1ノズル24を介した流体吸引が継続する。一方、第2流体室20の容積変化が停止するため、第2流体室20から第1流体室19へオリフィス流路34を介して流出する僅かな流量の流体が、対象空間Eから第2流体室20へ第2ノズル25を介して流入するにすぎない。
【0081】
コントローラ44は、第2近接検出器43の出力信号に基づいて、移動シリンダ11がD2規制位置で停止したことを検出すると、移動シリンダ11の移動方向を方向D1へ切り替えるために、三方向電磁弁に対し、その第1ポートを閉止させる制御信号を出力する。これにより、図6に示すように、移動シリンダ11が再び方向D1へ移動する。
【0082】
〔第2実施形態〕
図10及び図11を参照して、第2実施形態に係る流体装置について説明する。本実施形態に係る流体装置1aは、一部を除き、第1実施形態に係る流体装置1と同様の構成を備えているので、かかる同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。以下の実施形態において同様である。
【0083】
流体装置1aのピストン・シリンダ機構2aは、図10及び図11に示すように、ピストン12において第1流体室19に臨む部分から第2流体室20に臨む部分までを貫通する貫通孔45が穿設され、この貫通孔45に、オリフィス流路34が形成された別体のプラグ46が着脱可能に装着される点でピストン・シリンダ機構2と異なる。なお、図10はプラグ装着前のピストン・シリンダ機構2aの要部を示し、図11はプラグ装着完了状態のピストン・シリンダ機構2aの要部を示す。
【0084】
図10及び図11の具体例では、略円柱状のプラグ46が断面円形状の貫通孔45に螺合して装着される。プラグ46の外周面にプラグ46の螺合回転の軸線を中心に螺旋状に形成された雄ねじ47が、断面略円形状の貫通孔45の内周面に形成された雌ねじ48に螺入あるいは螺脱することで、プラグ46が貫通孔45に対して着脱可能となっている。プラグ46の軸線方向の両端面49,50間にはオリフィス流路34が形成され、プラグ46を貫通孔45に螺着した状態で第1流体室19と第2流体室20とがオリフィス流路34を介して連通する。
【0085】
プラグ46の軸線方向の両端面49,50のうち第1流体室19に臨む端面(以下、「第1の端面」という)49には、嵌合溝51が陥凹形成されている。嵌合溝51は、プラグ46を回転させて貫通孔45に螺入又は貫通孔45から螺脱すべく、軸状工具の先端部を嵌合させて軸回転力を伝達する係合部である。嵌合溝51は、例えば、軸状工具である六角棒スパナの先端部が嵌合する六角穴や、軸状工具であるマイナスドライバの先端部が嵌合する凹溝等、使用する軸状工具の先端部形状に合致した断面形状を有する。オリフィス流路34は、嵌合溝51と干渉せずに設けることができるが、第1の端面49に面積的な余裕がない場合には、以下のようにしてもよい。すなわち、図10及び図11で示されるように、オリフィス流路34が、例えば六角棒スパナの先端部が嵌合する六角穴の底部等、嵌合溝51の底部から第2流体室20に臨む端面(以下、「第2の端面」という)50まで延びるようにしてもよい。
【0086】
貫通孔45に螺着したプラグ46の第1の端面49と第1流体室19を挟んで対向する第1閉塞部材15には作業用貫通孔52が穿設される。この作業用貫通孔52はプラグ46の交換作業時に用いられ、プラグ46の嵌合溝51に軸状工具の先端部を嵌合させた状態でプラグ46を作業用貫通孔52に挿通することで、プラグ46を貫通孔45に螺着させることが可能となる。作業用貫通孔52は、プラグ46の交換作業時以外は、常閉蓋53の螺着等によって閉塞されている。
【0087】
上式(12),(25)によれば、移動シリンダ11の速度低下量はオリフィス流路34の微小流量q,qの値に応じて設定され、微小流量q,qの値はオリフィス流路34の流路断面積に応じて変化する。したがって、プラグ46を予め複数用意し、これらプラグ46のオリフィス流路34が様々な流路断面積で形成されていれば、適切な流路断面積のプラグ46を選択して貫通孔45に装着することで、移動シリンダ11の速度を所望の低下量で低下させることができる。
【0088】
次に、図12及び図13を参照して、図10及び図11のピストン・シリンダ機構2aの第1変形例について説明する。図12はプラグ装着前のピストン・シリンダ機構2aの要部を示し、図13はプラグ装着完了状態のピストン・シリンダ機構2aの要部を示す。本変形例のプラグ46aは、上記のプラグ46の第2の端面50が軸線と同軸の円錐状ないし截頭円錐状に膨出してなる円錐面54を有している点でプラグ46と異なる。また、本変形例の貫通孔45aは、プラグ46aが螺着されたときにプラグ46aの円錐面54と対向し、かつ、プラグ46aの円錐面54に倣った形状の対向円錐面55を、内周面の一部として有している点で、貫通孔45と異なる。
