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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】シフトレバー装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20221219BHJP
   B60K 20/00 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
B60K20/02 E
B60K20/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018172194
(22)【出願日】2018-09-14
(65)【公開番号】P2020044861
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】安達 貴久
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-107440(JP,A)
【文献】特開平08-159249(JP,A)
【文献】特開2001-206094(JP,A)
【文献】特開2013-039869(JP,A)
【文献】特開平10-287143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
B60K 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたマニュアルトランスミッションの変速段の切り替えのために操作されるシフトレバー装置であって、
セレクト方向に移動可能に設けられ、かつ、第1位置から前記セレクト方向と直交するシフト方向の一方側の前進位置および前記第1位置と前記セレクト方向に異なる第2位置から前記シフト方向の前記一方側の後退位置に操作可能に設けられたシフトレバーと、
前記シフトレバーの長手方向に互いに異なる非操作位置と操作位置とに操作可能に設けられた操作部と、
前記操作部の操作に伴って変位する変位部と、
前記操作部が前記非操作位置に位置する状態で、前記シフトレバーが前記第1位置から前記第2位置に向けて操作されたときに前記変位部が当接して、前記第1位置から前記第2位置への操作を阻止する第1阻止部と、
前記操作部が前記操作位置に位置する状態で、前記シフトレバーが前記第1位置から前記前進位置に向けて操作されたときに前記変位部が当接して、前記第1位置から前記前進位置への操作を阻止する第2阻止部とを含み、
前記変位部は、前記シフトレバーに対して前記セレクト方向の前記一方側に設けられ、
前記第1阻止部は、前記操作部が前記非操作位置に位置する状態で、前記変位部に対して前記セレクト方向の前記一方側から対向する位置に配置され、
前記第2阻止部は、前記シフトレバーが前記第1位置に位置し、前記操作部が前記操作位置に位置する状態で、前記変位部に対して前記シフト方向の前記一方側から対向する位置に配置されている、シフトレバー装置。
【請求項2】
車両に搭載されたマニュアルトランスミッションの変速段の切り替えのために操作されるシフトレバー装置であって、
セレクト方向に移動可能に設けられ、かつ、第1位置から前記セレクト方向と直交するシフト方向の一方側の前進位置および前記第1位置と前記セレクト方向に異なる第2位置から前記シフト方向の前記一方側の後退位置に操作可能に設けられたシフトレバーと、
前記シフトレバーの長手方向に互いに異なる非操作位置と操作位置とに操作可能に設けられた操作部と、
前記操作部の操作に伴って変位する変位部と、
前記操作部が前記非操作位置に位置する状態で、前記シフトレバーが前記第1位置から前記第2位置に向けて操作されたときに前記変位部が当接して、前記第1位置から前記第2位置への操作を阻止する第1阻止部と、
前記操作部が前記操作位置に位置する状態で、前記シフトレバーが前記第1位置から前記前進位置に向けて操作されたときに前記変位部が当接して、前記第1位置から前記前進位置への操作を阻止する第2阻止部と、
前記操作部が前記操作位置に位置する状態で、前記シフトレバーが前記第1位置から前記セレクト方向における前記第2位置側と反対側に向けて操作されたときに前記変位部が当接して、前記シフトレバーが前記第1位置に対して前記セレクト方向の前記反対側の第3位置に操作されるのを阻止するセレクト阻止部とを含む、シフトレバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニュアルトランスミッションの変速段の切り替えのために操作されるシフトレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マニュアルトランスミッション(MT:Manual Transmission)を搭載した車両では、たとえば、車室内にフロアシフト式のシフトレバー装置が設けられる。
【0003】
