(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221219BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20221219BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20221219BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221219BHJP
B60L 53/60 20190101ALI20221219BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
G06Q50/06
H04M11/00 302
B60L53/60
(21)【出願番号】P 2018221326
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 禎浩
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255353(JP,A)
【文献】特開2012-019636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G06Q10/00-10/10
G06Q30/00-30/08
G06Q50/00-50/20
G06Q50/26-99/00
G16Z99/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
H04M3/00
H04M3/16-3/20
H04M3/38-3/58
H04M7/00-7/16
H04M11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバもしくは車両用充電装置に記憶された使用者情報と、車両用充電装置への認証操作により取得された使用者情報を照合し、電気車両への充電の可否を決める充電システムであって、
車両用充電装置に、モバイル機器と情報をやりとりすることが可能な近距離通信部を備え、
車両用充電装置とサーバ間で充電の可否に関する情報の伝達が行われる際に、
認証操作に用いられた使用者情報が紐づけられたモバイル機器が、近距離通信部から取得した情報をサーバに提供するとともに、サーバからモバイル機器に提供された充電の可否に関する情報を近距離通信部に提供
し、
車両用充電装置から電気車両への充電が終了した後、車両用充電装置を利用した利用実績に関する情報がサーバに伝達されていない間に、第二のモバイル機器によって、車両用充電装置に第二の認証操作を行った場合に、
第二のモバイル機器が認証操作する前に車両用充電装置を利用した利用実績に関する情報が、第二のモバイル機器を介してサーバに伝達されることを可能とする充電システム。
【請求項2】
サーバもしくは車両用充電装置に記憶された使用者情報と、車両用充電装置への認証操作により取得された使用者情報を照合し、電気車両への充電の可否を決める充電システムであって、
車両用充電装置に、モバイル機器と情報をやりとりすることが可能な近距離通信部を備え、
車両用充電装置とサーバ間で充電の可否に関する情報の伝達が行われる際に、
認証操作に用いられた使用者情報が紐づけられたモバイル機器が、近距離通信部から取得した情報をサーバに提供するとともに、サーバからモバイル機器に提供された充電の可否に関する情報を近距離通信部に提供し、
車両用充電装置から電気車両への充電が終了した後、車両用充電装置を利用した利用実績に関する情報がサーバに伝達されていない間に、他のモバイル機器が、前記利用実績に関する情報を車両用充電装置から得てサーバに伝達することを許可した場合に、
伝達を許可した利用実績に関する情報が、前記他のモバイル機器を介してサーバに伝達されることを可能とする充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、車両用充電装置が知られている。このような車両用充電装置は一般的に、サーバとの通信機能を備えている。使用者が充電装置に対して、認証カードをかざすことで、車両用充電装置とサーバ間で直接的に通信が行われ、問題が無ければ、車両用充電装置の使用が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
このように車両用充電装置にサーバへの通信が自在に行える機能を備える構成とすると、車両用充電装置自体の製造コストが増加してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明の目的は、車両用充電装置の製造コストを下げることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、サーバもしくは車両用充電装置に記憶された使用者情報と、車両用充電装置への認証操作により取得された使用者情報を照合し、電気車両への充電の可否を決める充電システムであって、車両用充電装置に、モバイル機器と情報をやりとりすることが可能な近距離通信部を備え、車両用充電装置とサーバ間で充電の可否に関する情報の伝達が行われる際に、認証操作に用いられた使用者情報が紐づけられたモバイル機器が、近距離通信部から取得した情報をサーバに提供するとともに、サーバからモバイル機器に提供された充電の可否に関する情報を近距離通信部に提供する充電システムとする。
