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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】PHS端末
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20221219BHJP
【FI】
H04W48/16 110
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018206516
(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2020072419
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 和隆
(72)【発明者】
【氏名】中込 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大田 恭平
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-308973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 -H04B 7/26
H04W 4/00 -H04W 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御チャネルのなかから待ち受け可能な制御チャネルをサーチする機能を備えたPHS端末であって、
すべての前記制御チャネルの電界強度を測定する電界測定手段を備え、
前記電界測定手段による測定結果に基づいて、所定強度以上の電界強度を有する前記制御チャネルである検索対象制御チャネルに対して、電界強度が高い順に第1の待ち時間間隔で検索を行い、
待ち受け状態になった場合には検索を終了し、
待ち受け状態にならない場合には、前記検索対象制御チャネルに対する電界強度が高い順の検索を、第2以降の待ち時間間隔で所定回数行い、
前記第1の待ち時間間隔は前記第2以降の待ち時間間隔より短く設定されている
ことを特徴とするPHS端末。
【請求項2】
前記検索対象制御チャネルに対する検索を所定回数行っても待ち受け状態にならない場合には、前記電界測定手段で再度測定を行いその測定結果に基づいて、前記検索対象制御チャネルに対して電界強度が高い順に検索を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のPHS端末。
【請求項3】
前記検索対象制御チャネルが前記電界測定手段で1つも測定されない場合には、所定の測定間隔時間を待って前記電界測定手段で再度測定を行う、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のPHS端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PHS(Personal Handy-phone System)端末に関し、特に、制御チャネルをサーチする機能を備えたPHS端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PHSにおけるオフィス(PBX、構内交換機)のBS(Base Station、基地局)の制御チャネルは、例えば12CHと18CHの2チャネルが使用可能となっており、BSにおいてPHS端末が内線番号を登録すると、そのBSの制御チャネルを登録・記憶する。そして、オフィスのBSをサーチするためにPHS端末は、まず、記憶された制御チャネルのうち一方の制御チャネル(例えば、12CH)をサーチする。その結果、待ち受けできるオフィスのBSがない場合には、所定時間(例えば、10秒)待って、他方の制御チャネル(例えば、18CH)をサーチする、という手順を採っていた。
【0003】
また、接続装置からの無線による制御信号に対して電波干渉が発生し、同期がとれなくなった場合に、再同期を効率的に行うというPHS無線移動局が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このPHS無線移動局は、接続装置(BS)から2つの制御周波数による論理制御チャネル(LCCH)の送信タイミングの時間差を保持する記憶部を備え、一方の制御周波数による論理制御チャネルに同期している状態で、このチャネル同期が電波干渉により異常となった場合、記憶部の情報を基に、他方の制御周波数の論理制御チャネルに再同期するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-78659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の移動通信トラフィックの増加に伴い、PHSで使用可能な制御チャネルが2チャネルから4チャネルに増やされることになった。このため、4チャネルのなかから適正な制御チャネルをサーチして待ち受けできるようにする必要があるが、従来のサーチ方法や特許文献1に記載のPHS無線移動局では、登録された2チャネル(例えば、12CHと18CH)のみをサーチできるだけで、他の2チャネル(例えば、35CHと37CH)をサーチすることができない。
