(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】高効率擬似移動床装置及び高効率擬似移動床プロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 15/00 20060101AFI20221219BHJP
B01D 15/18 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B01D15/00 101A
B01D15/18
(21)【出願番号】P 2021515458
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2019094854
(87)【国際公開番号】W WO2020098295
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】201811362623.8
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520400405
【氏名又は名称】内蒙古伊泰煤基新材料研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】INNER MONGOLIA YITAI COAL-BASED NEW MATERIALS RESEARCH INSTITUTE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】銭震
(72)【発明者】
【氏名】武靖為
(72)【発明者】
【氏名】李俊誠
(72)【発明者】
【氏名】張晶泉
(72)【発明者】
【氏名】菅青娥
(72)【発明者】
【氏名】張暁龍
(72)【発明者】
【氏名】高源
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼学霆
(72)【発明者】
【氏名】陳浩庭
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-131761(JP,A)
【文献】特開平04-334504(JP,A)
【文献】特開平11-228455(JP,A)
【文献】特開平06-039206(JP,A)
【文献】特開平06-039205(JP,A)
【文献】特開平06-170112(JP,A)
【文献】特開2014-029294(JP,A)
【文献】特開2000-201700(JP,A)
【文献】特表平10-513039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 15/00-15/42
B01J 20/281-20/292
G01N 30/00-30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着床と、原料供給システムと、脱着剤供給システムと、循環システムと、抽出液システムと、ラフィネートシステムと、プログラム制御バルブ群と、自動制御システムとを備える擬似移動床装置において、
前記吸着床は複数本の吸着カラムを含むとともに、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーンに分けられ、
各本の前記吸着カラムの上端には原料供給バルブ、脱着剤供給バルブ及び循環液供給バルブが設けられ、
各本の前記吸着カラムの下端にはラフィネート排出バルブ及び抽出液排出バルブが設けられ、
隣り合う2本の吸着カラムの間にはチェックバルブが設けられ、
前記原料供給システムは各本の吸着カラムの原料供給バルブに接続され、
前記脱着剤供給システムは各本の吸着カラムの脱着剤供給バルブに接続され、
前記循環システムは循環ポンプを備え、当該循環ポンプによって各本の吸着カラムの循環液供給バルブに接続され、
前記抽出液システムは各本の吸着カラムの抽出液排出バルブに接続され、
前記ラフィネートシステムは各本の吸着カラムのラフィネート排出バルブに接続され、
全てのバルブは、各バルブの開閉状態を制御できる自動制御システムに繋がるプログラム制御バルブ群を構成
し、
前記循環ポンプの取入口は吸着床の抽出液ラインに接続され、
前記循環ポンプの払出口は吸着カラムの循環液供給バルブに接続され、
前記循環ポンプのゾーン内における相対位置が変化せず、
各本の吸着カラムの間の接続ラインの体積が同一である、
ことを特徴とする擬似移動床装置。
【請求項2】
前記吸着カラムは3~100本である、
ことを特徴とする請求項1に記載の擬似移動床装置。
【請求項3】
前記吸着カラムは8*N本であり、
ただし、Nは1以上の整数である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の擬似移動床装置。
【請求項4】