【0089】
プラグ46aのオリフィス流路34のうち第2流体室20側の開口56は、プラグ46aが貫通孔45aに螺着されたときに円錐面54と対向円錐面55との間に形成される隙間57に臨むように形成されている。これにより、円錐面54と対向円錐面55との間に形成される隙間57がオリフィス流路34の一部をなす。第2流体室20側の開口56は複数形成されてもよく、この場合、オリフィス流路34は図示のようにプラグ46aの内部で複数分岐して各開口56に接続されるか、あるいは、各開口56が個別にオリフィス流路34を有するようにしてもよい。
【0090】
第1流体室19と第2流体室20との間では、隙間57を含むプラグ46aのオリフィス流路34を通じて微小流量q,qの流体流通が行われる。このうち隙間57は、その間隔が貫通孔45aの雌ねじ48に対するプラグ46aの雄ねじ47の螺合量に応じて変化する。このため、オリフィス流路34は、絞り手段として、隙間57の間隔を流路の絞り開度とする可変絞り弁を有している。したがって、プラグ46aによれば、上記の螺合量の調整により移動シリンダ11の速度を所望の低下量で低下させることが可能となり、プラグ交換の必要性を排除できる。なお、オリフィス流路34には隙間57により実現される可変絞り弁が設けられているため、オリフィス流路34からオリフィスを省略して、単に、第1流体室19と第2流体室20とを連通接続(短絡)する短絡流路としてもよい。
【0091】
次に、図14を参照して、図10及び図11のピストン・シリンダ機構2aの第2変形例について説明する。図14は、基本的にプラグ装着前のピストン・シリンダ機構2aの要部を示しているが、プラグ装着完了状態ではプラグを破線で示している。本変形例のプラグ46bは、上記のプラグ46の第2の端面50が軸線と同軸の円錐状ないし截頭円錐状に後退してなる円錐面54aを有している点で、プラグ46と異なる。プラグ46bが貫通孔45に螺着されたときに円錐面54aに対向する対向円錐面55aを形成する円錐構造体58は、プラグ46bの第2流体室20側で貫通孔45を閉塞しないようにピストン12に支持される。オリフィス流路34は、円錐面54aと対向円錐面55aとの間に形成される隙間57aに均一に流体を供給するために、プラグ46bの軸線上に形成され、このオリフィス流路34と接続される隙間57aがオリフィス流路34の一部をなす。
【0092】
第1流体室19と第2流体室20との間では、隙間57aを含むプラグ46bのオリフィス流路34を通じて微小流量q,qの流体流通が行われる。このうち隙間57aは、その間隔が貫通孔45の雌ねじ48に対するプラグ46aの雄ねじ47の螺合量に応じて変化する。このため、オリフィス流路34は、絞り手段として、隙間57aの間隔を流路の絞り開度とする可変絞り弁を有している。したがって、プラグ46bによれば、上記の螺合量の調整により移動シリンダ11の速度を所望の低下量で低下させることが可能となり、プラグ交換の必要性を排除できる。なお、オリフィス流路34には隙間57aにより実現される可変絞り弁が設けられているため、オリフィス流路34からオリフィスを省略して、単に、第1流体室19と第2流体室20とを連通接続(短絡)する短絡流路としてもよい。
【0093】
次に、図15及び図16を参照して、図10及び図11のピストン・シリンダ機構2aの第3変形例について説明する。図15はプラグ装着前のピストン・シリンダ機構2aの要部を示し、図16はプラグ装着完了状態のピストン・シリンダ機構2aの要部を示す。本変形例では、貫通孔45bに装着されたプラグ46の第2流体室20側において弁体59を備える。弁体59は、第1流体室19から第2流体室20へのオリフィス流路34を介した流体流入を許容し、かつ、第2流体室20から第1流体室19へのオリフィス流路34を介した流体流入を阻害する機能を有する。
【0094】
貫通孔45bは、これに対してプラグ46が第1流体室19側から第2流体室20側へ途中までしか螺入できないように構成されている点で貫通孔45と異なる。貫通孔45bのうちこれに螺着したプラグ46の第2の端面50よりも第2流体室20側には、弁体59が貫通孔45bの貫通方向に平行移動可能に保持される。弁体59は、貫通孔45bに螺着したプラグ46のオリフィス流路34から流出した流体を第2流体室20へ通過させる1つ又は複数の流体流通孔60を有する。弁体59は、貫通孔45bにおいて螺着したプラグ46に向かう方向へ移動したときに、オリフィス流路34の第2の端面50側の開口ないしこれと接続された中間流路(図示省略)を閉塞するように形成される(図16中の破線で示される弁体59参照)。すなわち、流体流通孔60は、オリフィス流路34の第2の端面50側の開口ないし上記の図示省略の中間流路と貫通孔45bの貫通方向で重畳しないように形成される。