【0006】
一方、使用可能な制御チャネルが2チャネルから4チャネルに増えたことから、従来の2チャネルの場合に比べてサーチに長時間を要することが予測されるが、できる限り早く待ち受け状態にすることが望まれる。
【0007】
そこで本発明は、4チャネルが使用可能なPHSにおいて、早期に待ち受け状態(通信可能状態)になることが可能なPHS端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の制御チャネルのなかから
待ち受け可能な制御チャネルをサーチする機能を備えたPHS端末であって、すべての前記制御チャネルの電界強度を測定する電界測定手段を備え、前記電界測定手段による測定結果に基づいて、所定強度以上の電界強度を有する前記制御チャネルである検索対象制御チャネルに対して、電界強度が高い順に第1の待ち時間間隔で検索を行い、待ち受け状態になった場合には検索を終了し、待ち受け状態にならない場合には、前記検索対象制御チャネルに対する電界強度が高い順の検索を、第2以降の待ち時間間隔で所定回数行い、前記第1の待ち時間間隔は前記第2以降の待ち時間間隔より短く設定されている、ことを特徴とする。

【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のPHS端末において、前記検索対象制御チャネルに対する検索を所定回数行っても待ち受け状態にならない場合には、前記電界測定手段で再度測定を行いその測定結果に基づいて、前記検索対象制御チャネルに対して電界強度が高い順に検索を行う、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のPHS端末において、前記検索対象制御チャネルが前記電界測定手段で1つも測定されない場合には、所定の測定間隔時間を待って前記電界測定手段で再度測定を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、全制御チャネルの電界強度を測定し、所定強度以上の電界強度を有する検索対象制御チャネルに対して、電界強度が高い順に検索を行うため、4チャネルが使用可能なPHSにおいても、早期に待ち受け状態になることが可能となる。すなわち、PHS端末に登録されていない制御チャネルを含めた全制御チャネルの電界強度を測定し、電界強度が高い検索対象制御チャネルから順に(待ち受け状態になる可能性が高い順に)検索を行うため、登録されていない制御チャネルであっても早期に待ち受け状態にすることが可能となる。また、所定強度以上の電界強度を有する検索対象制御チャネルに対してのみ検索を行い、電界強度が低く待ち受けできないと考えられる制御チャネルに対しては検索を行わないため、無駄な検索を行わずに早期に待ち受け状態にすることが可能となるとともに、電池の消費、劣化を抑制することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、検索対象制御チャネルに対する検索を所定回数行っても待ち受け状態にならない場合には、全制御チャネルの電界強度を再度測定し、その測定結果に基づいて、検索対象制御チャネルに対して電界強度が高い順に検索を行うため、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。すなわち、検索対象制御チャネルに対する検索を所定回数行っても待ち受け状態にならない場合には、PHS端末が全制御チャネルに対して完全に圏外に位置する等と考えられる。このため、再び圏内に位置するまで繰り返して(定期的に)、再度電界強度を測定して検索対象制御チャネルを検索することで、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、検索対象制御チャネルが電界測定手段で1つも測定されない場合には、所定の測定間隔時間を待って全制御チャネルの電界強度を再度測定するため、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。すなわち、所定強度以上の電界強度を有する制御チャネルがない場合には、PHS端末が全制御チャネルに対して完全に圏外に位置する等と考えられる。このため、再び圏内に位置するまで繰り返して(定期的に)、再度電界強度を測定して検索対象制御チャネルを検索することで、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施の形態に係るPHS端末を示す概略構成ブロック図である。
