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特許7195715出力制御装置、出力制御方法、出力制御システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-16
(45)【発行日】2022-12-26
(54)【発明の名称】出力制御装置、出力制御方法、出力制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221219BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221219BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20221219BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20221219BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221219BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20221219BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20221219BHJP
【FI】
G08G1/00 K
G08G1/09 F
G08G1/0969
G01C21/36
G16Y10/40
G16Y40/10
G16Y40/60
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020525195
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2018023802
(87)【国際公開番号】W WO2019244338
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-11-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 和宏
(72)【発明者】
【氏名】下谷 光生
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0266853(US,A1)
【文献】特開2004-086783(JP,A)
【文献】特開2017-182831(JP,A)
【文献】特開2005-254930(JP,A)
【文献】特開2013-181897(JP,A)
【文献】特開2014-089663(JP,A)
【文献】特開2012-127708(JP,A)
【文献】特開2005-242943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G16Y 10/40
G16Y 40/10
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたカメラの撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、前記撮影画像を用いて交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出し、前記撮影画像に映った前記取締車両が前記特定の場所にいないことを検出した場合に、前記取締領域を検出しない検出部と、
前記取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、
前記取締情報を用いて前記車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、を備え、
前記検出部は、前記取締車両または前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を前記取締領域として検出する、
出力制御装置。
【請求項2】
前記特定の場所とは、一方通行の道路である、
請求項1に記載の出力制御装置。
【請求項3】
前記特定の場所とは、一時停止線または踏切の周辺である、
請求項1に記載の出力制御装置。
【請求項4】
前記特定の場所とは、本線に合流する道路の前記本線よりも標高が高い地点である、
請求項1に記載の出力制御装置。
【請求項5】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を用いて、取締車両と、前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある特定の対象物とを検出した場合に、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出する検出部と、
前記取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、
前記取締情報を用いて前記車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、を備え、
前記特定の対象物は、前記取締車両と縦列停車した一般車両であり、
前記検出部は、前記取締車両または前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を前記取締領域として検出する、
出力制御装置。
【請求項6】
前記蓄積部は、前記取締情報を前記出力制御装置の外部のサーバに蓄積し、
前記出力制御部は、前記サーバから取得した前記取締情報を用いて前記出力装置を出力制御する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の出力制御装置。
【請求項7】
前記検出部は、色、形状、車体に書かれた文字、および警光灯の有無の少なくともいずれかに基づき、前記取締車両を検出する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の出力制御装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記取締車両を検出した時点の前記車両の位置情報から前記取締領域の位置情報を推定する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の出力制御装置。
【請求項9】
前記出力制御部は、前記車両が前記取締領域から予め定められた距離内に進入した場合に、前記出力装置に報知音声または報知表示を出力させる、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の出力制御装置。
【請求項10】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を用いて、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出する検出部と、
前記取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、
前記取締情報を用いて前記車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、
前記車両のドライバが過去に行った交通違反の違反種別を含む違反履歴を取得する違反履歴取得部とを備え、
前記取締情報は、取締の違反種別の情報を含み、
前記出力制御部は、前記違反履歴に基づき違反種別ごとに前記取締情報に注意度を設定し、前記取締情報の注意度に基づき前記出力装置の出力を制御し、