シフトレバー装置は、車室内のフロアに固定されるシフトボディと、シフトボディに支持されたシフトレバーとを備えている。シフトレバーは、車両の左右方向に沿うセレクト方向および前後方向に沿うシフト方向に傾動可能に設けられている。シフトレバーがセレクト方向に操作(セレクト操作)されると、その操作力がセレクトケーブルを介してマニュアルトランスミッションに伝達され、マニュアルトランスミッションのシフトアンドセレクトシャフトが軸線方向に移動する。また、シフトレバーがシフト方向に操作(シフト操作)されると、その操作力がシフトケーブルを介してマニュアルトランスミッションに伝達され、シフトアンドセレクトシャフトが軸線まわりに回動する。これらの動作の組合せにより、マニュアルトランスミッションのギヤの噛み合い状態が変更されて、シフトレバーのセレクト操作およびシフト操作に応じた変速段(前進段および後退段)が構成される。
【0004】
シフトレバー装置では、各変速段を選択するためのシフトレバーのセレクト操作およびシフト操作のパターン(シフトパターン)が決められている。図19に示されるシフトパターンは、前進6段および後退1段の変速段を有するマニュアルトランスミッション用のシフトレバー装置におけるシフトパターンの一例である。このシフトパターンでは、1速段に対応する1速位置と2速段に対応する2速位置とがシフト方向に並び、3速段に対応する3速位置と4速段に対応する4速位置とがシフト方向に並び、5速段に対応する5速位置と6速段に対応する6速位置とがシフト方向に並んでいる。また、1速位置、3速位置および5速位置がセレクト方向の一方側からこの順に並び、2速位置、4速位置および6速位置がセレクト方向の一方側からこの順に並んでいる。さらに、1速位置に対してセレクト方向の一方側には、後退段に対応するリバース位置が設定されている。1速位置と2速位置との中間の1-2セレクト位置、3速位置と4速位置との中間の3-4セレクト位置および5速位置と6速位置との中間の5-6セレクト位置は、セレクト方向に延びる直線上に配置され、その直線上で1-2セレクト位置に対してセレクト方向の一方側に離間して、リバース位置とシフト方向に対向するRセレクト位置が配置されている。シフトレバーは、5-6セレクト位置とRセレクト位置との間でセレクト方向に操作可能であり、1-2セレクト位置、3-4セレクト位置および5-6セレクト位置の各位置からシフト方向の両側に操作可能であり、Rセレクト位置からシフト方向のリバース位置側に操作可能である。
【0005】
なお、図19では、1速位置~6速位置がそれぞれ変速段を表す数字「1」~「6」を記して示され、リバース位置が「R」を記して示されている。
【0006】
シフトレバーがリバース位置に誤操作されるのを防止するため、シフトレバー装置には、リバース誤操作防止機構を設けたものがある。リバース誤操作防止機構は、シフトレバーに外嵌されるアウタスリーブと、シフトレバーに対してセレクト方向の一方側に配置される壁部とを含む。アウタスリーブは、シフトレバーの長手方向に変位可能に設けられており、コイルスプリングにより下方に付勢されている。
【0007】
アウタスリーブが操作されていない状態では、アウタスリーブに設けられた突起部が壁部とセレクト方向に対向する。そのため、アウタスリーブが操作されずに、シフトレバーがセレクト方向の一方側に傾動された場合、シフトレバーが1-2セレクト位置に到達したときに、突起部が壁部に当接して、シフトレバーのそれ以上の傾動が阻止される。そのため、シフトレバーをリバース位置に操作することができない。アウタスリーブがコイルスプリングの付勢力に抗して引き上げられ、そのプルアップ状態でシフトレバーがセレクト方向の一方側に傾動された場合には、突起部が壁部を乗り越えて、シフトレバーが1-2セレクト位置を越えて傾動する。よって、シフトレバーをリバース位置に操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-287143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、従来のリバース誤操作防止機構では、アウタスリーブが引き上げられたプルアップ状態で、シフトレバーをリバース位置以外の前進位置(1速~6速位置)に操作することが可能である。すなわち、従来のリバース誤操作防止機構では、運転者が車両を前進させようとするときに、シフトレバーがリバース位置に誤操作されることを防止できても、運転者が車両を後退させようとするときに、シフトレバーが前進位置に誤操作されることを防止できず、そのシフトレバーの前進位置への誤操作については何ら考慮されていない。
【0010】
本発明の目的は、シフトレバーを後退位置に操作可能な状態で、シフトレバーが前進位置に誤操作されることを抑制できる、シフトレバー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明に係るシフトレバー装置は、車両に搭載されたマニュアルトランスミッションの変速段の切り替えのために操作されるシフトレバー装置であって、セレクト方向に移動可能に設けられ、かつ、第1位置から前記セレクト方向と直交するシフト方向の一方側の前進位置および前記第1位置と前記セレクト方向に異なる第2位置から前記シフト方向の前記一方側の後退位置に操作可能に設けられたシフトレバーと、前記シフトレバーの長手方向に互いに異なる非操作位置と操作位置とに操作可能に設けられた操作部と、前記操作部の操作に伴って変位する変位部と、前記操作部が前記非操作位置に位置する状態で、(前記第1位置から前記前進位置への操作を許容し、)前記シフトレバーが前記第1位置から前記第2位置に向けて操作されたときに前記変位部が当接して、前記第1位置から前記第2位置への操作を阻止する第1阻止部と、前記操作部が前記操作位置に位置する状態で、(前記第1位置から前記第2位置への操作を許容し、)前記シフトレバーが前記第1位置から前記前進位置に向けて操作されたときに前記変位部が当接して、前記第1位置から前記前進位置への操作を阻止する第2阻止部とを含む。