前記原料供給システムは、原料ポンプ、及び原料ポンプの下流に位置する原料ヒータを備え、原料ヒータ出口ラインは吸着カラムに接続される、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項5】
前記脱着剤供給システムは、脱着剤ポンプ、及び脱着剤ポンプの下流に位置する脱着剤ヒータを備え、脱着剤ヒータ出口ラインは吸着カラムに接続される、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項6】
前記抽出液システムは、吸着床の抽出液ラインに接続される抽出液ポンプを備える、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項7】
前記抽出液ラインには冷却器が設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の擬似移動床装置。
【請求項8】
前記ラフィネートシステムは、吸着床のラフィネートラインに接続されるラフィネートポンプ又は背圧バルブを備える、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項9】
前記ラフィネートラインには冷却器が設けられる、
ことを特徴とする請求項8に記載の擬似移動床装置。
【請求項10】
前記循環システムの循環ポンプの下流にはヒータ及び/又は流量計が設けられる、
ことを特徴とする請求項1~
9の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項11】
前記プログラム制御バルブ群におけるバルブのタイプは、それぞれ独立してボールバルブ、ニードルバルブ、遮断バルブ及びバタフライバルブのうちの1種であり、
アクチュエータは気動又は電動の機構である、
ことを特徴とする請求項1~
10の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項12】
各本の吸着カラムは、循環ポンプに接続されるラインの体積が同一である、
ことを特徴とする請求項1~
11の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項13】
前記吸着ゾーンはバッファゾーンをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1~
12の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項14】
バルブの切替を制御して毎回の供給・排出位置を変更することで、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーンの擬似移動を実現する、
ことを特徴とする請求項1~
13の何れか1項に記載の擬似移動床装置。
【請求項15】
請求項
13に記載の擬似移動床装置を使用する擬似移動床プロセスであって、
バルブの切替を制御して毎回の供給・排出位置を変更することで、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン、バッファゾーンの擬似移動を実現する、
ことを特徴とする擬似移動床プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は擬似移動床分離という技術分野に属し、具体的には高効率擬似移動床装置及び高効率擬似移動床プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
擬似移動床は吸着原理によって分離操作を行う分離装置である。擬似移動床技術は連続クロマトグラフィーの主な代表として、生産効率が高く、有機溶媒の消耗が少なく、物質移動への促進力が大きく、自動化連続的生産を容易にするなどの利点があり、石油化工、食品工業及び製薬などの分野に広く適用される。当該擬似移動床技術は複雑な工業過程であるとともに、影響因子が多い非線形、非平衡、非理想、多自由度の周期的過程である。
【0003】
擬似移動床は固定吸着床を複数のセグメントに分け、セグメント内には吸着剤が設けられ、セグメントの間で液体が直接流通できない。各セグメントの何れにも出入り口ダクトが設けられ、多方回転バルブによってその出入りを制御する。典型的には、8つの吸着カラムを有する擬似移動床において、24個の出入り口のうち、20個はセグメント間を繋がる作用しか有せず、残りの4個は4筋の素材の進入又は排出に供する。ある瞬間の素材出入り口位置によって、吸着床層全体は4つのゾーンに分けられ、各ゾーンは距離が同一でなく、各セグメントの相間物質移動も異なる。
【0004】