【0095】
第1流体室19の内圧PA1,PA2が第2流体室20の内圧PB1,PB2よりも高くなったときには、弁体59はプラグ46から離れる方向へ移動する。このため、第1流体室19の流体がオリフィス流路34及び流体流通孔60を通過して第2流体室20へ流れる。一方、第2流体室20の内圧PB1,PB2が第1流体室19の内圧PA1,PA2よりも高くなったときには、弁体59はプラグ46に向かう方向へ移動する。そして、弁体59は、オリフィス流路34の第2の端面50側の開口ないし上記の図示省略の中間流路を閉塞するため、第2流体室20から第1流体室19への流体流出は阻害される。このように、弁体59によれば、噴射モード及び吸引モードのいずれにおいても移動シリンダ11の方向D1への移動速度のみを選択的に低下させることが可能となる。
【0096】
また、噴射モード及び吸引モードのいずれにおいても移動シリンダ11の移動速度の低下量を方向D1と方向D2とで個別に設定する場合には、図17に示すようにすればよい。すなわち、ピストン12において貫通孔45bとは別の位置に、プラグ46と同様なプラグ46’が第2流体室20側から第1流体室19側へ途中までしか螺入できないように構成された貫通孔45b’を穿設する。そして、貫通孔45b’に装着されたプラグ46’の第1流体室19側において弁体59と同様に弁体59’を備えればよい。
【0097】
第1流体室19の内圧PA1,PA2が第2流体室20の内圧PB1,PB2よりも高くなったときには、弁体59’はプラグ46’に向かう方向へ移動する。そして、弁体59’は、図17に示すようにオリフィス流路34’の第2の端面50’側の開口ないしこれに接続された中間流路(図示省略)を閉塞するため、第1流体室19から第2流体室20への流体流出は阻害される。一方、第2流体室20の内圧PB1,PB2が第1流体室19の内圧PA1,PA2よりも高くなったときには、弁体59’はプラグ46’から離れる方向へ移動する。このため、第2流体室20の流体がオリフィス流路34’及び流体流通孔60’を通過して第1流体室19へ流れる。したがって、オリフィス流路34及びオリフィス流路34’の2つのオリフィスの流路断面積が異なれば、移動シリンダ11の移動速度の低下量を方向D1と方向D2とで個別に設定することができる。
【0098】
なお、本変形例の弁体59,59’は、プラグ46aを貫通孔45aに装着する第1変形例やプラグ46bを貫通孔45に装着する第2変形例にも適用可能である。すなわち、貫通孔45bの内周面を変形して、隙間57,57aと連通する中間流路を設け、この中間流路を閉塞できるように弁体59,59’を配設すればよい。
【0099】
また、弁体59,59’としては、図15図17に示される構成に限らず、オリフィス流路34,34’の第2の端面50,50’側の開口を閉塞する可撓性の材料で形成されてもよい。例えば弁体59は、第1流体室19の内圧PA1,PA2が第2流体室20の内圧PB1,PB2よりも高くなったときに、弾性変形してオリフィス流路34の第2の端面50側の開口を解放し、第1流体室19の流体がオリフィス流路34を介して第1流体室19へ流れる。一方、第2流体室20の内圧PB1,PB2が第1流体室19の内圧PA1,PA2よりも高くなったときには、オリフィス流路34の第2の端面50側の開口を閉塞し、第2流体室20から第1流体室19へのオリフィス流路34を介した流体流出を阻害する。
【0100】
〔第3実施形態〕
図18及び図19を参照して、第3実施形態に係る流体装置について説明する。本実施形態に係る流体装置1bでは、第1流路系と第2流路系とを短絡する短絡流路が、オリフィス流路34に代えて、移動シリンダ11の外部に現れる短絡配管61を介して形成され、この短絡配管61に流量調整弁62を設けている点で第1実施形態と異なる。流量調整弁62は、その絞り開度を変化させることで通過流量を無段階に調整できる絞り弁であり、かつ、コントローラ44により絞り開度の制御が可能な電動弁である。なお、図19では、都合上、突出部35,36の図示を省略する。
【0101】