前記検出部は、前記撮影画像に映った取締車両または前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を前記取締領域として検出する、
出力制御装置。
【請求項11】
前記取締情報に基づき前記車両の経路を探索する経路探索部をさらに備え、
前記出力制御部は、前記経路探索部が探索した経路を前記出力装置に表示させる、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の出力制御装置。
【請求項12】
前記経路探索部は、前記取締領域を避けた経路を探索する、
請求項11に記載の出力制御装置。
【請求項13】
車両に搭載されたカメラの撮影画像を用いて、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出する検出部と、
前記取締領域の位置情報および取締の違反種別の情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、
前記取締情報を用いて前記車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、
前記取締情報に基づき前記車両の経路を探索する経路探索部と、
前記車両のドライバが過去に行った交通違反の違反種別を含む違反履歴を取得する違反履歴取得部と、を備え、
前記出力制御部は、前記経路探索部が探索した経路を前記出力装置に表示させ、
前記経路探索部は、前記違反履歴の違反種別に対応する前記取締情報の前記取締領域を避けた経路を探索し、
前記検出部は、前記撮影画像に映った取締車両または前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を前記取締領域として検出する、
出力制御装置。
【請求項14】
検出部、蓄積部および出力制御部を備える出力制御装置による出力制御方法であって、
前記検出部が、車両に搭載されたカメラの撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、前記撮影画像を用いて交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出し、前記撮影画像に映った前記取締車両が前記特定の場所にいないことを検出した場合に、前記取締領域を検出せず、
前記蓄積部が、前記取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積し、
前記出力制御部が、前記取締情報を用いて前記車両に搭載された出力装置の出力を制御し、
前記検出部は、前記取締車両または前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を前記取締領域として検出する、
出力制御方法。
【請求項15】
出力制御装置と、取締情報管理サーバとを備える出力制御システムであって、
前記出力制御装置は、
車両に搭載されたカメラの撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、前記撮影画像を用いて交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出し、前記撮影画像に映った前記取締車両が前記特定の場所にいないことを検出した場合に、前記取締領域を検出しない検出部と、
前記取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、
前記取締情報を用いて前記車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、を備え、
前記検出部は、前記取締車両または前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を前記取締領域として検出し、
前記取締情報管理サーバは、前記取締情報を、前記出力制御装置から取得する取得部と、
前記取締情報を蓄積するサーバ側蓄積部と、
前記取締情報を前記出力制御装置に出力する出力部と、を備え、
前記出力制御装置は、前記撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、前記撮影画像を用いて前記取締領域を検出し、前記撮影画像に映った前記取締車両が前記特定の場所にいないことを検出した場合に、前記取締領域を検出せず、
前記出力制御装置は、前記取締車両または前記取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を前記取締領域として検出する、
出力制御システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の取締情報の表示制御に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、道路上の危険個所を車両のドライバに通知する技術が開示されている。特許文献1の技術では、周辺の物体の検知結果に基づき走行危険度を設定し、走行危険度に基づき表示モニタに注意喚起等の表示を行い、ドライバの安全走行等を支援している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-211756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、周辺の物体の検知結果に基づき走行危険度を設定するが、走行危険度が必ずしも実際の道路状況に適合しているとは限らない。その一方で、公共の取締機関は道路状況を把握しており、例えば事故が発生しやすい地点等で取締を行っている。そのため、取締機関の取締情報を活用すれば、より適切な運転支援を行うことが可能であるが、特許文献1の技術はそのようなものではなかった。
【0005】
本発明は上述の問題点に鑑み、取締情報を用いて適切な運転を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の出力制御装置は、車両に搭載されたカメラの撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、撮影画像を用いて交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出し、撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいないことを検出した場合に、取締領域を検出しない検出部と、取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、を備え、検出部は、取締車両または取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を取締領域として検出する。
本開示の第2の出力制御装置は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を用いて、取締車両と、取締車両の周辺にある交通取締と関係のある特定の対象物とを検出した場合に、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出する検出部と、取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、を備え、特定の対象物は、取締車両と縦列停車した一般車両であり、検出部は、取締車両または取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を取締領域として検出する。