擬似移動床は多方回転バルブを利用し、固相濃度の変化と同期した速度で4つの素材の出入り口を上方へ移動させる。このように閉回路を構成した結果は、出入り口の位置をそのままに保持し、固体吸着剤が吸着器中を上方から下方へ移動するという効果とほぼ同じであり、分離効果を奏する。当該過程を実現する核心的な装置は多方回転バルブであり、多方回転バルブの回転によってプロセスの周期的切替を実現し、製品を分離する目的を達成する。
【0005】
従来技術において、CN100453867Cは高効率液相製造クロマトグラフィー擬似移動床に用いられる36方回転バルブを開示している。当該36方回転バルブはベルトを介してシンクロプーリが取り付けられるステッピングモータに繋がる。前記36方回転バルブは主に固定ディスクと、固定ディスクに取り付けられるハウジングとを備え、固定ディスクとハウジングとの間にはトランスミッションシャフトが設けられ、トランスミッションシャフトの一端が固定ディスクの中心穴に挿入し、他端がハウジングを挿通して他方のシンクロプーリに取り付けられ、固定ディスクとハウジングの円周辺にはシールリングが設けられて均一に固定される。固定ディスクとハウジングとの間には、下から上に、さらに可動ディスク、駆動ディスク、皿ばね、調整ワッシャ及びスラスト軸受がこの順に設けられる。当該36方回転バルブは構造がコンパクトであり、デッドボリュームが小さく、擬似移動床装置の故障率を大きく低減した。しかしながら、当該36方回転バルブは製造コストが高く、取り外して点検することが困難となり、吸着剤を交換する際に擬似移動床装置全体の操業を停止する必要があり、装置の長周期運転能力を低下させる。
【0006】
プログラム制御バルブを擬似移動床に用いることは既に従来技術である。AxEns Eluxyl擬似移動床プロセスとSorpx擬似移動床プロセスもn*24個のプログラム制御バルブ群によって制御を行う。しかしながら、吸着カラムに繋がる各ラインの体積が異なり、循環ポンプの領域内における相対位置が周期的に変化するため、循環ポンプの流量は所在領域によって大幅に変化し、制御が困難になり、圧力変動が大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術における擬似移動床にある上記技術課題について、本開示は、高効率擬似移動床装置及び高効率擬似移動床プロセスを開示することを目的とする。本開示は、伝統的な多方回転バルブの代わりにプログラム制御バルブ群を採用して擬似移動床の周期的転換を制御し、装置の製造コストを低減した。プログラム制御バルブ群は、点検の要求に応じて柔軟に切り出されることが可能であり、装置の点検を容易にする。各本の吸着カラムは何れも切り出されて点検され、吸着剤を交換した後にシステムに取り入れることができ、装置の長周期運転能力を大幅に向上させる。同時に、本開示における吸着カラムに繋がる各ラインの体積が同一であり、循環ポンプの領域内における相対位置が変化しないため、循環ポンプの流量が変化せず、圧力の変動が小さく、制御が簡単になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の面は、高効率擬似移動床装置を開示している。その技術案は以下の通りである。
【0009】
高効率擬似移動床装置は、吸着床と、原料供給システムと、脱着剤供給システムと、循環システムと、抽出液システムと、ラフィネートシステムと、プログラム制御バルブ群と、自動制御システムとを備え、前記吸着床は複数本の吸着カラムを含むとともに、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーンに分けられる。
各本の前記吸着カラムの上端には原料供給バルブ、脱着剤供給バルブ及び循環液供給バルブが設けられる。
各本の前記吸着カラムの下端にはラフィネート排出バルブ及び抽出液排出バルブが設けられる。
隣り合う2本の吸着カラムの間にはチェックバルブが設けられる。
【0010】
前記原料供給システムは各本の吸着カラムの原料供給バルブに接続される。
前記脱着剤供給システムは各本の吸着カラムの脱着剤供給バルブに接続される。
前記循環システムは循環ポンプを備え、当該循環ポンプによって各本の吸着カラムの循環液供給バルブに接続される。
前記抽出液システムは各本の吸着カラムの抽出液排出バルブに接続される。
前記ラフィネートシステムは各本の吸着カラムのラフィネート排出バルブに接続される。
全てのバルブは、各バルブの開閉状態を制御できる自動制御システムに繋がるプログラム制御バルブ群を構成する。
【0011】
前記吸着カラムは3~100本であることが好ましい。
【0012】
前記吸着カラムは8*N本であり、ただし、Nは1以上の整数であることが好ましい。
【0013】
前記原料供給システムは、原料ポンプ、及び原料ポンプの下流に位置する原料ヒータを備え、原料ヒータ出口ラインは吸着カラムに接続されることが好ましい。
【0014】