例えば、図18に示すように、短絡配管61は第1外部配管37と第2外部配管38とを連通接続し、この短絡配管61に流量調整弁62が配設される。また例えば、図19に示すように、短絡配管61は、第1流体室19に連通路63を介して連通するコネクタ64と、第2流体室20に連通路65を介して連通するコネクタ66と、を連通接続し、この短絡配管61に流量調整弁62が配設される。要するに、短絡配管61は、流体装置1において、移動シリンダ11等の運動体の構成どうしを連通接続して第1流路系と第2流路系とを短絡するのか、あるいは、運動体に対して相対的に静止する静止体の構成どうしを連通接続して第1流路系と第2流路系とを短絡するのか、いずれか一方であればよい。
【0102】
短絡配管61に配設された流量調整弁62が所定の絞り開度で開弁することで、オリフィス流路34と同様に、第1流路系と第2流路系との間で上記の微小流量q,qの流体が流通する。これにより、噴射モードで移動シリンダ11が移動するときには、第1ノズル24の噴射流量及び第2ノズル25の噴射流量の減少を抑えつつ移動シリンダ11の速度を低下させることができる。一方、吸引モードで移動シリンダ11が移動するときには、第1ノズル24の吸引流量及び第2ノズル25の吸引流量の減少を抑えつつ移動シリンダ11の速度を低下させることができる。
【0103】
また、上式(12),(25)によれば、移動シリンダ11の速度低下量はオリフィス流路34の微小流量q,qの値に応じて設定され、微小流量q,qの値はオリフィス流路34の流路断面積に応じて変化する。したがって、流量調整弁62の絞り開度を適宜調整することで、移動シリンダ11の速度を所望の低下量で低下させることができる。
【0104】
〔第4実施形態〕
図20及び図21を参照して、第4実施形態に係る流体装置について説明する。本実施形態に係る流体装置1cでは、以下の点で第1実施形態と異なる。すなわち、第1流路系と第2流路系とを短絡する短絡流路が、オリフィス流路34に代えて、移動シリンダ11の外部に現れる2つの短絡配管61a,61bを介して形成され、第1短絡配管61aに第1流量調整弁62aが配設されるとともに第2短絡配管61bに第2流量調整弁62bが配設される点で第1実施形態と異なる。流量調整弁62a,62bは、流量調整弁62と同様の電動弁である。
【0105】
例えば、図20に示すように、圧力接続管39と第1外部配管37とを連通接続する第1短絡配管61aに第1流量調整弁62aが配設され、圧力接続管39と第2外部配管38とを連通接続する第2短絡配管61bに第2流量調整弁62bが配設される。また例えば、上述のように流路切換弁40として2つの二方向電磁弁40a,40bを用いた場合には、図21に示すように、圧力接続管39である二分岐管と第1外部配管37とを二方向電磁弁40aを迂回して連通接続する第1短絡配管61aに第1流量調整弁62aが配設される。同様に、圧力接続管39である二分岐管と第2外部配管38とを二方向電磁弁40bを迂回して連通接続する第2短絡配管61bに第2流量調整弁62bが配設される。
【0106】
流体圧力源41と対象空間Eとの間の流体流通が第1流路系を介して行われる場合、第2流量調整弁62bが所定の絞り開度で開弁することで、オリフィス流路34と同様に、第1流路系と第2流路系との間で上記の微小流量q,qの流体が流通する。一方、流体圧力源41と対象空間Eとの間の流体流通が第2流路系を介して行われる場合、第1流量調整弁62aが所定の絞り開度で開弁することで、オリフィス流路34と同様に、第1流路系と第2流路系との間で上記の微小流量q,qの流体が流通する。これにより、噴射モードで移動シリンダ11が移動するときには、第1ノズル24の噴射流量及び第2ノズル25の噴射流量の減少を抑えつつ移動シリンダ11の速度を低下させることができる。一方、吸引モードで移動シリンダ11が移動するときには、第1ノズル24の吸引流量及び第2ノズル25の吸引流量の減少を抑えつつ移動シリンダ11の速度を低下させることができる。
【0107】
また、上式(12),(25)によれば、移動シリンダ11の速度低下量はオリフィス流路34の微小流量q,qの値に応じて設定され、微小流量q,qの値はオリフィス流路34の流路断面積に応じて変化する。したがって、第1流量調整弁62aの絞り開度を適宜調整すれば、噴射モードでは移動シリンダ11の方向D2への移動について、吸引モードでは移動シリンダ11の方向D1への移動について、速度低下量を所望の値に設定することができる。一方、第2流量調整弁62bの絞り開度を適宜調整すれば、噴射モードでは移動シリンダ11の方向D1への移動について、吸引モードでは移動シリンダ11の方向D2への移動について、速度低下量を所望の値に設定することができる。これにより、噴射モード及び吸引モードのそれぞれにおいて、移動シリンダ11が方向D1へ移動するときと移動シリンダ1が方向D2へ移動するときとの間で、移動シリンダ11の速度低下量を異なる値に設定することができる。