【0012】
この構成によれば、シフトレバーがセレクト方向およびセレクト方向に異なる第1位置および第2位置からそれぞれセレクト方向の一方側の前進位置および後退位置に操作可能に設けられている。また、操作部がシフトレバーの長手方向に非操作位置と操作位置とに操作可能に設けられており、この操作部の操作に伴って変位部が変位する。
【0013】
操作部が非操作位置に位置する状態では、シフトレバーが第1位置から第2位置に向けて操作されると、変位部が第1阻止部に当接して、そのシフトレバーの第1位置から第2位置への操作が阻止される。これにより、シフトレバーが後退位置に誤操作されることを抑制できる。また、操作部が操作位置に位置する状態では、シフトレバーの第1位置から第2位置への操作が許容されるが、シフトレバーが第1位置から前進位置に向けて操作されたときには、変位部が第2阻止部に当接して、そのシフトレバーの第1位置から前進位置への操作が阻止される。
【0014】
よって、シフトレバーを前進位置に操作可能な状態では、シフトレバーが後退位置に誤操作されることを抑制でき、シフトレバーを後退位置に操作可能な状態では、シフトレバーが前進位置に誤操作されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シフトレバーを後退位置に操作可能な状態で、シフトレバーが前進位置に誤操作されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るシフトレバー装置の斜視図である。
図2図1に示されるシフトレバー装置を後側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を示す。
図3図1に示されるシフトレバー装置を左側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を示す。
図4図1に示されるシフトレバー装置を後側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが操作位置に位置する状態を示す。
図5図1に示されるシフトレバー装置を左側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが操作位置に位置する状態を示す。
図6】本発明の第2実施形態に係るシフトレバー装置の斜視図である。
図7図6に示されるシフトレバー装置を後側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を示す。
図8図6に示されるシフトレバー装置を左側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を示す。
図9図6に示されるシフトレバー装置を右側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を示す。
図10図6に示されるシフトレバー装置を後側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが操作位置に位置する状態を示す。
図11図6に示されるシフトレバー装置を左側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが操作位置に位置する状態を示す。
図12図6に示されるシフトレバー装置を右側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが操作位置に位置する状態を示す。
図13】本発明の第3実施形態に係るシフトレバー装置の斜視図である。
図14図13に示されるシフトレバー装置を後側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を示す。
図15図13に示されるシフトレバー装置を左側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を示す。
図16図13に示されるシフトレバー装置を上側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが非操作位置に位置する状態を図解的に示す。
図17図13に示されるシフトレバー装置を後側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが操作位置に位置する状態を示す。
図18図13に示されるシフトレバー装置を左側から見た図であり、シフトレバーが3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブが操作位置に位置する状態を示す。