【0007】
また、車両用充電装置から電気車両への充電が終了した後、モバイル機器により車両用充電装置に認証操作を行った場合に、使用者が車両用充電装置を利用した利用実績が、前記モバイル機器を介して車両用充電装置からサーバに提供される構成とすることが好ましい。
【0008】
また、車両用充電装置から電気車両への充電が終了した後、車両用充電装置を利用した利用実績に関する情報がサーバに伝達されていない間に、第二のモバイル機器によって、車両用充電装置に第二の認証操作を行った場合に、第二のモバイル機器が認証操作する前に車両用充電装置を利用した利用実績に関する情報が、第二のモバイル機器を介してサーバに伝達されることを可能とする構成とすることが好ましい。
【0009】
また、車両用充電装置から電気車両への充電が終了した後、車両用充電装置を利用した利用実績に関する情報がサーバに伝達されていない間に、他のモバイル機器が、前記利用実績に関する情報を車両用充電装置から得てサーバに伝達することを許可した場合に、伝達を許可した利用実績に関する情報が、前記他のモバイル機器を介してサーバに伝達されることを可能とする構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、車両用充電装置の製造コストを下げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】車両用充電装置とサーバの間での情報のやり取りをモバイル機器の通信機能を用いて行っていることを表す図である。
【
図2】充電をしようとする使用者Aのモバイル機器を用いて、車両用充電装置とサーバの間で情報のやり取りを行うことを表す図である。なお、認証用の情報から利用実績の情報までの全ての情報の伝達について、使用者Aのモバイル機器を用いている。
【
図3】充電をしようとする使用者Aのモバイル機器を用いて、車両用充電装置とサーバの間で情報のやり取りを行うことを表す図である。なお、使用者Aの利用実績の情報は使用者Bのモバイル機器を用いてサーバに伝達されている。
【
図4】充電をしようとする使用者Aのモバイル機器を用いて、車両用充電装置とサーバの間で情報のやり取りを行うことを表す図である。なお、使用者Aの利用実績の情報は通行人Cのモバイル機器を用いてサーバに伝達されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1に示されていることから理解されるように、本実施形態の充電システム1は、サーバ20もしくは車両用充電装置10に記憶された使用者情報と、車両用充電装置10への認証操作により取得された使用者情報を照合し、電気車両81への充電の可否を決めるものである。この充電システム1は、車両用充電装置10に、モバイル機器30と情報をやりとりすることが可能な近距離通信部11を備えている。また、車両用充電装置10とサーバ20間で充電の可否に関する情報の伝達が行われる際に、認証操作に用いられた使用者情報が紐づけられたモバイル機器30が、近距離通信部11から取得した情報をサーバ20に提供する。更には、このモバイル機器30が、サーバ20からモバイル機器30に提供された充電の可否に関する情報を近距離通信部11に提供する。このため、通信機能を有したモバイル機器30を介して、車両用充電装置10とサーバ20との間で情報の伝達を行うことができる。よって、車両用充電装置10は、サーバ20と直接的に情報伝達できる状態にする必要が無く、製造コストを下げることが可能となる。
【0013】
このように、本発明は、モバイル機器30の通信機能を活用した車両用充電装置10とサーバ20間の通信に関するシステムである。このシステムでは、少なくとも使用者の認証や充電の開始や終了に関する情報に関し、モバイル機器30の通信機能を活用して、車両用充電装置10とサーバ20間で伝達できるようにするものである。
【0014】
実施形態の車両用充電装置10は、近距離通信部11、認証部12、充電制御部13を備えているため、先ず、これらについて説明する。実施形態の近距離通信部11は、モバイル機器30との間で近距離無線通信を行うことができる。使用者がモバイル機器30を認証部12にかざすことで、車両用充電装置10とモバイル機器30の間で通信が行われるようにしてもよいが、アプリケーションソフトなどを起動した場合に、この通信が開始されるものであってもよい。
【0015】