【0108】
以上、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、以下のように種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【0109】
上記の第1~第4実施形態において、移動シリンダ11を直管状に形成し、ガイド13,14を直線状に形成する代わりに、以下のように形成されてもよい。すなわち、移動シリンダ11は円管状に形成され、ガイド13,14は、移動シリンダ11の形状に倣って、移動シリンダ11に挿嵌されたピストン12から移動シリンダ11の両端開口部を介して外方に向けて円弧曲線状に延びるようにしてもよい。これにより、噴射又は吸引の対象が円弧状に湾曲していても対応可能となる。
【0110】
移動シリンダ11において、流体室19,20にそれぞれ連通するノズルを1つずつ設けたが、各流体室に連通するノズルを複数設けてもよい。また、ノズル24,25は、閉塞部材15,16を介さずに(連通路22,23を介さずに)、移動シリンダ11に直接設けて流体室19,20と連通させてもよい。
【0111】
コントローラ44は、移動シリンダ11がD1規制位置又はD2規制位置に到達したか否かを、第1近接検出器42及び第2近接検出器43の出力信号によらず、タイマーのカウント出力に基づいてD1規制位置及びD2規制位置を推定してもよい。
【0112】
流路切換弁40及び流量調整弁62,62a,62bは、外部制御可能な電磁弁や電動弁に代えて、オペレータが手動で操作する手動弁としてもよい。この場合、オペレータは、目視により移動シリンダ11がD1規制位置又はD2規制位置で停止していることを確認して流路切換弁40を操作することができ、コントローラ44の省略が可能である。
【0113】
第1ガイド13の外側開口28,32に代えて第2ガイド14に外側開口28,30を設けて、これらの開口から内側開口27,31まで内部流路26,30がそれぞれ延びるように形成されてもよい。また、ガイド13,14の断面外形を小さくすべく、外側開口28,32のいずれか一方を第2ガイド14に設けて、これらの開口から内側開口27,31まで内部流路26,30がそれぞれ延びるように形成されてもよい。
【0114】
ピストン・シリンダ機構2が例えば円筒状のフィルター内に配置されて、ノズル24,25を介して、流体をフィルター内周面へ噴射あるいはフィルター内周面から流体を吸引する場合には、ピストン・シリンダ機構2は以下のように構成される。すなわち、移動シリンダ11が、上記の往復動に加えて、ピストン12及びガイド13,14の外周面に沿って回転運動を行うように、ピストン12及びガイド13,14と閉塞部材15,16の貫通孔及びシリンダ11とが互いに断面円形状に形成される。
【0115】
また、上記の第1~第4実施形態で説明した各技術的思想は、移動シリンダ11の移動速度を所望の値まで低下させるという観点から、矛盾が生じない限りにおいて適宜組み合せて使用することができる。例えば、ピストン12にオリフィス流路34を穿設した場合であっても、移動シリンダ11の移動速度を所望の値まで低下させることができない状況が想定される。このような想定に対しては、第1流路系と第2流路系とを短絡する短絡配管61に流量調整弁62を設けたり、圧力接続管39と第1外部配管37及び第2外部配管38とを連通接続する短絡配管61a,61bに流量調整弁62a,62bを設けたりすることで移動速度の低下量不足を補うことができる。
【符号の説明】
【0116】
1,1a,1b,1c…流体装置、11…移動シリンダ、12…ピストン、13…第1ガイド、14…第2ガイド、15…第1閉塞部材、16…第2閉塞部材、19…第1流体室、20…第2流体室、24…第1ノズル、25…第2ノズル、26…第1内部流路、30…第2内部流路、34,34’…オリフィス流路、37…第1外部配管、38…第2外部配管、39…圧力接続管、40…流路切換弁、41…流体圧力源、45,45a,45b,45b’…貫通孔、46,46a,46b,46’…プラグ、47…雄ねじ、48…雌ねじ、54,54a…円錐面、55,55a…対向円錐面、57,57a…隙間、59,59’…弁体、61,61a,61b…短絡配管、62,62a,62b…流量調整弁、E…対象空間
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