図19】シフトパターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
<シフトレバー装置の基本構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係るシフトレバー装置1の斜視図である。
【0019】
シフトレバー装置1は、車両にマニュアルトランスミッション(図示せず)とともに搭載されて、運転者によりマニュアルトランスミッションの変速段の切り替えのために操作されるものである。シフトレバー装置1は、シフトボディ11と、シフトボディ11に支持されたシフトレバー12とを備えている。
【0020】
シフトボディ11は、たとえば、車室内のフロアまたはセンタコンソールに固定される。
【0021】
マニュアルトランスミッションは、前進6段および後退1段の変速段を有しており、シフトレバー12は、図19に示されるシフトパターンに従ってセレクト方向およびセレクト方向と直交するシフト方向に操作可能に設けられている。図19に示されるシフトパターンについては、「背景技術」の欄で説明した通りである。シフトレバー12がセレクト方向に操作(セレクト操作)されると、その操作力がセレクトケーブルを介してマニュアルトランスミッションに伝達され、マニュアルトランスミッションのシフトアンドセレクトシャフトが軸線方向に移動する。また、シフトレバー12がシフト方向に操作(シフト操作)されると、その操作力がシフトケーブルを介してマニュアルトランスミッションに伝達され、シフトアンドセレクトシャフトが軸線まわりに回動する。これらの動作の組合せにより、マニュアルトランスミッションでは、ギヤの噛み合い状態が変更されて、シフトレバーの位置に応じた変速段(前進段および後退段)が構成される。
【0022】
なお、セレクト方向は、車両の左右方向に一致し、シフト方向は、車両の前後方向に一致する。以下の説明では、3-4セレクト位置に対する1-2セレクト位置側を「左側」といい、その反対側(5-6セレクト位置側)を「右側」という。また、4速位置に対する3速位置側を「前側」といい、その反対側(4速位置側)を「後側」という。
【0023】
<誤操作防止機構>
また、シフトレバー装置1には、シフトレバー12の誤操作を防止する誤操作防止機構13が設けられている。誤操作防止機構13は、アウタスリーブ14およびパターンゲート15を含む。
【0024】
アウタスリーブ14は、管状をなし、シフトレバー12に外嵌されて、シフトレバー12に沿って相対的に下側の非操作位置と相対的に上側の操作位置とに操作可能に設けられている。アウタスリーブ14の上端部には、その周囲に張り出す鍔状の操作リング部21が形成されている。アウタスリーブ14の下端部には、アウタスリーブ14からセレクト方向の左側に突出する角柱状の第1突出部22が形成されている。第1突出部22の先端部には、第1突出部22から上方に突出する円柱状の第2突出部23が形成されている。また、アウタスリーブ14の内側には、図示されていないが、アウタスリーブ14を下方に付勢するコイルスプリングが設けられている。車両の運転者は、操作リング部21にその下側から手指を引っ掛けて、コイルスプリングの付勢力に抗して、アウタスリーブ14を非操作位置から操作位置に操作することができる。
【0025】
パターンゲート15は、シフトレバー12に対して左側に設けられている。パターンゲート15は、第1阻止部31、第2阻止部32および第3阻止部33を備えている。
【0026】
第1阻止部31は、シフト方向に互いに間隔を空けて配置される柱部34,35と、各柱部34,35の上端間に架設される架設部36とを一体に有するアーチ状に形成されている。架設部36は、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態で、第1突出部22がセレクト方向に対向する位置、つまり第1突出部22と同じ高さの位置に設けられている。
【0027】
第2阻止部32は、架設部36の上面から上方に突出する基端部37と、基端部37の上端からセレクト方向の右側に延出する延出部38と、延出部38からシフト方向の後側に突出する先端部39とを一体に有する平面視略L字状に形成されている。
【0028】
第3阻止部33は、第2阻止部32に対して後側に間隔を空けた位置において、架設部36の上面から上方に延び、セレクト方向の右側に屈曲して延びる後面視略L字状に形成されている。第3阻止部33の先端部は、第2阻止部32の先端部39に対して後側からアウタスリーブ14の第2突出部23の直径よりも大きい間隔を空けて対向している。
【0029】
図2は、シフトレバー装置1を後側から見た図であり、図3は、シフトレバー装置1を左側から見た図である。図2および図3は、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態を示す。また、図4は、シフトレバー装置1を後側から見た図であり、図5は、シフトレバー装置1を左側から見た図である。図4および図5は、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態を示す。