本開示の第3の出力制御装置は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を用いて、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出する検出部と、取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、車両のドライバが過去に行った交通違反の違反種別を含む違反履歴を取得する違反履歴取得部とを備え、取締情報は、取締の違反種別の情報を含み、出力制御部は、違反履歴に基づき違反種別ごとに取締情報に注意度を設定し、取締情報の注意度に基づき出力装置の出力を制御し、検出部は、撮影画像に映った取締車両または取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を取締領域として検出する。
本開示の第4の出力制御装置は、車両に搭載されたカメラの撮影画像を用いて、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出する検出部と、取締領域の位置情報および取締の違反種別の情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、取締情報に基づき車両の経路を探索する経路探索部と、車両のドライバが過去に行った交通違反の違反種別を含む違反履歴を取得する違反履歴取得部と、を備え、出力制御部は、経路探索部が探索した経路を出力装置に表示させ、経路探索部は、違反履歴の違反種別に対応する取締情報の取締領域を避けた経路を探索し、検出部は、撮影画像に映った取締車両または取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を取締領域として検出する。
【0007】
本開示の出力制御方法は、検出部、蓄積部および出力制御部を備える出力制御装置による出力制御方法であって、検出部が、車両に搭載されたカメラの撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、撮影画像を用いて交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出し、前記撮影画像に映った前記取締車両が前記特定の場所にいないことを検出した場合に、前記取締領域を検出せず、蓄積部が、取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積し、出力制御部が、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御し、検出部は、取締車両または取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を取締領域として検出する。
【0008】
本開示の出力制御システムは、出力制御装置と、取締情報管理サーバとを備える。出力制御装置は、車両に搭載されたカメラの撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、撮影画像を用いて交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出し、撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいないことを検出した場合に、取締領域を検出しない検出部と、取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部と、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部と、を備える。検出部は、取締車両または取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を取締領域として検出する。取締情報管理サーバは、取締情報を、出力制御装置から取得する取得部と、取締情報を蓄積するサーバ側蓄積部と、取締情報を出力制御装置に出力する出力部と、を備える。出力制御装置は、撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいることを検出した場合に、撮影画像を用いて取締領域を検出し、撮影画像に映った取締車両が特定の場所にいないことを検出した場合に、取締領域を検出しない。出力制御装置は、取締車両または取締車両の周辺にある交通取締と関係のある対象物である特定の対象物が存在する地点または区間を取締領域として検出する。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力制御が行われるため、ドライバに対する適切な運転支援が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の出力制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1の出力制御装置による要注意データ作成処理を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2の出力制御システムの構成図である。
図4】実施の形態2の出力制御装置の構成を示すブロック図である。
図5】交通取締の検出方法を示す図である。
図6】交通取締の検出方法を示す図である。
図7】交通取締の検出方法を示す図である。
図8】交通取締の検出方法を示す図である。
図9】交通取締の検出方法を示す図である。
図10】交通取締を検出すべき対象物の検出場所を示す図である。
図11】交通取締を検出すべき対象物の検出場所を示す図である。
図12】交通取締を検出すべき対象物の検出場所を示す図である。
図13】交通取締を検出すべき対象物の検出場所を示す図である。
図14】交通取締を検出すべき対象物の検出場所を示す図である。
図15図11に示す状況における検出部11の要注意データ作成処理を示すフローチャートである。
図16図13に示す状況における検出部11の要注意データ作成処理を示すフローチャートである。
図17】要注意データを示す図である。
図18】要注意地点を示す図である。
図19】要注意区間を示す図である。
図20】要注意区間を示す図である。
図21】違反履歴を示す図である。
図22】要注意データと違反履歴の設定画面を示す図である。
図23】要注意データ登録画面を示す図である。
図24】画像登録画面を示す図である。
図25】位置情報登録画面を示す図である。
図26】要注意データ一覧画面を示す図である。
図27】要注意データ編集画面を示す図である。
図28】違反履歴登録画面を示す図である。
図29】違反種別選択画面を示す図である。
図30】違反履歴一覧画面を示す図である。
図31】要注意データの送信処理を示すフローチャートである。
図32】要注意データのダウンロード処理を示すフローチャートである。
図33】音声による取締領域の報知が行われる様子を示す図である。
図34】音声による取締領域の報知が行われる様子を示す図である。
図35】音声による取締領域の報知が行われる様子を示す図である。
図36】音声による取締領域の報知が行われる様子を示す図である。
図37】取締領域の報知表示の例を示す図である。
図38】取締領域の報知表示の例を示す図である。
図39】取締領域の報知表示の例を示す図である。