前記脱着剤供給システムは、脱着剤ポンプ、及び脱着剤ポンプの下流に位置する脱着剤ヒータを備え、脱着剤ヒータ出口ラインは吸着カラムに接続されることが好ましい。
【0015】
前記抽出液システムは、吸着床の抽出液ラインに接続される抽出液ポンプを備えることが好ましい。
【0016】
前記抽出液ラインには冷却器が設けられることが好ましい。
【0017】
前記ラフィネートシステムは、吸着床のラフィネートラインに接続されるラフィネートポンプ又は背圧バルブを備えることが好ましい。
【0018】
前記ラフィネートラインには冷却器が設けられることが好ましい。
【0019】
前記循環システムの循環ポンプの供給口は吸着床の抽出液ラインに接続されることが好ましい。
【0020】
前記循環システムの循環ポンプの下流にはヒータ及び/又は流量計が設けられることが好ましい。
【0021】
前記プログラム制御バルブ群におけるバルブのタイプは、それぞれ独立してボールバルブ、ニードルバルブ、遮断バルブ及びバタフライバルブのうちの1種であることが好ましい。
【0022】
バルブのアクチュエータは気動又は電動の機構であることが好ましい。
【0023】
前記循環ポンプの領域内における相対位置が変化しないことが好ましい。
【0024】
各本の吸着カラムの間の接続ラインの体積が同一であることが好ましい。
【0025】
各本の吸着カラムは、循環ポンプに接続されるラインの体積が同一であることが好ましい。
【0026】
前記吸着ゾーンはバッファゾーンをさらに備え、即ち、前記吸着床は吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン及びバッファゾーンに分けられることが好ましい。
【0027】
本開示の第2の面は、上記高効率擬似移動床装置を使用する高効率擬似移動床プロセスを開示している。その技術案は以下の通りである。
【0028】
前記高効率擬似移動床装置を使用する高効率擬似移動床プロセスは、バルブの切替を制御して毎回の供給・排出位置を変更することで、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーンの擬似移動を実現する。
【0029】
バルブの切替を制御して毎回の供給・排出位置を変更することで、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン、バッファゾーンの擬似移動を実現することが好ましい。
【0030】
前記吸着カラムは8本であることが好ましい。
【0031】
前記高効率擬似移動床プロセスは具体的には以下の通りである。
【0032】
0-t時系列において、吸着カラム1のチェックバルブA1、脱着剤供給バルブA2、吸着カラム2の脱着剤供給バルブB2、抽出液排出バルブB6、吸着カラム3の循環液供給バルブC4、吸着カラム4のチェックバルブD1、吸着カラム5のチェックバルブE1、原料供給バルブE3、吸着カラム6のチェックバルブF1、ラフィネート排出バルブF5、吸着カラム7のチェックバルブG1、吸着カラム8のチェックバルブH1を開とし、他のバルブを閉とする。
【0033】
この時、吸着ゾーンは吸着カラム5及び吸着カラム6であり、原料は吸着カラム5と吸着カラム6に入り、目標製品成分は吸着され、非目標成分は出口を介して流出する。
【0034】
精製ゾーンは吸着カラム3及び吸着カラム4であり、循環液は循環ポンプによって吸着カラム3と吸着カラム4に入り、前の周期において吸着された目標製品成分を精製する。
【0035】
脱着ゾーンは吸着カラム1及び吸着カラム2であり、脱着剤、及びバッファゾーンからの脱着剤の一部は、脱着剤ポンプによって吸着カラム1と吸着カラム2に入り、前の周期において精製された目標製品成分を溶出し、システムから引き出し、吸着分離という目的を達成する。
【0036】
バッファゾーンは吸着カラム7及び吸着カラム8であり、原料のうち、目標製品成分の大部分は既に吸着ゾーンで吸着され、残りの大量の非目標成分及び少量の目標成分からなる混合液はバッファゾーンに入り、次の周期の動作を待つ。
【0037】
バルブの切替を制御してt-2t、2t-3t、3t-4t時系列の供給・排出位置を変更することで、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン、バッファゾーンの擬似移動を実現する。
【発明の効果】
【0038】
従来技術に比べて、本開示は以下の有益な效果を取得した。