通信が開始されると、近距離通信部11は、モバイル機器30へ、車両用充電装置10の装置に関する情報(装置情報)などを送信する。装置情報には、車両用充電装置10を特定するための識別情報や、車両用充電装置10の状態に関する情報、使用者が希望する充電時間や充電電力量に関する情報、過去の利用実績などが含まれる。これら情報は、使用者への認証を判定する際や、車両用充電装置10の管理などに活用される。
【0016】
車両用充電装置10に設けられた認証部12は、使用者が車両用充電装置10を利用することが可能かを確認するために、使用者が操作を行う部分である。実施形態では、認証部12にモバイル機器30をかざすことによって、車両用充電装置10がモバイル機器30を検知し、車両用充電装置10からモバイル機器30へ装置情報が送信される。特に、車両用充電装置10の使用者が登録するアプリケーションソフトなどを起動した後や、車両用充電装置10に設けられたスイッチが押された後など、ある特定の操作の後、認証部12にモバイル機器30をかざすことで、車両用充電装置10とモバイル機器30の間で通信が開始される方が好ましい。
【0017】
車両用充電装置10とモバイル機器30との間で通信された後、モバイル機器30は使用者IDと、認証操作を行った車両用充電装置10の装置情報をサーバ20へ送信する。送信後、サーバ20上で使用者IDと認証情報が照合され、一致した場合には、サーバ20から車両用充電装置10へモバイル機器30を介して充電許可信号が送信される。車両用充電装置10に設けられた充電制御部13は、電気車両81の充電操作をする際に機能する。
【0018】
車両用充電装置10は、サーバ20との間で情報を伝達する。実施形態のサーバ20は、記憶部21と、通信部22と、照合部23を備えているため、これらについて説明する。記憶部21は、車両用充電装置10の使用を許可した使用者IDや、課金用のクレジットカード情報などの認証情報と、車両用充電装置10の利用状況や状態、過去の利用実績など、車両用充電装置10の情報などが記憶されている。なお、これらの情報は、モバイル機器30から通信される情報と照合する際に利用される。
【0019】
通信部22は、モバイル機器30との間で通信する部分である。また、照合部23は、モバイル機器30から送信された使用者IDや装置情報などと、記憶部21に記憶された使用者情報などを照合する。照合の結果、両者が一致した場合には、通信部22から、モバイル機器30を介して車両用充電装置10に充電許可信号を送信する。
【0020】
ここで、車両用充電装置10とモバイル機器30とサーバ20との間での情報の流れなどについて説明する。
図2に示す例では、使用者Aが充電終了後に使用者Aが利用実績などを送信する場合の情報の流れを示している。まず、認証操作のために、使用者が、モバイル機器30を車両用充電装置10へかざす。このとき、使用者が希望する、使用時間や、使用する電力量を入力するようにしてもよい。
【0021】
次に、車両用充電装置10からサーバ20へ、モバイル機器30を介して装置情報が送信される。このとき、使用者IDも一緒に、モバイル機器30からサーバ20へ送信される。情報をサーバ20が受けた後、サーバ20で登録情報を参照し、使用者IDと照合するか否かを判定する。このとき、装置情報から、車両用充電装置10の状態(異常の有無)や車両用充電装置10の予約状態、使用者が希望する充電時間や充電電力量などの情報を加味して、車両用充電装置10の使用可否を判定することが好ましい。
【0022】
サーバ20で、車両用充電装置10の使用が許可された場合には、モバイル機器30を介して車両用充電装置10へ許可信号が送信される。車両用充電装置10がこの情報を受けた後、この許可信号にもとづき、車両用充電装置10の充電制御部13は充電を開始する。このとき、許可信号だけでなく、充電コネクタが電気車両81に接続されていることなど、安全が確保されたことが確認された場合に充電を開始することが好ましい。
【0023】
充電の終了後、充電コネクタを車両用充電装置10へ戻すことで、車両用充電装置10は利用終了を検知することができる。
図2に示す例では、車両用充電装置10が利用終了を検知した後、再度モバイル機器30を認証部12にかざすことによって、車両用充電装置10の「利用終了信号」と充電時間や充電電力量などの「利用実績」がモバイル機器30を介してサーバ20へ送信される。このとき、モバイル機器30上に利用実績を表示するようにしてもよい。
【0024】
サーバ20が利用実績を受信すると、利用実績を記憶部21へ記憶させ、課金処理を行う。事前に課金処理に必要な情報(クレジットカード情報や口座情報など)が記憶部21に登録されている場合には、課金処理を行った後、モバイル機器30へ課金情報を送信する。課金処理に必要な情報が記憶されていない場合には、モバイル機器30へ課金情報の入力を促す処理を行う。
【0025】