【0030】
シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態では、図2および図3に示されるように、アウタスリーブ14の第1突出部22が第1阻止部31の架設部36にセレクト方向の右側から対向している。そのため、アウタスリーブ14が非操作位置から操作されないまま、シフトレバー12が3-4セレクト位置からセレクト方向の左側に操作された場合、シフトレバー12がRセレクト位置に到達する前に、第1突出部22が架設部36に当接して、それ以上の操作が阻止される。したがって、シフトレバー12をリバース位置に位置させることができない。
【0031】
一方、シフトレバー12が1-2セレクト位置または3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態において、アウタスリーブ14の第2突出部23の上端は、第2阻止部32および第3阻止部33の各下面よりも低い位置にある。そのため、シフトレバー12を1-2セレクト位置からシフト方向の前側および後側の両側に操作することが許容され、シフトレバー12を3-4セレクト位置からシフト方向の前側および後側の両側に操作することが許容され、シフトレバー12を5-6セレクト位置からシフト方向の前側および後側の両側に操作することが許容される。したがって、シフトレバー12を1速位置~6速位置の各位置に位置させることができる。
【0032】
アウタスリーブ14が非操作位置から操作位置に操作されて、シフトレバー12が1-2セレクト位置または3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態では、図4および図5に示されるように、第1突出部22の下面が架設部36の上面よりも高い位置にある。第2突出部23は、第2阻止部32の先端部39と第3阻止部33との間に位置して、それらに対してシフト方向に対向している。そのため、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12がセレクト方向の左側に1-2セレクト位置を越えて操作された場合、第1突出部22が架設部36を乗り越えて、シフトレバー12がRセレクト位置に到達する。したがって、シフトレバー12をリバース位置に位置させることができる。
【0033】
一方、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が1-2セレクト位置からシフト方向の前側に操作された場合、シフトレバー12が1速位置に達する前に、第2突出部23が第2阻止部32の先端部39に当接して、それ以上の操作が阻止される。また、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が1-2セレクト位置からシフト方向の後側に操作された場合、シフトレバー12が2速位置に達する前に、第2突出部23が第3阻止部33に当接して、それ以上の操作が阻止される。さらには、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が3-4セレクト位置からシフト方向の前側に操作された場合、シフトレバー12が3速位置に達する前に、第2突出部23が第2阻止部32の先端部39に当接して、それ以上の操作が阻止される。また、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が3-4セレクト位置からシフト方向の後側に操作された場合、シフトレバー12が4速位置に達する前に、第2突出部23が第3阻止部33に当接して、それ以上の操作が阻止される。したがって、シフトレバー12を1速位置~4速位置の各位置に位置させることができない。
【0034】
<作用効果>
以上のように、シフトレバー12を1速位置~6速位置の各位置に操作可能な状態では、シフトレバー12がリバース位置に誤操作されることを抑制でき、シフトレバー12をリバース位置に操作可能な状態では、シフトレバー12が1速位置~4速位置の各位置に誤操作されることを抑制できる。
【0035】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係るシフトレバー装置10の斜視図である。図6図18の各図において、図1図5に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。また、以下では、その同一の参照符号が付された部分の説明を省略する。
【0036】
図6に示されるシフトレバー装置10の誤操作防止機構130では、アウタスリーブ14の下端部に、第1突出部22および第2突出部23に加えて、第1突出部22と180°回転した位置に、アウタスリーブ14からセレクト方向の右側に突出する角柱状の第3突出部41が形成されている。
【0037】
また、誤操作防止機構130では、アウタスリーブ14およびパターンゲート15に加えて、シフトレバー12のセレクト方向の右側に第4阻止部42が設けられている。第4阻止部42は、上下方向に延びる角柱状の支持部43と、支持部43の上端部からセレクト方向の左側に突出する先端部44とを一体に有する後面視略L字状に形成されている。アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態では、第3突出部41の上面が先端部44の下面よりも低い位置にある。