図2図1のPHS端末の制御チャネルのサーチ方法を示すフローチャートである。
図3図1のPHS端末の制御チャネルのサーチ方法を示す第1の説明図である。
図4図3の続きのサーチ方法を示す第2の説明図である。
図5図1のPHS端末の制御チャネルのサーチ方法を示す第3の説明図である。
図6図1のPHS端末がエリアAを出てエリアBに移動したり、エリアBで電源オンしたりする状況を示す概念図である。
図7】この発明の実施の形態において、3つの基地局を有する場合の制御チャネルの組み合わせ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0016】
図1図6は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係るPHS端末1を示す概略構成ブロック図である。このPHS端末1は、複数の制御チャネルのなかから待ち受け可能な制御チャネルをサーチする方法・機能が従来のPHS端末と異なり、その他の構成については従来のPHS端末と同等であるため、その詳説を省略するが、概略次のような構成となっている。すなわち、マイクからの音声等が信号処理部2で信号処理されて変調部31で変調され、送信部32およびアンテナ5を介して外部に送出される。また、アンテナ5および受信部42で受信された外部からの音声等が、復調部41で復調されて信号処理部2で信号処理され、スピーカから出力される。一方、中央処理部7でチャネル切替部6が制御されて、送信部32および受信部42で使用される制御チャネルが切り替えられる。
【0017】
さらに、このPHS端末1は、すべての制御チャネルの電界強度を測定する電界測定部(電界測定手段)8を備える。すなわち、電界測定部8は、後述する4つの制御チャネル12CH、18CH、35CH、37CHのすべてに対して、各制御チャネルの電界強度を測定する計測部である。ここで、PHS端末1が各制御チャネルの基地局に近いほど、その制御チャネルの電界強度が高く測定される。
【0018】
次に、このPHS端末1による制御チャネルのサーチ方法・機能、具体的には、オフィスで複数の基地局が運用されている環境下で待ち受けできる基地局をサーチする方法について説明する。ここで、この実施の形態では、図6に示すように、基地局A(BS(A))で使用可能な制御チャネルが12CH(第1の制御チャネル)と18CH(第2の制御チャネル)で、エリアA内が圏内で待ち受け可能(通信可能)であるとする。同様に、基地局B(BS(B))で使用可能な制御チャネルが35CH(第3の制御チャネル)と37CH(第4の制御チャネル)で、エリアB内が圏内で待ち受け可能(通信可能)であるとする。
【0019】
また、内線のPHS端末1には2つの制御チャネルを登録可能で、この実施の形態では、PHS端末1は、基地局Aで内線番号が登録され、基地局Aの制御チャネルである12CHと18CHが登録されているものとする。そして、例えば、PHS端末1を所持、使用しているユーザが、エリアAを出てエリアBに移動したり、エリアBで電源をオンしたりした場合に、次のようにして制御チャネルをサーチして待ち受け可能な状態にする。なお、このサーチ方法・機能は、電界測定部8による測定結果に基づいて、チャネル切替部6と中央処理部7とで行われる。
【0020】
まず、図2図3に示すように、電界測定部8によって4つの制御チャネルのすべてに対して、各制御チャネルの電界強度を測定する(ステップS1)。そして、所定強度以上の電界強度を有する制御チャネルつまり検索対象制御チャネルがない場合(ステップS2で「N」の場合)には、所定の測定間隔時間を待って(ステップS3)、再度各制御チャネルの電界強度を測定する(ステップS1)。ここで、所定の測定間隔時間は、PHS端末1が全制御チャネルつまりエリアA、Bに対して完全に圏外に位置した場合でも、その後、再び圏内に位置するのを待ってサーチするのに適し、かつ、電池の消費、劣化を抑制可能な時間(例えば、10秒)に設定されている。また、所定強度は、待ち受け状態になることが可能(通信可能)な最低限の電界強度に設定されている。
【0021】
一方、検索対象制御チャネルがある場合(ステップS2で「Y」の場合)には、電界強度が高い順に検索対象制御チャネルを並べ替える(ステップS4)。この実施の形態では、例えば、4つの全制御チャネルの電界強度が所定強度以上で、電界強度が高い順が、35CH、37CH、12CH、18CHであるとする。次に、これらの検索対象制御チャネルに対して、電界強度が高い順に検索を行う。