図40】実施の形態3に係る出力制御装置の構成を示すブロック図である。
図41】出力制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図42】出力制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<A.実施の形態1>
図1は、実施の形態1の出力制御装置101の構成を示すブロック図である。出力制御装置101は、車両に搭載された出力装置の出力を交通取締に関する要注意データに基づき制御する。出力制御装置101は、カメラ31、GPS(Global Positioning System)端末32、車内モニタ33および車内スピーカ36と接続され、これらを利用可能に構成されている。カメラ31は、車両の例えば前方、後方、左右にそれぞれ取り付けられ、車両の周囲を撮影する。GPS端末32は車両に搭載され、GPS信号を受信する。車内モニタ33は、車両の車室に搭載された表示装置であり、例えばカーナビゲーションまたはヘッドユニットのディスプレイ、ヘッドアップディスプレイもしくはセンターディスプレイ等である。車内スピーカ36は、車両の車室に搭載されたスピーカである。
【0012】
出力制御装置101は、検出部11、データ格納部12、出力制御部13および位置情報取得部14を備えている。
【0013】
位置情報取得部14は、一定周期など随時にGPS端末32からGPS信号を取得し、取得したGPS信号に基づき車両の位置情報を把握する。位置情報取得部14が取得した位置情報は、検出部11と出力制御部13に出力される。
【0014】
検出部11は、カメラ31の撮影画像を取得し、撮影画像を解析することにより交通取締が行われている道路上の地点または区間を検出する。検出部11は、交通取締を検出すると、位置情報取得部14から取得した車両の位置情報から、取締が行われている道路上の地点または区間である取締領域の位置情報を推定し、取締領域の位置情報を含む取締情報を要注意データとしてデータ格納部12に格納する。検出部11は交通取締を検出する度に、要注意データをデータ格納部12に格納する。このように、データ格納部12は要注意データを蓄積する蓄積部として機能する。データ格納部12には、要注意データの他、地図データなど出力制御装置101の動作に必要な種々のデータが格納されている。
【0015】
出力制御部13は、位置情報取得部14から取得した車両の位置情報と、データ格納部12から取得した要注意データとに基づき、車内モニタ33または車内スピーカ36の出力を制御する。ここで、車内モニタ33または車内スピーカ36は、出力制御部13が出力制御する出力装置の一例であり、出力装置としてこれらの一方のみが用いられても良い。
【0016】
図2は、実施の形態1の出力制御装置101による要注意データの作成処理を示すフローチャートである。出力制御装置101は、例えば車両が走行を開始すると図2のフローを開始する。まず、検出部11が交通取締を検出したか否かを判断する(ステップS101)。検出部11は、例えば定期的にカメラ31から撮影画像を取得し、撮影画像を解析して交通取締が実施されているか否かを判断する。検出部11は交通取締を検出しなければ、ステップS101を繰り返し、常に最新の撮影画像から交通取締が実施されているか否かを判断する。
【0017】
検出部11が交通取締を検出すると、位置情報取得部14から車両の位置情報を取得する(ステップS102)。さらに、検出部11は、車両の位置情報から、取締領域の位置情報を推定し、推定した取締領域の位置情報を含む要注意データを作成し、データ格納部12に格納する(ステップS103)。その後、出力制御装置101の処理はステップS101に戻る。このような処理により、検出部11が交通取締を検出する度に要注意データが作成される。
【0018】
出力制御部13は、データ格納部12から取得した要注意データに基づき、車内モニタ33または車内スピーカ36の出力制御を行う。
【0019】
実施の形態1に係る出力制御装置101は、車両に搭載されたカメラ31の撮影画像を用いて、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出する検出部11と、取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積する蓄積部であるデータ格納部12と、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御する出力制御部13と、を備える。従って、出力制御装置101によれば、過去に取締が行われた場所を車両が走行する際にドライバに当該場所を報知することによって、適切な運転を促すことができる。
【0020】
また、実施の形態1に係る出力制御方法は、車両に搭載されたカメラ31の撮影画像を用いて、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出し、取締領域の位置情報を含む取締情報を蓄積し、取締情報を用いて車両に搭載された出力装置の出力を制御する。従って、実施の形態1に係る出力制御方法によれば、過去に取締が行われた場所を車両が走行する際にドライバに当該場所を報知することによって、適切な運転を促すことができる。
【0021】
<B.実施の形態2>
図3は、実施の形態2に係る出力制御システムの構成図である。実施の形態2に係る出力制御システムは、複数の車両50にそれぞれ搭載されたECU51と、ECU51とネットワーク52を介して通信するサーバ40とによって構成される。図3の構成例では、車両50に搭載されたECU51によって出力制御装置が実現されるが、これは出力制御装置のハードウェア構成の一例である。
【0022】
サーバ40は、各車両50で作成された要注意データを管理し、各車両50に要注意データを提供することによって、要注意データを各車両50間で有効活用することを可能とする、管理サーバである。なお、図3では3つの車両50を示しているが、サーバ40と連携する車両50の数は3つに限らない。
【0023】
図4は、実施の形態2に係る出力制御装置102の構成を示すブロック図である。図4では、1つの出力制御装置102とサーバ40との接続を示しているが、実際には複数の出力制御装置102がサーバ40に接続される。出力制御装置102は、カメラ31、GPS端末32、車内モニタ33、車内スピーカ36、マイク34、および車速センサ35を備えており、これらを利用可能に構成されている。出力制御装置102は、検出部11、データ格納部12、出力制御部13、通信部15、入力受付部16、および車両情報取得部17を備えている。なお、本明細書に添付される各図面において、同一または対応する構成には同一の参照符号が付されている。
【0024】
通信部15は、サーバ40の通信部41との間でデータの送受信を行う。サーバ40と出力制御装置102の通信は、通信モジュールを介して行われても良いし、直接行われても良い。具体的には、通信部15は出力制御装置102のデータ格納部12に格納された要注意データを通信部41に送信し、サーバ40のデータ格納部42に格納された要注意データを通信部41から受信する。
【0025】
入力受付部16は、出力制御装置102に対するユーザ(例えば、ドライバ)の入力操作を受け付ける入力インタフェースである。入力インタフェースがタッチパネルで構成される場合、入力受付部16は車内モニタ33と一体のタッチパネルとして構成される。
【0026】