本開示は、従来技術における多方回転バルブの製造コストが高く、点検が困難であり、装置の長期運転能力が劣り、制御しにくいという技術課題について、高効率擬似移動床装置を創案した。伝統的な多方回転バルブの代わりにプログラム制御バルブ群を採用して擬似移動床の周期的転換を制御し、装置の製造コストを低減した。プログラム制御バルブ群は、点検の要求に応じて柔軟に切り出されることが可能であり、装置の点検を容易にする。各本の吸着カラムは何れも切り出されて点検され、吸着剤を交換した後にシステムに取り入れることができ、装置の長周期運転能力を大幅に向上させる。本開示における吸着カラムに繋がる各ラインの体積が同一であり、循環ポンプの領域内における相対位置が変化しないため、循環ポンプの流量が変化せず、圧力の変動が小さく、制御が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は従来技術における多方回転バルブを採用する擬似移動床装置の模式図である。
【
図2】
図2は本開示における高効率擬似移動床装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は従来技術における多方回転バルブを採用する擬似移動床装置の模式図である。擬似移動床は固定吸着床を複数のセグメントに分け、セグメント内には吸着剤が設けられ、多方回転バルブの回転によってプロセスの周期的切替を実現する。ある瞬間の素材出入り口位置によって、吸着床層全体は4つのゾーンに分けられる。擬似移動床は多方回転バルブを利用し、固相濃度の変化と同期した速度で4つの素材の出入り口を上方へ移動させる。このように閉回路を構成した結果は、出入り口の位置をそのままに保持し、固体吸着剤が吸着器中を上方から下方へ移動するという効果とほぼ同じであり、A成分とB成分を分離する效果を奏する。当該過程を実現する核心的な装置は多方回転バルブであり、製品を分離する目的を達成する。従来技術における多方回転バルブを採用する擬似移動床は、製造コストが高く、点検が困難であり、装置の長期運転能力が劣り、制御しにくいという技術課題があり、擬似移動床の分離效果に影響を与える。
【0041】
上記技術課題を解決するために、本開示は新規な高効率擬似移動床装置を提案している。以下に、具体的な実施例及び図面を組み合わせて本開示の技術案を詳述する。
【0042】
実施例1
図2を参照し、8本の吸着カラムからなる吸着床を例とする。
【0043】
高効率擬似移動床装置は、吸着床と、原料供給システムと、脱着剤供給システムと、循環システムと、抽出液システムと、ラフィネートシステムと、プログラム制御バルブ群と、自動制御システムとを備え、吸着床は、複数本の吸着カラムを含むとともに、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン及びバッファゾーンに分けられる(なお、本実施例は、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン及びバッファゾーンを備える吸着床を採用するが、バッファゾーンが本開示に対して必須な部分でなく、オプション的な部分になる)。
【0044】
吸着カラム1-8の上端には、原料供給バルブA3、B3、C3、D3、E3、F3、G3、H3と、脱着剤供給バルブA2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2と、循環液供給バルブA4、B4、C4、D4、E4、F4、G4、H4とがそれぞれ設けられる。
吸着カラム1-8の下端には、ラフィネート排出バルブA5、B5、C5、D5、E5、F5、G5、H5と、抽出液排出バルブA6、B6、C6、D6、E6、F6、G6、H6とがそれぞれ設けられる。
【0045】
隣り合う2本の吸着カラムの間にはチェックバルブA1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1が設けられる。
【0046】
前記原料供給システムは、各本の吸着カラムの原料供給バルブA3、B3、C3、D3、E3、F3、G3、H3に接続される。
【0047】
前記脱着剤供給システムは、各本の吸着カラムの脱着剤供給バルブA2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2に接続される。
【0048】
前記循環システムは循環ポンプを備え、当該循環ポンプによって各本の吸着カラムの循環液供給バルブA4、B4、C4、D4、E4、F4、G4、H4に接続される。
【0049】
前記抽出液システムは、各本の吸着カラムの抽出液排出バルブA6、B6、C6、D6、E6、F6、G6、H6に接続される。
【0050】
前記ラフィネートシステムは、各本の吸着カラムのラフィネート排出バルブA5、B5、C5、D5、E5、F5、G5、H5に接続される。
【0051】
本実施例において、前記循環ポンプの領域内における相対位置が変化しないため、循環ポンプの流量が変化せず、各本の吸着カラムの間の接続ラインの体積が同一であり、各本の吸着カラムは、循環ポンプに接続されるラインの体積が同一である。したがって、本実施例における循環ポンプの流量が変化せず、圧力の変動が小さく、制御が簡単になる。