【0022】
すなわち、まず、電界強度が最も高い35CHを検索する(ステップS5)。この際、図3に示すように、PHS端末1は、最初に「ホーム検索」を実行して、次に「ローミング検索」を実行し、エリアB内では「ローミング検索」のタイミングで待ち受け可能となる。
【0023】
次に、図2に示すように、待ち受け状態になった場合(ステップS6で「Y」の場合)には処理を終了するが、待ち受け状態にならない場合(ステップS6で「N」の場合)、すべての検索対象制御チャネルを検索する検索手順を所定回数行ったか否かを確認する。そして、所定回数行った場合(ステップS7で「Y」の場合)には、ステップS1に戻って再度各制御チャネルの電界強度を測定する。このように、検索対象制御チャネルに対する検索を所定回数行っても待ち受け状態にならない場合には、電界測定部8で再度測定を行いその測定結果に基づいて、検索対象制御チャネルに対して電界強度が高い順に検索を行う。ここで、所定回数は、検索対象制御チャネルの検索を適正に行え、かつ、無駄な検索を繰り返さないような回数に設定され、この実施の形態では、後述するように2回に設定されている。
【0024】
一方、検索手順を所定回数行っていない場合(ステップS7で「N」の場合)には、第1の待ち時間後に、次に電界強度が高い37CHを検索する(ステップS8)。この際、図3に示すように、エリアB内では「ローミング検索」のタイミングで待ち受け可能となり、また、第1の待ち時間は2秒に設定されている。
【0025】
同様にして、待ち受け状態にならない場合、図3に示すように、第1の待ち時間後に、次に電界強度が高い12CHを検索する。さらに、待ち受け状態にならない場合、第1の待ち時間後に、次に電界強度が高い18CHを検索する。この際、エリアA内では「ホーム検索」のタイミングで待ち受け可能となり、また、第1の待ち時間後は2秒に設定されている。
【0026】
そして、待ち受け状態にならない場合、このようなすべての検索対象制御チャネルを検索する検索手順を、上記の所定回数(2回)だけ繰り返す。その際、2回目以降の検索手順では、図4に示すように、各検索対象制御チャネルを第2の待ち時間待って順次検索し、第2の待ち時間は10秒に設定されている。このように、検索手順を開始する当初(1回目の検索手順)の第1の待ち時間後が、その後の検索手順(2回目の検索手順)における第2の待ち時間後よりも短く設定されている。ここで、第1の待ち時間は、エリアA、B間での移動等を行っても早期に待ち受け状態になることが可能な比較的短い時間に設定され、第2の待ち時間は、外出して完全に圏外になった場合などに電池の消費、劣化を抑制可能な比較的長い時間に設定される。
【0027】
ところで、上記では、4つの全制御チャネルの電界強度が所定強度以上の場合について説明したが、一部の制御チャネルが検索対象制御チャネルの場合にも、同様に処理する。例えば、図5に示すように、35CHと37CHのみが検索対象制御チャネルの場合、まず、電界強度が最も高い35CHを検索し(ステップS5)、待ち受け状態にならない場合、第1の待ち時間(2秒)後に、次に電界強度が高い37CHを検索する。そして、待ち受け状態にならない場合、このような検索手順(35CHと37CHの検索)をもう1回繰り返す。この際、35CHの検索後第2の待ち時間(10秒)だけ待って、37CHを検索する。それでも待ち受け状態にならない場合、電界測定部8で4つの各制御チャネルの電界強度を再度測定して、その測定結果に基づく検索対象制御チャネル(2チャネルとは限らない)に対する検索手順を2回行う、という処理を繰り返す。
【0028】
このようなPHS端末1および制御チャネルのサーチ方法によれば、全制御チャネルの電界強度を測定し、所定強度以上の電界強度を有する検索対象制御チャネルに対して、電界強度が高い順に検索を行うため、4チャネルが使用可能なPHSにおいても、早期に待ち受け状態になることが可能となる。すなわち、PHS端末1に登録されていない制御チャネル35CH、37CHを含めた全制御チャネルの電界強度を測定し、電界強度が高い検索対象制御チャネルから順に(待ち受け状態になる可能性が高い順に)検索を行うため、登録されていない制御チャネル35CH、37CHであっても早期に待ち受け状態にすることが可能となる。また、図5の例で説明したように、所定強度以上の電界強度を有する検索対象制御チャネルに対してのみ検索を行い、電界強度が低く待ち受けできないと考えられる制御チャネルに対しては検索を行わないため、無駄な検索を行わずに早期に待ち受け状態にすることが可能となるとともに、電池の消費、劣化を抑制することが可能となる。