車両情報取得部17は、車両情報として車両50の位置情報をGPS端末32から、速度情報を車速センサ35からそれぞれ取得する。
【0027】
マイク34は、車両50の例えば前方、後方、左右にそれぞれ搭載され、車両50の周囲の音を集音する。検出部11は、カメラ31の撮影画像とマイク34の集音音声を取得し、これらに基づき道路上で実施されている交通取締を検出する。具体的には、検出部11は、取締車両または掲示板など、交通取締に関係する特定の対象物がカメラ31の撮影画像に映った場合に、当該対象物が存在する地点または区間で交通取締が実施されていると判断することができる。
【0028】
サーバ40は、通信部41、データ格納部42および処理演算部43を備えている。通信部41は出力制御装置102の通信部15と要注意データの送受信を行う。すなわち、通信部41は、要注意データを出力制御装置102から取得する取得部と、要注意データを出力制御装置102に出力する出力部として機能する。データ格納部42は、通信部41が出力制御装置102から受信した要注意データを格納する。すなわち、データ格納部42は要注意データを蓄積する蓄積部として機能する。処理演算部43は、データ格納部42に格納された要注意データの集計、整理を行う。
【0029】
図5から図9は、交通取締と関係のある特定の対象物について例示している。図5は、車両50の前方にパトカーなどの取締車両53がある状態を示している。このとき、カメラ31の撮影画像には取締車両53が映る。検出部11は、車両の色、形状、車体に書かれた文字、および警光灯の有無の少なくともいずれかに基づき、撮影画像中の車両が取締車両53であるかを判断する。検出部11の判断に用いる車両の色、形状、文字等の情報は、データ格納部12に格納されているものとする。検出部11は、カメラ31の撮影画像に取締車両53が映っている場合に、交通取締の実施を検出することができる。
【0030】
図6は、車両50の前方で飲酒検問などの検問が実施されている状況を示している。この場合、カメラ31の撮影画像には取締車両53に加えて、「検問中」等と記載された掲示板55が映る。検出部11は、掲示板の大きさまたは掲示板に記載された文字等から検問に関する掲示板と判断した場合に、交通取締を検出する。ここで、掲示板は電光掲示板を含む。
【0031】
図7は、車両50の前方で取締車両53が停止旗を掲げている状況を示している。この場合、カメラ31の撮影画像には取締車両53に加えて、「止まれ」等と記載された停止旗56が映る。検出部11は、旗の形状、色、文字等から、撮影画像中に停止旗56が映っていると判断した場合に、交通取締を検出する。このように、検出部11は、撮影画像に映る取締車両53、掲示板55または停止旗56に基づき、取締領域を検出する。
【0032】
図8は、車両50の前方で取締車両53が停止しており、取締車両53の周辺にロードコーン57が置かれている状況を示している。この場合、検出部11は、撮影画像中に取締車両53が映っていると判断し、さらに取締車両53の周辺にロードコーン57が映っていると判断した場合に、交通取締を検出する。また、取締車両53の周囲にヘルメットを着用した人物がいることを、交通取締の検出条件としても良い。
【0033】
図9は、車両50の前方を取締車両53がサイレンを鳴らして走行している状況を示している。この場合、カメラ31の撮影画像には取締車両53が映る。さらに、マイク34の集音音声にはサイレンの音が含まれる。検出部11は、カメラ31の撮影画像に取締車両53が映っており、さらにマイク34の集音音声にサイレンが含まれる場合に、交通取締を検出する。マイク34の集音音声を用いることにより、検出の精度が向上する。また、検出部11は、マイク34の集音音声からサイレンを検出した場合に、カメラ31の撮影画像の取得頻度を上げても良い。
【0034】
図5から図9では、交通取締と関係のある特定の対象物が撮影画像に含まれる場合に、検出部11が交通取締を検出することについて説明した。しかし、検出部11は検出される対象物だけでなく、対象物の検出場所を考慮して交通取締の検出を行っても良い。図10から図14は、交通取締を検出すべき対象物の検出場所を示している。
【0035】
図10は、取締車両53が車両50の同一車線前方を走行している状態を示している。このような場合に、検出部11は交通取締を検出する。
【0036】
図11は、路肩に取締車両53が他の車両59と縦列で停車している状態を示している。このような場合に、検出部11は交通取締を検出する。図15は、図11に示す状況における検出部11の要注意データ作成処理を示すフローチャートである。図15のフローは、例えば車両50の走行開始と共に開始する。まず、検出部11はカメラ31の撮影画像を取得し、撮影画像を解析して、路肩に取締車両53がいるか否かを判断する(ステップS201)。路肩に取締車両53がいなければ、検出部11はステップS201を繰り返す。路肩に取締車両53がいれば、次に検出部11は取締車両53の前後に一般車両がいるか否かを判断する(ステップS202)。取締車両53の前後に一般車両がいなければ、図15のフローはステップS201に戻る。取締車両53の前後に一般車両がいれば、検出部11は、一般車両の運転席にドライバが座っているか否かを判断する(ステップS203)。一般車両の運転席にドライバが座っていれば、図15のフローはステップS201に戻る。一般車両の運転席にドライバが座っていれば、検出部11は、取締車両53の後部座席に人が座っているか否かを判断する(ステップS204)。取締車両53の後部座席に人が座っていなければ、図15のフローはステップS201に戻る。取締車両53の後部座席に人が座っていれば、検出部11は、取締車両53による取り締まりが行われているものと判断し、要注意データを作成する(ステップS205)。
【0037】
図12は、側道など一方通行の道路に取締車両53がいる状態を示している。このような場合に、検出部11は交通取締を検出する。
【0038】
図13は、一時停止線の周囲に取締車両53がいる状態を示している。このような場合に、検出部11は取締を検出する。図16は、図13に示す状況における検出部11の要注意データ作成処理を示すフローチャートである。図16のフローは、例えば車両50の走行開始と共に開始する。まず、検出部11は、車両情報取得部17から取得した車両の位置情報と、データ格納部12から取得した地図データとに基づき、車両50が一時停止線を通過したか否かを判断する(ステップS301)。車両50が一時停止線を通過しなければ、検出部11はステップS301を繰り返す。車両50が一時停止線を通過すると、検出部11は地図データに基づき、一時停止線の先に、車両50の走行道路と交差する道路が有るか否かを判断する(ステップS302)。車両50の走行道路と交差する道路がなければ、図16のフローはステップS301に戻る。車両50の走行道路と交差する道路があれば、検出部11はカメラ31の撮影画像から、車両50の走行道路と交差する道路の先に取締車両53がいるか否かを判断する(ステップS303)。取締車両53がいなければ図16のフローはステップS301に戻る。取締車両53がいれば、検出部11は取締車両53の停止位置に停止線が有るか否かを判断する(ステップS304)。取締車両53の停止位置に停止線が有れば、検出部11は、取締車両53が停止線で停止しているだけであると判断し、要注意データを作成することなくステップS301の処理に戻る。一方、取締車両53の停止位置に停止線がなければ、検出部11は、取締車両53が一時停止違反の取締を行っていると判断し、要注意データを作成する(ステップS305)。