図2に示す例では、車両用充電装置10から電気車両81への充電が終了した後、モバイル機器30により車両用充電装置10に認証操作を行った場合に、使用者が車両用充電装置10を利用した利用実績が、前記モバイル機器30を介して車両用充電装置10からサーバ20に提供されるものである。この際、使用者Aが認証操作を行ったモバイル機器30で、利用実績をサーバ20に伝達したが、このようなことが行われない状況の場合もあり得る。この場合、使用者Aのモバイル機器30以外を利用して、利用実績をサーバ20に伝達させることが考えられる。例えば、
図3に示す例では、使用者Aが充電終了後、次に使用する使用者Bが使用者Aの利用実績を送信する。この例について、以下に説明する。なお、充電を終了後、充電コネクタを車両用充電装置10に戻すことで、利用終了を検知する流れまでは、上記した流れと同じであるため、そこまでの説明は省略する。
【0026】
電気車両81への充電の終了後、充電コネクタを車両用充電装置10に戻すことで、利用終了を検知した後、使用者Aがモバイル機器30を認証部12へかざさなかった場合、車両用充電装置10は利用終了を検知しているが、サーバ20は車両用充電装置10の利用が終了したことを把握することができない。そこで、使用者Aの利用終了後に車両用充電装置10を使用する使用者Bが車両用充電装置10の認証部12に認証操作を行ったときに、使用者Bの利用のための「装置情報」と、使用者Aの「終了信号」、「利用実績」を使用者Bの第二のモバイル機器50を介してサーバ20へ送信する。
【0027】
サーバ20は、使用者Aの利用終了を把握するとともに、使用者Aの利用実績から、使用者Aへの課金処理を行う。また、使用者Bの利用のために、照合を行い、問題がなければ充電許可の信号を使用者Bの第二のモバイル機器50を介して車両用充電装置10へ送信する。以下、同様のフローとなる。なお、車両用充電装置10から電気車両81への充電が終了した後、車両用充電装置10を利用した利用実績に関する情報がサーバ20に伝達されていない間に、第二のモバイル機器50によって、車両用充電装置10に第二の認証操作を行った場合に、第二のモバイル機器50が認証操作する前に車両用充電装置10を利用した利用実績に関する情報が、第二のモバイル機器50を介してサーバ20に伝達されることを可能としておけば、サーバ20に利用実績を送付できることになる。
【0028】
先に示した例においては、利用実績をサーバ20側に伝達する際に、認証操作が必須となっているが、認証操作がなされなくても、利用実績を伝達するようにしても良い。例えば、
図4に示す例では、使用者Aが充電終了後、通行人Cが使用者Aの利用実績を送信する。この例について、以下に説明する。なお、充電を終了後、充電コネクタを車両用充電装置10に戻すことで、利用終了を検知する流れまでは、
図2や
図3に示す例と同じであるため、そこまでの説明は省略する。
【0029】
図4に示す例では、電気車両81への充電の終了後、充電コネクタを車両用充電装置10に戻すことで、利用終了を検知した後、使用者Aがモバイル機器30を認証部12へかざさなかった場合、使用者Aの利用終了後に車両用充電装置10付近を通行する通行人Cが使用者Aの「終了信号」、「利用実績」を通行人Cのモバイル機器である他のモバイル機器60を介してサーバ20へ送信する。このとき、通行人Cは車両用充電装置10を利用しないため、使用者Aの利用情報のみを通信することとなる。
【0030】
この場合、他のモバイル機器60を介して通信が行われるための条件として、車両用充電装置10を利用するためのアプリケーションやソフトウェアを起動している場合とすることが好ましい。なお、使用者Aの利用情報を送信した通行人Cには、ポイントやクーポンなどの特典が提供されることが好ましい。
【0031】
このように、車両用充電装置10から電気車両81への充電が終了した後、車両用充電装置10を利用した利用実績に関する情報がサーバ20に伝達されていない間に、他のモバイル機器60が、前記利用実績に関する情報を車両用充電装置10から得てサーバ20に伝達することを許可した場合に、伝達を許可した利用実績に関する情報が、前記他のモバイル機器60を介してサーバ20に伝達されることを可能とする場合、通行人Cの代わりに車両用充電装置10を管理している管理者が保有するモバイル機器30を用いて、車両用充電装置10に残っている利用実績をサーバ20に伝達させるようにしても良い。例えば、営業終了後に管理者が車両用充電装置10に残っている利用実績を他のモバイル機器60でサーバ20に伝達させれば、車両用充電装置10に長期間利用実績が残る虞が無くなる。
【0032】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、
図2から
図4に示した例は、その何れかまたは全部を組み合わせて利用できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 充電システム
10 車両用充電装置
20 サーバ
30 モバイル機器
50 第二のモバイル機器
60 他のモバイル機器
81 電気車両