【0029】
このようにして、4チャネルが使用可能なPHSにおいても早期に待ち受け状態になることが可能なため、例えば、図6に示すように、PHS端末1を所持、使用しているユーザが、エリアAを出てエリアBに移動したり(別の事務所に行ったり)、エリアBで電源をオンしたりした場合であっても、すぐに圏内状態にすることが可能となる。
【0030】
また、検索対象制御チャネルに対する検索(検索手順)を所定回数行っても待ち受け状態にならない場合には、全制御チャネルの電界強度を再度測定し、その測定結果に基づいて、再度検索対象制御チャネルに対して電界強度が高い順に検索(再度検索手順)を行うため、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。すなわち、検索対象制御チャネルに対する検索を所定回数行っても待ち受け状態にならない場合には、PHS端末1がエリアA、Bから完全に圏外に位置する等と考えられる。このため、再び圏内に位置するまで繰り返して(定期的に)、再度電界強度を測定して検索対象制御チャネルを検索することで、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。
【0031】
同様に、検索対象制御チャネルが電界測定部8で1つも測定されない場合には、所定の測定間隔時間を待って全制御チャネルの電界強度を再度測定するため、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。すなわち、所定強度以上の電界強度を有する制御チャネルがない場合には、PHS端末1がエリアA、Bから完全に圏外に位置する等と考えられる。このため、再び圏内に位置するまで繰り返して(定期的に)、再度電界強度を測定して検索対象制御チャネルを検索することで、より確実に待ち受け状態にすることが可能となる。
【0032】
また、検索手順を開始する当初における第1の待ち時間(2秒)が、その後の検索手順における第2の待ち時間(10秒)よりも短く設定されている。すなわち、検索対象制御チャネルに対する1回目の検索では短い時間だけ待って順次検索を行うため、早期に待ち受け状態にすることが可能となる。一方、2回目以降の検索では長い時間待って順次検索を行うため、例えば、短い時間でスリープモードと起動を繰り返す必要がなくなり、電池の消費、劣化を抑制することが可能となる。
【0033】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、1回目の検索手順で検索する際の待ち時間を2秒とし、2回目の検索手順で検索する際の待ち時間を10秒としているが、その他の時間に設定してもよい。例えば、1回目と2回目の検索手順で検索する際の待ち時間を2秒とし、3回目以降の検索手順で検索する際の待ち時間を10秒としてもよい。また、検索手順の途中、例えば、図3図4の例における2回目の検索手順の37CHの検索以降を10秒にしてもよい。
【0034】
また、基地局Aで使用可能な制御チャネルが12CHと18CHで、基地局Bで使用可能な制御チャネルが35CHと37CHの場合について説明したが、各基地局で使用可能な制御チャネルの組み合わせはどのようなものでもよい。例えば、基地局Aで使用可能な制御チャネルが12CHと35CHで、基地局Bで使用可能な制御チャネルが18CHと37であってもよい。
【0035】
さらに、2つの基地局A、BおよびエリアA、Bが存在する場合について説明したが、3つ以上の基地局およびエリアが存在する場合でも同様にして、制御チャネルをサーチすることができる。例えば、図7に示すように、基地局A(BS(A))で使用可能な制御チャネルが12CHと18CHでエリアAが圏内で、基地局B(BS(B))で使用可能な制御チャネルが35CHと37CHでエリアBが圏内で、基地局C(BS(C))で使用可能な制御チャネルが12CHと35CHでエリアCが圏内であるとする。この場合でも、上記と同様にして、12CH、18CH、35CHおよび37CHの4つの制御チャネルの電界強度を測定し、所定強度以上の電界強度を有する制御チャネルに対して、電界強度が高い順に検索を行うことで、早期に待ち受け状態にすることが可能となる。
【0036】
1 PHS端末
2 信号処理部
31 変調部
32 送信部
41 復調部
42 受信部
5 アンテナ
6 チャネル切替部
7 中央処理部
8 電界測定部(電界測定手段)
12CH、18CH、35CH、37CH 制御チャネル
BS(A) 基地局A
BS(B) 基地局B
BS(C) 基地局C
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7