【0039】
図14は、踏切の周囲に取締車両53がいる状態を示している。このような場合に、検出部11は取締を検出することができる。
【0040】
図10から図14は、交通取締を検出すべき対象物の検出場所の一例を示しており、他の例も想定される。例えば、検出部11は、本線に合流する道路の本線よりも標高が高い地点で路肩に取締車両53を検知した場合、要注意データを作成しても良い。また、検出部11は、一方通行の道路において路肩に警察官が立っている場合に、シートベルト装着義務違反の取締が行われていると判断し、要注意データを作成しても良い。また、検出部11は、高速道路の料金所の付近に警察官が立っている場合、シートベルト装着義務違反の取締が行われていると判断し、要注意データを作成しても良い。
【0041】
次に、要注意データについて説明する。図17に示すように、要注意データは取締領域が映ったカメラ31の撮影画像の画像データと、取締検出時の時刻情報と、取締領域の位置情報と、天気情報と、違反種別情報とを含む。天気情報は、天候または気温等の情報を含む。これらの各項目は、検出部11が取締領域を検出した際に自動的に作成しても良いし、ドライバに各項目を入力させても良い。自動的に要注意データを作成する場合、各項目は以下のように設定される。検出部11は、取締検出時の車両50の位置情報を車両情報取得部17から取得し、当該位置情報を取締領域の位置情報に設定することが可能である。また、違反種別情報は、取締を検出した際の状況から設定することが可能である。例えば、検出部11が図13に示す状況で取締を検出した場合、違反種別情報として一時停止違反を設定することができる。検出部11は、例えば車両情報取得部17が取得する車両50のワイパーの動作状況から天候を設定することができる。また、例えば車両情報取得部17が取得する車両50に搭載された温度センサの測定温度から温度を設定することができる。また、このように作成された要注意データをドライバが編集することも可能である。
【0042】
取締領域は、道路上の地点であっても良いし、一定の区間であっても良い。前者を取締地点、後者を取締区間と称する。図18に示すように、一般道または高速道で車両50の前方を取締車両53が走行していることを検出部11が検出した場合、検出部11はその時点の車両50の位置を取締地点62としても良い。これにより、容易に取締地点62を設定することができる。
【0043】
あるいは、図19に示すように、B市の一般道で車両50の前方を取締車両53が走行していることを検出部11が検出した場合、検出部11は車両50が走行している道路のB市の区間を全て取締区間63としても良い。また、図20に示すように、高速道路で車両50の前方を取締車両53が走行していることを検出部11が検出した場合、検出部11は車両50の現在位置を含む同一IC区間、すなわち直近のIC入口から次のIC出口までの区間を取締区間63としても良い。
【0044】
データ格納部12は、車両50のドライバの違反履歴を格納する。図21に示すように、違反履歴は、違反時のカメラ31の撮影画像の画像データと、違反時の時刻情報と、違反種別情報とを含む。違反履歴は、ドライバが入力受付部16に対して特定の操作を行う、例えば特定のボタンを押下することをトリガとして、検出部11が自動的に作成しても良いし、ドライバが入力受付部16から違反履歴の各項目を手動で入力することにより作成されても良い。また、ドライバはデータ格納部12に格納されている違反履歴を手動で編集することも可能である。このように、検出部11または入力受付部16は、車両50のドライバが過去に行った交通違反の違反種別を含む違反履歴を取得する違反履歴取得部として機能する。
【0045】
要注意データと違反履歴を手動で登録、または編集する場合、図22に示す設定画面を用いる。図22の設定画面は、出力制御部13の制御によって車内モニタ33に表示されるものである。この設定画面には、要注意データ登録ボタン64、要注意データ編集ボタン65、違反履歴登録ボタン66、および違反履歴編集ボタン67が表示される。要注意データ登録ボタン64が押下されると、車内モニタ33の画面は図23に示す要注意データ登録画面に遷移する。要注意データ登録画面には、画像、時刻、位置情報、天気、違反種別、機器情報といった要注意データの各項目の登録状態が示されている。なお、機器情報は、ヘッドライトまたはワイパーなど車両50の機器の動作状況を示す。
【0046】
要注意データ登録画面で画像ボタン68が押下されると、車内モニタ33の画面は図24の画像登録画面に遷移する。画像登録画面では、現在のカメラ31の撮影画像70が表示されている。画像登録画面で、ドライバは撮影ボタンを押すことにより、現在表示されている撮影画像70を仮決定し、登録ボタンを押すことにより、撮影画像70を取締領域の画像として登録することができる。また、要注意データ登録画面で位置情報ボタン69が押下されると、車内モニタ33の画面は図25に示す位置情報登録画面に遷移する。位置情報登録画面では、地図71が表示されている。ドライバは画面上で地図71をスクロールし、地図71上の指定した地点72を取締領域の地点として登録することができる。以上が、要注意データの登録操作である。
【0047】
次に、要注意データの編集操作について説明する。図22の設定画面で要注意データ編集ボタン65が押下されると、車内モニタ33の画面は図26に示すデータ一覧画面に遷移する。データ一覧画面には、登録されている各要注意データについて、登録日、距離、違反種別が表示されている。距離は、車両50の現在地から取締領域までの距離を示している。ドライバが登録日、距離、違反種別の各ボタンを押下すると、出力制御部13は押下されたボタンの情報を基に要注意データをソートしても良い。ドライバがデータ一覧画面から特定の要注意データを選択すると、車内モニタ33の画面は図27に示す要注意データ編集画面に遷移する。要注意データ編集画面には、要注意データ登録画面と同様、画像、時刻、位置情報、天気、違反種別、機器情報といった要注意データの各項目の登録状態が示されている。ドライバは画面上で編集したい項目を選択し、編集することが可能である。
【0048】
次に、違反履歴の登録操作について説明する。図22の設定画面で違反履歴登録ボタン66が押下されると、車内モニタ33の画面は図28に示す違反履歴登録画面に遷移する。違反履歴登録画面には、画像、時刻、位置情報、天気、違反種別、機器情報といった各項目の登録状態が示されている。例えば、ドライバが違反履歴登録画面で違反種別ボタン73を押下すると、車内モニタ33の画面は図29に示す違反種別選択画面に遷移する。ドライバは、違反種別選択画面から該当する違反種別を選択することが可能である。
【0049】
次に、違反履歴の編集操作について説明する。図22の設定画面で違反履歴編集ボタン67が押下されると、車内モニタ33の画面は図30に示す違反履歴一覧画面に遷移する。違反履歴一覧画面では、違反履歴の登録日と違反種別が表示されている。ドライバが登録日または違反種別の各ボタンを押下すると、出力制御部13は押下されたボタンの情報を基に違反履歴をソートしても良い。ドライバは画面上で編集したい違反履歴を選択し、編集することが可能である。
【0050】