【0038】
図7は、シフトレバー装置10を後側から見た図であり、図8は、シフトレバー装置10を左側から見た図であり、図9は、シフトレバー装置10を右側から見た図である。図7図8および図9は、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態を示す。また、図10は、シフトレバー装置10を後側から見た図であり、図11は、シフトレバー装置10を左側から見た図であり、図12は、シフトレバー装置10を右側から見た図である。図10図11および図12は、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態を示す。
【0039】
シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態では、図7図9に示されるように、アウタスリーブ14の第3突出部41が第4阻止部42の支持部43にセレクト方向の左側から対向している。そのため、アウタスリーブ14が非操作位置から操作されないまま、シフトレバー12が3-4セレクト位置からセレクト方向の右側に操作されると、シフトレバー12が5-6セレクト位置に到達する。したがって、シフトレバー12を5速位置および6速位置の各位置に位置させることができる。
【0040】
一方、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態では、図10図12に示されるように、第3突出部41が第4阻止部42の先端部44とセレクト方向に対向する。そのため、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12がセレクト方向の右側に操作された場合、シフトレバー12が5-6セレクト位置に到達する前に、第3突出部41が先端部44に当接して、それ以上の操作が阻止される。したがって、シフトレバー12を5速位置および6速位置に位置させることができない。
【0041】
<作用効果>
以上のように、誤操作防止機構130の構成では、シフトレバー12をリバース位置に操作可能な状態において、シフトレバー12が1速位置~6速位置の各位置に誤操作されることを抑制できる。
【0042】
<第3実施形態>
図13は、本発明の第3実施形態に係るシフトレバー装置100の斜視図である。
【0043】
図13に示されるシフトレバー装置100の誤操作防止機構131では、アウタスリーブ14の下端部に、アウタスリーブ14からシフト方向の前側に延出し、セレクト方向の左側に湾曲して延びる角柱状の第1突出部51が形成されている。第1突出部51の先端部には、第1突出部51から上方に突出する円柱状の第2突出部52が形成されている。
【0044】
そして、パターンゲート15の先端部39が図1に示される構成よりもセレクト方向に長く延びている。
【0045】
図14は、シフトレバー装置100を後側から見た図であり、図15は、シフトレバー装置100を左側から見た図であり、図16は、シフトレバー装置100を上側から見た図である。図14図16は、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態を示す。また、図17は、シフトレバー装置100を後側から見た図であり、図18は、シフトレバー装置100を左側から見た図である。図17および図18は、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態を示す。なお、図16では、シフトボディ11の図示が省略されている。
【0046】
シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態では、図14図16に示されるように、アウタスリーブ14の第1突出部51が第1阻止部31の架設部36にセレクト方向の右側から対向している。そのため、アウタスリーブ14が非操作位置から操作されないまま、シフトレバー12が3-4セレクト位置からセレクト方向の左側に操作された場合、シフトレバー12がRセレクト位置に到達する前に、第1突出部51が架設部36に当接して、それ以上の操作が阻止される。したがって、シフトレバー12をリバース位置に位置させることができない。
【0047】
一方、シフトレバー12が1-2セレクト位置、3-4セレクト位置または5-6セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が非操作位置に位置する状態において、アウタスリーブ14の第2突出部52の上端は、第2阻止部32および第3阻止部33の各下面よりも低い位置にある。そのため、シフトレバー12を1-2セレクト位置からシフト方向の前側および後側の両側に操作することが許容され、シフトレバー12を3-4セレクト位置からシフト方向の前側および後側の両側に操作することが許容され、シフトレバー12を5-6セレクト位置からシフト方向の前側および後側の両側に操作することが許容される。したがって、シフトレバー12を1速位置~6速位置の各位置に位置させることができる。