【0052】
本実施例において、全てのバルブは、各バルブの開閉状態を制御できる自動制御システムに繋がるプログラム制御バルブ群を構成する。
【0053】
本実施例の改善態様として、選択的に、前記原料供給システムは、原料ポンプ、及び原料ポンプの下流に位置する原料ヒータを備え、原料ヒータ出口ラインは吸着カラムに接続される。原料ポンプは原料の供給に動力を提供できる。原料ヒータは原料を適切な温度に加熱し、吸着活性を向上させることができる。具体的なパンピング圧力と加熱温度は材料分離システムの特徴に応じて決定される。
【0054】
本実施例の改善態様として、選択的に、前記脱着剤供給システムは、脱着剤ポンプ、及び脱着剤ポンプの下流に位置する脱着剤ヒータを備え、脱着剤ヒータ出口ラインは吸着カラムに接続される。脱着剤ポンプは脱着剤の供給に動力を提供できる。脱着剤ヒータは脱着剤を適切な温度に加熱し、脱離能力を向上させることができる。具体的なパンピング圧力と加熱温度は材料分離システムの特徴に応じて決定される。
【0055】
本実施例の改善態様として、選択的に、前記抽出液システムは抽出液ポンプを備え、抽出液ポンプは吸着床の抽出液ラインに接続される。抽出液ポンプは抽出液の引出動力を提供する。
【0056】
本実施例の改善態様として、選択的に、前記ラフィネートシステムは、吸着床のラフィネートラインに接続されるラフィネートポンプ又は背圧バルブを備える。ラフィネートポンプはラフィネートの引出動力を提供する。
【0057】
本実施例の改善態様として、選択的に、前記循環システムの循環ポンプの供給口は吸着床の抽出液ラインに接続され、抽出液を循環させる。
【0058】
本実施例の改善態様として、選択的に、前記プログラム制御バルブ群におけるバルブのタイプは、それぞれ独立してボールバルブ、ニードルバルブ、遮断バルブ及びバタフライバルブのうちの1種である。即ち、本実施例における56個のバルブは、それぞれ独立してボールバルブ、ニードルバルブ、遮断バルブ及びバタフライバルブのうちの一種であり、互いに干渉しない。バルブアクチュエータは気動又は電動の機構である。
【0059】
本実施例の改善態様として、選択的に、前記循環ポンプの領域内における相対位置が変化しないため、循環ポンプの流量が変化せず、各本の吸着カラムの間の接続ラインの体積が同一であり、各本の吸着カラムは、循環ポンプに接続されるラインの体積が同一である。したがって、本実施例における循環ポンプの流量が変化せず、圧力の変動が小さく、制御が簡単になる。
【0060】
実施例2
実施例1における8本の吸着カラムを有する擬似移動床装置を採用する擬似移動床プロセスは、バルブの切替を制御して毎回の供給・排出位置を変更することで、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン、バッファゾーンの擬似移動を実現する。具体的なプログラム制御ステップは以下である。
【0061】
0-t時系列において、吸着カラム1のチェックバルブA1、脱着剤供給バルブA2、吸着カラム2の脱着剤供給バルブB2、抽出液排出バルブB6、吸着カラム3の循環液供給バルブC4、吸着カラム4のチェックバルブD1、吸着カラム5のチェックバルブE1、原料供給バルブE3、吸着カラム6のチェックバルブF1、ラフィネート排出バルブF5、吸着カラム7のチェックバルブG1、吸着カラム8のチェックバルブH1を開とし、他のバルブを閉とする。
【0062】
この時、吸着ゾーンは吸着カラム5及び吸着カラム6であり、原料は吸着カラム5と吸着カラム6に入り、目標製品成分は吸着され、非目標成分は出口を介して流出する。
【0063】
精製ゾーンは吸着カラム3及び吸着カラム4であり、循環液は循環ポンプによって吸着カラム3と吸着カラム4に入り、前の周期において吸着された目標製品成分を精製する。
【0064】
脱着ゾーンは吸着カラム1及び吸着カラム2であり、脱着剤、及びバッファゾーンからの脱着剤の一部は、脱着剤ポンプによって吸着カラム1と吸着カラム2に入り、前の周期において精製された目標製品成分を溶出し、システムから引き出し、吸着分離という目的を達成する。
【0065】
バッファゾーンは吸着カラム7及び吸着カラム8であり、原料のうち、目標製品成分の大部分は既に吸着ゾーンで吸着され、残りの大量の非目標成分及び少量の目標成分からなる混合液はバッファゾーンに入り、次の周期の動作を待つ。
【0066】
バルブの切替を制御してt-2t、2t-3t、3t-4t時系列の供給・排出位置を変更することで、吸着ゾーン、精製ゾーン、脱着ゾーン、バッファゾーンの擬似移動を実現する。
【0067】
0-t、t-2t、2t-3t、3t-4t時系列のバルブ制御は表1-表4を参照する。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】