データ格納部12に格納されている要注意データは、通信部15によりサーバ40に送信される。図31は、出力制御装置102からサーバ40への要注意データの送信処理を示すフローチャートである。図31のフローは、例えば車両50のアクセサリ電源がオンになり出力制御装置102に電力が供給された後に開始する。まず、通信部15は、まだサーバ40へ送信していない要注意データがデータ格納部12に格納されているか否かを判断する(ステップS401)。未送信の要注意データがデータ格納部12に格納されていなければ、通信部15はステップS401の処理を繰り返す。未送信の要注意データがデータ格納部12に格納されていれば、通信部15はサーバ40へ当該要注意データを送信し(ステップS402)、ステップS401の処理へ戻る。以上の処理により、出力制御装置102が取締領域を検出して要注意データを作成する度に、当該要注意データがサーバ40へ送信される。
【0051】
サーバ40は通信部15から要注意データを取得すると、これをデータ格納部42に格納する。図32は、サーバ40から出力制御装置102への要注意データのダウンロード処理を示すフローチャートである。まず、サーバ40の処理演算部43は、データ格納部42に新たに格納された要注意データが有るか否かを判断する(ステップS501)。新たに格納された要注意データがあれば、通信部41は、当該要注意データの受信先の出力制御装置102以外の他の出力制御装置102に対して、当該要注意データを送信する(ステップS502)。そして、サーバ40の動作はステップS501に戻る。
【0052】
図32では、サーバ40が自発的に新たな要注意データを出力制御装置102へ送信することについて説明した。しかし、サーバ40は出力制御装置102からの問い合わせを待って新たな要注意データを出力制御装置102へ送信しても良い。以上の処理により、サーバ40を介して複数の出力制御装置102間で要注意データを共有することができる。
【0053】
以上で説明したように、実施の形態2の出力制御装置102では、蓄積部であるデータ格納部12が取締情報である要注意データを出力制御装置102の外部のサーバ40に蓄積する。そして、出力制御部13は、サーバ40から取得した要注意データを用いて出力装置を出力制御する。従って、サーバ40と複数の出力制御装置102とで要注意データを共有することができる。これにより各出力制御装置102は、自身が作成した要注意データだけでなく他の出力制御装置102が作成した要注意データを用いて出力装置を出力制御することができる。
【0054】
次に、要注意データを用いたドライバに対する取締領域の報知について説明する。図33から図36は、車両50が取締領域から所定距離、例えば100m以内に近づいたときに、音声による報知が行われる様子を示している。これらの図で車両50に付された吹き出しは、車内スピーカ36から報知音声が出力されていることを示している。出力制御装置102は、車両50が取締地点62から所定距離以内、例えば100m以内に近づいたときに音声による報知を行う。具体的には、出力制御部13は要注意データをデータ格納部12から取得し、車両50の位置情報を車両情報取得部17から取得する。そして、出力制御部13は、要注意データと車両50の位置情報に基づき車両50が取締領域に近づいたと判断すると、車内スピーカ36を制御して報知音声を出力させる。
【0055】
取締領域における取締の違反種別は、図33図34の例では速度であり、図35の例では踏切における一時停止であり、図36の例では一時停止線における一時停止である。報知音声の内容を、要注意データの違反種別情報に応じたものにすることで、ドライバに対して取締の内容を把握させ、適切な運転を促すことができる。例えば図33の場合には、報知音声は例えば「この先、速度超過しやすい地点があります。安全な制限速度内での通行をお願いします。」などとなる。また、図34の場合には、報知音声は例えば「この先、速度超過しやすい地点があります。安全な制限速度内での通行をお願いします。」などとなる。また、図35の場合には、報知音声は例えば「この先、踏切です。一時停止による安全確認の上、通行をお願いします。」などとなる。また、図36の場合には、報知音声は例えば「この先、追突事故発生危険地点です。一時停止による安全確認の上、通行をお願いします。」などとなる。このように、出力制御部13は、車両50が取締領域から予め定められた距離内に進入した場合に、車内スピーカ36に報知音声を出力させることができる。
【0056】
図33から図36では音声による報知例を示したが、出力制御装置102は車内モニタ33を用いた表示による報知を行うこともできる。表示による報知は、例えば音声による報知と同様、車両50が取締領域から所定距離、例えば100m以内に近づいた時点で行われる。その際、出力制御部13は、図37のように要注意データに含まれる取締領域の撮影画像70を車内モニタ33に表示させても良いし、図38のように要注意データに含まれる取締領域の位置情報を示す地図71を車内モニタ33に表示させても良い。このように、出力制御部13は、車両50が取締領域から予め定められた距離内に進入した場合に、車内モニタ33に報知表示を出力させることができる。
【0057】
また、図39に示すように、車両50の自車位置周辺地図において取締領域を示す位置にバー74を重畳表示することにより、ドライバに取締領域を報知しても良い。図39のような表示によれば、ドライバに車両50と取締領域との位置関係を直感的に把握させることができる。また、要注意データの注意度に応じてバー74の色を異ならせることによって、ドライバに要注意データの注意度を把握させても良い。あるいは、注意度の高い要注意データほどバー74を目立つ色にしたり、太くしたりしても良い。ここで注意度とは、出力制御部13がドライバの違反履歴に基づき違反種別ごとに設定する指標である。ドライバが過去に違反した回数が多い違反種別に対して、注意度は高く設定される。例えば、データ格納部12にドライバの違反履歴が4つ格納されており、そのうち3つの違反履歴の違反種別が速度違反であり、1つの違反履歴の違反種別が一時停止違反であるとする。その場合、出力制御部13は、最も多い違反種別である速度違反に対して高い注意度を設定し、次に多い違反種別である速度違反に対して中程度の注意度を設定し、それ以外の違反種別に対して小さい注意度を設定する。
【0058】
上記では、注意度別にバー74の色を変えることについて説明した。別の表示方法として、出力制御部13は、注意度の高い違反種別の要注意データのみをドライバに報知しても良い。いずれにせよ、出力制御部13は、要注意データの注意度に基づき出力装置の出力を制御することにより、ドライバに応じた取締領域の報知が可能となる。
【0059】
<C.実施の形態3>
実施の形態2の出力制御装置102は、車両50が取締領域に近づいた際に音声または表示によりドライバに報知を行うことで、ドライバに適切な運転を促した。これに対して実施の形態3の出力制御装置103は、取締領域を通らない経路の案内表示を行うことにより、ドライバに適切な運転を促す。
【0060】
図40は、実施の形態3に係る出力制御装置103の構成を示すブロック図である。出力制御装置103は、カメラ31、GPS端末32、車内モニタ33、マイク34および車速センサ35と接続され、これらを利用可能に構成されている。出力制御装置103は、実施の形態2の出力制御装置102の構成に加えて、経路探索部18を備えている。経路探索部18以外の出力制御装置103の構成は、出力制御装置102と同様である。
【0061】