【0048】
アウタスリーブ14が非操作位置から操作位置に操作されて、シフトレバー12が3-4セレクト位置に位置し、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態では、図17および図18に示されるように、第1突出部51の下面が架設部36の上面よりも高い位置にある。第2突出部52は、第2阻止部32の先端部39と第3阻止部33との間に位置して、それらに対してシフト方向に対向している。そのため、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12がセレクト方向の左側に1-2セレクト位置を越えて操作された場合、第1突出部51が架設部36を乗り越えて、シフトレバー12がRセレクト位置に到達する。したがって、シフトレバー12をリバース位置に位置させることができる。
【0049】
一方、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が1-2セレクト位置からシフト方向の前側に操作された場合、シフトレバー12が1速位置に達する前に、第2突出部23が第2阻止部32の先端部39に当接して、それ以上の操作が阻止される。また、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が1-2セレクト位置からシフト方向の後側に操作された場合、シフトレバー12が2速位置に達する前に、第2突出部23が第3阻止部33に当接して、それ以上の操作が阻止される。さらには、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が3-4セレクト位置からシフト方向の前側に操作された場合、シフトレバー12が3速位置に達する前に、第2突出部23が第2阻止部32の先端部39に当接して、それ以上の操作が阻止される。また、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が3-4セレクト位置からシフト方向の後側に操作された場合、シフトレバー12が4速位置に達する前に、第2突出部23が第3阻止部33に当接して、それ以上の操作が阻止される。
【0050】
さらには、シフトレバー12が5-6セレクト位置に位置する状態においても、第2突出部52は、第2阻止部32の先端部39と第3阻止部33との間に位置して、それらに対してシフト方向に対向する。そのため、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が5-6セレクト位置からシフト方向の前側に操作された場合、シフトレバー12が5速位置に達する前に、第2突出部52が第2阻止部32の先端部39に当接して、それ以上の操作が阻止される。また、アウタスリーブ14が操作位置に位置する状態が維持されたまま、シフトレバー12が5-6セレクト位置からシフト方向の後側に操作された場合、シフトレバー12が6速位置に達する前に、第2突出部52が第3阻止部33に当接して、それ以上の操作が阻止される。したがって、シフトレバー12を1速位置~6速位置の各位置に位置させることができない。
【0051】
<作用効果>
以上のように、誤操作防止機構131の構成では、シフトレバー12をリバース位置に操作可能な状態において、シフトレバー12が1速位置~6速位置の各位置に誤操作されることを抑制できる。
【0052】
<変形例>
以上、本発明の3つの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0053】
たとえば、第3阻止部33が省略されてもよい。シフトレバー12が1速位置に操作されるときにリバース位置への誤操作が生じやすく、また、シフトレバー12がリバース位置に操作されるときに1速位置への誤操作が生じやすいので、第3阻止部33が省略された構成であっても、それらの誤操作を抑制することができるので、最小限必要な誤操作防止機能を発揮することができる。
【0054】
また、前進6段および後退1段の変速段を有するマニュアルトランスミッション用のシフトレバー装置1,10,100を取り上げたが、本発明は、前進4段および後退1段の変速段を有するマニュアルトランスミッションなど、前進6段および後退1段の変速段を有するマニュアルトランスミッション以外のマニュアルトランスミッション用のシフトレバー装置に適用することもできる。
【0055】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1,10,100:シフトレバー装置
12:シフトレバー
14:アウタスリーブ(操作部)
15:パターンゲート
22,51:第1突出部(変位部)
23,52:第2突出部(変位部)
31:第1阻止部
32:第2阻止部
図1
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図5
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