経路探索部18は、車両情報取得部17から取得した車両の位置情報と、データ格納部12から取得した地図データおよび要注意データと、車両の目的地とに基づき、車両の現在地から目的地までの経路を探索する。このとき、経路探索部18は、要注意データに含まれる位置情報を基に、取締領域を避けた経路、すなわち取締領域を通らない経路を探索する。なお、経路探索部18は取締領域を全て避けるのではなく、実施の形態2で説明した注意度が高い取締領域のみを避ける経路を探索しても良い。
【0062】
出力制御部13は、経路探索部18が探索した経路の案内表示を車内モニタ33に行わせる。ドライバは、車内モニタ33の案内表示に沿って走行することにより、取締領域を避けて適切な運転を行うことができる。
【0063】
上記では、経路探索部18が取締領域を避けた経路を探索することについて説明した。これに加えて経路探索部18は、経路探索の際の道路の利用優先度を、実施の形態2で説明したドライバの違反履歴の違反種別に応じて決定しても良い。例えば、ドライバにスピード違反の違反履歴が有る場合、経路探索部18は、制限速度以上の速度を出しやすい道路の利用優先度を低下させる。「制限速度以上の速度を出しやすい道路」とは、例えば交通量が少ない道路、または信号機の設置間隔が長い道路、直線の長い道路などである。また、ドライバに一時停止の違反履歴が有る場合、経路探索部18は、信号がなく一時停止線がある道路の利用優先度を低下させる。また、ドライバに踏切での一時停止の違反履歴が有る場合、経路探索部18は、踏切がある道路の利用優先度を低下させる。これにより、ドライバが交通違反をする傾向のある道路を走行経路から除外し、ドライバに適切な運転を行わせることができる。
【0064】
<D.ハードウェア構成>
上述した出力制御装置101,102,103における、検出部11、データ格納部12、出力制御部13、位置情報取得部14、および経路探索部18は、図41に示す処理回路81により実現される。すなわち、処理回路81は、検出部11、出力制御部13、位置情報取得部14、および経路探索部18(以下、「検出部11等」と称する)を備える。処理回路81には、専用のハードウェアが適用されても良いし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサが適用されても良い。プロセッサは、例えば中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。また、通信部15は通信インタフェースにより実現され、データ格納部12はHDD等の記憶媒体により実現される。
【0065】
処理回路81が専用のハードウェアである場合、処理回路81は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。検出部11等の各部の機能それぞれは、複数の処理回路81で実現されてもよいし、各部の機能をまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
【0066】
処理回路81がプロセッサである場合、検出部11等の機能は、ソフトウェア等(ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェア)との組み合わせにより実現される。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリに格納される。図42に示すように、処理回路81に適用されるプロセッサ82は、メモリ83に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、出力制御装置101,102,103は、処理回路81により実行されるときに、車両50に搭載されたカメラ31の撮影画像を用いて、交通取締が行われている道路の地点または区間を取締領域として検出するステップと、取締領域の位置情報を含む取締情報である要注意データを蓄積するステップと、要注意データを用いて車両50に搭載された出力装置の出力を制御するステップと、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ83を備える。換言すれば、このプログラムは、検出部11等の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリ83には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)及びそのドライブ装置等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0067】
以上、検出部11等の各機能が、ハードウェア及びソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、検出部11等の一部を専用のハードウェアで実現し、別の一部をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば、検出部11については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現し、それ以外についてはプロセッサ82としての処理回路81がメモリ83に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0068】
以上のように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。なお、データ格納部12は、メモリ83から構成されるが、それらは単一のメモリ83から構成されてもよいし、それぞれが個別のメモリから構成されてもよい。
【0069】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0070】
11 検出部、12 データ格納部、13 出力制御部、14 位置情報取得部、15 通信部、16 入力受付部、17 車両情報取得部、18 経路探索部、31 カメラ、32 GPS端末、33 車内モニタ、34 マイク、35 車速センサ、36 車内スピーカ、40 サーバ、41 通信部、42 データ格納部、43 処理演算部、50,59 車両、51 ECU、52 ネットワーク、53 取締車両、55 掲示板、56 停止旗、57 ロードコーン、62 取締地点、63 取締区間、64 要注意データ登録ボタン、65 要注意データ編集ボタン、66 違反履歴登録ボタン、67 違反履歴編集ボタン、68 画像ボタン、69 位置情報ボタン、70 撮影画像、71 位置情報、72 地点、73 違反種別ボタン、74 バー、81 処理回路、82 プロセッサ、83 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
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図19
図20
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図22
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図30
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図33
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図35
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図37
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図39
図40
図41
図42